バイオ燃料用の藻育成
藻オイル製造方法であって、藻育成のための成長開始手段を供給して急速成長を促すべく制御し、主として太陽を利用して藻を育成し、好適には湿潤抽出法によって成長した藻を処理する。それらプロセスでは、水、CO2、酸素および空気から選択される少なくとも1種である気体または液体の流れに連結することができるバッグが利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオ燃料を生産するための藻育成方法および藻育成システムに関し、特に、バイオ燃料を生産するための藻育成促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
藻類は成長が速く、植物油に富んでおり、コンテナまたは池で繁殖させることができ、土地や真水の利用も最低限で済むため優れたバイオ燃料源である。藻類は非常に小さなCO2フットプリント(footprint)によりディーゼル燃料生産のための持続可能な原料である。
【0003】
バイオディーゼル油(アルキルエステル)は、新鮮油あるいは回収された廃植物油のごとき天然または再生可能な供給源から製造される相対的にクリーン燃焼するディーゼル燃料であり、生燃料(B100)として、または酸化添加物(通常は5%〜20%/B5およびB20)としてディーゼル油の直接的代替物でありえる。バイオディーゼル油の最大の生産地および消費地は欧州である。一般的にバイオディーゼル油は菜種(カノーラ)油から得られる。バイオディーゼル油製造のための他の原料供給源にはパームオイル、獣脂および全ての廃棄脂質類が含まれる。バイオディーゼル油の2番目の巨大生産国であり消費国である米国においては、燃料は大豆油やコーンオイルから製造されるのが一般的である。
【0004】
しかしながら、現在、バイオ燃料のために食料源を利用することは世界の食料不足の問題に拍車をかけるものと考えられている。
【0005】
バイオディーゼル油は米国の環境保護局(EPA)により燃料および燃料添加物として登録されている。バイオディーゼル油は連邦政府および州政府により有効な代替燃料として認められている。
【0006】
従来型のディーゼルエンジンにバイオディーゼル油を利用すると、未燃焼の炭化水素、一酸化炭素および微粒物体の発生が大きく低減する。バイオディーゼル油の利用は微粒物体の固形炭素部分を減少(バイオディーゼル油内の酸素が燃焼を促進してCO2に変換させる)させ、硫黄部分を排除(燃料は硫黄を含まない)するが、溶解性である炭化水素部分は実質的に不変である。従ってバイオディーゼル油は、触媒(ディーゼル微粒物体の可溶部分を減少させる)、微粒物体除去および排気ガス再循環(炭素が少ないため、エンジン寿命を長くする)のような新技術の恩恵を受けることができる。
【0007】
その排気特性は優れているが、バイオディーゼル油は石油由来のディーゼル油同様にエンジン内で燃焼する。バイオディーゼル油は排気物を減少させるが、現在の輸送体系、給油スタンド、スペア部品の在庫および熟練ディーゼルエンジン整備士は維持される。バイオディーゼル油はほとんどエンジン改良を介さずに通常のディーゼル油との置換が可能であり、ディーゼルエンジン関連業界の雇用体系および業務範囲を維持する。
【0008】
バイオディーゼル油の利用は“カーボンニュートラル”である。“炭素排出量取引き”が実現性を持ち始めたため、バイオディーゼル油はバイオディーゼル油のユーザに大きな利益をもたらすであろう。
【0009】
バイオディーゼル油は人々の健康にとって、より安全である。米国での研究によれば、バイオディーゼル排気物は、石油ディーゼル排気物と較べて、全対象の多環式芳香族炭化水素(PAH)および硝酸化されたPAH(nPAH)化合物の排気量を大きく減少させる。PAHとnPAH化合物は潜在的な発ガン物質であることが知られている。亜慢性吸引試験では、物理的に達成可能な最高濃度であってもバイオディーゼル排気物からは有害な結果が示されなかった。これらの結果は、バイオディーゼル油が非毒性であって再生可能な燃料であり、人々の健康および環境への貢献を示す。
【0010】
多くの国の政府およびNGOの援助により実施された世界中の試験はバイオディーゼル油が石油ディーゼル油よりも毒性が低く、デキストローズ(試験糖)と同様に素早く生物分解することを実証した。さらにバイオディーゼル油は引火点が125℃以上であり、石油ディーゼル油よりも保管や取扱いが安全である。
【0011】
利用形態、気候および季節によって変わるバイオディーゼル油の混合比は2%から100%である。低硫黄ディーゼルエンジンが普及している欧州、特にフランスでは、バイオディーゼル油は硫黄の除去によって失われた潤滑性を提供するために加えられる。環境的に敏感な地域(沿岸地域、森林地域)および最大限の環境保全が要求される炭鉱地方では100%のバイオディーゼル油が利用される。バスの運行にバイオディーゼル油が利用されている米国においては、排気ガス、維持コストおよび利用可能性の最良のバランスを考慮して20%のバイオディーゼル油混合率が利用されている。
【0012】
藻類を繁殖させるには2つの一般的な方法が存在する。
【0013】
一方の方法は、支持構造体上に設置された透明チューブによって連結されている一連の保存タンクを利用する。藻と水とがそれらパイプ(透明チューブ)を通して送られ、藻が最大限に太陽光を浴びられるようにする。設備内に送り込まれたCO2が藻に供給される。藻が汚染されるリスクはほぼ存在しない。なぜなら藻は研究施設と同様な閉鎖環境において育成されるからである。単位面積あたりの生産性は非常に高く、屋外環境の場合よりも設備面積は狭くて済む。しかしながら設備投資は巨額である。なぜなら採算ベース量のディーゼル油を生産するには何キロにもわたる透明チューブが必要となり、設備を清浄な状態に保ち、作動状態を維持するには膨大な管理費が必要だからである。
【0014】
他方の方法は、藻を陽光に曝すためには、連続ループ形態の人工屋外導管にポンプで送水するものである。既存の屋外池藻育成農場の水路は市民プール程度の水を必要とする。このような屋外池の利用は閉鎖システムの場合よりも運営コストは小さいが欠点を有している。太陽光は表面近くの藻にのみ届き、水は簡単に蒸発し、温度は管理が困難である。汚染のリスクは閉鎖システムの場合よりも大きい。藻類を餌にする有機物が池に入る可能性も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明の1目的は、バイオ燃料として使用する天然油を得るため、藻の育成効率および転換効率を改善する新規な装置とシステムを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、余剰のCO2を利用し、産業界の炭素フットプリントを改善するシステムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、バイオ燃料生産のために藻の成長を促進させるファイト(植物育成)バッグが提供される。
【0018】
このファイトバッグは大量生産が可能な実質的にフレキシブルであるシート材製のバッグである。このバッグは、透明な上部フィルムを含んでおり、陽光をバッグ内の藻に届かせる。ファイトバッグはさらに金属質反射底部フィルムを含んでおり、太陽光を反射してバッグ内部の藻に戻す。
【0019】
ファイトバッグはその高さに比して大きなフットプリントを有しており、透明な上部フィルムと金属質反射底部フィルムはバッグ内の藻材料への太陽光量を増加し、熱移動を改善して藻の成長を促進する。
【0020】
本発明は、その高さに比して大きなフットプリントを有し、実質的に透明な上表材を含んだファイトバッグと、ファイトバッグの上面またはその上方に設置されている太陽光制御手段と、ファイトバッグの底部またはその下方に設置されている補助加熱手段とを含んだシステムをさらに提供する。この太陽光制御手段および補助加熱手段の制御によって、所定範囲の温度調整を目的とするファイトバッグ内の温度制御が確実になる。
【0021】
本発明の1形態では、所望量の藻の脂質およびタンパク質を収穫するために、藻類育成専用である透明な金属質フィルムすなわち反射フィルムを備えて構成された密封バッグが提供される。
【0022】
本発明の1実施形態によるファイトバッグは、(a)ファイトバッグ内の藻に太陽光を届かせるための透明上部フィルムと、(b)ファイトバッグ内の藻に太陽光を反射して戻すための金属質反射底部フィルムと、(c)液体または気体である内容物にアクセスさせるための複数の装着部とを含み、(d)上部フィルムと底部フィルムは藻により発生される酸素を捕捉するように中程度から高程度の酸素バリア性能を有する素材であるとき、(e)撹拌を最良化するためにファイトバッグ内に配置されたパイプと小部屋で成る複数の流体搬送手段を備え、(f)ファイトバッグあたり1平方メートルの最小面積を有し、(g)温度維持システムと、(h)モジュールシステムとすべくポンプとタンクとを介して他のファイトバッグと連結する能力を備えている。
【0023】
これらファイトバッグは、選択された藻を育成し、脂質およびタンパク質の生産量を最大化させるように制御されたスペースを提供する密封モジュール網を創出する。
【0024】
このファイトバッグは、防水性であり、それらの物質と接触しても劣化することがない物質で製造される。
【0025】
ファイトバッグモジュールシステムは相互連結可能な複数のバッグで成り、さらに、(i)最大静水頭(落差)を達成するためにオプションで上昇位置に配置された加熱手段および冷却手段が装備された地上タンクと、(ii)流体を移動させる移送ポンプと、(iii)パイプ熱交換装置の上にて平坦で傾斜した地面に設置されたバッグと、(iv)受領タンクまたは収穫タンクである地下タンクとを含む。
【0026】
モジュールシステムからの収穫を最大とするため、藻を最良の濃度にまで成長させるのに必要な日数に応じてファイトバッグモジュールシステムの数は用意される。
【0027】
本発明をさらに容易に理解してもらうため、本発明の幾つかの実施例を添付の図面を利用して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による藻育成システムの概略図である。
【図2】図2は、図1の藻育成システムにおいて使用するための一体型内部空気循環システムを備えた本発明の1実施例によるファイトバッグの断面図である。
【図3】図3は、図1の藻育成システムにおいて使用するための外部空気循環システムを備えた本発明の別実施例によるファイトバッグの断面図である。
【図4】図4は、本発明の1実施例による藻育成システムにおけるファイトバッグの概略図である。
【図5】図5は、本発明のさらに別実施例による藻育成システムにおけるファイトバッグの概略図である。
【図6】図6は、本発明のさらに別実施例による、ソーラーバッグ、ファイトバッグおよび温度調節バッグを含んだ3層を有した藻育成システムの概略図である。
【図7】図7は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6の温度調節バッグの平面図である。
【図8】図8は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6のファイトバッグの平面図である。
【図9】図9は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6のソーラーバッグの平面図である。
【図10】図10は、図1から図9で図示する藻育成システムでファイトバッグを利用するため、藻の当初成長を促進させるように複数の制御バッグを収容できるモジュール式制御容器構造物の斜視図である。
【図11】図11は、図1から図9で図示する藻育成システムでファイトバッグを利用するため、藻の当初成長を促進させるように複数の制御バッグを収容できるモジュール式制御容器構造物の斜視図である。
【図12】図12は、図10と図11のモジュール式制御容器構造物で使用される制御バッグの側面図であり、蛇行流路を図示する。
【図13】図13は、図10と図11のモジュール式制御容器構造物で使用されるカルチベーションバッグの側面図である。
【図14】図14は、藻からのバイオディーゼル油を製造する工程のフロー図である。
【図15】図15は、ハイブリッド式エネルギー再生システムからのエネルギー供給形態を含んだ本発明の1実施例によるモジュール式藻育成システムの概略図である。
【図16】図16は、図15で示す本発明の藻育成システムにおける沈降タンクの利用状態を示す概略図である。
【図17】図17は、図15で示す本発明の藻育成システムにおける凝固タンクの利用状態を示す概略図である。
【図18】図18は、本発明による藻育成システムの乾燥バッグの平面図である。
【図19】図19は、本発明による藻育成システムの乾燥バッグの利用状態を示す概略図である。
【図20】図20は、本発明の乾燥バッグの運用状態を示す概略図である。
【図21】図21は、本発明の全面平坦式抽出プロセスに従った、図18、図19および図20で示す乾燥バッグを利用する藻育成システムにおける藻原料の処理工程を示すフロー図である。
【図22】図22は、本発明に従った藻育成システムで利用する温度タンクの概略図である。
【図23】図23は、湿潤式抽出プロセスを含む本発明に従った藻育成システムの工程フロー図である。
【図24】図24は、別な湿潤式抽出プロセスを含む本発明に従った藻育成システムの工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、モジュール式であり、現状では10以上の支部(ブランチ)を含む藻育成システムを図示する。通常、各ブランチはファイトバッグを含む。藻の成長はバッチ式に管理され、汚染発生時には、関係ファイトバッグまたはブランチは隔離される。この藻育成システムは、バイオ燃料生産のための藻育成の経済性が、石油源によるバイオ燃料の製造コストと比して確実に経済的競争力を有するように低コストである製法を活用しなければならない。
【0030】
この藻育成システムにおいては、藻制御工程用の2つのバッグと、藻育成工程用の3つのバッグを含んだ5つの異なる形態のバッグが使用される。図10から図13において図示する藻制御工程ではカルチベーションバッグと制御バッグとが必要である。図1から図9で示す藻育成工程における本発明の1実施例においては、ファイトバッグおよびソーラーバッグ並びに温度制御バッグが必要である。
【0031】
藻制御工程の役割は、藻の最良成長期における計画された育成開始後に可能な限り迅速に藻の育成および収穫を可能とするように十分な量の藻育成開始培養物を供給することである。この成長期は育成場所における気候条件により左右され、対象の藻の種類により左右される。藻の制御(管理)には育成対象である藻の栄養の準備と栄養補給が含まれる。
【0032】
従って、この藻制御工程は藻育成業者の収穫の最大化をサポートし、さらには藻の研究、開発および処理をサポートする。
【0033】
藻の制御工程に必要な器材とは、カルチベーションバッグ、制御バッグ、制御容器、藻育成システムに対する栄養補給のためのバッチ装置、混合装置およびパッキング装置、温度制御装置、LED光、補給装置、送風ダイヤフラムポンプ、送風機、空気フィルターおよび浄化装置、研究所、等々である。
【0034】
図10から図13で図示する藻制御に使用されるカルチベーションバッグの役割は、制御バッグに移送される初期成長開始培養物を成長させることである。カルチベーションバッグは藻育成システムへの栄養補給のためにも使用される。制御バッグは藻育成システムに送ることが可能である十分な成長開始培養物の成長にも使用される。
【0035】
制御バッグは図10と図11とで図示するように制御容器内で縣吊できるように設計されている。制御容器自体は制御設備内でスペースを最良に利用できるよう積み重ね可能である。制御容器は図11にて示すように制御容器内に設置されたLEDからの人工光を利用する。その人工光は育成対象の藻の成長に必要な波長を有し、熱を放射するものである。
【0036】
図12と図13で示すカルチベーションバッグと制御バッグの両方は同じ制御設備内で異なる種類の藻を単一培養させる能力を有する。
【0037】
藻制御工程における図11の制御容器は支持ラックに分割され、カルチベーションバッグ内に制御バッグを縣吊する。制御容器も制御設備内の限定されたスペースを最大限に活用できるように重合が可能であり、複数の藻育成システムに必要な十分量の開始培養物を得ることができる。制御容器はLED光の設置のための支持部をも提供する。制御容器は容易に持運びが可能であるためモジュール機能を提供し、限定されたスペース内で簡単に再構成することができる。
【0038】
次の工程は図1で示す藻の育成工程であり、図2から図9で示すバッグを利用する。基本的にはこの藻育成システムは、特に図6で示す3形態のバッグを使用し、バイオ燃料生成のための藻を収穫させるように藻の成長を促す。このシステムは、その高さに比して大きなフットプリントを有したファイトバッグを含む。その上部には実質的に透明である表面材が提供されている。ソーラーバッグはファイトバッグ上に設置され、ファイトバッグ上またはその上方に太陽光制御手段を提供する。温度バッグはファイトバッグの底面の下側で補助加熱手段として作用する。3つのバッグの組み合わせは太陽光制御手段および補助加熱手段の効果的な制御を提供し、藻の成長を促進させるための所定範囲の熱を提供するようにファイトバッグ内の熱制御を確実なものにする。
【0039】
大気への熱損失を最少化するようにファイトバッグには絶縁が施される。ソーラーバッグは、ファイトバッグに余分な日光が届かないように光フィルター機能を提供する。ソーラーバッグの上層の色付け具合はシステムの所在地を考慮して変化させる。ソーラーバッグは、エネルギー源として上層に積層されるフレキシブルなソーラーパネルと、藻育成システムのエネルギー消費を制御するように使用できる接続状態のハイブリッド再生可能エネルギーシステムへのコンポーネントとをさらに有する特徴を備える。
【0040】
また、小型ソーラーバッグは図16と図17で示すように、乾燥空気を送り込み、湿潤空気を排出して乾燥させる凝結器を利用する乾燥容器としての機能も有する。太陽からの太陽熱を補完する熱源として電熱パッドがソーラーバッグの下側に使用される。ソーラーバッグの作動温度は60℃でよい。
【0041】
図4、図5または図6で示すファイトバッグは単一培養される藻のための最良成長条件を提供するように保護環境を提供する。
【0042】
図6の3種類のバッグの連結状態は図7、図8および図9で図示されている。ファイトバッグにはスナップ式装着具が取り付けられた入口および出口用の液体移送ポートが装着されており、CO2を含有した気体の搬送に使用され、藻がファイトバッグ内の流体内にて縣濁状態となるように物理的撹拌を提供する。このバッグには酸素を豊富に含有する気体を燃焼あるいは他の目的で回収させるポートも装着されている。ファイトバッグは金属質底層を有しており、バッグ内の縣濁液内に存在する藻の中に太陽光線を反射して戻す。
【0043】
図15で示すように、藻育成バッグシステムのブランチ数は、最良の藻濃度すなわち液体の5%に相当する藻の収穫の直前に藻バイオマスが2倍となるのに必要な日数と等しい。全ての工程が適正に実行され、ブランチ内で藻バイオマスが最良値の50%に維持されていれば、成長期には藻の収穫は毎日可能である。
【0044】
この栄養補給システムは、各容器に対して10の制御バッグを含む制御容器の制御位置から供給される藻の単一培養物を含む。栄養は制御区間で準備され、カルチベーションバッグ内の育成区間に供給される。各カルチベーションバッグはファイトバッグのブランチに対して、好適には10のファイトバッグ/ブランチを供給する。収穫工程中、ファイバッグが連続的に再充填されるとき、温度タンクの下流で溶液内に栄養物が投入される。この投入メカニズムは、タイマー装置により決定される必要時間間隔で栄養管理する容積式ポンプを利用する。
【0045】
溶液内にて少なくとも5%バイオマス濃度でファイトバッグから藻が収穫されるように藻濃縮システムが必要である。収穫の目的は、収穫時にファイトバッグから50%のバイオマスを除去(収穫)することである。収穫工程後に溶液内に残る2.5%のバイオマスは、次回の収穫サイクルのためにファイトバッグに戻される前に栄養補給される。
【0046】
収穫サイクル手順はローテーション方式であり、ブランチバッチ化を可能にしている。従って、藻を5%のバイオマスにまで再発生させるのに必要な日数が必要なブランチ数を決定する。収穫にはブランチの隔離が必要であり、そのブランチからのファイトバッグの内容物は、容積式ポンプを介して平行プレート沈降タンク内に直接的に連続投入される。この沈降タンクは地上設置タイプでも、ファイトバッグの水レベルより下方に設置するものでもよい。
【0047】
図18で示すように、低濃度の藻バイオマスを含む藻オーバーフロー(上部分)は、一旦、平行プレート沈降タンクを離れると温度タンクの入口に方向転換される。高濃度の藻バイオマスを含む藻オーバーフロー(底部分)は平行プレート沈降タンクポイントを離れると、まず、タイマー制御式投入ポンプシステムを利用して製造ラインに投入された水酸化ナトリウムによって処理され、pH11に調整される。
【0048】
バイオマスと水が分離されると底部分は凝集タンクに入る。水は、塩酸を加えてpH8に調整するようタイマー制御式投入ポンプを利用する別の投入システムを通過する。得られた均衡水は逆止弁を通過し、パイプは上部分を温度タンクに供給する。底部分(すなわち凝集タンクからの藻濃縮物)は保持ランク内に蓄えられ、回収されて、抽出プラントに送られる。
【0049】
このハイブリッド式再利用可能エネルギーシステムは図15の要素を含み、藻育成システムの動力供給を補助する。このエネルギー供給源には以下が含まれる。
*太陽エネルギー
*風力エネルギー
*ディーゼルエネルギー
*電源
*エネルギー保存用バッテリー
【0050】
この太陽エネルギーシステムはソーラーバッグに積層されるフレキシブルなソーラーパネルを含むであろう。さらにファイトバッグに設置され、相互接続輸送パイプで固定されたソーラー式照明パネルも含んでおり、藻収穫システムを直接的に加熱する。ソーラー加熱システムは遮光システムをサポートするように配置できる。循環ポンプと送風ポンプも太陽エネルギーを利用できる。これら全ては藻育成システムのエネルギー需要全体を考慮して、それぞれの場所のエネルギー需要に応じて設計および加工される。
【0051】
風力エネルギーシステムは、バッテリーに保存でき、特に夜間または曇りの日に利用できる照明に利用できるエネルギーを供給するようにモジュール式とすることができる。これら全ては藻育成システムのエネルギー需要全体を考慮して、それぞれの場所のエネルギー需要に応じて設計および加工される。
【0052】
ディーゼルエネルギーシステムは太陽エネルギーシステムと風力エネルギーシステムのバックアップとしてのみ利用される。ディーゼル油は、好適にはバイオディーゼル油であり、可能であればグリコールを燃料として使用する。
【0053】
電源電力は最後の手段である。
【0054】
バッテリーは全電力供給源からのピーク電力を管理して保存するために必要であり、藻育成システムのエネルギー需要全体に従って設計すべきものである。
【0055】
温度制御システムは以下の要素を含む。
*温度バッグ
*温度タンク
*加熱および冷却電気パッド
*ソーラーバッグ、ソーラーパネル、遮光システム、ソーラー暖水および外部廃熱源による予防的受動制御
*冷却タワー
【0056】
温度制御バッグは、必要なときにだけ利用環境に応じてファイトバッグの下方に設置される。色付け程度は設置場所の環境条件により変動するが、ソーラーバッグは常に利用される。温度バッグは温度タンクと通流し、温度タンク内で加熱要素および冷却コイルによって制御される。冷水源を備えた冷却タワーは温度タンク内に設置された冷却コイルによる温度制御プロセスを補助する。
【0057】
藻の成長に適した最良温度範囲は20℃から30℃である。成長の限界温度は5℃と38℃である。これら限界温度を回避するため、加熱および冷却パッドは温度バッグの代替品として利用できる。これらパッドは電気式であり、一面で加熱して、他面で冷却することができる。極性を変更することで加熱作用と冷却作用は逆転する。
【0058】
ファイトバッグ上に設置されたソーラーパネルはその下側に配置されたLED灯を含むことができ、藻に対する極端に強力な太陽光の遮光を補完し、あるいは赤外線灯により照明に必要な追加エネルギーを提供する。暗所を提供するように配置される遮光システムは、バッグに対する遮光システムの相対位置でのバッグ方向性によって、あるいは材料の変化によって調整することができる。LED灯は550ルクスすなわち260ルーメンの照明強度を有する。運用温度は20℃から40℃であり、利用電力は12ボルトの5ワットから7ワットである。
【0059】
ソーラー温水システムは厳寒地で使用され、60℃までの加熱性能を有する。廃熱は熱交換器で回収されるか、あるいは温度タンクに接続された加熱コイルで回収される。
【0060】
気体制御システムは以下の制御を含む。
*CO2投入
*酸素回収
*送風機
【0061】
CO2の投入は、ファイトバッグの縦軸に沿って約1.5mのところで一連のスナップ式固定具を介してファイトバッグに接続されたガスパイプに加えることで実施される。
【0062】
酸素の回収は、酸素バリアと、中央上部排出部と共に上下面を有するファイトバッグによって実行される。ここで、燃焼源として、あるいは他の用途のために抽出され、圧縮され、酸素受領タンク内に保存される酸素が豊富なガスを回収するために回収システムが取り付けら可能である。
【0063】
送風手段は各ブランチに割り当てられる。必要であれば空気フィルターが入口に備えられる。この送風手段は循環および撹拌用である。
【0064】
流体移送システムは以下の要素を含む。
*ポンプ(ソーラー式および風力式)
*専用パイプ
*フレキシブルパイプおよび剛質パイプ
*静水頭を最大化し、流体移動を補助するようにタンクを設置
*制御弁
【0065】
太陽エネルギーを利用する容積式ポンプが各ブランチに割り当てられる。これらポンプは必要に応じて割り当てられ、特定任務専用であり、電子操作盤により制御される。その任務には、藻の沈降タンク、凝集タンクまたは温度タンク並びに保持タンクや冷却タワーでの利用が含まれる。
【0066】
投入ポンプは液体と気体の制御に使用され、タイマー作動式に制御される。
【0067】
専用パイプは、ブランチや個々のファイトバッグにおけるウィルス感染発生時の交差汚染を排除するために利用される。フレキシブルパイプおよび固形パイプは予備及び予後ポンプの必要とされる圧力並びに吸引力に応じて適宜使用される。好適にはフレキシブルホースおよびスナップ式フィット具が使用される。
【0068】
タンクは、ポンプ需要を最低に抑えるべく最大の静水頭が達成されるように設置される。このことは、温度タンク内の水レベルをフロート弁により維持し、ファイトバッグと一定レベルを維持し、ファイトバッグの水レベル以下に沈降タンクを設置することで達成される。
【0069】
タイマー操作により連続的に藻をファイトバッグから送り出すために制御弁が使用される。制御弁は収穫システムからファイトバッグへの逆流のために開くこともでき、そのタイマーによって制御される。
【0070】
図16と図17で図示するように、このシステムの第3部は全脂藻乾燥システムであり、使い捨てソーラー乾燥バッグを使用する。このバッグは藻育成システムの保持タンクから送り込まれる藻濃縮物から水分を除去するために使用される。乾燥バッグ内に搬入される濃縮物量は制御され、乾燥バッグのガス出口にタイマーを介して接続される。濃縮物はブランチから乾燥バッグに送られ、そのバッグ内に容積式ポンプにより搬入される。湿潤ガスが、熱交換器を介して接続されているタイマー制御式で間断的に作動する送風システムによって抜き取られる。この熱交換器は冷却タワーの冷水源によって冷却され、湿気は熱交換器により濃縮され、逆止弁によって戻水パイプ内に戻され、冷却タワーに送られる。乾燥ガスはソーラー乾燥バッグに戻されて処理サイクルが完了する。
【0071】
太陽の赤外線と、ハイブリッドエネルギーシステムにより作動する乾燥バッグの下側に配置された電気パッドによりシステムは加熱される。
【0072】
濃縮物は全脂バイオマスとしてバッグ内に残り、タイマーシステムによって入口弁を閉じ、空気を大気に放出することで乾燥バッグから全空気が吐き出される。乾燥バッグは回収され、平坦形状で詰め込まれて搬送される。バッグのバイオマスの予想される最大乾燥重量は15kgである。
【実施例1】
【0073】
本発明の1特定実施例では、使用される藻はナノクロロプシス・オキュラタ(Nannochloropsis Oculata)種である。これは以下の特性を含む。
*鞭毛を有した非運動性緑色細胞
*小型細胞、4〜6μm径
*細胞は培養液内で浮遊し、空気補給なしで縣濁状態を保つ。
【0074】
必要成長条件:
*温度 20〜30℃
*光 2500〜6000ルクス
*pH 7.5〜8.5
*塩度 10〜36ppt
【0075】
必要栄養:
*NaNO3−150mg/l
*NaHPO4−8.69mg/l
*第二鉄EDTA−10mg/l
*MnCl2−0.22mg/l
*CoCl2−0.11mg/l
*CuSO4、5H2O−0.0196mg/l
*ZnSO4、7H2O−0.044mg/l
*Na2SiO3、2H2O−60mg/l
*B12−1.0μg/l
*ビオチン−1.0μg/l
*チアミンHCl−0.2mg/l
【0076】
CO2が使用されるときには、通常はタイマーとソレノイド弁を利用して間断的に噴射され、pHを7.5から8.5に維持する。1kgの藻バイオマスを製造するには、通常は1から17kgのCO2が必要である。
【0077】
ナノクロロプシスのオイル含有量は31から68(乾燥重量%)である。
【0078】
各育成場所で使用される藻の最終的な選択は一般的に周辺の“自然発生的”多様性により影響を受けるので、オイル生産量や他の所望する特性のごとき要因を考慮する。
【0079】
[藻回収および藻オイル抽出工程]
A)藻回収
藻は、水中の藻を収容する複数のバッグで成る育成地で育成される。この藻水溶液は成長したときに選択されたバッグ(収穫)から送られ、対象育成地に合わせたサイズの平行プレートセパレータあるいは同様な重力沈降容器で水と分離される。余剰水および藻のオーバーフローは温度タンクを介して育成地に戻される。
【0080】
得られた濃縮物は別の沈降タンクまたは凝集タンクに送られる。その途中でpHが調整されてさらなる沈降と濃縮が促され、水の搬送を最少化する。その後に余剰水が投入されてpHが中和化され、温度タンクを介して育成地に戻される。
【0081】
あるいは、濃縮ステップは高速デカンター遠心沈降器または分離版型遠心沈降器を利用して達成することも可能である。
【0082】
十分量の濃縮物が回収されたら、輸送距離を考慮してトラックまたはパイプラインで処理プラントに送られる。
【0083】
B)藻オイル抽出(湿潤抽出工程)
濃縮物は貯蔵タンクまたは受領タンクに投入される。その後、5000psiを超える圧力にて超音波処理容器内で均質化され、細胞膜を開かせ、内部の油脂(オイル)を排出させる。その後にこの物質は抽出容器に送られる。
【0084】
その後、抽出剤が藻濃縮物に加えられ、一定時間撹拌され、反応を促す。その後、重力沈降(分離)処理または遠心分離沈降処理によってオイル/抽出物混合物は残りのバイオマスと水から分離される。その後、オイル/抽出剤混合物は第1蒸留カラムに送られ、そこで抽出剤は回収され、オイルは第2蒸留カラムに送られ、脂肪酸が分離される。望ましいトリグリセリドはエステル化のためにバイオディーゼル油プラントに送られる(すなわちバイオディーゼル油生産)。抽出剤は第1蒸留カラムで再生され、抽出容器に戻される。
【0085】
分離容器のアンダーフローまたはセパレータから放出されたバイオマスは乾燥プラントに送られ、例えば動物の餌添加物として利用すべくバイオマスが乾燥される(もしオイル/抽出剤混合物の回収に重力沈降容器が使用されるなら、乾燥機に送られる水量を減らすために別な重力沈降容器が必要になるであろう)。
【0086】
いずれにしろ、普通は、乾燥工程に先立ち、遠心分離沈降またはフィルターを利用して物理的に予備脱水することが有利であろう。
【0087】
脱脂バイオマスの処理に利用可能な他のプロセス:
*液状動物餌のための低温殺菌
*メタン生産(バイオガス)のための嫌気処理
【0088】
[プロセスの詳細な説明]
A:予備処理
1.受領タンク30トン収容能力−タンクローリーから濃縮藻バイオマス(CAB)を受領する保持タンク
2.pH調整のための投入装置が装着された可変速容積ポンプにより送られるCAB
3.余剰水を除去(養殖地へ)する遠心分離沈降(デカンターまたはセパレータ)
4.バッファタンクおよび遠心分離ポンプ
5.均質化装置及び/又は平行プレートを備えた超音波タンク(溶液で5000pis以上の圧力が達成される)。得られる生成物は“藻ブロス”と称される。
【0089】
B:抽出(プロセス&破裂防止措置が施されているモータ)
6.藻ブロスが容積(移動型)空気ポンプによって真空化性能を有する撹拌反応器タンクに送られる。
7.抽出剤貯蔵タンクから抽出剤が藻ブロスに投入され、反応器内で混合される。続いて混合物は水平セパレータ容器またはトリカンター(遠心分離用)に送られる。
8.水平分離容器(上部および底部引取りポイント付き):
*上部(抽出剤および藻オイル)は可変速容積ポンプで圧力リーフ(葉状)型フィルターへ送られる。
*第1蒸留カラムの上部。そこで抽出剤が回収されて貯蔵タンクに送られ、藻オイルはその底部で回収される。
*次に藻オイルは第2蒸留カラムに送られ、脂肪酸が分離される。
*精製藻オイルが貯蔵場所に送られる。
*水平分離容器の底部分:
(a)デカンターへ送られ、余剰水が脱水される(育成地に戻される)。
i.得られる湿潤ケーキはリング乾燥機に送られる(せいぜい6%から8%の湿気含有量が残留)。
ii.続いて乾燥ケーキは粉砕または押し出される。
(b)低温殺菌処理(低部分は130℃に加熱されてから30℃に冷却され、無菌密封バッグに詰められる)
(c)バイオガス(メタン)生産のための嫌気処理
9.トリカンター(破裂防止)
*上部分(溶剤および藻オイル)は蒸留
*上記8のステップ実施
*余剰水脱水(育成地に戻される)
*底部分は上記8の処理ステップで処理
【0090】
前述の内容は好適実施例のものであり、本発明の説明のみを目的として提供されている。本発明を限定するものではない。専門家であれば、これら藻オイルの製法および製造装置の細部の変更は本発明の範囲内で可能であることを理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオ燃料を生産するための藻育成方法および藻育成システムに関し、特に、バイオ燃料を生産するための藻育成促進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
藻類は成長が速く、植物油に富んでおり、コンテナまたは池で繁殖させることができ、土地や真水の利用も最低限で済むため優れたバイオ燃料源である。藻類は非常に小さなCO2フットプリント(footprint)によりディーゼル燃料生産のための持続可能な原料である。
【0003】
バイオディーゼル油(アルキルエステル)は、新鮮油あるいは回収された廃植物油のごとき天然または再生可能な供給源から製造される相対的にクリーン燃焼するディーゼル燃料であり、生燃料(B100)として、または酸化添加物(通常は5%〜20%/B5およびB20)としてディーゼル油の直接的代替物でありえる。バイオディーゼル油の最大の生産地および消費地は欧州である。一般的にバイオディーゼル油は菜種(カノーラ)油から得られる。バイオディーゼル油製造のための他の原料供給源にはパームオイル、獣脂および全ての廃棄脂質類が含まれる。バイオディーゼル油の2番目の巨大生産国であり消費国である米国においては、燃料は大豆油やコーンオイルから製造されるのが一般的である。
【0004】
しかしながら、現在、バイオ燃料のために食料源を利用することは世界の食料不足の問題に拍車をかけるものと考えられている。
【0005】
バイオディーゼル油は米国の環境保護局(EPA)により燃料および燃料添加物として登録されている。バイオディーゼル油は連邦政府および州政府により有効な代替燃料として認められている。
【0006】
従来型のディーゼルエンジンにバイオディーゼル油を利用すると、未燃焼の炭化水素、一酸化炭素および微粒物体の発生が大きく低減する。バイオディーゼル油の利用は微粒物体の固形炭素部分を減少(バイオディーゼル油内の酸素が燃焼を促進してCO2に変換させる)させ、硫黄部分を排除(燃料は硫黄を含まない)するが、溶解性である炭化水素部分は実質的に不変である。従ってバイオディーゼル油は、触媒(ディーゼル微粒物体の可溶部分を減少させる)、微粒物体除去および排気ガス再循環(炭素が少ないため、エンジン寿命を長くする)のような新技術の恩恵を受けることができる。
【0007】
その排気特性は優れているが、バイオディーゼル油は石油由来のディーゼル油同様にエンジン内で燃焼する。バイオディーゼル油は排気物を減少させるが、現在の輸送体系、給油スタンド、スペア部品の在庫および熟練ディーゼルエンジン整備士は維持される。バイオディーゼル油はほとんどエンジン改良を介さずに通常のディーゼル油との置換が可能であり、ディーゼルエンジン関連業界の雇用体系および業務範囲を維持する。
【0008】
バイオディーゼル油の利用は“カーボンニュートラル”である。“炭素排出量取引き”が実現性を持ち始めたため、バイオディーゼル油はバイオディーゼル油のユーザに大きな利益をもたらすであろう。
【0009】
バイオディーゼル油は人々の健康にとって、より安全である。米国での研究によれば、バイオディーゼル排気物は、石油ディーゼル排気物と較べて、全対象の多環式芳香族炭化水素(PAH)および硝酸化されたPAH(nPAH)化合物の排気量を大きく減少させる。PAHとnPAH化合物は潜在的な発ガン物質であることが知られている。亜慢性吸引試験では、物理的に達成可能な最高濃度であってもバイオディーゼル排気物からは有害な結果が示されなかった。これらの結果は、バイオディーゼル油が非毒性であって再生可能な燃料であり、人々の健康および環境への貢献を示す。
【0010】
多くの国の政府およびNGOの援助により実施された世界中の試験はバイオディーゼル油が石油ディーゼル油よりも毒性が低く、デキストローズ(試験糖)と同様に素早く生物分解することを実証した。さらにバイオディーゼル油は引火点が125℃以上であり、石油ディーゼル油よりも保管や取扱いが安全である。
【0011】
利用形態、気候および季節によって変わるバイオディーゼル油の混合比は2%から100%である。低硫黄ディーゼルエンジンが普及している欧州、特にフランスでは、バイオディーゼル油は硫黄の除去によって失われた潤滑性を提供するために加えられる。環境的に敏感な地域(沿岸地域、森林地域)および最大限の環境保全が要求される炭鉱地方では100%のバイオディーゼル油が利用される。バスの運行にバイオディーゼル油が利用されている米国においては、排気ガス、維持コストおよび利用可能性の最良のバランスを考慮して20%のバイオディーゼル油混合率が利用されている。
【0012】
藻類を繁殖させるには2つの一般的な方法が存在する。
【0013】
一方の方法は、支持構造体上に設置された透明チューブによって連結されている一連の保存タンクを利用する。藻と水とがそれらパイプ(透明チューブ)を通して送られ、藻が最大限に太陽光を浴びられるようにする。設備内に送り込まれたCO2が藻に供給される。藻が汚染されるリスクはほぼ存在しない。なぜなら藻は研究施設と同様な閉鎖環境において育成されるからである。単位面積あたりの生産性は非常に高く、屋外環境の場合よりも設備面積は狭くて済む。しかしながら設備投資は巨額である。なぜなら採算ベース量のディーゼル油を生産するには何キロにもわたる透明チューブが必要となり、設備を清浄な状態に保ち、作動状態を維持するには膨大な管理費が必要だからである。
【0014】
他方の方法は、藻を陽光に曝すためには、連続ループ形態の人工屋外導管にポンプで送水するものである。既存の屋外池藻育成農場の水路は市民プール程度の水を必要とする。このような屋外池の利用は閉鎖システムの場合よりも運営コストは小さいが欠点を有している。太陽光は表面近くの藻にのみ届き、水は簡単に蒸発し、温度は管理が困難である。汚染のリスクは閉鎖システムの場合よりも大きい。藻類を餌にする有機物が池に入る可能性も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明の1目的は、バイオ燃料として使用する天然油を得るため、藻の育成効率および転換効率を改善する新規な装置とシステムを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、余剰のCO2を利用し、産業界の炭素フットプリントを改善するシステムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、バイオ燃料生産のために藻の成長を促進させるファイト(植物育成)バッグが提供される。
【0018】
このファイトバッグは大量生産が可能な実質的にフレキシブルであるシート材製のバッグである。このバッグは、透明な上部フィルムを含んでおり、陽光をバッグ内の藻に届かせる。ファイトバッグはさらに金属質反射底部フィルムを含んでおり、太陽光を反射してバッグ内部の藻に戻す。
【0019】
ファイトバッグはその高さに比して大きなフットプリントを有しており、透明な上部フィルムと金属質反射底部フィルムはバッグ内の藻材料への太陽光量を増加し、熱移動を改善して藻の成長を促進する。
【0020】
本発明は、その高さに比して大きなフットプリントを有し、実質的に透明な上表材を含んだファイトバッグと、ファイトバッグの上面またはその上方に設置されている太陽光制御手段と、ファイトバッグの底部またはその下方に設置されている補助加熱手段とを含んだシステムをさらに提供する。この太陽光制御手段および補助加熱手段の制御によって、所定範囲の温度調整を目的とするファイトバッグ内の温度制御が確実になる。
【0021】
本発明の1形態では、所望量の藻の脂質およびタンパク質を収穫するために、藻類育成専用である透明な金属質フィルムすなわち反射フィルムを備えて構成された密封バッグが提供される。
【0022】
本発明の1実施形態によるファイトバッグは、(a)ファイトバッグ内の藻に太陽光を届かせるための透明上部フィルムと、(b)ファイトバッグ内の藻に太陽光を反射して戻すための金属質反射底部フィルムと、(c)液体または気体である内容物にアクセスさせるための複数の装着部とを含み、(d)上部フィルムと底部フィルムは藻により発生される酸素を捕捉するように中程度から高程度の酸素バリア性能を有する素材であるとき、(e)撹拌を最良化するためにファイトバッグ内に配置されたパイプと小部屋で成る複数の流体搬送手段を備え、(f)ファイトバッグあたり1平方メートルの最小面積を有し、(g)温度維持システムと、(h)モジュールシステムとすべくポンプとタンクとを介して他のファイトバッグと連結する能力を備えている。
【0023】
これらファイトバッグは、選択された藻を育成し、脂質およびタンパク質の生産量を最大化させるように制御されたスペースを提供する密封モジュール網を創出する。
【0024】
このファイトバッグは、防水性であり、それらの物質と接触しても劣化することがない物質で製造される。
【0025】
ファイトバッグモジュールシステムは相互連結可能な複数のバッグで成り、さらに、(i)最大静水頭(落差)を達成するためにオプションで上昇位置に配置された加熱手段および冷却手段が装備された地上タンクと、(ii)流体を移動させる移送ポンプと、(iii)パイプ熱交換装置の上にて平坦で傾斜した地面に設置されたバッグと、(iv)受領タンクまたは収穫タンクである地下タンクとを含む。
【0026】
モジュールシステムからの収穫を最大とするため、藻を最良の濃度にまで成長させるのに必要な日数に応じてファイトバッグモジュールシステムの数は用意される。
【0027】
本発明をさらに容易に理解してもらうため、本発明の幾つかの実施例を添付の図面を利用して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による藻育成システムの概略図である。
【図2】図2は、図1の藻育成システムにおいて使用するための一体型内部空気循環システムを備えた本発明の1実施例によるファイトバッグの断面図である。
【図3】図3は、図1の藻育成システムにおいて使用するための外部空気循環システムを備えた本発明の別実施例によるファイトバッグの断面図である。
【図4】図4は、本発明の1実施例による藻育成システムにおけるファイトバッグの概略図である。
【図5】図5は、本発明のさらに別実施例による藻育成システムにおけるファイトバッグの概略図である。
【図6】図6は、本発明のさらに別実施例による、ソーラーバッグ、ファイトバッグおよび温度調節バッグを含んだ3層を有した藻育成システムの概略図である。
【図7】図7は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6の温度調節バッグの平面図である。
【図8】図8は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6のファイトバッグの平面図である。
【図9】図9は、気体と液体の入口供給部および出口供給部に接続させるために複数の接続入口および接続出口を備えた図6のソーラーバッグの平面図である。
【図10】図10は、図1から図9で図示する藻育成システムでファイトバッグを利用するため、藻の当初成長を促進させるように複数の制御バッグを収容できるモジュール式制御容器構造物の斜視図である。
【図11】図11は、図1から図9で図示する藻育成システムでファイトバッグを利用するため、藻の当初成長を促進させるように複数の制御バッグを収容できるモジュール式制御容器構造物の斜視図である。
【図12】図12は、図10と図11のモジュール式制御容器構造物で使用される制御バッグの側面図であり、蛇行流路を図示する。
【図13】図13は、図10と図11のモジュール式制御容器構造物で使用されるカルチベーションバッグの側面図である。
【図14】図14は、藻からのバイオディーゼル油を製造する工程のフロー図である。
【図15】図15は、ハイブリッド式エネルギー再生システムからのエネルギー供給形態を含んだ本発明の1実施例によるモジュール式藻育成システムの概略図である。
【図16】図16は、図15で示す本発明の藻育成システムにおける沈降タンクの利用状態を示す概略図である。
【図17】図17は、図15で示す本発明の藻育成システムにおける凝固タンクの利用状態を示す概略図である。
【図18】図18は、本発明による藻育成システムの乾燥バッグの平面図である。
【図19】図19は、本発明による藻育成システムの乾燥バッグの利用状態を示す概略図である。
【図20】図20は、本発明の乾燥バッグの運用状態を示す概略図である。
【図21】図21は、本発明の全面平坦式抽出プロセスに従った、図18、図19および図20で示す乾燥バッグを利用する藻育成システムにおける藻原料の処理工程を示すフロー図である。
【図22】図22は、本発明に従った藻育成システムで利用する温度タンクの概略図である。
【図23】図23は、湿潤式抽出プロセスを含む本発明に従った藻育成システムの工程フロー図である。
【図24】図24は、別な湿潤式抽出プロセスを含む本発明に従った藻育成システムの工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、モジュール式であり、現状では10以上の支部(ブランチ)を含む藻育成システムを図示する。通常、各ブランチはファイトバッグを含む。藻の成長はバッチ式に管理され、汚染発生時には、関係ファイトバッグまたはブランチは隔離される。この藻育成システムは、バイオ燃料生産のための藻育成の経済性が、石油源によるバイオ燃料の製造コストと比して確実に経済的競争力を有するように低コストである製法を活用しなければならない。
【0030】
この藻育成システムにおいては、藻制御工程用の2つのバッグと、藻育成工程用の3つのバッグを含んだ5つの異なる形態のバッグが使用される。図10から図13において図示する藻制御工程ではカルチベーションバッグと制御バッグとが必要である。図1から図9で示す藻育成工程における本発明の1実施例においては、ファイトバッグおよびソーラーバッグ並びに温度制御バッグが必要である。
【0031】
藻制御工程の役割は、藻の最良成長期における計画された育成開始後に可能な限り迅速に藻の育成および収穫を可能とするように十分な量の藻育成開始培養物を供給することである。この成長期は育成場所における気候条件により左右され、対象の藻の種類により左右される。藻の制御(管理)には育成対象である藻の栄養の準備と栄養補給が含まれる。
【0032】
従って、この藻制御工程は藻育成業者の収穫の最大化をサポートし、さらには藻の研究、開発および処理をサポートする。
【0033】
藻の制御工程に必要な器材とは、カルチベーションバッグ、制御バッグ、制御容器、藻育成システムに対する栄養補給のためのバッチ装置、混合装置およびパッキング装置、温度制御装置、LED光、補給装置、送風ダイヤフラムポンプ、送風機、空気フィルターおよび浄化装置、研究所、等々である。
【0034】
図10から図13で図示する藻制御に使用されるカルチベーションバッグの役割は、制御バッグに移送される初期成長開始培養物を成長させることである。カルチベーションバッグは藻育成システムへの栄養補給のためにも使用される。制御バッグは藻育成システムに送ることが可能である十分な成長開始培養物の成長にも使用される。
【0035】
制御バッグは図10と図11とで図示するように制御容器内で縣吊できるように設計されている。制御容器自体は制御設備内でスペースを最良に利用できるよう積み重ね可能である。制御容器は図11にて示すように制御容器内に設置されたLEDからの人工光を利用する。その人工光は育成対象の藻の成長に必要な波長を有し、熱を放射するものである。
【0036】
図12と図13で示すカルチベーションバッグと制御バッグの両方は同じ制御設備内で異なる種類の藻を単一培養させる能力を有する。
【0037】
藻制御工程における図11の制御容器は支持ラックに分割され、カルチベーションバッグ内に制御バッグを縣吊する。制御容器も制御設備内の限定されたスペースを最大限に活用できるように重合が可能であり、複数の藻育成システムに必要な十分量の開始培養物を得ることができる。制御容器はLED光の設置のための支持部をも提供する。制御容器は容易に持運びが可能であるためモジュール機能を提供し、限定されたスペース内で簡単に再構成することができる。
【0038】
次の工程は図1で示す藻の育成工程であり、図2から図9で示すバッグを利用する。基本的にはこの藻育成システムは、特に図6で示す3形態のバッグを使用し、バイオ燃料生成のための藻を収穫させるように藻の成長を促す。このシステムは、その高さに比して大きなフットプリントを有したファイトバッグを含む。その上部には実質的に透明である表面材が提供されている。ソーラーバッグはファイトバッグ上に設置され、ファイトバッグ上またはその上方に太陽光制御手段を提供する。温度バッグはファイトバッグの底面の下側で補助加熱手段として作用する。3つのバッグの組み合わせは太陽光制御手段および補助加熱手段の効果的な制御を提供し、藻の成長を促進させるための所定範囲の熱を提供するようにファイトバッグ内の熱制御を確実なものにする。
【0039】
大気への熱損失を最少化するようにファイトバッグには絶縁が施される。ソーラーバッグは、ファイトバッグに余分な日光が届かないように光フィルター機能を提供する。ソーラーバッグの上層の色付け具合はシステムの所在地を考慮して変化させる。ソーラーバッグは、エネルギー源として上層に積層されるフレキシブルなソーラーパネルと、藻育成システムのエネルギー消費を制御するように使用できる接続状態のハイブリッド再生可能エネルギーシステムへのコンポーネントとをさらに有する特徴を備える。
【0040】
また、小型ソーラーバッグは図16と図17で示すように、乾燥空気を送り込み、湿潤空気を排出して乾燥させる凝結器を利用する乾燥容器としての機能も有する。太陽からの太陽熱を補完する熱源として電熱パッドがソーラーバッグの下側に使用される。ソーラーバッグの作動温度は60℃でよい。
【0041】
図4、図5または図6で示すファイトバッグは単一培養される藻のための最良成長条件を提供するように保護環境を提供する。
【0042】
図6の3種類のバッグの連結状態は図7、図8および図9で図示されている。ファイトバッグにはスナップ式装着具が取り付けられた入口および出口用の液体移送ポートが装着されており、CO2を含有した気体の搬送に使用され、藻がファイトバッグ内の流体内にて縣濁状態となるように物理的撹拌を提供する。このバッグには酸素を豊富に含有する気体を燃焼あるいは他の目的で回収させるポートも装着されている。ファイトバッグは金属質底層を有しており、バッグ内の縣濁液内に存在する藻の中に太陽光線を反射して戻す。
【0043】
図15で示すように、藻育成バッグシステムのブランチ数は、最良の藻濃度すなわち液体の5%に相当する藻の収穫の直前に藻バイオマスが2倍となるのに必要な日数と等しい。全ての工程が適正に実行され、ブランチ内で藻バイオマスが最良値の50%に維持されていれば、成長期には藻の収穫は毎日可能である。
【0044】
この栄養補給システムは、各容器に対して10の制御バッグを含む制御容器の制御位置から供給される藻の単一培養物を含む。栄養は制御区間で準備され、カルチベーションバッグ内の育成区間に供給される。各カルチベーションバッグはファイトバッグのブランチに対して、好適には10のファイトバッグ/ブランチを供給する。収穫工程中、ファイバッグが連続的に再充填されるとき、温度タンクの下流で溶液内に栄養物が投入される。この投入メカニズムは、タイマー装置により決定される必要時間間隔で栄養管理する容積式ポンプを利用する。
【0045】
溶液内にて少なくとも5%バイオマス濃度でファイトバッグから藻が収穫されるように藻濃縮システムが必要である。収穫の目的は、収穫時にファイトバッグから50%のバイオマスを除去(収穫)することである。収穫工程後に溶液内に残る2.5%のバイオマスは、次回の収穫サイクルのためにファイトバッグに戻される前に栄養補給される。
【0046】
収穫サイクル手順はローテーション方式であり、ブランチバッチ化を可能にしている。従って、藻を5%のバイオマスにまで再発生させるのに必要な日数が必要なブランチ数を決定する。収穫にはブランチの隔離が必要であり、そのブランチからのファイトバッグの内容物は、容積式ポンプを介して平行プレート沈降タンク内に直接的に連続投入される。この沈降タンクは地上設置タイプでも、ファイトバッグの水レベルより下方に設置するものでもよい。
【0047】
図18で示すように、低濃度の藻バイオマスを含む藻オーバーフロー(上部分)は、一旦、平行プレート沈降タンクを離れると温度タンクの入口に方向転換される。高濃度の藻バイオマスを含む藻オーバーフロー(底部分)は平行プレート沈降タンクポイントを離れると、まず、タイマー制御式投入ポンプシステムを利用して製造ラインに投入された水酸化ナトリウムによって処理され、pH11に調整される。
【0048】
バイオマスと水が分離されると底部分は凝集タンクに入る。水は、塩酸を加えてpH8に調整するようタイマー制御式投入ポンプを利用する別の投入システムを通過する。得られた均衡水は逆止弁を通過し、パイプは上部分を温度タンクに供給する。底部分(すなわち凝集タンクからの藻濃縮物)は保持ランク内に蓄えられ、回収されて、抽出プラントに送られる。
【0049】
このハイブリッド式再利用可能エネルギーシステムは図15の要素を含み、藻育成システムの動力供給を補助する。このエネルギー供給源には以下が含まれる。
*太陽エネルギー
*風力エネルギー
*ディーゼルエネルギー
*電源
*エネルギー保存用バッテリー
【0050】
この太陽エネルギーシステムはソーラーバッグに積層されるフレキシブルなソーラーパネルを含むであろう。さらにファイトバッグに設置され、相互接続輸送パイプで固定されたソーラー式照明パネルも含んでおり、藻収穫システムを直接的に加熱する。ソーラー加熱システムは遮光システムをサポートするように配置できる。循環ポンプと送風ポンプも太陽エネルギーを利用できる。これら全ては藻育成システムのエネルギー需要全体を考慮して、それぞれの場所のエネルギー需要に応じて設計および加工される。
【0051】
風力エネルギーシステムは、バッテリーに保存でき、特に夜間または曇りの日に利用できる照明に利用できるエネルギーを供給するようにモジュール式とすることができる。これら全ては藻育成システムのエネルギー需要全体を考慮して、それぞれの場所のエネルギー需要に応じて設計および加工される。
【0052】
ディーゼルエネルギーシステムは太陽エネルギーシステムと風力エネルギーシステムのバックアップとしてのみ利用される。ディーゼル油は、好適にはバイオディーゼル油であり、可能であればグリコールを燃料として使用する。
【0053】
電源電力は最後の手段である。
【0054】
バッテリーは全電力供給源からのピーク電力を管理して保存するために必要であり、藻育成システムのエネルギー需要全体に従って設計すべきものである。
【0055】
温度制御システムは以下の要素を含む。
*温度バッグ
*温度タンク
*加熱および冷却電気パッド
*ソーラーバッグ、ソーラーパネル、遮光システム、ソーラー暖水および外部廃熱源による予防的受動制御
*冷却タワー
【0056】
温度制御バッグは、必要なときにだけ利用環境に応じてファイトバッグの下方に設置される。色付け程度は設置場所の環境条件により変動するが、ソーラーバッグは常に利用される。温度バッグは温度タンクと通流し、温度タンク内で加熱要素および冷却コイルによって制御される。冷水源を備えた冷却タワーは温度タンク内に設置された冷却コイルによる温度制御プロセスを補助する。
【0057】
藻の成長に適した最良温度範囲は20℃から30℃である。成長の限界温度は5℃と38℃である。これら限界温度を回避するため、加熱および冷却パッドは温度バッグの代替品として利用できる。これらパッドは電気式であり、一面で加熱して、他面で冷却することができる。極性を変更することで加熱作用と冷却作用は逆転する。
【0058】
ファイトバッグ上に設置されたソーラーパネルはその下側に配置されたLED灯を含むことができ、藻に対する極端に強力な太陽光の遮光を補完し、あるいは赤外線灯により照明に必要な追加エネルギーを提供する。暗所を提供するように配置される遮光システムは、バッグに対する遮光システムの相対位置でのバッグ方向性によって、あるいは材料の変化によって調整することができる。LED灯は550ルクスすなわち260ルーメンの照明強度を有する。運用温度は20℃から40℃であり、利用電力は12ボルトの5ワットから7ワットである。
【0059】
ソーラー温水システムは厳寒地で使用され、60℃までの加熱性能を有する。廃熱は熱交換器で回収されるか、あるいは温度タンクに接続された加熱コイルで回収される。
【0060】
気体制御システムは以下の制御を含む。
*CO2投入
*酸素回収
*送風機
【0061】
CO2の投入は、ファイトバッグの縦軸に沿って約1.5mのところで一連のスナップ式固定具を介してファイトバッグに接続されたガスパイプに加えることで実施される。
【0062】
酸素の回収は、酸素バリアと、中央上部排出部と共に上下面を有するファイトバッグによって実行される。ここで、燃焼源として、あるいは他の用途のために抽出され、圧縮され、酸素受領タンク内に保存される酸素が豊富なガスを回収するために回収システムが取り付けら可能である。
【0063】
送風手段は各ブランチに割り当てられる。必要であれば空気フィルターが入口に備えられる。この送風手段は循環および撹拌用である。
【0064】
流体移送システムは以下の要素を含む。
*ポンプ(ソーラー式および風力式)
*専用パイプ
*フレキシブルパイプおよび剛質パイプ
*静水頭を最大化し、流体移動を補助するようにタンクを設置
*制御弁
【0065】
太陽エネルギーを利用する容積式ポンプが各ブランチに割り当てられる。これらポンプは必要に応じて割り当てられ、特定任務専用であり、電子操作盤により制御される。その任務には、藻の沈降タンク、凝集タンクまたは温度タンク並びに保持タンクや冷却タワーでの利用が含まれる。
【0066】
投入ポンプは液体と気体の制御に使用され、タイマー作動式に制御される。
【0067】
専用パイプは、ブランチや個々のファイトバッグにおけるウィルス感染発生時の交差汚染を排除するために利用される。フレキシブルパイプおよび固形パイプは予備及び予後ポンプの必要とされる圧力並びに吸引力に応じて適宜使用される。好適にはフレキシブルホースおよびスナップ式フィット具が使用される。
【0068】
タンクは、ポンプ需要を最低に抑えるべく最大の静水頭が達成されるように設置される。このことは、温度タンク内の水レベルをフロート弁により維持し、ファイトバッグと一定レベルを維持し、ファイトバッグの水レベル以下に沈降タンクを設置することで達成される。
【0069】
タイマー操作により連続的に藻をファイトバッグから送り出すために制御弁が使用される。制御弁は収穫システムからファイトバッグへの逆流のために開くこともでき、そのタイマーによって制御される。
【0070】
図16と図17で図示するように、このシステムの第3部は全脂藻乾燥システムであり、使い捨てソーラー乾燥バッグを使用する。このバッグは藻育成システムの保持タンクから送り込まれる藻濃縮物から水分を除去するために使用される。乾燥バッグ内に搬入される濃縮物量は制御され、乾燥バッグのガス出口にタイマーを介して接続される。濃縮物はブランチから乾燥バッグに送られ、そのバッグ内に容積式ポンプにより搬入される。湿潤ガスが、熱交換器を介して接続されているタイマー制御式で間断的に作動する送風システムによって抜き取られる。この熱交換器は冷却タワーの冷水源によって冷却され、湿気は熱交換器により濃縮され、逆止弁によって戻水パイプ内に戻され、冷却タワーに送られる。乾燥ガスはソーラー乾燥バッグに戻されて処理サイクルが完了する。
【0071】
太陽の赤外線と、ハイブリッドエネルギーシステムにより作動する乾燥バッグの下側に配置された電気パッドによりシステムは加熱される。
【0072】
濃縮物は全脂バイオマスとしてバッグ内に残り、タイマーシステムによって入口弁を閉じ、空気を大気に放出することで乾燥バッグから全空気が吐き出される。乾燥バッグは回収され、平坦形状で詰め込まれて搬送される。バッグのバイオマスの予想される最大乾燥重量は15kgである。
【実施例1】
【0073】
本発明の1特定実施例では、使用される藻はナノクロロプシス・オキュラタ(Nannochloropsis Oculata)種である。これは以下の特性を含む。
*鞭毛を有した非運動性緑色細胞
*小型細胞、4〜6μm径
*細胞は培養液内で浮遊し、空気補給なしで縣濁状態を保つ。
【0074】
必要成長条件:
*温度 20〜30℃
*光 2500〜6000ルクス
*pH 7.5〜8.5
*塩度 10〜36ppt
【0075】
必要栄養:
*NaNO3−150mg/l
*NaHPO4−8.69mg/l
*第二鉄EDTA−10mg/l
*MnCl2−0.22mg/l
*CoCl2−0.11mg/l
*CuSO4、5H2O−0.0196mg/l
*ZnSO4、7H2O−0.044mg/l
*Na2SiO3、2H2O−60mg/l
*B12−1.0μg/l
*ビオチン−1.0μg/l
*チアミンHCl−0.2mg/l
【0076】
CO2が使用されるときには、通常はタイマーとソレノイド弁を利用して間断的に噴射され、pHを7.5から8.5に維持する。1kgの藻バイオマスを製造するには、通常は1から17kgのCO2が必要である。
【0077】
ナノクロロプシスのオイル含有量は31から68(乾燥重量%)である。
【0078】
各育成場所で使用される藻の最終的な選択は一般的に周辺の“自然発生的”多様性により影響を受けるので、オイル生産量や他の所望する特性のごとき要因を考慮する。
【0079】
[藻回収および藻オイル抽出工程]
A)藻回収
藻は、水中の藻を収容する複数のバッグで成る育成地で育成される。この藻水溶液は成長したときに選択されたバッグ(収穫)から送られ、対象育成地に合わせたサイズの平行プレートセパレータあるいは同様な重力沈降容器で水と分離される。余剰水および藻のオーバーフローは温度タンクを介して育成地に戻される。
【0080】
得られた濃縮物は別の沈降タンクまたは凝集タンクに送られる。その途中でpHが調整されてさらなる沈降と濃縮が促され、水の搬送を最少化する。その後に余剰水が投入されてpHが中和化され、温度タンクを介して育成地に戻される。
【0081】
あるいは、濃縮ステップは高速デカンター遠心沈降器または分離版型遠心沈降器を利用して達成することも可能である。
【0082】
十分量の濃縮物が回収されたら、輸送距離を考慮してトラックまたはパイプラインで処理プラントに送られる。
【0083】
B)藻オイル抽出(湿潤抽出工程)
濃縮物は貯蔵タンクまたは受領タンクに投入される。その後、5000psiを超える圧力にて超音波処理容器内で均質化され、細胞膜を開かせ、内部の油脂(オイル)を排出させる。その後にこの物質は抽出容器に送られる。
【0084】
その後、抽出剤が藻濃縮物に加えられ、一定時間撹拌され、反応を促す。その後、重力沈降(分離)処理または遠心分離沈降処理によってオイル/抽出物混合物は残りのバイオマスと水から分離される。その後、オイル/抽出剤混合物は第1蒸留カラムに送られ、そこで抽出剤は回収され、オイルは第2蒸留カラムに送られ、脂肪酸が分離される。望ましいトリグリセリドはエステル化のためにバイオディーゼル油プラントに送られる(すなわちバイオディーゼル油生産)。抽出剤は第1蒸留カラムで再生され、抽出容器に戻される。
【0085】
分離容器のアンダーフローまたはセパレータから放出されたバイオマスは乾燥プラントに送られ、例えば動物の餌添加物として利用すべくバイオマスが乾燥される(もしオイル/抽出剤混合物の回収に重力沈降容器が使用されるなら、乾燥機に送られる水量を減らすために別な重力沈降容器が必要になるであろう)。
【0086】
いずれにしろ、普通は、乾燥工程に先立ち、遠心分離沈降またはフィルターを利用して物理的に予備脱水することが有利であろう。
【0087】
脱脂バイオマスの処理に利用可能な他のプロセス:
*液状動物餌のための低温殺菌
*メタン生産(バイオガス)のための嫌気処理
【0088】
[プロセスの詳細な説明]
A:予備処理
1.受領タンク30トン収容能力−タンクローリーから濃縮藻バイオマス(CAB)を受領する保持タンク
2.pH調整のための投入装置が装着された可変速容積ポンプにより送られるCAB
3.余剰水を除去(養殖地へ)する遠心分離沈降(デカンターまたはセパレータ)
4.バッファタンクおよび遠心分離ポンプ
5.均質化装置及び/又は平行プレートを備えた超音波タンク(溶液で5000pis以上の圧力が達成される)。得られる生成物は“藻ブロス”と称される。
【0089】
B:抽出(プロセス&破裂防止措置が施されているモータ)
6.藻ブロスが容積(移動型)空気ポンプによって真空化性能を有する撹拌反応器タンクに送られる。
7.抽出剤貯蔵タンクから抽出剤が藻ブロスに投入され、反応器内で混合される。続いて混合物は水平セパレータ容器またはトリカンター(遠心分離用)に送られる。
8.水平分離容器(上部および底部引取りポイント付き):
*上部(抽出剤および藻オイル)は可変速容積ポンプで圧力リーフ(葉状)型フィルターへ送られる。
*第1蒸留カラムの上部。そこで抽出剤が回収されて貯蔵タンクに送られ、藻オイルはその底部で回収される。
*次に藻オイルは第2蒸留カラムに送られ、脂肪酸が分離される。
*精製藻オイルが貯蔵場所に送られる。
*水平分離容器の底部分:
(a)デカンターへ送られ、余剰水が脱水される(育成地に戻される)。
i.得られる湿潤ケーキはリング乾燥機に送られる(せいぜい6%から8%の湿気含有量が残留)。
ii.続いて乾燥ケーキは粉砕または押し出される。
(b)低温殺菌処理(低部分は130℃に加熱されてから30℃に冷却され、無菌密封バッグに詰められる)
(c)バイオガス(メタン)生産のための嫌気処理
9.トリカンター(破裂防止)
*上部分(溶剤および藻オイル)は蒸留
*上記8のステップ実施
*余剰水脱水(育成地に戻される)
*底部分は上記8の処理ステップで処理
【0090】
前述の内容は好適実施例のものであり、本発明の説明のみを目的として提供されている。本発明を限定するものではない。専門家であれば、これら藻オイルの製法および製造装置の細部の変更は本発明の範囲内で可能であることを理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻オイル製造方法であって、
a.藻育成のための成長開始手段を供給して急速成長を促すべく制御するステップと、
b.主として太陽を利用して藻を育成するステップと、
c.藻を処理するステップと、
を含んでおり、
前記ステップの少なくとも1ステップは、水、CO2、酸素および空気から選択される少なくとも1種である気体または液体の流れに連結することができるバッグを利用することを特徴とする方法。
【請求項2】
バッグは少なくともいずれかの製造ステップにおいて使用され、容易に運搬できるものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
バッグはいずれかの製造ステップにおいて使用され、交差汚染を防止するために相互にバッチ形態にて分離できることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
処理ステップは、乾燥工程により処理される藻が維持する脂質含有物での全脂生成工程を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
バッグは、乾燥工程で使用され、平坦パック形態の複数バッグで最終製造物の容易な輸送を可能にする乾燥バッグであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
処理ステップは、脂質含有物が除去され、湿潤工程で処理されている藻の脱脂生成工程を含んでおり、さらに、
a.少なくとも50%の縣濁湿気含有量の成長藻を予備濃縮し、流動液を形成する工程と、
b.5000psi以上の圧力により液相である前記予備濃縮された藻の均質化処理によって藻の細胞を物理的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
c.溶剤、酵素プロテアーゼ及び/又はその類似酵素を添加して藻の細胞を化学的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
d.前記放出された脂質を除去するために抽出剤を添加する工程と、
を含んでおり、前記物理的および化学的破壊の工程は脂質除去の効率を高めることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
湿潤工程は、
a.バイオマスの抽出剤とオイルの混合物および固形抽出剤を分離させ、後の乾燥工程に備えさせるための遠心分離沈降処理または水平連続沈降処理による物理的分離工程と、
b.前記抽出剤とオイルの混合物から抽出剤を除去するための第1蒸留工程と、
をさらに含んでおり、前記抽出剤は回収され、再利用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
湿潤工程は、
a.モノグリセリド、バイグリセリドおよびトリグリセリドを除去する第2蒸留工程と、
b.その後の処理のために精製された藻オイルを出力する工程と、
をさらに含んでおり、前記第2蒸留工程はバイオディーゼル油製造に適した精製藻オイルと、食品製造に適した蒸留脂肪酸とを生成することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
複数のステップである成長制御ステップ、育成ステップおよび処理ステップにおいて特殊な藻育成バッグが使用され、容易なバッチ処理、輸送およびモジュール式システムへの連結を可能にすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
特殊な藻育成バッグは、縣吊状態にてバッグ内の藻の通流と撹拌を促すように下方入口から情報出口に通じる蛇行通路を有した制御バッグであり、CO2と栄養とが藻の溶液に効果的に補給されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
複数の制御バッグを縣吊することができる外骨格を有した容器構造物の利用を含んでおり、該容器構造物は熱源および光源を含んで強力な藻の成長条件を提供し、積み重ね可能で運搬容易であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
特殊藻育成バッグは太陽光を採り入れることができるファイトバッグであり、藻育成ステップで利用されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
バイオ燃料を生成する原料である藻の育成を促進するファイトバッグであって、
i.大量生産可能な構造であり、十分にフレキシブルなシート材で製造されているバッグを含み、
ii.該バッグは透明上部フィルムを含んでおり、該バッグ内の藻に太陽光を届かせ、さらに、
iii.金属質反射底部フィルムを含んでおり、前記バッグ内の藻に陽光を反射させ、
前記バッグはその高さに比して大きなフットプリントを有しており、前記透明上部フィルムと前記金属質反射底部フィルムは該バッグ内の藻に照射される陽光量と熱量を増加させ、藻の成長を促進することを特徴とするファイトバッグ。
【請求項14】
CO2を含有する気体を受領するためのガス入口と、海水同様の塩度の塩水を含む水を受領するための液体入口とを含んでいることを特徴とする請求項13記載のファイトバッグ。
【請求項15】
酸素バリア材料を含んで酸素の逃避を防止し、ガス出口を含んでO2を回収させることを特徴とする請求項13または14記載のファイトバッグ。
【請求項16】
請求項13から15に記載のファイトバッグと共に使用するソーラーバッグであって、絶縁を提供する内封空気孔を有しており、該ファイトバッグに対して容易に取り付けられるように周辺重量部を有しているソーラーバッグであって、
a.前記ソーラーバッグは前記ファイトバッグを陽光に曝すよう上部および下部半透明表面を含んでおり、さらに、
b.光フィルター手段
を含んでいることを特徴とするソーラーバッグ。
【請求項17】
ソーラーバッグのフィルター手段は赤外線を防御することを特徴とする請求項16記載のソーラーバッグ。
【請求項18】
ソーラーバッグのフィルター手段は、着色あるいは反射面をプリントすることで太陽光強度を減じていることを特徴とする請求項16または17記載のソーラーバッグ。
【請求項19】
電力源としてフレキシブルな積層ソーラーパネルを含んでいることを特徴とする請求項16、17または18記載のソーラーパネル。
【請求項20】
バイオ燃料を生成する原料である藻の育成を促進するシステムであって、
a.その高さに比して大きなフットプリントを有し、実質的に半透明である表面材を備えたファイトバッグと、
b.前記ファイトバッグの表面上またはその上方に設置された太陽光制御手段と、
c.前記ファイトバッグの底面上またはその下方に設置された補助加熱手段と、
を含んでおり、前記太陽光制御手段と前記補助加熱手段の作用により、前記ファイトバッグ内の熱制御は設定範囲内で加熱されることを特徴とするシステム。
【請求項21】
所望の藻脂質とタンパク質とを収穫させるように藻を育成する透明な金属質フィルムまたは反射フィルムで製造された密閉バッグを含んでいることを特徴とするファイトバッグ。
【請求項22】
a.バッグ内の藻に太陽光を届かせるための透明上部フィルムと、
b.該バッグ内の藻に太陽光を反射して戻すための金属質反射底部フィルムと、
c.液状または気体状である内容物にアクセスさせるための複数の取り付け箇所と、
d.前記上部フィルムと前記底部フィルムが藻から発生する酸素を捕獲する中程度から高程度の酸素バリアを有するときにはさらに、
e.撹拌効果を最大化するために前記バッグ内に設置されたパイプと小部屋で成る複数の流体搬送手段を含み、
f.1ファイトバッグにつき1平方メートルの最小フットプリント面積を有していることを特徴とする請求項13または14記載のファイトバッグ。
【請求項23】
密封モジュール式ネットワーク形態である複数のファイトバッグの利用工程を含んだ方法であって、選択された藻を育成する制御されたスペースを提供し、脂質とタンパク質の生成を最大化するものであり、
a.温度維持システムをさらに含み、
b.ポンプおよびタンクを介して他のバッグと連結可能であり、モジュール形態のシステムを形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
ファイトバッグモジュールシステムは相互接続できる複数のバッグを含んでおり、該システムはさらに、
a.最大静水頭を達成するために上昇位置にて加熱および冷却する手段をオプションで備えた地上タンクと、
b.流体を移動させる輸送ポンプと、
c.パイプの熱交換器上にて平坦で傾斜した地面に設置されたバッグと、
d.受領タンクまたは収穫タンクとして地下タンクと、
を含んでいることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項25】
ファイトバッグモジュールシステムは、該システムからの収穫のために最良濃度にまで藻が成長する日数に応じた数で準備されることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項26】
藻育成方法であって、
a.30:1の比よりも大きな比のフットプリントと高さの比を有した必要数のバッグを準備するステップと、
b.20℃から25℃の温度範囲に温度調整する熱制御システムを準備するステップと、
c.半透明の反射材料を含んだ材料で成るバッグにより内容物に太陽光を照射させるステップと、
d.必要なサイズのCO2の入口を準備するステップと、
e.海水同様の塩度の塩水を流通させるステップと、
を含んでおり、ナノクロロプシス属の藻の成長を促進することを特徴とする方法。
【請求項27】
藻オイルの製造方法であって、
a.少なくとも50%の縣濁湿気含有量の成長藻を予備濃縮し、流動液を形成する工程と、
b.5000psi以上の圧力により液相である前記予備濃縮された藻の均質化処理によって藻の細胞を物理的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
c.溶剤、酵素プロテアーゼ及び/又はその類似酵素を添加して藻の細胞を化学的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
d.前記放出された脂質を除去するために抽出剤を添加する工程と、
を含んでおり、前記物理的および化学的破壊の工程は脂質除去の効率を高めることを特徴とする方法。
【請求項28】
a.その後の乾燥工程のため、バイオマスおよび固形抽出物から抽出物とオイルの混合物を分離するための遠心分離または水平連続沈降による物理的分離工程と、
b.前記抽出物とオイルの混合物から抽出物を除去する第1蒸留工程と、
をさらに含んでおり、前記抽出物は回収され、システムにリサイクルされることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項29】
a.モノグリセリド、バイグリセリドおよびトリグリセリドを除去する第2蒸留工程と、
b.その後の処理のために精製された藻オイルを出力する工程と、
をさらに含んでおり、前記第2蒸留工程はバイオディーゼル油製造に適した精製藻オイルと、食品製造に適した蒸留脂肪酸とを生成することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項30】
図面を利用した本明細書の説明で解説されているファイトバッグ。
【請求項31】
図面を利用した本明細書の説明で解説されている藻オイル製造方法。
【請求項1】
藻オイル製造方法であって、
a.藻育成のための成長開始手段を供給して急速成長を促すべく制御するステップと、
b.主として太陽を利用して藻を育成するステップと、
c.藻を処理するステップと、
を含んでおり、
前記ステップの少なくとも1ステップは、水、CO2、酸素および空気から選択される少なくとも1種である気体または液体の流れに連結することができるバッグを利用することを特徴とする方法。
【請求項2】
バッグは少なくともいずれかの製造ステップにおいて使用され、容易に運搬できるものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
バッグはいずれかの製造ステップにおいて使用され、交差汚染を防止するために相互にバッチ形態にて分離できることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
処理ステップは、乾燥工程により処理される藻が維持する脂質含有物での全脂生成工程を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
バッグは、乾燥工程で使用され、平坦パック形態の複数バッグで最終製造物の容易な輸送を可能にする乾燥バッグであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
処理ステップは、脂質含有物が除去され、湿潤工程で処理されている藻の脱脂生成工程を含んでおり、さらに、
a.少なくとも50%の縣濁湿気含有量の成長藻を予備濃縮し、流動液を形成する工程と、
b.5000psi以上の圧力により液相である前記予備濃縮された藻の均質化処理によって藻の細胞を物理的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
c.溶剤、酵素プロテアーゼ及び/又はその類似酵素を添加して藻の細胞を化学的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
d.前記放出された脂質を除去するために抽出剤を添加する工程と、
を含んでおり、前記物理的および化学的破壊の工程は脂質除去の効率を高めることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
湿潤工程は、
a.バイオマスの抽出剤とオイルの混合物および固形抽出剤を分離させ、後の乾燥工程に備えさせるための遠心分離沈降処理または水平連続沈降処理による物理的分離工程と、
b.前記抽出剤とオイルの混合物から抽出剤を除去するための第1蒸留工程と、
をさらに含んでおり、前記抽出剤は回収され、再利用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
湿潤工程は、
a.モノグリセリド、バイグリセリドおよびトリグリセリドを除去する第2蒸留工程と、
b.その後の処理のために精製された藻オイルを出力する工程と、
をさらに含んでおり、前記第2蒸留工程はバイオディーゼル油製造に適した精製藻オイルと、食品製造に適した蒸留脂肪酸とを生成することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
複数のステップである成長制御ステップ、育成ステップおよび処理ステップにおいて特殊な藻育成バッグが使用され、容易なバッチ処理、輸送およびモジュール式システムへの連結を可能にすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
特殊な藻育成バッグは、縣吊状態にてバッグ内の藻の通流と撹拌を促すように下方入口から情報出口に通じる蛇行通路を有した制御バッグであり、CO2と栄養とが藻の溶液に効果的に補給されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
複数の制御バッグを縣吊することができる外骨格を有した容器構造物の利用を含んでおり、該容器構造物は熱源および光源を含んで強力な藻の成長条件を提供し、積み重ね可能で運搬容易であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
特殊藻育成バッグは太陽光を採り入れることができるファイトバッグであり、藻育成ステップで利用されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
バイオ燃料を生成する原料である藻の育成を促進するファイトバッグであって、
i.大量生産可能な構造であり、十分にフレキシブルなシート材で製造されているバッグを含み、
ii.該バッグは透明上部フィルムを含んでおり、該バッグ内の藻に太陽光を届かせ、さらに、
iii.金属質反射底部フィルムを含んでおり、前記バッグ内の藻に陽光を反射させ、
前記バッグはその高さに比して大きなフットプリントを有しており、前記透明上部フィルムと前記金属質反射底部フィルムは該バッグ内の藻に照射される陽光量と熱量を増加させ、藻の成長を促進することを特徴とするファイトバッグ。
【請求項14】
CO2を含有する気体を受領するためのガス入口と、海水同様の塩度の塩水を含む水を受領するための液体入口とを含んでいることを特徴とする請求項13記載のファイトバッグ。
【請求項15】
酸素バリア材料を含んで酸素の逃避を防止し、ガス出口を含んでO2を回収させることを特徴とする請求項13または14記載のファイトバッグ。
【請求項16】
請求項13から15に記載のファイトバッグと共に使用するソーラーバッグであって、絶縁を提供する内封空気孔を有しており、該ファイトバッグに対して容易に取り付けられるように周辺重量部を有しているソーラーバッグであって、
a.前記ソーラーバッグは前記ファイトバッグを陽光に曝すよう上部および下部半透明表面を含んでおり、さらに、
b.光フィルター手段
を含んでいることを特徴とするソーラーバッグ。
【請求項17】
ソーラーバッグのフィルター手段は赤外線を防御することを特徴とする請求項16記載のソーラーバッグ。
【請求項18】
ソーラーバッグのフィルター手段は、着色あるいは反射面をプリントすることで太陽光強度を減じていることを特徴とする請求項16または17記載のソーラーバッグ。
【請求項19】
電力源としてフレキシブルな積層ソーラーパネルを含んでいることを特徴とする請求項16、17または18記載のソーラーパネル。
【請求項20】
バイオ燃料を生成する原料である藻の育成を促進するシステムであって、
a.その高さに比して大きなフットプリントを有し、実質的に半透明である表面材を備えたファイトバッグと、
b.前記ファイトバッグの表面上またはその上方に設置された太陽光制御手段と、
c.前記ファイトバッグの底面上またはその下方に設置された補助加熱手段と、
を含んでおり、前記太陽光制御手段と前記補助加熱手段の作用により、前記ファイトバッグ内の熱制御は設定範囲内で加熱されることを特徴とするシステム。
【請求項21】
所望の藻脂質とタンパク質とを収穫させるように藻を育成する透明な金属質フィルムまたは反射フィルムで製造された密閉バッグを含んでいることを特徴とするファイトバッグ。
【請求項22】
a.バッグ内の藻に太陽光を届かせるための透明上部フィルムと、
b.該バッグ内の藻に太陽光を反射して戻すための金属質反射底部フィルムと、
c.液状または気体状である内容物にアクセスさせるための複数の取り付け箇所と、
d.前記上部フィルムと前記底部フィルムが藻から発生する酸素を捕獲する中程度から高程度の酸素バリアを有するときにはさらに、
e.撹拌効果を最大化するために前記バッグ内に設置されたパイプと小部屋で成る複数の流体搬送手段を含み、
f.1ファイトバッグにつき1平方メートルの最小フットプリント面積を有していることを特徴とする請求項13または14記載のファイトバッグ。
【請求項23】
密封モジュール式ネットワーク形態である複数のファイトバッグの利用工程を含んだ方法であって、選択された藻を育成する制御されたスペースを提供し、脂質とタンパク質の生成を最大化するものであり、
a.温度維持システムをさらに含み、
b.ポンプおよびタンクを介して他のバッグと連結可能であり、モジュール形態のシステムを形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
ファイトバッグモジュールシステムは相互接続できる複数のバッグを含んでおり、該システムはさらに、
a.最大静水頭を達成するために上昇位置にて加熱および冷却する手段をオプションで備えた地上タンクと、
b.流体を移動させる輸送ポンプと、
c.パイプの熱交換器上にて平坦で傾斜した地面に設置されたバッグと、
d.受領タンクまたは収穫タンクとして地下タンクと、
を含んでいることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項25】
ファイトバッグモジュールシステムは、該システムからの収穫のために最良濃度にまで藻が成長する日数に応じた数で準備されることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項26】
藻育成方法であって、
a.30:1の比よりも大きな比のフットプリントと高さの比を有した必要数のバッグを準備するステップと、
b.20℃から25℃の温度範囲に温度調整する熱制御システムを準備するステップと、
c.半透明の反射材料を含んだ材料で成るバッグにより内容物に太陽光を照射させるステップと、
d.必要なサイズのCO2の入口を準備するステップと、
e.海水同様の塩度の塩水を流通させるステップと、
を含んでおり、ナノクロロプシス属の藻の成長を促進することを特徴とする方法。
【請求項27】
藻オイルの製造方法であって、
a.少なくとも50%の縣濁湿気含有量の成長藻を予備濃縮し、流動液を形成する工程と、
b.5000psi以上の圧力により液相である前記予備濃縮された藻の均質化処理によって藻の細胞を物理的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
c.溶剤、酵素プロテアーゼ及び/又はその類似酵素を添加して藻の細胞を化学的に破壊し、脂質含有物を放出させる工程と、
d.前記放出された脂質を除去するために抽出剤を添加する工程と、
を含んでおり、前記物理的および化学的破壊の工程は脂質除去の効率を高めることを特徴とする方法。
【請求項28】
a.その後の乾燥工程のため、バイオマスおよび固形抽出物から抽出物とオイルの混合物を分離するための遠心分離または水平連続沈降による物理的分離工程と、
b.前記抽出物とオイルの混合物から抽出物を除去する第1蒸留工程と、
をさらに含んでおり、前記抽出物は回収され、システムにリサイクルされることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項29】
a.モノグリセリド、バイグリセリドおよびトリグリセリドを除去する第2蒸留工程と、
b.その後の処理のために精製された藻オイルを出力する工程と、
をさらに含んでおり、前記第2蒸留工程はバイオディーゼル油製造に適した精製藻オイルと、食品製造に適した蒸留脂肪酸とを生成することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項30】
図面を利用した本明細書の説明で解説されているファイトバッグ。
【請求項31】
図面を利用した本明細書の説明で解説されている藻オイル製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2010−530741(P2010−530741A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511448(P2010−511448)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000845
【国際公開番号】WO2008/151373
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509343600)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000845
【国際公開番号】WO2008/151373
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509343600)
【Fターム(参考)】
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