説明

バッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物

【課題】洗浄工程とバッチ式焼鈍を含む鋼帯の製造工程において、高い洗浄性とバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度を低減できるバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】珪酸塩(a)、グルコン酸及び/又はその塩(b)、並びに水を含有するバッチ式焼鈍用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物及び当該組成物を使用した洗浄工程を有する鋼帯製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼帯は、圧延時に発生、付着する圧延油、作動油、鉄粉、鉄石鹸等の汚れを洗浄する必要があり、その後、加工性を付与するための焼鈍に付される。ここに、焼鈍とは、焼きなまし又はアニーリングのことであり、一度適当な温度に加熱し、そこで保持したのち徐冷する(化学大辞典1巻P208(昭和56年))工程をいい、鉄または鋼の軟化、あるいは結晶組織の調整または内部応力の除去等を目的とする。
【0003】
焼鈍方法には、バッチ式焼鈍及び連続式焼鈍があるが、このうち、バッチ式焼鈍においては、鋼帯の密着又は焼き付きの問題があり、歩留まり低下の一因となっている。
【0004】
かかる密着を防止するのに、珪酸ナトリウムを含む洗浄剤を用いて電気分解洗浄(電解洗浄)をする場合、鋼帯表面に付着したシリコンが有効であることが知られている。
【0005】
特許文献1には、焼鈍工程等の後工程の前段で、金属表面に付着する油性物質等の汚れや金属粉等の汚れの除去に必要な濃縮化された特定配合のアルカリ洗浄剤が開示されている。また、特許文献2には、アルカリ基剤、界面活性剤及び特定の群から選ばれる化合物を含有する金属洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献3には、アルカリ剤、非イオン界面活性剤、可溶化剤を含有する、金属等の洗浄剤として有用なアルカリ性水溶液組成物が開示されている。
【特許文献1】特開平11−181587号公報
【特許文献2】特開昭60−121284号公報
【特許文献3】特開2004−182801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、アルカリ剤を高濃度で用いた懸濁状の洗浄剤に関するものであり、焼鈍用の密着低減効果を伴う洗浄剤として好適な態様の技術を開示するとは言い難い。しかも、実際に特許文献1の実施例の範囲でアルカリ剤を調製しようとすると、アルカリ剤の固化が甚だしく、実用に耐えないものとなることが判明した。このような特許文献1では、洗浄剤の安定性が充分で、且つ洗浄性及びバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度低減効果に優れたものは得られない。一方、特許文献2についても、洗浄性及びバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度低減効果については更なる向上が望まれる。また、特許文献3では、焼鈍前の鋼帯等の洗浄性と、バッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度低減効果を両立させるという課題について何ら言及されていない。
【0007】
本発明の課題は、洗浄工程とバッチ式焼鈍を含む鋼帯の製造工程において、高い洗浄性とバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度を低減できるバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物及び当該組成物を使用した洗浄工程を有する鋼帯製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、珪酸塩(a)〔以下、成分(a)という〕、グルコン酸及び/又はその塩(b)〔以下、成分(b)という〕、並びに水を含有するバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、電解洗浄工程の後に、バッチ式焼鈍工程を有する鋼帯製造方法であって、上記本発明のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物を電解洗浄工程で使用する鋼帯製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄工程とバッチ式焼鈍を含む鋼帯の製造工程において、高い洗浄性とバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度を低減できるバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物及び当該組成物を使用した洗浄工程を有する鋼帯製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物は、珪酸塩とグルコン酸及び/又はその塩との組み合わせを含有する組成物が、鋼帯の油脂や金属粉由来の汚れの洗浄性と焼鈍後の鋼帯の密着度低減につき、両立して特段に優れることを利用して完成された。
【0012】
[成分(a)]
本発明の組成物の成分(a)は、オルソ珪酸、メタ珪酸、セスキ珪酸等のナトリウム塩、カリウム塩等の珪酸塩であり、好ましくは、オルソ珪酸、メタ珪酸のナトリウム塩、カリウム塩であり、より好ましくはオルソ珪酸のナトリウム塩、カリウム塩であり、更に好ましくはこれらのナトリウム塩である。
【0013】
珪酸塩は、鋼帯用洗浄剤組成物をアルカリ性にして、鋼帯上の油性物質等の汚れや金属粉等の汚れの除去をし、同時に、後述するグルコン酸及び/又はその塩との組合せによる作用により、バッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度を低減する。
【0014】
[成分(b)]
本発明の組成物の成分(b)は、グルコン酸及び/又はその塩である。成分(b)は、前述の珪酸塩との組合せによる作用により、鋼帯上の油性物質等の汚れや金属粉等の汚れの除去をさらに促進する。
【0015】
[バッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物]
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、溶媒として水道水、イオン交換水、工業用水等を使用し、本発明の効果を損なわない範囲で、低級アルコール等の有機水溶性溶媒を使用してもよい。
【0016】
[成分(c)]
本発明の組成物は、成分(a)と成分(b)とが、分相析出せずに、安定であることから、水溶液であることが好ましく、且つ水溶液に流動性があることは、洗浄槽に安定均一に洗浄成分を供給できること、及び洗浄性と焼鈍後の鋼帯の密着度低減という所望の効果を発現することから、好ましい。成分(a)及び成分(b)を含有する水溶液を得るために、本発明の組成物は、成分(c)として、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種以上を含有することが好ましい。
【0017】
1−X−(CH2mCOOM1 (1)
2−COOM2 (2)
3−COOM3 (3)
〔式中、R1は炭素数4〜22の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基を示し、Xは基 >NH、>N(CH2nCOOM1又は>CHCOOM1を示す。R2は炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の直鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基を示す。R3は炭素数4〜22の飽和もしくは不飽和の分岐鎖の脂肪族炭化水素基を示す。M1、M2、M3はそれぞれ水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜4の脂肪族アミン、アンモニア又はアルカノールアミンを示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示す。〕
【0018】
一般式(1)において、R1は炭素数5〜18の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基がより好ましい。一般式(1)で表される化合物〔以下、成分(c−1)という〕としては、R1が炭素数5〜17のアルキル基もしくはアルケニル基、又はフェニル基、Xが>NH又は>N(CH2nCOOM1、m及びnがそれぞれ1〜3の整数であるものが好ましい。具体的には、次のようなものが例示される。下記例示の化合物の中では、i−C817基を有する化合物、n−C1225基を有する化合物がより好ましい。
【0019】
【化1】

【0020】
〔式中、M1は前記と同じ意味を示す。〕
【0021】
一般式(2)において、R2は炭素数4〜12の飽和もしくは不飽和の直鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数4〜12の飽和もしくは不飽和の直鎖の脂肪族炭化水素基がより好ましい。一般式(2)で表される化合物〔以下、成分(c−2)という〕としては、炭素数4〜23の直鎖飽和脂肪酸もしくは直鎖不飽和脂肪酸、又は芳香族基を有する炭素数6〜19のカルボン酸又はこれらの塩である。直鎖飽和脂肪酸の例として、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、酪酸、吉草酸等が挙げられる。直鎖不飽和脂肪酸の例として、カプロレイン酸、オレイン酸、9−ウンデシレン酸、エライジン酸、10−ウンデシレン酸、2−ラウロレイン酸、パセニン酸、リンデル酸、トウハク酸、5−ラウロレイン酸、11−ラウロレイン酸、2−パルミトレイン酸、7−パルミトレイン酸、cis−9−パルミトレイン酸、ゾーマリン酸、trans−9−パルミトレイン酸、ツズ酸、5−ミリストレイン酸、ミリストレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセニライジン酸等が挙げられる。芳香族基を有するカルボン酸として、フェニル酢酸、β−フェニルプロピオン酸、γ−フェニル酢酸、δ−フェニル吉草酸、τ−フェニルカプロン酸、ζ−フェニルエナトン酸、η−フェニルカプリル酸、θ−フェニルペラルゴン酸、ι−フェニルカプリン酸、ナフテン酸およびトルイル酸等が挙げられる。
【0022】
これらの中では、炭素数4〜18の直鎖飽和脂肪酸もしくは直鎖不飽和脂肪酸又はそれらの塩が好ましく、炭素数4〜12の直鎖飽和脂肪酸が特に好ましい。
【0023】
一般式(3)において、R3は炭素数4〜12の飽和もしくは不飽和の分岐鎖の脂肪族炭化水素基が好ましい。一般式(3)で表される化合物〔以下、成分(c−3)という〕としては、炭素数5〜23の分岐鎖飽和脂肪酸もしくは分岐鎖不飽和脂肪酸又はこれらの塩である。分岐鎖飽和脂肪酸の例として、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、4,6−ジメチルオクタン酸、4,7−ジメチルオクタン酸、2,3−ジメチルオクタン酸、2,3−ジメチルノナン酸、4,8−ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、2−メチルウンデカン酸、10−メチルウンデカン酸、4,4−ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、2−メチルドコサン酸、3−メチルドコサン酸、(+)−3D−メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、12−メチルトリデカン酸、2,2−ジメチルドデカン酸、2,3−ジメチルドデカン酸、4,10−ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸等が挙げられる。分岐鎖不飽和脂肪酸の例として、trans−2−メチル−2−ペンテン酸、trans−4−メチル−3−ペンテン酸、cis−2−メチル−2−ヘキセン酸、trans−2−メチル−2−ヘキセン酸、2−メチレン−ヘキサン酸、3,4−ジメチル−3−ペンテン酸、trans−2−メチル−2−ヘプテン酸、3−メチル−2−ノネン酸、3−メチル−3−ノネン酸、5−メチル−2−ウンデセン酸、2,4−ジメチル−2−デセン酸、5,9−ジメチル−2−デセン酸、2−メチル−2−ドデセン酸、(−)−5−メチル−2−トリデセン酸、L(+)−2,4−ジメチル−2−ドデセン酸、L(+)−2,5−ジメチル−2−トリデセン酸等が挙げられる。
【0024】
これらの中では、炭素数5〜18の分岐鎖飽和脂肪酸もしくは分岐鎖不飽和脂肪酸又はそれらの塩が好ましく、炭素数5〜12の分岐鎖飽和脂肪酸が特に好ましい。
【0025】
一般式(1)〜(3)において、M1、M2、M3で示されるアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム等、炭素数1〜4の脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、他の炭素数2〜10のアルカノールアミン等が挙げられる。M1、M2、M3としては、水素原子、アルカリ金属が好ましい。
【0026】
本発明の成分(c)は、アルカリ水溶液中への非イオン界面活性剤の可溶化の観点から、成分(c−1)を必須とし、生産性及びさらに安定な可溶化の観点から、成分(c−2)又は成分(c−3)を組み合わせることが好ましい。このような観点から、成分(c−1)と、成分(c−2)又は成分(c−3)を組み合わせる場合の重量比(c−1)/(c−2)又は(c−1)/(c−3)は、0.1/1〜70/1が好ましく、0.4/1〜50/1がより好ましく、0.7/1〜30/1が更に好ましい。
【0027】
本発明においては、成分(c−1)を必須とし、成分(c−2)又は成分(c−3)を配合することにより、少量の使用量で、アルカリ水溶液中への非イオン界面活性剤の可溶化を実現することができる。アルカリ水溶液中への非イオン界面活性剤の可溶化は、親水性の低下した非イオン界面活性剤に、親水性の高い成分(c−1)が配向し、棚層ミセルを作ることで可溶化していると推定される。しかし、耐塩基性に優れる成分(c−1)の溶解量が多く、効率的にミセル形成に寄与できていないと推定されることから、アルカリ水溶液中での溶解度が低い成分(c−2)又は(c−3)を併用し、成分(c−1)へ配向させることにより効率的に混合ミセルが形成され、成分(c−1)の使用量の削減が可能になると考えられる。
【0028】
水溶液からなる本発明の組成物は組成物温度50℃以上で、特に成分(c)を含有するものは組成物温度が低温(40〜50℃)で、安定に保存でき、かかる保存後にも、高い洗浄性とバッチ式焼鈍後の鋼帯の密着度を低減できるため、より好ましい。
【0029】
[成分(d)]
本発明の組成物は、成分(d)として、炭素数4〜24のアルコール、好ましくは炭素数4〜24の1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及びアルキル(アルキル基の炭素数5〜12)フェノールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる一種以上である非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0030】
成分(d)は、鋼帯表面の油成分、鋼帯上の油性物質等の汚れや金属粉等の汚れ又はその由来汚物を、剥離し再凝集を抑止する効果を強化する。
【0031】
成分(d)は、中でも、炭素数4〜24のアルコール、更に、炭素数4〜24の1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
【0032】
成分(d)としては、デイビス(Davies)法によるHLBが4.3〜8.2、更に5〜7.9のものが好ましい。
【0033】
なお、成分(d)のHLBは、デイビス(Davies)法によるHLBで、下記式により表される値であり、下記式中の親水基の基数、親油基の基数は、「新版 界面活性剤ハンドブック」、工学図書株式会社、平成8年5月1日、235頁の表5−1−3に記載されている値を採用する。
HLB=Σ〔成分(d)の親水基の基数〕+Σ〔成分(d)の親油基の基数〕+7
【0034】
成分(d)のうち、炭素数4〜24のアルコールのアルキレンオキサイド付加物としては、下記一般式(I)〜(V)で表される化合物から選ばれる非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0035】
1O-<EOn/POm>-H (I)
2O-(EO)x1-(PO)y1-(EO)x2-H (II)
3O-[EOx3/POy2]-(EO)x4-H (III)
4O-(EO)x5-[EOx6/POy3]-(PO)y4-[EOx7/POy5]-(EO)x8-H (IV)
5O-(EO)z-H (V)
〔式中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。R1は炭素数4〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、nはオキシエチレン基の平均付加モル数、mはオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、nは0〜20、mは0超20以下の数である。R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、x1, x2, x3, x4, x5, x6, x7及びx8はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す数で、x1, x2, x3, x4, x5及びx8はそれぞれ1以上の数、x1+x2≧4、x3+x4≧4、x5+x6+x7+x8≧4、x6+x7≧1である。y1, y2, y3, y4及びy5はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す数で、0<y1<x1+x2、0<y2<x3+x4、y3+y5≧0.1、y3≧0、y4≧0、y5≧0、y3+y4+y5<x5+x6+x7+x8である。また、< >で囲まれた部分はランダム付加でもブロック付加でもよいことを、[ ]で囲まれた部分はランダム付加、( )で囲まれた部分はブロック付加であることを示す。R5は炭素数5〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、zはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す1〜20の数である。〕
【0036】
一般式(I)において、R1は炭素数4〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、直鎖の場合より好ましくはR1は炭素数6〜10、分岐鎖の場合より好ましくはR1は炭素数8〜14である。nはオキシエチレン基の平均付加モル数、mはオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、0≦n≦20、0<m≦20である。かかる非イオン界面活性剤は、デイビス(Davies)法によるHLBが4.3〜8.2、更に5〜7.9のものが好ましい。HLBがこの範囲にあると浸透性と乳化性のバランスがよく、良好な脱脂性が得られる。
【0037】
なお、一般式(I)で表される非イオン界面活性剤において、オキシエチレン、オキシプロピレンの付加形態はブロックでもランダムでもよく、ブロックの場合はオキシエチレンとオキシプロピレンの位置が逆でも良い。しかしオキシプロピレン−オキシエチレンの順番でR1Oにブロック付加したものがより好ましい。
【0038】
一般式(I)で表される化合物において、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の好ましい平均付加モル数は、0≦n<8、且つ0<m<5であり、3<n<8であることがより好ましい。
【0039】
一般式(II)〜(IV)において、R2、R3及びR4は、洗浄性の観点から、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくは炭素数10〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
【0040】
一般式(II)で表される化合物において、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示すx1及びx2はそれぞれ1以上の数であり、水との相溶性の観点から、x1とx2の和は4以上の数である。またx1とx2の和が20を越えても洗浄性能は変わらないが、排水処理や発泡抑制等の観点から、x1とx2の和は、好ましくは20以下の数であり、さらに好ましくは6〜15の数である。また、一般式(II)で表される化合物のプロピレンオキサイドの平均付加モル数y1は、洗浄性や生分解性等の観点から、0より大きく、エチレンオキサイドの平均付加モル数であるx1とx2の和より小さい数であり、好ましくは 0.5〜6、より好ましくは1〜5の数である。
【0041】
一般式(III)で表される化合物において、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示すx3及びx4はそれぞれ1以上の数であり、水との相溶性の観点から、x3とx4の和は4以上の数である。またx3とx4の和が20を越えても洗浄性能は変わらないが、排水処理や発泡抑制等の観点から、x3とx4の和は、好ましくは20以下の数であり、さらに好ましくは6〜15の数である。また、一般式(III)で表される化合物のプロピレンオキサイドの平均付加モル数y2は、洗浄性や生分解性等の観点から、0より大きく、エチレンオキサイドの平均付加モル数であるx3とx4の和より小さい数であり、好ましくは0.5〜6、より好ましくは1〜5の数である。
【0042】
一般式(IV)で表される化合物において、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示すx5及びx8はそれぞれ1以上の数であり、x6とx7の和は1以上の数で、水との相溶性の観点から、x5とx6とx7とx8の和は4以上の数である。またx5とx6とx7とx8の和が20を越えても洗浄性能は変わらないが、排水処理や発泡抑制等の観点から、x5とx6とx7とx8の和は、好ましくは20以下の数であり、さらに好ましくは6〜15の数である。また、一般式(IV)で表される化合物のプロピレンオキサイドの平均付加モル数y3, y4, y5はそれぞれ0以上であり、y3+y5≧0.1、好ましくはy3+y5≧1である。y3とy4とy5の和は、洗浄性や生分解性等の観点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数であるx5とx6とx7とx8の和より小さい数であり、好ましくは 0.5〜6、より好ましくは1〜5の数である。
【0043】
一般式(V)において、R5は、好ましくは炭素数が6〜12、更に6〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R5が炭素数6〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはオキシエチレン基の平均付加モル数zは1〜10、R5が炭素数9〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはオキシエチレン基の平均付加モル数zは4〜10である。さらにより好ましくは、R5が炭素数6〜7の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはzは2〜8、R5が炭素数が8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはzは4〜8である。
【0044】
また、成分(d)のうち、アルキル(アルキル基の炭素数5〜12)フェノールのアルキレンオキサイド付加物も上記範囲のHLBとなるようにアルキレンオキサイドを付加したものが好ましい。アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましく、特にエチレンオキサイドを含むことが好ましい。エチレンオキサイドの平均付加モル数は6〜15が好ましい。
【0045】
[任意成分]
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、必要に応じて、成分(a)以外のアルカリ剤を含有することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられる。2種以上のアルカリ剤を組み合わせても良い。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0046】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(b)以外のキレート剤を含有することができる。
【0047】
キレート剤は汚れ中の金属原子と結合してこれを除去することにより洗浄効果を高める役割を担うと考えられる。
【0048】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物では、成分(a)及び成分(b)の重量比(a)/(b)は、洗浄性と焼鈍後の鋼帯の密着度低減を両立する観点から、好ましくは、4/1〜70/1、より好ましくは、4/1〜40/1、更に好ましくは、4/1〜8/1である。
【0049】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物では、成分(a)と成分(b)の含有量は、両者の合計で、洗浄性、焼鈍後の鋼帯の密着度低減及び組成物の安定性を並立する観点から、好ましくは、0.1〜26重量%、より好ましくは、0.5〜24重量%、更に好ましくは、1〜24重量%である。
【0050】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物では、成分(a)と成分(c)の重量比(a)/(c)は、組成物の安定性を確保する観点から、好ましくは、60/1〜5/1、より好ましくは、50/1〜7/1、更に好ましくは、40/1〜10/1である。
【0051】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物では、成分(d)の含有量は、洗浄性を向上させ、また組成物の発泡を抑えて良好な使用性を得る観点から、0.01〜30重量%が好ましく、0.01〜10重量%が更に好ましく、0.02〜5重量%が特に好ましい。
【0052】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、そのまま或いは水等で希釈して使用されるが、使用時の組成物(原液ないし希釈液)中の(a)と(b)の合計量の濃度は、被洗浄物の種類や汚れの種類により異なるが、鋼帯の洗浄性向上と焼鈍後の鋼帯の密着度低減を両立する観点から、0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜7重量%がより好ましく、0.5〜5重量%が更に好ましく、0.5〜4重量%が更により好ましく、1〜3重量%が更に好ましい。この範囲であれば洗浄性と焼鈍後の鋼帯の密着度低減効果が良好となり、設備腐食も防止できる。
【0053】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、成分(a)及び成分(b)、更にその他の成分を含有する1剤型の組成物、特に成分(a)及び成分(b)、更にその他の成分を含有する水溶液からなることが好ましい。
【0054】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、鋼帯の洗浄性向上と密着低減性を両立する観点から、少なくとも40℃で、更に40〜50℃で水溶液の状態であることが好ましい。本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は、50℃以上の温度で各成分を混合して製造し、50℃以上で保管することができる。また、成分(c)の存在下、成分(a)と成分(b)の合計量が26重量%以下、更に24重量%以下で、各成分を混合して40〜50℃で水溶液の状態である組成物として得ることができる。ここで、水溶液とは、水を溶媒とする溶液であり、溶液とは1つ以上の物質が他の物質に溶解した混合物で、均一な液体状態にあるものを指し、懸濁液のようにコロイド粒子が溶媒中に分散しているものは含まない。
【0055】
[鋼帯の製造方法]
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物を使用した好ましい鋼帯の製造方法について説明する。
【0056】
通常、鋼帯の製造は、冷間圧延工程→洗浄工程→バッチ式焼鈍工程→メッキ工程→化成処理工程、等の工程を経て行われる。このうち、洗浄工程は、一般に、予備洗浄(浸漬洗浄・スプレー洗浄)→電解洗浄→ブラシ洗浄→リンスといった工程を含む。洗浄工程における鋼帯用洗浄剤組成物の添加方法は、一液型洗浄剤の場合、洗浄タンクに水と原液(一液型洗浄剤)を添加して混合・希釈して用いる。濃度管理は一液型洗浄剤の場合はアルカリ濃度で管理する。添加剤はアルカリ剤と別々に洗浄タンクに添加して用いる。アルカリ剤はアルカリ濃度、添加剤は主に非イオン界面活性剤濃度で管理する。洗浄は、40〜90℃の温度範囲で行われる。また、洗浄時間は、一般洗浄ラインの場合、浸漬洗浄0.5〜5秒、スプレー洗浄0.5〜5秒、電解洗浄0.5〜5秒、ブラシ洗浄0.5〜5秒、リンス0.5〜5秒の範囲で行われる。本発明の鋼帯用洗浄剤組成物もこのような通常の洗浄工程に使用することができる。
【0057】
焼鈍工程は、目的によって幾分相違した焼鈍方法により行われるが、一般には完全焼鈍と称し、鋼帯を焼鈍炉に入れ800℃〜900℃に加熱し一定時間保持した後に、400℃後前後まで炉中徐冷した後引き出して空冷する。
【0058】
冷間圧延鋼帯はその表面が極めて平滑なため、高温で焼鈍されると鋼帯表面が極めて熔着(密着=焼き付き)しやすい。高温で冷間圧延鋼帯をバッチ式で焼鈍する場合、焼鈍前に鋼帯を珪酸塩液中で電解洗浄する等して鋼帯表面にシリコンを電着すれば鋼帯同士の接触面積を減らすことができるため熔着(密着=焼き付き)を防止できると考えられる。本発明の鋼帯用洗浄剤組成物は珪酸塩に一定量のグルコン酸及び/又はその塩を加えることで、鋼帯の電解洗浄後の電着シリコンによる密着低減効果を更に大きくすることができる。
【0059】
本発明の鋼帯用洗浄剤組成物及び鋼帯製造方法は、特に、タイトコイルのバッチ式焼鈍において好適に用いられる。
【実施例】
【0060】
〔I〕鋼帯用洗浄剤組成物の調製
(I−1)実施例1〜15及び比較例1〜7
室温下(25℃)で水に表1の成分(b)を溶解させる。次に室温下で表1の成分(c)と成分(d)を添加して混合(攪拌)溶解させる。更に、50〜80℃で溶解させた(結晶析出のない)状態の成分(a)(オルソ珪酸ソーダ;30%固形分濃度の水溶液、日本化学工業品)又は水酸化ナトリウムを添加して混合(攪拌)により透明一剤型の鋼帯用洗浄剤組成物を調製した。ただし、比較例6は、攪拌後に2層分離した状態であった。
【0061】
(I−2)比較例8
水に成分(b)を溶解させたものに、ポリアクリル酸ナトリウムの水溶液(40%固形分)を混合し攪拌させた後、組成物中の濃度が40重量%となるように水酸化ナトリウムを混合させて行き、成分(b)、ポリアクリル酸ナトリウム、水酸化ナトリウムを含有する懸濁液とし、更に成分(d)をホモジナイザー(回転数12000rpm)を用いて剪断をかけながら攪拌混合し、スラリー状の一剤型の鋼帯用洗浄剤組成物を調製した。
【0062】
〔II〕評価
表1、2の鋼帯用洗浄剤組成物の1000gをポリスチレン容器に入れ、40℃で2ヶ月保管した後、前記容器の下部から組成物の下層分を20g採取し、その中から必要量を採取し水により3〜30倍に希釈した後、下記方法で鋼帯の洗浄試験(脱脂性)および密着性試験を行った。また、上記保存後の組成物の様子を観察し、保存安定性を評価した。結果を表1、2に示す。
【0063】
(II−1)洗浄性(脱脂性)の評価
(1)洗浄試験手順
表1、2の鋼帯用洗浄剤組成物を表1、2の希釈倍率で希釈した洗浄液(以下、試験洗浄液という)を調製し、80℃又は40℃の試験洗浄液に鋼帯を1秒間浸漬し、その後続けて電流密度5A/dm2で鋼帯電位を負から正にそれぞれ0.5秒ずつ一度切り替えて電解洗浄し、その後水でリンスを行い乾燥した。
【0064】
(2)鋼帯
平均油分付着量 140mg/m2の冷間圧延鋼帯を25mm×50mmの大きさに切断して用いた(以下、鋼帯片という)。
【0065】
(3)残存油分付着量測定方法
洗浄性は洗浄試験後の鋼帯片表面の残存油分付着量により評価した。鋼帯片表面の残存油分付着量は、全て金属板付着油分量測定装置(EMIA-111/堀場製作所製)を用いて測定した。測定値は5回測定の平均値である。洗浄性は脱脂性の評価であり、その判定基準は、残存付着油分量が10mg/m2以上は不良(×)、3mg/m2以上10mg/m2未満は良(○)、3mg/m2未満は優良(◎)とした。
【0066】
(II−2)密着性の評価
洗浄性で用いたのと同一の鋼帯を20mm×50mmの大きさに切断して用いた(以下、鋼帯片という)。この鋼帯片を、先ず溶剤浸漬(n-ヘキサン、室温中、10秒間)して洗浄し、次いで洗浄性の評価で行った洗浄試験手順に基づいて電解洗浄した。電解洗浄後の鋼帯片の電着Si量と鋼帯片の密着強度を測定した。
【0067】
(1)電着Si量の測定
蛍光X線分析装置で、洗浄後の鋼帯片のSiの強度を測定し、予め作成した検量線を用いて鋼帯片1m2当たりのSi付着量を求めた。
【0068】
(2)密着強度の測定
洗浄後の鋼帯片を20mm×30mmが重なるように、一対毎にスペーサーを入れ、図1に示すようにホルダーにセットし、スタックで面圧Pが50kg/cm2になるように加圧した後、焼鈍炉に装入し焼鈍した。焼鈍終了後(放冷終了後)、図2に示すように上下2枚の鋼帯片を反対方向に引っ張り、剥離強度Tを測定した。なお焼鈍条件は以下の通りである。
<焼鈍条件>
焼鈍雰囲気:N2ガス+H2ガス(H2ガス:5体積%)
焼鈍温度:700℃
昇温時間:2時間
焼鈍時間:1時間
放冷時間:10時間
【0069】
(III)保存安定性の評価
表1、2の鋼帯用洗浄剤組成物(希釈前の組成物)を40℃で2ヶ月間保管した後の組成物の外観等を観察した。外観に変化がなく相分離がないものを「なし」、相分離が生じるものを「あり」とした。の比較を行った。また、増粘と固化が生じないものを「なし」、増粘及び/又は固化が生じるものを「あり」とした。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
表中、記号は以下のもの(以下においてEOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、モルは平均数である)を意味する。
・d−1:下記合成例1で得られた非イオン界面活性剤
・d−2:ドデカノールEO7モルPO1.5モルEO7モルブロック付加物
・d−3:2−エチルヘキサノールのEO4モル付加物
・d−4:2級ドデカノールEO12モルPO3モルブロック付加物
・d−5:オクチルフェノールEO10モル付加物
【0073】
<合成例1>
エチレンオキサイド用とプロピレンオキサイド用の2つの計量槽の付いた5リットルの回転攪拌式オートクレーブ中に平均炭素数が12の2級アルコールにエチレンオキサイドを3モル付加させたエトキシレート化合物(商品名「ソフタノール30」、(株)日本触媒製)を1012g、水酸化カリウムを3.0g仕込み、窒素置換を行った後、110℃に昇温し、5.33kPaで1時間脱水を行った。次に150℃に昇温し、エチレンオキサイドを343kPaの圧力で267gオートクレーブ中に導入し、圧力が低下して一定になるまで反応させた後、120℃に冷却してプロピレンオキサイド352gをオートクレーブ中に343kPaの圧力で導入し、エチレンオキサイドの場合と同様に圧力が低下し、一定になるまで反応させた。その後、再び150℃に昇温し、エチレンオキサイドを668g導入し、圧力が低下して一定になるまで反応させた。反応終了後、温度を低下させて合成したサンプルを抜き出し、触媒を酢酸で中和して約2.3kgの非イオン界面活性剤(平均分子量:760)を得た。得られた非イオン界面活性剤は、一般式 R2-O-(EO)x1-(PO)y1-(EO)x2-Hにおいて、R2が総炭素数12の2級アルキル基、x1が5、x2が5、y1が2である化合物であった。
【0074】
なお、実施例1〜3、5〜13の鋼帯用洗浄剤組成物は、保存安定性の評価において、全て相分離、増粘、固化が生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例、比較例で、焼鈍を行うときの鋼帯片の設置状況を示す概略図である。
【図2】実施例、比較例で、焼鈍を行った後の鋼帯片の剥離強度を測定する方向を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪酸塩(a)、グルコン酸及び/又はその塩(b)、並びに水を含有するバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)及び(b)の重量比が(a)/(b)=4/1〜70/1である請求項1記載のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)及び(b)を合計量で0.1〜26重量%含有する請求項1又は2記載のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物(c)を含有する請求項1〜3の何れか1項記載のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物。
1−X−(CH2mCOOM1 (1)
2−COOM2 (2)
3−COOM3 (3)
〔式中、R1は炭素数4〜22の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基を示し、Xは基 >NH、>N(CH2nCOOM1又は>CHCOOM1を示す。R2は炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の直鎖の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜18の芳香族炭化水素基を示す。R3は炭素数4〜22の飽和もしくは不飽和の分岐鎖の脂肪族炭化水素基を示す。M1、M2、M3はそれぞれ水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜4の脂肪族アミン、アンモニア又はアルカノールアミンを示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示す。〕
【請求項5】
さらに、炭素数4〜24のアルコールのアルキレンオキサイド付加物、及びアルキル(アルキル基の炭素数5〜12)フェノールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる一種以上である非イオン界面活性剤(d)を含有する請求項1〜4の何れか記載のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物。
【請求項6】
電解洗浄工程の後に、バッチ式焼鈍工程を有する鋼帯製造方法であって、請求項1〜5の何れか記載のバッチ式焼鈍鋼帯用洗浄剤組成物を電解洗浄工程で使用する鋼帯製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−270287(P2007−270287A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98094(P2006−98094)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】