説明

バッテリパック寿命を延長させるためのインテリジェント温度制御システム

【課題】自動車が停止された後に電気自動車のバッテリパックをアクティブに冷却し、それにより、バッテリ寿命に対する温度の悪影響を制限する方法および装置を提供すること。
【解決手段】異なるバッテリパック冷却技法が提供され、そのため、特定の場合に使用される冷却技法が、バッテリパックの熱的ニーズに基づくだけでなく、選択される手法の熱容量およびエネルギー要件にも基づいて選択されることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電気自動車に関し、より詳細には、電気自動車のエネルギー貯蔵システムの温度を効率的に制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
著しく多くのパーセンテージの世界の自動車が、内燃機関を使用してガソリンで走行する。こうした自動車の使用、より具体的には、化石燃料、たとえば、ガソリンに依存する自動車の使用は2つの問題を生じる。第1に、こうした燃料の規模が有限であるため、また、地域的利用可能性が制限されるため、ガソリンのコストにおける大きな価格変動およびほぼ上向きの価格付け傾向が一般的であり、共に、消費者レベルでの劇的な影響を及ぼし得る。第2に、化石燃料の燃焼は、二酸化炭素、温室効果ガスの主要な発生源のうちの1つであり、そのため、地球温暖化に対する主要な寄与物のうちの1つである。相応して、個人用自動車と商業用自動車の両方で使用するための代替のドライブシステムを見出すことにかなりの努力が費やされてきた。
【0003】
電気自動車は、内燃ドライブトレインを使用する自動車に対する最も有望な代替法のうちの1つを提供する。しかし、うまくいくためには、電気自動車は、性能、走行距離、信頼性、寿命、およびコストに関する消費者の期待に応えなければならない。これらの期待は、次に、電気自動車の充電式バッテリのデザインおよび構成にかなりの重要性を置く。それは、バッテリが、現在のところ、電気ドライブトレインに関連する最も費用のかかるコンポーネントのうちの1であると共に、自動車の走行距離に対する主要な制限のうちの1つであるからである。さらに、バッテリ寿命の制限は、自動車の長期信頼性に直接影響を及ぼし、高いバッテリ置換コストによって明らかに悪化する問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相応して、当技術分野で必要とされるものは、過度の付加コストを招くことなく、バッテリパックの寿命を延長する手段である。本発明はこうした手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動車が停止された後に電気自動車のバッテリパックを能動的に冷却することによって、バッテリ寿命に対する温度の悪影響を制限する。好ましくは、バッテリパックが充電源に接続されていなくても、能動的冷却が提供される。本発明によれば、異なるバッテリパック冷却技法が提供され、そのため、特定の場合に使用される冷却技法が、バッテリパックの熱的ニーズに基づくだけでなく、選択される手法の熱容量およびエネルギー要件にも基づいて選択されることが可能になる。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、電気自動車用の熱管理システムが開示され、システムは、ESS、ESSに熱的に連通しかつ冷却液ループ内の冷却液および冷却液ポンプを含む冷却システム、ならびに、冷却システムに結合され、かつ、冷却システムに対する制御を提供する温度制御システムからなる。温度制御システムは、自動車のオン/オフ状態を監視する自動車状態モニタと、ESSに熱的に連通する少なくとも1つの温度センサと、ESSの温度をプリセット温度と比較する比較器回路と、比較器回路からの出力に基づいて冷却システムに制御信号を供給する冷却システムコントローラとを含む。冷却システムはさらに、冷却液ループに結合するラジエターを備えてもよい。冷却システムはさらに、冷却液ループに結合するラジエターと、ラジエターを通して空気を流すブロワーファンを備えてもよい。熱管理システムはさらに、独立の冷凍システムと、冷凍システムと冷却システムの両方に熱的に連通する熱交換器とを備えてもよい。プリセット温度は、ある範囲の温度を含んでもよく、冷却システムコントローラは、ESS温度がプリセット温度範囲内にある場合、1つの冷却技法、たとえば、冷却ループを通した冷却液の圧送を起動させ、ESS温度がプリセット温度範囲より高い場合、代替の技法、たとえば、冷却液圧送および冷凍システム動作を起動させてもよい。熱管理システムはさらに、SOCセンサを備えてもよく、冷却システムコントローラは、測定されたSOCが、プリセット目標SOCより小さい場合、冷却システムに停止信号を出力する。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、電気自動車の電気パワートイレインに結合したESSの温度を制御する方法が開示され、方法は、a)自動車の動作状態を監視するステップを含み、自動車がオフ状態にある場合、方法は、b)現在のESS温度を確定するステップと、c)現在のESS温度をプリセット温度範囲と比較するステップと、d)現在のESS温度がプリセット温度範囲内にある場合、第1ESS冷却システム実施態様を起動させるステップと、e)現在のESS温度がプリセット温度範囲より高い場合、第2ESS冷却システム実施態様を起動させるステップと、f)現在のESS温度がプリセット温度範囲より低い場合、ESS冷却を終了するステップと、g)現在のESS温度がプリセット温度範囲より低くなるまで、ステップb)からステップf)を繰返すステップで継続される。少なくとも1つの実施形態では、第1ESS冷却システム実施態様は、第2ESS冷却システム実施態様に比べて、低い熱容量を有し、動作するのに少ない電力を必要とする。少なくとも1つの実施形態では、第1および第2のESS冷却システム実施態様は、冷却液ループを通し、また、熱交換器を通して冷却液を圧送するステップをさらに含み、冷却液ループはESSに熱的に連通し、第2ESS冷却システム実施態様はさらに、熱交換器に熱的に連通する冷凍システムを動作させるステップを含む。方法はさらに、ESSについて現在のSOCを確定するステップと、現在のSOCをプリセット目標SOCと比較するステップと、現在のSOCがプリセット目標SOCより低い場合、ESS冷却を終了させるステップとを含む。
【0008】
本発明の性質および利点のさらなる理解は、本明細書および図面の残りの部分を参照して認識されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】セル電圧および放電容量に対する温度の影響をグラフで示す図である。
【図2】バッテリ容量に対する温度サイクルの影響をグラフで示す図である。
【図3】バッテリ寿命に対する貯蔵温度の影響をグラフで示す図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によってデザインされたESS冷却システムに関わる主要な自動車サブシステムの高レベル図である。
【図5】本発明によるESS冷却システムの一実施形態の略図である。
【図6】本発明によるESS冷却システムの代替の実施形態の略図である。
【図7】単一冷却技法が使用される一実施形態の方法を示す図である。
【図8】2重冷却技法を利用する代替の方法を示す図である。
【図9】マルチモード冷却手法を利用する代替の方法を示す図である。
【図10】ESS SOC監視ステップを付加された、図7に示す方法と同様の代替の方法を示す図である。
【図11】ESS SOC監視ステップを付加された、図8に示す方法と同様の代替の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の記載において、用語「バッテリ(battery)」、「セル(cell)」、および「バッテリセル(battery cell)」は、交換可能に使用されてもよく、また、限定はしないが、リチウムイオン(たとえば、リチウム鉄燐酸塩、リチウムコバルト酸化物、他のリチウム金属酸化物など)、リチウムイオンポリマー、ニッケル金属水素化物、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、銀亜鉛、または他のバッテリタイプ/構成を含む、種々の異なる充電式セル化学物質および構成のうちの任意のものを指してもよい。本明細書で使用される用語「バッテリパック(battery pack)」は、単一ピースまたは複数ピースハウジング内に収容される複数の個々のバッテリを指し、個々のバッテリは、特定の用途について所望の電圧および容量を達成するために電気的に相互接続される。用語「エネルギー貯蔵システム(energy storage system)」および「ESS」は、交換可能に使用され、また、バッテリまたはバッテリパックなどの、充放電する能力を有する電気エネルギー貯蔵システムを指してもよい。本明細書で使用される用語「EV」は、全ての電気自動車を指す。用語「ハイブリッド(hybrid)」、「ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle)」、および「HEV」は、交換可能に使用され、また、2重推進システムを使用する自動車を指してもよく、2重推進システムの一方は電気モータであり、他方は燃焼機関である。用語「プラグインハイブリッド自動車(plug-in hybrid vehicle)」および「PHEV」は、交換可能に使用され、また、オンボードバッテリを充電するために、パワーグリッドなどの外部電力源にプラグインされ得るハイブリッド自動車を指してもよい。本明細書で使用される用語「電気自動車(electric vehicle)」は、EV、HEV、またはPHEVを指す。最後に、複数の図に関して使用される同一の要素シンボルは、同等の機能の1つまたは複数の同じコンポーネントを指す。
【0011】
図1〜3は、バッテリ性能に対する温度の悪影響を示す。異なるバッテリパック、たとえば、異なるセル化学物質を使用するバッテリパックは、図1〜3に示すプロファイルと異なるプロファイルを示すことになること、また、これらの図は、制限的でなく、例示的であることを意味されるだけであることが理解されるべきである。
【0012】
図1は、例示的なバッテリのセル電圧および放電容量に対する温度の影響を示すグラフである。図において、曲線101は40℃の温度に相当し、曲線103は30℃の温度に相当し、曲線105は20℃の温度に相当する。図示されたように、20℃から40℃までの動作温度の上昇は、放電容量を激的に改善し、こうしたバッテリパックを使用する電気自動車についてのドライビング走行距離の改善をもたらし得る。温度の上昇はまた、インピーダンスを低減し、より速い加速を可能にする。しかし、高温での動作の欠点は、こうした温度がバッテリ寿命に及ぼす影響、特に、バッテリ寿命の短縮である。高温についての別の悪影響は、温度が上昇するにつれて、バッテリが、通常、回復不能なより大きな容量損失を示すことになることである。このバッテリ特性は、図2に示され、図2において、曲線201は、35℃で温度サイクルをかけたバッテリパックについてのものであり、曲線203は、55℃で温度サイクルをかけたバッテリパックについてのものである。図示するように、バッテリの貯蔵温度を減少させることによって、より多くの温度サイクルにわたって高い容量を保持することができる。この同じ影響は、異なる方法で図3に示され、図3において、放電容量は、バッテリ貯蔵時間の関数としてグラフ化される。この図が示すことは、0℃の貯蔵温度において、バッテリ寿命の低下は非常に小さく(曲線301)、20℃の貯蔵温度において、影響が少し顕著であり(曲線303)、40℃の貯蔵温度において、容量の低下は、おそらく一部の用途については許容可能であるがより顕著であり(曲線305)、一方、60℃の貯蔵温度において、バッテリ寿命低下は、制限されたほとんどの用途の場合を除いて、急激過ぎて許容可能でない(曲線307)ということである。
【0013】
バッテリ寿命に対する温度の悪影響を制限するために、自動車が停止(turned off)された後に、すなわち、キーまたは他のオン/オフコントロールスイッチが「オフ(off)」位置に回された後に、本発明は、電気自動車のバッテリパックをアクティブに冷却し続ける。本発明の好ましい実施形態では、自動車が、充電用電力源に接続されていなくても、アクティブ冷却が継続する。
【0014】
図4は、本発明の好ましい実施形態によってデザインされたESS冷却システムに関わる一次自動車サブシステムの高レベル図である。自動車は、本発明の機能を依然として保持しながら、他のシステム構成を利用し得ることが理解されるであろう。図示するように、システム400は、電力エレクトロニクスモジュール405を介して自動車推進電気モータ403に結合した電気エネルギー貯蔵システム(ESS)401を含む。好ましい実施形態では、ESS401はバッテリパックからなる。モータ403は、単一の電気モータまたは複数の電気モータであり、また、任意のタイプの電気自動車、すなわち、EV、HEV、またはPHEVにおいて使用され得る。電力エレクトロニクスモジュール405は、モータ403に送出される電力が所望の電圧、電流、波形などを有することを保証するのに使用される。そのため、たとえば、電力エレクトロニクスモジュール405は、好ましくは、DC-AC変換器を含む。電力エレクトロニクスモジュールは、受動的電力デバイス(たとえば、過渡フィルタリングキャパシタおよび/またはインダクタ)、能動的電力デバイス(たとえば、半導体および/または電気機械スイッチングデバイス、回路保護デバイスなど)、検知デバイス(たとえば、電圧、電流および/または電力フローセンサなど)、ロジック制御デバイス、通信デバイスなどからなってもよいことが理解されるべきである。ESS401には、温度制御システム409の制御下でESS冷却サブシステム407が結合される。少なくとも1つの実施形態では、ESS冷却サブシステム407は、温度管理システム内でESS加熱サブシステム411と組み合わされる。
【0015】
図5は、本発明の好ましい実施形態による熱管理システム500を概略的に示す。システムは、熱交換器505を介して冷凍サブシステム503に結合したESS冷却サブシステム501を含む。本明細書では詳細に述べられないが、電気自動車用の熱管理システムはまた、通常、加熱、換気、および冷却(heating, ventilation and cooling)(HVAC)サブシステム、ならびに、たとえば、その開示が任意のまた全ての目的のために本明細書に組み込まれる、2007年4月11日に出願された共係属中の共譲渡された米国特許出願第11/786,108号に記載されるパワートレイン冷却サブシステムを含むことになることが理解されるべきである。
【0016】
好ましくは、冷凍サブシステム503は、当業者によってよく知られているように、標準的な冷凍サブシステムである。したがって、冷凍サブシステム503は、圧縮器507、凝縮器509、ファン511、感温膨張弁513、ドライヤ/セパレータ515、および熱交換器505を具備している。圧縮器507は、サブシステム内の低温冷媒蒸気を圧縮して高温蒸気にする。冷媒蒸気は、その後、凝縮器509を通過するときに、捕捉した熱の一部分を消散させ、それにより、蒸気から液体への相変化がもたらされ、液体は高温でかつ高圧のままとなる。好ましくは、凝縮器509の性能は、図示するブロワーファン511を使用することによって強化される。液相冷媒は、その後、熱膨張弁513を通過し、熱膨張弁513は、冷媒の温度と圧力を共に下げると共に、熱交換器505内への冷媒の流量を制御する。熱交換器505は、サブシステム503内に含まれる冷媒と、ESS冷却サブシステム501または他の熱サブシステム、たとえば、HVACまたはドライブトレイン冷却サブシステム内に含まれる冷却液との間で熱を伝達させる単純な手段を提供する。熱交換器505で加熱された後、冷媒は、ドライヤ/セパレータ515によって液相および蒸気相に分離され、その後、蒸気だけが圧縮器507を通過することを保証する。冷凍サブシステム503は好適であるが、本発明は、他の冷凍サブシステム構成を利用し得ることが理解されるべきである。好ましくは、どんな冷凍サブシステム構成が使用されても、その冷凍サブシステム構成は、本明細書で述べるように、バッテリ冷却サブシステムと協調して使用され得る熱交換器を含む。
【0017】
ESS冷却サブシステム501は、冷却液、すなわち、熱伝達媒体を含む冷却液ループ517に結合したESS401を含む。通常の電気自動車では、冷却液は、たとえば、循環ポンプ519によってバッテリパックに結合された熱伝達板(図示略)によって、ESS401を通して圧送される。ESS401から熱を取り出した後、冷却液が、冷却液ループ517を通して循環するため、冷却液は、熱交換器505内の冷媒との熱伝達によって冷却される。好ましくは、バッテリ冷却サブシステムはまた、冷却液リザーバ521を含む。さらに、本発明の少なくとも1つの実施形態では、また、先に述べたように、冷却液ループ517はまた、加熱器523(たとえば、PTC加熱器)に熱的に結合し、そのため、ESS401の温度が、周囲温度によらず、好ましい動作範囲内に維持され得ることを保証する。
【0018】
冷凍サブシステム503によってESS冷却サブシステム501に供給される冷却の量を制御する多数の方法が存在することが理解されるであろう。一手法は、弁の使用によるもので、たとえば、冷却液ループ517内の弁が使用されて、ESS冷却サブシステム501を通る冷却液の流量、そのため、熱交換器505によって達成される冷却レベルが制御され得る。あるいは、冷却液循環ポンプ519の速度を変えることによって、冷却の程度が変えられ得る。
【0019】
図6は、本発明による熱管理システムの代替の実施形態を示す。システム600は、冷却液ループ517に結合したラジエター601が追加されていることを除いてシステム500と同じである。ラジエター601は、ループ517内の冷却液を冷却するさらなる手段を提供し、それにより、熱交換器505および冷凍サブシステム503にかかる熱負荷を低減する。好ましくは、ラジエター601の性能は、図示するブロワーファン603を使用することによって高められる。
【0020】
図7は、本発明の一実施形態の方法を示す。自動車が停止される(ステップ701)と、自動車状態モニタ413は、適切な信号を温度制御システム409に送信する。温度制御システム409は、その後、温度センサ415を使用して、ESS401の温度を確定する(ステップ703)。好ましくは、センサ415は、熱電対であるが、他のタイプのセンサが使用され得ることが理解されるであろう。さらに、図4は単一センサ415を示すだけであるが、一部の実施形態では、複数のセンサ415が使用され、これらのセンサがESS401全体にわたって配置されることが理解されるべきである。好ましくは、複数のセンサ415が使用される場合、平均温度または監視された最も高い温度が、後続の処理ステップ中に、温度制御システム409によって使用される。
【0021】
ESS温度を確定した後、温度制御システム409は、たとえば、単純な比較器回路417を使用して、監視されるESS温度を目標温度と比較する(ステップ705)。通常、目標温度は、自動車の製造業者によって設定されることになる。好ましくは、目標温度は、20℃〜55℃の範囲に設定され、より好ましくは、目標温度は、20℃〜40℃の範囲に設定され、なおより好ましくは、目標温度は、20℃〜30℃の範囲に設定され、さらになおより好ましくは、目標温度は、20℃〜25℃の範囲に設定され、さらになおより好ましくは、目標温度は、20℃に設定される。監視されたESS温度が目標温度以下である場合、温度制御システム409の冷却システムコントローラ419は、バッテリ冷却システムを停止する(ステップ707)。監視されたESS温度が目標温度より高い場合、温度制御システム409の冷却システムコントローラ419は、バッテリ冷却システムを動作し続ける(ステップ709)。このプロセスは、監視されるESS温度が目標温度以下になるまで続く(ステップ711)。
【0022】
ESS401の温度を下げ、それにより、バッテリ寿命を延長することに加えて、本発明はまた、ESS内のホットスポットまたは大きな温度不一致を、完全になくすわけではない場合、制限するのに役立つ。本発明がない状態では、自動車が停止されたときに冷却システムが動作を停止する場合、ESSの外側表面がESSのコアより速いレートで通常冷却するため、ESSは、ホットスポットを急速に生じることになることが理解されるであろう。そのため、たとえば、ESS401がバッテリパックからなる場合、バッテリパックのコア内に収容されたバッテリは、パックの周囲に沿ったバッテリより熱くなることになる。これは、次に、内側バッテリが、外側バッテリに比較して、加速したレートで劣化することをもたらし得る。自動車が停止された後、冷却システムを動作させ続けることによって、先に述べたように、ESS全体が、ほぼ同じレートで冷えることになる。
【0023】
本発明は、ESS401を冷却するためのいくつかの異なる技法のうちの任意の技法を利用し得る。単独でまたは互いに組み合わせて使用され得る主要な技法は、以下で述べられる。
i)冷却液の流れ-図5に示すシステムを利用する第1技法では、冷却液流体は、冷却液ループ517を通して連続して圧送される。この手法では、冷凍サブシステム503は起動されない。この手法は、ESS401の温度を下げ、バッテリに基づくESSを仮定してセル温度の一貫性を保証するが、明らかに、この手法がESS温度を下げ得る程度は、動作期間後に、冷却液とESS温度がほぼ同じ温度で安定することになるため制限される。
ii)ラジエター-第2技法では、図6に示すシステムが使用される。この手法では、冷却液流体は、冷却液ループ517を通して連続して圧送され、それにより、ラジエター601を通って流れる。この手法では、冷凍サブシステム503は起動されない。好ましくは、システムはブロワーファン603を含み、そのため、ラジエター601からアクティブに熱を取り出す手段を提供する。この手法は、ラジエターなしで達成可能なESS温度より低くなるようESS温度を下げ得るが、この手法が温度を下げ得る程度はやはりある程度制限されることが評価されるであろう。
iii)冷凍サブシステム-第3技法では、図5に示すシステムが使用される。この手法では、冷却液流体は、冷凍サブシステム503を同時に動作させながら、冷却液ループ517を通して連続して圧送される。
iv)冷凍サブシステムおよびラジエター-第4技法では、図6に示すシステムが使用される。この手法では、冷却液流体は、冷凍サブシステム503を同時に動作させながら、冷却液ループ517を通して連続して圧送される。冷凍サブシステム503は、主要な冷却源であるが、ラジエター601は、単独でまたはブロワーファン603と組み合わせて、ESS401から熱の少なくとも一部分を取り出し、それにより、冷凍サブシステムにかかる熱負荷を低減することが理解されるであろう。
【0024】
本発明の一実施形態では、ESS冷却が必要とされると温度制御システム409が判定すると、監視されるESS温度によらず、上述した冷却技法の1つが使用される。この実施形態で使用される冷却技法はプリセットされる。代替の実施形態では、温度制御システム409は、ESS温度に基づいて、適用される冷却技法を確定する。この手法は図8に示される。図示するように、ESS温度を確定した(ステップ703)後、温度制御システム409は、その温度を目標温度範囲と比較する(ステップ801)。監視されたESS温度が目標温度範囲より低い場合、ESS冷却システムは停止される(ステップ803)。監視されたESS温度が目標温度範囲内にある場合、第1のタイプの冷却が使用され(ステップ805)、たとえば、上述したように、ラジエター601に好ましくは結合したループ517を通して冷却液が圧送される。ESS温度は、監視されるESS温度が目標温度範囲より低くなるまで連続して監視される(ステップ807)。監視されたESS温度が目標温度範囲より高い場合、温度制御システム409は、第2の高熱容量冷却システムの動作を始動し(ステップ809)、たとえば、冷凍サブシステム503を同時に動作させながら、ループ517を通して冷却液が圧送される。全体のプロセスは、監視されるESS温度が目標温度範囲より低くなるまで継続する(ステップ811)。
【0025】
図7に示す実施形態は単一冷却技法を使用するだけであり、図8に示す実施形態は2つの冷却技法、すなわち、低/高冷却を使用するだけであるが、本発明のシステムは、同様に3つ以上の技法と共に使用され得ることが理解されるであろう。ESS温度に基づいて複数の冷却技法を使用する主要な利点は、使用される冷却量が、ESS401の冷却要件に対して調節され得ることである。これは、次に、総合システム効率、そのため、制限されたESS資源の効率的な使用を最大にする。それは、種々の冷却技法のエネルギーニーズが、一般に、冷却容量の増加と共に増加するためである。
【0026】
図9は、例示的なマルチステージ手法を示し、それにより、図7および8に示す手法に比べてシステム効率の改善が達成される。図示するように、ESS温度を確定した(ステップ703)後、温度制御システム409は、その温度を第1目標温度範囲と比較する(ステップ901)。監視されたESS温度が第1目標温度範囲より低い場合、ESS冷却システムは停止される(ステップ903)。監視されたESS温度が第1目標温度範囲内にある場合、最低熱容量冷却システムが使用され(ステップ905)、たとえば、上述したように、ラジエター601に結合したループ517を通して冷却液が圧送されるだけである。監視されたESS温度が第1目標温度範囲より高い場合、温度制御システム409は、測定されるESS温度を第2目標温度範囲と比較する(ステップ907)。監視されたESS温度が第2目標温度範囲内にある場合、中間熱容量冷却システムが使用され(ステップ909)、たとえば、ループ517を通して冷却液を圧送することに加えて、ブロワーファン603がターンオンされる。監視されたESS温度が第2目標温度範囲より高い場合、温度制御システム409は、高熱容量冷却システムの動作を始動し(ステップ911)、たとえば、冷凍サブシステム503を同時に動作させながら、ループ517を通して冷却液が圧送される。プロセスは、監視されるESS温度が第1目標温度範囲より低くなるまで制御ループ913〜915を介してループバックされる。
【0027】
本発明の少なくとも1つの好ましい実施形態では、ESS温度を監視することに加えて、温度制御システム409はまた、SOCセンサ421によってESS充電状態(state of charge)(SOC)を監視する。温度制御システム409は、いくつかの方法でこの情報を使用することができ、いくつかの方法が全て、本発明の手法に対してさらなる改良を付加する。
【0028】
一システムでは、制御システム409は、センサ421によってESS401のSOCを監視して、自動車が停止された後、ESS401を能動的に冷却するか否かが判定される。それは、低い充電レベルにおいては、高いバッテリ温度は、高い充電レベルで引起すほどには、バッテリ寿命低下を引起さないからである。図10は、SOCを監視するように変更された、図7に示す方法を示す。必要とされないが、好ましくは、この手法において、自動車が停止された(ステップ701)後、制御システム409は、たとえば充電システム423の状態を監視することによって、システムが、外部充電源に接続された、すなわち、プラグインされたかどうかを判定する(ステップ1001)。システムがプラグインされていると制御システムが判定した場合、少なくとも1つの実施形態では、システムは、ESS負荷が問題にならないため、ESS SOCステップをバイパスし、温度確定ステップに直接進む(ステップ1007)。温度制御システム409は、システムがプラグインされていないと判定する場合、SOCセンサ421を使用してESS401のSOCを確定する(ステップ1003)。監視されたESS SOCがプリセット量より小さい場合、バッテリ冷却システムは停止される(ステップ1005)。一実施形態では、プリセット目標SOCは10%であり、代替の実施形態では、目標SOCは20%であり、さらに代替の実施形態では、目標SOCは30%である。本発明は、特定のプリセット目標SOCに限定されないことが理解されるであろう。監視されるESS SOCがプリセット量より大きい場合、制御システム409は、ESS温度を測定し(ステップ1007)、その温度を目標温度範囲と比較する(ステップ1009)。監視されたESS温度が目標温度以下である場合、ESS冷却システムは、停止される(ステップ1011)。監視されたESS温度が目標温度より高い場合、ESS冷却システムは、動作し続ける(ステップ1013)。このプロセスは、監視されるESS温度が目標温度以下になるか、または、ESS SOCがプリセットSOC目標より小さくなるまで継続する(ステップ1015)。ESS SOC監視ステップはまた、上述され且つ図9および10に示された技法などのマルチステージ冷却技法と共に使用され得ることが理解されるべきである。
【0029】
種々の冷却技法のそれぞれが、ESSシステムに異なる負荷をかけることになる場合、本発明の少なくとも1つの実施形態では、ESS冷却が必要とされるか否かを判定するためにSOC情報を使用することに加えて、SOC情報が使用されてESS温度に応じたどの冷却技法が使用のために利用可能であるかが判定される。たとえば、図11に示すように、自動車が停止された(ステップ701)後、温度制御システム409は、システムが、外部充電源に接続された、すなわち、プラグインされたかどうかを判定する(ステップ1101)。システムがプラグインされていると制御システムが判定する場合、少なくとも1つの実施形態では、システムは、ESS負荷がもはや問題にならないため、ESS SOCステップをバイパスし、温度確定ステップに直接進む(ステップ1121)。しかし、システムが外部電力源にプラグインされていないと温度制御システム409が判定する場合(ステップ1103)、ESS SOCが確定され(ステップ1105)、監視されたSOCがプリセットSOC範囲と比較される(ステップ1107)。本発明は、どの冷却技法が適用されるべきかを判定するときに2つ以上のSOC範囲を使用すること、および、図11に述べまた示す手法が、本発明を制限するのではなく例示することを意味するだけであることが理解されるべきである。一実施形態では、プリセットSOC範囲は10%〜80%であり、代替の実施形態では、プリセットSOC範囲は20%〜60%であり、代替の実施形態では、プリセットSOC範囲は25%〜45%であり、明らかに、他の範囲が、本発明において使用されることが可能であり、また、これらは、例示的な範囲に過ぎない。
【0030】
この実施形態では、監視されたESS SOCがプリセットSOC範囲より低い場合、ESS SOCは、たとえ高温でも、深刻なバッテリ寿命低下が予想されないほど十分に低い。相応して、この状況では、バッテリ冷却システムは停止される(ステップ1109)。ESS SOCがプリセット範囲内にある場合(ステップ1111)、ESS SOCは、バッテリ劣化を制限するために冷却が必要とされるほど十分に高いが、任意の利用可能な冷却技法を利用するほど十分に高くない。この例では、ESS温度が測定され(ステップ1113)、プリセット温度と比較される(ステップ1115)。監視されたESS温度がプリセット目標より低い場合、温度が、深刻なバッテリ劣化を防止するのに十分低いため、冷却システムは停止される(ステップ1109)。監視されたESS温度がプリセット目標より高い場合、比較的低出力の冷却技法が使用され(ステップ1117)、それにより、ESSシステムに対して最小の冷媒を流しながら、ESS温度を下げる。たとえば、このステップでは、冷却液圧送だけ、または、冷却液圧送とブロワーファンの動作の組合せが使用されてもよい。ステップ1107にて、ESS SOCがプリセット範囲より大きいと判定された場合(ステップ1119)、システムは、ESSを冷却するために選択される冷却技法を制限しない。この例では、システムは、図8に関して述べた2つの異なる冷却技法、あるいは、図9に関して述べた3つ以上の異なる冷却技法を使用してもよい。図11に示す手法では、図8の手法と同様の2重冷却技法手法が使用される。図示するように、ESS温度を確定した(ステップ1121)後、温度制御システム409は、その温度を目標温度範囲と比較する(ステップ1123)。監視されたESS温度が目標温度範囲より低い場合、ESS冷却システムは、停止される(ステップ1109)。監視されたESS温度が目標温度範囲内にある場合、第1のタイプの冷却が使用され(ステップ1125)、たとえば、上述したように、ラジエター601に好ましくは結合したループ517を通して冷却液が圧送される。ESS温度は、監視されるESS温度が目標温度範囲より低くなるまで連続して監視される(ステップ1127)。監視されたESS温度が目標温度範囲より高い場合、温度制御システム409は、第2の高熱容量冷却システムの動作を始動し(ステップ1129)、たとえば、冷凍サブシステム503を同時に動作させながら、ループ517を通して冷却液が圧送される。全体のプロセスは、監視されるESS温度が目標温度範囲より低くなるまで継続する(ステップ1131)。
【0031】
当業者によって理解されるように、本発明は、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。相応して、本明細書の開示および説明は、添付特許請求項で述べる本発明の範囲の制限するものではなく、例示するものであることを意図される。
【符号の説明】
【0032】
400 ESS冷却システム
401 ESS
403 電気モータ
405 電力エレクトロニクスモジュール
407 ESS冷却サブシステム
409 温度制御システム
411 ESS加熱サブシステム
423 充電システム
413 自動車状態モニタ
415 温度センサ
417 比較器回路
419 冷却システムコントローラ
421 SOCセンサ
423 充電システム
500、600 熱管理システム
501 ESS冷却サブシステム
503 冷凍サブシステム
505 熱交換器
507 圧縮器
509 凝縮器
511、603 ファン
513 感温膨張弁
515 ドライヤ/セパレータ
517 冷却液ループ
519 循環ポンプ
521 リザーバ
523 加熱器
601 ラジエター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用の熱管理システムであって、該熱管理システムは、
電気自動車パワートレインに結合されて、前記電気自動車パワートレインの電気モータに電力を供給する電気エネルギー貯蔵システム(ESS)と、
前記ESSに熱的に連通する冷却液ループ内に冷却液を含んだ冷却システムであって、該冷却システムはさらに、前記冷却液ループを通して前記冷却液を圧送する冷却液ポンプを含んだ冷却システムと、
該冷却システムに結合した温度制御システムであって、前記冷却システムは、前記温度制御システムの制御下にある温度システムと、を具備し、前記温度制御システムはさらに、
自動車状態モニタであって、該自動車状態モニタは、前記電気自動車が稼動中であるとき第1状態信号を出力し、前記電気自動車が停止中であるとき第2状態信号を出力する自動車状態モニタと、
前記ESSに熱的に連通した少なくとも1つの温度センサであって、少なくとも1つの該温度センサはESS温度を監視している少なくとも1つの温度センサと、
前記ESS温度をプリセット温度と比較する比較器回路であって、該比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセット温度より低いときに第1信号を出力し、前記ESS温度が前記プリセット温度より高いときに第2信号を出力する比較器回路と、
前記冷却システムに結合した冷却システムコントローラであって、該冷却システムコントローラは、前記自動車状態モニタが前記第2状態信号を出力するとき、前記冷却システムに制御信号を出力するよう構成され、前記冷却システムコントローラはさらに、前記比較器回路から前記第1および第2信号を受信するよう構成され、前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが前記第2信号を受信したとき、前記冷却液ポンプを起動させ、前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが前記第1信号を受信したとき、前記冷却液ポンプを停止させる冷却システムコントローラと、を具備していることを特徴とする熱管理システム。
【請求項2】
前記冷却システムは、前記冷却液ループに結合したラジエターをさらに備え、前記冷却液は、前記冷却液ポンプによって前記冷却液ループを通して圧送されるときに、前記ラジエターを通過することを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記冷却システムから独立した冷凍システムと、
前記冷却液ループを介して、前記冷凍システムに熱的に連通し、かつ、前記冷却システムに熱的に連通した熱交換器と、をさらに備え、
前記冷却システムコントローラによって出力された前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記比較器回路から前記第2信号を受信したとき、前記冷凍システムを起動させることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記冷却システムから独立した冷凍システムと、
前記冷却液ループを介して、前記冷凍システムに熱的に連通し、かつ、前記冷却システムに熱的に連通する熱交換器と、をさらに備え、
前記冷却システムコントローラによる前記制御信号出力は、前記冷却システムコントローラが前記比較器回路から前記第2信号を受信したとき、前記冷凍システムを起動させ、
前記プリセット温度は、前記ESS温度が前記範囲の温度内にある場合に前記比較器回路は第3信号を出力し、前記冷却システムコントローラが前記第3信号を受信した場合に前記冷却システムコントローラによって出力された前記制御信号は前記冷却液ポンプを起動させるようなある範囲の温度を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記冷却システムは、
前記冷却液ループに結合するラジエターであって、前記冷却液が、前記冷却液ポンプによって前記冷却液ループを通して圧送されるときに前記ラジエターを通過する、ラジエターと、
前記ラジエターを通して空気を流すブロワーファンと、をさらに備え、
前記冷却システムコントローラによる前記制御信号出力は、前記冷却システムコントローラが、前記比較器回路から前記第2信号を受信するとき、前記ブロワーファンを起動させ、
前記プリセット温度は、前記ESS温度が前記範囲の温度内にある場合に前記比較器回路は第3信号を出力し、前記冷却システムコントローラが前記第3信号を受信した場合に前記冷却システムコントローラによって出力される前記制御信号は前記冷却液ポンプを起動させるようなある範囲の温度を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記冷却システムから独立した冷凍システムと、
前記冷却液ループを介して前記冷凍システムに熱的に連通し、且つ、前記冷却システムに熱的に連通する熱交換器と、をさらに備え、
前記冷却システムは前記冷却液ループに結合するラジエターを更に具備し、前記冷却液が、前記冷却液ポンプによって前記冷却液ループを通して圧送されるときに、前記ラジエターを通過する、ラジエターをさらに備え、
前記冷却システムコントローラによる前記制御信号出力は、前記冷却システムコントローラが、前記比較器回路から前記第2信号を受信するとき、前記冷凍システムを起動させ、
前記プリセット温度は、前記ESS温度が前記範囲の温度内にある場合に前記比較器回路は第3信号を出力し、前記冷却システムコントローラが前記第3信号を受信した場合に前記冷却システムコントローラによる前記制御信号出力は前記冷却液ポンプを起動させるようなある範囲の温度を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記冷却システムは前記ラジエターを通して空気を流すブロワーファンをさらに備え、前記冷却システムコントローラによる前記制御信号出力は、前記冷却システムコントローラが前記比較器回路から前記第2信号を受信したとき、前記ブロワーファンを起動させることを特徴とする請求項6に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記ESSおよび前記温度制御システムに結合した充電状態(SOC)センサをさらに備え、該SOCセンサは前記ESSの現在のSOCを監視し、前記冷却システムコントローラは、前記現在のSOCが、プリセット目標SOCより小さい場合、前記冷却システムに停止信号を出力するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項9】
電気自動車の電気パワートレインに結合した電気エネルギー貯蔵システム(ESS)の温度を制御する方法であって、該方法は、
a)前記電気自動車の動作状態を監視するステップを含み、前記動作状態は、第1動作状態かまたは第2動作状態にあり、前記第1動作状態は前記電気自動車が稼動していることに相当し、前記第2動作状態は前記電気自動車が停止していることに相当し、前記電気自動車が前記第2動作状態にある場合に、前記方法は、
b)少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、
c)前記現在のESS温度をプリセット温度範囲と比較するステップと、
d)前記現在のESS温度が前記プリセット温度範囲内にある場合、第1ESS冷却システム実施態様を起動させるステップと、
e)前記現在のESS温度が前記プリセット温度範囲より高い場合、第2ESS冷却システム実施態様を起動させるステップと、
f)前記現在のESS温度が前記プリセット温度範囲より低い場合、ESS冷却を終了させるステップと、
g)前記現在のESS温度が前記プリセット温度範囲より低くなるまで、ステップb)からステップf)を繰返すステップと、をさらに含んでいることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1ESS冷却システム実施態様は、前記第2ESS冷却システム実施態様より低い熱容量を有し、前記第1ESS冷却システム実施態様は、前記第2ESS冷却システム実施態様に比べて動作するのに少ない電力を必要とすることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1ESS冷却システム実施態様を起動させるステップは、冷却液ループを通し、且つ、前記冷却液ループに結合する熱交換器を通して冷却液を圧送するステップと、前記冷却液ループが前記ESSに熱的に連通するステップと、をさらに含み、前記第2ESS冷却システム実施態様を起動させるステップは、前記冷却液ループを通し、且つ、前記冷却液ループに結合する前記熱交換器を通して前記冷却液を圧送するステップと、前記冷却液ループは前記ESSに熱的に連通するステップと、前記熱交換器に熱的に連通する冷凍システムを動作させるステップと、をさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2のESS冷却システム実施態様を起動させるステップはそれぞれ、前記冷却液ループに結合するラジエターを通して前記冷却液を圧送するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
h)前記ESSの現在の充電状態(SOC)を確定するステップと、
i)前記現在のSOCをプリセット目標SOCと比較するステップと、
j)前記現在のSOCが前記プリセット目標SOCより低い場合、ESS冷却を終了させ、ステップb)からステップg)をバイパスするステップと、をさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記電気自動車の外部の電力源が、前記ESSに結合する充電システムに接続されているか否かを判定するステップと、前記充電システムが前記電力源に接続されている場合、ステップh)からステップj)をバイパスするステップとをさらに含んでいることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−200605(P2010−200605A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34768(P2010−34768)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(509316442)テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】