説明

パターン形成方法

【課題】IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにはその他のフォトアプリケーションのリソグラフィー工程に好適に使用され、特にネガ型現像技術において、ラインエッジラフネス、スカムやマイクロブリッジ等の欠陥の発生の無い微細なレジスパターン形成方法を提供することを課題としている。

【解決手段】露光により発生した酸の作用により有機溶剤に対する溶解度が減少する感放射線性組成物を、下記条件(1)を満足するフィルターを通過させた組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程、を含むことを特徴とするパターン形成方法である。
条件(1):フィルターの臨界表面張力が70dyne/cm以上であり、かつ荷電修飾されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにはその他のフォトアプリケーションのリソグラフィー工程に使用される、感放射線性組成物のパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細化に伴い露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nm波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。
解像力を高める技術として、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、液浸法が提唱されている。
【0003】
更に解像力を高める技術として、二重露光技術(Double Exposure Technogy)や二重パターニング技術(Double Patterning Technogy)が提唱されている。
【0004】
二重露光方式の効果を半導体素子の微細画像パターンの転写に検討した例が、特許文献1等にて紹介されている。また、最近の二重露光技術進捗が、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3等でも報告されている。
【0005】
現在、g線、i線、KrF、ArF、EB、EUV等のリソグラフィー用の現像液としては、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
しかしながら、ポジ型システム(感放射線性組成物とポジ型現像液の組み合わせ)においては、光学空間像(光強度分布)のうち、光照射強度の強い領域を選択的に溶解・除去し、パターン形成を行う材料が提供されているにすぎない。反対に、ネガ型システム(レ感放射線性組成物とネガ型現像液)の組み合わせにおいては、光照射強度の弱い領域を選択的に溶解・除去し、パターン形成を行う材料システムが提供されているにすぎない。
ここで、ポジ型現像液とは、所定の閾値以上の露光部を選択的に溶解・除去させる現像液であり、ネガ型現像液とは、該所定の閾値以下の露光部を選択的に溶解・除去させる現像液のことである。ポジ型現像液を用いた現像工程のことをポジ型現像(ポジ型現像工程ともいう)と呼び、ネガ型現像液を用いた現像工程のことをネガ型現像(ネガ型現像工程ともいう)と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−156422号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】SPIE Proc 5754,1508(2005)
【非特許文献2】SPIE Proc 5377,1315(2004)
【非特許文献3】SPIE Proc 61531K−1(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、先述のような技術によってレジストパターンのサイズはますます微細なってきているが、微細になるにつれ、それまで顕著な影響の無かった組成物中の異物により、良好なレジストパターンを得にくくなってきている。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、感放射線性組成物において、現像後のレジストパターンのディフェクト、特に微細なスカムやマイクロブリッジの発生(以降「欠陥」という。)を抑制できるレジストパターン形成技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
露光により発生した酸の作用により有機溶剤に対する溶解度が減少する感放射線性組成物を、下記条件(1)を満足するフィルターを通過させた組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
条件(1):フィルターの臨界表面張力が70dyne/cm以上であり、かつ荷電修飾されていない。
[2]前記フィルターが、pH7.0の蒸留水において、−25mV超、15mV以下のゼータ電位を有することを特徴とする前記[1]に記載のパターン形成方法。
[3]前記パターン形成方法により、ホールパターンを含むパターンを形成することを特徴とする前記[1]または前記[2]に記載のパターン形成方法。
[4]前記感放射線組成物が、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する重合体を含むことを特徴とする前記[1]〜[3]に記載のパターン形成方法。
[5]前記重合体が、さらにラクトン構造を有することを特徴とする前記[4]に記載のパターン形成方法。
[6]前記ろ過が、前記感放射線組成物を調整した後で、且つ該組成物を容器に充填する前に行われることを特徴とする前記[1]〜[5]に記載のパターン形成方法。
[7]前記ろ過が、前記感放射線性組成物を調整した後で、且つ該組成物の入った容器を、基板へ塗布する装置へ装着した後に行われることを特徴とする前記[1]〜[6]に記載のパターン形成方法。
[8]前記ラクトン構造が下記一般式(LC1−1〜LC1−16)の基から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記[4]〜[7]に記載のパターン形成方法。
【0011】
【化1】

は、0〜4の整数を表す。Rb2は置換基を表し、n2が2以上の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
[9]前記ラクトン構造が、一般式(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、又は(LC1−14)で表される基であることを特徴とする前記[4]〜[8]に記載のパターン形成方法。
[10]前記ラクトン構造が、Rb2がシアノ基であり、nが1である前記一般式(LC1−4)で表される基であることを特徴とする前記[7]〜[9]に記載のパターン形成方法。
[11]前記重合体が、下記一般式(pI)又は(pII)で表される基の少なくともいずれかを有することを特徴とする前記[3]〜[10]のいずれかに記載のパターン形成方法。
【0012】
【化2】

一般式(pI)又は(pII)中、 R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R14は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。
[12]さらに、アルカリ現像液を用いて現像することを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[13]現像前であって、且つ露光を複数回行うことを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[14]露光後であって、且つ現像前のレジスト膜を加熱することを特徴とする前記[1]〜[13]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[15]
露光後であって、且つ現像前の加熱を、複数回行う前記[14]に記載のパターン形成方法。
[16]前記現像液が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、下記一般式(1)および下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する前記[1]〜[15]のいずれかに記載のパターン形成方法。
【0013】
【化3】

一般式(1)に於いて、R及びR’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R及びR’は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0014】
【化4】

(一般式(2)に於いて、R’’及びR’’’’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R’’及びR’’’’は、互いに結合して環を形成してもよい。R’’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。)
[17]前記現像液が、酢酸アルキルを含有する前記[1]〜[16]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[18]前記現像液が、酢酸ブチルを含有する前記[1]〜[16]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[19]前記現像液中の、全溶剤の総質量に占めるハロゲン原子を含まない有機溶剤の含有量が60質量%以上である前記[1]〜[18]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[20]前記現像液を用いた現像の後に、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する前記[1]〜[19]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[21]前記リンス液が、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する前記[20]に記載のパターン形成方法。
[22]前記リンス液が、アルコール系溶剤を含有する前記[20]または前記[21]に記載のパターン形成方法。
[23]前記リンス液が、炭素数6〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価のアルコール系溶剤を含有する前記[20]〜[22]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[24]
前記リンス液の含水率が30質量%以下である前記[20]〜[23]のいずれかに記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、レジストパターンのディフェクト、特に微細なスカムやマイクロブリッジの発生を抑制できるレジストパターン形成技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。パターンを形成する方式としては、ポジ型とネガ型があり、何れも、光照射を契機とした化学反応によって、レジスト膜の現像液に対する溶解性が変化することを利用しているが、光照射部が現像液に溶解する場合をポジ型方式、非照射部が現像液に溶解する場合をネガ型方式と呼ぶ。その場合に用いる現像液としては、ポジ型現像液とネガ型現像液の2つがある。
【0017】
本発明では、解像力を高める技術として、酸の作用により極性が増大する重合体を含有し、活性光線又は放射線の照射により、ポジ型現像液(好ましくはアルカリ現像液)に対する溶解度が増大し、ネガ型現像液(好ましくは有機系現像液)に対する溶解度が減少する膜を形成するパターン形成方法を提示する。
【0018】
本発明において使用する「ろ過」という用語には、通常使用される化学的な「ろ過」(「多孔質性物質の膜や相を用いて流動体の相[気体もしくは液体]だけを透過させ、半固相もしくは固体を流動体の相から分離すること」化学大事典9昭和37年7月31日発行 共立出版株式会社)の意味に加えて、単に「フィルターを通過させる」場合、すなわち膜を通過させることによって当該膜によってトラップされた半固相もしくは固体が視覚的に確認できない場合等も含むものとする。
また、本発明において、フィルターを通過させる感放射線性組成物は、製品と同様の濃度の感放射線性組成物でもよいし、希釈前の固形分濃度8〜15質量%程度の、いわゆる原液も含む概念とする。また、本明細書においては、特に原液と製品と同様の濃度のものとを区別していない場合は、原液を含む概念として記載されているものとする。
また、本発明において塗布装置とは、感放射線性組成物の塗布装置のみならず、塗布及び現像装置の様に、現像装置等の他の装置と一体化された塗布装置も含む包括的な概念とする。
また、本明細書において、単に「ゼータ電位」という場合は、「pH7.0の蒸留水におけるゼータ電位」を意味するものとする。本発明におけるその数値は、フィルターのメーカーの公称値である。
【0019】
本発明を実施するのに必要なパターン形成方法は、以下の工程を含む。
(A)後述する感放射線性組成物を調整する工程、
(B)下記条件(1)を満足するフィルターを通過させる工程、
(ア)基板上に、前記感放射線性組成物を塗布する工程、
(イ)露光工程、及び
(エ)ネガ型現像液を用いて現像する工程。
条件(1):フィルターの臨界表面張力が70dyne/cm以上であり、かつ荷電修飾されていない。
【0020】
さらに前記フィルターは、pH7.0の蒸留水において、−25mV超、15mV以下のゼータ電位を有することが好ましい。
【0021】
前述の工程(B)は、前記感放射線性組成物を調整した後で、且つ該組成物を容器に充填する前にろ過をする工程(B1)、および前記感放射線性組成物を調整した後で、且つ該組成物の入った容器を、基板へ塗布する装置へ装着した後にろ過をする工程(B2)の少なくとも1つの工程を含む。
【0022】
ここで、フィルターとは、例えば少なくとも感放射線性組成物を通過させる膜と、これを支持する支持部材とを備えたものである。具体的には、例えば日本ポール株式会社、アドバンテック東洋社、マイクロリス社、またはキッツ社などのフィルターメーカーから、超純水、高純度薬液、ファインケミカル等をろ過するためのものとして種種の材質、孔径のものが製造または販売されている。
本実施形態においては、前記フィルターの形態は特に限定しないが、例えばいわゆるディスクタイプ、カートリッジタイプ等が一般的に用いられる。
【0023】
前記フィルターは、臨界表面張力が70dyne/cm以上の膜を備え、かつ荷電修飾されていないものを用いることにより、ディフェクトの低減、特に微細なスカムやマイクロブリッジの抑制や、異物特性の改善、異物経時特性の改善の効果が得られる。
臨界表面張力の上限はディフェクト低減効果が劣ってくることから、95dyne/cm以下である。より好ましい範囲は、75dyne/cm以上、90dyne/cm以下、さらに好ましい範囲は75dyne/cm以上、80dyne/cm以下である。
【0024】
臨界表面張力の値はフィルターのメーカーの公称値を用いることが簡便であるが、具体的には既知の表面張力の液体を複数準備して、対象とする膜に滴下し、自重で膜にしみこむものとしみこまないものの境界を見極めることにより、容易に求めることもできる。
【0025】
荷電修飾とは、強制電位修飾という表現と同義である。
【0026】
「荷電修飾されていない」膜は、−25mV超、15mV以下の範囲のゼータ電位を有する。本発明の効果の点から、好ましくは−20mV超、10mV以下の範囲;さらに好ましくは−20mV超、10mV未満の範囲;最も好ましくは負のゼータ電位(ただし−20mV超)である。
【0027】
本発明において、負のゼータ電位としては、好ましくは−5mV以下(ただし−20mV超)、好ましくは−10〜−18mV、さらに好ましくは−12〜−16mVである。
【0028】
本実施形態においては、臨界表面張力の値を満足する点等から、荷電修飾されていないナイロン(ポリアミド)製の膜が好ましい。
なお、臨界表面張力の値を満足し、かつ荷電修飾されていないフィルターとしては、ナイロン66(登録商標)製のウルチプリーツ(登録商標:Ultipleat)P-Nylon Filter(製品名:日本ポール株式会社製、ゼータ電位は約−12〜−16mV、孔径0.04μm、臨界表面張力77dyne/cm)等を挙げることができる。
【0029】
本発明のパターン形成方法は、ホールパターンを含むパターンを形成することが好ましい。
【0030】
本発明のパターン形成方法は、さらに、(カ)ネガ型現像用リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0031】
本発明のパターン形成方法は、(イ)露光工程の後に、(オ)加熱工程を有することが好ましい。
【0032】
本発明のパターン形成方法は、(イ)露光工程を、複数回有することができる。
【0033】
本発明のパターン形成方法は、(オ)加熱工程を、複数回有することができる。
【0034】
本発明を実施するには、酸の作用により極性が増大する重合体含有し、活性光線又は放射線の照射により、ネガ型現像液に対する溶解度が減少する、感放射線性組成物及び(b)ネガ型現像液(好ましくは有機系現像液)が必要である。
【0035】
従来、レジストパターンを形成する方式としては、ポジ型とネガ型があり、何れも、光照射を契機とした化学反応によって、レジスト膜の現像液に対する溶解性が変化することを利用しているが、一般的に、光照射部が現像液に溶解する場合をポジ型方式、非照射部が現像液に溶解する場合をネガ型方式と呼ばれる。ポジ型感放射線性組成物は、現像液に対する溶解性を高めるために、極性変換等の化学反応を利用しており、ネガ型感放射線性組成物では、架橋反応や重合反応等の分子間の結合生成を利用している。
【0036】
しかしながら、本発明では、ひとつの感放射線性組成物(a)が、同時に、ポジ型現像液に対してはポジ型として作用し、また、ネガ型現像液に対してはネガ型として作用する。
また、感放射線性組成物(a)は、「露光照射を契機とした化学反応の結果、極性が増大する膜を形成する重合体組成物」である。
本発明に於いて、感放射線性組成物(a)は、ポリマー側鎖の極性変換反応により、ネガ型現像液に対する溶解性が低減するだけではなく、特に、特定の化学反応(ポリマー側鎖の極性変換反応)により、アルカリ現像液に対する溶解度の増大と、有機系現像液に対する溶解度の減少を同時にもたらすものである。
【0037】
ネガ型現像を行う際には、有機溶剤を含有する有機系現像液を使用することが好ましい。
ネガ型現像を行う際に使用し得る有機系現像液としては、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、下記一般式(1)、および下記一般式(2)で表される少なくとも1種の溶剤等を用いることができる。
【0038】
【化3】

一般式(1)に於いて、
R及びR’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R及びR’は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0039】
【化4】

一般式(2)に於いて、
R’’及びR’’’’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R’’及びR’’’’は、互いに結合して環を形成してもよい。
R’’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
【0040】
例えば、ケトン系溶剤としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。
【0041】
アルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
アミド系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
前記一般式(1)もしくは前記一般式(2)としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
【0042】
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。
【0043】
現像方式として、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などの方法があるが、これらの現像方法を用いた際、ネガ型現像液の蒸気圧が高い場合、現像液が蒸発することにより基板表面が冷却されて現像液の温度が低下し、基板上に形成された感放射線性組成物の膜の溶解速度が一定にならず、寸法均一性が悪化する。このため、ネガ型現像を行う際に使用し得る現像液の蒸気圧の好ましい範囲は、20℃において、5kPa以下であり、更に好ましくは3kPa以下であり、最も好ましい範囲は2kPa以下である。
【0044】
20℃における5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0045】
最も好ましい範囲である20℃における2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0046】
ネガ型現像を行う際に使用しうる現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0047】
また、ネガ型現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
【0048】
ネガ型現像の後には、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0049】
ネガ型現像後のリンス工程では、アルカン系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄することが好ましい。より好ましくは、ネガ型現像の後に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行うことである。更により好ましくは、ネガ型現像の後に、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行うことである。特に好ましくは、ネガ型現像の後に、炭素数6〜8の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行うことである。ここで、ネガ型現像後のリンス工程で用いられる炭素数6〜8の1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコールなどを用いることができ、好ましくは、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノールである。
【0050】
前記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
【0051】
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、更により好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
【0052】
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0053】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
【0054】
本発明における露光装置に用いられる光源波長に制限は無いが、KrFエキシマレーザー波長(248nm)、ArFエキシマレーザー波長(193nm)とF2エキシマレーザー波長(157nm)等を適用できる。
【0055】
また、本発明の露光を行う工程においては液浸露光方法を適用することができる。
液浸露光方法とは、解像力を高める技術として、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たし露光する技術である。
【0056】
本発明において膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、シリコン、SiN、SiO2やSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、さらにはその他のフォトアプリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて有機反射防止膜を膜と基板の間に形成させても良い。
【0057】
以下、本発明で使用し得る感放射線組成物の調整について説明する。
【0058】
露光により発生した酸の作用により有機溶剤に対する溶解度が減少する感放射線性組成物に含まれる重合体(A)
本発明の感放射線組成物に用いられる重合体は、重合体の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、極性が増大し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する重合体(「酸分解性重合体」、「酸分解性重合体(A)」又は「重合体(A)」とも呼ぶ)であり、好ましくはポジ型現像液に対する溶解度が増大し、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により極性が増大し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する重合体(以下、「脂環炭化水素系酸分解性重合体」ともいう)である。その理由は、活性光線又は放射線の照射の前後において、重合体の極性が大きく変化し、ポジ型現像液(好ましくは、アルカリ現像液)及びネガ型現像液(好ましくは、有機溶剤)を用いて現像した場合の溶解コントラストが向上するためである。さらには、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する重合体は一般に疎水性が高く、ネガ型現像液(好ましくは、有機溶剤)によりレジスト膜の光照射強度の弱い領域を現像する場合の現像速度が速く、ネガ型現像液使用時の現像性が向上する。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基を有する基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボン酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸で分解し得る基(酸分解性基)として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
【0059】
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により極性が増大する重合体(a1)を含有する本発明の感放射線性組成物は、ArFエキシマレーザー光を照射する場合に好適に使用することができる。
【0060】
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により極性が増大する重合体(以下、「脂環炭化水素系酸分解性重合体」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する重合体であることが好ましい。
【0061】
【化1】

【0062】
一般式(pI)〜(pV)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R17〜R21のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R22〜R25のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0063】
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。
【0064】
11〜R25におけるシクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
【0065】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性重合体は、ラクトン基を有することが好ましい。ラクトン基としては、ラクトン構造を含有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を含有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては一般式(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)で表される基であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【0066】
【化8】

【0067】
ラクトン構造を有する繰り返し単位は通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
【0068】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性重合体は、極性基を有する有機基を含有する繰り返し単位、特に、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基で置換された脂環炭化水素構造の脂環炭化水素構造としてはアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。
極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
【0069】
【化13】

【0070】
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、
2C〜R4Cは、各々独立に、水素原子又は水酸基、シアノ基を表す。ただし、R2C〜R4Cのうち少なくとも1つは水酸基、シアノ基を表す。好ましくはR2C〜R4Cのうち1つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。
一般式(VIIa)において、更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
【0071】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性重合体の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)。
好ましくは(pI)〜(pV)の構造を有する(メタ)アクリレート繰り返し単位を含有するもの。
(2) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)。
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)。
【0072】
脂環炭化水素系酸分解性重合体中、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
【0073】
脂環炭化水素系酸分解性重合体中、一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中20〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
【0074】
脂環炭化水素系酸分解性重合体中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0075】
酸分解性重合体中、ラクトン環を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは25〜50モル%である。
酸分解性重合体中、極性基を有する有機基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中1〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
【0076】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の重合体中の含有量も、所望の感放射線性組成物の性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
【0077】
本発明に係る重合体の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは6000以下であり、より好ましくは1000〜5000、特に好ましくは2000〜3500の範囲のものが使用される。重合体の重量平均分子量を6000以下にすることにより、レジストパターンのラインエッジラフネスが小さくなる。
分散度(分子量分布、Mw/Mn)は、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.3以下の範囲のものが使用される。分散度の小さいものほど、レジストパターンのラインエッジラフネスが小さくなる。
【0078】
本発明の感放射線組成物において、本発明に係わる全ての重合体の組成物全体中の配合量は、全固形分中50〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは60〜99.0質量%である。
また、本発明において、重合体は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0079】
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の感放射線性組成物は活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「光酸発生剤」又は「(B)成分」ともいう)を含有する。
【0080】
酸発生剤(B):
酸発生剤(B)は、下記式(6)で表される化合物である。
【化22】


式(6)において、R55は、水素原子、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、または炭素数2〜11の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシカルボニル基を表す。また、R56は、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、または炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルカンスルホニル基を表す。更に、R55は、相互に独立に、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基を表すか、或いは二つのR15が相互に結合して形成されるイオウカチオンを含む炭素数2〜10の2価の基を表す。但し、フェニル基、ナフチル基、および炭素数2〜10の2価の基は置換基を有してもよい。kは、0〜2の整数を表し、rは、0〜10の整数(好ましくは0〜2の整数)を表す。Xは、下記式(7−1)〜(7−4)で表されるアニオンを表す。
【0081】
【化23】


式(7−1)および(7−2)において、R58は、フッ素原子または置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表す。式(7−1)において、tは1〜10の整数を示す。式(7−3)および(7−4)において、R59は、相互に独立に、フッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を表すか、或いは2つのR59が相互に結合して形成される、フッ素原子で置換された炭素数2〜10の2価の有機基を表す。但し、フッ素原子で置換された炭素数2〜10の2価の有機基はフッ素原子以外の置換基を有してもよい。
【0082】
酸発生剤(B)は、上記式(6)で表される酸発生剤を1種単独で含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
また、上記酸発生剤以外の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」ともいう)を含むものであってもよい。
他の酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等がある。なお、酸発生剤(B)は、他の酸発生剤を1種単独で含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
【0083】
酸発生剤(B)の使用割合は、感放射線性組成物100質量%に対して、20質量%以下であり、好ましくは1〜15質量%である。
また、他の酸発生剤を使用する場合、その使用割合は、酸発生剤(B)100質量%に対して、通常、80質量%以下であり、好ましくは60質量%以下である。
【0084】
溶剤(C):
溶剤(C)としては、例えば、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状または分岐状のケトン類;シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類の他、
【0085】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0086】
これらの中でも、直鎖状または分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
【0087】
感放射線性組成物は、溶剤(C)を1種単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
溶剤(C)の使用量は、感放射線性組成物の全固形分濃度が、通常、1〜50質量%となる量であり、好ましくは1〜25質量%となる量である。
添加剤:
感放射線性組成物は、必要に応じて、酸拡散制御剤、脂環族添加剤、界面活性剤、
増感剤等の各種の添加剤を含有してもよい。
(i)酸拡散制御剤(D):
酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤(B)から生じる酸のレジスト層中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。このような酸拡散制御剤を含有することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。また、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
【0088】
(iii)界面活性剤:
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子社製)等がある。なお、これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0089】
(iv)増感剤:
増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(B)に伝達し、それにより酸の生成量を増加させる作用を示すもので、感放射線性組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
増感剤としては、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等がある。なお、これらの増感剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0090】
(v)他の添加剤:
感放射線性組成物は、前述した添加剤以外の添加剤(以下、「他の添加剤」ともいう)を含有してもよい。他の添加剤としては、アルカリ可溶性重合体、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等がある。また、染料或いは顔料を含有させることにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和することができる。更に、接着助剤を含有させることにより、基板との接着性を改善することができる。
【0091】
(vi)感放射線組成物の調整
当該感放射線組成物は、例えば上記溶剤(C)中で、上記重合体(A)、必要に応じて加えられる上記酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(D)及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が1質量%〜50質量%、好ましくは2質量%〜25質量%となるように溶剤(C)に溶解した後、上記フィルターでろ過することによって調製される。
【0092】
上記感放射線組成物は、少なくともフィルターを一回通過すればよく、複数回しても循環しても良い。また、ろ過は搬送用の瓶に入れる前、および搬送用の瓶から基板上へ塗布する間の少なくともどちらか一方であってよい。
【実施例】
【0093】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0094】
合成例1(重合体(A1)の合成)
窒素気流下、メチルイソブチルケトン100gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに、単量体1:下記式(1−1)で表される単量体39.71g、単量体2:下記式(2−2)で表される単量体23.55g、単量体3:下記(3−2)で表される単量体36.74g、及びアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して6モル%(4.60g)をメチルイソブチルケトン200gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘプタン1350ml/酢酸エチル150mlの混合液に注ぎ、析出した粉体をろ取、乾燥すると、重合体(A1)が77.9g得られた。得られた重合体の重量平均分子量は5500、分散度(Mw/Mn)は1.50であった。
【0095】
合成例2〜4(重合体(A2)〜(A4)の合成)
上記、合成例1と同様にして,下記表1に挙げている重合体(A2)〜(A4)を合成した。
【0096】
【表1】

【0097】
上記表1で使用した略号は下記のものを示す。

【0098】
感放射線性組成物(A1)
下記に示す成分をポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(60:40)の混合溶剤に溶解させ得た固形分濃度5.8質量%の溶液をポアサイズ0.1μmのナイロン66(ポリアミド66)フィルターで濾過して感放射線性組成物(A1)を調製した。
重合体(A1)1.83g、トリフェニルスルホニウムノナフレート69.6mg、ジフェニルアニリン8.7mg、PF6320(OMNOVA社製フッ素系界面活性剤)1.7mg。
【0099】
感放射線組成物(A2)〜(A4)
重合体(A1)の代わりに、重合体(A2)〜(A4)を用いた以外は同様にして、感放射線性組成物(A2)〜(A4)を調製した。
【0100】
感放射線性組成物(A1’)
ポリエチレンフィルターでろ過した以外は、先述の感放射線性組成物(A1)と同様に調整した。
【0101】
実施例1〜4、比較例1
8インチシリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、78nmの反射防止膜を形成した。その上に、先述の感放射線性組成物(A1)を塗布し、120℃で、60秒間ベークを行い、150nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハをArFエキシマレーザースキャナー(NA0.75)を用い、パターン露光を行った。その後120℃で、60秒間加熱した後酢酸ブチル(ネガ型現像液)で30秒間現像(ネガ型現像)を行った。次いで、1−ヘキサノール(ネガ型現像用リンス液)で30秒間リンスした後、3000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、45nm(1:1)のラインアンドスペースレジストパターンを得た。
実施例2〜4、および比較例1はそれぞれ感放射線性組成物(A2)〜(A5)、および組成物(A1’)を使用した以外は、実施例1と同様にして45nm(1:1)レジストパターンを得た。
【0102】
ラインエッジラフネス(LER)の評価
実施例1〜4、比較例1で得られた45nm(1:1)のラインアンドスペースレジストパターンを走査型顕微鏡(日立社製S9260)で観察し、45nmラインパターンの長手方向のエッジ2μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σ(単位nm)を算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。結果を表2に示した。
【0103】
欠陥の評価
実施例1〜4、比較例1で得られた基板をKLA−Tencor社、KLA2810を用いてスカムやブリッジを評価した。スカムやブリッジがあった場合を×、無かった場合を○と評価した。結果を表2に示した。
【0104】
実施例で使用した略号は前記具体例および下記のものを示す。
【0105】
【化61】

【0106】
DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
TPA:トリペンチルアミン
PEA:N−フェニルジエタノールアミン
TOA:トリオクチルアミン
PBI:2−フェニルベンゾイミダゾール
【0107】
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5:PF656(OMNOVA社製、フッ素系)
W−6:PF6320(OMNOVA社製、フッ素系)
【0108】
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
A2:シクロヘキサノン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
B2:乳酸エチル
B3:γ−ブチロラクトン
【0109】
【表2】

【0110】
上記実施例から、本発明の感放射線性組成物とネガ型現像液の組み合わせにより、微細なスカムやマイクロブリッジの発生を抑制できたことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光により発生した酸の作用により有機溶剤に対する溶解度が減少する感放射線性組成物を、下記条件(1)を満足するフィルターを通過させた組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光し、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
条件(1):フィルターの臨界表面張力が70dyne/cm以上であり、かつ荷電修飾されていない。
【請求項2】
前記フィルターが、pH7.0の蒸留水において、−25mV超、15mV以下のゼータ電位を有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記パターン形成方法により、ホールパターンを含むパターンを形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記感放射線性組成物性が、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記重合体が、さらにラクトン構造を有することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記ろ過が、前記感放射線性組成物を調整した後で、且つ該組成物を容器に充填する前に行われることを特徴とする請求項1〜5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記ろ過が、前記感放射線性組成物を調整した後で、且つ該組成物の入った容器を、基板へ塗布する装置へ装着した後に行われることを特徴とする請求項1〜6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記ラクトン構造が下記一般式(LC1−1〜LC1−16)の基から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4〜7に記載のパターン形成方法。
【化1】

(nは、0〜4の整数を表す。Rb2は置換基を表し、n2が2以上の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。)
【請求項9】
前記ラクトン構造が、一般式(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、又は(LC1−14)で表される基であることを特徴とする請求項4〜8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記ラクトン構造が、Rb2がシアノ基であり、nが1である前記一般式(LC1−4)で表される基であることを特徴とする請求項7〜9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記重合体が、下記一般式(pI)又は(pII)で表される基の少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化2】

(一般式(pI)又は(pII)中、 R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R14は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。但し、R12〜R14のうち少なくとも1つはシクロアルキル基を表す。)
【請求項12】
さらに、アルカリ現像液を用いて現像することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項13】
現像前であって、且つ露光を複数回行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項14】
露光後であって、且つ現像前のレジスト膜を加熱することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項15】
露光後であって、且つ現像前の加熱を、複数回行う請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記現像液が、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、下記一般式(1)および下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する請求項1〜15のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化3】

(一般式(1)に於いて、R及びR’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R及びR’は、互いに結合して環を形成してもよい。)
【化4】

(一般式(2)に於いて、R’’及びR’’’’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R’’及びR’’’’は、互いに結合して環を形成してもよい。R’’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。)
【請求項17】
前記現像液が、酢酸アルキルを含有する請求項1〜16のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記現像液が、酢酸ブチルを含有する請求項1〜16のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記現像液中の、全溶剤の総質量に占めるハロゲン原子を含まない有機溶剤の含有量が60質量%以上である請求項1〜18のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項20】
前記現像液を用いた現像の後に、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する請求項1〜19のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項21】
前記リンス液が、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する請求項20に記載のパターン形成方法。
【請求項22】
前記リンス液が、アルコール系溶剤を含有する請求項20または請求項21に記載のパターン形成方法。
【請求項23】
前記リンス液が、炭素数6〜8の直鎖状、分岐状又は環状の1価のアルコール系溶剤を含有する請求項20〜22のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項24】
前記リンス液の含水率が30質量%以下である請求項20〜23のいずれかに記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2013−45086(P2013−45086A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185198(P2011−185198)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】