説明

パラレルリンク型作業装置

【課題】周囲の物体との干渉の危険性を低減したパラレルリンク型作業装置。
【解決手段】各動力伝達部は、リンクLK、ジョイントJ3、ロッド10、ジョイントJ4で構成され、ジョイントJ3はリンクLKとロッド10の一端を接続し、ジョイントJ4は、可動部MVとロッド10の他端を接続する。ロッド10は一方側に凸の湾曲部または屈曲部を持ち、その姿勢は、軸線G、H回りの相対回転のみ許容する自由度2の各ジョイントJ3で、凸側が各リンクLKの位置に拘らず、ベース中心側を向いたままに維持される。ロッド姿勢維持手段として、一端がロッド10の湾曲または屈曲個所に接続され、他端がベース上に接続された弾性を有する紐状の部材を利用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパラレルリンク型作業装置に関し、特に、ベースの中心の周りに配置される各アクチュエータの動力を可動部に伝える動力伝達部の占有空間(動作範囲)をコンパクトに維持することが求められるケースにおいて好適に使用できるパラレルリンク型作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用作業装置の一類型として、複数のアクチュエータの出力を、各アクチュエータに対応して設けられた複数の動力伝達部を介して可動部に伝え、同可動部の位置や姿勢の制御を行うものが知られており、パラレルリンク型作業装置と呼ばれている。パラレルリンク型作業装置の各動力伝達部は、一般に、リンク、第1のジョイント(リンク側)、ロッド、第2のジョイント(可動部側)で構成される。リンクはアクチュエータの出力部に結合され、同リンクに第1のジョイントを介してロッドが接続され、更に、第2のジョイント(可動部側)を介して同ロッドが可動部に接続される。なお、本明細書では、説明の便宜上、適宜、リンク側のジョイントを「第1のジョイント」と呼び、可動部側のジョイントを「第2のジョイント」と呼ぶことにする。
【0003】
パラレルリンク型作業装置で使用されるアクチュエータは、回転運動の駆動力を出力する回転型のアクチュエータや、直線運動の駆動力を出力する直動型のアクチュエータが用いられる。云うまでもなく、これら回転型あるいは直動型のアクチュエータ自体は周知である。
【0004】
回転型アクチュエータを使用した従来のパラレルリンク型作業装置の代表的な例は、下記特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1(特に図1)を参照すると、少なくとも3つの回転型アクチュエータがベースの中心を取り囲むように配置され、各アクチュエータの運動部分に取り付けられた制御腕によって可動部が位置決めされる構造が示され、その操作が段落0007以下の実施例の中で説明されている。
【0005】
特許文献2では、図2等を参照して、6台のアクチュエータを有する6自由度のパラレルリンク型作業装置の構造が示され、6本のリンクとそれを駆動する6つの回転型アクチュエータにより、可動部の位置と姿勢が制御されることが説明されている。これらの例においても、回転型アクチュエータの動力は、各回転型アクチュエータ毎に各出力シャフト(回転シャフト)と一体的に回転するリンク部材が設けられる一方、各リンク部材と可動部の間はロッド部材で繋がれている。そのために、各ロッド部材の一端(リンク部材側)はジョイント(第1のジョイント)を介してリンク部材に接続され、他端は別のジョイント(第2のジョイント)を介して可動部に接続されている。
【0006】
直動型のアクチュエータを使用した従来のパラレルリンク型作業装置の代表例としては下記特許文献3に開示されたパラレルリンク型作業装置がある。実施形態で説明されているように、この例では、動力源はベース22上の回転型モータ25であるが、ボールネジ24を利用した運動変換機構で直線運動とその駆動力が生成され、各アーム14(計6組)が直線的に駆動され、リングプレート12の位置と姿勢が制御されるようになっている(6自由度のパラレルリンク型作業装置)。
【0007】
これらいずれの例においても、可動部の可動範囲は動力伝達部の揺動、往復動に伴う空間的な変位量の大きさに関係しており、例えばワークの搬送に用いるロボット(作業装置の一種)のように、広い可動範囲が必要な場合には、前記変位量を大きくする必要がある。そして、前記空間的変位量を大きくするためには、リンク、ロッドの全長を長くする必要が生じ、結果として動力伝達部が占める空間は大きくなり、ロボットの動作に伴って動力伝達部が通過し得る範囲も当然拡大し易い。
【0008】
一方、これとは逆に可動範囲は限定的で構わないが、動力伝達部の動作範囲(パラレルリンク型作業装置が作動した時に動力伝達部が通過する可能性のある範囲;以下、同じ)を小さくしたいという要求もある。例えば、小型のワークの組立て作業のアプリケーションである。パラレルリンク型作業装置を同作業を行う作業装置として用いる場合、同作業装置のために用意されるスペースは非常に小さいことが通例であり、例えばデスクトップ型の配置(小面積のデスク上への据え付け配置)などが採用される。この場合は、周囲の配置物との干渉防止の観点から、動力伝達部の動作範囲はできるだけ小さくすることが望まれることになる。
【0009】
この事項に応える一法として、各アクチュエータをベースの中心に近づけて配置する方法があり、上記した従来例の構造においてもその意図は窺える。しかし、この方法で動力伝達部の動作範囲の縮小を図ると、可動部の剛性を確保する上で問題が生じる。このことについて、やや詳しく説明しておく。
【0010】
この問題について説明するために、図1〜図3を適宜参照する。先ず図1は、従来の回転型アクチュエータを使用したパラレルリンク型作業装置の動力伝達部と可動部を簡易描示したものである。なお、説明の便宜上、可動部と一つの動力伝達部のみを図示している。また、直動型アクチュエータを使用したパラレルリンク型作業装置においても同様に考えることが出来るので、以降は回転型アクチュエータを使用した場合について説明する。
【0011】
図1において、可動部は符号MVで示されており、その中心MPを通り、可動部MVを代表する面(以下、「可動部面」と云う)に垂直な直線MZ(以下、「可動部中心線」と云う)が、ベース中心を通り同基準面と垂直な直線(以下、「ベース中心線」と云う)とが一致した状態を示している。この状態では、可動部面とベース面の距離に関わらず、可動部MVに接続される全ての動力伝達部(ここでは1つのみ図示)が、可動部MVに対して同じ角度をなしている。
【0012】
各動力伝達部は、リンクLK、第1のジョイントJ1、ロッドRD、第2のジョイントJ2で構成され、第1のジョイントJ1はリンクLKとロッドRDの一端を接続し、第2のジョイントJ2は、可動部MVとロッドRDの他端を接続する。符号LRは、リンクLKが回転した時にその先端(ジョイントJ1に対応)が描く円弧を含む円(中心O)を表わし、その円が乗る面LPがリンク回転平面である。
【0013】
符号RXは、リンクLKの回転軸(アクチュエータの回転出力軸に対応)を表している。図示された状態において、ベース中心線はMZ(可動部MVの中心線)と一致し、MYはMZに対するY方向の垂線、MXはMZに対するX方向の垂線である。
【0014】
なお、図1は回転型アクチュエータを用いた場合の図であるから、リンクは一体的にアクチュエータの回転軸に固定されており、固定点は円LRの中心Oと一致する。一方、直動型アクチュエータを用いる場合は、リンクは直動型アクチュエータの直動部材に固定されることになる。
【0015】
ジョイントJ1、J2は自由度が2または3のジョイントである。なお、本明細書において、「ジョイント」とは、2つの要素(対偶の構成要素)の間を、それら要素間での相対回転運動の自由度を残して機械的に結合する手段のことであり、「ジョイントの自由度」とは、それら相互に結合される両要素(対偶の構成要素)の間で許容される相対運動の自由度のことである。一般に、ジョイントの自由度は1、2、3のいずれかである。
また、ここでは図示していないが、他の動力伝達部の構成も同様で、符号P1、P2は、それらの動力伝達部の各「第2のジョイント」による各ロッドと可動部MVとの接続箇所を例示している。従って、三角形J2P1P2が乗る面を「可動部面」と考えることができる。
【0016】
さて、これより後の説明は、可動部MVが上記の状態にあることを前提として進める。その理由は以下のとおりである。
一般に、パラレルリンク型作業装置の可動部MVは、複数の動力伝達部で空間的に支持されており、可動部MVに作用する力の反力は、動力伝達部に対する負荷となる。従って、可動部MVに作用する外力に対して、動力伝達部の負荷能力(負荷による変形を抑える能力)が大きければ、可動部は剛に支持され、負荷能力が小さければ可動部は柔に支持される。
【0017】
ここで注意すべきことは、動力伝達部の負荷能力は、可動部面に対する動力伝達部の傾き角度、即ちロッドの両端を結んだ線が可動部面となす角度により変化するということである。
【0018】
即ち、傾き角度が水平に近いほど(ロッドRDが寝た状態となる程)、外力の水平成分に対する負荷能力が高くなり、垂直成分に対する負荷能力は低くなる。逆に、前記傾き角度が垂直に近いほど(ロッドRDが起立した状態となる程)、外力の垂直成分に対する負荷能力が高くなり、水平成分に対する負荷能力は低くなる。
【0019】
云うまでもなく、可動部MVの位置や姿勢によって各動力伝達部の傾き角度は変化する。もし、各動力伝達部の傾き角度がそれぞれ異なっていれば、ある動力伝達部の負荷能力が低下しても残りの動力伝達部で負荷することが可能となるが、前記のように全ての動力伝達部で傾き角度が同一となる場合においては、全ての動力伝達部の負荷能力が同様に変化するので全体の負荷能力が変化することになる。
【0020】
前述のように各動力伝達部の傾き角度が直角に近づく、即ち各動力伝達部が平行に近づくほど、可動部MVに水平に作用する外力に対して負荷能力が低下するので、水平方向の移動に高加速度を要求される事の多いパラレルリンク型作業装置ではそうなることを避けなければならない。このように、動力伝達部の空間的な姿勢を検討するに当たっては、各動力伝達部の角度が同一になる状態において検討を行い、可動部MVの位置により傾き角度が直角になることがないか検討することが大事であると言える。
【0021】
さて、動力伝達部の揺動に伴う空間的な変位量を小さくするためにアクチュエータを中央よりに配置する方法についての説明に戻る。
図2は、図1をリンク回転平面LPと垂直な方向から見た図である。但し、図2では、アクチュエータをベース中心から異なる距離で配置した場合の動力伝達部と、可動部が異なる2つの位置にある場合が図示されている。
【0022】
符号MV1、MV2は同じ可動部の異なる位置を表わし、可動部が位置MV1をとる時の各リンクはLK11とLK21で示され、可動部が位置MV2をとる時の各リンクはLK12とLK22で示されている。同様に、可動部が位置MV1をとる時の2つのロッドはRD11とRD21で示されて、可動部が位置MV2をとる時の2つのロッドはRD12とRD22で示されている。また、符号LR1(中心O1)、LR2(中心O2)は、各リンクが回転した時にその先端が描く円弧を含む円である。この図から、可動部位置による動力伝達部の角度の違いと、アクチュエータの配置位置による動力伝達部の角度の違いが理解される。
【0023】
即ち、図2から明らかなように、可動部の位置を同一とした条件下で比較すると、アクチュエータをベース中心に近づけて配した場合が、より遠くに配置した場合に対して、動力伝達部が可動部に対してなす角度がより垂直に近くなる。そのため、動力伝達部が占める空間をスリムにすることが出来る。
【0024】
図3を使用して問題点を説明する。図3は、アクチュエータをベース中央に近づけて配置した状態を、図2と同様の方向から見た図である。図3から、可動部MVを図の位置に位置決めするには、選択可能なリンク角度が2通りあることが分かる。今、ロッドがよりベース中心から遠い方(ロッド位置RD1)に来るリンク角度を「リンク角度1」と呼び、ロッドがよりベース中心に近い方(ロッド位置RD2)に来るリンク角度を「リンク角度2」と呼ぶことにする。リンク位置で云えば、リンク角度1にLK1が対応し、リンク角度2にLK2が対応する。また、リンク先端(第1のジョイントの位置)は、リンク角度1ではB1、リンク角度2ではB2となる。角度θ1、θ2は、ロッド位置RD1、R2に対応する傾斜角(ロッド乃至動力伝達部の傾斜角)である。符号Aは、ジョイントJ2の位置で、ここではリンク角度1、2に共通である。
図3において、AB1=AB2=(ロッド長)である。そして、点Aからリンク回転中心を通る直線Fを引き、直線Fがリンク回転円と交わる点をCとした時、AC=(ロッド長)となる可動部MVの位置のときに(リンク角度1の時の動力伝達部の傾き角θ1)=(リンク角度2の時の動力伝達部の傾き角θ2)であり、それ以外の位置ではθ2>θ1となる。
【0025】
ここで、リンク角度1、2の状態を比べてみると、動力伝達部の占める空間を小さくするという観点からは、ロッドがよりベース中心に近づくリンク角度2の方が有利であるが、可動部MVの位置によってはθ2は直角に近づき、可動部MVに水平に作用する外力に対する動力伝達部の負荷能力が小さくなる。従って、実際には、リンク角度1しか採用することが困難な場合が大半である。
【0026】
つまり、干渉可能性の観点からは、ロッドを含む動力伝達部が水平方向へ張り出すリンク角度1よりも、それが起らないリンク角度2の方が望ましい。しかし、剛性の観点から止むを得ず、リンク角度1での動作を選択することになり、干渉の危険性が高まることになる。例えば、リンク角度1では周囲の配置物との干渉が起こり兼ねず、リンク角度2では干渉が起こらない場合であっても、剛性を考慮するとリンク角度2は採用困難となる。
【0027】
言い換えれば、アクチュエータは、可動部MVが移動した際にリンク角度1が略直角にならない範囲までしかベース中心側に寄せることが出来ず、周囲の配置物は、前記アクチュエータ位置で決まる動力伝達部の揺動、往復動範囲の外側にしか設置することが出来ないということである。このように、従来構造のパラレルリンク型作業装置では、可動範囲が限定的にしか求められない用途において、アクチュエータをベース中央よりに配置する手段を適用したとしても、周囲の配置物を組立てに用いる作業装置に大幅に接近させることは難しかった。
【0028】
【特許文献1】特開表63−501860号公報
【特許文献2】特開平6−270077号公報
【特許文献3】特開平8−150526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
そこで、本発明の目的は、従来技術に係るパラレルリンク型作業装置の上記問題点を解決することにある。即ち、本発明は、上記のように、可動部支持の剛性の問題を引き起こす「アクチュエータをベース中心に寄せて配置する」方式に代わる方式で有効な干渉防止を図ることができるパラレルリンク型作業装置を提供することを企図している。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、従来のパラレルリンク型作業装置の動力伝達部に用いられていた直線状のロッドに代えて、湾曲または屈曲した個所を有するロッドを、湾曲または屈曲の向きが常にベース中心側を向くように維持する手段と合わせて使用することにより、周囲の配置物との干渉を回避することで、上記課題を解決したものである。
【0031】
より具体的に云えば、本発明は、ベースと、前記ベースの中心の周りに配置されるとともに前記ベースに対して固定された複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータにより、位置及び姿勢の内少なくとも一方が制御される可動部と、前記複数のアクチュエータの夫々に対応して設けられ、各アクチュエータの動力を、前記可動部に夫々伝達する複数の動力伝達部を有するパラレルリンク型作業装置に適用される。
【0032】
そして、本発明の基本的な特徴に従えば、前記複数の動力伝達部の夫々は、各動力伝達部に対応するアクチュエータの出力部と一体的に運動するリンクと、湾曲または屈曲した個所を有するロッドと、前記ロッドの一端と前記リンクとを接続する第1のジョイントと、前記ロッドの他端と前記可動部とを接続する第2のジョイントと、前記ロッドの湾曲または屈曲の方向が、前記ベースの前記中心側に凸となるように前記ロッドの姿勢を維持する姿勢維持手段を備えている(請求項1)。
【0033】
ここで、前記第1のジョイントを2自由度のジョイントとし、該2自由度のジョイントを前記姿勢維持手段とすることができる(請求項2)。また、前記2自由度を有するジョイントとしては、ジンバル型のジョイントを用いることができる(請求項3)。あるいは、前記姿勢維持手段として、一端が前記ロッドの湾曲または屈曲個所に接続され、他端が前記ベース上に接続された弾性を有する紐状の張力部材を採用することもできる(請求項4)。
【0034】
複数のアクチュエータは、回転型のアクチュエータ、直動型のアクチュエータのいずれであっても良い(請求項5、6)。更に、複数のアクチュエータは、電動式、油圧式、空気圧式のいずれであっても良い(請求項7〜請求項9)。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、パラレルリンク型作業装置の各動力伝達部のリンクの位置(アクチュエータが直動型の場合、以下、同様)や角度(アクチュエータが回転型の場合、以下、同様)に依らず、各動力伝達部のロッドの湾曲または屈曲した部分がベースの中心側を向くように該ロッドを支持することが出来るので、干渉を回避しつつ周囲の配置物を大幅に接近して配置することが出来るようになる。特に、請求項2に係る発明においては、リンクに2自由度を有するジョイントを介して接続することにより、湾曲または屈曲した個所を有するロッドを、リンクの位置や回転角度に依らず、前記ロッドの湾曲または屈曲した部分が常にベースの中心側を向く事を可能とし、動力伝達部の動作範囲のコンパクト化を達成している(図4、図5を参照して後述)。なお、2自由度を有するジョイントとして、ジンバル型のジョイントを用いることができる(請求項3)。
【0036】
また、請求項4に係る発明では、一端が前記ロッドの湾曲または屈曲個所に接続され、他端がベース上に接続された弾性を有する紐状の張力部材の張力により、前記ロッドの湾曲または屈曲した部分が常にベースの中心側を向く事を可能として、動力伝達部の動作範囲のコンパクト化を達成している(図8を参照して後述)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
既述の通り、本発明では、パラレルリンク型作業装置の動力伝達部のロッドとして、湾曲または屈曲した個所を有するロッドを採用し、その湾曲または屈曲の向きが常にベース中心側を向くように維持する手段と合わせて使用する。そこで、先ず、この本発明の基本的特徴について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、図1と同様の形式で、本発明に従ったパラレルリンク型作業装置の基本構造(動力伝達部と可動部)を簡易描示したもので、説明の便宜上、可動部と一つの動力伝達部のみが図示されている。また、図5は、図4で説明した基本構造により、周囲物体との干渉が防止できる様子を説明する図である。
【0038】
なお、アクチュエータは、回転型として説明するが、既述の通り、直動型であっても同様である。また、アクチュエータの動力源も任意であり、電動式の他、油圧式、空気圧式等いずれのアクチュエータも採用可能である。
【0039】
図4において、可動部は符号MVで示されており、その中心MPを通り、可動部MVを代表する可動部面に垂直な可動部中心線MZが、ベース中心線と一致した状態を示している。
【0040】
各動力伝達部(ここでは1つのみ図示)は、リンクLK、第1のジョイントJ3、ロッド10、第2のジョイントJ4で構成され、第1のジョイントJ3はリンクLKとロッド10の一端を接続し、第2のジョイントJ4は、可動部MVとロッド10の他端を接続する。符号LRは、リンクLKが回転した時にその先端(ジョイントJ3に対応)が描く円弧を含む円(中心O)を表わし、その円が乗る面LPがリンク回転平面である。
【0041】
符号RXは、リンクLKの回転軸(アクチュエータの回転出力軸に対応)を表している。なお、図4は回転型アクチュエータを用いた場合の図であるから、リンクは一体的にアクチュエータの回転軸に固定されており、固定点は円LRの中心Oと一致する。一方、直動型アクチュエータを用いる場合は、リンクは直動型アクチュエータの直動部材に固定されることになる。
【0042】
図4に示した構造が、図1に示した従来構造と異なる点は、次の2点である。
(イ)ロッド10が一方側に凸の“曲部”を持つこと。ここで、“曲部”とは、湾曲部(徐々に延在方向が変化する部分)または屈曲部(延在方向が急変する部分)のことで、以下、適宜この略称を使用する。図4では、ロッド10全体で湾曲部を形成した例が示されている。
【0043】
(ロ)ロッド10の曲部について、それがベース中心側に凸となるようにロッド10の姿勢を維持する姿勢維持手段が備わっていること。図4の例では、この姿勢維持手段として、自由度2のジョイントJ3が採用されている。自由度2のジョイントとして、例えばジンバル型のジョイントが使用できる。ジンバル型のジョイントの構造と機能は周知なので詳細は省略するが、図4の例の場合、ジンバル型のジョイントJ3により、軸線G及びH周りの回転のみがロッド10に許容されている。
【0044】
ここで、軸線G、Hは互いに垂直で、軸線Gはリンク回転面LP上にあり、軸線Hはリンク回転面LPに対して垂直である。J4の自由度(許容される相対回転の自由度)は3である。ここでは図示していないが、他の動力伝達部の構成も同様で、符号Q1、Q2は、それらの動力伝達部の各「第2のジョイント」による各ロッドと可動部MVの接続箇所を例示している。従って、三角形J4Q1Q2が乗る面を「可動部面」と考えることができる。
【0045】
図4に示した例において、各アクチュエータが動作すると、各リンクLKはその先端が円LRに対応する円弧を描くように回転する。可動部MVは、各リンクLKの位置に応じて、位置と姿勢の少なくとも一方を変化させる。その際、第1のジョイントJ3は、上述した通り、G、H回りの相対回転のみ許された2自由度のジョイントであるから、各アクチュエータに対応するロッド10の凸側は各リンクLKの円LR上での角度に拘らず、内側(ベース中心側)を向いたままである。
【0046】
そして、可動部MVは、各ロッド10に課せられたこの姿勢拘束条件の下で、各ロッド10の長さ、各リンクLKの長さ、各リンクLKの円LR上での角度位置等で決まる位置と姿勢をとることになる。良く知られているように、可動部MVの位置と姿勢を規定する独立成分は6個(位置の3成分と姿勢の3成分)があり、それら成分の内、パラレルリンクで制御できる数が「パラレルリンク型作業装置の自由度」である。パラレルリンク型作業装置の自由度は、一般に、そのパラレルリンク型作業装置のパラレルリンクを構成する(独立して制御可能な)リンク(動力伝達部)の数に対応している。
【0047】
さて、上述したような曲部(湾曲部あるいは屈曲部)を持つロッド10の姿勢維持により、周囲物体との干渉の危険性が低減され、周囲配置物をより接近して配置できることは、明らかである。図5はその様子を例示したもので、図4をリンク回転平面LPと垂直な方向から見た図に、周辺物体Wを書き加えたものである。同図に示すように、ジョイントJ3、J4を結ぶ直線11が周辺物体Wを通るような状態においても、内側に凸の姿勢が保たれるロッド10は、周辺物体Wと干渉することがない。即ち、従来技術であれば、ロッドが直線11に対応する位置に来ることになり干渉が起るが、本発明では周辺物体Wとの干渉が避けられるということである。
【0048】
図6は、本発明の第1実施形態に係るパラレルリンク型作業装置の概略構成を示した図であり、回転型アクチュエータ−動力伝達部のセットを3組用いて可動部の姿勢をベースに対して水平に保ったまま3方向に移動することが出来るようにするとともに、可動部上に固定した回転軸を、ベース上に固定した1つの回転用アクチュエータで連続回転させることが出来るようにした例である。即ち、可動部の運動の自由度は計4つであり、その内の3つに対応する位置成分がパラレルリンクによって制御される。
【0049】
図6に示したように、パラレルリンク型作業装置は、互いに略同形、同寸の板状部材からなるベース1aと底部基板1bの間を4本の等長のコラム6〜9で繋いだ骨格構造を有している。コラム6〜9の立設位置は、ベース1aと底部基板1bの周縁付近にあり、それによってベース1a−底部基板1b間には、コラム6〜9を周囲に配した形の空間が確保されている。
4つのアクチュエータ2〜5の内、先ずアクチュエータ2はベース1aの中心部にマウント(取付けて固定)されている。アクチュエータ2は、ここでは回転モータで、出力軸の方向は図中下向きで、ベース1aの延在面に垂直(以下、Z方向とする)で、このアクチュエータ2(回転モータ)の出力軸がベース中心線に対応している。一方、3組のパラレルリンクLK1a〜LK1cを駆動するアクチュエータ3〜5は、ベース中心線(アクチュエータ2の中心を通り、ベース延在面に垂直な直線)を取り囲むように配置され、夫々ベース1aに固定されている。
【0050】
各アクチュエータ3〜5には、1個ずつ動力伝達部が接続されている。各動力伝達部は、図4を参照して説明した基本構造を有している。即ち、各動力伝達部は、対応するアクチュエータの出力軸(ここでは回転出力軸)に一体的に結合されたリンク、第1のジョイント、曲部を有するロッド、第2のジョイントで構成されており、第1のジョイントは2自由度のジョイントで、その構造については図7を参照して後述する。各第1のジョイントは、曲部を有するロッド11〜13の一端を、対応するリンクLK1a〜LK1cに対して、先述した態様で2つの自由度の相対回転運動を許容する条件で接続している。一方、第2のジョイントは3自由度のジョイント(例えば球面ジョイント)で、曲部を有するロッドの他端を、可動部MVに対して、3自由度の相対回転運動を許容する条件で接続している。
【0051】
アクチュエータ2(回転モータ)の出力軸には、回転運動を、可動部MV上の固定された回転機構(回転軸)17に伝える伝動部が接続されている。回転機構(回転軸)17は、例えばハンド等の作業ツールHDを回転させるために使用されるものである。なお、ここでは作業ツールHDとして吸盤状の把持具(ハンドの一種)が例示されている。
【0052】
回転機構(回転軸)17に回転運動を伝える伝動部には、軸方向(Z方向)に沿った伸縮自在性が要求されるが、そのような機構は周知である。ここでは、筒状の回転部材15とその内部に進退自在で、且つ、回転部材15と一体で回転するように支持された棒状回転部材16で構成されている。なお、回転部材15の先端に、周知の伸縮自在の棒状部材を取付けたもので、回転機構(回転軸)17に回転運動を伝えるようにしても良い。
【0053】
図6に示したパラレルリンク型作業装置の動作は、図4を参照して説明したものと同様であり、簡単に記せば次のようになる。
各アクチュエータ3〜5がロボット制御装置(図示省略)からの指令に従って動作し、各リンクLK1a〜LK1cが先端が円弧を描くように回転すると、可動部MVは、各リンクの位置に応じて、3次元位置を変化させる。その際、各第1のジョイントは、前述した態様での相対回転のみ許された2自由度のジョイントである故、各アクチュエータ3〜5に対応するロッド11〜13の凸側は各リンクの円LR上での角度位置に拘らず、内側(ベース中心側)を向いたままである。
【0054】
可動部MVは、各ロッド11〜13に課せられたこの姿勢拘束条件の下で、各ロッドの長さ、各リンクの長さ、各リンクの位置等で決まる位置と姿勢をとることになる。但し、本例では、後述するように、各リンクと可動部の間に設けられた平行リンク機構により姿勢は一定に保持され、位置のみが3次元的に可変制御される。
【0055】
アクチュエータ2は、可動部MV上に固定された回転機構(回転軸)17を駆動する際に作動する。既述の通り、アクチュエータ2の出力軸の回転は、伝動機構(例えば、筒状回転部材15と棒状回転部材16)を介して回転機構(回転軸)17に伝えられる。その結果、作業ツールHDが回転する。
【0056】
本実施形態における干渉防止作用は、図4、図5を参照して行った説明から明らかである。即ち、曲部を持つロッド11〜13は、各曲部が常時ベース中心側を向くように姿勢維持されるため、3つの動力伝達部(特に各ロッドの曲部周辺)に、従来技術では得られなかった非干渉領域(動力伝達部が通過しない3次元領域)が生まれることになり、それによって、周囲物体との干渉の危険性が低減する。
【0057】
図7は、例えば図6に示した構造で採用可能な第1のジョイントの形態について説明するための図で、各アクチュエータについて、リンクとロッドの結合が描かれている。図7において、符号21〜23は、可動部MVの位置を制御する3つの回転型アクチュエータで、図6におけるアクチュエータ3〜5に対応する。各アクチュエータ21〜23の回転軸にはリンクLK1〜LK3が取り付けられ、同回転軸と一体的に回転する。各リンクLK1〜LK3と可動部MVの間には、平行リンク機構を形成する2本の湾曲した形状を有するロッド31〜33が設けられている。各ロッド31〜33の一端は第1のジョイントJ4a〜J6bで各リンクLK1〜LK3と接続されている。
各第1のジョイントJ4a〜J6bは、自由度2のジョイントである。これにより、各ロッド31〜33の曲部は常時、3つのアクチュエータで取り囲まれた側(ベース中心側)に凸の状態を維持できる。
【0058】
一方、各ロッド31〜33の他端は夫々第2のジョイントJ7a〜J9bを介して可動部MVと接続されている。即ち、各ロッド31〜33の平行リンク構造に対応して、各ロッド31〜33の他端は3組のジョイント対、J7a/J7b、J8a/J8b、J9a/J9bで接続されている。個々のジョイントJ7a、J7b、J8a、J8b、J9a、J9bは自由度3を有するジョイントで、例えば球面ジョイントである。
【0059】
ここでまでの説明から理解されるように、ロッドの曲部をベース中心側を向いた状態に保つには、ロッド姿勢の自由度を1つ制限してやれば良いことが判る。この制限は、第1及び第2ジョイントの自由度は3のままでも可能であり、図8はその一例を示す。ここに示されたロッドの姿勢維持手段は、弾性を有する紐状の張力部材を使用したものである。
【0060】
図8では、説明の便宜上、ベース70と、1つの回転型アクチュエータ50、リンクLKとロッド40を含む1つの動力伝達部、弾性を有する紐状の張力部材60、及び可動部MVのみが図示されている。ロッド40は、湾曲部41を持つロッドで、その一端は第1のジョイントJ10(自由度3)でリンクLKに接続され、他端は、第2のジョイントJ11(自由度3)で可動部MVに接続されている。
【0061】
ここで、ジョイントJ10、J11が自由度3であるということは、そのままでは、ロッド姿勢について、図4、図6、図7等に示した場合と比べて自由度が1つ多いと云うことであり、図示された状態(湾曲部41がベース中心側に凸の状態)が不安定(拘束できない)ということを意味する。
【0062】
これを回避するのが弾性を有する紐状の張力部材60である。張力部材60の一端はロッド40の湾曲部41に固定され、他端はベース70の適所(ベース中心あるいはベース中心付近)に固定されている。ここで、張力部材60は、適当な張力で湾曲部41をベース中心側へ引き寄せるように作用する要素であり、例えば、図示された状態で中立状態よりも伸長されたゴム紐や、あるいは、コイルバネが利用できる。
【0063】
張力部材60は、リンクLKの回転に伴い伸縮するが、常時、湾曲部41をベース中心側へ引き寄せることで、湾曲部41がベース中心と反対側を向くことを阻止する。なお、張力部材60が湾曲部41に対して及ぼす張力は、ベース中心側へ引き寄せるだけを目的とするものなので強力である必要はなく、アクチュエータ50の出力トルクに対して十分低い値で構わない。
【0064】
これまでの諸例では、アクチュエータは回転型アクチュエータとしたが、直動型アクチュエータを使用した場合も、曲部を持つロッドを各アクチュエータに対応した動力伝達部に使用し、既述したと同様の態様でロッド姿勢を維持すれば、干渉の危険性を低減したパラレルリンク型作業装置を構成することができる。図9はその一例を第2実施形態として示したものである。
【0065】
図9を参照すると、6つの直動型アクチュエータ81〜86による6自由度のパラレルリンク型作業装置に本発明を適用した例が示されている。各直動型アクチュエータ81〜86はベースに対して傾けて配置、固定されている。
【0066】
なお、説明の為に直動型アクチュエータ81〜86、動力伝達部、及び可動部MVのみが表示されている。ベースは図示が省略されているが、直動型アクチュエータ81〜86で形成される6角形と平行に延在している(「ベースに対して傾けて」とは、この延在面に対して傾斜してという意味である)。
【0067】
各動力伝達部のロッド91〜96は、湾曲部(符号は93aを例示)を持つ。その一端(計6個)は、夫々自由度2の第1のジョイント(符号JLを例示)を介してスライダ(符号SLを例示)に接続されている。各スライダは、各アクチュエータ81〜86の直線運動出力軸で駆動されて直線運動を行う部材である。ロッドの他端は、自由度3の第2のジョイント(符号は、JM1、JM2を例示)を介して可動部MVに接続されている。これにより、各ロッド91〜96の湾曲部は、ベース中心側(アクチュエータ81〜86で囲まれた側)へ向いた姿勢を維持する。従って、前述したと同様の理由により周囲の物体との干渉可能性が低減される。
【0068】
なお、回転型アクチュエータを6個用いた6自由度のパラレルリンク型作業装置に本発明を適用することが可能であることは云うまでもない。図10はその一例を第3実施形態として示したものである。
【0069】
図10を参照すると、6つの回転型アクチュエータ101〜106は、ベース上に固定機構(いずれも図示せず)により配置、固定されている。なお、本図においても説明の為に回転型アクチュエータ101〜106、動力伝達部、及び可動部MVのみが表示されている。ベースは図示が省略されているが、回転型アクチュエータ101〜106で形成される3角形と平行に延在している。
【0070】
各動力伝達部のロッド(計6本で113を例示)は、湾曲部(符号は113aを例示)持つ。その一端(計6個)は、夫々2自由度の第1のジョイント(符号省略)を介して各リンクにされている。また、各ロッドの他端については、夫々自由度3の第2のジョイント(符号省略)を介して可動部MVに接続されている。
【0071】
なお、各可動部の構成と機能は、第1実施形態等と同様なので、詳細説明は繰り返さない。本実施形態においても、各ロッドの湾曲部は、ベース中心側(アクチュエータ101〜106で囲まれた側)へ向いた姿勢を維持する。従って、前述したのと同様の理由により周囲の物体との干渉可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来の回転型アクチュエータを使用したパラレルリンク型作業装置の動力伝達部と可動部を簡易描示したもので、可動部と一つの動力伝達部のみが図示されている。
【図2】図1をリンク回転平面LPと垂直な方向から見た図で、ベース中心から異なる距離で配置された2つのアクチュエータに接続された動力伝達部と、異なる2つの位置にある稼動部が示されている。
【図3】アクチュエータをベース中央に近づけて配置した状態を、図2と同様の方向から見た図である。
【図4】図1と同様の形式で、本発明に従ったパラレルリンク型作業装置の基本構造(可動部と1つの動力伝達部)を簡易描示したものである。
【図5】図4の構造により、周囲物体との干渉が防止できる様子を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパラレルリンク型作業装置の概略構成を示した図である。
【図7】図6に示した構造で採用可能な第1のジョイントの形態について説明するための図で、各アクチュエータについて、リンクとロッドの結合が描かれている。
【図8】ロッドの姿勢維持手段の別の例を示した図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るパラレルリンク型作業装置の概略構成を示した図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るパラレルリンク型作業装置の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
1a、70 ベース
1b 底部基板
2〜5、21〜23、50 アクチュエータ
6〜9 コラム
10〜14、40、91〜96、 曲部を持つロッド
15 筒状の回転部材
16 棒状回転部材
17 回転機構(回転軸)
31〜33 平行リンクを構成するロッド
41、93a 湾曲部
60 張力部材
81〜86 直動型アクチュエータ
A 位置決めされた可動部とロッドの接続点
B1、B2 リンク先端位置
G、H 自由度2のジョイントが許容する相対回転の軸線
HD 作業ツール
J1、J3、J4a〜J6b、J10、J11、JL 第1のジョイント
J2、J4、J7a〜J9b、JM 第2のジョイント
LK、LK1〜LK3、LK1a〜LK1c、LK11、LK12、LK21、LK22、LK1、LK2 リンク(またはリンクの位置)
LP リンク回転平面
LR、LR1、LR2 リンクが回転した時にその先端が描く円弧を含む円
MV、MV1、MV2 可動部(または可動部の位置)
MY、MX 可動部中心線に対する垂線
MZ 可動部中心線
O 円LRの中心
O1 円LR1の中心
O2 円LR2の中心
P1、P2、Q1、Q2 動力伝達部の第2のジョイントによるロッドと可動部との接続箇所
RD、RD11、RD12、RD21、RD22、RD1、RD2、 ロッド(またはロッドの位置)
RX リンクの回転軸
W 周辺物体
SL スライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースの中心の周りに配置されるとともに前記ベースに対して固定された複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータにより、位置及び姿勢の内少なくとも一方が制御される可動部と、前記複数のアクチュエータの夫々に対応して設けられ、各アクチュエータの動力を、前記可動部に夫々伝達する複数の動力伝達部を有するパラレルリンク型作業装置であって、
前記複数の動力伝達部の夫々は、各動力伝達部に対応するアクチュエータの出力部と一体的に運動するリンクと、
湾曲または屈曲した個所を有するロッドと、
前記ロッドの一端と前記リンクとを接続する第1のジョイントと、
前記ロッドの他端と前記可動部とを接続する第2のジョイントと、
前記ロッドの湾曲または屈曲の方向が、前記ベースの前記中心側に凸となるように前記ロッドの姿勢を維持する姿勢維持手段を備えたことを特徴とする、パラレルリンク型作業装置。
【請求項2】
前記第1のジョイントは2自由度のジョイントであり、該2自由度のジョイントが、前記姿勢維持手段であることを特徴とする、請求項1に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項3】
前記2自由度を有するジョイントは、ジンバル型のジョイントであることを特徴とする、請求項2に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項4】
前記姿勢維持手段は、一端が前記ロッドの湾曲または屈曲個所に接続され、他端が前記ベース上に接続された弾性を有する紐状の張力部材であることを特徴とする、請求項1に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項5】
前記複数のアクチュエータは、回転型のアクチュエータであることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータは、直動型のアクチュエータであることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータが電動式のアクチュエータであることを特徴とする、請求項1〜請求項6の内のいずれか1項に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項8】
前記複数のアクチュエータが油圧式のアクチュエータであることを特徴とする、請求項1〜請求項6の内のいずれか1項に記載のパラレルリンク型作業装置。
【請求項9】
前記複数のアクチュエータが空気圧式であることを特徴とする、請求項1〜請求項6の内のいずれか1項に記載のパラレルリンク型作業装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−279527(P2008−279527A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123720(P2007−123720)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】