説明

パネルフェンス

【課題】運搬、施行が容易で、パネル間の隙間を無くして支軸を望見できないようにし、また、パネル枠を三面としてデザイン性の高い良好な外観を有するパネルフェンスを提供することを目的とする。
【解決手段】断面がコ字形状を呈する側板の開口面を下方に向けて天板とし、二本の側板の開口面を上下に向けて桟とし、側板の開口面を上方に向けて底板としてパネルをスライドさせる溝を形成する。次に、側板の両端部の外側に一対の支柱パイプを取り付けると共に長手方向の一辺にパネルのストッパ片を複数取り付け、枠本体の裏面に支軸連結フック
を設け、スライド溝にパネルを出し入れ自在に装着するのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の路端や、建設現場、建物周辺等に設置する、パネルフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
パネルフェンスは支柱とパネルが通常、上部、中間部及び下部の三箇所において連結用の金具やボルト、ナットにより連結されており多種の金具等を必要とするためコストが嵩むと共に連結作業に多大な時間を要した。
【0003】
そこで支柱にパネルをセットしてキャップを取り付けて組立て、多種、多数の金具を不要とし、連結作業時間の短縮を図ったパネルフェンスがある。
【特許文献1】特開平10−184107
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パネルフェンスは工事現場等を道路や生活空間から遮蔽し、第三者の災害防止、防塵、防音等を目的として立設されるため、外観は軽視され、デザイン性の高いパネルフェンスはなかった。
【0005】
又、従来のパネルフェンスは縦約800mm、横幅1800mmのパネルを二枚、縦方向から枠へと立て込んでいたため一枚のパネルの嵩が大きく重いので運搬や取扱が不便であった。又、下のパネルを取り替えるときは上のパネルも取り外さねばならず使い勝手が悪かった。
【0006】
図8が従来のパネルフェンスの使用状態を示す説明図である。
【0007】
スチ−ルをネット状に張設したネットパネル46を上段に、パネル48の中央に鉄筋49を溶接して補強した板状パネル47を下段に取り付けた状態を示している。横幅1800mmの板状パネル47は、風であおられやすく、ぱたぱたと大きな音を立てるため鉄筋による補強が施されている。ネットパネル46の両側には支柱50、51に係架するためのフック52から55を形成し、板状パネル47の両側にも支柱への取り付け用フック56から59を形成する。支柱50、51に取り付けたパネル係着手段62、63、66、67にまず、下段パネルとなる板状パネル47を係架し、次に支柱50、51のパネル係着手段60、61、64、65に上段のネットパネルのフック52から55を係架してパネルを設置するのである。
【0008】
パネルの側縁に形成したフックを支柱に係架させて設置するためパネルフェンス間に隙間が生じるだけでなく、支柱も露出した状態となり、見栄えが悪かった。又、パネルと同数の支柱が必要となり、コスト高となるうえ、施行に手間や時間がかかった。
【0009】
そこで、本発明では、運搬、施行が容易で、パネル間の隙間を無くして支軸を望見できないようにし、また、パネル枠を三面としてデザイン性の高い良好な外観を有するパネルフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
断面がコ字形状を呈する側板の開口面を下方に向けて天板を形成し、二本の側板の開口面を上下に向けて桟を形成し、側板の開口面を上方に向けて底板を形成し、水平方向にパ
ネルをスライドさせる溝を複数形成する。次に、側板の両端部の外側に一対の支柱パイプを取り付けると共に長手方向の一辺にパネルのストッパ片を複数取り付け、枠本体の裏面に支軸連結フックを設けるのである。このように形成した枠本体のスライド溝にパネルを出し入れ自在に装着するのである。
【発明の効果】
【0011】
1、三面からなる一体型枠を予め成形し、各面にデザインパネルを横方向からスライドさせて挿入するため、一枚のパネルが約600mmx1000mmとなり、軽量且つ嵩が低く、運搬、施工が容易である。従来のパネルは横幅が1800mmあり、横風にあおられやすく、そのため中央に補強用の鉄筋を備える必要があったが本願発明のパネルは横幅が短い上、桟に嵌め込むため補強がなくてもがたつかない。
【0012】
また、三面のパネルを組み合わせることで、市松模様や安全十字のマ−ク等デザインのバリエ−ションが広がり、単なる遮断壁としてでなく広告宣伝効果が拡大する。
【0013】
三枚のパネルにそれぞれの出入口があるため、どのパネルの入れ替えも他のパネルを取り外すことなく簡単に行える。
2、支軸連結フックがパネル枠の裏面にあるため、パネル枠間の隙間が全く生じず、又、支軸がパネル本体の裏面に隠れて正面からは全く望見しない。また、パネルと同数必要であった支軸の数を半分程度まで減らすことができコストダウンを図ると共に施工が楽である。
3、天板、桟及び底板に同一の側板を使用するため部材の種類が少なく、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の最良の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 図1がパネルフェンス1の正面図、図2が同、左側面図、3が同、右側面図である。
【0015】
パネルフェンス1は上下方向に長いスチ−ル製の枠体であって、左右二本ずつの角パイプからなる左右の支柱2−2、3−3と支柱2−3間に架橋する天板4、上下の桟5、6及び底板7と支柱3−3側の外側に複数個取り付けたストッパ片8と支柱2、3の上下に取り付けたフック9、10から構成される。
【0016】
支柱2、3に使用されるのは10mmx22mm、長さ1740mmのスチ−ル製の角パイプである。
【0017】
また、天板、底板及び桟に使用するのは図4に示す、断面コ字状の側板11である。側板11は溝幅10mm、高さ18mm、厚さ3mm、長さ1055mmのスチ−ル製である。
【0018】
また、ストッパ片には30mmx40mmのプラスチックあるいはスチ−ル製の板片を使用する。
【0019】
まず、二本の側板11を開口面を上下に向けて三点で点溶接し、上桟5、下桟6を形成する。天板4は側板11の開口面を下に向け、底板7は開口面を上に向けて配置する。天板4、上桟5、下桟6及び底板7を所要間隔を隔てて配置した後、それぞれの側板11の両端部の外側に左右の支柱2−2、3−3をそれぞれ溶接により固着し、枠本体を形成する。
【0020】
枠本体1の右側面にはストッパ片8を所要間隔を隔てて6箇所取り付ける。
パネルフェンスは隙間なく連結するためストッパ片8は右側面だけで足り、パネルがパネルフェンスから抜け出ることはない。
【0021】
また、フック9、10は予めパネルフェンス背面側の支柱2−3の上下に取り付けておく。パネルフェンス設置時に、パネルフェンスの背面に立設したパネルフェンス支持支柱とフック9、10をクランプで連結するのである。
【0022】
このように形成したパネルフェンス1を立設し、天板4、上桟5、下桟6及び底板7によって形成されたスライド溝にパネル(図示せず)を左方向からスライド挿入するのである。
【0023】
パネルは合成樹脂材製または厚紙製であって、軽量、且つ、着色やデザインが自在である。
【0024】
図6は実際にパネルフェンスを立設した状態を正面から見た説明図である。
【0025】
前述の様に形成した枠本体12、13及び14にパネル15から20をそれぞれスライド挿入する。このようにして形成したパネルフェンスを、枠本体の裏面に取り付けたフックにクランプを係止して、パネルフェンスの背後に予め組立てておいた縦支柱21、22に架橋した横支柱23にクランプ24、25で固定して立設するのである。枠本体12、13、14は格子状のパネル26、27が挿入されているタイプである。
【0026】
このように三面のパネルから構成される一体型パネルフェンスの一部にパネルの変わりに格子状のパネルを挿入して圧迫感を与えないパネルフェンスを形成することができ、又、全体として市松模様や安全十字のマ−クを呈するフェンスを形成することも可能となり、デザインのバリエ−ションが豊富である。
【0027】
図7は他のパネルフェンスの立設状態を背面側から見た説明図である。
【0028】
従来は、パネル枠を一枚ずつ支持支柱に係止し、パネル枠の側面に設けたフックと縦支軸をクランプで連結して次のパネル枠と連結して施工していた。そのため、支持支柱の立設とパネル枠の係架を同時に行わなければならず、施工に手間取っていた。しかし、本願においては、まず、パネル枠の背面側に支持支柱だけを予め立設することが可能である。斜め軸35、36及び37で支えた縦支軸30、31及び32に横方向の支柱33、34をそれぞれクランプ38から43で連結して支持支柱を先に組立てるのである。
【0029】
次に、前述のように形成した枠本体にパネルをそれぞれ挿入したパネルフェンス28、29を所望枚数横方向に連続させて、パネルフェンスの縦枠の背面に設けたフックにクランプ44、45を係止して横方向の支柱33、34に連結するのである。予め支持支柱を立設し、それにパネルフェンスを係架していくだけでパネルフェンスの立設が完了するため施工時間が大幅に短縮し、さらに、従来、パネルフェンス同士を連結していた縦支軸がパネルフェンスの裏面に完全に隠れるため、正面からは全く望見せず、また縦支軸の数も従来の半分程度まで減らすことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、道路の路端、建設現場、建物周辺等に設置するパネルフェンスに利用することができ、一体型枠の三面それぞれにパネルをスライド挿入することができるため、単に、防音、防塵等の役目だけでなく、広告塔として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】パネルフェンス1の正面図。
【図2】同、左側面図。
【図3】同、右側面図。
【図4】側板の正面図。
【図5】フックの正面図。
【図6】パネルフェンスの立設状態を示す説明図。
【図7】パネルフェンスの立設状態を背面側から示す説明図。
【図8】従来のパネルフェンスの立設状態を背面側から示す説明図。
【符号の説明】
【0032】
1、パネルフェンス 2、左支柱 3、右支柱 4、天板 5、上桟 6、下桟 7、底板 8、ストッパ 9、10、フック 11、側板15、16、17、18、19、20、パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面コ字型形状の側板の開口面を下方に向けて天板とし、二本の側板の開口面を上下に向けて桟とし、側板の開口面を上方に向けて底板として水平方向にスライド溝を形成し、側板の両端部外側に一対の支柱を取り付けると共に、溝の一端側に複数のストッパ片を取り付け、パネル背面側の支柱に支軸連結フックを取り付け、
スライド溝にパネルを出し入れ自在に装着したパネルフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−100367(P2007−100367A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290855(P2005−290855)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(596103318)株式会社山正 (2)
【Fターム(参考)】