説明

ハイブリッド車の動力伝達機構

【課題】車両が定常走行する際に発電電動機を無駄に駆動することにより発生する損失を低減しかつ減速時に回生エネルギを有効利用して燃費を向上するとともに、加速時や減速時の制御性を向上したハイブリッド車の動力伝達機構を提供する。
【解決手段】動力を出力する内燃機関2と、動力が入力されて発電を行いまた動力を出力する発電電動機3と、内燃機関2及び発電電動機3を走行駆動源として選択制御する制御手段(ハイブリッドECU6)とを備えるハイブリッド車の動力伝達機構1であって、動力を伝達する動力伝達経路と発電電動機3とを断続する動力断続機構4を備え、制御手段6は、道路状態に関する情報、交通状態に関する情報、及び車両状態に関する情報の少なくとも一つを参照して、動力断続機構4を断続制御する。さらに、制御手段6は、定常走行の持続が期待できる場合に、動力断続機構4を切り離し制御することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源として内燃機関及び発電電動機を搭載したハイブリッド車の動力伝達機構に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源として内燃機関及び発電電動機を搭載し、それぞれの長所を活かして燃費改善・高出力・環境保護を実現するハイブリッド車が実用化されている。この種のハイブリッド車では、内燃機関の効率が悪い発進時には発電電動機で駆動し、走行状態に移行した段階で効率が良好となる内燃機関に切り替えることが駆動源の選択制御の基本となっている。また、急峻な傾斜路では、内燃機関及び発電電動機の両方で駆動する場合もあり得る。一方、減速時には、車両の運動エネルギを発電電動機で電力に変換してバッテリを充電し、換言すればエネルギを回生して有効利用している。さらに、バッテリの充電状態が低下した場合には、走行状態において内燃機関から発電電動機を駆動して電力を発生させ、充電状態を改善している。以上のように、発電電動機は電動機及び発電機として作用するが、常時動作しているわけではなく、無駄に駆動されている状態がある。
【0003】
発電電動機が動力を生成しない状態で動力伝達経路に継合されて無駄に駆動されていると、その分だけ損失が増加して燃費が低下する。例えば、ハイブリッド車用として回転子に永久磁石を埋め込んだ回転磁石形の発電電動機が多用されており、回転子が駆動されると固定子側のコイルに誘導起電力が発生する。この誘導起電力で生じる問題を、外部から逆向きの電圧を加える「弱め界磁制御」により緩和しているが、その分の電力消費により燃費が低下する。また、加速時や減速時には、発電電動機が有する慣性分を駆動する必要があり、切り離した場合と比較して制御性が低下する。これらに対する方策の一例を、本願出願人は特許文献1の動力伝達装置に開示している。この動力伝達装置は、有段変速機構の入力軸と回転電機のロータとの間に第1動力断続機構を有し、さらに、車輪に連なる回転電機側出力軸とロータとの間に第2動力断続機構を有している。これにより、回転電機のロータを動力伝達経路から切り離すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/051143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の動力伝達装置では、回転電機(発電電動機)のロータを動力伝達経路から切り離すことで無駄な駆動による損失を低減できるが、反面、運動エネルギの回生ができなくなる。つまり、発電電動機を切り離せば損失を低減できるがエネルギ回生の機会を失い、発電電動機を継合すれば機械的な損失は増加するがエネルギ回生の機会を得ることができる。したがって、発電電動機での駆動により発進した以降は、概ね一定速度の定常走行が持続する場合に発電電動機を動力伝達経路から切り離し、加減速が繰り返される場合に発電電動機を継合することが好ましい。しかしながら、定常走行が持続するか否かは、道路状態や交通状態に依存してケースバイケースとなるため、判断が難しい。
【0006】
一方、発電電動機を切り離すべきか継合すべきかの判断は、車載のバッテリの充電状態によっても変化する。つまり、バッテリの充電状態が不足している場合には、発電電動機を継合して内燃機関からの駆動または減速時のエネルギ回生により充電状態を改善することが、損失の低減よりも重要になる。また、バッテリの充電状態が満充電に達している場合には、発電電動機を切り離して過充電を避けることが好ましい。
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、車両が定常走行する際に発電電動機を無駄に駆動することにより発生する損失を低減しかつ減速時に回生エネルギを有効利用して燃費を向上するとともに、加速時や減速時の制御性を向上したハイブリッド車の動力伝達機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のハイブリッド車の動力伝達機構は、動力を出力する内燃機関と、動力が入力されて発電を行いまた動力を出力する発電電動機と、前記内燃機関及び前記発電電動機を走行駆動源として選択制御する制御手段とを備えるハイブリッド車の動力伝達機構であって、前記動力を伝達する動力伝達経路と前記発電電動機とを断続する動力断続機構を備え、前記制御手段は、道路状態に関する情報、交通状態に関する情報、及び車両状態に関する情報の少なくとも一つを参照して、前記動力断続機構を断続制御することを特徴とする。
【0009】
さらに、前記制御手段は、前記道路状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、走行中の道路が高速道路または自動車専用道路であるかあるいは一般道路であっても交通信号が少なく定常走行の持続が期待できるという定常走行条件が満たされた場合に、前記動力断続機構を切り離し制御することが好ましい。
【0010】
さらに、前記制御手段は、前記交通状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、前記定常走行条件が満たされていても交通状態が良好でなく前記定常走行が困難と予想される場合に、前記動力断続機構を継合制御することが好ましい。
【0011】
また、走行中の道路が前記高速道路または前記自動車専用道路であって、定められている最低速度よりも車両走行速度が減少した場合に、前記制御手段は前記動力断続機構を継合制御するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記制御手段は、前記車両状態に関する情報として前記発電電動機が充電する車載のバッテリの充電状態を示す充電状態値を得て、該充電状態値が不足充電規定値以下の場合に前記動力断続機構を継合制御し、前記充電状態値が満充電規定値以上でかつ車両走行中の場合に前記動力断続機構を切り離し制御することが好ましい。
【0013】
また、前記発電電動機は回転子に永久磁石を有し、前記動力断続機構は前記動力伝達経路と前記回転子とを断続することでもよい。
【0014】
さらに、前記動力断続機構は、前記動力伝達経路中の前記内燃機関と変速機との間、及び前記動力伝達経路中の前記変速機よりも下流側の少なくとも一方に、前記発電電動機を断続することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハイブリッド車の動力伝達機構では、制御手段が道路状態に関する情報、交通状態に関する情報、及び車両状態に関する情報の少なくとも一つを参照して動力断続機構を断続制御し、動力伝達経路と発電電動機とを切り離し及び継合する。したがって、適正な条件を設定して発電電動機を断続制御し、発電電動機を切り離すことにより無駄に駆動されて発生する損失を低減でき、かつ減速時に発電電動機を継合することにより回生エネルギを有効利用でき、総合的に燃費を向上できる。また、発電電動機を切り離したときには、切り離した分だけ慣性が減少して、加速時や減速時の制御性が向上する。
【0016】
さらに、制御手段が道路状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、定常走行条件が満たされた場合に動力断続機構を切り離し制御する態様では、概ね一定速度の定常走行が持続すると期待できる場合に、発電電動機を無駄に駆動することがなくなって燃費を向上できる。
【0017】
さらに、制御手段が交通状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、定常走行条件が満たされていても交通状態が良好でなく定常走行が困難と予想される場合に動力断続機構を継合制御する態様では、減速時に回生エネルギを有効利用して燃費を向上できる。
【0018】
また、走行中の道路が前記高速道路または前記自動車専用道路であって、定められている最低速度よりも車両走行速度が減少した場合に、制御手段が動力断続機構を継合制御する態様では、定常走行が困難であると確実に予想でき、減速時に回生エネルギを有効利用して燃費を向上できる。
【0019】
さらに、制御手段が車載のバッテリの充電状態値を得て、充電状態値が不足充電規定値以下の場合に動力断続機構を継合制御し、充電状態値が満充電規定値以上でかつ車両走行中の場合に動力断続機構を切り離し制御する態様では、不足する充電状態の改善を優先して行うとともに、過充電のおそれを回避できる。つまり、バッテリの充電状態の適正化に寄与できる。
【0020】
また、発電電動機は回転子に永久磁石を有し、動力断続機構が動力伝達経路と回転子とを断続する態様では、回転磁石形の発電電動機において前述の各効果が発生する。
【0021】
さらに、動力断続機構が動力伝達経路中の内燃機関と変速機との間、及び動力伝達経路中の変速機よりも下流側の少なくとも一方に発電電動機を断続する態様では、動力伝達経路の種々の構成に対して本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構を説明するブロック図である。
【図2】図1の実施形態における、ハイブリッドECUによる動力断続機構の断続制御フローの図である。
【図3】動力断続機構を変速機よりも下流側に配置した第2実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構を説明するブロック図である。
【図4】2個の動力断続機構を備える第3実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態を、図1及び図2を参考にして説明する。図1は、本発明の実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構1を説明するブロック図である。図中で、実線の矢印は動力またはエネルギの流れを示し、破線の矢印は情報または制御の流れを示している。実施形態の動力伝達機構1は、内燃機関2、発電電動機3、動力断続機構4、変速機5、ハイブリッドECU6などにより構成されている。
【0024】
内燃機関2は走行駆動源であり、そのクランク軸から出力された動力は図略のクラッチを介して変速機5に入力されている。発電電動機3の出力軸は、動力断続機構4を介して動力伝達経路に結合されている。発電電動機3の電気出力は、図略のインバータ装置を介してバッテリ91に接続されている。発電電動機3は、あるときは内燃機関2または駆動輪からの動力が入力され発電機として作用することでバッテリ91を充電し、またあるときはバッテリ91から駆動電力が入力され電動機として作用することで走行駆動源となり動力を出力する。動力断続機構4は、発電電動機3の出力軸と、動力伝達経路中の内燃機関2及び変速機5の間とを断続するものである。動力断続機構4には、一般的なクラッチや同期装置を用いることができる。変速機5は、内燃機関2及び発電電動機3から出力された動力の回転速度を変換して出力するものである。変速機5から出力された動力は、最終的に駆動輪まで伝達されて車両を走行させる。
【0025】
なお、本実施形態において、内燃機関2、発電電動機3、動力断続機構4、変速機5の構造や制御方法に特別な制約はなく、公知の各種装置・機器を適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】
ハイブリッドECU6は、ハイブリッド車用のECU(Electronic Control Unit)の意未で、内燃機関2及び発電電動機3を走行駆動源として選択制御する制御手段に相当する。ハイブリッドECU6は、また動力断続機構4を断続制御し、さらに変速機5を変速制御する。ハイブリッドECU6には、演算部、記憶部、入力部、出力部、などを備えてソフトウェアで動作する電子制御装置を用いることができる。また、内燃機関2や変速機5などを個別に制御する複数の下位ECUと、各下位ECUと情報を交換しつつ車両全体の管理制御を行う上位ECUとを組み合わせてハイブリッドECUを構成してもよい。
ハイブリッドECU6は、車載のカーナビゲーション装置92から道路状態に関する情報(以下では道路情報と略記)及び交通状態に関する情報(以下では交通情報と略記)を取り込むようになっている。道路情報とは、走行中の道路の特性を示す情報であり、(A)道路が高速道路または自動車専用道路かあるいは一般道路か、(B)高速道路または自動車専用道路における最低速度VL、(C)一般道路における交通信号の配置や道路のカーブや道路勾配の有無、などの情報が該当する。
【0027】
なお、カーナビゲーション装置92は、一般的に、道路情報及び交通情報の一部を装置内部に保持し、一部を無線通信により外部から入手している。
【0028】
ハイブリッドECU6は、道路情報に基づいて定常走行条件が満たされているか否かを判定する。すなわち、高速道路または自動車専用道路であるとき、及び一般道路であっても交通信号が少なく定常走行の持続が期待できるときに、定常走行条件が満たされている場合と判定する。なお、一般道路においては、交通信号の配置に加え、カーブや道路勾配が連続するときに定常走行条件が満たされていないと判定するようにしてもよい。
【0029】
また、交通情報とは、走行中の道路の交通状態を示す情報である。前述の道路情報は車両の走行位置により一義的に定まるが、交通情報は走行位置が定まっても時間的に変化し得るケースバイケースの情報である。交通情報には、交通渋滞、交通事故、道路工事、天候、及びこれらに起因する臨時の速度規制や車線規制などの情報が該当する。ハイブリッドECU6は、交通情報に基づいて、定常走行条件が満たされている場合に実際に定常走行が可能か困難かを予想する。例えば、交通渋滞が発生している場合や、交通事故、道路工事や悪天候により臨時の速度規制が行われている場合には、交通状態が良好でなく定常走行が困難な場合と予想する。
【0030】
さらに、ハイブリッドECU6は、車両状態に関する情報(以下では車両情報と略記)として、バッテリ91から充電電圧Eの情報を取り込み、動力伝達経路に設けられた車速センサ93から車速V(車両走行速度V)の情報を取り込むようになっている。充電電圧Eは、バッテリ91の充電状態を示す充電状態値に相当し、不足充電規定電圧ELと満充電規定電圧EHの間(EL<E<EH)が適正な充電状態となる。したがって、充電電圧Eが不足充電規定電圧EL以下の場合には極力バッテリ91を充電して充電状態を改善し、充電電圧Eが満充電規定電圧EH以上の場合にはバッテリ91を充電しないようにして過充電を避けることが好ましい。
【0031】
ハイブリッドECU6は、上述した道路情報、交通状態及び車両情報を得て、動力断続機構4を断続制御する。図2は、ハイブリッドECU6による動力断続機構4の断続制御フローの図である。図示されるように、ハイブリッドECU6が始動すると、ステップS1でまず車速Vを取り込み、ステップS2で車速Vを所定の微速V0と比較して発進時か走行中かを判定する。微速V0は、発進時に走行駆動源を発電電動機3から内燃機関2に切り換える際の目安となる速度である。車速Vが微速V0よりも小さいときは発進時であり、直ちにステップS12に移行して動力断続機構4を継合制御し、発電電動機3により駆動できるようにする。
【0032】
ステップS2で車速Vが微速V0以上のときは走行中であり、ステップS3でバッテリ91から充電電圧Eの情報を取り込む。次に、ステップS4で充電電圧Eを不足充電規定電圧ELと比較する。充電電圧Eが不足充電規定電圧ELよりも小さい場合は、ステップS12に移行して動力断続機構4を継合し、極力充電を行うことで充電状態を改善できるようにする。充電電圧Eが不足充電規定電圧ELよりも大きいときには、ステップS5で充電電圧Eを満充電規定電圧EHと比較する。充電電圧Eが満充電規定電圧EHよりも大きい場合は、ステップS11に移行して動力断続機構4を切り離し、バッテリ91の現状以上の過充電を避ける。充電電圧Eが満充電規定電圧EHよりも小さいきいときは、充電電圧Eが適正に保たれており、ステップS6に移行する。
【0033】
次に、ステップS6でカーナビゲーション装置92から道路情報を取り込み、ステップS7で定常走行条件が満たされているか否かを判定する。満たされていなければステップS12に移行して動力断続機構4を継合し、満たされた場合はステップS8でカーナビゲーション装置92から交通情報を取り込む。次に、ステップS9で実際に定常走行が可能か困難かを予想する。困難と予想した場合はステップS12に移行して動力断続機構4を継合し、可能と予想したときにはステップS10に移行する。ステップS10では、最低速度VLが定められた高速道路または自動車専用道路を走行中の場合に、車速Vを最低速度VLと比較する。車速Vが最低速度VLよりも大きいときにはステップS11に移行し、車速Vが最低速度VLよりも小さい場合はステップS12に移行する。なお、最低速度VLが定められていなければ、無条件でステップS11に移行する。
【0034】
かくして、最終的にステップS11またはステップ12のどちらかに移行する。ステップS11では動力断続機構4を切り離し制御する。切り離し制御を行う場合を整理すると、バッテリ91の充電電圧Eが満充電規定電圧EHよりも大きく過充電を避ける場合、及び定常走行条件が満たされて実際に定常走行が可能と予想できさらに車速Vが最低速度VLよりも大きい場合となる。一方、ステップS12では動力断続機構4を継合制御する。継合制御を行う場合を整理すると、発進時の場合、バッテリ91の充電電圧Eが不足充電規定電圧ELよりも小さく極力充電を行いたい場合、及びバッテリ91の充電状態が適正で定常走行が困難な場合となる。ステップS11またはステップ12により制御の1サイクルが終了し、ステップS1に戻る。
【0035】
なお、ステップS1及びS2は発電電動機3の駆動により発進することを優先した処理であり、ステップS3〜S5はバッテリ91の充電状態の改善を優先した処理となっている。そして、ステップS6〜S10が、バッテリ91の充電状態が適正に保たれた状態で燃費を向上するための処理となっている。
【0036】
本実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構1では、ハイブリッドECU6がカーナビゲーション装置92から道路情報及び交通情報を得るとともに、バッテリ91の充電電圧E及び車速Vを参照して、動力断続機構4を断続制御する。したがって、概ね一定速度の定常走行が持続すると期待できる場合に発電電動機3を切り離すことにより無駄に駆動されて発生する損失を低減でき、定常走行が困難と予想される場合に発電電動機3を継合することにより減速時に回生エネルギを有効利用でき、総合的に燃費を向上できる。また、発電電動機3を切り離したときには、切り離した分だけ慣性が減少して、加速時や減速時の制御性が向上する。
【0037】
さらに、ハイブリッドECU6は、バッテリ91の充電電圧Eを参照して動力断続機構4を断続制御することにより発電電動機3の充電動作を制御するので、バッテリ91の充電状態の適正化に寄与できる。
【0038】
次に、動力断続機構の配置を変更した別の実施形態について、図3及び図4を参考にして説明する。図3は、動力断続機構40を変速機5よりも下流側に配置した第2実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構10を説明するブロック図である。また、図4は、2個の動力断続機構41、42を備える第3実施形態のハイブリッド車の動力伝達機構11を説明するブロック図である。
【0039】
図3に示される第2実施形態において、動力断続機構40は、発電電動機3の出力軸と、動力伝達経路中の変速機5よりも下流側とを断続するようになっている。また、図4に示される第3実施形態において、第1動力断続機構41は発電電動機3の出力軸と動力伝達経路中の内燃機関2及び変速機5の間とを断続し、第2動力断続機構42は発電電動機3の出力軸と動力伝達経路中の変速機5よりも下流側とを断続するようになっている。第2および第3実施形態における機能、作用、および効果は、図1及び図2で説明した実施形態と概ね同様であるため省略する。
【0040】
第2および第3実施形態では、発電電動機3により駆動する場合、変速機5を介さずに直接的に駆動輪を駆動でき、動力伝達効率が高い。
【符号の説明】
【0041】
1、10、11:ハイブリッド車の動力伝達機構
2:内燃機関
3:発電電動機
4、40、41、42:動力断続機構
5:変速機
6:ハイブリッドECU(制御手段)
91:バッテリ 92:カーナビゲーション装置 93:車速センサ
E:充電電圧(充電状態値) EL:不足充電規定電圧 EH:満充電規定電圧
V:車速V(車両走行速度) V0:微速 VL:最低速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を出力する内燃機関と、動力が入力されて発電を行いまた動力を出力する発電電動機と、前記内燃機関及び前記発電電動機を走行駆動源として選択制御する制御手段とを備えるハイブリッド車の動力伝達機構であって、
前記動力を伝達する動力伝達経路と前記発電電動機とを断続する動力断続機構を備え、
前記制御手段は、道路状態に関する情報、交通状態に関する情報、及び車両状態に関する情報の少なくとも一つを参照して、前記動力断続機構を断続制御することを特徴とするハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項2】
請求項1において、前記制御手段は、前記道路状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、走行中の道路が高速道路または自動車専用道路であるかあるいは一般道路であっても交通信号が少なく定常走行の持続が期待できるという定常走行条件が満たされた場合に、前記動力断続機構を切り離し制御するハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項3】
請求項2において、前記制御手段は、前記交通状態に関する情報を車載のカーナビゲーション装置から得て、前記定常走行条件が満たされていても交通状態が良好でなく前記定常走行が困難と予想される場合に、前記動力断続機構を継合制御するハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項4】
請求項2または3において、走行中の道路が前記高速道路または前記自動車専用道路であって、定められている最低速度よりも車両走行速度が減少した場合に、前記制御手段は前記動力断続機構を継合制御するハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記制御手段は、前記車両状態に関する情報として前記発電電動機が充電する車載のバッテリの充電状態を示す充電状態値を得て、該充電状態値が不足充電規定値以下の場合に前記動力断続機構を継合制御し、前記充電状態値が満充電規定値以上でかつ車両走行中の場合に前記動力断続機構を切り離し制御するハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記発電電動機は回転子に永久磁石を有し、前記動力断続機構は前記動力伝達経路と前記回転子とを断続するハイブリッド車の動力伝達機構。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、前記動力断続機構は、前記動力伝達経路中の前記内燃機関と変速機との間、及び前記動力伝達経路中の前記変速機よりも下流側の少なくとも一方に、前記発電電動機を断続するハイブリッド車の動力伝達機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−105158(P2011−105158A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262841(P2009−262841)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】