ハンド装置
【課題】アーム部を移動させなくても把持機構部の向き及び位置を高精度で変えることができるハンド装置を提供する。
【解決手段】多軸機構部7の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5を該多軸機構部7のベース部41の平面41aに沿って移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41b上で自転させることができる。このため、アーム部6の屈伸動作による把持機構部5の位置決めを高精度で行うことができなくても、多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えたりして高精度で位置決めすることができる。
【解決手段】多軸機構部7の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5を該多軸機構部7のベース部41の平面41aに沿って移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41b上で自転させることができる。このため、アーム部6の屈伸動作による把持機構部5の位置決めを高精度で行うことができなくても、多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えたりして高精度で位置決めすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等を把持したり移動させたりし、製品の組み立て等を行うハンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の装置としては、特許文献1に記載のものがある。ここでは、複数の関節を有するアーム部の先端に把持機構部を設けており、把持機構部により部品等を把持した状態で、アーム部の各関節をそれぞれ適量回転駆動しかつ各関節の回転を組み合わせて、把持機構部により把持されている部品等を回転移動させたり直線移動させたりする。
【0003】
このとき、把持機構部を現在位置から所望の位置まで移動させるには、把持機構部の現在位置でのアーム部の現在姿勢を求め、この現在姿勢を把持機構部が所望の位置に移動したときのアーム部の姿勢へと変化させるのに必要な該アーム部の各関節の回転角度を求め、それぞれの回転角度だけ各関節を回転させて、把持機構部を所望の位置まで移動させる。この様な関節の回転角度を計算するための様々な手法が既に提案されている。
【0004】
また、アーム部と把持機構部との接続部分に弾性機構によるコンプライアンスを持たせ、作業時に把持機構部に受ける反力によって弾性機構が変位する様にして、把持機構部により把持されている部材と他の部材同士の位置や姿勢を合致させている。
【特許文献1】特開2004−223680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記アーム部により把持機構部を所望の位置まで移動させる場合は、アーム部の各関節の回転角度誤差の積み重ねが該アーム部先端の把持機構部の位置誤差となるので、把持機構部を高精度で位置決めすることが困難であった。
【0006】
また、部材同士の組み立てに際し、把持機構部を微動させるときにもアーム部を移動させるので、狭いスペースでは、アーム部が周囲の機器や部品等に干渉してしまい、部品等の移動が困難になったり、部品等を破損したりした。
【0007】
更に、アーム部と把持機構部間のコンプライアンスにより部材同士の位置や姿勢を合致させるには、部材同士の接触が前提となるので、組み立て時に部材や製品等を傷つける恐れがあった。
【0008】
これを避けるには、部材同士の位置ずれ等の検出が必要となる。しかしながら、部材の近くでないと部材同士の位置ずれ等の検出ができず、この位置ずれ等の検出のための装置を把持機構部に搭載するには、この把持機構部を小型化せねばならなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、アーム部を移動させなくても把持機構部の向き及び位置を高精度で変えることができ、また小型化が可能であって、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置の搭載も可能なハンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、アーム部と、部材を把持する把持機構部と、前記アーム部の先端に前記把持機構部を連結する多軸機構部とを備え、前記多軸機構部により前記把持機構部の向き及び位置を変えるハンド装置において、前記多軸機構部は、前記アーム部の先端及び前記把持機構部間に介在し、両者間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持するベース部と、前記アーム部の先端に対する前記ベース部並びに前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の一方に沿って行う第1超音波モーターと、前記ベース部に対する前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の他方に沿って行う第2超音波モーターとを備えている。
【0011】
この様な本発明によれば、多軸機構部は、アーム部の先端及び把持機構部間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持し、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせ、把持機構部の向き及び位置を変えている。従って、アーム部を移動させることなく、アーム部を周囲の機器や部品等に干渉させずに、多軸機構部により把持機構部を移動させて、把持機構部を高精度で位置決めすることができる。
【0012】
また、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせる構成であるから、複数の関節を組み合わせた他の構成と比較すると、小型化が容易であり、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置を把持機構部に搭載することが可能である。
【0013】
例えば、前記第1及び第2超音波モーターは、振動子と、この振動子により振動され前記平面及び曲面のいずれかに当接する振動体とを備えている。前記振動子は、圧電素子又は高分子アクチュエータである。
【0014】
この様な超音波モーターは、小型化が容易なため、本発明のハンド装置に好適である。
【0015】
また、本発明においては、前記平面及び曲面には複数の線が描かれており、該平面及び曲面に沿ってスライドする箇所には前記平面及び曲面に描かれた線を検出するセンサを設けている。
【0016】
この様なセンサにより平面及び曲面に描かれた線を検出すれば、平面及び曲面に沿ってスライドする箇所から見た線の移動を検出することができ、延いては平面及び曲面に沿う把持機構部のスライド量や方向を検出することができる。
【0017】
更に、本発明においては、2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢に基づき前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを駆動制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御する制御手段とを備え、前記把持機構部により前記各部材の一方を把持し、前記制御手段により前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御し、該各部材の位置合わせを行っている。
【0018】
これにより、把持機構部により把持された部材と他の部材同士の位置や姿勢を合致させることができる。
【0019】
例えば、前記位置検出手段は、2つの部材にそれぞれのスリット光を照射して、これらのスリット光を該各部材に跨って投影する複数のスリット光投影手段と、前記各スリット光投影手段から照射されているそれぞれのスリット光を移動もしくは振動させるスリット光駆動手段と、前記各部材に投影されているそれぞれのスリット光の投影光像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された各スリット光の投影光像に基づいて前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢を求める演算手段とを備えている。
【0020】
これにより、2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を非接触で正確に求めることができ、部材同士の組み立て作業を阻害することがない。
【発明の効果】
【0021】
この様な本発明のハンド装置は、アーム部を移動させることなく、アーム部を周囲の機器や部品等に干渉させずに、多軸機構部により把持機構部を移動させて、把持機構部を高精度で位置決めすることができる。また、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせる構成であるから、複数の関節を組み合わせた他の構成と比較すると、小型化が容易であり、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置を把持機構部に搭載することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のハンド装置の一実施形態を示す側面図である。本実施形態のハンド装置1は、土台2に設けられたアーム部6と、部材を把持する把持機構部5と、アーム部6の先端と把持機構部5を連結する多軸機構部7とを備えている。
【0024】
アーム部6は、3つの関節3a、3b、3cと、各関節3a、3b、3cを回転駆動するそれぞれの駆動源4a、4b、4cと、2本のリンク棒8a、8bとを備えており、リンク棒8aの一端を関節3aを介して多軸機構7に連結し、リンク棒8aの他端を関節3bを介してリンク棒8bの一端に連結し、リンク棒8bの他端を関節3cを介して土台2に連結している。それぞれの駆動源4a、4b、4cにより各関節3a、3b、3cを回転駆動すると、アーム部6が屈伸して、アーム部6の先端側の把持機構部5が回転移動もしくは直線移動等する。
【0025】
各駆動源4a、4b、4cは、例えば電動モーターであり、各電動モーターの出力軸が各関節部3a、3b、3cの回転軸に直結されたり減速機を介して接続されたりし、各電動モーターの駆動力が各関節部3a、3b、3cに伝達されて、各関節部3a、3b、3cが回転する。減速機としては、複数のギアを組み合わせたギアユニットやハーモニックドライブ等がある。
【0026】
尚、アーム部6の関節の数を増減させたり、アーム部6全体を旋回させるための関節を設けたりしても良い。ハンド装置1の用途や把持機構部5の作業空間によっては、関節部の数やリンク棒の数と長さを適宜に変更して設定する必要がある。
【0027】
把持機構部5は、本体部5aに2本の指9a、9bを設けたものである。各指9a、9bは、本体部5aでX方向に移動可能に支持さており、本体部5aに内蔵の電動モーターにより相互に接近及び離間する様に移動される。例えば、電動モーターの出力軸の回転がラックギアとピニオンギアの組み合わせにより直線運動に変換されて各指9a、9bに伝達され、各指9a、9bがX方向に移動される。
【0028】
多軸機構部7は、把持機構部5の向き及び位置を変えるものである。この多軸機構部7は、図2に示す様にアーム部6の関節3aに接続された連結部40と、この連結部40と把持機構部5の本体部5a間に介在するベース部41と、ベース部41を連結部40に対して移動可能に支持する第1支持機構42と、把持機構部5の本体部5aをベース部41に対して移動可能に支持する第2支持機構43と、連結部40の端面40aに固定されて、ベース部41の平面41aに当接する3つの第1超音波モーター44と、把持機構部5の本体部5aの端面5bに固定されて、ベース部41の曲面41bに当接する3つの第2超音波モーター45とを備えている。
【0029】
第1支持機構42は、例えば図2及び図3に示す様にベース部41の平面41aの縁付近に突設された2本のL字型ステー46と、連結部40の端面40aの縁付近に固定された2つのガイド部材47とを備えている。各L字型ステー46の平板状端部46aは、連結部40の平坦な端面40aに当接し、各ガイド部材47のガイド孔47aにそれぞれ差し込まれている。これにより、ベース部41が連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持される。すなわち、ベース部41が該ベース部41の平面41aに沿って移動可能に支持される。また、ベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44が押し付けられた状態となっている。
【0030】
第2支持機構43は、例えば図2及び図4に示す様に3本の弾性アーム48の一端をベース部41の曲面41bの縁付近に固定接続し、該各弾性アーム48の他端を把持機構部5の本体部5aの端面5bの縁に固定接続している。これにより、把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持され、かつベース部41の曲面41bに各第2超音波モーター45が押し付けられた状態が維持される。
【0031】
尚、第1支持機構42の代わりに、第2支持機構43と同様の機構によりベース部41を連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持し、かつベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44を押し付けても良い。
【0032】
また、第1支持機構42の代わりに、ベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44もしくは連結部40を吸着したり、磁気的に吸引したりして、ベース部41を連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持する機構を適用しても良い。同様に、第2支持機構43の代わりに、ベース部41の曲面41bに各第2超音波モーター45もしくは把持機構部5の本体部5aを吸着したり、磁気的に吸引したりして、把持機構部5の本体部5aをベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持する機構を適用しても良い。吸着の場合は、ベース部41の平面41a及び曲面に沿って各超音波モーターが容易にスライドする必要がある。また、磁気的な吸引の場合は、ベース部41や各超音波モーターを磁性体にする必要がある。
【0033】
各第1超音波モーター44及び各2超音波モーター45は、図5に示す様に基板19と、この基板19に積層された複数の振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bと、振動体22b表面に固定された振動子23とを備えている。
【0034】
各振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bは、例えば圧電素子であり、それぞれの矢印等に示す方向に振動する。各振動体20a、20bがそれぞれ左右方向に振動し、各振動体21a、21bがそれぞれ上下方向に振動し、各振動体22a、22bがそれぞれ前後方向に振動する。
【0035】
これらの振動体を任意に振動させることにより、振動子23の先端を図6に示す様な楕円軌跡24に沿って楕円運動させることができる。この場合は、振動子23の先端に接触しているベース部41の面が矢印Aの方向の摩擦力(推進力)を受け、ベース部41が振動子23に対して矢印Aの方向に相対的に移動する。
【0036】
これらの振動体の振動振幅をそれぞれ制御することにより楕円軌跡24の短軸の向きを変更することができ、これにより振動子23の先端に接触しているベース部41の面が受ける摩擦力(推進力)の向きを変更して、ベース部41の移動方向を変更することができる。
【0037】
従って、各第1超音波モーター44の各振動体の印加電圧を制御して、それぞれの振動振幅を制御すれば、該各第1超音波モーター44に当接するベース部41の平面41aが各第1超音波モーター44の振動子に対して相対的に移動し、その移動方向を変更することができる。
【0038】
同様に、各第2超音波モーター45の各振動体の印加電圧を制御して、それぞれの振動振幅を制御すれば、該各第2超音波モーター44に当接するベース部41の曲面41bが各第2超音波モーター45の振動子に対して相対的に移動し、その移動方向を変更することができる。
【0039】
尚、各振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bは、図5に示す様な積層順序に限らず、他の積層順序で積層しても構わない。例えば、各振動体の配線や作成方法等の要因により該各振動体の積層順序を変更しても良い。
【0040】
また、各振動体の振動方向(振動軸)を相互に直交させているが、必ずしも直交させる必要はなく、任意の方向の推進力を大きくするために各振動体の振動方向の交差角度を変更しても構わない。
【0041】
更に、振動体として圧電素子を例示しているが、これに限定されるものだはなく、他の振動素子を用いても構わない。例えば、振動体として高分子アクチュエータを適用することができる。この高分子アクチュエータは、図7(a)に示す様に高分子材料(誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称される)26を2枚の電極27で挟み込んだものであり、図7(b)に示す様に各電極27間に電圧を印加すると、矢印Bの方向に高分子材料が伸びる。各電極27間に電圧を周期的に印加すると、高分子アクチュエータが伸縮を繰り返して振動するので、振動体として適用することができる。この高分子アクチュエータは、各電極27間に電圧を印加するという電圧制御であって、消費電流が少なく、発熱が非常に少ない等のメリットがある。
【0042】
図8は、各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45の配置位置を示す平面図である。各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45のいずれも、連結部40の端面40a又は把持機構部5の本体部5aの端面5b上で正三角形の各頂点に配置されている。各第1超音波モーター44の振動子23は、ベース部41の平面41a上の正三角形の各頂点に接して、このベース部41の平面41aを安定的に位置決めする。同様に、各第2超音波モーター45の振動子23は、ベース部41の曲面41b上の正三角形の各頂点に接して、このベース部41の曲面41bを安定的に位置決めする。
【0043】
尚、各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45のいずれについても、その個数や配置位置が限定されるものではなく、必要とされる推進力の確保や推進方向等を考慮して、その個数を増やしたり、配置位置を変更したりしても良い。
【0044】
ここで、第1支持機構42によりベース部41がXZ方向に移動可能に(該ベース部41の平面41aに沿って移動可能に)支持されている。また、ベース部41は、その平面41aが各第1超音波モーター44の振動子23に当接しており、各第1超音波モーター44の振動子23の振動により移動され、その移動方向を変更される。従って、図9(a)、(b)に示す様に各第1超音波モーター44の振動子23の振動を制御することによりベース部41をXZ平面上の任意の方向に移動させることができ、これに伴ってベース部41に連結されている把持機構部5も同方向に移動される。
【0045】
また、第2支持機構43により把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持されている。また、ベース部41は、その曲面41bが各第2超音波モーター45の振動子23に当接しており、各第2超音波モーター45の振動子23の振動により移動され、その移動方向を変更される。従って、図10(a)、(b)に示す様に各第2超音波モーター45の振動子23の振動を制御することにより把持機構部5の本体部5aをベース部41の曲面41bに沿って任意の方向に移動させることができる。このとき、把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動することから、把持機構部5が該曲面41b周りで回転し、把持機構部5の向きが変わる。
【0046】
更に、図11に示す様に各第2超音波モーター45の振動子23の振動方向をY方向の軸を中心とする円の接線方向にそれぞれ設定すれば、把持機構部5の本体部5aが該Y方向の軸周りに自転し、把持機構部5がベース部41の曲面41b上で旋回する様にして向きを変える。
【0047】
従って、本実施形態のハンド装置1では、アーム部6の各関節3a〜3cを回転させて、アーム部6を屈伸させ、これによりアーム部6先端側の把持機構部5を移動させたりその向きを変えたりすることができるだけではなく、多軸機構部7の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5を該多軸機構部7のベース部41の平面41aに沿って移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41b上で自転させることができる。このため、アーム部6の屈伸動作による把持機構部5の位置決めを高精度で行うことができなくても、多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えたりして高精度で位置決めすることができる。
【0048】
実際には、アーム部6により把持機構部5を大きく移動させたりその向きを変えて、把持機構部5により把持されている部材の位置決めを大まかに行い、引き続いて多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えて、把持機構部5により把持されている部材の位置決めを高精度で行うことになる。このため、多軸機構部7による把持機構部5の移動量及び回転量が小さくても構わない。
【0049】
また、アーム部6が周囲の機器や部品等に干渉しそうなときには、多軸機構部7により把持機構部5を移動させたりその向きを変えたりすることができるので、周囲の機器や部品等へのアーム部6の干渉を未然に防止することができる。
【0050】
しかも、多軸機構部7の基本構成が簡単であり、超音波モーターが小型であって、電動モーターの様に駆動力の伝達機構や減速機構を必要としないため、把持機構部5を小型化することができる。
【0051】
尚、ベース部41の曲面41bは、球面、楕円面、他の種類の曲面等に設定することができる。また、曲面41bの曲率を変更すれば(例えば球面の半径を変更すれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の向きの変更量(回転角度量)を変更することができる。例えば、曲面41bの曲率を大きくすれば(例えば球面の半径を小さくすれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の回転角度量が大きくなり、逆に曲面41bの曲率を小さくすれば(例えば球面の半径を大きくすれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の回転角度量が小さくなる。
【0052】
また、ベース部41の両面を平面及び曲面とする代わりに、連結部40の端面40aを平面にしたり、把持機構部5の本体部5aの端面5bを曲面にし、ベース部41の両面に各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を設け、ベース部41側の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を連結部40の端面40a及び把持機構部5の本体部5aの端面5bにそれぞれ当接させる構成でも構わない。この場合も、把持機構部5を平面及び曲面に沿って移動させることができる。
【0053】
ところで、多軸機構部7により把持機構部5を適確に移動させたりその向きを変更したりするには、これらの移動量や向きの変更(回転角度量)を検出する必要がある。
【0054】
そこで、本実施形態のハンド装置1では、図12に示す様に多軸機構部7のベース部41の曲面41bの中心Oの周囲に同心状の複数の円LAを等間隔で描くと共に、ベース部41の中心Oから放射状の複数の直線LBを一定角度間隔で描いている。
【0055】
また、曲面41bの各円LA及び各直線LBを検出する2つの光学センサS1、S2を把持機構部5の本体部5aの端面5bの2箇所に設けている。各光学センサS1、S2の位置は、ベース部41の曲面41bの中心Oと把持機構部5の本体部5aの端面5bの中心とが重なっているときに該中心Oに対して点対称に設けても良いが、該中心Oに対して非対称に設けると、各光学センサS1、S2により円LAや直線LBが交互に検出されるので、各円LA及び各直線LBの検出感度が向上する。
【0056】
把持機構部5をベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5をベース部41の曲面41b上で自転させると、把持機構部5の本体部5aの各光学センサS1、S2がベース部41の曲面41bに対して移動したり自転する。このとき、把持機構部5の本体部5aの各光学センサS1、S2により検出された円LAの数及び直線LBの数を計数すれば、つまり各光学センサS1、S2の検出エリアを通過した円LAの数及び直線LBの数を計数すれば、円LAの計数値に対応する回転移動量及び直線LBの計数値に対応する回転角度を求めることができ、これらの回転移動量及び回転角度をベース部41に対する把持機構部5の回転移動量や自転角度として求めることができる。
【0057】
同様に、多軸機構部7のベース部41の平面41aに、XZ方向の方眼線を描き、この方眼線を検出する2つの光学センサを連結部40の端面40aに設ける。把持機構部5をベース部41の平面41aに沿って移動させるに際し、各光学センサの検出エリアをXY方向に通過した方眼線の数を計数して、XY方向に通過したそれぞれの計数値に対応するXY方向の移動量を求めれば、これを把持機構部5のXY方向の移動量として求めることができる。
【0058】
尚、光学センサとしては、例えばLEDとフォトディテクタを組み合わせたものがある。LEDによりベース部41の面を照明し、フォトディテクタによりベース部41の面からの反射光を検出する。ベース部41の面からの反射光の強度は、ベース部41の面に線が描かれている箇所と他の箇所では異なり、フォトディテクタの検出エリアをベース部41の面に描かれた線が通過する度に、フォトディテクタの検出出力レベルが変動するので、フォトディテクタの検出出力レベルの変化に基づいて該フォトディテクタの検出エリアを通過した線の数を計数することができる。また、フォトディテクタを4分割して、このフォトディテクタにより線の境界を検出すれば、更に感度良く位置検出を行うことが可能となる。
【0059】
更に、光学センサとしてCCDカメラを用いれば、ベース部41の面に描かれている線を高精度で検出することができる。また、1つのCCDカメラのみによりベース部41の面に描かれている線を検出することができる。
【0060】
また、ベース部41の曲面41bの各円LA及び各直線LB及び平面41aの方眼線の間隔を狭くすると、位置検出の感度が向上し、これらの線の感覚を広くすると、位置検出の感度が低下する。
【0061】
更に、ベース部41の面に線を描く代わりに、ベース部41の面の各部位で反射率が異なる様にしておけば、光学センサの検出出力レベルの変化に基づいて把持機構部5の移動量や自転角度等を検出することができる。例えば、ベース部41の面の各部位で該面の粗さを変化させて、該各部位での光の反射率を異ならせる。
【0062】
一方、本実施形態のハンド装置1は、多軸機構7の小型化が可能であるため、図13に示す様に位置合わせ装置30を多軸機構部7の連結部40に搭載することができる。この位置合わせ装置30は、スリット光Stを出射するスリット光投光機30aと、スリット光Stの投影光像を撮像する撮像装置30bとからなる。スリット光投光機30aから出射されたスリット光Stは、把持機構部5により把持されている部材31と他の部材32に照射され、該各部材31、32の側面に該スリット光Stの2つの投影光像st1、st2が投影される。撮像装置30bは、各部材31、32の側面に投影された各投影光像st1、st2を撮像し、この撮像画面をマイクロコンピュータ等の演算制御装置33に出力する。演算制御装置33は、この撮像画面上の各投影光像s1、s2に基づいて各部材31、32の相対的な位置を把握し、各部材31、32を組み立てるのに必要な部材31の移動量を求め、各センサS1、S2の検出出力に基づいて把持機構部5の位置を検出しつつ、多軸機構部7の各第1超音波モーター44と各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5により把持されている部材31を該移動量だけ移動させて他の部材32に組み合わせる。
【0063】
具体的には、相互に対向する各投影光像s1、s2の一端の位置を把握し、各投影光像s1、s2の一端が相互に接近して直線状に接合するのに必要な移動量を求めて、部材31を該移動量だけ移動させて他の部材32に組み合わせる。各部材31、32が組み合わせられると、各投影光像s1、s2の一端が直線状に接合する。
【0064】
また、各部材31、32の位置関係が完全に一致しているときの各投影光像st1、st2を予め求めて記憶しておき、この記憶している各投影光像st1、st2と撮像画面上の各投影光像st1、st2とを比較することにより各部材31、32の位置ずれを検出する。
【0065】
図13では、1つの位置合わせ装置30だけを設置しているが、2つ以上の位置合わせ装置30を多軸機構部7の連結部40に設置して、各部材31、32の複数箇所を位置合わせする様にしても良い。この場合は、各部材31、32の縦横の側面の位置を把握しつつ、多軸機構部7による把持機構部5の移動を行って、各部材31、32の縦横の位置合わせを行うことができる。
【0066】
また、位置合わせ検出装置として、スリット光を用いた方法を提案したが、これに限定されるわけではない。いろいろな位置合わせ検出装置を適用することができるが、複雑な形状をした機構にも対応できるように位置合わせ検出装置は、ハンド装置と分離して設置するのではなく、把持機構5にできるだけ近い位置に設置した方がよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のハンド装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1のハンド装置における多軸機構部及び把持機構部を示す側面図である。
【図3】図2の多軸機構部における第1支持機構を示す斜視図である。
【図4】図2の多軸機構部における第2支持機構を示す斜視図である。
【図5】図2の多軸機構部における超音波モーターを示す側面図である。
【図6】図2の多軸機構部における超音波モーターによる駆動を説明するために用いた側面図である。
【図7】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部における超音波モーターに適用し得る高分子アクチュエータを示す斜視図である。
【図8】図2の多軸機構部における各超音波モーターの配置位置を示す平面図である。
【図9】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部におけるベース部の平面に沿う把持機構部の移動を示す側面図である。
【図10】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部におけるベース部の曲面に沿う把持機構部の移動を示す側面図である。
【図11】図2の多軸機構部におけるベース部の曲面上の把持機構部の自転を示す平面図である。
【図12】図2の多軸機構部におけるベース部の曲面に描かれた複数の円及び直線を示す平面図である。
【図13】図2の多軸機構部における連結部に搭載された位置合わせ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハンド装置
2 土台
3a、3b、3c 関節
4a、4b、4c 駆動源
5 把持機構部
6 アーム部
7 多軸機構部
8a、8b リンク棒
9a、9b 指
19 基板
20a、20b、21a、21b、22a、22b 振動体
23 振動子
30 位置合わせ装置
33 演算制御装置
40 連結部
41 ベース部
42 第1支持機構
43 第2支持機構
44 第1超音波モーター
45 第2超音波モーター
S1、S2 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等を把持したり移動させたりし、製品の組み立て等を行うハンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の装置としては、特許文献1に記載のものがある。ここでは、複数の関節を有するアーム部の先端に把持機構部を設けており、把持機構部により部品等を把持した状態で、アーム部の各関節をそれぞれ適量回転駆動しかつ各関節の回転を組み合わせて、把持機構部により把持されている部品等を回転移動させたり直線移動させたりする。
【0003】
このとき、把持機構部を現在位置から所望の位置まで移動させるには、把持機構部の現在位置でのアーム部の現在姿勢を求め、この現在姿勢を把持機構部が所望の位置に移動したときのアーム部の姿勢へと変化させるのに必要な該アーム部の各関節の回転角度を求め、それぞれの回転角度だけ各関節を回転させて、把持機構部を所望の位置まで移動させる。この様な関節の回転角度を計算するための様々な手法が既に提案されている。
【0004】
また、アーム部と把持機構部との接続部分に弾性機構によるコンプライアンスを持たせ、作業時に把持機構部に受ける反力によって弾性機構が変位する様にして、把持機構部により把持されている部材と他の部材同士の位置や姿勢を合致させている。
【特許文献1】特開2004−223680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記アーム部により把持機構部を所望の位置まで移動させる場合は、アーム部の各関節の回転角度誤差の積み重ねが該アーム部先端の把持機構部の位置誤差となるので、把持機構部を高精度で位置決めすることが困難であった。
【0006】
また、部材同士の組み立てに際し、把持機構部を微動させるときにもアーム部を移動させるので、狭いスペースでは、アーム部が周囲の機器や部品等に干渉してしまい、部品等の移動が困難になったり、部品等を破損したりした。
【0007】
更に、アーム部と把持機構部間のコンプライアンスにより部材同士の位置や姿勢を合致させるには、部材同士の接触が前提となるので、組み立て時に部材や製品等を傷つける恐れがあった。
【0008】
これを避けるには、部材同士の位置ずれ等の検出が必要となる。しかしながら、部材の近くでないと部材同士の位置ずれ等の検出ができず、この位置ずれ等の検出のための装置を把持機構部に搭載するには、この把持機構部を小型化せねばならなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、アーム部を移動させなくても把持機構部の向き及び位置を高精度で変えることができ、また小型化が可能であって、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置の搭載も可能なハンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、アーム部と、部材を把持する把持機構部と、前記アーム部の先端に前記把持機構部を連結する多軸機構部とを備え、前記多軸機構部により前記把持機構部の向き及び位置を変えるハンド装置において、前記多軸機構部は、前記アーム部の先端及び前記把持機構部間に介在し、両者間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持するベース部と、前記アーム部の先端に対する前記ベース部並びに前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の一方に沿って行う第1超音波モーターと、前記ベース部に対する前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の他方に沿って行う第2超音波モーターとを備えている。
【0011】
この様な本発明によれば、多軸機構部は、アーム部の先端及び把持機構部間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持し、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせ、把持機構部の向き及び位置を変えている。従って、アーム部を移動させることなく、アーム部を周囲の機器や部品等に干渉させずに、多軸機構部により把持機構部を移動させて、把持機構部を高精度で位置決めすることができる。
【0012】
また、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせる構成であるから、複数の関節を組み合わせた他の構成と比較すると、小型化が容易であり、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置を把持機構部に搭載することが可能である。
【0013】
例えば、前記第1及び第2超音波モーターは、振動子と、この振動子により振動され前記平面及び曲面のいずれかに当接する振動体とを備えている。前記振動子は、圧電素子又は高分子アクチュエータである。
【0014】
この様な超音波モーターは、小型化が容易なため、本発明のハンド装置に好適である。
【0015】
また、本発明においては、前記平面及び曲面には複数の線が描かれており、該平面及び曲面に沿ってスライドする箇所には前記平面及び曲面に描かれた線を検出するセンサを設けている。
【0016】
この様なセンサにより平面及び曲面に描かれた線を検出すれば、平面及び曲面に沿ってスライドする箇所から見た線の移動を検出することができ、延いては平面及び曲面に沿う把持機構部のスライド量や方向を検出することができる。
【0017】
更に、本発明においては、2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢に基づき前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを駆動制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御する制御手段とを備え、前記把持機構部により前記各部材の一方を把持し、前記制御手段により前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御し、該各部材の位置合わせを行っている。
【0018】
これにより、把持機構部により把持された部材と他の部材同士の位置や姿勢を合致させることができる。
【0019】
例えば、前記位置検出手段は、2つの部材にそれぞれのスリット光を照射して、これらのスリット光を該各部材に跨って投影する複数のスリット光投影手段と、前記各スリット光投影手段から照射されているそれぞれのスリット光を移動もしくは振動させるスリット光駆動手段と、前記各部材に投影されているそれぞれのスリット光の投影光像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された各スリット光の投影光像に基づいて前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢を求める演算手段とを備えている。
【0020】
これにより、2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を非接触で正確に求めることができ、部材同士の組み立て作業を阻害することがない。
【発明の効果】
【0021】
この様な本発明のハンド装置は、アーム部を移動させることなく、アーム部を周囲の機器や部品等に干渉させずに、多軸機構部により把持機構部を移動させて、把持機構部を高精度で位置決めすることができる。また、第1及び第2超音波モーターにより把持機構部を平面及び曲面に沿ってスライドさせる構成であるから、複数の関節を組み合わせた他の構成と比較すると、小型化が容易であり、部材同士の位置ずれ等の検出を行う装置を把持機構部に搭載することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のハンド装置の一実施形態を示す側面図である。本実施形態のハンド装置1は、土台2に設けられたアーム部6と、部材を把持する把持機構部5と、アーム部6の先端と把持機構部5を連結する多軸機構部7とを備えている。
【0024】
アーム部6は、3つの関節3a、3b、3cと、各関節3a、3b、3cを回転駆動するそれぞれの駆動源4a、4b、4cと、2本のリンク棒8a、8bとを備えており、リンク棒8aの一端を関節3aを介して多軸機構7に連結し、リンク棒8aの他端を関節3bを介してリンク棒8bの一端に連結し、リンク棒8bの他端を関節3cを介して土台2に連結している。それぞれの駆動源4a、4b、4cにより各関節3a、3b、3cを回転駆動すると、アーム部6が屈伸して、アーム部6の先端側の把持機構部5が回転移動もしくは直線移動等する。
【0025】
各駆動源4a、4b、4cは、例えば電動モーターであり、各電動モーターの出力軸が各関節部3a、3b、3cの回転軸に直結されたり減速機を介して接続されたりし、各電動モーターの駆動力が各関節部3a、3b、3cに伝達されて、各関節部3a、3b、3cが回転する。減速機としては、複数のギアを組み合わせたギアユニットやハーモニックドライブ等がある。
【0026】
尚、アーム部6の関節の数を増減させたり、アーム部6全体を旋回させるための関節を設けたりしても良い。ハンド装置1の用途や把持機構部5の作業空間によっては、関節部の数やリンク棒の数と長さを適宜に変更して設定する必要がある。
【0027】
把持機構部5は、本体部5aに2本の指9a、9bを設けたものである。各指9a、9bは、本体部5aでX方向に移動可能に支持さており、本体部5aに内蔵の電動モーターにより相互に接近及び離間する様に移動される。例えば、電動モーターの出力軸の回転がラックギアとピニオンギアの組み合わせにより直線運動に変換されて各指9a、9bに伝達され、各指9a、9bがX方向に移動される。
【0028】
多軸機構部7は、把持機構部5の向き及び位置を変えるものである。この多軸機構部7は、図2に示す様にアーム部6の関節3aに接続された連結部40と、この連結部40と把持機構部5の本体部5a間に介在するベース部41と、ベース部41を連結部40に対して移動可能に支持する第1支持機構42と、把持機構部5の本体部5aをベース部41に対して移動可能に支持する第2支持機構43と、連結部40の端面40aに固定されて、ベース部41の平面41aに当接する3つの第1超音波モーター44と、把持機構部5の本体部5aの端面5bに固定されて、ベース部41の曲面41bに当接する3つの第2超音波モーター45とを備えている。
【0029】
第1支持機構42は、例えば図2及び図3に示す様にベース部41の平面41aの縁付近に突設された2本のL字型ステー46と、連結部40の端面40aの縁付近に固定された2つのガイド部材47とを備えている。各L字型ステー46の平板状端部46aは、連結部40の平坦な端面40aに当接し、各ガイド部材47のガイド孔47aにそれぞれ差し込まれている。これにより、ベース部41が連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持される。すなわち、ベース部41が該ベース部41の平面41aに沿って移動可能に支持される。また、ベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44が押し付けられた状態となっている。
【0030】
第2支持機構43は、例えば図2及び図4に示す様に3本の弾性アーム48の一端をベース部41の曲面41bの縁付近に固定接続し、該各弾性アーム48の他端を把持機構部5の本体部5aの端面5bの縁に固定接続している。これにより、把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持され、かつベース部41の曲面41bに各第2超音波モーター45が押し付けられた状態が維持される。
【0031】
尚、第1支持機構42の代わりに、第2支持機構43と同様の機構によりベース部41を連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持し、かつベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44を押し付けても良い。
【0032】
また、第1支持機構42の代わりに、ベース部41の平面41aに各第1超音波モーター44もしくは連結部40を吸着したり、磁気的に吸引したりして、ベース部41を連結部40に対してXZ方向に移動可能に支持する機構を適用しても良い。同様に、第2支持機構43の代わりに、ベース部41の曲面41bに各第2超音波モーター45もしくは把持機構部5の本体部5aを吸着したり、磁気的に吸引したりして、把持機構部5の本体部5aをベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持する機構を適用しても良い。吸着の場合は、ベース部41の平面41a及び曲面に沿って各超音波モーターが容易にスライドする必要がある。また、磁気的な吸引の場合は、ベース部41や各超音波モーターを磁性体にする必要がある。
【0033】
各第1超音波モーター44及び各2超音波モーター45は、図5に示す様に基板19と、この基板19に積層された複数の振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bと、振動体22b表面に固定された振動子23とを備えている。
【0034】
各振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bは、例えば圧電素子であり、それぞれの矢印等に示す方向に振動する。各振動体20a、20bがそれぞれ左右方向に振動し、各振動体21a、21bがそれぞれ上下方向に振動し、各振動体22a、22bがそれぞれ前後方向に振動する。
【0035】
これらの振動体を任意に振動させることにより、振動子23の先端を図6に示す様な楕円軌跡24に沿って楕円運動させることができる。この場合は、振動子23の先端に接触しているベース部41の面が矢印Aの方向の摩擦力(推進力)を受け、ベース部41が振動子23に対して矢印Aの方向に相対的に移動する。
【0036】
これらの振動体の振動振幅をそれぞれ制御することにより楕円軌跡24の短軸の向きを変更することができ、これにより振動子23の先端に接触しているベース部41の面が受ける摩擦力(推進力)の向きを変更して、ベース部41の移動方向を変更することができる。
【0037】
従って、各第1超音波モーター44の各振動体の印加電圧を制御して、それぞれの振動振幅を制御すれば、該各第1超音波モーター44に当接するベース部41の平面41aが各第1超音波モーター44の振動子に対して相対的に移動し、その移動方向を変更することができる。
【0038】
同様に、各第2超音波モーター45の各振動体の印加電圧を制御して、それぞれの振動振幅を制御すれば、該各第2超音波モーター44に当接するベース部41の曲面41bが各第2超音波モーター45の振動子に対して相対的に移動し、その移動方向を変更することができる。
【0039】
尚、各振動体20a、20b、21a、21b、22a、22bは、図5に示す様な積層順序に限らず、他の積層順序で積層しても構わない。例えば、各振動体の配線や作成方法等の要因により該各振動体の積層順序を変更しても良い。
【0040】
また、各振動体の振動方向(振動軸)を相互に直交させているが、必ずしも直交させる必要はなく、任意の方向の推進力を大きくするために各振動体の振動方向の交差角度を変更しても構わない。
【0041】
更に、振動体として圧電素子を例示しているが、これに限定されるものだはなく、他の振動素子を用いても構わない。例えば、振動体として高分子アクチュエータを適用することができる。この高分子アクチュエータは、図7(a)に示す様に高分子材料(誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称される)26を2枚の電極27で挟み込んだものであり、図7(b)に示す様に各電極27間に電圧を印加すると、矢印Bの方向に高分子材料が伸びる。各電極27間に電圧を周期的に印加すると、高分子アクチュエータが伸縮を繰り返して振動するので、振動体として適用することができる。この高分子アクチュエータは、各電極27間に電圧を印加するという電圧制御であって、消費電流が少なく、発熱が非常に少ない等のメリットがある。
【0042】
図8は、各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45の配置位置を示す平面図である。各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45のいずれも、連結部40の端面40a又は把持機構部5の本体部5aの端面5b上で正三角形の各頂点に配置されている。各第1超音波モーター44の振動子23は、ベース部41の平面41a上の正三角形の各頂点に接して、このベース部41の平面41aを安定的に位置決めする。同様に、各第2超音波モーター45の振動子23は、ベース部41の曲面41b上の正三角形の各頂点に接して、このベース部41の曲面41bを安定的に位置決めする。
【0043】
尚、各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45のいずれについても、その個数や配置位置が限定されるものではなく、必要とされる推進力の確保や推進方向等を考慮して、その個数を増やしたり、配置位置を変更したりしても良い。
【0044】
ここで、第1支持機構42によりベース部41がXZ方向に移動可能に(該ベース部41の平面41aに沿って移動可能に)支持されている。また、ベース部41は、その平面41aが各第1超音波モーター44の振動子23に当接しており、各第1超音波モーター44の振動子23の振動により移動され、その移動方向を変更される。従って、図9(a)、(b)に示す様に各第1超音波モーター44の振動子23の振動を制御することによりベース部41をXZ平面上の任意の方向に移動させることができ、これに伴ってベース部41に連結されている把持機構部5も同方向に移動される。
【0045】
また、第2支持機構43により把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動可能に支持されている。また、ベース部41は、その曲面41bが各第2超音波モーター45の振動子23に当接しており、各第2超音波モーター45の振動子23の振動により移動され、その移動方向を変更される。従って、図10(a)、(b)に示す様に各第2超音波モーター45の振動子23の振動を制御することにより把持機構部5の本体部5aをベース部41の曲面41bに沿って任意の方向に移動させることができる。このとき、把持機構部5の本体部5aがベース部41の曲面41bに沿って移動することから、把持機構部5が該曲面41b周りで回転し、把持機構部5の向きが変わる。
【0046】
更に、図11に示す様に各第2超音波モーター45の振動子23の振動方向をY方向の軸を中心とする円の接線方向にそれぞれ設定すれば、把持機構部5の本体部5aが該Y方向の軸周りに自転し、把持機構部5がベース部41の曲面41b上で旋回する様にして向きを変える。
【0047】
従って、本実施形態のハンド装置1では、アーム部6の各関節3a〜3cを回転させて、アーム部6を屈伸させ、これによりアーム部6先端側の把持機構部5を移動させたりその向きを変えたりすることができるだけではなく、多軸機構部7の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5を該多軸機構部7のベース部41の平面41aに沿って移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5を該ベース部41の曲面41b上で自転させることができる。このため、アーム部6の屈伸動作による把持機構部5の位置決めを高精度で行うことができなくても、多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えたりして高精度で位置決めすることができる。
【0048】
実際には、アーム部6により把持機構部5を大きく移動させたりその向きを変えて、把持機構部5により把持されている部材の位置決めを大まかに行い、引き続いて多軸機構部7により把持機構部5を微動で移動させたりその向きを変えて、把持機構部5により把持されている部材の位置決めを高精度で行うことになる。このため、多軸機構部7による把持機構部5の移動量及び回転量が小さくても構わない。
【0049】
また、アーム部6が周囲の機器や部品等に干渉しそうなときには、多軸機構部7により把持機構部5を移動させたりその向きを変えたりすることができるので、周囲の機器や部品等へのアーム部6の干渉を未然に防止することができる。
【0050】
しかも、多軸機構部7の基本構成が簡単であり、超音波モーターが小型であって、電動モーターの様に駆動力の伝達機構や減速機構を必要としないため、把持機構部5を小型化することができる。
【0051】
尚、ベース部41の曲面41bは、球面、楕円面、他の種類の曲面等に設定することができる。また、曲面41bの曲率を変更すれば(例えば球面の半径を変更すれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の向きの変更量(回転角度量)を変更することができる。例えば、曲面41bの曲率を大きくすれば(例えば球面の半径を小さくすれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の回転角度量が大きくなり、逆に曲面41bの曲率を小さくすれば(例えば球面の半径を大きくすれば)、ベース部41の曲面41bのスライド量に対する把持機構部5の回転角度量が小さくなる。
【0052】
また、ベース部41の両面を平面及び曲面とする代わりに、連結部40の端面40aを平面にしたり、把持機構部5の本体部5aの端面5bを曲面にし、ベース部41の両面に各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を設け、ベース部41側の各第1超音波モーター44及び各第2超音波モーター45を連結部40の端面40a及び把持機構部5の本体部5aの端面5bにそれぞれ当接させる構成でも構わない。この場合も、把持機構部5を平面及び曲面に沿って移動させることができる。
【0053】
ところで、多軸機構部7により把持機構部5を適確に移動させたりその向きを変更したりするには、これらの移動量や向きの変更(回転角度量)を検出する必要がある。
【0054】
そこで、本実施形態のハンド装置1では、図12に示す様に多軸機構部7のベース部41の曲面41bの中心Oの周囲に同心状の複数の円LAを等間隔で描くと共に、ベース部41の中心Oから放射状の複数の直線LBを一定角度間隔で描いている。
【0055】
また、曲面41bの各円LA及び各直線LBを検出する2つの光学センサS1、S2を把持機構部5の本体部5aの端面5bの2箇所に設けている。各光学センサS1、S2の位置は、ベース部41の曲面41bの中心Oと把持機構部5の本体部5aの端面5bの中心とが重なっているときに該中心Oに対して点対称に設けても良いが、該中心Oに対して非対称に設けると、各光学センサS1、S2により円LAや直線LBが交互に検出されるので、各円LA及び各直線LBの検出感度が向上する。
【0056】
把持機構部5をベース部41の曲面41bに沿って回転移動させたり、把持機構部5をベース部41の曲面41b上で自転させると、把持機構部5の本体部5aの各光学センサS1、S2がベース部41の曲面41bに対して移動したり自転する。このとき、把持機構部5の本体部5aの各光学センサS1、S2により検出された円LAの数及び直線LBの数を計数すれば、つまり各光学センサS1、S2の検出エリアを通過した円LAの数及び直線LBの数を計数すれば、円LAの計数値に対応する回転移動量及び直線LBの計数値に対応する回転角度を求めることができ、これらの回転移動量及び回転角度をベース部41に対する把持機構部5の回転移動量や自転角度として求めることができる。
【0057】
同様に、多軸機構部7のベース部41の平面41aに、XZ方向の方眼線を描き、この方眼線を検出する2つの光学センサを連結部40の端面40aに設ける。把持機構部5をベース部41の平面41aに沿って移動させるに際し、各光学センサの検出エリアをXY方向に通過した方眼線の数を計数して、XY方向に通過したそれぞれの計数値に対応するXY方向の移動量を求めれば、これを把持機構部5のXY方向の移動量として求めることができる。
【0058】
尚、光学センサとしては、例えばLEDとフォトディテクタを組み合わせたものがある。LEDによりベース部41の面を照明し、フォトディテクタによりベース部41の面からの反射光を検出する。ベース部41の面からの反射光の強度は、ベース部41の面に線が描かれている箇所と他の箇所では異なり、フォトディテクタの検出エリアをベース部41の面に描かれた線が通過する度に、フォトディテクタの検出出力レベルが変動するので、フォトディテクタの検出出力レベルの変化に基づいて該フォトディテクタの検出エリアを通過した線の数を計数することができる。また、フォトディテクタを4分割して、このフォトディテクタにより線の境界を検出すれば、更に感度良く位置検出を行うことが可能となる。
【0059】
更に、光学センサとしてCCDカメラを用いれば、ベース部41の面に描かれている線を高精度で検出することができる。また、1つのCCDカメラのみによりベース部41の面に描かれている線を検出することができる。
【0060】
また、ベース部41の曲面41bの各円LA及び各直線LB及び平面41aの方眼線の間隔を狭くすると、位置検出の感度が向上し、これらの線の感覚を広くすると、位置検出の感度が低下する。
【0061】
更に、ベース部41の面に線を描く代わりに、ベース部41の面の各部位で反射率が異なる様にしておけば、光学センサの検出出力レベルの変化に基づいて把持機構部5の移動量や自転角度等を検出することができる。例えば、ベース部41の面の各部位で該面の粗さを変化させて、該各部位での光の反射率を異ならせる。
【0062】
一方、本実施形態のハンド装置1は、多軸機構7の小型化が可能であるため、図13に示す様に位置合わせ装置30を多軸機構部7の連結部40に搭載することができる。この位置合わせ装置30は、スリット光Stを出射するスリット光投光機30aと、スリット光Stの投影光像を撮像する撮像装置30bとからなる。スリット光投光機30aから出射されたスリット光Stは、把持機構部5により把持されている部材31と他の部材32に照射され、該各部材31、32の側面に該スリット光Stの2つの投影光像st1、st2が投影される。撮像装置30bは、各部材31、32の側面に投影された各投影光像st1、st2を撮像し、この撮像画面をマイクロコンピュータ等の演算制御装置33に出力する。演算制御装置33は、この撮像画面上の各投影光像s1、s2に基づいて各部材31、32の相対的な位置を把握し、各部材31、32を組み立てるのに必要な部材31の移動量を求め、各センサS1、S2の検出出力に基づいて把持機構部5の位置を検出しつつ、多軸機構部7の各第1超音波モーター44と各第2超音波モーター45を駆動制御して、把持機構部5により把持されている部材31を該移動量だけ移動させて他の部材32に組み合わせる。
【0063】
具体的には、相互に対向する各投影光像s1、s2の一端の位置を把握し、各投影光像s1、s2の一端が相互に接近して直線状に接合するのに必要な移動量を求めて、部材31を該移動量だけ移動させて他の部材32に組み合わせる。各部材31、32が組み合わせられると、各投影光像s1、s2の一端が直線状に接合する。
【0064】
また、各部材31、32の位置関係が完全に一致しているときの各投影光像st1、st2を予め求めて記憶しておき、この記憶している各投影光像st1、st2と撮像画面上の各投影光像st1、st2とを比較することにより各部材31、32の位置ずれを検出する。
【0065】
図13では、1つの位置合わせ装置30だけを設置しているが、2つ以上の位置合わせ装置30を多軸機構部7の連結部40に設置して、各部材31、32の複数箇所を位置合わせする様にしても良い。この場合は、各部材31、32の縦横の側面の位置を把握しつつ、多軸機構部7による把持機構部5の移動を行って、各部材31、32の縦横の位置合わせを行うことができる。
【0066】
また、位置合わせ検出装置として、スリット光を用いた方法を提案したが、これに限定されるわけではない。いろいろな位置合わせ検出装置を適用することができるが、複雑な形状をした機構にも対応できるように位置合わせ検出装置は、ハンド装置と分離して設置するのではなく、把持機構5にできるだけ近い位置に設置した方がよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のハンド装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1のハンド装置における多軸機構部及び把持機構部を示す側面図である。
【図3】図2の多軸機構部における第1支持機構を示す斜視図である。
【図4】図2の多軸機構部における第2支持機構を示す斜視図である。
【図5】図2の多軸機構部における超音波モーターを示す側面図である。
【図6】図2の多軸機構部における超音波モーターによる駆動を説明するために用いた側面図である。
【図7】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部における超音波モーターに適用し得る高分子アクチュエータを示す斜視図である。
【図8】図2の多軸機構部における各超音波モーターの配置位置を示す平面図である。
【図9】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部におけるベース部の平面に沿う把持機構部の移動を示す側面図である。
【図10】(a)及び(b)は、図2の多軸機構部におけるベース部の曲面に沿う把持機構部の移動を示す側面図である。
【図11】図2の多軸機構部におけるベース部の曲面上の把持機構部の自転を示す平面図である。
【図12】図2の多軸機構部におけるベース部の曲面に描かれた複数の円及び直線を示す平面図である。
【図13】図2の多軸機構部における連結部に搭載された位置合わせ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハンド装置
2 土台
3a、3b、3c 関節
4a、4b、4c 駆動源
5 把持機構部
6 アーム部
7 多軸機構部
8a、8b リンク棒
9a、9b 指
19 基板
20a、20b、21a、21b、22a、22b 振動体
23 振動子
30 位置合わせ装置
33 演算制御装置
40 連結部
41 ベース部
42 第1支持機構
43 第2支持機構
44 第1超音波モーター
45 第2超音波モーター
S1、S2 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部と、部材を把持する把持機構部と、前記アーム部の先端に前記把持機構部を連結する多軸機構部とを備え、前記多軸機構部により前記把持機構部の向き及び位置を変えるハンド装置において、
前記多軸機構部は、
前記アーム部の先端及び前記把持機構部間に介在し、両者間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持するベース部と、
前記アーム部の先端に対する前記ベース部並びに前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の一方に沿って行う第1超音波モーターと、
前記ベース部に対する前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の他方に沿って行う第2超音波モーターとを備えることを特徴とするハンド装置。
【請求項2】
前記第1及び第2超音波モーターは、振動子と、この振動子により振動され前記平面及び曲面のいずれかに当接する振動体とを備えることを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記振動子は、圧電素子であることを特徴とする請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記振動子は、高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項2に記載のハンド装置。
【請求項5】
前記平面及び曲面には複数の線が描かれており、該平面及び曲面に沿ってスライドする箇所には前記平面及び曲面に描かれた線を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項6】
2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢に基づき前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを駆動制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御する制御手段とを備え、
前記把持機構部により前記各部材の一方を把持し、前記制御手段により前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御し、該各部材の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記位置検出手段は、
2つの部材にそれぞれのスリット光を照射して、これらのスリット光を該各部材に跨って投影する複数のスリット光投影手段と、
前記各スリット光投影手段から照射されているそれぞれのスリット光を移動もしくは振動させるスリット光駆動手段と、
前記各部材に投影されているそれぞれのスリット光の投影光像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された各スリット光の投影光像に基づいて前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢を求める演算手段とを備えることを特徴とする請求項6に記載のハンド装置。
【請求項1】
アーム部と、部材を把持する把持機構部と、前記アーム部の先端に前記把持機構部を連結する多軸機構部とを備え、前記多軸機構部により前記把持機構部の向き及び位置を変えるハンド装置において、
前記多軸機構部は、
前記アーム部の先端及び前記把持機構部間に介在し、両者間に設定された平面及び曲面に沿って該把持機構部をスライド可能に支持するベース部と、
前記アーム部の先端に対する前記ベース部並びに前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の一方に沿って行う第1超音波モーターと、
前記ベース部に対する前記把持機構部のスライドを前記平面及び曲面の他方に沿って行う第2超音波モーターとを備えることを特徴とするハンド装置。
【請求項2】
前記第1及び第2超音波モーターは、振動子と、この振動子により振動され前記平面及び曲面のいずれかに当接する振動体とを備えることを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記振動子は、圧電素子であることを特徴とする請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記振動子は、高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項2に記載のハンド装置。
【請求項5】
前記平面及び曲面には複数の線が描かれており、該平面及び曲面に沿ってスライドする箇所には前記平面及び曲面に描かれた線を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項6】
2つの部材の相対的な位置もしくは姿勢を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢に基づき前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを駆動制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御する制御手段とを備え、
前記把持機構部により前記各部材の一方を把持し、前記制御手段により前記多軸機構部の第1及び第2超音波モーターを制御して、前記把持機構部の向き及び位置を制御し、該各部材の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記位置検出手段は、
2つの部材にそれぞれのスリット光を照射して、これらのスリット光を該各部材に跨って投影する複数のスリット光投影手段と、
前記各スリット光投影手段から照射されているそれぞれのスリット光を移動もしくは振動させるスリット光駆動手段と、
前記各部材に投影されているそれぞれのスリット光の投影光像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された各スリット光の投影光像に基づいて前記各部材の相対的な位置もしくは姿勢を求める演算手段とを備えることを特徴とする請求項6に記載のハンド装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−125624(P2007−125624A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318492(P2005−318492)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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