説明

ハイブリッドコポリマー組成物

少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーと、末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含むハイブリッド合成コポリマーとを含むハイブリッドコポリマー組成物。ハイブリッドコポリマー組成物は、スケール防止組成物として調製することができる。ハイブリッドコポリマーの調製方法も含める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年11月10日出願の欧州特許出願第09175465.5号、および2010年1月19日出願の米国特許出願第12/689,844号(2009年7月31日出願の米国特許第12/533,802号の優先権の利益を主張している)、および現在は米国特許第7,666,963号である2006年7月18日出願の米国特許出願第11/458,180号(2005年7月21日出願の米国仮特許出願第60/701,380号の優先権を主張している)の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、自然発生するオリゴマーまたはポリマーである部分と、合成によって得られるオリゴマーまたはポリマー由来の部分とを含む、ハイブリッドコポリマーおよびハイブリッドコポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
これまで、天然材料をポリマー構成単位として使用しようと、いくつかの試みがなされてきた。それらの試みは、糖類やデンプンなどの天然材料を合成モノマーにグラフトすることに主眼を置いている。例えば、米国特許第5,854,191号、同第5,223,171号、同第5,227,446号、および同第5,296,470号は、グラフトコポリマーのクリーニング用途における使用を開示している。
【0004】
従来のグラフトコポリマーは、糖または多糖主鎖からモノマー側鎖が成長するように開始部位(例えば、フリーラジカル)を選択的に生成することにより製造されている(CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING、J. I. Kroschwitz編、Wiley-Interscience、New York、436頁(1990))。こうしたグラフト技術では通常、硫酸第一鉄などのFe(II)塩またはCe(IV)塩(例えば、硝酸セリウムや硫酸セリウム)を使用して、糖または多糖主鎖上にその開始部位を作製する(例えば、米国特許第5,304,620号を参照されたい)。このような酸化還元法は、制御が容易ではなく、効率が悪い。また、セリウム塩は、得られる溶液中に望ましくない副生物として残る傾向があり、そのために性能に悪影響を及ぼす潜在的可能性がある。したがって、グラフトコポリマーに付きもののこうした問題を引き起こさないポリマー構成単位としての天然材料が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッドコポリマー組成物およびそれを原料とするハイブリッドコポリマーは、自然発生するオリゴマーまたはポリマーである部分と、合成によって得られるオリゴマーまたはポリマー由来の部分とを含む。ハイブリッド分子を作製する従来の1つの方法は、連鎖移動剤としての天然由来含ヒドロキシ材の水溶液の存在下、水溶性モノマーを利用するものである。このような方法は、参照により本明細書に全体として援用される、米国特許出願公開第US2007−0021577A1号で開示されている。しかし今回、本発明によるハイブリッドコポリマーは、非常に高レベルの天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を用いて調製することができ、それでも合成ポリマー部分の官能性を維持できることがわかった。加えて、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤とエチレン不飽和モノマーの新規な組合せ、ならびにこれらハイブリッドコポリマーの適用例は、これまでに前もって知られていなかったことも明らかになった。
【0006】
一実施形態では、本発明は、ハイブリッド合成ポリマーと、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導された合成ポリマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーとを含む、ハイブリッドコポリマー組成物に関する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、ハイブリッド合成ポリマーと、末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤にカルボニル部分を介して連結している、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された合成ポリマーを含むハイブリッドコポリマーとを含む、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を対象とする。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、ハイブリッド合成ポリマーと、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された合成ポリマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーとを含み、連鎖移動剤が、ハイブリッドコポリマー組成物の総重量の約75重量%超〜約99重量%で存在する、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を対象とする。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、ハイブリッド合成ポリマーと、非アニオン性エチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の少なくとも一方から誘導された合成ポリマーを含むハイブリッドコポリマーとを含む、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を対象とする。
【0010】
さらに別の実施形態では、本発明は、水性系中のハイブリッドコポリマー組成物の濃度を決定する方法を対象とする。この方法は、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された合成ポリマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含む水性ハイブリッドコポリマー組成物のサンプルを、有効量の光活性化剤(photoactivator)と、300〜800ナノメートルの範囲の波長でハイブリッドコポリマーに吸収させるのに有効な条件下で反応させるステップを含む。この方法は、水性サンプルの吸光度を測定するステップと、水性サンプルの吸光度を、既知の吸光度および濃度の、予め決定された検量線と対照するステップとをさらに含む。この方法はまた、水性サンプルの吸光度を既知の濃度および既知の吸光度と対照して、ハイブリッドコポリマーの濃度を決定するステップも含む。
【0011】
さらにまた別の実施形態では、本発明は、ハイブリッドコポリマー組成物の調製方法に関する。この方法は、少量の第2の連鎖移動剤も含む天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の溶液を用い、少なくとも1種のモノマーを重合させるステップを含む。
【0012】
さらにまた別の実施形態では、本発明は、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物と、ビルダーまたはキレート剤とを含む配合物を対象とする。ビルダーまたはキレート剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類クエン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類ケイ酸塩、グルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)、メチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0013】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と合わせて読むと、もっともよく理解される。図面には、以下の各図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】典型的なポリアクリレート/マルトデキストリンブレンドを、本発明の一実施形態による、連鎖移動剤としてマルトデキストリンを75重量パーセントより多く含むハイブリッドコポリマーと比較する、1時間実施した分散試験の結果を示すグラフである。
【図2】典型的なポリアクリレート/マルトデキストリンブレンドを、本発明の一実施形態による、連鎖移動剤としてマルトデキストリンを75重量パーセントより多く含むハイブリッドコポリマーと比較する、24時間実施した分散試験の結果を示すグラフである。
【図3】マルトデキストリン0%のポリアクリレート、存在するマルトデキストリンの量を様々にして示す、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーを有するハイブリッドコポリマーのサンプル、およびマルトデキストリン100%のサンプルの各サンプル間の、1時間の分散性試験後の結果の実例である。
【図4】実施例68のグラフトコポリマーのNMRスペクトルである。
【図5】実施例68のグラフトコポリマーのNMR Aptスペクトルである。
【図6】実施例69の(アゾ開始剤を使用している)ハイブリッドコポリマー組成物のNMRスペクトルである。
【図7】実施例69の(アゾ開始剤を使用している)ハイブリッドコポリマー組成物のNMR Aptスペクトルである。
【図8】実施例70の(過硫酸塩開始剤を使用している)グラフトコポリマー組成物のNMRスペクトルである。
【図9】実施例70の(過硫酸塩開始剤を使用している)グラフトコポリマー組成物のNMR Aptスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、本発明のハイブリッドコポリマーは、成長合成ポリマー鎖の天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤への連鎖移動が行われるハイブリッドコポリマー組成物の調製によって生成される。この反応は、以下の機序に従って進行すると予想される。
【0016】
【化1】

【0017】
第1のステップでは、開始剤Iによってフリーラジカルが生成し、これがモノマーと反応し、合成ポリマー連鎖を開始する。次いでこれがいくつかのモノマー部分と反応することにより成長する。このとき、停止は、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤からプロトンが引き抜かれる連鎖移動によるものである。これによって、ハイブリッド合成ポリマー(a)は終結し、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤上にフリーラジカルが生じる。次いで、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤は、いくつかのモノマー部分と反応して、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が合成ポリマー鎖と連結した種を形成する。次いでこの種を、連鎖移動機序もしくは開始剤断片との反応によって、または結合反応や不均化反応などの他の何らかの停止反応によって終結させて、ハイブリッドコポリマー(b)を生成することができる。停止が連鎖移動によるものである場合、RはH(天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から引き抜かれたもの)であり、これが別の連鎖移動剤上にフリーラジカルをもたらし、次いでその連鎖移動剤は、別の連鎖を開始することができる。
【0018】
したがって、本明細書では、また上記反応で示したように、「ハイブリッドコポリマー組成物」とは、(a)ハイブリッド合成コポリマーと(b)ハイブリッドコポリマーの混合物である。すなわち、ハイブリッドコポリマー組成物は、(a)と(b)の2つの部分を含んでおり、ハイブリッド合成コポリマー(a)の量は、この構成要素が、ハイブリッドコポリマー(b)の生成をもたらす連鎖移動を引き起こすことから最小限に抑えられている。当業者であれば、ハイブリッドコポリマー組成物は、未反応の天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を一定量含有してよいことがわかるであろう。本発明の一実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物は、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物でよい。別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物は、カチオン性、非イオン性、両性、双性イオン性などの非アニオン性コポリマー組成物でよい。
【0019】
用語「ハイブリッドコポリマー」とは、本明細書の定義では、ハイブリッド合成コポリマー連鎖移動の結果として生じる、末端基が天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むエチレン不飽和モノマーからなるコポリマーを指す。本発明の一実施形態では、ハイブリッドコポリマーは、以下の構造を有する。
【0020】
【化2】

ここで、Cは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から誘導された部分であり、Mhcは、1つまたは複数のエチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッドコポリマーの合成部分であり、Rは、連鎖移動によるH、または開始剤基との反応によるI、または2本の成長鎖の結合によって生成された天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤、または停止反応により生成された別の部分である。
【0021】
一実施形態では、CとMhcの結合点は、Cにあるアルデヒド基を介するものであり、これによりCとMhcの連結部は、カルボニル部分となっている。別の実施形態では、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が、還元末端基としてアルデヒド基を有する糖/多糖であるとき、ハイブリッドコポリマーは、下記構造
【0022】
【化3】

によって表すことができる。ここで、Sは、糖/多糖連鎖移動剤の糖繰返し単位であり、sは、0〜1000の整数であり、pは、3、4または5である整数である。別の実施形態では、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が、アルデヒド基を含む酸化デンプンであるとき、ハイブリッドコポリマーは、下記構造
【0023】
【化4】

によって表すことができる。アルデヒド官能基の量は、糖/多糖連鎖移動剤中の全無水グルコース単位の好ましくは少なくとも0.001モル%、より好ましくは少なくとも0.01モル%、もっとも好ましくは少なくとも0.1モル%である。
【0024】
また、本明細書では、用語「ハイブリッド合成コポリマー」とは、一方の末端基としてハイブリッド開始剤断片を有する、合成モノマーから誘導された合成ポリマーである。もう一方の末端基は、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤への連鎖移動の結果として生じるプロトンである。本明細書では、用語「合成モノマー」とは、ラジカル重合することのできる任意のエチレン不飽和モノマーを意味する。
【0025】
本発明の一実施形態では、代表的なハイブリッド合成コポリマーは、以下の構造を有する。
【0026】
【化5】

ここで、Iは、開始剤断片であり、Hは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から引き抜かれたプロトンであり、Mhscは、1つまたは複数のエチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッド合成コポリマーの合成部分である。当業者であれば、1つまたは複数のエチレン不飽和モノマーを使用する場合、MhscおよびMhcの平均組成は同じになることがわかるであろう。
【0027】
当業者であれば、ハイブリッド合成コポリマーの最小量は、合成モノマー、開始剤、および天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の相対量に応じて決まることがわかるであろう。さらに、ハイブリッドコポリマー組成物において、ハイブリッドコポリマー(b)の量(鎖数)は、ハイブリッド合成コポリマー(a)の鎖数以上となる。
【0028】
ハイブリッド合成ポリマーの分子量は、合成モノマー、開始剤、および天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の相対量によって求められる。
【0029】
場合により、本発明の一実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物の重量平均分子量は、約500,000未満、好ましくは300,000未満、もっとも好ましくは100,000未満でよい。本発明の一実施形態では、天然構成要素の最小重量平均分子量は、1000である。別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物は、水溶性でよい。本出願の目的では、水溶性とは、25℃の水100グラムあたり約0.1グラム、好ましくは25℃の水100グラムあたり1グラムより大きい溶解度を有するものと定義する。
【0030】
別の実施形態では、ハイブリッド合成コポリマーは、ハイブリッド開始剤断片(I)を有し、ハイブリッドコポリマー鎖の若干数は、合成ポリマー鎖の一方の末端に天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤、他方の末端にハイブリッド開始剤断片(RがIである場合)を有することになる。本明細書では、用語「ハイブリッド開始剤断片」とは、ハイブリッド開始剤から誘導されたハイブリッド合成ポリマーに組み込まれている、ハイブリッド開始剤の任意の断片である。「ハイブリッド開始剤」は、金属イオン系の開始剤または開始系を除いたラジカル開始剤または開始系である。ハイブリッド開始剤は、ラジカル引抜剤ではないが、連鎖移動を促進することが好ましい。さらに、本発明の一実施形態では、ハイブリッド開始剤は、水溶性である。代表的なハイブリッド開始剤として、これらだけに限定するものではないが、過酸化物、アゾ開始剤、ならびにtert−ブチルヒドロペルオキシドとエリソルビン酸、過硫酸塩などの過酸化物と硫酸ヒドロキシルアミンなどのアミン、過硫酸塩とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等のような、酸化還元系が挙げられる。ハイブリッド開始剤には、無機および有機両方の過酸化物を含めることができる。適切な無機過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムが挙げられる。水溶性アゾ開始剤などのアゾ開始剤も、適切なハイブリッド開始剤となり得る。水溶性アゾ開始剤としては、限定はしないが、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェート二水和物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]他が挙げられる。当業者であれば、ハイブリッド合成コポリマーに組み込まれるハイブリッド開始剤断片は、使用するハイブリッド開始剤に応じて決まることがわかるであろう。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムは、硫酸開始剤断片を組み込み、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩などのアゾ開始剤は、2−メチルプロパンプロピオンアミジン塩酸塩断片を組み込む。本発明の一実施形態では、ハイブリッド開始剤断片は、過酸化水素から誘導されたOH部分ではないが、これは、金属イオン存在下での過酸化水素は、基質からプロトンを引き抜き、従来のグラフトコポリマーを生成する傾向があるためである。さらに、本発明の一実施形態では、ハイブリッド開始剤断片は、水溶性である。
【0031】
一実施形態では、IがMhc+Mhscの0.01〜20モル%であることが好ましく、IがMhc+Mhscの0.1〜15モル%であることがより好ましく、IがMhc+Mhscの1〜10モル%であることがもっとも好ましい。
【0032】
Fe(II)塩やCe(IV)を含む系などの金属イオン開始系は通常、グラフトコポリマーの生成に使用される。前もって指摘したように、従来のグラフトコポリマーは、既存のポリマー主鎖からモノマー側鎖が成長するように開始部位(例えば、フリーラジカル)を選択的に生成することにより製造される(CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING、J. I. Kroschwitz,編、Wiley-Interscience、New York、436頁(1990))。したがって、グラフトコポリマーは、多糖などの天然構成要素からなる主鎖に、合成モノマーから誘導された1つまたは複数の側鎖が加わったものと定義される。
【0033】
そうした「グラフト」コポリマーを生成する機序を以下で図解する。
【0034】
【化6】

【0035】
グラフトコポリマーは、合成コポリマー構成要素を含む場合もあるが、ハイブリッドポリマー組成物とは異なり、当業者であれば、グラフトコポリマーの生成に合成ポリマーは必要ではないことがわかるであろう。したがって、合成コポリマーの存在は、この場合、本質的には、望ましくない副反応の結果として生じるので、合成コポリマーの量が多いほど、グラフトコポリマーの量は少なくなり、それゆえ、合成ポリマーは、グラフトコポリマーの不純物と見なしてよいことになる。
【0036】
用語「天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤」とは、本明細書では、再生可能な供給源から得られる任意の含ヒドロキシ材を意味する。本発明の一実施形態では、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤として、これらだけに限定するものではないが、グリセロール、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、アスコルビン酸、グルコヘプトン酸などの小分子が挙げられる。天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤には、糖またはその誘導体も含めることができる。適切な糖としては、例えば、単糖、および砂糖などの二糖、ならびにオリゴ糖や多糖などのより長い分子(例えば、マルトデキストリン、ピロデキストリン、およびデンプン)が挙げられる。本発明の一実施形態では、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤は、マルトデキストリン、ピロデキストリン、または低分子量のデンプンもしくは酸化デンプンである。天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が反応系に可溶性ではないとき、連鎖移動反応が十分に進まないことがわかっている。例えば、何百万にもなる分子量を有するデンプンや粒状のデンプンなどの高分子量デンプンは、水に分散性であり、水溶性ではない。したがって、本発明の実施形態では、連鎖移動剤の平均分子量は、デンプン標準に基づいて約500,000未満であることが好ましい。こうした代表的な分子量を有するデンプンは、水溶性である。別の実施形態では、連鎖移動剤の重量平均分子量(Mw)は、約100,000未満でもよい。さらに別の好ましい実施形態では、連鎖移動剤の重量平均分子量は、約50,000未満でもよい。さらに別の好ましい実施形態では、連鎖移動剤の重量平均分子量は、約10,000未満でもよい。分散性およびスケールコントロールが特に望ましい用途については、連鎖移動剤が10,000などのより低い分子量であると、性能が向上することも判明している。
【0037】
多糖の分子量は、以下で概略を述べる手順によって決定した。
【0038】
【表1】

【0039】
天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤には、セルロースおよびその誘導体、ならびにイヌリンおよびカルボキシメチルイヌリンなどのその誘導体も含めることができる。セルロース誘導体としては、紙およびパルプ産業の副産物である、ヘミセルロースとして一般に知られている植物ヘテロ多糖が挙げられる。ヘミセルロースとしては、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン グルコマンナン、およびキシログルカンが挙げられる。キシランは、もっとも一般的なヘテロ多糖であり、好ましい。さらに、こうした天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤として、リグニンおよびリグノスルホネートなどのその誘導体も挙げられる。本発明の一実施形態では、セルロース誘導体、例えばキシランなどのヘテロ多糖、ならびにリグニンおよびその誘導体は、ハイブリッドコポリマーの総量の約0.1重量%〜約98重量%の量で存在してよい。本発明の一実施形態では、天然由来連鎖移動剤は、マルトデキストリン、ピロデキストリン、ならびにマルトデキストリンおよびピロデキストリンを化学的に改変したものでよい。別の実施形態では、天然由来連鎖移動剤は、イヌリンのセルロース、または化学的に改変したセルロースもしくはイヌリン、またはキシランなどのヘテロ多糖、またはリグノスルホネートなどのリグニン誘導体でよい。
【0040】
天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤は、その天然供給源から得たままで使用することもでき、または化学的に改変することもできる。化学的改変としては、酸、酵素、酸化剤、もしくは熱の作用による加水分解、エステル化、またはエーテル化が挙げられる。化学的に改変された後の改変天然由来連鎖移動剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、もしくは両性でよく、または疎水性に改変されていてもよい。天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤に関係するこのような化学的改変などは、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第US2007−0021577A1号で詳述されている。本発明の一態様では、本発明は、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物に関する。この態様による一実施形態では、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、ハイブリッド合成コポリマーと、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤によって連鎖終結しているかまたはその連鎖移動剤を伴う末端基を有する少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから生成された合成ポリマーであるアニオン性ハイブリッドコポリマーとを含む。本発明の別の態様では、アニオン性ハイブリッドコポリマーは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤にカルボニル部分を介して連結している少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから生成されたポリマーを含む。
【0041】
当業者であれば、エチレン不飽和モノマーのすべてではなくとも大部分が重合していることが有利であるとわかるであろう。一実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの90パーセントより多くを反応させ、別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの95パーセントより多くを反応させ、さらに別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの99パーセントより多くを反応させる。別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの10パーセント未満が未反応であり、別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの5パーセント未満が未反応であり、さらに別の実施形態では、ハイブリッドコポリマー組成物中のエチレン不飽和モノマーの1パーセントより多くが未反応である。
【0042】
本明細書では、用語「アニオン性エチレン不飽和モノマー」とは、アニオン性ハイブリッドコポリマーに負の電荷を導入することのできるエチレン不飽和モノマーを意味する。こうしたアニオン性エチレン不飽和モノマーとして、これらだけに限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロ−アクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−スチリルアクリル酸(1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3)、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、ムコン酸、2−アクリロキシプロピオン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、スルホン化スチレン、アリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルホスホン酸、およびマレイン酸を挙げることができる。負電荷を有する部分へと誘導(加水分解)することのできる、無水マレイン酸やアクリルアミドなどの部分も適切である。アニオン性エチレン不飽和モノマーの組合せを使用することもできる。本発明の一実施形態では、アニオン性エチレン不飽和モノマーは、好ましくは、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、またはこれらの混合物でよい。
【0043】
本発明の一実施形態では、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、ハイブリッドコポリマー組成物の重量の1〜99.5重量パーセントの天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含有してよい。当業者の従来の知識を踏まえると、本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の性能は、ポリマー中の連鎖移動剤の重量パーセントが増加するにつれて低下すると予想されるであろう。例えば、多糖は、それ自体は分散剤としての性能をほとんどないし全く備えていない。しかし、意外なことに、ポリマーの連鎖移動剤含有量が75重量パーセントより多くなったとき、性能はそれでも維持されることがわかった。例えば、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の分散性能は、連鎖移動剤としての多糖を80、90、95、さらには99および99.5重量パーセントなど、大量に使用しても、予想外に良好である。
【0044】
したがって、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、ハイブリッド合成コポリマーと、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を終結部分、または末端基として含むアニオン性ハイブリッドコポリマーとを含む。本発明の実施形態では、連鎖移動剤は、場合により、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の総重量の75重量%〜約99.5%より多く、別の実施形態では約80〜約99重量%より多く、別の実施形態では約90〜約99.5%より多く、さらに別の実施形態では約95%〜約99.5%より多く存在してもよい。
【0045】
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、クリーニング、洗濯、自動皿洗い(ADW)、超吸収剤、ガラス繊維結合剤、流動性改質剤、油田、水処理、分散剤、セメントおよびコンクリート組成物を含めるがこの限りではない、いくつかの異なる用途向きの組成物の構成成分として使用することができる。クリーニング用途では、その組成物として、これらだけに限定するものではないが、洗剤、布地用クリーナー、自動食器洗い洗剤、すすぎ助剤、ガラスクリーナー、布地ケア配合物、布地用柔軟剤、凝集剤、凝固剤、乳化破壊剤、アルカリ性および酸性の硬質面クリーナー、洗濯洗剤、その他を挙げることができる。組成物は、工業用および施設向きのクリーニング用途における表面のクリーニングにも使用できる。自動皿洗い洗剤配合物の代表的な実施形態では、そのような配合物として、リン酸塩、低リン酸塩、および「無」リン酸塩ビルダー配合物が挙げられ、「無」リン酸塩ビルダー配合物では、洗剤は、リン酸塩を実質的に含有しない。本明細書では、低リン酸塩とは、洗浄液中にリン酸塩が1500ppm未満、別の実施形態では、洗浄液中にリン酸塩が約1000ppm未満、さらに別の実施形態では、洗浄液中にリン酸塩が500ppm未満であることを意味する。
【0046】
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、クリーニング、洗濯、ADW、油田、水処理において、またスケール沈積が問題となる他の任意の水性系において、スケールコントロール剤として使用することもできる。コントロールされるスケールとして、これらだけに限定するものではないが、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、またはケイ酸塩を主体とするスケール、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、オルトリン酸カルシウムおよびポリリン酸カルシウム、トリポリリン酸塩、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、その他が挙げられる。適切なスケール防止用ハイブリッドコポリマーは、米国特許第5,547,612号の実施例8に記載の手順に従って実施した炭酸塩抑制試験において、スケールを少なくとも80%抑制するということがわかっている。本発明の実施形態では、ハイブリッドコポリマーは一般に、水性系において添加量100ppmのハイブリッドコポリマーで、炭酸塩の抑制が80%より高くなる。別の実施形態では、ハイブリッドコポリマーは、水性系において添加量25ppmのポリマーで、炭酸塩の抑制が80%より良好となる。さらに別の実施形態では、ハイブリッドコポリマーは、水性系において添加量15ppmのポリマーで、炭酸塩の抑制が80%より良好となろう。
【0047】
別の実施形態では、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、クリーニング、油田、および水処理の用途、ペイントおよび塗料、紙塗工、ならびに他の用途において、分散剤として使用することもできる。こうしたアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を使用して、鉱物質、クレー、塩類、金属鉱石、金属酸化物、泥(dirt)、土、タルク、顔料、二酸化チタン、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、酸化鉄、カオリンクレー、炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム、沈降シリカ、カオリンクレー、またはこれらの組合せを含めるがこの限りではない微粒子を分散させることができる。
【0048】
本明細書では、用語「アニオン性ハイブリッドコポリマー補助成分」とは、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を含む配合物中に場合により使用される成分を意味する。こうしたアニオン性ハイブリッドコポリマー添加成分として、これらだけに限定するものではないが、水、界面活性剤、ビルダー、リン酸塩、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、酵素、緩衝液、着香剤、消泡剤、イオン交換体、アルカリ、再汚染防止(anti-redeposition)材、蛍光増白剤、香料、染料、増量剤、キレート剤、布地漂白剤(fabric whitener)、増白剤、泡立ちコントロール剤(sudsing control agent)、溶媒、ヒドロトロープ、脱色剤(bleaching agent)、漂白剤前駆体(bleach precursor)、緩衝剤、汚れ除去剤、汚れ遊離剤(soil release agent)、布地用柔軟剤、乳白剤、水処理化学物質、腐食防止剤、オルトホスフェート、亜鉛化合物、トリルトリアゾール、鉱物質、クレー、塩類、金属鉱石、金属酸化物、タルク、顔料、二酸化チタン、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、酸化鉄、カオリンクレー、改質カオリンクレー、炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウム、ガラス繊維、セメント、および酸化アルミニウムが挙げられる。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、例えば低起泡性非イオン性界面活性剤、カチオン性、または双性イオン性でよい。本発明の一実施形態では、キレート剤は、グルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)およびメチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)などでよい。
【0049】
本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物についての他のいくつかの油田での使用として、セメンティング、掘穿泥水、分散性、およびスペーサー流体用途における添加剤が挙げられる。油田用途において遭遇する水は、海水または累層からのブラインであることが多い。油田で遭遇する水は、非常に塩気が多い場合がある。したがって、ポリマーは、多くのブラインおよび塩水にも可溶性であることが望ましいといってよい。こうしたブラインは、約3.5重量パーセントのNaClを含有する海水である場合もあれば、または例えば、3.5%までのKCl、25%までのNaCl、20%までのCaClを含有するより強度のブラインである場合もある。したがって、ポリマーは、例えばスケール防止剤として有効なものにするために、これらの系に可溶性にすべきである。さらに、アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物組成物のブラインへの溶解度が高い程、相溶性が高くなることもわかっている。油田で遭遇する典型的なブラインである、合成海水、中程度から強度のカルシウムブラインの組成を、以下で表1に記載する。
【0050】
【表2】

表1に記載のとおり、海水は、塩の混合物を1リットルあたり約35グラム含有する。中程度および強度のカルシウムブラインは、塩の混合物を1リットルあたりそれぞれ約70グラムおよび200グラム含有する。
【0051】
油田用途では、スケール防止剤は、生じた水に注入するか押し込んでもよいし、またはその上側に加えてもよい。したがって、本発明の実施形態は、アニオン性ハイブリッドコポリマーとキャリヤー流体の混合物も包含する。キャリヤー流体は、水、グリコール、アルコール、または油でよい。キャリヤー流体は、水もしくはブラインまたはメタノールであることが好ましい。メタノールは、多くの場合、油井の穴におけるメタンハイドレート(メタンクラスレートまたはメタンアイスとしても知られている)構築物の生成を防ぐのに使用される。本発明の別の実施形態では、アニオン性ハイブリッドポリマーは、メタノールに可溶性のものでよい。すなわち、スケール防止用ポリマーを、メタノールラインに沿って裸孔へと導入することができる。裸孔へと続くラインは一定の数で存在し、これを組み合わせると別のラインが必要なくなることから、このことは特に有利である。
【0052】
本発明の一実施形態では、アニオン性ハイブリッドポリマー組成物は、ビルダーまたはキレート剤と一様に混合またはブレンドし、次いで粉体または粒体に加工処理することができる。例えば、本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を含む組成物は、洗剤配合物への使用に適する代表的なビルダーとして、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、クエン酸塩、またはケイ酸塩を含んでもよい。アルカリ金属という用語は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムなどのIA族元素であると定義され、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムを包含するIIA族元素である。
【0053】
本明細書では、粉体は、平均粒子サイズが約300ミクロン未満であると定義され、粒体は、平均サイズが約300ミクロンより大きい粒子である。ハイブリッドコポリマーをビルダーまたはキレート剤と一様に混合またはブレンドすることにより、粒子または粒体は、吸湿性の性質が弱まり、より取り扱いやすく、易流動性の粉体となる。易流動性とは、本出願では、互いに凝集または融着しない粉体または粒体である。本発明の一実施形態では、ハイブリッドポリマーは、アニオン性ハイブリッドコポリマーである。本発明の別の実施形態では、ハイブリッドコポリマーとブレンドすることのできるビルダーまたはキレート剤は、炭酸ナトリウムもしくはカリウム、ケイ酸ナトリウムもしくはカリウム クエン酸ナトリウムもしくはカリウム、またはグルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)もしくはおよびメチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)である。
【0054】
別の態様では、本発明は、非アニオン性エチレン不飽和モノマーを含む非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物に関する。本明細書では、非アニオン性エチレン不飽和モノマーとは、アニオン性ではないエチレン不飽和モノマーである。こうした非アニオン性エチレン不飽和モノマーとして、これらだけに限定するものではないが、カチオン性エチレン不飽和モノマー、非イオン性エチレン不飽和モノマー、両性エチレン不飽和モノマー、および双性イオン性エチレン不飽和モノマー、およびこれらの混合物を挙げることができる。非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物とは、本明細書では、少なくとも1種のカチオン性エチレン不飽和モノマーまたは少なくとも1種の非イオン性エチレン不飽和モノマーから生成されたハイブリッド合成コポリマーと、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤によって連鎖終結しているかまたはそれを伴う末端基を有する少なくとも1種のカチオン性エチレン不飽和モノマーまたは少なくとも1種の非イオン性エチレン不飽和モノマーから生成された合成ポリマーを含むハイブリッドコポリマーの混合物である。本明細書では、用語「カチオン性エチレン不飽和モノマー」とは、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物に正の電荷を導入することのできるエチレン不飽和モノマーを意味する。本発明の一実施形態では、カチオン性エチレン不飽和モノマーは、少なくとも1つのアミン官能基を有する。アミン官能基の全部または一部のアミン塩を生成する、アミン官能基の全部または一部を四級化して第四級アンモニウム塩を生成する、またはアミン官能基の全部または一部を酸化させてN−オキシド基を生成することにより、こうした非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物のカチオン性誘導体を生成することもできる。
【0055】
本明細書では、用語「アミン塩」とは、アミン官能基の窒素原子が共有結合して1〜3個の有機基を生成し、アニオンを伴っていることを意味する。
【0056】
本明細書では、用語「第四級アンモニウム塩」とは、アミン官能基の窒素原子が共有結合して4個の有機基を生成し、アニオンを伴っていることを意味する。こうしたカチオン性誘導体は、重合前にモノマーを官能化する、または重合後にポリマーを官能化することにより合成できる。こうしたカチオン性エチレン不飽和モノマーとして、これらだけに限定するものではないが、N,Nジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,Nジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、およびN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ここで、アルキル基は、独立に、1−ビニルイミダゾールなどのC1〜18環式化合物である。ビニルピリジンなどの、芳香族アミンを含むモノマーを使用することもできる。さらに、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミドなどの、加水分解されてアミン部分を生じるモノマーを使用することもできる。カチオン性エチレン不飽和モノマーは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、およびN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドであることが好ましい。
【0057】
使用することのできるカチオン性エチレン不飽和モノマーは、上記モノマーの四級化誘導体、ならびにジメチルジアリルアンモニウムクロリドとしても知られているジアリルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロリド四級物、メタクリロイルオキシエチルベタインならびに他のベタインおよびスルホベタイン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウムヒドロクドリド、3−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウムヒドロアセテート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルセチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジフェニルアンモニウムクロリド、およびその他である。
【0058】
本明細書では、用語「非イオン性エチレン不飽和モノマー」とは、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物に電荷を導入しないエチレン不飽和モノマーを意味する。こうした非イオン性エチレン不飽和モノマーとして、これらだけに限定するものではないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、Nアルキル(メタ)アクリルアミド、N,NジメチルアクリルアミドなどのN,Nジアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メチルアクリレートやメチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルモルホリン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、エトキシ化アルキル、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルカリールまたはアリールモノマー、アリルグリシジルエーテル、アリルアルコール、グリセロール(メタ)アクリレート、シラン、シラノール、およびシロキサン官能基を含むモノマー、およびその他が挙げられる。非イオン性エチレン不飽和モノマーは、水溶性であることが好ましい。好ましい非イオン性エチレン不飽和モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、Nメチル(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、およびビニルカプロラクタムである。
【0059】
カチオン性または非イオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、終結部分、すなわち末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を有する。この連鎖移動剤は、カチオン性または非イオン性ハイブリッドコポリマー組成物の総重量の約0.1重量%〜約98%、より好ましくは約10〜約95%、もっとも好ましくは約20〜約75重量%存在することが好ましい。
【0060】
代表的な実施形態では、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、布地柔軟剤組成物ならびに布地ケア組成物に使用することができる。適切な布地柔軟剤配合物は、布地柔軟剤活性物質、水、界面活性剤、電解液、相安定化ポリマー、着香剤、非イオン性界面活性剤、非水性溶媒、シリコーン、脂肪酸、染料、保存剤、蛍光増白剤、消泡剤、およびこれらの混合物を含有する。そうした布地柔軟剤活性物質として、これらだけに限定するものではないが、ジエステル第四級アンモニウム化合物、例えば、ジタロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、二水素化−タロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジカノーラ−オイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、二牛脂ジメチルアンモニウムクロリド、トリエタノールアミンエステル第四級物、例えば、ジ−(水素化タロウオイルオキシエチル)−N,N−メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、およびジ−(オレオイルオキシエチル)−N,N−メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、ならびにその他のもの、例えば、三牛脂メチルアンモニウムクロリド、メチルビス(牛脂アミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、メチルビス(水素化牛脂アミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、メチルビス(オレイルアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェート、ジタロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムメチルスルフェート、二水素化−タロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、ジカノーラ−オイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロリド、N−タロウオイルオキシエチル−N−タロウオイルアミノプロピルメチルアミン、1,2−ビス(硬化タロウオイルオキシ)−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリド、二段硬化牛脂ジメチルアンモニウムクロリド、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
好ましい活性物質は、ジエステル第四級アンモニウム(DEQA)化合物であり、この化合物は通常、MDEA(メチルジエタノールアミン)やTEA(トリエタノールアミン)などのアルカノールアミンを脂肪酸と反応させることにより生成される。このような反応の結果として通常得られるいくつかの材料として、N,N−ジ(アシル−オキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドまたはN,N−ジ(アシルオキシエチル)−N,N−メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルフェートが挙げられ、アシル基は、動物脂、不飽和および多価不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、および/または、植物油および/または半硬化植物油(例えば、カノーラ油、ベニバナ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、トール油、米ぬか油など)由来の半硬化脂肪酸から誘導されたものである。当業者であれば、このような方法から製造される活性柔軟剤材料は、その方法および出発材料に応じて、モノ、ジ、およびトリエステルの組合せを含む場合があることがわかるであろう。
【0062】
本明細書では、用語「布地ケア配合物」は、これらだけに限定するものではないが、布地の軟らかさ、保形、布地の弾性、布地の引張強さ、布地の引裂強さ、布地の滑らかさ、布地の弛緩、デュラブルプレス、防皺性、皺低減性、アイロン掛けのしやすさ、耐摩擦性、布地のくせ取り、抗フェルト化性、抗ピリング性、シャリ感、外観の向上、外観の復活、色彩保護、色彩の復活、防縮性、静電気低減性、吸水性または撥水性、防染性、清涼性、抗微生物性、防臭性、およびこれらの混合要素を改善するための布地の処理に使用される配合物を包含する。布地ケア配合物は、非アニオン性ハイブリッドコポリマーに加えて、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、布地柔軟剤活性物質、スクロースエステル、柔軟剤、他の布地ケア剤;水、アルコール、ジオールなどの分散媒;乳化剤、着香剤、湿潤剤、粘度調節剤、pH緩衝剤、抗菌剤、抗酸化剤、ラジカルスカベンジャー、キーラント、消泡剤、およびこれらの混合物などの材料も含有してよい。
【0063】
本発明の別の実施形態では、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、排水処理用途において、汚泥の脱水および水の浄化のための凝集剤および凝固剤として使用することができる。さらに、家庭汚水および産業汚水は、除去しなければならない懸濁物を含有している。懸濁粒子は、その正味の負の表面電荷により大部分は安定化している。カチオン性ハイブリッドポリマー組成物は、この負の電荷を乱し、水からの懸濁固体の除去を可能にする。さらに別の実施形態では、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、水中油型エマルジョンの乳化破壊剤として機能する。組成物は、排水処理用途において、排出水中の油脂およびグリースの制限に応じるのに有用である。加えて、非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、油田において逆の乳化破壊剤として機能する。この用途では、水連続相から少量の油滴を除去した後、水を安全に環境に戻すことができる。その上、本発明のアニオン性および非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、パーソナルケアおよび/または化粧用途など、皮膜形成特性が必要となる用途において利用することもできる。
【0064】
ハイブリッドコポリマー組成物は、化粧およびパーソナルケア組成物中に使用することができる。化粧およびパーソナルケア組成物において有用なハイブリッドコポリマー組成物には、アニオン性および非アニオン性両方のハイブリッドコポリマー組成物が含まれる。化粧およびパーソナルケア組成物としては、例えば、肌用ローションおよびクリーム、肌用ゲル、セラム、およびリキッド、顔および身体洗浄用製品、拭取り布、リキッド、および固形石けん、色物化粧配合物、メーキャップ化粧品、ファンデーション、日焼け対策製品、日焼け止め、サンレスタンニング配合物、シャンプー、コンディショナー、ヘアカラー配合物、縮毛矯正剤、AHAおよびBHA配合製品、ならびに低VOC整髪料および日焼け止めを含めた、スプレー、ゲル、ムース、ポマード、ワックスなどの整髪料が挙げられる。これらの化粧およびパーソナルケア組成物は、限定はしないが、乳液、ゲル、リキッド、スプレー、固形物、ムース、パウダー、拭取り布、またはスティックを含めて、どんな形態でもよい。
【0065】
化粧およびパーソナルケア組成物は、適切な「化粧およびパーソナルケア活性物質」を含有する。適切な化粧およびパーソナルケア活性剤として、例えば、日焼け止め剤または活性物質、美的エンハンサー(aesthetic enhancer)、コンディショニング剤、抗ニキビ剤、抗微生物剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗紅斑剤、antiruritic agent、抗浮腫剤、抗乾癬剤、抗真菌剤、皮膚保護剤、ビタミン、抗酸化剤、スカベンジャー、抗刺激剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗老化剤、プロトプロテクション剤(protoprotection agent)、毛髪成長増進剤、毛髪成長抑制剤、除毛剤、フケ防止剤、抗脂漏剤、角質剥離剤(exfoliating agent)、創傷治癒剤、抗外部寄生虫剤、皮脂調節剤、免疫調節剤、ホルモン、植物性成分、保湿剤、収斂剤、洗浄剤、感覚剤(sensate)、抗生物質、麻酔剤、ステロイド、組織治癒物質、組織再生物質、ヒドロキシアルキル尿素、アミノ酸、ペプチド、ミネラル、セラミド、バイオヒアルロン酸、ビタミン、美白剤(skin lightening agent)、セルフタンニング剤、コエンザイムQ10、ナイアシンアミド、カプカシン(capcasin)、カフェイン、および前述の活性剤のいずれかの任意の組合せが挙げられる。
【0066】
本発明において有用な適切な日焼け止め剤または活性物質として、UV−AやUV−Bなどの紫外(UV)線を吸収、散乱、または遮断する任意の微粒子日焼け止め活性物質が挙げられる。適切な微粒子日焼け止め剤の非限定的な例には、クレー、寒天、グアール、ナノ粒子、未変性デンプンおよび化工デンプン、変性セルロース、酸化亜鉛、および二酸化チタン、ならびに前述の日焼け止め剤の任意の組合せが含まれる。化工デンプンとしては、例えば、DRY−FLO(登録商標)PC滑沢剤(オクテニルコハク酸デンプンエステルアルミニウム)、DRY−FLO(登録商標)AF滑沢剤(変性コーンスターチ)、DRY−FLO(登録商標)ELITE LL滑沢剤(オクテニルコハク酸デンプンエステルアルミニウム(および)ラウリルリシン)、DRY−FLO(登録商標)ELITE BN滑沢剤(オクテニルコハク酸デンプンエステルアルミニウム(および)窒化ホウ素)が挙げられ、すべてNational Starch and Chemical Companyから市販されている。
【0067】
日焼け止め剤には、UV線と、これを適用する表面の間に物理的および/または化学的遮断相を形成するものを含めることもできる。適切な日焼け止め剤の非限定的な例として、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(オクチノキセート)、サリチル酸エチルヘキシル(オクチサレート)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシジベンゾイルメタン、アボベンゾン、ベンゾフェノン−3(オキシベンゾン)、オクトクリレン、アミノ安息香酸、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メチル、オクトクリレン、オクチサレート、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、および前述の日焼け止め剤のいずれかの任意の組合せが挙げられる。
【0068】
化粧およびパーソナルケア組成物は、1種または複数の美的エンハンサー(すなわち、組成物を適用する表面に、望ましい触覚、視覚、味覚、および/または嗅覚特性を付与する材料)を場合により含んでよく、親水性でも、または疎水性でもよい。本発明における使用に場合により適する市販の美的エンハンサーの、INCI名を付記した非限定的な例として、National Starch and Chemical Companyから入手可能である、PURITY(登録商標)21Cデンプン(トウモロコシデンプン(コーンスターチ))およびTAPIOCA PURE(タピオカデンプン)ならびにこれらの組合せが含まれる。
【0069】
適切なコンディショニング剤としては、これらだけに限定するものではないが、シクロメチコン、ワセリン、ジメチコン、ジメチコノール、シクロペンタシロキサンやジイソステアロイルトリメチロールプロパンシロキシシリケートなどのシリコーン、ヒアルロン酸ナトリウム、パルミチン酸イソプロピル、大豆油、リノール酸、PPG−12/飽和メチレンジフェニルジイソシアネートコポリマー、尿素、アモジメチコン、トリデセス−12、塩化セトリモニウム、ジフェニルジメチコン、プロピレングリコール、グリセリン、ヒドロキシアルキル尿素、トコフェロール、第四級アミン、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0070】
化粧およびパーソナルケア組成物は、1種または複数の補助剤、例えば、pH調整剤、緩和剤、湿潤剤、コンディショニング剤、保湿剤、キレート剤、噴射剤、レオロジー改質剤および乳化剤、例えばゲル化剤、着色剤、香料、臭気マスキング剤、UV安定剤、保存剤、および前記補助剤のいずれかの任意の組合せを場合により含んでよい。pH調整剤の例としては、これらだけに限定するものではないが、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、クエン酸、水酸化ナトリウム、酢酸、水酸化カリウム、乳酸、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0071】
化粧およびパーソナルケア組成物は、保存剤も含有してよい。適切な保存剤として、これらだけに限定するものではないが、クロルフェネシン、ソルビン酸、エチレンジニトリロ四酢酸二ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、フィチン酸、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。本発明の一実施形態では、化粧およびパーソナルケア組成物は、一般に、組成物全体の重量100%に対して約0.001重量%〜約20重量%の保存剤を含有する。別の実施形態では、組成物は、組成物全体の重量100%に対して約0.1重量%〜約10重量%の保存剤を含有する。
【0072】
化粧およびパーソナルケア組成物は、増粘剤またはゲル化剤を場合により含有してもよい。そのようなゲル化剤の例としては、これらだけに限定するものではないが、B.F.Goodrich(オハイオ州クリーヴランド)から入手可能なアクリル系Carbopol(登録商標)シリーズの増粘剤などの合成ポリマー、およびRohm&Haas(ペンシルヴェニア州フィラデルフィア)から入手可能なAculyn(商標)などの結合増粘剤が挙げられる。他の代表的なゲル化剤として、誘導体化されたヒドロキシエチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、アセチル化デンプンなどのデンプン系増粘剤、寒天、アルギン、アラビアゴム、グアーガム、キサンタンガムなどの自然に存在するゴム質が挙げられる。増粘剤およびレオロジー改質剤として、限定はしないが、アクリレーツ/ステアレス−20イタコネートコポリマー、アクリレーツ/セテス−20イタコネートコポリマー、変性バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、アクリレーツ/アミノアクリレート/C10〜30アルキルPEG−20イタコネートコポリマー、カルボマー、アクリレーツ/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルアミド(および)C13〜14イソパラフィン(および)ラウレス−7、アクリルアミドコポリマー(および)鉱油(および)C13〜14イソパラフィン(および)ポリソルベート85、ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロールジメチルタウレートコポリマー、およびヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロールジメチルタウレートコポリマーも挙げることができる。
【0073】
本発明の一実施形態では、化粧およびパーソナルケア組成物は、毛髪用化粧組成物である。任意選択の従来の添加剤を本発明の毛髪用化粧組成物に混ぜて、組成物に特定の改質特性をもたせることもできる。それら添加剤には、シリコーンおよびシリコーン誘導体;湿潤剤;保湿剤;可塑剤、例えば、グリセリン、グリコール、フタル酸エステル、およびエーテル;緩和剤、滑沢剤、および浸透剤、例えば、ラノリン化合物;香料および着香剤;UV吸収剤;染料、顔料、および他の着色剤;防食剤;酸化防止剤;脱粘着剤(detackifying agent);櫛通し助剤(combing aid)およびコンディショニング剤;静電防止剤;中和剤;つや出し剤(glossifier);保存剤;タンパク質、タンパク質誘導体、およびアミノ酸;ビタミン;乳化剤;界面活性剤;粘度調整剤、増粘剤、およびレオロジー改質剤;ゲル化剤;乳白剤;安定剤;金属イオン封鎖剤;キレート剤;パール化剤;美的エンハンサー;脂肪酸、脂肪族アルコール、およびトリグリセリド;植物抽出物;皮膜形成剤;および清澄化剤が含まれる。これら添加剤は、その機能を実現する少ない有効量で存在し、一般に、組成物の重量に対してそれぞれ約0.01〜約10重量%、かつ合計で約0.01〜約20重量%を占めることになる。
【0074】
毛髪用化粧組成物は、場合によりムースでもよい。ムースでは、溶媒は、当業界で知られているどんな溶媒を使用してもよいが、低級(C1〜4)アルコール、詳細にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはブタノールとすることができる。
【0075】
場合により、本発明の一実施形態は、スプレーからなるものでもよい。スプレーでは、噴射剤は、任意の任意選択の(1種または複数の)噴射剤を含む。そのような噴射剤として、限定はしないが、ジメチルエーテルなどのエーテル;C〜C直鎖および分枝鎖炭化水素などの1種または複数の低沸点炭化水素、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン;液化ガスとして存在する、フルオロ置換炭化水素、例えば1,1−ジフルオロエタンや1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素;および圧縮ガス、例えば、窒素、空気、二酸化炭素が挙げられる。
【0076】
本発明の実施形態では、アニオン性および非アニオン性両方のハイブリッドコポリマー組成物を包含するハイブリッドコポリマー組成物は、潜在的に検出可能であり、これは、ハイブリッドコポリマー組成物を光活性化剤と接触させるまで、組成物が可視光線範囲では検出可能とならないことを意味する。本明細書における定義では、「光活性化剤」とは、有効量で存在するとき、ハイブリッドコポリマー組成物と反応し、それによって、ハイブリッドコポリマー組成物を、例えば硫酸およびフェノールで活性化されたときに約300〜約800ナノメートルの範囲を強力に吸収する化学種へと変換する、1種または複数の適切な試薬である。本発明の一実施形態では、活性化されたハイブリッドコポリマー組成物は、約400〜約700ナノメートルの範囲に吸収を有する。
【0077】
本発明の潜在的に検出可能な部分は、特にそれが糖または多糖部分であるとき、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から形成される。光活性化剤は、硫酸とフェノールの組合せでよい(Duboisら、Anal. Chem. 28 (1956) p. 350およびその全体が参照により本明細書に援用される米国特許第5,654,198号の実施例1を参照されたい)。潜在的に検出可能な部分で典型的にタグ付けされたポリマーは、そうした基をもたないポリマーと比較したとき、効力の低下を示す。このことは、潜在的に検出可能な部分の重量パーセントがポリマーの10または20パーセントを上回るときに特に当てはまる。しかし、本発明のハイブリッドコポリマー組成物は、潜在的に検出可能な部分を50パーセント以上含んでいても、申し分なく機能することがわかった。したがって、良好な性能および迅速な検出性という利点が得られ、それによって、系をモニターし、スケールコントロールポリマーを過剰に適用せずにスケールをコントロールすることが可能になる。
【0078】
本発明の別の実施形態では、エステルハイブリッドコポリマー組成物のエチレン不飽和モノマーは、場合により少なくとも1種のエステルモノマーから誘導されたものでもよい。代表的なエステルモノマーとして、これらだけに限定するものではないが、ジカルボン酸から誘導されたエステルならびにヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。ジカルボン酸から誘導された適切なエステルモノマーとしては、これらだけに限定するものではないが、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノメチルイタコネート、ジメチルイタコネート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、モノエチルイタコネート、ジエチルイタコネート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート、モノブチルイタコネート、およびジブチルイタコネートが挙げられる。適切なヒドロキシアルキルエステルとしては、これらだけに限定するものではないが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0079】
さらに別の態様では、本発明は、ハイブリッドコポリマー組成物の調製方法に関する。ハイブリッドコポリマー組成物の調製方法は、少なくとも1種のモノマーを、次亜リン酸ナトリウムなどの第2の連鎖移動剤を少量しか含まない天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の溶液と反応させるステップを含む。本発明の一実施形態では、第2の連鎖移動剤は、ハイブリッドポリマーの20重量パーセント未満でよい。別の実施形態では、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤の溶液は、第2の移動剤を実質的に含有していなくてよい。この方法は、金属イオン開始系を実質的に含有しない開始剤を、前記開始剤を活性化するのに十分な温度で用いて重合ステップを触媒するステップをさらに含んでもよい。
【0080】
さらに別の態様では、本発明は、ハイブリッドコポリマー組成物またはアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物とビルダーまたはキレート剤のブレンドに関する。本発明で使用するのに適する代表的なキレート剤としては、これらだけに限定するものではないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類クエン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類ケイ酸塩、グルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)、メチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)、およびこれらの組合せが挙げられる。本発明による一実施形態では、ブレンドは、ハイブリッドコポリマーとビルダーまたはキレート剤からなる均質な分散体を含む微粒子でよい。また微粒子は、粉体でも粒体でもよい。
【0081】
さらに別の態様では、ハイブリッドコポリマー組成物中の天然含ヒドロキシ連鎖移動剤が糖または多糖であるとき、本発明は、ハイブリッドコポリマー中の100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数に関する。本明細書では、用語「既反応無水グルコース単位」とは、ハイブリッドコポリマー組成物中の、グルコースに加水分解されない任意の無水グルコース単位を意味する。こうした既反応無水グルコース単位としては、それら単位に結合している合成鎖、ならびに無水グルコースラジカルと他のラジカルの化合、無水グルコース単位への合成モノマーの付加などの過程で生じ得る他の副反応を有するものが挙げられる。ハイブリッド中の100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、もっとも好ましくは4以上である。
【0082】
さらに別の態様では、本発明は、アニオン性基とカチオン性基両方を含む「両性ハイブリッドコポリマー組成物」に関する。アニオン性部分が天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤上にあり、カチオン性部分が合成構成要素上にあってもよいし、またはカチオン性部分が天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤上にあり、アニオン性部分が合成構成要素上にあってもよいし、またはこれらの組合せでもよい。天然構成要素が多糖であるとき、アニオン性材料を酸化デンプンとし、カチオン性部分をジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性エチレン不飽和モノマーから誘導することができる。あるいは、酸化デンプンそれ自体をまず、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性置換基と反応させ、次いでアニオン性もしくはカチオン性合成モノマーまたはこれらの混合物と反応させてもよい。別の実施形態では、カチオン性デンプンをアニオン性モノマーと反応させることができる。最後に、カチオン性部分とアニオン性部分がこうしたポリマーの合成構成要素上にあってもよい。アニオン性基およびカチオン性基両方を含むこうした両性ハイブリッドコポリマー組成物は、洗剤配合物において分散剤およびクリーニング助剤として特に有用である。これらポリマーは、天然構成要素と合成構成要素の両方を含むと理解される。カチオン性部分は、アニオン性部分の0.001〜40モル%の範囲で存在することが好ましく、カチオン性部分は、より好ましくはアニオン性部分の0.01〜20モル%の範囲で存在し、カチオン性部分は、もっとも好ましくはアニオン性部分の0.1〜10モル%の範囲で存在する。カチオン性エチレン不飽和モノマーから生成されたポリマーは、毒性および環境プロフィールが十分ではない傾向がある。したがって、両性ハイブリッドコポリマー組成物中のカチオン性エチレン不飽和モノマーのレベルを最小限に抑える必要がある。本発明の一実施形態では、カチオン性エチレン不飽和モノマーを使用して両性グラフトコポリマー組成物を製造するとき、カチオン性エチレン不飽和モノマーの存在は、アニオン性エチレン不飽和モノマーの10モル%までにすることが好ましく、より好ましくは、カチオン性エチレン不飽和モノマーの存在は、アニオン性エチレン不飽和モノマーの6モル%までにすることが好ましく、もっとも好ましくは、カチオン性エチレン不飽和モノマーの存在は、アニオン性エチレン不飽和モノマーの5モル%までにすることが好ましい。
【0083】
さらに別の態様では、本発明は、トウモロコシから生成されたイタコン酸や発酵によって生成されたアクリルアミドなど、天然供給源から生成されたモノマーから誘導されたアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物に関する。アクリルアミドは、重合後にアクリル酸に加水分解して、アニオン性官能基に導入することができる。当業者であれば、天然供給源から生成されたモノマーによって、本発明のポリマーの再生可能炭素含有量は増加することを理解しよう。
[実施例]
【0084】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。本発明の幅および範囲は、本明細書に添付する特許請求の範囲によってのみ限定される。
[実施例1]
【0085】
80重量パーセントの連鎖移動剤を含有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、連鎖移動剤としてのマルトース200グラム(Cargill Sweet Satin Maltose 80%水溶液、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水120グラム中にアクリル酸40グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液20グラムを加えてポリマーを部分的に中和した。最終生成物は、固体31%を含む淡黄色の溶液であった。
[実施例2]
【0086】
95重量パーセントの多糖官能基を有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン190グラム(Cargill MD(商標)01918デキストリン、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapidss)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、95℃に加熱した。引き続いて、水75gに溶解させたアクリル酸10グラムを含有するモノマー溶液を1時間かけて反応器に加えた。水25グラム中に過硫酸ナトリウム0.5グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時にではあるが、1時間10分かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに30分間95℃に保った。次いで、NaOHを水40グラムに溶解させた50%溶液5グラムを加えてポリマーを部分的に中和した。
[実施例3]
【0087】
85重量パーセントのマルトース官能基を有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、連鎖移動剤としてのマルトース213グラム(Cargill Sweet Satin Maltose 80%水溶液、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水180グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水60グラム中にアクリル酸30グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液15グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、最終生成物は澄んだ琥珀色の溶液となった。
[実施例4]
【0088】
85重量パーセントの多糖官能基を有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン213グラム(Cargill Sweet Satin Maltose 80%水溶液、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水180グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水100グラムに溶解させたアクリル酸30グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液15グラムを加えてポリマーを中和し、最終生成物は琥珀色の溶液となった。
[実施例5]
【0089】
90重量パーセントのマルトース官能基を有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、連鎖移動剤としてのマルトース225グラム(Cargill Sweet Satin Maltose 80%水溶液、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水115グラム中にアクリル酸20グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液10グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、最終生成物は澄んだ黄色の溶液となった。
【0090】
[実施例6]
【0091】
連鎖移動剤として80重量パーセントの多糖を用いたアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン160グラム(STAR−DRI180 DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水120グラム中にアクリル酸40グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液20グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、最終生成物は淡黄色の溶液となった。
[実施例7]
【0092】
連鎖移動剤として90重量パーセントの多糖を用いたアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン180グラム(STAR−DRI180 DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、水115グラム中にアクリル酸20グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液10グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、最終生成物は澄んだ黄色の溶液となった。
[実施例8]
【0093】
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の分散性評価
実施例6および7のポリマーをクレー懸濁/分散試験において評価した。いかなるポリマーも含まない対照も試験した。これらの材料をポリアクリル酸ナトリウムサンプル(NaPAA)(ALCOSPERSE(登録商標)602N、Akzo Nobel Surface Chemistry(テネシー州チャタヌーガ)から入手可能)と比較した。サンプルは、2%のクレー(50:50 ローズクレー:Spinks Blendクレー)を脱イオン水に加えることにより調製した。次いでサンプルを磁気撹拌プレート上で20分間撹拌し、その後0.1%の活性ポリマーを加え、サンプルをもう1分間撹拌した。次いで懸濁液を100mlのメスシリンダーに注ぎ、1時間静置した。次いで、1を分散性なしとし、5を非常に良好な分散性とする1〜5の尺度により分散性能を評価した。結果を表2に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
上記表2のデータは、本発明のポリマーが優れた分散剤であることを示している。本発明のポリマーは、80%および90%の多糖を含有しているが、多糖それ自体は分散性能をもたないので、このことは特に注目に値する。さらに、こうしたポリマーの性能は、この種の用途において通常使用される合成ポリマー(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)に匹敵する。
[実施例9]
【0096】
85重量パーセントの天然多糖官能基を有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン170グラム(Cargill MD(商標)01918デキストリン、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水250グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、60グラム中にアクリル酸30グラムを含有するモノマー溶液を90分間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を90分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液30グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、この溶液のpHは7となった。
[実施例10〜15]
【0097】
実施例10〜15については、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)の形のスルホン化モノマーを、表3で確認される異なるレベルで使用したが、上記実施例9の手順を繰り返した。このモノマーは、50%水溶液として入手可能であるが、次いでこれをアクリル酸と混合し、このモノマー混合物を上述のように90分かけて反応器に供給した。
【0098】
【表4】

[実施例16]
【0099】
次いで、実施例9〜15のポリマーを、表4でそれぞれブライン1、2および3と称する3種の異なるブラインで試験した。
【0100】
【表5】

【0101】
データは、アクリル酸およびスルホネートモノマーと85重量パーセントの多糖連鎖移動剤とを含有する本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物が、ブラインと相溶性であることを示している。しかし、対応する合成ホモポリマーは、ブラインと相溶性ではない。
[実施例17]
【0102】
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン158グラム(Cargill MD(商標)01960 DE11、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水155グラムに溶解させ、85℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸39グラムおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの50%溶液27.5グラムを含有するモノマー溶液を180分間かけて反応器に加えた。水33グラム中に過硫酸ナトリウム8.3グラムを含む開始剤溶液を195分間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに30分間85℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液14.5グラムおよび水66グラムを加えてポリマーを部分的に中和した。
[実施例18]
【0103】
実施例17の75重量パーセントのマルトデキストリンを含有するスルホン化アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物および市販のスルホン化合成ポリマー(アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのコポリマーである、Alco Chemicalから入手可能なAquatreat545)のブライン相溶性を、その組成を表5に記載するブライン3で試験した。これらの相溶性試験についてのデータを以下に示す。
【0104】
【表6】

【0105】
これらのデータは、本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物が極めてブライン相溶性である一方、対応する合成ポリマーはそうではないことを示している。
[実施例19]
【0106】
多糖連鎖移動剤ならびに第2の連鎖移動剤を含有するハイブリッドコポリマー組成物の合成方法
多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン221グラム(STAR−DRI100 DE10噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能、Mw62743、Mn21406)および第2の連鎖移動剤としての次亜リン酸ナトリウム二水和物40g(ポリマーの総重量の約7.7重量%)を反応器中の水350グラムに溶解させ、75℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸221グラムを含有するモノマー溶液を3時間かけて反応器に加えた。モノマー溶液と同時に、水80グラム中に過硫酸ナトリウム11グラムを含む開始剤溶液を3.5時間かけて反応器に加えた。反応生成物をさらに60分間75℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液80グラムを加えてポリマーを部分的に中和し、最終生成物は澄んだ黄色の溶液となった。
[実施例20]
【0107】
エステルハイブリッドコポリマー組成物の合成
モノメチルマレエート(エステルモノマー)45.9グラムを水388グラムに溶解させた。水酸化アンモニウム15.3グラムを加え、混合物を87Cに加熱した。DE18のマルトデキストリン85グラム(Cargill MD(商標)01918、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)は、モノマーおよび開始剤の供給を開始する直前に加えた。アクリル酸168グラムとヒドロキシエチルメタクリレート(エステルモノマー)41.0グラムの混合物を含有するモノマー溶液を反応器に5時間かけて加えた。水99グラムに溶解させたエリソルビン酸21グラムを含む第1の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。第三級ブチルヒドロペルオキシドを水109グラムに溶解させた70%溶液21グラムを含む第2の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。反応生成物を30分間87℃に保った。最終生成物は、澄んだ淡い琥珀色の溶液であり、34.1%の固体を含んでいた。
[実施例21]
【0108】
以下に記載の手順を使用して、実施例20のエステルハイブリッドコポリマー組成物を硫酸バリウム抑制について評価した。
【0109】
第1部:溶液調製
1.合成北海海水(SW)ブラインを調製する。
a.ガラス製メスフラスコに、表6で確認される以下の塩を加え、脱イオン水でメスアップする。すべて+/−0.01グラムで秤量する。
b.酢酸1滴を加えてSWを緩衝剤処理し、次いで飽和酢酸ナトリウム溶液でpHを調整してpH6.1とする。加えた量を記録する。
c.ブラインを0.45μmの膜フィルターで真空濾過して、試験の再現性に影響を及ぼしかねないいかなる塵粒子も除去する。
【0110】
【表7】

2.標準Forties累層水(FW)ブラインの調製
a.ガラス製メスフラスコに、表7で確認される以下の塩を加え、脱イオン水でメスアップする。すべて+/−0.01グラムで秤量する。
b.酢酸1滴を加えてSWを緩衝剤処理し、次いで飽和酢酸ナトリウム溶液でpHを調整してpH6.1とする。加えた量を記録する。
c.ブラインを0.45μmの膜フィルターで真空濾過して、試験の再現性に影響を及ぼしかねないいかなる塵粒子も除去する。
【0111】
【表8】

3.試験する各防止剤について、1%(10,000ppm)の活性ポリマー溶液を調製する。
a.示されたグラム数のポリマーをメスフラスコに量り入れ、緩衝剤処理した濾過海水でメスアップする。
必要となるポリマーのグラム数(g)は、以下の式によって算出することができる。
g=(V×C)/S、ここで、
Vは、メスフラスコのmLでの体積であり、
Cは、必要なポリマーの(重量%としての)濃度であり、
Sは、ポリマーの(重量%での)固体(活性物質)含有量である。
例:ポリマーは固形分が35%である。1wt%(10,000ppm)溶液100mLを作製するには:
100mLの海水中にg=(100×1)/35=2.857gのポリマー
4.緩衝剤溶液を調製する
a.脱イオン水100gに8.2gの無水酢酸ナトリウムを加える。
5.不活化用溶液を調製する。冷却されると硫酸バリウムが直ちに生成するので、試験終了後のさらなる沈殿を防止するのに有効適用量のスケール防止剤が必要となる。
a.3Lのメスフラスコに9gのKClを加える。脱イオン水で溶解させる。
b.1活性wt%のALCOFLOW615(約67.5グラム)を加える。
3000mL中にg=(3000×1)/44.4=67.57gのポリマー
c.脱イオン水でメスアップする。
【0112】
第2部:試験準備
6.40mLのガラス製バイアルに試験する防止剤名および濃度のラベルを貼り、1から最大30サンプルの番号を付ける。番号は、試験の実施順序を示すものになる。
7.1〜3番の各バイアルに脱イオン水15mLを加える。これらは全量を出すのに使用する。
8.4〜30番の各バイアルに、15mLのSWを加える。
9.第2のガラス製バイアル一式に「FW」のラベルを貼る。
10.各バイアルに15mLのFWを加える。
11.FWおよびSWバイアルをインキュベーターまたはオーブンに入れるが、加熱はしない。
【0113】
第3部:試験期間
12.インキュベーターをオンにし、80Cに加熱するようにセットする。
13.試験用のSWを調製する。7〜30番の各SWバイアルに、
a.酢酸ナトリウム緩衝溶液0.3mLを加える。
b.サンプル30mLに対して所望の濃度を実現する適量のスケール防止剤溶液を加える。
必要となる防止剤溶液のマイクロリットル数(μl)は、以下の式によって算出することができる。
μl=[(V×C)/C]×1000、ここで、
は、試験サンプル(SW+FW)のmLでの体積であり、
は、所望のポリマーの(ppmでの)濃度
は、防止剤溶液中の活性ポリマーの濃度である。
例:所望の試験濃度は、30mLのサンプルサイズ(SW+FW)中50ppmである。10,000ppm(1%)のポリマー溶液を使用すると:
μl=[(30×50)/10,000]×1000=150μl
14.1〜6番の各SWバイアルに、
a.酢酸ナトリウム緩衝溶液0.3mLを加える。
b.サンプル調製に使用した平均量のスケール防止剤溶液の代わりに、同等量の水を加える。
c.バイアル1〜3は、全量試験のBa ppmの決定に使用する。
d.バイアル4〜6は、空試験のBa ppmの決定に使用する。
15.溶液を最低2時間加熱する。
16.2時間終了の時点で、1個の「FW」バイアルおよびラベル番号1のSWをインキュベーター/オーブンから取り出す。
17.「FW」バイアルの中身をこの処理されたSW中に注ぐ。
18.サンプル1をインキュベーター/オーブンに戻す。
19.タイマーをセットして2時間のカウントを開始する(この時間は肝心である)。
20.1分が経過したとき、1個の「FW」バイアルおよび2番ラベルのSWをインキュベーター/オーブンから取り出す。
21.サンプル2をインキュベーター/オーブンに戻す。
22.各「FW」を番号付きのバイアルに加えきるまで、サンプル間に1分の間隔を挟みながら、残りの番号のバイアルでステップ17〜19を繰り返す。
23.試験管一式に防止剤情報または実施番号のラベルを貼る。これらは濾過ステップに使用する。
24.不活性化溶液5g+/−0.02gを各バイアルに量り入れる。
【0114】
第4部:濾過
25.2時間が経過したとき、インキュベーター/オーブンから1番バイアルを取り出す。
26.バイアルに貼られたラベルが一致することを確認しながら、約5g(重量を記録する)を、予め調製しておいた不活性化溶液含有バイアルに濾過する。
a.開いた不活性化溶液含有バイアルを秤に載せる。
b.サンプルを5mLのluer−lokシリンジに抜き取る。
c.シリンジに0.45μmの膜シリンジフィルターを取り付ける。
d.濾液5グラムをバイアルに量り入れる。加えた濾液のグラム数を記録する(ppm補正のため)。
27.この過程を1分の間隔を挟んで各サンプルで繰り返して、各サンプルが正確に2時間試験条件下に置かれるようにする。
【0115】
第5部:ppmの決定
28.バリウムの濃度は、ICPによって決定すべきである。試験日にすべてのサンプルを試験すべきである。
29.防止パーセントは、以下の計算によって算出することができる。
防止%=((S*d)−B)/(T−B)、ここで、
S=サンプル中のBa ppmであり、
d=希釈倍率(濾液グラム数+不活性化溶液5グラム)/濾液グラム数であり、
B=空試験のBa ppmであり、
T=全量試験のBa ppmである。
【0116】
追加の試験情報:
サンプルマトリックス:
【0117】
【表9】

必要な材料:
塩化カルシウム二水和物
塩化ナトリウム
塩化マグネシウム六水和物
塩化カリウム
塩化バリウム二水和物
硫酸ナトリウム
酢酸
酢酸ナトリウム
被評価ポリマー
ALCOFLOW615
必要な器具:
化学はかり
サンプルバイアル
【0118】
以下の表9のデータは、ハイブリッド材が優れた硫酸バリウム抑制剤であり、この目的で使用されている市販の合成ポリマーと比べても性能は完全に引けをとらないことを示している。
【0119】
【表10】

【0120】
表12で明らかにするとおり、以下に概略を示す試験を使用して、実施例19および20のポリマーを炭酸カルシウム抑制についても試験した。
【0121】
炭酸カルシウム抑制試験プロトコール:
以下の表10および11に記載する成分および量を使用して、脱イオン(DI)水中に硬度溶液およびアルカリ度溶液1リットルを調製した。
【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
脱イオン水で希釈した1%の活性ポリマーを加えることにより、100mlのポリマー溶液を調製した。
【0125】
100mlのメスフラスコにおいて、硬度溶液1.2グラム、所望の濃度のポリマー溶液(100マイクロリットルのポリマー溶液=処理水溶液中10ppmのポリマー)、およびアルカリ度溶液1.2グラムを加え、脱イオン水を使用して全溶液を100mlにすることにより、被験ポリマーを含有するサンプル溶液を調製した。空試験溶液を、ポリマーを加えず上記サンプル溶液のように調製した。ポリマーを加えず、アルカリ度溶液を脱イオン水で置き換えて、全量試験溶液も上記サンプル溶液のように調製した。サンプルを50C、250rpmで17時間、ふたをせずにシェーカーオーブン(New Brunswick Scientific Co.,Inc.(ニュージャージー州Edison)のClassic C24 Incubator Shakerモデル)に入れておいた。
【0126】
サンプルを取り出し、周囲温度に冷まし、次いで各サンプル1mLを0.2ミクロンのフィルターシリンジで濾過し、2.5%の硝酸溶液で合計10グラムに希釈した。
【0127】
ICP−OES(Perkin Elmer Instruments(カリフォルニア州コヴィーナ)のOptima 2000DVモデル、1ppmのLi、10ppmのCaを低濃度標準物質とし、2ppmのLi、20ppmのCaを高濃度標準物質とした)によって、サンプル溶液、空試験溶液、および全量試験溶液をカルシウムおよびリチウムについて分析した。濾過過程の際の希釈を考慮した後、炭酸カルシウム抑制%を以下の式によって求めた。
【0128】
【数1】

ここで、[Ca]サンプル、[Ca]ブランク、[Ca]全量は、それぞれサンプル、空試験、および全量試験溶液中のカルシウムの濃度であり、[Li]サンプル、[Li]全量は、それぞれサンプル溶液および全量試験溶液中のリチウムの濃度である。
【0129】
この手順は、本特許出願の他の実施例における炭酸塩抑制の測定にも使用したものである。
【0130】
【表13】

【0131】
これらのデータからは、エステルモノマーを含有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、45〜50パーセントの多糖連鎖移動剤を含んでいたとしても、合成ポリマーと同様に機能することが示唆される。これらの実施例で使用した多糖は、いかなる抑制性能も備えておらず、さらにハイブリッドコポリマー組成物の性能は、非常に低レベルで使用しても低下しなかったので(炭酸カルシウム抑制ポリマーの典型的な最終用途レベルは10〜15ppmである)、これは非常に注目すべきことである。
[実施例22]
【0132】
米国特許第5,654,198号の実施例1の手順を使用し、Duboisら(Anal Chem. 1956, 28, 350)の手順に従って、実施例20のハイブリッドコポリマー組成物の検出性を表13に示すとおりに試験した。
【0133】
【表14】

【0134】
データは、実施例20のハイブリッドコポリマー組成物が、U.S.5,654,198実施例1のモノマーAタグよりも有意に高い検出性を有することを示している。さらに、モノマーAは、スケールコントロールポリマーに約10重量パーセントで混ぜられているにすぎない。したがって、本発明のハイブリッドコポリマー組成物の検出性は、US米国特許第5,654,198号の検出性よりはるかに優れている。
[実施例23]
【0135】
実施例20で合成したハイブリッドコポリマー組成物をエチレングリコールへの相溶性について試験した。
【0136】
【表15】

【0137】
これらのデータは、本発明のハイブリッドコポリマー組成物がエチレングリコールに極めて可溶性であることを示している。
[実施例24]
【0138】
実施例20のハイブリッドコポリマー組成物のメタノールへの相溶性を一連の濃度で試験した。
【0139】
【表16】

【0140】
これらのデータは、実施例20のハイブリッドコポリマー組成物がメタノールに極めて可溶性であることを示している。
[実施例25]
【0141】
表15に示すように、エステルハイブリッドコポリマー組成物(配合A)、およびスルホネートモノマーを含むアニオン性ハイブリッドコポリマー(配合B)を含有する、無リン酸塩自動皿洗い配合物の配合をたてた。
【0142】
【表17】

[実施例26]
【0143】
エステルハイブリッドコポリマー組成物の合成
ジメチルマレエート(エステルモノマー)34グラムを水150グラムに溶解させる。水酸化アンモニウム5.4グラムを加え、混合物を87Cに加熱する。DE18のマルトデキストリン170グラム(Cargill MD(商標)01918、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を、モノマーおよび開始剤の供給を開始する直前に加える。アクリル酸132.6グラムとヒドロキシエチルメタクリレート(エステルモノマー)3.4グラムの混合物を含有するモノマー溶液を反応器に5時間かけて加えた。水99グラムに溶解させたエリソルビン酸21グラムを含む第1の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。第三級ブチルヒドロペルオキシドを水109グラムに溶解させた70%溶液21グラムを含む第2の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。反応生成物を60分間87℃に保った。最終生成物は、澄んだ淡い琥珀色の溶液であり、42.0%の固体を含んでいた。
[実施例27]
【0144】
エステルハイブリッドコポリマー組成物の合成
モノメチルマレエート(エステルモノマー)102グラムを水150グラムに溶解させた。水酸化アンモニウム5.4グラムを加え、混合物を87Cに加熱した。DE18のマルトデキストリン170グラム(Cargill MD(商標)01918、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を、モノマーおよび開始剤の供給を開始する直前に加えた。アクリル酸64.6グラムとヒドロキシプロピルメタクリレート3.4グラムの混合物を含有するモノマー溶液を反応器に5時間かけて加えた。水99グラムに溶解させたエリソルビン酸21グラムを含む第1の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。第三級ブチルヒドロペルオキシドを水109グラムに溶解させた70%溶液21グラムを含む第2の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。反応生成物を60分間87℃に保った。最終生成物は、澄んだ淡い琥珀色の溶液であり、41.5%の固体を含んでいた。
[実施例28]
【0145】
無リン酸塩自動皿洗い粉末配合物
【0146】
【表18】

[実施例29]
【0147】
再汚染防止
本発明のアニオン性ハイブリッドコポリマーの再汚染防止特性を、一般的な粉末洗剤配合物で試験した。粉末洗剤配合は以下のとおりである。
【0148】
【表19】

【0149】
試験は、3枚の綿スワッチおよび3枚のポリエステル/綿スワッチを使用して、実物大の洗濯機で実施した。使用した汚れは、17.5gのローズクレー、17.5gのSpinks Blendクレー、および6.9gのオイルブレンド(75:25 植物油/鉱油)とした。試験は、洗濯1回分あたり100gの粉末洗剤を使用して、3サイクル実施した。ポリマーは、洗剤の1.0重量%で適用した。洗濯条件は、温度33.9℃(93°F)、硬度150ppm、10分の洗浄サイクルを使用するものとした。
【0150】
分光光度計を使用して、第1サイクルの前および第3サイクルの後のL(輝度)a(色構成要素)b(色構成要素)値を、それぞれL、a、bおよびL、a、bとして測定した。次いで、以下の式を使用してΔE(色差)値を算出した。
ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b0.5
表16に示すデータから、本発明のアニオン性ハイブリッドポリマーは、洗浄液中の濃度が低くても、再汚染防止/汚れ浮遊化特性を示すことが示唆される(ΔEが低いほど、再汚染防止特性が良好であることを示す)。
【0151】
【表20】

[実施例30]
【0152】
多糖連鎖移動剤を含有する非イオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン50グラム(STAR−DRI180 DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を反応器中の水150グラムに溶解させ、75℃に加熱した。引き続いて、ヒドロキシエチルアクリレート50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に50分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水30グラム中に2グラムのV−50[和光純薬工業株式会社(ヴァージニア州リッチモンド)の2,2’−アゾビス(2アミジノ−プロパン)二塩酸塩アゾ開始剤]を含む開始剤溶液を反応器に60分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間75℃に保った。最終生成物は、ほとんど水様の澄んだ白色の溶液であった。
[実施例31]
【0153】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン150グラム(Cargill MD(商標)01918デキストリン、一般的なコーンスターチを酵素的に変換して得られる噴霧乾燥マルトデキストリン、Cargill Inc.(アイオワ州Cedar Rapids)から入手可能)を反応器中の水200グラムに溶解させ、HCl(37%)70gを加え、98℃に加熱した。引き続いて、水160グラムに溶解させたジメチルアミノエチルメタクリレート109グラムを含有するモノマー溶液を反応器に90分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水40グラム中に過硫酸ナトリウム6.6グラムを含む開始剤溶液を反応器に90分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。次いで、NaOHの50%溶液14グラムを加えて反応生成物を中和し、最終生成物は琥珀色の溶液となった。
[実施例32]
【0154】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
アミオカデンプン35グラムを反応器中の水88グラムに分散させ、52に加熱した。濃硫酸(98%)1.07グラムを加えてデンプンを解重合させた。懸濁液を1.5時間52℃に保った。次いで、50%NaOH溶液1.84グラムで反応を中和し、温度を15分間90℃に上げた。この過程の間にデンプンはゲル化し、粘度が増大し、ゲルが生成する。ゲル化が完了した後、粘度は低下した。温度を72〜75℃に下げた。ジメチルジアリルアンモニウムクロリド80.7グラムの溶液(62%水溶液)を反応器に30分間かけて加えた。水20グラム中に過硫酸ナトリウム0.2グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に35分間かけて加えた。反応生成物をさらに2時間98℃に保った。最終生成物は、わずかに不透明の黄色の溶液であった。
[実施例33]
【0155】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
アミオカデンプン35グラムを反応器中の水88グラムに分散させ、52に加熱した。濃硫酸(98%)0.52グラムを加えてデンプンを解重合させた。これは、実施例32で使用した酸の半分であり、デンプンはより少ない程度にしか解重合しないため、より高分子量となる。したがって、多糖連鎖移動剤の分子量を制御することができる。懸濁液を1.5時間52℃に保った。次いで50%NaOH溶液0.92グラムで反応を中和し、温度を15分間90℃に上げた。この過程の間にデンプンはゲル化し、粘度が増大し、ゲルが生成した。ゲル化が完了した後、粘度は低下した。反応液を水30グラムで希釈し、温度を72〜75℃に下げた。ジメチルジアリルアンモニウムクロリド80.7グラムの溶液(62%水溶液)を反応器に30分間かけて加えた。水20グラム中に過硫酸ナトリウム0.2グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に35分間かけて加えた。反応生成物をさらに2時間98℃に保った。最終生成物は、澄んだ淡黄色の溶液であった。
[実施例34]
【0156】
多糖(イヌリン)連鎖移動剤を含有する非イオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
多糖連鎖移動剤50グラム(Thermphosから入手可能なDEQUEST(登録商標)PB11620カルボキシメチルイヌリン20%溶液)を反応器中の水150グラムに溶解させ、75℃に加熱した。引き続いて、N,Nジメチルアクリルアミド50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に50分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水30グラム中に2グラムのV−50[和光純薬工業株式会社(ヴァージニア州リッチモンド)の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩]アゾ開始剤]を含む開始剤溶液を反応器に60分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間75℃に保った。反応生成物を水140グラムで希釈し、最終生成物は澄んだ琥珀色の均質な溶液となった。
[実施例35]
【0157】
多糖(セルロース)連鎖移動剤を含有する非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
カルボキシメチルセルロース(Hercules,Inc.(デラウェア州ウェルミントン)から入手可能なAQUALON(登録商標)CMC 9M3ICT)を次のようにして解重合させた。30グラムのAQUALON(登録商標)CMCを270gの脱イオン水中に撹拌しながら導入した。硫酸第一鉄アンモニウム六水和物0.03gおよび過酸化水素(H)溶液(35%活性)2gを加えた。混合物を60℃に加熱し、30分間この温度に保った。次いで、この解重合したCMC溶液を90℃に加熱した。
【0158】
引き続いて、アクリルアミド50グラムを含有するモノマー溶液(50%溶液)を反応器に50分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水30グラム中に2グラムのV−086[和光純薬工業株式会社(ヴァージニア州リッチモンド)の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]アゾ開始剤]を含む開始剤溶液を反応器に60分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間90℃に保った。
[実施例36]
【0159】
非アニオン性ハイブリッドコポリマーを使用している典型的な希釈布地用柔軟剤配合物を以下に一覧表示する。
【0160】
【表21】

[実施例37]
【0161】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を含有する濃縮布地用柔軟剤組成物を表18で例示する。
【0162】
【表22】

[実施例38]
【0163】
第四級アミンモノマーおよびカチオン性多糖官能基を含む非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
初めに、カチオン性デンプン連鎖移動剤としてのNsight C−1(AkzoNobel、ニュージャージー州Bridgewaterから入手可能)40グラムを反応器中の水100グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド38.7グラムの溶液(62%水溶液)を反応器に45分間かけて加えた。水20グラム中に過硫酸ナトリウム3.3グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に45分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。最終生成物は、澄んだ琥珀色の溶液であった。
[実施例39]
【0164】
US5248449の実施例1で詳述されているプロトコールを使用して、実施例38の非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の乳化破壊剤としての性能を試験した。合成水中油型エマルジョンは、この実施例のエマルジョンNo3であり、75%10W−40モーター油Castrol GTXおよび25%石油スルフェート(Petrosul60)である。このエマルジョンを破壊するのに必要な実施例37のポリマーの濃度は、およそ100〜200ppmであった。
[実施例40]
【0165】
実施例38の非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の性能を凝集剤として試験した。微粒子が懸濁している排水(カナダの油田からの瀝青質残渣)12.5グラムを水12.5グラムで希釈した。次いで、実施例38のポリマー溶液2グラムを加え、十分に振盪した。懸濁していた微粒子は、沈殿し(flocced out)、澄んだ水層が得られた。
[実施例41]
【0166】
実施例32および33の非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を、表19で一覧表示する布地用柔軟剤組成物にして例示する。
【0167】
【表23】

[実施例42]
【0168】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
35グラムのHylon VIIデンプン(アミロース70%を含有する高アミロースデンプン)を反応器中の水132グラムに分散させ、52℃に加熱した。濃硫酸(98%)1.07グラムを加えてデンプンを解重合させた。懸濁液を1.5時間52℃に保った。次いで50%NaOH溶液1.84グラムで反応を中和し、温度を15分間90℃に上げた。この過程の間にデンプンはゲル化し、粘度が増大し、ゲルが生成した。ゲル化が完了した後、粘度は低下した。反応液を水30グラムで希釈し、温度を72〜75℃に下げた。[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド100.1グラムの溶液(50%水溶液)を反応器に30分間かけて加えた。水20グラム中に過硫酸ナトリウム0.2グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に35分間かけて加えた。反応生成物をさらに2時間98℃に保った。最終生成物は、不透明の均質な白色の溶液であった。
[実施例43]
【0169】
非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
アミオカデンプン35グラムを反応器中の水88グラムに分散させ、52に加熱した。濃硫酸(98%)0.52グラムを加えてデンプンを解重合させた。これは、実施例41で使用した酸の半分であり、デンプンはより少ない程度にしか解重合しないため、より高分子量となる。したがって、多糖連鎖移動剤の分子量をコントロールすることができる。懸濁液を1.5時間52℃に保った。次いで50%NaOH溶液0.92グラムで反応を中和し、温度を15分間90℃に上げた。この過程の間にデンプンはゲル化し、粘度が増大し、ゲルが生成した。ゲル化が完了した後、粘度は低下した。反応液を水30グラムで希釈し、温度を72〜75℃に下げた。[2−(メタクリルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド66.71gの溶液(75%水溶液)を反応器に30分間かけて加えた。水20グラム中に過硫酸ナトリウム0.2グラムを含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に35分間かけて加えた。反応生成物をさらに2時間98℃に保った。最終生成物は、不透明の均質な白色のペーストであった。
[実施例44]
【0170】
クリアコンディショニングシャンプー配合物
クリアコンディショニングシャンプー配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0171】
【表24】

【0172】
手順
成分を上で列挙した順に合わせる。加えた後に毎回、配合物を均質になるまで混合する。
[実施例45]
【0173】
6%VOC根元立ち上げエアゾールムース配合物
代表的な6%VOC根元立ち上げエアゾールムース配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0174】
【表25】

【0175】
手順
Carbopolを完全に分散するまでゆっくりと混合渦の中へ篩い落とす。十分な撹拌を維持しながら、次いでNATROSOL(登録商標)HHRをゆっくりと篩い落とす。分散したなら、AMAZE(商標)および実施例31のポリマーの両方を篩い落とす。溶液が完成したとき、TEAを加える。次いでB要素の成分を加え、均質になるまで混合する。濾過し、エアゾール容器に詰める。C要素について、噴射剤を装入する。
[実施例46]
【0176】
乾燥し/ダメージを受けている毛髪用の櫛通しクリーム配合物
代表的な6%VOC根元立ち上げエアゾールムース配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0177】
【表26】

【0178】
手順
STRUCTURE ZEAを室温で水に溶解させる。実施例33のポリマーを加え、混合しながら80℃に加熱する(B相)。別の容器において、A相を合わせ、80℃に加熱する。撹拌しながらB相をA相に加える。温度(80℃)を維持しながらC相を加える。混合を続け、45℃に冷却する。D相を加え、必要ならpHを調整する。
[実施例47]
【0179】
コンディショニングスタイリングゲル配合物
代表的なコンディショニングスタイリングゲル配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0180】
【表27】

【0181】
手順
A要素においてAMAZE XTを水に振り入れ、完全に水和するまで混合する。別に、B要素の成分を合わせ、溶解するまで混合する。撹拌しながらB要素をA要素に加える。残りの成分を加え、均質になるまで混合する。
[実施例48]
【0182】
洗い流さないコンディショナー配合物
代表的な洗い流さないコンディショナー配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0183】
【表28】

【0184】
調製
実施例42のポリマーを十分な撹拌によって水に溶解させてA相を調製する。溶液が透明で均質になるまで混合する。dl−パンテノールを加え、完全に溶解させる。TEAを水に加え、よく混合してB相を調製する。Neo Heliopanを加え、透明になるまで混合する。続いてDC929カチオン性エマルジョンを加える。B相をA相に加えて各要素を合わせる。よく混合し、約15分間混合を続ける。Solu−silkを加え、よく混合する。加えた後に毎回よく混合しながら、Versene100、Glydant、ヒドロキシエチル尿素、乳酸アンモニウム、および香料を加える。
[実施例49]
【0185】
懸濁ビーズ入り透明コンディショナー
代表的な懸濁ビーズ入り透明コンディショナーを、以下の成分を使用して調製した。
【0186】
【表29】

【0187】
手順
混合しながらポリクオタニウム−4を水に溶解させる。混合を続けながら相Aの残りの成分を順次加える。B相を合わせ、次いでA相に加える。空気を取り込まないように注意しながら、混合を続け、その間にAB相にグリコール酸をゆっくりと加える。最後に、混合しながらゆっくりとビーズを加える。
[実施例50]
【0188】
55%VOC固定用クリスタルクリアポンプ式ヘアスプレー配合物
代表的な55%VOC固定用クリスタルクリアポンプ式ヘアスプレー配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0189】
【表30】

【0190】
調製
AMPをSDアルコール40および水に溶解させる。適正な撹拌を維持しながら、BALANCE0/55中にゆっくりと注ぐ。残りの成分を加え、均質になるまで混合する。
[実施例51]
【0191】
日焼け止め配合物
代表的な日焼け止め配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0192】
【表31】

[実施例52]
【0193】
多糖連鎖移動剤を含有する非イオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
ヒドロキシエチルセルロース(Dowから入手可能なQP300)を次のようにして解重合させた。30グラムのQP300を撹拌しながら270gの脱イオン水に導入した。0.05gの硫酸第一鉄アンモニウム六水和物および1gの過酸化水素(H)溶液(35%活性)を加えた。混合物を60℃に加熱し、30分間その温度に保った。この解重合したCMC溶液を次いで90℃に加熱した。
【0194】
引き続いて、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド38.7グラムの溶液(62%水溶液)を反応器に50分間かけて加える。水30グラム中に2グラムのV−086[和光純薬工業株式会社(ヴァージニア州リッチモンド)の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]アゾ開始剤]を含む開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に60分間かけて加える。反応生成物をさらに60分間90℃に保つ。
[実施例53]
【0195】
多糖連鎖移動剤99%を含有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン198.0グラム(Star Dri 180、DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate&Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を水200.0グラムに溶解させたものを含む反応器を95℃に加熱した。アクリル酸2.0グラム(0.028モル)および水70.0グラムを含有するモノマー溶液を反応器に1時間かけて加えた。同時に、過硫酸ナトリウム0.10グラムおよび水30.0グラムを含有する開始剤溶液を1時間10分かけて加えた。反応生成物をさらに1時間95℃に保った。次いで、50%水酸化ナトリウム溶液1.0グラムを加えてポリマーを中和した。最終生成物は、澄んだ淡い琥珀色の溶液であった。
[実施例54]
【0196】
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン199.0グラム(Star Dri 180、DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate&Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を水200.0グラムに溶解させたものを含む反応器を95℃に加熱した。アクリル酸1.0グラム(0.014モル)および水60.0グラムを含有するモノマー溶液を反応器に1時間かけて加えた。同時に、過硫酸ナトリウム0.05グラムおよび水30.0グラムを含有する開始剤溶液を1時間10分かけて加えた。反応生成物をさらに1時間95℃に保った。次いで、50%水酸化ナトリウム溶液0.5グラムを加えてポリマーを中和した。最終生成物は、澄んだ淡い琥珀色の溶液であった。
[実施例55]
【0197】
水75.0グラムおよび50%水酸化ナトリウム溶液27.8グラムを含む反応器を100℃に加熱した。アクリル酸50.0グラム、多糖移動剤としてのマルトデキストリン25.0グラム(Star Dri 100、DE10噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate&Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)、および水60.0グラムを含有する溶液を反応器に45分間かけて加えた。同時に、過硫酸ナトリウム3.3グラムおよび水28.0グラムを含有する開始剤溶液を1時間かけて加えた。反応生成物をさらに1時間100℃に保った。溶液は、澄んだ琥珀色であり、架橋はなかった。このことは、モノマーの反応性を低下させることにより、架橋を排除できることを例証している。この場合では、モノマー活性は、50%NaOHを加えたことにより低下した。
[実施例56]
【0198】
水75.0グラムおよび50%水酸化ナトリウム溶液18.6グラムを含む反応器を100℃に加熱した。アクリル酸33.5グラム、多糖移動剤としてのマルトデキストリン41.5グラム(Star Dri 100、DE10噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate&Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)、および水60.0グラムを含有する溶液を反応器に45分間かけて加えた。同時に、過硫酸ナトリウム3.3グラムおよび水28.0グラムを含有する開始剤溶液を1時間かけて加えた。反応生成物をさらに1時間100℃に保った。溶液は、澄んだ琥珀色であり、架橋はなかった。このことは、モノマーの反応性を低下させることにより、架橋を排除できることを例証している。この場合では、モノマー活性は、50%NaOHを加えたことにより低下した。
[実施例57]
【0199】
連鎖移動剤を75重量パーセントより多く含有するハイブリッドポリマーが予想外の性能利益を有することを証明する一連の分散性試験。マルトデキストリンを連鎖移動剤として使用した。33%、55%、80%、85%、90%、95%、99%、および99.5%のマルトデキストリンを含有する一連のポリマーを合成したが、これらサンプルの作製方法は、それぞれ実施例55、56、1、3、5、2、53および54に記載している。
【0200】
分散性試験は、次のように実施した。2%のクレー(50:50 ローズクレー:spinks blackクレー)を脱イオン水に加えてサンプルを調製した。次いでサンプルを磁気撹拌プレート上で20分間撹拌し、その後0.1%活性分散剤を加え、サンプルをもう1分間撹拌した。次いで懸濁液を100mlのメスシリンダーに注ぎ、静置した。シリンダー上部の透明な上澄み液の量を1時間後および24時間に測定した。透明な上澄み液の量が少ないほど、分散性能は良好である。
【0201】
図1(1時間)および図2(24時間)のデータは、典型的なマルトデキストリン(Star Dri 180、DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate&Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)連鎖移動剤が、それ自体ではいかなる分散性能ももたないことを示している。図3はまた、存在するマルトデキストリンの量を55%、80%、95%、99%および99.5%として示す、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーを有するハイブリッドコポリマーサンプル間の1時間の分散性試験後の結果を、存在するマルトデキストリンが0%であるポリアクリレート(AR4)および存在するマルトデキストリンが100%であるサンプル(MD)の各サンプルと比較して例示するものである。AkzoNobel Surface Chemistryから入手可能な市販のポリアクリレートAquatreat(登録商標)AR−4は、非常に申し分なく機能する。したがって、ハイブリッドコポリマー組成物中の連鎖移動剤の重量パーセントが増加するにつれて、ポリマーの分散性能は低下するはずである(図1および図2の点線を参照されたい)。意外なことに、連鎖移動剤としてマルトデキストリンを75重量パーセントより多く含有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物は、ポリアクリレートおよびマルトデキストリンそれ自体の性能を踏まえると性能の低下が予想されるのに、良好な分散性能を有することがわかった。これらコポリマーの性能は、US公開第20070021577(A1)号の33および55重量パーセントのマルトデキストリンを含有するコポリマーと同様である。さらに意外なことに、99重量パーセントのマルトデキストリンを含有するサンプルは、非常に良好な分散性能を有し、ハイブリッドコポリマー組成物の性能は、99.5%の連鎖移動レベルで下降し始める(図2)。連鎖移動剤を75重量パーセントより多く含有する本発明のポリマーが、予想外の利益を有することは明らかである。
[実施例58]
【0202】
連鎖移動剤としてリグノスルホネートを含有するアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
モノメチルマレエート102グラムを水150グラムに溶解させた。水酸化アンモニウム5.4グラムを加え、混合物を87Cに加熱した。天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤リグノスルホネート(ARBO S08 50%溶液、Tembec Chemical Products Groupから入手可能)340グラムを反応器に加えた。アクリル酸64.6グラムとヒドロキシプロピルメタクリレート3.4グラムの混合物を含有するモノマー溶液を反応器に5時間かけて加えた。水99グラムに溶解させたエリソルビン酸21グラムを含む第1の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。第三級ブチルヒドロペルオキシドを水109グラムに溶解させた70%溶液21グラムを含む第2の開始剤溶液を5.5時間かけて加えた。反応生成物を60分間87℃に保った。最終生成物は、濃琥珀色/黒色の溶液であった。
[実施例59]
【0203】
実施例58のポリマーを、実施例29で詳述した再汚染防止試験で評価したが、但し、ΔEに代えてΔ白色度指数(ΔWI)(ΔWI=(L−L))を測定した。
【0204】
【表32】

[実施例60]
【0205】
実施例58のポリマーを、US5,547,612の実施例1に記載のリン酸塩抑制試験で試験した。
【0206】
【表33】

【0207】
リン酸カルシウム抑制の数値が80%を上回ると、この試験で適格と見なされる。上記表21のデータは、実施例58のリグノスルホネート含有アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物が優れたリン酸カルシウム抑制剤であることを示している。
[実施例61]
【0208】
アニオン性およびカチオン性両方の基を含む両性ハイブリッドコポリマー組成物の合成
【0209】
水150グラムを765グラムのRediBond5330A(National Starch and Chemicalから入手可能)(27%水溶液)に加え、溶液を40℃に加熱した。溶液のpHを50%水酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整した。α−アミロース0.13グラムを溶液に加え、これを1時間煮た。カチオン性多糖連鎖移動剤としてのこの予備消化したRediBond5330A 254.7グラム、50%水酸化ナトリウム溶液2.32グラム、およびモノメチルマレエート20.16グラムを反応器中で87℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸73.88グラムおよび水17.96グラムを含有するモノマー溶液を反応器に4.5時間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水100グラムに溶解させたエリソルビン酸13.84グラムからなる開始剤溶液、およびtert−ブチル過酸化水素13.98グラムからなる第2の開始剤溶液を反応器に5時間かけて加えた。反応生成物を冷却し、さらに60分間65℃に保った。最終生成物は褐色の溶液であった。
[実施例62]
【0210】
100無水グルコース単位(AGU)あたりの既反応無水グルコース単位数の決定
サンプルの加水分解
グルコース定量の前に、マルトデキストリンおよび種々のコポリマーを次の硫酸手順に従って加水分解した。30mlのテフロン(登録商標)挿入物を備え付けた酸消化高圧容器(Parr Instruments)に約500mgのサンプルを量り入れ、70%HSO 1mlで希釈した後、蒸留水(milliQ)約3mlを加えた。混合物を約5時間90℃に加熱した。この加水分解をすべてのサンプルについて二通りに実施した。
【0211】
グルコースの定量
種々のサンプル中のグルコースの量は、内部標準としてグリセロールを使用するHPLCによって決定した。HPLC条件は以下のとおりであった。
カラム:IOA1000(Grace Alltech)(300*7.8mm)
カラム温度:50℃
移動相:硫酸0.01N
流量:0.4ml/分
検出:屈折率
注入体積:20μl
【0212】
マルトデキストリンについての固形分の決定
固形分は、既知の量のサンプルをMettler Toledo HG63ハロゲンドライヤーで20分間処理することにより決定した。各分析を二通りに実施した。
【0213】
マルトデキストリンの加水分解度
グルコースは、ポリマーのマルトデキストリン部分の加水分解度を表す。100%の加水分解でのグルコースの理論上のパーセンテージは、種々のサンプルについて、そのそれぞれのマルトデキストリンの正確な重量がわかっているので計算することができる。この理論値は、マルトデキストリンの重量を1無水グルコース単位あたり水1分子の付加について補正したものである。すなわち、
GLUth=[マルトデキストリンの重量]×180/162
【0214】
出発マルトデキストリンStar Dri 100(DE10)およびStar Dri 180(DE18)を使用して、硫酸手順による加水分解の効率を確かめた。結果は、サンプルの固形分と共に表22に要約する。固形分は、ポリマーに吸着した水について補正するのに使用した。
【0215】
【表34】

【0216】
回収率は、Star Dri 100(DE10)サンプルでわずかに低いが、この方法の効率は極めて妥当である。マルトデキストリンサンプルが一定量の水も含有するという理由を挙げることは重要である。
【0217】
コポリマーの加水分解
上で詳述した手順を使用して、実施例20のコポリマーを加水分解した。実施例20のコポリマーは、ポリマー約339グラム中にDE18マルトデキストリン85グラムを含有していた。このマルトデキストリン重量を、表22で言及した水分について補正する。
【0218】
【表35】

【0219】
置換されていないグルコースの重量パーセントは、硫酸加水分解およびGLUthの結果から算出した。加水分解の効率を100%と仮定すると、非置換無水グルコース単位だけがグルコースに加水分解されるので、2つの値の比は、コポリマー中のこうした非置換単位、すなわち合成鎖をもたない、または他の何らかの形で反応していない単位のパーセンテージである。したがって、ポリマー中の100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、100引く非置換GLU%である。
[実施例63]
【0220】
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン112.6グラム(STAR−DRI42R DE42、重量平均分子量(Mw)906、数平均分子量(Mn)312、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能な噴霧乾燥マルトデキストリン)および無水マレイン酸24.2グラムを反応器中の水102グラムに溶解させ、98℃に加熱した。50%水酸化ナトリウム溶液24.8グラムおよび追加の水4.6グラムを反応器中の溶液に加えた。引き続いて、アクリル酸36.2グラムおよび水150グラムを含有するモノマー溶液を反応器に4時間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水150グラムに溶解させた4.8グラムの過硫酸ナトリウムからなる開始剤溶液を反応器に4時間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。最終生成物は褐色の溶液であった。この実施例のポリマーの100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、実施例62の手順によって求めたところ、32.6であることがわかった。
[実施例64]
【0221】
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン150グラム(STAR−DRI180 DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を反応器中の水380グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に90分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水50グラム中の3.76グラムの2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光から入手可能なV50)開始剤からなる開始剤溶液を反応器に90分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。最終生成物は、澄んだ黄色の溶液であった。この実施例のポリマーの100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、実施例70手順の手順によって求めたところ、4.3であることがわかった。
[実施例65]
【0222】
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン150グラム(Cargill MD 01918 DE18、Mw38215、Mn13644)を水260グラムおよびアクリル酸50グラムに溶解させた。溶液を、98Cの水100グラムを含む反応器に90分間かけて供給した。水40グラム中の過硫酸ナトリウム6.6グラムからなる開始剤溶液を、モノマー溶液と同時に反応器に90分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。最終生成物は、澄んだ黄色の溶液であった。この実施例のポリマーの100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、実施例70の手順によって求めたところ、4.0であることがわかった。
[実施例66]
【0223】
初めに、多糖連鎖移動剤としてのマルトデキストリン38グラム(STAR−DRI180 DE18噴霧乾燥マルトデキストリン、Mw25653、Mn13744、Tate and Lyle(イリノイ州ディケーター)から入手可能)を反応器中の水160グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸62.8グラムおよび50%AMPS溶液99.4グラムを含有するモノマー溶液を反応器に120分間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水50グラム中の過硫酸ナトリウム5.0グラムからなる開始剤溶液を反応器に120分間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。最終生成物は、澄んだ黄色の溶液であった。この実施例のポリマーの100無水グルコース単位あたりの既反応無水グルコース単位数は、実施例70の手順によって求めたところ、12.6であることがわかった。
[実施例67]
【0224】
15ppmのポリマーでの炭酸カルシウム抑制性能を、表24の実施例20、63、65および66のポリマーについて求めた。
【0225】
【表36】

【0226】
この試験では、80%を上回る炭酸カルシウム抑制を適格であると見なす。これらのデータは、100無水グルコース単位あたり4個以上の既反応無水グルコース単位を有するポリマーが良好な性能を有することを示している。
[実施例68]
【0227】
(グラフトコポリマーの比較実施例)
マルトース(Aldrichから入手可能)150グラムおよび硫酸第一鉄アンモニウム六水和物0.035グラムを反応器中の水380グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に1時間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水50グラムに溶解させた35%過酸化水素溶液33.7グラムからなる開始剤溶液を反応器に1時間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。
[実施例69]
【0228】
マルトースとのハイブリッドポリマー
マルトース(Aldrichから入手可能)150グラムを反応器中の水380グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に1時間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水50グラムに溶解させた3.76グラムのV−50[和光から入手可能な2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩]からなる開始剤溶液を反応器に1時間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。
[実施例70]
【0229】
マルトースとのハイブリッドポリマー
マルトース(Aldrichから入手可能)150グラムを反応器中の水380グラムに溶解させ、98℃に加熱した。引き続いて、アクリル酸50グラムを含有するモノマー溶液を反応器に1時間かけて加えた。モノマー溶液と同時に、水50グラムに溶解させた過硫酸ナトリウム3.4グラムからなる開始剤溶液を反応器に1時間かけて加えた。反応生成物をさらに60分間98℃に保った。
[実施例71]
【0230】
発明者らは、実施例68、69および70のサンプルについてNMRスペクトルを収集した。これらサンプルにおいてマルトースを多糖/糖のモデル化合物として使用して、スペクトルおよび分析を単純化した。
【0231】
使用機器:MSU Bruker 900MHz NMR分光計
【0232】
全3種のサンプルをD2Oに溶解させ、標準およびAPT(attached proton test)13CNMR分光法によって分析した。
【0233】
NMR分析の概要:
1)全3種のサンプルの13CNMRスペクトルを比較すると、79〜105ppmの領域にいくつかの余分な13Cシグナルが存在した。これらの余分なシグナルはすべて、実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物の98〜105ppmの領域にある少量の第四級炭素(すなわち、第四級アセタール炭素)を除いては、メチン−オキシ炭素である。そうした第四級アセタール炭素は、実施例68のグラフトコポリマーでは認められなかった。これにより、Fe(II)+Hの反応機序(グラフト)が、アゾ開始剤および過硫酸塩開始剤の連鎖移動機序とは異なることが示唆される。このことは、アゾおよび過硫酸塩を開始剤として使用したときに、連鎖移動のいくらかがCアセタール炭素で起こったことを示唆している。79〜85ppm領域で認められるいくつかの余分なシグナルの存在によって証明されるように、メチンオキシ−エーテル結合の形成によるいくつかの結合点がこれ以外にも存在し得る。
【0234】
2)実施例68のグラフトコポリマーの全体としてのNMRフィンガープリントは、実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物と区別できるものである。このことは、スペクトル、および以下の表25にある異なる部分のモル%の概要によって証明される。グラフトコポリマースペクトルは、ケトン官能基の存在ならびに糖領域(58〜105ppm)および酸領域(173〜178ppm)にある多くの余分なシグナルの存在を示すが、これらは、実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物スペクトルには存在しない。加えて、グラフトコポリマースペクトルは、かなりの量のギ酸(19.6モル%)の存在を示し、これに比べて実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物スペクトルではゼロから少量である。
【0235】
3)実施例68のグラフトコポリマーサンプルは、他の遊離二糖および単糖の痕跡も含んでいたが、このサンプルではNMRシグナルがそれだけ多くの新しい余分なNMRシグナルと部分的に重なっているために、測定されず、また表25に記載していない。
【0236】
4)ポリアクリレートの13CNMRシグナルは、主鎖メチンおよびメチレン炭素については主に30〜50ppmにあり、酸官能基は180ppm前後に位置している。
【0237】
【表37】

【0238】
実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物サンプルの炭酸塩抑制を実施例68のグラフトコポリマーと比較した。
【0239】
【表38】

【0240】
これらのデータは、本発明のハイブリッドコポリマー組成物の炭酸塩抑制性能が、比較上のグラフトコポリマーより良好であることを示している(この試験によって測定される炭酸塩抑制が80%以上であれば適格と見なす)。加えて、実施例69のハイブリッドコポリマー組成物のNMRスペクトルフィンガープリントは、実施例68のグラフトコポリマーとは異なる(図4〜9および表25を参照されたい)。実施例69のハイブリッドコポリマー組成物は、100AGUあたり6.7の既反応AGUを有する。このことは、この組成物中にハイブリッドコポリマー(b)が存在することを示唆している。しかし、当業者であれば、実施例69で使用したアゾ開始剤では、マルトースからプロトンを引き抜くことによりグラフトがなされるのではないことがわかるであろう。したがって、実施例69の組成物中のハイブリッドコポリマー(b)は、連鎖移動によって生成される。さらに、実施例70のNMRフィンガープリントは、実施例69のフィンガープリントと類似しており、このことから、過硫酸塩開始剤も連鎖移動機序を有することが示唆される。加えて、実施例70のハイブリッドコポリマー組成物は、100AGUあたり6.8の既反応AGUを有する。したがって、実施例69および70のハイブリッドコポリマー組成物は、両方ともグラフトコポリマーとは異なっており、本出願の最初の部分で例示した連鎖移動機序によって生成される。
[実施例72]
【0241】
55%VOC固定用クリスタルクリアポンプ式ヘアスプレー配合物
代表的な55%VOC固定用クリスタルクリアポンプ式ヘアスプレー配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0242】
【表39】

【0243】
調製
AMPをSDアルコール40および水に溶解させる。適正な撹拌を維持しながら、BALANCE0/55中にゆっくりと注ぐ。残りの成分を加え、均質になるまで混合する。
[実施例73]
【0244】
日焼け止め配合物
代表的な日焼け止め配合物を、以下の成分を使用して調製した。
【0245】
【表40】

【0246】
発明の詳細な説明において引用したすべての文書は、関係のある部分において参照により本明細書に援用され、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するとは解釈されない。
【0247】
本発明の特定の実施形態について本明細書で例示し、説明してきたが、本発明は、示した細目に限定されないものとする。むしろ、特許請求の範囲の同等物の領域および範囲内で、かつ本発明の精神および範囲から逸脱することなく、細目において様々な変更がなされてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーと、
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含むハイブリッド合成コポリマーと
を含み、前記ハイブリッド合成コポリマーは、下記構造
【化7】

[式中、Iは、開始剤断片であり、Hは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から引き抜かれたプロトンであり、Mhscは、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッド合成コポリマーの合成部分である]を有し、
連鎖移動剤は、ハイブリッドコポリマーの総重量の75重量%〜約99重量%存在する
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項2】
連鎖移動剤が、セルロース、セルロース誘導体、イヌリン、およびイヌリン誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項3】
ハイブリッドコポリマーが水溶性である、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項4】
ハイブリッドコポリマーが約100,000未満の平均分子量を有する、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項5】
連鎖移動剤が約100,000未満の分子量を有する、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項6】
連鎖移動剤が、グリセロール、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、アスコルビン酸、およびグルコヘプトン酸からなる群から選択される、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項7】
連鎖移動剤が糖またはその誘導体である、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項8】
Iが、水溶性開始剤から誘導される、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項9】
Iが、アゾ開始剤または過酸化物開始剤の断片であり、但し、断片はヒドロキシル基ではない、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項10】
ハイブリッドコポリマーが、活性化されたとき約300〜約800ナノメートルの範囲で吸収を有する、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーが、少なくとも1種のエステルモノマーをさらに含む、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項12】
少なくとも1種のエステルモノマーが、ジカルボン酸から誘導される、請求項11に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項13】
少なくとも1種のエステルモノマーが、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノメチルイタコネート、ジメチルイタコネート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、モノエチルイタコネート、ジエチルイタコネート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート、モノブチルイタコネート、およびジブチルイタコネートからなる群から選択される、請求項11に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項14】
クリーニング配合物、超吸収剤配合物、ガラス繊維結合剤配合物、流動性改質剤配合物、油田配合物、パーソナルケア配合物、水処理配合物、分散剤配合物、スケール防止配合物、セメント配合物、およびコンクリート配合物からなる群から選択される、請求項1に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を含む配合物。
【請求項15】
クリーニング配合物であり、前記クリーニング配合物は、洗剤、布地用クリーナー、自動食器洗い洗剤、ガラスクリーナー、すすぎ助剤、布地ケア配合物、布地用柔軟剤、凝集剤、凝固剤および乳化破壊剤、硬質面クリーナー、または洗濯洗剤である、請求項14に記載の配合物。
【請求項16】
自動食器洗い洗剤であり、前記自動食器洗い洗剤は、リン酸塩を実質的に含有しない、請求項15に記載の配合物。
【請求項17】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、クエン酸塩、またはケイ酸塩をさらに含む、請求項16に記載の配合物。
【請求項18】
低起泡性非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項15に記載の配合物。
【請求項19】
グルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)またはメチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)をさらに含む、請求項15に記載の配合物。
【請求項20】
少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーおよび末端基としての多糖もしくは糖連鎖移動剤を含み、下記構造
【化8】

[式中、Cは、多糖または糖連鎖移動剤から誘導された部分であり、Mhcは、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導された合成部分であり、Rは、H、開始剤断片I、多糖もしくは糖、または停止反応により生成された別の部分である]を有し、CとMhcの結合としての少なくとも1つのカルボニル部分を有するハイブリッドコポリマーと、
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含み、下記構造
【化9】

[式中、Iは、開始剤断片であり、Hは、多糖または糖連鎖移動剤から引き抜かれたプロトンであり、Mhscは、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッド合成コポリマーの合成部分である]を有するハイブリッド合成コポリマーと
を含むハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項21】
エチレン不飽和モノマーがアニオン性である、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項22】
エチレン不飽和モノマーがアニオン性である、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項23】
多糖が、アルデヒド基を含む酸化デンプンであり、ハイブリッドコポリマーが、下記構造
【化10】

を有する、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項24】
酸化デンプンが少なくとも0.001モル%のアルデヒド官能基を有する、請求項22に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項25】
ハイブリッドコポリマーが、100無水グルコース単位あたり4以上の既反応無水グルコース単位を有する、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項26】
Iが、金属イオンを実質的に含まない、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項27】
Iが、アゾ開始剤または過酸化物開始剤の断片であり、但し、断片はヒドロキシル基ではない、請求項20に記載のアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項28】
水、界面活性剤、ビルダー、リン酸塩、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、酵素、緩衝液、着香剤、消泡剤、イオン交換体、アルカリ、再汚染防止材、蛍光増白剤、香料、染料、増量剤、キレート剤、布地漂白剤、増白剤、泡立ちコントロール剤、溶媒、ヒドロトロープ、脱色剤、漂白剤前駆体、緩衝剤、汚れ除去剤、汚れ遊離剤、布地用柔軟剤、乳白剤、水処理化学物質、腐食防止剤、オルトホスフェート、亜鉛化合物、トリルトリアゾール、鉱物質、クレー、塩類、金属鉱石、金属酸化物、タルク、顔料、二酸化チタン、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、酸化鉄、カオリンクレー、改質カオリンクレー、炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウム、ガラス繊維、セメント、酸化アルミニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類クエン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土類ケイ酸塩、グルタミン酸N,N−二酢酸(GLDA)、メチルグリシンN,N−二酢酸(MGDA)、およびこれらの組合せから選択される少なくとも1種の補助成分をさらに含む、請求項20に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項29】
少なくとも1種のエチレン不飽和モノマー、およびリグニンまたはその誘導体を末端基として含む連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーと
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含むハイブリッド合成コポリマーと
を含み、ハイブリッド合成コポリマーは、下記構造
【化11】

[式中、Iは、開始剤断片であり、Hは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から引き抜かれたプロトンであり、Mhscは、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッド合成コポリマーの合成部分である]を有する
ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項30】
連鎖移動剤がリグノスルホネートである、請求項29に記載のハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項31】
少なくとも1種の非アニオン性エチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーと、
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する、少なくとも1種の非アニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含むハイブリッド合成コポリマーと
を含む非アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項32】
前記非アニオン性エチレン不飽和モノマーがカチオン性または非イオン性である、請求項31に記載のコポリマー組成物。
【請求項33】
ハイブリッドコポリマーが水溶性である、請求項31に記載のコポリマー組成物。
【請求項34】
開始剤断片が水溶性である、請求項31に記載のコポリマー組成物。
【請求項35】
コポリマーが、約100,000未満の分子量を有する、請求項31に記載のコポリマー組成物。
【請求項36】
請求項31に記載の非アニオン性ハイブリッドコポリマーと、布地柔軟剤活性物質、水、界面活性剤、電解液、相安定化ポリマー、シリコーン、着香剤、非イオン性界面活性剤、非水性溶媒、脂肪酸、染料、保存剤、蛍光増白剤、および消泡剤からなる群から選択される補助成分とを含む組成物。
【請求項37】
布地ケア配合物、布地用柔軟剤、凝集剤、凝固剤、およびエマルジョンからなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤を含むハイブリッドコポリマーと、
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーまたはこれらの組合せから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含むハイブリッド合成コポリマーとを含み、
天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤は、カチオン性またはアニオン性の部分を含み、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーは、アニオン性またはカチオン性であり、それによって、得られるハイブリッドコポリマーは両性である
両性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項39】
天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が酸化デンプンであり、カチオン性エチレン不飽和モノマーがジアリルジメチルアンモニウムクロリドである、請求項38に記載の両性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項40】
天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤が、酸化デンプンを、カチオン性置換基と反応させてからアニオン性もしくはカチオン性エチレン不飽和モノマーまたはこれらの混合物と反応させたものである、請求項38に記載の両性ハイブリッドコポリマー組成物。
【請求項41】
アニオン性ハイブリッドコポリマー組成物を含む水性系用のスケール防止組成物であって、
前記コポリマーは、
少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーおよび末端基としての天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤と、
末端基としての少なくとも1つの開始剤断片を有する少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導された1つまたは複数の合成ポリマーを含み、下記構造
【化12】

[式中、Iは、開始剤断片であり、Hは、天然由来含ヒドロキシ連鎖移動剤から引き抜かれたプロトンであり、Mhscは、少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーから誘導されたハイブリッド合成コポリマーの合成部分である]を有するハイブリッド合成コポリマーと
を含み、
連鎖移動剤は、ハイブリッドコポリマーの総重量の75重量%〜約99重量%存在し、スケール防止組成物は、水性系において添加量100ppmのアニオン性ハイブリッドコポリマー組成物で80%より高い炭酸塩抑制を示す、スケール防止組成物。
【請求項42】
連鎖移動剤が、セルロース、セルロース誘導体、イヌリン、およびイヌリン誘導体からなる群から選択される、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項43】
ハイブリッドコポリマー組成物が水溶性である、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項44】
ハイブリッドコポリマー組成物が、約100,000未満の平均分子量を有する、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項45】
連鎖移動剤が、約100,000未満の分子量を有する、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項46】
連鎖移動剤が、グリセロール、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、アスコルビン酸、およびグルコヘプトン酸からなる群から選択される、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項47】
連鎖移動剤が糖またはその誘導体である、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項48】
Iが、水溶性開始剤から誘導される、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項49】
Iが、アゾ開始剤または過酸化物開始剤の断片であり、但し、断片はヒドロキシル基ではない、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項50】
ハイブリッドコポリマーが、活性化されたとき約300〜約800ナノメートルの範囲で吸収を有する、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項51】
少なくとも1種のアニオン性エチレン不飽和モノマーが、少なくとも1種のエステルモノマーをさらに含む、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項52】
少なくとも1種のエステルモノマーが、ジカルボン酸から誘導される、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項53】
少なくとも1種のエステルモノマーが、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノメチルイタコネート、ジメチルイタコネート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、モノエチルイタコネート、ジエチルイタコネート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート、モノブチルイタコネート、およびジブチルイタコネートからなる群から選択される、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項54】
前記水性系において添加量25ppmのハイブリッドコポリマーで80%より高い炭酸塩抑制を示す、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項55】
前記水系において添加量15ppmのハイブリッドコポリマーで80%より高い炭酸塩抑制を示す、請求項41に記載のスケール防止組成物。
【請求項56】
水性系においてスケール生成を防止する方法であって、前記水性系に、スケール防止有効量の請求項41に記載のスケール防止組成物を加えることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−501104(P2013−501104A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523093(P2012−523093)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043919
【国際公開番号】WO2011/014783
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】