説明

ハイブリッド型建設機械

【課題】電動発電機又は前記電動発電機の駆動制御系の異常が発生した場合に、電動作業要素の駆動制御系の駆動を停止させることにより、信頼性の向上を図ったハイブリッド型建設機械を提供すること。
【解決手段】内燃機関と接続され、電動発電運転する電動発電系と、前記電動発電系と接続される蓄電系と、前記蓄電系に接続され、前記蓄電系へ回生電力を供給する負荷駆動系と、前記電動発電系に備えられる異常検出部と、前記異常検出部の検出値に基づいて異常判定を行うコントローラとを含み、前記コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記負荷駆動系の駆動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧用スイッチング素子及び降圧用スイッチング素子を有し、負荷への電力供給の制御と、負荷より得られる回生電力の蓄電器への供給の制御とを行う昇降圧コンバータを用いたハイブリッド型建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動機構の一部を電動化したハイブリッド型建設機械が提案されている。このような建設機械は、ブーム、アーム、及びバケット等の作業要素を油圧駆動するための油圧ポンプを備え、この油圧ポンプを駆動するためのエンジンに減速機を介して電動発電機を接続し、電動発電機でエンジンの駆動をアシストするとともに、発電によって得る電力を蓄電器に充電している。
【0003】
また、上部旋回体を旋回させるための旋回機構の動力源として油圧モータに加えて電動機を備え、旋回機構の加速時に電動機で油圧モータの駆動をアシストし、旋回機構の減速時に電動機で回生運転を行い、発電される電力をバッテリに充電している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−103112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のハイブリッド型建設機械では、アシスト用の電動発電機又は電動発電機の駆動制御系に異常が発生した場合に、エンジンへの電動運転ができなくなるため、旋回用電動機で発生した回生電力を蓄電手段で回収できなくなるおそれが生じてしまう。
【0006】
逆に、旋回用電動機又は旋回用電動機の駆動制御系に異常が発生した場合に、電動発電機で発電された電力を蓄電手段で回収できなくなるおそれが生じてしまう。
【0007】
この場合、蓄電手段の電圧が過電圧となり損傷してしまうことが考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、電動発電機又は前記電動発電機の駆動制御系の異常が発生した場合に、電動作業要素の駆動制御系の駆動を停止させることにより、信頼性の向上を図ったハイブリッド型建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面のハイブリッド型建設機械は、内燃機関と接続され、電動発電運転する電動発電系と、前記電動発電系と接続される蓄電系と、前記蓄電系に接続され、前記蓄電系へ回生電力を供給する負荷駆動系と、前記電動発電系に備えられる異常検出部と、前記異常検出部の検出値に基づいて異常判定を行うコントローラとを含み、前記コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記負荷駆動系の駆動を停止させる。
【0010】
また、前記コントローラは、異常判断の前後で前記蓄電系の充放電制御を継続してもよい。
【0011】
また、前記負荷駆動系は旋回用電動機を含み、前駆コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記旋回用電動機の駆動を停止させてもよい。
【0012】
また、前記コントローラは、さらに、油圧を発生する油圧ポンプの駆動制御を行うように構成されており、前記異常検出部によって前記電動発電機又は前記電動発電機の駆動制御系の異常が検出された場合に、前記油圧ポンプの吐出量を制限してもよい。
【0013】
また、前記負荷駆動系はブーム回生用発電機を含み、前記コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記ブーム回生用発電機の駆動を停止させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動発電機又は前記電動発電機の駆動制御系の異常が発生した場合に、電動作業要素の駆動制御系の駆動を停止させることにより、電動作業要素の駆動制御系の損傷を防ぐことができるハイブリッド型建設機械を提供できるという特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1のハイブリッド型建設機械を示す側面図である。
【図2】実施の形態1のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。
【図3】実施の形態1のハイブリッド型建設機械に用いる蓄電系の詳細図である。
【図4】従来のハイブリッド型建設機械において、電動発電機12又はインバータ18の異常が発生した場合のDCバス電圧値及びバッテリ電圧値の推移を示す特性図であり、(a)は負荷が回生運転を行っていた場合、(b)は負荷が力行運転を行っていた場合の電圧値の推移を示す。
【図5】実施の形態1のハイブリッド型建設機械において、電動発電機12又はインバータ18の異常が発生した場合のDCバス電圧値及びバッテリ電圧値の推移を示す特性図である。
【図6】実施の形態2のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。
【図7】実施の形態3のハイブリッド型建設機械の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のハイブリッド型建設機械を適用した実施の形態について説明する。
【0017】
「実施の形態1」
図1は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械を示す側面図である。
【0018】
このハイブリッド型建設機械は、建設機械型のハイブリッド型建設機械であり、下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
【0019】
「全体構成」
図2は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を実線でそれぞれ示す。
【0020】
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、ともに増力機としての減速機13の入力軸に接続されている。また、この減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
【0021】
コントロールバルブ17は、実施の形態1の建設機械における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
【0022】
また、電動発電機12には、インバータ18及び蓄電制御部としての昇降圧コンバータ100を介して蓄電器としてのバッテリ19が接続される。このインバータ18と昇降圧コンバータ100との間は、DCバス110によって接続されている。
【0023】
また、DCバス110には、インバータ20を介して電動作業要素としての旋回用電動機21が接続されている。DCバス110は、バッテリ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行うために配設されている。
【0024】
DCバス110には、DCバス110の電圧値(以下、DCバス電圧値と称す)を検出するためのDCバス電圧検出部111が配設されている。検出されるDCバス電圧値は、コントローラ30に入力される。
【0025】
また、バッテリ19には、バッテリ電圧値を検出するためのバッテリ電圧検出部112と、バッテリ電流値を検出するためのバッテリ電流検出部113が配設されている。これらによって検出されるバッテリ電圧値とバッテリ電流値は、コントローラ30に入力される。なお、バッテリ19、DCバス110と昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う蓄電系を構成する。
【0026】
旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。旋回用電動機21、インバータ20、レゾルバ22、及び旋回用減速機24とで負荷制御系を構成する。
【0027】
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含み、レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cには、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、実施の形態1の建設機械の電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
【0028】
このような実施の形態1の建設機械は、エンジン11、電動発電機12、及び旋回用電動機21を動力源とするハイブリッド型建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
【0029】
「各部の構成」
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は減速機13の一方の入力軸に接続される。このエンジン11は、建設機械の運転中は常時運転される。
【0030】
電動発電機12は、電動(アシスト)運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機12として、インバータ18によって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12の回転軸は減速機13の他方の入力軸に接続される。そして、電動発電機12には、電動発電系の第2の異常検出部としての温度センサ12Aが配設されている。電動発電機12に負荷がかかると温度センサ12Aの温度検出値が上昇する。これにより、温度センサ12Aの温度検出値が高すぎると、電動発電機12が過負荷状態であることを把握することができる。
【0031】
減速機13は、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸の各々には、エンジン11の駆動軸と電動発電機12の駆動軸が接続される。また、出力軸にはメインポンプ14の駆動軸が接続される。エンジン11の負荷が大きい場合には、電動発電機12が電動(アシスト)運転を行い、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。これによりエンジン11の駆動がアシストされる。一方、エンジン11の負荷が小さい場合は、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電運転による発電を行う。電動発電機12の力行運転と発電運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
【0032】
メインポンプ14は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。
【0033】
パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
【0034】
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
【0035】
インバータ18は、電動発電機12と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの制御指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う電動発電機12の駆動制御部である。これにより、インバータ18が電動発電機12を電動運転している際には、必要な電力をバッテリ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を発電運転している際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19に充電する。電動発電機12とインバータ19とで電動発電系を構成している。そして、インバータ18には、電動発電系の異常検出部としての図示しない温度センサ、電流検出器及び電圧検出器が配設されている。温度センサではインバータ18のスイッチング素子の温度を検出し、電流検出器によって電動発電機12の電流を検出することができる。例えば、インバータ18のIGBTが過負荷状態になると、温度センサで検出される温度値は予め定められた閾値を超えることで、異常が発生したことを検出することができる。
【0036】
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してインバータ18及びインバータ20に接続されている。これにより、電動発電機12の電動(アシスト)運転と旋回用電動機21の力行運転との少なくともどちらか一方が行われている際には、電動(アシスト)運転又は力行運転に必要な電力を供給するとともに、また、電動発電機12の発電運転と旋回用電動機21の回生運転の少なくともどちらか一方が行われている際には、発電運転又は回生運転によって発生した電力を電気エネルギとして蓄積するための電源である。
【0037】
このバッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100によって行われる。この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。
【0038】
インバータ20は、旋回用電動機21と昇降圧コンバータ100との間に設けられ、コントローラ30からの制御指令に基づき、旋回用電動機21に対して運転制御を行う旋回用電動機21の駆動制御部である。これにより、インバータが旋回用電動機21の力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から昇降圧コンバータ100を介して旋回用電動機21に供給する。また、旋回用電動機21が回生運転をしている際には、旋回用電動機21により発電された電力を昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19へ充電する。図2には、旋回電動機(1台)及びインバータ(1台)を含む実施の形態を示すが、その他マグネット機構や旋回機構部以外の駆動部として備えることで、複数の電動機及び複数のインバータをDCバス110に接続するようにしてもよい。
【0039】
なお、このインバータ20は、電動作業要素としての旋回用電動機21の駆動制御部である。
【0040】
昇降圧コンバータ100は、一側がDCバス110を介して電動発電機12及び旋回用電動機21に接続されるとともに、他側がバッテリ19に接続されており、DCバス電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧又は降圧を切り替える制御を行う。電動発電機12が電動(アシスト)運転を行う場合には、インバータ18を介して電動発電機12に電力を供給する必要があるため、DCバス電圧値を昇圧する必要がある。一方、電動発電機12が発電運転を行う場合には、発電された電力をインバータ18を介してバッテリ19に充電する必要があるため、DCバス電圧値を降圧する必要がある。これは、旋回用電動機21の力行運転と回生運転においても同様であり、その上、電動発電機12はエンジン11の負荷状態に応じて運転状態が切り替えられ、旋回用電動機21は上部旋回体3の旋回動作に応じて運転状態が切り替えられるため、電動発電機12と旋回用電動機21には、いずれか一方が電動(アシスト)運転又は力行運転を行い、他方が発電運転又は回生運転を行う状況が生じうる。
【0041】
このため、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12と旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
【0042】
DCバス110は、2つのインバータ18及び20と昇降圧コンバータとの間に配設されており、バッテリ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間で電力の授受が可能に構成されている。
【0043】
DCバス電圧検出部111は、DCバス電圧値を検出するための電圧検出部である。検出されるDCバス電圧値はコントローラ30に入力され、このDCバス電圧値を一定の範囲内に収めるための昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
【0044】
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値を検出するための電圧検出部であり、バッテリの充電状態を検出するために用いられる。検出されるバッテリ電圧値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
【0045】
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19の電流値を検出するための電流検出部である。バッテリ電流値は、バッテリ19から昇降圧コンバータ100に流れる電流を正の値として検出される。検出されるバッテリ電流値は、コントローラ30に入力され、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行うために用いられる。
【0046】
旋回用電動機21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動作業要素としての電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動機21として、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機を示す。この旋回用電動機21は、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生時に旋回用電動機21にて発電される電力を増大させることができる。
【0047】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで旋回用電動機21の回転前の回転軸21Aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。旋回用電動機21の回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構2の回転角度及び回転方向が導出される。また、図2にはレゾルバ22を取り付けた形態を示すが、電動機の回転センサを有しないインバータ制御方式を用いてもよい。
【0048】
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
【0049】
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構2に機械的に伝達する減速機である。これにより、力行運転の際には、旋回用電動機21の回転力を増力させ、より大きな回転力として旋回体へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、旋回体で発生した回転数を増加させ、より多くの回転動作を旋回用電動機21に発生させることができる。
【0050】
旋回機構2は、旋回用電動機21のメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
【0051】
操作装置26は、旋回用電動機21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、ハイブリッド型建設機械の運転者によって操作される。
【0052】
この操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を運転者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
【0053】
操作装置26が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
【0054】
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダの駆動に必要な油圧をコントロールバルブに供給する。
【0055】
旋回用操作検出部としての圧力センサ29では、操作装置26に対して旋回機構2を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。これにより、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量を的確に把握することができる。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。また、実施の形態1では、レバー操作検出部としての圧力センサを用いる形態について説明するが、操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量をそのまま電気信号で読み取るセンサを用いてもよい。
【0056】
「コントローラ30」
コントローラ30は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械の駆動制御を行う主制御部としての制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
【0057】
コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号(操作装置26に入力される旋回機構2を旋回させるための操作量を表す信号)を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
【0058】
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるバッテリ19の充放電制御を行う。コントローラ30は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりバッテリ19の充放電制御を行う。
【0059】
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、バッテリ電圧検出部112によって検出されるバッテリ電圧値、及びバッテリ電流検出部113によって検出されるバッテリ電流値に基づいて行われる。
【0060】
また、コントローラ30は、異常検出部で検出される電動発電機12、インバータ18に配設された異常検出部からの検出値と、それぞれの異常検出部に対応して予め定められた閾値とを比較することで異常判定を行う機能を担う。このため、コントローラ30には、電動発電機12の温度、電動発電機12に通流する電流値、電動発電機12に印加される電圧値、インバータ18に含まれるスイッチング素子の温度、インバータ18に供給される電圧値、及びインバータ18に供給される電流値を表す信号が入力されるように構成されている。
【0061】
なお、電動発電機12の異常とは、例えば、電動発電機12に断線が生じている場合や、温度が異常に上昇している状態をいう。
【0062】
また、インバータ18の異常とは、例えば、断線や故障により、スイッチング素子の温度、電圧値、又は電流値がそれぞれの閾値を超えて、過熱状態、過電圧状態、又は過電流状態が生じていることをいう。
【0063】
図3は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械に用いる蓄電系の詳細図である。この昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、バッテリ19を接続するための電源接続端子104、インバータ105を接続するための出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。昇降圧コンバータ100の出力端子106とインバータ105との間は、DCバス110によって接続される。インバータ105は、インバータ18A、18B、20に相当する。
【0064】
リアクトル101は、一端が昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続されるとともに、他端が電源接続端子104に接続されており、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス9に供給するために設けられている。
【0065】
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、駆動制御部120により、ゲート端子にPWM電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
【0066】
バッテリ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図3には、蓄電器としてバッテリ19を示すが、バッテリ19の代わりに、コンデンサ、充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
【0067】
電源接続端子104及び出力端子106は、バッテリ19及びインバータ105が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
【0068】
バッテリ電圧検出部112は、バッテリ19の電圧値(vbat_det)を検出し、DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧(以下、DCバス電圧:vdc_det)を検出する。
【0069】
平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化できる蓄電素子であればよい。
【0070】
バッテリ電流検出部113は、バッテリ19に通流する電流の値を検出可能な検出手段であればよく、電流検出用の抵抗器を含む。このリアクトル電流検出部108は、バッテリ19に通流する電流値(ibat_det)を検出する。
【0071】
「昇降圧動作」
このような昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力をDCバス110に供給する。これにより、DCバス110が昇圧される。
【0072】
また、DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT102B、インバータ105を介して供給される回生電力をDCバス110からバッテリ19に供給する。これにより、DCバス110に蓄積された電力がバッテリ19に充電され、DCバス110が降圧される。
【0073】
なお、実際には、コントローラ120と昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bとの間には、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bを駆動するPWM信号を生成する駆動部が存在するが、図3では省略する。このような駆動部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
【0074】
ここで、電動発電機12又はインバータ18に異常が発生した場合には、インバータ20に過大な電力が供給され、インバータ20が損傷を受ける場合がある。
【0075】
このため、実施の形態1のハイブリッド型建設機械では、電動発電機12又はインバータ18に異常が発生した場合には、駆動制御部120がインバータ20の駆動を停止させる。このときの動作特性を図4及び図5を用いて説明する。
【0076】
図4は、従来のハイブリッド型建設機械において、電動発電機12又はインバータ18の異常が発生した場合のDCバス電圧値及びバッテリ電圧値の推移を示す特性図であり、(a)は負荷が回生運転を行っていた場合、(b)は負荷が力行運転を行っていた場合の電圧値の推移を示す。
【0077】
図5は、実施の形態1のハイブリッド型建設機械において、電動発電機12又はインバータ18の異常が発生した場合のDCバス電圧値及びバッテリ電圧値の推移を示す特性図である。
【0078】
これらの図において、縦軸は電圧値を示し、V1はDCバス電圧値の目標値、V2はDCバス電圧値の上限値、V4はバッテリ使用範囲の下限値、VDCはDCバス電圧値、VBATはバッテリ電圧値を表す。
【0079】
ここで、DCバス電圧値の上限値V2は、DCバス電圧値が過電圧であるか否かを判定するための電圧値である。
【0080】
また、バッテリ使用範囲とは、ハイブリッド型建設機械において、バッテリ19を使用する際のバッテリ電圧値の範囲であり、図4(b)には、下限値V4のみを示す。
【0081】
なお、図4(a)、(b)には、インバータ18に異常が発生した場合の特性を示し、時刻t=0以前では、図4(a)では旋回用電動機21の回生運転が行われており、図4(b)では力行運転が行われていることとする。
【0082】
図4(a)に示すように、時刻t=0では、バッテリ電圧値VBATよりもDCバス電圧値VDCの方が高い状態となっている。
【0083】
従来のハイブリッド型建設機械では、時刻t=0でインバータ18に異常が発生しても、電動作業要素である旋回用電動機21の駆動制御は停止されないので、旋回用電動機21によって回生される電力はDCバス110へ供給される。これにより、コントローラ30は、DCバス電圧値VDCを一定に保持するために昇降圧コンバータ100に降圧動作を行わせるため、バッテリ電圧値VBATは上昇する。
【0084】
時刻t=t2で、バッテリ電圧値VbatはDCバス電圧値Vdcに到達する。その後、旋回用電動機21からの回生が継続すると、バッテリ電圧値VbatとDCバス電圧値Vdcとはともに上昇してしまう。
【0085】
さらに、時刻t=t3では、DCバス電圧値の上限値にまで到達してしまう。この場合に、インバータ20に対しても過電圧状態となり、損傷を受けてしまう。
【0086】
また、図4(b)に示すように、時刻t=0では、バッテリ電圧値VBATよりもDCバス電圧値VDCの方が高い状態となっている。
【0087】
このように、従来のハイブリッド型建設機械では、時刻t=0でインバータ18に異常が発生しても、電動作業要素である旋回用電動機21の駆動制御は停止されないので、旋回用電動機21によってDCバス110の電力が消費される。これにより、駆動制御部120は、DCバス電圧値VDCを一定に保持するために昇降圧コンバータ100に昇圧動作を行わせるため、バッテリ電圧値VBATは低下する。
【0088】
旋回用電動機21の電動運転が引き続き行われることにより、時刻t=t4では、バッテリ電圧値VBATはバッテリ使用範囲の下限値V4を下回ってしまう。バッテリ電圧値VBATが下限値V4を下回ると、バッテリ19の出力が減少するので正常な動作ができなくなる。
【0089】
これに対して、実施の形態1のハイブリッド型建設機械では、インバータ18に異常が発生しても、以下のようにして、インバータ20の損傷を防ぐことができる。
【0090】
図5には、実施の形態1を用いた場合における、インバータ18、20に異常が発生した後のバッテリ電圧値とDCバス電圧値の時間推移を示す。
【0091】
ハイブリッド型建設機械が作業を継続し、電動発電機12に負荷がかかり過ぎて、電動発電機12に配置した温度センサ12Aによる検出値が予め定めら温度に達すると、コントローラ30は電動発電機12が過負荷状態にあると判定する(時刻t=0)。この場合、コントローラ30は、電動発電系に異常が発生したと判定する。そして、異常処理を行うべく、インバータ18へ電動発電機12の駆動を停止するように制御指令を送る。さらに、コントローラ30は旋回用電動機21の駆動制御を停止するように制御指令をインバータ20に送る。これにより、旋回用電動機21での回生電力の発生を禁止でき、さらに、力行運転による電力消費を禁止する。一方、コントローラ30は、昇降圧コンバータ100に対して、電動発電系の異常発生の前後で、継続してDCバス電圧VdcをV1に一定に維持するように制御指令を送る。
【0092】
これにより、t=0後において、図5に示すようにDCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ20が損傷を受けることは生じない。
【0093】
なお、これは、インバータ18の代わりに、電動発電機12に異常が発生した場合においても、同様に、インバータ20の駆動制御は駆動制御部120によって停止され、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ20が損傷を受けることは生じない。
【0094】
このように実施の形態1のハイブリッド型建設機械では、電動発電機12、又はその駆動制御系であるインバータ18に異常が発生すると、インバータ20の駆動制御は駆動制御部120によって停止される。このため、インバータ20の損傷を防ぐことができる。
【0095】
なお、インバータ18及び20の駆動制御が停止された後は、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ18Aの復旧後は、速やかに通常通りの運転を行うことができる。
【0096】
また、電動発電機12又はインバータ18に異常が発生した場合に、コントローラ30がメインポンプ14の吐出量を制限(低下)させるようにしてもよい。これにより、電動発電機12又はインバータ18に異常が発生することによって電動発電機12の出力が低下した場合においても、エンジン11がメインポンプ14を駆動する際の負荷を低減することができる。このため、電動発電機12又はインバータ18に異常が発生した際に、吐出量を制限することで、エンジン11がストールすることを抑制することができる。
【0097】
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。実施の形態2のハイブリッド型建設機械は、DCバス110に駆動制御系としてのインバータ18Bを介して電動作業要素としてのブーム回生用発電機300が接続されている点が実施の形態1のハイブリッド型建設機械と異なる。インバータ18Bとブーム回生用発電機300とで負荷駆動系を構成する。
【0098】
実施の形態2のハイブリッド型建設機械では、ブームシリンダ7に油圧モータ310が接続されており、ブーム回生用発電機300の回転軸は、油圧モータ310によって駆動される。なお、図6では、説明の便宜上、油圧モータ310とブーム回生用発電機300は離れているが、実際には、ブーム回生用発電機300の回転軸は、油圧モータ310の回転軸に機械的に接続されている。
【0099】
ブーム回生用発電機300は、上述のように、油圧モータ310によって駆動され、ブーム4が重力に従って下げられるときに、位置エネルギを電気エネルギに変換する電動作業要素である。
【0100】
油圧モータ310は、ブーム4が下げられるときにブームシリンダ7から吐出される油によって回転されるように構成されており、ブーム4が重力に従って下げられるときのエネルギを回転力に変換するために設けられている。油圧モータ310は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7の間の油圧管7Aに設けられているため、上部旋回体3内の適当な場所に取り付けることができる。
【0101】
ブーム回生用発電機300で発電された電力は、回生エネルギとしてインバータ18Bを経てDCバス110に供給される。
【0102】
このため、電動発電機12、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われる状況が生じうる。また、電動発電機12、ブーム回生用発電機300、及び旋回用電動機21には、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
【0103】
実施の形態2では、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、ブーム回生用発電機300、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
【0104】
DCバス110は、インバータ18A、18B、及び20と昇降圧コンバータとの間に配設されており、バッテリ19、電動発電機12、ブーム回生用発電機300、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
【0105】
このような実施の形態2のハイブリッド型建設機械において、時刻t=0でインバータ18Aに異常が発生すると、駆動制御部120は、インバータ18B、及び20の駆動制御を停止し、ブーム回生用発電機300、及び旋回用電動機21の駆動制御を停止する。
【0106】
これにより、電動発電系に異常が発生した場合、インバータ18BからDCバス110への回生エネルギの供給を防止することができる。
【0107】
これにより、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ18B、及び20が損傷を受けることは生じない。
【0108】
なお、これは、インバータ18Aの代わりに、電動発電機12に異常が発生した場合においても、同様に、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ18B、及び20が損傷を受けることは生じない。
【0109】
このように実施の形態2のハイブリッド型建設機械では、電動発電機12、又はその駆動制御系であるインバータ18に異常が発生すると、インバータ18B、及び20の駆動制御は駆動制御部120によって停止される。このため、インバータ18B、及び20の損傷を防ぐことができる。
【0110】
なお、インバータ18B、及び20の駆動制御が停止された後は、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ18Aの復旧後は、速やかに通常通りの運転を行うことができる。
【0111】
なお、以上では、ブーム回生用発電機300が油圧モータ310を介してブーム4の位置エネルギを電気エネルギに変換する形態について説明したが、ブーム回生用発電機300は、ブーム4のブーム軸に接続されており、ブーム4が下げられるときに油圧で駆動される際に発電を行うように構成してもよい。ブーム4の上昇と下降の判別は、例えば、ブーム4の操作を行うための操作レバー26Aの2次側に圧力センサを設け、この圧力センサの出力に基づいて駆動制御部120が行うようにすればよい。
【0112】
[実施の形態3]
図7は、実施の形態3のハイブリッド型建設機械の構成を示すブロック図である。実施の形態3のハイブリッド型建設機械は、メインポンプ14の駆動がポンプ用電動機400によって行われ、電動発電機12はエンジン11によって駆動されることによる電力の回収(発電運転)を行うように構成されている点が実施の形態1のハイブリッド型建設機械と異なる。その他の構成は実施の形態1のハイブリッド型建設機械と同一であるため、同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、電動発電機12は、本実施の形態ではエンジン11によって駆動させることによる発電運転のみを行なう発電機としての機能を備えている。
【0113】
ポンプ用電動機400は、メインポンプ14を駆動するための力行運転だけを行うように構成されており、駆動制御系としてのインバータ410を介してDCバス110に接続されている。
【0114】
このポンプ用電動機400は、駆動制御部120によって駆動されるように構成されている。レバー26A〜26Cのいずれかが操作されると、ポンプ用電動機400には、DCバス110からインバータ410を介して電力が供給され、これによって力行運転が行われ、ポンプ14が駆動されて圧油が吐出される。
【0115】
このため、電動発電機12、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21には、いずれかにDCバス110を介して電力供給が行われる状況が生じうる。また、電動発電機12、及び旋回用電動機21には、いずれかからDCバス110に電力供給が行う状況が生じうる。
【0116】
実施の形態3では、昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。
【0117】
DCバス110は、インバータ18、410、及び20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、バッテリ19、ポンプ用電動機400、及び旋回用電動機21の間で電力の授受を行う。
【0118】
このような実施の形態3のハイブリッド型建設機械において、時刻t=0でインバータ18に異常が発生すると、駆動制御部120は、インバータ20及び410の駆動制御を停止し、旋回用電動機21及びポンプ用電動機400の駆動制御を停止する。
【0119】
これにより、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ20及び410が損傷を受けることは生じない。
【0120】
なお、これは、インバータ18の代わりに、電動発電機12に異常が発生した場合においても、同様に、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ20及び410が損傷を受けることは生じない。
【0121】
このように実施の形態3のハイブリッド型建設機械では、電動発電機12、又はその駆動制御系であるインバータ18に異常が発生すると、インバータ20及び410の駆動制御は駆動制御部120によって停止される。このため、インバータ20及び410の損傷を防ぐことができる。
【0122】
なお、インバータ20及び410の駆動制御が停止された後は、DCバス電圧値VDCとバッテリ電圧値VBATは一定値に保持される。このため、インバータ18の復旧後は、速やかに通常通りの運転を行うことができる。
【0123】
以上、実施の形態1乃至3では、種々の構成のハイブリッド型建設機械について説明したが、本発明のハイブリッド型建設機械は、実施の形態1乃至4に示した構成を任意に組み合わせることができる。
【0124】
以上、本発明の例示的な実施の形態のハイブリッド型建設機械について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 下部走行体
1A、1B 走行機構
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
7A 油圧管
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
12 電動発電機
13 減速機
14 メインポンプ
15 パイロットポンプ
16 高圧油圧ライン
17 コントロールバルブ
18、18A、18B、20、410 インバータ
19 バッテリ
21 旋回用電動機
22 レゾルバ
23 メカニカルブレーキ
24 旋回減速機
25 パイロットライン
26 操作装置
26A、26B レバー
26C ペダル
26D ボタンスイッチ
27 油圧ライン
28 油圧ライン
29 圧力センサ
30 コントローラ
100 昇降圧コンバータ
101 リアクトル
102A 昇圧用IGBT
102B 降圧用IGBT
103 バッテリ
104 電源接続端子
105 モータ
106 出力端子
107 コンデンサ
110 DCバス
111 DCバス電圧検出部
112 バッテリ電圧検出部
113 バッテリ電流検出部
300 発電機
310 油圧モータ
400 ポンプ用電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と接続され、電動発電運転する電動発電系と、
前記電動発電系と接続される蓄電系と、
前記蓄電系に接続され、前記蓄電系へ回生電力を供給する負荷駆動系と、
前記電動発電系に備えられる異常検出部と、
前記異常検出部の検出値に基づいて異常判定を行うコントローラと
を含み、前記コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記負荷駆動系の駆動を停止させる、ハイブリッド型建設機械。
【請求項2】
前記コントローラは、異常判断の前後で前記蓄電系の充放電制御を継続する、請求項1に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項3】
前記負荷駆動系は旋回用電動機を含み、
前駆コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記旋回用電動機の駆動を停止させる、請求項1又は2に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項4】
前記コントローラは、さらに、油圧を発生する油圧ポンプの駆動制御を行うように構成されており、前記異常検出部によって前記電動発電機又は前記電動発電機の駆動制御系の異常が検出された場合に、前記油圧ポンプの吐出量を制限する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項5】
前記負荷駆動系はブーム回生用発電機を含み、
前記コントローラは、異常が発生したと判定すると、前記ブーム回生用発電機の駆動を停止させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハイブリッド型建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−133237(P2010−133237A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257455(P2009−257455)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】