説明

ビルベリーピューレによる小麦粉加工食品の着色方法

【課題】 本発明は、安全面及びコスト面においても優れ、小麦粉加工食品を安定して青紫色に着色することのできるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明は、ビルベリーを全材料の重量に対して5%から30%添加し、小麦粉加工食品を青紫色に着色したことを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品及び収穫したビルベリーを凍結させてから異物を除去する収穫工程と、収穫工程後に冷凍したビルベリーを破砕して香料及び糖分を添加し混合する加工工程と、加工工程後に一定量ごとに袋詰めしたビルベリーを殺菌し金属探知機に掛けて冷凍保管する保管工程と、保管工程後にビルベリーを解凍して小麦粉加工食品に配合する使用工程とからなることを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン等の生地を鮮やかな青紫色に着色するビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来より青紫色のパンや菓子などは大変人気があったが、ほとんどは人工着色料により着色されたものであった。また、ブルーベリー、赤ワイン又は紫さつまいも等のアントシアニン色素を含む食品原料を利用して着色することも試みられている。
【0003】
特にブルーベリーは、視力改善効果や抗酸化作用など健康機能性からも優れており、ブルーベリーという爽やかな感じが消費者の好奇心をそそると共に、近年の健康志向の高まりにより、効用やおいしさが注目されている。
【0004】
特許文献1に記載の発明のように、ベーカリー生地に赤ワイン等のアントシアニン色素を含む食品原料を添加することにより、ベーカリー生地を紫色にするという発明も公開されている。
【特許文献1】特開2003−199481号公報
【0005】
しかしながら、人工着色料は、青紫色に着色することはできるが、発ガン性やアレルギーの誘発が報告されているものもあり、多くの消費者は自己を守るため、天然又は自然志向である場合が多い。
【0006】
アントシアニン色素を含む食品原料を添加した場合でも、赤色を呈する酸性域では、赤茶色からワイン色まで着色することができるものの、青色及び紫色を呈するアルカリ性域では、安定性が悪く、無理矢理着色しても汚い灰色にしかならない。また、レモン果汁などを使って酸性度を上げるなどしてpHを調整しているため、作業性も良くない。
【0007】
パン等に生のブリーベリーを砕いたものを大量に入れた場合は、ブルーベリーの皮が生地に散らばって青紫色に見えるが、生地自体は灰色であり、しかも、普通のパン等に比べ、3倍から5倍の費用が掛かってしまう。また、ブルーベリーのジュース、ピューレ又はそれらの濃縮品を小麦粉加工食品に使用した場合は、茶色になるだけで、鮮やかな青紫色を付けることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、安全面及びコスト面においても優れ、小麦粉加工食品を安定して青紫色に着色することのできるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、ビルベリーを全材料の重量に対して5%から30%、好ましくは10%から18%添加し、小麦粉加工食品を青紫色に着色したことを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品及び収穫したビルベリーを凍結させてから異物を除去する収穫工程2と、前記収穫工程2後に冷凍したビルベリーを破砕して香料及び糖分を添加し混合する加工工程3と、前記加工工程3後に一定量ごとに袋詰めしたビルベリーを殺菌し金属探知機に掛けて冷凍保管する保管工程4と、前記保管工程4後にビルベリーを解凍して小麦粉加工食品に配合する使用工程5とからなることを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法1の構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、ビルベリーを小麦粉加工食品に5〜30%、好ましくは10〜18%添加することにより、小麦粉加工食品を鮮やかな青紫色に着色することができる。
【0011】
第2に、ビルベリーで着色したパン等は、ブルーベリーで着色したパン等に比べて、最大で52%、最低でも27%まで原価を抑えることが可能になり、大幅にコストを削減することができるため、市場に受け入れられる可能性が大きい。
【0012】
第3に、ビルベリーは、ブルーベリーに比べて最大で約5倍、最低でも約2倍のアントシアニン色素を含有しており、視力改善効果や抗酸化作用など健康機能性食品としての効果が期待できる。
【0013】
第4に、ビルベリーに含まれるペクチンの影響が、製造過程において顕著に現れることにより、パンの発酵及び焼き上がりが向上し、保水性、食感、日持ち又は機械加工に対する耐性なども期待できる。
【0014】
第5に、ビルベリーのアントシアニン色素の含有量がブルーベリーよりも極めて多く、酸性度もpH2.0前後と強いため、アルカリ性原材料と共に使用した場合でも、灰青色などに変色するのを緩和できる。
【0015】
第6に、ビルベリーのピューレは、200℃以上で40分以上加熱しても安定するし、また、ドリンク剤として水に混ぜても安定するので、天然着色料として、食品、飲料、飼料、化粧品又は医薬品と広範囲に利用できる。
【0016】
第7に、ビルベリーをピューレとして小麦粉加工食品に添加する工程を経ることにより、商業上最も衛生的、効率的及び経済的な方法で、小麦粉加工食品に鮮やかな青紫色を着色することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ビルベリーを粉砕し、冷凍流通することにより、ビルベリーの色や風味などの性質を保つ。また、栄養や健康維持成分が多く含まれているビルベリーの外皮等を使用することにより、商業的にも利用価値を向上させる。
【実施例1】
【0018】
以下に、本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品について詳細に説明する。ビルベリーを添加した小麦粉加工食品は、ビルベリーを全材料の重量に対して5%から30%、好ましくは10%から18%添加し、小麦粉加工食品を青紫色に着色したことを特徴とする。
【0019】
ビルベリーは、ブルーベリーと同じツツジ科スノキ属の果実で、主にスカンジナビア半島から北部ヨーロッパの低地に自生しており、ブルーベリー又はフォレストブルーベリーと呼ばれることもある。ただし、ビルベリーはミルティラス節に属し、ブルーベリーはシアノコカス節に属することから、厳密に言うと分類上は別のものである。
【0020】
ビルベリーは、ブルーベリーよりも小粒で、酸味がとても強い。また、ビルベリーは、ブルーベリー等に比べてアントシアニン色素が極めて多く、特に外皮には多く含まれる。尚、アントシアニン色素は、多面的な健康機能性を有しており、毒性的な副作用もなく、安全である。ビルベリーは、健康機能的な面でも、ブルーベリーの約2〜5倍の効果を有する。
【0021】
ビルベリーの健康機能性としては、視力改善効果があり、暗闇での対応力や眼精疲労の軽減が認められる。また、糖尿病性網膜症の治療にも有効であり、白内障も予防することができる。
【0022】
チルド温度帯(0℃前後)以下では、アントシアニン色素を保つ抗酸化作用があり、癌、心臓血管疾患又はその他病的障害に関係する脂質、蛋白質、核酸の酸化障害となる活性酸素を抑制する。
【0023】
ビルベリーは小粒であり、しかも生のビルベリーを利用しているため、果皮の比率が高く、食物繊維も非常に豊富に含まれており、整腸作用や大腸がんの予防が期待できる。また、ミネラルが豊富で、特に亜鉛やマンガンは、他の果実と比較して著しく多く含まれ、ビタミンも平均して含まれる。
【0024】
毛細血管の透過性が上昇すると多くの病気の二次的原因となるが、ビルベリーには、毛細血管の透過性と脆弱性を改善する効果がある。また、血小板凝固の抑制する効果もあり、血栓症や動脈硬化を予防することができる。
【0025】
アントシアニン色素は、癌細胞を急速に増殖する酵素作用を制御する働きがあり、抗発癌性の効果も認められる。また、膀胱や尿管の膜壁に付着する細菌群の増殖も防ぐことができる。更に、コラーゲンを主とした軟骨部や腱などを強化し、炎症中のコラーゲンを破壊する酵素を阻害することにより、コラーゲンの合成を促したりする。
【0026】
ビルベリーを小麦粉加工食品に添加するには、ピューレが適しているが、ジュース、ペースト、ソース、濃縮品、生果、冷凍品、チルド品、スプレードライ品、造粒品、フリーズドライ品又はドラムドライ品など生地に混ぜることが可能であれば、液状、固形又はペースト状のものを使用しても構わない。
【0027】
尚、スプレードライ(噴霧乾燥)とは、液状食品を高温の気流中に噴霧して乾燥させる乾燥法であり、造粒とは、粉末を固めて粒状に形成することであり、フリーズドライ(凍結乾燥)とは、物を凍らせて真空中に置き、水分を昇華させて除く乾燥法であり、ドラムドライ(円筒回転式乾燥)とは、回転する加熱した円筒上に、液状又はペースト状の食品を薄く塗り付け、瞬時に乾燥させる乾燥法である。
【0028】
また、ビルベリーを主原料若しくは準ずる原料として、ブルーベリー、水又は糖分等を加えた加工品、例えば、ジャム又はフラワーペースト等にしたものでも、生地に混ぜることが可能であれば問題はない。
【0029】
尚、フラワーペーストとは、小麦粉、澱粉、ナッツ類若しくはその加工品、ココア、チョコレート、コーヒー、果実の果肉又は果汁を主原料とし、砂糖、油脂、粉乳、卵又は小麦粉等を加えて加熱殺菌し、ペースト状とし、パン又は菓子に充填又は塗布して食用に供するものをいう。
【0030】
小麦粉加工食品の例としては、パン、洋菓子、和菓子、スナック菓子、又は、そば、うどん、パスタ等の麺類など様々なものがあり、焼成品、半焼成品、冷凍生地、冷蔵生地又はミックス粉などの形で供給される。
【0031】
パンとしては、バターロール、食パン、フランスパン、イングリッシュマフィン、菓子パン、メロン皮、イーストドーナツ、ブリオッシュ、クロワッサン、デニッシュ、パイ、アメリカンマフィン、中華まん、ベーグル、ドーナツ又はアルチザンブレッド等が挙げられる。
【0032】
また、洋菓子としては、パウンドケーキ、蒸しパン、スポンジケーキ、ホットケーキ、ビスケット、ワッフル、シュー皮、スコーン、カステラ又はクッキー等が挙げられる。
【0033】
小麦粉加工食品の材料は、主として、小麦粉、イースト、ベーキングパウダー、卵、バター、砂糖、塩又は水などである。尚、必要に応じて、様々な材料を生地に混合して、小麦粉加工食品のバラエティを図ることもできる。
【0034】
小麦粉としては、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉又は米粉を利用することができる。イーストについては、ドライ、生、天然酵母、生地種等がある。ベーキングパウダーは膨張剤であるが、重曹、炭酸水素アンモニウム又は焼きミョウバン等に代えることができる。
【0035】
卵については、全卵、卵黄又は卵白があり、加糖、乾燥、凍結又は酵素処理した卵を使用することもできる。バターについては、マーガリン、ショートニング、植物油脂、又は動物油脂等に代えることができる。
【0036】
砂糖については、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖、トレハロース、キシリトール、ステビア、はちみつ等の糖類を使用することができる。
【0037】
パンを発酵させるためには、イーストの栄養源となる糖分が必要であり、ビルベリーには、ペクチンが含まれるため、パンの発酵及び焼き上がりが向上する。尚、ペクチンは、植物に広く含まれている多糖類で、ジャム、マーマレード又はゼリーの製造などに用いられる。
【0038】
ペクチン等の糖分は、イーストの栄養分として発酵を早める働きをするほか、仕上がったパンの口当たりを柔らかくする、パンの老化を抑えて日持ちさせる、又は、保水性や機械加工に対する耐性を上げるなどの働きをすることも期待できる。
【0039】
ビルベリーは、潰すと赤朱色の汁が出るが、小麦粉に混ぜてパンを作ると、小麦粉に含まれる炭水化物の澱粉と反応することにより、とても鮮やかな青紫色になる。ビルベリーは、pHが2.0前後と酸性度が強く、アルカリ化による変色を防ぐことができるためである。
【0040】
卵白、牛乳又はベーキングパウダー等のアルカリ性を呈する材料を多く使用すると変色する可能性があるので、使用量を少なくする、又は、加工手順を変える等の方法で解消することができる。
【0041】
バター又はマーガリンは、発酵乳を原料としたものに代えると弱酸性の効果が現れるし、卵もアルカリ性を示す卵白よりも、弱酸性を示す卵黄を多めに使用することにより、変色の度合いを改善することができる。
【0042】
ビルベリーの使用量は、小麦粉の重量に対して20〜60%、小麦粉加工食品としては5〜30%が適当であり、色合いや価格的な面を考慮すると、小麦粉加工食品の重量に対して、10〜18%が好ましい。
【0043】
例えば、通常の食パンの1斤の原価は50円前後で、販売価格は160〜240円であり、ブルーベリーを入れた場合は、大量に添加する必要があるため、原価が180〜250円で、販売価格が540〜1250円になる。
【0044】
ビルベリーを入れた場合は、1斤あたりの原価が120〜130円で、販売価格が360〜650円と、ブルーベリーに比べ27〜52%も原価を抑えることができ、商業的な利用価値が著しく向上する。
【0045】
ビルベリーをピューレとしてパン等に混ぜた場合、200℃以上の高温で40分以上加熱しても、変色せずに鮮やかな青紫色を得ることができる。また、ドリンク剤として水に混ぜた場合でも、安定して青紫色に着色することができる。
【0046】
ビルベリーは、青紫色に着色することができる天然着色料として、小麦粉加工食品以外の食品、飲料、飼料、化粧品又は医薬品などに対しても、広範囲に応用して利用することが考えられる。
【実施例2】
【0047】
以下に、添付図面に基づいて、本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法について詳細に説明する。図1は、本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法の流れを示すフローチャートである。
【0048】
ビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法は、収穫したビルベリーを凍結させてから異物を除去する収穫工程2と、収穫工程2後に冷凍したビルベリーを破砕して香料及び糖分を添加し混合する加工工程3と、加工工程3後に一定量ごとに袋詰めしたビルベリーを殺菌し金属探知機に掛けて冷凍保管する保管工程4と、保管工程4後にビルベリーを解凍して小麦粉加工食品に配合する使用工程5とからなることを特徴とする。
【0049】
収穫工程2は、収穫2a、凍結処理2b、異物除去2c、冷凍2dからなる。収穫2aでは、ビルベリーを収穫し、汚れを取るために水洗いした後、通気性の良い箱に入れて送風により乾燥させる。
【0050】
尚、水洗いは、ビルベリーの表皮のアントシアニン色素が抜けてしまう可能性があるので、省略する場合もある。ビルベリーは自然に自生するものを使用するため、農薬等に触れておらず、食品衛生上問題はない。
【0051】
凍結処理2bでは、収穫されたビルベリーを通気性の良い箱に入れたまま、マイナス18℃からマイナス30℃の温度で凍結させ、保管する。ビルベリーが潰れるのを防ぐためで、粒自体を硬くすることにより、作業性が良くなる。
【0052】
異物除去2cでは、冷凍したビルベリーを粉砕機で均一にばらした後、葉除去、茎除去、大きさ選定、熟度検査、レーザー除去装置、人立会い検査、金属探知機検査などの方法により異物を除去する。
【0053】
葉除去は、ブロワーにより強い風を当てて、枝葉等の異物を取り除く。茎除去は、編目の付いたベルトにビルベリーを載せ、振動させることで、ビルベリーの実に付いた小さな茎などを取り除く。
【0054】
大きさ選定は、一定の間隔が空いたローラー上にビルベリーを転がし、基準に満たない大きさのビルベリーやその他の異物を落下させて取り除く。熟度検査は、ビルベリーの一粒ずつにレーザーを当て、成熟度を色から判定し、対象外となったものはエアガン等で取り除く。
【0055】
レーザー除去装置は、レーザーを二方向から当てることにより、石やプラスチックなど球形であるビルベリー以外のものを全て取り除く。人立会い検査は、異物が混入していないか、複数の人員が手作業で確認を行う。
【0056】
冷凍2dでは、異物を除去したビルベリーを、マイナス18〜マイナス30℃の温度で冷凍する。加工工程3を行うまでに保管する又は流通させるため、及び加工工程3でビルベリーを粉々に砕くためである。
【0057】
加工工程3は、破砕3a、香料添加3b、糖分添加3c及びミキシング3dからなる。破砕3aでは、冷凍したビルベリーを、3〜10分間ミキサー等にかけて細かく砕く。但し、機械の性能や入れるビルベリーの量により所要時間は異なる。生のビルベリーを磨り潰すよりも、冷凍した方が外皮ごと簡単に粉々にすることができる。
【0058】
尚、冷凍したビルベリーを解凍してから破砕3aすることもできるが、解凍した場合は、細胞破壊が発生し、成分が流出する可能性があるため、品質的な面及び時間的な面から冷凍したまま破砕3aすることが好ましい。
【0059】
破砕3aの後、ビルベリーを濾過する場合もある。より一層異物を除去することができるが、アントシアニン色素の多く付いた表皮が除去されて少なくなるため、省略することもできる。
【0060】
香料添加3bでは、ビルベリーに対して0〜10%の香料を添加し、糖分添加3cでは、ビルベリーに対して0〜60%の糖分を添加する。ミキシング3dでは、香料及び糖分が添加されたビルベリーを1〜2分間よく混ぜる。
【0061】
香料及び糖分は、必要に応じて添加量を調節することができ、一切添加しなくても良い。製菓工場や自然食品専門店では、添加物を嫌ったり、自らが香料を添加することを望む場合もあるからである。
【0062】
保管工程4は、計量パッキング4a、殺菌4b、金属探知機検査4c、冷凍保管4dからなる。計量パッキング4aでは、加工されたビルベリーを耐熱容器に移し替え、一定量ごと計りながら袋詰めする。
【0063】
殺菌4bでは、袋詰めされたビルベリーを加熱殺菌する。殺菌の方法としては、62〜65℃の温度下に約30分間置く低温殺菌、約75℃の温度下に約15分間置く高温殺菌、約100℃の高温下に約1分間置く高温殺菌、又は120〜130℃の温度下に約2秒間置く超高温短時間殺菌などがある。殺菌4b後は、ビルベリーを冷却する。
【0064】
金属探知機検査4cでは、金属探知機を使用して金属等を除去する。万が一、異物が混入していないかの最終的な確認を行う。冷凍保管4dでは、ビルベリーをマイナス18〜マイナス30℃に冷凍し、使用工程5を行うまで保管する又は流通させる。
【0065】
使用工程5は、解凍5a及び配合5bからなる。解凍5aでは、ビルベリーを冷蔵庫で一晩解凍してから使用する。開封後に残ったものについては、0〜10℃で冷蔵保管し、なるべく3日以内に使い切ることが望ましい。
【0066】
配合5bでは、解凍5aしたビルベリーを小麦粉加工食品に配合する。小麦粉加工食品の全重量に対して5%から30%、好ましくは10%から18%、ビルベリーを添加することで、小麦粉加工食品を鮮やかな青紫色に着色することができる。
【実施例3】
【0067】
図2及び図3は、本発明であるビルベリーピューレの各種パンに配合する際の添加量の一覧表であり、図4は、本発明であるビルベリーピューレの各種菓子に配合する際の添加量の一覧表である。
【0068】
尚、図2、図3及び図4に示す添加量等はあくまで目安であって、異なる場合もある。材料、配合率又は手順が全く同一であることは少なく、詳細な小麦粉加工食品の製造方法は各社、各人又は各店舗等で若干異なり、小麦粉加工食品の名称なども地域によって異なることもある。
【0069】
図2、図3及び図4に示す各種パン及び各種菓子は小麦粉加工食品の例であり、それ以外の様々な小麦粉加工食品であっても、一定量のビルベリーを加えることで、ビルベリーに含まれるアントシアニン色素が小麦粉と反応し、鮮やかな青紫色に着色することができる。
【0070】
パン配合一覧6は、バターロール、食パン、フランスパン及びイングリッシュマフィンに配合する材料の添加量と発酵焼成条件を示し、パン配合一覧6aは、菓子パン、メロン皮、イーストドーナツ及びブリオッシュに配合する材料の添加量と発酵焼成条件を示し、パン配合一覧6bは、クロワッサン、デニッシュ、パイ及び中華まんに配合する材料の添加量と発酵焼成条件を示し、パン配合一覧6cは、アメリカンマフィン及びベーグルに配合する材料の添加量と発酵焼成条件を示す。
【0071】
バターロールの材料は、強力粉100g、薄力粉15g、砂糖10g、バター11g、塩2g、ドライイースト2g、水40gであり、ビルベリーピューレを35g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0072】
バターロールの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で40〜50分間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。生地を分割し、約10分間休ませる。整形して天板に並べ、約30℃の場所で30〜40分間、生地の大きさが2倍になるまで二次発酵させる。発酵後、つや出し用の卵を塗り、190℃で12〜15分間焼成する。
【0073】
食パンの材料は、強力粉100g、砂糖6g、バター3.5g、塩1.5g、ドライイースト1.5g、水40gであり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0074】
食パンの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約90分間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。ガス抜きのため生地を丸め直す。再度、約30℃で40〜50分間発酵させる。生地を分割し、約20分間休ませる。型に入れるため生地を成形する。型に入れた後、約30℃の場所で約1時間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで二次発酵させる。発酵後、200〜220℃で35〜45分間焼成する。
【0075】
フランスパンの材料は、強力粉100g、薄力粉25g、砂糖0.6g、塩2g、ドライイースト1.5g、水53gであり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0076】
フランスパンの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約90分間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。ガス抜きのため生地を丸め直す。再度、約30℃で40〜50分間発酵させる。生地を分割し、約20分間休ませる。成形後、約30℃の場所で40〜50分間、生地の大きさが2倍になるまで二次発酵させる。発酵後、クープと呼ばれる生地表面の切れ目模様を入れ、蒸気をかけて210〜230℃で18〜25分間焼成する。
【0077】
イングリッシュマフィンの材料は、強力粉100g、砂糖2g、植物油5g、塩1.7g、ドライイースト2g、水25g、卵黄1個、コーンミール適量であり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0078】
イングリッシュマフィンの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約90分間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。ガス抜きのため生地を丸め直す。再度、約30℃で40〜50分間発酵させる。生地を分割し、約10分間休ませる。成形時にコーンミールを全体にまぶす。成形後、約30℃の場所で40〜50分間、生地の大きさが2倍になるまで二次発酵させる。発酵後、150℃で20分間焼成する。
【0079】
菓子パンの材料は、強力粉100g、砂糖15g、バター15g、塩1g、ドライイースト2.7g、水13g、全卵2分の1個であり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0080】
菓子パンの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約60分間、生地の大きさが2〜2.5倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。生地を分割し、約10分間休ませる。生地を伸ばし、中にあん、クリーム又はジャム等の具材を詰めて成形する。20〜30分間、二次発酵させる。発酵後、160〜180℃で13〜15分間焼成する。
【0081】
メロン皮の材料は、薄力粉100g、砂糖50g、バター20g、重曹2gであり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。尚、メロン皮は、メロンパンの皮の部分である。
【0082】
メロン皮の製造手順は次の通りである。ボウルにバターを入れ、泡だて器でクリーム状になるまで練り、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。薄力粉、重曹及びビルベリーピューレを加えて混ぜる。出来上がったトッピング生地を菓子パン生地の上に載せ、菓子パンと同じ条件で発酵させ、焼成する。尚、メロン皮における菓子パン生地は、ビルベリーピューレの代わりに水を使用したものでも構わない。
【0083】
イーストドーナツの材料は、強力粉100g、薄力粉50g、砂糖12g、バター15g、塩2g、ドライイースト3g、水23g、全卵2分の1個、化粧砂糖適量であり、ビルベリーピューレを40g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0084】
イーストドーナツの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約50分間、生地の大きさが約2倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。生地を分割し、約10分間休ませる。型抜きなどで成形し、約30℃の場所で約2倍に膨らむまで約40分間二次発酵させる。発酵後、160〜180℃で4〜8分間、両面を揚げる。最後に化粧砂糖を適量かける。尚、イーストの代わりに、ベーキングパウダーなどの膨張剤を利用し、発酵をとらないドーナツに応用することもできる。
【0085】
ブリオッシュの材料は、強力粉135g、砂糖10g、バター70g、塩1g、ドライイースト5g、全卵1個、卵黄2分の1個であり、ビルベリーピューレを35g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0086】
ブリオッシュの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約60分間、生地の大きさが1.5〜2倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。可能であれば、半日生地を冷凍庫に入れ、原料同士をなじませる。一晩冷蔵庫で寝かせる。生地を分割し、約10分間休ませる。型に入れ、20〜30分間二次発酵させる。発酵後200〜220℃で10〜15分間焼成する。
【0087】
クロワッサンの材料は、強力粉100g、薄力粉100g、砂糖20g、バター(生地に混ぜるバター13g、生地に折り込むバター100g)、塩4g、ドライイースト4g、水20g、牛乳30gであり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0088】
クロワッサンの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約50分間、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。但し、他の生地に比べてリッチな配合なので膨らみは少ない。冷凍庫に入れ、35〜45分間生地を休ませる。冷凍庫から出した生地に折込用のバターを置き、何層かに折り込む。再度、生地を冷凍庫の中で35〜45分間休ませ、二等辺三角形(底辺が10cm、高さ20cm)にカットし、底辺から尖った方へ巻いていく。25〜27℃の温度で40〜50分間二次発酵させる。発酵後、つや出し用の卵を塗り、190〜220℃で12〜15分間焼成する。
【0089】
デニッシュの材料は、強力粉100g、薄力粉100g、砂糖20g、バター(生地に混ぜるバター40g、生地に折り込むバター80g)、塩1g、ドライイースト6g、水10g、全卵1個、牛乳20g、卵黄5分の1個であり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0090】
デニッシュの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約50分間、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。但し、他の生地に比べてリッチな配合なので膨らみは少ない。冷凍庫に入れ、35〜45分間生地を休ませる。冷凍庫から出した生地に折込用のバターを置き、何層かに折り込む。再度、生地を冷凍庫の中で35〜45分間休ませ、渦巻状又は棒状に成形したり、生地を皿に見立てて中央部に具材を載せる。約25分間二次発酵させる。発酵後、つや出し用の卵を塗り、200〜220℃で10〜15分間焼成する。
【0091】
パイの材料は、強力粉100g、薄力粉100g、砂糖20g、生地に折り込むバター120g、塩1g、水20g、牛乳20g、卵黄5分の1個であり、ビルベリーピューレを60g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0092】
パイの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約50分間、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。但し、他の生地に比べてリッチな配合なので膨らみは少ない。冷凍庫に入れ、35〜45分間生地を休ませる。冷凍庫から出した生地に折込用のバターを置き、何層かに折り込む。再度、生地を冷凍庫の中で35〜45分間休ませ、具材を生地の間に挟み込んだり、載せたりして成形する。つや出し用の卵を塗り、約220℃で20〜25分間焼成する。
【0093】
中華まんの材料は、強力粉25g、薄力粉75g、砂糖10g、ごま油4g、塩0.6g、ドライイースト2g、水25gであり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0094】
中華まんの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約40℃の場所で約60分間、生地の大きさが約2倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。生地を分割し、10分間休ませる。尚、分割する際に手で生地をちぎると生地の断面が荒れて滑らかにならないので、へら状の器具であるスケッパー等を使用する。直径約10cmの円形に伸ばして具材を詰め、しっかりと閉じる。湿度の効いた温かい場所で、約20分間二次発酵させる。発酵後、蒸気の上がったセイロ又は蒸し器を利用して、強火で12〜15分間蒸す。
【0095】
アメリカンマフィンの材料は、強力粉150g、薄力粉120g、砂糖90g、バター45g、塩2.5g、水30g、全卵1個、ベーキングパウダー3g、サラダ油45gであり、ビルベリーピューレを100g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0096】
アメリカンマフィンの製造手順は次の通りである。全ての材料を混ぜ合わせる。尚、砂糖、卵及びビルベリーピューレはよく混ぜ合わせる。小麦粉を入れ、かき混ぜ過ぎずにさっくりと混ぜ合わせる。生地を少し休ませ、型やカップに生地を適量入れ、約180℃で25〜30分間焼成する。
【0097】
ベーグルの材料は、強力粉100g、砂糖5g、塩3g、ドライイースト2g、水25g、植物油5g、モルト0.3gであり、ビルベリーピューレを25g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0098】
ベーグルの製造手順は次の通りである。小麦粉のグルテンが最適になるまでビルベリーピューレを含む全ての材料を混合する。約30℃の場所で約50分間、生地の大きさが約2倍になるまで、乾燥しないようにケースに入れ、蓋をして一次発酵させる。生地を分割し、10分間休ませる。生地を伸ばし、丸く成形する。20〜30分間二次発酵させる。発酵後、煮立ったお湯で茹で、オーブンで200〜250℃の温度で12〜18分間焼成する。
【0099】
また、別の方法として、成形した生地をすぐに冷蔵庫に入れて、約1日発酵させ、翌日生地を室温に戻し、茹でた後、焼成する場合もある。尚、配合においては、油脂を使用しない場合もある。更に、茹でずに、オーブンの中で多くの蒸気をかけて焼き上げる場合もある。その際、食感を良くするために生地改良剤を添加することが多い。
【0100】
菓子配合一覧6dは、パウンドケーキ、蒸しパン、スポンジケーキ及びホットケーキに配合する材料の添加量と焼成加熱条件を示し、菓子配合一覧6eは、ビスケット、ワッフル、シュー皮及びスコーンに配合する材料の添加量と焼成加熱条件を示す。
【0101】
パウンドケーキの材料は、薄力粉150g、砂糖120g、バター120g、全卵1個、ベーキングパウダー1gであり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0102】
パウンドケーキの製造手順は次の通りである。ビルベリーピューレを含む材料を混ぜ合わせる。180℃で40分間焼成する。
【0103】
蒸しパンの材料は、薄力粉100g、砂糖100g、サラダ油30g、全卵1個、ベーキングパウダー4gであり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0104】
蒸しパンの製造手順は次の通りである。ボウルに卵、砂糖及びサラダ油を入れ、よく泡立てる。薄力粉とベーキングパウダーを合わせたものを加え、さっくりと混ぜ合わせる。ビルベリーピューレを加え、混ぜ合わせる。蒸し器に多めの水を入れ、強火で30〜35分間蒸す。竹串を刺して生地が付かなければ蒸し上がりとなる。
【0105】
スポンジケーキの材料は、薄力粉100g、砂糖100g、バター30g、全卵2個、牛乳15gであり、ビルベリーピューレを60g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0106】
スポンジケーキの製造手順は次の通りである。ボウルに卵を入れ、泡立てる。砂糖を加え、生地を持ち上げると「の」の字が書けるくらいまで泡立てる。薄力粉を加え、ゴムべらで底からすくい上げながら、切るようにさっくり混ぜる。牛乳、溶かしバター及びビルベリーピューレを順に入れ、さっくりと手早く混ぜる。型には分量外のバターを塗って薄力粉をまぶし、底にオーブンペーパーを敷いておく。生地を表面が平らになるようにへらでならしながら型に流し込み、約10cmの高さから数回落として中の空気を抜く。オーブンを使用し、170℃で25分間焼成する。竹串を刺して生地が付かなければ焼き上がりとなる。
【0107】
ホットケーキの材料は、薄力粉100g、砂糖30g、全卵1個、牛乳30g、ベーキングパウダー4g、水30gであり、ビルベリーピューレを40g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0108】
ホットケーキの製造手順は次の通りである。ボウルに卵と砂糖を入れ、よく混ぜる。牛乳、水及びビルベリーピューレを加え、なるべく泡立てないように混ぜる。薄力粉とベーキングパウダーを混ぜたものに塩を少し加え、ゴムべらでボウルの中に混ぜ込んでいく。尚、ボウルの周囲に残る粉っぽい部分も残らずに混ぜる。できれば約20分間、冷蔵庫で生地を休ませる。熱したフライパンを一度火からおろし、濡れふきんで荒熱を取ってから、生地を適量流し込む。弱火で表面を2〜3分間焼き、気泡が出てきたら裏返して、裏面を2〜3分間焼き、中まで火を通す。
【0109】
ビスケットの材料は、薄力粉130g、砂糖33g、ショートニング50g、全卵3分の1個であり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0110】
ビスケットの製造手順は次の通りである。ボウルにショートニング、砂糖を入れ、よく混ぜる。溶き卵とビルベリーピューレを加えて混ぜる。薄力粉を3回に分けて加え、さっくりと混ぜる。生地をビニール袋に入れて、麺棒などで7〜8mmの厚さに伸ばし、冷蔵庫で冷やす。好みの型にくり抜き、180℃で13〜15分間焼成する。
【0111】
ワッフルの材料は、薄力粉100g、砂糖30g、バター50g、全卵1個、生クリーム50g、ベーキングパウダー5gであり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0112】
ワッフルの製造手順は次の通りである。ビルベリーピューレを含む材料を混ぜ合わせる。尚、場合によってはサラダ油を約50g加えても良い。ワッフル専用型オーブンを使用し、弱火で表裏3〜4分間焼成する。
【0113】
シュー皮の材料は、薄力粉100g、バター70g、全卵2個、水50gであり、ビルベリーピューレを50g添加することで、青紫色に着色することができる。尚、シュー皮は、シュークリームの皮の部分の生地である。
【0114】
シュー皮の製造手順は次の通りである。鍋にバター、水及びビルベリーピューレを入れ、中火で煮立てる。火を止め、薄力粉を加えながら、へらでよく練り混ぜる。再び中火にかけ、生地が鍋に付かなくなるまで、3〜4分間練り混ぜて水分を飛ばす。火を止め、溶き卵を少しずつ数回に分けて混ぜる。生地を絞り袋に入れ、オーブンの天板に絞り出し、180〜210℃で15〜25分間焼成する。徐々にオーブンの温度を落としながら、中までしっかり乾燥焼きする。
【0115】
スコーンの材料は、薄力粉100g、砂糖24g、バター34g、全卵5分の1個、ベーキングパウダー6gであり、ビルベリーピューレを30g添加することで、青紫色に着色することができる。
【0116】
スコーンの製造手順は次の通りである。冷やしておいたバターと、よく混ぜて篩いにかけた薄力粉とを合せ、指先でバターを細かく潰しながら全体を混ぜる。両手で軽くこすり合わせ、サラサラのそぼろ状にする。但し、バターが溶けてしまうとサクッと仕上らないので手早く作業する。砂糖を加え、溶き卵とビルベリーピューレを入れて、へらでよく混ぜる。粉っぽさがなくなりひとまとまりになったら、ラップにくるみ、冷蔵庫で約1時間休ませる。打ち粉をし、麺棒で2cmの厚さに伸ばす。型抜きし、つや出し用の卵又は牛乳を上に塗り、約180℃で15〜20分間焼成する。
【0117】
図2、図3及び図4のうち、アルカリ化の影響が大きいと考えられるホットケーキとパウンドケーキについても、生地重量に対して5〜30%、好ましくは10〜18%のビルベリーが添加されれば、問題なく青紫色に着色することができる。
【0118】
その他に、マジパンも鮮やかな青紫色に着色することができる。尚、マジパンとは、アーモンドの粉末と砂糖を混合し、ローラーにかけてペースト状にした菓子で、ケーキやパンの飾りとして花や人形など色々な形に細工できる。
【0119】
また、団子や餅などの和菓子や鯛焼きにも水分添加の代わりにビルベリーピューレを添加した場合、また、そば、うどん又はパスタなどにビルベリーピューレを添加した場合も、同様に鮮やかな青紫色に着色することができる。
【0120】
従来は人工着色料を添加する場合が多かったが、アントシアニンを大量に含むビルベリーピューレを一定量小麦粉加工食品に添加することで、鮮やかな青紫色に着色することができ、しかも安全性が高い。
【0121】
以上のように、本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法は、ビルベリーを小麦粉加工食品に5〜30%、好ましくは10〜18%添加することにより、小麦粉加工食品を鮮やかな青紫色に着色することができる。
【0122】
ビルベリーで着色したパン等は、ブルーベリーで着色したパン等に比べて、最大で52%、最低でも27%まで原価を抑えることが可能になり、大幅にコストを削減することができるため、市場に受け入れられる可能性が大きい。
【0123】
ビルベリーは、ブルーベリーに比べて最大で約5倍、最低でも約2倍のアントシアニン色素を含有しており、視力改善効果や抗酸化作用など健康機能性食品としての効果が期待できる。
【0124】
ビルベリーに含まれるペクチンの影響が、製造過程において顕著に現れることにより、パンの発酵及び焼き上がりが向上し、保水性、食感、日持ち又は機械加工に対する耐性なども期待できる。
【0125】
ビルベリーのアントシアニン色素の含有量がブルーベリーよりも極めて多く、酸性度もpH2.0前後と強いため、アルカリ性原材料と共に使用した場合でも、灰青色などに変色するのを緩和できる。
【0126】
ビルベリーのピューレは、200℃以上で40分以上加熱しても安定するし、また、ドリンク剤として水に混ぜても安定するので、天然着色料として、食品、飲料、飼料、化粧品又は医薬品と広範囲に利用できる。
【0127】
ビルベリーをピューレとして小麦粉加工食品に添加する工程を経ることにより、商業上最も衛生的、効率的及び経済的な方法で、小麦粉加工食品に鮮やかな青紫色を着色することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
小麦粉を使用したパン等以外にも、穀類(大麦、粟、燕麦、黍、うどん粉、そば粉、パスタ、玉蜀黍、ライ麦、ひえ)も澱粉質を多く含んでいるため着色することができる。また、米粉を利用したパンにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法の各種パンに配合する際の添加量を示す一覧表である。
【図3】本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法の各種パンに配合する際の添加量を示す一覧表である。
【図4】本発明であるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法の各種菓子に配合する際の添加量を示す一覧表である。
【符号の説明】
【0130】
1 ビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法
2 収穫工程
2a 収穫
2b 凍結処理
2c 異物除去
2d 冷凍
3 加工工程
3a 破砕
3b 香料添加
3c 糖分添加
3d ミキシング
4 保管工程
4a 計量パッキング
4b 殺菌
4c 金属探知機検査
4d 冷凍保管
5 使用工程
5a 解凍
5b 配合
6 パン配合一覧
6a パン配合一覧
6b パン配合一覧
6c パン配合一覧
6d 菓子配合一覧
6e 菓子配合一覧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルベリーを全材料の重量に対して5%から30%添加し、小麦粉加工食品を青紫色に着色したことを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品。
【請求項2】
ビルベリーを10%から18%添加したことを特徴とする請求項1に記載のビルベリーを添加した小麦粉加工食品。
【請求項3】
ビルベリーをピューレ、ジュース、ペースト、ソース、濃縮品、生果、冷凍品、チルド品、スプレードライ品、造粒品、フリーズドライ品、ドラムドライ品、ジャム又はフラワーペーストのいずれかとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビルベリーを添加した小麦粉加工食品。
【請求項4】
小麦粉加工食品をバターロール、食パン、フランスパン、イングリッシュマフィン、菓子パン、メロン皮、イーストドーナツ、ブリオッシュ、クロワッサン、デニッシュ、パイ、アメリカンマフィン、中華まん、ベーグル、パウンドケーキ、蒸しパン、スポンジケーキ、ホットケーキ、ビスケット、ワッフル、シュー皮又はスコーンのいずれかとしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のビルベリーを添加した小麦粉加工食品。
【請求項5】
収穫したビルベリーを凍結させてから異物を除去する収穫工程と、前記収穫工程後に冷凍したビルベリーを破砕して香料及び糖分を添加し混合する加工工程と、前記加工工程後に一定量ごとに袋詰めしたビルベリーを殺菌し金属探知機に掛けて冷凍保管する保管工程と、前記保管工程後にビルベリーを解凍して小麦粉加工食品に配合する使用工程とからなることを特徴とするビルベリーを添加した小麦粉加工食品の着色方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−189901(P2007−189901A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255370(P2004−255370)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【特許番号】特許第3707058号(P3707058)
【特許公報発行日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(304025068)
【Fターム(参考)】