説明

ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構

【課題】 信頼性に優れるとともに、小さい消費電力での冷却が可能なハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構を提供する。
【解決手段】 ハイブリッド自動車10の電源冷却機構は、経路上に電池16が配置された冷却風通路11と、冷却風通路11の経路上に配置され、電池16に冷却風を供給する電動冷却ファン15と、エンジン50の吸気管51に接続された一方端32と、冷却風通路11に接続された他方端33とを有する気体通路31とを備える。その気体通路31では、エンジン50の吸気管51に生じる負圧によって、他方端33から一方端32に向けて気体が流動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構に関し、より特定的には、駆動源として内燃機関と電源とを備えるハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構に関する従来の技術として、たとえば、特開平11−107878号公報には、無駄な電力消費とエバポエミッションの発生とを抑制することを目的した燃料供給装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された燃料供給装置を備えるハイブリッド車両には、燃料タンクで発生したエバポエミッションを吸着するためのチャコールキャニスターが設けられている。
【0003】
また、特開平9−130917号公報には、エンジンおよび電池への温度の影響を排除し、常に最適な状態で走行することを目的としたハイブリッド自動車が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示されたハイブリッド自動車は、電池収納体と、配管により電池収納体に接続されたエンジン収納体とを備える。寒冷地等で電池の温度が低い場合、エンジン収納体に取り付けられたファンを回転させることによって、エンジンの排熱を電池収納体に収納された電池に伝える。
【0004】
さらに、特開2003−178814号公報には、低コストかつ効果的に、バッテリー延命を図ることを目的としたバッテリー冷却装置が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示されたバッテリー冷却装置は、エンジンに接続され、外気をエンジンのインテークマニホールドに導入するフレッシュエアダクトと、収容箱に収められたバッテリーとを備える。収容箱は、連通管を介してフレッシュエアダクトに接続されている。このバッテリー冷却装置では、フレッシュエアダクトで発生する負圧を利用して、収容箱に形成された開口部からバッテリーに向けた外気の流れを形成する。
【0005】
さらに、特開2001−106149号公報には、バッテリーと内燃機関とを1つの冷却ファンにより冷却する簡易な冷却構造を備えたハイブリッド小型車両が開示されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開平11−107878号公報
【特許文献2】特開平9−130917号公報
【特許文献3】特開2003−178814号公報
【特許文献4】特開2001−106149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内燃機関と、電源としての電池とが設けられたハイブリッド動力出力装置において、電池に電流が入出力するシーンでは、発熱が伴う。この発熱を放置すると、電池の性能が低下するおそれが生じるため、電池を冷却する必要がある。電池を冷却する手段としては、電動式の冷却ファンを設けることが考えられる。しかしこの場合、消費電力が増大するため、内燃機関の燃費が悪化するという問題が発生する。
【0007】
また、特許文献3に開示されたバッテリー冷却装置では、エンジンの吸気系で生じる負圧を利用してバッテリーに外気を導いている。しかし、エンジンの運転状態は、刻々と変化するため、十分な量の外気を常にバッテリーに導入することはできない。したがって、この方法では、一時的であるにしてもバッテリーが高温に達するおそれがあり、冷却手段としての信頼性に乏しい。また加えて、バッテリー側とエンジン側とを接続するため、新たに連通管を設置する必要が生じ、大幅な設計変更とコストの増大とを招く。
【0008】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、信頼性に優れるとともに、小さい消費電力での冷却が可能なハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従ったハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構は、内燃機関と電源とが設けられたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構である。その電源冷却機構は、経路上に電源が配置された電源冷却用通路と、電源冷却用通路の経路上に配置され、電源に冷却風を供給する電動ファンと、内燃機関の吸気系管路に接続された一方端と、電源冷却用通路に接続された他方端とを有する気体通路とを備える。その気体流路では、内燃機関の吸気系管路に生じる負圧によって、他方端から一方端に向けて気体が流動する。
【0010】
このように構成されたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構によれば、気体流路の他方端から一方端に向けて気体が流動することによって、その他方端が接続された電源冷却用通路に、電源を冷却するための気体の流れを形成する。これにより、電動ファンによる冷却に加えて、吸気系管路の負圧を利用した冷却を行なうことができるため、電動ファンの消費電力を抑制できる。また、吸気系管路の負圧を利用した冷却状況にかかわらず、電動ファンにより、電源の冷却を常時、行なうことができる。このため、電源の温度上昇が確実に防止された信頼性の高い冷却機構を実現することができる。
【0011】
また好ましくは、気体通路に、他方端から一方端に向けて気体が流動している場合には、電動ファンの回転が抑制される。なお、電動ファンの回転が抑制されるとは、電動ファンの回転速度が減じられる場合や回転が停止される場合を指す。このように構成されたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構によれば、この場合には吸気系管路の負圧を利用した冷却が実施されているため、電動ファンの回転を抑制しても電源を十分に冷却することができる。これにより、電動ファンで消費する電力を効果的に抑えることができる。
【0012】
また好ましくは、ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構は、電源の温度を検出する温度検出部と、温度検出部で検出された温度データに基づいて、電動ファンの回転を制御する制御部とをさらに備える。このように構成されたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構によれば、たとえば、電源が吸気系管路の負圧を利用した冷却で十分に冷却されているにもかかわらず、電動ファンを高速回転させているという事態を回避できる。このため、電源の冷却と電動ファンにおける消費電力の抑制との両方を、効率的に達成することができる。
【0013】
また好ましくは、ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構は、気体通路の経路上に設けられたチャコールキャニスターと、チャコールキャニスターに接続された燃料タンクとをさらに備える。このように構成されたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構によれば、燃料タンクで発生した燃料蒸発ガスを蓄え、その燃料蒸発ガスを内燃機関の吸気系管路に戻す装置を、内燃機関の吸気系管路と電源冷却用通路とを接続する気体通路に利用することができる。これにより、本発明による電源冷却機構を、簡易かつ低コストで設けることができる。
【0014】
また好ましくは、ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構は、他方端とチャコールキャニスターとの間に設けられた流路切り換え弁をさらに備える。気体通路に、他方端から一方端に向けて気体が流動している場合、流路切り換え弁は、気体通路を電源冷却用通路に連通させ、気体通路に、他方端から一方端に向けて気体が流動していない場合、流路切り換え弁は、気体通路を外気に連通させる。このように構成されたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構によれば、チャコールキャニスターに蓄えられた燃料蒸発ガスが、気体通路を通って電源冷却用通路に流入することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明に従えば、信頼性に優れるとともに、小さい消費電力での冷却が可能なハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における電源冷却機構を搭載したハイブリッド自動車を示す模式図である。本実施の形態における電源冷却機構は、電池と、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関とを動力源として駆動するハイブリッド自動車に搭載されている。
【0018】
図1を参照して、ハイブリッド自動車10は、車両前方に設置されたエンジン50と、エンジン50に供給するガソリン24が蓄えられた燃料タンク23と、電池16および電池16に冷却風を供給するための電動冷却ファン15が設けられ、リアシート後方に搭載されたHV(high voltage)バッテリパック41とを備える。HVバッテリパック41内には、冷却風が流れる冷却風通路11が形成されており、その冷却風通路11の経路上に、電池16と電動冷却ファン15とが配置されている。ハイブリッド自動車10は、さらに、経路上にチャコールキャニスター26が設けられ、エンジン50と冷却風通路11との間を接続する気体通路31を備える。
【0019】
図2は、図1中のHVバッテリパックを示す斜視図である。図1および図2を参照して、HVバッテリパック41は、電池16が収容されたバッテリカバー13と、吸気口12mを有し、電動冷却ファン15を介してバッテリカバー13に接続された吸気ダクト12と、排気口19nを有し、吸気ダクト12とは異なる位置でバッテリカバー13に接続された排気ダクト19とを備える。電池16とバッテリカバー13との間には、電池16の周りに冷却風が流れるように空間が規定されている。吸気ダクト12、バッテリカバー13および排気ダクト19によって、上述の冷却風通路11が構成されている。
【0020】
吸気口12mは、車両室内に通じており、排気口19nは、車外に通じている。排気ダクト19には、排気ダクト19がバッテリカバー13に接続された位置と排気口19nが設けられた位置との間に位置して、開口部19mが形成されている。開口部19mには、気体通路31の他方端33が接続される。
【0021】
エンジン50は、燃焼室54に接続された吸気管51を備える。吸気管51が燃焼室54に接続された位置には、吸気管51と燃焼室54との間の開閉を行なう吸気バルブ53が設けられている。吸気管51には、吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ52と、スロットルバルブ52と吸気バルブ53との間に位置して、ガソリンを霧状に噴射するインジェクタ55とが設けられている。吸気管51に吸入された空気と、インジェクタ55から噴射されたガソリンとの混合ガスが、吸気管51から燃焼室54に向けて供給される。
【0022】
燃料タンク23には、ガソリン24が蓄えられている。ガソリン24は、図示しない燃料ポンプによってインジェクタ55に圧送される。燃料タンク23とチャコールキャニスター26とは、チャージパイプ36によって接続されている。チャコールキャニスター26とエンジン50の吸気管51とは、パージパイプ31aによって接続されている。パージパイプ31aは、吸気管51に設けられたインジェクタ55とスロットルバルブ52との間に位置して、吸気管51に接続されている。パージパイプ31aには、チャコールキャニスター26と吸気管51との間に位置して、パージ流量調整弁27が設けられている。チャコールキャニスター26には、さらに、車外へと通じるドレインパイプ31bが接続されている。
【0023】
このチャコールキャニスター26、チャージパイプ36、パージパイプ31a、ドレインパイプ31bおよびパージ流量調整弁27によって、燃料蒸発ガスの排出抑止装置42が構成されている。燃料タンク23内には、蓄えられたガソリン24が蒸発することによって、HC(炭化水素)を含む燃料蒸発ガスが充満する。排出抑止装置42は、この燃料蒸発ガスを大気中に開放させないために、一時貯蔵しておき、エンジンの稼動中に燃焼室に導き、燃焼させる役割を果たす。
【0024】
具体的に説明すると、燃料タンク23内の燃料蒸発ガスは、タンクの内圧が所定値以上になると、燃料タンク23に設けられたチェックバルブを開き、チャージパイプ36を通ってチャコールキャニスター26へと移動する。チャコールキャニスター26には、活性炭が内蔵されており、HCがその活性炭に吸着されることによって、燃料蒸発ガスがHCと空気とに分離される。分離された空気は、ドレインパイプ31bを通って大気に開放される。一方、エンジン50が稼動すると、吸気管51に負圧が発生する。活性炭に吸着されたHCは、この負圧を利用して流動する空気の流れに沿って、パージパイプ31aから吸気管51、吸気管51から燃焼室54へと導かれる。
【0025】
ドレインパイプ31bには、その経路上の途中に位置して、ドレインパイプ31bと排気ダクト19との間を連結する接続パイプ31cが接続されている。パージパイプ31a、ドレインパイプ31bおよび接続パイプ31cによって、上述の気体通路31が構成されている。気体通路31の一方端32は、エンジン50の吸気管51に接続されており、気体通路31の他方端33は、冷却風通路11を構成する排気ダクト19に接続されている。
【0026】
ドレインパイプ31bの接続パイプ31cが接続された位置には、ダイヤフラム式の流路切り換え弁21が設けられている。流路切り換え弁21は、チャコールキャニスター26を上流とする空気の流れを、チャコールキャニスター26からドレインパイプ31b、ドレインパイプ31bから車外へと向かう経路に規制し、チャコールキャニスター26を下流とする空気の流れを、接続パイプ31cからドレインパイプ31b、ドレインパイプ31bからチャコールキャニスター26へと向かう経路に規制する。
【0027】
続いて、本実施の形態における電源冷却機構の作動状態について説明を行なう。図3は、図1中の電源冷却機構の作動状態をまとめた表である。図1および図3を参照して、エンジン50が稼動している状態では、図示しないエンジンECU(electronic control unit)が、エンジン50の稼動状態に応じてパージ流量調整弁27の開閉を制御する。このとき、パージ流量調整弁27が開かれると、吸気ダクト12の吸気口12mから吸入され、接続パイプ31cからドレインパイプ31b、チャコールキャニスター26へと向かう空気の流れが、吸気管51で発生する吸気負圧によって形成される(矢印Pに示す方向から矢印Bに示す方向に向かう流れ)。
【0028】
このとき、電動冷却ファン15の回転を停止し、吸気口12mから吸入され、バッテリカバー13内を流れる空気によって、電池16を冷却する。また、チャコールキャニスター26に流れ込んだ空気は、チャコールキャニスター26に貯蔵されたHCを伴ってパージパイプ31aを流れ、さらに吸気管51から燃焼室54へと流れる。
【0029】
パージ流量調整弁27が閉じられている場合やエンジン50が稼動していない場合には、気体通路31に、他方端33から一方端32に向けた空気の流れが形成されない。このとき、電動冷却ファン15に通電され、電動冷却ファン15の回転によって、吸気ダクト12の吸気口12mからバッテリカバー13内へ空気が導入される。その空気は、電池16を冷却した後、排気ダクト19から車外へと排出される(矢印Pに示す方向から矢印Aに示す方向に向かう流れ)。
【0030】
一方、燃料タンク23で発生した燃料蒸発ガスは、チャージパイプ36を通ってチャコールキャニスター26へと導かれる。チャコールキャニスター26によって燃料蒸発ガスからHCが分離され、残った空気は、ドレインパイプ31bを通って車外へと排出される(矢印Cに示す方向の流れ)。この際、ドレインパイプ31bの経路上には流路切り換え弁21が設けられているため、チャコールキャニスター26からの空気が、接続パイプ31cを通って冷却風通路11に流れ込むということがない。これにより、チャコールキャニスター26から排出される空気に、HC成分が多少でも含まれている場合があっても、そのHC成分が車両の室内に流入することを防止できる。
【0031】
この発明の実施の形態1におけるハイブリッド動力出力装置としてのハイブリッド自動車10の電源冷却機構は、内燃機関としてのエンジン50と電源としての電池16とが設けられたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構である。その電源冷却機構は、経路上に電池16が配置された電源冷却用通路としての冷却風通路11と、冷却風通路11の経路上に配置され、電池16に冷却風を供給する電動ファンとしての電動冷却ファン15と、エンジン50の吸気系管路としての吸気管51に接続された一方端32と、冷却風通路11に接続された他方端33とを有する気体通路31とを備える。その気体通路31では、エンジン50の吸気管51に生じる負圧によって、他方端33から一方端32に向けて気体が流動する。
【0032】
気体通路31に、他方端33から一方端32に向けて気体が流動している場合には、電動冷却ファン15の回転が抑制される。ハイブリッド自動車10の電源冷却機構は、気体通路31の経路上に設けられたチャコールキャニスター26と、チャコールキャニスター26に接続された燃料タンク23とをさらに備える。
【0033】
なお、本実施の形態では、吸気管51の吸気負圧を利用して電池16を冷却している場合、電動冷却ファン15の回転を停止させることとしたが、電動冷却ファン15の回転速度を遅くしても良い。また、電池16の温度上昇が大きい場合には、吸気管51の吸気負圧を利用した冷却と、電動冷却ファン15による冷却とを、同時に実行しても良い。また、本実施の形態では、冷却風通路11と吸気管51とを接続する気体通路として、燃料蒸発ガスの排出抑止装置42を構成する部品を利用したが、本発明はこれに限定されない。つまり、排出抑止装置42の有無にかかわらず、冷却風通路11と吸気管51とを接続する気体通路を別途設けても良い。但し、排出抑止装置42を利用した場合、接続パイプ31cを加えるのみで本実施の形態における電源冷却機構を構成できる。このため、コストの増大を抑えることができる。
【0034】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車10の電源冷却機構によれば、電動冷却ファン15に加えて、吸気管51の吸気負圧を利用して冷却風通路11に空気を流すことによって、電池16を冷却している。このため、この吸気管51の吸気負圧を利用した冷却を実施している間、電動冷却ファン15の回転を停止したり、回転速度を遅くすることができる。これにより、電動冷却ファン15で消費される電力を低減させ、延いては、ハイブリッド自動車10の燃費を向上させることができる。一方、吸気管51の吸気負圧を利用した冷却を行なえない場合には、電動冷却ファン15を回転させて電池16を冷却すれば良い。このため、エンジン50の運転状態にかかわらず、電池16を確実に冷却することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2における電源冷却機構の制御系を示すブロック図である。図5は、図4中の制御系で実施する処理を示すフローチャート図である。本実施の形態におけるハイブリッド自動車の電源冷却機構は、実施の形態1におけるハイブリッド自動車10の電源冷却機構と比較して、基本的には同様の構造を備えるが、その制御に電池16の温度データが利用される。以下、重複する構造については説明を繰りかえさない。
【0036】
図4および図5を参照して、図1中に示すバッテリカバー13には、電池16の温度を検出するための電池温度検出センサ63と、電池温度検出センサ63が電気的に接続された電池ECU61とが収容されている。電池温度検出センサ63で検出された電池16の温度データは、電池ECU61に送られる。電池ECU61では、その温度データに基づいて電池16の温度が許容温度以上か否かを判断する(S101)。
【0037】
結果、許容温度以上と判断された場合には、電池ECU61に予め記憶されたマップを用いて、所定の演算処理が行なわれる(S103)。具体的には、パージ流量調整弁27の開度から、吸気管51の吸気負圧によって冷却風通路11に流れる空気量が算出され、その算出された空気量と、電池温度検出センサ63で検出された電池16の温度データとから、不足する空気量が導き出される。そして、その不足する空気量を供給するために必要な回転速度が、ファンデュティーとして電動冷却ファン15のファンコントローラ62に送られる(S104)。これにより、電動冷却ファン15は、電池16の温度が許容温度以下となるように回転制御される。また、電池16の温度が許容温度より低いと判断された場合には、ファンコントローラ62に回転停止の指令が出される(S102)。
【0038】
この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車の電源冷却機構は、電池16の温度を検出する温度検出部としての電池温度検出センサ63と、電池温度検出センサ63で検出された温度データに基づいて、電動冷却ファン15の回転を制御する制御部としての電池ECU61とをさらに備える。
【0039】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車の電源冷却機構によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。加えて、電池温度検出センサ63で検出された電池16の温度データに基づいて、電動冷却ファン15の回転制御を行なっているため、電池16の冷却を確実に行なった上で、電動冷却ファン15での消費電力の低減を図ることができる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態1における電源冷却機構を搭載したハイブリッド自動車を示す模式図である。
【図2】図1中のHVバッテリパックを示す斜視図である。
【図3】図1中の電源冷却機構の作動状態をまとめた表である。
【図4】この発明の実施の形態2における電源冷却機構の制御系を示すブロック図である。
【図5】図4中の制御系で実施する処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ハイブリッド自動車、11 冷却風通路、15 電動冷却ファン、16 電池、23 燃料タンク、26 チャコールキャニスター、31 気体通路、32 一方端、33 他方端、50 エンジン、51 吸気管、61 電池ECU、63 電池温度検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と電源とが設けられたハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構であって、
経路上に前記電源が配置された電源冷却用通路と、
前記電源冷却用通路の経路上に配置され、前記電源に冷却風を供給する電動ファンと、
前記内燃機関の吸気系管路に接続された一方端と、前記電源冷却用通路に接続された他方端とを有し、前記内燃機関の吸気系管路に生じる負圧によって、前記他方端から前記一方端に向けて気体が流動する気体通路とを備える、ハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構。
【請求項2】
前記気体通路に、前記他方端から前記一方端に向けて気体が流動している場合には、前記電動ファンの回転が抑制される、請求項1に記載のハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構。
【請求項3】
前記電源の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部で検出された温度データに基づいて、前記電動ファンの回転を制御する制御部とをさらに備える、請求項1または2に記載のハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構。
【請求項4】
前記気体通路の経路上に設けられたチャコールキャニスターと、
前記チャコールキャニスターに接続された燃料タンクとをさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構。
【請求項5】
前記他方端と前記チャコールキャニスターとの間に設けられた流路切り換え弁をさらに備え、
前記気体通路に、前記他方端から前記一方端に向けて気体が流動している場合、前記流路切り換え弁は、前記気体通路を前記電源冷却用通路に連通させ、前記気体通路に、前記他方端から前記一方端に向けて気体が流動していない場合、前記流路切り換え弁は、前記気体通路を外気に連通させる、請求項4に記載のハイブリッド動力出力装置の電源冷却機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−1489(P2006−1489A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182061(P2004−182061)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】