説明

ナビゲーション装置

【課題】移動体側に備えられた地図データが最新でない場合においても、センタに備えられた最新の地図データを利用して探索された目的地に至る経路に基づく案内を、ユーザに違和感無く実現するためのナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】経路照合部171では、情報センタ10にて探索された経路を、経路データ123にて照合可能な既知経路と照合不可能なリンクを含む未知経路とに分割する。描画表示部172は、経路照合部171にて、照合不可能なリンクが存在した場合に、そのリンクの始端地点と終端地点を結ぶように地図上に新規道路の擬似的な描画を重畳して表示させる。その際、描画の種類を、新規道路が位置する背景データ122のポリゴンデータの種類に応じて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最新の地図データを備える情報センタにおいて探索された現在位置から目的地までの経路を受信し、その受信した経路に基づいて案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地に至る経路に基づいてユーザを案内するナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置において、現在位置から目的地に至るまでの経路は地図データに基づいて探索されるため、この地図データは常に最新であることが要求される。そこで、近年では、最新の地図データを備える情報センタにて探索された経路データ、案内に必要な案内データ、地図表示に必要な画像データを情報センタ側から移動体側に通信にて提供する最新地図によるナビゲーションを行うシステムが提案されている。例えば、特許文献1に記載のナビゲーションシステムでは、目的地まで車両を案内するために必要な地図画像や最適な経路データを、情報センタ側から車両側に送信する。
【0003】
ところが、特許文献1に記載された技術においては、目的地に至るまでの案内中は常に、必要な地図画像や案内データを通信にて送受信する必要があるために、通信コストが高くなってしまうという問題があった。この問題を解決するために、情報センタが目的地に至る経路データを送信し、移動体側が受信した経路データに基づいて経路を再現し、自機の備える地図画像や案内データを用いて目的地に至る案内を行うシステムが提案されている。このシステムにおいては、情報センタの備える最新の地図データに基づいた経路が探索され、また、情報センタからは移動体に経路情報のみを送信するので通信コストは低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−19588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したシステムにおいては、最新の地図データを備える情報センタ側で探索された経路が、移動体側に備えられた地図データにおいて再現できない場合がある。つまり、移動体側の地図データが情報センタの備える最新の地図データとは異なる場合には、移動体側の地図データには記憶されていない新規道路を通過して目的地に至る経路が情報センタから受信されたとき、移動体側はその部分の経路を地図上にて再現することが不可能である。また、この解決策として、移動体側の地図データを最新のものに更新することにより移動体側においても最新の地図データを表示するというやり方も考えられるが、地図更新には数十秒から数分もの時間を要し、その間はナビゲーションを中断せざるを得ないため、目的地に向かうユーザにとって不便である。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、移動体側に備えられた地図データが最新でない場合においても、センタに備えられた最新の地図データを利用して探索された目的地に至る経路に基づく案内を、ユーザに違和感無く実現するためのナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明は、自機位置及び目的地の位置情報を情報センタに送信し、情報センタにて備えられるセンタ側地図データを用いて探索された自機位置から目的地に至る経路を、通信を介して受信し、その受信した経路に基づいて案内を行うナビゲーション装置であって、センタ側地図データとは別の独立した地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地図データ記憶手段に記憶される地図データに基づいて地図を表示する地図表示手段と、受信した経路内に、地図データ記憶手段にて記憶される地図データにて照合不可能な未知経路が存在するか否かを判定する判定手段と、判定手段にて、未知経路が存在すると判定された場合、未知経路の始端地点と終端地点とを結ぶ道路の擬似的な描画を、地図表示手段にて表示される地図上に重畳して表示する道路描画表示手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、自機の備える地図データにおいては未知の経路を情報センタから受信した際にも、その未知経路部分に道路があるかの如く地図上には道路の描画が表示されるため、目的地までの経路が地図上の表示において途切れることない。従って、ユーザは違和感無く経路に従って目的地まで到達することができる。
【0009】
請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、道路描画表示手段は、始端地点と終端地点とを結んだ際に、地図上にて通過される地図データにおける背景データの種類によって、道路の擬似的な描画の種類を決定することを特徴とする。例えば、河川や湖の背景データを通過するような未知経路に対しては橋の描画を、山中を通過するような未知経路に対しては、トンネルの描画を地図上に重畳して表示させる。これにより、ユーザは未知経路の道路種別を地図上に表示される描画から判断することができ、未知経路を走行する際に違和感無く走行することができる。
【0010】
請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、道路描画表示手段は、始端地点と終端地点とを結んだ際に、地図上にて通過される地図データにおける背景データの色によって、道路の擬似的な描画の種類を決定することを特徴とする。例えば、水色の背景データを通過するような未知経路に対しては橋の描画を、緑色の背景データを通過するような未知経路に対しては、トンネルの描画を地図上に表示させる。これにより、背景データがポリゴンデータの種類の情報を有していない場合においても、背景データの色から描画の種類を決定することができ、請求項2と同様の効果を得ることができる。
【0011】
請求項4に記載のナビゲーション装置は、判定手段にて、未知経路が存在すると判定された場合、自機が未知経路の始端地点から終端地点までを走行した際の地図上の軌跡を、新規道路として地図データ記憶手段にて記憶される地図データに更新する第1の地図更新手段をさらに備え、その第1の地図更新手段は、少なくとも自機が目的地に到達するまで地図データを更新することを禁止することを特徴とする。これにより、ユーザが使用する経路上に存在する新規道路を地図データに更新できるため、無駄な地図更新を行うことなく、有用な地図更新が可能となる。そして、その際、情報センタから最新版の地図データを受信するなどして新たな通信コストが発生することない。また、ユーザが目的地に向かっている最中に地図データが更新されることはないため、ナビゲーションが中断されることはなく利便性を損なわない。
【0012】
請求項5に記載のナビゲーション装置は、経路内に、地図データ記憶手段にて記憶される地図データにて照合できない未知経路が存在する場合に、情報センタから最新版の地図データを通信を介して受信することで、地図データ記憶手段にて記憶される地図データを更新する地図更新手段を備え、地図更新手段は、少なくとも自機が目的地に到達するまで地図データを更新することを禁止することを特徴とする。これにより、ユーザが使用する経路上に新規道路が存在する場合に地図データに更新するため、無駄な地図更新を行うことなく有用な地図更新が可能となる。また、ユーザが目的地に向かっている最中に地図データが更新されることはないため、ナビゲーションが中断されることはなく利便性を損なわない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例のカーナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例におけるカーナビゲーション装置及び情報センタの経路データに記憶されるリンク、ノードのネットワークデータの具体例を示す説明図である。
【図3】本実施例において、新規道路に対して表示させる描画を示す説明図である。
【図4】本実施例において、地図上に新規道路の描画を表示する具体例を示す説明図である。
【図5】本実施例の情報センタの制御部にて実行される経路情報送信処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施例のカーナビゲーション装置の制御部にて実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、本実施例では、本発明をカーナビゲーションシステムにおけるカーナビゲーション装置に適用した例について説明する。また、本発明は下記の実施例に限定されることなく、本発明の技術的範囲に存在する限り、様々な形態を取り得る。
【0015】
(実施例)
図1は、本実施例のカーナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。本実施例のナビゲーションシステムは、情報センタ10と、カーナビゲーション装置100とによって構成されている。
【0016】
まず、情報センタ10の構成について説明する。情報センタ10は、通信装置11と、地図データ記憶部12と、交通情報記憶部15と、制御部17とから構成される。
【0017】
通信装置11は、電波送受信器等で構成され、カーナビゲーション装置100との間でデータの送受信を行う。なお、通信手段として、自動車電話、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)等の通信システムを利用してもよい。
【0018】
地図データ記憶部12には、最新の道路地図情報が記憶されており、経路探索用の経路データ13が格納されている。経路データ13には、最新の道路地図情報が、接続地点を示すノードと、このノード間を接続するリンクからなるネットワーク情報として記憶されている。各道路、及び交差点に該当するリンク、及びノードには、例えば、各リンクやノードに付与された識別番号や、高速道路、有料道路、主要幹線道路、細街路等の道路種別、右左折禁止、一方通行、制限速度等の交通規制、リンク長、幅員の広狭、車線数の多寡数、勾配等の情報が付与されている。そして、それら情報に基づき各リンク、及びノードにはコストが設定されている。この経路データ13に記憶されるネットワーク情報とコストに基づいて、制御部17がコストの積和値が最小となるように周知のダイクストラ法等を用いて最適な経路計算を行う。なお、記憶媒体としては、ROM(Read Only Memoly)、若しくは、読み書き可能なハードディスク、メモリ等を用いることができる。
【0019】
交通情報記憶部15は、交通事故、道路渋滞、道路工事、交通規制等の最新の交通情報を通信を介して収集し、記憶する。
【0020】
制御部17は、CPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROM等に記憶されたプログラムに従って、経路データ13と交通情報記憶部15とから得られる情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地に至るまでの最適な経路を自動的に計算する経路探索処理を行う。車両の現在位置情報や目的地の位置情報は、経度・緯度情報として、カーナビゲーション装置100から通信装置11を介して制御部17に入力される。制御部17にて探索された経路情報は、通信装置11を介してカーナビゲーション装置100に送信される。この際、目的地に到達するまでに通過する交差点、及び道路に該当するノード番号、リンク番号と、各ノードの位置を示す経路・緯度情報と、目的地に到達するまでの所要時間とが経路情報として送信される。
【0021】
次に、カーナビゲーション装置100の構成について説明する。カーナビゲーション装置100は、通信装置110と、情報記憶部120と、自車位置検出部130と、表示装置140と、操作スイッチ群150と、音声出力装置160とから構成される。
【0022】
通信装置110は、電波送受信器等で構成され、情報センタ10との間でデータの送受信を行う。なお、通信手段として、自動車電話、携帯電話、PHS等の通信システムを利用してもよい。
【0023】
情報記憶部120には、表示装置140に地図を描画するために地図情報をユニット化した描画データ121、経路データ123、及び、図示しなかったが案内用の画像や音声データが格納されている。
【0024】
描画データ121は、道路や線路、建造物、私有地等といった施設、若しくは、海や河川等の地形を描画するためのポリゴンデータを各種別毎に記憶する背景データ122と、図示しなかったが、地図上に存在する各種施設の位置情報や、施設名等を記憶する施設データとを格納する。
【0025】
経路データ123は、道路地図情報が、接続地点を示すノードと、このノード間を接続するリンクからなるネットワーク情報として記憶されている。各道路、及び交差点に該当するリンク、及びノードには、例えば、各リンクやノードに付与された識別番号や、高速道路、有料道路、主要幹線道路、細街路等の道路種別、右左折禁止、一方通行、制限速度等の交通規制、リンク長、幅員の広狭、車線数の多寡数、勾配等の情報が付与されている。そして、それら情報に基づき各リンク、及びノードにはコストが設定されている。
【0026】
自車位置検出部130は、GPS(Global Positioning System)からの送信電波を、GPSアンテナを介して受信することで自車位置と現在時刻を検知するGPS受信機131と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ132と、車両の速度を検出するための速度センサ133とを備えている。自車位置検出部130は、これらの各検出信号に基づき位置座標及び進行方向の組として車両の現在の自車位置を算出する。そして、これらセンサ等131乃至133は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら自車位置の検出を行うように構成されている。なお、自車位置検出部130は、上述した内の一部のセンサで構成してもよい。また、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサや、ステアリングの回転角センサ等を加えて構成されてもよい。
【0027】
表示装置140は、カラー表示可能な液晶ディスプレイからなる。表示装置140の表示画面には、描画データ121に記憶されている道路や施設といった背景データ122等から構成される地図と、車両の現在位置を示すマークや、目的地までの誘導経路等が地図に重ねて表示される。なお、各種施設の記号データや名称、目印、渋滞情報等を地図に重ねて表示させてもよい。表示装置としては、液晶ディスプレイ以外にも、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等があるが、その何れを用いてもよい。
【0028】
操作スイッチ群150は、表示装置140と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置140の周囲に設けられた釦スイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置140とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などがあるが、何れを用いてもよい。
【0029】
音声出力装置160は、スピーカーからなり、情報記憶部120に記憶されている案内用の音声データ等に基づいて各種案内の音声を出力する。
【0030】
制御部170は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて、操作スイッチ群150による操作によって指示された範囲の地図等を表示装置140に表示する地図表示処理や、情報センタ10から通信装置110を介して得られる経路情報に基づいて、ユーザを目的地まで案内する案内処理を行う。また、制御部170は、経路照合部171と、描画表示部172とを備える。
【0031】
経路照合部171は、まず、情報センタ10から通信装置110を介して得られた経路情報と、情報記憶部120に記憶されている経路データ123とを照合する。具体的には、情報センタ10から送信された経路情報に含まれるノード番号及びリンク番号と、経路データ123にて記憶されているノード番号及びリンク番号とを照合する。経路データ123には記憶されていない新規に開通した道路等を利用した経路が情報センタ10にて探索された場合には、経路データ123には新規道路に該当するリンク及びそれに付随したノードは記憶されていないため、照合できない。情報センタ10から送信された経路情報が経路データ123にて照合できない場合の具体例について、図2を参照して説明する。
【0032】
図2(a)は、カーナビゲーション装置100の有する情報記憶部120に格納される経路データ123に記憶されるリンク、ノードのネットワークデータの一部を略式図で表現したものである。同様に、図2(b)は、情報センタ10の有する地図データ記憶部12に格納される経路データ13に記憶されるリンク、ノードのネットワークデータの一部を略式図で表現したものである。ここで、図中のA、B、Cはリンク番号を示し、a、bはノード番号を示す。図2(b)では、ノードaとノードbとを接続するリンクCが存在していることがわかる。リンクCに該当する道路は新規に開通した橋である。
【0033】
ここで、例えば、現在位置からある目的地までの経路を探索する場合に、情報センタ10にて、図2(b)のように「現在位置→A→a→C→b→B→目的地」という経路が探索されたとする。情報センタ10では、リンク番号Cの道路(橋)が経路データ13に更新されているデータに基づいて経路を探索するために、「現在位置→A→a→C→b→B→目的地」という最適な経路が計算される。ところが、この経路情報を受信したカーナビゲーション装置100では、図2(a)に示すように、リンク番号Cを有するリンクは経路データ123において記憶されておらず、照合することができない。
【0034】
そして、照合できない部分の経路が存在する場合、経路照合部171では、経路を照合可能な既知経路と照合不可能なリンクを含む未知経路とに分割する。上記具体例においては、経路を既知経路「目的地→A→a」と、未知経路「C」、既知経路「b→B→目的地」という3つの経路に分割する。「目的地→A→a」と、「b→B→目的地」の既知経路については、その経路に基づいた案内を行うことが可能である。
【0035】
次に、描画表示部172は、受信した経路情報に照合できないリンクを含む未知経路が存在した場合に、その未知経路部分に該当する新規道路の擬似的な描画を、未知経路が位置する地図上に重畳して表示する。未知経路の地図上の位置については、経路照合部171にて分割される未知経路の始端(既知経路の終端)及び終端(既知経路の始端)のノードの位置情報から特定できる。未知経路の始端及び終端を線形で結ぶように新規道路の描画を地図上に重畳して表示させる。
【0036】
また、図3に示すように、新規道路の描画の種類としては、例えば、トンネル、橋、高架道路、一般道路がある。新規道路の描画の種類は、その新規道路の描画が位置する地図上の背景データ122のポリゴンデータの種類に基づいて決定される。図3に示すように、例えば、新規道路の描画が、山や、海、若しくは、施設のポリゴンデータ上に位置している場合には、その道路種別はトンネルである可能性が高く、トンネルの描画を地図上に重畳して表示させる。なお、新規道路の描画が位置する地図の背景色で描画を決定してもよい。例えば、背景色に水色が含まれる場合には、地図の河川、湖の上を走行することになるので、新規道路は橋である可能性が高く、橋の描画を地図上の河川や湖に重畳して表示させてもよい。
【0037】
図4は、上記具体例の照合不可能な経路「C」に対して描画を生成し、地図に描画を表示した場合の具体例を示している。図4(a)は、リンクA、B、及び、ノードa、bに該当する道路、交差点を含む、地図を示している。ノードa、bに該当する交差点の間には、河川が存在することがわかる。図4(b)に示すように、描画表示部172は、情報センタ10から経路情報が送信され、経路照合部171にて照合できないリンクが存在する場合に、そのリンクCに該当する新規道路に対する描画を地図上に重畳して表示させる。このとき、新規道路(リンクC)の描画は背景データ122の河川のポリゴンデータ上に位置するため、橋の描画を表示させる。また、このとき、リンクCに該当する新規道路の距離は未知であるが、リンクCは、ノードaとノードbに接続するリンクであるため、ノードaとノードbの位置情報からリンクCに該当する新規道路の距離が計算できる。表示させる描画の長さは、計算された新規道路の距離の長さに対応して決定される。
【0038】
なお、本実施例の情報記憶部120は本発明の地図データ記憶手段に、本実施例の表示装置140は本発明の地図表示手段に、本実施例の経路照合部171は本発明の判定手段に、本実施例の描画表示部は本発明の道路描画表示手段に相当する。
【0039】
続いて、上述した情報センタ10の制御部17において実行される経路情報送信処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、本フローチャートに示す処理は、制御部17に記憶されているコンピュータプログラムに従って実行される。
【0040】
初めに、図5におけるステップS10では、カーナビゲーション装置100から送信される自車位置、及び、目的地の位置情報を受信したかどうかを判定する。自車位置、及び、目的地の位置情報を受信した場合(ステップS10:YES)、ステップS20に移行する。自車位置、及び、目的地の位置情報を受信するまでは、ステップS10は自己遷移を繰り返す。
【0041】
ステップS20では、ステップS10にて受信された情報に基づいて、自車位置から目的地までの最適な経路を探索する。
【0042】
ステップS30では、ステップS20にて探索された経路に基づいて目的地に到達するまでの所要時間を計算する。所要時間は、走行距離、経路の混雑状況等を基づいて計算される。
【0043】
ステップS40では、カーナビゲーション装置100に経路情報を送信し、本処理を終了する。
【0044】
次に、上述したカーナビゲーション装置100の制御部170において実行される処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、本フローチャートに示す処理は、制御部170に記憶されているコンピュータプログラムに従って実行される。
【0045】
初めに、図6におけるステップS100では、自車位置を検出する。
【0046】
ステップS110では、ユーザが操作スイッチ群150を介して目的地を設定する。
【0047】
ステップS120では、ステップS100にて検出された自車位置情報と、ステップS110にて設定された目的地の位置情報とを情報センタ10に送信する。
【0048】
ステップS130では、情報センタ10から経路情報を受信したかどうかを判定する。経路情報を受信した場合(ステップS130:YES)、ステップS140へ移行する。経路情報を受信するまでは、ステップS130は自己遷移を繰り返す。
【0049】
ステップS140では受信した経路情報の中に、情報記憶部120にて照合不可能なリンクがあるかどうかを判定する。照合不可能なリンクがある場合は(ステップS140:YES)、ステップS180へ移行する。照合不可能なリンクがない場合は(ステップS140:NO)、ステップS150へ移行する。
【0050】
ステップS150では、受信した経路情報に基づいてカーナビゲーション装置100において経路を再現する。受信した経路情報に未知経路は存在しないため、経路データ123を用いて、経路を再現することができる。
【0051】
ステップS160では、ステップS150にて再現された経路に基づいて、案内情報を作成する。案内情報は、目的地に至るまでに、どこで右折する、左折する、といった行動予定や、現在の自車位置から目的地までの走行距離等である。ステップS160からはステップS230に移行する。
【0052】
ステップS170では、照合可能な部分の既知経路を再現する。既知経路については、経路データ123を用いて、経路を再現することができる。
【0053】
ステップS180では、照合不可能な部分の未知経路を推定する。未知経路は経路データに記憶されていない経路であるので、カーナビゲーション装置100において再現することができない。そこで、受信した経路情報から未知経路を推定する。具体的には、まず、照合不可能であったリンクが該当する未知経路の始端と終端の位置を特定する。これは、リンクの始端と終端に該当するノードの位置情報が経路情報に含まれるため、特定することができる。次に、リンクの始端と終端の直線的な距離を計算し、新規道路の距離を推定する。また、未知経路の中に複数の照合不可能なリンクが存在する場合には、各リンクにおいて、新規道路の始端と終端の位置を特定し、距離を計算する。未知経路全体としての距離は、各新規道路の距離の和で算出する。
【0054】
ステップS190では、ステップS170にて再現された既知経路と、ステップS180にて推定された未知経路とを結合する。
【0055】
ステップS200では、照合不可能な部分の未知経路の描画を決定する。未知経路に存在するリンクが該当する新規道路ごとに決定する。
【0056】
ステップS210では、ステップS200にて決定された描画を、未知経路のリンクに該当する道路の距離の長さに応じて、描画の長さを決定して該当する位置の地図上に表示させる。
【0057】
ステップS220では、ステップS190にて結合された経路に基づいて案内情報を作成する。案内情報は、目的地に至るまでに、どこで右折する、左折する、といった行動予定や、現在の自車位置から目的地までの走行距離等である。現在地から新規道路の始端まで、及び、新規道路の終端から目的地までの既知経路に関しては、行動予定及び走行距離等の案内情報を作成することが可能である。また、未知経路部分に関しては、走行距離については、ステップS180にて計算されている。さらに、ステップS180にて推定された新規道路の情報や、ステップS200にて決定された描画に基づいて、どのような経路であるかを説明するような情報をユーザに報知するような案内情報を作成する。例えば、「交差点Xから新規道路を走行します。新規道路は交差点Xから交差点Yの間に新設された橋の可能性があります。300メートル以上南の方向に走行します。」といった画像情報や音声情報を作成する。これらの情報は、自車が新規道路を走行するタイミングで地図上に重畳して表示させたり、若しくは、音声出力装置160にて音声アナウンスを行ったりすることでユーザに報知される。
【0058】
ステップS230では、ユーザに対し、作成した案内情報に基づく案内を開始し、本処理を終了する。
【0059】
以上のように、本実施例によれば、情報センタ10にて最新の地図データ及び交通情報に基づいて探索された経路に対して、カーナビゲーション装置100に備えられた情報記憶部120において未知の経路が存在する場合、未知経路部分に新規道路の擬似的な描画を地図上に重畳して表示させる。そのため、地図上の表示では経路が途切れて表示されることなく、ユーザは違和感無く表示される経路に従って目的地まで到達することができる。また、カーナビゲーション装置の描画データ121及び経路データ123を更新させることはないため、更新に伴う多大な通信コスト及び通信時間は発生しない。さらに、更新により案内を中断させることなく、ユーザを目的地まで案内することができる。
【0060】
また、未知経路に該当する新規道路の描画の種類は、未知経路の始端と終端を結んだ際に、地図上にて通過する背景データ122のポリゴンデータの種類によって決定される。これにより、ユーザは未知経路の道路種別を地図上に表示される描画から判断することができ、ユーザは未知経路を違和感無く走行することができる。
【0061】
(変形例1)
本実施例における変形例1を説明する。本変形例では、カーナビゲーション装置100は、未知経路におけるリンクに該当する新規道路を走行した際の自車の地図上における軌跡の形状に対応して新規道路の描画を変形して記憶する。変形された描画は、新規道路のリンク番号と組みつけて情報記憶部120に記憶される。従って、次回以降にその記憶された新規道路に該当するリンク番号の経路を含む未知経路が受信された場合、そのリンクに該当する新規道路の描画に対して、前回時に記憶した描画を読み出すことにより、地図上に新規道路の形状に応じた描画を表示させることができる。これにより、ユーザは同じ未知経路を走行する場合、2度目以降はさらに違和感無く走行することができる。
【0062】
(変形例2)
本実施例における変形例2を説明する。本変形例では、カーナビゲーション装置100は、未知経路におけるリンクに該当する道路を走行した際の自車の地図上の軌跡を記憶し、その軌跡を道路として地図を更新する。まず、自車が未知経路部分を走行した際の軌跡を新たに道路として地図上に重畳して表示できるように描画データ121を更新する。一方、経路データ123を更新する際は、情報センタ10から送信された経路情報に基づいて、予め経路データ123に記憶されているノード及びリンクからなるネットワーク情報に、新規道路に該当するノード及びリンクを追加する。ただし、これらの描画データ121及び経路データ123の更新処理については、自車が目的地に到達するまで実行しないこととする。これにより、ユーザが使用する経路上に存在する新規道路のみを情報記憶部120に更新するため、無駄な地図更新を行うことなく有用な地図更新が可能となる。また、ユーザが目的地に向かっている最中に地図が更新されることはないため、ナビゲーションが中断されることはない。
【0063】
(変形例3)
本実施例における変形例3を説明する。本変形例では、カーナビゲーション装置100は、情報センタ10から送信された経路情報に対して、情報記憶部120において経路の再現が不可能である部分の未知経路が存在すると判定された場合、通信装置110を介して情報センタ10から最新版の地図データを受信し、情報記憶部120にその最新版の地図データを記憶することで地図を最新版に更新する。ただし、最新版の地図データの受信処理及び記憶処理は自車が目的地に到達するまで実行しないこととする。これにより、ユーザが使用する経路上に新規道路が存在する場合に地図の更新を行うため、無駄な地図更新を行うことなく有用な地図更新が可能となる。また、ユーザが目的地に向かっている最中に地図データが更新されることはないため、ナビゲーションが中断されることはない。
【符号の説明】
【0064】
10 情報センタ
11 通信装置
12 地図データ記憶部
15 交通情報記憶部
17 制御部
100 カーナビゲーション装置
110 通信装置
120 情報記憶部
130 自車位置検出部
140 表示装置
150 操作スイッチ群
170 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機位置及び目的地の位置情報を情報センタに送信し、前記情報センタにて備えられるセンタ側地図データを用いて探索された前記自機位置から前記目的地に至る経路を、通信を介して受信し、該受信した経路に基づいて案内を行うナビゲーション装置であって、
前記センタ側地図データとは別の独立した地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶される地図データに基づいて地図を表示する地図表示手段と、
前記受信した経路内に、前記地図データ記憶手段にて記憶される地図データにて照合不可能な未知経路が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて、未知経路が存在すると判定された場合、前記未知経路の始端地点と終端地点とを結ぶ道路の擬似的な描画を、前記地図表示手段にて表示される地図上に重畳して表示する道路描画表示手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記道路描画表示手段は、前記始端地点と前記終端地点とを結んだ際に、前記地図上にて通過される前記地図データにおける背景データの種類によって、前記擬似的な描画の種類を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記道路描画表示手段は、前記始端地点と前記終端地点とを結んだ際に、前記地図上にて通過される前記地図データにおける背景データの色によって、前記擬似的な描画の種類を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段にて、未知経路が存在すると判定された場合、自機が前記未知経路の始端地点から前記未知経路の終端地点までを走行した際の地図上の軌跡を、新規道路として前記地図データ記憶手段にて記憶される地図データに更新する第1の地図更新手段をさらに備え、
前記第1の地図更新手段は、少なくとも自機が前記目的地に到達するまで前記地図データを更新することを禁止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至3に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段にて、未知経路が存在すると判定された場合、前記情報センタから前記センタ側地図データの全体若しくは一部を通信を介して取得し、前記地図データ記憶手段にて記憶される地図データを更新する第2の地図更新手段をさらに備え、
前記第2の地図更新手段は、少なくとも自機が前記目的地に到達するまで前記地図データを更新することを禁止することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−7504(P2011−7504A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148529(P2009−148529)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】