説明

バークホルデリア(Burkholderia)属の単離菌株およびそれに由来する殺虫性代謝物

脊椎動物に対しては既知の病原性を有しないが、(例えば、植物、昆虫、カビ、雑草、及び線虫に対する)農薬としての活性を有している、バークホルデリア属に属する種が提供される。上記の種の培養物に由来する天然の産生物、及び上記天然の産生物を使用した、有害生物防除の制御方法もまた提供される。
【解決手段】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
哺乳動物、魚類および鳥類等の脊椎動物に対して既知の病原性を有しないが、植物、昆虫、真菌(fungi)および線虫に対して駆除活性(pesticidal activity)を有する、バークホルデリア(Burkholderia)属の種を本明細書で提供する。また、前記種の培養物に由来する天然産物;双子葉植物(dicotyledenous)、単子葉植物及びカヤツリグサ科の雑草の発生及び成長を制御する方法;ならびに前記天然産物を使用する、真菌の増殖調節方法、昆虫及び線虫等の害虫制御方法もまた提供する。
【背景技術】
【0002】
天然産物は、微生物、植物、および他の生物体によって産生される物質である。微生物の天然産物は、豊富な化学的多様性の供給源を提供し、また、医薬目的で天然産物を利用する長い歴史がある。こうした化合物の1つは、クロモバクテリウム(Chromobacterium)から単離されたFR901228であり、抗菌剤及び抗癌剤として有用であると認められている(例えば、Uedaら、米国特許第7,396,665号参照)。
【0003】
しかしながら、微生物によって産生された二次代謝産物も、農業関係の特許出願(例えば、Nakajimaら、1991;Dukeら、2000;LydonとDuke、1999;Gerwickら、米国特許第7,393,812号参照)において、雑草および害虫制御用に、順調に開発された。また、微生物の天然産物も、農業殺虫剤の開発に成功している(例えば、Salamaら、1981;Thompsonら、2000;Kriegら、1983参照)。時折、当該天然産物は、化学的農薬と組み合わされてもいる(例えば、Gottlieb、米国特許第4,808,207号参照)。
【0004】
[バークホルデリア(Burkholderia)]
プロテオバクテリアのβ‐亜門(β-subdivision)である、バークホルデリア(Burkholderia)属は、様々な環境的隙間に生息する40を超える種を含む(Compantら、2008)。バークホルデリア属の菌種は、土壌及び根圏に遍在する生物体である(CoenyeとVandamme、2003;ParkeとGurian-Sherman、2001)。伝統的に、これらは、植物病原菌として知られており、バークホルデリア・セパシア(B. cepacia)は、タマネギの疾病を惹起する病原体として発見され、同定された最初のものである(Burkholder、1950)。数種類のバークホルデリア種は、これらの植物宿主との有益な相互作用を発達させている(例えば、Cabballero-Melladoら、2004、Chenら、2007参照)。また、かなりのバークホルデリア種は、ヒトに対して日和見の病原性があることが見出されている(例えば、ChengとCurrie、2005、およびNiermanら、2004参照)。
【0005】
さらに、かなりのバークホルデリア種は、生物防除品(biocontrol products)としての潜在的能力を有するものがあることが見出されている(例えば、Burkheadら、1994;Knudsenら、1987;Jansiewiczら、1988;Gougeら、米国特許出願第2003/0082147号;Parkeら、米国特許第6,077,505号;Casidaら、米国特許第6,689,357号;Jeddelohら、国際公開公報第2001055398号;Zhangら、米国特許第7,141,407号参照)。この属のかなりの種は、汚染された土壌又は地下水を浄化するバイオレメディエーションに有効であった(例えば、Leahyら、1996参照)。さらに、バークホルデリア(かなりのBurkholderia)種は、タンパク質分解活性、脂肪分解活性および溶血活性を有する、種々の細胞外酵素と共に、毒素、抗生物質およびシデロホアを分泌するものがあることが分かっている(例えば、Ludovicら、2007;Nagamatsu、2001参照)。
【0006】
[オキサゾール、チアゾールおよびインドール]
オキサゾール、チアゾールおよびインドールは、植物、藻類、海綿、および微生物に広く分布している。多くの天然産物は、1以上の5員環のオキサゾール、チアゾールおよびインドール核/部位(moiety)を含む。これらの天然産物は、立証可能な治療的価値のある幅広い生物活性スペクトルを示す。例えば、広く処方される抗癌剤である、ブレオマイシンA(Tomohisaら)は、DNAの酸化的分解反応に影響を与え、ビチアゾール部分を利用して、その標的DNA配列に結合する(Vanderwallら、1997)。チアゾリン含有ペプチド系抗生物質である、バシトラシン(Mingら、2002)は、C55-バクトプレノールピロホスファート(C55-bactoprenolpyrophosphate)との錯体形成によって細菌の細胞壁の新たな生合成を阻止する。チアンガゾール(Kunzeら、1993)は、1つのオキサゾールと、3つのチアゾリンのタンデム配列を含み、抗ウイルス活性を示す(Jansenら、1992)。
【0007】
さらに、チオストレプトン(Andersonら、1970)およびGE2270A(Selvaら、1997)等の他のオキサゾール/チアゾール含有天然産物は、細菌のタンパク質合成の翻訳段階を阻害する。インドール骨格を有する1000を超えるアルカロイドが、微生物から報告されている。インドールがトリプトファン由来である場合、これらの化合物の3分の1は、500Daを超える質量のペプチドである。残りの3分の2の構造の多様性は高く、これらの生物活性には、抗菌性、抗ウイルス性、細胞傷害活性、殺虫活性、血栓阻害活性、または酵素阻害活性が含まれ、この生物活性は広範囲に及ぶと考えられる。
【0008】
[概要]
非バークホルデリア・セパシア、非バークホルデリア・プランタリ(non-Burkholderia plantari)、非バークホルデリア・グラディオリ(non-Burkholderia gladioli)である、バークホルデリア種であって、下記の特性を有する単離菌株を提供する。
a.配列番号8、11および12に示す配列と少なくとも99.0%の同一性を有する、フォワード配列と、配列番号9、10、13〜15と少なくとも99.0%の同一性を有する、リバース配列とを含む、16S rRNA遺伝子を有し;
【0009】
b.農薬活性、特に、除草活性、殺虫活性、殺真菌活性、および殺線虫活性を有し;
c.(i)(a) 液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/Mass)によって決定された分子量が約525-555であり; (b) 1H NMRの値が、6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02であり; (c) 13C-NMRの値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51であり、そして(c) 水:アセトニトリル(CH3CN)のグラジエントを用い逆相C18-HPLCカラム上における高速液クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が、約10〜15分である化合物;
【0010】
(ii) 少なくとも1つのインドール部位と、少なくとも1つのオキサゾール部位と、少なくとも1つの置換アルキル基及びカルボン酸エステル基と;少なくとも17個の炭素と、少なくとも3個の酸素と2個の窒素とを含む、オキサゾリル-インドール構造を有する化合物;
(iii) 少なくとも1つのベンジル部位と、少なくとも1つのオキサゾール部位と、少なくとも1つの置換アルキル基及びアミド基と;少なくとも15個の炭素と、少なくとも2個の酸素と2個の窒素とを含む、オキサゾリル‐ベンジル構造を有する化合物;
(iv) 少なくとも1つのエステルと、少なくとも1つのアミドと、少なくとも3個のメチレン基と、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部と、少なくとも3つのオレフィン二重結合と;少なくとも6個のメチル基と、少なくとも3個のヒドロキシル基と;少なくとも25個の炭素と少なくとも8個の酸素と1個の窒素とを含む化合物;であって、
【0011】
d.哺乳類、鳥類、及び魚類等の脊椎動物に対しては非病原性(非感染性)であり、
e.カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシン、イミペネム、及びスルファメトキサゾール及びトリメトプリムに対して感受性があり(susceptible)、
f.16:0、シクロ17:0、16:0、3-OH、14:0、シクロ19:0ω8c, 18:0の脂肪酸を含む、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を産生する。
特別の実施態様において、この株はバークホルデリアA396株(NRRL受託番号B-50319)と同定される特性を有する。
【0012】
本明細書中では、バークホルデリア種から任意に得られる単離された化合物、バークホルデリア種またはこれらの化合物を産生することができる有機体(organism)に由来する単離された化合物が開示され、この化合物は、種々の害虫、特に植物病原性の害虫を制御することができる。こうした微生物としては、昆虫、線虫、細菌、真菌等を挙げることができるが、これらには限定されない。これらの化合物はまた、除草剤として使用することができる。
特に、単離された殺虫性の(pesticidal)化合物は、下記のものを含むがこれらに限定されない:
【0013】
(A) 以下の特性を有する化合物:(i) 液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって決定された分子量が約525〜555 (LC/MS); (ii) 1H NMR δ 値が 6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02; (iii) 13C NMRδ 値が 172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51 及び (iv) 水‐アセトニトリル(CH3CN)グラジエントを用いた逆相C-18 HPLCカラム上での高速液体クロマトグラフィー (HPLC)の保持時間が約10〜15分;
【0014】
(B) 少なくとも1つのインドール部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換アルキル基、少なくとも1つカルボン酸エステル基;少なくとも17個の炭素、少なくとも3つの酸素、および2つの窒素を含むオキサゾリル‐インドール構造を有する化合物;
(C) 少なくとも1つのベンジル部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換アルキル基、少なくとも1つアミド基;少なくとも15個の炭素、少なくとも2つの酸素、および2つの窒素を含むオキサゾリル‐ベンジル構造を有する化合物;
【0015】
(D) 少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、少なくとも3つのメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8つの酸素、および1つの窒素を有する、化合物;並びに、
(E)少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、および少なくとも1つの窒素を有する、化合物。
【0016】
特定の実施態様においては、単離された化合物には、下記の化合物が含まれるが、これらに限定されない:
(A)少なくとも1つのインドール部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換アルキル基、少なくとも1つのカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、少なくとも3つの酸素、及び少なくとも2つの窒素を含んだオキサゾリル‐インドール構造を有し;次に示すものを少なくとも1つ有する、化合物:(i)分子量が約275〜435;(ii) 1H NMR δ値が 8.44, 8.74, 8.19, 7.47, 7.31, 3.98, 2.82, 2.33, 1.08;
(iii) 13C NMR δ 値が 163.7, 161.2, 154.8, 136.1, 129.4, 125.4, 123.5, 123.3, 121.8, 121.5, 111.8, 104.7, 52.2, 37.3, 28.1, 22.7, 22.7; (iv) 水‐アセトニトリル(CH3CN)グラジエント溶媒系と210nmにおけるUV検出を用いた逆相C-18 HPLCカラム上での高速液体クロマトグラフィー (HPLC)の保持時間が約10〜20分;(v) UV 吸収帯が約226, 275, 327 nm.;
【0017】
(B)少なくとも1つのベンジル部分、少なくとも1つのオキサゾール部分及び少なくとも1つの置換アルキル基、及び少なくとも1つのアミド基;少なくとも15個の炭素及び少なくとも2つの酸素、少なくとも2つの窒素を含むオキサゾリル‐ベンジル構造を有する化合物;及び少なくとも1つの下記の特性: (i)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって決定された分子量約240〜290; (ii) 1H NMR δ 値が約7.08, 7.06, 6.75, 3.75, 2.56, 2.15, 0.93, 0.93;(iii) 13C NMR δ 値が、158.2, 156.3, 155.5, 132.6, 129.5, 129.5, 127.3, 121.8, 115.2, 115.2, 41.2, 35.3, 26.7, 21.5, 21.5;(iv)水:アセトニトリル(CH3CN)グラジエント及びUV吸収帯が約230、285及び323nmを用いる逆相C-18HPLC上での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が約6〜15分;
【0018】
(C) 少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部分、及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び1個の窒素並びに少なくとも1個の以下の特性を含む非エポキシド化合物:(i) 液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって決定された分子量約530〜580;(ii) 1H NMR δ 値が6.40, 6.39, 6.00, 5.97, 5.67, 5.54, 4.33, 3.77, 3.73, 3.70, 3.59, 3.47, 3.41, 2.44, 2.35, 2.26, 1.97, 1.81, 1.76, 1.42, 1.37, 1.16, 1.12, 1.04;(iii) 13C NMR δ 値が173.92, 166.06, 145.06, 138.76, 135.71, 129.99, 126.20, 123.35, 99.75, 82.20, 78.22, 76.69, 71.23, 70.79, 70.48, 69.84, 60.98, 48.84, 36.89, 33.09, 30.63, 28.55, 25.88, 20.37, 18.11, 14.90, 12.81, 9.41;(iv) 水:アセトニトリル(CH3CN)のグラジエント系及びUV210nmにおけるUV検出を用いたC-18逆相カラム上での速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が約7〜12分;(v) ESIMS及びNMRデータ解析(interpretation)により決定された分子式C28H45NO10;(vi) UV吸収帯が約210-450nm;
【0019】
(D)(i) 少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、1個のエポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部位及び少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素及び少なくとも1個の窒素;(ii) 13C NMR δ 値が174.03, 166.12, 143.63, 137.50, 134.39, 128.70, 126.68, 124.41, 98.09, 80.75, 76.84, 75.23, 69.87, 69.08, 68.69, 68.60, 48.83, 41.07, 35.45, 31.67, 29.19, 27.12, 24.55, 19.20, 18.95, 13.48, 11.39, 8.04, (iii) 分子式はC28H43NO9であり、そして、少なくとも1個の(i) 1H NMR δ 値が約6.41, 6.40, 6.01, 5.97, 5.67, 5.55, 4.33, 3.77, 3.75, 3.72, 3.64, 3.59, 3.54, 3.52, 2.44, 2.34, 2.25, 1.96, 1.81, 1.76, 1.42, 1.38, 1.17, 1.12, 1.04; (ii) 水:アセトニトリル(CH3CN)グラジエントを用いた逆相C-18 HPLCカラム上での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が約6〜15分、(iii) UV吸収帯が約210-450 nm であり、そして最も特別には約234 nmである化合物。.
【0020】
より特別な実施形態では、以下の化合物が提供されるが、これらには限定されない:
(A) 構造##STR001##を有する化合物、または農薬として(pesticidally)許容され得るその塩又はそれらの立体異性体、ここで、Mは1, 2, 3 又は4であり; nは0, 1, 2, 又は3であり; p及びqは独立に1又は2であり; XはO, NH又はNR; R1, R2及びR3は、同一又は異なっており、独立して、アミノ酸側鎖部位またはアミノ酸側鎖誘導体であり、Rは、低級鎖アルキル、アリール、またはアリールアルキル部分である;
【0021】
【化1】

(B) 構造##STR002##を有する化合物
【0022】
【化2】

【0023】
式中、X、Y及びZは、各々独立に、--O, --NR1, 又は−Sであり、R1 は--H 又はC1-C10 のアルキルであり;R1, R2 及びmは、各々独立に--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルであり、そして、“m”はオキサゾール環上のいずれかに位置することができる;
(C)構造##STR002a##を有する化合物
【0024】
【化3】

【0025】
式中、R1 は--H又はC1-C10アルキル;R2 はアルキルエステル;
(D) 構造##STR003##を有する化合物
【0026】
【化4】

【0027】
式中、X 及びYは、各々独立して--OH、--NR1、又は--Sであり、ここで、R1 は--H又はC1-C10 アルキルであり;R1、R2及びmは、オキサゾール環上の置換基であり、各々独立して--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、 --C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
(E) 下記の構造##STR003a##を有する化合物
【0028】
【化5】

##STR003a##
【0029】
式中、R1は--H 又はC1-C10アルキル;
(F) 下記の構造##STR004a##を有する化合物
【0030】
【化6】

【0031】
式中、X、Y及びZは、各々独立して、-O、 -NR、又は-Sであり、RはH又はC1-C10 アルキル;R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R9, R10, R11, R12, 及び R13 は各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
(G)構造##STR004b##を有する化合物
【0032】
【化7】

【0033】
式中、R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R9, R10, R11, R12, 及びR13 は、各々独立して、H, アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H, アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
(H) 構造 ##STR004c##を有する化合物
【0034】
【化8】

【0035】
式中、R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R11は、各々独立して、H, アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
(I) 構造##STR005##を有する化合物
【0036】
【化9】

##STR005##
【0037】
式中、X及びYは、各々独立して--OH、 --NR1、又は--Sであり、R1, R2 は各々独立して--H、アルキル(例えば、C1-C10アルキル)、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
(J) 構造##STR006a##を含む化合物
【0038】
【化10】

【0039】
式中、X, Y及びZは、各々独立して-O、-NR、又は-Sであり、RはH又はC1-C10 アルキルであり;R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R11, R12,及びR13は、各々独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、又はスルフリルである;
もっとも特別な実施形態においては、前記化合物は以下のものを含むが、これらに限られない。
【0040】
(i) テンプラゾールA:
(ii) テンプラゾール B:
(iii) テンプラミド A:
(iv) テンプラミド B:
(v) FR90128;
【0041】
【化11】

(vi)
【0042】
【化12】

(vii)
【0043】
【化13】

(viii)
【0044】
【化14】

(ix)
【0045】
【化15】

(x)
【0046】
【化16】

(xi)
【0047】
【化17】

(xii)
【0048】
【化18】

(xiii)
【0049】
【化19】

(xiv)
【0050】
【化20】

(xv)
【0051】
【化21】

(xvi)
【0052】
【化22】

(xvii)
【0053】
【化23】

(xviii)
【0054】
【化24】

(xix)
【0055】
【化25】

(xx)
【0056】
【化26】

(xxi)
【0057】
【化27】

(xxii)
【0058】
【化28】

(xxiii)
【0059】
【化29】

【0060】
【化30】

【0061】
【化31】

【0062】
【化32】

【0063】
【化33】

【0064】
【化34】

【0065】
【化35】

【0066】
【化36】

【0067】
【化37】

【0068】
【化38】

【0069】
【化39】

【0070】
【化40】

【0071】
【化41】

【0072】
【化42】

【0073】
【化43】

【0074】
【化44】

【0075】
(XL) FR901465
また、上記の化合物を得るための方法も提供される。特に、上記方法は、本明細書中で開示されたバークホルデリア種を培養する工程と、上記化合物を産生する工程とを含む。さらに、バークホルデリア株によって産生された化合物を単離することによって、これらの化合物を単離する方法を提供する。この方法は、バークホルデリア株の培養上清から製造された化合物を単離する工程を含む。
【0076】
さらに、
(a) (i) 農薬として任意に使用することができる、上記のバークホルデリア株由来の純粋な培養物、細胞の画分、又は上清又はそれらの抽出物からなる群から選ばれる第1物質;(ii) 上記の1以上の化合物;(b) 任意の第2物質、ここで上記第2物質は、化学的又は生物学的な農薬であり、そして:(c) 任意の、少なくとも1つの担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバント、又は農薬を含む組み合わせ(combination)が提供される。特別な実施形態では、前記組み合わせは組成物である。関連する特徴では、上記組成物で被覆された種子が提供される。
【0077】
関連する態様では、植物および/またはその種子および/または前記植物の成長に使用する基質に、次に示すものを、害虫の発生を調節するのに有効な量で適用することを含む、植物における害虫の発生を調節するための方法、および/または、単子葉類の雑草、カヤツリグサ科の雑草もしくは双子葉類の雑草または土壌に、次に示すものを、単子葉類の雑草、カヤツリグサ科の雑草もしくは双子葉類の雑草の発生もしくは成長を調節するのに有効な量で適用することを含む、前記雑草の発生および/または成長を調節するための方法を開示する:
【0078】
(I)(a)上述した単離された化合物、および(b)任意に、農薬(例えば、抗線虫剤、除草剤、抗真菌剤、殺虫剤)である他の物質、または
(II)上述した組成物もしくは組合せ。
別の関連する態様では、植物における害虫の蔓延をモジュレートするための上述した菌株、培養物、抽出物、上清、組み合わせ、化合物の使用、および/または、単子葉類の雑草、カヤツリグサ科の雑草もしくは双子葉類の雑草の発生もしくは成長を調節するための方法が提供される。この使用は、植物および/またはそれらの種子および/または上記植物の成長に使用する基質に適用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、バークホルデリア・マルチボランスATCC17616に対するバークホルデリアA396の増殖率の比較を示す。
【図2】図2は、ヒルガオに対するバークホルデリアA396抽出物の効果を示す。
【図3】図3は、アオゲイトウに対するバークホルデリアA396抽出物の効果を示す。
【図4】図4は、イラクサギンウワバ(トリコプルシア・ニ(Tricoplusia ni))に対するバークホルデリアA396抽出物の効果を示す。
【図5】図5は、シロイチモジヨトウ(スポドプテラ・イクシグア(Spodoptera exigua))に対するバークホルデリアA396培養液の効果を示す。
【0080】
【図6】図6は、幼生根瘤線虫(ネコブセンチュウ)(メロイドジン・インコグニタ(Meloidogyne incognita))の運動性に対するバークホルデリアA396培養物の効果を示す。
【図7】図7は、テンプラゾール(templazole)およびテンプラミド(templamide)化合物を得るための精製工程の略図である。
【図8】図8は、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(左)およびフィトフトラ(Phytophtora)属(右)に対するFR90128の抗真菌効果を試験する、インビトロアッセイの結果を示す。
【図9】図9は、メロイドジン(Meloidogyne)属の3000個の卵を接種したキュウリ栽培品種トーチカ(cucumber roots cv.Toschka)の平均ゴール指数(%対照)に対するバークホルデリアA369培養物の効果(接種および適用14日後)を示す。
【図10】図10は、メロイドジン属の3,000個の卵を接種したキュウリ栽培品種トーチカの平均ゴール指数に対するバークホルデリアA396培養液の効果(接種および適用14日後)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
前述の組成物及び方法は種々の修飾及び変形の影響を受けやすいが、本明細書にはその典型的な実施例を詳しく記載する。しかし、本発明をここに記載する特定の形式に限定する意向を示すものではなく、むしろ添付のクレームに定義するように本発明の精神及び範囲内の全ての変更、同等物及び代替品を含むことを意図するものと理解すべきである。
本明細書に記載される値域については特に指定がない限り、それぞれのその範囲内の値(intervening value)は、下限値の10分の1までの値、上限値と下限値の間の値及びその指定範囲内の、いずれの指定値又はその指定範囲内に入るいずれの値を含むものとする。指定の範囲内で、特に排除制限がなければ上限値及び下限値もこの範囲に含まれる。
【0082】
特に規定しない限り、本明細書に使用される全ての技術用語及び科学用語は、その発明が属する分野の同業者が理解するもとの同様な意味を示す。本発明の実施または試験において、明細書に記載する方法及び原料と類似または同様な方法及び原料をも使用できるが、ここには好ましい方法と原料を記載する。明細書及び添付のクレームに使用される単数形“a”, “an”及び“the”は、文脈に特に明記しないかぎり、複数形(plural references)を含むことに注意すべきである。ここで定義するように“〜に由来する”(derived from)は、ある特殊なソースから直接分離または入手する、又は特殊なソースから分離または入手する識別可能な特性を有する物質または有機体を意味するものとする。
【0083】
ここに定義するように“分離された化合物”は、本質的にほかの化合物または物質を含まない。例えば、クロマトグラフ法、電気泳動法を含む分析方法(これらの方法に限られない)により計算される少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは約60%、さらに好ましくは約80%、最も好ましくは約90%、更に最も好ましくは95%の純度を持つ化合物を示す。
ここに使用されるように用語“アルキル基”はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基などを含む炭素原子数約1〜12を有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0084】
ここに使用されるように用語“置換基”は、更に、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、--C(O)H、アシル、オキシアシル, カルボキシル基、スルホニル基、スルホンアミド、スルフリル基などから選択される1つ以上の置換基を有するアルキル基を指す。
ここに使用されるように、“アルケニル”の語は1つ以上の炭素-炭素二重結合及び約2〜12の炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指し、“置換アルケニル基”は、更に1つ以上の上記置換基を有するアルケニル基を指す。
ここに使用されるように、用語“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合及び約2〜12の炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指し、用語“置換アルケニル”は更に1つ以上の上記置換基を有するアルキニル基を指す。
【0085】
ここに使用されるように、“アリール”は6〜14の炭素原子を有する芳香族基を指し、“置換アリール”は更に1つ以上の上記置換基を有するアリール基を指す。
ここに使用されるように、“ヘテロアリール”の語は、環状構造の一部に1つ以上のヘテロ原子(例えば、N, O, Sなど)を含み、3〜14の炭素数を有する芳香環を指し、“置換へテロアリール”は、更に1つ以上の上記置換基を有するヘテロアリール基を指す。
ここに使用されるように、“アルコキシル基”は--O-アルキル基を指し、アルキル基は上記規定で定義した通りである。“置換アルコキシル基”は、更に1つ以上の上記置換基を有するアルコキシル基を指す。
【0086】
ここに使用されるように“チオアルキル基”は、--S-アルキル基を指し、アルキル基は上記規定で定義した通りである。“置換チオアルキル基”は更に1つ以上の上記置換基を有するチオアルキル基を指す。
ここに使用されるように“シクロアルキル基”は、3〜8の炭素原子数を有する環状アルキル基を指し、“置換シクロアルキル基”は更に1つ以上の上記置換基を有するシクロアルキル基を指す。
ここに使用されるように“複素環”は、環状構造の一部にに1つ以上のヘテロ原子(例えば、N, O, S など)及び3〜14の炭素原子数を有する環式基(即ち、環を含む)を指し、“置換複素環”は更に1つまたは1つ以上の上記置換基を有する複素環基を指す。
【0087】
バークホルデリア株
本明細書で説明するバークホルデリア菌株は、非セパシア菌群(non-Burkholderia cepacia complex)、 非苗立枯細菌病菌(non-Burkholderia plantari)、 非首腐病菌
( non-Burkholderia gladioli)のバークホルデリア属種(Burkholderia sp)であり、鳥類、哺乳動物及び魚類等脊椎動物に対し非病原性である。この菌株は公知の技術及びLorchら(Lorch et al.,1995)の記載により土壌サンプルから分離できる。バークホルデリア菌株は様々な異なる土壌または増殖培地から分離し得る。サンプルはポテトデキストロ−ス寒天培地(PDA)に植菌する。バクテリアはグラム陰性であり、クリーム色の円形不透明なコロニーを形成する。このコロニーは、時間の経過に伴いピンク色からピンクがかった褐色に変色し、ムコイド又は粘液性に変化する。
【0088】
コロニーをポテトデキトロース寒天培地から分離し、以下の実施例に説明する本発明のバークホルデリア菌株の生物学的、遺伝学的、生化学的特性および/または酵素特性についてスクリーニングする。特に、バークホルデリア菌株はclustal 分析で決定されるような配列番号8, 11及び12の配列と少なくとも約99%、好ましくは約99.5%、更に好ましくは約99.9%、最も好ましくは約100%一致するフォワード配列、及び配列番号9, 10及び13, 14及び15の配列と少なくとも約99%、好ましくは約99.5%、更に好ましくは約99.9%、最も好ましくは約100%一致するフォワード配列からなる遺伝子を含む16S rRNAを含んでいる。更に、以下に説明するようにこのバークホルデリア菌株は殺虫作用、特に殺ウィルス、除草、殺菌、抗真菌、殺線虫、殺菌及び殺虫効果を有し、さらに詳しくは、除草、殺虫、抗真菌及び殺線虫効果を有する。このバークホルデリア菌株は哺乳動物、鳥、魚等脊椎動物には非病原性である。
【0089】
また、このバークホルデリア菌株は、少なくとも本明細書に記載する農薬化合物を生成する。
バークホルデリア菌株は、カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム及びスルファメトキサゾールとトリメトプリムの組み合わせなどに感染しやすく、16:0, cyclo 17:0, 16:0 3-OH, 14:0, cyclo 19:0, 18:0 の脂肪酸を含む。
このバークホルデリア菌株は、ポテトデキストロース寒天(PDA)培地、またはグルコース、マルトース、フルクトース、ガラクトースなどの定義された炭素原及びペプトン、トリプトン、ソイトン(soytone)及びNZ アミンなどの定義されていない窒素原を含む発酵培地上でバークホルデリア A396(NRRL 受託番号 50319)の特徴を同定できる微生物を培養することにより得られる。
【0090】
[農薬化合物]
ここに開示する農薬化合物は下記性質を有し得る。(a) 新規なバークホルデリア種、すなわち、A396から得られる; (b) 特に、殆どの農業病害虫に有毒である;(c)約525〜555の分子量を有すること、特には、液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)測定による分子量540を有すること;(d)1H NMRの値が 6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02; (d) 13C NMRの値が172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51であること;
【0091】
(e) 逆相C-18 HPLC カラム(phenonmenex, Luna 5μ C18(2) 100 A, 100 x 4.60 mm)
及び水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系(0-20分; 90-0%の水性アセトニトリル
, 20-24分; 100%のアセトニトリル, 24-27分; 0-90%の水性アセトニトリル, 27-30
分;90%の水性アセトニトリル)を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)おいて、
流速0.5 ml/min下で210 nm におけるUV検出結果、カラムにおける保持時間が約10
〜15分、より詳細には約12分、更に詳細には約12.14分であること;
【0092】
(f) 1H NMR, 13C NMR 及び LC/MS解析によって決定され、分子式C24H36N4O6S2
有すること;(g) 13C NMRスペクトルにおいて、5個のメチル基、4個のメチレン基、
9個のメチン基を及び6個の4級炭素原子を含む計24個の炭素シグナルが観測される
こと;(g) 1H NMRスペクトルおいて、3個のアミノプロトン[4.63,4.31, 3.93]及び1
個のエステルカルビノールプロトン[5.69]を含むデプシペプチド独特の特性が示され
ること。
ある特定の実施形態において、この化合物は##STR001##の構造を有する。
【0093】
【化45】

【0094】
または、殺虫剤として利用可能な上記化合物の塩或いは立体異性体を含む。構造式中、Mは1, 2,3又は4;nは0, 1, 2又は3;p及びqは相互独立な1又は2;XはO, NH又はNR;R1, R2及びR3は同一又は異なる、それぞれ独立したアミノ酸側鎖部分又はアミノ酸側鎖誘導体であり、Rは短鎖長アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基である。
ある特定の実施形態において、化合物はFR90128の構造を有する。
【0095】
【化46】

ここでは、構造##STR002##を有する化合物を提供する。
【0096】
【化47】

【0097】
式中、X, Y及びZは各々独立に--O,--NR1又--Sをであり、R1は--HまたはC1-C10のアルキルであり;R1, R2及びmは、各々独立に--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド又はスルフリル基である。
他の特定の実施形態において、##STR002##族化合物は(vi)-(xix)に示す化合物であっても良い。
【0098】
【化48】

(vii)
【0099】
【化49】

(viii)
【0100】
【化50】

(ix)
【0101】
【化51】

(x)
【0102】
【化52】

(xi)
【0103】
【化53】

(xii)
【0104】
【化54】

(xiii)
【0105】
【化55】

(xiv)
【0106】
【化56】

(xv)
【0107】
【化57】

(xvi)
【0108】
【化58】

(xvii)
【0109】
【化59】

(xviii)
【0110】
【化60】

(xix)
【0111】
【化61】

【0112】
これらの化合物は天然物、または市販品もしくは化学合成品である。##STR002##族化合物の天然物ソースには微生物、藻類、海綿動物などが含まれるが、これらのソースに限定されない。ある特定の実施形態において、微生物は、下記種に由来し得る##STR002##族化合物を含むが、これらの化合物に限定されない。または、これらの種に由来し得る##STR002##族化合物である。これらの種には、ストレプトバーテイシリウム・ワクスマニ(Streptoverticillium waksmanii)(化合物vi)(Umehara, et al., 1984),ストレプトマイセス・ピンプリナ(Streptomyces pimprina)(化合物vii)(Naiket al., 2001), ストレプトバーテイシリウム・オリボレティキュリ(Streptoverticillium olivoreticuli)(化合物viii, ix, x)(Koyama Y.,et al., 1981), ストレプトマイセス種(Streptomyces sp)(化合物xi,xii)(Watabe et al., 1988), シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae) (化合物xiii,xiv)(Pettit et al.,2002)等が含まれる。
【0113】
又、##STR002##族化合物は紅藻類 (化合物xv)(N'Diaye, et al., 1996), 紅藻アヤニシキ(Martensia fragilis)(化合物xvi) (Takahashi S. et al., 1998), ディアゾナ・シネンシス(Diazona chinensis)(化合物 xvii & xviii) (Lindquist N. et al., 1991), ロドフィコタ・ハラルディフィラム種(Rhodophycota haraldiophyllum sp) (化合物 xix) (Guella et al., 1994)を含む藻類由来の化合物でも良いが、藻類はこれら藻に限られない。
化合物##STR003##も提供する。
【0114】
【化62】

【0115】
式中、X及びYは各々独立に、--OH, --NR1, または--Sであり、R1は--H又はC1-C10のアルキルである;R1, R2及びmはオキサゾール環上での置換基であり、各々独立に--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド又はスルフリルである。
さらに、化合物##STR005##を提供する。
【0116】
【化63】

【0117】
式中、X及びYは各々独立に、--OH, --NR1, または--Sであり、R1, R2は各々独立に、--H, アルキル(例えば、C1-C10のアルキル)、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド又はスルフリルである。
ある特定の実施形態において##STR005##族化合物、例えば、以下に示す化合物xx-xxiiiは自然物ソースまたは市販品もしくは化学合成品である。
【0118】
【化64】

(xx)
【0119】
【化65】

(xxi)
【0120】
【化66】

(xxii)
【0121】
【化67】

(xxiii)
【0122】
##STR005##族化合物の自然物ソースには植物、珊瑚、微生物、海綿動物が含まれるが、これらの自然源に限られない。微生物には、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)(化合物xx)(Hirota et al., 1978)、ストレプトミセス・アルブス(Streptomyces albus)(化合物xxi)(Werner et al., 1980)が含まれるが、これらの微生物に限られない。STR004族化合物はハラルジオフェルム種(Haradiophyllum sp)(化合物xxii (Guella et al., 2006)及び紅藻 (化合物xxii (N’Diaye et al., 1994)を含む藻類由来のものであってもよいが、これらの藻類に限られない。
【0123】
ある実施態様において、この化合物は微生物、特にバークホルデリアから抽出または入手できる。この化合物は少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、少なくとも3つのメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース基(tetrahydropyranose moiety)、少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素及び1個の窒素を含む構造を有することを特徴とする。この化合物は更に少なくとも下記特性の1つを含む。
【0124】
(a) 殺虫性、特に、殺線虫、殺菌、殺昆虫、除草等特性を有すること;
(b) 分子量が約530〜580であり、より詳しくは、液体クロマトグラフィ−/質量分析測定(LC/MS)による分子量が555であること;
(c) 1H NMR δ 値が6.40, 6.39, 6.00, 5.97, 5.67, 5.54, 4.33, 3.77, 3.73, 3.70, 3.59, 3.47,3.41, 2.44, 2.35, 2.26, 1.97, 1.81, 1.76, 1.42, 1.37, 1.16, 1.12, 1.04であること;
(d) 13C NMR δ 値が 173.92, 166.06, 145.06, 138.76, 135.71, 129.99, 126.20, 123.35, 99.75,82.20, 78.22, 76.69, 71.23, 70.79, 70.48, 69.84, 60.98, 48.84, 36.89, 33.09, 30.63, 28.55,25.88, 20.37, 18.11, 14.90, 12.81, 9.41であること;
【0125】
(e) 逆相C-18 HPLC カラム(phenonmenex, Luna 5μ C18(2) 100 A, 100 x 4.60 mm)及び水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系(0-20分; 90-0%の水性アセトニトリル, 20-24分; 100 %のアセトニトリル, 24-27分; 0-90%の水性アセトニトリル; 27-30分; 90%の水性アセトニトリル)を用いる高速液体クロマトグラフィー (HPLC)において、流速0.5 ml/minで210 nm におけるUV検出結果、固定相における保持時間が約7〜12分、詳細的には約10分、より詳細的には約10.98分であること;
【0126】
(f) 13C NMRスペクトルにおいて、6個のメチル及び4個のメチレン炭素、5つのsp2
を含む13個のメチン及び4個の4級炭素に帰属できる28個の異なる炭素シグナルを
示すこと;
(g) エレクトロスプレ−質量分析及(ESIMS)及び核磁気共鳴分析(NMR)分析による分
子式がC28H45NO10であること;
(h) 210-450nmに、最も明確には234nm にUV吸収帯を有すること.
##STR004a##の構造を有する化合物も提供する。
【0127】
【化68】

【0128】
式中、X, Y及びZは各々独立に、-O, -NR又は-Sであり、RはH又はC1-C10のアルキルであり;R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R9, R10, R11, R12, 及び R13はそれぞれ独立にH,アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォアミド又はスルフリルである。
ある特定の実施形態において、化合物は##STR004b##の構造を有する。
【0129】
【化69】

【0130】
式中、R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R9, R10, R11, R12, 及びR13は、上記##STR004a##で定義した通りである。
さらに、ある特定の実施形態において、化合物は下記構造を有するテンプラミド(Templamide) Aである。
【0131】
【化70】

他の実施形態において、構造##STR004c##を有する化合物を提供する。
【0132】
【化71】

【0133】
式中、R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, 及び R11は前述の##STR004a##で定義した通りである。
また、他の実施形態において、化合物はバークホルデリア種から得られる少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、1つのエポキシドメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース基、及び少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素及び少なくとも8個の酸素と1個の窒素を含む構造を有し、殺虫効果を有することを特徴とする化合物である。この化合物は更に少なくとも下記特性の1つを含む。
【0134】
(a) 殺虫性、特には殺虫、殺菌、殺線虫及び除草等特性を有すること;
(b) 分子量が520〜560であり、より詳しくは、液体クロマトグラフィ−/質量分析(LC/MS)により決定された分子量が537であること;
(c) 1H NMR δ 値が 6.41, 6.40, 6.01, 5.97, 5.67, 5.55, 4.33, 3.77, 3.75, 3.72, 3.64, 3.59, 3.54, 3.52, 2.44, 2.34, 2.25, 1.96, 1.81, 1.76, 1.42, 1.38, 1.17, 1.12, 1.04であること;
(d) 13C NMR δ 値が174.03, 166.12, 143.63, 137.50, 134.39, 128.70, 126.68, 124.41,98.09, 80.75, 76.84, 75.23, 69.87, 69.08, 68.69, 68.60, 48.83, 41.07, 35.45,31.67, 29.19, 27.12, 24.55, 19.20, 18.95, 13.48, 11.39, 8.04であること;
【0135】
(e) 水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系用いる、逆相C-18 HPLC カラムにおける高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が6-15分、より明確には8分であること、特に、水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系(0-20分; 90-0%の水性アセトニトリル, 20-24分; 100% のアセトニトリル, 24-27分; 0-90%の水性アセトニトリル, 27-30分; 90%の水性アセトニトリル)を用いる、逆相C-18 HPLC カラム(phenonmenex, Luna 5μ C18(2) 100 A, 100 x 4.60 mm)における高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が、流速0.5 ml/min及び210nmのUV検出において、8〜15分、より詳細的には11分、更に詳細的には11.73分であること;
(f) エレクトロスプレ−質量分析及(ESIMS)及び核磁気共鳴分析(NMR)による分子式がC28H43NO9であること;
(g) 210-450nmに、最も明確には234nm にUV吸収帯を有すること。
ある特定の実施形態において、化合物は構造##STR006a##を有する。
【0136】
【化72】

【0137】
式中、X, Y 及びZは、各々独立に、-O, -NR又は-Sであり、RはH又はC1-C10のアルキルであり;R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, R9, R10, R11, R12, 及び R13は、各々独立に、H,アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォアミド又はスルフリルである。
ある特定の実施形態において、化合物は下記構造を有する。
【0138】
【化73】

ほかの実施形態において、##STR006b##の構造を有する化合物を提供する。
【0139】
【化74】

【0140】
式中、 R1, R2, R3, R4, R5, R6, R7, R8, 及びR11は前述の##STR006a##で定義した通りである。
ある特定の実施形態において、化合物は下記構造を有するテンプラミドB(Templamide B)である。
【0141】
【化75】

【0142】
しかしほかの特定の実施形態において、化合物はバークホルデリア種から得られる少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、1つのエポギシドメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース基、及び少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素及び少なくとも8個の酸素と1個の窒素を含む構造を有することを特徴とする化合物である。この化合物は更に少なくとも下記特性の1つを含む。
【0143】
(a) 殺虫性、特には殺虫、殺菌、殺線虫及び除草等特性を有すること;
(b) 分子量が約510〜550であり、より詳しくは、液体クロマトグラフィ−/質量分析(LC/MS)により決定された分子量が523であること;
(c) 1H NMR δ 値が 6.41, 6.40, 6.01, 5.98, 5.68, 5.56, 4.33, 3.77, 3.75, 3.72, 3.65,3.59, 3.55,3.50, 2.44, 2.26, 2.04, 1.96, 1.81, 1.75, 1.37, 1.17, 1.04であること;
(d) 13C NMR δ 値が172.22, 167.55, 144.98, 138.94, 135.84, 130.14, 125.85, 123.37, 99.54, 82.19, 78.28, 76.69, 71.31, 70.13, 69.68, 48.83, 42.52, 36.89, 33.11,30.63, 25.99, 21.20, 20.38, 18.14, 14.93, 12.84であること;
【0144】
(e) 水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系用いる、逆相C-18 HPLC カラムにおける高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が6-15分、より明確には8分であること、特に、水:アセトニトリルのグラジエント溶媒系(0-20分; 90-0%の水性アセトニトリル, 20-24分; 100% のアセトニトリル, 24-27分; 0-90%の水性アセトニトリル, 27-30分; 90%の水性アセトニトリル)を用いる、逆相C-18 HPLC カラム(phenonmenex, Luna 5μ C18(2) 100 A, 100 x 4.60 mm)における高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が、流速0.5 ml/min及び210nmのUV検出において、8〜15分、より詳細的には10分、更に詳細的には10.98分であること;
【0145】
(f) エレクトロスプレ−質量分析及(ESIMS)及び核磁気共鳴分析(NMR)による分子式がC27H41NO9であること;
(g) 凡そ210-450nmに、最も明確には234nm にUV吸収帯を有すること。
ある特定の実施形態において、化合物は下記構造を有する公知のFR901465である。この化合物は、従来からシュードモナス菌種No.2663(Nakajima et al. 1996)のバクテリアから培養ブロスにより分離されることが知られており、抗癌活性を有することがすでに報告されている。
【0146】
【化76】

【0147】
更に他の特定の実施形態において、##STR006a##族化合物はxxiv〜xxxixに示す化合物でも良い。これらの化合物は、天然物または市販品もしくは化学合成品である。##STR006a##族化合物のソースには微生物、藻及び海綿動物などが含まれるが、これらのソースに限られない。更にある特定の実施形態において、##STR006a##族化合物を含む微生物は、シュードモナス菌種No.2663(化合物xxiv〜xxxix)(Nakajima et al. 1996)などの菌種から得られる。合成誘導体FR901464(xxvii-xxxix)はすでに合成され、抗癌化合物(Koideらの 米国特許出願番号2008/0096879 A1を参考)として特許されている。
【0148】
【化77】

【0149】
【化78】

【0150】
【化79】

【0151】
【化80】

【0152】
【化81】

【0153】
【化82】

【0154】
【化83】

【0155】
【化84】

【0156】
【化85】

【0157】
【化86】

【0158】
【化87】

【0159】
【化88】

【0160】
【化89】

【0161】
【化90】

【0162】
【化91】

【0163】
【化92】

【0164】
[組成物]
本発明のバークホルデリア菌株から生成される実質的に純粋な培養物、細胞画分又は上澄み及び化合物は殺虫組成物を形成し得る。
上記物質は、何れかの方法により組成物を形成し得る。非制限形成例には乳剤(EC)、水和剤(WP)、可溶性液体(SL)、エアロゾル、超微量濃縮物(ULV)、可溶性粉末(SP)、マイクロカプセル化、水分散粒子、流動性物質(FL)、マイクロエマルション(ME)、ナノエマルション(NE)等が含まれるが、これらの形態に限られない。特に、濃縮物、粉末、粒子、乳剤などは凍結乾燥することができる。ここに記載する何れの剤形においても、活性成分の割合は0.01%〜99.99%である。
【0165】
これら組成物は、液状、ゲル状または固形状でも良い。液状組成物には、上記バークホルデリア菌株由来の農薬化合物、例えば識別可能な特性を有するバークホルデリアA396(NRRL 受託番号B-50319)菌株が含まれる。
固形組成物は農薬化合物溶液に固体担体を浮遊させ、懸濁物を穏やかな条件、例えば、室温で蒸発または65℃以下で真空蒸発させることにより生成させることができる。
本発明の組成物は、本発明のバークホルデリア菌株に由来するゲルカプセル化合物を含むことができる。このようなカプセル化されたゲル状組成物は、本発明の方法に用いられる農薬化合物溶液にゲル形成を引起すゲル形成剤(例えば、ゼラチン、セルロース又はリグニン)を混合することにより生成することができる。
【0166】
組成物は、更に、有効成分の乳化、分散、湿潤、展開、融合、崩壊制御、安定化及び流動性の改善又はさび防止のために使用される界面活性剤を含むことができる。ある特定の実施形態において、界面活性剤は、好ましくは、EPAリスト4Bに属する非植物毒素の、非イオン性の界面活性剤である。他の特定の実施形態において、非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレン(20)モノラウレートである。界面活性剤の濃度範囲は、全組成物に対し0.1-35%、好ましくは5-25%であれば良い。分散剤、乳化剤の選択 (例えば、非イオン性、アニオン性、両性又はカチオン性の分散剤及び乳化剤)及び使用される量は、組成物の性質及びこれら組成物の分散を促進する界面活性剤の分散能力により決まる。
【0167】
組成物は更に他の微生物及び/又は殺虫剤(例えば、殺線虫剤、殺菌剤、殺虫剤)を含むことができる。微生物にはバチルス種(Bacillus sp)、シュードモナス種(Pseudomonas sp)、ブレビバシルス種(Brevbacillus sp)、レカニシリウム種(Lecanicillium sp)、非アンペロミセス種(non-Ampelomyces sp)、シュードザイマ種(Pseudozyma sp)、ストレプトミセス種(Streptomyces sp)、パークホルデリア種(Burkholderia sp)、トリコデルマ種(Trichoderma sp)、グリオクラディウム種(Glioclaium sp)由来の物質が含まれるがこれらの物質にに限られない。或いは、この物質は天然油または殺菌性及び/又は殺虫作用を有するオイル製品(例えば、パラフィン系オイル、ティーツリー油、レモングラス油、丁子油、桂皮油、かんきつ油、ローズマリー油)でも良い。
【0168】
この組成物は、詳細には更に殺虫剤を含むことができる。殺虫剤にはアベルメクチン(avermectin)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ニーム油(neem oil)、アザジラクチン(azadiractin)、スピノサド(spinosads)、クロモバクテリウム・サブツガエ(Chromobacterium subtsugae)、ユーカリ抽出物(eucalyptus extract)、昆虫病原性細菌又は白きょう病(Beauveria bassiana)、メタルヒジウム・アニソプリアエ(Metarrhizium anisopliae)などの菌及び下記化学殺虫剤が含まれる。化学殺虫剤は、有機塩素系化合物、有機リン化合物、カルバメート、ピレスロイド、ネオニコチノイドを含むが、これらの化学殺虫剤に限られない。
【0169】
この組成物は、さらに殺線虫剤を含むことができる。殺線虫剤にはフェナミホス(fenamiphos)、アルジカルブ(aldicarb)、オキサミル(oxamyl)、カルボフラン(carbofuran)、ネアミチシド(neamiticide)自然産物、アベルメクチン(avermectin)などの化学殺線虫剤、パエシロマイセス・ライラキナス(Paecilomyces lilacinas)及びムスコドル種(Muscodor spp.)などの菌類、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、他のバチルス菌種(Bacillu spp.)及びパスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)などの細菌が含まれるが、これらの化学殺線虫剤に限られない。
【0170】
この組成物は、さらに、R.サカリネンシス(R.sachalinesis(Regalia))抽出物など
の生物殺菌剤または殺菌剤を含むことができる。これらの殺菌剤にはベンズイミダゾール、脱メチル化反応阻害剤(DMI)(例えば、イミダゾール、ピペラジン、ピリミジン、トリアゾール)、モルホリン、ヒドロキシピリミジン、アニリノピリミジ、ホスホロチオラート、キノンアウトサイド阻害剤、キノリン、ジカルボキスイミド、カルボキスイミド、フェニルアミド、アニリノピリミジン、フェニルピロ−ル、芳香族炭化水素、桂皮酸、ヒドロキシアニリド、抗生物質、ポリオキシン、アシルアミン、フタルミド、ベンゼノイド(キシリルアアラニン)のシングルサイト抗菌剤が含まれ得るが、これらのシングルサイト抗菌剤に限定されない。
【0171】
また、ある実施形態において、抗菌剤はイミダゾール(例えば、トリフルミゾール)、ピペラジン、ピリミジン、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、ピロピコナゾール)からなる群から選択される脱メチル化阻害剤である。抗菌剤は、ニトリル(例えば、クロロニトリル又はフルジオキソニル)、キノキサリン、スルファミド、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、ジチオカルバミン酸塩、クロラルキチオス(chloralkythios)、フェニルピリジン−アミン、シアノ−アセトアミドオキシムからなる群から選ばれるマルチサイト非無機性(non-inorganic)殺菌剤である。
【0172】
この組成物は、周知の方法を用いて施用できる。特に、これらの組成物は、植物または植物部位に施用することができる。本明細書における植物は、全ての植物と植物群、例えば、好ましいまたは好ましくない野生植物または作物(自然作物を含む)を意味するものとする。作物は、従来の植物栽培方法及び最適化方法またはバイオ技術、遺伝子工学技術またはこれらの方法の組合せにより得られる植物であればよく、遺伝子組換え植物及び育成者権により保護されるかまたは保護されない植物栽培品種を含む。植物部位とは、植物の地上部又は地下部を含む全ての植物部位又は器官、例えば、若枝{わかえだ}、葉、花及び根を意味するものとする。実施例に挙げられるのは葉、根、茎、葉柄、花、子実体、果肉、種子、根、塊茎及び根茎である。植物部位はまた収穫物及び植物繁殖材料、例えば、挿し木、塊茎、根茎、側枝及び種子も含む。
【0173】
上記説明の組成物を用いる植物及び植物部位の処理法は、組成物を植物または植物部位に直接施用するかまたはその周囲、生息地或いは貯蔵スペースに作用させることにより、例えば、浸漬、散布、蒸発、噴霧、塗布、灌注することにより施用できる。組成物を種子に適用する場合は、種子をまく前に既知の方法により種子を、この組成物で一度以上粉衣処理することができる。
【0174】
前述のように、本組成物は除草効果を有することができる。この組成物はさらに1つ以上の除草剤を含むことができる。これら除草剤には、生物除草剤及び/又は化学除草剤が含まれるが、これら除草剤に限られない。生物除草剤は、クローブ(clove), シナモン、レモングラス(lemongrass)、かんきつ油、橙皮油、テントキシン(tentoxin)、コルネキシスチン(cornexistin)、AAL-毒素、レプトスペルモン(leptospermone)、サクストミン(thaxtomin)、サルメンチン(sarmentine)、モミラクトンB(momilactone B)、ソルゴレノ(sorgoleone)、アスカラトキシン(ascaulatoxin)およびアスカラトキシ配糖体(ascaulatoxin aglycone)から成る群から選ばれることができる。
【0175】
化学除草剤には、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)及びその塩、ジカンバ(dicamba)及びその塩、トプラメゾン(topramezone)、テムボトリオン(tembotrione)、s-メトラクロール(s-metolachlor)、アトラジン(atrazine)、メソトリオン(mesotrione)、プリミスルフロン−メチル(primisulfuron-methyl)、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-dichlorophenoxyacetic acid)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、メチルチフェンスルフロン(thifensulfuron-methyl)、アスラム(asulam)、メトリブジン(metribuzin)、ジクロフォップメチル(jiclofop-methyl)、フルアジフォップ(fluazifop)、フェノキサプロップ-p- エチル(fenoxaprop-p-ethyl)、アスラム(asulam)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、リムスルフロン(rimusulfuron)、
【0176】
メコプロップ(mecoprop)、キンクロラク(quinclorac)、チオベンカーブ(thiobenncarb)、クロマゾン(clomazone)、シハロホプ(cyhalofop)、プロパニル(propanil)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)、ペノキススラム(penoxsulam)、トリクロピル(triclopy)、イマゼサピル(imazethapyr)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron-methyl)、ペンジメサリン(pendimethalin)、ビスピリバクナトリウム塩(bispyribac-sodium)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone ethyl)、ベンタゾンナトリウム(sodium benntazon)/アシフルオルフェンナトリウム(sodium acifluorfen)、グリホサート(glyphosate)、グルホシネート(glufosinate)及びオルソスルファムロン(orthosulfamuron)が含まれるが、これら除草剤に限られない。
【0177】
除草組成物は発芽前または発芽後除草剤として、液状または固形状で施用し得る。発芽前の除草乾剤における、担体の粒子サイズは通常1-2mm(直径)であるが、要求される土地被覆により粒子はこのサイズより小さくても大きくても良い。粒子は多孔性または非孔性粒子を含むことができる。
発芽後除草剤において、施用される処方成分にはスメクタイト粘土、アタパルジャイ
ト粘土及び類似の膨潤粘土、増粘剤、例えば、キサンタンゴム、アラビア・ゴム及び他の多糖増粘剤及び非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート)等分散安定剤などが含まれることができる。
【0178】
[利用分野]
本明細書に記載されるバークホルデリア属菌株由来の組成物及び農薬化合物は農薬として、特には殺昆虫剤、殺線虫剤、殺菌剤及び除草剤として利用することができる。
特に上記説明の方法を用いて抑制できる線虫には根こぶ、リング(ring)、 スティング(sting)、 ランス(lance)、嚢胞等寄生線虫及び下記病変線虫(lesion nematodes)が含まれるが、これらの線虫に限られない。上記病変線虫にはメロイドジン属(Meloidogyne)、ヘテロデラ属(Heterodera)及びグロボデラ種(Globodera spp.);特には、メロイドジン・インコグニタ(Meloidogyne incognita)(ネコブセンチュウ)、及びグロボデラ・ロストシネンシス(Globodera rostochiensis)とグロボデラ・パイリダ(globodera pailida)(ジャガイモシストセンチュウ);ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)(ダイズシストセンチュウ); ヘテロデラ・スキャッティ(Heterodera schachtii)(ビートシストセンチュウ)及びヘテロデラ・アヴェナエ(Heterodera avenae)(ムギシストセンチュウ)が含まれるが、これら病変線虫に限られない。
【0179】
本発明の方法により抑制される植物病原性昆虫には下記の目に分類される昆虫が含まれるがこれらの昆虫に限られない。(a)チョウ目(Lepidoptera)、 例えば、アスレリス種(Acleis spp.)、アドキソピエス種(adoxophyes spp.)、アエゲリア種(Aegeria spp.)、アグロチス種(Agrotis spp.)、アラバマアルギルラセアエ(Alabama argillaceae)、アミロイス種(Amylois spp.)、大豆夜蛾(Anticarsia gemmatalis)、ハマキ種(Archips spp.)、アルギロタエニア種(Argyrotanaenia spp.)、オートグラファ種(Autographa spp.)、ブセオラフスカ(Busseola fusca)、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、カルポシナ・ニッポネンシス(Carposina nipponensis)、チロ種(Chilo spp.)、
【0180】
オビハマキ種(Choristoneura spp.)、クリシア・アムビグエラ(Clysia ambiguella)、クナファロクロシス(Cnaphalocrosis spp.)、クネファシア種 (Cnephasia spp.)、コキリス種 (Cochylis spp.)、コレホラ種 (Coleophara spp.)、ケブカノメイガ(Crocidolomia binotalis)、コドリンガモドキ(Cryptophlebia leucotreta)、シディア種(Cydia spp.)、ディアトラエア種(Diatraea spp.)、ジパロプシス・カスタネア(Diparopsis castanea)、イーリアス種(Earias spp.)、エフェスチア種(Ephestia spp.)、エウコスマ種(Eucosma spp.)、ブドウホソハマキ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクチス種(Euproctis spp.)、エウクソア種(Euxoa spp.)、グラホリタ種(Grapholita spp.)、ヘドヤヌビフェラナ(Hedya nubiferana)、ヘリオチス種(Heliothis spp.)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、
【0181】
アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、ケイフェリア・リコペルシケラ(Keiferia lycopersicella)、レウコプテラ・スシテラ(Leucoptera scitella)、リトコレティス種(Lithocollethis spp.)、ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana)、マイマイガ種(Lymantria spp.)、リオネチア種(Lyonetia spp.)、マラコソマ種(Malacosoma spp.)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、マンズカ・セクスタ(Manduca sexta)、オペロフテラ種(Operophtera spp.)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、パメネ種(Pammene spp.)、
【0182】
ペンデミス種(Pandemis spp.)マツキリガ(Panolis flammea)、ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモキバガ、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、モンシロチョウ種(Pieris spp.)、コナガ(Plutella xylostella)、プライス種(Prays spp.)、シロオオメイガ種(Sciprophaga spp.)、セサミア種(Sesamia spp.)、テングハマキ種(Sparganothis spp.)、スジキリヨトウ種(Spodoptera spp.)、コスカシバ種(Synanthedon spp.)、タウメトポエア種(Thaumetopoea spp.)、ウスアミメキハマキ種(Tortrix spp.)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)及びスガ種(Yponomeuta spp.)
【0183】
(b) 鞘翅目(Coleoptera)、例えば、アグリオテス種(Agriotes spp.)、アンソノムス種(Anthonomus spp.)、アトマリア・リネアリス(Atomaria linearis)、チェトクネマ種(Chaetocnema tibialis)、オサゾウムシ種(Cosmopolites spp.)、シギゾウムシ種(Curculio spp.)、デルメステス種(Dermestes spp.)、ジアブロティカ種(Diabrotica spp.)、エピラクナ種(Epilachna spp.)、エレムヌス種(Eremnus spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、イネミズゾウムシ種(Lissorhoptrus spp.)、コフキコガネ種(Melolontha spp.)、オリカエフィルス種(Orycaephilus spp.)、オチオリンカス種(Otiorhynchus spp.)、
【0184】
フリクチヌス種(Phlyctinus spp.)、ポピリア種(Popillia spp.)、プシリオデス種(Psylliodes spp.)、リゾペルタ種(Rhizopertha spp.)、コガネムシ科(Scarabeidae)、コクゾウムシ(Sitophilus spp.)、バクガ種(Sitotroga spp.)、ゴミムシダマシ種(Tenebrio spp.)、コクヌストモドキ種(Tribolium spp.)及びマダラカツオブシムシ種(Trogoderma spp.);
【0185】
(c)直翅目(Orthoptera)、例えば、ゴキブリ種(Blatta spp.)、チャバネゴキブリ種(Blattella spp.)、ケラ種(Gryllotalpa spp.)、マデイラゴキブリ(Leucophaea maderae)、小穂種(Locusta spp.)、ペリプラネタ種(Periplaneta spp.)及びスキストケルカ種(Schistocerca spp.);(d)シロアリ目(Isoptera)、例えば、レティクリテルメス種(Reticulitermes spp.);
【0186】
(e)チャタテムシ目(Psocoptera)、例えば、コナチャタテ種(Liposcelis spp.);(f)シラミ目(Anoplura)、例えば、ブタシラミ種(Haematopinus spp.)、ケモノホソジラミ種(Linognathus spp.)、ヒトジラミ種(Pediculus spp.)、天疱瘡(Pemphigus spp.)及びフィロキセラ種(Phylloxera spp.);(g)食毛目(Mallophaga)、例えば、ダマリニア種(Damalinea spp.)及びトリコデクテス種(Trichodectes spp.);
【0187】
(h) アザミウマ目(Thysanoptera)、例えば、フランクリニエラ種(Frankliniella spp.)、ヘルシノスリプス種(Hercinotnrips spp.)、ナシアザミウマ種(Taeniothrips spp.)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)及びスキトトリプス・オーランティ(Scirtothrips aurantii);(i) カメムシ亜目(Heteroptera)、例えば、トコジラミ種(Cimex spp.)、ディスタンティエラ・テオブロマ(Distantiella theobroma)、アカホシカメムシ種(Dysdercus spp.)、オイチスツス種(Euchistus spp.)、エウリガステル種(Eurygaster spp.)、レプトコリサ種(Leptocorisa spp.)、アオクサカメムシ種(Nezara spp.)、ピエスマ種(Piesma spp.)、ロドニウス種(Rhodnius spp.)、カスミカメムシ科(Sahlbergella singularis)、イネクロカメムシ種(Scotinophara spp.)及びトニアトマ種(Tniatoma spp.)
【0188】
(j) 同翅亜目(Homoptera)、例えば、アレウロトリクス・フロコスス(Aleurothrixus floccosus)、コナジラミ・ヨトウガ(Aleyrodes brassicae)、アカマルカイガラムシ種(Aonidiella spp.)、アブラムシ科(Aphididae)、ワタアブラムシ種(Aphis spp.)、アスピディオトゥス種(Aspidiotus spp.)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、セロプラスター種(Ceroplaster spp.)、クリソムファルス・アオニジウム(Chrysomphalus aonidium)、クリソムファルス・ジクチオスペルミ(Chrysomphalus dictyospermi)、
【0189】
ヒラタカタカイガラムシ(Coccus hesperidum)、エムポアスカ種(Empoasca spp.)、エリオソマ・ラリゲルム(Eriosoma larigerum)、エリトロネウラ種(Erythroneura spp.)、ガスカルディア種(Gascardia spp.)、ラオデルファクス種(Laodelphax spp.)、ミズキカタカイガラムシ(Lecanium corni)、ミカンカキカイガラムシ種(Lepidosaphes spp.)、マクロシフス種(Macrosiphus spp.)、ミズス種(Myzus spp.)、ツマグロヨコバイ種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ種(Nilaparvata spp.)、パラトリア種(Paratoria spp.)、天疱瘡種(Pemphigus spp.)、プラノコッカス種(Planococcus spp.)、
【0190】
クワシロカイガラムシ種(Pseudaulacaspis spp.)、クワコナカイガラムシ種(Pseudococcus spp.)、キジラミ種(Psylla spp.)、プルヴィナリア エチオピカ(Pulvinaria aethiopica)、カドラスピディオツス種(Quadraspidiotus spp.)、ロパロシフム種(Rhopalosiphum spp.)、ハンエンカタカイガラムシ種(Saissetia spp.)、スカフォイデウス種(Scaphoideus spp.)、スキザフィス種(Schizaphis spp.)、シトビオン種(Sitobion spp.)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、トリオザエリトレアエ(Trioza erytreae)及びウナスピス・シトリ(Unaspis citri);
【0191】
(k)膜翅目(Hymenoptera)、例えば、ヒメハキリアリ属(Acromyrmex)、ハキリアリ種(Atta spp.)、セフス種(Cephus spp.)、ジプリオン種(Diprion spp.)、マツハバチ科(Diprionidae)、シマトウヒハバチ(Gilpinia polytoma)、ホプロカンパ種(Hoplocampa spp.)、ケアリ種(Lasius spp.)、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)、ネオディプリオン種(Neodiprion spp.)、トフシアリ種(Solenopsis spp.)及びスズメバチ種(Vespp.a spp.);
【0192】
(l)双翅目(Diptera)、例えば、ヤブカ種(Aedes spp.)、アンテリゴナ ソカタ(Antherigona soccata)、ビビオ・ホルツラヌス(Bibio hortulanus)、カリホラ・エリツロケファラ(Calliphora erythrocephala)、チチュウカイミバエ種(Ceratitis spp.)、オビキンバエ種( Chrysomyia spp.)、イカエ種(Culex spp.)、クテレブラ種(Cuterebra spp.)、ダクス種(Dacus spp.)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ファニア種(Fannia spp.)、ウマバエ種(Gastrophilus spp.)、ツェツェバエ種(Glossina spp.)、ウシバエ種(Hypoderma spp.)、ヒッポボスカ種(Hyppobosca spp.)、
【0193】
リリオミザ種(Liriomyza spp.)、キンバエ種(Lucilia spp.)、メラナグロミザ種(melanagromyza spp.)、イエバエ種(Musca spp.)、オエストラス種(Oestrus spp.)、オルセオリア種(Orseolia spp.)、オスシネラ・フリト(Oscinella frit)、アカザモグリハナバエ(Pegomyia hyoscyami)、ホルビア種(Phorbia spp.)、リンゴミバエ(Rhagoletis pomonella)、スシアラ種(Sciara spp.)、サシバエ種(Stomoxys spp.)、ウシアブ種(Tabanus spp.)、アメリカサトイモ種(Tannia spp.)及びチブラ種(Tipula spp.);
【0194】
(m)ノミ目(Siphonaptera)、例えば、セラトフィルス種(Ceratophyllus spp.)及びゼノプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)及び (n)シミ目(Thysanura)、例えば、セイヨウシミ(Lepisma saccharina)の本発明による活性成分は、さらに十字花植物のノミハムシ(フィロトレタ種)、根食い虫(デリア種)、キャベツ・シードポッド・ウィービル(cabbage seedpod weevil)(サルゾウ種)、及びキャノーラ(セイヨウアブラナ)、カラシ種子等の油糧種子作物、及びこれらの雑種並びに稲とトウモロコシおけるアブラムシの抑制にも使用することができる。
ある特定の実施形態において、昆虫はスジキリヨトウ属(Spodoptera)の一種であればよく、特にはシロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、モモアカアブラムシ(Myzus Persicae)、コナガ(Plutella xylostella)またはエウスキスツス種(Euschistus sp.)である。
【0195】
上記物質及び組成物は発芽前又は発芽後の、単子葉類の雑草、カヤツリグサ科の雑草または双子葉類の雑草の毛状体の調節にも施用し得る。
ある特定の実施形態において、雑草は、アカザアルバム(Chenopodium album)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、アンブロシア・アルテミシフォリア(Ambrosia artemesifolia)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis)、野生のマスタード(Brassica kaber)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)、マルバ・ネグレクト(Malva neglect)、セタリア・ルテセンス(Setaria lutescens)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ナガハグサ(Poa pratensis)、ホノムギ(Lolium perenne L.var.Pace)、トールフェスク(Festuca arundinaceae Schreb. var. Aztec II)、アンテムII(Anthem II)、LS1100、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus-galli)、レタス(Lactuca sativa)であっても良い。
【0196】
上記説明のバークホルデリア菌株の化合物及び組成物は、殺菌剤として利用することができる。標的菌類は、フザリウム種(Fusarium sp.)、ハイイロカビ種(Botrytis sp.)、モリニアキンカクキン種(Monilinia sp.)、炭疽病種(Colletotrichum sp.)、バーティシリウム種(Verticillium sp.)、ミクロフォミナ種(Microphomina sp.)、疫病菌種(Phytophtora sp.)、ケカビ菌種(Mucor sp.)、ポドスファエラ菌種(Podosphaera sp.)、リゾクトニア菌種(Rhizoctonia sp.)、ペロノスポラ菌種(Peronospora sp.)、ゲオトリクム菌種(Geotrichum sp.)、フォーマ菌種(Phoma)及び青カビ菌種(Penicillium)である。さらに別の特別な態様では、菌はキサントモナス(Xanthomonas)である。
【0197】
本発明は、下記非制限実施例においてより詳しく説明する。
[実施例]
上記組成物及び方法を以下の非制限実施例においてさらに詳しく説明する。これらの実施例は、様々な実施形態を説明するものであり、クレームした本発明を、ここに記載する原料、条件、重量比、プロセスパラメータなどのみに限定するものではない。
【0198】
実施例1. 微生物の分離及び同定
1.1 微生物の分離
日本日光輪王寺にある常緑樹の下の土壌からサンプル採集し、既知技術を用いて微生物を分離した。Lorchら(Lorch et al., 1995)により詳細に記載された手順に従い、ポテトデキストロース寒天培地(PDA)を用いて、分離を行なった。この手順では、まず土壌サンプルを滅菌水で希釈し、その後、ポテトデキストロース寒天(PDA)のような固体寒天培地にプレートした。プレートを25℃で5日間成長させ、個々の微生物コロニーを分離し、それぞれ異なるPDAプルートに移した。分離されたバクテリアはグラム陰性であり、クリーム色の円形で不透明なコロニーを形成する。コロニーは、時間の経過に伴ってピンク色及びピンクがかった褐色に変色し、ムコイド又は粘液に変化した。
【0199】
1.2 微生物の同定
微生物の同定は、遺伝子配列に基づいてユニバーサルバクテリアプライマーを用いて16S rRNA部位を増幅させることにより行なった。以下のプロトコールに従い実施した。バークホルデリア種A396をポテトデキストリン培地で培養した。24時間培養後、培養物を滅菌済みのループでかき取り、DNA抽出緩衝液に再懸濁させた。DNAはMoBio Ultra Clean Microbial DNA抽出キットを用いて抽出した。DNA抽出液5μlを1%アガロースゲルに展開し定性、定量を行なった。
【0200】
PCR増幅反応条件を下記のように設定した。2μl DNA抽出液、5μl PCR緩衝液、1μl dNTPs(各10mM)、1.25μlフォーワードプライマー(27F;5'-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3'(配列番号1))、1.25μlリバースプライマー(907R;5'-CCGTCAATTCCTTTGAGTTT-3'(配列番号2))及び0.25μl Taq酵素をヌクレアーゼフリーの滅菌水で50μlになるよう調製した。PCR反応は、最初の95℃における10分間の熱変性段階、続いて、94℃/30秒、57℃/20秒、72℃/30秒下での30サイクル増幅反応、72℃における10分間の最終鎖伸長段階を含む。
【0201】
生成物の凡その濃度及び分子サイズは1%のアガロースゲル上に5μlの生成物を展開し、生成物のバンドとDNAラダーマーカーを比較することにより計算した。
PCR産物中の過剰プライマー、dNTPs及び酵素はMoBio PCR clean up kitを用いて取除いた。浄化したPCR産物はプライマー27F(同上)、530F(5'-GTGCCAGCCGCCGCGG-3'(配列番号3))、1114F(5'-GCAACGAGCGCAACCC(配列番号4))及び1525R(5'-AAGGAGGTGWTCCARCC-3'(配列番号5))、1100R(5'-GGGTTGCGCTCGTTG-3'(配列番号6))、519R(5'-GWATTACCGCGGCKGCTG-3'(配列番号7)を用いて直接に配列解析を行なった。
【0202】
A396菌株の16S rRNAゲノム配列はBLAST法を用いて、入手可能なβ-プロテオバクテリア(β-proteobacteria)細菌を代表する16s rRNAゲノム配列と比較した。A395 A396はセパシア菌群(Burkholderia cepaia complex)種の近縁種で、バークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)、バークホルデリア・ヴェトナメンシス(Burkholderia vietnamensis)及びバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)分離株と99%以上の同一性を持つ。BLASTサーチでは、苗立枯細菌病(B.plantarii)、首腐病菌(B.gladioli)及びバークホルデリア種(Burkholderia sp.)細菌の分離株に98%同一性を示すセパシア菌群(B.cepacia complex)を排除した。
【0203】
隣接結合法による離れた場所の木から得られた結果からは、A396はバークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)及び他のセパシア菌群(Burkholderia cepacia complex)の分離株と関連性があることが示された。苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)及びイネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae)は木の分岐枝に集中することが示された。
【0204】
分離したバクテリア菌株は以下の配列を含むことが判明した。
フォワード配列、27Fプライマーを有するDNA配列、815ヌクレオチド(SEQ ID NO:8);
リバース配列、1453bp、使用プライマー1525R、1100R、519R(SEQ ID NO:9);リバース配列、824bp、使用プライマー907R(SEQ NO:10);フォワード配列1152bp、使用プライマー530F(SEQ NO:11);フォワード配列1067bp 使用プライマー1114F(SEQ NO:12);リバース配列1223bp、使用プライマー1525R(SEQ NO:13);リバース配列1216bp、使用プライマー1100R(SEQ ID NO:14);リバース配列1194bp、使用プライマー 519R(SEQ ID NO:15)
【0205】
1.3 バークホルデリアA396がバークホルデリア・セパシア菌群に属さないことの証明
1.3.1 特異的なPCRプライマーを用いる分子生物学研究
バークホルデリアA396がバークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)であることを特定するために、更にハウスキーピング遺伝子の遺伝子配列解析を行った。バークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)は、セパシア菌群(Burkholderia cepacia complex)として知られている。Mahenthiralingamらの記載(Mahenthiralingam et al.,2000)に従い、遺伝子recAに着目し、下記のプライマーを用いてPCR反応を行った。
【0206】
(a) セパシア菌群(B.cepacia complex)配列との一致を確認するためのMahenthiralingamらが記載したBCR1及びBCR2プライマー及び(b)B.multivorans配列との一致を確認するための、Mahenthiralingamらが記載したBCRBM1及びBCRBM2プライマー。最初のプライマーセットを用いるPCR反応における産物収量から、微生物がセパシア菌群(B.cepacia complex)に属することを確認できた。セカンドプライマーセットを用いるPCR反応における産物収量から微生物が確かにバークホルデリア・マルチボランス(B.multivorans)であることを確認できた。
【0207】
何れのペアのプライマーについてもPCR産物は得られなかった。そこで、(Burkholderia multivorans)ATCC 17616(陽性対照)及び蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)(陰性対照)を用いて、PCR反応及びプライマーの性能(効率)を調べた。バークホルデリア・マルチボランス(B.multivoran)を使用した場合、2セットのプライマーを用いる何れの反応生成物においても、強いバンドが観測された。蛍光菌を使用した場合は、バンドが観測されなかった。
【0208】
この結果はA396がバークホルデリア属ではあるが、セパシア菌群(B.cepacia complex)ではなく、またバークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)菌種でもないことを示す。この結果は、比較培養実験でも明らかになった。例えば、A396及び基準菌株のバークホルデリア・マルチボランス(B.multivorans)を振とう培地中で並べて培養し、600nmおける培養物の光学密度を毎日測定した。設定条件下で、新種A396はB.multivorans比べて遥かに早く成長した(図1)。
【0209】
1.3.2.DNA-DNAハイブリダイゼーション
A396分離株がバークホルデリア新種であることを確認するために、バークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)(16S rRNAに最も近似配列を有する)を用いて、DNA-DNAハイブリダイゼーション実験を行なった。A396及びバークホルデリア・マルチボランス(B.multivorans)の 生物体量(Biomass)ともISP2培養液で、ファーンバック(Fernbach)フラスコ中で、200rpm/25℃下、48時間培養した。遠心分離により無菌的に生物体を得た。培養液をデカントし、細胞ペレットを水:イソプロパノール1:1の溶液に再懸濁させた。
【0210】
DNA-DNAハイブリダイゼーション実験は、DSMZ(German Collection of Microorgamisms anc Cell Cultures in Germany)により行った。DNAはCashionら(Cashion et al.,1977)の記載とおり、圧力式ホモナイザー(French pressure cell,Thermo Spectronic 社)を用いて分離し、ハイドロキシアパタイトを担体とするクロマトグラフィーにより精製した。DNA-DNAハイブリダイゼーションは、De Leyら(De Ley et al.,1970)の記載に従い、Hussら(Huss et al., 1983)記載の変更などを検討に入れながら、Peltier thermostatted 6x6 multicell charger及びin-situ温度プローブを有する温度調節器を備えるモデル Cary 100 Bio UV/VIS分光光度計(Varian社)を用いて行なった。
【0211】
DSMZは、A396とバークホルデリア・マルチボランス(Burkholderia multivorans)とのDNA-DNA相似性は37.4%であることを報告した。この結果は、特別委員会(Wayne et al., 1987)が提案するバクテリア種の定義づけのためのDNA-DNA相似性閾値70%を考慮すると、バークホルデリア菌種(Burkholderia sp)の菌株A396は、バークホルデリア・マルチボランス菌種には属さないことを示す。
【0212】
1.4 Biolog GN2 platesを用いる生化学的プロフィール
炭素原利用プロフィール作成のために、A396をポテトデキストロース寒天(PDA)培地で一晩培養した。製造メーカ(Biolog, Hayward,CA)の推奨に従い、培養物をBUG培地に移し、生物学的実験に適切な培養物を産生させた。
微生物の生化学的プロフィールは、Biolog GN2 plateに培養物を植菌し、MicroLog 4自動マイクロステーションシステムを用いて、24時間インキュベーション後のプレートを読み取ることにより作成した。未知のバクテリアの同定は、作成したバクテリアの炭素ユーティライゼイションパタンをMicrolog 4 グラム陰性データベースと比較して行なった。
【0213】
Biologプロフィールには明確に決定的な一致は見出せなかった。A396に最も相似性を示すシュードモナス・スピノサ菌種(バークホルデリア属)(Psedomonasu spinosa)(Burholderia)、バークホルデリア・セパシア菌種(Burholderia cepacia)及び類鼻疽菌(Burholderia psedomallei)種などのA396に対する一致は、全て35%以下である。
その結果を表1に示す。
【0214】
【表1】


表1. A396の生化学的プロフィール
【0215】
1.5.脂肪酸組成物
28℃において24時間インキュベーションした。白金耳量の良く増殖した生育細胞を採取し、脂肪酸メチルエステルを調製、分離した。Vandammeら(Vandamme et al., 1992)の記載に従いSherlock Microbial Identificationo System(MIDI社)を用いて同定を行なった。バークホルデリアA396中に存在する主な脂肪酸は下記の通りであった。16:0 (24.4%), シクロ 17:0(7.1%), 16:0 3-OH(4.4%), 14:0(3.6%), 19:0ω8c(2.6%)シクロ, 18:0(1.0%)。合計された特徴(summed feature)8(18:1ω7cを含む)及び合計された特徴3(16:1ω7c及び16:1ω6cを含む)は、それぞれ全ピーク面積の26.2%及び20.2%に対応した。
【0216】
12:0 ALDE, 16:0 iso I及び14:0 3-OHを含む合計された特徴2は全ピーク面積の5.8%に対応し、18:0 ANTE及び18:2ω6c,9cを含む合計された特徴5は全ピーク面積の0.4%に対応した。A396中に少量検出されるほかの脂肪酸には13:1 at 12-13(0.2%),14:1ω5c(0.2%),15:0 3-OH(0.13%),17:1ω7c(0.14%),17:0(0.15%),16:0 iso 3-OH(0.2%),16:0 2-OH (0.8%),18:1ω7c 11-メチル(0.15%)及び18:1 2-OH(0.4%)などが含まれた。
A396の脂肪酸組成物を、MIDIデータベースにおける既知微生物菌株の脂肪酸と比較すると、新規A396に含まれる脂肪酸はBurkholderia cenocepacia脂肪酸に最も類似することが示された。
【0217】
1.6. 抗生物質耐性
バークホルデリアA396の抗生物質感受性は抗生物質ディスク法を用いてPML Microbiological's technical data sheet #535に記載されるように、ミューラー・ヒントン(Muller Hinton)培地において試験した。25℃で72時間インキュベート後に得られた結果を表2に示す。
【0218】
【表2】

表2: MBI-206の種々の抗生物質に対する感受性
(+++極めて感受性, ++感受性, -抵抗性)
【0219】
この結果は、バークホルデリアA396の抗生物質感受性のスペクトラムが、病原性のセパシア菌群(B.cepacia complex)の菌株と全く違うことを示す。バークホルデリア菌種A396は、カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム及びスルファメトキサゾールとトリメトプリムの組合せに感受性を示した。Zhouら(Zhou et al., 2007)の試験によれば、嚢胞性線維症患者から単離された異なる2,621種類のセパシア菌群(B.cepacia complex)株では、イミペネム又はシプロフロキサシンに対し、それぞれ7%及び5%の菌株のみで感受性を示した。
【0220】
彼らはまた、全菌株の85%がクロラムフェニコールに対し耐性であり(15%は感受性)、95%はスルファメトキサゾールとトリメトプリムの組合せに対し耐性を示す(5%は感受性)ことを発見した。Zhouらの結果は、366B.cepacia分離株の抗生物質耐性を決定し、これら分離株の殆どがシプロフロキサシン、セフロキシム、イミペネム、クロラムフェニコール、テトサイクリン及びスルファメトキサゾールに対し耐性であることを報告したPittら(Pitt et al., 1996)結果と同様である。
【0221】
2.実施例2 除草剤としてのバークホルデリア種
2.1 実験#1
初期の除草剤スクリーニングで発見したその活性を確認するために、新規バークホルデリア種の5日目の全細胞の培養液に由来する、アンバーライト7XAD樹脂の抽出物を使用してin vivo実験を行った。0.2%非イオン性活性面活剤(glycosperse)を含む4%エタノール中に、乾燥粗抽出物を10mg/mlの濃度で再懸濁し、更に5.0mg/mlの濃度に希釈した。この2つの試料を4週齢のサンシキヒルガオ(Convolvulus arvensis)に散布し、その植物を2週間、室温25度で生育光の下に維持し、毒性を評価した。同じ実験で、細菌の培養物から抽出した粗抽出物を、その濃度を高めながら2週齢のレッドルート・アカザに散布した。試験濃度を、1.25、2.5、5.0及び10.0mg/mlとし、その植物の毒性評価の前に、上記の通りにインキュベートした。
図2(サンシキヒルガオ)と図3(アカザ)に示した異なる濃度のバークホルデリア種粗抽出物の植物毒性効果の結果から、アカザには低濃度でも除草効果がある事が示された。いずれの濃度(5mg/mlと10mg/ml)の抽出物を使用した場合でも、サンシキヒルガオの発育は阻止された。
【0222】
2.2 実験#2
新規バークホルデリア種A396を、定義されていないミネラル培地の中で、5日間(25度、200rpm)増殖させた。全細胞培養物をXAD7樹脂を使って抽出した。0.2%非イオン性活性面活剤(glycosperse)を含む4%エタノール中に、この乾燥粗抽出物を10mg/mlの濃度で再懸濁し、更に5.0mg/ml、2.5mg/ml、及び1.25mg/mlの濃度に希釈した。その後、4種全ての試験溶液を使用して、下記の表3に挙げた広葉種とイネ科雑草種を試験した。
【0223】
【表3】

表3.テストした広葉種とイネ科雑草種
【0224】
陰性対照として0.2%のグリコスパース(glycosperse)溶液を、陽性対照として一ガロンにつき6液量オンス(fl oz)のラウンドアップ(Roundup)溶液を使用した。
全植物種を3個づつ、4インチX4インチのプラスチック製の鉢の中で試験した。未処理(UTC)の植物には、キャリア溶液(0.2%glycosperseを含む4%エタノール)を、陽性対照の植物には1エーカーにつき6液量オンスに相当する割合でラウンドアップを散布した。
処理した植物を、温室中で12時間ずつ、明暗の条件下で維持した。植物毒性のデータを#1−8種については、テスト液散布後22日目に測定し、#9−12種については12日目に測定し、その結果をそれぞれ表5及び表6にまとめた。表4には、表5及び表6に使用した評価スケールを示した。
【0225】
【表4】

表4 評価スケール
【0226】
【表5】

表5 #1−8種の植物毒性データ
【0227】
【表6】

表6#9−12種の植物毒性データ
【0228】
これらの実験の結果に基づき、単離されたバークホルデリア種の培養液から抽出された、数種の雑草に対し、除草活性がある化合物を試験した。12種テストした中で、ラムスクウォーターとカラシが最も影響されやすく、次にゼンアオイとヒメムカシヨモギが影響されやすかった。1.25 mg/mlの低濃度の抽出物であっても、ラムスクウォーターとカラシは、ほぼ完全にコントロールする事が出来るが、一方でゼニアオイとヒメムカシヨモギをコントロールするにはさらに高濃度とする必要があった。別の実験で、上記と同じ実験方法により全体的な作用をテストした。
【0229】
バークホルデリア種A396の、10 mg/ml濃度の粗抽出物の上澄み液を、ブタクサ、カラシ、ヒヨドリジョウゴ、メシヒバ、麦、イヌヒエの最初の1枚目の本葉に塗布した。
テスト液を塗布した7日目に、苗を評価した。観察された症状は、火傷、歪み、白斑を含む。除草活性は、テスト液を塗布した葉に隣接する上の葉で観察された。テストした雑草中で、全般的効果は見られなかった。
2回目の実験で、同じ粗抽出物(10 mg/ml)を5個の画分を、上記と同じ実験計画で評価した。カラシと麦とメヒシバの苗を処理した。試験後7日目及び20日目に、C−18カラム(Phenomenex Sepra C18-E, 50 μm, 65Å)を使用した5つの画分のうち、4つ画分を用いた(091113B4F6, 091113B4F7, 091113B4F8と091113B4F9)カラシで、除草活性の症状が現れた。症状はテスト液を塗布した葉に隣接する上の葉で見られた。テストした雑草では全草的な活性は見られなかった。
【0230】
3. 実施例3.殺虫剤としてのバークホルデリア種
3.1. 接触活性の検討
新規なバークホルデリア種の培養物からの化合物が、レピドプテランペスト(幼虫)に対し接触活性があるかどうかを決めるために、初期のスクリーニング段階で、以下のアッセイを使用した。このアッセイを、全細胞培養液の抽出物から得られた活性画分とピークとを決定するために、さらにバイオアッセイ誘導分別のツールとして使用した。
第3齢後半期の幼虫であるキャベツルーパ(Tricoplusia ni)又は第3齢早期の幼虫シロイチモンジヨトウ(Spodoptera exigua)のいずれかを、各1.25オンスのプラスチックカップの中に入れて、試験を行った。
【0231】
1cm x 1cmの固形のシロイチモンジヨトウの餌と一匹の幼虫とを、一緒に各カップの中央に置いた。それぞれのテスト液1μl(全細胞培養液または5日齢のバークホルデリア種A396の培養物からの抽出物)を、ハミルトン社製の精密注射器を使って、各幼虫の胸部に注射した。それぞれの処理を10回繰り返した。陰性対照として水を使用し、陽性対照としてマラチオンを使用した。
注射後、それぞれのカップを空気穴の空いたパラフィルムで覆い、その後、そのカップを26℃で3日間、インキュベートした。投薬24時間後から致死率の評価を開始し、毎日評価した。
図4及び図5には接触活性テストの結果を示す。その結果によれば、バークホルデリア種の培養物からのフィルター滅菌された培養物は、テストしたすべての害虫の約40%を3日以内に殺した。希釈した培養物(50%)は活性が低く、テストしたいずれの害虫でも対照の約10%であった。
【0232】
3.2.餌を介した幼虫に対しての活性
200μlの固形のシロイチモンジヨトウ虫用の人工餌を各ウェルの中に入れ、マイクロタイタープレートを使い、下記の96ウェルプレートのアッセイフォーマットを用いるダイエットーオーバーレイテスト(diet-overlay test)により、餌を介しての直接的な毒性作用をテストした。それぞれの試料100μlを餌の上に滴下し(各ウェル中に1個のサンプルを入れた)、試料の表面が乾燥するまで風乾した。それぞれの試料(0.2ミクロンの滅菌フィルターを通してフィルター滅菌した)について各6匹を用いて試験を行った。陰性対照として水を使用し、陽性対照として市販のBt(B.thuringiensis)を使用した。
テスト害虫の3齢幼虫(キャベツルーパー(Trichoplusia ni);シロイチモンジヨトウ(Spodoptera exiqua);コナガ(Plutella xylostella)を1匹ずつそれぞれのウェルの中に置き、そしてそのプレートを空気穴を開けたプラスチックで覆った。
【0233】
害虫を入れたプレートを26℃でインキュベートし、6日間毎日、致死率を評価した。濃度の異なる4種の抽出液、1x(100%)、 1/4x(25%)、 1/8x(12.5%)、 1/16x(6.25%)を使用した第3齢初期幼虫のシロイチモンジヨトウ虫(Spodoptera exiqua)のダイエット―オーバーレイテストの実験データを、図5に示した。
このデータは、希釈せずにフィルター滅菌した培養液で、7日間のインキュベーション期間の終わりには100%コントロールする事が出来る事を示している。4倍希釈した培養液でも似たようなコントロールが得られ、実験の終わりに、未希釈培養液と4倍希釈培養液の双方を、陽性対照として使用したBtと比較した。しかしながら、Btの効果はバークホルデリア培養液の効果より有意に早かった。アワヨトウの幼虫に対するエフィカシーは、培養液の濃度に依存し、また、最も低い濃度と2番目に低い濃度の培養液(12.5%と6.125%)とを、最も高い濃度と2番目に高い濃度の培養液と比べると、より低いコントロールとなっていた。しかしながら、12.5%の希釈液は25%の希釈液に比べて、それ程低くはなかった。16倍に希釈した培養液ははっきりした十分な活性を示さなかったが、7日間の実験の間に、部分的ではあったが、アワヨトウの(33%)コントロールが出来た。キャベツルーパーとコナガの幼虫にも同じ希釈した濃度の培養液を使用し、それらによる死亡率は、6.25%の培養液でキャベツルーパーの死亡率は80%で、コナガの死亡率は50%と少し高めだった。
【0234】
3.3.吸汁虫でのin vitro活性
5匹の成虫カメムシ(Euschistus sp.)を、それぞれ一枚のペーパタオルが敷いてある16ozの各プラスチック容器内に置いた。2mlの各試料(フィルター滅菌済みの全培養液)を入れたマイクロ遠心チューブに綿球で蓋をし、各プラスチック容器の底にねかせた。そのチューブの横に、1粒のヒマワリの種の餌を置いた。陰性対照として水を使用し、陽性対照として、推奨されている割合のピレトリンとPBOとの市販品を使用した。それぞれの容器の蓋を閉め、7日間25度でインキュベートし、毎日、死亡率をチェックした。
【0235】
下記表7に示す結果より、50%希釈培養液を用いたin vitro系では、7日目までの吸汁虫(カメムシ)のコントロールは約80%であった。この実験において、バークホルデリアA396の希釈した培養液は、陽性対照として使った市販品より、効果的にカメムシをコントロール出来た。興味深い事に、原液の培養液では低害虫コントロールとなっていたが、それはこの新規なバークホルデリア種が生産する活性な二次代謝産物の摂食阻害(摂食の抑制)特性を示唆するものであるかもしれない。
【0236】
【表7】

表7 カメムシでのA396の活性
【0237】
4.実施例4 吸汁虫のin vivoテスト
濾過した全細胞培養液のin vivoでのエフィカシーを、テスト害虫としてのモモアカアブラムシ(Myzus persicae)と植物のカラシとを用いて試験した。約1カ月齢のフロリダ広葉マスタード(Brassica sp.)に、フィルター滅菌済みのバークホルデリア種の全細胞培養液を、異なる2つの濃度(1x及び0.5x)で、パッシェ(Paasche)のエアブラシを使って、スプレーした。陰性対照として水を、陽性対照として市販品であるアベルメクチン(Avid)を使用した。植物をベンチ上で乾燥させ、その後、空気穴の開いている蓋付きの6カップのプラスチック容器の中に置いた。成長段階の異なる10匹のアブラムシを、それぞれのテスト植物の上に置き、その植物を25℃で、7日間、生育光の下でインキュベートした。各植物に付いているアブラムシの数を毎日評価し、ノートに記録した。
【0238】
【表8】

この結果によれば、新規バークホルデリア種の培養物から得たフィルター滅菌培養液は、いずれの濃度においても、カメムシ(M.persicae.)の増殖を制御する事ができた。
【0239】
5.実施例5.線虫類での作用
5.1 実験#1
若い根瘤線虫(Meloidogyne incognita VW6)の活動において、フィルター滅菌済みのバークホルデリア種A396の活性(そして、その後の回復)を調べるために、24ウェルプラスチックカルチャープレートを使って、下記のテストをした。
各テスト容液300μLのアリコート(1xまたは0.5xフィルター滅菌済みの培養液のいずれか)を、それぞれの適当なウェルの中に加え、その後で10μLの脱イオン化水中に分散されている15匹の線虫を各ウェル中に入れ、プレートの蓋を閉め、そして24時間、25度でインキュベートした。陰性対照として水を、陽性対照として20,000X倍に希釈したアビド(Avid)をそれぞれ使用した。
【0240】
各化合物による、線虫の可動性に対しての効果を、24時間後に、各線虫に針を使って調べ、そして、各処理による線虫の非可動性の程度を、%スケールを使って評価しノートに記録した。各処理における可動性の回復を調べるために、それぞれのウェルから200μLの容液を取り、各ウェル中の残量容液に2 mlの脱イオン水を加えて希釈した。プレートは、再度、上記に記載されている様に、24時間インキュベートし、その後で2度目の可動性評価を実施した。
図6に記載したこの結果は、フィルター滅菌済み培養液のいずれのテスト濃度でも、自由に活動していた若い根瘤線虫を、非可動化出来たことを示した。この効力は、少なくとも24時間続き、それによって、バークホルデリア種A396の培養液が線虫による感染から植物を守るために使用できることを示唆している。
【0241】
5.2 実験#2
実験材料と方法
ミニドレンチテスト:バークホルデリアA396の全細胞培養液を、45mLのポットの中で行う温室アッセイで試験した。
砂土壌で満たされているポットの中に、キュウリシーズ cv.トーチカ(Cucumber seeds cv. Toshka)の種を直接蒔いた。10日後、各ポットを5mLの懸濁液で処理した。使用した具的的な量を表9に示した。
【0242】
【表9】

【0243】
表9に示すように、各ポットにメロイドジン・インコグニタ(M.incognita.)の卵を3000個、播種した。各処理及び溶液の割合のために、4個のポットを準備した。この試験的適用及び播種14日後に採取した。根瘤(Root galling)をゼックのガルインデックス(Zeck’s gall index)(Zeck, 1971)に従って評価した。植物の毒性は、根瘤の減少をコントロールと比べて測定した。結果を図9及び図10に示した。
第1のミニドレンチテストにおいて(図9参照)、100mL/L濃度のバークホルデリアA396を適用した場合には、処理効果は非常に高く、ほぼ100%減少した。フォスチアゼート(Fosthiazate)は通常通りに作用した(20ppmで100%制御)。
第2のミニドレンチテストでは(図10参照)、最高濃度100mL/Lで根瘤の100%減少が達成されたが、1.5mL/L濃度では約50%に低下した。フォスチアゼートは通常通り作用した(20ppmで100%制御)。
【0244】
5.3 実験 #3
バークホルデリアA396の線虫作用を立証するために、根瘤線虫を(メロイジン・インコグニタ)を制御するための試験品として、バークホルデリアA396の全細胞培養液を使って、きゅうり(Cucumis sativus)の温室実験を行った。1個のポット当たり1つのきゅうりを土壌中に植え、人工光の下で28度の温室で成長させた。植物を植えた各ポットを、未希釈の試験品、水で5%に希釈した試験品のいずれかのアリコート(約80mL)で処理した。バークホルデリア処理、陽性対照処理としてのテミック(Temik)(ラベルに表示された割合で)処理、及び陰性対象として未添加液処理は、それぞれ各5の試料数(replicate)で行った。植物は温室中で60日間成長させ、その後、各植物を採取して、新シュート重量と根の重量とを評価した。各ポットの中の線虫卵の数を記録し、根重量1g当たりの卵の数を示すパラメターを計算した。統計学的分析(ANOVA)を行い、そして、処理平均値間の統計的差異をp<0.1で計算した。下記表10は、未処理の対照との間で統計的な差が不十分であったとしても、未処理の対照ポットよりA396の全培養液で処理したポットでは、虫卵の数が少なかったことを示す。一個の根塊当たりの卵の数として計算した効果は、希釈した培養液を処理液として使った時に、より明確であった。
【0245】
【表10】

表10.キュウリの新芽と根の重さにおけるA396の全細胞培養液の活性、1ポット当りのエムインコグニッタ(M.incognita)の卵の数の合計と根塊1g当りの卵の数。
【0246】
6.実施例6 テンプラゾール(Templazole)AとテンプラゾールBの分離
実験方法と材料
バークホルデリア種の細胞培養物から抽出したテンプラゾールAとBとを精製するために、下記の手順を用いた。ハイソイ増殖培地中、10Lのバークホルデリア(A396)培養物から得た培養液を、アンバーライトXAD-7樹脂 (アソルカー他、2006)(Asolkar et al., 2006)で抽出した。この抽出は、室温で2時間、225rpmで上記樹脂と細胞懸濁液と一緒に振盪させて行った。チーズクロス(荒目薄地の綿布)を通して濾過して樹脂と細胞の塊を集め、そして脱イオン化水で洗って塩分を除去した。上記樹脂、上記細胞塊及び上記綿布をアセトン中に2時間浸漬し、その後、アセトンを濾別して、ロータリーエバポレーターを用いて真空乾燥させ、粗抽出物にを得た。その後、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント90:20から0:100%)を用いて、粗抽出物を10の画分に分画した。
【0247】
その後、ロータリーエバポレーターを用いてこの画分を濃縮して乾燥させ、得られた乾燥残渣の生物学的活性を、96ウェルプレートのレタスシーディングアッセイ(lettuce seeding assay)を用いてスクリーンニングした。
その後、活性画分を、逆相HPLC(スペクトラシステム (Spectra System) P4000 (Thermo Scientific社)にかけて精製化合物を得た。得られた精製化合物を、活性合物の所在と活性とを明らかにするために、上記に記述したバイオアッセイを使って、スクリーンニングした。その化合物の同定を確認するために、LC/MSやNMR等の追加の分光分析データを記録した。
【0248】
活性画分4を、HPLのC-18カラム(フェノメネックス,ルナ(Phenomenex, Luna) 10u C18(2) 100A, 250X30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分;80%の水性CHCN、10〜25分;80〜65%の水性CHCN、25〜50分;65〜50%の水性CHCN、50〜60分;50〜70%のCHCN、60〜80分;70〜0%の水性CHCN、80〜85分;0〜20%の水性CHCN)を用いて、8mL/分の流速で、210nmでのUV検出を用いて精製し、保持時間46.65分にテンプラゾールBを得た。他の活性画分6もまた、HPLC C-18カラム(フェノメネックス,ルナ(Phenomenex, Luna) 10u C18(2) 100A, 250X30)、水:アセトニトリルグラジエント系(0〜10分;80%水性CHCN,10〜25分;80〜60%の水性CHCN、25〜50分;60〜40%の水性CHCN、50〜60分;40%の水性CHCN、60〜80分;40〜0%の水性CHCN、80〜85分;0〜20%の水性CHCN)、8mL/分の流速で、210nmのUV検出を用いて精製し、保持時間70.82分にテンプラゾールAを得た。
【0249】
精製化合物の質量分析を、サーモフィニガン(Thermo Finnigan)LCQ DECA XPplus 質量分析計(Thermo Electoron Corp.,(サーモエレクトロン社)、サンノゼ、カリフォルニア)上にて、フルスキャンモード(m/z 100〜1500 Da)で、陽性及び陰性双方のイオン化モードを用いて、サーモフィニガンLCQ Deca XP プラス電子スプレー(ESI)で、サーモフィニガンLCQ DECA XP プラス電子スプレー(ESI)装置で行った。サーモ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置には、フィニガンサーベイヤーPDAプラス検出器、オートサンプラープラス、MSポンプ及び4.6 mm x 100 mmのルナC18の5μmカラム(フェノメネックス社)を装備していた。溶媒系は水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)とから構成された。移動相は10%溶媒Bから始まり、そして、直線的に20分以上かけて、100%溶媒Bまで上昇した。その後4分間維持し、そして、3分以上かけて最終的に10%溶媒に戻し、3分間維持した。
【0250】
流速は、0.5mL/分とした。注入量は10μLであり、オートサンプラー中で試料を室温に維持した。上記化合物は、上記LC及び逆相クロマトグラフィーを利用するLC-MSで分析した。本化合物の質量分析を、下記の条件の下で行った:窒素ガスの流速を、シース及びaux/sweepについて、それぞれ30及び15 arbに固定した。電子スプレーイオン化は、スプレー電圧を5000Vに、キャピラリー電圧を35.0Vで行った。キャピラリー温度は400℃とした。データをエックスキャリバーソフトウェア(Xcalibur software)で分析した。活性化合物であるテンプラゾールAの分子量は298、陰イオン化モードでは、m/zイオンは297.34を示した。テンプラゾールBのLC-MSクロマトグラムは、分子量258を示唆し、陰イオンモードでは、m/zイオンは257.74を示した。
【0251】
H NMR、13C-NMR及び2D NMRスペクトルを、ブルカー(Bruker)の500MHzと600MHzのグラジエントフィールドスペクトロメーターで測定した。対照は、内部標準であるテトラメチルシラン(TMS, 0.00 ppm)に設定した。
テンプラゾールAの構造解明のため、分子量298の精製化合物を、さらに500MHzのNMRを使って分析したところ、H NMRのδ値は、8.44、8.74、8.19、7.47、7.31、3.98、2.82、2.33、1.08であり、13C NMRのδ値は、163.7、161.2、154.8、136.1、129.4、125.4、123.5、123.3、121.8、121.5、111.8、104.7、52.2、37.3、28.1、22.7、22.7であった。
【0252】
テンプラゾールAは、226、275、327nmにUV吸収帯を有し、このことから、インドール環及びオキサゾール環の存在が示唆された。分子式、C171923は、1H NMR、13C NMRの解釈及びHRESI MSのデータである、m/z 299.1396(M+H)+(C171923の計算値は、299.1397)から決定した。この分子式は、10個の二重結合によって示される高度の不飽和を伴っていた。13C NMRスペクトルには、2個のメチル、1個のメトキシ、1個のメチレン炭素、1個の脂肪族メチン(aliphatic methine)、一個のエステルカルボニル、及び11個の芳香族性炭素を含む、全部で17個の炭素のシグナルが現れていた。1H-1H COSY及びHMBCのスペクトルデータから、3’−置換インドールの存在が明らかになった。上記1H-1H COSY及びHMBCはまた、カルボン酸メチルエステル基及び−CH−CH−(CH側鎖の存在を明らかにした。1H-1H COSY、13C NMR及びHMBCデータの詳細な分析から、この化合物はオキサゾール中核部を有することが判明した。上記2D分析から、イソブチル側鎖がC-2位に、カルボン酸メチルエステルがC-4位に、そしてインドール単位(unit)がC-5位に結合していることが見出され、テンプラゾールAとされた。
【0253】
第2の除草活性のある化合物、分子量298のテンプラゾールBを、さらに、500MHzのNMRを使って分析したところ、H NMRのδ値は、7.08, 7.06, 6.75, 3.75, 2.56, 2.15, 0.93, 0.93であり、13C NMRのδ値は、158.2, 156.3, 155.5, 132.6, 129.5, 129.5, 127.3, 121.8, 115.2, 115.2, 41.2, 35.3, 26.7, 21.5, 21.5であった。分子式には、C17182が与えられ、H NMR、13C NMR及び質量分析データの解釈から決定した。13C NMRスペクトルには、2個のメチル、2個のメチレン炭素、1個の脂肪族メチン、1個のアミドカルボニル(amide carbonyl)及び9個の芳香族性炭素を含む、全部で15個の炭素のシグナルが現れていた。上記構造の一般的な性質は、H NMR及び13C NMRスペクトルが示すパ位置換された芳香環[δ 7.08 (2H,d, J=8.8Hz), 6.75(2H, d, J=8.8Hz)、及び132.7, 129.5, 115.2, 127.3, 115.2, 129.5] から推定された。
【0254】
この構造のH NMRスペクトルとH-1HCOSYとHSQCスペクトルとを合わせると、イソブチル部分[δ 0.93 (6H, d, J = 6.9 Hz), 2.15 (1H, sept., J = 6.9 Hz), 2.57 (2H, d, J = 6.9 Hz)]に特徴的なシグナルが表示された。さらに、(δ 7.06, s)に1個のオレフィン性/芳香族性のプロトン、及び1個のカルボニル基炭素(δ 158.9)も、H NMR及び13C NMRスペクトル中で見出された。HMBCスペクトルの綿密な検証によって、イソブチル部分のH-1’のシグナルは、オレフィン性炭素(C-2, δ 156.3)と関連し、また、このオレフィン性プロトンH−4は(C-5, δ 155.5; C-2, 156.3及びC-1”, 41.2)と関連していた。
δ3.75のメチレン信号は、パラ置換芳香族分子部分のC−2と、同様にC−5やC−4とも関連していた。観察されたこれらすべての相関は、イソブチルと示されたような骨格構造にとってのp−置換ベンジル部分間の関連性を示唆している。加えて、H−4”及びH−6”位の芳香族性プロトンで観測されたHMBC相関に基づいて、ベンジル部分のパラ位にカルボキシアミド基が与えられた。この様に、上記のデータに基づいて、上記構造は、テンプラゾールBと特定された。
【0255】
7.実施例 7.FR90128の分離
アンバーライトXAD-7樹脂(アソルカーら(Asolkar et al.), 2006)と細胞懸濁液とを室温で2時間、225rpmで振盪し、定義されていない成育培地中で培養したバークホルデリア種から得た全細胞培養液を抽出した。上記樹脂と細胞との塊をチーズクロスで濾別して集め、脱イオン水で洗って塩分を除いた。その後、上記樹脂、上記細胞の塊及び上記クロスをアセトンに浸漬し、その後、アセトンを濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて真空下に乾燥させ、粗抽出物を得た。その後、上記粗抽出物を、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;90:20から0:100%のグラジエント)を使用して分画し、10個の画分を得た。
【0256】
その後、これらの画分を、ロータリーエバポレーターを使用して、濃縮して乾燥させ、生じた乾燥残留物を、除草バイオアッセイ及び昆虫バイオアッセイを使用し、生物学的活性についてスクリーンニングした。その後、活性画分を、逆相/順相HPLC(スペクトルシステムP4000 (サーモサイエンティフィック社)に供し、精製化合物を得た。上記活性化合物は、以下に記述した除草バイオアッセイ、殺虫バイオアッセイ及び殺線虫バイオアッセイでスクリーニングし、上記活性化合物の所在/同定を行った。化合物の同定を確認するために、LC/MSおよびNMR等の付加的な分光データを記録した。
【0257】
活性ピークの質量分析を、LCQ Deca XPplus 質量分析計(サーモエレクトロン社、サンノゼ、カリフォルニア)上、フルスキャンモード(m/z 100〜1500 Da)の陽イオン化、陰イオン化双方のモードで、サーモ・フィニガンLCQ Deca XP plus エレクトロスプレー(ESI)装置を用いて行った。サーモ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置には、フィニガン・サーベイヤー PDAプラス検出器、オートサンプラープラス、MSポンプ及び4.6 mm x 100 mm Luna C18 5μmカラム(フェノメネックス社)が装備されていた。溶媒系は、水(溶媒A)とアセトニトリル(溶媒B)からなっていた。移動相は、10%の溶媒Bから始まり、20分以上かけて、直線的に100%の溶媒Bまで上昇し、4分間維持した。そして、3分以上かけて、最終的に10%の溶媒Bに戻り、3分間維持した。流速は、0.5mL/分であった。注入量は10μLであり、サンプルをオートサンプラー中で室温中に維持した。上記化合物は、LC及び逆相クロマトグラフィーを利用するLC-MSで分析した。本化合物の質量分析は、下記の条件で行った:窒素ガスの流速は、各々、シースでは30 arb、aux/sweepでは15 arbに固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000V、キャピラリー電圧を35.0Vに設定して行った。キャピラリー温度を400℃に設定した。データは、Xキャリバー(Xcalibur)ソフトウェアを用いて分析した。LS-MSの分析に基づいて、画分5で殺虫効果のある化合物の分子量は、陰イオン化モードで540であった。
【0258】
構造解明のため、分子量540を有する、画分5からの殺虫性のある精製化合物を、さらに、500 MHzのNMRを用いて分析した。H NMRのδ値が、6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02、13C NMRのδ 値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51を示した。NMRデータは、この化合物が、アミノ基、エステル基、カルボン酸基、脂肪酸メチル基(aliphatic methyl)、エチル基、メチレン基、オキシメチレン基、メチン基、オキシメチン基、及び硫黄族(group)を含むことを示唆した。詳細な1D及び2D NMR分析によると、FR90128である上記化合物の構造が、既知の化合物であることが確認された。
【0259】
8.実施例 8.FR90128の除草効果
活性化合物FR90128(分子量540)の除草活性を、96ウェルプレートのプラットフォームの中の1週齢のイヌビエ(Echinochloa crus-galli)の苗を使用する実験室アッセイで試験した。99μLの脱イオン水を含む各ウェル中に、1個の雑草の苗を植えた。純粋化合物のエタノール溶液(10mg/ml)のアリコート1μLを各ウェルに加え、プレートを蓋で密閉した。1μLのエタノールと99μLの水を、陰性対照として使用した。この処理を、8個のウェル(8 replicates)について行い、密閉したプレートを、人工光(12時間の明/暗サイクル)下、温室中でインキュベートした。5日後に、その結果を調べた。活性化合物で処理した全8個のウェルの雑草の苗は、緑色の組織を残すことなく枯れたが、陰性対照のウェルの苗は活発に成長した。
【0260】
9.実施例 9.FR90128の殺虫効果
活性化合物FR90128の殺虫効果を、接触バイオアッセイ系を使って実験室アッセイで試験した。上記化合物を100%エタノールに溶解し、0.001、0.005、0.01、0.025、0.05、0.1、0.25、及び0.5μg/μLの濃度とした。シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)の3齢期初期の幼虫を、1cm片の人工飼料(バイオサーブ(Bio-Serv)社製)と共に、1.25オンスのプラスチックカップ中に入れた。ハミルトンのマイクロピペットを使用して、1μLの化合物をそれぞれの幼虫の胸部に適用する。パラフィルムを引っ張ってカップを覆い、通気のために、パラフィルムに一か所、穴を開けた。各濃度当たり10匹の幼虫を処理した。このアッセイを12時間明/12時間暗、25℃でインキュベートした。適用後、48時間及び72時間で、スコアを付けた。LC50値を調べるためにプロビット分析を行い、化合物(分子量540)については、0.213と認定された。
【0261】
10.実施例 10.テンプラミドA,B,FR90145及びFR90128の単離
実験方法と材料
以下の手順で、バークホルデリア種の細胞培養物から抽出した化合物を精製した(図7参照):
ハイソイ増殖培地中で増殖させた10Lのバークホルデリア(A396)からの培養液を、室温で2時間、225rpmで、樹脂と細胞懸濁液とを振蘯することによって、アンバーライトXAD-7樹脂(Asolkarら、2006)で抽出した。樹脂と細胞塊とをチーズクロスを通して濾別して集め、 脱イオン水で洗って塩を除いた。上記樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトン中に2時間浸漬し、その後、アセトンを濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて真空下で乾燥させ、粗精製物を得た。その後、この粗精製物を、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;グラジエント90:20から0:100%)を使用して分画し、10個の画分を得た。その後、ロータリーエバポレーターを用いてこれらの画分を濃縮し、得られた乾燥残渣を96ウェルプレートのレタス播種アッセイ(除草性)と3齢のシロイチモジヨトウアッセイ(殺虫性)に使い、生物学的活性をスクリーンニングした。その後、逆相HPLC分離(スペクトルシステムP4000 (Spectra System P4000)、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社)に繰り返し供して、純粋な化合物を得た。その後、この活性化合物を上記のバイオアッセイでスクリーニングして、この活性化合物がどこに含まれているか、及び同定を行った。上記化合物の同定を確認するために、LC/MSやNMR等の追加の分光分析データを加えて記録した。
【0262】
活性画分5を、さらにHPLC C-18カラム(フェノメネックス(Phenomenex)社、ルナ、10u C18(2) 100A, 250 x 30)、水:アセトニトリルグラジエント溶媒系(0〜10分;80%水溶性のCHCN,10〜25分;80〜65%の水性CHCN,25〜50分;65〜50%の水性CHCN,50〜60分;50〜70%の水性CHCN,60〜80分;70〜0%の水性CHCN,80〜85分;0〜20%の水性CHCN)を使用し、流速8mL/分及び210nmのUV検出を行った。保持時間55.64分にテンプラミドA、保持時間63.59分にFR901465、保持時間66.65分にFR90128が、それぞれ検出された。他の活性画分6もまた、HPLC C-18カラム(フェノメネックス社、ルナ、10u C18(2) 100A, 250 x 30)を使用し、水:アセトニトリルグラジエント系(0〜10分;70〜60%水性CHCN、10〜20分;60〜40%の水性CHCN、25〜50分;40〜15%の水性CHCN、50〜75分;15〜0%の水性CHCN、75〜85分;0〜70%の水性CHCN)を使用し、流速8mL/分、210nmでUV検出を行った。保持時間38.55分に、テンプラミドBが検出された。
【0263】
純粋な化合物の質量分析は、サーモフィニガンLCQ Deca XP Plus エレクトロスプレー(ESI)装置上で、陽イオンモード及び陰イオンモードの双方を用いたフルスキャンモード(m/z 100〜1500 Da)にて、LCQ DECA XPplus質量分析計(サーモエレクトロン社、サンノゼ、カリフォルニア)で行った。フィニガン・サーベイヤー・PDAプラス検出器、オートサンプラープラス、MSポンプ及び4.6 mm x 100 mmのルナC18の5μmカラム(フェノメネックス)を装備したサーモ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を使用した。溶媒系は水(溶媒A)とアセトニトリル(溶媒B)とした。移動相は、10%の溶媒Bで始まり、20分以上かけて、直線的に100%溶媒Bまで上昇させ、4分間維持した。最後に、3分以上かけて10%溶媒Bに戻り、3分間維持した。流速は0.5mL/分とした。注入量は10μLとし、サンプルをオートサンプラー中で室温に維持した。LC及び逆相クロマトグラフィーを利用するLC-MSによって上記化合物を分析した。
【0264】
本化合物の質量分析を、下記の条件で行った:窒素ガスの流速を、シースでは30 arb、aux/sweepガス流速では15 arbにそれぞれ固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5,000V、キャピラリー電圧を45.0Vに設定した。キャピラリー温度を300℃に設定した。Xキャリバー(Xcalibur)ソフトウェアを使用して、データを分析した。活性化合物テンプラミドAは、陽性イオン化モードにおいて、556.41 [M+H]+及び578.34 [M+Na]+におけるm/zのピークに基づき、分子量555であった。テンプラミドBのための陽イオンモードにおけるLC-MS分析では、537 [M+H]+及び560.65 [M+Na]+、におけるm/zイオンに基づき、分子量は537と推定された。化合物FR901465及びFR90128の分子量は、LCMS分析に基づいて、それぞれ523及び540が与えられた。
【0265】
H、13C及び2D NMRスペクトルをブルカーの600MHzのグラジエント・フィールド・スペクトロメーターを使用して測定した。レファレンスは、内部標準であるテトラメチルシラン(TMS, 0.00 ppm)に設定した。
テンプラミドAの構造解明のために、分子量が555である上記精製化合物を、600MHzのNMRを使用して分析したところ、H NMRのδ値が、6.40, 6.39, 6.00, 5.97, 5.67, 5.54, 4.33, 3.77, 3.73, 3.70, 3.59, 3.47, 3.41, 2.44, 2.35, 2.26, 1.97, 1.81, 1.76, 1.42, 1.37, 1.16, 1.12, 1.04、13C NMRのδ値が、173.92, 166.06, 145.06, 138.76, 135.71, 129.99, 126.20, 123.35, 99.75, 82.20, 78.22, 76.69, 71.23, 70.79, 70.48, 69.84, 60.98, 48.84, 36.89, 33.09, 30.63, 28.55, 25.88, 20.37, 18.11, 14.90, 12.81, 9.41であった。上記13C NMRのスペクトルは28個の離散した炭素シグナルを示し、6個のメチル、4個のメチレン炭素、と5個のspを含む13個のメチン、4個の四級炭素に帰属された。
【0266】
H、13C NMR及びHRESI MSデータの解釈から、分子式C2845NO10が決定された。
H−H COSY、HMBC及びHMQCスペクトルデータは、下記の構造(I-IV)及び2個の分離されたメチレン基及びシングレットメチル基を示した。これらの構造は、のちに使用する、上記化合物に平面構造を与える、キーHMBC(the key HMBC)相関と関連する。その構造は、まだ、文献にも報告されてはおらず、テンプラミドAとして指定されてもいない。このポリケチド分子は、2個のテトラヒドロピラノース環と、1個の共役アミドとを含む。
【0267】
【化93】

【0268】
【化94】

【0269】
【化95】

【0270】
【化96】

【0271】
1D及び2D NMRのスペクトルデータ分析によって与えられた基礎構造I〜IV
第2の除草性化合物の(+)ESIMS分析は、分子量537に相等する、538.47 [M+H]+及び560.65 [M+H]+にm/zイオンを示した。この化合物の分子式C2843NO9は、ESIMS及びNMRデーだ分析によって決定された。この化合物のH及び13C NMRは、テンプラミドAにおけるカップリングしていないメチレン基の代わりに、新たに分離された-CH2-が現れている点を除き、テンプラミドAに類似していた。4.3Hzの小さな初期のカップリング定数は、エポキシドメチレン基が存在するという特徴である。このエポキシドメチレンの存在は、テンプラミドAでの60.98から、分子量537の化合物の41.07への13C NMRのシフトから、さらに確認された。これら2つの化合物の間の分子式の相違は、エポキシド形成に続く水分子の除去によって合理的に説明される。このように、NMRとMS分析の基本に基づいて、新規化合物の構造が与えられ、テンプラミドBと特定された。
【0272】
構造解明のために、分子量523を有する画分5からの精製化合物を、600 MHzのNMR装置を使用してさらに分析したところ、H NMRのδ 値が、6.41, 6.40, 6.01, 5.98, 5.68, 5.56, 4.33, 3.77, 3.75, 3.72, 3.65, 3.59, 3.55, 3.50, 2.44, 2.26, 2.04, 1.96, 1.81, 1.75, 1.37, 1.17, 1.04;及び13C NMRのδ値が、72.22, 167.55, 144.98, 138.94, 135.84, 130.14, 125.85, 123.37, 99.54, 82.19, 78.28, 76.69, 71.31, 70.13, 69.68, 48.83, 42.52, 36.89, 33.11, 30.63, 25.99, 21.20, 20.38, 18.14, 14.93, 12.84であった。上記化合物の詳細なH及び13C NMR分析は、この化合物が化合物テンプラミドBと非常によく似ているということを示唆した。唯一の相違は、エステル側鎖であり、アセテート部分が、側鎖中のプロピオネート部分の代わりに存在している点であった。詳細な1D及び2D NMRから、上記化合物FR901465の構造が公知の構造であることが確認された。
【0273】
LC-MS分析に基づいて、画分5からの他の化合物は、陰イオンモードにおいて分子量が540であった。構造解明のために、分子量540を有する、画分5からの精製化合物を、500 MHz NMR装置を使用してさらに分析したところ、H NMRのδ値が6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02であり;13C NMRのδ値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51であった。
このNMRデータは、上記化合物が、アミノ基、エステル基、カルボン酸基、脂肪族メチル基、エチル基、メチレン基、オキシメチレン基、メチン基、オキシメチン基、及び硫黄族基を含むことを示唆した。詳細な1D及び2D NMR分析から、上記化合物FR90128の構造が既知の化合物であることが確認された。
【0274】
11.実施例 11.テンプラミドA、テンプラミドB、FR901465、及びFR90128の除草効果
テンプラミドA、B、FR901465及びFR90128の除草効果を、96のウェルプレートプラットフォームの中に植えた1週齢のイヌビエ(Echinochloa crus-galli)及びレタス(Lactuca sativa L.)の苗を使用して、実験室アッセイにより試験した。99μLの脱イオン水を入れた各ウェル中に、雑草の苗を1つずつ置き、各ウェル中に、上記の純粋な化合物のエタノール溶液(10 mg/ml)のアリコートを1μL添加し、プレートをフタで密封した。1μLのエタノールを加えた99μLの溶液を、陰性対照として使用した。
8ウェルに植えた苗についてこの処理を行い、密閉したプレートを、人工光(12時間の明/暗サイクル)下、温室中でインキュベートした。5日後に、その結果を調べた。活性化合物で処理した全8個のウェルの雑草の苗は、緑色の組織を残すことなく枯れたが、陰性対照のウェルの苗は活発に成長した。テンプラミドAの除草活性は、雑草に対するよりも、レタスの苗に対して、わずかに低かった。一方、テンプラミドBはテンプラミドAよりも、レタスの苗(広葉雑草のモデル系として使用した)をよりよく制御した(100%)。
【0275】
【表11】

1ウェル当たり、10μg/mL濃度
表11.テンプラミドA、B、FR901465、FR90128の除草バイオアッセイデータ
【0276】
12.実施例 12.活性化合物の殺虫作用
テンプラミドA、テンプラミドB、FR901465、及びFR90128の殺虫効果は、200μLの固形の、シロイチモンジヨトウの人工飼料を、各ウェル中に入れたマイクロプレートを使用する、シロイチモンジヨトウの1齢期の幼虫による96ウェル飼料オーバーレイアッセイを使用した、実験室アッセイで試験した。飼料(各ウェルごとに1個の試料)の上部にピペットで100μLの各試験サンプルを載せ、表面が乾燥するまで試料を気流下で乾燥させた。各サンプルについて6個のウェルを使用して試験し、水及び市販のBt(バチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensis))産物を、陰性対照及び陽性対照として、それぞれ使用した。試験昆虫(シロイチモンジヨトウ‐(Spodoptera exiqua))の1齢期の幼虫を1匹ずつ、各ウェルに入れ、上記プレートを通気孔を有するプラスチックカバーで覆った。昆虫を入れたプレートを、26℃で6日間インキュベートし、毎日の死亡率を評価した。表12に示す結果に基づいて、テンプラミドA及びBは、それぞれ、40%及び80%の死亡率であった。
【0277】
【表12】

1ウェル当たり、10μg/mL濃度
表12.第1齢のシロイチモンジヨトウ(Spodoptera exigua)に対するテンプラミドA、B、FR901465、FR90128の殺虫バイオアッセイデータ
【0278】
実施例11.FR90128(分子量540)の抗真菌作用
3種類の植物の病原性真菌(ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、フィトフトラ属(Phytora sp.)、モニリア・フルクチコラ(Monilinia fructicola))に対するFR90128(分子量540)の抗真菌作用を、in vitroのPDA(ポテトデキストロース寒天)プレートアッセイで試験した。プラグ法を使用して、プレートに真菌を接種した。真菌が定着し、増殖培地上で増殖し始めた後に、8個の滅菌フィルター濾紙ディスクを、円の端から約1cmの位置に、各プレート上に置いた。20、15、10、7.5、5、2.5及び1.25 mg FR90128/mLを含む10μLのエタノール溶液を濾紙ディスクに滴下し、そして、その溶液をエバポレートして蒸発させた。10μLの純エタノールを浸み込ませた1個のディスクを陰性対照として使用した。各アッセイを、3枚のディスクを使って行った。プレートを5日間、室温でインキュベートし、その後、抗真菌作用を異なる濃度のFR90128に対応する、各濾紙ディスク上周囲の阻止円を測定して記録した。その結果によると、FR90128は、モニリニアの増殖に対する効果はないが、ボトリチス及びとフィトフトラの双方に対しては、菌糸の成長の制御に効果を示した。ボトリチス及びフィロフトラについては、閾値濃度10 mg/mL及び1.25 mg/mLで、明らかな濃度依存性の増殖阻止があると考えられた(図8)。
【0279】
生物材料の寄託
下記の生物材料を、ブタペスト条約の下、アメリカ合衆国 イリノイ州 61604、ペオリア、大学通り、1815北のアグリカルチュラル・リサーチ・カルチャー・コレクション(Agricultural Research Culture Collection)(NRRL)に寄託し、下記の番号が付された。
【0280】
寄託 受託番号 寄託日
バークホールデリア種 A396 NRRL B-50319 2009年9月15日
【0281】
本株は、37 C.F.R.§1.14及び35 U.S.C.§122の下、権限を有すると特許庁長官によって認められた者に、本特許出願の係属中に、上記培養物の入手が可能であることを保証する条件で寄託された。上記寄託物は、寄託菌株の実質的に純粋な培養物を意味する。上記寄託物は、対象出願の対応出願がされた国、又はその後続出願が出願された国における外国の特許法によって必要とされたときに、入手することができる。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政府の措置によって付与された特許権を逸脱して、対象とされる発明を実施する権能を構成するものではないことを理解すべきである。
【0282】
本明細書で開示する特定の態様は、本発明の幾つかの態様を具体的に説明することを意図したものであるから、本明細書に記載し、クレームした発明は、本明細書に開示する特定の態様によって、範囲を何等制限されるものではない。いかなる均等の態様も本発明の範囲内に含まれるものとする。実際、前述した説明から、本明細書に示され、記載された態様に加えて、当業者は、本発明を様々に変形することができることは明らかである。こうした変形はまた、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。抵触する場合には、定義を含む現在の開示に従うものとする。
本明細書では種々の参考文献を引用しており、これらの開示は、引用によりすべて本明細書中に組み込まれる。
【0283】
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【0284】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、バークホルデリア・プランタリ(Burkholderia plantari)、バークホルデリア・グラディオリ(Burkholderia gladioli)、バークホルデリア・マルティボランス(Burkholderia multivorans)ではない、バークホルデリア(Burkholderia)属の単離菌株であって、次に示す特性を有する単離菌株:
(A)配列番号8、11および12に示す配列と少なくとも99%の同一性を有する、フォワード配列と、配列番号9、10、13、14及び15と少なくとも99%の同一性を有する、リバース配列とを含む、16S rRNA遺伝子配列を有し;
(B)農薬活性を有し;
(C)次に示すものからなる群より選択される農薬化合物を産生し:
(i)次に示す特性を有する化合物:(a)液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって測定される、約525〜555の分子量;(b)1H NMR δ 値が、6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02;(c)13C NMR δ 値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51;および(c)水:アセトニトリル(CH3CN)グラジエントを使用した、逆相C-18高速液体クロマトグラフィ(HPLC)カラム上におけるHPLC保持時間が約10〜15分;
(iv)少なくとも1つのインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1つの置換されたアルキル基、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、および少なくとも3個の酸素および少なくとも2個の窒素を含んだオキサゾリル-インドール構造を有する化合物;
(v)少なくとも1つのベンジル部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換されたアルキル基、少なくとも1つのアミド基,少なくとも15個の炭素、少なくとも2個の酸素、および少なくとも2個の窒素を含んだオキサゾリル-ベンジル構造を有する化合物;
(vi)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、および少なくとも1個の窒素を有する化合物;ならびに、
(vii)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、および少なくとも1個の窒素を有する化合物;
(D)脊椎動物に対して非病原性であり;
(E)カナマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ピペラシリン、イミペネム、およびスルファメトキサゾールとトリメトプリムの組合せに対して感受性があり、かつ、
(F)脂肪酸16:0、シクロ17:0、16:0 3-OH、14:0、シクロ19:0 ω8c、18:0を含む。
【請求項2】
バークホルデリア種が、バークホルデリアA396(NRRL受託番号B-0319)に同定される特性を有する、バークホルデリア菌株である、請求項1記載の菌株。
【請求項3】
(要補正)
請求項1又は2に記載の菌株由来の実質的に純粋な培養物、細胞画分もしくは上清、またはそれらの抽出物。
【請求項4】
(A)少なくとも1つのインドール部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換されたアルキル基、少なくとも1つのカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、少なくとも3つの酸素、および2つの窒素を含んだオキサゾリル-インドール構造を有し;次に示すものを少なくとも1つ有する、化合物:(i)分子量275〜435;(ii)1H NMR δ 値が、8.44, 8.74, 8.19, 7.47, 7.31, 3.98, 2.82, 2.33, 1.08;(iii)13C NMR δ値が、163.7, 161.2, 154.8, 136.1, 129.4, 125.4, 123.5, 123.3, 121.8, 121.5, 111.8, 104.7, 52.2, 37.3, 28.1, 22.7, 22.7;(iv)グラジエント溶媒系による水:アセトニトリル(CH3CN)、および210nmのUV検出を使用した、逆相C-18 HPLCカラム上で、液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が約10〜20分;(v)226、275、327mのUV吸光帯;
(B)少なくとも1つのベンジル部分、少なくとも1つのオキサゾール部分、少なくとも1つの置換されたアルキル基、および少なくとも1つのアミド基、少なくとも15個の炭素、少なくとも2つの酸素、および少なくとも2つの窒素を含んだオキサゾリル-ベンジル構造を有し;次に示す特性を少なくとも1つ有する、化合物:(i)液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって測定される、分子量約240〜290;(ii)1H NMR δ 値が、約7.08, 7.06, 6.75, 3.75, 2.56, 2.15, 0.93, 0.93;(iii)13C NMR δ値が、158.2, 156.3, 155.5, 132.6, 129.5, 129.5, 127.3, 121.8, 115.2, 115.2, 41.2, 35.3, 26.7, 21.5, 21.5;(iv)水:アセトニトリルグラジエントを使用して、逆相C-18 HPLCカラム上での、液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が約6〜15分;ならびに、(v)約230、285、323mのUV吸光帯;
(C)少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、少なくとも3つのメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8つの酸素、および1つの窒素を有し、次に示す特性を少なくとも1つ有する、非エポキシド化合物:(i)液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって測定される、分子量約530〜580;(ii)1H NMRのδ値が、6.40, 6.39, 6.00, 5.97, 5.67, 5.54, 4.33, 3.77, 3.73, 3.70, 3.59, 3.47, 3.41, 2.44, 2.35, 2.26, 1.97, 1.81, 1.76, 1.42, 1.37, 1.16, 1.12, 1.04;;(iii)13C NMRのδが、173.92, 166.06, 145.06, 138.76, 135.71, 129.99, 126.20, 123.35, 99.75, 82.20, 78.22, 76.69, 71.23, 70.79, 70.48, 69.84, 60.98, 48.84, 36.89, 33.09, 30.63, 28.55, 25.88, 20.37, 18.11, 14.90, 12.81, 9.41;(iv)グラジエント溶媒系による水:アセトニトリル、および210nmのUV検出を使用して、逆相C-18 HPLCカラム上で、液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間が約7〜12分;(v)ESIMSおよびNMRデータ分析の解釈によって決定される、分子式C2845NO10;ならびに、(vi)約210〜450nmのUV吸光帯;
(D)(i)少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのアミド、エポキシドメチレン基、少なくとも1つのテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3つのオレフィン二重結合、少なくとも6つのメチル基、少なくとも3つのヒドロキシル基、少なくとも25の炭素、少なくとも8つの酸素、および少なくとも1つの窒素を含み、(ii)13C NMR δ値が174.03, 166.12, 143.63, 137.50, 134.39, 128.70, 126.68, 124.41, 98.09, 80.75, 76.84, 75.23, 69.87, 69.08, 68.69, 68.60, 48.83, 41.07, 35.45, 31.67, 29.19, 27.12, 24.55, 19.20, 18.95, 13.48, 11.39, 8.04;(iii)分子式がC2843NO、かつ、(i)1H NMR δ値が、約6.41, 6.40, 6.01, 5.97, 5.67, 5.55, 4.33, 3.77, 3.75, 3.72, 3.64, 3.59, 3.54, 3.52, 2.44, 2.34, 2.25, 1.96, 1.81, 1.76, 1.42, 1.38, 1.17, 1.12, 1.04;(ii)水:アセトニトリル(CHCN)グラジエント系を使用した逆相C-18HPLCカラム上での液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間が約6〜15分;(iii)約210〜450nmのUV吸光帯からなる群から選ばれる、バークホルデリア種から任意に得られる単離された農薬化合物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物であって、以下の構造を有する化合物:


(a)##STR002a##
【化1】

式中、Rは、--H又はC1-C10アルキルであり;R2はアルキルエステルである;
(b)##STR003a##
【化2】

式中、Rは、--H又はC1-C10アルキルである;
(c)##STR004a##
【化3】

式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、−O、−NRまたは−Sであって、Rが、HまたはC-C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルホンアミド、またはスルフリルである;
(d)
【化4】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルホンアミド、又はスルフリルである;
(e)
【化5】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R11は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルホンアミド、又はスルフリルである;
(f)
【化6】

式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、−O、−NR又は−Sであって、RはH又はC-C10アルキルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、Zが-NRである場合、Rは非オキシホルミル部分である。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の化合物であって、前記化合物は、テンプラゾールA、テンプラゾールB、テンプラミドA及びテンプラミドBからなる群より選ばれ、又は生物農薬、および(c)任意に少なくとも1つの担体、希釈剤、界面活性剤、補助剤。
【請求項7】
(A)下記の特性を有する化合物:(i)液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって測定される、約525〜555の分子量;(ii) 1H NMR の値が、6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02;(iii) 13C NMR の値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51;及び(iv)水:アセトニトリル(CHCN)グラジエントを使用して、逆相C-18高速液体クロマトグラフィ(HPLC)カラム上で、HPLCの保持時間が約10〜15分;
(B)少なくとも1個のインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1つの置換アルキル基、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、少なくとも3個の酸素、及び少なくとも2個の窒素を含むオキサゾリル-インドール構造を有する、化合物;
(C)少なくとも1個のベンジル部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基、少なくとも1個のアミド基、少なくとも15個の炭素、少なくとも2個の酸素、及び少なくとも2個の窒素を含むオキサゾリル-ベンジル構造を有する、化合物;
(D)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン性二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び少なくとも1個の窒素を有する、化合物;
(E)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、1個のエポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン性二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、少なくとも1個の窒素を有する、化合物;ならびに、
(F)請求項4記載の化合物、
からなる群から選ばれる化合物の製造方法であって、請求項1〜2に記載の菌株を培養する工程と、前記化合物を製造する工程とを含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、ここで、前記生産される化合物が、
(A)請求項5に記載の化合物;
(B)下記の構造##STR001##を有する化合物、またはその農薬として許容し得る塩もしくはそれらの立体異性体;
【化7】

式中、Mは、1、2、3又は4であり;nは、0、1、2又は3であり;p及びqは、独立に、1又は2であり;Xは、O、NH又はNRであり;R、R及びRは、同一であるかまたは異なっており、独立、アミノ酸側鎖部分又はアミノ酸側鎖誘導体であり、Rは、低級鎖アルキル、アリール、又はアリールアルキル部分である;
(C)下記の構造##STR002##を有する化合物
【化8】

式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、--O、--NR又は--Sであって、Rが、--H又はC-C10アルキルであり;R、R及びmは、それぞれ独立に、--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルフォホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、「m」は、オキサゾール環のいずれの部位に位置していてもよい;
(D)構造##STR003##を有する化合物
【化9】

式中、X及びYは、それぞれ独立に、--OH、--NRまたは--Sであり、Rは、--HまたはC-C10アルキルであり;R、Rおよびmは、オキサゾール環の置換基であり、それぞれ独立して、--H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである;
(E)下記の構造##STR005##を有する化合物
【化10】

##STR005##
式中、X及Yは、それぞれ独立に、--OH、--NRまたは--Sであり、R、Rはそれぞれ独立に、--H、アルキル(例えば、C-C10アルキル)、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルである、
からなる群から選ばれる。
【請求項9】
請求項7−8に記載された方法であって、前記生産される化合物は、
(i)テンプラゾールA;
(ii)テンプラゾールB;
(iii)テンプラミドA;
(iv)テンプラミドB;
(v)FR90128;
(vi)
【化11】

(vii)
【化12】

(viii)
【化13】

(ix)
【化14】

(x)
【化15】

(xi)
【化16】

(xii)
【化17】

(xiii)
【化18】

(xiv)
【化19】

(xv)
【化20】

(xvi)
【化21】

(xvii)
【化22】

(xviii)
【化23】

(xix)
【化24】

(xx)
【化25】

(xxi)
【化26】

(xxii)
【化27】

(xxiii)
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

(XL)FR901465
からなる群から選ばれる製造された化合物。
【請求項10】
(a)請求項7〜9のいずれかに記載の方法によって化合物を製造する工程;と、
(b)前記(a)工程で製造された化合物を単離する工程;と、
を含む、バークホルデリアの菌株から化合物を単離するための方法。
【請求項11】
(a)(i)請求項1又は2に記載の菌株由来の純粋培養物、細胞画分もしくは上清、またはこれらの抽出物;(ii)請求項4〜6のいずれかに記載の化合物;(iii)請求項1又は2に記載の菌株によって産生さした化合物;及び(iii)請求項9に記載の方法によって単離された化合物からなる群から選ばれる第1の物質と、(b)任意に、化学農薬又は生物農薬である第2の物質と、(c)任意に、少なくとも1つの担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントと、からなる組合せ。
【請求項12】
前記第2の物質が、殺線虫剤、除草剤、防カビ剤、および殺虫剤からなる群から選ばれる農薬である、請求項11記載の組合せ。
【請求項13】
前記組合せが組成物である、請求項11又は12に記載の組合せ。
【請求項14】
植物及び/又はその種子及び/又は前記植物の成長に使用される基質に、請求項11〜13のいずれかに記載の組合せを、植物における有害生物の蔓延をモジュレートするのに有効な量で適用することを含む、有害生物の蔓延をモジュレートするための方法。
【請求項15】
単子葉植物である雑草、カヤツリグサ科の雑草もしくは双子葉植物である雑草又は土壌に、請求項11〜13のいずれかに記載の組合せを、前記雑草の出現及び/又は成長をモジュレートするのに有効な量で適用することを含む、前記雑草の出現及び/又は成長をモジュレートするための方法。
【請求項16】
請求項13記載の組合せを含む、種子。
【請求項17】
(A)(i)液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)によって測定される、分子量約525〜555の分子量;1H NMR の値が、6.22, 5.81, 5.69, 5.66, 5.65, 4.64, 4.31, 3.93, 3.22, 3.21, 3.15, 3.10, 2.69, 2.62, 2.26, 2.23. 1.74, 1.15, 1.12, 1.05, 1.02であり; (iii) 13C NMR の値が、172.99, 172.93, 169.57, 169.23, 167.59, 130.74, 130.12, 129.93, 128.32, 73.49, 62.95, 59.42, 57.73, 38.39, 38.00, 35.49, 30.90, 30.36, 29.26, 18.59, 18.38, 18.09, 17.93, 12.51であり;そして、 (iv)水:アセトニトリル(CH3CN)グラジエントを使用して、逆相C-18高速液体クロマトグラフィ(HPLC)カラム上で、HPLCの保持時間が約10〜15分であり;
(B)少なくとも1個のインドール部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、少なくとも17個の炭素、少なくとも3個の酸素、及び少なくとも2個の窒素を含むオキサゾリル-インドール構造を有する、化合物;
(C)少なくとも1個のベンジル部分、少なくとも1個のオキサゾール部分、少なくとも1個の置換アルキル基、少なくとも1個のアミド基、少なくとも15個の炭素、少なくとも2個の酸素、及び少なくとも2個の窒素を含むオキサゾリル-ベンジル構造を有する、化合物;
(D)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、少なくとも3個のメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン性二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、がおよび少なくとも1個の窒素を有する、化合物;ならびに、
(E)少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のアミド、1個のエポキシドメチレン基、少なくとも1個のテトラヒドロピラノース部分、少なくとも3個のオレフィン性二重結合、少なくとも6個のメチル基、少なくとも3個のヒドロキシル基、少なくとも25個の炭素、少なくとも8個の酸素、及び少なくとも1個の窒素を有する化合物、ならびに、任意に、植物における有害生物の出現をモジュレートするが、及び/又は単子葉植物である雑草、カヤツリグサ科の雑草もしくは双子葉植物である雑草の出現及/又は成長を調節するための組成物を製剤化する農薬、
からなる群から選ばれる化合物の使用。
【請求項18】
前記有害生物が、線虫、真菌類、雑草及び昆虫からなる群から選ばれる、請求項17に記載の前記使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−521227(P2013−521227A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555133(P2012−555133)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026016
【国際公開番号】WO2011/106491
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512219976)マロン バイオ イノベイションズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】