説明

バッテリ温度管理装置

【課題】 バッテリを通過後の空気を車室内に戻して車室内の空調効率の悪化や車室内の負圧化を防止できるバッテリ温度管理装置の提供。
【解決手段】 バッテリ12の通過後の空気を車室内に戻す通路A7及びバルブV4を設けた。また、バッテリ12の温度が最高温度に到達した際にはバルブV4を閉じて、バッテリ12の通過後の空気を車外排出口1cから車外へ排出することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ温度管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車等には、走行用モータ等に電気を供給するためのバッテリが搭載され、このバッテリとしては繰り返し充放電が可能なニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、或いはリチウムイオン電池等の二次電池の採用が実施・検討されている。
ところで、このようなバッテリは、高温になると充放電効率が低下してしまうため、後席側空調ユニットの冷風を用いて冷却する技術が公知となっている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2004−1674号公報
【特許文献2】特開2007−185997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、バッテリを通過後の空気を車外またはトランクルームに排出していたため、その度に車室内の空調効率が常に悪化すると共に、車室内が負圧になってしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、バッテリの低温時に暖機して放電出力の低下を防止できるバッテリ温度管理装置を提供することである。
また、本発明ではバッテリの温度が最高温度に到達した際に電解液が蒸発して発生したガスがトランクルームの僅かな隙間から車室内に侵入するのを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、バッテリに車室内風を導く車室内風導入手段と、上記車室内風導入手段の途中に設けられる冷却装置と、上記バッテリ通過後の空気を車室内に戻す環流手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
従って、バッテリを通過後の空気を車室内に戻して車室内の空調効率の悪化や車室内の負圧化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
図1は実施例1のバッテリ温度管理装置を示す全体図、図2は前席用空調ユニットの冷凍サイクルを示す図、図3は実施例1のシステム構成図、図4は実施例1のバッテリの温度管理を説明する模式図、図5〜8は実施例1のバッテリの温度管理における作動を説明する図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、実施例1のバッテリ温度管理装置1は、車室内後席の後方のリアパーシェル2の直下にトランクルーム3と隣接して配置された第1ケース4と、この第1ケース4の下方に配置される第2ケース5(第1ケース4と共に請求項の車室内風導入手段に相当)が備えられている。
第1ケース4の一方側には通路A1が形成されると共に、この通路A1はリアパーシェル2に設けられた吸い込み口1aを介して車室内後方Rに連通されている。
これにより、車室内の空気(請求項の車室内風に相当、以下、内気と称す)を吸い込み口1aから通路A1を介して第1ケース4の上流部4aに導入できるようになっている。
【0010】
第1ケース4の上流部4aには、空気清浄フィルタ6と、この空気清浄フィルタ6の下流側に空調用ファン7が配置され、さらに、この空調用ファン7の吹出側(下流側)には後席側エバポレータ8(請求項の冷却装置に相当)が配置されている。
図2に示すように、後席側エバポレータ8は、図示を省略する公知の前席側空調ユニット20の冷凍サイクル21から後席側膨張弁22を介して分岐した冷媒通路に設けられ、後席側膨張弁22で減圧された冷媒と空調用ファン7により送出された内気とを熱交換させることにより、この内気から気化熱を奪って吸熱・冷却するものである。
【0011】
前席側空調ユニット20の冷凍サイクル21は、コンプレッサ23と、コンデンサ24と、レシーバ25と、前席側膨張弁26と、エバポレータ27等を包含する閉回路からなる。
コンプレッサ23は、冷媒を圧縮して高温・高圧の気体にしてコンデンサへ送出するものである。
コンデンサ24は、コンプレッサ23から送出された高温高圧の気体冷媒を冷却して液化した後、レシーバ25へ送出するものである。
レシーバ25は、コンデンサ24から送出された余分な冷媒を一時貯留すると共に、冷媒の完全な気液分離を行った後、前席側膨張弁26(後席側膨張弁22共)へ送出するものである。
前席側膨張弁26は、レシーバ25から送出された冷媒を減圧して断熱膨張することにより冷媒を蒸発し易くした後、前席側エバポレータ27へ送出するものである。
前席側エバポレータ27は、前席側膨張弁25で減圧された冷媒を外気(または内気)と熱交換させて気体化した後、コンプレッサ23へ送出すると共に、この熱交換される外気から気化熱を奪って吸熱・冷却するものである。
【0012】
後席側エバポレータ8の下流側に位置する第1ケース4の中流部4bは、ヒータコア9(請求項の温風導入手段に相当)を通過する温風とヒータコア9をバイパスする冷風との風量割合を回転駆動動作により調整可能なエアミックスドア10が設けられている。
【0013】
第1ケース4の他方側に位置する下流部4cには、足下または天井の吹き出し口1bを介して車室内後方Rに連通された通路A2が形成されている。
【0014】
これにより、内気を空調用ファン7で通路A1の吸い込み口1aから第1ケース4の上流部4aに導入し、空気清浄フィルタ6及び後席側エバポレータ8を通過させてエアミックスドア10でヒータコア9を通過する温風とヒータコア9をバイパスする冷風との風量割合を調整した後、通路A2の吹き出し口1bを介して車室内後方Rへ戻すことが可能な後席側空調ユニット28が形成されている。
【0015】
第2ケースは、第1ケース4の下方位置で、且つ、トランクルーム3の床下部に配置されている。
第2ケース5の一方側に位置する上流部5aには、第1ケース4の上流部4aに連通した通路A3(請求項の第2空調手段に相当)が形成されている。
また、通路A3に隣接して、第1ケース4の中流部4bに連通した通路A4(請求項の第1空調手段に相当)が形成されている。
また、通路A4に隣接して、第1ケース4の下流部4cに連通した通路A5(請求項の温風導入手段及び第1空調手段に相当)が形成されている。
さらに、第2ケース5の上流部5aには、トランクルーム3に連通した通路A6(請求項のトランクルーム外気導入手段に相当)が形成されると共に、各通路A3、A4、A5に臨んだ状態でバッテリ用ファン11が配置されている。
【0016】
また、通路A3には第1ケース4の上流部4aから第2ケース5の上流部5aへ導入する内気の風量を回転駆動動作により調整可能な弁V1が設けられている。
また、通路A5には、第1ケース4の下流部4cから第2ケース5の上流部5aへ導入する温風の風量を回転駆動動作により調整可能な弁V2が設けられている。
また、通路A6には、トランクルーム3から第2ケース5の上流部5aへ導入する外気の風量を回転駆動動作により調整可能な弁V3が設けられている。
【0017】
なお、トランクルーム3はトランク蓋部等の微小隙間を通して外気雰囲気に連通しているので、トランクルーム3は外気雰囲気に近似した雰囲気になっている。
このため、トランクルーム3から第2ケース5の上流部5aへの空気吸入は外気吸入とみなすことができる。
【0018】
そして、バッテリ用ファン11の吹出側(下流側)に位置する第2ケース5の中流部5bには、バッテリ12が配置されている。
バッテリ12は、車両の電動機(主に走行用の電動モータ)に電力を供給する充放電可能な二次電池であり、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、或いはリチウムイオン電池等の二次電池が採用されている。
また、実施例1のバッテリ12は、所定隙間を有して積層された複数のバッテリモジュール12aから構成され、これらは第2ケース5の途中に介装されたバッテリパック13内に収容されている。
【0019】
これにより、バッテリ用ファン11でバッテリパック13の上流(入口)側から導入された風を各バッテリモジュール12aの所定隙間に通過させて熱交換させた後、バッテリパック13の下流(出口)側へ排出できるようになっている。
さらに、バッテリパック13の入口には雰囲気温度を検出可能なセンサ14が設置されている。
また、バッテリモジュール12aには、その表面温度もしくは雰囲気温度からバッテリ12の温度を検出可能なセンサ16が設けられている。
なお、センサ16は1つのみ図示しているが、その設置数や設置位置は適宜設定できる。
【0020】
バッテリ12の下流側に位置する第2ケース5の下流部5cには、車外に連通された車外排出口1c(請求項の排出手段に相当)が設けられている。
また、第2ケース5の下流部5cの途中には、天井または足下の吹き出し口1bを介して車室内後方Rに連通された通路A7(請求項の環流手段に相当)が形成され、さらに、この通路A6と隣接してトランクルーム3に連通された通路A8が形成されている。
また、通路A7には、下流部5cから車室内後方Rへ戻す風量を調整可能な弁V4が設けられている。
また、通路A8には、下流部5cからトランクルーム3へ導入する風量を調整可能な弁V5が設けられている。
なお、この弁V4(V5)が全開の状態では下流部5cを車外排出口1cへ向かって流れる空気の全量が通路A7(A8)に流入するようになっている。
【0021】
さらに、図3に示すように、前述した空調用ファン7、ヒータコア9、エアミックスドア10、バッテリ用ファン11、弁V1〜V5等の作動は、これらと電気的に接続されたコントローラ15によって制御されており、このコントローラ15はセンサ14からの検出結果信号と、前席側空調ユニット20(詳細には前席側空調ユニット20のコントローラ)からの空調制御信号に基づいて後述する車室内後方Rの空調制御及びバッテリ12の温度管理制御を行うようになっている。
【0022】
なお、コントローラ15による以下に説明する制御は、公知のものと同様に前席側空調ユニット20が稼働中の場合のみにおいて行うことができるようになっている。
また、以下に説明する制御は一例であって、この実施例に限定されるものではない。
【0023】
次に、作用を説明する。
先ず、コントローラ15による車室内後方Rの空調制御について説明する。
【0024】
[冷房時について]
前席側空調ユニット20による車室内の冷房時には、先ず、弁V1〜V3を閉じた状態とし、空調用ファン7を稼働させて(適宜ヒータコア9共)、内気を吸い込み口1aから通路A1を介して第1ケース4の上流部4aに導入する。
次に、空気清浄フィルタ6及び後席側エバポレータ8を通過した内気は、エアミックスドア10の回転駆動動作により、前席側空調ユニット20で設定された吹き出し口目標温度に温度調整された冷風となって通路A2の吹き出し口1bから車室内後方Rに吹き出すことにより、車室内後方Rの冷房を行う。
【0025】
[内気循環時について]
前席側空調ユニット20による内気循環時には、先ず、弁V1〜V3を閉じた状態とし、空調用ファン7を稼働させて、内気を吸い込み口1aから通路A1を介して第1ケース4の上流部に導入する。
次に、空気清浄フィルタ6及び後席側エバポレータ8を通過した内気は、エアミックスドア10の回転駆動動作により、前席側空調ユニット20で設定された吹き出し口目標温度に温度調整された風となって通路A2の吹き出し口1bから車室内後方Rに吹き出すことにより、車室内後方Rの内気循環を行う。
【0026】
[暖房時について]
前席側空調ユニット20による暖房時には、先ず、弁V1〜V3を閉じた状態とし、空調用ファン7及びヒータコア9を稼働させて、内気を吸い込み口1aから通路A1を介して第1ケース4の上流部に導入する。
次に、空気清浄フィルタ6及び後席側エバポレータ8を通過した内気は、エアミックスドア10の回転駆動動作により、前席側空調ユニット20で設定された吹き出し口目標温度に温度調整された温風となって通路A2の吹き出し口1bから車室内後方Rに吹き出すことにより、車室内後方Rの暖房を行う。
【0027】
次に、制御ユニットによるバッテリ12の温度管理制御について説明する。
ここでバッテリ12の温度は、所定温度範囲内に維持するのが、バッテリ12の耐久性能(寿命)及び放電出力性能の面から好ましい。
従って、例えば、図4に示すように、バッテリ12を所定値TB1<バッテリ温度TB<所定値TB2に維持するためには、バッテリパック13内の入口温度を所定値Ta1<バッテリパック13の入口温度:センサ14の温度Ta<所定値Ta2に維持することが望ましい。
【0028】
そこで、実施例1では、コントローラ15が常にバッテリ12の温度をセンサ16から検出して後述するような温度管理を行う。
なお、バッテリ12の温度はバッテリモジュール12aの発熱量から算出するようにしても良い。
【0029】
[バッテリの低温時について]
図4に示すように、例えば冬場のエンジンスタート時等において、バッテリ12が低温(バッテリ温度TB<所定値TB1)で車室内の暖房時C1には、先ず、図5に示すように、弁V2、V4、V5を開いた状態とし(ただし弁V4は半開)、弁V1、V3を閉じた状態とする。また、バッテリ用ファン11を稼働させる。
これにより、通路A5からの温風(例えば30℃)をバッテリ用ファン11による適宜の風量でバッテリ12に通過させることにより、バッテリ12を暖めることができる。
また、バッテリ12を通過後の空気を通路A7を介して車室内後方Rへ戻すと共に、通路A8を介してトランクルーム3へ導入することにより、車室内の暖房を効率良くできる。
【0030】
なお、バッテリ12の温度が上昇して所定値TB1に近づいた場合には、弁V5を一時的に閉じてバッテリ12を一時的に車外に連通させることにより、所定値TB1になるまでの上昇スピードを緩やかにしてバッテリ12の温度調整を正確にできる。
その後、バッテリ12の温度が所定値TB1になった場合には、弁V5を適宜の角度・タイミングで開閉させて、バッテリ12を車外に連通させることにより、バッテリ12の温度を前述した所定温度範囲内となるように維持する。
【0031】
[バッテリの適温時について]
図4に示すように、バッテリ12が所定温度範囲内(所定値TB1(℃)<バッテリ温度TB<所定値TB2)で内気循環時C2には、図6に示すように、弁V1、V4を開いた状態とし、弁V2、V5を閉じた状態とし、弁V3を適宜の角度・タイミングで開閉動作させる。また、バッテリ用ファン11を稼働させる。
【0032】
これにより、通路A2を介した内気(例えば10℃)をバッテリ用ファン11により適宜の風量でバッテリ12に通過させることにより、バッテリ12を冷機または暖機した後、通路A7を介して車室内へ戻すが、この際、予めバッテリ12を通過後の空気の温度を予測し、この空気の温度が、通路A2を介して車室内後方Rに戻る空気の温度と同じ温度となるように弁V3を適宜の角度・タイミングで開閉させて第2ケース5の上流部5aでトランクルーム3の外気を内気に混合させる。
なお、バッテリ12を通過後の空気の温度Ta3は、バッテリ12の発熱量=空気質量×(Ta−Ta3)により予測する。
従って、バッテリ12を通過後に通路A7を介して車室内後方Rに戻る空気と通路A7を介して車室内後方Rに戻る空気とが混合することにより、車室内の温度が不安定になって温度調整に時間が掛かってしまうのを防止できると同時に、車室内の負圧化を防止できる。
【0033】
[バッテリの高温時について]
図4に示すように、例えば夏場の渋滞時等において、バッテリ12が高温(バッテリ温度TB>所定値TB2+α)で冷房時C3には、図7に示すように、弁V4、V5を開いた状態とし(ただし弁V4は半開)、弁V1〜V3を閉じた状態とする。また、バッテリ用ファン11を稼働させる。
これにより、通路A4からの冷風(例えば0℃)をバッテリ用ファン11による適宜の風量でバッテリ12に通過させることにより、バッテリ12を冷却することができる。
また、バッテリ12を通過後の空気を通路A7を介して車室内後方Rへ戻すと共に、通路A8を介してトランクルーム3へ導入することにより、車室内の冷房を効率良くできる。
【0034】
なお、バッテリ12の温度が所定値TB2に近づいた場合には、弁V5を一時的に閉じてバッテリ12を一時的に車外に連通させることにより、所定値TB2になるまでの下降スピードを緩やかにしてバッテリ12の温度調整を正確にできる。
その後、バッテリ12の温度が所定値TB2になった場合には、弁V5を適宜の角度・タイミングで開閉させて、バッテリ12を車外に連通させることにより、バッテリ12の温度を前述した所定温度範囲内となるように維持する。
【0035】
[バッテリの異常高温時について]
図4に示すように、バッテリ12が異常高温(バッテリ温度TB≧所定値TMAX:請求項の最高温度に相当)で冷房時C4には、図8に示すように、弁V1〜V3を閉じた状態にしてバッテリ12を冷却すること等は前述のバッテリ12の高温時と同様である。
【0036】
また、この際、弁V4、V5を閉じた状態として、バッテリ12を通過後の空気を全て車外排出口1cから車外へ排出することにより、バッテリ12の異常高温時に電解液が蒸発して発生したガスが車室内に侵入するのを防止でき、このガスをバッテリ12を通過後の空気と共に車外へ速やかに排出できる。
【0037】
次に、効果を説明する。
このように実施例1のバッテリ温度管理装置1では、バッテリ12が低温で暖房時C1には、バッテリ12に温風を当てて暖めることで放電出力が低下するのを防止でき、バッテリ12の暖機時間を短くして安定した放電出力を得ることができる。
加えて、バッテリ12を通過後の空気を車室内後方R及びトランクルーム3へ導入することにより、車室内の暖房を効率良くできると同時に、車室内の負圧化を防止できる。
【0038】
また、バッテリ12が所定温度範囲内で内気循環時C2には、バッテリ12に内気とトランクルーム3の外気を当ててバッテリ12を冷機または暖機することにより、バッテリ12の温度を所定温度範囲内に維持することができ、バッテリ12の安定した放電出力を得ることができる。
加えて、バッテリ12を通過後の空気を車室内後方Rへ導入することにより、車室内の負圧化を防止できる。
さらに、通路A7を介して車室内後方Rに戻る空気の温度と通路A2を介して車室内後方Rに戻る空気の温度を等しくすることにより、バッテリ12の冷機・暖機に関係なく車室内の空調を安定できる。
【0039】
また、バッテリ12が高温で冷房時C3には、バッテリ12に冷風を当てて冷却することで放電出力が低下するのを防止でき、バッテリ12の冷機時間を短くして安定して出力を得ることができる。
加えて、バッテリ12を通過後の空気を車室内後方R及びトランクルーム3へ導入することにより、車室内の冷房を効率良くできると同時に、車室内の負圧化を防止できる。
【0040】
また、バッテリ12が異常高温で冷房時C4には、バッテリ12に冷風を当てて冷却することで放電出力が低下するのを防止でき、バッテリ12の冷機時間を短くして安定して出力を得ることができる。
加えて、バッテリ12を通過後の空気を全て車外へ排出することにより、バッテリ12の異常高温時に電解液が蒸発して発生したガスが通路A7を介して車室内に侵入したり、トランクルーム3の僅かな車室内に侵入するのを防止でき、このガスをバッテリ12を通過後の空気と共に車外へ速やかに排出できる。
【0041】
以上、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1の後席側空調ユニット28を利用してバッテリの温度管理を行ったが、前席用空調ユニット20のみを利用しても良く、この際、バッテリ12を車両前方のエンジンルーム内に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1のバッテリ温度管理装置を示す全体図である。
【図2】前席用空調ユニットの冷凍サイクルを示す図である。
【図3】実施例1のシステム構成図である。
【図4】実施例1のバッテリの温度管理を説明する模式図である。
【図5】実施例1のバッテリの温度管理における作動を説明する図である。
【図6】実施例1のバッテリの温度管理における作動を説明する図である。
【図7】実施例1のバッテリの温度管理における作動を説明する図である。
【図8】実施例1のバッテリの温度管理における作動を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8 通路
R 車室内後方
V1、V2、V3、V4、V5 弁
1 バッテリ温度管理装置
1a 吸い込み口
1b 吹き出し口
1c 車外排出口
2 リアパーシェル
3 トランクルーム
4 第1ケース
4a 上流部
4b 上流部
4c 下流流部
5 第2ケース
5a 上流部
5b 上流部
5c 下流部
6 空気清浄フィルタ
7 空調用ファン
8 エバポレータ
9 ヒータコア
10 エアミックスドア
11 バッテリ用ファン
12 バッテリ
12a バッテリモジュール
13 バッテリパック
14 センサ
15 コントローラ
16 センサ
20 前席側空調ユニット
21 冷凍サイクル
22 後席側膨張弁
23 コンプレッサ
24 コンデンサ
25 レシーバ
26 前席側膨張弁
27 前席側エバポレータ
28 後席側空調ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリの温度を調整するバッテリ温度管理装置において、
前記バッテリに車室内風を導く車室内風導入手段と、
前記車室内風導入手段の途中に設けられる冷却装置と、
前記バッテリ通過後の空気を車室内に戻す環流手段を備えることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項2】
請求項1記載のバッテリ温度管理装置において、
前記バッテリの高温時に該バッテリ通過後の空気を車外に排出する排出手段を備えることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のバッテリ温度管理装置において、
前記バッテリに温風を導く温風導入手段を備えることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
トランクルームの空気をバッテリに導くトランクルーム外気導入手段を備えることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
前記車室内風導入手段は、車室内風を前記冷却装置を介してバッテリに導入する第1空調手段と、該冷却装置をバイパスしてバッテリに導入する第2空調手段を備えることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
前記車室内風導入手段、温風導入手段、及びトランクルーム外気導入手段が、バッテリに導く風量を駆動動作により調整可能な弁をそれぞれ備え、
前記バッテリが所定の温度範囲内となるように各弁の弁開度を調整することを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
前記車両が前席側空調ユニットと後席側空調ユニットを備え、
前記車室内風導入手段及び温風導入手段を後席側空調ユニットまたは後席側空調ユニットの一部で構成したことを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
前記車室内の内気循環時には、前記バッテリ通過後に環流手段を介して車室内に戻す空気の温度と後席側空調ユニットまたは後席側空調ユニットから直接車室内に戻す空気の温度とを一致させることを特徴とするバッテリ温度管理装置。
【請求項9】
請求項2〜8のうちのいずれかに記載のバッテリ温度管理装置において、
前記排出手段は、前記所定の温度範囲を超えた後、最高温度に到達した際にバッテリ通過後の空気を車外へ排出することを特徴とするバッテリ温度管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−154698(P2009−154698A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334759(P2007−334759)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】