説明

ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−7−イルアミン誘導体およびその使用

式(I)の化合物はムスカリン性M3レセプター調節活性を有し;
[式中、Aは酸素原子または-N(R12)-基であり;(i) R1はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;R2は水素原子または-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5もしくは-Z-CO2H基であり;R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであるか;または(ii) R1およびR3はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2は水素原子;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合に-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10、-Z-CO-NR9R10、-Z-NR9-CO-R5もしくは-Z-CO2H基であるか;または(iii) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は-Y-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5;または-Z-CO2H基で置換されており、R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;R4は式(a)、(b)、(c)または(d)で示される基であり;C1-C6アルキル、アリール、アリール縮合シクロアルキル、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール(C1-C8アルキル)-、ヘテロアリール(C1-C8アルキル)-、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基であり、残りの変数は本明細書に定義されているとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イルアミン誘導体、医薬組成物、それらの製造方法、およびM3ムスカリン性レセプター媒介疾患、例えば呼吸器疾患の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
抗コリン剤は、副交感神経を通した刺激の通過またはこれに起因する効果を阻止する。これは、ムスカリン性コリン作動性レセプターへの結合を遮断することによりアセチルコリン(Ach)の作用を阻害する該化合物の能力の結果である。
【0003】
M1-M5と称される5つのサブタイプのムスカリン性アセチルコリンレセプター(mAChR)があり、それぞれ明確な遺伝子産物であり、独特の薬理学的特性を示す。mAChRは脊椎動物の器官に広く分布し、これらのレセプターは阻害作用および興奮作用の両方を媒介することができる。例えば気道、膀胱および胃腸管に見られる平滑筋において、M3 mAChRは収縮反応を媒介する(Caulfield, 1993, Pharmac. Ther., 58, 319 - 379によりレビューされる)。
【0004】
肺において、ムスカリン性レセプターM1、M2およびM3は重要であることが示されており、気管、気管支、粘膜下腺および副交感神経節に局在している(Fryer and Jacoby, 1998, Am J Resp Crit Care Med., 158 (5 part 3) S 154 - 160によりレビューされている)。気道平滑筋におけるM3レセプターは収縮を媒介し、それゆえ気管支収縮を媒介する。粘膜下腺に局在するM3レセプターの刺激は粘液分泌をもたらす。
【0005】
ムスカリン性アセチルコリンレセプターを通したシグナリングの増大は、喘息およびCOPDなどの種々の異なる病態生理学的状態にて注目されている。COPDにおいて、迷走神経緊張は、浮腫または粘液を含んだ気道壁の上部に適用された場合には、幾何学的な理由のために、障害を高程度増大するか(Gross et al. 1989, Chest; 96:984-987)および/または引き起こしうる(Gross et al. 1984, Am Rev Respir Dis; 129:856-870)。さらに、炎症状態は、迷走神経刺激に続き、アセチルコリン放出レベルの増大をもたらす阻害M2レセプター活性の欠乏を引き起こしうる(Fryer et al, 1999, Life Sci., 64, (6-7) 449-455)。得られたM3レセプターの活性化の増大は、気道閉塞の増強をもたらす。従って、強力なムスカリン性レセプターアンタゴニストの同定は、増強されたM3レセプター活性が関与する疾患状態の治療上の処置に有用であろう。実際、現代の治療戦略は、COPD患者のための第一線治療としてのM3アンタゴニスト気管支拡張剤の恒常的な使用を支持する(Pauwels et al. 2001, Am Rev Respir Crit Care Med; 163:1256-1276)。
【0006】
膀胱の過収縮性による失禁はまた、M3 mAChRの刺激の増大により媒介されることが示されている。従って、M3 mAChRアンタゴニストは、これらのmAChR媒介疾患における治療剤として有用であることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
気道疾患状態の治療のための抗ムスカリン性レセプター療法の使用を支持する多くの証拠があるにもかかわらず、抗ムスカリン性化合物は肺疾患の適応のための臨床における使用においてはほとんどない。従って、1日1回の投与計画を可能にするM3ムスカリン性レセプター、特に長期間作用する化合物における遮断を引き起こしうる新規化合物の必要性が残存する。ムスカリン性レセプターは体の至る所に広く分布しているため、気道に抗コリン薬を直接的に送達する能力は、投与される薬物の低用量を可能にし、好都合である。長期間作用し、レセプターまたは肺内にて保持される局所的活性薬物の設計および使用により、同じ薬物の全身投与で見ることができる望ましくない副作用の軽減が可能となるだろう。
【0008】
チオトロピウム(SpirivaTM)は、慢性閉塞性肺疾患の治療のために現在市販されており、吸入経路により投与されて長期間作用する、ムスカリン性アンタゴニストである。
【化1】

【0009】
さらに、イプラトロピウムはCOPDの治療のために市販されているムスカリン性アンタゴニストである。
【化2】

【0010】
他のムスカリン性レセプターモジュレータが言及されている。例えば:
US4353922は[2.2.1]アザビシクロヘプタン環系に基づくムスカリン性モジュレータを記載する。EP418716およびUS005610163は種々の[3.2.1]アザビシクロオクタン環系を記載する。WO06/017768は[3.3.1]アザビシクロノナン環系を記載する。[2.2.2]アザビシクロオクタン系(キヌクリジン)は先の文献、例えばUS2005/0209272およびWO06/048225に記載されている。[3.1.0]アザビシクロヘキサン系は例えばWO06/035282に記載されている。[3.2.1]アザビシクロオクタン系は例えばWO06/035303に記載されている。
【0011】
β2アドレナリン作動性レセプターアゴニストのクラスはよく知られている。多くの既知のβ2-アゴニスト、特にサルメテロールおよびフォルモテロールなどの長期間作用するβ2-アゴニストは、喘息およびCOPDの治療における役割を有する。これらの化合物はまた、一般的に吸入により投与することもできる。1日1回β2アゴニストとして現在評価される化合物は文献(Expert Opin. Investig. Drugs 14 (7), 775-783 (2005))に記載されている。よく知られているβ2-アゴニストファーマコフォアは以下の式:
【化3】

で示される部分である。
【0012】
呼吸器疾患の治療における使用のための、ムスカリン性アンタゴニストおよびβ2-アゴニストの両方を含む医薬組成物もまた、当分野に知られている。例えば、US2005/0025718はチオトロピウム、オキソトロピウム、イプラトロピウムおよび他のムスカリン性アンタゴニストと組み合わされたβ2-アゴニストを記載し;WO02/060532はイプラトロピウムとβ2-アゴニストの組合せを記載し、WO02/060533はオキソトロピウムとβ2-アゴニストの組合せを記載する。他のM3アンタゴニスト/β2-アゴニストの組合せはWO04/105759およびWO03/087097に記載されている。
【0013】
同分子内に存在するムスカリン性レセプターアンタゴニストおよびβ2-アゴニスト活性の両方を有する化合物もまた、当分野に知られている。そのような二官能性分子は、二つの別々の作用方法を通した気管支拡張を提供するが、単一分子の薬物動態を有する。そのような分子は治療的使用のために二つの別々の化合物と比較してより容易に製剤化されるべきであり、第三有効成分、例えばステロイドとともにより容易に製剤化することができる。そのような分子は例えばWO04/074246、WO04/089892、WO05/111004、WO06/023457およびWO06/023460に記載されており、それらすべてはM3アンタゴニストをβ2-アゴニストに共有結合するために異なるリンカー基を用いており、リンカー基の構造が両方の活性を保存するために重要ではないことを示す。これは、分子がM3およびβ2レセプターと同時に相互作用するために必要ではないため、驚くべきことではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明に従い、式(I):
【化4】

で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、N-酸化物もしくはプロドラッグ:
[式中、
Aは酸素原子または-N(R12)-基であり;
(i) R1はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;R2は水素原子または-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5;-Z-CO2-R5もしくは-Z-CO2H基であり;R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであるか;
(ii) R1およびR3はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2は水素原子;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合に-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10、-Z-CO-NR9R10、-Z-NR9-CO-R5;-Z-CO2-R5もしくは-Z-CO2H基であるか;または
(iii) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は-Y-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5;-Z-CO2-R5;または-Z-CO2H基で置換されており、R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;
【0015】
R4は式(a)、(b)、(c)または(d):
【化5】

で示される基から選択され;
ZはC1-C16-アルキレン、C2-C16-アルケニレンまたはC2-C16-アルキニレン基であり;
Yは結合または酸素原子であり;
R5はC1-C6-アルキル、アリール、アリール縮合シクロアルキル、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール(C1-C8-アルキル)-、ヘテロアリール(C1-C8-アルキル)-、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基であり;
R6はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R7aおよびR7bはC1-C6-アルキル基またはハロゲンであり;
nおよびmは独立して0、1、2または3であり;
R8aおよびR8bは独立してアリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1-C6-アルキル、シクロアルキルからなる群から選択され;
R8cは-OH、C1-C6-アルキル、ヒドロキシ-C1-C6-アルキル、ニトリル、CONR8d2基または水素原子であり;
R8dはC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
【0016】
R9およびR10は独立して水素原子、C1-C6-アルキル、アリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール(C1-C6-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C6-アルキル)-基であるか;またはR9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、適宜さらに窒素もしくは酸素原子を含んでいてもよい4〜8原子のヘテロ環を形成し;
R12はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
Ar1はアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;
Ar2は独立してアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;
Qは酸素原子、-CH2-、-CH2CH2-または結合である]
を提供する。
【0017】
本発明化合物のあるサブセットにおいて:
Aが酸素原子または-N(R12)-基であり;
R1がC1-C6-アルキルまたは水素原子であり、R2がC1-C6-アルキル、水素原子または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基であるか;またはR1およびR2がそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3が孤立電子対であるか;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであるか;またはR1およびR3がそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2が窒素原子が四級化し陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;
【0018】
R4が式(a)または(b):
【化6】

で示される基から選択され;
ZがC1-C8-アルキレン、C2-C8-アルケニレンまたはC2-C8-アルキニレン基であり;
Yが結合または酸素原子であり;
R5がアリール、ヘテロアリール、アリール(C1-C8-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C8-アルキル)-基であり;
R6がC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R7aおよびR7bが独立してC1-C6-アルキル基またはハロゲンであり;
nおよびmが独立して0、1、2または3であり;
R8aおよびR8bが独立してアリール、ヘテロアリール、C1-C6-アルキル、シクロアルキルからなる群から選択され;
R8cが-OH、C1-C6-アルキル、ヒドロキシ-C1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R9およびR10が独立して水素原子、C1-C6-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C1-C6-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C6-アルキル)-基であるか;またはR9およびR10がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、適宜さらに窒素または酸素原子を含んでいてもよい4〜8原子のヘテロ環を形成し;
R12がC1-C6-アルキルまたは水素原子である。
【0019】
本発明化合物はシン体またはアンチ体のいずれかにて存在する:
【化7】

【0020】
本発明化合物はまた、エキソまたはエンド配向のいずれかの-AR4基でも存在する:
【化8】

【0021】
現在、本発明化合物がアンチ-エンド立体配置にて優先されることが好ましい。
【化9】

【0022】
本発明化合物はまた、置換二環式環系が対称面を欠乏しうるため、光学異性体として存在しうる。分子の絶対配置はCahn-Ingold-Prelog則を用いて定義され、各位にRまたはS記号表示を割り当てることができる。混乱を避けるために、以下に用いられる環番号を用いる。
【化10】

【0023】
しかし、そのようなすべての形態が異なる程度にてムスカリン性M3レセプター調節活性を有するため、本発明化合物はラセミ体、単一の鏡像異性体および任意の割合の鏡像異性体の混合物を含む。
【0024】
本発明化合物の好ましいクラスは、式(I)に示される窒素が第四級窒素であり陽性電荷を有する、式(I)の第四級アンモニウム塩からなる。
【0025】
本発明化合物はムスカリン性レセプターの活性化が関与する疾患の治療または予防に有用であることができ、例えば本発明化合物は、慢性閉塞性肺疾患、すべてのタイプの慢性気管支炎(これに伴う呼吸困難を含む)、喘息(アレルギー性および非アレルギー性;「喘鳴幼児症候群」)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性呼吸障害、気管支活性亢進(bronchial hyperactivity)、肺線維症、肺気腫、およびアレルギー性鼻炎、他の薬物治療、特に他の吸入薬物治療に続く気道過敏性の悪化、塵肺症(例えばアルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿症、石灰肺、羽毛肺、鉄沈着症、珪肺、タバコ症および綿肺)などの気道障害;
過敏性腸症候群、痙攣性大腸炎(spasmodic colitis)、胃十二指腸潰瘍、胃腸痙攣または胃腸運動機能亢進、憩室炎、胃腸平滑筋組織の痙攣を伴う疼痛などの胃腸系障害;神経原生頻尿、神経因性膀胱、夜尿、心因性膀胱、膀胱痙攣または慢性膀胱炎と関連する失禁、尿意逼迫または頻尿などの排尿異常を伴う尿路疾患;乗り物酔い;および
迷走神経刺激誘発洞性徐脈などの心血管障害を含むが、これらに限定されない種々の適応を治療するために有用である。
【0026】
呼吸病態の治療のために、吸入による投与は好ましいことが多く、そのような場合には、第四級アンモニウム塩である化合物(I)の投与が好ましいことが多いだろう。多くの場合に、吸入により投与される本発明の第四級アンモニウム塩の作用期間は、典型的な用量について12時間より、または24時間より長いことがある。胃腸系障害および心血管障害の治療について、非経口経路、通常、経口経路による投与が好ましいことがある。
【0027】
本発明の別の態様は、本発明化合物および医薬的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物である。
【0028】
本発明の別の態様は、ムスカリン性M3レセプター活性が関与する疾患または病態の治療または予防のための医薬の製造のための本発明化合物の使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
専門用語
用いられる文脈において特に制限されなければ、次の用語は本明細書にて用いられるときに次の意味を有する:
「アシル」はアルキル基が本明細書に記載されているとおりである-CO-アルキル基を意味する。典型的なアシル基としては、-COCH3および-COCH(CH3)2が挙げられる。
「アシルアミノ」はRおよびアシルが本明細書に記載されているとおりである-NR-アシル基を意味する。典型的なアシルアミノ基としては、-NHCOCH3および-N(CH3)COCH3が挙げられる。
「アルコキシ」および「アルキルオキシ」はアルキルが下記のとおりである-O-アルキル基を意味する。典型的なアルコキシ基としては、メトキシ(-OCH3)およびエトキシ(-OC2H5)が挙げられる。
「アルコキシカルボニル」はアルキルが下記に定義されているとおりである-COO-アルキル基を意味する。典型的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。
基としてのまたは基の一部としての「アルキル」は鎖中に1〜12、好ましくは1〜6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を意味する。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、1-プロピルおよび2-プロピルが挙げられる。
【0030】
基としてのまたは基の一部としての「アルケニル」は鎖中に2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子および1の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。典型的なアルケニル基としては、エテニル、1-プロペニルおよび2-プロペニルが挙げられる。
基としてのまたは基の一部としての「アルキニル」は鎖中に2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子および1の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。典型的なアルケニル基としては、エチニル、1-プロピニルおよび2-プロピニルが挙げられる。
「アルキルアミノ」はアルキルが上記に定義されているとおりである-NH-アルキル基を意味する。典型的なアルキルアミノ基としては、メチルアミノおよびエチルアミノが挙げられる。
「アルキレン」はアルキルが先に定義されているとおりである-アルキル-基を意味する。典型的なアルキレン基としては、-CH2-、-(CH2)2-および-C(CH3)HCH2-が挙げられる。
「アルケニレン」はアルケニルが先に定義されているとおりである-アルケニル-基を意味する。典型的なアルケニレン基としては、-CH=CH-、-CH=CHCH2-および-CH2CH=CH-が挙げられる。
【0031】
「アルキニレン」は、アルキニルが先に定義されているとおりである-アルキニル-基を意味する。典型的なアルケニレン基としては、-CC-、-CCCH2-および-CH2CC-が挙げられる。
「アルキルスルフィニル」は、アルキルが上記に定義されるとおりである-SO-アルキル基を意味する。典型的なアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニルおよびエチルスルフィニルが挙げられる。
「アルキルスルホニル」は、アルキルが上記に定義されるとおりである-SO2-アルキル基を意味する。典型的なアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニルおよびエチルスルホニルが挙げられる。
「アルキルチオ」は、アルキルが上記に定義されるとおりである-S-アルキル基を意味する。典型的なアルキルチオ基としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。
「アミノアシル」は、Rが本明細書に記載されているとおりである-CO-NRR基を意味する。典型的なアミノアシル基としては、-CONH2および-CONHCH3が挙げられる。
「アミノアルキル」は、アルキルが先に記載されているとおりであるアルキル-NH2基を意味する。典型的なアミノアルキル基としては、-CH2NH2が挙げられる。
【0032】
「アミノスルホニル」は、Rが本明細書に記載されているとおりである-SO2-NRR基を意味する。典型的なアミノスルホニル基としては、-SO2NH2および-SO2NHCH3が挙げられる。
基としてのまたは基の一部としての「アリール」は、6〜14の炭素原子、好ましくは6〜10の炭素原子の適宜置換されていてもよい単環式または多環式の芳香族炭素環部分、例えばフェニルまたはナフチルを示す。アリール基は1以上の置換基で置換することができる。
「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキル部分が先に記載されているとおりであるアリール-アルキル-基を意味する。好ましいアリールアルキル基はC1-4アルキル部分を含む。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチルおよびナフタレンメチルが挙げられる。そのアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
「アリールアルキルオキシ」は、アリールおよびアルキルオキシ部分が先に記載されているとおりであるアリール-アルキルオキシ-基を意味する。好ましいアリールアルキルオキシ基はC1-4アルキル部分を含む。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジルオキシが挙げられる。そのアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
【0033】
「アリール縮合シクロアルキル」は、アリールおよびシクロアルキルが本明細書に記載されているとおりであるシクロアルキル基と縮合した、フェニルなどの単環式アリール環を意味する。典型的なアリール縮合シクロアルキル基としては、テトラヒドロナフチルおよびインダニルが挙げられる。アリールおよびシクロアルキル環はそれぞれ、1以上の置換基で置換することができる。アリール縮合シクロアルキル基は、化合物の残りの原子と任意の可能な炭素原子により結合することができる。
「アリール縮合ヘテロシクロアルキル」は、アリールおよびヘテロシクロアルキルが本明細書に記載されているとおりであるヘテロシクロアルキル基と縮合した、フェニルなどの単環式アリール環を意味する。典型的なアリール縮合ヘテロシクロアルキル基としては、テトラヒドロキノリニル、インドリニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾフラニルおよびイソインドロニルが挙げられる。アリールおよびヘテロシクロアルキル環はそれぞれ、1以上の置換基で置換することができる。アリール縮合ヘテロシクロアルキル基は、化合物の残りの原子と任意の可能な炭素または窒素原子により結合することができる。
【0034】
「アリールオキシ」は、アリールが上記のとおりである-O-アリール基を意味する。典型的なアリールオキシ基としては、フェノキシが挙げられる。そのアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
「環状アミン」は、「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環」の特定の場合であり、環炭素原子の一つが窒素で置き換えられており、適宜O、SまたはNR(ここに、Rは本明細書に記載されているとおりである)から選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい、適宜置換されていてもよい3〜8員の単環式シクロアルキル環系を意味する。典型的な環状アミンとしては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジンおよびN-メチルピペラジンが挙げられる。環状アミン基は1以上の置換基で置換することができる。
「シクロアルキル」は、3〜12の炭素原子、好ましくは3〜8の炭素原子、より好ましくは3〜6の炭素原子の適宜置換されていてもよい飽和単環式または二環式環系を意味する。典型的な単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。シクロアルキル基は1以上の置換基で置換することができる。
【0035】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルおよびアルキル部分が先に記載されているとおりであるシクロアルキル-アルキル-基を意味する。典型的な単環式シクロアルキルアルキル基としては、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘプチルメチルが挙げられる。そのシクロアルキル部は1以上の置換基で置換することができる。
「ジアルキルアミノ」は、アルキルが上記に定義されるとおりである-N(アルキル)2基を意味する。典型的なジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが挙げられる。
「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。好ましくはフルオロまたはクロロである。
【0036】
「ハロアルコキシ」はアルキルが1以上のハロゲン原子で置換される-O-アルキル基を意味する。典型的なハロアルキル基としては、トリフルオロメトキシおよびジフルオロメトキシが挙げられる。
「ハロアルキル」は1以上のハロ原子で置換されるアルキル基を意味する。典型的なハロアルキル基としては、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0037】
基としてのまたは基の一部としての「ヘテロアリール」は、5〜14の環原子、好ましくは5〜10の環原子(ここに、1以上の環原子は炭素以外の原子、例えば窒素、酸素または硫黄である)の適宜置換されていてもよい芳香族の単環式または多環式有機部分を示す。そのような基の例としては、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、テトラゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアゾリル、チエニルおよびトリアゾリル基が挙げられる。ヘテロアリール基は1以上の置換基で置換することができる。ヘテロアリール基は、本発明化合物の残りの部分と任意の可能な炭素または窒素原子により結合することができる。
【0038】
「ヘテロアリールアルキル」はヘテロアリールおよびアルキル部分が先に記載されているとおりであるヘテロアリール-アルキル-基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキル基は低級アルキル部分を含む。典型的なヘテロアリールアルキル基としては、ピリジルメチルが挙げられる。そのヘテロアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
【0039】
「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヘテロアリールおよびアルキルオキシ部分が先に記載されているとおりであるヘテロアリール-アルキルオキシ-基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキルオキシ基は低級アルキル部分を含む。典型的なヘテロアリールアルキルオキシ基としては、ピリジルメチルオキシが挙げられる。そのヘテロアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
【0040】
「ヘテロアリールオキシ」はヘテロアリールが先に記載されているとおりであるヘテロアリールオキシ-基を意味する。典型的なヘテロアリールオキシ基としては、ピリジルオキシが挙げられる。そのヘテロアリール部は1以上の置換基で置換することができる。
【0041】
「ヘテロアリール縮合シクロアルキル」は、ヘテロアリールおよびシクロアルキルが先に記載されているとおりである、シクロアルキル基と縮合したピリジルまたはフラニルなどの単環式ヘテロアリール基を意味する。典型的なヘテロアリール縮合シクロアルキル基としては、テトラヒドロキノリニルおよびテトラヒドロベンゾフラニルが挙げられる。ヘテロアリールおよびシクロアルキル環はそれぞれ、1以上の置換基で置換することができる。ヘテロアリール縮合シクロアルキル基は、化合物の残りの原子と任意の可能な炭素または窒素原子により結合することができる。
【0042】
「ヘテロアリール縮合ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルが先に記載されているとおりである、ヘテロシクロアルキル基と縮合したピリジルまたはフラニルなどの単環式ヘテロアリール基を意味する。典型的なヘテロアリール縮合ヘテロシクロアルキル基としては、ジヒドロジオキシノピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、ジヒドロフラノピリジニルおよびジオキソロピリジニルが挙げられる。ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル環はそれぞれ、1以上の置換基で置換することができる。ヘテロアリール縮合ヘテロシクロアルキル基は化合物の残りの原子と任意の可能な炭素または窒素原子により結合することができる。
【0043】
「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環」は:(i) O、SまたはNRから選択される1以上のヘテロ原子を含む、4〜8の環メンバーの適宜置換されていてもよいシクロアルキル基;(ii) CONRおよびCONRCOを含む4〜8の環メンバーのシクロアルキル基(そのような基の例としてはスクシンイミジルおよび2-オキソピロリジニルが挙げられる)を意味する。ヘテロシクロアルキル基は1以上の置換基で置換することができる。ヘテロシクロアルキル基は化合物の残りの原子と任意の可能な炭素または窒素原子により結合することができる。
【0044】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」または「ヘテロ環アルキル」は、ヘテロシクロアルキルおよびアルキル部分が先に記載されているとおりであるヘテロシクロアルキル-アルキル-基を意味する。
【0045】
基としての「低級アルキル」は、特に明記されなければ、鎖中に1〜4の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であることができる脂肪族炭化水素基、すなわちメチル、エチル、プロピル(プロピルもしくはイソ-プロピル)またはブチル(ブチル、イソ-ブチルもしくはtert-ブチル)を意味する。
【0046】
「スルホニル」はアルキルが本明細書に記載されているとおりである-SO2-アルキル基を意味する。典型的なスルホニル基としてはメタンスルホニルが挙げられる。
【0047】
「スルホニルアミノ」はRおよびスルホニルが本明細書に記載されているとおりである-NR-スルホニル基を意味する。典型的なスルホニルアミノ基としては、-NHSO2CH3が挙げられる。Rは本明細書に記載のアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。
【0048】
「医薬的に許容される塩」は生理学的または毒物学的に耐えうる塩を意味し、適切な場合には、医薬的に許容される塩基付加塩、医薬的に許容される酸付加塩および医薬的に許容される第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、(i) 本発明化合物が1以上のカルボキシ基などの酸性基を含む場合、形成されうる医薬的に許容される塩基付加塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウム塩、または有機アミン、例えばジエチルアミン、N-メチル-グルカミン、ジエタノールアミンまたはアミノ酸(例えばリジン)などとの塩が挙げられ;(ii) 本発明化合物がアミノ基などの塩基性基を含む場合、形成されうる医薬的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩などが挙げられ;(iii) 化合物が第四級アンモニウム基を含む場合、許容される対イオンは例えば塩化物、臭化物、硫化物、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート(トシレート)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩などであることができる。
【0049】
本明細書において、本発明化合物が医薬的に許容される塩も含むことを意味することが理解されよう。
【0050】
「プロドラッグ」は、本発明化合物に対するインビボにおける代謝手段により(例えば加水分解、還元または酸化により)変換可能な化合物を意味する。例えばヒドロキシ基を含む本発明化合物のエステルプロドラッグは、インビボにおける親分子への加水分解により両立可能であることができる。ヒドロキシ基を含む本発明化合物の適切なエステルは、例えばアセテート、クエン酸エステル、ラクテート、酒石酸エステル、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、スクシネート、フマレート、マレエート、メチレン-ビス-β-ヒドロキシナフトエート、ゲンチシン酸エステル、イソチオネート、ジ-p-トルオイル酒石酸エステル(di-p-toluoyltartrate)、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメートおよびキネートである。別の例として、カルボキシ基を含む本発明化合物のエステルプロドラッグは、インビボにおける親分子への加水分解により両立可能であることができる。エステルプロドラッグの例は、F. J. Leinweber, Drug Metab. Res., 1987, 18, 379により記載される。
【0051】
本明細書において、本発明化合物がプロドラッグ形態も含むことを意味することが理解されよう。
【0052】
「飽和」は任意の炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を有しない化合物および/または基にふさわしい。
【0053】
「適宜置換されていてもよい」は4までの置換基で適宜置換されていてもよいことを意味する。適宜の置換基としては、アシル(例えば-COCH3)、アルコキシ(例えば-OCH3)、アルコキシカルボニル(例えば-COOCH3)、アルキルアミノ(例えば-NHCH3)、アルキルスルフィニル(例えば-SOCH3)、アルキルスルホニル(例えば-SO2CH3)、アルキルチオ(例えば-SCH3)、-NH2、アミノアシル(例えば-CON(CH3)2)、アミノアルキル(例えば-CH2NH2)、アリールアルキル(例えば-CH2Phまたは-CH2-CH2-Ph)、シアノ、ジアルキルアミノ(例えば-N(CH3)2)、ハロ、ハロアルコキシ(例えば-OCF3または-OCHF2)、ハロアルキル(例えば-CF3)、アルキル(例えば-CH3または-CH2CH3)、-OH、-NO2、アリール(適宜アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アルキルまたはハロアルキルで置換されていてもよい)、ヘテロアリール(適宜アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アルキルまたはハロアルキルで置換されていてもよい)、ヘテロシクロアルキル、アミノアシル(例えば-CONH2、-CONHCH3)、アミノスルホニル(例えば-SO2NH2、-SO2NHCH3)、アシルアミノ(例えば-NHCOCH3)、スルホニルアミノ(例えば-NHSO2CH3)、ヘテロアリールアルキル、環状アミン(例えばモルホリン)、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ(例えばベンジルオキシ)およびヘテロアリールアルキルオキシが挙げられる。
【0054】
アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基は適宜置換されていてもよい。上記の基の適宜の置換基としては、アルコキシ(例えば-OCH3)、アルキルアミノ(例えば-NHCH3)、アルキルスルフィニル(例えば-SOCH3)、アルキルスルホニル(例えば-SO2CH3)、アルキルチオ(例えば-SCH3)、-NH2、アミノアルキル(例えば-CH2NH2)、アリールアルキル(例えば-CH2Phまたは-CH2-CH2-Ph)、シアノ、ジアルキルアミノ(例えば-N(CH3)2)、ハロ、ハロアルコキシ(例えば-OCF3または-OCHF2)、ハロアルキル(例えば-CF3)、アルキル(例えば-CH3または-CH2CH3)、-OHおよび-NO2が挙げられる。
【0055】
本発明化合物は、シス体およびトランス体、E体およびZ体、R体、S体およびメソ体、ケト体およびエノール体が挙げられるが、これらに限定されない、1以上の幾何異性体、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび互変異性体が存在しうる。特に明記されなければ、特定の化合物としては、ラセミ体およびその他の混合物を含むすべてのそのような異性体が挙げられる。適切な場合には、そのような異性体は既知の方法(例えばクロマトグラフィー法および再結晶)の適用または適応によりそれらの混合物から分離することができる。適切な場合には、そのような異性体は既知の方法(例えば不斉合成)の適用または適応により製造することができる。
【0056】
R1、R2およびR3
R1、R2およびR3基の3つの組合せがある。
【0057】
組合せにおいて、(i) R1はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;R2は水素原子または-R5基または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基;または-Z-CO-NR9R10基;または-Z-NR9-CO-R5基;または-Z-CO2-R5基;または-Z-CO2H基であり;R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;
【0058】
組合せにおいて、(ii) R1およびR3はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2は水素原子であるか;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合に、-R5基または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基または-Z-CO-NR9R10基または-Z-NR9-CO-R5基または-Z-CO2-R5基または-Z-CO2H基である。特に、R1およびR3はそれらが結合している窒素と一緒になって、3〜7の環原子の単環式環を形成することができ、ここに、ヘテロ原子は窒素である。そのような環の例としては、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、メチルピペラジニルなどのN置換ピペラジニルおよびピロリジニル環が挙げられる。
【0059】
組合せにおいて、(iii) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は-Y-R5基または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基;または-Z-CO-NR9R10基;または-Z-NR9-CO-R5基;または-Z-CO2-R5基;または-Z-CO2H基で置換されており、R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルである。特に、R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒になって、3〜7の環原子の単環式環を形成することができ、ここに、ヘテロ原子は窒素である。そのような環の例としては、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、メチルピペラジニルなどのN置換ピペラジニルおよびピロリジニル環が挙げられる。
【0060】
-R5基または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基;または-Z-CO-NR9R10基;または-Z-NR9-CO-R5基;または-Z-CO2-R5基;または-Z-CO2H基がR2に存在するか、または環がR1、R2およびそれらが結合している窒素により形成される場合:
Zは例えば後半が適宜鎖中の3までの炭素にてメチルで置換されていてもよい-(CH2)1-16-であることができ;
Yは結合または-O-であり;
【0061】
R5は、
メチル、エチル、n-またはイソプロピル、n-、sec-またはtertブチルなどのC1-C6-アルキル;
適宜置換されていてもよい、フェニルもしくはナフチルなどのアリールまたは3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニルもしくはジヒドロベンゾフラニルなどのアリール縮合ヘテロシクロアルキル;
適宜置換されていてもよい、ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルなどのヘテロアリール;
アリール部分が予め具体的に示されているアリール基のいずれかであり、-(C1-C6-アルキル)-部分が-CH2-または-CH2CH2-であるような適宜置換されていてもよいアリール(C1-C6-アルキル)-;
適宜置換されていてもよい、インダニルまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルなどのアリール縮合シクロアルキル;
ヘテロアリール部分が予め具体的に示されているヘテロアリール基のいずれかであり、-(C1-C6-アルキル)-部分が-CH2-または-CH2CH2-であるような適宜置換されていてもよいヘテロアリール(C1-C8-アルキル)-;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの適宜置換されていてもよいシクロアルキル;または
ヘテロシクロアルキル部分がアゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、メチルピペラジニルなどのN置換ピペラジニル、またはピロリジニルであり、-(C1-C6-アルキル)-部分が-CH2-または-CH2CH2-であるような適宜置換されていてもよいヘテロシクロアルキル(C1-C8-アルキル)-であることができ;
【0062】
R9およびR10は、独立して水素;メチル、エチルまたはn-もしくはイソプロピルなどのC1-C6-アルキル;または上記R5について具体的に示されている適宜置換されていてもよいアリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリール(C1-C8-アルキル)-基のいずれかから選択されることができ;または
R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、適宜さらなる窒素または酸素原子を含んでいてもよい4-8の環原子、好ましくは4-6の環原子のヘテロ環、例えばアゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、メチルピペラジニルなどのN置換ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルを形成することができる。
【0063】
現在好ましいものは、-NR1R2R3基において、R1がメチルまたはエチルであり、R2が上記-Z-Y-R5基(ここに、特にR5はフェニル、ベンジルまたはフェニルエチルなどの環状親油基であり、Yは結合または-O-であり、-Z-は窒素および-YR5が12まで、例えば9までの炭素原子の鎖により連結している直鎖または分枝鎖アルキレン基である)であり、R3が窒素が四級化し陽性電荷を有するようなメチルである、本発明化合物である。
【0064】
A基
Aは酸素原子または-N(R12)-基(ここに、R12はC1-C6-アルキル(メチルまたはエチルなど)であるか、またはR12は水素原子である)である。現在好ましくは、Aが-O-の場合である。
【0065】
R4
R4は式(a)、(b)、(c)または(d):
【化11】

で示される基の一つから選択される。
【0066】
(a)基において、R6はメチルもしくはエチルなどのC1-C6-アルキルまたは水素原子であることができ;Ar1はフェニル、ヘテロアリール基(チエニル、特に2-チエニルなど)などのアリール基、またはシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピルもしくはシクロブチルなどのシクロアルキル基であることができ;環置換基R7aおよびR7bは独立してメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、n-、sec-もしくはtertブチルなどのC1-C6-アルキル基、またはフルオロ、クロロもしくはブロモなどのハロゲンであることができ;mおよびnは独立して0、1、2または3であることができる。
【0067】
(b)および(d)基において、R8aおよびR8bは独立して上記R5について具体的に記載されるアリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、ヘテロアリール、C1-C6-アルキルまたはシクロアルキル基のいずれかから選択することができる。R8cは-OH、水素原子、メチルもしくはエチルなどのC1-C6-アルキル、ヒドロキシメチルなどのヒドロキシ-C1-C6-アルキル、ニトリル、またはCONR8d2基(ここに、R8dはそれぞれ、独立してメチルもしくはエチルなどのC1-C6-アルキル、または水素原子である)であることができる。現在好ましくは、R8cが-OHの場合である。R8aおよびR8bの好ましい組合せとしては、特にR8cが-OHの場合には、(i) R8aおよびR8bがそれぞれ、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、フリルおよび特に2-チエニルなどのチエニルなどの5または6の環原子の適宜置換されていてもよい単環式ヘテロアリールであるもの;(ii) 適宜置換されていてもよいフェニルであるもの;(iii) R8aおよびR8bの一方が適宜置換されていてもよいフェニルであり、他方がシクロプロピル、シクロブチルまたは特にシクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルであるもの;および(iv) R8aおよびR8bの一方がピリジル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリルまたはフリルなどの5または6の環原子の適宜置換されていてもよい単環式ヘテロアリールであり;他方がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルであるものが挙げられる。
【0068】
(c)基において、R8cは-OH、水素原子、メチルもしくはエチルなどのC1-C6-アルキル、ヒドロキシメチルなどのヒドロキシ-C1-C6-アルキル、ニトリル、またはCONR8d2基(ここに、R8dはそれぞれ、独立してメチルもしくはエチルなどのC1-C6-アルキル、または水素原子である)であることができる。現在好ましくは、R8cが-OHである場合である。Ar2はそれぞれアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル環であり、例えば上記R5について具体的に記載されているアリール、ヘテロアリール、C1-C6-アルキルまたはシクロアルキル環のいずれかであることができる。好ましい環Ar2としては、フェニルが挙げられる。二つの環Ar2の間の架橋-Qは-O-、-CH2-または-CH2CH2-である。
【0069】
R4の(a)、(b)、(c)および(d)基のうち、R4が(b)または(c)基であるものが現在好ましい。
【0070】
本発明が関係する化合物の好ましいサブクラスは式(IA):
【化12】

[式中、環Aは適宜置換されていてもよいフェニル環、または5もしくは6の環原子の単環式ヘテロ環、またはフェニル縮合ヘテロシクロアルキル環系(ここに、ヘテロシクロアルキル環は5または6の環原子の単環式ヘテロ環である)であり;R8aはフェニル、チエニル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;R8bはフェニル;チエニル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;sは1、2、3、4、5、6または7であり、tは0、1、2、3、4、5、6または7であるが、但し、s+tは10以下であり;Yは結合または-O-であり、X-は医薬的に許容されるアニオンである]
で示される化合物からなる。化合物(IA)において、環Aが(i) 適宜の置換基がアルコキシ、ハロ、特にフルオロまたはクロロ、C1-C3-アルキル、アミノ C1-C3-アシル、アミノ C1-C3-アルキルおよびアミノスルホニルから選択される、適宜置換されていてもよいフェニル、または(ii) フェニル縮合ヘテロシクロアルキル環系(ここに、ヘテロシクロアルキル環はジヒドロベンゾフラニルなどの5または6の環原子の単環式ヘテロ環である)であるものが現在好ましい。
【0071】
本発明が関係する化合物の別の好ましいサブクラスは式(IB):
【化13】

[式中、環Bは適宜置換されていてもよいフェニル環または5もしくは6の環原子の単環式ヘテロ環またはアリール縮合ヘテロシクロアルキル環であり;sは1、2、3、4、5、6または7であり、tは0、1、2、3、4、5、6または7であるが、但し、s+tが10以下であり;Yは結合または-O-であり;X-は医薬的に許容されるアニオンである]
で示される化合物からなる。化合物(IB)において、環Bが(i) 適宜の置換基がアルコキシ、ハロ、特にフルオロもしくはクロロ、C1-C3-アルキル、アミノ C1-C3-アシル、アミノ C1-C3-アルキルおよびアミノスルホニルから選択される適宜置換されていてもよいフェニル、または(ii) ヘテロシクロアルキル環がジヒドロベンゾフラニルなどの5または6の環原子の単環式ヘテロ環である、フェニル縮合ヘテロシクロアルキルであるものが現在好ましい。
【0072】
(IA)および(IB)の両方のサブクラスにおいて、s+tは例えば1、2、3、4、5、6または7であることができ、tが0、1、2、3、4、5または6であり、sが1、2、3、4、5、6または7であるようなtおよびsの適切な組合せからもたらされうる。化合物(IA)および(IB)において、t、Yおよびsの現在好ましい組合せはtが0であり、sが3であり、Yが-O-であるものである。さらに現在好ましい組合せは、Yが結合であり、s+tが2、3または4であるものである。
【0073】
一般に本発明化合物における両方のサブクラス(IA)および(IB)において、主にアンチ-エンド立体配置である化合物が好ましい。
【0074】
本発明化合物の例としては、本明細書の実施例のものが挙げられる。好ましい本発明化合物としては:
アンチ-2-(ビフェニル-2-イルカルバモイルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニル-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(±)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニル-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-フェネチル-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(4-フェニル-ブチル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-トリメチル-アンモニウム塩、
(2-ベンジルオキシ-エチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) 2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-[2-(9H-キサンテン-9-カルボニルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) 2-(9-ヒドロキシ-9H-キサンテン-9-カルボニルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-インダン-2-イル-ジメチル-アンモニウム塩、
(ベンジルカルバモイル-メチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウム塩、
[2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾフラン-5-イル)-エチル]-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウム塩が挙げられる。
【0075】
上記の発明の背景に述べられているように、二重M3レセプターアンタゴニストおよびβ2-アドレナリンレセプターアゴニスト活性を有する化合物が知られており、そのような二重活性化合物による呼吸器疾患の治療は治療の公認の形態である。そのような二重活性機序を有する化合物の提供のための既知の戦略は、M3レセプターアンタゴニスト活性を有する化合物とβ2-アドレナリンレセプターアゴニスト活性を有する化合物の単一の共有結合である。そのような上記に定義され記載されているM3レセプターアゴニスト化合物(I)およびβ2-アドレナリンレセプターアゴニストの共有コンジュゲートもまた、本発明の一部を形成する。例えば、そのような二重活性コンジュゲートは、R2基の-L-B基(ここに、Lはリンカー基であり、Bはβ2アドレナリンレセプターアゴニスト活性を有する部分である)による置換により改変された、上記に定義され記載される式(I)の化合物を含む。構造的に、そのような二重活性コンジュゲートは式(III):
【化14】

[式中、R1、R2およびR4は本発明の化合物(I)との関連で上記に定義され記載されているとおりであり、Lは二価リンカー基であり、Bは上記の発明の背景に述べられているβ2-アゴニストファーマコフォアなどのβ2-アドレナリンレセプターアゴニスト活性を有する部分である]
で示されるものとして示すことができる。そのような化合物(III)は本発明の別の態様を形成する。そのような化合物の例は本明細書の実施例番号41のものがある。
【0076】
本発明はまた、有効成分として本発明化合物を含む医薬製剤にも関する。他の化合物は肺の炎症性疾患の予防および治療のための本発明化合物と併用することができる。従って、本発明はまた、治療的有効量の本発明化合物および1以上の他の治療剤を含む、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸障害、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎などの気道障害を予防し、治療するための医薬組成物にも関する。
【0077】
他の化合物は肺の炎症性疾患の予防および治療のために本発明化合物と併用することができる。従って、本発明は、上記の本発明の薬剤と1以上の抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤または抗咳剤との組合せ、上記の本発明の薬剤、および同一または異なる医薬組成物にて存在し別々にまたは同時に投与される併用剤を含む。好ましい組合せは2または3の異なる医薬組成物を有するだろう。本発明化合物との併用療法のための適切な治療剤としては、以下のものが挙げられる:
【0078】
PDE3阻害剤などの1以上の他の気管支拡張剤;
テオフィリンなどのメチルキサンチン;
他のムスカリン性レセプターアンタゴニスト;
コルチコステロイド、例えばプロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド、フロ酸モメタゾンもしくはブデソニド、またはWO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920記載のステロイド;
【0079】
非ステロイドグルココルチコイドレセプターアゴニスト;
β2-アドレナリンレセプターアゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、サルメテロール、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、プロカテロール、カルモテロール、インダカテロール、ホルモテロール、アルホルモテロール、ピクメテロール、GSK-159797、GSK-597901、GSK-159802、GSK-64244、GSK-678007、TA-2005、およびEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、US2005/0133417、US2005/5159448、WO00/075114、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/016601、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO0439762、WO04/39766、WO04/45618、WO04/46083、WO04/71388、WO04/80964、EP1460064、WO04/087142、WO04/89892、EP01477167、US2004/0242622、US2004/0229904、WO04/108675、WO04/108676、WO05/033121、WO05/040103、WO05/044787、WO04/071388、WO05/058299、WO05/058867、WO05/065650、WO05/066140、WO05/070908、WO05/092840、WO05/092841、WO05/092860、WO05/092887、WO05/092861、WO05/090288、WO05/092087、WO05/080324、WO05/080313、US20050182091、US20050171147、WO05/092870、WO05/077361、DE10258695、WO05/111002、WO05/111005、WO05/110990、US2005/0272769 WO05/110359、WO05/121065、US2006/0019991、WO06/016245、WO06/014704、WO06/031556、WO06/032627、US2006/0106075、US2006/0106213、WO06/051373、WO06/056471記載の化合物;
【0080】
ロイコトリエンモジュレータ、例えばモンテルカスト、ザフィルカストまたはプランルカスト;
マトリックスメタロプロテアーゼ、例えばMMP-12の阻害剤などのプロテアーゼ阻害剤およびマリマスタット、DPC-333、GW-3333などのTACE阻害剤;
ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、例えばシベレスタットおよびWO04/043942、WO05/021509、WO05/021512、WO05/026123、WO05/026124、WO04/024700、WO04/024701、WO04/020410、WO04/020412、WO05/080372、WO05/082863、WO05/082864、WO03/053930記載のもの;
ホスホジエステラーゼ-4(PDE4)阻害剤、例えばロフルミラスト、アロフィリン、シロミラスト、ONO-6126またはIC-485;
ホスホジエステラーゼ-7阻害剤;
【0081】
抗咳剤、例えばコデインまたはデキストラモルファン(dextramorphan);
キナーゼ阻害剤、特にP38 MAPキナーゼ阻害剤;
P2X7アンタゴニスト;
iNOS阻害剤;
非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えばイブプロフェンまたはケトプロフェン;
【0082】
ドーパミンレセプターアンタゴニスト;
TNF-α阻害剤、例えばレミケードおよびCDP-870などの抗TNFモノクローナル抗体、およびエンブレルなどのTNFレセプター免疫グロブリン分子;
A2aアゴニスト、例えばEP1052264およびEP1241176記載のもの;
A2bアンタゴニスト、例えばWO2002/42298記載のもの;
ケモカインレセプター機能のモジュレータ、例えばSB-332235、SB-656933、SB-265610、SB-225002、MCP-1(9-76)、RS-504393、MLN-1202、INCB-3284などのCCR1、CCR2、CCR3、CXCR2、CXCR3、CX3CR1およびCCR8のアンタゴニスト;
プロスタノイドレセプターの作用を調節する化合物、例えばPGD2(DP1またはCRTH2)、またはトロンボキサンA2アンタゴニスト、例えばラマトロバン;
Th1またはTh2機能を調節する化合物、例えばPPARアゴニスト;
インターロイキン1レセプターアンタゴニスト、例えばキネレット;
インターロイキン10アゴニスト、例えばイロデカキン;
HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン);例えばロスバスタチン、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチンおよびフルバスタチン;
粘液調節剤、例えばINS-37217、ジクアホソル、シベナデット(sibenadet)、CS-003、タルネタント、DNK-333、MSI-1956、ゲフィチニブ;
抗感染薬(抗生剤または抗ウイルス剤)および抗ヒスタミン剤を含むがこれらに限定されない抗アレルギー薬。
【0083】
第一および第二有効成分の重量比は変化しうり、各成分の有効量に依存するだろう。一般に、それぞれの有効量が用いられよう。
【0084】
任意の適切な投与経路は哺乳動物、特にヒトに有効量の本発明化合物を与えるために用いることができる。治療用途において、活性化合物は任意の好都合の、適切なまたは有効な経路により投与することができる。適切な投与経路は当業者に知られており、経口、静脈内、直腸、非経口、局所、眼、鼻腔、口腔および肺を含む。
【0085】
本発明化合物の予防的または治療的用量の規模はもちろん、用いられる具体的な化合物の活性、患者の年齢、体重、食事、一般的健康および性別、投与時間、投与経路、排泄速度、任意の他の薬物の使用、および治療を受ける疾患の重篤度などの因子の範囲に依存して変化するだろう。一般に、吸入のための日用量範囲は、単一または分割用量にて約0.1μg〜約10 mg/ヒトの体重kg、好ましくは0.1μg〜約0.5 mg/kg、より好ましくは0.1μg〜50μg/kgの範囲内であろう。一方、いくつかの場合には、これらの限界外の投与量を用いることが必要であることがある。吸入による投与に適切な組成物は、知られており、そのような組成物における使用に知られている担体および/または希釈剤を含むことができる。組成物は0.01〜99重量%の活性化合物を含むことができる。好ましくは、単位用量は活性化合物を1μg〜10 mgの量にて含む。経口投与のために、適切な用量は10μg/kg〜100 mg/kg、好ましくは40μg/kg〜4 mg/kgである。
【0086】
本発明の別の態様は、本発明化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物のように、用語「組成物」は、有効成分、および担体を構成する不活性成分(医薬的に許容される賦形剤)、ならびに任意の2以上の成分の組合せ、複合化もしくは凝集、または1以上の成分の解離、または1以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用を直接的または間接的にもたらす任意の生成物を含む生成物を包含するものである。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物、別の有効成分および医薬的に許容される賦形剤を混合することにより製造される任意の組成物を包含する。
【0087】
本発明の医薬組成物は有効成分としての本発明化合物またはその医薬的に許容される塩を含み、医薬的に許容される担体および適宜他の治療成分を含むこともできる。用語「医薬的に許容される塩」は、無機塩基または無機酸および有機塩基または有機酸などの医薬的に許容される無毒性の塩基または酸から製造される塩、および第四級アンモニウム化合物と医薬的に許容される対イオンとの塩を意味する。
【0088】
吸入による送達のために、活性化合物は好ましくは微粒子の形態である。それらはスプレー乾燥、凍結乾燥および微粉化などの種々の技術により製造することができる。
【0089】
例の目的で、本発明の組成物は、噴霧器からの送達のための懸濁剤として、または例えば定量噴霧式吸入器(PMDI)における使用のための液体プロペラントにおけるエアロゾルとして製造することができる。PMDIにおける使用に適切なプロペラントは当業者に知られており、CFC-12、HFA-134a、HFA-227、HCFC-22(CCl2F2)およびHFA-152(C2H4F2)およびイソブタンを含む。
【0090】
本発明の好ましい具体的態様において、本発明の組成物はドライパウダー吸入器(DPI)を用いた送達のための乾燥粉末形態である。多くのタイプのDPIは知られている。
【0091】
投与による送達のための微粒子は、送達および放出を助ける賦形剤と製剤化することができる。例えば乾燥粉末製剤において、微粒子はDPIから肺への流入を助ける大きな担体粒子と製剤化することができる。適切な担体粒子は知られており、ラクトース粒子を含み;それらは90μmより大きな空気動力学的中央粒径を有することができる。
【0092】
エアロゾル-ベースの製剤化の場合、例は:
本発明化合物 24 mg/容器
レシチン, NF濃縮液体 1.2 mg/容器
トリクロロフルオロメタン, NF 4.025 g/容器
ジクロロジフルオロメタン, NF 12.15 g/容器
【0093】
活性化合物は用いられる吸入器系に応じて記載されているように投与することができる。活性化合物に加えて、投与形態はさらに、例えばプロペラント(例えば定量エアロゾルの場合にはFrigen)、界面活性物質、乳化剤、安定化剤、保存剤、香料、充填剤(例えば粉末吸入器の場合にはラクトース)などの賦形剤、または適切な場合にはさらなる活性化合物を含むことができる。
【0094】
吸入の目的のために、多くの系は、患者に適当な吸入法を用いて、最適粒径のエアロゾルが生成し投与されることにより可能となる。アダプター(スペーサー、拡張機)および梨型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、および特に粉末吸入器の場合には定量エアロゾルのための一吹きの(puffer)スプレーを放出する自動装置(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、多くの技術的解決法が入手可能である(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)または例えばEP-A-0505321記載の吸入器)。さらに、本発明化合物はマルチチャンバー装置に送達し、従って併用剤の送達を可能にすることができる。
【0095】
合成方法
本発明化合物は、適当な物質を用いて以下の反応式および実施例の手順に従い製造することができ、さらに以下の具体例により説明される。さらに、本明細書に含まれる開示で記載される手順を利用することにより、当業者は特許請求の範囲の別の本発明化合物を容易に製造することができる。しかし、実施例に説明される化合物は本発明と考えられる属のみを形成するものとして解釈されるものである。さらに実施例は本発明化合物の製造についての詳細を説明する。当業者は、以下の製造手順の条件および工程の知られている変形がこれらの化合物を製造するために用いることができることを容易に理解するだろう。
【0096】
本発明化合物は上記のように、その医薬的に許容される塩の形態で単離することができる。
本発明化合物の製造に用いられる中間体における反応性官能基(例えばヒドロキシ、アミノ、チオまたはカルボキシ)を保護し、化合物の形成をもたらす反応におけるそれらの望ましくない参加を回避することが必要となることがある。従来の保護基、例えば文献(T. W. Greene and P. G. M. Wuts in「Protective groups in organic chemistry」John Wiley and Sons, 1999)に記載されているものを用いることができる。
【0097】
本発明化合物は反応式1に説明される経路に従い製造することができる。
【化15】

反応式1
【0098】
式(I-a)および(I-b)の化合物(ここに、Ra、RbおよびRcおよびRdは式(I)の化合物におけるR1、R2、R3およびR4について定義されているとおりである)は、式(II-a)または(II-b):
【化16】

で示される化合物から式(III-a):
Rc-X (III-a)
[式中、Xはハロゲン、トシレート、メシレートなどの脱離基である]
で示される化合物との反応により製造することができる。反応は、適宜DIPEAなどの第三級アミンの存在下、0℃〜溶媒の還流温度、好ましくは常温〜溶媒の還流温度にて、アセトニトリル、クロロホルム、DMFまたはDMSOなどの溶媒の範囲にて行うことができる。
【0099】
式(II-a)および(II-b)の化合物(ここに、Ra、RbおよびRdは式(I)の化合物におけるR1、R2およびR4について定義されているとおりである)は、式(II-a)または(II-b)の化合物(ここに、Rb = H)から式(III-b):
Rb-CHO (III-b)
で示される化合物との反応により製造することができる。
【0100】
水素化ホウ素金属、特にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤の存在下。反応は、適宜酢酸などの酸の存在下0℃〜溶媒の還流温度、好ましくは0℃〜溶媒の常温にて1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、アルコールなどの溶媒の範囲にて行うことができる。式(III-a)および(III-b)の化合物は当分野によく知られており、容易に入手可能であるか、または既知の方法により製造することができる。
【0101】
式(II-a)または(II-b)の化合物(ここに、Rb = H)の適切な製造方法としては、パラジウム・カーボンまたは水酸化パラジウム・カーボンの存在下、メタノール、エタノール、酢酸、酢酸エチルおよびその混合物などの適切な溶媒中、(II-a)または(II-b)(ここに、Rb = ベンジル)の水素との反応が挙げられる。あるいは、1,2-ジクロロエタンなどの適切な溶媒中、溶媒の還流温度における(II-a)または(II-b)(ここに、Rb = メチルまたはベンジル)のクロロギ酸1-クロロエチルとの反応、それに続くメタノールとの反応は、式(II-a)または(II-b)の化合物(ここに、Rb = H)の好ましい製造方法である。
【0102】
式(II-a)および(II-b)の化合物は、当業者に知られている条件を用いたキラル分取用HPLCにより分離し、以下に例示することができる二つの鏡像異性体にて存在することができる。あるいは、化合物(II-a)および(II-b)の絶対配置はそれぞれ化合物(X)および(XV)の絶対配置により決定され、化合物(X)および(XV)は文献(EP0074856A2を参照のこと)にて知られているので、当業者はホモキラルな出発物質の使用が明確な立体化学のホモキラルな生成物を送達するだろうことを認識するだろう。
【0103】
式(II-a)の化合物(ここに、Rdは式(a)の基であり、R6は式(I)について上記に定義されているとおりHである)は、式(IV-a)の化合物(ここに、RaおよびRbは上記に定義されているとおりである)から式(V):
【化17】

[式中、R7a、R7b、nおよびmは式(I)について定義されているとおりである]
で示される化合物との反応により製造することができる。反応はDMFまたはトルエンなどの非求核性有機溶媒の範囲にて、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度の範囲にて生じうる。
【0104】
式(V)の化合物は当分野によく知られており、容易に入手可能であるか、または既知の方法により製造することができる。
【0105】
式(II-a)の化合物(ここに、Rdは上記に定義されているように式(b)の基である)は、式(IV-a)の化合物から式(VI):
【化18】

[式中、R8a、R8bおよびR8cは式(I)について定義されているとおりであり、LGは脱離基、例えばO-アルキル、ハロゲンまたは1-イミダゾリル基である]
で示される化合物との反応により製造することができる。反応は、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度の範囲にてトルエン、THFまたはジクロロメタンなどの溶媒中、NaHなどの強塩基の存在下行う。
【0106】
式(VI)の化合物(ここに、R8a、R8bおよびR8cは式(I)について定義されているとおりであり、LGはO-アルキル、ハロゲンまたは1-イミダゾリル基である)は既知の方法により式(VII):
【化19】

で示される化合物から製造することができる。
【0107】
式(VII)の化合物は当分野によく知られており、容易に入手可能であるか、または国際公開公報WO01/04118に記載されている既知の方法により製造することができる。
【0108】
式(II-a)の化合物(ここに、Rdは上記式(c)の基である)は、式(IV-a)の化合物から式(VI-a):
【化20】

[式中、Ar2は式(I)について定義されているとおりであり、LGは脱離基、例えばO-アルキル、ハロゲンまたは1-イミダゾリル基である]
で示される化合物との反応により製造することができる。反応は、トルエン、THFまたはジクロロメタンなどの溶媒中、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度の範囲にて、NaHなどの強塩基の存在下行う。
【化21】

【0109】
式(VI-a)の化合物(ここに、R8dおよびR8cは式(I)について定義されているとおりであり、LGはO-アルキル、ハロゲンまたは1-イミダゾリル基である)は既知の方法により式(VII-a)の化合物から製造することができる。
【0110】
式(VII-a)の化合物は当分野にてよく知られており、容易に入手可能であるか、または既知の方法により製造することができる。
【0111】
式(II-a)の化合物(ここに、Rdは上記に定義されているとおり式(d)の基である)は、式(IV-a)の化合物から式(VI-b):
【化22】

で示される化合物との反応により製造することができる。
【0112】
反応は、トルエン、THF、好ましくはDMSOなどの溶媒中、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度の範囲にて、NaHなどの強塩基の存在下行う。
【0113】
式(VI-b)の化合物は当分野によく知られており、容易に入手可能であるか、または既知の方法により製造することができる。
【0114】
式(IV-a)の化合物は、式(VIII-a)の化合物から適切な還元剤、好ましくはLiAlH(OtBu)3などの嵩高い還元剤との反応により製造することができる。反応は極性有機溶媒、好ましくはTHF中、好ましくは-78℃〜溶媒の還流温度の範囲にて行う。
【0115】
式(VIII-a)の化合物は、式(IX-a)の化合物からスズ試薬、好ましくはBu3SnHおよびラジカル開始剤、好ましくはAIBNとの反応により製造することができる。反応は、溶媒、好ましくはトルエン中、好ましくは常温〜溶媒の還流温度の範囲にて行うことができる。
【0116】
式(IX-a)の化合物は、式(X)の化合物から式(XI):
RaRbNH (XI)
のアミンとの反応により製造することができる。
【0117】
反応は、好ましくは0〜100℃の範囲にて溶媒、好ましくはTHF/DCM中にて行う。
【0118】
式(X)の化合物は、当分野にて知られている:文献(J. Chem. Soc. Perkin Trans I (1975) 1767-1773; Synthesis (1997), 155-166)。
【0119】
式(XI)の化合物は当分野にてよく知られており、既知の方法により製造することができるか、または市販されている。
【0120】
式(I-b)の化合物は、上記式(II-a)の化合物からの式(I-a)の化合物の製造と同様の方法により式(II-b)の化合物から製造することができる。式(II-b)の化合物は、スズ試薬、好ましくはBu3SnHおよびラジカル開始剤、好ましくはAIBNとの反応により式(XII-b)の化合物から製造することができる。反応は、溶媒、好ましくはトルエン中、好ましくは常温〜溶媒の還流温度の範囲にて行うことができる。
【0121】
式(XII-b)の化合物は、式(IV-b)の化合物から溶媒として四臭化炭素中、臭素化剤、好ましくはトリフェニルホスフィンとの反応により製造することができる。
【0122】
式(IV-b)の化合物は、式(XIII-b)の化合物から適切な還元剤、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムとの反応により製造することができる。反応は、極性有機溶媒、好ましくはTHF中、好ましくは-78℃〜溶媒の還流温度の範囲にて行う。
【0123】
式(XIII-b)の化合物は、式(IV-a)の化合物から式(II-a)の化合物を製造するために用いられるものと同様の方法により、式(XIV-b)の化合物から製造することができる。
【0124】
式(XIV-b)の化合物は、式(XV):
【化23】

で示される化合物から式(XI)のアミンとの反応により製造することができる。反応は溶媒、好ましくはTHF/DCM中、好ましくは0〜100℃の温度範囲にて行う。
【0125】
式(XV)の化合物はGB2075503に記載されている。
【化24】

反応式2
【0126】
式(I)の化合物(ここに、Aは-NR-基である)の製造は反応式2に概略する。
式(XVI-a)の化合物は、式(II-a)の化合物から式(I-a)の化合物を製造するために用いられるものと同様の方法により、式(XVII-a)の化合物から製造することができる。
【0127】
式(XVII-a)の化合物は、式(XXI-a):
R-M (XXI-a)
[式中、MはリチウムまたはMg-ハライドなどの金属種である]
で示される有機金属試薬、特にグリニヤ試薬による、THFまたはジエチルエーテルなどの適切な不活性溶媒中、-78℃〜溶媒の還流温度、好ましくは0℃〜常温における処理により式(XVIII-a)の化合物から製造することができる。式(XXI-a)の化合物は当分野にて知られているか、または既知の方法に従い製造することができる。
【0128】
式(XVIII-a)の化合物は、式(XIX-a):
【化25】

[式中、Xは脱離基、特にハロゲン基である]
で示される化合物から、適宜ジクロロメタンなどの適切な溶媒の存在下、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の非存在下または存在下、製造することができる。式(XIX-a)の化合物は市販されているか、または文献に従って容易に製造される。
【0129】
式(XIX-a)の化合物は、メタノールなどの適切な溶媒中、20℃などの適切な温度にて、水素化ホウ素試薬などの適切な還元剤、具体的にはNaBH4/NiCl2によるオキシムの還元により、式(XX-a)の化合物から製造することができる。
【0130】
式(XX-a)の化合物は、適宜酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下、0℃〜溶媒の還流温度にて、好ましくは常温にて、メタノールなどの適切な溶媒の存在下、ヒドロキシルアミンまたはその塩による処理により、式(VIII-a)の化合物から製造することができる。
以下の非限定的な実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0131】
一般的な実験の詳細:
すべての反応は、特に明記されなければ、窒素雰囲気下で行った。
【0132】
生成物がカラムクロマトグラフィーにより精製された場合、「フラッシュシリカ」は、クロマトグラフィーのためのシリカゲル、0.035〜0.070 mm(220〜440メッシュ)(例えばFlukaシリカゲル60)、およびカラム溶出で10 p.s.iまで加速される適用窒素圧を意味する。薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いた場合、プレートを有するシリカゲルTLC、典型的に蛍光指示体(254 nm)を有するアルミホイルプレート上の3×6 cmシリカゲル(例えばFluka 60778)を意味する。すべての溶媒および市販の試薬は入手したままで使用した。
【0133】
HPLCにより精製される塩基性中心を含むすべての化合物は、特に明記されなければ、TFA塩として得た。
分取用HPLC条件:
HPLC系1:
5 ml/分の流速にて、Bに1%/分の勾配で増大した、A:水+0.1% TFA;B:アセトニトリル+0.1% TFAの勾配で溶出した、C18逆相カラム(7μm粒径の100×22.5 mm内径Genesisカラム)。230 nmにおけるUV検出。
HPLC系2:
5 ml/分の流速にてA:水+0.1% TFA;B:アセトニトリル+0.1% TFAの勾配で溶出し、254 nmにてUV検出した、フェニルヘキシルカラム(5μm粒径の250×21.20 mm Lunaカラム)。
LC/MS系
液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)系を用いた:
【0134】
LC-MS法1
A:水+0.1% ギ酸;B:アセトニトリル+0.1% ギ酸で溶出した、C18逆相カラム(5μm粒径の100×3.0 mm Higgins Clipeus)を有するMicromass Platform LCT。勾配:
勾配−時間 流速ml/分 %A %B
0.00 1.0 95 5
1.00 1.0 95 5
15.00 1.0 5 95
20.00 1.0 5 95
22.00 1.0 95 5
25.00 1.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器によるMSへの100μl分割)
MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオン)
【0135】
LC-MS法2
C18逆相カラム(30×4.6 mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を有するWaters Platform LC、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸による溶出。勾配:
勾配−時間 流速ml/分 %A %B
0.00 2.0 95 5
0.50 2.0 95 5
4.50 2.0 5 95
5.50 2.0 5 95
6.00 2.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器によるMSへの100μl分割)
MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)
【0136】
LC-MS法3
C18逆相カラム(30×4.6 mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を有するWaters Micromass ZQ、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸による溶出。勾配:
勾配−時間 流速ml/分 %A %B
0.00 2.0 95 5
0.50 2.0 95 5
4.50 2.0 5 95
5.50 2.0 5 95
6.00 2.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器によるMSへの100μl分割)
MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)
【0137】
LC-MS法4
A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出した、C18逆相カラム(Higgins Clipeus 5micron C18 100×3.0mmまたは等価)を有するWaters Micromass ZQ。勾配:
勾配−時間 流速ml/分 %A %B
0.00 1.0 95 5
1.00 1.0 95 5
15.00 1.0 5 95
20.00 1.0 5 95
22.00 1.0 95 5
25.00 1.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器によるMSへの100μl分割)
MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)
実験項に用いられる略語:
DCM = ジクロロメタン;THF = テトラヒドロフラン;MeOH = メタノール;EtOH = エタノール;DMSO = ジメチルスルホキシド;EtOAc = 酢酸エチル;DIPEA = ジ-イソプロピルエチルアミン;EDCI = 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;DMAP = ジメチルアミノピリジン;RT = 常温;HATU=O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;TFA = トリフルオロ酢酸;Rt = 保持時間;Satd = 飽和
【0138】
実施例1
(±)-アンチ-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-a):Ra, Rb = CH3, Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
【化26】

a. (±)-アンチ-5-ブロモ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン。(IX-a):Ra, Rb = CH3
(±)-2,3-ジブロモ-ビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-オンの冷却した(-10℃)DCM 20 mL溶液に、ジメチルアミン(2 M, 8.23 mL, 16.5 mmol)のTHF溶液を滴加した。反応物を数時間かけてゆっくりと常温まで昇温させた。17時間後、反応混合物を濃縮し、残渣をEt2Oに溶解し、ろ過した。ろ液を珪藻土に吸着させ、ペンタン中25 % Et2Oで溶出したシリカゲルカラムでクロマトグラフィーし、標記生成物0.88 g(58%)を橙色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.70 (1H, ddd, J = 14.2 Hz, 4.4 Hz, 1.3 Hz), 2.18 (6H, s), 2.2 (1H, m), 2.47 (1H, d, J = 1.2 Hz), 2.60 (1H, d, J = 4.8 Hz), 2.80 (3H, m), 4.66 (1H, m).
【0139】
【化27】

b. (±)-アンチ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン。(VIII-a): Ra, Rb = CH3
30分間窒素ガスを激しくバブリングすることによりトルエンを反応前に脱気した。(±)-5-ブロモ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(200 mg, 0.75 mmol)およびアゾイソブチロニトリル(12 mg, 0.07 mmol)に窒素雰囲気下、脱気したトルエン8 mLを加えた。これに水素化トリブチルスズ(221μL, 0.82 mmol)を加え、溶液を窒素雰囲気下80℃にて1時間撹拌した。水素化トリブチルスズ(30μL, 0.11 mmol)および数片のアゾイソブチロニトリルのトルエン300μL溶液を加え、反応物を80℃にて1.5時間加熱した。反応混合物の溶媒を留去し、黄色液体0.5 gを得、これをペンタン、次いでペンタン中20% Et2O〜100% Et2Oで溶出したシリカゲルカラムでクロマトグラフィーし、無色油状物214 mg(>100%, スズ残渣汚染物)を得た。
TLC: Rf 0.25(ペンタン中50% Et2O); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz):スズ残渣のシグナルを含む:δ0.90 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.35 (6H, m), 1.61 (2H, m), 1.98 (2H, m), 2.09 (2H, m), 2.18 (6H, s), 2.25 (1H, s), 2.53 (1H, t, J = 4.4 Hz), 2.58 (1H, d, J = 4.8 Hz).
【0140】
【化28】

c. (±)-アンチ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール。(IV-a):Ra, Rb = CH3
(±)-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(214 mg, ≦0.75 mmol)の冷却した(-10℃)THF 4 mL溶液に、リチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリド(380 mg, 1.49 mol)を加えた。反応混合物を0℃にて1.5時間撹拌した後、さらにリチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリド(190 mg, 0.75 mol)を加え、反応混合物をさらに1.5時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、珪藻土上で直接溶媒を留去し、DCM中5% MeOH、DCM中2.5% MeOH〜20% MeOHの勾配で溶出したシリカゲルカラムでクロマトグラフィーし、標記生成物120 mg(100 %)を白色固体として得た。1H NMRスペクトルは固体が標記生成物とその(±)-2-エピ異性体の93:7混合物であることを示した。異性体は分離しなかった。
TLC: Rf 0.1 (ペンタン中75 % Et2O); 1H NMR (d4-MeOH, 400 MHz): δ0.96 (1H, dd, J = 4.0 Hz, 13.2 Hz), 1.31 (1H, m), 1.56 (1H, m), 1.80 (1H, m), 1.93 (1H, m), 2.01 (1H, m), 2.17 (1H, m), 2.28 (8H, s), 4.14 (1H, m).
【0141】
【化29】

d. (±)-アンチ-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
(±)-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(120 mg, 0.75 mmol)のDMF 1.5 mLおよびトルエン0.5 mL溶液に、いくつかの粉末化3Åモレキュラーシーブおよび2-ビフェニルイソシアネート(189 mg, 0.97 mmol)を加えた。反応混合物を50℃にて15.5時間撹拌した後、EtOAcで希釈し、水、次いでブラインで2回洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、溶媒を留去し、無色シロップ358 mgを得た。これをDCM中2〜4% MeOHで溶出したシリカゲルカラムで精製し、異なる純度の二つのフラクション143 mgを得た。集めた純度の高い方のフラクション91 mgをペンタン中80% Et2Oで溶出したシリカゲルカラムで再クロマトグラフィーし、三つのフラクションを得、このうち最も純度の高いものは(±)-2-エピ異性体から有効に分離された標記化合物を含む(42 mg (16 %))。
TLC: Rf 0.2 (ペンタン中100% Et2O); LC-MS (方法1): Rt 6.99 min, m/z 351 [MH]+; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.11 (1H, dd, J = 3.6 Hz, 13.6 Hz), 1.25 (1H, m), 1.62 (2H, m), 1.83 (1H, m), 2.05 (2H, m), 2.13 (1H, t, J = 4.4 Hz), 2.18 (6H, s), 2.56 (1H, m), 4.95 (1H, m), 6.60 (1H, bs), 7.13 (1H, dt, J = 1.2 Hz, 7.4 Hz), 7.22 (1H, dd, J = 1.6 Hz, 7.6 Hz), 7.33-7.44 (4H, m), 7.49 (2H, m), 8.09 (1H, d, J = 8.0 Hz).
【0142】
実施例2
アンチ-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-a):Ra, Rb = CH3, Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル(第一溶出鏡像異性体)
【化30】

標記化合物は実施例1の分取用キラルHPLC(Chiralpac IA, 250×20mm内径;12 % tert ブチルメチルエーテル/ヘプタン/0.25 % ジエチルアミン;14 mL/min;Rt 20.6分)により単離した。LC-MS(方法1):Rt 7.03, m/z 351.2 [MH]+;実施例1について得られたようなNMR。
【0143】
実施例3
アンチ-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-a):Ra, Rb = CH3, Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル(第二溶出鏡像異性体)
【化31】

標記化合物は実施例1の分取用キラルHPLC(Chiralpac IA, 250 x 20mm内径;12 % tert ブチルメチルエーテル/ヘプタン/0.25 % ジエチルアミン;14 mL/min;Rt 24 min)により単離した。LC-MS (方法1): Rt 7.07, m/z 351.2 [MH]+;実施例1について得られたようなNMR。
【0144】
実施例4
(±)-アンチ-[2-(ビフェニル-2-イルカルバモイルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-トリメチル-アンモニウムヨージド。(I-a):Ra, Rb, Rc = CH3, Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
【化32】

(±)-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルのヨウ化メチル2.5 mL溶液を40℃にて21時間撹拌した。反応混合物の溶媒を留去し、得られた固体をDCM中10% MeOHで溶出したシリカゲルカラムでクロマトグラフィーし、標記化合物61 mg(41%)をわずかに黄色がかった固体として得た。
LC-MS (方法3): Rt 2.2 min, m/z 365 [M]+; LC-MS (方法1): Rt 7.16 min, m/z 365 [M]+; 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ1.13 (1H, dd, J = 3.2 Hz, 13.6 Hz), 1.60 (1H, m), 1.81 (1H, m), 1.99 (2H, m), 2.06 (1H, s), 2.41 (1H, m), 2.78 (1H, s), 3.11 (1H, t, J = 3.8 Hz), 3.52 (9H, s), 4.00 (1H, s), 5.02 (1H, m), 6.63 (1H, s), 7.13 (1H, dt, J = 0.8 Hz, 7.2 Hz), 7.22 (1H, dd, J = 1.6 Hz, 8.0 Hz), 7.31-7.51 (6H, m), 7.95 (1H, d, J = 6.4 Hz).
【0145】
実施例5
(±)-シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
【化33】

a. (±)-7-ジメチルアミノ-5-ヒドロキシ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン。(XIV-b):Ra, Rb = CH3
ジメチルアミン(2.0 M, 24 ml, 48 mmol)のTHF溶液を2-ブロモ-ビシクロ[3.2.0]ヘプタン-3-オール(4.00 g, 19.5 mmol)のアセトン40 ml溶液に0℃にて加え、混合物を1時間かけて常温まで昇温させ、常温にて終夜撹拌した。橙色溶液をろ過し、ろ液の溶媒を留去し、乾燥した。精製はDCM中5% MeOHを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより達成し、生成物3.01 g(91 %)を黄褐色粉末として得た。LC-MS (方法2): Rt 0.37 min, m/z 170.09 [MH]+.
【0146】
【化34】

b. (±)-シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-5-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(XIII-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
2-ビフェニルイソシアネート(90μl, 0.52 mmol)を7-ジメチルアミノ-5-ヒドロキシ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(90 mg, 0.53 mmol)のトルエン1 ml溶液に加え、混合物を70℃にて終夜加熱した。溶媒を減圧留去し、100% DCM、次いでDCM中1 % MeOHを用いて残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物を白色粉末144 mg(75 %)として得た。LC-MS (方法1): Rt 6.50 min, m/z 365.15 [MH]+.
【0147】
【化35】

c. (±)-シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-5-ヒドロキシ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(IV-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
水素化ホウ素ナトリウム(25 mg, 0.68 mmol)をビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-5-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(200 mg, 0.55 mmol)の無水MeOH溶液に0℃にて加え、混合物を1時間かけて常温まで昇温させた。溶媒を減圧留去し、100 % DCM、次いでDCM中2 % MeOHを用いたカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、生成物194 mg (97 %)を白色粉末として得た。LC-MS (方法1): Rt 6.31, m/z 367.16 [MH]+.
【0148】
【化36】

d. (±)-シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸5-ブロモ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(XII-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-5-ヒドロキシ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(180 mg, 0.49 mmol)、ポリマー担持トリフェニルホスフィン(2.18 mmol/g, 0.90 g, 1.96 mmol)、テトラブロモメタン(1.56 g, 4.71 mmol)およびイミダゾール(130 mg, 1.91 mmol)のアセトニトリル4 ml懸濁液を50℃にて終夜穏やかに撹拌した。溶媒を減圧留去し、HPLC(系2:流速18 ml/分、Bにおいて0.25%/分増大の勾配)を用いて残渣を精製した。得られたTFA塩をSCX-2カートリッジに充填し、次いでNH3/MeOHで溶出することにより遊離塩基に変換し、標記化合物45 mg(21 %)を得た。LC-MS (方法3): Rt 2.25 min, m/z 429.19/431.14 [MH]+.
【0149】
【化37】

e. (±)-シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
水素化トリブチルスズ(40μl, 0.15 mmol)の無水トルエン200μl溶液をビフェニル-2-イル-カルバミン酸5-ブロモ-7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(45 mg, 0.10 mmol)および2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(10 mg, 0.06 mmol)の無水トルエン0.8 ml溶液に50℃にて加えた後、80℃にて40分間撹拌した。溶媒を減圧留去し、HPLC(系2:流速18 ml/分、Bにおいて4%/分増大の勾配。210 nmにおけるUV検出)を用いて残渣を精製した。得られたTFA塩をSCX-2カートリッジに通すことにより遊離塩基に変換し、標記化合物28 mg(76 %)を得た。
LC-MS (方法1): Rt 7.18, m/z 351.19 [MH]+; (CDCl3) δ1.09 (1H, m), 1.36 (2H, m), 1.66 (2H, m), 2.13 (1H t, J = 4.3Hz), 2.24 (7H, s), 2.34 (1H, m), 2.54 (1H, t, J = 4.0Hz), 5.26 (1H, m), 6.58 (1H, s), 7.11 (1H, td, J = 7.5, 1.2Hz), 7.21 (1H, dd, J = 7.5, 1.6Hz), 7.34 (1H, m), 7.38 (2H, m), 7.41 (1H, m), 7.49 (2H, m), 8.11 (1H, d, J = 8.2Hz).
【0150】
実施例6
シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル(第一溶出鏡像異性体)
【化38】

実施例2について記載の条件下、実施例5の分取用キラルHPLCに従い、標記化合物を単離した(Rt 19分)。LC-MS (方法1): Rt 7.16min, m/z 351 [MH]+; 実施例5について得られたものと同様のNMR。
【0151】
実施例7
シン-ビフェニル-2-イル-カルバミン酸7-ジメチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル。(II-b):Ra, Rb = CH3; Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル(第二溶出鏡像異性体)
【化39】

実施例2について記載の条件下、実施例5の分取用キラルHPLCに従い、標記化合物を単離した(Rt 20.4分)。LC-MS (方法1): Rt 7.14min, m/z 351 [MH]+; 実施例5について得られたものと同様のNMR。
【0152】
実施例8
(±)-シン-[2-(ビフェニル-2-イルカルバモイルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-トリメチル-アンモニウムヨージド。(I-b):Ra, Rb, Rc = CH3, Rd = ビフェニル-2-イルカルバミル
【化40】

標記化合物を実施例4の製造について記載の条件下、製造した。
LC-MS (方法1): Rt 7.02, m/z 365 [M]+; (CDCl3) δ1.43 (1H, m), 1.50 (1H, dd, J = 15.1, 3.8Hz), 1.78 (1H, m), 1.88 (1H, m), 2.04 (1H, m), 2.51 (1H, m), 2.73 (1H, t, J = 4.0Hz), 2.96 (1H t, J = 3.9Hz), 3.54 (9H, s), 4.31 (1H, s), 5.33 (1H, m), 6.65 (1H, s), 7.17 (1H, m), 7.25 (1H, m), 7.37 (3H, m), 7.43 (1H, m), 7.50 (2H, m), 7.99 (1H, d, br).
【0153】
次の実施例を実施例1について記載のものと同様に製造した。
【表1−1】

【表1−2】

【0154】
実施例13
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニルプロピル)アンモニウムブロミド: (II-a): Ra, Rc = Me, Rb = 3-フェニル-プロピル, Rd = 2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ.
【化41】

a. アンチ-(1S,2R,)-7-(ベンジルメチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール:
標記化合物は、実施例1と同様の方法を用いて(1S,2R,3R)-2,3-ジブロモ-ビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-オンおよびN-メチルベンジルアミンから製造した。LC-MS (方法2): Rt 0.76 min, m/z 232 [MH]+.
【0155】
【化42】

b. アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-(ベンジルメチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル:
アンチ-(1S,2R)-7-(ベンジルメチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(1 g, 4.3 mmol)の冷却した(0℃)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60 %懸濁液432 mg, 10.8 mmol)を少しずつ加えた。混合物を常温まで10分間昇温させた後、0℃まで再冷却した。ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸エチルエステル(1.39 g, 5.2 mmol)を少しずつ加えた後、混合物を80℃にて2時間加熱した。混合物を常温まで冷却させた後、水性塩化アンモニウム(飽和50 mL)を滴加することにより反応停止処理し、次いで酢酸エチル(3 x 100 mL)で抽出した。集めた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を留去して黄色油状物とした。溶出液としてヘキサン中5-10%酢酸エチルを用いたシリカゲルフラッシュカラム、次いでDCM中0-5 %酢酸エチルを用いたフラッシュカラムにより精製し、標記化合物1.12 g(57 %)を黄色油状物として得た:LC-MS (方法2): Rt 2.44 min, m/z 454 [MH]+.
【0156】
【化43】

c. アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-メチルアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル:
アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-(ベンジルメチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(400 mg, 0.88 mmol)の1,2-ジクロロエタン5 mL溶液に、1-クロロエチルクロロホルメート(0.57 mL, 5.3 mmol)を加え、混合物を80℃にて8時間加熱した。溶媒および過剰の1-クロロエチルクロロホルメートを減圧留去し、黄色/茶色油状物を得た。これをメタノール5 mLに再溶解し、常温にて1時間撹拌した後、溶媒を留去して黄色泡状物とした。残渣を水10 mLに懸濁し、水酸化ナトリウム(0.1N)を用いて塩基性化した後、酢酸エチル(4 x 20 mL)で抽出した。集めた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を留去して茶色固体とした。DCM中5-10 % メタノールを溶出液として用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物180 mg(56 %)を黄色固体として得た:LC-MS (方法2): Rt 2.20 min, m/z 364 [MH]+.
【0157】
【化44】

d. アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-[メチル-(3-フェニル-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル:
アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-メチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(150 mg, 0.41 mmol)の1,2-ジクロロエタン10 mL溶液に、3-フェニルプロパナール(55μL, 0.41 mmol)を加えた。混合物を常温にて10分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(174 mg, 0.82 mmol)を加え、混合物を常温にて2時間撹拌した。水性炭酸水素ナトリウム(飽和10 mL)を加え、混合物を相分離カートリッジに通して分離し、水相をDCMで洗浄した。集めた有機物の溶媒を分離し、黄色油状物とした。DCM中0-10%酢酸エチルを溶出液として用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物150 mg(76 %)を得た:LC-MS (方法2): Rt 2.65 min, m/z 482 [MH]+.
【0158】
【化45】

e. アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニル-プロピル)-アンモニウムブロミド:
メチルブロミドのアセトニトリル5 mL中30 % w/w溶液中のアンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-[メチル-(3-フェニル-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(150 mg, mmol)の溶液を封をしたチューブ中3日間60℃にて加熱した。溶媒を留去し、DCM中5-10%メタノールを溶出液として用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、標記化合物100 mg(65 %)を白色固体として得た:LC-MS (方法1): Rt 8.43 min, m/z 496 [M]+; 1H NMR (DMSO, 400 MHz) δ1.01 (1H, dd, J = 13.4 Hz, 3.1 Hz), 1.35 (1H, m), 1.69 (2H, m), 1.95 (1H, m), 2.04 (2H, m), 2.19 (1H, m), 2.61 (3H, m), 2.93 (1H, t, br, J = 3.5 Hz), 3.07 (3H, s), 3.06 (3H, s), 3.39 (2H, m), 3.53 (1H, s), 5.0 (1H, m), 7.01(2H, m), 7.10 (2H, m), 7.22 (1H, m), 7.27 (2H, m), 7.32 (2H, m), 7.39 (1H, s), 7.51 (2H, m).
【0159】
実施例14および15
trans-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニルピペリジニウムブロミドおよびcis-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニルピペリジニウムブロミド: (II-a): NRaRb = ピペリジニル, Rc = Me, Rd = 2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ.
【化46】

a. アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-(4-フェニル-ピペリジン-1-イル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル:
実施例1および13と同様の方法を用いて(1S,2R,3R)-2,3-ジブロモ-ビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-オンおよび4-フェニルピペリジンから標記化合物を製造した。LC-MS (方法2): Rt 2.60 min, m/z 494 [MH]+.
【0160】
【化47】

b. trans-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニル-ピペリジニウムブロミドおよびcis-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニル-ピペリジニウムブロミド:
実施例13と同様の方法を用いてアンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-(4-フェニルピペリジン-1-イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから標記化合物を製造した後、DCM中5-15 % メタノールを溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離した:
trans-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニルピペリジニウムブロミド: LC-MS (方法1): Rt 8.06 min, m/z 508 [M]+; (CDCl3) δ1.27 (1H, m), 1.57 (1H, m), 1.77 (1H, m), 1.86 (1H, m), 2.06 (3H, m), 2.20 (2H, d, J = 15.3Hz), 2.40 (1H, m), 2.86 (1H, t, br, J = 3.7Hz), 3.03 (1H, t, br, J = 3.7Hz), 3.42 (1H, m), 3.61 (3H, s), 3.65 (1H, d, J = 13.6Hz), 3.69 (1H, s), 3.82 (1H, d, J = 13.6Hz), 4.50 (2H, m), 4.66 (1H, s), 5.16 (1H, m), 7.00 (2H, m), 7.17 (2H, m), 7.23 (2H, m), 7.26 (1H, m), 7.33 (4H, m).
【0161】
cis-1-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-1-メチル-4-フェニルピペリジニウムブロミド: LC-MS (方法1): Rt 8.10 min, m/z 508 [M]+; (CDCl3) δ1.16 (1H, dd, J = 13.8, 3.0Hz), 1.52 (1H, m), 1.72 (2H, m), 2.08 (5H, m), 2.59 (1H, m), 2.86 (1H, t, br, J = 4.0Hz), 3.09 (1H, m), 3.20 (1H, s, br), 3.36 (3H, s), 3.82 (2H, d, J = 12.2Hz), 3.99 (2H, t, J = 12.2Hz), 4.63 (1H, s), 5.01 (1H, s), 5.32 (1H, m), 6.96 (2H, m), 7.16 (2H, m), 7.24 (5H, m), 7.31 (2H, m).
【0162】
以下の実施例を実施例13-14について記載のものと同様に製造した。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【表2−7】

【表2−8】

【表2−9】

【0163】
実施例40
アンチ-(1S, 2R) 2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-エトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド.
【化48】

a. 2-{アンチ-(1S,2R,)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルオキシ}-1,1-ジフェニル-エタノール
アンチ-(1S,2R)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(177 mg, 0.64 mmol)の5 mL DMSO溶液を窒素雰囲気下、常温にて撹拌した。水素化ナトリウム(45 mg, 油中60 %ディスパージョン)を加え、反応物を70℃まで60分間昇温させた後、50℃まで冷却した。1,1-ジフェニルエチレンオキシド(256 mg, 1.31 mmol)をアニオンに加え、加熱を60分間続けた。反応物を常温まで冷却し、水を加えることにより反応停止処理し、EtOAcに抽出し、集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。反応混合物を0〜15 % Et2O-シクロヘキサンの勾配を溶出液として用いてシリカクロマトグラフィーにより精製し、生成物を透明油状物として得た(22 mg)。LC-MS (方法3): Rt 2.62 min, m/z 472 [MH]+;
【0164】
b. アンチ-(1S, 2R) 2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-エトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
【化49】

実施例13に記載のものと同様の方法を用いて2-{アンチ-(1S,2R)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルオキシ}-1,1-ジフェニル-エタノールから標記化合物を製造した。LC-MS (方法1): Rt 8.69 min, m/z 486 [M]+; (CDCl3) δ1.07 (1H, dd, J = 13.3, 3.4Hz), 1.60 (2H, m), 1.89 (1H, m), 2.09 (1H, m), 2.30 (1H, m), 2.37 (2H, m), 2.66 (1H, t, br, J = 4.0Hz), 2.93 (1H, t, br, J = 4.0Hz), 3.22 (1H, s), 3.37 (3H, s), 3.38 (3H, s), 3.09 (2H, s), 3.97 (2H, m), 4.07 (1H, s), 4.14 (2H, t, J = 5.5Hz), 4.17 (1H, m), 6.86 (2H, m), 6.96 (1H, m), 7.26 (3H, m), 7.31 (5H, m), 7.40 (4H, m)
【0165】
実施例41
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-({9-[(R)-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-5-イル)-エチルアミノ]-ノニル}-メチル-アミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
【化50】

a. (9-ブロモ-ノニルオキシ)-tert-ブチル-ジメチル-シラン.
9-ブロモ-ノナン-1-オール(27.8 g, 124.6 mmol)およびイミダゾール(25.4 g, 373 mmol)の乾燥DCM 400 mL溶液にTert-ブチル-ジメチルシリルクロリド(28.16 g, 186.8 mmol)を-10℃にて窒素雰囲気下少しずつ加えた。反応混合物を室温まで終夜昇温させた。固体をろ過により除去し、ろ液を10% クエン酸(水性)、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、濃縮して乾燥し、標記化合物を黄色油状物として得た。
収率: 41.4 g, 98%.
TLC: Rf 0.91 (50%ジブチルエーテル/シクロヘキサン).
【0166】
【化51】

b. [9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミン.
メチルアミン(120 mL, 2 M)の溶液を(9-ブロモ-ノニルオキシ)-tert-ブチル-ジメチル-シラン(41.4 g, 123 mmol)のIMS 200 mL溶液に-10℃にて加えた後、室温まで終夜昇温させた。溶媒を留去した後、残渣をジブチルエーテルでトリチュレーションし、固体をろ過により除去し、標記化合物をHBr塩として得た。ろ液を減圧濃縮し、K2CO3(水性)に懸濁し、DCMで抽出した。集めた有機層を乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮して標記化合物を油状物として得た。
収率: 24.1 g, 68% (HBr塩11.1 g, 24%).
LC-MS (方法2): Rt 2.80 min, m/z 288 [MH+].
【0167】
【化52】

c. (1S,4S,7S)-5-ブロモ-7-{[9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン.
(1S)-2,3-ジブロモ-ビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-オン(2.15 g, 8.02 mmol)のアセトン20 mL溶液に、[9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミン(5.77 g, 12.3 mmol)を加え、反応混合物を室温にて3日間撹拌した。溶媒を留去した後、残渣をジブチルエーテル/酢酸エチルに取り、飽和NaHCO3(水性)/食塩水混合物で洗浄した。水層をジブチルエーテルで抽出した。集めた有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して乾燥し、暗色茶色油状物を得、これを5-15%ジブチルエーテル/ペンタンの勾配を溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。揮発物を留去した後、標記化合物を明黄色/茶色油状物として得た。
収率: 1.67 g, 44%.
LC-MS (方法3): Rt 4.83 min, m/z 474+476 [MH+].
【0168】
【化53】

d. (1S,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン.
(1S,4S,7S)-5-ブロモ-7-{[9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(1.97 g, 4.2 mmol)およびAIBN(70 mg, 0.42 mmol)の脱気した乾燥トルエン40 mL溶液に、窒素雰囲気下トリ-n-ブチルスズヒドリド(1.25 mL, 4.65 mmol)を加え、80℃にて予め加熱した砂浴にて加熱した。80℃にて2時間後、反応混合物を減圧濃縮し、1-40% ジブチルエーテル/ペンタンの勾配を溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。揮発物を留去した後、標記化合物を明黄色/茶色油状物として得た。
収率: 2.41 g, 定量(ブチルスズ残渣を含む)
LC-MS (方法3): Rt 3.10 min, m/z 396 [MH+].
【0169】
【化54】

e. (1S,2R,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ノニル]メチルアミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール
(1S,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ノニル]メチルアミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(4.11 g, 10.4 mmol max)の乾燥THF 41 mL溶液に、-5℃にて窒素雰囲気下リチウムトリ-tert-ブトキシアルミニウムヒドリド(3.44 g, 13.5 mmol)を加えた。-5℃にて1.5時間後、リチウムトリ-tert-ブトキシアルミニウムヒドリド(2.64 g, 10.4 mmol)をさらに加えた。-5℃にて1時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止処理し、酢酸エチルと水で分液した。固体をろ過により除去し、酢酸エチルで洗浄した。相を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和NaHCO3(水性)、食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して乾燥し、不透明な黄色油状物を得た。粗生成物を7.5-10% MeOH/DCMの勾配を溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。揮発物を留去した後、明黄色/茶色粘性油状物を得た。
収率: 2.36 g, 57%.
LC-MS (方法2): Rt 2.95 min, m/z 398 [MH+].
【0170】
【化55】

f. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチルジメチル-シラニルオキシ)ノニル]メチルアミノ}ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル.
水素化ナトリウム(254 mg, 鉱油中60%懸濁液, 6.35 mmol)を(1S,2R,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)ノニル]メチルアミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(1.01 g, 2.54 mmol)の乾燥トルエン20 mL溶液に0℃にて窒素雰囲気下加えた。気体の発生が治まるとすぐに、ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸エチルエステル(817 mg, 3.04 mmol)を少しずつ加え、気体の発生が停止したときに、反応混合物を80℃にて予め加熱した砂浴にて加熱した。2.5時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(水性)およびエーテルに注いだ。層を分離し、水層をエーテルで抽出し、集めた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して乾燥し、明茶色粘性油状物を得た。DCM中1-40%酢酸エチルの勾配を溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、生成物を非常に明茶色粘性油状物として得た。
収率: 0.76 g, 48%.
LC-MS (方法3): Rt 3.44 min, m/z 620 [MH+].
【0171】
【化56】

g. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-[(9-ヒドロキシ-ノニル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル.
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-{[9-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ノニル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(0.51 g, 0.82 mmol)のTHF 7 mL溶液を1 M HCl 3.5 mLで処理し、室温にて45分間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3(水性)で中和し、酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して乾燥し、明茶色油状物を得、これをさらに精製せずに用いた。
収率: 273 mg, 66%.
LC-MS (方法3): Rt 2.39 min, m/z 506 [MH+].
【0172】
【化57】

h. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-[メチル-(9-オキソ-ノニル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル.
デス・マーチンペルヨージナン(450 mg, 1.06 mmol)をヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-[(9-ヒドロキシ-ノニル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(370 mg, 0.732 mmol)の乾燥DCM 3 mL溶液に0℃にて加え、反応混合物を室温まで昇温した。室温にて1時間後、反応混合物を飽和NaHCO3(水性)で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して乾燥した。残渣をエーテルでトリチュレーションし、固体をろ過により除去した。ろ液を濃縮し、橙色/茶色粘性油状物を得、さらに精製せずに直接用いた。
収率: 456 mg, 0.73 mmol max.
【0173】
【化58】

i. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-({9-[(R)-2-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-2-(8-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-5-イル)エチルアミノ]ノニル}メチルアミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル.
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-[メチル-(9-オキソ-ノニル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(最大0.73 mmol)、5-[(R)-2-アミノ-1-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン(245 mg, 0.73 mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(186 mg, 0.88 mmol)および酢酸(2滴)の乾燥1,2-ジクロロエタン中の混合物を常温にて終夜撹拌した。反応混合物をDCMと飽和NaHCO3(水性)で分液した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、減圧濃縮し、暗色緑色/茶色ゴム状物を得、放置して固体化させ、これを分取用HPLC(系2, 35% B + 1% B/分)により精製した。純粋な生成物を含むフラクションを濃縮し、飽和NaHCO3(水性)で中和し、DCMで抽出した。減圧濃縮した後、緑色/茶色油状物を得た。
収率: 72 mg, 12%.
LC-MS (方法3): Rt 2.51 min, m/z 822 [MH+].
【0174】
【化59】

j. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-({9-[(R)-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-5-イル)-エチルアミノ]-ノニル}-メチル-アミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル.
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R,4S,7S)-7-({9-[(R)-2-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-2-(8-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノリン-5-イル)エチルアミノ]ノニル}メチルアミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(72 mg, 0.087 mmol)およびトリエチルアミン三フッ化水素酸(60μL, 0.37 mmol)の溶液をTHF/DCM(1:1, 2 mL)中、常温にて終夜撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3(水性)で中和し、DCMで抽出した。有機層を濃縮して乾燥し、緑色/茶色油状物を得、これを分取用HPLC(系1, 20分間15% B + 1% B/分、次いで10分間6% B/分)により精製した。純粋な生成物を含むフラクションを濃縮し、飽和NaHCO3(水性)で中和し、THFで抽出した。減圧濃縮後、明茶色油状物を得た。
収率: 50 mg, 81%.
LC-MS (方法3): Rt 2.04 min, m/z 708 [MH+].
【0175】
実施例42
(ベンジルカルバモイル-メチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウムブロミド.
【化60】

a. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(ベンジルカルバモイル-メチル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
アンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-メチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(50 mg, 0.14 mmol)の溶液をアセトニトリル3 mL中にて形成させた。DIPEA(49μL, 0.28 mmol)およびN-ベンジル-2-ブロモ-アセトアミド(48 mg, 0.21 mmol)を加え、混合物を50℃にて2時間撹拌した。溶媒を留去し、DCM中0-10%酢酸エチルの勾配を溶出液として用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を薄黄色油状物(60 mg, 84 %)として得た: LCMS (方法2): Rt 2.83 mins, m/z 511 [MH+].
【0176】
【化61】

b. (ベンジルカルバモイル-メチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウムブロミド
実施例13に記載のものと同様の方法を用いて標記化合物をヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(ベンジルカルバモイルメチル)メチルアミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから製造した:LCMS (方法4): Rt 7.53 mins, m/z 525 [M+]; (CDCl3) δ1.12 (1H, dd), 1.45-1.52 (1H, m), 1.63 (1H, m), 1.72-1.80 (1H, m), 1.88-1.97 (1H, m), 2.28 (1H, m), 2.74 (1H, br, t), 3.06 (1H, br t), 3.34 (3H, s), 3.36 (3H, s), 4.17 (1H, s), 4.41 (2H, d), 4.68 (2H, dd), 4.79 (1H, s), 5.60 (1H, m), 6.98 (2H, m), 7.15 (2H, m), 7.19-7.23 (1H, m), 7.25-7.31 (4H, m), 7.36 (2H, d), 9.55 (1H, t).
【0177】
以下の実施例を実施例42について記載のものと同様に製造した。
【表3】

【0178】
実施例44
アンチ-(1S, 2R) [2-(2-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-2-フェニル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
【化62】

a. アンチ-(1S, 2R) オキソ-フェニル-酢酸 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
アンチ-(1S,2R) 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)アミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(0.77g, 2.8mmol)の無水THF 10mL溶液を常温にて窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(油中60%ディスパージョン145mg)で3時間撹拌した。オキソ-フェニル-アセチルクロリド(611mg, 3.64mmol)を加え、反応物を60時間放置した。飽和NH4Clを添加することにより反応停止処理し、EtOAcに抽出し、集めた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。0〜5 % Et2O-シクロヘキサンの勾配を溶出液として用いたシリカクロマトグラフィーにより反応物を精製し、生成物を黄色油状物600 mgとして得た。(CDCl3) δ1.20-1.30(2H, m), 1.63-1.71 (2H, m), 1.78-1.88 (1H, m), 1.88-1.96 (2H, m), 2.14-2.25 (5H, m), 2.35-2.37 (1H, m), 2.50-2.58 (2H, m), 2.66-2.70 (1H, m), 3.97-4.03 (2H, m), 5.20-5.26 (1H, m), 6.85-6.95 (3H, m), 7.24-7.30 (2H, m), 7.48-7.54 (2H, m), 7.63-7.69 (2H, m), 7.95-8.00 (2H, m).
【0179】
【化63】

a. アンチ-(1S, 2R) シクロヘキシル-ヒドロキシ-フェニル-酢酸 7-[メチル-(3-フェノキシプロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
アンチ-(1S, 2R) オキソ-フェニル-酢酸 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(200mg, 0.49mmol)の撹拌した無水THF 5mL溶液に、窒素雰囲気下、シクロヘキシルマグネシウムクロリド(0.5mL, 0.98mmol)を加えた。反応物を50℃にて18時間昇温させた。飽和NH4Clを添加することにより冷却した反応物を停止処理し、EtOAcに抽出し、集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。5〜10 % Et2O-シクロヘキサンの勾配を溶出液として用いたシリカクロマトグラフィーにより反応物を精製し、生成物を透明油状物123 mgとして得た。LCMS (方法1): Rt 2.86 mins, m/z 492 [MH+].
【0180】
【化64】

c. アンチ-(1S, 2R) [2-(2-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-2-フェニル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
実施例13に概述した手順を用いてアンチ-(1S, 2R) シクロヘキシル-ヒドロキシ-フェニル-酢酸 7-[メチル-(3-フェノキシプロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから標記化合物を製造した。LCMS (方法1): Rt 2.75 mins, m/z 506 [M+].
【0181】
実施例45
アンチ-(1S, 2R) 2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-2-フェニル-酪酸 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピルアミノ] ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
【化65】

実施例44に概述した手順を用いたアンチ-(1S, 2R) オキソ-フェニル-酢酸 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから標記化合物を製造した。(CDCl3) δ0.97-1.05 (9H, s), 1.07-1.28 (2H, m), 1.68-1.79 (2H, m), 1.81-1.96 (3H, m), 2.1-2.24 (5H, m), 2.31 (1H, s), 2.49-2.61 (3H, m), 3.80 (1H, s), 3.97-4.03 (2H, m), 5.02-5.11 (1H, m), 6.86-6.95 (3H, m), 7.23-7.34 (5H, m), 7.69-7.74 (2H, m). LCMS (方法4): Rt 8.29 mins, m/z 466 [MH+].
【0182】
実施例46
アンチ-(1S, 2R) [2-(2-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-2-フェニル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
【化66】

実施例13に概述した手順を用いて、アンチ-(1S, 2R) 2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-2-フェニル-酪酸 7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピルアミノ] ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから標記化合物を製造した。LCMS (方法2) Rt 2.82 mins, m/z 480 [M+].
【0183】
実施例47
[アンチ-(1R,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-アセチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
【化67】

a. (1R,7S)-N7-メチル-N7-(3-フェノキシ-プロピル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,7-ジアミン
(1S,7S)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン(1.35 g, 4.9 mmol)の溶液をメタノール90 mL中にて形成させた。酢酸ナトリウム(648 mg, 7.9 mmol)、次いでヒドロキシルアミン塩酸塩(566 mg, 8.2 mmol)を加えた。混合物を室温にて18時間撹拌した。塩化ニッケル(II)六水和物(2.11 g, 8.9 mmol)、次いで水素化ホウ素ナトリウム(1.68 g, 44.5 mmol)を少しずつ加えた。混合物を室温にてさらに18時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルと水性水酸化ナトリウムで分液した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を留去してゴム状物とした。これをSCXカートリッジに充填し、メタノールで洗浄した後、メタノール中4Mアンモニアで溶出した。さらにDCM中0-10 % メタノールの勾配を溶出液として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより物質を精製し、標記化合物を茶色油状物(526 mg, 39 %)として得た。LCMS (方法2): Rt 0.34 mins, m/z 275 [MH+].
【0184】
【化68】

b. N-{(1R,7S)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル}-2-オキソ-2-フェニル-アセトアミド
(1R,7S)-N7-メチル-N7-(3-フェノキシ-プロピル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,7-ジアミン(200 mg, 0.73 mmol)の溶液をジイソプロピルエチルアミン(0.25 mL, 1.46 mmol)を含むDCM 3 mL中にて形成させた。オキソ-フェニル-アセチルクロリド(184 mg, 1.09 mmol)のDCM 1mL溶液を滴加した。混合物を室温にて3時間撹拌した。溶媒を留去し、DCM中0-20 %酢酸エチル勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより残渣を精製し、標記化合物を無色油状物として得た(150 mg, 51 %)。LCMS (方法2): Rt 2.28 mins, m/z 407 [MH+].
【0185】
【化69】

c. 2-ヒドロキシ-N-{アンチ-(1R,2R)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル}-2,2-ジフェニル-アセトアミド
N-{(1R,7S)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル}-2-オキソ-2-フェニル-アセトアミド(100 mg, 0.25 mmol)の冷却した(0℃)溶液をTHF 5 mL中にて形成させた。塩化フェニルマグネシウム(0.26 mL, THF中2M, 0.52 mmol)の溶液を加え、溶液を0℃にて1時間撹拌した後、室温までさらに1時間昇温させた。水性塩化アンモニウム(飽和10 mL)の添加により反応停止処理した。混合物を酢酸エチルで抽出した後、集めた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。DCM中0-5 % メタノールの勾配を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を無色油状物(20 mg, 17 %)として得た。LCMS (方法2): Rt 2.55 mins, 485 m/z [MH+].
【0186】
【化70】

d. [アンチ-(1R,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-アセチルアミノ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウムブロミド
実施例13と同様の方法を用いて、標記化合物を2-ヒドロキシ-N-{アンチ-(1R,2R)-7-[メチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル}-2,2-ジフェニル-アセトアミドから製造した:LCMS (方法1): Rt 7.88 mins, 499 m/z [M+]; (CD3OD) δ1.27 (1H, m), 1.66-1.75 (1H, m), 1.85 (2H, t), 2.05 (1H, m), 2.22-2.38 (3H, m), 2.73 (1H, m), 3.00 (1H, s), 3.20 (6H, s), 3.60-3.68 (3H, m), 4.11 (3H, m), 6.92-6.96 (3H, m), 7.25-7.34 (8H, m), 7.40-7.45 (4H, m).
【0187】
実施例48
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(3-ジメチルアミノ-プロピル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル:
【化71】

実施例42と同様の方法を用いて、標記化合物をアンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-メチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルおよび(3-メタンスルホニルオキシ-プロピル)-ジメチル-塩化アンモニウムから形成させた:LCMS (方法1): Rt 5.02 mins, 449 m/z [MH+]; (CD3OD) δ1.07-1.18 (2H, m), 1.50 (2H, m), 1.77 (3H, m), 2.10 (1H, m), 2.17 (3H, s), 2.32 (1H, s), 2.42 (2H, t), 2.54 (1H, s), 2.61 (6H, s), 2.79 (2H, m), 4.57 (1H, br s), 5.02 (1H, m), 6.98 (2H, m), 7.14 (2H, m), 7.38 (2H, m).
【0188】
実施例49
(3-ジメチルアミノ-プロピル)-[アンチ-(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウムブロミド:
【化72】

a. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-{[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
実施例42と同様の方法を用いて、標記化合物をアンチ-ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 (1S,2R)-7-メチルアミノ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルおよびN-(2-ブロモエチル)フタルイミドから形成させた。LCMS (方法2): Rt 2.70 mins, 537 m/z [MH+].
【0189】
【化73】

b. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(2-アミノ-エチル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-{[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチル]-メチル-アミノ}-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(80 mg, 0.15 mmol)の溶液をエタノール3 mL中にて形成させた。ヒドラジン一水和物(72μL, 1.49 mmol)を加え、混合物を80℃にて1時間加熱した後、室温まで冷却した。得られた白色析出物をろ過し、フィルターをエタノールで洗浄した。ろ液を濃縮し、粗製の標記化合物を得た:LCMS (方法3): Rt 2.03 mins, 407 m/z [MH+].
【0190】
【化74】

c. ヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(2-ベンゾイルアミノ-エチル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル
粗製のヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(2-アミノ-エチル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステル(0.15 mmol)をDCM 5 mLに溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン(31μL, 0.23 mmol)、次いで塩化ベンゾイル(17μL, 0.15mmol)を加えた。混合物を室温にて30分間撹拌した。水5mLを加え、有機物を相分離カートリッジに通して単離し、溶媒を留去した。DCM中0-20%酢酸エチルの勾配を溶出液として用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を無色油状物として得た(30 mg, 39 %)。LCMS (方法3): Rt 2.47 mins, 511 m/z [MH+].
【0191】
【化75】

d. (2-ベンゾイルアミノ-エチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウムブロミド
実施例13と同様の方法を用いて、標記化合物をヒドロキシ-ジ-チオフェン-2-イル-酢酸 アンチ-(1S,2R)-7-[(2-ベンゾイルアミノ-エチル)-メチル-アミノ]-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルエステルから製造した:LCMS (方法1): Rt 7.25 mins, m/z 525 [M+]; (CD3OD) δ1.18 (1H, dd), 1.47-1.55 (1H, m), 1.74-1.90 (2H, m), 1.99-2.09 (1H, m), 2.31 (1H, m), 2.80 (1H, m), 3.12 (1H, m), 3.27 (3H, s), 3.27 (3H, s), 3.64-3.69 (3H, m), 3.89 (2H, t), 5.09 (1H, m), 7.00 (2H, m), 7.14 (2H, m), 7.40 (2H, m), 7.45-7.50 (2H, m), 7.54-7.58 (1H, m), 7.85-7.88 (2H, m).
【0192】
生物学的実施例
M3ムスカリン性レセプターおよび(実施例41の場合には)β2アドレナリン作動性レセプターにおける本発明化合物の阻害効果は、以下の結合アッセイにより決定した:
【0193】
ムスカリン性レセプター放射性リガンド結合アッセイ
ヒトムスカリン性レセプター(M2およびM3)を発現する[3H]-N-メチルスコポラミン([3H]-NMS)および市販の細胞膜を利用した放射性リガンド結合研究を用いてM2およびM3レセプターに対するムスカリン性アンタゴニストの親和性を評価した。TRIS緩衝液中の細胞膜を96ウェルプレート中にて種々の濃度の[3H]-NMSおよびM3アンタゴニストで3時間インキュベーションした。次いで細胞膜および結合放射性リガンドをろ過により集め、一晩乾燥させた。次いでシンチレーション流動体を加え、Canberra Packard Topcountシンチレーションカウンターを用いて結合放射性リガンドをカウントした。
【0194】
各ムスカリン性レセプターにおけるアンタゴニストの半減期は、代替の放射性リガンド[3H]-QNBおよび上記親和性アッセイの適合を用いて測定した。アンタゴニストは、[3H]-QNBリガンドで測定したように、そのKiの10倍高濃度にてヒトムスカリン性レセプターを発現する細胞膜で3時間インキュベーションした。この時間の終わりに、[3H]-QNBを研究されるレセプターについてのそのKdよりも25倍高濃度まで加え、15分間〜180分間の種々の時間インキュベーションを続けた。次いで細胞膜および結合放射性リガンドをろ過により集め、一晩乾燥させた。次いでシンチレーション流動体を加え、結合放射性リガンドはCanberra Packard Topcountシンチレーションカウンターを用いてカウントした。
[3H]-QNBがムスカリン性レセプターへの結合を検出する速度は、アンタゴニストがレセプターから解離する速度、すなわちレセプターにおけるアンタゴニストの半減期に関する。
【0195】
結果:
【表4−1】

【表4−2】

上記表において、M3結合有効性(Ki値)は以下のように示した:<1nM「+++」;1〜10nM「++」;>10nM「+」。すべての試験化合物は<5000nMのKi値を示した。NT = 試験なし
【0196】
β-アドレナリン作動性レセプター放射性リガンド結合アッセイ
ヒトβ2アドレナリン作動性レセプターを発現する[125I]-ヨードシアノピンドロールおよび市販の細胞膜を利用した放射性リガンド結合研究を用いて、β2-アドレナリン作動性レセプターに対するアンタゴニストの親和性を評価した。細胞膜およびSPAビーズを種々の濃度の[125I]-ヨードシアノピンドロールおよびβ2アンタゴニストでTRIS緩衝液中、常温にて3時間インキュベーションした。アッセイを96ウェルプレート中にて行い、Wallac Microbetaカウンターを用いて記録した。本アッセイにおいて、実施例41は<100nMのKi値を示した。
【0197】
カルシウム動員によるM3レセプター活性化の阻害の分析
別のM3レセプター結合アッセイにおいて、ヒトM3レセプターを発現するCHO細胞を播種し、3%血清中50000/培地75μlの密度にて96ウェルコラーゲンでコーティングしたプレート(black-wall, clear bottom)中で一晩インキュベーションした。次の日、カルシウム敏感性染料(Molecular Devices, カタログ番号R8041)は5mM プロベネシド(pH 7.4)を添加したHBSS緩衝液にて製造した。等容積の染料溶液75μlを細胞に加え、45分間インキュベーションし、次いでムスカリン性アンタゴニスト50μlまたはビヒクルを添加した。さらに15分後、プレートをFLEXstationTM(励起488nm、消失525nm)で15秒間記録し、ベースライン蛍光を測定した。次いでムスカリン性アゴニストカルバコールをEC80濃度にて加え、蛍光をさらに60秒間測定した。アンタゴニストの非存在下、対照ウェルにおけるベースライン蛍光の平均からピーク応答を引くことによりシグナルを計算した。次いでアンタゴニストの存在下の最大応答の百分率はIC50曲線を生成するために計算した。
M3ムスカリン性レセプターにおける本発明化合物の阻害効果は、以下の生体外(ex-viva)およびインビボアッセイにて評価することができる:
【0198】
単離したモルモット気管における作用の有効性および期間の評価
実験は、95% O2/5% CO2雰囲気下、改変Krebs-Henseleit溶液(114mM NaCl, 15mM NaHCO3, 1mM MgSO4, 1.3mM CaCl2, 4.7mM KCl, 11.5mMグルコースおよび1.2mM KH2PO4, pH7.4)中37℃にて行った。インドメタシンを加えて3μMの最終濃度にした。
気管を成熟雄Dunkin Hartleyモルモットから取り出し、付着組織から解離させた後に、筋肉の反対側に縦に一列に切り開いた。2-3の輪状軟骨の各一片を幅で切り出し、水に浸した組織浴10ml中にて木綿糸を用いて懸濁し、組織が二つの白金電極の間にあることを確認して力変換器につないだ。応答はPCにつないだMP100W/肯定応答データ取得システムにより記録した。組織は1gの静止緊張下1時間平衡化した後、2分ごとに引き起こされる0.1msのパルス幅の単極性パルスを有する80Hzの周波数にて電場刺激を与えた。「電圧応答」曲線は各組織および最大下電圧について生成した後、それ自身の電圧に対する応答に従い組織のすべての片に適用した。組織をKrebs溶液で洗浄し、試験化合物の添加の前に刺激を受けて安定化させた。濃度応答曲線は半log増分における試験化合物の累積的添加により得た。各添加への応答が安定期に達してすぐに、次の添加を行った。EFS刺激収縮の阻害百分率は、添加される各化合物の各濃度、Graphpad Prismソフトウェアを用いて作図される用量応答曲線、および各化合物について計算されるEC50について計算する。
【0199】
作用の開始時間および期間の研究は、予め測定したEC50濃度の化合物をEFS収縮組織に加えることにより行い、応答を水平状態にした。この応答が50%に達するようにとった時間を開始時間と決定した。次いで組織は組織浴を新たに調製したKrebs溶液で流すことにより化合物から洗浄し、EFSに対して収縮し本発明化合物における50%応答に戻る時間を測定する。これは作用期間を意味する。例のために、このアッセイにおいて実施例20の化合物は0.8 nMのEC50および540分の作用期間を有した。
【0200】
インビボにおけるメタコリン誘発性気管支収縮
5群で飼育された500-600gの重量の雄モルモット(Dunkin Hartley)を個別に同定した。動物を少なくとも5日間それらのまわりの環境に慣れさせた。この時間および研究時間を通して、動物に水および餌を自由に摂らせた。
モルモットを吸入麻酔ハロタン(5%)で麻酔した。試験化合物またはビヒクル(0.25〜0.50 ml/kg)を鼻腔内投与した。動物を加熱パッドに置き、回復させた後、ホームケージに戻した。
投与後24時間まで、モルモットをウレタン(250μg/ml, 2ml/kg)で末期的に麻酔した。外科的麻酔の時点にて、メタコリンの静脈内投与の間、頸静脈にヘパリン化リン酸緩衝生理食塩水(hPBS, 10U/ml)を充填したボーテックス(portex)静脈内カニューレを挿入した。気管をさらけ出して堅いボーテックスカニューレを挿入し、食道に柔らかいボーテックス幼児栄養チューブで経口的にカニューレを挿入した。
次いで自発的に呼吸している動物を呼吸気流計および圧力変換器からなる肺測定システム(EMMS, Hants, UK)につないだ。気管カニューレを呼吸気流計に付け、食道カニューレを圧力変換器に付けた。
食道カニューレを0.1〜0.2cm H20/ml/sのベースライン耐性を得るために位置づけた。2分間ベースラインを記録した後、メタコリンを静脈内投与した(30μg/kgまで, 0.5ml/kg)。誘発性収縮の2分記録は静脈内投与の時点から記録した。
ソフトウェアにより、試験化合物の気管支保護(bronchoprotective)効果を分析するために用いられる各2分記録の間のピーク耐性および耐性曲線下領域(AUC)を計算した。MCh(静脈内10μg/kg)誘発性気管支収縮の4時間前に、実施例20の化合物(鼻腔内0.1、0.3および1μg/kg)についての本アッセイにて得られた結果、および比較化合物チオトロピウムを図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0201】
(原文に記載なし)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、N-酸化物もしくはプロドラッグ:
[式中、
Aは酸素原子または-N(R12)-基であり;
(i) R1はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;R2は水素原子または-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5もしくは-Z-CO2H基であり;R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであるか;
(ii) R1およびR3はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2は水素原子;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合に-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10、-Z-CO-NR9R10、-Z-NR9-CO-R5もしくは-Z-CO2H基であるか;または
(iii) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、該環は-Y-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10;-Z-CO-NR9R10;-Z-NR9-CO-R5;または-Z-CO2H基で置換されており、R3は孤立電子対であるか、またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;
R4は式(a)、(b)、(c)または(d):
【化2】

で示される基であり;
ZはC1-C16-アルキレン、C2-C16-アルケニレンまたはC2-C16-アルキニレン基であり;
Yは結合または酸素原子であり;
R5はC1-C6-アルキル、アリール、アリール縮合シクロアルキル、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール(C1-C8-アルキル)-、ヘテロアリール(C1-C8-アルキル)-、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基であり;
R6はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R7aおよびR7bはC1-C6-アルキル基またはハロゲンであり;
nおよびmは独立して0、1、2または3であり;
R8aおよびR8bは独立してアリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C1-C6-アルキル、シクロアルキルからなる群から選択され;
R8cは-OH、C1-C6-アルキル、ヒドロキシ-C1-C6-アルキル、ニトリル、CONR8d2基または水素原子であり;
R8dはC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R9およびR10は独立して水素原子、C1-C6-アルキル、アリール、アリール縮合ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール(C1-C6-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C6-アルキル)-基であるか;またはR9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、適宜さらに窒素もしくは酸素原子を含んでいてもよい4〜8原子のヘテロ環を形成し;
R12はC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
Ar1はアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;
Ar2は独立してアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;
Qは酸素原子、-CH2-、-CH2CH2-または結合である]。
【請求項2】
Aが酸素原子または-N(R12)-基であり;
R1がC1-C6-アルキルまたは水素原子であり、R2がC1-C6-アルキル、水素原子または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基であるか;またはR1およびR2がそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3が孤立電子対であるか;またはそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであるか;またはR1およびR3がそれらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成し、R2が窒素原子が四級化し陽性電荷を有する場合にC1-C6-アルキルであり;
R4が式(a)または(b):
【化3】

で示される基であり;
ZがC1-C8-アルキレン、C2-C8-アルケニレンまたはC2-C8-アルキニレン基であり;
Yが結合または酸素原子であり;
R5がアリール、ヘテロアリール、アリール(C1-C8-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C8-アルキル)-基であり;
R6がC1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R7aおよびR7bが独立してC1-C6-アルキル基またはハロゲンであり;
nおよびmが独立して0、1、2または3であり;
R8aおよびR8bが独立してアリール、ヘテロアリール、C1-C6-アルキル、シクロアルキルからなる群から選択され;
R8cが-OH、C1-C6-アルキル、ヒドロキシ-C1-C6-アルキルまたは水素原子であり;
R9およびR10が独立して水素原子、C1-C6-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C1-C6-アルキル)-またはヘテロアリール(C1-C6-アルキル)-基であるか;またはR9およびR10がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、適宜さらに窒素または酸素原子を含んでいてもよい4〜8原子のヘテロ環を形成し;
R12がC1-C6-アルキルまたは水素原子である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1がメチルもしくはエチルまたは水素原子であり、R2がメチルもしくはエチル、水素原子または-Z-Y-R5基または-Z-NR9R10基である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R1がメチルもしくはエチルまたは水素原子であり、R2が-Z-CO-NR9R10基;または-Z-NR9-CO-R5基;または-Z-CO2H基である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
R3がそれが結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有するようなメチルである、請求項3または4記載の化合物。
【請求項6】
R1とR3またはR1とR2がそれらが結合している窒素と一緒になって、3〜7の環原子の単環式ヘテロ環(ここに、ヘテロ原子は窒素である)を形成する、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
R1とR3またはR1とR2がそれらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-メチルピペラジニルまたはピロリジニル環を形成する、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
R1とR3またはR1とR2が結合している窒素原子が第四級窒素であり陽性電荷を有する、請求項6または7記載の化合物。
【請求項9】
-R5、-Y-R5、-Z-Y-R5、-Z-NR9R10、-Z-CO-NR9R10、-Z-NR9-CO-R5または-Z-CO2Hのいずれの基においても:
Zが適宜鎖中の3の炭素までメチルで置換されていてもよい-(CH2)1-16-であり;
Yが結合または-O-であり;
R5がメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、n-、sec-もしくはtertブチル;または
フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ナフチル;または
ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルもしくはインダゾリル;または
アリールアルキル(ここに、アリール部はフェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニルまたはナフチルであり、-(C1-C6-アルキル)-部は-CH2-または-CH2CH2-である);または
ヘテロアリールアルキル(ここに、ヘテロアリール部はピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルまたはインダゾリルであり、-(C1-C6-アルキル)-部は-CH2-または-CH2CH2-である);または
インダニルもしくは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル;または
ヘテロシクロアルキル(C1-C6-アルキル)-(ここに、ヘテロシクロアルキル部はアゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、メチルピペラジニルなどのN置換ピペラジニル、またはテトラヒドロピロリルであり、-(C1-C6-アルキル)-部は-CH2-または-CH2CH2-である);または
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルであり;
R9およびR10が独立して、
水素;メチル、エチルまたはn-もしくはイソプロピル;
フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ナフチル;
ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルもしくはインダゾリル;または
アリールアルキル(ここに、アリール部はフェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニルまたはナフチルであり、-(C1-C6-アルキル)-部は-CH2-または-CH2CH2-である)であるか;またはR9およびR10がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-メチルピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニル環を形成する、
上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項10】
-NR1R2R3基において、R1がメチルまたはエチルであり、R2が-Z-Y-R5基であり、R3がそれが結合している窒素が四級化し陽性電荷を有するようなメチルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項11】
R5がフェニルまたはフェニル(C1-C6-アルキル-であり、Yが結合または-O-であり、-Z-が12までまたは9までの炭素原子の鎖により窒素および-YR5を連結する直鎖または分枝鎖アルキレン基である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
Aが酸素原子である、上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項13】
Aが-N(R12)-基(ここに、R12はメチルもしくはエチルまたは水素原子である)である、請求項1〜12のいずれか記載の化合物。
【請求項14】
R4が(a)基であり、R6がメチルもしくはエチルまたは水素原子であり;Ar1がフェニル、チエニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピルまたはシクロブチルであり;R7aおよびR7bが独立してメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、n-、sec-もしくはtertブチル、フルオロ、クロロまたはブロモであり;mおよびnが独立して0、1、2または3である、上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項15】
R4が(b)基であり、R8aおよびR8bが独立してメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、n-、sec-およびtertブチル;フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ナフチル;ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルまたはインダゾリル;インダニルおよび1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルから選択することができ;R8cが-OH、水素原子、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ニトリルまたはCONR8d2基(ここに、R8dはそれぞれ、独立してメチル、エチルまたは水素原子である)である、請求項1〜13のいずれか記載の化合物。
【請求項16】
R4が(d)基であり、R8aおよびR8bが独立してメチル、エチル、n-もしくはイソプロピル、n-、sec-およびtertブチル;フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ナフチル;ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルまたはインダゾリル;インダニルおよび1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルから選択することができ;R8cが-OH、水素原子、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ニトリルまたはCONR8d2基(ここに、R8dはそれぞれ、独立してメチル、エチルまたは水素原子である)である、請求項1または3〜13のいずれか記載の化合物。
【請求項17】
R8cが-OHである、請求項15または16記載の化合物。
【請求項18】
(i) R8aおよびR8bがそれぞれ、適宜置換されていてもよいピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニルまたはフェニルであるか;(ii) R8aおよびR8bの一方が適宜置換されていてもよいフェニルであり、他方がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであるか;または(iii) R8aおよびR8bの一方が適宜置換されていてもよいピリジル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリルまたはフリルであり、他方がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、請求項15〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項19】
R8aおよびR8bがそれぞれ、2-チエニルまたはフェニルであるか;またはR8aおよびR8bの一方がフェニルであり、他方が2-チエニルである、請求項15〜17のいずれか記載の化合物。
【請求項20】
R4が(c)基であり、R8cが-OH、水素原子、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ニトリルまたは-CONR8d2基(ここに、R8dはそれぞれ、独立してメチル、エチルまたは水素原子である)であり;Ar2がそれぞれ、フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ナフチル;ピリジル、ピロリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリルまたはインダゾリル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル環から選択され;2つの環Ar2の間の架橋-Q-が-O-、-CH2-または-CH2CH2-である、請求項1または3〜13のいずれか記載の化合物。
【請求項21】
環Ar2がそれぞれ、フェニル環である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
R8cが-OHである、請求項20または21記載の化合物。
【請求項23】
式(IA):
【化4】

[式中、環Aは適宜置換されていてもよいフェニル環、または5もしくは6の環原子の単環式ヘテロ環、またはフェニル縮合ヘテロシクロアルキル環系(ここに、ヘテロシクロアルキル環は5または6の環原子の単環式ヘテロ環である)であり;R8aはフェニル、チエニル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;R8bはフェニル;チエニル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;sは1、2、3、4、5、6または7であり、tは0、1、2、3、4、5、6または7であるが、但し、s+tは10以下であり;Yは結合または-O-であり、X-は医薬的に許容されるアニオンである]
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
式(IB):
【化5】

[式中、環Bは適宜置換されていてもよいフェニル環、または5もしくは6の環原子の単環式ヘテロ環、またはフェニル縮合ヘテロシクロアルキル環系(ここに、ヘテロシクロアルキル環は5または6の環原子の単環式ヘテロ環である)であり;sは1、2、3、4、5、6または7であり、tは0、1、2、3、4、5、6または7であるが、但し、s+tは10以下であり;Yは結合または-O-であり;X-は医薬的に許容されるアニオンである]
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
主にアンチ-エンド立体配置である、上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項26】
アンチ-2-(ビフェニル-2-イルカルバモイルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニル-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(±)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェニル-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-フェネチル-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(4-フェニル-ブチル)-アンモニウム塩、
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-トリメチル-アンモニウム塩、
(2-ベンジルオキシ-エチル)-アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) 2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-[2-(9H-キサンテン-9-カルボニルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-アンモニウム塩、
アンチ-(1S, 2R) 2-(9-ヒドロキシ-9H-キサンテン-9-カルボニルオキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-ジメチル-(3-フェノキシ-プロピル)-アンモニウム塩および
アンチ-[(1S,2R)-2-(2-ヒドロキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-アセトキシ)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-7-イル]-インダン-2-イル-ジメチル-アンモニウム塩
からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
R2基の-L-B基(ここに、Lはリンカー基であり、Bはβ2アドレナリンレセプターアゴニスト活性を有する部分である)による置換により改変される、上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項28】
治療における使用のための上記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか記載の化合物および医薬的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項30】
吸入に適した形態である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
M3ムスカリン性レセプター活性が関与する疾患または病態の治療または予防における使用のための医薬の製造のための請求項1〜28のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項32】
有効量の請求項1〜28のいずれか記載の化合物のそれを必要とする対象への投与を含む、M3ムスカリン性レセプター活性が関与する疾患または病態の治療方法。
【請求項33】
疾患または病態が気道障害である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。
【請求項34】
疾患または病態が胃腸系障害である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。
【請求項35】
疾患または病態が心血管障害である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。
【請求項36】
疾患または病態が慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸障害、気管支活性亢進、肺線維症、肺気腫またはアレルギー性鼻炎である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。
【請求項37】
疾患または病態が過敏性腸症候群、痙攣性大腸炎、胃十二指腸潰瘍、胃腸痙攣または胃腸運動機能亢進、憩室炎、胃腸平滑筋組織の痙攣を伴う疼痛;神経性頻尿、神経因性膀胱、夜尿、心因性膀胱、膀胱痙攣または慢性膀胱炎と関連する失禁、尿意逼迫または頻尿などの排尿異常を伴う尿路疾患;乗り物酔い;および迷走神経刺激誘発洞性徐脈などの心血管障害である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。
【請求項38】
疾患または病態が迷走神経刺激誘発洞性徐脈である、請求項31記載の使用または請求項32記載の治療方法。

【公表番号】特表2009−504624(P2009−504624A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525627(P2008−525627)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002957
【国際公開番号】WO2007/017670
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507259730)アージェンタ ディスカバリー リミテッド (23)
【Fターム(参考)】