説明

ネットワークシステム,レイヤ2スイッチ,及びネットワーク障害検出方法

【課題】2台の通信装置間における片方向パス障害を短期間で検出する。
【解決手段】ネットワークシステムは、第1のアドレスが設定された第1の通信装置と、第1の通信装置とネットワークを介して接続され第2のアドレスが設定された第2の通信装置と、を備える。第1の通信装置は、宛先アドレスとして第2のアドレスが、送信元アドレスとして第1のアドレスが、それぞれ設定された監視フレームを生成してネットワークに出力する監視フレーム送信部と、監視応答フレームの受信を監視する監視応答フレーム監視部とを有し、第2の通信装置は、受信した監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して監視応答フレームを生成し、ネットワークに出力する監視応答フレーム送信部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおける障害検出に関する。
【背景技術】
【0002】
2台の通信装置(例えば、レイヤ2スイッチ)を、互いにネットワークを介して接続する場合、2台の通信装置間に双方向の2つのパス(通信経路)が設定される。一方のパスに障害(「片方向パス障害」と呼ぶ)が発生すると、ネットワーク上で、フレームがループする等の種々の問題が発生する。そこで、片方向パス障害を検出するために、UDLD(Uni-Directional Link Detction )プロトコルが提案されている(非特許文献1)。
【0003】
UDLDでは、各通信装置が、それぞれ他方の通信装置に対してリンク正常性確認フレームを送信し、他方の通信装置から送信されるリンク正常性通知フレームの受信の有無により、片方向リンク障害の発生の有無を検出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Cisco System UniDirectional Link (UDLD) Protocol (RFC:5171). Cisco Systems, April 2008. Retrieved from the Internet: on 2010-06-20.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、UDLDでは、受信したフレームに含まれる様々なパラメータの解析をソフトウェアによって行い、その解析結果に基づいて片方向パス障害の有無を検出するため、障害検出までに長期間を要するという問題があった。このため、片方向パス障害の検出時間の短縮化が望まれていた。
【0006】
本発明は、2台の通信装置間における片方向パス障害を短期間で検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]ネットワークシステムであって、
第1のアドレスが設定された第1の通信装置と、
前記第1の通信装置とネットワークを介して接続され、第2のアドレスが設定された第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、
宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたフレームである監視フレームを生成して、前記ネットワークに出力する監視フレーム送信部と、
前記第2の通信装置から送信される監視応答フレームの受信を監視する監視応答フレーム監視部と、
を有し、
前記第2の通信装置は、
前記監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して前記監視応答フレームを生成して、前記ネットワークに出力する監視応答フレーム送信部を有する、ネットワークシステム。
【0009】
適用例1のネットワークシステムでは、第2の通信装置において、監視フレームを受信すると、監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定することにより監視応答フレームが生成されるので、監視応答フレームの生成処理を容易にハードウェア処理化でき、処理の高速化が実現できる。加えて、第1の通信装置では、監視応答フレームの受信を監視することにより、第1の通信装置と第2の通信装置との間のパス障害を検出できるので、ソフトウェア処理を必要としない。したがって、第1の通信装置と第2の通信装置との間における片方向パス障害を短期間で検出することができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第2の通信装置は、さらに、
前記受信した監視フレームを記憶する受信フレームバッファと、
前記監視応答フレームを記憶する送信フレームバッファと、
を有し、
前記監視応答フレーム送信部は、前記受信フレームバッファに記憶されている前記監視フレームから宛先アドレスを読み出して、前記送信フレームバッファに前記監視応答フレームの送信元アドレスとして記録させると共に、前記受信フレームバッファに記憶されている前記監視フレームから送信元アドレスを読み出して、前記送信フレームバッファに前記監視応答フレームの宛先アドレスとして記録させる、ネットワークシステム。
【0011】
このような構成により、監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定する処理を、ハードウェアにより実現することができる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置は、さらに、
フレームを送受信するためのポートと、
前記監視応答フレーム監視部が前記ポートにおける前記監視応答フレームの受信を検出すると、前記ポートの論理状態をフレーム送受信可能の状態に設定し、前記監視応答フレーム監視部が前記ポートにおける前記監視応答フレームの受信を検出しない場合には、前記ポートの論理状態をフレーム送受信不可能の状態に設定する、ポート制御部と、
を有する、ネットワークシステム。
【0013】
このような構成により、障害が検出されたポートにおけるフレームの送受信を遮断することができるので、障害発生によりフレームがネットワークシステム内をループし続けることを抑制できる。
【0014】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記監視フレーム送信部は、前記監視フレームの一部として、前記監視フレームであることを示す監視フレーム識別子を設定し、
前記監視応答フレーム送信部は、前記監視応答フレームを生成する際に、前記監視フレームに設定されている前記監視フレーム識別子を、前記監視応答フレームであることを示す監視応答フレーム識別子に書き換える、ネットワークシステム。
【0015】
このような構成により、監視フレームと監視応答フレームとを容易に区別することができる。したがって、第2の通信装置からも第1の通信装置宛に監視フレームを送信する場合に、第1の通信装置において、第2の通信装置から送信されたフレームが、自らが送信した監視フレームに対応する監視応答フレームであるのか、または、第2の通信装置が新たに送信した監視フレームであるのか、を容易に区別することができる。
【0016】
[適用例5]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記監視応答フレーム送信部は、前記監視フレームのうち、前記宛先アドレス及び前記送信元アドレスのみを書き換えて、前記監視応答フレームを生成する、ネットワークシステム。
【0017】
このような構成により、シンプルな処理で監視応答フレームを生成することができる。したがって、より短期間のうちに障害発生を検出することができる。加えて、宛先アドレス及び送信元アドレスのみを書き換えて監視応答フレームを生成するので、第1の通信装置と第2の通信装置との間に、他の通信装置(フレーム中継装置)が1つ以上介在する構成においても、この他の通信装置は、通常のフレームと同様に、監視応答フレームを第1の通信装置に向けて中継することができる。したがって、大規模なネットワークシステムにおいても、障害の発生を監視できると共に、ネットワークシステムの構成変更に伴い、第1の通信装置と第2の通信装置との間に他の通信装置(フレーム中継装置)を追加する場合であっても、第1の通信装置と第2の通信装置との間において生じた障害を検出することができる。
【0018】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第2の通信装置における前記監視応答フレームの生成及び送信の可否を設定するためのユーザインタフェースを有する、ネットワークシステム。
【0019】
このような構成により、ユーザは、第2の通信装置における監視応答フレームの生成及び送信の可否を容易に設定することができる。
【0020】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、いずれもレイヤ2スイッチである、ネットワークシステム。
【0021】
このような構成により、レイヤ2スイッチ間のレイヤ2ネットワークにおける障害発生の有無を、短期間で検出することができる。
【0022】
[適用例8]レイヤ2スイッチであって、
第1のアドレスが設定された通信装置とネットワークを介して接続され、
第2のアドレスが設定されており、
宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたレイヤ2フレームである監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して監視応答フレームを生成し、前記ネットワークに出力する監視応答フレーム送信部を備える、レイヤ2スイッチ。
【0023】
適用例8のレイヤ2スイッチでは、監視フレームを受信すると、監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定することにより監視応答フレームが生成されるので、監視応答フレームの生成処理を容易にハードウェア処理化でき、処理の高速化が実現できる。したがって、レイヤ2スイッチと通信装置との間における片方向パス障害を短期間で検出することができる。
【0024】
[適用例9]第1の通信装置と第2の通信装置とを備えるネットワークシステムにおいて、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とを接続するネットワークの障害を検出するネットワーク障害検出方法であって、
前記第1の通信装置には第1のアドレスが設定され、前記第2の通信装置には第2のアドレスが設定され、
(a)前記第1の通信装置において、宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたフレームである監視フレームを生成して、前記ネットワークに出力する工程と、
(b)前記第2の通信装置において、前記監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して監視応答フレームを生成し、前記ネットワークに出力する工程と、
(c)前記第1の通信装置において、前記第2の通信装置から送信される前記監視応答フレームの受信を監視する工程と、
を備える、ネットワーク障害検出方法。
【0025】
適用例9のネットワーク障害検出方法では、第2の通信装置において、監視フレームを受信すると、監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定することにより監視応答フレームが生成されるので、監視応答フレームの生成処理を容易にハードウェア処理化でき、処理の高速化が実現できる。加えて、第1の通信装置では、監視応答フレームの受信を監視することにより、第1の通信装置と第2の通信装置との間のパス障害を検出できるので、ソフトウェア処理を必要としない。したがって、第1の通信装置と第2の通信装置との間における片方向パス障害を短期間で検出することができる。
【0026】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ネットワークシステムやレイヤ2スイッチの制御方法、ネットワークシステムまたはレイヤ2スイッチの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例におけるネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す第1スイッチ及び第2スイッチの詳細構成を示す説明図である。
【図3】図2に示すフレーム転送処理部の詳細構成を示す説明図である。
【図4】パス障害の監視を行うための設定用ウィンドウを示す第1の説明図である。
【図5】パス障害の監視を行うための設定用ウィンドウを示す第2の説明図である。
【図6】パス障害監視開始処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】LHCフレーム及びLHCBフレームのフレームフォーマットを示す説明図である。
【図8】第1スイッチのポートが監視対象ポートとして設定された場合における初期状態のポート状態管理テーブルの例を示す説明図である。
【図9】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】LHCBフレーム監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】パス障害発生が発生している状態におけるポート状態管理テーブルの例を示す説明図である。
【図17】LHCBフレーム監視処理の実行によるポートの監視状態および論理状態の状態遷移の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
A.実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例におけるネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。図1において、上段は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間のパスが正常である場合におけるネットワークシステムを示し、下段は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間のパスにおいて障害が発生した場合におけるネットワークシステムを示す。
【0029】
本実施例のネットワークシステム100は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3とを備え、第2スイッチSW2が、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3との間に配置された構成を有する。各スイッチSW1〜SW3は、いずれも図示しない複数のポートを備えたレイヤ2スイッチであり、ポートに接続された端末(パーソナルコンピュータやサーバなど)から受信するレイヤ2フレーム(OSI参照モデルにおける第2層(データリンク層)のフレーム)を中継する。
【0030】
本実施例では、ネットワークシステム100が中継するフレームとして、イーサネットフレーム(「イーサネット」は登録商標)を採用するが、イーサネットフレームに代えて、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)や、ATM(Asynchronous Transfer Mode)など、任意のレイヤ2プロトコルで規定されているフレーム(パケット,セル)を採用することができる。なお、第1スイッチSW1には、レイヤ2アドレスとして、MAC(Media Access Control)アドレス「m1」が予め設定されている。同様に、第2スイッチSW2には、レイヤ2アドレスとして、MACアドレス「m2」が予め設定されている。これらMACアドレス「m1」,「m2」は、いずれも、パス障害監視用に割り当てられた専用のMACアドレスである。
【0031】
第1スイッチSW1と第3スイッチSW3とは、互いに2つの物理リンクL112,L121により接続されている。第3スイッチSW3と第2スイッチSW2とは、互いに2つの物理リンクL212,L221により接続されている。かかる構成により、第1スイッチSW1から第2スイッチSW2に向かうパスとして、第1スイッチSW1,物理リンクL112,第3スイッチSW3,物理リンクL212,第2スイッチSW2の順序でフレームが中継されるパスPA12が形成されている。また、第2スイッチSW2から第1スイッチSW1に向かうパスとして、第2スイッチSW2,物理リンクL221,第3スイッチSW3,物理リンクL121,第1スイッチSW1の順序でフレームが中継されるパスPA21が形成されている。
【0032】
ネットワークシステム100では、2つのパスPA12,PA21のいずれかにおける障害発生の有無を監視するために、第1スイッチSW1は、監視用のフレーム(以下、「LHCフレーム」と呼ぶ)を送信する。図1上段に示すように、2つのパスPA12,PA21において障害が発生していない場合、第1スイッチSW1から送出されたLHCフレームは、パスPA12を通って第2スイッチSW2に中継される。第2スイッチSW2は、LHCフレームを受信すると、監視応答用のフレーム(以下、「LHCBフレーム」を送信する。後述するように、LHCBフレームは、LHCフレームを折り返したフレームであり、第2スイッチSW2では、LHCBフレームの生成を、ハードウェア処理化している。第2スイッチSW2から送出されたLHCBフレームは、パスPA21を通って第1スイッチSW1に中継される。第1スイッチSW1では、LHCBフレームの受信の有無を監視しており、LHCBフレームを所定期間内において受信した場合には、両方のパスPA12,PA21は正常であると判断する。
【0033】
これに対し、図1下段に示すように、例えば、物理リンクL212において障害(片方向パス障害)が発生した場合、LHCフレームは第2スイッチSW2に中継されない。この場合、第2スイッチSW2はLHCBフレームを送信しないため、第1スイッチSW1は、所定期間内にLHCBフレームを受信せず、2つのパスPA12,PA21の少なくとも一方において障害が発生したと判断する。
【0034】
このような片方向パス障害監視を実現するために、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、図示しない端末から送信されるフレームの中継処理に加えて、LHCフレームの送受信や、LHCBフレームの送受信等の処理を実行する。第1スイッチSW1は、請求項における第1の通信装置に相当し、第2スイッチSW2は、請求項における第2の通信装置に相当する。なお、第3スイッチSW3は、本発明の一実施例としての通信装置ではなく、一般的なレイヤ2スイッチである。すなわち、第3スイッチSW3は、受信したフレームを、フレームに設定されている宛先MACアドレスに基づき、図示しない宛先テーブル(MACアドレスと出力ポートとを対応付けた中継用テーブル)に従って中継する。
【0035】
図2は、図1に示す第1スイッチ及び第2スイッチの詳細構成を示す説明図である。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とは同じ構成であるため、第2スイッチSW2について代表して説明する。第2スイッチSW2は、複数のポートP21,P22,・・・,P2nと、フレーム転送処理部20bと、宛先判定部40bと、LHCフレーム送信部30bと、管理部10bと、管理用インタフェース11bとを備えている。
【0036】
複数のポートP21,P22,・・・,P2nは、それぞれ送信側の物理リンクと受信側の物理リンクを終端している。例えば、図2に示すように、ポートP21は、送信側の物理リンクL212と、受信側の物理リンクL221とを終端している。
【0037】
図3は、図2に示すフレーム転送処理部の詳細構成を示す説明図である。フレーム転送処理部20bは、レイヤ1制御部21bと、レイヤ2制御部22bと、受信フレームバッファ23bと、送信フレームバッファ24bとを備えている。各機能部は、記憶素子や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路により構成されており、ハードウェア処理が可能である。
【0038】
レイヤ1制御部21bは、レイヤ1(OSI参照モデルの第1層(物理層))の処理を行う機能部であり、各ポートP21,P22,・・・,P2n及びレイヤ2制御部22bと、それぞれ接続されている。レイヤ1制御部21bは、各ポートP21,P22,・・・,P2nにおいて受信される信号からレイヤ2のフレームを生成してレイヤ2制御部22bに出力し、また、レイヤ2制御部22bから受信するレイヤ2フレームに基づき信号を生成して各ポートP21,P22,・・・,P2nに出力する。
【0039】
レイヤ2制御部22bは、レイヤ2の処理を行う機能部であり、レイヤ1制御部21b,受信フレームバッファ23b,及び送信フレームバッファ24bと接続されている。また、レイヤ2制御部22bは、後述のLHCフレーム送信部30b,判定結果生成部46b,フレーム種別判定部41bと接続されている。レイヤ2制御部22bは、レイヤ1制御部21bから受信したフレームを、受信フレームバッファ23bに記憶させ、また、受信フレームバッファ23bからフレームを読み出して他の機能部に送信する。加えて、レイヤ2制御部22bは、他の機能部からの指示に従って、フレームを生成して送信フレームバッファ24bに記憶させ、また、送信フレームバッファ24bからフレームを読み出してレイヤ1制御部21bに出力する。
【0040】
受信フレームバッファ23bは、第2スイッチSW2が受信したフレームを記憶する。図3では、受信フレームバッファ23bにはLHCフレームfc1が記憶されている。送信フレームバッファ24bは、第2スイッチSW2が送信しようとするフレームを記憶する。図3では、送信フレームバッファ24bにはLHCBフレームfb1が記憶されている。
【0041】
図2に戻って、宛先判定部40bは、フレーム種別判定部41bと、宛先テーブル43bと、宛先検索部42bと、ポート状態管理テーブル45bと、ポート状態判定部44bと、判定結果生成部46bと、LHCBフレーム監視部47bとを備えている。
【0042】
フレーム種別判定部41bは、受信したフレームの種類を判定する。宛先テーブル43bは、フレームを中継する際に参照されるテーブルであり、フレームに設定されている宛先MACアドレスやVLAN−ID等の識別子と、フレームの出力ポートとを対応付けたテーブルである。宛先検索部42bは、宛先テーブル43bを参照して、受信フレームを中継するための出力ポートを決定する。ポート状態管理テーブル45bは、各ポートの論理状態を管理するためのテーブルである。ポート状態判定部44bは、ポート状態管理テーブル45bを参照して出力ポートの状態を決定する。判定結果生成部46bは、廃棄指示等の後述する各種指示や、出力ポートをフレーム転送処理部20bに通知する。LHCBフレーム監視部47bは、監視対象のスイッチから送信されるLHCBフレームの受信を監視する。
【0043】
管理部10bは、管理用インタフェース11bと、LHCフレーム送信部30bと、宛先判定部40bと、それぞれ接続されており、各構成要素を制御する。管理用インタフェース11bは、破線で示す管理用端末PC2と接続するためのインタフェースを提供する機能部である。このインタフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェースや、RS232C等のシリアルインタフェースや、IEEE802.3uなどを採用することができる。LHCフレーム送信部30bは、管理部10bからの指示に従って、LHCフレームの生成をフレーム転送処理部20bに指示する。
【0044】
第1スイッチSW1は、上述した第2スイッチSW2と同じ構成を有する。図2では、各スイッチの同じ構成要素を区別するために、第1スイッチSW1の各構成要素には「a」の符号を、第2スイッチSW2の各要素には「b」の符号を、それぞれ付している。
【0045】
ネットワークシステム100では、後述するパス障害監視の開始処理,受信フレーム処理,LHCBフレーム監視処理を実行することにより、パス障害の発生を短期間で検出することができる。
【0046】
なお、前述のLHCフレームは、請求項における監視フレームに相当する。また、LHCBフレームは請求項における監視応答フレームに、LHCフレーム送信部30a及びフレーム転送処理部20aは請求項における監視フレーム送信部に、フレーム転送処理部20a及びLHCBフレーム監視部47aは請求項における監視応答フレーム監視部及びポート制御部に、フレーム転送処理部20bは請求項における監視応答フレーム送信部に、折り返し識別子は請求項における監視フレーム識別子に、それぞれ相当する。
【0047】
A2.パス障害監視の開始処理:
図4は、パス障害の監視を行うための設定用ウィンドウを示す第1の説明図である。図5は、パス障害の監視を行うための設定用ウィンドウを示す第2の説明図である。図1に示すパスPA12,PA21を監視する場合、ユーザ(ネットワークシステム100のシステム管理者など)は、予め、これらのパスPA12,PA21を終端するスイッチ(第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2)において、所定の設定を行う。
【0048】
具体的には、ユーザは、図2に示すように管理用端末PC1を第1スイッチSW1に接続して、図4に示す監視設定用ウィンドウW1を管理用端末PC1に表示させ、各種パラメータを入力する。図4に示すように、監視設定用ウィンドウW1は、監視対象スイッチ(監視対象のパスにおける他端側のスイッチ),監視対象ポート,フレーム送信間隔,及びフレーム監視時間の各パラメータを設定するフィールドと、OKボタンB1とを備えている。図4では、監視対象スイッチとして「第2スイッチSW2」が、監視対象ポートとして「第1ポート(ポートP11)」が、フレーム送信間隔として「1(ms)」が、フレーム監視時間として「10(ms)」が、それぞれ入力されている。フレーム送信間隔とは、LHCフレームを送信してから次のLHCフレームを送信するまでの時間的間隔を意味する。フレーム監視時間とは、パス障害発生の有無を判断する際に基準となる時間的間隔であり、第1スイッチSW1は、このフレーム監視時間を超えても次のLHCフレームを受信しない場合に、パス障害が発生したと判断する。OKボタンB1が押されると、入力された各パラメータが第1スイッチSW1内の図示しないメモリに記憶されると共に、パス監視の開始指示が管理用端末PC1から第1スイッチSW1に送信される。
【0049】
また、ユーザは、図2に示すように管理用端末PC2を第2スイッチSW2に接続して、図5に示す監視フレーム折り返し設定用ウィンドウW2を管理用端末PC2に表示させる。図5に示すように、設定用ウィンドウW2は、折り返し対象ポートを設定するフィールドと、OKボタンB3とを備えている。折り返し対象ポートとは、監視用フレーム(LHCフレーム)を受信した場合に、LHCフレームの送信元に対して監視応答用フレーム(LHCBフレーム)を送信する処理(フレームを折り返す処理)を実行する対象ポートを意味し、図5では、第1ポート(ポートP21)が入力されている。ユーザが折り返し対象ポートを入力しOKボタンB1を押すと、入力された折り返し対象ポートが第2スイッチSW2に設定される。なお、図5に示す監視フレーム折り返し設定用ウィンドウW2は、請求項におけるユーザインタフェースに相当する。
【0050】
図6は、パス障害監視開始処理の手順を示すフローチャートである。図6に示すパス障害監視開始処理は、ユーザによる監視設定がされたスイッチにおいて実行される。前述のように、第1スイッチSW1において監視設定がされた場合には、第1スイッチSW1において、パス障害監視開始処理が実行される。
【0051】
第1スイッチSW1の管理部10aは、管理用インタフェース11aを介して管理用端末PC1からパス監視開始指示を受信し(ステップS110)、LHCフレーム送信部30aに対して、監視対象ポートからのLHCフレームの送信を指示する(ステップS120)。
【0052】
LHCフレーム送信部30aは、設定されたフレーム送信間隔毎に、フレーム転送処理部20aに対して、設定された監視対象ポートから設定された監視対象スイッチ宛にLHCフレームを送信するように指示する(ステップS130)。フレーム転送処理部20aは、LHCフレーム送信部30aからの指示に従って、LHCフレームを生成して監視対象ポートから送信する(ステップS140)。
【0053】
図7は、LHCフレーム及びLHCBフレームのフレームフォーマットを示す説明図である。LHCフレームおよびLHCBフレームは、通常のイーサネットフレームと同様に、レイヤ2ヘッダフィールドおよびデータフィールドにより構成される。LHCフレームおよびLHCBフレームの場合、宛先MACアドレスフィールドには、監視用に割り当てられた専用のMACアドレスが挿入される。従って、通常フレームと他のフレーム(LHCフレームおよびLHCBフレーム)との区別は、宛先MACアドレスに基づいて行うことができる。また、LHCフレーム及びLHCBフレームのデータフィールドには、折り返し識別子フィールドが設けられており、この折り返し識別子フィールドに基づいてLHCフレームとLHCBフレームとを区別することができる。図4に示すように監視対象スイッチとして第2スイッチSW2が設定された場合、宛先MACアドレスには、監視対象スイッチである第2スイッチSW2のMACアドレス「m2」が設定され、LHCフレームの送信元MACアドレスには、第1スイッチSW1のMACアドレス「m1」が設定される。また、LHCフレームの折り返し識別子フィールドには、LHCフレームであることを示す値が設定される。
【0054】
第1スイッチSW1から送出されたLHCフレームは、図1に示す第3スイッチSW3において受信され、宛先テーブル(宛先MACアドレスと出力ポートとを対応付けた中継用テーブル)に従って、第2スイッチSW2に向けて中継される。
【0055】
図6に示すように、第1スイッチSW1の管理部10aは、LHCフレームを送信した後、ユーザが設定したフレーム監視時間を図示しないメモリから読み出し、かかるフレーム監視時間に基づき、ポート状態管理テーブル45aにおける監視対象ポートのエントリを更新する(ステップS150)。
【0056】
図8は、第1スイッチのポートが監視対象ポートとして設定された場合における初期状態のポート状態管理テーブルの例を示す説明図である。
【0057】
図8に示すように、ポート状態管理テーブル45aには、ポート毎に、論理状態,監視状態,監視時間,および監視タイマが設定されている。論理状態は、各ポートにおけるフレームの送受信に関する状態を示し、パス障害が発生していない状態を示す「フレーム送受信可(FWD)」又はパス障害が発生している状態を示す「フレーム送受信不可(BLK)」が設定され得る。監視状態は、各ポートの監視に関する状態を示し、パス障害を監視する状態を示す「障害監視」又はパス障害発生後の復旧を監視する状態を示す「復旧監視」が設定され得る。監視時間は、図6のステップS150により設定されたフレーム監視時間を示す。監視タイマは、前回LHCフレームを送信してからの経過時間を示す。
【0058】
図8では、ポートP12,P1nについては、既にパス障害監視が実行されており、ポートP11について、パス障害監視開始処理が実行されてエントリが更新された後のポート状態管理テーブル45aの状態を示している。ポートP11の更新直後の初期状態には、論理状態「BLK」,監視状態「復旧監視」,監視時間「10ms」,監視タイマ「0ms」が設定される。
【0059】
前述のステップS150において、監視対象ポートのエントリが更新されると、図6に示すように、管理部10aは、LHCBフレーム監視部47aに対してLHCBフレーム監視の開始を指示する(ステップS160)。LHCBフレーム監視の開始が指示されたLHCBフレーム監視部47aでは、後述のLHCBフレーム監視処理が実行される。
【0060】
A3.受信フレーム処理:
図9〜図14は、受信フレーム処理の手順を示すフローチャートである。この受信フレーム処理は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のいずれにおいても、起動後にいずれかのポートにフレームが到着することにより開始される。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間において、前述のLHCフレーム及びLHCBフレームに加えて、通常フレームが送受信される。したがって、これらいずれかのフレームの受信により、受信フレーム処理が開始される。以下では、LHCフレーム及び通常フレームについては、第2スイッチSW2側で受信するケースを説明し、LHCBフレームについては、第1スイッチSW1側で受信するケースを説明する。なお、以下では、図1に示すように、LHCフレームはパスPA12を介して、LHCBフレームはパスPA21を介して、それぞれ中継される。
【0061】
A3−1.LHCフレームの受信:
図9に示すように、第2スイッチSW2において、レイヤ2制御部22bは、到着したフレームを受信フレームバッファ23bに格納する(ステップS210)。レイヤ2制御部22bは、受信フレームバッファ23bに格納した受信フレームから、宛先MACアドレス及び折り返し識別子を抽出して、フレーム種別判定部41bに通知する(ステップS220)。
【0062】
フレーム種別判定部41bは、レイヤ2制御部22bから通知された宛先MACアドレス及び折り返し識別子に基づき、フレーム種別を判定する(ステップS240)。宛先MACアドレスが監視用のMACアドレスであり、折り返し識別子がLHCフレームであることを示す値である場合には、受信フレームはLHCフレームであると判定される。
【0063】
LHCフレームであると判定された場合、図10に示すように、フレーム種別判定部41bは、受信ポートを宛先検索部42bに通知する(ステップS310)。宛先検索部42bは、折り返し識別子の書き換え指示と、出力ポートとをポート状態判定部44bに通知する(ステップS320)。このステップS320において通知する出力ポートは、後述するLHCBフレームの出力ポートを意味し、ステップS310において宛先検索部42bから通知された受信ポートと同じポートである。
【0064】
ステップ320が実行された後、図11に示すように、ポート状態判定部44bは、受信フレームが通常フレームであるか否かを判定する(ステップS410)。LHCフレームを受信した場合、通常フレームでないと判定され(ステップS410:NO)、この場合、ポート状態判定部44bは、宛先検索部42bから通知された折り返し識別子書き換え指示及び出力ポート、又は廃棄指示及び受信ポートを、判定結果生成部46bに通知する(ステップS460)。前述のように、LHCフレームを受信した場合、折り返し識別子及び出力ポートが宛先検索部42bから通知されるので、ポート状態判定部44bは、これら折り返し識別子及び出力ポートを、判定結果生成部46bに通知する。なお、廃棄指示及び受信ポートは、後述するように、受信フレームがLHCBフレームである場合に通知される。
【0065】
判定結果生成部46bは、通知された折り返し識別子書き換え指示及び出力ポート、又は廃棄指示及び受信ポートを含む宛先判定結果をレイヤ2制御部22bに通知する(ステップS470)。前述のように、LHCフレームを受信した場合、判定結果生成部46bは、折り返し識別子書き換え指示及び出力ポート含む宛先判定結果を、レイヤ2制御部22bに通知する。
【0066】
ステップS470が実行された後、図12に示すように、レイヤ2制御部22bは、判定結果生成部46bから通知された宛先判定結果を解析し(ステップS510)、宛先判定結果に廃棄指示が含まれているか否かを判定する(ステップS520)。上述したように、受信フレームがLHCフレームである場合には、廃棄指示が含まれていない。この場合、レイヤ2制御部22bは、宛先判定結果に折り返し識別子書き換え指示が含まれているか否かを判定する(ステップS540)。
【0067】
受信フレームがLHCフレームである場合には、宛先判定結果に折り返し識別子書き換え指示が含まれている。この場合、レイヤ2制御部22bは、受信フレームの宛先MACアドレスを送信元MACアドレスに、受信フレームの送信元MACアドレスを宛先MACアドレスに、それぞれ入れ替えると共に、折り返し識別子を、LHCBフレームを示す値に書き換えてLHCBフレームを生成し、レイヤ1制御部21bを介して指示された出力ポートから送信する(ステップS550)。
【0068】
具体的には、図3に示すように、LHCフレームfc1が受信フレームバッファ23bに記憶されている状態において、レイヤ2制御部22bは、LHCフレームfc1の宛先MACアドレス(D)に設定されている「m2」を読み出して、LHCBフレームfb1の送信元MACアドレス(S)に設定する。また、LHCフレームfc1の送信元MACアドレス(S)に設定されている「m1」を読み出して、LHCBフレームfb1の宛先MACアドレス(D)に設定する。また、LHCフレームfc1の折り返し識別子(R)に設定されている「C」(LHCフレームを示す)を、「B」(LHCBフレームを示す)に書き換えてLHCBフレームfb1の折り返し識別子に設定する。なお、他のフィールドの値は、LHCフレームfc1の値を、そのままコピーしてLHCBフレームfb1の他のフィールドの値に設定する。このようにして生成されたLHCBフレームfb1は、LHCフレームの受信ポートと同じポートであるポートP21から出力される。
【0069】
以上のように、LHCフレームを受信した場合に、宛先MACアドレスを送信元MACアドレスに、送信元MACアドレスを宛先MACアドレスに、それぞれ入れ替え、かつ、折り返し識別子を書き換えるだけでLHCBフレームが生成されて、LHCフレームの受信ポート(ポートP21)から出力される。このように、LHCフレームの一部のフィールドの値を入れ替える、又は、書き換えるといった、簡単な処理によりLHCBフレームが生成されるので、かかる処理を容易にハードウェア処理化でき、処理の高速化が実現できる。LHCBフレームでは、宛先MACアドレスとして第1スイッチSW1のMACアドレスが設定されている。したがって、第2スイッチSW2から出力されたLHCBフレームは、第3スイッチSW3により、第1スイッチSW1に中継される。なお、上述したLHCフレームの受信フローから理解できるように、第2スイッチSW2では、LHCフレームを受信しない限り、LHCBフレームを第1スイッチSW1宛に送信しない。
【0070】
A3−2.LHCBフレームの受信:
第1スイッチSW1において、第2スイッチSW2から送信されたLHCBフレームが到着すると、上述した図9に示すステップS210〜S230が実行され、フレーム種別判定部41aは、レイヤ2制御部22aから通知された宛先MACアドレス及び折り返し識別子に基づき、フレーム種別を判定する(ステップS240)。LHCBフレームでは、監視用のMACアドレスが宛先MACアドレスに設定されており、かつ、折り返し識別子としてLHCBフレームであることを示す値が設定されている。したがって、ステップS240において、受信フレームはLHCBフレームであると判定される。
【0071】
LHCBフレームであると判定された場合、図13に示すように、フレーム種別判定部41aは、LHCBフレームを受信したこと、及び受信ポートを、LHCBフレーム監視部47aに通知する(ステップS610)。LHCBフレーム監視部47aは、通知された受信ポートを検索キーとして、ポート状態管理テーブル45aを検索し(ステップS620)、受信ポートの監視状態が障害監視状態であるか否かを判定する(ステップS630)。
【0072】
監視状態が「障害監視」状態である場合には(ステップS630:YES)、ポート状態管理テーブル45aの受信ポートに対応する監視タイマを「0」に設定(クリア)する(ステップS640)。一方、監視状態が「障害監視」状態でない場合には(ステップS630:NO)、すなわち、「復旧監視」状態である場合には、受信ポートに対応する論理状態を「FWD(フレーム送受信可))に書き換えると共に、監視状態を「障害監視」に書き換える(ステップS650)。
【0073】
最初のLHCBフレームを受信する際には、図8に示すように、ポートP11について監視状態が「復旧監視」状態であるので、ステップS650が実行されて、論理状態が「FWD」に、監視状態が「障害監視」に、それぞれ書き換えられる。また、2つ目以降のLHCBフレームを受信する際には、既に監視状態が「障害監視」となっているので、ステップS640が実行され、監視タイマが0にリセットされる。
【0074】
図13に示すステップS640又はS650が実行された後、フレーム種別判定部41aは、受信ポートを宛先検索部42aへ通知する(ステップS660)。宛先検索部42aは、受信ポートおよび受信フレームの廃棄指示をポート状態判定部44aへ送信する(ステップS670)。
【0075】
ステップS670が実行された後、図11に示すステップS410が実行される。受信フレームがLHCBフレームであるため(ステップS410:NO)、その後、ステップS460が実行される。前述のLHCフレームの場合とは異なり、ポート状態判定部44aは、宛先検索部42aから廃棄指示及び受信ポートが通知されるので、ステップS460では、廃棄指示及び受信ポートを判定結果生成部46aに通知する。判定結果生成部46aは、廃棄指示及び受信ポートを含む宛先判定結果をレイヤ2制御部22aに通知する(ステップS470)。
【0076】
続いて図12に示すステップS510,S520が実行され、宛先判定結果に廃棄指示が含まれているので、レイヤ2制御部22aは、図示しない受信フレームバッファ(図3に示す受信フレームバッファ23bに相当)に格納されているフレーム(LHCBフレーム)を廃棄する(ステップS530)。
【0077】
A3−3.通常フレームの受信:
第2スイッチSW2において、通常フレームが到着すると、まず、上述した図9に示すステップS210〜S240が実行され、フレーム種別が「通常フレーム」であると判定される。この場合、図14に示すように、フレーム種別判定部41bは、受信フレームの宛先MACアドレスを宛先検索部42bに通知する(ステップS710)。
【0078】
宛先検索部42bは、通知された宛先MACアドレスを検索キーとして宛先テーブル43bを検索し、対応するエントリが存在しない場合には、宛先テーブル43bに新規にエントリを登録する(ステップS720)。なお、この処理は一般に「学習処理」と呼ばれる。
【0079】
宛先検索部42bは、ステップS720により見つかったエントリ(又は新規エントリ)に基づき、受信フレームを中継するための出力ポートを決定し、決定した出力ポートを、ポート状態判定部44bに通知する(ステップS730)。
【0080】
ステップS730が実行された後、図11に示すステップS410が実行される。受信フレームが通常フレームであるため(ステップS410:YES)、ポート状態判定部44bは、通知された出力ポートを検索キーとしてポート状態管理テーブル45bを検索し、出力ポートの論理状態を取得する(ステップS420)。ポート状態判定部44bは、出力ポートの論理状態がBLK(フレーム送受信不可)であるか否かを判定し(ステップS430)、出力ポートの論理状態がBLKである場合には、判定結果生成部46bに対して廃棄指示及び受信ポートを通知する(ステップS440)。廃棄指示及び受信ポートを通知した後の処理については、上述したLHCBフレームの場合と同様、ステップS470,及び図12のステップS510,S520,S530が、この順序で実行される。
【0081】
これに対し、出力ポートの論理状態がBLKでない場合(すなわち、FWDである場合)、ポート状態判定部44bは、出力ポートを判定結果生成部46bに通知する(ステップS450)。ステップS470では、判定結果生成部46bは、通知された出力ポートを含む判定結果をレイヤ2制御部22bに通知する。その後、図12に示すステップS510,S520が実行される。ステップS520において、判定結果には廃棄指示が含まれていないので、ステップS540が実行される。このステップS540では、判定結果に折り返し識別子書き換え指示がないため、指示された出力ポートからフレームを送信(中継)する(ステップS560)。具体的には、レイヤ2制御部22bは、受信フレームバッファ23bに格納されているフレームを、そのまま送信フレームバッファ24bにコピーして、かかるフレームを、レイヤ1制御部21bを介して指示された出力ポートから送信する。
【0082】
A4.LHCBフレーム監視処理:
図15は、LHCBフレーム監視処理の手順を示すフローチャートである。LHCBフレーム監視の開始を指示された第1スイッチSW1のLHCBフレーム監視部47aは、監視対象ポートの監視状態が「復旧監視」から「障害監視」に変わった場合に、LHCBフレーム監視処理を開始する。監視状態の変化は、上述したように、最初のLHCBフレームを受信した場合等に起こり得る。
【0083】
LHCB監視部47aは、ポート状態管理テーブル45aの監視対象ポートに対応するポートの監視タイマに、一定時間間隔で、前回更新時刻からの経過時間を加算し、加算後の監視タイマと監視時間とを比較する(ステップS810)。前述のように、第1スイッチSW1においてポートP11が監視対象ポートに設定された場合、図8に示すポートP11のエントリの監視タイマフィールドの値が、0msから一定時間間隔ごとに増加していく。なお、この一定時間間隔は、監視時間(図8のポートP11の例では「10ms」)よりも短い時間に設定される。
【0084】
LHCB監視部47aは、監視タイマの値が、監視時間以上であるか否かを判定する(ステップS820)。LHCB監視部47aは、監視タイマの値が監視時間以上となるまで、ステップS810,S820の処理を繰り返す。そして、監視タイマの値が監視時間以上となった場合(ステップS820:YES)、LHCB監視部47aは、当該ポートは障害発生と判断し、監視対象ポートの論理状態を「BLK」に、監視状態を「復旧監視」にそれぞれ変更する(ステップS830)。
【0085】
例えば、図1に示すように、物理リンクL212が故障して、パスPA12に障害が発生した場合、上述したように第2スイッチSW2にLHCフレームは届かない。この場合、第2スイッチSW2は、LHCBフレームを第1スイッチSW1宛に送信しない。したがって、ポートP11に設定された監視タイマのリセット(図13に示すステップS640)は実行されない。それゆえ、図15に示すステップS810を繰り返す結果、監視タイマの値は徐々に増加していって監視タイマの値以上となり、パス障害の発生が検出されることとなる。この場合、ステップS830を実行することにより、監視対象ポートでは、フレーム送受信不可(BLK)に設定される。
【0086】
図16は、パス障害発生が発生している状態におけるポート状態管理テーブルの例を示す説明図である。図1に示すようにパスPA12において障害が発生した場合、図16に示すように、ポートP11のエントリにおいて、監視タイマが監視時間と一致してパス障害の発生が検出されると、論理状態が「FWD」から「BLK」に、監視状態が「障害監視」から「復旧監視」に、それぞれ書き換わることとなる。
【0087】
この状態において、パス障害が復旧すると、第1スイッチSW1においてLHCBフレームが再び到着することとなるので、前述した図13に示すステップ650が実行され、ポートP11のエントリにおいて、論理状態が「FWD」に、監視状態が「障害監視」に、それぞれ書き換わることとなる。
【0088】
図17は、LHCBフレーム監視処理の実行によるポートの監視状態および論理状態の状態遷移の例を示す説明図である。なお、図17は、第1スイッチSW1のLHCBフレーム監視部47aにおけるLHCBフレーム監視動作によって発生するポートP11の状態遷移を例示している。
【0089】
ポートP11においてLHCBフレームが未受信状態である場合には、ポートP11に接続されているパスPA12またはパスPA21には障害が発生しており、ポートP11の物理状態は「障害」と判断される。このとき、ポート状態管理テーブル45aの、ポートP11の監視状態は「復旧監視」状態、ポートP11の論理状態は「BLK」の状態に設定され、ポートP11はフレーム送受信不可となる。そして、LHCBフレームを受信するまで、この状態(「状態A」と呼ぶ)が維持される。
【0090】
状態Aが維持されている場合においてLHCBフレームを受信すると、ポートP11の物理状態は「正常」と判断される。このとき、ポート状態管理テーブル45aの、ポートP11の監視状態は「障害監視」に、ポートP11の論理状態は「FWD」に、それぞれ変更され、ポートP11はフレーム送受信可となる。そして、監視時間内にLHCBフレームの受信を繰り返している間、この状態(「状態B」と呼ぶ)が維持される。
【0091】
状態Bが維持されている状態において、監視時間内にLHCBフレームが未受信となった場合には、状態Aに変化し、ポートP11はフレーム送受信不可となる。
【0092】
このように、送信したLHCフレームの折り返しであるLHCBフレームの受信を監視することによって、監視状態が「復旧監視」である状態Aあるいは監視状態が「障害監視」である状態Bに自動的に変化することができる。この結果、片方向パス障害発生時におけるポートの遮断(閉塞)および障害解消時におけるポートの復旧を自動的に行うことができる。
【0093】
以上説明したように、本実施例のネットワークシステム100では、監視対象のパスを終端するスイッチ(第2スイッチSW2)において、LHCフレームを受信した場合に、宛先MACアドレスを送信元MACアドレスに、送信元MACアドレスを宛先MACアドレスに、それぞれ入れ替え、かつ、折り返し識別子を書き換えるだけでLHCBフレームが生成される。したがって、レイヤ2制御部22bによるハードウェア処理が可能となり、処理の高速化が実現できる。それゆえ、2つのスイッチSW1,SW2間における片方向パス障害を短期間で検出することができる。
【0094】
加えて、LHCフレームとLHCBフレームとは、L2ヘッダにおいては、通常フレームと同様である。したがって、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間に第3スイッチSW3が存在しても、第3スイッチSW3において、通常フレームと同様に、LHCフレーム及びLHCBフレームを中継させることができる。それゆえ、監視対象とならないスイッチを介して、監視対象のスイッチを監視することができ、比較的大規模なシステムにおいてパスの障害発生を監視することができる。
【0095】
また、第1スイッチSW1は、LHCBフレームを監視時間内に受信している場合には、リンクは正常であると判断し、ポートP11の論理状態をフレーム送受信可(FWD)に設定し、監視時間内に受信しない場合には、リンクは障害発生であると判断し、ポートP11の論理状態をフレーム送受信不可(BLK)に設定する。これにより、ポートP11に接続されているパスPA12及びパスPA21の少なくとも一方にパス障害が発生していることを検出できると共に、ポートP11によるフレーム送受信を遮断することができる。
【0096】
ここで、従来のUDLDは、リンクの障害を検出するために、受信したフレームに含まれる種々のパラメータの解析をソフトウェアによって行い、その解析結果に基づいて障害検出することになるため、障害検出時間が長いという問題があった。しかしながら、本実施例のパス障害検出では、送信したLHCフレームを折り返したLHCBフレームを監視時間内に受信できるか否かでリンク障害を検出することができる。また、受信したフレームがLHCフレーム及びLHCBフレームであるか否かを、宛先MACアドレスに基づいて容易に判断することができる。従って、従来技術に比べて、パス障害検出時間を短縮化できる。このため、パス障害が発生した場合において、対応するポートを遮断し、パスを切り換えるのに要する時間を短縮化することが可能である。
【0097】
また、パス障害が解消された場合に、第1スイッチSW1は、監視時間内にLHCBフレームの受信を再開する。これにより、障害が発生していたパスを終端するポートの論理状態をフレーム送受信不可(BLK)からフレーム送受信可(FWD)に自動的に切り替えるので、パスの障害監視を自動的に再開させることができる。
【0098】
B.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0099】
B1.変形例1:
上記実施例では、監視設定されるスイッチは第1スイッチSW1であり、監視対象として設定されるスイッチは第2スイッチSW2であったが、本発明はこれに限定されるものではない。各スイッチが、それぞれ監視設定され、かつ、監視対象として設定される構成を採用することができる。この構成においても、各スイッチSW1,SW2では、折り返し識別子によりLHCフレームとLHCBフレームとを区別できるので、各スイッチSW1,SW2は、パス障害を監視することができる。例えば、第1スイッチSW1において、第2スイッチSW2が送信元であるフレームを受信した場合に、折り返し識別子により、LHCフレームとLHCBフレームとを区別できる。したがって、第1スイッチSW1は、受信したフレームがLHCフレームであれば、LHCBフレームを第2スイッチSW2宛に送信し、LHCBフレームであれば廃棄するように、フレーム種別に応じて処理を切り替えることができる。
【0100】
B2.変形例2:
上記実施例では、パス障害の監視用のフレームとして、2種類のフレーム(LHCフレーム及びLHCBフレーム)を用いていたが、これに代えて、1種類のフレームのみを用いる構成を採用することもできる。具体的には、例えば、以下の構成を採用し得る。第1スイッチSW1は、上記実施例と同様にLHCフレームを送信する。第2スイッチSW2は、LHCフレームを受信すると、受信したLHCフレームの宛先MACアドレスを送信元MACアドレスに、受信したLHCフレームの送信元MACアドレスを宛先MACアドレスに、それぞれ設定したLHCフレームを第1スイッチSW1宛に送信する。
【0101】
この構成では、第1スイッチSW1は、LHCフレームが所定期間内に到着しないことにより、パスPA12又はパスPA21におけるパス障害の発生を検出することができる。このような構成により、宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスの入れ替えのみを行い、折り返し識別子の書き換えを行わないことから、より短期間に折り返しフレームを送信することができる。したがって、より短期間で、2つのスイッチSW1,SW2間における片方向パス障害を検出することができる。
【0102】
なお、この構成では、2つのスイッチSW1,SW2が、それぞれ相手のスイッチを監視対象のスイッチとして、パス障害を監視することができない。例えば、第1スイッチSW1にLHCフレームが届いた場合には、このLHCフレームが、自らが送ったLHCフレームに対して折り返されたフレームであるのか、第2スイッチSW2が第1スイッチSW1に向けて新たに送信したフレームであるのかを区別することができない。しかしながら、この構成においても、第1スイッチSW1は、LHCフレームを受信することにより、少なくとも第2スイッチSW2から第1スイッチSW1に向かうパス(パスPA21)に障害が発生していないことを検出することができる。
【0103】
B3.変形例3:
上記実施例では、ネットワークシステム100を構成するスイッチの数は3台であったが、少なくとも本発明のレイヤ2スイッチを2つ含む任意の数のスイッチを用いてネットワークシステム100を構成することができる。ネットワークシステム100では、LHCフレームのヘッダにおいて、宛先アドレス及び送信元アドレスのみを書き換えてLHCBフレームを生成するので、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間に、複数台のスイッチが配置されていても、各スイッチにおいて、通常のフレームと同様に、LHCBフレームを第1スイッチSW1に向けて中継することができる。したがって、ネットワークシステム100が大規模なネットワークシステムであっても、障害の発生を監視できると共に、ネットワークシステムの構成変更に伴い、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間にレイヤ2スイッチを追加する場合であっても、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間において生じた障害を検出することができる。
【0104】
また、本発明のレイヤ2スイッチが3台以上含む任意の数のスイッチを用いてネットワークシステムを構成する場合、2台以上のスイッチに監視設定することもできる。この場合、監視設定された複数のスイッチにおいて、それぞれ同一のスイッチとの間のパスを監視する場合であっても、監視対象となるスイッチでは、複雑な管理を要することなく、それぞれのスイッチ宛にLHCBフレームを送信することができる。これは、宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスの入れ替え、及び折り返し識別子の書き換えのみを行ってLHCBフレームを生成するからである。したがって、監視対象となるスイッチにおいて、予めLHCBフレームの宛先となるスイッチを登録しておく必要がなく、パス障害監視を行うために予めユーザが行うべき作業を軽減することができる。
【0105】
B4.変形例4:
上記実施例では、スイッチ間のパス障害を監視していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、サーバとストレージ(例えば、NAS(Network Attached Storage)との間におけるレイヤ2のパスの障害を監視することもできる。この構成においては、サーバ及びストレージに、2つのスイッチSW1,SW2が有する各機能部が配置される。また、例えば、サーバとクライアント(例えば、パーソナルコンピュータ)との間におけるレイヤ2のパスの障害を監視することもできる。この例及び上記実施例からも理解できるように、互いにレイヤ2での通信が可能な任意の通信装置を、本発明のネットワークシステムに採用することができる。
【0106】
B5.変形例5:
上記実施例では、3つのスイッチSW1〜SW3は、いずれもレイヤ2スイッチであったが、これに代えて、いずれもレイヤ3スイッチを採用することもできる。この構成においても、レイヤ3の宛先アドレスと、レイヤ3の送信元アドレスとを入れ替え、また、レイヤ3のデータフィールドに含まれる折り返し識別子の書き換えを行うことで、LHCBフレーム(パケット)を生成することができるので、容易にハードウェア処理化が可能である。したがって、上記実施例と同様に、パス障害監視のための処理の高速化が実現できる。
【0107】
B6.変形例6:
上記実施例では、パス障害の監視を行うためにユーザに提供されるインタフェースは、図4,5に示すように、グラフィカルインタフェースであったが、これに代えて、コマンドラインからコマンドを入力するインタフェースを採用することもできる。
【0108】
また、上記実施例では、パス障害の監視を行うために、ユーザは2つのスイッチSW1,SW2にそれぞれ管理用端末PC1,PC2を接続して設定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つのSW1,SW2が、それぞれ筐体に操作パネルを有し、かかる操作パネルより各種設定(監視対象ポートや、フレーム送受信間隔等)を行う構成を採用することもできる。また、例えば、第3スイッチSW3に接続した管理用端末(パーソナルコンピュータ等)から、ネットワークを介して、2つのスイッチSW1,SW2に設定情報を送信して設定することもできる。また、監視設定(実施例における第1スイッチSW1側の設定)については、デフォルトの値を用いることとして、ユーザにより設定を許容せず、折り返し設定(実施例における第2スイッチSW2側の設定)については、実施例と同様にユーザに許容する構成を採用することもできる。すなわち、一般には、第2の通信装置における監視応答フレームの生成及び送信の可否を設定するためのユーザインタフェースを有する任意の構成を、本発明のネットワークシステムに採用することができる。
【0109】
B7.変形例7:
上記実施例では、通常フレームと、他のフレーム(LHCフレーム及びLHCBフレーム)との区別を、宛先MACアドレスにより行っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レイヤ2ヘッダ内のタイプフィールドの値により、区別することもできる。この構成では、LHCフレーム及びLHCBフレームについて、それぞれ通常フレームと異なる値を、予め設定しておくことが好ましい。また、ネットワークシステム100においてVLAN(Virtual LAN)を設定可能であれば、通常フレーム送受信用のVLANと、LHCフレーム送受信用のVLANと、LHCBフレーム送受信用のVLANとを、それぞれ設定しておき、フレームに設定されたVLAN−IDにより各フレーム種別を区別することもできる。
【0110】
B8.変形例8:
上記実施例では、図17に示すように、「復旧監視」状態である状態Aにおいて、監視時間内に監視時間内にLHCBフレームを受信した場合に自動的に状態Bに復旧していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、状態Aにおいて、監視時間内に監視時間内にLHCBフレームを受信した場合に、一旦「復旧指示待ち」状態とし、ユーザからの復旧指示コマンドの入力がなされたときに、状態Bに戻るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
100…ネットワークシステム
SW1…第1スイッチ(レイヤ2スイッチ)
SW2…第2スイッチ(レイヤ2スイッチ)
SW3…第3スイッチ(レイヤ2スイッチ)
L112,L121,L212,L221…物理リンク
10a,10b…管理部
11a,11b…管理用インタフェース
20a,20b…フレーム転送処理部
21b…レイヤ1制御部
22b…レイヤ2制御部
23a,23b…受信フレームバッファ
24a,24b…送信フレームバッファ
30a,30b…LHCフレーム送信部
40a,40b…宛先判定部
41a,41b…フレーム種別判定部
42a,42b…宛先検索部
43a,43b…宛先テーブル
44a,44b…ポート状態判定部
45a,45b…ポート状態管理テーブル
46a,46b…判定結果生成部
47a,47b…LHCBフレーム監視部
P11,P12,P1n,P21,P22,P2n…ポート
PC1,PC2…管理用端末
W1…監視設定用ウィンドウ
W2…監視フレーム折り返し設定用ウィンドウ
B1,B3…OKボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークシステムであって、
第1のアドレスが設定された第1の通信装置と、
前記第1の通信装置とネットワークを介して接続され、第2のアドレスが設定された第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、
宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたフレームである監視フレームを生成して、前記ネットワークに出力する監視フレーム送信部と、
前記第2の通信装置から送信される監視応答フレームの受信を監視する監視応答フレーム監視部と、
を有し、
前記第2の通信装置は、
前記監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して前記監視応答フレームを生成して、前記ネットワークに出力する監視応答フレーム送信部を有する、ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第2の通信装置は、さらに、
前記受信した監視フレームを記憶する受信フレームバッファと、
前記監視応答フレームを記憶する送信フレームバッファと、
を有し、
前記監視応答フレーム送信部は、前記受信フレームバッファに記憶されている前記監視フレームから宛先アドレスを読み出して、前記送信フレームバッファに前記監視応答フレームの送信元アドレスとして記録させると共に、前記受信フレームバッファに記憶されている前記監視フレームから送信元アドレスを読み出して、前記送信フレームバッファに前記監視応答フレームの宛先アドレスとして記録させる、ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置は、さらに、
フレームを送受信するためのポートと、
前記監視応答フレーム監視部が前記ポートにおける前記監視応答フレームの受信を検出すると、前記ポートの論理状態をフレーム送受信可能の状態に設定し、前記監視応答フレーム監視部が前記ポートにおける前記監視応答フレームの受信を検出しない場合には、前記ポートの論理状態をフレーム送受信不可能の状態に設定する、ポート制御部と、
を有する、ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記監視フレーム送信部は、前記監視フレームの一部として、前記監視フレームであることを示す監視フレーム識別子を設定し、
前記監視応答フレーム送信部は、前記監視応答フレームを生成する際に、前記監視フレームに設定されている前記監視フレーム識別子を、前記監視応答フレームであることを示す監視応答フレーム識別子に書き換える、ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記監視応答フレーム送信部は、前記監視フレームのうち、前記宛先アドレス及び前記送信元アドレスのみを書き換えて、前記監視応答フレームを生成する、ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第2の通信装置における前記監視応答フレームの生成及び送信の可否を設定するためのユーザインタフェースを有する、ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は、いずれもレイヤ2スイッチである、ネットワークシステム。
【請求項8】
レイヤ2スイッチであって、
第1のアドレスが設定された通信装置とネットワークを介して接続され、
第2のアドレスが設定されており、
宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたレイヤ2フレームである監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して監視応答フレームを生成し、前記ネットワークに出力する監視応答フレーム送信部を備える、レイヤ2スイッチ。
【請求項9】
第1の通信装置と第2の通信装置とを備えるネットワークシステムにおいて、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とを接続するネットワークの障害を検出するネットワーク障害検出方法であって、
前記第1の通信装置には第1のアドレスが設定され、前記第2の通信装置には第2のアドレスが設定され、
(a)前記第1の通信装置において、宛先アドレスとして前記第2のアドレスが設定され、送信元アドレスとして前記第1のアドレスが設定されたフレームである監視フレームを生成して、前記ネットワークに出力する工程と、
(b)前記第2の通信装置において、前記監視フレームを受信すると、前記監視フレームに設定されている宛先アドレスを送信元アドレスに、前記監視フレームに設定されている送信元アドレスを宛先アドレスに、それぞれ入れ替えて設定して監視応答フレームを生成し、前記ネットワークに出力する工程と、
(c)前記第1の通信装置において、前記第2の通信装置から送信される前記監視応答フレームの受信を監視する工程と、
を備える、ネットワーク障害検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−39534(P2012−39534A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179970(P2010−179970)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】