説明

ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む組成物ならびに炎症性障害の治療、併用治療または予防のためのその使用

本発明は、ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む新規の組成物と、薬剤(特に、炎症性障害の治療、併用治療または予防のための薬剤)としてのこれらの組成物の使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む新規の組成物と、薬剤(特に、炎症性障害の治療、併用治療または予防のための薬剤)としてのこれらの組成物の使用とに関する。
【0002】
炎症性障害は、世界中で最も重要な健康問題の1つである。炎症は、一般に、異物または傷害性の刺激による宿主の侵襲に対する体組織の局在的な防御反応である。炎症の原因は、感染性病原体(細菌、ウィルス、および寄生虫など)、または物理的因子(やけどまたは放射線など)、または化学物質(毒素、薬物または産業用物質など)、または免疫学的反応(アレルギーおよび自己免疫応答など)、または酸化ストレスに関連する状態であり得る。
【0003】
炎症は、疼痛、発赤、腫れ、熱、および結果として起こる患部の機能の損失を特徴とする。これらの症状は、主に免疫系の細胞間で起こる複雑な一連の相互作用の結果である。細胞の応答は、炎症性メディエーターのいくつかの群:タンパク質(例えば、サイトカイン、酵素[例えば、プロテアーゼ、ペルオキシダーゼ]、主要塩基性タンパク質、接着分子[ICAM、VCAM])、脂質メディエーター(例えば、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活性化因子[PAF])、活性酸素種(例えば、ヒドロペルオキシド、スーパーオキシドアニオンO、一酸化窒素[NO]など)の相互作用ネットワークをもたらす。しかしながら、これらの炎症のメディエーターの多くは、正常な細胞活性の調節因子でもある。従って、炎症反応の欠如は易感染性宿主(すなわち、感染)を引き起こすが、制御されていない、従って慢性的な炎症は、上記のメディエーターのいくつかの過剰な産生によって一部仲介される炎症性疾患につながる。
【0004】
炎症性メディエーターの過剰な生合成に起因する急性および慢性炎症は、関節炎(例えば、変形性関節症、関節リウマチ)、喘息、炎症性腸疾患、皮膚炎症性疾患(例えば、接触性皮膚炎[特に、おむつ領域の皮膚炎]、アトピー性皮膚炎、乾燥症、湿疹、酒さ、脂漏、乾癬、神経皮膚炎、ざ瘡、日焼けなどの熱および放射線によるやけど)、ならびにアテローム性動脈硬化症、心疾患、メタボリックシンドロームX、癌、アルツハイマー病、およびこれらのプレステージ(軽度認知機能障害または慢性皮膚炎症に関連する光老化など)などの慢性炎症性障害などの多数の炎症性障害に関与する。
【0005】
関節リウマチは、関節の慢性炎症性疾患であり、関節炎の多数の異なる形態の1つである。例えば、関節炎には、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデスおよび若年性関節炎が含まれる。喘息と同様に、関節リウマチは、分子レベルで、サイトカイン、ケモカイン、キニンおよびこれらの受容体、接着分子およびそのそれぞれの受容体、ならびに炎症性酵素の慢性的に不均衡な発現を特徴とする。
【0006】
乾癬は最も一般的な皮膚の問題の1つであり、人口の1〜3%に影響を与える。炎症性腸疾患は胃腸管疾患を説明するために使用される一般用語であり、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの障害を含む。
【0007】
血管内の脂質沈着過程に加えて、内皮(すなわち、血管)壁の炎症反応は、アテローム性動脈硬化症、すなわちアテローム形成に非常に寄与すると考えられる。アテローム性動脈硬化症は、炎症を誘発する血管傷害に起因する。活性化マクロファージ、T−リンパ球、そして最終的には平滑筋細胞がアテローム性動脈硬化巣中に存在する。単球/マクロファージおよびリンパ球の活性化は、内皮損傷、およびアテローム性動脈硬化巣の形成、そして最終的にはその破裂に関与するエイコサノイド、サイトカインおよび基質メタロプロテアーゼ(MMP)の放出をもたらす。最後に、冠動脈疾患(CAD)の危険性の高い群では、C反応性タンパク質(CRP)、フィブリノーゲン、およびインターロイキンなどの循環炎症マーカーが増大または変化される。いくつかの臨床試験によって、CRP濃度の上昇は、冠血管および血管事象の危険性の増大と相関することが示される。従って、炎症は、アテローム形成の開始および進行において重要な役割を果たすと思われる。
【0008】
炎症過程はアルツハイマー病の病態生理学にも関連する。サイトカインおよび活性化ミクログリア細胞のレベルの上昇によって特徴付けられるように、アルツハイマー病患者の脳における炎症の証拠がある。従って、炎症は古典的な炎症性障害(例えば、関節炎、喘息、腸疾患)に関与するだけでなく、多くの慢性炎症性障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、心疾患、メタボリックシンドロームX、癌、アルツハイマー病)にも関連する。
【0009】
炎症事象は、種々のタイプの癌(例えば、胃癌および腸癌、メラノーマ)の病態生理学にも関連する。プロスタグランジンなどの炎症性メディエーターのレベルの上昇は、ヒトの乳癌、結腸癌、肺癌および膵臓癌において見出されている。
【0010】
現在、炎症性障害を治療するために、2つの主な種類の薬物、副腎皮質ステロイド薬および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が使用されている。NSAIDおよび副腎皮質ステロイド薬は、本質的に症状の軽減を提供する。副腎皮質ステロイド薬の使用は、長期使用の重篤な副作用への関心の高まりのために低下している。
【0011】
NSAIDは、主として疼痛および炎症性障害の治療のため、特に関節炎の治療(すなわち、疼痛の軽減)のために最も広く使用されている薬物の1つである。疫学的研究によって、NSAIDを摂取している患者は、NSAIDを摂取していない患者よりもアルツハイマー病を発症する危険性が低いことが示唆されている。NSAIDの保護効果は、シクロオキシゲナーゼが神経変性過程に関与し得ることを示唆する。
【0012】
疫学的研究によって、NSAIDを摂取しない人々と比較してNSAIDを摂取する人々における結腸直腸癌、胃癌、食道癌、および乳癌の危険性の著しい低下が示された。動物モデルでは、NSAIDは、腫瘍の発生を著しく低下させた。
【0013】
しかしながら、関節炎などの慢性疾患を治療する場合、NSAIDの長期使用は、重篤な胃腸合併症、腎毒性または喘息反応のような重大な副作用によって制限される。
【0014】
そのため、副作用が弱いか、または全くない新しい抗炎症薬が必要とされている。炎症性疾患の患者は、疾患予防のため、そして補助的な治療として使用することができ、軽度の抗炎症効果を有すると共に主要な副作用のない「自然」と考えられるタイプの治療に特別の関心を持っている。さらに、使用される治療は、過剰な炎症反応と不十分な炎症反応との間の均衡を維持することが必要である。
【0015】
抗炎症作用が示されているこのような「自然」な薬剤の例はたくさん知られている。しかしながら、これらの「自然」な化合物の欠点は、多くの場合、その生物学的活性、そしてそれに伴って、その阻害活性が不十分なことである。2つ以上の自然の物質が併用して適用される場合、これらの作用は、相加的に、さらには相乗的に増強され得る。これは、疾患の発症または治療をもたらすために必要とされるそれぞれの物質の量を少なくする。自然の物質のそれぞれについて個々に低下された用量を使用することができるので、有害なレベルに到達する機会が少なくなり、慢性使用による重篤な副作用の機会も少なくなる。
【0016】
[発明の詳細な説明]
意外なことに、ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンの組み合わせは、抗炎症活性を相乗的に増強することが分かった。さらに、意外なことに、この組み合わせは、コラーゲンの形成も相乗的に増強することが分かった。また、意外なことに、この組み合わせは、軟骨細胞の増殖を刺激することによって軟骨の蓄積および修復も相乗的に増強することが分かった。従って、本発明の組成物は、心疾患、多発性硬化症、変形性関節症、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、皮膚炎症、および皮膚老化などの炎症性障害の治療、併用治療および予防において特に有用であり得る。
【0017】
従って、本発明は、ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む組成物に関する。
【0018】
本発明に係る組成物中のヒドロキシチロソール対コンドロイチンの比率は、1対200〜1対1の範囲、好ましくは1対100〜1対1の範囲、例えば、約1対10〜1対1などの範囲で選択され得る。
【0019】
本発明の組成物は、関節炎の種々の形態、特に変形性関節症および関節リウマチの治療、併用治療および予防に特に適している。また本発明の組成物は、関節障害の治療、併用治療および予防のための薬剤として、特に、関節の炎症を低減し、関節の健康を維持および/または増大し、関節の硬直を予防し、関節の可動性を増大し、柔軟および/または屈曲性の関節を提供し、関節を潤滑化し、関節の炎症に関連する疼痛を軽減し、関節の腫れを低減し、関節の問題を少なくし、そして関節のケアを提供するための薬剤として適切である。従って、本発明は、炎症性障害および関節障害の治療、併用治療または予防のための薬剤としての、本発明に係る組成物の使用にも関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、炎症性障害、より好ましくは関節炎または皮膚炎症、最も好ましくは変形性関節症または日焼け、およびその長期結果の光老化の治療、併用治療または予防のための薬剤としての、本発明の組成物の使用に関する。
【0021】
異なる態様では、本発明は、薬剤として使用するための本発明の組成物にも関する。
【0022】
さらに別の実施形態では、本発明は、炎症性障害、より好ましくは関節炎、特に変形性関節症の治療、併用治療または予防のために適切な栄養補助食品、医薬品、化粧品または皮膚用製剤を製造するための本発明に係る組成物の使用に関する。さらに、本発明は、皮膚炎症、特に日焼け、およびその長期結果の光老化/皮膚老化などの炎症性障害の治療、併用治療または予防のために適切な栄養補助食品、医薬品、化粧品または皮膚用製剤を製造するための本発明に係る組成物の使用に関する。
【0023】
また、本発明は、ヒトを含む動物において、炎症性障害、特に関節炎、より具体的には変形性関節症または関節リウマチを治療、併用治療および予防するための方法に関し、前記方法は、「有効量の本発明に係る組成物」を、それを必要としている動物(ヒトを含む)に投与するステップを含む。好ましくは、炎症性障害は関節炎であり、最も好ましくは変形性関節症である。
【0024】
「有効量の本発明に係る組成物」という用語は、生理学的効果を得るために必要な量を指す。生理学的効果は、単一用量または反復用量によって達成することができる。投与される用量は、当然ながら、特定の組成物の生理学的特徴およびその投与モードと経路、レシピエントの年齢、健康および体重、症状の性質および程度、併用治療の種類、治療の頻度、ならびに所望される効果などの既知の因子に応じて異なり、当業者によって調整され得る。
【0025】
本発明の枠組みにおいて、「動物」は、哺乳類(その例としては、ヒトが挙げられる)を含む全ての動物を意味する。哺乳類の好ましい例は、ヒトのほかに、ネコ、イヌ、ヒトコブラクダ、ラクダ、ゾウ、およびウマを含む非反芻動物または反芻動物である。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、本発明に係る組成物と、栄養的に(nutraceutically)許容可能なキャリアとを含む栄養補助食品組成物に関する。
【0027】
本明細書において使用される栄養補助食品組成物という用語には、食品、食糧、ダイエットサプリメント、栄養サプリメント、または食品もしくは食糧のためのサプリメント組成物が含まれる。
【0028】
従って、別の実施形態では、本発明は、食品、食糧、ダイエットサプリメント、栄養サプリメント、または食品もしくは食糧のためのサプリメント組成物である栄養補助食品に関する。
【0029】
本明細書で使用される場合、食品という用語は、ヒトまたは動物による消費に適した任意の食物または飼料を指す。食品は、準備および包装された食物(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズフード)でも、動物飼料(例えば、押出およびペレット化された動物飼料、粗混合飼料またはペットフード組成物)でもよい。本明細書で使用される場合、食糧という用語は、ヒトまたは動物の消費に適した任意の物質を指す。ダイエットサプリメントという用語は、単一または多数の用量単位で包装されたヒトまたは動物の食餌の補充のための少量の化合物を指す。ダイエットサプリメントは、通常、大量のカロリーを提供しないが、その他の微量栄養素(例えば、ビタミンまたはミネラル)を含有し得る。栄養サプリメントという用語は、ダイエットサプリメントをカロリー源と組み合わせて含む組成物を指す。いくつかの実施形態では、栄養サプリメントは、食事の代替品または補助品(例えば、栄養もしくはエネルギーバー、または栄養ドリンクもしくは濃縮品)である。
【0030】
食品または食糧は、例えば、ノンアルコールおよびアルコール飲料などの飲料、ならびに飲料水および流動食に添加される液体製剤であり、ノンアルコール飲料は、例えば、ソフトドリンク、スポーツ飲料、エネルギー飲料、果実ジュース(例えば、オレンジジュース、アップルジュースおよびグレープフルーツジュースなど)、レモネード、お茶、ニアウォーター飲料および乳、および他の乳製品飲料(例えば、ヨーグルト飲料など)、ならびにダイエット飲料である。別の実施形態では、食品または食糧は、本発明に係る組成物を含む固体または半固体の食物を指す。これらの形態は、ケーキおよびクッキーなどの焼き菓子(baked goods)、プディング、乳製品、糖菓、スナックフード、または冷凍菓子もしくは商品(例えば、アイスクリーム、ミルクシェーク)、調理済み冷凍食品、キャンディ、スナック製品(例えば、チップス)、スープなどの流動食、スプレッド、ソース、サラダドレッシング、加工肉製品、チーズ、ヨーグルトおよび任意の他の脂肪または油含有食物、ならびに食物成分(例えば、小麦粉)を含むことができるが、これらに限定されない。食品または食糧という用語は機能性食物および調理済み食物も含み、後者は、ヒトの消費が認可された任意の包装済みの食物を指す。
【0031】
ペットフード組成物を含む動物飼料は、有利に、必要な食餌要求を供給することを目的とする食物、およびトリート(treat)(例えば、ドッグビスケット)または他の食物サプリメントを含む。本発明に係る組成物を含む動物飼料は、乾燥組成物(例えば、キブル(kibble))、半湿潤組成物、含水組成物、またはこれらの任意の混合物の形態であり得る。代替的に、または付加的に、動物飼料は、グレイビー、飲料水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、咀嚼物、トリート(例えば、ビスケット)または任意の他の送達形態などのサプリメントである。
【0032】
本発明のダイエットサプリメントは、任意の適切な形で送達することができる。好ましい実施形態では、ダイエットサプリメントは、経口送達のために配合される。本発明のダイエットサプリメントの成分は、経口による消費のための許容可能な賦形剤および/またはキャリア中に含有される。キャリア、ひいてはダイエットサプリメント自体の実際の形態は重要ではない。キャリアは、液体、ゲル、ジェルキャップ、カプセル、粉末、固体錠剤(被覆または非被覆)、お茶などであり得る。ダイエットサプリメントは、好ましくは錠剤またはカプセルの形態であり、最も好ましくはハード(シェル)ゼラチンカプセルの形態である。適切な賦形剤および/またはキャリアには、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶性セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、スクロース、植物ガム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチなど(これらの混合物を含む)が含まれる。好ましいキャリアとしては、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、およびこれらの混合物が挙げられる。種々の成分および賦形剤および/またはキャリアは混合され、従来の技法を用いて所望の形態に形成される。本発明の錠剤またはカプセルは、約6.0〜7.0のpHで溶解する腸溶コーティングで被覆されてもよい。小腸では溶解するが胃では溶解しない適切な腸溶コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。配合および投与のための技法についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版(Maack Publishing Co.,Easton,PA)において見出すことができる。
【0033】
他の実施形態では、ダイエットサプリメントは、消費者が食物または飲料に添加するのに適した粉末または液体として提供される。例えば、いくつかの実施形態では、ダイエットサプリメントは、例えば、飲料中に混合することによって、あるいは半固体の食物(例えば、プディング、トッピング、ソース、ピューレ、調理済みシリアル、またはサラダドレッシングなど)中に攪拌することによって、あるいは他の方法で食物に添加する(例えば、消費する直前に放出するために食物または飲料容器の蓋に封入される)ことによって使用される粉末の形態で個体に投与することができる。特に、ダイエットサプリメントによって食餌に添加されるカロリー数を制限することが望ましい場合には、ダイエットサプリメントは1つまたは複数の不活性成分を含むことができる。例えば、本発明のダイエットサプリメントは、例えば、ハーブ、ビタミン、ミネラル、エンハンサー、着色料、甘味料、風味料、不活性成分などを含む任意的な成分も含有し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ダイエットサプリメントはさらに、リン酸または酢酸カルシウム(三塩基性)、リン酸カリウム(二塩基性)、硫酸または酸化マグネシウム、塩(塩化ナトリウム)、塩化または酢酸カリウム、アスコルビン酸、オルトリン酸第二鉄、ナイアシンアミド、硫酸亜鉛または酸化亜鉛、パントテン酸カルシウム、グルコン酸銅、リボフラビン、βカロテン、ピリドキシン塩酸塩、一硝酸チアミン、葉酸、ビオチン、塩化またはピコリン酸クロム、ヨウ化カリウム、セレン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、フィロキノン、ビタミンD3、シアノコバラミン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸銅、ビタミンA、ビタミンC、イノシトール、ヨウ化カリウムを含むがこれらに限定されないビタミンおよびミネラルを含む。ビタミンおよびミネラルの適切な投与量は、例えば、米国RDAガイドラインを参考にすることによって得ることができる。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、本発明に係る組成物を含む栄養サプリメント(例えば、エネルギーバーまたは食事代替バーまたは飲料)を提供する。栄養サプリメントは食事またはスナック代替品としての機能を果たし、一般に栄養カロリーを提供することができる。好ましくは、栄養サプリメントは、バランスのとれた量の炭水化物、タンパク質、および脂肪を提供する。栄養サプリメントはさらに、単純、中鎖長の炭水化物、もしくは多糖類、またはこれらの組み合わせを含むことができる。単糖は、望ましい官能特性について選択することができる。未調理のコーンスターチは、複合炭水化物の一例である。その高分子量構造を維持することが望ましい場合、熱によって複合炭水化物は単純炭水化物(単純炭水化物は単糖類または二糖類である)に分解するので、調理または加熱処理されない食品製剤またはその一部にのみ含まれるべきである。栄養サプリメントは、一実施形態において、3つのレベルの鎖長(単純、中程度および複合、例えば、スクロース、マルトデキストリン、および未調理コーンスターチ)の炭水化物源の組み合わせを含有する。
【0036】
本発明の栄養サプリメントに取り込まれるタンパク質源は、栄養製剤において用いられる任意の適切なタンパク質でよく、乳清タンパク質、乳清タンパク質濃縮物、乳清粉末、卵、大豆粉、豆乳、大豆タンパク質、大豆タンパク質単離物、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインナトリウムカルシウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム)、動物および植物タンパク質、ならびにこれらの加水分解物または混合物を挙げることができる。タンパク質源を選択する場合、まずタンパク質の生物価が考慮されなければならず、最高の生物価は、カゼイン塩、乳清、ラクトアルブミン、卵アルブミンおよび全卵タンパク質において見られる。好ましい実施形態では、タンパク質は、乳清タンパク質濃縮物およびカゼインカルシウムの組み合わせである。これらのタンパク質は高い生物価を有する。すなわち、これらは高比率の必須アミノ酸を有する。Modern Nutrition in Health and Disease、第8版、Lea&Febiger出版社、1986年、特に1巻、30−32頁を参照されたい。栄養サプリメントは、他のビタミン、ミネラル、酸化防止剤、繊維および他のダイエットサプリメント(例えば、タンパク質、アミノ酸、コリン、レシチン、ω−3脂肪酸)の1つまたは組み合わせなどの、他の成分も含有することができる。これらの成分の1つまたは複数の選択は、配合、設計、消費者の好み、およびエンドユーザーの問題である。本発明のダイエットサプリメントに添加されるこれらの成分の量は、当業者には容易に分かる。このような量へのガイダンスは、子供および成人に対する米国RDA用量によって提供され得る。添加することができるさらなるビタミンおよびミネラルとしては、リン酸または酢酸カルシウム(三塩基性)、リン酸カリウム(二塩基性)、硫酸または酸化マグネシウム、塩(塩化ナトリウム)、塩化または酢酸カリウム、アスコルビン酸、オルトリン酸第二鉄、ナイアシンアミド、硫酸亜鉛または酸化亜鉛、パントテン酸カルシウム、グルコン酸銅、リボフラビン、βカロテン、ピリドキシン塩酸塩、一硝酸チアミン、葉酸、ビオチン、塩化またはピコリン酸クロム、ヨウ化カリウム、セレン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、フィロキノン、ビタミンD3、シアノコバラミン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸銅、ビタミンA、ビタミンC、イノシトール、ヨウ化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
栄養サプリメントは、様々な形態で、そして様々な製造方法によって提供することができる。好ましい実施形態では、食物バーを製造するために、液体成分を調理し、乾燥成分を液体成分と共にミキサーに添加し、生地(dough)相が達成されるまで混合し、生地を押出成形機に入れて、押出する。押出された生地は、適切な長さに切断され、製品は冷却される。味覚を増強させるために、バーは、本明細書において具体的に記載される成分に加えて、他の栄養剤および充填剤を含有してもよい。
【0038】
栄養サプリメントの加工または製造のために、本明細書に記載されたものに、例えば、充填剤、乳化剤、保存料などの他の成分を添加できることは当業者によって理解される。
【0039】
さらに、風味料、着色剤、香辛料、ナッツなどが栄養補助食品組成物に取り込まれてもよい。風味料は、風味付けされた抽出物、揮発性油、チョコレート風味料、ピーナッツバター風味料、クッキークラム、クリスプライス、バニラまたは任意の市販の風味料の形態であり得る。有用な風味料の例としては、純粋アニス抽出物、イミテーションバナナ抽出物、イミテーションチェリー抽出物、チョコレート抽出物、純粋レモン抽出物、純粋オレンジ抽出物、純粋ペパーミント抽出物、イミテーションパイナップル抽出物、イミテーションラム抽出物、イミテーションイチゴ抽出物、もしくは純粋バニラ抽出物、またはバーム油、ベイ油、ベルガモット油、セダー油、クルミ油、チェリー油、シナモン油、クローブ油、もしくはペパーミント油などの揮発性油、ピーナッツバター、チョコレート風味料、バニラクッキークラム、バタースコッチまたはタフィーが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ダイエットサプリメントは、ココアまたはチョコレートを含有する。
【0040】
乳化剤は、栄養補助食品組成物の安定性のために添加することができる。適切な乳化剤の例としては、レシチン(例えば、卵または大豆から)、および/またはモノ−およびジ−グリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。他の乳化剤は当業者に容易に明らかであり、適切な乳化剤の選択は、部分的に、製剤および最終製品に依存し得る。保存料も、製品の貯蔵期間を延長させるために栄養サプリメントに添加することができる。好ましくは、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムまたはEDTAカルシウム二ナトリウムなどの保存料が使用される。
【0041】
上記の炭水化物に加えて、栄養補助食品組成物は、天然または人工(好ましくは、低カロリー)甘味料、例えば、糖類、シクラメート、アスパルタミン、アスパルテーム、アセスルファムK、および/またはソルビトールを含有することができる。このような人口甘味料は、栄養サプリメントが、過体重もしくは肥満の個体、または高血糖を起こしやすいII型糖尿病の個体によって消費されるように意図される場合に望ましいことがある。
【0042】
さらに、マルチビタミンおよびミネラルサプリメントを本発明の栄養補助食品組成物に添加して、食餌によっては欠けていることがある適切な量の必須栄養素を得ることができる。マルチビタミンおよびミネラルサプリメントは、疾患の予防、ならびにライフスタイルパターンによる栄養の損失および不足に対する防御のためにも有用であり得る。
【0043】
栄養補助食品を介して投与されるヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンの用量および比率は、当然ながら、特定の組成物の生理学的特徴およびその投与モードと経路、レシピエントの年齢、健康および体重、症状の性質および程度、併用治療の種類、治療の頻度、ならびに所望される効果などの既知の因子に応じて異なり、通常の治験によって、あるいは栄養補助食品組成物の配合に関する通常の考慮によって当該分野の専門家により決定することができる。
【0044】
好ましい実施形態では、栄養補助食品は、1食当たり、0.2mg〜500mgの量のヒドロキシチロソール、好ましくは1食当たり1mg〜250mgのヒドロキシチロソール(好ましくは、ヒドロキシチロソール含有オリーブ抽出物の形態)と、1mg〜2000mg、好ましくは5mg〜1000mgのコンドロイチンとを含む。
【0045】
別の態様では、本発明は、本発明に係る組成物と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む医薬品に関する。
【0046】
当業者には、薬学的に許容可能なキャリアとして使用することができるキャリアが分かる。適切な医薬品キャリアは、例えば、この分野での標準的な参考書である上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。このような薬学的に許容可能なキャリアの例は、経口/非経口/注射投与に適した無機および有機の両方のキャリア材料であり、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油などが挙げられる。
【0047】
医薬品組成物はさらに、従来の医薬品添加剤およびアジュバント、賦形剤または希釈剤、を含むことができ、水、任意の起源のゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、風味剤、保存料、安定剤、乳化剤、緩衝剤、潤滑剤、着色料、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
好ましい実施形態では、医薬品は、粉末、錠剤、カプセル、ゲル、液体または固体実施形態の形態である。
【0049】
医薬品組成物中の個々の成分の投与量および比率は、通常の前臨床および臨床試験によって、あるいは医薬品組成物の製剤に関する通常の考慮によって当該分野の専門家により決定することができる。
【0050】
好ましい実施形態では、活性成分は、
少なくとも0.3mg/kg体重/日(すなわち、70kgの人では20mg/日)、好ましくは1〜450mg/kg体重/日(すなわち、70kgの人では70〜31500mg/日)、最も好ましくは4〜140mg/kg体重/日(すなわち、70kgの人では280〜9800mg/日)の量のコンドロイチン、および
少なくとも0.01mg/kg体重/日(すなわち、70kgの人では0.7mg/日)、好ましくは0.1〜50mg/kg体重/日(すなわち、70kgの人では7〜3500mg/日)、最も好ましくは0.3〜15mg/kg体重/日(70kgの人では20〜1000mg/日)の量のヒドロキシチロソール
の単一用量の形態で、または複数用量によって医薬品組成物を介して投与される。
【0051】
医薬品は、例えば、投与単位当たり(例えば、カプセルまたは錠剤当たり)、1mg〜500mgの量のヒドロキシチロソールおよび1mg〜1000mgの量のコンドロイチンを含むことができる。あるいは、液体製剤中に1mg〜500mgのヒドロキシチロソールおよび500mg〜2000mgのコンドロイチンを含むことができる。
【0052】
本発明に係る栄養補助食品および医薬品は、人体を含む動物の体への投与に適した任意の生薬形態(galenic form)、より具体的には経口投与のための従来の任意の形態、例えば、食物または飼料(用の添加剤/サプリメント)、食物または飼料プレミックス、強化食物または飼料、錠剤、丸薬、顆粒剤、糖衣錠、カプセル、ならびに粉末および錠剤などの発泡製剤などの固体形態、あるいは、例えば、飲料、ペーストおよび油性懸濁液のような溶液、乳剤または懸濁液などの形態の液体形態でよい。ペーストは、ハードまたはソフトシェルカプセルに充填されてもよい。他の適用形態の例は、経皮、非経口、局所または注射による投与のための形態である。栄養補助食品および医薬品は、制御(遅延)放出製剤の形態でもよい。医薬品の例には、クリーム、ゲル、スプレー、乾燥スティック、粉末などの局所適用に適した組成物も含まれる。
【0053】
「ヒドロキシチロソール」という用語は、合成起源であるか、あるいは抽出および/または精製によってオリーブの木に由来する産物および副産物などの天然源から得られる「純粋なヒドロキシチロソール」を指す。さらに、「ヒドロキシチロソール」という用語は、例えば、オリーブの木に由来する産物および副産物から得ることができるヒドロキシチロソール含有抽出物も包含する。
【0054】
オリーブの木の産物および副産物は、オリーブ、オリーブ木の葉、オリーブパルプ、オリーブ油、オリーブ由来の植物水(vegetation water)およびオリーブ油の残りかすを包含するが、これらに限定されない。抽出手順に基づいて、ヒドロキシチロソールの量、または比率は、当業者によって容易に調整することができる。好ましくは、ヒドロキシチロソールは、栽培者などの従来の商業的に利用可能な供給源から得ることができるオリーブに由来する。
【0055】
合成または精製ヒドロキシチロソールの場合、「純粋なヒドロキシチロソール」という用語は、少なくとも90%の純度、より好ましくは少なくとも91%の純度、さらにより好ましくは少なくとも92%の純度、さらにより好ましくは少なくとも93%の純度、さらにより好ましくは少なくとも94%の純度、さらにより具体的には少なくとも95%の純度、具体的には少なくとも96%の純度、さらに具体的には少なくとも97%の純度、さらにより具体的には少なくとも98%の純度、最も具体的には少なくとも99%の純度を有するヒドロキシチロソールを指す。ヒドロキシチロソールの純度は、例えば、HPLCまたはLC−MSなどの当業者に知られている方法によって決定することができる。
【0056】
本明細書において使用されるヒドロキシチロソールは、当該技術分野において既知の多数の方法によって調製することができる。オリーブは、記載される組成を得るために適切な手段によって加工され得る。例えば、オリーブおよび/またはオリーブ葉を圧搾して、オリーブ油、植物水および固体副産物を含む混合物を得ることができる。ヒドロキシチロソールは混合物から直接得てもよいし、混合物を分画および/または精製して、ヒドロキシチロソールを得てもよい。組成物は、当業者に知られている多数の方法によって分画および/または精製することができる。分画方法の例としては、有機溶媒による分配、クロマトグラフィ、例えば高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)または超臨界流体の使用が挙げられる。
【0057】
オリーブ葉からのヒドロキシチロソールの抽出を取り扱う参考文献の例は、国際公開第02/18310A1号パンフレット、米国特許出願公開第2002/0198415A1号明細書、国際公開第2004/005228A1号パンフレット、米国特許第6,416,808号明細書および米国特許出願公開第2002/0058078A1号明細書であり、存在するオレウロペインの少なくとも90%が転換されるまで2〜12ヶ月間のオリーブ植物水の酸加水分解のための方法が開示されている。オリーブ、オリーブパルプ、オリーブ油および搾油機廃水からのヒドロキシチロソールの抽出方法は、Usana Inc.の特許の米国特許第6,361,803号明細書および国際公開第01/45514A1号パンフレット、ならびに米国特許出願公開第2002/0004077A1号明細書に記載されている。欧州特許出願公開第1582512A1号明細書には、オリーブ葉からのヒドロキシチロソールの抽出が記載されている。核を除いた(de−pitted)オリーブの植物水からヒドロキシチロソールを得るための方法は、米国特許出願公開第2004/0039066A1号明細書の段落[0080]−[0091]に開示されている。
【0058】
本発明に従って使用され得る市販のヒドロキシチロソール含有オリーブ抽出物としては、例えば、Life ExtensionからのPolyphen−OilTM、IndenaからのOleaSelectTM、GenosaからのHytolive(登録商標)、SeppicからのProlivols、Lalilabからのオレア・エウロパエア(Olea europea)のOLIVE LEAFまたはOLIVE Water Extract、EbiserからのHitofulvicおよびOlifeTMなどのオリーブ果実からの抽出物、欧州特許第1582512号明細書に記載されているものなどの加水分解オリーブ葉抽出物、CreAgriからのFurfuralおよびHIDROX(登録商標)から入手できるものなどのオレウロペインが豊富なオリーブ葉抽出物が挙げられる。
【0059】
好ましくは、CreAgriからのHIDROX(登録商標)、例えば、HIDROX(登録商標)2%スプレー乾燥粉末、HIDROX(登録商標)Gold凍結乾燥粉末(9%)およびHIDROX(登録商標)6%凍結乾燥粉末有機オリーブジュース抽出物が使用される。
【0060】
90%よりも高い純度のヒドロキシチロソールを調製することができる合成方法の一例は、貴金属水素化触媒の存在下、C1〜10−アルカノール中で3,4−ジヒドロキシマンデル酸または3,4−ジヒドロキシマンデル酸C1〜10−アルキルエステルを水素化するステップを含む方法であり、形成された(3,4−ジヒドロキシフェニル)−酢酸C1〜10−アルキルエステルの任意的な還元は、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−エタノール(=ヒドロキシチロソール)を形成することであり、その特定の例は以下に記載される。
【0061】
水素化は、本質的に知られているような形で、PdおよびRhなど(別々に、または混合物で)の貴金属触媒の存在下で実行することができる。触媒の活性および安定性を増大させるために、これらは、好ましくは、活性炭、アルミナまたは珪藻土などの担体上で使用される。この場合に好ましい水素化触媒はPd/Cである。
【0062】
水素化は、低級アルカノール、すなわち、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのC1〜10−アルカノールの存在下、好ましくはメタノールまたはエタノール中、好ましくは強酸、好ましくは塩酸の存在下において、好ましくは、周囲温度から100℃以上の温度、好ましくは40〜65℃の温度で、好ましくは、少なくとも水素化温度で溶媒の蒸気圧よりも高い水素圧で実行される。圧力は、標準圧力、すなわち大気圧から100バール以上であり得る。
【0063】
必要に応じて、好ましくは通しの過程として実施される反応は、2つの別個のステップ、すなわち、酸のエステル化によって3,4−ジヒドロキシマンデル酸のエステルが形成される第1のステップと、3,4−ジヒドロキシマンデル酸低級アルキルエステルが水素化される第2のステップとにおいて達成することができる。ヒドロキシチロソールを生じるための(3,4−ジヒドロキシフェニル)−酢酸C1〜10−アルキルエステルの還元は、既知の方法で達成することができる。好ましい還元剤は、LiAlHおよびNaBHなどのアルミニウムおよびホウ素の錯体水素化物である。出発材料の3,4−ジヒドロキシマンデル酸はよく知られており、文献に記載される方法に従って、例えば、カテコールとグリオキシル酸との縮合によって調製することができる。
【0064】
好ましくは、ヒドロキシチロソールは、ヒドロキシチロソール含有オリーブ抽出物の形態で使用される。
【0065】
ヒドロキシチロソールは、少なくとも0.02mg/日の投与量でヒトを含む動物(例えば、約70kgの体重)に投与するのに十分な量で使用される。好ましくは、ヒドロキシチロソールは、ヒトを含む動物(例えば、約70kgの体重)による毎日の消費が1mg/日〜2000mg/日、より好ましくは5mg/日〜500mg/日の範囲であるような濃度で使用される。従って、1日の投与量は、少なくとも約0.3mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜30mg/kg体重の平均投与量であり、最も好ましくは0.1〜10mg/kg体重の投与量が使用される。
【0066】
「純粋なヒドロキシチロソール」の代わりに、ヒドロキシチロソール含有抽出物が使用される場合、使用すべき抽出物の量は、抽出物中の「純粋なヒドロキシチロソール」の濃度から導き出すことができ、最適な投与量を見出すことは当業者にとって日常の実験の問題である。
【0067】
本発明の枠組みにおいて、コンドロイチンとは、反復する二糖類サブユニットで構成される硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)を意味する。コンドロイチンの原料は、ウシの軟骨であり得る。二糖類の鎖は、長さが20〜80で異なる。成人(約70kgの体重)によるコンドロイチンの1日の摂取は、好ましくは、1日当たり100〜2000mgの間であり、より好ましくは1日当たり800〜1200mgの間である。
【0068】
別の態様では、本発明は、有効量の本発明の組成物と、美容的または皮膚科学的に許容可能なキャリアとを含む化粧品または皮膚用製剤(後者の製剤は、医薬品の特定のタイプである)に関する。
【0069】
化粧品または皮膚用組成物はさらに、従来の化粧品または皮膚用アジュバントおよび/または添加剤および/または付加的な活性成分を含むことができる。
【0070】
好ましくは、化粧品または皮膚用製剤は、皮膚の炎症、特に、UV放射によって生じる日焼け、接触性皮膚炎(特に、おむつ領域の皮膚炎)、アトピー性皮膚炎、乾燥症、湿疹、酒さ、脂漏、乾癬、神経皮膚炎、熱傷、光老化の治療、併用治療または予防のため、あるいは、不潔な皮膚(impure skin)の治療、併用治療または予防のためのスキンケア製剤である。不潔な皮膚の例としては、面疱、ざ瘡および他の炎症性の様相を有する皮膚の不潔(impurity)が挙げられる。
【0071】
「有効量」という用語は、好ましくは、化粧品または皮膚用組成物の全重量を基準として、ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンの少なくとも0.001%を意味する。好ましくは、化粧品または皮膚用製剤は、約0.01重量%および20重量%、より好ましくは約0.05重量%および10重量%、さらにより好ましくは約0.1重量%および5重量%の総量のヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む。
【0072】
皮膚に適用すべき化粧品または皮膚用製剤の量は、製剤中の活性成分の濃度および所望の化粧品または医薬品効果に依存する。例えば、クリームが皮膚に塗布されるような適用であり得る。クリームは、通常、皮膚1cm当たりクリーム約1〜2mgの量で塗布される。しかしながら、皮膚に適用される組成物の量は重要ではなく、特定の量の組成物が適用されたときに所望の効果が達成できなければ、より多くの活性成分を含有するより高濃度の活性製剤が使用され得る。
【0073】
また本発明は、皮膚の炎症の美容的治療、併用治療または予防のため、特に、日焼け、接触性皮膚炎(特に、おむつ領域の皮膚炎)、アトピー性皮膚炎、乾燥症、湿疹、酒さ、脂漏、乾癬、神経皮膚炎、熱傷または光老化の美容的治療、併用治療または予防のための化粧品製剤の使用にも関する。
【0074】
また、本発明は、皮膚の炎症、特に、ヒトにおける日焼け、不潔な皮膚(例えば、ざ瘡など)、または慢性皮膚炎症に関連する光老化の治療、併用治療または予防のための方法にも関し、前記方法は、有効量の本発明に係る皮膚用組成物を、それを必要としているヒトに投与するステップを含む。また、本発明は、本発明に係る化粧品製剤による、皮膚の炎症、特に、日焼けまたは不潔な皮膚の美容的治療、併用治療または予防のための方法にも関する。日焼けの予防は、好ましくは、本発明の組成物を含む局所適用により、好ましくは適切な光遮蔽剤と併用して達成される。
【0075】
本発明に係る化粧品または皮膚用製剤は、溶媒または脂肪性物質中の懸濁液または分散液の形態、あるいは乳剤またはミクロエマルジョン(特に、O/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型、ここでOは油相を表し、Wは水相を表す)の形態、例えば、クリーム、ペースト、ローション、粘稠性のローションまたはミルク、小胞状(vesicular)分散液(軟膏、ゲル、固体チューブスティックまたはエアロゾルムースの形態)などであることが可能であり、ムース、フォームまたはスプレーフォーム、スプレー、スティックまたはエアロゾルまたはワイプの形態で提供することができる。化粧品または皮膚用製剤の例は、スキンケア製剤、特に、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、保湿ジェル、保湿スプレー、リバイタライジングボディスプレー、アフターサン製剤またはサンスクリーン製剤である。
【0076】
例えば、日焼け、光老化または不潔な皮膚などの皮膚の炎症の治療、併用治療または予防のための化粧品または皮膚用組成物は経口投与のための従来の形態でよく、その例は上記に記載されており、美容食品およびサプリメントも含まれる。
【0077】
例えば、サンスクリーン製剤またアフターサン製剤としての本発明の化粧品または皮膚用製剤は、さらに、通常の化粧品または皮膚用アジュバントおよび/または添加剤、例えば、保存料/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、付加的な光遮蔽剤、消泡剤、保湿剤、香料、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性ポリマーまたはこれらの混合物、噴射剤、酸性化または塩基性化剤、染料、着色料、顔料またはナノ顔料、光安定剤、防虫剤、皮膚日焼け剤、皮膚増白剤、抗菌剤、保存活性成分、または化粧品中に通常配合される任意の他の成分などを含むことができる。
【0078】
本発明の化粧品または皮膚用製剤中に取り込むことができる光遮蔽剤、例えばサンスクリーン製剤は、IR、UV−A、UV−B、UV−Cおよび/または広帯域フィルタから有利に選択される。UV−Bまたは広域スペクトル遮蔽剤、すなわち約290nmと340nmnmの間の吸収極大を有する物質の例は、有機化合物でも無機化合物でもよい。有機UV−Bまたは広帯域遮蔽剤は、例えば、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、PARSOL(登録商標)340)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルなどのアクリレートと、4−メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、メト硫酸カンファーベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー、テレフタリデンジカンファースルホン酸などのカンファー誘導体と、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)MCX)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン(PARSOL(登録商標)Hydro)、メトキシケイ皮酸イソアミルなどのケイ皮酸誘導体、ならびにシロキサンに結合されたケイ皮酸誘導体と、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N−オキシプロピレン化p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルなどのp−アミノ安息香酸誘導体と、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノンと、4−メトキシベンザルマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル)などのベンザルマロン酸エステルと、欧州特許出願公開第0895776号明細書に記載されるような2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸エステルと、欧州特許出願公開第0358584B1号明細書、欧州特許出願公開第0538431B1号明細書および欧州特許出願公開第0709080A1号明細書に記載されるようなポリシリコーン−15(PARSOL(登録商標)SLX)などのベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサン化合物と、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)と、例えば、2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸およびその塩(PARSOL(登録商標)HS)(2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩のような第1級、第2級および第3級アミンの塩などである)などのイミダゾール誘導体と、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)EHS、NEO Heliopan OS)、サリチル酸イソオクチルまたはサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、PARSOL(登録商標)HMS、NEO Heliopan OS)などのサリチル酸誘導体と、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb HEB)などのトリアジン誘導体とである。カプセル化メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(Eusolex UV−pearls)などのカプセル化UV−フィルタ、またはUV−フィルタが装填されたマイクロカプセルは、欧州特許第1471995号明細書などに開示されている。無機化合物は、微粒子化されたTiO、ZnOなどの顔料である。「微粒子化された」という用語は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。また、TiO粒子は、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの金属酸化物によって、あるいは例えば、ポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによって被覆されてもよい。このようなコーティングは当該技術分野においてよく知られている。
【0079】
広域スペクトルまたはUVA遮蔽剤、すなわち、約320nmと400nmの間の吸収極大を有する物質の例は有機化合物でも無機化合物でもよく、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体と、2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(TINOSORB M)などのベンゾトリアゾール誘導体と、ビス−エチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb S)などと、2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(Neoheliopan AP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンゾイミダゾールスルホン酸または塩と、欧州特許出願公開第1046391号明細書に記載されるような2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul A plus)などのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンと、国際公開第2005080341A1号パンフレットに記載されるようなイオン性UV−Aフィルタと、微粒子化されたZnOまたはTiO2などの顔料とである。「微粒子化された」という用語は、約5nm〜200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。粒子は、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの他の金属酸化物によって、あるいは例えば、ポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによって被覆されてもよい。このようなコーティングは当該技術分野においてよく知られている。
【0080】
ジベンゾイルメタン誘導体は限られた光安定性を有するので、これらのUV−A遮蔽剤を光安定化することが望ましいであろう。従って、「従来のUV−A遮蔽剤」という用語は、例えば、欧州特許出願公開第0514491B1号明細書および欧州特許出願公開第0780119A1号明細書に記載されるような3,3−ジフェニルアクリレート誘導体、米国特許第5,605,680号明細書に記載されるようなベンジリデンカンファー誘導体、欧州特許出願公開第0358584B1号明細書、欧州特許出願公開第0538431B1号明細書および欧州特許出願公開第0709080A1号明細書に記載されるようなベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサンによって安定化された、例えばPARSOL(登録商標)1789などのジベンゾイルメタン誘導体も指す。
【0081】
本発明の化粧品または皮膚用製剤に含まれ得る活性成分は、例えば、ビタミンおよびその誘導体、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、リン酸アスコルビル、ビタミンQ、D、およびK、レチノール、レチナール、レチノイン酸、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビオチン、カロテノイド誘導体、例えばβカロテン、リコペン、アスタキサンチン、野菜抽出物、抗菌成分、不安定なアミノ酸(ジペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含む)、例えばメチオニン、システイン、シスチン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、フェノール、ポリフェノールまたはフラボノイド、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、ユビキノン、例えば補酵素Q10、セラミド、疑似セラミド、精油、植物抽出物デオキシリボ核酸、フィタン酸である。
【0082】
化粧品および皮膚用アジュバント、添加剤および/または付加的な活性成分の必要な量は、所望の製品に基づいて、当業者によって容易に選択することができ、実施例において説明されるが、これらに限定されない。
【0083】
さらに別の実施形態では、本発明は、コンドロイチンの抗炎症活性を増強するためのヒドロキシチロソールの使用に関する。
【0084】
本発明に係る組成物は、別の関節障害、すなわち関節における軟骨分解または軟骨損傷の治療、併用治療または予防にも適しており、従って、関節障害の軟骨分解要素、例えば変形性関節症などの変性関節障害、またはスポーツ傷害の治療にも適していることが分かった。
【0085】
軟骨分解は、本発明の枠組みにおいて、基質メタロプロテアーゼなどの軟骨分解酵素の産生の増大を特徴とする関節軟骨の代謝障害であると定義される。
【0086】
変形性関節症は、老化の間の関節の摩耗および断裂により発生する非炎症性起源の関節の慢性変性疾患であり、疼痛および関節機能の減少を引き起こす。変形性関節症の症状としては、1つまたは複数の関節における疼痛、硬直および可動性の損失が挙げられる。過度の関節負荷は変形性関節症の危険性を増大させ、従って、変形性関節症は、主に、脊椎、膝および股関節などの体重を支持する関節で発症するが、親指および指の関節で発症することもある。関節障害は、傷害、すなわち微小損傷または鈍的外傷、骨折、腱、半月板または靭帯に対する損傷に起因することもあるし、あるいは、過度の機械的ストレス、または例えば傷害または肥満による他の生体力学的不安定性の結果であることもある。
【0087】
軟骨分解による関節障害は、高齢者における身体障害および機能障害の主な原因であり、60歳を超える人々のほぼ80%が、これらの傷害のいくらかの証拠を示す。年齢、遺伝因子、筋肉の不使用および弱さ、外傷、肥満および解剖学的異常は、障害の発生に寄与する。
【0088】
関節障害は、治療が困難である。今までのところ、治療は、主に非ステロイド性抗炎症薬により症状に対処することに大きく制限されている。この薬物は、疼痛を制御し、腫れを抑制するために与えられるが、軟骨への損傷を予防または治療しない。重度の軟骨損傷を抱えている患者は、関節置換手術を含む手術を必要とすることが多い。従って、軟骨の損失および損傷を治療または予防する薬剤が非常に必要とされていたが、この必要性は本発明によって解決された。
【0089】
本発明の組成物は、以下の特性のうちの1つまたは複数を有し得る:
組成物は、関節の健康を維持および/または改善し、関節の硬直を予防し、関節の可動性を促進し、柔軟および/または屈曲性の関節を提供し、関節を潤滑化し、関節炎の疼痛を軽減し、関節の問題を少なくし、関節のケアを提供し、関節分解を治療または予防し、関節の完全性を提供し、関節損傷の進行を遅延または予防し、関節機能を支持し、関節の健康および機能を促進し、活動的な個体に対して関節の健康および可動性を自然に支持し、関節の活動柔軟性を維持し、関節の柔軟性を促進し、そして関節の可動性を促進する。
【0090】
従って、本発明のさらなる目的は:
・ 軟骨再生および維持剤としての本発明に係る組成物の使用と、
・ 関節軟骨の維持および再生のための(組成物を製造するための)本発明に係る組成物の使用と、
・ 哺乳類における(関節)軟骨の再生および/または維持のための方法であって、このような再生および/または維持を必要としている哺乳類に有効量の本発明に係る組成物を投与することを含む方法と
である。
【0091】
本発明の組成物は、さらに、以下の特性のうちの1つまたは複数を有し得る:
組成物は、コラーゲン再生を促進し、張りのある皮膚を支持し、コラーゲン形成を増強し、細胞外基質の形成および再生を増強し、コラーゲン分解を防止し、細胞外基質の分解を防止し、皮膚を鎮静化し、過敏性皮膚を緩和し、均一な色合いを支持し、透明な皮膚を支持し、皮膚の活性化に役立ち、セルライトの防止および/または低減に役立つ。
【0092】
従って、本発明の更なる目的は:
・ コラーゲン再生および維持剤としての本発明に係る薬用化粧品または化粧品組成物の使用、
・ 皮膚におけるコラーゲンの維持および再生のための(組成物を製造するための)本発明に係る薬用化粧品または化粧品組成物の使用、
・ 哺乳類における皮膚コラーゲンの再生および/または維持のための方法であって、このような再生および/または維持を必要としている哺乳類に有効量の本発明に係る組成物を投与することを含む方法と
である。
【0093】
本発明は、以下の実施例によってこれから説明されるが、これらの実施例に限定されない。
【0094】
[実施例]
[実施例1:軟骨細胞(軟骨の蓄積)におけるHTと硫酸コンドロイチンとの相乗効果]
関節軟骨において、同化(蓄積)事象と、異化(破壊)事象との間のバランスは、細胞外基質(ECM)の肥大および過剰な分解をそれぞれ防止するために維持されることが必要である。ECMは、同化事象の間に活性化されるコラーゲン遺伝子(例えば、ヒトコラーゲンI)またはアグリカン遺伝子の産物であるコラーゲンおよびプロテオグリカンの蓄積である。これらの遺伝子またはそれぞれのタンパク質(すなわち、コラーゲンおよびアグリカン)の発現を増大される物質は、軟骨の再生および/または蓄積を支持する。
【0095】
異化事象は、遺伝子、例えば、最終的にコラーゲンを破壊する基質メタロプロテアーゼ(MMP)をコードする遺伝子の発現によって制御される。MMPの中で、MMP−1およびMMP−3は、ECMの分解において、従って軟骨の侵食において主要な役割を果たす。
【0096】
正常ヒト軟骨細胞(膝に由来)(それぞれ、CC−2550、Cambrex)におけるヒトアグリカンまたはコラーゲンIの発現について、コンドロイチンと組み合わせたHTの効果を試験した。OH−チロソール(HT)はCayman ChemicalsまたはDSMから入手し、硫酸コンドロイチン(サメ由来)はSigmaから購入した。化合物を含まない対照実験を同時に行い、これらの遺伝子の発現を比較した。HT(12.5マイクロモル/L)、コンドロイチン(500mg/L)、およびこれらの両方と共に、正常ヒト軟骨細胞を4時間または4日間培養した。mRNAのレベルは、RT−PCR(Richardら、Mol.Nutr.Food Res.49,431−442,2005年)によって決定し、物質を含まずに培養した細胞で観察されたレベルに対して表した。得られた値は、遺伝子発現のレベル(同化および抗異化遺伝子については非刺激細胞[100%に設定]の%、異化遺伝子についてはIL1β処置細胞[100%に設定]の%)を示す。
【0097】
HTの組み合わせは12.5マイクロモル/L(=1.925mg/L)で使用し、硫酸コンドロイチン(CS)は、500mg/Lで試験した。表1に示される結果は、HTがアグリカンまたはコラーゲンなどの同化遺伝子の発現を変化させたことを示す。コンドロイチンによって同様の効果が誘発された。しかし、組み合わせると、遺伝子発現において観察された増大は予測した値を超え、相乗的な相互作用を反映した。反対に、MMPまたはOA誘発インターロイキンIL−1βの発現は相乗的に低減された。
【0098】
【表1】



【0099】
[実施例2]
[化粧品組成物]
以下の組成物は、従来の手順を用いて作ることができる。
【0100】
【表2】



【0101】
[混合の指示]
相AおよびBを完全に均一になるまでそれぞれ80℃に加熱して混合する。
高せん断混合により相Bを相Aに添加する。
相Cを40℃に加熱する。
高せん断混合により相Cを40℃で相ABに添加する。
バッチ混合をゆっくり攪拌しながら冷却する。
【0102】
【表3】



【0103】
[混合の指示]
相Aを80℃に加熱する。
相Bを予めブレンドし、相Aに添加する。
相Cを80℃に加熱する。
相Cを相Aに添加し、40℃まで冷却する。
高せん断混合により相Dをバッチに添加する。
バッチ混合をゆっくり攪拌しながら冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシチロソールおよびコンドロイチンを含む組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシチロソールが、ヒドロキシチロソール含有オリーブ抽出物の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒドロキシチロソール対コンドロイチンの比率が、1対200〜1対1の範囲である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
炎症性障害の治療、併用治療または予防のための薬剤としての、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項5】
関節障害の治療、併用治療および予防のための薬剤としての、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物と、栄養的に許容可能なキャリアとを含む栄養補助食品。
【請求項7】
食品、食糧、ダイエットサプリメント、栄養サプリメント、または食品もしくは食糧のためのサプリメント組成物である請求項6に記載の栄養補助食品。
【請求項8】
ヒドロキシチロソールの量が、1食当たり0.01〜1g、より好ましくは0.2mg〜500mgである請求項6または7に記載の栄養補助食品組成物。
【請求項9】
薬剤として使用するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
炎症性障害の治療、併用治療または予防のための薬剤を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記炎症性障害が関節炎である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記炎症性障害が皮膚の炎症である請求項10に記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む医薬品。
【請求項14】
粉末、錠剤、カプセル、ゲル、液体または固体の形態である請求項13に記載の医薬品。
【請求項15】
皮膚科学的な目的のための請求項13に記載の医薬品。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物と、美容的に許容可能なキャリアとを含む化粧品組成物。
【請求項17】
スキンケア製剤である請求項16に記載の化粧品組成物。
【請求項18】
動物における炎症性障害の治療、併用治療または予防のための方法であって、このような治療を必要としている動物に有効量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項19】
前記炎症性障害が関節炎である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記炎症性障害が皮膚の炎症である請求項18に記載の方法。
【請求項21】
コンドロイチンの抗炎症活性を増強するためのヒドロキシチロソールの使用。
【請求項22】
ヒドロキシチロソールを含有する組成物に有効量のコンドロイチンを添加することを含む、ヒドロキシチロソールの効力の増強方法。

【公表番号】特表2011−506397(P2011−506397A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537447(P2010−537447)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067308
【国際公開番号】WO2009/074644
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】