説明

バイオガス発電装置

【課題】休日の翌日等において、低カロリーのバイオガスとなっている場合に、ガスエンジン発電機の始動時に、ガスエンジン発電機が停止することを防止するバイオガス発電装置を提供する。
【解決手段】バイオガス発電装置1は、制御装置18を備え、制御装置18は、記憶手段28と、始動命令を入力するための入力手段29とを有しており、記憶手段28には、休日に関する暦データが格納されており、制御装置18によって、前日が休日であった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動するときは、入力手段29へ始動開始命令が入力された時点から所定時間T11経過した後に、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガス発電装置の技術に関し、特にメタン発酵槽で発生したバイオガスを使用してガスエンジンを駆動させ、該ガスエンジンに付設した発電機で発電するバイオガス発電装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水汚泥、有機性廃水、厨芥類などの食品残渣及び糞尿等の廃棄されていた有機性廃棄物を、嫌気性細菌を利用してメタン発酵することでメタンガス(気体状態のメタン)を主成分とした混合気体であるバイオガスを発生させ、該バイオガスを炭化水素系化石燃料ガスの代わりに使用して、発電等に利用するバイオガス発電装置が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。また、前記バイオガス発電装置の一例として、該バイオガスを炭化水素系化石燃料ガスの代わりに使用して、ガスエンジン発電機を駆動させ、発電するバイオガス発電装置は公知となっている(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272160号公報
【特許文献2】特開2004−293465号公報
【特許文献3】特開2000−152799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記バイオガス発電装置は、土曜日、日曜日、または祝日などの休日においては、有機性廃棄物の投入を停止して運転を停止させる。休日の翌日にバイオガス発電装置を運転する場合、休日に発生したメタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスがガス貯蔵装置に貯蔵されていることがある。前記低カロリーのバイオガスを使用してガスエンジン発電機を駆動させた場合失火するおそれがある。そのため、休日の翌日において、有機性廃棄物を投入した直後からガスエンジン発電機を駆動させても発電できず、また、ガスエンジン発電機が故障するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、休日の翌日等において、低カロリーのバイオガスとなっている場合に、ガスエンジン発電機の始動時に、ガスエンジン発電機が停止することを防止するバイオガス発電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽と、前記バイオガスの圧力を検出する圧力検出装置と、前記メタン発酵槽から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置と、前記ガス貯蔵装置から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、ガスエンジンを駆動して発電機を駆動させる複数のガスエンジン発電機と、前記圧力検出装置の検出値を入力してガスエンジン発電機と余剰ガス燃焼装置の始動及び停止を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、記憶手段と、始動命令を入力するための入力手段とを有しており、前記記憶手段には、休日に関する暦データが格納されており、前記制御装置によって、前日が休日であった場合に、前記入力手段を用いて前記ガスエンジン発電機を始動するときは、入力手段へ始動開始命令が入力された時点から所定時間経過した後に、ガスエンジン発電機を始動させるものである。
【0008】
請求項2においては、前記制御装置によって、前日が休日であった場合に、前記ガスエンジン発電機を始動するときは、積算流量が所定値以上になった後にガスエンジン発電機を始動させるものである
【0009】
請求項3においては、前記制御装置によって、設定時間以上メタン発酵槽に有機廃棄物が投入されなかったときは、入力手段へ始動開始命令が入力された時点から所定時間経過した後に、ガスエンジン発電機を始動させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、長期間メタン発酵槽に有機廃棄物が投入されなかったときに、ガス貯蔵装置に溜まったメタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが、ガスエンジン発電機内に流入してガスエンジン発電機が停止するのを防止する。
【0012】
請求項2においては、休日において長期間メタン発酵槽の運転を停止することでガス貯蔵装置にメタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが貯まっている場合であっても、新たに発生したバイオガスと混合されることにより、ガスエンジン発電機に使用できる程度のメタンガスを含むガスが生成される。これにより、メタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが、ガスエンジン発電機内に流入してガスエンジン発電機が停止するのを防止する。
【0013】
請求項3においては、長時間メタン発酵槽に有機廃棄物が投入されなかったときに、ガス貯蔵装置に溜まったメタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが、ガスエンジン発電機内に流入してガスエンジン発電機が停止するのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るバイオガス発電装置の全体的な構成を示したブロック図。
【図2】制御装置のブロック図。
【図3】圧力によるガスエンジン発電機の始動・停止制御及び余剰ガス燃焼装置の点火制御のフローチャート図。
【図4】圧力によるガスエンジン発電機の始動・停止制御及び余剰ガス燃焼装置の点火制御のフローチャート図。
【図5】連続モニタリングによるガスエンジン発電機の始動・停止制御及び余剰ガス燃焼装置の点火制御のフローチャート図。
【図6】圧力によるガスエンジン発電機の一斉停止制御のフローチャート図。
【図7】前日が休日であった場合のガスエンジン発電機の始動制御を示すフローチャート図。
【図8】前日が休日であった場合のガスエンジン発電機の別の始動制御を示すフローチャート図。
【図9】有機廃棄物が長時間投入されなかった場合のガスエンジン発電機の始動制御を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の一実施形態にかかるバイオガス発電装置1について説明する。
図1に示すように、バイオガス発電装置1は、有機廃棄物よりメタンガスを主成分とする混合気体であるバイオガスを発生させるメタン発酵槽11と、メタン発酵槽11で発生したバイオガスから有害な気体を分離して除去する精製装置12と、バイオガスの圧力を検出する圧力検出装置13と、有害な気体及び酸素の濃度を連続的に確認するために有害な気体及び酸素の濃度の計測を行う連続モニタリング装置14と、バイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置15と、バイオガスの流量を検出する流量計16と、ガス貯蔵装置15から供給されるバイオガスに含まれるメタンガスを燃焼して、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42及び第三ガスエンジン43を駆動して第一発電機51、第二発電機52及び第三発電機53を駆動させる複数のガスエンジン発電機である第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63と、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63駆動時に必要とする以上のバイオガスが供給された場合には、そのバイオガス中のメタンガスを燃焼させる余剰ガス燃焼装置17と、圧力検出装置13の検出値、及び連続モニタリング装置14の計測値を入力して第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17の始動及び停止を制御する制御装置18とを具備する。
【0016】
<メタン発酵槽>
メタン発酵槽11は、食品工場廃水等の有機性廃棄物を投入し、メタン発酵を行いバイオガスを発生させるものである。メタン発酵槽11の一例として、沈降速度の大きい粒子化(グラニュール化)したメタン発酵菌を高濃度に保持し、廃水を高効率にメタン発酵処理するという特徴を持つ菌体グラニュールを使用した廃水処理方法、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法を使用した発酵槽がある。メタン発酵槽11より発生したメタンガスを含む混合気体であるバイオガスは配管21を通って精製装置12へと送られる。
【0017】
また、メタン発酵槽11に、有機廃棄物センサ27が設けられており、有機廃棄物センサ27は制御装置18に接続されている。有機廃棄物センサ27は、メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入された場合には投入された時刻情報を制御装置18へ送信する。
【0018】
配管21には、手動弁23が設けられており、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17が全て停止している際には、手動弁23を閉じることによりメタン発酵槽11からのバイオガスの供給を停止させることが可能となっている。
【0019】
<精製装置>
精製装置12において、触媒や吸着等の作用によってバイオガスから硫化水素が除去され、シロキサン(ケイ素化合物)が除去される。前記バイオガスからシロキサン及び硫化水素が除去されることにより、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42及び第三ガスエンジン43内部でシロキサンが固化すること及び腐食することを防止することができる。
【0020】
<ガス貯蔵装置>
精製装置12と連通する配管22には蓄圧手段となるガス貯蔵装置15が連通している。ガス貯蔵装置15は、例えば、前記バイオガスの圧力が高くなると大きく膨らみ、バイオガスの圧力が低下すると小さく萎むガス不透過物で構成されている。ガス貯蔵装置15は球状や円筒状に構成されて、二重構造となっており外側の袋と内側の袋との間に一定の圧力で圧力調整気体を充填しておくことにより、前記圧力調整気体の圧力よりもバイオガスの圧力が大きい場合にはガス貯蔵装置15は膨らみバイオガスが貯蔵され、一方、第一ガスエンジン発電機61の駆動等により、前記圧力調整気体の圧力よりもバイオガスの圧力が小さくなった場合にはガス貯蔵装置15は萎んで、ガス貯蔵装置15から配管22へと貯蔵されていたバイオガスが供給されることとなる。但し、この構成は限定するものではなく、必要とするガス量を収容できる容器内を弾性体膜で仕切る構成としたりすることもできる。
【0021】
<ガスエンジン発電機>
精製装置12に複数のガスエンジン発電機が配管22を介して連通されている。ここで本実施例ではガスエンジン発電機は三台設けており、バイオガス中のメタンガスが増えるにつれて始動する順に第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63とする。
なおガスエンジン発電機の数は三台に限定するものではなく、前記バイオガス発電装置1は四台以上のガスエンジン発電機を具備する構成とすることも可能である。
配管22には、ガス貯蔵装置15と第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63との間にそれぞれ第一電磁弁71、第二電磁弁72及び第三電磁弁73が介装され、第一電磁弁71、第二電磁弁72及び第三電磁弁73にそれぞれ設けた第一ソレノイド71a、第二ソレノイド72a及び第三ソレノイド73aは前記制御装置18と接続されている。
【0022】
次に第一ガスエンジン発電機61の構成について説明する。
第一ガスエンジン発電機61は、第一ガスエンジン41、第一発電機51、及び第一始動・停止装置81とを具備している。第一ガスエンジン41と第一発電機51は直結して配設されており、第一ガスエンジン41の出力軸の回転により第一発電機51の磁石またはコイルが回転されることによって発電が可能となる。第一ガスエンジン41には第一始動・停止装置81が設けられて、制御装置18と接続されている。制御装置18は圧力検出装置13による検出値が第一駆動許可圧力V1以上であると第一ソレノイド71aに信号を送り第一電磁弁71を開き、第一始動・停止装置81により第一ガスエンジン41を始動する。第一駆動禁止圧力V2以下となると第一電磁弁71を閉じて第一ガスエンジン41も停止させる。
また、第二ガスエンジン発電機62は、第二ガスエンジン42、第二発電機52、第二始動・停止装置82とを具備しており、それぞれの構成は第一ガスエンジン発電機61と同様の構成であるので省略する。
また、第三ガスエンジン発電機63は、第三ガスエンジン43、第三発電機53、第三始動・停止装置83とを具備しており、それぞれの構成は第一ガスエンジン発電機61と同様の構成であるので省略する。
【0023】
<余剰ガス燃焼装置>
また、精製装置12に余剰ガス燃焼装置17が配管22を介して連通されている。配管22には精製装置12と余剰ガス燃焼装置17との間に燃焼装置用電磁弁75が介装され、燃焼装置用電磁弁75の燃焼装置用ソレノイド75aは制御装置18と接続されている。余剰ガス燃焼装置17は、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42、及び第三ガスエンジン43を駆動した時に必要とする以上の余剰バイオガスに含まれるメタンガスを燃焼させることにより二酸化炭素及び水を生成して、環境に負荷を与えず、バイオガスを排出するための装置である。
【0024】
余剰ガス燃焼装置17には、点火装置91が設けられており、制御装置18と接続されている。点火装置91は、圧力検出装置13による検出値がエンジン駆動最大圧力V7以上であると燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を開き、点火装置91を作動させ、余剰ガスを燃焼させる。また、エンジン駆動最大圧力V7以下になると、燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を閉じて余剰ガス燃焼装置17を停止させる構成となっている。
【0025】
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17と連通する配管22の中途部には、配管22内のバイオガスの圧力Vを計測する圧力検出装置13が設けられている。前記圧力検出装置13は検出した圧力Vを制御装置18へと入力する。
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17と連通する配管22の中途部には、連続モニタリング装置14が設けられている。連続モニタリング装置14は精製装置12によって精製されたバイオガスを連続モニタリングし、有害物質である硫化水素H2Sの濃度CH2Sを計測するものである。また、連続モニタリング装置14はバイオガスに含まれる酸素O2の濃度CO2を計測するものである。連続モニタリング装置14は検出した硫化水素の濃度CH2S及び酸素の濃度CO2を制御装置18へと入力する。硫化水素の濃度及び酸素の濃度が設定値以上となると、制御装置18は第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63を停止させ、設定値以下となると駆動させる。
【0026】
また、精製装置12とガス貯蔵装置15、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17と連通する配管22の中途部には、流量計16が設けられている。流量計16はバイオガスの単位時間あたりの体積である流量Qを計測して流量Qを制御装置18へと入力する。
【0027】
<制御装置>
次に制御装置18について説明する。
図2に示すように制御装置18には入力側に圧力検出装置13、連続モニタリング装置14及び有機廃棄物センサ27が接続されており、出力側に第一始動・停止装置81、第二始動・停止装置82、第三始動・停止装置83、点火装置91、第一ソレノイド71a、第二ソレノイド72a、第三ソレノイド73a、及び燃焼装置用ソレノイド75aが接続されている。
また、図2に示すように、制御装置18は、記憶手段28と、始動命令を入力するための入力手段29と、を有している。記憶手段28には、年、月、日、曜日、休日や稼働時間等に関する暦データ(カレンダー)が格納されている。例えば、土曜日、日曜日、祝日及び年末・年始等の休日や、会社の行事に応じた稼働時間や、曜日毎に有機性廃棄物の投入量や投入時間が変化する場合の投入量データや時間データ等が暦データとして格納されている。入力手段29は、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63を始動させる始動命令を送信する。
【0028】
<制御装置>
次に、制御装置18による制御の流れについて図3から図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御について図3から図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
まず、図3に示すように、配管22内のバイオガスの圧力Vを圧力検出装置13により検出し、この圧力Vが第一駆動許可圧力V1以上である状態が所定時間T1以上継続しているか否かを判断する(ステップS10)。ここで、第一駆動許可圧力V1とは、一台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61)を駆動可能とする圧力であり、予め設定されている。バイオガスの圧力Vが第一駆動許可圧力V1未満であった場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第一駆動許可圧力V1以上であった場合でも、その時間がT1未満である場合には、第一電磁弁71、第二電磁弁72、第三電磁弁73、及び、燃焼装置用電磁弁75が閉じられ、引き続きバイオガスの圧力Vを圧力検出装置13で検出して、ステップS10を処理する。バイオガスの圧力Vが第一駆動許可圧力V1以上である状態が所定時間T1以上継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61を駆動するのに十分な圧力があるものと判断し、第一ソレノイド71aに信号を送り、第一電磁弁71を開いて、第一始動・停止装置81を「ON」にして、第一ガスエンジン発電機61を始動させる(ステップS20)。
【0030】
ステップS20を行った後、第一ガスエンジン発電機61が始動しているときに圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上である状態が所定時間T3以上継続しているか否かを判断する(ステップS30)。ここで、第二駆動許可圧力V3とは、二台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61及び第二ガスエンジン発電機62)を駆動可能とする圧力であり、予め設定されている。
ステップS30において、圧力Vが第二駆動許可圧力V3未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上であった場合でも、その継続時間がT3未満である場合には、続いて圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下である状態が所定時間T2以上継続しているか否かを判断する(ステップS31)。ここで、第一駆動禁止圧力V2とは、一台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61)を駆動することができる最低の圧力であり、第一駆動禁止圧力V2以下となると一台のガスエンジン発電機も駆動することができない。第一駆動禁止圧力V2は予め設定されている。ステップS31において、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下であった場合でも、その時間がT2未満である場合には、ステップS30に戻る。また、ステップS31において、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下である状態が所定時間T2以上継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、第一ソレノイド71aに信号を送り第一電磁弁71を閉じて、第一始動・停止装置81を「OFF」にして、第一ガスエンジン発電機61を停止する(ステップS32)。
【0031】
ステップS32を行った後、所定時間T11が経過したか否かについて判断する(ステップS33)。ここで、所定時間T11とは、第一ガスエンジン発電機61が停止直後に始動することを防止するためのインターバルとして設定される。つまり、停止時間が短いと十分に圧力が満たされておらず、始動と停止が連続的に繰り返される状態となることがあり、所謂、チャタリングが生じ、第一始動・停止装置81の故障の原因となることもあるので、停止後所定時間T11をあけて始動するようにしている。ステップS33において、所定時間T11が経過していない場合には、再びステップS33の処理を行う。ステップS33において、所定時間T11が経過した場合には、ステップS10へ戻る。
【0032】
また、ステップS30において、圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上である状態が所定時間T3以上継続している場合には、バイオガス中のメタンガスがまだ十分に有り、第二ガスエンジン発電機62を駆動するのに十分な圧力があるものと判断し、第二ソレノイド72aに信号を送り、第二電磁弁72を開いて、第二始動・停止装置82を「ON」にして、第二ガスエンジン発電機62を始動させる(ステップS40)。
【0033】
ステップS40を行った後、第一ガスエンジン発電機61及び第二ガスエンジン発電機62が始動しているときに圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上である状態が所定時間T5以上継続しているか否かを判断する(ステップS50)。ここで、第三駆動許可圧力V5とは、三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)を駆動可能とする圧力であり、予め設定されている。
ステップS50において、圧力Vが第三駆動許可圧力V5未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上であった場合でも、その時間がT5未満である場合には、続いて圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下である状態が所定時間T4以上継続しているか否かを判断する(ステップS51)。ここで、第二駆動禁止圧力V4とは、二台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61及び第二ガスエンジン発電機62)を駆動することができる最低の圧力であり、第二駆動禁止圧力V4以下となると二台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61及び第二ガスエンジン発電機62)を駆動することができない。第一駆動禁止圧力V4は予め設定されている。ステップS51において、圧力Vが第二駆動禁止圧力V4より大きい場合若しくはバイオガスの圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下であった場合でも、その時間がT4未満である場合には、ステップS50に戻る。また、ステップS51において、圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下である状態が所定時間T4以上継続している場合には、第二ガスエンジン発電機62の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、第二ソレノイド72aに信号を送り第二電磁弁72を閉じて、第二始動・停止装置82を「OFF」にして、第二ガスエンジン発電機62を停止する(ステップS52)。
【0034】
ステップS52を行った後、所定時間T12が経過したか否かについて判断する(ステップS53)。ここで、所定時間T12とは、前記と同様に第二ガスエンジン発電機62が停止直後に始動するのを防止するためのインターバルとして設定される。ステップS53において、所定時間T12が経過していない場合には、再びステップS53の処理を行う。
【0035】
ステップS53において、所定時間T12が経過した場合には、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下である状態が所定時間T2以上継続しているか否かを判断する(ステップS54)。ステップS54において、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下である状態が所定時間T2継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、ステップS32で、第一ソレノイド71aに信号を送り第一電磁弁71を閉じて、第一始動・停止装置81を「OFF」にして、第一ガスエンジン発電機61を停止する。ステップS32以降の制御フローは前記と同様であるので省略する。
【0036】
また、ステップS54において、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下であった場合でも、その時間がT2未満である場合には、圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上である状態が所定時間T3以上継続しているか否かを判断する(ステップS55)。ステップS55において、圧力Vが第二駆動許可圧力V3未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上であった場合でも、その時間がT3未満である場合には、ステップS54へ戻り、圧力Vが第一駆動禁止圧力V2以下である状態が所定時間T2以上継続しているか否かを判断する。
ステップS55において、圧力Vが第二駆動許可圧力V3以上である状態が所定時間T3以上継続している場合には、バイオガス中のメタンガスがまだ十分に有り、第二ガスエンジン発電機62を駆動するのに十分な圧力があるものと判断し、第二ソレノイド72aに信号を送り、第二電磁弁72を開いて、第二始動・停止装置82を「ON」にして、第二ガスエンジン発電機62を始動させる(ステップS40)。
【0037】
また、ステップS50において、前記圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上である状態が所定時間T5以上継続している場合には、バイオガス中のメタンガスがまだ十分に有り、第三ガスエンジン発電機63を駆動するのに十分な圧力があるものと判断し、図4に示すように、第三ソレノイド73aに信号を送り、第三電磁弁73を開いて、第三始動・停止装置83を「ON」にして、第三ガスエンジン発電機63を始動させる(ステップS60)。
【0038】
図4に示すステップS60を行った後、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63が始動しているときに圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上である状態が所定時間T7以上継続しているか否かを判断する(ステップS70)。ここで、エンジン駆動最大圧力V7とは、三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)をそれぞれの最大出力で駆動することができる圧力であり、これ以上の圧力が発生した場合には、三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)で燃焼することができない余剰のバイオガスが発生する。
ステップS70において、圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上であった場合でも、その時間がT7未満である場合には、続いて圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下である状態が所定時間T6以上継続しているか否かを判断する(ステップS71)。ここで、第三駆動禁止圧力V6とは、三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)を駆動することができる最低の圧力であり、第三駆動禁止圧力V6以下となると三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)を駆動することができない。第三駆動禁止圧力V6は予め設定されている。ステップS71において、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下であった場合でも、その時間がT6未満である場合には、ステップS70に戻る。また、ステップS71において、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下である状態が所定時間T6以上継続している場合には、第三ガスエンジン発電機63の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、第三ソレノイド73aに信号を送り第三電磁弁73を閉じて、第三始動・停止装置83を「OFF」にして、第三ガスエンジン発電機63を停止する(ステップS72)。
【0039】
ステップS72を行った後、所定時間T13が経過したか否かについて判断する(ステップS73)。ここで、所定時間T13とは、前記と同様に第三ガスエンジン発電機63が停止直後に始動するのを防止するためのインターバルとして設定される。ステップS73において、所定時間T13が経過していない場合には、再びステップS73の処理を行う。
【0040】
ステップS73において、所定時間T13が経過した場合には、圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下である状態が所定時間T4以上継続しているか否かを判断する(ステップS74)。圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下である状態が所定時間T4以上継続している場合には、第二ガスエンジン発電機62の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、ステップS52(図3参照)で、第二ソレノイド72aに信号を送り第二電磁弁72を閉じて、第二始動・停止装置82を「OFF」にして、第二ガスエンジン発電機62を停止する。ステップS52以降の制御フローは前記と同様であるので省略する。
【0041】
また、ステップS74において圧力Vが第二駆動禁止圧力V4より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下であった場合でも、その時間がT4未満である場合には、圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上である状態が所定時間T5以上継続しているか否かを判断する(ステップS75)。ステップS75において、圧力Vが第三駆動許可圧力V5未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上であった場合でも、その時間がT5未満である場合には、ステップS74へ戻り、圧力Vが第二駆動禁止圧力V4以下である状態が所定時間T4以上継続しているか否かを判断する。
ステップS75において、圧力Vが第三駆動許可圧力V5以上である状態が所定時間T5以上継続している場合には、バイオガス中のメタンガスがまだ十分に有り、第三ガスエンジン発電機63を駆動するのに十分な圧力があるものと判断し、第三ソレノイド73aに信号を送り、第三電磁弁73を開いて、第三始動・停止装置83を「ON」にして、第三ガスエンジン発電機63を始動させる(ステップS60)。
【0042】
また、ステップS70において前記圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上である状態が所定時間T7以上継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の駆動に必要なバイオガス中のメタンガス以上の余剰ガスが発生しているものと判断し、燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を開いて、点火装置91を「ON」にして余剰ガス燃焼装置17を始動させる(ステップS80)。
【0043】
ステップS80を行った後、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17が始動しているときに圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以下である状態が所定時間T8以上継続しているか否かを判断する(ステップS90)。
ステップS90において、圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以下であった場合でも、その時間がT8未満である場合には、引き続きバイオガスの圧力Vを圧力検出装置13で検出して、ステップS90を処理する。ステップS90において、圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以下である状態が所定時間T8継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の駆動に必要なバイオガス中のメタンガス以上のガスが発生していないとして、燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を閉じて、余剰ガス燃焼装置17を停止する(ステップS92)。
【0044】
ステップS92を行った後、所定時間T14が経過したか否かについて判断する(ステップS93)。ここで、所定時間T14とは、前記と同様に余剰ガス燃焼装置17が停止直後に始動するのを防止するためのインターバルとして設定される。ステップS93において、所定時間T14が経過していない場合には、再びステップS93の処理を行う。
【0045】
ステップS93において、所定時間T14が経過した場合には、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下である状態が所定時間T6以上継続しているか否かを判断する(ステップS94)。ステップS94において、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下である状態が所定時間T6以上継続している場合には、第三ガスエンジン発電機63の駆動に必要な圧力が供給されていないとして、ステップS72で、第三ソレノイド73aに信号を送り第三電磁弁73を閉じて、第三始動・停止装置83を「OFF」にして、第三ガスエンジン発電機63を停止する。ステップS72以降の制御フローは前記と同様であるので省略する。
【0046】
また、ステップS94において、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下であった場合でも、その時間がT6未満である場合には、圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上である状態が所定時間T7以上継続しているか否かを判断する(ステップS95)。ステップS95において、圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7未満である場合、若しくはバイオガスの圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上であった場合でも、その時間がT7未満である場合、ステップS94へ戻り、圧力Vが第三駆動禁止圧力V6以下である状態が所定時間T6以上継続しているか否かを判断する。
ステップS95において、前記圧力Vがエンジン駆動最大圧力V7以上である状態が所定時間T7以上継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の駆動に必要なバイオガス中のメタンガス以上のガスが発生しているものと判断し、燃焼装置用ソレノイド75aに信号を送り燃焼装置用電磁弁75を開いて、点火装置91を「ON」にして余剰ガス燃焼装置17を始動させる(ステップS80)。
【0047】
なお、第一駆動許可圧力V1、第二駆動許可圧力V3、第三駆動許可圧力V5、第一駆動禁止圧力V2、第二駆動禁止圧力V4、第三駆動禁止圧力V6、及びエンジン駆動最大圧力V7は制御装置18の記憶手段に記憶され、設定操作手段によりそれぞれの値を変更可能に構成している。また、第一駆動許可圧力V1、第二駆動許可圧力V3、及び第三駆動許可圧力V5は同じ値とすることもできる。また、第一駆動禁止圧力V2、第二駆動禁止圧力V4、及び第三駆動禁止圧力V6は同じ値とすることもできる。また、第一駆動許可圧力V1は第一駆動禁止圧力V2よりも大きい値である。同様に、第二駆動許可圧力V3は第二駆動禁止圧力V4よりも大きい値である。また、第三駆動許可圧力V5は第三駆動禁止圧力V6よりも大きい値である。
また、所定時間T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8は同じ値で構成している。例えば、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8は全て5秒に設定されている。また、それぞれを異なる値で構成することもできる。
また、所定時間T11、T12、T13、T14は同じ値で構成している。例えば、T11、T12、T13、T14は全て5分に設定されている。また、それぞれを異なる値で構成することもできる。
【0048】
このように構成することにより、バイオガスの供給量に合わせて、該供給量で駆動することができる最大の台数のガスエンジン発電機61、62、63を駆動させることができる。また、全てのガスエンジン発電機61、62、63が駆動している時に、必要とする以上のバイオガスが供給された場合には、その余剰バイオガス中のメタンガスを余剰ガス燃焼装置17によって燃焼させるため、環境負荷の高いメタンガスを空気中に排出することを防止できる。
また、バイオガスの圧力が個々のガスエンジン発電機61、62、63のガスエンジン駆動最低圧力以下である場合には、個々のガスエンジン発電機61、62、63の回転不足により所望電圧が得られなかったり、電圧変動が生じたりすることを防止することができる。
【0049】
本実施形態のバイオガス発電装置1は、三台のガスエンジン発電機(第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63)を具備しているが、ガスエンジン発電機の数はこれに限定するものではなく、例えば、四台目、五台目のガスエンジン発電機を具備する構成とすることも可能である。
この場合、前記ステップS70とステップS80との間にステップS40からステップS60と同様の処理を行うことで四台目以降のガスエンジン発電機を制御することができる。
【0050】
次に連続モニタリング装置14による制御について説明する。
連続モニタリング装置14による制御は、連続モニタリング装置14によって計測された硫化水素の濃度CH2S及び酸素の濃度CO2をモニタリングし、該計測値より第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63及び余剰ガス燃焼装置17を緊急停止するものである。
【0051】
まず、図5に示すように、連続モニタリング装置14により硫化水素の濃度CH2S及び酸素の濃度CO2が第一設定濃度C1または第二設定濃度C2以上であるか否かを判断する(ステップS210)。硫化水素の濃度CH2Sが第一設定濃度C1未満であり、かつ、酸素の濃度CO2が第二設定濃度C2未満ならば、継続して連続モニタリング装置14によってモニタリングを行い、ステップS210のループ処理を行う。一方、硫化水素の濃度CH2Sが第一設定濃度C1以上、または、酸素の濃度CO2が第二設定濃度C2以上ならば、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17を緊急停止する(ステップS220)。
【0052】
このように構成することにより、精製装置12に何らかの不具合が生じた場合であっても、人体に有害な硫化水素が残存しているバイオガスを排出することを防止し、また、硫化水素が第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63内に流入するのを防ぐことが可能となる。また、酸素が混合している場合に前記バイオガス発電装置1を停止することにより、メタンガスと酸素の混合による爆発の可能性を防止する。また、酸素と精製装置12内の反応済みの脱硫剤(酸化鉄)が反応して発熱するのを防止する。
【0053】
また、前記バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御とは別に行われる、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の一斉停止制御について説明する。
図6に示すように、配管22内のバイオガスの圧力Vが一斉停止圧力V10以下である状態が所定時間T20以上継続しているか否かを判断する(ステップS310)。ここで、一斉停止圧力V10とは、第一駆動禁止圧力V2よりも小さい圧力であり、当該圧力でガスエンジン発電機61を駆動させた場合、配管22内が負圧となる可能性がある。一斉停止圧力V10は、予め設定されている。また、T20は、例えば、T1と同じ長さに設定されている。
圧力Vが一斉停止圧力V10より大きい場合、若しくはバイオガスの圧力Vが一斉停止圧力V10以下であった場合でも、その時間がT20未満である場合には、再びステップS310を行う。また、圧力Vが一斉停止圧力V10以下である状態が所定時間T20以上継続している場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17を緊急停止する(ステップS320)。
【0054】
このように構成することにより、バイオガスの供給量が急激に減少した場合であっても、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63、及び余剰ガス燃焼装置17の運転を停止することにより、配管22内の圧力が負圧に成るのを防止することができる。
【0055】
次に、前日が休日であった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を始動するときの制御について図7を用いて説明する。
休日には、メタン発酵槽11に原料となる有機廃棄物が投入されないが、メタン発酵槽11内に残留している既に投入された有機廃棄物から、少量のメタンを含むバイオガスが発生する。この少量のメタンを含むバイオガスは、メタン濃度が低いためガスエンジン発電機を駆動することができない。また、この少量のメタンを含むバイオガスを用いてガスエンジン発電機61、62、63を駆動すると、ガスエンジン発電機61、62、63内に水蒸気などの不純物が入るため、ガスエンジン発電機61、62、63の故障の一因になる可能性がある。
そこで、前日が休日であった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の始動命令が入力されたときには、所定時間経過させて、メタン発酵槽11から新たに発生するメタン濃度の高いバイオガスが配管22内の少量のメタンを含むバイオガスと置換させる必要がある。
【0056】
まず、入力手段29を用いて、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の始動命令を入力すると、図7に示すように、制御装置18は、日付データの読込を行う(ステップS410)。次に、前日が休日であるか否かを判断し(ステップS420)、前日が休日でなければ、そのまま、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。また、ステップS420において、前日が休日であると判断された場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を停止させた状態にする(ステップS430)。
【0057】
次に、始動命令が入力されてから、所定時間T21が経過したか否かを判断する(ステップS440)。ここで、所定時間T21は、メタン発酵槽11から新たに発生するメタン濃度の高いバイオガスが配管22内の少量のメタンを含むバイオガスと置換させるために必要な時間であり、例えば1時間と設定されている。所定時間T21が経過していない場合は再びステップS440の処理を行う。所定時間T21が経過した場合には、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。
【0058】
このように構成することにより、所定時間T21の間にメタン発酵槽11から新たに発生するメタン濃度の高いバイオガスが配管22内の少量のメタンを含むバイオガスと置換させることができ、長期間メタン発酵槽11の運転を停止していたときに、ガス貯蔵装置15に溜まったメタン成分の少ない気体が、ガスエンジン発電機61、62、63内に流入してガスエンジン発電機61、62、63が停止するのを防止することができる。
【0059】
また、前日が休日であった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を始動するときの別の制御について図8を用いて説明する。
【0060】
まず、入力手段29を用いて、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の始動命令を入力すると、図8に示すように、制御装置18は、日付データの読込を行う(ステップS510)。次に、前日が休日であるか否かを判断し(ステップS520)、前日が休日でなければ、そのまま、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。また、ステップS520において、前日が休日であると判断された場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を停止させた状態にする(ステップS530)。次に、流量計16によって計測された流量Qの積算流量ΣQが所定値Q1以上であるか否かを判断する(ステップS540)。積算流量ΣQが所定値Q1以上でない場合は再びステップS540の処理を行う。積算流量ΣQが所定値Q1以上である場合には、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。
【0061】
また、前日が休日であった場合だけでなく、長時間メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されなかった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を始動するときの制御について図9を用いて説明する。
【0062】
まず、入力手段29を用いて、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63の始動命令を入力すると、図9に示すように、制御装置18は、メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されてから設定時間T22経過しているか否かを判断する(ステップS610)。ここで、設定時間T22とは、有機廃棄物センサ27から制御装置18へと送信された最も新しい時刻情報に格納された時刻から当該制御開始時までの時間である。設定時間T22が経過していなければ、そのまま、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。また、ステップS610において、設定時間T22が経過していた場合には、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62及び第三ガスエンジン発電機63を停止させた状態にする(ステップS620)。次に、始動命令が入力されてから、所定時間T21が経過したか否かを判断する(ステップS630)。所定時間T21が経過していない場合は再びステップS630の処理を行う。所定時間T21が経過した場合には、バイオガスの圧力Vによる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63の始動・停止制御、及び、余剰ガス燃焼装置17の点火制御のステップS10に移行する。
【0063】
このように構成することにより、所定時間T21の間にメタン発酵槽11から新たに発生するメタン濃度の高いバイオガスが配管22内の少量のメタンを含むバイオガスと置換させることができ、長時間メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されなかったときに、ガス貯蔵装置15に溜まったメタン成分の少ない気体が、ガスエンジン発電機61、62、63内に流入してガスエンジン発電機61、62、63が停止するのを防止することができる。
【0064】
以上のように、バイオガス発電装置1は、有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽11と、前記バイオガスの圧力を検出する圧力検出装置13と、メタン発酵槽11から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置15と、ガス貯蔵装置15から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、ガス貯蔵装置15と、前記ガス貯蔵装置15から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、第一ガスエンジン41、第二ガスエンジン42、第三ガスエンジン44を駆動して第一発電機51、第二発電機52、第三発電機53を駆動させる第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63と、圧力検出装置13の検出値を入力して第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63と余剰ガス燃焼装置17の始動及び停止を制御する制御装置18と、を備え、制御装置18は、記憶手段28と、始動命令を入力するための入力手段29とを有しており、記憶手段28には、休日に関する暦データが格納されており、制御装置18によって、前日が休日であった場合に、入力手段29を用いて第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動するときは、入力手段29へ始動開始命令が入力された時点から所定時間T11経過した後に、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動させるものである。
このように構成することにより、長期間メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されなかったときに、ガス貯蔵装置15に溜まったメタン成分の少ない気体が、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63内に流入してガスエンジン発電機が停止するのを防止する。
【0065】
また、制御装置18によって、前日が休日であった場合に、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動するときは、積算流量ΣQが所定値Q1以上になった後に第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動させるものである。
このように構成することにより、休日において長期間メタン発酵槽11の運転を停止することでガス貯蔵装置15にメタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが貯まっている場合であっても、新たに発生したバイオガスと混合されることにより、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63に使用できる程度のメタンガスを含むガスが生成される。これにより、メタンガス濃度が低い低カロリーのバイオガスが、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63内に流入して第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、及び第三ガスエンジン発電機63が停止するのを防止する。
【0066】
また、バイオガス発電装置1は、制御装置18によって、設定時間T12以上メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されなかったときは、入力手段29へ始動開始命令が入力された時点から所定時間T11経過した後に、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63を始動させるものである。
このように構成することにより、長時間メタン発酵槽11に有機廃棄物が投入されなかったときに、ガス貯蔵装置15に溜まったメタン成分の少ない気体が、第一ガスエンジン発電機61、第二ガスエンジン発電機62、第三ガスエンジン発電機63内に流入してガスエンジン発電機が停止するのを防止する。
【符号の説明】
【0067】
1 バイオガス発電装置
11 メタン発酵槽
12 精製装置
13 圧力検出装置
14 連続モニタリング装置
15 ガス貯蔵装置
17 余剰ガス燃焼装置
18 制御装置
27 有機廃棄物センサ
28 記憶手段
29 入力手段
41 第一ガスエンジン
42 第二ガスエンジン
43 第三ガスエンジン
51 第一発電機
52 第二発電機
53 第三発電機
61 第一ガスエンジン発電機
62 第二ガスエンジン発電機
63 第三ガスエンジン発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を原料としてメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させるメタン発酵槽と、
前記バイオガスの圧力を検出する圧力検出装置と、
前記メタン発酵槽から発生したバイオガスを貯蔵するガス貯蔵装置と、
前記ガス貯蔵装置から供給されるバイオガスと空気とを燃焼させて、ガスエンジンを駆動して発電機を駆動させる複数のガスエンジン発電機と、
前記圧力検出装置の検出値を入力してガスエンジン発電機と余剰ガス燃焼装置の始動及び停止を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、記憶手段と、始動命令を入力するための入力手段とを有しており、
前記記憶手段には、休日に関する暦データが格納されており、
前記制御装置によって、
前日が休日であった場合に、前記入力手段を用いて前記ガスエンジン発電機を始動するときは、
入力手段へ始動開始命令が入力された時点から所定時間経過した後に、ガスエンジン発電機を始動させる、
バイオガス発電装置。
【請求項2】
前記制御装置によって、
前日が休日であった場合に、前記ガスエンジン発電機を始動するときは、
積算流量が所定値以上になった後にガスエンジン発電機を始動させる、
請求項1に記載のバイオガス発電装置。
【請求項3】
前記制御装置によって、
設定時間以上メタン発酵槽の運転を停止したときは、
入力手段へ始動開始命令が入力された時点から所定時間経過した後に、ガスエンジン発電機を始動させる、
請求項1または請求項2に記載のバイオガス発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−180753(P2012−180753A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42542(P2011−42542)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】