説明

ヒスタミンH3アンタゴニストとして有用なイミダゾールおよびベンゾイミダゾール誘導体

式(I)


の化合物またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が開示され、式中:nは2〜5であり;Rは、R−アリール、R−ヘテロアリール、R−シクロアルキル、R−ヘテロシクロアルキル、アルキル、ハロアルキル、−OR、−SRまたは−S(O)1〜2であり;RおよびRは、Hまたは随意に置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、随意に置換された(aまたはb)を形成する;式(I)の化合物を含む薬学的組成物もまた開示される;式(I)の化合物、ならびにアレルギー、アレルギー誘発性気道反応、うっ血、肥満およびメタボリックシンドロームを処置するために有用な他の薬剤との組み合わせを使用して、これらの疾患を処置する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ヒスタミンHアンタゴニストとして有用な、新規な置換イミダゾール誘導体および置換ベンゾイミダゾール誘導体に関する。本発明は、この化合物を含む薬学的組成物、およびそれらの炎症性疾患、アレルギー状態、肥満、メタボリックシンドロームおよび中枢神経系障害の処置における使用にも関する。本発明は、炎症性疾患およびアレルギー状態の処置のための、本発明の新規なヒスタミンHアンタゴニストとヒスタミンH化合物との組み合わせの使用、ならびに本発明の1つ以上の新規なヒスタミンHアンタゴニスト化合物と1つ以上のヒスタミンH化合物との組み合わせを含む薬学的組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒスタミンレセプター、H、H、HおよびHは、よく識別された形態である。Hレセプターは、従来の抗ヒスタミン薬によって拮抗される反応を媒介するものである。Hレセプターは、例えば、ヒトおよび他の哺乳動物の回腸、皮膚、および気管支平滑筋に存在する。Hレセプター媒介性反応を通して、ヒスタミンは、哺乳動物における胃酸分泌および単離された哺乳動物心房における変時性効果を刺激する。Hレセプターは、主として好酸球および肥満細胞上で発現され、そして両方の細胞型の化学走性に関与していることが示されている。
【0003】
レセプター部位は、交感神経上に見られ、そこでこれらは交感神経伝達を調節し、そして交感神経系の制御下にある種々の末端器官の応答を弱める。特に、ヒスタミンによるHレセプターの活性化は、ノルエピネフリン(nonepinephrine)の抵抗管およびキャパシタンス管(resistance and capacitance vessels)への流出を弱め、血管拡張を引き起こす。
【0004】
イミダゾールHレセプターアンタゴニストは、当該分野で周知である。ごく最近、非イミダゾールHレセプターアンタゴニストが、特許文献1、および特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示された。
【0005】
特許文献6は、少なくとも1つのヒスタミンHレセプターアンタゴニストおよび少なくとも1つのヒスタミンHレセプターアンタゴニストの組み合わせを使用した、アレルギー性鼻炎の症状の処置のための組成物を開示している。
【特許文献1】米国特許第6,720,328号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0109564号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0097483号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0048843号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0019099号明細書
【特許文献6】米国特許第5,869,479号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は式1の新規の化合物:
【0007】
【化7】

またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供し、ここで、
nは2、3、4または5であり
Rは、R−アリール、R−ヘテロアリール、R−シクロアルキル、R−ヘテロシクロアルキル、アルキル、ハロアルキル、−OR、−SRまたは−S(O)1〜2であり;
はHであり、かつRはR−フェニルもしくは
【0008】
【化8−1】

であるか;またはRはR−フェニルもしくは
【0009】
【化8−2】

であり、かつRはHであるか;またはRおよびRは、独立してR−フェニルおよび
【0010】
【化9】

からなる群より選択され;かつXは−O−または−S−であるか;
あるいはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、
【0011】
【化10】

を形成し;かつXは−O−、−S−または−NR−であり;
Zは
【0012】
【化11−1】

【0013】
【化11−2】

であり;
pは1〜5であり;
Qは−N(R10)−、−S−または−O−であり;
qとrとの合計が3〜6であるという条件で、qは1〜4であり、かつrは1〜4であり;
sは1または2であり;
は、H、アルキル、ハロ、OH、アルコキシおよび−NR1112からなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
は、アルキル、アリールアルキルまたはシクロアルキルであり;
は、アルキル、−NR1112、R−アリールまたはR−アリールアルキルであり;
は、H、アルキル、−CF、ハロ、−NO、−CN、−C(O)OR13、−C(O)NR1112、−NR1415、−OR13およびハロアルキルからなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
は、H、アルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112または−C(O)R13であり;
各Rは、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−OR13、−C(O)OR13、−NR1415、−C(O)NR1112、−C(O)R16、−C(=NOR13)アリールおよび−C(=NOR13)ヘテロアリールからなる群より独立に選択されるか;または、同じ炭素上の2つのR基が、メチレンジオキシ環またはエチレンジオキシ環を形成し;
は、H、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
10は、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−(CH−C(O)OR13、−C(O)NR1112、−C(O)R16、−C(S)R16または−C(=NOR11)R16であり;
tは0、1または2であり;
11およびR12は、H、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルからなる群より独立に選択され;
13は、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキルであり;
14は、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキルであり;
15は、H、アルキル、シクロアルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112または−C(O)R13であり;
16は、H、アルキル、R−シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキルまたはR−ヘテロアリールであり;および
各R17は、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112および−C(O)R16からなる群より独立に選択される。
【0014】
本発明は、有効量の少なくとも1つの式Iの化合物および薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物もまた提供する。
【0015】
本発明は、さらに、アレルギー、アレルギー誘発性気道(例えば、上気道)反応(例えば、かゆみ、くしゃみ、鼻漏、粘膜炎症など;例えば、McLeod,JPET,305(2003)1037を参照のこと)、うっ血(例えば、鼻うっ血)、低血圧、心臓血管疾患、胃腸管の疾患、胃腸管の過剰な運動性および低運動性および過剰な胃酸分泌および低胃酸分泌、メタボリックシンドローム、肥満、睡眠障害(例えば、睡眠過剰、傾眠、および睡眠発作)、中枢神経系の障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、中枢神経系の機能低下および機能亢進(例えば、心的動揺およびうつ)、および/または他のCNS障害(アルツハイマー病、精神分裂病、および片頭痛)を処置する方法を提供し、この方法は、このような処置を必要とする患者に少なくとも1つの有効量の式Iの化合物を投与する工程を含む。獣医学上の使用も企図されるが、「患者(patient)」は、哺乳動物、典型的にはヒトを意味する。
【0016】
本発明の化合物は、アレルギー、アレルギー誘発性気道反応および/またはうっ血、肥満およびメタボリックシンドロームを処置するために特に有用である。
【0017】
本発明はさらに、有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物および少なくとも1つのHレセプターアンタゴニストの組み合わせを、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む薬学的組成物を提供する。
【0018】
本発明は、さらに、アレルギー、アレルギー誘発性気道(例えば、上気道)反応、および/またはうっ血(例えば、鼻うっ血)を処置する方法を提供し、この方法はこのような処置を必要とする患者(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に、有効量の少なくとも1つの式Iの化合物と少なくとも1つのHレセプターアンタゴニストとの組み合わせを投与する工程を含む。
【0019】
単一の包装内に、薬学的組成物中の式Iの化合物および薬学的組成物中の別々のHレセプターアンタゴニストを包含するキットもまた、企図される。
【0020】
別の態様では、本発明は、有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物と肥満またはメタボリックシンドロームを処置するために有用な少なくとも1つの他の薬剤との組み合わせを(薬学的に許容可能な担体と組み合わせて)包含する薬学的組成物を提供する;このような処置を必要とする患者に、有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物と肥満またはメタボリックシンドロームを処置するために有用な少なくとも1つの他の薬剤との組み合わせを投与する工程を含む、肥満またはメタボリックシンドロームを処置する方法もまた企図され、同様に、単一の包装内に、薬学的組成物中の式Iの化合物と、1つ以上の薬学的組成物中の肥満またはメタボリックシンドロームを処置するための1つ以上の薬剤とを包含するキットが、企図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
式Iの構造の変数の好ましい定義は、以下の通りである:
Rは、好ましくはR−フェニル、R−ピリジル、アルキルチオ、アルコキシ、アルキルまたはハロアルキルである。より好ましくは、Rはピリジル、特に2−ピリジルである。Rは、「R」置換基上および式Iに示されるフェニル環上の両方で、好ましくは水素である。
【0022】
およびRは、好ましくは、結合して、これらが結合している炭素と一緒になって、R置換フェニル環を形成する。Rは、好ましくは、ハロであり、より好ましくはフルオロである。RおよびRが結合して環を形成しない場合、RおよびRのうちの1つは、好ましくは、R−フェニルであり、そしてもう一方はHである。
【0023】
Xは、好ましくは、−O−である。
【0024】
変数「n」は、好ましくは3である。
【0025】
【化12】

より好ましくは、Zは、構造a)、即ち随意に置換されたピペリジニルまたは随意に置換されたピロリジニルである。置換される場合は、好ましくは、アルキル、ヒドロキシル、−NHC(O)アルキル、−C(O)NR1112、−C(O)アルキル、−C(O)Oアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群より選択される、1〜3個のR置換基が存在する;各R17は、好ましくは、Hである。Rがヘテロシクロアルキルである場合、好ましくはそれはピペリジニルまたはピロリジニルである。
【0026】
本明細書において使用される場合、別に示されない限り、以下の用語は以下の意味を有する:
アルキル(例えば、アリールアルキルおよびアルコキシのアルキル部分を含む)は1個から6個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状の炭素鎖を意味する;
アリール(アリールアルキルのアリール部分を含む)は、6個から15個の炭素原子を含有し、少なくとも1個の芳香族環を有する炭素環基(例えば、アリールはフェニル環またはナフチル環である)を意味し、炭素環基の全ての利用可能な置換可能炭素原子が、結合可能な点として企図される;
アリールアルキルは、上で定義したアルキル基に結合した、上で定義したアリール基を意味し、このアルキル基が上記化合物に結合する;
シクロアルキルは、3個から6個の炭素原子の飽和炭素環を意味する。
【0027】
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0028】
ハロアルキルは、アルキル上の1個以上の水素原子が、上で定義されたハロ基で置き換わった、上で定義されたアルキルを意味する。クロロアルキルおよびフルオロアルキルは、それぞれ、クロロ基またはフルオロ基のいずれかによって置換されたアルキル基をいい、例えば、フルオロアルキルは、同じかまたは異なる炭素原子に結合し得る、1個から5個のフッ素原子によって置換された直鎖状または分枝状のアルキル鎖を意味する(例えば、−CHF、−CHF、−CF、−CHCFおよび−CFCF)。
【0029】
ヘテロアリールは、O、SまたはNから選択される、1個から4個のヘテロ原子を有する環状基を意味し、前記ヘテロ原子は炭素環構造に割り込み、そして芳香族性を提供するのに十分な数の非局在化π電子を有し、芳香族ヘテロ環状基は好ましくは2個から14個の炭素原子を含有する。この環は、近接した酸素原子および/または硫黄原子を含有しない。例としては、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、フラザニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル(フリル)、ピロリル、ピラゾリル、ピラニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル(例えば、2−,3−または4−ピリジル)、ピリジルN−オキシド(例えば、2−,3−,または4−ピリジルN−オキシド)、トリアジニル、プテリジニル、インドリル(ベンゾピロリル)、ピリドピラジニル、イソキノリニル、キノリニル、ナフチリジニルが挙げられるが、これらに限られない(全ての利用可能な置換可能な炭素原子および窒素原子は、定義されるようにして置換され得る)。
【0030】
ヘテロシクロアルキルは、3個から15個の炭素原子、好ましくは4個から6個の炭素原子を含有する飽和の炭素環を意味し、この炭素環は、−O−、−S−、−SO−、−SOまたは−NR40−(式中、R40は、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、−C(O)R20、−C(O)OR20または−C(O)N(R20(式中、各R20は独立に選択される)である)から選択される1個〜3個のヘテロ原子で割り込まれる;例としては、2−または3−テトラヒドロフラニル、2−または3−テトラヒドロチエニル、2−、3−または4−ピペリジニル、2−または3−ピロリジニル、2−または3−ピペリジニル、2−または4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3,5−トリチアニル、ペンタメチレンスルフィド、ペルヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、トリメチレンオキシド、アゼチジニル、1−アザシクロヘプタニル、1,3−ジチアニル、1,3,5−トリオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4−チオキサニル、および1,3,5−ヘキサヒドロトリアジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロピラニルが挙げられるが、これらに限られない。
【0031】
【化13】

環の4つの非縮合部位の1つまたは2つに、位置する1つまたは2つの窒素原子を意味し、これはアザベンゾイミダゾールまたはジ−アザベンゾイミダゾール環を、それぞれ形成する。
【0032】
【化14】

環の5つの利用可能な部位の任意の1つまたは2つに、1つまたは2つの窒素原子が位置することを意味する。
【0033】
また、本明細書において使用される場合、「上気道」とは、通常、上部の呼吸器系、即ち鼻、喉、および付随する構造を意味する。
【0034】
また、本明細書において使用される場合、「有効量」とは、一般に治療上有効量を意味する。
【0035】
用語「置換される」とは、指定された原子上の1つ以上の水素原子が、存在する状況下で指定された原子の正常な原子価を超えず、かつ置換は安定な化合物を生じるという条件で、示される基から選択されて、置き換えられることを意味する。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ許される。「安定な化合物」または「安定な構造」によって、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および効能のある治療剤への処方に耐える十分に頑丈な化合物を意味する。
【0036】
用語「随意に置換される」とは、指定された基、ラジカルまたは部分での随意の置換を意味する。
【0037】
用語、化合物に関して「精製された(purified)」、「精製された形態の(in purified form)」または「単離されそして精製された形態の(in isolated and purified form)」とは、合成プロセスまたは天然の供給源またはこれらの組み合わせから単離された後の前記化合物の物理的状態をいう。このように、用語、化合物に関して「精製された」、「精製された形態の」または「単離されそして精製された形態の」とは、本明細書において記載されるか、もしくは当業者に周知の精製プロセスから、本明細書において記載されるか、または当業者に周知の標準的分析技術によって特徴づけられるのに十分な純度で、得られた後の前記化合物の物理的状態をいう。
【0038】
本明細書における本文、スキーム、実施例および表中の、原子価不充足の任意の炭素ならびにヘテロ原子は、原子価を充足するために十分な数の水素原子を有することが仮定されていることもまた、注意されるべきである。
【0039】
化合物中の官能基が「保護された」と呼ばれる場合、これは、化合物が反応に供されるとき、保護される部位での望ましくない副反応を除外するよう、この基が改変された形態にあることを意味する。適切な保護基が、当業者によって、ならびに例えばT.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991)、Wiley、New Yorkなどの標準的教科書を参照することによって、認識される。
【0040】
任意の変数(例えば、アリール、ヘテロサイクル、R、その他)が、任意の構成中または式I中で1回を超えて発生する場合、各発生でのその定義は、全ての他の発生におけるその定義と無関係である。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組み合わせから、直接的または間接的に、生じるあらゆる生成物を包含することが企図される。
【0042】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書において企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書において使用される場合、被験体への投与の際、代謝プロセスまたは化学プロセスによって、化学変換を受けて、式Iの化合物またはこれらの塩および/または溶媒和物を産する薬物前駆体である、化合物を意味する。プロドラッグの考察が、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche、ed.、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供される(これらの両方を、これらへの参照によって本明細書において援用する)。
【0043】
「溶媒和物」は、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子の物理的結合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む、種々の程度のイオン結合および共有結合を含む。例えば、1つ以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子中に組み込まれる場合に、特定の場合では、溶媒和物は単離可能である。[溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物および単離可能溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的例としては、エタノレート(ethanolates)、メタノレート(methanolates)、などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOの溶媒和物である。
【0044】
「有効量」または「治療上有効量」とは、上記の疾患を抑制し、そしてこのように望ましい治療効果、改善効果、抑制的効果または予防効果を生じるのに有効な、化合物または本発明の組成物の量を記載することを意味する。
【0045】
式Iの化合物は、また本発明の範囲内である、塩を形成し得る。別に指示されない限り、本明細書における式Iの化合物への言及は、これらの塩への言及も包含することが理解される。用語[塩」は、本明細書において使用される場合は、無機および/または有機の酸を用いて形成される酸性塩、ならびに無機および/または有機の塩基を用いて形成される塩基性塩を意味する。加えて、式Iの化合物が、これらに限られるわけではないがピリジンまたはイミダゾールなどの塩基性部分、および、これに限られるわけではないがカルボン酸などの酸性部分の両方を含有する場合、両性イオン(「分子内塩」)が、形成され得、本明細書において使用される用語「塩」のなかに含められる。薬学的に許容可能(即ち、無毒の、生理学的に許容可能な)塩が、好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物と、ある量(例えば当量)の酸または塩基とを、媒体(例えば、その中で塩が沈殿するもの)中でまたは続けて凍結乾燥を行う水性媒体中で、反応させることによって、形成され得る。
【0046】
例示的酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonates)、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(naphthalenesulfonates)、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩(toluenesulfonates)(トシレートとしても知られる)など。加えて、塩基性の薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するために適切と一般的に見なされる酸が、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH;S. Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1):1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33:201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New York;およびThe Orange Book(ウェブサイト上のFood & Drug Administration、Washington、D.C.)に論じられている。これらの開示を、これらへの参照によって本明細書において援用する。
【0047】
例示的塩基性塩としては、アンモニウム塩、例えばナトリウム、リチウム、およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、例えばジシクロヘキシルアミン、t-ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、および例えばアルギニン、およびリジンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチル)、長鎖のハロゲン化物(例えば、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ラウリル、臭化ラウリル、ヨウ化ラウリル、塩化ステアリル、臭化ステアリル、およびヨウ化ステアリル)、ならびにハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)、などの薬剤を用いて四級化され得る。
【0048】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に許容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のためには、対応する化合物の遊離の形態と同等であると見なされる。
【0049】
本発明の化合物の薬学的に許容可能なエステルとしては、以下の群が挙げられる:(1)ヒドロキシ基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル、ここでエステル基(grouping)のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えばメトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えばフェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはC1〜4アルコキシまたはアミノで随意に置換されたフェニル)から選択される;(2)アルキル−またはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)のようなスルホン酸エステル;(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシルなど);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)モノ−、ジ−またはトリリン酸エステル。リン酸エステルは、さらに、例えばC1〜20アルコールまたはこれらの反応性の誘導体によってか、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールによってエステル化され得る。
【0050】
1種以上の本発明の化合物はまた、溶媒和物として存在し得、または随意に溶媒和物に変換され得る。溶媒和物の調製は、一般的に知られている。したがって、例えば、M.Cairaら、J.Pharmaceutical Sci.、93(3)、601−611(2004)は、抗真菌剤のフルコナゾール(fluconazole)の酢酸エチル中のならびに水からの溶媒和物の調製を記載している。類似の、溶媒和物、半溶媒和物(hemisolvate)、および水和物などの調製が、E.C.van Tonderら、AAPS PharmSciTech.、5(1)、article 12(2004);およびA.L.Binghamら、Chem.Commun.、603−604(2001)によって記載されている。非限定的である典型的なプロセスは、本発明の化合物を望ましい量の、望ましい溶媒(有機または水またはこれらの混合物)に、周囲温度よりも高い温度で溶解する工程、および結晶を形成するために十分な速度でこの溶液を冷ます工程を含む(この結晶は次に標準的方法によって単離される)。例えば、I.R.分光分析法のような分析技術が、溶媒和物(水和物)としての結晶中に溶媒(または水)の存在を示す。
【0051】
式Iの化合物、ならびにこれらの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、それらの互変異性の形態(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在し得る。全てのこのような互変異性形態は、本発明の部分として本明細書において企図される。
【0052】
例えば、エナンチオマー形態(これは不斉炭素がなくてさえも存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含む、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るものなどの、本発明の化合物(これらの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグ、ならびにこれらのプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルを含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、および光学異性体など)が、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)と同様に、本発明の範囲内に企図され得る。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、実質的に他の異性体を含み得ないか、または、例えばラセミ化合物としてかもしくは全ての他の、もしくは他の選択された立体異性体と混合されて存在し得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されるSまたはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、および「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0053】
式Iの化合物の多形性の形態、ならびに式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形性の形態が、本発明に含められることが意図される。
【0054】
環に書き込まれた直線は、示された結合を、置換可能環炭素原子のいずれかに付け得ることを意味する。
【0055】
本発明の化合物は、ヒスタミンHレセプターのリガンドである。本発明の化合物はまた、Hレセプターのアンタゴニスト、またはHアンタゴニストとしても記載され得る。
【0056】
本発明の化合物を、Hレセプターアンタゴニストと組み合わせ得る(即ち、本発明の化合物をHレセプターアンタゴニストと、薬学的組成物中で混合し得る、または本発明の化合物を、Hレセプターアンタゴニストと共に投与し得る)。
【0057】
多くの化学物質がヒスタミンHレセプターアンタゴニスト活性を有することが知られ、それゆえ、本発明の方法において使用され得る。本発明の方法において有用な、多くのHレセプターアンタゴニストは、エタノールアミン類、エチレンジアミン類、アルキルアミン類、フェノチアジン類またはピペリジン類として分類され得る。代表的なHレセプターアンタゴニストとしては、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン(acrivastine)、ブロムフェニルアミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン(carebastine)、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン(efletirizine)、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、メクリジン、ミゾラスチン(mizolastine)、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン(noberastine)、ノルアステミゾール(norastemizole)、ピクマスト(picumast)、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン(temelastine)、トリメプラジンおよびトリプロリジンが挙げられるが、これらに限られない。他の化合物を、Hレセプターでの活性を決定するために、単離されたテンジクネズミ回腸のヒスタミンに対する収縮反応の特異的遮断を含む、公知の方法によって、容易に評価し得る。例えば、1998年2月19日に公開された国際公開第98/06394号を参照のこと。
【0058】
当業者は、Hレセプターアンタゴニストが、その公知の治療上有効な用量で使用されること、またはHレセプターアンタゴニストが、通常処方される投薬量で使用されることを認識する。
【0059】
好ましくは、前記Hレセプターアンタゴニストは:アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニルアミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、メクリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンまたはトリプロリジンから選択される。
【0060】
より好ましくは、前記Hレセプターアンタゴニストは:アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニルアミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、カレバスチン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、ノルアステミゾール、またはテルフェナジン、から選択される。
【0061】
最も好ましくは、前記Hレセプターアンタゴニストは:アザタジン、ブロムフェニルアミン、セチリジン、クロルフェニラミン、カレバスチン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、またはノルアステミゾールから選択される。
【0062】
さらにより好ましくは、前記Hアンタゴニストは:ロラタジン、デスカルボエトキシロラタジン、フェキソフェナジン、またはセチリジンから選択される。なおさらにより好ましくは、前記Hアンタゴニストは、ロラタジン、またはデスカルボエトキシロラタジンである。
【0063】
上記の方法では、好ましくは、アレルギー誘発性気道反応が処置される。
【0064】
本発明のHアンタゴニスト(式Iの化合物)とHアンタゴニストの組み合わせが投与される、本発明の方法においては、これらのアンタゴニストは、同時または連続的に(ある期間にわたって最初に一方を、そして次に他方を)投与し得る。これらのアンタゴニストが連続的に投与される場合、概して、本発明のHアンタゴニスト(式Iの化合物)が最初に投与される。
【0065】
用語「メタボリックシンドローム」は、National Cholesterol Education ProgramのAdult Treatment Panel III report中で同定される、心臓血管疾患(CVD)の危険因子の組み合わせをいう。例えば、Grundyら Circulation、109(2004)、433−438の考察を参照のこと。メタボリックシンドロームの構成要素は:1)腹部の肥満;2)じゅく腫発生の異脂血症(atherogenic dyslipidemia);3)上昇した血圧;4)インスリン抵抗性;5)前炎症性状態(proinflammatory state);6)前血栓状態(prothrombotic state)である。
【0066】
肥満またはメタボリックシンドロームを処置するのに有用な他の薬剤としては、CBアンタゴニスト、NPY5アンタゴニスト、MCHアンタゴニスト、MC4Rアゴニストおよびセロトニン取り込み阻害剤が挙げられる。
【0067】
式Iの化合物は当業者に公知の多くの方法で調製され得る。以下は、種々の化合物を調製するための典型的手順である;他の手順も適用可能であり得、そしてこれらの手順は、式Iの範囲内の他の化合物を調製するために改変され得る。当業者は、付属置換基の選択に依存して、一つの経路が最適であることを認識する。加えて、当業者は、いくつかの場合において、官能基の非適合性を回避するために工程の順番を調整しなければならないことを認識する。
【0068】
別に述べられない限り、以下の略語は、以下の反応スキームおよび実施例において、ここに述べられる意味を有する:
Me=メチル;Et=エチル;Bu=ブチル;Pr=プロピル;Ph=フェニル;t−BOC=t−ブトキシカルボニル;およびAc=アセチル
DEC=塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
RT=室温
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
HRMS=高分解能質量分析
LRMS=低分解能質量分析
nM=ナノモル濃度
Ki=基質/レセプター複合体の解離定数
pA2=−logEC50、(これは、J.Hey、Eur.J.Pharmacol.,(1995),Vol.294,329−335によって定義される)
Ci/mmol=キューリー/mmol (比活性の尺度)
RがR−アリール、R−ヘテロアリール、Rシクロアルキル、Rヘテロシクロアルキルまたはアルキルであるベンゾイミダゾールまたはアザベンゾイミダゾール部分を含む本発明の化合物を、スキーム1に概略を述べる一般的手順によって調製し得、ここでR、R、X、nおよびZは、上で定義した通りである(スキームはアザベンゾイミダゾール化合物を示すが、これはベンズイミダゾール化合物にも適用可能である)。
【0069】
【化15】

工程1:化合物1をアニリン誘導体2と、THFまたはジオキサンなどの、好ましくはジオキサンなどの適切な溶媒中で、反応をもたらすのに十分な温度下で、好ましくは50℃から150℃下で反応させ、化合物3を得る。
【0070】
工程2:化合物3のニトロ基を、水素ガスを用いて、Pd/C、PtO、ラネーニッケルなどの、好ましくはラネーニッケルなどの適切な触媒の存在下で、メタノール、エタノール、またはイソプロパノール(好ましくはメタノールまたはエタノール)などの適切な溶媒中で、還元してアミン4にする。当業者に周知の他の還元方法もまた適切である。
【0071】
工程3:化合物4の第一級アミンを、DECおよびHOBTなどのカップリング試薬の存在下に、エーテル、THF、またはCHCl(好ましくはCHCl)などの適切な溶媒中で、カルボン酸との反応によってアシル化し、化合物5を得る。代替として、このアミンを塩基の存在下で、酸塩化物によってアシル化し得る。
【0072】
工程4:工程4においては、酢酸中の化合物5を、十分な時間加熱し、環化を引き起こす。
【0073】
工程5:工程5においては、基X上に保護基が存在する場合、この時点で取り除く。X=O、N、またはSに対しての適切な保護基、およびそれらの除去の方法が、GreenのProtecting Groups in Organic Synthesis中に見られ得る。化合物6を、アセトン、THF、またはエーテル(好ましくはアセトン)などの適切な溶媒中で、NaCOまたはKCO(好ましくはKCO)などの塩基の存在下で、0℃から65℃までの温度で、α、ω−ジハロアルカンと反応させ、化合物7(式中Yはハロである)を得る。
【0074】
工程6:CHCN、THF、エーテル、またはその他などの、好ましくはCHCNなどの適切な溶媒の化合物7の溶液を、EtN、またはDIPEA(好ましくはDIPEA)などの第3級アミン塩基で処理し、続けてZH(ここでZは上で定義した通りである)で処理する。反応物を次に0℃から100℃までの温度で加熱し、化合物8を得る。
【0075】
置換イミダゾールアナログをスキーム2に示されるようにして、調製し得、ここでR,R、X、nおよびZは上で定義された通りであり、そしてRおよびRは上で定義された通りであるが、環は形成しない。
【0076】
【化16】

工程1:文献で公知である化合物9を、アセトン、THF、またはエーテル(好ましくはアセトン)などの適切な溶媒中で、NaCOまたはKCO(好ましくはKCO)などの塩基の存在下で、0℃から65℃までの温度で、α、ω−ジハロアルカンと反応させ、化合物10を得る。
【0077】
工程2:CHCN、THF、またはエーテル(好ましくはCHCN)などの適切な溶媒の化合物10の溶液を、EtN、またはDIPEA(好ましくはDIPEA)などの第3級アミン塩基で処理し、続けてZH(ここでZは上で定義した通りである)によって処理する。反応物を次に0℃から100℃までの温度で加熱し、化合物11を得る。
【0078】
Rが−ORまたは−SRである、ベンゾイミダゾールまたはアザベンゾイミダゾール部分を含む本発明の化合物を、スキーム3に概略を述べる一般的手順によって調製し得、ここでR、R、X、nおよびZは、上で定義した通りである(スキームはアザベンゾイミダゾール化合物を示すが、これはベンズイミダゾール化合物にも適用可能である)。
【0079】
【化17】

工程1:工程1において、化合物12を、アセトン、THF、またはエーテル(好ましくはアセトン)などの適切な溶媒中で、NaCOまたはKCO(好ましくはKCO)などの塩基の存在下で、0℃から65℃までの温度で、α、ω−ジハロアルカンと反応させ、化合物13(ここでYはハロである)を得る。
【0080】
工程2:CHCN、THF、またはエーテル(好ましくはCHCN)などの適切な溶媒の化合物13の溶液を、EtN、またはDIPEA(好ましくはDIPEA)などの第3級アミン塩基で処理し、続けてZH(ここでZは上で定義した通りである)によって処理する。反応物を次に0℃から100℃までの温度で加熱し、化合物14を得る。
【0081】
工程3:化合物14のニトロ基を、Hガスを用いて、Pd/C、PtO、またはラネーニッケル(好ましくはラネーニッケル)などの適切な触媒の存在下で、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールなどの、好ましくはメタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中で、還元してアミン15にする。当業者に周知の他の還元方法もまた適切である。
【0082】
工程4:化合物15を16と、THFまたはジオキサンなどの、好ましくはジオキサンなどの適切な溶媒中で、反応をもたらすのに十分な温度(好ましくは50℃から150℃)で反応させ、化合物17を得る。
【0083】
工程5:工程3と類似の方法で、化合物17のニトロ基をアミンに還元し、化合物18を得る。
【0084】
工程6:THF、またはエーテルなどの適切な溶媒中のアミン18を、0℃から100℃の間の、好ましくは25℃から75℃の間の温度で、チオカルボニルジイミダゾール(Q=S)または1,1’−カルボニルジイミダゾール(Q=O)のいずれかで処理し、化合物19を得る。
【0085】
工程7:DMSO、またはDMFなどの適切な溶媒の19の溶液を、0℃から100℃間の、好ましくは25℃から75℃の間の温度で、KCOまたはその他などの塩基およびアルキル化剤RL(ここでLはCl、BrもしくはIまたはメシレートもしくはスルホネート)で処理し、20を得る。
【0086】
記載される化合物を調製するのに使用される出発材料および試薬は、Aldrich Chemical Co.(Wisconsin、USA)およびAcros Organics Co.(New Jersey、USA)などの商業供給業者から利用可能であるかまたは当業者に公知の文献の方法によって調製されたかのいずれかである。
【0087】
式Iの化合物を、上に概略を述べた一般的方法によって調製し得る。詳細に例示される化合物を、当該分野で公知の出発材料または以下に記載されるようにして調製される出発材料から、以下の実施例において記載されるようにして調製した。これらの実施例は本発明をさらに例示するために提供される。これらは、例示的目的のためのみのものであり;これらによって、本発明の範囲が、いかなる方法でも限定されるとは見なされない。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
【0089】
【化18】

工程1:
25℃において、1(3.0g、27.50mmol)の1,4−ジオキサン(30ml)溶液へ、2(4.4g、27.50mmol)を加えた。混合物を、N下で48時間還流した。室温まで冷ました後、この生成物を、減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Cartridgeによって精製し、3を得た。
【0090】
工程2:
500mlの水素添加ビン中の3(4.4g、17.73mmol)のMeOH(50ml)溶液へ、Ra−Ni(2.0g)を25℃、N下で加えた。混合物を、50PsiH下で20時間水素添加した。生成物を、次にセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Crartridge によって精製し、4を得た。
【0091】
工程3:
4(3.2g、14.66mmol)およびピコリン酸(1.7g、14.66mmol)のCHCl(50ml)溶液へ、25℃でDEC(3.9g、20.34mmol)およびHOBT(2.7g、20.34mmol)を加えた。N下で20時間攪拌した後、HOを加え、生成物をCHCl(2×)で抽出し、合わせ、次にブラインで洗い、そしてNaSO上で乾燥した。次に生成物を、濾過し、減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Cartridgeによって精製し、5を得た。
【0092】
工程4:
化合物5(2.1g、6.50mmol)の15ml酢酸溶液を、120℃、N下で20時間加熱した。室温まで冷ました後、生成物を減圧下で濃縮し、6を得た。
【0093】
工程5:
6(1.9g、6.22mmol)のアセトン(20ml)溶液へ、25℃でKCO(4.5g、32.48mmol)を加えた。N下で40分間の攪拌の後、1−ブロモ−3−クロロプロパン(1.3ml、12.99mmol)を加え、そして混合物を20時間還流した。室温まで冷ました後、次にこの生成物を、濾過し、減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Cartridgeによって精製し、7を得た。
【0094】
工程6:
1mlガラス管の96ウェルブロックの48ウェルへ、化合物7(0.01g、0.026mmol)、MeCN(0.5ml)、およびDIPEA(0.104mmol)を加えた。次に、個々のアミン(以下の表に示される)のそれぞれの1Mストック溶液(0.053ml、0.053mmol)を、この管に加え、次に、密閉しそして80℃で3日間、加熱した。室温まで冷ました後、溶液を、ポリスチレンイソシアネート樹脂(2.5当量、0.066mmol)およびMP−カーボネート樹脂(4当量、0.106mmol)を含有する深いウェルのポリプロピレンマイクロタイタープレート(polypropylene microtiter plate)の48ウェルに移した。次に、マイクロタイタープレートを、密閉しそして25℃で16時間振とうした。この溶液を、次に、ポリプロピレンフリットを通して96ウェル収集プレートへ濾過した。その後、上部のプレートのウェルを、MeCN(0.5ml)で洗い、プレートは取り除いた。それぞれの溶液のアリコートをLCMS分析のために取り除いた後、収集プレートに残った溶液を、バイアルに移し、そして溶媒を減圧下で取り除き、アミン8を得た。
【0095】
上記の手順を使用して、以下の化合物を調製した。
【0096】
【表1−1】

【0097】
【表1−2】

【0098】
【表1−3】

【0099】
【表1−4】

【0100】
【表1−5】

【0101】
【表1−6】

【0102】
【表1−7】

(実施例2)
【0103】
【化19】

下の10mlのふるいで乾燥させた(sieve−dried)エタノールに、0.025g(0.63mmol)の60%NaH(オイル分散物中)を攪拌しながら加え、続いて9(0.081g、0.29mmol、DE2803870)を加えた。攪拌を、均質な溶液が得られるまで維持し、次に1−(3−クロロプロピル)ピペリジン塩酸塩(0.062g、0.31mmol)を加えた。混合物を、18時間、還流下で加熱した。TLCが、出発材料の存在を示したので、追加のフェノール(21mg)を反応混合物へ加え、そして反応物を2時間蒸気浴上で加熱した。反応物を減圧下で濃縮した。残渣を、0.5N NaOH(50ml)で処理し、そしてエーテルで抽出した。合わせた抽出物を水で洗い、無水MgSO(Darco)上で乾燥し、そして濃縮し、0.022gの粘性の残渣を得、これをエーテル中の1N HClの添加によって塩酸塩に変換した。表題化合物を得た(0.038g)。質量スペクトル:m/z 408(MH+,100%)。
【0104】
同様な方法で、実施例2Aを調製した:
【0105】
【表2】

(実施例3)
【0106】
【化20】

工程1:
10(11.66g、55mmol)および11(10g、55mmol)のDMF(30ml)中の混合物を、1時間還流して加熱し、48時間室温に置いた。固体を形成させ、これを濾過によって収集し、そしてエタノールおよびヘキサンで洗い、12(10.4g、52%)を白色の固体として得た。質量スペクトル:m/z 359(MH+)。
【0107】
工程2:
攪拌された12(10.1g、28.2mmol)のメタノール(400ml)懸濁液へ、NaOH粉末(2.5g、62mmol)を加えた。反応物を、均質な溶液が得られるまで40℃で温めた。反応物を室温まで冷まし、そして硫酸ジメチル(3.8g、30mmol)を一滴ずつ加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、水で希釈しそして形成された固体を収集し、13(9.7g、92%)を得た。質量スペクトル:m/z 373(MH+)。
【0108】
工程3:
13(9.6g、25.8mmol)の30%HBr、AcOH(100ml)溶液を18時間加熱して還流した。ほとんどのAcOHをDean−Starkトラップを使用して取り除き、固体を得た。水を加え、そして固体を濾過で収集した。固体をCHClに溶解し、そして水で洗った。フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl中5%MeOH)を介した濃縮および精製によって、14(0.38g)を得た。質量スペクトル:m/z 359(MH+)。
【0109】
工程4:
ステップ2において記載したものと類似の方法で、14(0.17g、0.48mmol)を、表題化合物(0.13g、57%)へ変換した。質量スペクトル:m/z 484(MH+)。
【0110】
(実施例4)
【0111】
【化21】

工程1:KCO(6.0g、43.2mmol)を、25℃で、15(2.0g、14.4mmol)および16(1.4ml、14.4mmol)のアセトン(50ml)溶液に加えた。混合物を、N下で20時間還流した。室温まで冷ました後、生成物を濾過し、減圧下で濾液を濃縮し、そして40M Biotage Cartridge によって精製し、17を得た。収率:97%。
【0112】
工程2:25℃において、17(3.0g、13.9mmol)およびピペリジン(2.8ml、27.8mmol)の30ml n−ブタノール溶液へ、NaCO(1.4g、13.9mmol)およびNaI(0.04g、0.3mmol)を加えた。混合物を、100℃、N下で20時間攪拌した。室温まで冷ました後、生成物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Cartridgeによって精製し、18を得た。収率:100%。
【0113】
工程3:Ra−Ni(1.0g)を、25℃で500mlの水素添加ビン中で、18(3.7g、14.0mmol)のMeOH(30ml)溶液に加えた。混合物を、50PsiのH下で20時間、水素添加した。生成物を次にセライトを通して濾過し、そして減圧下で濃縮し、19を得た。収率:85%。
【0114】
工程4:25℃において、19(2.8g、11.9mmol)の1,4−ジオキサン(30ml)溶液へ、2,5−ジフルオロニトロベンゼン(1.9g、11.9mmol)を加えた。混合物をN下で72時間還流した。室温まで冷ました後、溶媒を取り除き、生成物をCHClおよびHOで抽出し、ブラインで洗い、NaSO上で乾燥し、そして濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、そして40M Biotage Cartridgeによって精製し、20を得た。収率:68%。
【0115】
工程5:工程3と同じ手順を使用し、21を得た。収率:94%。
【0116】
工程6:25℃において、21(0.5g、1.5mmol)のTHF(10ml)溶液へ1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(0.7g、3.9mmol)を加えた。混合物を、70℃、N下で20時間攪拌した。室温まで冷ました後、溶媒を取り除き、生成物を40S Biotage Cartridgeによって精製し22を得た(Q=S)。収率:98%。
【0117】
工程7:KCO(0.2g、1.2mmol)を、22(0.3g、0.8mmol)およびCHI(0.9mmol)のDMF(5ml)溶液へ加えた。混合物を、25℃、N下で20時間、攪拌した。生成物をEtOAcおよびHOで抽出し、ブラインで洗い、NaSO上で乾燥し、そして濾過した。濾液を、減圧下で濃縮し、そして40S Biotage Cartridgeによって精製し、23を得た(Q=S、R=CH、実施例4Aおよび4B)。
実施例4A:
【0118】
【化22】

実施例4B:
【0119】
【化23】

類似の手順および工程7においてヨウ化エチルを使用して、実施例4Cを調製した:
実施例4C:
【0120】
【化24】

類似の手順だが、工程6において1,1’−チオカルボニルジイミダゾールを1,1’−カルボニルジイミダゾールと置き換え、工程7においてヨウ化エチルを使用した手順を使用して、実施例4Dを調製した:
実施例4D:
【0121】
【化25】

(H−レセプター結合アッセイのための一般的手順)
この実験におけるHレセプターの供給源はテンジクネズミ脳であった。 これらの動物の体重は400〜600gであった。脳組織を、50mMトリス、pH7.5の溶液でホモジェナイズした。ホモジェナイゼーション緩衝液中の組織の最終濃度は、10%w/vであった。組織の塊および破片を取り除くために、これらのホモジェネートを、1,000×gで10分間遠心分離した。生じた上清を、次に、膜を沈降させるために、50,000×gで20分間遠心分離した。膜を、次に、ホモジェナイゼーション緩衝液中で3回(それぞれ50,000×gで20分間)洗った。膜を凍結し、そして必要になるまで−70℃で保存した。
【0122】
試験する全ての化合物をDMSOに溶解し、そして次に結合緩衝液(binding buffer)(50mMトリス、pH7.5)中へ希釈し、最終濃度が0.1%のDMSOを有する2μg/mlとなるようにした。膜を、次に、反応管へ加えた(400μgのタンパク質)。反応を、3nMの[H]R−α−メチルヒスタミン(8.8Ci/mmol)または3nMの[H]Nα−メチルヒスタミン(80Ci/mmol)の添加によって開始し、そして30℃のインキュベーションを30分間続けた。結合したリガンドを結合していないリガンドから濾過によって分離し、そして膜に結合した放射性のリガンドの量を、液体シンチレーション分光測定によって定量した。全てのインキュベーションを二連で行い、そして標準誤差は常に10%未満だった。70%を超える放射性リガンドのレセプターへの特異的結合を阻害した化合物を、連続的に希釈しK(nM)を決定した。
【0123】
式Iの化合物は、約1nMから約1000nMの範囲内のKを有する.好ましい式Iの化合物は、約1nMから約100nMの範囲内のKを有する。より好ましい式Iの化合物は、約1nMから約10nMの範囲内のKを有する.実施例1EEの化合物は、1nMのKを有する。
【0124】
本明細書においては、用語「少なくとも1つの式Iの化合物」とは、1つから3つの異なる式Iの化合物が、薬学的組成物または処置の方法において使用され得ることを意味する。好ましくは、1つの式Iの化合物が使用される。同様に、「少なくとも1つのHレセプターアンタゴニスト」とは、1つから3つの異なるHアンタゴニストが、薬学的組成物または処置の方法において使用され得ることを意味する。好ましくは1つのHアンタゴニストが使用される。
【0125】
本発明によって記載される化合物から薬学的組成物を調製するためには、不活性な、薬学的に許容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散可能な顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。この散剤および錠剤は、約5パーセントから約95パーセントまでの活性成分から構成され得る。例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖または乳糖などの適切な固体担体が当該分野において公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセルは、経口投与のために適切な固体の投薬形態として使用され得る。薬学的に許容可能な担体および種々の組成物のための製造方法の例が、A.Gennaro(ed.),The Science and Practice of Pharmacy,20thEdition, (2000),Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MDに見られ得る。
【0126】
液体形態調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。例としては、非経口注射のための水または水−プロピレングリコール液剤または経口液剤、経口懸濁剤および経口乳剤のための甘味料および乳白剤の添加が挙げられ得る。液体形態調製物としては、鼻腔内投与のための液剤も挙げられ得る。
【0127】
吸入のために適切なエアロゾル調製物としては、不活性圧縮ガス(例えば窒素)のような薬学的に許容可能な担体と組み合わせ得る、液剤および散剤形態の固体が挙げられ得る。
【0128】
使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための、液体形態調製物に変換されることを意図される固体形態の調製物もまた包含される。このような液体形態としては、液剤、懸濁液および乳剤が挙げられる。
【0129】
本発明の化合物は、経皮的に送達可能でもあり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳剤の形態をとり得、そして、その目的のためには当該分野において慣習的であるようなマトリックスタイプまたはリザーバータイプ(matrix or reservoir type)の経皮パッチ(transdermal patch)中に含まれ得る。
【0130】
好ましくは化合物は、経口投与される。
【0131】
好ましくは、薬学調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、調製物は、適切な量(例えば、望ましい目的を達成するための有効量)の活性成分を含有する、適切なサイズの単位用量へ再分割される。
【0132】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の適用に従って、約1mgから約150mgまで、好ましくは約1mgから約75mgまで、より好ましくは約1mgから約50mgまで変動または調節され得る。
【0133】
使用される実際の投薬量は、患者の要件および処置される状態の重症度に依存して、変化し得る。特定の状況に対する適切な投薬レジメンの決定は、当該分野の技術内である。簡便のために、1日の全投薬量を、分割し得、そして1日の間に必要に応じて、部分毎に投与し得る。
【0134】
本発明の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩の投与の量および頻度は、担当する臨床家の判断に従って、患者の年齢、状態、サイズなどの要因、ならびに処置される症状の重症度を考慮して、調節される。経口投与のための、典型的な推奨される1日の投薬レジメンは、2回から4回の分割された用量で、約1mg/日から約300mg/日まで、好ましくは、1mg/日から75mg/日の範囲に及び得る。
【0135】
本発明が、Hアンタゴニスト化合物およびHアンタゴニスト化合物の組み合わせを含む場合、2つの活性成分は、同時もしくは連続的に共投与(co−administered)され得るか、または薬学的に許容可能な担体中にHアンタゴニストおよびHアンタゴニストを含む単一の薬学的組成物が投与され得る。組み合わせの成分は、例えば、カプセル、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、液剤、坐剤、鼻スプレーなどの任意の従来の投薬形態で、個別または一緒に、投与され得る。Hアンタゴニストの投薬量は、公開された資料から決定され得、そして用量当たり1mgから1000mgまでの範囲に及び得る。組み合わせて使用される場合、個々の成分の投薬量レベルは、組み合わせの有利な効果のために、好ましくは推奨される個々の投薬量よりも低い。
【0136】
別々のHアンタゴニストの薬学的組成物とHアンタゴニストの薬学的組成物とを投与する場合、これらは、単一の包装中に、薬学的に許容可能な担体中のHアンタゴニストを含む1つの容器、および薬学的に許容可能な担体中のHアンタゴニストを含む別の容器(HおよびHアンタゴニストは、組み合わせが治療上有効となるような量で存在する)を含むキットで提供され得る。キットは、例えば、成分を異なる時間の間隔で投与しなければならない場合、または成分が異なる剤型である場合に、組み合わせで投与するために有利である。
【0137】
肥満またはメタボリックシンドロームを処置するための、他の薬剤との組み合わせが調製され、そして類似の方法で投与される。
【0138】
本発明は、上記の特定の実施形態に関連して記載されたが、これらの多くの代替方法、改変およびバリエーションが当業者に明らかである。全てのこのような代替方法、改変およびバリエーションが、本発明の精神および範囲の中に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
【化1】

によって表される化合物であって、式中:
nは2、3、4または5であり
Rは、R−アリール、R−ヘテロアリール、R−シクロアルキル、R−ヘテロシクロアルキル、アルキル、ハロアルキル、−OR、−SRまたは−S(O)1〜2であり;
はHであり、かつRはR−フェニルもしくは
【化2−1】

であるか;またはRはR−フェニルもしくは
【化2−2】

であり、かつRはHであるか;またはRおよびRは、独立して、R−フェニルおよび
【化3】

からなる群より選択され;かつXは−O−または−S−であるか;
あるいはRおよびRは、これらが結合する炭素原子と一緒になって、
【化4】

を形成し;かつXは−O−、−S−または−NR−であり;
Zは
【化5】

であり;
pは1〜5であり;
Qは−N(R10)−、−S−または−O−であり;
qとrとの合計が3〜6であるという条件で、qは1〜4であり、かつrは1〜4であり;
sは1または2であり;
は、H、アルキル、ハロ、OH、アルコキシおよび−NR1112からなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
は、アルキル、アリールアルキルまたはシクロアルキルであり;
は、アルキル、−NR1112、R−アリールまたはR−アリールアルキルであり;
は、H、アルキル、−CF、ハロ、−NO、−CN、−C(O)OR13、−C(O)NR1112、−NR1415、−OR13およびハロアルキルからなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
は、H、アルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112または−C(O)R13であり;
各Rは、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−OR13、−C(O)OR13、−NR1415、−C(O)NR1112、−C(O)R16、−C(=NOR13)アリールおよび−C(=NOR13)ヘテロアリールからなる群より独立に選択されるか;または、同じ炭素上の2つのR基が、メチレンジオキシ環またはエチレンジオキシ環を形成し;
は、H、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より独立に選択される1〜3個の置換基であり;
10は、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−(CH−C(O)OR13、−C(O)NR1112、−C(O)R16、−C(S)R16または−C(=NOR11)R16であり;
tは0、1または2であり;
11およびR12は、H、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルからなる群より独立に選択され;
13は、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキルであり;
14は、H、アルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキルであり;
15は、H、アルキル、シクロアルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112または−C(O)R13であり;
16は、H、アルキル、R−シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキルまたはR−ヘテロアリールであり;ならびに
各R17は、H、アルキル、シクロアルキル、R−アリール、R−アリールアルキル、R−ヘテロアリール、R−ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、−C(O)OR13、−C(O)NR1112および−C(O)R16からなる群より独立に選択される、化合物、またはこれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
Rが−フェニル、R−ピリジル、アルキルチオ、アルコキシ、アルキルまたは−CFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが2−ピリジルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが結合して、これらが結合する炭素とともに、R置換フェニル環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がハロである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
およびRのうちの1つがR−フェニルであり、そして他方がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Xが−O−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
nが3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
ZがR−ピペリジニルまたはR−ピロリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Zがピペリジニル、ピロリジニル、またはR−ピペリジニルもしくはR−ピロリジニルであり、ここでRは、アルキル、ヒドロキシル、−NHC(O)アルキル、−C(O)NR1112、−C(O)アルキル、−C(O)Oアルキルおよびヘテロシクロアルキルからなる群より選択される1〜3個の置換基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
以下:
【化6−1】

【化6−2】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に有効な担体を含む薬学的組成物。
【請求項13】
アレルギー、アレルギー誘発性気道反応、うっ血、低血圧、心臓血管疾患、胃腸管の疾患、胃腸管の過剰な運動性および低運動性および過剰な胃酸分泌および低胃酸分泌、肥満、メタボリックシンドローム、睡眠障害、中枢神経系の障害、注意欠陥多動性障害、中枢神経系の機能低下および機能亢進、アルツハイマー病、精神分裂病、および片頭痛を処置する方法であって、このような処置を必要とする患者に有効量の請求項1の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項14】
アレルギー、うっ血、肥満またはメタボリックシンドロームが処置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有効量の請求項1に記載の化合物と、有効量のHレセプターアンタゴニストと、薬学的に有効な担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項16】
アレルギー、アレルギー誘発性気道反応、およびうっ血を処置する方法であって、このような処置を必要とする患者に、有効量の請求項1に記載の化合物を有効量のHレセプターアンタゴニストと組み合わせて投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
前記Hレセプターアンタゴニストが、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニルアミン、セチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、メクリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンまたはトリプロリジンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Hレセプターアンタゴニストがロラタジン、デスカルボエトキシロラタジン、フェキソフェナジン、またはセチリジンから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記Hレセプターアンタゴニストが、ロラタジンまたはデスカルボエトキシロラタジンから選択される、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2008−526895(P2008−526895A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550589(P2007−550589)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001832
【国際公開番号】WO2006/078775
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】