説明

ビニルシクロプロパン化合物、及びホログラフィック記録用組成物、並びに光記録媒体、及び光記録方法

【課題】ホログラフィック記録用のモノマーとして好適な多官能のビニルシクロプロパン化合物、及びホログラフィック記録用組成物、並びに光記録媒体、及び光記録方法の提供。
【解決手段】下式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物および該ビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有するホログラフィック記録用組成物。


式中、Rはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは2価以上の有機連結基を表し、nは2〜6の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック記録用のモノマーとして好適な多官能のビニルシクロプロパン化合物、及びレーザー光を用いて情報の記録及び再生が可能であり、特に、記録層の厚みが厚いボリュームホログラフィック光記録媒体の作製に適したホログラフィック記録用組成物、並びに該ホログラフィック記録用組成物を用いた光記録媒体、及び光記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホログラフの原理を用いたホログラフィック光記録媒体の開発が進められてきた。これらのホログラフィック光記録媒体は、情報の記録時には、イメージ情報を含んだ情報光と参照光とを感光性組成物からなる記録層中で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録層に書き込むことによって行われる。一方、情報の再生時には、情報が記録された記録層に所定の角度で参照光を入射させることにより、形成された干渉縞による参照光の光回折が起こり、情報光が再生される。
【0003】
近年、超高密度光記録のため、ボリュームホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィが実用域で開発され、注目を集めている。ボリュームホログラフィとは、光記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、三次元的に干渉縞を書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特長がある。そして、デジタルボリュームホログラフィとは、ボリュームホログラフィと同様の記録媒体と記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化したデジタルパターンに限定した、コンピュータ指向のホログラフィック記録方式である。このデジタルボリュームホログラフィでは、例えば、アナログ的な絵のような画像情報も、一旦デジタイズして、二次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にS/N比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化してエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる(特許文献1参照)。
【0004】
このようなボリュームホログラフィック光記録媒体では、記録密度が大きいことが重要な要素である。フォトポリマー方式のホログラフィック光記録媒体においてウレタンマトリックスとフェニルアクリレート誘導体を用いた記録媒体が開示されている(特許文献2参照)。しかし、その記録容量は十分なものではない。また、通常のフォトポリマー方式では、モノマーの重合時に体積収縮を伴うため、その記録干渉縞の歪みが発生し、データの入出力時にエラーを引き起こすという重大な問題があり(非特許文献1参照)、そのため、十分満足できる記録容量が得られていない。
【0005】
ホログラフィック光記録媒体に好適に用いられるモノマーとして、重合時の体積収縮が比較的少ないビニルシクロプロパン化合物が知られている。例えば、特許文献3には、アルキルエステル基又はアシル基で置換されたビニルシクロプロパンをホログラム記録用組成物の記録モノマーとして用いた例が開示されている。しかし、このようなホログラフィック記録用組成物であっても十分満足できる記録容量(即ち良好な多重特性)が得られず、記録感度も低いものであった。
【0006】
また、非特許文献2には、重合時に体積が増大するモノマーとしてフェニルエステル基で置換されたビニルシクロプロパンが開示されている。しかし、前記モノマーは歯科材料用途を想定したものであって、ホログラフィック記録用途として十分満足できる高い記録容量(高い多重特性)を実現できるかどうか開示も示唆もなく、またホログラフィック記録用途として十分な記録感度が得られるかについても全く知られていない。
【0007】
したがって高い記録容量(高い多重特性)と高い記録感度を両立し得るホログラフィック用記録モノマーの速やかな開発が切望されているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開平11−311936号公報
【特許文献2】特表2005−502918号公報
【特許文献3】米国特許第4959284号明細書
【非特許文献1】日本印刷学会誌、2004年、41巻、25ページ
【非特許文献2】Macromolecules 1994,27,5543−5546.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ホログラフィック記録用のモノマーとして好適な多官能のビニルシクロプロパン化合物、及びデータの入出力時にエラーが小さい、つまり記憶容量が大きく、かつ感度が高いデジタルボリュームホログラフィに好適なホログラフィック記録用組成物、並びに該ホログラフィック記録用組成物を用いた超高密度光記録が可能な光記録媒体、及び光記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表されることを特徴とするビニルシクロプロパン化合物である。
【化3】

ただし、前記構造式(1)中、Rはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは2価以上の有機連結基を表し、該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。nは2〜6の整数を表す。
<2> 構造式(1)において、nが2である前記<1>に記載のビニルシクロプロパン化合物である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有することを特徴とするホログラフィック記録用組成物である。
<4> 下記構造式(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有することを特徴とするホログラフィック記録用組成物である。
【化4】

ただし、前記構造式(2)中、R及びRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、R及びRの両方がアルキル基の場合、少なくともどちらか一方のアルキル基がアリール基を有する。該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。
<5> 更にマトリックス及び光重合開始剤を含有する前記<3>から<4>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物である。
<6> マトリックスが、多官能イソシアネート及び多官能アルコールから形成されるウレタンマトリックスである前記<5>に記載のホログラフィック記録用組成物である。
<7> 前記<3>から<6>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有することを特徴とする光記録媒体である。
<8> 下側基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、上側基板とを有する前記<7>に記載の光記録媒体である。
<9> 前記<7>から<8>のいずれかに記載の光記録媒体に対し可干渉性を有する情報光及び参照光を照射し、該情報光と該参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体の記録層に記録することを特徴とする光記録方法である。
【0011】
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、下記構造式(1)で表される多官能のビニルシクロプロパン化合物であり、ホログラフィック記録用のモノマーとして好適に用いられる。
【化5】

ただし、前記構造式(1)中、Rはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは2価以上の有機連結基を表し、該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。nは2〜6の整数を表す。
【0012】
本発明のホログラフィック記録用組成物は、第1形態では、記録用のモノマーとして、上記構造式(1)で表される多官能のビニルシクロプロパン化合物を含有するので、優れた記録感度を有し、安価なレーザーを用いることができ、書き込み時間の短縮を図ることができるので、記憶容量が大きいデジタルボリュームホログラフィに好適なものである。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、第2形態では、記録用のモノマーとして、下記構造式(2)で表される単官能のビニルシクロプロパン化合物を含有するので、優れた記録感度を有し、安価なレーザーを用いることができ、書き込み時間の短縮を図ることができるので、記憶容量が大きいデジタルボリュームホログラフィに好適なものである。
【化6】

ただし、前記構造式(2)中、R及びRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、R及びRの両方がアルキル基の場合、少なくともどちらか一方のアルキル基がアリール基を有する。該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。
【0013】
ホログラフィック記録媒体における光記録においては、情報光及び参照光の照射によって光重合反応が起こり干渉像(屈折率の高低からなる干渉縞)が形成される。本発明の前記ビニルシクロプロパン化合物、並びに本発明の前記第1及び第2形態のホログラフィック記録用組成物においては、重合の際に生じる体積収縮が少ないため、記録干渉縞の歪みが発生しにくい。したがってデータの入出力時にエラーの少ない記録性能が得られ、高多重特性を実現することができる。更に、モノマー自身の屈折率が高いことから、屈折率の高低差が明確に発現するため、高い記録感度を得ることができる。
【0014】
本発明の光記録媒体は、本発明の前記第1形態及び第2形態のいずれかのホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有するので、超高密度光記録が可能となり、ボリュームホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィ用記録媒体として最適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、ホログラフィック記録用のモノマーとして好適な多官能のビニルシクロプロパン化合物、及びデータの入出力時にエラーが小さい、つまり記憶容量が大きく、かつ感度が高いデジタルボリュームホログラフィに好適なホログラフィック記録用組成物、並びに該ホログラフィック記録用組成物を用いた超高密度光記録が可能な光記録媒体、及び光記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(ビニルシクロプロパン化合物)
本発明のビニルシクロプロパン化合物は、下記構造式(1)で表される。
【化7】

ただし、前記構造式(1)中、Rはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは2価以上の有機連結基を表し、該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。nは2〜6の整数を表す。
【0017】
前記ビニルシクロプロパン化合物としては、上記構造式(1)において、nが2〜6の多官能のものが好ましいが、nが1である、下記構造式(2)で表される単官能の化合物も好適に用いることができる。
【化8】

ただし、前記構造式(2)中、R及びRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、R及びRの両方がアルキル基の場合、少なくともどちらか一方のアルキル基がアリール基を有する。該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。
【0018】
前記構造式(1)及び(2)において、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜15がより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ターシャリーオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2,3−ジブロモプロピル基、アダマンチル基、ベンジル基、4−ブロモベンジル基などが挙げられる。該アルキル基は更に置換基を有していてもよい。
【0019】
前記構造式(2)において、R及びRの両方がアルキル基の場合、少なくともどちらか一方のアルキル基がアリール基を有する。その理由は、上記構造式(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物をホログラフィック記録用組成物の記録用のモノマーとして使用する場合には記録されるポリマーの屈折率が高いことが好ましいため、アリール置換していることが、充分な記録感度を得る上で必要になる。
【0020】
前記構造式(1)及び(2)において、R及びRで表されるアリール基としては、炭素数6〜14が好ましく、炭素数6〜10がより好ましく、炭素数は6が特に好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。該アリール基は更に置換基を有していてもよい。
【0021】
前記構造式(1)及び(2)において、R及びRで表されるヘテロ環基としては、炭素数4〜12が好ましく、炭素数は4又は5がより好ましい。このようなヘテロ環基としては、例えばピリジン環基、ピロール環基、チオフェン環基、ピリミジン環基などが挙げられる。該ヘテロ環基は、置換基で更に置換されていてもよい。
【0022】
前記構造式(1)において、Rで表される2価以上の有機連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基が特に好ましい。また、3価の有機基としては、例えば、アルカントリイル基、アレーントリイル基が好ましく、アルカントリイル基が特に好ましい。また、4価の有機基としては、例えば、アルカンテトライル基、アレーンテトライル基が好ましく、アレーンテトライル基が特に好ましい。また、5価の有機基としては、例えば、アルカンペンタイル基、アレーンペンタイル基が好ましく、アルキルペンタイル基が特に好ましい。また、6価の有機基としては、例えば、アルカンヘキサイル基、アレーンヘキサイル基が好ましく、アルキルヘキサイル基が特に好ましい。
【0023】
前記アルキレン基は、分岐を有していてもよく、また、置換基を有していてもよく、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜20がより好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子が特に好ましい。また、アルキレン鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。また、アルキレン鎖中及びアルキレン鎖の片末端の少なくともいずれかにアリーレン基、又はアルケニレン基を有していてもよく、アリーレン基が特に好ましい。
このようなアルキレン基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化9】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、aは0〜20、bは1〜20、cは1〜20の数を表す。
【0024】
前記アリーレン基は、置換基を有していてもよく、炭素数6〜30が好ましく、特に炭素数6〜20が好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基が特に好ましい。また、アリーレン鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。
このようなアリーレン基の具体例を下記に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
【化10】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、bは1〜20の数、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表す。
【0026】
前記アルカントリイル基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜20がより好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基が特に好ましい。また、アルカントリイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。また、アルカントリイル鎖中及びアルカントリイル鎖の片末端の少なくともいずれかにアリーレン基又はアルケニレン基を有していてもよく、アリーレン基が特に好ましい。
このようなアルカントリイル基の例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化11】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、aは0〜20の数、bは1〜20の数、cは1〜20の数、dは1〜20の数を表す。
【0027】
前記アレーントリイル基は、置換基を有していてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20がより好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基が特に好ましい。また、アレーントリイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。
このようなアレーントリイル基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化12】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、bは1〜20の数を表す。
【0028】
前記アルカンテトライル基は、分岐を有していてもよく、また、置換基を有していてもよく、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜20がより好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などが挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基が特に好ましい。また、アルカンテトライル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。また、アルカンテトライル鎖中及びアルカンテトライル鎖の片末端の少なくともいずれかにアリーレン基又はアルケニレン基を有していてもよく、アリーレン基が特に好ましい。
このようなアルカンテトライル基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化13】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、aは0〜20、bは1〜20、cは1〜20の数、dは1〜20の数を表す。
【0029】
前記アレーンテトライル基は、置換基を有していてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20が特に好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などが挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基が特に好ましい。また、アレーンテトライル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。
このようなアレーンテトライル基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化14】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、bは1〜20の数を表す。
【0030】
前記アルカンペンタイル基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素数1〜30が好ましく、特に炭素数1〜20が好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基が特に好ましい。また、アルカンペンタイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。また、アルカンペンタイル鎖中及びアルカンペンタイル鎖の片末端の少なくともいずれかにアリーレン基又はアルケニレン基を有していてもよく、アリーレン基が特に好ましい。
このようなアルカンペンタイル基の例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化15】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、aは0〜20の数、bは1〜20の数、cは1〜20の数、dは1〜20の数を表す。
【0031】
前記アレーンペンタイル基は、置換基を有していてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20が特に好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基が特に好ましい。また、アレーンペンタイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。
このようなアレーンペンタイル基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化16】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、bは1〜20の数を表す。
【0032】
前記アルカンヘキサイル基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素数1〜30が好ましく、特に炭素数1〜20が好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基が特に好ましい。また、アルカンヘキサイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。また、アルカンヘキサイル鎖中及びアルカンヘキサイル鎖の片末端の少なくともいずれかにアリーレン基又はアルケニレン基を有していてもよく、アリーレン基が特に好ましい。
このようなアルカンヘキサイル基の例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化17】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、aは1〜20の数、bは1〜20の数、cは1〜20の数、dは1〜20の数を表す。
【0033】
前記アレーンヘキサイル基は、置換基を有していてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20が特に好ましい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基が特に好ましい。また、アレーンヘキサイル鎖中に2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有していてもよく、このような2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−、−NHCO−が好ましく、−O−が特に好ましい。
このようなアレーンヘキサイル基の具体例を下記式に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化18】

ただし、前記式中、*は結合点を表し、bは1〜20の数を表す。
【0034】
また、上記構造式(1)及び(2)におけるR、R、及びRを更に置換する置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、水酸基、ヘテロ環基などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子が特に好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えばヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子などが挙げられ、これらの中でも、ヨウ素原子、臭素原子が好ましい。
【0035】
前記構造式(1)において、Rはアルキル基、又はアリール基であり、Rはアリーレン基を鎖中に含むアルキレン基、又はアリーレン基であり、かつnは2であることが好ましく、Rはアルキル基、Rはアリーレン基を鎖中に含むアルキレン基、かつnが2であることがより好ましい。またRのアリーレン基を鎖中に含むアルキレン基に更にハロゲン原子が置換されている構造が特に好ましい。
前記構造式(2)において、Rはアリール基を有するアルキル基、又はアリール基であり、Rはアリール基を有するアルキル基、又はアリール基が好ましい。
【0036】
以下に、前記構造式(1)及び(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してよい。
【0037】
【化19】

【0038】
【化20】

ただし、前記式中、Meはメチル基を表す。
【0039】
【化21】

【0040】
【化22】

ただし、前記式中、Meはメチル基を表す。
【0041】
【化23】

【0042】
<構造式(1)及び(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物の合成方法>
前記構造式(1)及び(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物は、遠藤らが開発している方法(「Macromolecules 1994,27,5543−5546.」及び「Macromolecules 1996,29,1943−1950.」参照)により合成できる。具体的には、1,4−ジブロモ−2−ブチレンが溶解しているテトラヒドロフラン(THF)溶液(0℃)においてマロン酸エステル誘導体に対して、2当量の水素化ナトリウムを作用させることで合成することができる。後処理はシリカゲルカラムクロマトグラフィーや再結晶などにより、目的とするビニルシクロプロパン化合物(モノマー)を単離することができる。
以下に、M−8及びM−9の合成方法について具体的に説明する。
【0043】
−M−8の合成−
下記式で表されるT−1(12.6g)(合成品)をアセトニトリル250mLに溶解させ、トリエチルアミン(8.0g)を加える。0℃に冷却した後にエチルマロニルクロリド(12.0g)(東京化成株式会社製)を滴下し、室温まで昇温させる。室温で2時間攪拌後、酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出後に濃縮し、下記式で表されるT−2を合成する。
次に、水素化ナトリウム(東京化成株式会社製)4.0gをヘキサンでデカンテーションすることによりオイル成分を除いた後に、テトラヒドロフラン(THF)100mLを添加し、1,4−ジブロモ−2−ブテン(アルドリッチ社製)8.4gを加える。得られるT−2(10.5g)のテトラヒドロフラン(THF)20mLを添加する。発泡が収まった後に60℃まで昇温させ、更に2時間攪拌する。室温まで冷却した後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))にかけることにより、下記式で表されるビニルシクロプロパン化合物(M−8)を単離することができる。
【化24】

【0044】
−M−9の合成−
下記式で表されるT−3(25.2g)(合成品)をアセトニトリル250mLに溶解させ、トリエチルアミン(8.0g)を加える。0℃に冷却した後にエチルマロニルクロリド(12.0g)(東京化成株式会社製)を滴下し、室温まで昇温させる。室温で2時間攪拌後、酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出後に濃縮し、下記式で表されるT−4を合成する。
次に、水素化ナトリウム(東京化成株式会社製)10.9gをヘキサンでデカンテーションすることによりオイル成分を除いた後に、テトラヒドロフラン(THF)150mLを添加し、1,4−ジブロモ−2−ブテン(アルドリッチ社製)3.4gを加える。得られるT−4(14.1g)のテトラヒドロフラン(THF)20mLを添加する。発泡が収まった後に60℃まで昇温させ、更に2時間攪拌する。室温まで冷却した後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))にかけることにより、下記式で表されるビニルシクロプロパン化合物(M−9)を単離することができる。
【化25】

【0045】
前記構造式(1)及び(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物は、各種用途に用いることができるが、下記のホログラフィック記録用組成物の記録用のモノマーとして特に好適に用いることができる。
【0046】
(ホログラフィック記録用組成物)
本発明のホログラフィック記録用組成物は、記録用のモノマーとして本発明の前記構造式(1)で表されるビニルシクロプロパン化合物、又は前記構造式(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有してなり、マトリックス、光重合開始剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0047】
前記記録用のモノマーとは、情報記録に関与し、後述する光重合開始剤により重合を行うことができる化合物を意味する。該重合はラジカル重合、カチオン重合のいずれでもよいが、ラジカル重合がより好ましい。
【0048】
前記構造式(1)又は(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物(モノマー)は、必要に応じてその他のモノマーと併用してもよい。該その他のモノマーとしては、例えば、アクリル基やメタクリル基のような不飽和結合を有するラジカル重合型のモノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。
【0049】
前記ラジカル重合型のモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、2−カルバゾイル−9−イルエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4,6−トリブロムフェニルアクリレート、ペンタブロムアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、などが挙げられる。
【0050】
前記構造式(1)及び(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物(モノマー)の前記ホログラフィック記録用組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。前記含有量が50質量%を超えると、安定な干渉像が得られないことがあり、1質量%未満であると、回折効率の点で望ましい性能が得られないことがある。
【0051】
−前記構造式(1)及び(2)で表されるモノマーの分析方法−
本発明の前記ホログラフィック記録用組成物からなる記録層を有する光記録媒体の記録層部分をテトラヒドロフラン(THF)又はジオキサンを用いて抽出して、ガスクロマトグラフィー(GC)により前記構造式(1)及び(2)で表されるモノマーが存在することが確かめられる。
【0052】
<マトリックス>
前記マトリックスとは、記録や保存に関わるモノマーや光重合開始剤を保持するためのポリマーを意味し、塗膜性、膜強度、及びホログラム記録特性向上の効果を高める目的で使用されるものである。
前記マトリックスは、熱により硬化してもよく、触媒などを使用して光硬化させてもよい。
前記マトリックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱硬化性マトリックスであることが好ましく、例えば、多官能イソシアネート及び多官能アルコールから形成されるウレタンマトリックス、オキシラン化合物から形成されるエポキシ化合物、メラミン化合物、フォルマリン化合物、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等の不飽和酸のエステル化合物やアミド化合物を重合して得られる重合体などが挙げられる。これらの中でも、多官能イソシアネート及び多官能アルコールから形成されるウレタンマトリックスが特に好ましい。
【0053】
前記多官能イソシアネートは低分子であっても高分子であってもよい。該イソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記多官能イソシアネートとしては、例えば、ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、フェニル−1,3,5−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネートリジンジイソシアネートメチルエステル等や、これらの有機イソシアネート化合物の化学量論的過剰量と多官能性活性水素含有化合物との反応により得られる両末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。また、多官能アルコールは低分子であっても高分子であってもよい。多官能アルコールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
〔多官能アルコール〕
前記多官能アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類等、炭素数2以上のアルカンジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール類、ペンタントリオール類、ヘキサントリオール、デカントリオール類などのトリオール類、カテコール、レゾルシノールなどポリフェノール類、ビスフェノール類、又はこれらの多官能アルコール類をポリエチレンオキシ鎖で修飾した化合物などが挙げられる。
【0055】
前記マトリックスの前記ホログラフィック記録用組成物における含有量は、10〜95質量%が好ましく、35〜90質量%がより好ましい。前記含有量が10質量%未満であると、安定な干渉像が得られないことがあり、95質量%を超えると、回折効率の点で望ましい性能が得られないことがある。
【0056】
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、記録光に感度を有するものであれば特に制限はなく、光照射によりラジカル重合を引き起こす材料などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)、ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム〕、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、照射する光の波長に合わせて後述する増感色素を併用してもよい。
【0057】
前記光重合開始剤の前記ホログラフィック記録用組成物における含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。
【0058】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、ホログラフィック記録用組成物の貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤や酸化防止剤を加えてもよい。
【0059】
前記重合禁止剤又は酸化防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト,フェノチアジン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記重合禁止剤又は酸化防止剤の添加量は、前記モノマーの全量に対して3質量%以下が好ましい。前記添加量が3質量%を超えると、重合が遅くなるか、著しい場合は重合しなくなることがある。
【0060】
前記ホログラフィック記録用組成物には、必要に応じて増感色素を添加することもできる。該増感色素としては、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」、「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信編、1987年)等に記載された公知の化合物を使用することができる。
前記増感色素としては、具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、特公昭60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、特公昭62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、特開昭60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60、〔4〕、212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができる。具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
更に、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンも含まれる)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も分光増感色素に含まれる。
前記増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ホログラフィック記録用組成物には、該ホログラフィック記録用組成物からなる記録層の感度を向上させる目的で光熱変換材料を含有させることもできる。
前記光熱変換材料としては、特に制限はなく、目的とする機能や性能に応じて適宜選択することができ、例えば、フォトポリマーとともに記録層へ添加する際の簡便さや、入射光の散乱などを引き起こさないといった特性から、有機染料色素が好ましく、また、記録に用いる光源の光を吸収、散乱しないといった点において、赤外線吸収色素が好ましい。
前記赤外線吸収色素は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カチオン性色素、錯塩形成色素、キノン系中性色素などが好適である。また、前記赤外線吸収色素の極大吸収波長としては、600〜1,000nmが好ましく、700〜900nmがより好ましい。
前記赤外線吸収色素の含有量は、作製した記録材料において、赤外領域で最も吸光度が高い波長の吸光度で決定され。該吸光度としては、0.1〜2.5が好ましく、0.2〜2.0がより好ましい。
【0061】
なお、前記ホログラフィック記録用組成物には、更に必要に応じて、重合時の体積変化を緩和するため、重合成分とは逆方向へ拡散する成分を添加してもよく、あるいは、酸開裂構造を有する化合物を重合体のほかに別途添加してもよい。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、情報を含んだ光の照射によって該情報の記録を行える各種のホログラフィック記録用組成物に利用可能であって、特に、ボリュームホログラフィック記録用組成物が好ましい。
なお、ホログラフィック記録用組成物が十分低い粘度ならばキャスティングすることによって記録層を形成することができる。一方、キャスティングできない高粘度である場合には、ディスペンサーを用いて下側基板に記録層を盛りつけ、この記録層上に上側基板で蓋をするように押し付けて、全面に広げて記録媒体を形成することができる。
【0062】
(光記録媒体)
本発明の光記録媒体は、本発明の前記ホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有し、好ましくは下側基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、上側基板とを有してなり、反射膜、第1ギャップ層、第2ギャップ層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記光記録媒体は、ホログラムの原理を利用して記録再生可能なものであれば特に制限はなく、二次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラムであってもよく、透過型及び反射型のいずれであってもよい。また、ホログラムの記録方式もいずれであってもよく、例えば、振幅ホログラム、位相ホログラム、ブレーズドホログラム、複素振幅ホログラムなどでもよい。これらの中でも、体積ホログラフィック記録領域における情報の記録が、情報光及び参照光を同軸光束として体積ホログラフィック記録領域に照射し、前記情報光と前記参照光との干渉による干渉パターンによって情報を記録する、いわゆるコリニア方式が特に好ましい。
【0063】
−基板−
前記基板は、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、光記録媒体の機械的強度を確保できる材料のものを選定する必要がある。また、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
前記基板材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂が特に好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。
前記基板は、適宜作製したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基板には、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間がデータエリアになっている。アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によって記録されている(プリフォーマット)。なお、フォーカスサーボは、反射膜の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えば、ウォブルピットを用いることができる。なお、光記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くても構わない。
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の質量が大きくなってドライブモーターに過剰な負荷をかけることがある。
【0064】
−記録層−
前記記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得るものであり、本発明の前記ホログラフィック記録用組成物からなる。
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜1,000μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。
前記記録層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、10〜300多重のシフト多重を行っても十分なS/N比を得ることができ、前記より好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利である。
【0065】
−反射膜−
前記反射膜は、前記基板のサーボピットパターン表面に形成される。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
前記反射膜の形成は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
前記反射膜の厚みは、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0066】
−第1ギャップ層−
前記第1ギャップ層は、必要に応じて前記フィルタ層と前記反射膜との間に設けられ、下側基板表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。即ち、前記記録層は、記録用参照光及び情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第1ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、フィルタ層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
前記第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
【0067】
−フィルタ層−
前記フィルタ層は、前記基板のサーボピット上、前記反射層上又は第一ギャップ層上に設けられる。
前記フィルタ層は、複数種の光線の中から特定の波長の光のみを反射する、波長選択反射機能を有し、第一の光を透過し、第二の光を反射する。特に、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光及び参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能もあり、前記光記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダイクロイックミラー層、色材含有層、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック層及び必要に応じて適宜選択したその他の層の少なくともいずれかを積層した積層体により形成される。
前記フィルタ層は、直接記録層など共に、前記基板上に塗布などにより積層してもよく、フィルム等の基材上に積層してフィルタ層を作製し、これを基板上に積層してもよい。
【0068】
−第2ギャップ層−
前記第2ギャップ層は、必要に応じて記録層とフィルタ層との間に設けられる。
前記第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル=ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、又は、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、及び商品名ゼオノアが特に好ましい。
前記第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
【0069】
ここで、本発明の光記録媒体について、図面を参照して更に詳しく説明する。
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第一の実施形態に係る光記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂製基板又はガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図1では下側基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚みに比べて充分に小さいものである。
第1ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を下側基板1の反射膜2上にスピンコート等により塗布して形成される。第1ギャップ層8は、反射膜2を保護すると共に、記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるため、記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けると有効である。
第1ギャップ層8上にはフィルタ層6が設けられ、該フィルタ層6と上側基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)によって記録層4を挟むことによって光記録媒体21が構成される。
図1において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録及び再生用参照光は緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層蒸着膜である。
この多層蒸着膜からなるフィルタ層6は、第1ギャップ層8上に真空蒸着により直接形成してもよいし、基材上に多層蒸着膜を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。
本実施形態における光記録媒体21は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合にはサーボピットパターンは無くてもよい。また、この光記録媒体21では、下側基板1は0.6mm、第1ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は2〜3μm、記録層4は0.6mm、上側基板5は0.6mmの厚みであって、合計厚みは約1.9mmとなっている。
【0070】
次に、図3を参照して、光記録媒体21周辺での光学的動作を説明する。まず、サーボ用レーザーから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は反射膜2上で焦点を結ぶように光記録媒体21に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。光記録媒体21の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、上側基板5、記録層4、フィルタ層6、及び第1ギャップ層8を通過し、反射膜2で反射され、再度、第1ギャップ層8、フィルタ層6、記録層4、及び上側基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサ又はCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
また、記録用/再生用レーザーから生成された情報光及び記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となり、ハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が記録層4内で干渉パターンを生成するように光記録媒体21に照射される。情報光及び記録用参照光は入出射面Aから入射し、記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光及び記録用参照光は、記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数積層した多層蒸着層であり、赤色光のみを透過する性質を有するからである。
【0071】
<第二の実施形態>
図2は、本発明の第二の実施形態における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第二の実施形態に係る光記録媒体22では、ポリカーボネート樹脂又はガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3表面にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)である点については、第一の実施形態と同様である。
第二の実施形態と第一の実施形態の構造の差異は、第二の実施形態に係る光記録媒体22では、フィルタ層6と記録層4との間に第2ギャップ層7が設けられていることである。この第2ギャップ層7は、情報光及び再生光がフォーカシングするポイントが存在する。このエリアをフォトポリマーで埋めていると過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こり多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第2ギャップ層を設けることが有効となる。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数積層した多層蒸着膜であるフィルタ層6は、第1ギャップ層8を形成した後、該第1ギャップ層8上に形成され、前記第一実施形態と同様のものを用いることができる。
また、第二実施形態の光記録媒体22では、下側基板1は1.0mm、第1ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は3〜5μm、第2ギャップ層7は70μm、記録層4は0.6mm、上側基板5は0.4mmの厚みであって、合計厚みは約2.2mmとなっている。
【0072】
次に、情報の記録又は再生を行う場合、上記のような構造を有する第二実施形態の光記録媒体22に対して、赤色のサーボ用光及び緑色の情報光並びに記録及び再生用参照光が照射される。サーボ用光は、入出射面Aから入射し、記録層4、第2ギャップ層7、フィルタ層6、及び第1ギャップ層8を通過して反射膜2で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第1ギャップ層8、フィルタ層6、第2ギャップ層7、記録層4及び上側基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。出射した戻り光は、フォーカスサーボやトラッキングサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。緑色の情報光等は、入出射面Aから入射し、記録層4、第2ギャップ層7を通過して、フィルタ層6で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第2ギャップ層7、記録層4及び上側基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。また、再生時についても再生用参照光はもちろん、再生用参照光を記録層4に照射することによって発生する再生光も反射膜2に到達せずに入出射面Aから出射する。なお、光記録媒体22周辺(図3における対物レンズ12、フィルタ層6、検出器としてのCMOSセンサ又はCCD14)での光学的動作は、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0073】
(光記録方法及び光再生方法)
本発明の光記録方法は、可干渉性を有する情報光及び参照光を本発明の前記光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体の記録層に記録する。
この場合、情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸となるように、光記録媒体に前記情報光及び前記参照光を照射し、該情報光と該参照光との干渉により生成される干渉像を前記光記録媒体の記録層に記録する。
本発明の光再生方法は、本発明の前記光記録媒体の記録方法により記録層に記録された干渉パターンに参照光を照射して情報を再生する。
【0074】
本発明の光記録方法及び光再生方法では、上述したように、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光として記録層から出射される。
本発明の光記録方法及び光再生方法は、以下に説明する本発明の光記録再生装置を用いて好適に行われる。
【0075】
本発明の光記録方法及び光再生方法に使用される光記録再生装置について、図4を参照して説明する。
この光記録再生装置100は、光記録媒体20が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体20の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体20に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体20に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体20に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体20の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
光記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、及び再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)を光記録媒体20の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光記録媒体20の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TE及び後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31を光記録媒体20の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
【0076】
光記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内の後述するCMOS又はCCDアレイの出力データをデコードして、光記録媒体20のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、光記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、及びスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、及びRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
【0077】
本発明の光記録方法及び光再生方法に使用される光記録再生装置は、優れた記録感度を有する本発明の前記光記録媒体を用いているので、高密度記録を実現することができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】
(実施例1)
下記式で表されるT−1(12.6g)(合成品)をアセトニトリル250mLに溶解させ、トリエチルアミン(8.0g)を加えた。0℃に冷却した後にエチルマロニルクロリド(12.0g)(東京化成株式会社製)を滴下し、室温まで昇温させた。室温で2時間攪拌後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出後に濃縮し、下記式で表されるT−2(26g、収率51%)を合成した。
次に、水素化ナトリウム(東京化成株式会社製)4.0gをヘキサンでデカンテーションすることによりオイル成分を除いた後、テトラヒドロフラン(THF)100mLを添加し、1,4−ジブロモ−2−ブテン(アルドリッチ社製)8.4gを加えた。得られたT−2(10.5g)のテトラヒドロフラン(THF)20mLを添加した。発泡が収まった後に60℃まで昇温させ、更に2時間攪拌した。室温まで冷却した後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))にかけることにより、下記式で表されるビニルシクロプロパン化合物(M−8)を7.0g(収率56%)単離した。
得られたビニルシクロプロパン化合物(M−8)のNMRデータを下記に示す。
【0080】
【化26】

【0081】
<M−8のNMRデータ>
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ1.21(t,6H),1.53〜1.60(m,2H),1.61(s,6H),1.71〜1.79(m,2H),2.54〜2.62(m,2H),4.11〜4.21(m,8H),4.38〜4.58(m,4H),5.13(dd,2H),5.31(dd,2H),5.39〜5.57(m,2H),6.79(d,4H),7.18(d,2H)
【0082】
(実施例2)
−M−9の合成−
下記式で表されるT−3(25.2g)(合成品)をアセトニトリル250mLに溶解させ、トリエチルアミン(8.0g)を加えた。0℃に冷却した後にエチルマロニルクロリド(12.0g)(東京化成株式会社製)を滴下し、室温まで昇温させた。室温で2時間攪拌後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出後に濃縮し、下記式で表されるT−4(14.1g、収率40%)を合成した。
次に、水素化ナトリウム(東京化成株式会社製)10.9gをヘキサンでデカンテーションすることによりオイル成分を除いた後に、テトラヒドロフラン(THF)150mLを添加し、1,4−ジブロモ−2−ブテン(アルドリッチ社製)3.4gを加えた。得られたT−4(14.1g)のテトラヒドロフラン(THF)20mLを添加した。発泡が収まった後に60℃まで昇温させ、更に2時間攪拌した。室温まで冷却した後に酢酸エチル500mL、水500mLを添加し、有機層を抽出し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))にかけることにより、下記式で表されるビニルシクロプロパン化合物(M−9)を7.7g(収率49%)単離した。
得られたビニルシクロプロパン化合物(M−9)のNMRデータを下記に示す。
【0083】
【化27】

【0084】
<M−9のNMRデータ>
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ1.22(t,6H),1.53〜1.64(m,8H),1.70〜1.80(m,2H),2.58〜2.65(m,2H),4.18〜4.25(m,8H),4.41〜4.60(m,4H),5.18(dd,2H),5.34(dd,2H),5.40〜5.60
(m,2H),7.36(s,4H)
【0085】
(実施例3)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート31.5g、ポリプロピレンオキサイドトリオール(分子量1,000)61.2g、テトラメチレングリコール2.5g、下記構造式で表されるモノマー(M−1)3.1g、光重合開始剤(イルガキュア784、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.69g、及びジブチルジラウレートスズ1.01gを窒素気流下で混合し、実施例3のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化28】

【0086】
(実施例4)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例3において、モノマー(M−1)の代わりに下記構造式で表されるモノマー(M−12)を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化29】

【0087】
(実施例5)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例3において、モノマー(M−1)の代わりに下記構造式で表されるモノマー(M−6)を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例5のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化30】

【0088】
(実施例6)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例3において、モノマー(M−1)の代わりに下記構造式で表されるモノマー(M−8)を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例6のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化31】

【0089】
(実施例7)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例3において、モノマー(M−1)の代わりに下記構造式で表されるモノマー(M−9)を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例7のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化32】

【0090】
(比較例1)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート31.5g、ポリプロピレンオキサイドトリオール(分子量1,000)61.2g、テトラメチレングリコール2.5g、モノマーとしての2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート3.1g、光重合開始剤(イルガキュア784、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.69g、及びジブチルジラウレートスズ1.01gを窒素気流下で混合して、比較例1のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化33】

【0091】
(比較例2)
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート31.5g、ポリプロピレンオキサイドトリオール(分子量1,000)61.2g、テトラメチレングリコール2.5g、下記構造式で表されるモノマーとしてのエチル2−ビニルシクロプロパン−1,1−ジカルボキシレート3.1g、光重合開始剤(イルガキュア784、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.69g、及びジブチルジラウレートスズ1.01gを窒素気流下で混合して、比較例2のホログラフィック記録用組成物を調製した。
【化34】

【0092】
(実施例8〜12及び比較例3〜4)
−光記録媒体の作製−
厚み0.5mmのガラスの片面に532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理を施して、第一基板を作製した。
厚み0.5mmのガラスの片面に532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が90%となるようにアルミニウム蒸着処理を施して、第二基板を作製した。
次に、第一基板の反射防止処理を施していない側の面に、厚み500μmの透明ポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとして設けた。
次いで、実施例3〜7及び比較例1〜2の各ホログラフィック記録用組成物を、それぞれ第一基板上に盛り付け、第二基板のアルミニウム蒸着した面をホログラフィック記録用組成物上に空気を巻き込まないように重ね合わせ、スぺーサーを介して第一基板と第二基板と貼合させた。その後、45℃にて24時間放置して、実施例8〜12及び比較例3〜4の各光記録媒体を作製した。
【0093】
<光記録媒体への記録及び評価>
作製した各光記録媒体を、コリニアホログラム記録再生試験機(パルステック工業株式会社製、SHOT−1000)を用いて、記録ホログラムの焦点位置における記録スポットの直径200μmで一連の多重ホログラムを書き込み、以下のようにして、感度(記録エネルギー)、多重数について測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0094】
−感度の測定−
記録時の照射光エネルギー(mJ/cm)を変化させ、再生信号のエラー確率(BER:Bit Error Rate)の変化を測定した。通常、照射光エネルギーの増加にともない再生信号の輝度が増加し、再生信号のBERが徐々に低下する傾向にある。ここでは、ほぼ良好な再生像(BER<10−3)が得られる最低の照射光エネルギーを光記録媒体の記録感度とした。
【0095】
−多重数の評価−
得られた各光記録媒体の多重数の評価手法として、「ISOM’04、Th−J−06、pp.184−185、Oct.2004」に記載されている、記録スポットをスパイラル状にシフトさせ評価する手法により行った。ここで、記録ホログラム数13×13=169ホログラム、記録ピッチは28.5μmとした。最終169個目のホログラム記録時の多重度は49多重となる。前記記録ホログラム数の増加に従い多重度が増加するため、光記録媒体の多重特性が不十分であると記録数の増加に従って前記BERが増加する。ここではBER>10−3となる記録ホログラム数を光記録媒体の多重特性Mとした。
【0096】
【表1】

表1の結果から、実施例3〜7のホログラフィック記録用組成物を用いた実施例8〜12の光記録媒体は、比較例1〜2のホログラフィック記録用組成物を用いた比較例3〜4の光記録媒体に比べて、いずれも優れた記録感度を有し、多重性が良好であることが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明のホログラフィック記録用組成物は、より高密度の記録を行うことができるので、高密度画像記録が可能なボリュームホログラム型の各種光記録媒体に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、本発明による第一の実施形態に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明による第二の実施形態に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明による光記録媒体周辺の光学系の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の光記録媒体を搭載した光記録再生装置の全体構成の一例を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
1 下側基板
2 反射膜
3 サーボピットパターン
4 記録層
5 上側基板
6 フィルタ層
7 第2ギャップ層
8 第1ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20 光記録媒体
21 光記録媒体
22 光記録媒体
31 ピックアップ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 走査部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表されることを特徴とするビニルシクロプロパン化合物。
【化1】

ただし、前記構造式(1)中、Rはアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、Rは2価以上の有機連結基を表し、該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。nは2〜6の整数を表す。
【請求項2】
構造式(1)において、nが2である請求項1に記載のビニルシクロプロパン化合物。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載のビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有することを特徴とするホログラフィック記録用組成物。
【請求項4】
下記構造式(2)で表されるビニルシクロプロパン化合物を少なくとも含有することを特徴とするホログラフィック記録用組成物。
【化2】

ただし、前記構造式(2)中、R及びRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のいずれかを表し、R及びRの両方がアルキル基の場合、少なくともどちらか一方のアルキル基がアリール基を有する。該R及びRは置換基で更に置換されていてもよい。
【請求項5】
更にマトリックス及び光重合開始剤を含有する請求項3から4のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物。
【請求項6】
マトリックスが、多官能イソシアネート及び多官能アルコールから形成されるウレタンマトリックスである請求項5に記載のホログラフィック記録用組成物。
【請求項7】
請求項3から6のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有することを特徴とする光記録媒体。
【請求項8】
下側基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、上側基板とを有する請求項7に記載の光記録媒体。
【請求項9】
請求項7から8のいずれかに記載の光記録媒体に対し可干渉性を有する情報光及び参照光を照射し、該情報光と該参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体の記録層に記録することを特徴とする光記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−291056(P2007−291056A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262501(P2006−262501)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】