説明

ノズル洗浄装置

【課題】微細化した水粒子の粒径が大きくなることを防止して、被洗浄面に水膜が形成されることを防止し、被洗浄ノズルを効率的に洗浄可能なノズル洗浄装置を提供する。
【解決手段】複数の被洗浄ノズル1を着脱自在に保持するノズルホルダ11と、微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を生成する二流体生成装置12と、二流体生成装置12に接近配置され、ノズルホルダ11に保持した被洗浄ノズル1へ向けて二流体を噴き付ける二流体噴射ノズル13と、二流体噴射ノズル13が被洗浄ノズル1に順次対面するように、二流体生成装置12及び二流体噴射ノズル13をノズルホルダ11に対して相対移動させる移動手段14とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を吸着保持して移載するための吸着ノズルの洗浄に好適に利用可能なノズル洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造ラインでは、吸着ノズルの先端部に電子部品を吸着保持して、プリント基板上の所定位置に実装するように構成した実装装置が広く採用されている。
【0003】
吸着ノズルとしては、吸着する電子部品の形状等に応じて様々な形状の開口部を形成した吸着ノズルが実用化されており、また吸着ノズルと電子部品間における滑りを防止するため、吸着面に微細な凹凸を形成したノズルも実用化されている。
【0004】
ところで、吸着ノズルに先端部には、空気中のほこりや、電子部品に付着したフラックスや、電子部品の端子のメッキ材料などの異物が付着して、ノズルに目詰まりが発生することがあり、特に、吸着ノズルの開口部の形状が複雑な場合や、吸着面に微細な凹凸を形成した場合には、異物が付着しやすくなるので、定期的に洗浄を行なって、先端部に付着した異物を除去している。
【0005】
吸着ノズルの洗浄方法としては、有機溶剤を充填した超音波洗浄装置の洗浄槽内に、吸着ノズルを一定時間浸漬して超音波洗浄した後、エアを用いて洗浄液を除去する方法(例えば、特許文献1参照。)や、吸着ノズルに高温ガスを吹き付けて除去する方法(例えば、特許文献2参照。)などが、提案され、実用化されている。
【0006】
ところが、特許文献1記載のように、超音波洗浄装置を用いて洗浄する場合には、有機溶剤を使用するため、臭気により作業環境が悪化するとともに、廃液の処理コストが必要になる。また、超音波により吸着ノズル同士が衝突して、吸着ノズルの表面に画像処理のために形成した、黒色のコーティング層が剥離してしまうという問題があった。また、吸着ノズルによっては、画像処理を目的として円板状の黒色の反射板が取り付けられているが、反射板が樹脂製の場合には、溶剤によって侵されてしまい変形するという問題があった。
【0007】
一方、特許文献2記載のように、吸着ノズルのノズル穴内に高温ガスを吹き付ける場合には、有機溶剤を使用しないので、臭気により作業環境が悪化したり、廃液の処理コストが必要になったりすることを防止できる。また、高温ガスとの接触による付着物の表面収縮によって、付着物の剥離を促進して、付着物を効率的に除去できるが、圧縮空気の噴き付け圧によって付着物を剥離させるので、付着物に対して大きな衝撃力を作用させることができず、その分、付着物の洗浄能力が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、ミスト生成器により水を微細化して生成した水粒子を、圧縮空気とともに配管チューブを通じて噴射ノズルへ供給し、水粒子と圧縮空気からなる二流体により吸着ノズルを洗浄するように構成した二粒体洗浄装置(例えば、株式会社中村超硬製のノズル洗浄機NT MAC−I、NT MAC−II)も実用化されている。
【0009】
前記二流体洗浄装置では、微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を二流体噴射ノズルから被洗浄ノズルの先端部などの被洗浄面に向けて噴射し、被洗浄面に付着した付着物に対して水粒子を高速で衝突させて、水粒子の衝突エネルギで付着物を除去するので、圧縮空気のみで付着物を吹き飛ばす場合と比較して、効率的に付着物を除去することができる。また、水を用いるので、有機溶剤を用いる場合と比較して、作業環境を向上でき、廃液も低コストで処理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−305263号公報
【特許文献2】特開2007−98241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願人は、前記二流体洗浄装置による洗浄力の更なる向上について鋭意検討した結果、前記二流体洗浄装置においても、次のような問題があり、それを改善することで、洗浄力を向上できることを見出した。
【0012】
即ち、前記二流体洗浄装置では、ノズルから噴出した水粒子の粒径が所定値以下の場合には、水粒子が被洗浄面に付着することはなく、被洗浄面に衝突して弾き飛ばされるが、水粒子の粒径が所定値を超えると、水粒子が被洗浄面に付着して、被洗浄面に水膜を形成し、該水膜が緩衝膜として作用して、洗浄能力が低下するという問題があるので、ミスト生成器により水粒子の粒径が所定値以下になるまで、水を微細化している。しかし、ミスト生成器として大型なものを採用していることから、ミスト生成器とノズルとを配管チューブで接続し、ノズルのみを移動させて複数の被洗浄ノズルにノズルの開口を順次対面させていたので、配管チューブがどうしても長くなり、配管途中において水粒子同士が衝突して結合し、大きな粒径の水粒子の割合が増えてしまい、これによって被洗浄面に水膜が形成されて、洗浄力が低下するという問題があることを見出した。
【0013】
本発明の目的は、微細化した水粒子の粒径が大きくなることを防止して、被洗浄面に水膜が形成されることを防止し、被洗浄ノズルを効率的に洗浄可能なノズル洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るノズル洗浄装置は、複数の被洗浄ノズルを着脱自在に保持するノズルホルダと、微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を生成する二流体生成装置と、前記二流体生成装置に接近配置され、前記ノズルホルダに保持した被洗浄ノズルへ向けて二流体を噴き付ける二流体噴射ノズルと、前記二流体噴射ノズルが被洗浄ノズルに順次対面するように、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルをノズルホルダに対して相対移動させる移動手段とを備えたものである。
【0015】
このノズル洗浄装置では、微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を二流体噴射ノズルから被洗浄ノズルの先端部などの被洗浄面に向けて噴射し、被洗浄面に付着した付着物に対して水粒子を高速で衝突させて、水粒子の衝突エネルギで付着物を除去することになる。このため、圧縮空気のみで付着物を吹き飛ばす場合と比較して、効率的に付着物を除去することができるし、有機溶剤を使用しないので、作業環境を良好に維持でき、しかも廃液の処理コストも安くできる。
【0016】
また、二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを接近配置して、移動手段によりノズルホルダに対して相対移動させるので、特に二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを移動手段により移動させる場合において、二流体生成装置と二流体噴射ノズルとを接続する配管長を短くして、二流体生成装置から二流体噴射ノズルへの二流体の送給途中において、微細化した水粒子同士の衝突を少なくして、水粒子の直径が大きくなることを防止でき、被洗浄面に水膜が形成されることを防止して、ノズル洗浄装置の洗浄能力を向上することができる。
【0017】
ここで、前記二流体生成装置への水の供給配管の先端部に流量調整用のオリフィスを形成した流量調整部材を設けることも好ましい実施例である。被洗浄面に水膜が形成されないようにするためには、二流体噴射ノズルから噴射する二流体における水粒子の体積を少なくする必要があるが、バルブ等により水量を微調整することは難しいので、この発明のように、オリフィスにより二流体生成装置へ供給する水量を微調整することが好ましい。
【0018】
前記二流体における、常温常圧下での空気の体積Aと微細化した水粒子の体積Wとの体積比率A/Wを23000〜90000に設定したものを用いることも好ましい実施の形態である。体積比率A/Wが23000未満の場合には、水粒子が多くなり過ぎて、被洗浄面に水膜が形成され易くなり、洗浄能力が低下する。また、体積比率A/Wが90000を超える場合には、水粒子が少なくなって、被洗浄面の付着物に対して十分な衝撃力を与えることができず、洗浄時間が長くなるので、体積比率A/Wは23000〜90000に設定することが好ましい。
【0019】
前記ノズルホルダとして、複数の被洗浄ノズルを直列状に保持可能なノズルホルダを設け、前記移動手段として、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを被洗浄ノズルの配設方向に沿って移動させる移動手段を設けることも好ましい実施例である。この場合には、ノズルホルダに対して環状に被洗浄ノズルを保持する場合と比較して、駆動系を簡略に構成できるので好ましい。つまり、ノズルホルダに対して環状に被洗浄ノズルを保持する場合には、ノズルホルダを回転させるための駆動手段と、二流体噴射ノズルをノズルホルダの上方の使用位置と側方の退避位置とにわたって移動させる駆動手段とが必要になるが、この発明のように構成すると、直列状にノズルホルダに保持した被洗浄ノズルに沿って二流体噴射ノズルを移動させるだけで、複数の被洗浄ノズルに対して二流体噴射ノズルを順次対面させて洗浄を行い、そのまま被洗浄ノズルの配設方向に沿って移動させることで、二流体生成装置及び二流体噴射ノズルをノズルホルダの上方外の退避位置へ移動できるので、駆動系の構成を大幅に簡素にできる。
【0020】
前記ノズルホルダとして、複数の被洗浄ノズルを直列状に複数列だけ併設可能なノズルホルダを設け、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを前記被洗浄ノズルの各列に対応させてそれぞれ設け、前記移動手段により複数組の二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを被洗浄ノズルの配列方向に沿って移動させることも好ましい実施例である。この場合には、併設する被洗浄ノズルの配列数を増やすとともに、それに対応させて二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを増やすことで、一度に洗浄可能な被洗浄ノズルの個数を容易に増やすことができる。
【0021】
前記被洗浄ノズルが、電子部品吸着用の吸着ノズルであることも好ましい実施例である。電子部品吸着用以外の用途のノズル洗浄装置としても本発明を適用できるが、本発明のノズル洗浄装置は、微細な付着物の除去に好適に利用できるので、電子部品吸着用の吸着ノズルの洗浄に好適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るノズル洗浄装置によれば、被洗浄面に付着した付着物に対して水粒子を高速で衝突させて、水粒子の衝突エネルギで付着物を除去できるので、圧縮空気のみで付着物を吹き飛ばす場合と比較して、効率的に付着物を除去することができるし、有機溶剤を使用しないので、作業環境を良好に維持でき、しかも廃液の処理コストも安くできる。
【0023】
また、二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを接近配置して、移動手段によりノズルホルダに対して相対移動させるので、二流体生成装置と二流体噴射ノズルとを接続する配管長を短くして、二流体生成装置から二流体噴射ノズルへの二流体の送給途中において、微細化した水粒子同士の衝突を少なくし、水粒子の直径が大きくなることを防止でき、被洗浄面に水膜が形成されることを防止して、ノズル洗浄装置の洗浄能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ノズル洗浄装置の要部正面図
【図2】ノズル洗浄装置の要部断面図
【図3】ノズル洗浄装置の要部斜視図
【図4】ノズルホルダ及びそれにセットした被洗浄ノズルの断面図
【図5】被洗浄ノズルの先端部の斜視図
【図6】他の構成のノズル洗浄装置の要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、ノズル洗浄装置10は、複数の被洗浄ノズル1を着脱自在に保持するノズルホルダ11と、微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を生成する二流体生成装置12と、二流体生成装置12に接近配置され、ノズルホルダ11に保持した被洗浄ノズル1へ向けて二流体を噴き付ける二流体噴射ノズル13と、二流体噴射ノズル13が被洗浄ノズル1に順次対面するように、二流体生成装置12及び二流体噴射ノズル13をノズルホルダ11に対して相対移動させる移動手段14とを備えている。
【0026】
被洗浄ノズル1としては、任意の用途、任意の構成のものを洗浄することができるが、本発明のノズル洗浄装置10では、微細な付着物の除去に好適に利用できるので、電子部品吸着用の吸着ノズルに好適に適用できる。つまり、電子部品吸着用の吸着ノズルでは、空気中のほこりや、電子部品に付着したフラックスや、電子部品の端子のメッキ材料などの異物が付着して、ノズルに目詰まりが発生することがあり、特に、吸着ノズルの開口部の形状が複雑な場合や、吸着面に微細な凹凸を形成した場合には、異物が付着し易くなるので好適である。
【0027】
具体的には、図4、図5に示す被洗浄ノズル1のように、電子部品の移載装置に着脱自在に接続される接続部2と、接続部2に連なって延びる細長い筒状のノズル部3と、接続部2とノズル部3との境界部に形成した円板状の反射板4とを有し、接続部2とノズル部3とに吸引通路5を形成し、ノズル部3の先端部に直方体状の当接部6を形成し、当接部6の先端面に吸引通路5に連なる2つの吸引孔7を形成したもので、当接部6の先端面を電子部品に圧接させて、吸引孔7で電子部品を吸引することで、電子部品を密着保持できるように構成したものである。ただし、電子部品吸着用以外の用途のノズルの洗浄に対しても本発明のノズル洗浄装置10を適用できる。
【0028】
ノズルホルダ11は、長方形平板状の板状部材で構成され、ノズル洗浄装置10の洗浄室15の下部の所定位置に着脱自在に位置決め設置される。ノズルホルダ11には、被洗浄ノズル1を着脱自在に保持するための複数の保持部20が、左右に設定間隔おきに直列状に且つ前後に間隔をあけて2列併設され、被洗浄ノズル1はその長さ方向を上下方向にして各保持部20にセットされている。保持部20は、被洗浄ノズル1の構成に応じた形状に構成され、例えば図4に示すような構成の被洗浄ノズル1を保持する場合には、反射板4を収容する円形の凹部21と、接続部2が挿通される取付孔22とを有する保持部20を形成することになる。取付孔22の下端部は開放されており、被洗浄ノズル1の下端部は取付孔22から下方へ突出され、被洗浄ノズル1の洗浄時に吸引通路5内に流入した二流体は、ノズルホルダ11の下側に排出されるように構成されている。なお、本実施例では、複数の保持部20を2列併設したが、1列だけ設けることもできるし、3列以上併設することもできる。
【0029】
二流体生成装置12は、水タンクから供給される水をノズルから噴射させて微細化し、この微細化した水粒子をポンプから供給される圧縮空気と混合して、二流体を生成する周知の構成のものである。二流体生成装置12は、2列の保持部20に対応させて外装ケース内に2個設けられ、二流体生成装置12で生成した二流体を二流体噴射ノズル13から被洗浄ノズル1の先端部に向けて噴射して、被洗浄ノズル1の先端部を洗浄するように構成されている。なお、二流体生成装置12は、保持部20の列の個数だけ設けることになり、保持部20を3列設ける場合には3個の二流体生成装置12を設けることになる。また、二流体生成装置12に供給する水としては、純水を用いることができるが、アルカリ電解水やアルカリイオン水などを供給することもできる。
【0030】
二流体生成装置12により生成される二流体の常温常圧下での圧縮空気の体積Aと微細化した水粒子の体積Wとの体積比率A/Wは、23000未満の場合には、二流体中における水粒子の割合が高くなり過ぎて、被洗浄面に水膜が形成され易くなり、洗浄能力が低下し、90000を超える場合には、二流体中における水粒子の割合が低くなり過ぎて、被洗浄面の付着物に対して十分な衝撃力を与えることができず、洗浄時間が長くなるので、23000〜90000に設定することが好ましい。また、二流体生成装置12において、例えば圧縮空気の消費エア量は180Nl/minに設定し、圧縮空気の圧力は0.4〜0.5MPaに設定し、水の消費量は4cc/minに設定することになる。
【0031】
二流体生成装置12への水の供給配管の二流体生成装置12側の端部には、流量調整用のオリフィスを形成した流量調整部材(図示略)が設けられ、二流体生成装置12への水の供給量が適正に調整されるように構成されている。オリフィスの直径は、例えば前述のように水の消費量を4cc/minに設定した場合には、0.09mmに設定することになる。
【0032】
二流体噴射ノズル13は、二流体生成装置12の下側に突出状に設けられ、二流体生成装置12の図示外の二流体吐出口に接近配置されて直線状に接続され、二流体噴射ノズル13への送給途中において二流体中の水粒子同士が衝突することを極力防止して、水粒子の粒径が大きくなることにより水膜が形成されることを防止して、水膜による洗浄能力の低下を防止できるように構成されている。
【0033】
二流体生成装置12の側部には送風ユニット25が固定され、二流体噴射ノズル13により洗浄した被洗浄ノズル1に対して、送風ユニット25の送風ノズル26から空気を吹き付けて被洗浄ノズル1の先端部を乾燥できるように構成されている。ただし、この送風ユニット25は省略することも可能である。
【0034】
移動手段14について説明すると、ノズルホルダ11の後方上部には左右方向(被洗浄ノズル1の配設方向)に沿って延びるガイドレール30が設けられ、ガイドレール30には前方へ延びる可動部材31が左右方向に移動自在に支持されている。ガイドレール30の左右両端部には駆動プーリ32と従動プーリ33とが設けられ、両プーリ32、33間には歯付ベルト34が張設され、歯付ベルト34の途中部は可動部材31に連結されている。可動部材31の下面には二流体生成装置12が固定され、ステッピングモータ35で駆動プーリ32を回転して、歯付ベルト34を左右方向に駆動することで、ガイドレール30に沿って可動部材31を左右方向に駆動して、二流体噴射ノズル13をノズルホルダ11にセットした被洗浄ノズル1の先端部に順次対面させて、被洗浄ノズル1を洗浄できるように構成されている。移動手段14では、二流体生成装置12及び送風ノズル26をノズルホルダ11よりも側方の図3に仮想線で図示の退避位置へ移動させて、二流体生成装置12に干渉することなく、ノズル洗浄装置10に対してノズルホルダ11を着脱できるように構成されている。
【0035】
次に、ノズル洗浄装置10を用いた洗浄方法の一例について説明する。
先ず、退避位置に二流体生成装置12を保持した状態で、複数の被洗浄ノズル1をセットしたノズルホルダ11をノズル洗浄装置10の洗浄室15にセットする。
【0036】
次に、二流体生成装置12を退避位置から、例えばノズルホルダ11の右端の保持部20にセットした被洗浄ノズル1に対応する位置まで移動させて、二流体噴射ノズル13を該被洗浄ノズル1の先端部に対面させる。そして、二流体噴射ノズル13から水粒子と圧縮空気とからなる二流体を被洗浄ノズル1の先端部に向けて設定時間噴射し、二流体により被洗浄ノズル1の先端部を洗浄する。このとき、被洗浄ノズル1の先端部に付着した付着物は、圧縮空気により二流体噴射ノズル13から高速で噴射される水粒子との衝突時における衝撃力で効率良く除去される。また、二流体は被洗浄ノズル1の先端部付近の吸引通路5内にも高速で噴き付けられて、吸引通路5内面に付着した付着物も除去される。なお、吸引通路5内に噴き付けられた二流体は、吸引通路5を通って下側へ排出されることになる。
【0037】
こうして、1つの被洗浄ノズル1を設定時間だけ洗浄した後、移動手段14により、隣の被洗浄ノズル1に対応する位置まで二流体生成装置12を移動させて、二流体噴射ノズル13を被洗浄ノズル1に対面させ、該被洗浄ノズル1の先端部を洗浄することになる。そして、全ての被洗浄ノズル1を洗浄した後、今度は送風ノズル26を被洗浄ノズル1に順次対面させて、左側の被洗浄ノズル1から順番に被洗浄ノズル1に対して空気を噴き付けて、被洗浄ノズル1を乾燥させ、退避位置まで二流体生成装置12を移動させ、被洗浄ノズル1の洗浄処理を完了することになる。
【0038】
なお、前記実施例では、二流体生成装置12及び二流体噴射ノズル13を被洗浄ノズル1の配列方向に沿って直線的に順次移動させて、ノズルホルダ11にセットした複数の被洗浄ノズル1の先端部に二流体噴射ノズル13を順次対面させたが、二流体生成装置12及び二流体噴射ノズル13を固定し、ノズルホルダ11を移動させて、ノズルホルダ11にセットした複数の被洗浄ノズル1の先端部に二流体噴射ノズル13を順次対面させることもできる。
【0039】
また、二流体生成装置12及び二流体噴射ノズル13とノズルホルダ11とを直線移動させて、二流体噴射ノズル13を被洗浄ノズル1に順次対面させたが、ノズルホルダを回転させて、二流体噴射ノズル13や送風ノズル26を被洗浄ノズル1に順次対面させることもできる。具体的には、図6に示すノズル洗浄装置40のように、ノズルホルダ41として、円板状のノズルホルダ41を用い、ノズルホルダ41の外周近傍部に周方向に一定間隔おきに被洗浄ノズル1を保持する保持部42を形成し、被洗浄ノズル1が二流体噴射ノズル13に対面するまで、ステッピングモータ43によりノズルホルダ41を回転させることもできる。ただし、この場合には、二流体生成装置12と二流体噴射ノズル13と送風ノズル45とをノズルホルダ41の上方の使用位置と、ノズルホルダ41の側方の退避位置とに移動させるシリンダ44を設けて、ノズル洗浄装置40に対するノズルホルダ41の着脱時には、二流体生成装置12と二流体噴射ノズル13と送風ノズル45とを退避位置へ移動させて、ノズルホルダ41がこれらの部材に接触しないように構成することが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
1 被洗浄ノズル 2 接続部
3 ノズル部 4 反射板
5 吸引通路 6 当接部
7 吸引孔
10 ノズル洗浄装置 11 ノズルホルダ
12 二流体生成装置 13 二流体噴射ノズル
14 移動手段 15 洗浄室
20 保持部 21 凹部
22 取付孔
25 送風ユニット 26 送風ノズル
30 ガイドレール 31 可動部材
32 駆動プーリ 33 従動プーリ
34 歯付ベルト 35 ステッピングモータ
40 ノズル洗浄装置 41 ノズルホルダ
42 保持部 43 ステッピングモータ
44 シリンダ 45 送風ノズル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被洗浄ノズルを着脱自在に保持するノズルホルダと、
微細化した水粒子と圧縮空気とを混合してなる二流体を生成する二流体生成装置と、
前記二流体生成装置に接近配置され、前記ノズルホルダに保持した被洗浄ノズルへ向けて二流体を噴き付ける二流体噴射ノズルと、
前記二流体噴射ノズルが被洗浄ノズルに順次対面するように、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルをノズルホルダに対して相対移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とするノズル洗浄装置。
【請求項2】
前記二流体生成装置への水の供給配管の先端部に流量調整用のオリフィスを形成した流量調整部材を設けた請求項1記載のノズル洗浄装置。
【請求項3】
前記二流体における、常温常圧下での空気の体積Aと微細化した水粒子の体積Wとの体積比率A/Wを23000〜90000に設定した請求項1又は2記載のノズル洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルホルダとして、複数の被洗浄ノズルを直列状に保持可能なノズルホルダを設け、前記移動手段として、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを被洗浄ノズルの配設方向に沿って移動させる移動手段を設けた請求項1〜3のいずれか1項記載のノズル洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルホルダとして、複数の被洗浄ノズルを直列状に複数列だけ併設可能なノズルホルダを設け、前記二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを前記被洗浄ノズルの各列に対応させてそれぞれ設け、前記移動手段により複数組の二流体生成装置及び二流体噴射ノズルを被洗浄ノズルの配列方向に沿って移動させる請求項4記載のノズル洗浄装置。
【請求項6】
前記被洗浄ノズルが、電子部品吸着用の吸着ノズルである請求項1〜5のいずれか1項記載のノズル洗浄装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269214(P2010−269214A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121075(P2009−121075)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(302018053)株式会社中村超硬 (16)
【Fターム(参考)】