説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】駆動力制御を運転者の操作に基づき適切に実行することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置は、エンジンと、手動変速機と、クラッチと、モータと、クラッチペダルと、制御手段と、を備える。モータは、手動変速機の出力軸に直結された駆動用及び発電用のモータである。制御手段は、手動変速機の各変速段を選択するシフトレバーの位置がニュートラルであって、かつ、クラッチペダルが踏み込まれていない場合、エンジンを停止し、EV走行を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンとモータとを動力源とするハイブリッド車両が知られている。例えば、特許文献1には、手動変速機と変速機の出力軸に直結された車両駆動用モータを備え、ドライバがEV走行中にニュートラルの操作をすることによりエンジンが始動し、車両が所定値以下の場合はエンジン起動しないハイブリッド車両が開示されている。その他、本発明に関連する技術が、特許文献2乃至特許文献4にそれぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−142636号公報
【特許文献2】特開2005−028968号公報
【特許文献3】特開2003−205768号公報
【特許文献4】特開2001−231103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、手動変速機を備えたハイブリッド車両の場合、伝達効率がよくコストが安い半面、駆動力制御に課題がある。特に、従来では、EV走行とエンジン走行をドライバの意図に従い切り替える方法が明らかになっていない。より具体的には、ドライバのシフトレバーの操作とEV走行とを違和感なく結びつける方法が明らかになっていない。特許文献1乃至特許文献4には、上記の問題は、何ら検討されていない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、運転者の操作に基づき駆動力制御を適切に実行することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、ハイブリッド車両の制御装置は、エンジンと、手動変速機と、前記エンジンと前記手動変速機との間の動力伝達の接続及び分離を行うクラッチと、前記手動変速機の出力軸に直結されたモータと、前記クラッチの断続を運転者が制御するためのクラッチペダルと、前記手動変速機の各変速段を選択するシフトレバーの位置がニュートラルであって、かつ、前記クラッチペダルが踏み込まれていない場合、前記エンジンを停止し、EV走行を開始する制御手段と、を備える。
【0007】
上記のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンと、手動変速機と、クラッチと、モータと、クラッチペダルと、制御手段と、を備える。モータは、手動変速機の出力軸に直結された駆動用及び発電用のモータである。制御手段は、例えばECU(Electronic Control Unit)であり、手動変速機の各変速段を選択するシフトレバーの位置がニュートラルであって、かつ、クラッチペダルが踏み込まれていない場合、エンジンを停止し、EV走行を開始する。このようにすることで、ハイブリッド車両の制御装置は、EV走行を運転者に選択させることができると共に、EV走行を運転者に選択させることにより運転者に違和感を生じさせることなくEV走行へ切り替えることができる。
【0008】
上記のハイブリッド車両の制御装置の他の一態様では、前記制御手段は、EV走行中に前記クラッチペダルが踏み込まれた場合、前記エンジンを起動させる。この態様では、ハイブリッド車両の制御装置は、運転者がEV走行では駆動力が足りないと判断し、クラッチペダルを踏んでシフトレバーの位置を操作した際に、速やかにエンジン出力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図を示す。
【図2】第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本実施形態におけるハイブリッド車両の概略構成図を示す。なお、図中の破線矢印は、信号の入出力を示している。
【0012】
ハイブリッド車両100は、主に、エンジン(内燃機関)1と、減速機2と、駆動輪3と、モータMGと、インバータ5と、バッテリ6と、クラッチ7と、スタータモータ8と、手動変速機9と、ECU10と、を備える。
【0013】
減速機2は、エンジン1及び/またはモータMGから伝達された動力を、ドライブシャフト3aを介して駆動輪3に伝達する。駆動輪3は、ハイブリッド車両100の駆動輪であり、説明の簡略化のため、図1では特に左右前輪のみが表示されている。
【0014】
エンジン1は、燃焼室内で空気と燃料との混合気を燃焼させることによって動力を発生させる。従って、エンジン1は、ハイブリッド車両100の推進力を出力する動力源として機能する。エンジン1は、ECU10によって種々の制御が行われる。スタータモータ8は、停止状態にあるエンジン1を回転させて始動させる電動機である。
【0015】
クラッチ7は、エンジン1と手動変速機9間の動力伝達の接続及び分離(解放)を行う。クラッチ7は、図示しないクラッチペダルの操作に基づき接続及び解放が運転者によって制御される。以後では、運転者がクラッチペダルを踏み込んだ状態を、「クラッチペダルON」と呼び、クラッチペダルを踏み込んでいない状態を、「クラッチペダルOFF」と呼ぶ。
【0016】
手動変速機9は、運転者が操作する図示しないシフトレバーの位置(以後、「シフトポジション」と呼ぶ。)に基づき、変速比(変速段)を変更する。
【0017】
モータMGは、バッテリ6を充電するための発電機、または、ハイブリッド車両100の推進力を出力する動力源として機能する。モータMGは、制動時に回生運転を行うことで発電する。モータMGは、手動変速機9の出力軸に直結されている。インバータ5は、バッテリ6とモータとの間の電力の入出力を制御する直流交流変換機である。例えば、インバータ5は、モータMGによって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ6に供給すると共に、バッテリ6から取り出した直流電力を交流電力に変換してモータMGに供給する。
【0018】
バッテリ6は、モータMGを駆動するための電源として機能することが可能に構成されると共に、モータMGが発電した電力を充電可能に構成された蓄電池である。
【0019】
ECU10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、ハイブリッド車両100内の各構成要素に対して種々の制御を行う。詳細は後述するが、ECU10は、制御手段として機能する。
【0020】
以下では、ECU10が実行する制御について第1実施形態及び第2実施形態で具体的に説明する。なお、以後では、モータMGを動力源とした走行を「EV走行」と呼ぶ。
【0021】
[第1実施形態]
第1実施形態でECU10が実行する制御について説明する。ECU10は、運転者のクラッチペダル及びシフトレバーの操作に基づき運転者がEV走行を意図しているか否かを判定し、EV走行を意図していると判断した場合にはエンジン1を停止し、EV走行へ切り替える。具体的には、シフトポジションがニュートラルであり、かつ、クラッチペダルがOFFである場合に、ECU10は、EV走行を開始する。これにより、ECU10は、運転者のシフトレバー及びクラッチペダルの操作とEV走行とを違和感なく結びつけ、運転者の意図を適切に駆動力制御に反映させる。以後、運転者の操作に基づくEV走行を、「運転者操作に基づくEV走行」と呼ぶ。
【0022】
これについて具体的に説明する。ECU10は、まず、図示しない車速センサなどにより検出したハイブリッド車両100の車速が所定値(以後、「所定値THv」と呼ぶ。)より大きいか否か監視する。所定値THvは、例えばエンジン1を起動させてハイブリッド車両100を再加速させる必要がある値の上限値に設定される。具体的には、所定値THvは、実験等に基づき適切な値に設定される。
【0023】
そして、ECU10は、車速が所定値THvより大きい場合のみ、運転者操作に基づくEV走行を許可する。これにより、ECU10は、エンジン1の停止及び起動のビジー感を抑制することができる。即ち、低車速時の場合、運転者による加速要求が比較的短時間で発生する可能性が高い。従って、ECU10は、低車速時では運転者操作に基づくEV走行を許可しないことにより、再加速要求に基づく要求駆動力を補うために短時間で再びエンジン1を起動するのを防ぐ。
【0024】
次に、車速が所定値THvより大きい場合には、ECU10は、シフトポジションがニュートラルであり、かつ、クラッチペダルがOFFであるか否か判定する。そして、ECU10は、上述の条件が満たされた場合、エンジン1を停止し、運転者操作に基づくEV走行を開始する。そして、ECU10は、図示しないアクセル開度センサから検出されたアクセル開度及び現在の車速等に基づきモータMGを出力させる。
【0025】
このようにすることで、ECU10は、EV走行を実行するか否かを運転者に選択させることができる。また、ECU10は、EV走行を運転者に選択させることにより、運転者に違和感を生じさせることなくEV走行へ切り替えることができる。また、上述の運転者操作に基づくEV走行では、EV走行中、または、減速時の回生中にシフトポジションがニュートラルであるため、エンジン1による摩擦損失(フリクションロス)がない。従って、ECU10は、燃費の悪化等を生じさせることなく運転者操作に基づくEV走行を実行することができる。
【0026】
(処理フロー)
次に、第1実施形態における処理の手順について説明する。図2は、本実施形態においてECU10が実行する処理の手順を表すフローチャートの一例である。ECU10は、図2に示すフローチャートの処理を、例えば所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0027】
まず、ECU10は、車速が所定値THvより大きいか否か判定する(ステップS101)。そして、車速が所定値THvより大きい場合(ステップS101;Yes)、ECU10は、ステップS102へ処理を進める。一方、車速が所定値THv以下の場合(ステップS101;No)、ECU10は、再加速の恐れがあると判断し、フローチャートの処理を終了する。
【0028】
次に、ECU10は、シフトポジションがニュートラルであるか否か判定する(ステップS102)。そして、シフトポジションがニュートラルの場合(ステップS102;Yes)、ECU10は、ステップS103に処理を進める。このとき、ドライブシャフト3aとエンジン1との接続はフリーになっている。一方、シフトポジションがニュートラルではない場合(ステップS102;No)、ECU10は、フローチャートの処理を終了する。
【0029】
次に、ECU10は、クラッチペダルがOFFであるか否か判定する(ステップS103)。そして、クラッチペダルがOFFの場合(ステップS103;Yes)、ECU10は、ステップS104へ処理を進める。一方、クラッチペダルがOFFでない場合(ステップS103;No)、ECU10はフローチャートの処理を終了する。
【0030】
次に、ECU10は、エンジン1を停止する(ステップS104)。そして、ECU10は、車速、アクセル開度に基づきモータMGを出力させる(ステップS105)。
【0031】
以上のようにすることで、ECU10は、運転者のシフトレバー及びクラッチペダルの操作とEV走行とを違和感なく結びつけ、運転者の意図を適切に駆動力制御に反映させることができる。
【0032】
(変形例1)
上述の説明では、ECU10は、シフトポジションがニュートラルであって、かつ、クラッチペダルがOFFの場合に、運転者操作に基づくEV走行を開始した。しかし、本発明が適用可能な方法はこれに限定されない。例えば、ECU10は、上述の条件に加えて、シフトポジションがニュートラルかつクラッチペダルがOFFの状態が所定時間幅継続した場合に、運転者操作に基づくEV走行を開始してもよい。所定時間幅は、実験等により適切な値に設定される。
【0033】
これにより、ダブルクラッチ等の操作によりシフトポジションがニュートラルでかつクラッチペダルがOFFの状態になった場合に、運転者の意に反して運転者操作に基づくEV走行を開始するのを防ぐことができる。
【0034】
(変形例2)
ECU10は、第1実施形態または変形例1の条件に加えて、エンジン水温が所定温度以上である場合のみ、運転者操作に基づくEV走行を開始してもよい。所定温度は、例えば、エンジン1を暖機する必要がないエンジン水温の下限値に実験等に基づき設定される。このように、ECU10は、エンジン水温が低温の場合には、エンジン1を継続して稼働させることで、エンジン1を速やかに暖機し、エミッション及び燃費を改善することができる。
【0035】
(変形例3)
ECU10は、第1実施形態または変形例1若しくは変形例2の条件に加えて、バッテリ6の充電残容量(SOC;State of Charge)が所定残量以上の場合のみ、運転者操作に基づくEV走行を開始してもよい。所定残量は、実験等により適切な値に設定される。
【0036】
一般に、SOCが低い場合には、モータMGの出力が低下する。よって、ECU10は、SOCが低いときに運転者操作に基づくEV走行を実行した場合には、短時間でエンジン1を再起動することになる。従って、ECU10は、SOCが所定残量以上の場合のみ運転者操作に基づくEV走行を開始することで、エンジン1の停止及び起動のビジー感を抑制することができる。
【0037】
(変形例4)
ECU10は、第1実施形態または変形例1乃至3に代えて、またはこれに加えて、運転者がEV走行中にクラッチペダルをONにした場合には、エンジン1を起動してもよい。即ち、この場合、ECU10は、EV走行からエンジン1を駆動力とした走行(エンジン走行)へ切り替える。これにより、EV走行ではハイブリッド車両100の駆動力が足りないと運転者が判断し、運転者がクラッチペダルをONにし、シフトレバーを操作した場合に、ECU10は、速やかにエンジン1の出力を発生させることができる。
【0038】
(変形例5)
ECU10は、変形例4に加えて、車速が所定値以上の場合には、スタータモータ8を使用せずにエンジン1を押しがけにしてもよい。所定値は、例えば実験等により適切な値に設定される。
【0039】
具体的には、EV走行中に運転者がクラッチペダルをONにして任意のシフトポジションを選択した後、クラッチペダルがOFFになりクラッチ7が接続する。この結果、ドライブシャフト3aとエンジン1との間で動力伝達が可能になり、ドライブシャフト3aの動力によりエンジン1が起動される。このように、変形例5では、ECU10は、スタータモータ8の使用頻度を減らし、スタータモータ8の長寿命化を実現することができる。
【0040】
[第2実施形態]
第1実施形態では、ECU10は、シフトポジションがニュートラルとなり、クラッチペダルがOFFの場合に、運転者操作に基づくEV走行を開始した。一方、第2実施形態では、ECU10は、EV走行が可能な走行条件の場合には、その旨を運転者に通知(表示)することで運転者操作に基づくEV走行を運転者に促す。これにより、ECU10は、運転者操作に基づくEV走行を実行するタイミングを運転者が自ら判断しかねる場合に、運転者にその判断を容易にさせる。その結果、ECU10は、積極的にエンジン1を停止させ、燃費を向上させる。以下、第2実施形態について具体的に説明する。
【0041】
まず、第2実施形態の構成について説明する。第2実施形態では、ハイブリッド車両100は、図1に示す構成に加え、EV走行が可能である旨を通知するためのインジケータ(以後、「EV走行推奨インジケータ」と呼ぶ。)を備える。EV走行推奨インジケータは、例えばLED表示またはモニタ表示である。以下の説明では、一例として、EV走行推奨インジケータは、LED表示であるとする。
【0042】
次に、第2実施形態でECU10が実行する制御について説明する。まず、ECU10は、EV走行可能な走行条件であるか否か判断する。ECU10は、例えば現在の車速とアクセル開度に基づく要求駆動力とに基づき、EV走行可能な走行条件であるか否か判断する。このとき、例えば、ECU10は、EV走行が可能な範囲と、これに対応する適切な車速及びアクセル開度とのマップ等を予めメモリに保持し、これに基づきEV走行可能か否かを判断する。
【0043】
そして、EV走行可能な走行条件であると判断した場合、ECU10は、EV走行推奨インジケータを点灯させる。これにより、ECU10は、運転者に対し、EV走行を促すことができる。
【0044】
一方、EV走行可能な走行条件ではないと判断した場合、ECU10は、EV走行推奨インジケータを消灯させる。このとき、ECU10は、走行条件から好ましいシフトポジションをEV走行推奨インジケータ又はその他のインジケータに表示してもよい。
【0045】
(変形例1)
第2実施形態では、ECU10は、EV走行可能な走行条件の時には、EV走行推奨インジケータを点灯させ、運転者操作に基づくEV走行を運転者に促した。これに代えて、または、これに加え、ECU10は、走行中に図示しないブレーキスイッチがONの場合、EV走行推奨インジケータを点灯させてもよい。即ち、ECU10は、制動時であると判断した場合にはEV走行推奨インジケータを点灯させることで、運転者にシフトポジションをニュートラルに操作させる。これにより、エンジン1とドライブシャフト3aとが切り離されるため、ECU10は、制動時のエネルギーを効率的に回生することができる。
【0046】
(変形例2)
第2実施形態又は変形例1の制御に加え、ECU10は、運転者操作に基づくEV走行中では、SOCと車速に基づき運転者操作に基づくEV走行が可能な時間(以後、「EV走行可能時間」と呼ぶ。)を算出し、運転者に表示してもよい。具体的には、ECU10は、実験的又は理論的に算出したマップ又は式に基づき、SOCと車速とに基づきEV走行可能時間を算出する。そして、ECU10は、算出したEV走行可能時間を、ハイブリッド車両100に付属するモニタ等に表示する。
【0047】
このようにすることで、運転者は、エンジン走行とEV走行との切替タイミングを適切に把握することができる。従って、ECU10は、エンジン走行とEV走行とが突然切り替わるなどの違和感を運転者に与えることを防ぐことができる。
【0048】
なお、上述の説明では、ECU10は、EV走行可能時間を表示したが、これに代えて、EV走行が可能な距離をモニタ等に表示してもよい。
【0049】
(変形例3)
変形例2の制御に代えて、または加えて、ECU10は、SOCの低下に伴いモータMGの出力を徐々に低下させてもよい。これにより、ECU10は、SOCの低下を運転者に体感させることができる。この場合、ECU10は、SOCに基づき適当なタイミングでエンジン1を起動しエンジン走行を開始する。これにより、ECU10は、極度なSOCの低下や、これに伴う急激な出力低下を回避することができる。
【0050】
(変形例4)
上述の第2実施形態または変形例1乃至3の制御に加え、ECU10は、運転者操作に基づくEV走行中では、車速が所定速度以下のときにはモータMGの出力をゼロにしてもよい。所定速度は、例えば停止しているとみなすことができる速度に設定される。
【0051】
このようにすることで、ハイブリッド車両100の停止中かつシフトポジションがニュートラルの場合に、誤操作により運転者がアクセルペダルを踏んだときであっても、ECU10は、ハイブリッド車両100が発進するのを防ぐことができる。
【0052】
(変形例5)
上述の第2実施形態または変形例1乃至4の制御に加え、ECU10は、エンジン1の起動中と停止中とで、モータMGの出力特性を変えてもよい。これにより、ECU10は、エネルギー効率を向上させて燃費を向上させる。
【0053】
これについて具体例を以下に示す。エンジン1の起動中では、ECU10は、エンジン1の出力をモータMGの出力よりも優先する。即ち、この場合、ECU10は、アクセル開度に基づく要求駆動力に対するエンジン1の出力の不足分のみをモータMGの出力とする。
【0054】
一方、運転者操作に基づくEV走行時では、ECU10は、要求駆動力を全てモータMGの出力で補う。なお、運転者が運転者操作に基づくEV走行時に駆動力不足と判断し、クラッチペダルをONにし、シフトポジションを変更した場合には、ECU10は、エンジン1を起動させてもよい。さらに、シフトポジションがニュートラルでエンジン1がアイドリング状態の場合には、ECU10は、モータMGの出力を常にゼロにしてもよい。この場合、ECU10は、必要に応じて回生制御を行う。
【符号の説明】
【0055】
1 エンジン(内燃機関)
2 減速機
3 駆動輪
3a ドライブシャフト
5 インバータ
6 バッテリ
7 クラッチ
8 スタータモータ
9 手動変速機
10 ECU
MG モータ
100 ハイブリッド車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
手動変速機と、
前記エンジンと前記手動変速機との間の動力伝達の接続及び分離を行うクラッチと、
前記手動変速機の出力軸に直結されたモータと、
前記クラッチの断続を運転者が制御するためのクラッチペダルと、
前記手動変速機の各変速段を選択するシフトレバーの位置がニュートラルであって、かつ、前記クラッチペダルが踏み込まれていない場合、前記エンジンを停止し、EV走行を開始する制御手段と、
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、EV走行中に前記クラッチペダルが踏み込まれた場合、前記エンジンを起動させる請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−202054(P2010−202054A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50355(P2009−50355)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】