説明

パターン反転用樹脂組成物及び反転パターン形成方法

【課題】基板に形成されたレジストパターンとミキシングすることがなく、このパターン間に良好に埋め込むことができ、且つパターンとの密着性に優れると共に、酸素アッシング耐性及び保存安定性に優れるパターン反転用樹脂組成物及び反転パターン形成方法を提供する。
【解決手段】パターン反転用樹脂組成物は、被加工基板上にレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程と、レジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程と、を備える反転パターン形成方法において用いられるものであって、特定のアクリロイルオキシアルキル基を有する構成単位を含むポリシロキサンと、有機溶剤と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン反転用樹脂組成物及び反転パターン形成方法に関する。更に詳しくは、本発明は、被加工基板上に形成されたフォトレジストパターンとミキシングすることがなく、このフォトレジストパターン間に良好に埋め込むことができ、且つレジストパターンとの密着性に優れると共に、酸素アッシング耐性及び保存安定性に優れるパターン反転用樹脂組成物及びそれを用いた反転パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用素子等を製造する際のパターン形成においては、リソグラフィー技術、レジスト現像プロセス及びエッチング技術を適用するパターン転写法により、有機材料又は無機材料よりなる基板の微細加工が行われている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−110510号公報
【0004】
しかしながら、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、被加工基板上に形成されるフォトレジストパターンが微細化し、且つこのパターン間の容積も小さくなっているため、これまでのパターン形成方法に用いられている反転パターン形成用材料では、被加工基板上に形成されたレジストパターンのパターン間に、良好に埋め込むことが困難となってきている。
そのため、埋め込み性に優れる反転パターン形成用材料が求められている。また、このような反転パターン形成用材料には、被加工基板上に形成されたフォトレジストパターンとインターミキシングしないことが必要であり、且つ酸素アッシング耐性及び保存安定性等にも優れていることが求められている。更に、通常フォトレジストパターンは反射防止膜を併用して形成されるため、反転パターン形成用材料には、レジストパターンとの密着性に優れていることが求められている。しかしながら、反転パターン形成用材料として具体的な材料の提案がまだなされていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を克服するためになされたものであり、被加工基板上に形成されたフォトレジストパターンとミキシングすることがなく、このフォトレジストパターン間に良好に埋め込むことができ、且つレジストパターンとの密着性に優れると共に、酸素アッシング耐性及び保存安定性に優れるパターン反転用樹脂組成物及びそれを用いた反転パターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための手段は以下のとおりである。
[1]〔1〕被加工基板上にフォトレジストパターンを形成する工程と、
〔2〕前記フォトレジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程と、
〔3〕前記フォトレジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程と、を備える反転パターン形成方法において用いられるパターン反転用樹脂組成物であって、
ポリシロキサンと、有機溶剤と、を含有しており、
前記ポリシロキサンは、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含むことを特徴とするパターン反転用樹脂組成物。
【化1】

〔式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数である。〕
【化2】

[2]前記ポリシロキサンが、アルコキシシランを出発原料として、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである前記[1]に記載のパターン反転用樹脂組成物。
[3]前記ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、上記式(1)で表される構成単位の含有割合が1〜50モル%であり、上記式(2)で表される構成単位の含有割合が50〜99モル%である前記[1]又は[2]に記載のパターン反転用樹脂組成物。
[4]前記有機溶剤が、炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルコールである前記[1]乃至[3]のいずれかに記載のパターン反転用樹脂組成物。
[5]〔1〕被加工基板上にフォトレジストパターンを形成する工程と、
〔2〕前記フォトレジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程と、
〔3〕前記フォトレジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程と、を備える反転パターン形成方法であって、
前記パターン反転用樹脂組成物は、ポリシロキサンと、有機溶剤と、を含有しており、且つ、前記ポリシロキサンは、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含むことを特徴とする反転パターン形成方法。
【化3】

〔式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数である。〕
【化4】

[6]前記パターン反転用樹脂組成物を前記フォトレジストパターンのパターン間に埋め込んだ後、80〜180℃で焼成する工程を備える前記[5]に記載の反転パターン形成方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパターン反転用樹脂組成物は、被加工基板上に形成されたフォトレジストパターンとミキシングすることがなく、このフォトレジストパターン間に良好に埋め込むことができ、且つレジストパターンとの密着性に優れると共に、酸素アッシング耐性及び保存安定性に優れている。従って、本発明は、今後更に微細化が進行するとみられるLSIの製造、特に微細なコンタクトホール等の形成に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]反転パターンの形成方法
本発明における反転パターン形成方法は、〔1〕被加工基板上にフォトレジストパターンを形成する工程(以下、「工程〔1〕」という)と、〔2〕前記フォトレジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程(以下、「工程〔2〕」という)と、〔3〕前記フォトレジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程(以下、「工程〔3〕」という)と、を備えている。
【0009】
前記工程〔1〕では、被加工基板上にフォトレジストパターン(以下、単に「レジストパターン」ともいう)が形成される。
このレジストパターンの形成方法は特に限定されず、公知のフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。例えば、下記のように形成することができる。
まず、前記被加工基板上にレジスト組成物溶液を塗布し、乾燥することでフォトレジスト膜を形成する。次いで、形成されたレジスト膜の所用領域に、所定パターンのマスクを介して放射線を照射して露光を行う。その後、露光部を現像することにより、所定パターンのフォトレジストパターンを形成することができる。
【0010】
前記被加工基板としては、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等を用いることができる。尚、この被加工基板上には、後述のレジスト組成物溶液の潜在能力を最大限に引き出すため、特公平6−12452号公報等に開示されているように、有機系又は無機系の反射防止膜を予め形成しておいてもよい。
【0011】
前記レジスト組成物溶液としては、例えば、酸発生剤等を含有する化学増幅型のレジスト組成物等を、適当な溶媒中に、例えば0.1〜20質量%の固形分濃度となるように溶解したのち、例えば孔径30nm程度のフィルターでろ過して調製されたものを使用することができる。尚、ArF用レジスト組成物溶液やKrF用レジスト組成物溶液等の市販されているレジスト組成物溶液をそのまま使用することもできる。また、このレジスト組成物溶液は、ポジ型であってもよいし、ネガ型であってもよい。
【0012】
前記レジスト組成物溶液の塗布方法は特に限定されず、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段が挙げられる。
また、レジスト組成物溶液を塗布した後の乾燥手段は特に限定されないが、例えば、予備加熱することにより、塗膜中の溶剤を揮発させることができる。この加熱条件は、レジスト組成物溶液の配合組成によって適宜調整されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。
更に、乾燥後に得られる前記レジスト膜の厚みは特に限定されないが、通常、10〜1000nmであり、好ましくは50〜500nmである。
【0013】
前記露光に使用される放射線としては、レジスト組成物溶液に含有される酸発生剤等の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されるが、ArFエキシマレーザ(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましい。
また、露光量等の露光条件は、レジスト組成物溶液の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
更に、前記露光後には、加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理により、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行させることができる。この加熱条件は、レジスト組成物溶液の配合組成によって適宜選択されるが、加熱温度は通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。また、加熱時間は通常10〜300秒間、好ましくは30〜180秒間である。
【0014】
前記現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0015】
前記工程〔2〕では、前記レジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物が埋め込まれる。
具体的には、前記レジストパターンが形成された被加工基板上に、パターン反転用樹脂組成物が、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、前記被加工基板上に塗布されて、前記レジストパターン間にパターン反転用樹脂組成物が埋め込まれる。尚、この工程〔2〕で用いられるパターン反転用樹脂組成物については、後段で詳細を説明する。
【0016】
また、工程〔2〕においては、パターン反転用樹脂組成物を前記レジストパターンのパターン間に埋め込んだ後に、乾燥工程を設けることが好ましい。
前記乾燥手段は特に限定されないが、例えば、焼成することにより、塗膜中の有機溶剤を揮発させることができる。この焼成条件は、パターン反転用樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、焼成温度は通常80〜180℃、好ましくは80〜150℃である。この焼成温度が、80〜180℃である場合には、後述の平坦化工程、特にウェットエッチバック法による平坦化加工を円滑に行うことができる。尚、この加熱時間は通常10〜300秒間、好ましくは30〜180秒間である。
また、乾燥後に得られるパターン反転用樹脂膜の厚みは特に限定されないが、通常10〜1000nmであり、好ましくは50〜500nmである。
【0017】
前記工程〔3〕では、前記フォトレジストパターンが除去され、反転パターンが形成される。
具体的には、まず、前記レジスト膜の上表面を露出するための平坦化加工が行われる。次いで、酸素エッチングにより前記レジストパターンが除去され、所定の反転パターンが得られる。
前記平坦化加工で利用される平坦化法としては、ドライエッチバック、ウェットエッチバック等のエッチング法や、CMP法等を用いることができる。これらのなかでも、ドライエッチバック、CMP法が好ましい。尚、平坦化加工における加工条件は特に限定されず、適宜調整できる。
また、前記酸素エッチングには、酸素プラズマ灰化装置、オゾンアッシング装置等の公知のレジスト剥離装置を用いることができる。
尚、エッチング加工条件は特に限定されず、適宜調整できる。
【0018】
以下、前記工程〔1〕、〔2〕及び〔3〕を備える本発明の反転パターン形成方法の具体的な例を、図1を用いて説明する。
前記工程〔1〕では、図1の(a)に示すように、反射防止膜2が形成された被加工基板1上に、レジスト組成物溶液が塗布され、加熱等による乾燥工程を経て所定膜厚のレジスト膜3が形成される。そして、レジスト膜3の所用領域に、所定パターンのマスクを介して放射線等の照射による露光が行われた後、現像されることによってレジストパターン31が形成される〔図1の(b)参照〕。
次いで、前記工程〔2〕では、図1の(c)に示すように、レジストパターン31のパターン間にパターン反転用樹脂組成物が埋め込まれるように、パターン31が形成された被加工基板1上にパターン反転用樹脂組成物が塗布され、加熱等による乾燥工程を経てパターン反転用樹脂膜4が形成される。
その後、前記工程〔3〕では、図1の(d)に示すように、レジスト膜31の上表面が露出するように、エッチバック法やCMP法等の手段により平坦化加工が行われる。次いで、酸素エッチングにより、パターン31が除去されることで、反転パターン41が形成される〔図1の(e)参照〕。
【0019】
[2]パターン反転用樹脂組成物
本発明におけるパターン反転用樹脂組成物は、ポリシロキサン及び有機溶剤を含有するものであり、前述の本発明の反転パターン形成方法において用いられるものである。
【0020】
(1)ポリシロキサン
前記ポリシロキサンは、下記式(1)で表される構成単位[以下、「構成単位(1)」という。]、及び下記式(2)で表される構成単位[以下、「構成単位(2)」という。]を含有する。
【0021】
【化5】

〔式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数である。〕
【0022】
【化6】

【0023】
<構成単位(1)>
前記式(1)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0024】
前記構成単位(1)を与える単量体としては、例えば、下記式(i)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR (i)
〔式(i)において、Rは下記式(a)で表される基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
【0025】
【化7】

〔式(a)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは1〜4の整数である。〕
【0026】
前記式(a)におけるRについては、前記式(1)におけるRの説明をそのまま適用することができる。
また、前記式(i)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0027】
また、前記構成単位(1)を与える具体的なシラン化合物としては、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、N−3−(メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、2−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、トリメトキシシリルメチルメタクリレート、トリエトキシシリルメチルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[トリス(ジメチルビニルシロキシ)]プロピルメタクリレート、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、単量体合成の容易性の観点から、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、トリメトキシシリルメチルメタクリレート等が好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
また、前記構成単位(1)は、前記ポリシロキサンに、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0029】
<構成単位(2)>
前記構成単位(2)を与える単量体としては、例えば、下記式(ii)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR (ii)
〔式(ii)において、Rは1価の有機基を表す。〕
【0030】
前記式(ii)のRにおける1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0031】
また、前記構成単位(2)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトライソシアナートシラン、テトラキス(ブトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン、テトラキス(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス(トリクロロシリルエチル)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記ポリシロキサンは、前記構成単位(1)及び(2)以外にも、下記式(3)で表される構成単位[以下、「構成単位(3)」という。]、及び下記式(4)で表される構成単位[以下、「構成単位(4)」という。]のうちの少なくとも1種の構成単位を更に含有していてもよい。
【0033】
【化8】

〔式(3)において、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基、又は−ORを表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す。〕
【0034】
【化9】

〔式(4)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
【0035】
<構成単位(3)>
前記式(3)のRにおける炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
また、前記Rが−ORである場合における、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0036】
前記構成単位(3)を与える単量体としては、例えば、下記式(iii)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR10 (iii)
〔式(iii)において、Rは下記式(b)で表される基を表し、R10は1価の有機基を表す。〕
【0037】
【化10】

〔式(b)において、R11は、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は−OR12を表し、R12は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を表す。〕
【0038】
前記式(b)におけるR11及びR12については、それぞれ、前記式(3)におけるR及びRの説明をそのまま適用することができる。
また、前記式(iii)のR10における1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各R10は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0039】
また、前記構成単位(3)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリエトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリクロロシラン、2−メチルフェニルトリアセトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリクロロシラン、4−メチルフェニルトリアセトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリエトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、2−エチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、2−エチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリクロロシラン、2−エチルフェニルトリアセトキシシラン、
【0040】
4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリエトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−エチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−エチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリクロロシラン、4−エチルフェニルトリアセトキシシラン、4−プロピルフェニルトリメトキシシラン、4−プロピルフェニルトリエトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリクロロシラン、4−プロピルフェニルトリアセトキシシラン、4−ブチルフェニルトリメトキシシラン、4−ブチルフェニルトリエトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリクロロシラン、4−ブチルフェニルトリアセトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリエトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリクロロシラン、4−メトキシフェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
これらの化合物のなかでも、単量体合成の容易性の観点から、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリエトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
また、前記構成単位(3)は、前記ポリシロキサンに、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0043】
<構成単位(4)>
前記式(4)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0044】
前記構成単位(4)を与える単量体としては、例えば、下記式(iv)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
13Si(OR14 (iv)
〔式(iv)において、R13は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14は1価の有機基を表す。〕
【0045】
前記式(iv)におけるR13については、前記式(4)におけるRの説明をそのまま適用することができる。
また、R14における1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各R14は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0046】
また、前記構成単位(4)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−t−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0047】
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
また、前記構成単位(4)は、前記ポリシロキサンに、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0049】
<他の構成単位>
前記ポリシロキサンは、前記構成単位(1)〜(4)以外にも、他の構成単位を更に含有していてもよい。
前記他の構成単位としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジエトキシジビニルシラン、ジ(3−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメシチルジメトキシシラン、ジメシチルジクロロシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジ−シクロへキシルジクロロシラン、アセトキシプロピルジクロロシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジクロロシラン、アリルへキシルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルフェニルジメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジメタクリロキシジメトキシシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジメトキシシラン、3−シアノプロピルフェニルジクロロシラン、シクロへキシルエチルジメトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、シクロへキシルメチルジクロロシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、ジ(p−トリル)ジクロロシラン、ジ(3−グリシドキシ)プロピルジメトキシシラン、ジ(3−グリシドキシ)プロピルジエトキシシラン、(3−シクロヘキセニル)プロピルジメトキシシラン等の単量体に由来する構成単位が挙げられる。
尚、この他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0050】
前記ポリシロキサンにおける、前記構成単位(1)の含有割合は、ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、1〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜30モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。この含有量が1モル%未満の場合には、レジストパターンとの密着性不良となるおそれがある。一方、50モル%を超える場合には、酸素アッシング耐性不良となるおそれがある。
また、前記構成単位(2)の含有割合は、ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、50〜99モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜80モル%、更に好ましくは50〜60モル%である。この含有量が50モル%未満の場合には、酸素アッシング耐性不良となるおそれがある。一方、99モル%を超える場合には、組成物の保存安定性不良となるおそれがある。
【0051】
前記構成単位(3)の含有割合は、ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、10モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜7モル%、更に好ましくは0〜5モル%である。
また、前記構成単位(4)の含有割合は、ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜40モル%、更に好ましくは1〜30モル%である。
更に、前記他の構成単位の含有割合は、ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、10モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜8モル%、更に好ましくは1〜5モル%である。
【0052】
前記ポリシロキサンの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、500〜100000であることが好ましく、より好ましくは1000〜50000、更に好ましくは1000〜10000である。
【0053】
また、前記ポリシロキサンにおけるシラノール存在比は、樹脂中のSi−O−Si結合に対して、1〜2倍であることが好ましく、より好ましくは1〜1.7倍、更に好ましくは1〜1.5倍である。シラノール存在比が、1〜2倍である場合には、保存安定性良好であるため好ましい。
尚、このシラノール存在比は、Si29−NMRにより測定することができる。
【0054】
尚、前記ポリシロキサンは、本発明におけるパターン反転用樹脂組成物に1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0055】
(2)有機溶剤
また、前記有機溶剤は、前記ポリシロキサンを溶解可能であり、被加工基板上に予め形成されたフォトレジストパターンを溶解しないものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、アルコール、エーテル、エステル等や、これらを含有するものが挙げられる。これらのなかでも、アルコールが好ましい。
尚、この有機溶剤は、1種の成分のみから構成されていてもよいし、2種以上の成分の混合物であってもよい。
【0056】
前記アルコールとしては、炭素数2〜10のアルコールが好ましい。この炭素数2〜10のアルコールは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、4−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
これらのなかでも、1−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが好ましく、1−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルがより好ましい。
【0057】
また、前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル等が挙げられる。
更に、前記エステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0058】
これらの有機溶剤は、本発明におけるパターン反転用樹脂組成物に1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0059】
(3)他の添加剤
本発明におけるパターン反転用樹脂組成物には、前記ポリシロキサン及び前記有機溶剤以外にも、界面活性剤、架橋剤等の他の添加剤を含有させることができる。
【0060】
(4)パターン反転用樹脂組成物の調製方法
本発明におけるパターン反転用樹脂組成物を調製する方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシランを出発原料として、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させることでポリシロキサンを得る。より具体的には、前記出発原料を溶媒中に溶解し、この溶液中に水を断続的に或いは連続的に添加する。このとき、触媒は、予め溶媒中に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水中に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解反応及び/又は縮合反応を行うための温度は、通常、0〜100℃である。尚、前記出発原料であるアルコキシシランとしては、前述のポリシロキサンにおける各構成単位[前記構成単位(1)〜(4)及び他の構成単位]を与える単量体等が挙げられる。
次いで、得られたポリシロキサンと、前記有機溶剤と、必要に応じて前記他の添加剤とを混合することにより、パターン反転用樹脂組成物を調製することができる。この際、ポリシロキサンの固形分濃度は適宜調整することができるが、例えば、1〜30質量%、特に5〜20質量%とすることができる。
【0061】
前記加水分解及び/又は縮合を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、前記水は、用いられるアルコキシシランのアルコキシル基1モル当たり0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。上述の範囲の量で水を用いることにより、形成される塗膜の均一性が低下するおそれがなく、且つ、組成物の保存安定性が低下するおそれが少ない。
【0062】
前記ポリシロキサンを合成する際に用いられる前記溶媒としては、この種の用途に使用される溶媒であれば特に限定されない。例えば、前記有機溶剤と同様のものを挙げることができる。
また、前記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等を挙げることができる。これらのなかでも、有機塩基を用いると、ポリシロキサン中のシラノールの存在比を低下させることが可能となるため、保存安定性の良好な組成物を得ることが可能となる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、この実施例の記載における「部」及び「%」の記載は、特記しない限り質量基準である。
【0064】
[1]パターン反転用樹脂組成物(実施例1〜4及び比較例1〜2)の調製
実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物を以下のようにして調製した。尚、本実施例においては、重量平均分子量及びSi29−NMRの測定を下記の要領で行った。また、本実施例においては、下記化合物(M−1)〜(M−4)を、ポリシロキサンを合成する際の単量体として用いた。
(1)重量平均分子量(Mw)
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
(2)Si29−NMR
日本電子(株)製核磁気共鳴分光器、内部標準:テトラメチルシラン、溶媒:重DMSO[(DC)S=O]、測定温度:25℃の測定条件で、Si29−NMR測定を実施した。
【0065】
【化11】

【0066】
<実施例1>
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.82gを水5.47gに加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液7.29g、水2.27g、及びメタノール20gを入れたフラスコに、冷却管と、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート[前記化合物(M−1)]1.17g(9.47モル%)、フェニルトリメトキシシラン[前記化合物(M−2)]0.50g(5.07モル%)、メチルトリメトキシシラン[前記化合物(M−3)]2.04g(30.12モル%)、テトラメトキシシラン[前記化合物(M−4)]4.19g(55.35モル%)、及びメタノール25gを入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて40℃に加熱した後、化合物(M−1)〜(M−4)の単量体を含有するモノマーメタノール溶液をゆっくり滴下し、40℃で1時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸2.50gを、水9.18g及びメタノール9.18gに溶解させて別途調製したマレイン酸メタノール溶液21gを入れた滴下ロートをセットし、放冷させた前記反応溶液に滴下し、15分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン25gを添加してからエバポレータにセットし、反応溶媒及び反応により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。
そして、得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水40gを添加しての水洗を2回行った。分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、4−メチル−2−ペンタノール25gを添加してからエバポレータにセットし、4−メチル−2−ペンテノンを除去して樹脂溶液27gを得た(塩基触媒法)。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、13.6%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は4000であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して1.2倍であった。
次いで、上記のようにして得られた反応生成物(樹脂溶液)22.06gを4−メチル−2−ペンタノール37.94gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、実施例1のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0067】
<実施例2>
単量体として、前記化合物(M−1)1.17g(7.71モル%)、前記化合物(M−3)3.2g(38.48モル%)、前記化合物(M−4)5.0g(53.81モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液26gを得た。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、13.1%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は4500であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して1.2倍であった。
次いで、上記反応生成物(樹脂溶液)21.05gを4−メチル−2−ペンタノール34.10gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、実施例2のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0068】
<実施例3>
シュウ酸0.45gを水21.6gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。
その後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート[前記化合物(M−1)]1.17g(9.47モル%)、フェニルトリメトキシシラン[前記化合物(M−2)]0.50g(5.07モル%)、メチルトリメトキシシラン[前記化合物(M−3)]2.04g(30.12モル%)、テトラメトキシシラン[前記化合物(M−4)]4.19g(55.35モル%)、及びプロピレングリコール−1−エチルエーテル53.5gを入れたフラスコに、冷却管と、予め調製しておいたシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレータにセットし、反応により生成したメタノールを除去して樹脂溶液48gを得た(酸触媒法)。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、15.3%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は2100であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して1.4倍であった。
次いで、上記反応生成物(樹脂溶液)14.89gを4−メチル−2−ペンタノール45.56gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、実施例3のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0069】
<実施例4>
単量体として、前記化合物(M−1)1.17g(7.71モル%)、前記化合物(M−3)3.2g(38.48モル%)、前記化合物(M−4)5.0g(53.81モル%)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂溶液46gを得た。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、15.1%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は2400であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して1.3倍であった。
次いで、上記反応生成物(樹脂溶液)15.15gを4−メチル−2−ペンタノール30.30gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、実施例4のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0070】
<比較例1>
単量体として、前記化合物(M−2)0.99g(4.98モル%)、前記化合物(M−3)3.4g(24.90モル%)、前記化合物(M−4)10.7g(70.12モル%)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂溶液48gを得た。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、16.3%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は1200であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して3.2倍であった。
次いで、上記反応生成物(樹脂溶液)14.72gを4−メチル−2−ペンタノール45.28gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、比較例1のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0071】
<比較例2>
単量体として、前記化合物(M−2)0.99g(4.98モル%)、前記化合物(M−3)3.4g(24.90モル%)、前記化合物(M−4)10.7g(70.12モル%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液25gを得た。
尚、得られた樹脂溶液中の固形分(樹脂)の含有割合は、焼成法により測定した結果、13.8%であった。また、固形分(樹脂)の重量平均分子量(Mw)は4700であった。更に、Si29−NMR測定の結果、樹脂中のシラノール存在比は、Si−O−Si結合に対して1.6倍であった。
次いで、上記反応生成物(樹脂溶液)16.08gを4−メチル−2−ペンタノール28.30gに溶解し、更にこの溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、比較例2のパターン反転用樹脂組成物を得た。
【0072】
尚、前記実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物の調製の際に用いた、各単量体の配合量、ポリシロキサンの重合方法、ポリシロキサンの重量平均分子量、及びシラノール存在比を、まとめて表1に示した。
【0073】
【表1】

【0074】
[2]性能評価
実施例1〜4及び比較例1〜2における各パターン反転用樹脂組成物について、下記のように各性能評価を行った。その評価結果を表2に示す。
(1)フォトレジスト膜とのインターミキシング性
シリコンウェハの表面に、レジスト組成物溶液〔JSR(株)製、商品名「AR230JN」〕をスピンコーターによって塗布した後、126℃のホットプレート上で90秒間乾燥して、膜厚170nmのレジスト膜が形成された基板を得た。次いで、前記レジスト膜上に、実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物を塗布した。次いで2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液に30秒間浸漬して反転用樹脂組成物を除去した後に、分光エリプソメーターにより、レジスト膜の膜厚を測定した。
そして、その膜厚と初期膜厚との差が50Å未満のものを「○」とし、50Å以上のものを「×」として、フォトレジスト膜とのインターミキシング性を評価した。
【0075】
(2)レジストパターンへの埋め込み性
シリコンウェハの表面に、反射防止膜用材料〔日産化学(株)製、商品名「ARC29」〕をスピンコーターによって塗布した後、205℃のホットプレート上で60秒間乾燥して、膜厚が77nmの反射防止膜(レジスト下層膜)を形成したものを被加工基板として用いた。
次いで、前記レジスト下層膜上にレジスト組成物溶液〔JSR(株)製、商品名「AR230JN」〕を塗布し、126℃で90秒間乾燥した。この際のレジスト膜の膜厚は205nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザ照射装置〔(株)ニコン製〕を用い、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を0.130μmのライン・アンド・スペースパターンを有する石英製マスクを介して、前記レジスト膜が形成された被加工基板に16.5mJ照射した。次いで、被加工基板を126℃で90秒間加熱した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で40秒間現像処理を行い、基板上にフォトレジストパターンを形成した。
次いで、前記フォトレジストパターン上及びパターン間に、実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物をスピンコーターによって塗布し、120℃のホットプレートで60秒間乾燥することにより、膜厚150nmのパターン反転用樹脂組成物からなるパターン反転用樹脂膜を形成した。
そして、得られた基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、前記レジストパターン間に、各パターン反転用樹脂組成物が隙間なく埋め込まれている場合を「○」とし、ボイドが生じている場合を「×」として、レジストパターンへの埋め込み性を評価した。
【0076】
(3)レジストパターンとの密着性
シリコンウェハの表面に、反射防止膜用材料〔日産化学(株)製、商品名「ARC29」〕をスピンコーターによって塗布した後、205℃のホットプレート上で60秒間乾燥して、膜厚が77nmの反射防止膜(レジスト下層膜)を形成したものを被加工基板として用いた。
次いで、前記レジスト下層膜上にレジスト組成物溶液〔JSR(株)製、商品名「AIM5056JN」〕を塗布し、90℃で60秒間乾燥した。この際のレジスト膜の膜厚は120nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザ照射装置〔(株)ニコン製〕を用い、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を90nmのライン・アンド・スペースパターンを有する石英製マスクを介して、前記レジスト膜が形成された被加工基板に27.0mJ照射した。次いで、被加工基板を115℃で60秒間加熱した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理を行い、基板上にフォトレジストパターンを形成した。
次いで、前記フォトレジストパターン上及びパターン間に、実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物をスピンコーターによって塗布し、120℃のホットプレートで60秒間乾燥することにより、膜厚150nmのパターン反転用樹脂組成物からなるパターン反転用樹脂膜を形成した。
そして、得られた基板の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、前記レジストパターンと、前記レジストパターン間に形成された各パターン反転用樹脂膜との間に、剥離が確認されない場合を「○」とし、剥離が確認される場合を「×」として、レジストパターンとの密着性を評価した。
【0077】
(4)酸素アッシング耐性
前述のようにして形成したパターン反転用樹脂膜に対して、バレル型酸素プラズマ灰化装置「PR−501」(ヤマト科学社製)を用いて、300Wで15秒間酸素アッシング処理を行った。
そして、処理前のパターン反転用樹脂膜の膜厚と、処理後のパターン反転用樹脂膜の膜厚との差が5nm以下である場合を「○」とし、5nmを超える場合を「×」として、酸素アッシング耐性を評価した。
【0078】
(5)保存安定性
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数1500rpm、20秒間の条件にて、実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物を塗布し、その後120℃のホットプレート上で60秒間乾燥することにより、パターン反転用樹脂膜を形成した。次いで、得られたパターン反転用樹脂膜について、光学式膜厚計(KLA−Tencor社製、型番「UV−1280SE」)を用いて、9点の位置で膜厚を測定し、その平均膜厚を求めた。
また、実施例1〜4及び比較例1〜2の各パターン反転用樹脂組成物を、温度23℃で1ヶ月間保存した後、上記と同様にしてパターン反転用樹脂膜を形成して膜厚を測定し、その平均膜厚を求めた。
そして、保存前のパターン反転用樹脂膜の平均膜厚Tと、保存後のパターン反転用樹脂膜の平均膜厚Tとの差(T−T)を求め、平均膜厚Tに対するその差の大きさの割合〔(T−T)/T〕を膜厚変化率として算出し、その値が5%以下である場合を「○」とし、5%を超える場合を「×」として、保存安定性を評価した。尚、目視により確認できるゲル状の沈殿物が析出している場合も「×」とした。
【0079】
【表2】

【0080】
[3]実施例の効果
表2から明らかなように、本実施例1〜4のパターン反転用樹脂組成物は、基板に形成されたレジスト膜とミキシングすることがなく、レジスト膜に形成されたパターン間に良好に埋め込むことができ、且つパターンとの密着性に優れると共に、酸素アッシング耐性及び保存安定性に優れることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】反転パターンの形成方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0082】
1;被加工基板、2;反射防止膜、3;レジスト膜、31;レジストパターン、4;パターン反転用樹脂膜、41;反転パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔1〕被加工基板上にフォトレジストパターンを形成する工程と、
〔2〕前記フォトレジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程と、
〔3〕前記フォトレジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程と、を備える反転パターン形成方法において用いられるパターン反転用樹脂組成物であって、
ポリシロキサンと、有機溶剤と、を含有しており、
前記ポリシロキサンは、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含むことを特徴とするパターン反転用樹脂組成物。
【化1】

〔式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数である。〕
【化2】

【請求項2】
前記ポリシロキサンが、アルコキシシランを出発原料として、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである請求項1に記載のパターン反転用樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサンに含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、上記式(1)で表される構成単位の含有割合が1〜50モル%であり、上記式(2)で表される構成単位の含有割合が50〜99モル%である請求項1又は2に記載のパターン反転用樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機溶剤が、炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルコールである請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン反転用樹脂組成物。
【請求項5】
〔1〕被加工基板上にフォトレジストパターンを形成する工程と、
〔2〕前記フォトレジストパターンのパターン間にパターン反転用樹脂組成物を埋め込む工程と、
〔3〕前記フォトレジストパターンを除去し、反転パターンを形成する工程と、を備える反転パターン形成方法であって、
前記パターン反転用樹脂組成物は、ポリシロキサンと、有機溶剤と、を含有しており、且つ、前記ポリシロキサンは、下記式(1)で表される構成単位と、下記式(2)で表される構成単位と、を含むことを特徴とする反転パターン形成方法。
【化3】

〔式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数である。〕
【化4】

【請求項6】
前記パターン反転用樹脂組成物を前記フォトレジストパターンのパターン間に埋め込んだ後、80〜180℃で焼成する工程を備える請求項5に記載の反転パターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−20109(P2010−20109A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180658(P2008−180658)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】