説明

バナジウム回収装置

【課題】焼却灰からバナジウムを効率的に回収し、資源の有効利用を可能にするバナジウム回収装置を提供することを目的とする。
【解決手段】石油系燃料の燃焼によって生じるバナジウムV含有の焼却灰Asを受け入れる回転炉3と、回転炉3内の焼却灰Asを加熱する気化手段17と、回転炉3内の気体状のバナジウムVを排出するバナジウム排出部19と、バナジウム排出部19から流出したバナジウムVを回収する沈殿槽5と、を備える。本構成では、PH調整を伴う湿式処理によりバナジウムVを回収する従来装置に比べて構造が単純になり、設備もコンパクト化できてバナジウムVの効率的な回収が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油系燃料の燃焼によって生じるバナジウム含有の焼却灰からバナジウムを回収するバナジウム回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ燃料として、石炭に替わる燃料として多種多様の燃料の適用が求められており、特に、品位の低い石油コークスの燃料としての適用が求められている。石油コークス中に含まれるバナジウムやアルカリ金属等は、低融点化合物生成によって伝熱管へのデポ付着や腐蝕という問題を引き起こす可能性がある。また、バナジウムは工具鋼等に添加されて使用される希少金属の一種でもある。そこで、ボイラから排出される焼却灰からバナジウムを回収する取り組みが従来からなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、石油系燃料焼却灰を水などに浸して強酸の水性スラリーとし、この水性スラリーを固液分離した溶液を希釈し、アンモニアを添加して中性ないし弱アルカリ性に調整してバナジウムを析出させ、析出したバナジウムを固液分離するという各工程を経てバナジウムを回収する方法及び装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−166244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、ボイラ等の燃焼炉の安全運転のために湿式処理によりバナジウムを回収しており、プロセスの複雑化に伴って設備の大型化を招来してしまい、できるだけ小さな設備での効率的なバナジウムの回収は困難であった。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、焼却灰からバナジウムを効率的に回収するバナジウム回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、石油系燃料の燃焼によって生じるバナジウム含有の焼却灰からバナジウムを回収するバナジウム回収装置において、焼却灰を収容する収容部と、収容部内の焼却灰に含まれるバナジウムを気化させる気化手段と、気化手段により気化されたバナジウムを回収する回収手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
収容部内の焼却灰を、気化手段によって例えば600℃〜800℃程度にまで加熱すると、焼却灰中のバナジウムは気化し、回収手段で回収される。本構成では、PH調整を伴う湿式処理によりバナジウムを回収する従来装置に比べて構造が単純になり、設備もコンパクト化できてバナジウムの効率的な回収が可能になり、資源の有効利用が可能となる。さらに、焼却灰中のバナジウムはデポ付着やチューブ腐食を引き起こす虞があるが、焼却灰から効率良くバナジウムを回収することで、バナジウム除去後の残留物を再利用してもデポ付着や腐食という問題は生じ難くなる。さらに、焼却灰を生成する焼却炉の排熱を気化手段の熱源として利用することもでき、設備のコンパクト化、エネルギー効率の向上を図り易い構成になっている。
【0008】
さらに、回収手段は、気化手段により気化されたバナジウムを固体に相転移させる冷却部を有すると好適である。気化されたバナジウムを冷却部によって凝固させて回収できるため、バナジウムを固体として効率よく回収できる。
【0009】
冷却部は、気化手段により気化されたバナジウムに接してバナジウムを気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、冷却水中で前記バナジウムを沈殿分離する沈殿槽であると好適である。冷却水でバナジウムを冷却することで、バナジウムを気体から固体に容易に相転移させることができ、さらに沈殿槽に貯留された冷却水中で固体状のバナジウムが沈殿分離されるため、純度の高い固体状のバナジウムを容易に回収できるようになる。
【0010】
さらに、収容部内を減圧する減圧手段を更に備えると好適である。収容部内を減圧することで、バナジウムの気化が促進され、バナジウムの回収効率の向上を期待できる。
【0011】
さらに、沈澱槽を有する冷却部と減圧手段とを備えている構成において、減圧手段は、沈殿槽から引き抜かれた冷却水を沈殿槽内に噴射するエジェクタと、収容部とエジェクタとを連通するダクト管と、を有すると好適である。エジェクタによって収容部内を減圧するので、収容部内を気密に保持し易く、さらに、ダクト管を通過してエジェクタに到達した気体状のバナジウムは、エジェクタによって攪拌されながら冷却水に効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移する。従って、沈殿槽内での沈殿分離される時間も短縮され、純度の高い固体状のバナジウムを効率よく回収できるようになる。
【0012】
さらに、収容部は、焼却灰と共に鉄化合物を収容し、収容部内で生成されたバナジウムフェライトを含む残留物を排出する残留物排出部と、残留物排出部から排出された残留物のうち、バナジウムフェライトを含む磁性物を磁力選別によって非磁性物から分離する磁選手段と、を更に備えると好適である。バナジウムフェライトを含む磁性物を回収できるため、焼却灰からのバナジウムの回収効率を一層向上させることができる。さらに、磁性物除去後の他の物質である非磁性物は、例えば、循環流動層焼却炉の流動媒体やセメント原料として再利用できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、焼却灰からバナジウムを効率的に回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るバナジウム回収装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るバナジウム回収装置の断面を概略的に示す図であり、図2は磁力選別器を概略的に示す図である。
【0015】
図1に示されるように、バナジウム回収装置は、比較的小規模の焼却炉等(以下、「ボイラ設備」という)1に適応する。バナジウム回収装置2Aは、ボイラ設備1での石油系燃料の燃焼によって生じる焼却灰As、すなわちフライアッシュ(「FA」ともいう)やボトムアッシュ(「BA」ともいう)などを受け入れて収容する回転炉(収容部)3と、回転炉3で気化されたバナジウムVをメイクアップ水中で沈殿分離する沈殿槽(冷却部)5と、回転炉3から排出されたバナジウムフェライトVf含有の残留物Re(図2参照)を磁選する磁力選別器(磁選手段)6とを備えている。
【0016】
回転炉3は、縦型でもよいが、本実施形態では横型を採用している。回転炉3は、円筒形の胴体部7の外周に歯車(図示せず)が設けられ、胴体部7は図示しないモータによって回転される。胴体部7は、焼却灰Asの受入れ側から排出側へ焼却灰Asを移動させることができるように、受入れ側から排出側に向けて下方に傾斜されている。胴体部7内には、攪拌翼8が設けられている。
【0017】
胴体部7の受入れ側には、焼却灰Asと鉄化合物(Fe等)が投入されるホッパ9が設けられ、ホッパ9の下部にはスクリューコンベヤからなる攪拌供給器11が設けられている。攪拌供給器11は、胴体部7の受入れ側の端部に接続されており、焼却灰As及び鉄化合物を胴体部7に供給する。
【0018】
胴体部7の外周には、バナジウムVを気化させるための加熱源としてのスチームが流動するチャンバ13が設けられており、チャンバ13には、スチームの流入口13aと流出口13bとが設けられている。スチームは、焼却灰Asの排出元であるボイラ設備1の排熱を利用しており、対流伝熱によって焼却灰Asを加熱することでエネルギーの有効利用を図っている。チャンバ13の外側には、回転炉3内の焼却灰Asを補助的に加熱する電気ヒータ15が配置されている。チャンバ13及び電気ヒータ15によって気化手段17は構成され、回転炉3内の焼却灰Asは、気化手段17によって600℃〜800℃程度に保持される。なお、チャンバ13内のスチームによって600℃〜800℃程度の温度を維持できるようであれば、電気ヒータ15は無くても良い。
【0019】
回転炉3の胴体部7の排出部側には、テーパ状に縮径したバナジウム排出部19が取り付けられている。バナジウム排出部19は沈殿槽5に連通するダクト管20に接続されている。なお、回転炉3の胴体部7とバナジウム排出部19との間には、焼却灰Asの移動を規制する多孔板21が設けられており、多孔板21に対して胴体部7側の下部には残留物Reを排出する粉体流出部(残留物排出部)23が設けられている。粉体流出部23には、残留物Reをコンベヤなどの移送手段によって磁力選別器6に移送するための粉体移送ラインが接続されている。
【0020】
沈殿槽5は本発明の回収手段に相当し、沈殿槽5には、バナジウムVの冷却及び洗浄のためのメイクアップ水(冷却水)Wが貯留されており、メイクアップ水Wの導入管27a及び排出管27bが接続されている。さらに、沈殿槽5には、メイクアップ水Wの循環ライン29が接続されている。循環ライン29は、メイクアップ水を沈殿槽5内に噴射するエジェクタ30と、エジェクタ30と沈殿槽5の下部とを連通するメイクアップ水移送管31と、沈殿槽5内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でエジェクタ30に送り込むポンプ32とを備えている。エジェクタ30には、ダクト管20が接続されており、沈殿槽5から引き抜かれたメイクアップ水Wをエジェクタ30が噴射することで、エジェクタ30に連通するダクト管20には負圧が発生し、回転炉3内は減圧される。エジェクタ30及びダクト管20は減圧手段22を構成する。
【0021】
回転炉3内の焼却灰Asに含有されるバナジウムVは、600℃〜800℃程度まで昇温されることで気化される。さらに、エジェクタ30によって回転炉3内は減圧されているためバナジウムVの気化は促進される。気体状のバナジウムVはダクト管20を通ってエジェクタ30に到達し、エジェクタ30で攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却され、メイクアップ水と一緒に沈殿槽5内に噴射される。メイクアップ水Wによって冷却されたバナジウムVは、気体から固体に相転移して沈殿槽5内に沈殿する。沈殿槽5の底部にはバナジウムVの排出口40が設けられている。沈殿槽5で回収されるバナジウムVは純度が高く、後処理の負担も少ないため効率よく再利用を図ることができる。
【0022】
一方で、回転炉3内には、焼却灰Asと一緒に鉄化合物(Fe3)が投入されており、焼却灰As中のバナジウムは、600℃〜800℃程度まで加熱された鉄化合物(Fe3)の表面に接触することでバナジウムフェライトVfに変換される。従って、回転炉3内で気体状にならなかったバナジウムVは、焼却灰As中に残留し、バナジウムフェライトVfに変換される。なお、バナジウムVがバナジウムフェライトVfに変換される化学変化は、xの範囲を0≦x≦1としたとき、以下の式(1)及び式(2)によって説明される。
【0023】
(式1)
xV2++(3−x)Fe2++6OH-→VxFe3−x(OH)
(式2)
Fe3−x(OH)+O→VFe3−x
【0024】
バナジウムフェライトVfを含む残留物Reは、粉体流出部23及び粉体移送ラインを通って磁力選別器6に移送される。図2に示されるように、磁力選別器6は、残留物Reが投入され、且つバイブレータにより振動が付与される磁選用ホッパ33と、この磁選用ホッパ33から流下する粉状のバナジウムフェライトVfを含む磁性物を吸着する左右一対の磁気ドラム35と、この磁気ドラム35の周面に摺接することで磁気ドラム35の周面に吸着された粉状のバナジウムフェライトVf(磁性物)を回収する左右一対のスクレーパ37と、磁気ドラム35の間から流下する灰分などの非磁性物Nmを回収する非磁性物回収槽39とを備えている。なお、スクレーパ37によって掻き取られたバナジウムフェライトVfは、コンベヤなどの移送手段によってバナジウムフェライト回収槽41(図1参照)に移送される。磁力選別器6では、バナジウムVをF―V原料として回収できる。一方で、非磁性物回収槽39に回収された灰分などの非磁性物はセメント原料として再利用でき、また、バナジウムVの濃度が極めて少ないため、低融点化合物生成によるデポ付着や腐蝕などの問題も発生し難く、循環流動層焼却炉(CFB)などの流動媒体として再利用できる。
【0025】
次に、バナジウム回収装置2Aを利用したバナジウム回収方法について説明する。ボイラ設備1からの焼却灰Asと鉄化合物とを回転炉3に投入し、気化手段17によって焼却灰As及び鉄化合物を600℃〜800℃の範囲で加熱する。さらに、エジェクタ30を作動させて回転炉3内を減圧し、バナジウムVを気化させて沈殿槽5に送り込む。沈殿槽5では、気体状のバナジウムVをメイクアップ水(冷却水)Wで冷却して気体から固体に相転、すなわち凝固させ、さらに、沈殿槽5内でメイクアップ水Wから沈殿分離させて固体状のバナジウムVを適宜に回収する。
【0026】
また、回転炉3から排出されたバナジウムフェライトVf含有の残留物Reを磁力選別器6による磁気選別によってバナジウムフェライトVfと非磁性物Nmとに分離し、それぞれを回収する。
【0027】
以上のバナジウム回収装置2Aによれば、PH調整を伴う湿式処理によりバナジウムVを回収するような装置に比べて工程も少なくて済み、構造が単純であり、設備もコンパクト化できてバナジムウムVの効率的な回収が可能になる。さらに、焼却灰As中のバナジウムVは伝熱管への付着や腐食を引き起こす虞があるが、焼却灰Asから効率良くバナジウムVを回収することで、バナジウムV除去後の残留物Reによって伝熱管への付着や腐食という問題は生じ難くなる。さらに、焼却灰Asを生成するボイラ設備1の排熱を気化手段17の熱源として利用するので、コンパクト、且つエネルギー効率の高い装置を実現できる。
【0028】
さらに、バナジウム回収装置1Aは、メイクアップ水W中でバナジウムVを沈殿分離する沈殿槽5を有している。従って、メイクアップ水Wによる冷却によって、バナジウムVを気体から固体に容易に相転移させることができ、バナジウムVを固体として効率よく回収できる。特に、固体状のバナジウムVは、沈殿槽5内のメイクアップ水W中で沈殿分離されるため、純度の高い固体状のバナジウムVを容易に回収できるようになる。
【0029】
さらに、バナジウム回収装置1Aは減圧手段22を備えており、回転炉3内を減圧することで、バナジウムVの気化が促進され、バナジウムVの回収効率を向上できる。特に、減圧手段22はエジェクタ30及びダクト管20を有しており、エジェクタ30によって回転炉3内を減圧するので、回転炉3内を気密に保持し易い。さらに、ダクト管20を通過してエジェクタ30に到達した気体状のバナジウムVは、エジェクタ30によって攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移する。従って、沈殿槽5内での沈殿分離される時間も短縮され、純度の高い固体状のバナジウムVを効率よく回収できるようになる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、図3を参照して第2実施形態に係るバナジウム回収装置を説明する。図3は、本実施形態に係るバナジウム回収装置の断面を概略的に示す図である。なお、第2実施形態に係るバナジウム回収装置において、第1実施形態に係るバナジウム回収装置と同様の部材や要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
バナジウム回収装置2Bは、ボイラ設備1から排出された焼却灰(フライアッシュやボトムアッシュ)As及び鉄化合物(Fe等)を受け入れる回転炉(収容部)43と、回転炉43から排出されたバナジウムVを回収する沈殿槽(冷却部)45と、回転炉43から排出された残留物Reを磁選する磁力選別器(磁選手段)6とを備えている。
【0032】
回転炉43の胴体部47の受入れ側には、焼却灰Asと鉄化合物が投入されるホッパ9が設けられ、ホッパ9の下部にはスクリューコンベヤからなる攪拌供給器11が設けられている。攪拌供給器11は、胴体部47の受入れ側の端部に接続されており、焼却灰As及び鉄化合物を胴体部47に供給する。また排出側には気化したバナジウムVが排出されるバナジウム排出部49が設けられている。また、胴体部47の下部には、残留した焼却灰Asが排出される粉体流出部51が形成されており、粉体流出部51は、磁力選別器6まで残留物Reを移送する粉体移送ラインに接続されている。磁力選別器6まで移送された残留物Reは、磁力選別器6によって磁性物であるバナジウムフェライトVfと非磁性物Nmである灰分などが分離回収され、それぞれ有効利用される。
【0033】
バナジウム排出部49は沈殿槽45に連通するダクト管53に接続されている。ダクト管53は、沈殿槽45の上部に直接的に接続されている。沈殿槽45には、メイクアップ水Wの循環ライン55が接続されている。循環ライン55は、沈殿槽45の上部に設けられたノズル57と、このノズル57と沈殿槽45の下部とを連通するメイクアップ水移送管59と、メイクアップ水移送管59を介して沈殿槽45内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でノズル57に送り込むポンプ61とを備えている。ノズル57から噴霧されたメイクアップ水Wは、気体状のバナジウムVに接触し、バナジウムVを冷却して気相から固相に相転移させる。沈殿槽45内でメイクアップ水W中に沈殿分離されたバナジウムVは純度の高い状態で回収できる。沈殿槽45は回収手段に相当する。
【0034】
本実施形態に係るバナジウム回収装置2Bによれば、水性スラリーをPH調整しながらバナジウムVを抽出させるような装置に比べて構造が単純になり、設備もコンパクト化できてバナジウムVの効率的な回収が可能になる。なお、第1実施形態のバナジウム回収装置2Aとは異なり、回転炉43内を減圧するための減圧手段は設けていないため、バナジウムVを気体から固体に相転移させて回収できる量は低減すると考えられるが、その分、磁力選別器6によってバナジウムVをバナジウムフェライトVfとして回収できる。
【0035】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、収容部は回転炉に限定されず、固定炉などであってもよい。また、バナジウムを気化させるための加熱源としては電気ヒータやスチームを用いた態様に限定されず、バーナなどを用いて収容部内を加熱してバナジウムを気化させるようにしても良い。また、収容部では鉄化合物を受け入れることなく焼却灰のみを受け入れると共に、磁選手段を設けることなく気体状のバナジウムを主体的に回収する装置であってもよい。また、冷却部は、気化されたバナジウムを冷却水に直接接触させて気体から固体に相転移させる態様に限定されず、間接的に気体状のバナジウムを冷却して気体から固体に相転移させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバナジウム回収装置の断面を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態に係る磁力選別器を概略的に示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るバナジウム回収装置の断面を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0037】
2A,2B…バナジウム回収装置、3,43…回転炉(収容部)、5、45…沈殿槽(冷却部、回収手段)、6…磁力選別器(磁選手段)、17…気化手段、20…ダクト管、22…減圧手段、30…エジェクタ、As…焼却灰、Nm…非磁性物、Re…残留物、V…バナジウム、Vf…バナジウムフェライト、W…メイクアップ水(冷却水)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油系燃料の燃焼によって生じるバナジウム含有の焼却灰からバナジウムを回収するバナジウム回収装置において、
前記焼却灰を収容する収容部と、
前記収容部内の焼却灰に含まれるバナジウムを気化させる気化手段と、
前記気化手段により気化されたバナジウムを回収する回収手段と、
を備えることを特徴とするバナジウム回収装置。
【請求項2】
前記回収手段は、前記気化手段により気化されたバナジウムを固体に相転移させる冷却部を有することを特徴とする請求項1記載のバナジウム回収装置。
【請求項3】
前記冷却部は、前記気化手段により気化されたバナジウムに接して前記バナジウムを気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、前記冷却水中で前記バナジウムを沈殿分離する沈殿槽であることを特徴とする請求項2記載のバナジウム回収装置。
【請求項4】
前記収容部内を減圧する減圧手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜3記載のバナジウム回収装置。
【請求項5】
前記収容部内を減圧する減圧手段を更に備え、
前記減圧手段は、
前記沈殿槽から引き抜かれた冷却水を前記沈殿槽内に噴射するエジェクタと、
前記収容部と前記エジェクタとを連通するダクト管と、を有することを特徴とする請求項3記載のバナジウム回収装置。
【請求項6】
前記収容部は、前記焼却灰と共に鉄化合物を収容し、
前記収容部内で生成されたバナジウムフェライトを含む残留物を排出する残留物排出部と、
前記残留物排出部から排出された残留物のうち、バナジウムフェライトを含む磁性物を磁力選別によって非磁性物から分離する磁選手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のバナジウム回収装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−287052(P2009−287052A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138370(P2008−138370)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】