説明

ピクセルブロックの再配置を介した映像スクランブル

視覚情報を符号化する方法およびシステムが記載されている。画像はn数のパターンに分割される。各パターンはマトリクス上にマッピングされる、すなわち、X軸およびY軸上に配置される。パターンはその後、例えば長方形といった、画像の元の形とは異なる新しい、ただし同数のパターンもしくは同じ面積を有する形に構成される。そして、ピクセルからなるパターンは新しい形に再配置され、新しいパターンに対応して再度マトリクスがマッピングされる。次に、元の暗号化された画像の情報を有するキーが作成される。暗号化されたビジュアルコンテンツまたは暗号化された画像を復号するために、プレーヤーは、キーもしくは暗号化されたビジュアルコンテンツを読み込み、キーによって提供された情報に基づいて、暗号化されたビジュアルコンテンツもしくは画像を復号する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルビジュアルコンテンツの画像処理、暗号化及び復号化の分野に関し、特に、ビジュアルコンテンツをファジー保護(fuzzy protection)することで、ビジュアルコンテンツへの不正アクセスを防止することに関する。また、本発明は画像処理分野において暗号・復号技術を適用することに関する。
【背景技術】
【0002】
エンターテインメント産業には、映画、ケーブルテレビ、スクリーンプレイなどがある。エンターテインメントの世界において、映画は主要の産業である。映画の製作には、莫大な費用、人の才能、そして多大なる努力を要する。映画またはスクリーンプレイを製作するうえで必要な極めて多くの人々の努力、費用、そして才能は、アクセス権のない人によって複製またはアクセスされると、最後に何ら利益を残さないことになってしまう。また、国益を考慮して極秘扱いされている機密画像や映像が含まれている場合もあり、強固なセキュリティーが必要とされている。したがって、このような重大な視覚情報を不正アクセスから保護するためには、デジタルビジュアルコンテンツを保護する方法およびシステムの確保が急務である。
【0003】
現在、視覚情報の複製を阻止するために、様々な技術が用いられている。例として、ホスト画像に何らかの情報を挿入することで、著作権保護に役立てたり画像の認証を行なったりする画像の透かし加工が挙げられる。この挿入の仕組みにおいては、不可視性、ロバスト性、高度な情報コンテンツ、そして速くて信頼のおける検知など、いくつかの、しばしば矛盾する要件を満たす必要がある。
【0004】
しかしながら、アクセス権のない人に対する、保護された視覚情報の閲覧の防止技術やシステムは、これまで存在していない。
【0005】
そのため、アクセス権のない人に対する、重要かつ機密扱いを要する視覚情報の閲覧防止システム及び方法が強く求められている。
【0006】
テレビでの暗号化は、「スクランブル」と称されることが多いが、通常、ケーブルまたは衛星テレビ放送などの有料テレビ放送へのアクセスを制限するために用いられる。有料テレビ放送は、加入者から収入を得ているが、時々この加入者が料金を支払わない場合がある。ケーブルまたは衛星ネットワーク内における著作権侵害の防止は、有料テレビ暗号化システムを開発するにあたっての主要要素の1つである。
【0007】
当初のケーブル系有料テレビネットワークはセキュリティー対策を施していなかった。これにより、料金を支払うことなくネットワークに接続する人が現れるという問題が生じた。このことを受けて、これらの自己接続者を阻止するための方法がいくつか開発された。初期のケーブル有料テレビシステムは、いくつかの簡単な対策に基づいていた。この中で最も知られているのは、加入していない人からのチャンネル受信を効果的に阻止するチャンネルフィルタである。このフィルタは、加入に応じて設けられ、あるいは外される。しかしながら、ケーブルネットワークのチャンネル数が増えるにつれ、このフィルタに基づくアプローチは次第に実用的でなくなってきた。
【0008】
この簡易なフィルタによる解決法が簡単に打破されるようになると、映像または音声に妨害信号を付加するなどといった他の方法が取られるようになった。技術が進歩すると同時に、アドレス可能なセットトップボックスが普及し、音声またはビデオのカット・アンド・ローテート(cut and rotate)によるデジタル暗号化(映像の線が特定の点で切断され、2つのパートがこの点で逆に並び替えられる)などの、より複雑なスクランブル技術が信号に適用されるようになった。
【0009】
暗号化は、ケーブルテレビネットワーク用に衛星から配信された放送を保護するために用いられていた。ケーブル配信に用いられているシステムのいくつかは高価であった。直接家庭分配(DTH)市場が拡大するに伴い、よりセキュリティレベルの低いシステムが用いられるようになった。これらのシステムの多く(例えばOAK Orion)は、映像の同期部分に影響を与えたり、映像信号を反転させたり、映像に妨害周波数を加えたりするなどといった、ケーブルテレビのスクランブルシステムの変形であった。そして、これらのアナログスクランブル技術は全て簡単に打破されている。
【0010】
一般的に、光学ディスク(DVDやVCDなど)などのメディアや、MPEG、AVI、Real VideoやQuickTimeなどの、適当な形式のファイルからデジタル映像データを再生するために、メディアプレーヤーの一種であるビデオプレーヤーを用いることができる。多くのビデオプレーヤーは、デジタル音声の再生もサポートしており、このことでコンテンツの不正アクセスが可能となってしまう。したがって、これらの保護を行なうために暗号化技術が用いられる。現代において、デジタルコンテンツの保護は暗号法の研究に依存している。暗号法は、数学およびコンピュータサイエンスの両方の要素を含み、情報理論、コンピュータセキュリティ、また工学技術と密接に関連していると考えられている。
【0011】
したがって、デジタルコンテンツを不正アクセスから保護しアクセスできないようにするべく、デジタルコンテンツを暗号化するシステムおよび方法が求められている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、上記の目的および利点を達成するために、ビジュアルコンテンツ、すなわち静止画または動画を暗号化し、アクセス権のない人がビジュアルコンテンツにアクセスするのを禁止する。
【0013】
好適に、本発明は、均一な大きさのピクセルパターンの位置を変えることで、視覚情報を隠す効果または暗号化する効果を得られる。
【0014】
上述の目的または優れた点は、以下に示す記載によって十分理解されるであろう。また、本発明の権利範囲は、上述の目的または優れた点に制限されるものではない。
【0015】
本発明によれば、画像は、n個のa×bピクセルを有するパターンに分割される。a×bピクセルを有するn個のパターンは、マトリックス上にマッピング、すなわち、X軸及びY軸に配される。次に、n個のパターンは、例えば長方形など、画像の元の形とは異なる新しい、しかし同数のパターンまたは同領域を有する形に配列される。ピクセルパターンは新しい形に位置を変え、新しいパターン構成に合わせてマトリックスが再びマッピングされる。そして、元の暗号化された情報を有するキーが作成され、静止画または動画ファイルと共に記憶される。
【0016】
暗号化されたビジュアルコンテンツまたは暗号化された画像を復号するには、プレーヤーがキーもしくは暗号化されたビジュアルコンテンツを読み取り、キーによって提供された情報を用いて、暗号化されたビジュアルコンテンツ又は画像を復号する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
詳細な説明は添付図面に基づいて説明されている。図面において、参照符号の左端の桁は、その参照符号が最初に描かれている図面を示している。同様の特徴や部材を示すものは、図面を通して同一の数字が用いられている。
【図1】ソフトウェアを組み込むことを想定したハードウェアを示す図である。
【図2】正距円筒画像を示す図である。
【図3】ファジーコデック(FUZZY codec)を通るデータストリームを示す概略図である。
【図4a】ファジーエンコーダ(fuzzy encoder)を介する符号化プロセスを示す図であり、
【図4b】ファジーデコーダ(fuzzy decoder)を介する復号化プロセスを示す図である。
【図5a】1つのユーザ群との構成を示す図である。
【図5b】複数のユーザ群との構成を示す図である。
【図6a】暗号化キーが作成される方法を図式する図である。
【図6b】暗号化キーが作成される方法を図式する図である。
【図6c】暗号化キーが作成される方法を図式する図である。
【図6d】暗号化キーが作成される方法を図式する図である。
【図6e】暗号化キーが作成される方法を図式する図である。
【図7】暗号化モジュールの詳細を示す図である。
【図8】反転暗号化モジュールの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、デジタル視覚情報を保護するための方法およびシステムを説明する。発明の詳細な説明の項においてなされた、システム及び方法の具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神および次に記載する請求の範囲内において、種々変更して実施することができるものである。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0019】
本発明のコーダー部分は、独立したアプリケーションであってもよく、または既存のエクスポートツールと一体化されていてもよい。しかしながら、本発明のデコーダ部分は、既存のアプリケーション、つまりエンドユーザにビジュアルコンテンツを送り、それを表示する、ビデオもしくはマルチメディアプレーヤーと一体化されなければならない。
【0020】
実施の形態において、正距円筒画像もしくは映像は、16×16ピクセルの均一なパターンに分割され、次に本発明に記載の方法によって、32:1の比率を有する新しい構成に配置される。本方法の効果は、画像のパターンの再配置(reposition)や、さらに、例えば16×16ピクセルからなるパターンが、16×16ピクセルからなるパターン100個ごとに変えられるといった、異なる構成でのパターンの再配置よって実現される。
【0021】
図2は、360度にわたる水平情報及び180度にわたる垂直情報を有する正距円筒画像(ピクセルで表される)を示す画像である。この画像のアスペクト比は2:1である。すなわち、幅が高さより2倍長い。
【0022】
図3では、ソースデータ6は、ファジーエンコーダ7を介して符号化される。そのファジーエンコーダ7は、マルチメディアファイルまたは映像ストリームを8に送信する。この映像ストリームは、情報を復号するファジーデコーダ9に送信され、さらに映像配信部10へと送信される。
【0023】
図4aは符号化プロセスを図示している。ソースデータ20は、映像ファイル、映像ストリーム、もしくは静止画であってもよい。このデータは、少なくとも、あらゆるDirectShowフィルタ25と同様のAPIによって解読可能なマルチメディアファイルでなければならない。このソースデータは、解像度情報(画像面積単位)、圧縮タイプ、フレームスピード(FPS単位)、そして色の深みで説明されている。この時点においてのサウンド情報は暗号化されておらず、ファジーエンコーダを介して処理されていない。元のサウンドデータ26は工程25から工程90へ直接送信され、そこで符号化ファイルが書き込まれる。同期情報は、25(90と同じAPI)にて保管され、符号化データを書き込むために90において用いられる。
【0024】
ソースデータは、フレーム抽出読取部30を介して、ファジーエンコーダに読み込まれる。これは、データの損失を防ぐべく、好ましいプロセスとしてはフレームごとにコンピュータ処理しなければならないからである。このモジュールでは、入力されるデータを読み込み、各フレームを一つずつ別々に抽出する。このプロセスは公知であり、DIRECTSHOWフィルタ25と呼ばれる、マイクロソフト社のAPIを介して処理される。各フレームは、変則的な圧縮を防ぐようにプログレッシブ形式でなければならない。
【0025】
DirectShowは、映像再生などのマルチメディアタスクの処理を、フィルタと呼ばれる工程のセットに分割する。各フィルタはデータ処理の段階を表している。フィルタには、互いを接続する入出力ピンがいくつか設けられている。
【0026】
30で抽出されたフレームは、パターン読取部40で分析され、ピクセルで表された画像全体が16×16ピクセルのパターンに変換される(AVIコンテナ形式およびMPEG形式に用いられる既存の圧縮コデックによって固定されたマクロブロックサイズに適合するように変換される)。このパターン位置は、暗号化モジュール60によって、新たな位置にスクランブルされるように記憶される。
【0027】
暗号化モジュール60は、40にて抽出された各パターン用に新しい位置を提供するキーを生成する。キーは、公知で既存の多様な方法で生成されてよく、例えばKeygenが挙げられる。また、キーは、経験に基づく方法を用いて手動で作成されてもよい。暗号化キーは、符号化データ100を再フォーマットするために、140において必要となる。暗号化キーは、エンコーダ装置にて作成され、あらゆるデータ送信用の既存の方法を用いてデコーダ装置に提供されてもよい。また、暗号化キーは電子装置としてのデコーダ内に埋め込まれていてもよい。言うまでもなく、セキュリティレベルを保つべく、キーは符号化データが送信される方法とは別の方法でデコーダに送信される必要がある。要求されるセキュリティレベルに応じて、暗号化キーもまた、公知の暗号化アルゴリズムを用いて暗号化されていてもよく、またはテキストファイルとして送信されてもよい。
【0028】
最後の符号化データ100は、ソースデータ20と全く同数のパターン(マクロブロック)を有している。
【0029】
40にて取得したソースを用いて60で作成されたキーを利用した新しいパターン位置に基づいて、フレーム全体がマクロブロックマルチプレクサ50にて生成される。この工程が完了すると、フレームはフレーム書込部70によって書き込まれ、複数フレームバッファ80に記憶される。
【0030】
複数フレームバッファ80は、DIRECTSHOWフィルタ90による最終圧縮アルゴリズムを算定する上で必要なフレームの数を記憶するように機能する。圧縮前に記憶されるフレームの数は、圧縮フィルタが必要とする圧縮キーフレームによって変動する。また、暗号化キーが各パターンの位置をどこで変えたかを、ファイルの位置に対応させて印付けすることも可能である。また、暗号化キーは、ファイルの始めのみに設定されていることもあり得るが、特定の周波数にて、既存のフレームと組み合わさって(interlaced)変化してもよい。
【0031】
以上により、エンコーダ部分にて行なわれる暗号化プロセスが完了する。通常、エンコーダ部分は、デコーダ部分と同一の装置で行なわれることはない。100における暗号化データがストリームデータであって、記録ファイルでなければ、この2つの要素を公知の方法で連結することもできる。
【0032】
図4bは、復号化プロセスを示している。符号化データが再生されるために他の装置に送信もしくは記憶されている一方で、データは、DIRECTSHOWフィルタ110にて処理される。
【0033】
DIRECTSHOWフィルタは、パターン読取部120に直接接続されている。そのパターン読取部120は、全てのパターンが再配列されるマクロブロックデマルチプレクサ130のためのパターン情報を、反転暗号化モジュール140にインポートされた暗号化キーを用いてフォーマットする。前述のとおり、キーは、例えばROMデータとして容易に前記装置のハードに書き込まれる。この時点で、全てのパターンが元のソースデータ(圧縮した状態で)として再配列される。
【0034】
再配列されたデータは、既存の機能を用いて復号データ160を生成する、DIRECTSHOWフィルタ150に送信される。
【0035】
この時点でのデータは、暗号化されていないデータにアクセス権のないユーザがアクセスすることを防止する別のフィルタを用いて、マルチメディアファイルとして保存することができない。
【0036】
DIRECTSHOWフィルタ110は音声/映像情報を分割する。なぜなら、音声情報は、ファジーデコーダ部分を介して処理される必要がなく、DIRECTSHOWフィルタ150の出力部分に直接送信されるからである。
【0037】
DIRECTSHOWフィルタ150は、マルチメディアファイルの2つのコンポーネントを再び接続して同期させる。ここでは復号データ160と称されている映像部分は、表示装置の視覚情報を管理する映像配信部170に送られる。サウンド部分は、サウンド装置を管理するサウンド配信部180に送られる。
【0038】
図5aは、固有の暗号化キーが提供され用いられる場合を示している。プレーヤーアプリケーションを使用しているグループAのエンドユーザ全員が、符号化プラットフォーム200によって符号化された内容を使用・表示することができる。唯一の制限は、内容を表示することはできても、それを変更することができないことである。
【0039】
図5bは、複数のユーザー群が存在する場合を示している。
【0040】
各キーは、暗号化される内容、および、それを表示するエンドユーザに割り当てられなければならない。
【0041】
各キーは、同一の符号化プラットフォーム200にて作成・暗号化することができ、もしくは複数の符号化プラットフォームにおいて符号化・使用することができる。
【0042】
例えば、異なるユーザのグループがNグループあるとする。各グループは、異なる暗号化キーを有している。キーAはグループAに対応し、キーBはグループBに対応し、キーNはグループNに対応する。異なるキーや異なるグループの間での制限はない。
【0043】
よくある例では、グループAは、キーAによって暗号化されたメディアにだけアクセスでき、グループBは、キーBによって暗号化されたメディアにだけアクセスできる、といった状態である。
【0044】
図6a〜6eは、単なる例として挙げられている。この例では、ソースデータが既に抽出され、1024ピクセル幅および512ピクセル高さの大きさを有するプログレッシブスキャン形式の正距円筒フレームであると考えられる。処理はループ状に一体化され、各フレームは圧縮される前に1つずつ処理される。
【0045】
図6aは、1024×512ピクセル、すなわち16×16ピクセルのパターンを2048有する、正距円筒画像を示している。このフレームは、フレーム抽出読取部30によって抽出され得る典型的な画像を示している。
【0046】
図6bは、パターン読取部40において作動するパターン抽出機能を図示している。したがって、画像の長さは16×16ピクセルのパターンを64備えており、幅は16×16ピクセルのパターンを32つ備えている。
【0047】
図6cは、X軸およびY軸上における各パターンの位置を示すマトリックスである。このように、16×16ピクセルの各パターンは、マトリックスによって、(X、Y)の座標が与えられる。
【0048】
図6dは、図6eおよび図7に示されている、暗号化プロセス320後の新しいマトリクスを示している。
【0049】
図6eでは、同数のパターン収容能力を有する新しい形が作成されている。すなわち、本実施形態における新しい形は、元の暗号化されていない画像の形が有するパターン収容量と同じ数である2048パターン収容量を有する。パターンが再配置された新しい形は長方形であるが、パターンで覆われている面積は同一である。実施形態において、この新しい形は、256パターン分の長さを有し、8パターン分の幅を有する。したがって、長さに沿って並んでいるパターンの数と、幅に沿って並んでいるパターンの数との比率は、32:1である。工程4では、パターンは長方形の新しい形に再配置され、ファジーアルゴリズム(fuzzy algorithm)を適用することで特定の順番で再配置されている。
【0050】
図7は、図4aに示されている、オリジナルマトリクス位置300がパターン読取部40を介してパターンに関する情報を受け取る、暗号化モジュール60を詳細に図示している。集められた情報は、パターンの数及びそれらのマトリクス内における元の位置を示している。この情報は「マトリクス」と称される。これらのマトリクス変数は、パターン位置変更部310内でスクランブルされ、新マトリクス位置320に新しいマトリクスとして再構成される。可変位置がスクランブルされる方法は、符号化プロセスを管理するエンドユーザによって手動で管理可能である。また、適切にフォーマットされた後に、テキストファイルとしてインポートされてもよい。次に、新しいマトリクス位置情報は、キー作成部330およびマクロブロックマルチプレクサ50に送信される。キー作成部330は、暗号化キーを、新マトリクス位置情報に基づいて、公知の既存方法で作成する。キーソースは、その後メタデータ暗号化キー65として、後に再生装置で用いられるために保存される。
【0051】
図8は、図4bの反転暗号化モジュール140を詳細に示している。キーデコーダ400は、メタデータ暗号化キー65を受け取り、フレーム内のパターン位置に関連する元のマトリクス情報を再作成する。パターン位置変更部410は、送信されてくるパターン位置をキーデコーダ情報と共にパターン読取部120から受け取る。これにより、オリジナルマトリクス位置420に元となるマトリクス位置が設けられる。この情報は、次にマクロブロックデマルチプレクサ130に送信され、DIRECTSHOWフィルタ150で管理される元のフレームが作成される。なお、キー情報は、フレーム内のパターン位置に制限されない。
【0052】
コデック(コーダ・デコーダ)システムは、以下の2つの別々の部分を組み合わせている。
(1)加工していない映像ファイル又はストリームを、暗号化キーを用いて符号化するコーダと、
(2)暗号化されたデータをオリジナル暗号化キー情報を用いて復号化し、元の形態に復元された映像ファイルを表示のために映像配信器に配信するデコーダ、である。
【0053】
これら2つの個々の部分は、2つの別個のコンピュータまたはCPUシステムにおいてそれぞれ作業が行なわれる、別々のプロセスである。
【0054】
キーが固有のものである場合は、固有の情報にアクセス権を有する1ユーザ群のみに情報を提供することができる。
【0055】
キーは、無期限のものであってもよく、あるいは期限が設定されていてもよい。例えば、メディアがペイパービュー方式の番組であった場合、限られた時間のみ、エンドユーザまたはエンドユーザ群が映像を再生できるようにキーを作成することが可能である。視覚化遅延(delay of visualisation)が切れた場合、エンドユーザはそれ以上そのコンテンツで遊ぶことができなくなり、プレーヤーアプリケーションは警告メッセージを表示することができる。
【0056】
フレームソースデータの大きさは、幅及び高さにおいて16ピクセルの倍数でなければならない。これは、この制限に当てはまる圧縮アルゴリズムを用いて符号化された映像のほとんどに当てはまる。
【0057】
符号化データおよびソースデータは同量のピクセル、すなわち同量のパターンを有している。符号化データのアスペクト比パラメータは、ソースデータのものと同じであってもよいが、そうしなければならないわけではない。ソースデータにアクセスしたいユーザに対して作業をかなり複雑にしたい場合は、符号化データ(映像)のアスペクト比を変更する。形、ピクセル数、およびパターンは同一であるが(長方形)、幅及び高さの寸法が異なる。
【0058】
平面形のアスペクト比は、長い寸法と短い寸法との比率である。これは、立体形の特徴的な2指標の寸法においても、特に最長及び最短「軸線」もしくは2寸法(長さおよび直径など)のみで説明される対称的な物体(棒など)において適用される。このような場合、アスペクト比は1未満の数値で評価される場合がある(例えば、非常に短いもしくは非常に長い棒が考えられる)。
【0059】
本発明は、正距円筒画像や映像ファイル・ストリームの画像内容を保護するために好適に適用されるが、他の画像や映像コンテンツにおいても適用可能である。正距円筒フォーマットは、コンピューターグラフィックス産業において公知である。
【0060】
エンコーダを介して処理される画像データは、圧縮されていない形式であることが好ましい。圧縮ファイルでも同様に作動するが、最終的に結果として得られるものは、エンターテインメント産業を含む様々な適応分野に求められている質を満たさなくなる。
【0061】
通常、映像圧縮は、マクロブロックと呼ばれることが多い隣接するピクセルからなる四角形のグループにおいて動作する。
【0062】
データは1つまたは複数の静止画、もしくは1つまたは複数の映像ファイルであってよい。処理された最終のファイル、もしくはエンコーダからエクスポートされたファイルは、その後デコーダに直接2つの形式で記憶もしくはストリームすることができる。
【0063】
標準的な映像圧縮を用いたオリジナル映像ファイルとして、AVIコンテナ(Audio Video Interleave)形式もしくは新しいMPEG−4形式が、あらゆる種類の圧縮ファイルを可能とする。この場合、暗号化キーはメタデータとして別に処理され送信される(デコーダに直接埋め込まれない場合)。
【0064】
メタデータファイルは、映像及びデータを含む。メタデータは、データの解読、使用、及び管理を容易にするために用いられる。効果的にデータ管理を行なうのに必要なメタデータは、データの種類や使用の状況によって異なる。データがコンピュータファイルのコンテンツである情報システムの状況において、単一のデータアイテムに関する典型的なメタデータは、フィールド名およびその長さを含む。
【0065】
映像の各フレームは、低いレベルにおいてフレームごとに処理されなければならず、画像は24ビット、32ビット、もしくはインデックスカラーにおけるプログレッシブスキャン形式(インターレースされない)でなければならない。
【0066】
本発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、種々変更して実施することができるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚情報を符号化する方法であって、
上記視覚情報を、マトリクス上で所定の数のパターンに分割する分割工程と、
上記マトリクス上における上記パターンのそれぞれの位置を決定する決定工程と、
ファジーアルゴリズムを用いて、上記マトリクス上の上記パターンを所定の形に再配列する再配列工程と、
暗号化キーを作成する作成工程と、を含み、
上記所定の形の面積は、元となる上記視覚情報の面積と同じであることを特徴とする視覚情報を符号化する方法。
【請求項2】
上記視覚情報は、音声情報を含むマルチメディアデータから、その音声を、符号化することなくフィルタリングして送信することにより、フレームごとに抽出されたものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記フレームはそれぞれ、変則的に圧縮されることを防ぐためにプログレッシブ形式であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
視覚情報を符号化する装置であって、
入力情報を処理するフィルタリング手段(25)と、
フィルタリング手段と連結した、フレームごとに上記視覚情報から情報を抽出し処理する画像処理手段と、
抽出された上記フレームをそれぞれ、所定のパターン形式に記憶して変換するパターン読取部(40)と、
上記画像処理手段と連結した、対称性を有する暗号化キーを作成し、かつ、上記パターンを新しい位置に再配列する暗号化手段(60)と、を備え、
上記画像処理は、上記暗号化キーを用いて符号化された情報を生成することを特徴とする視覚情報を符号化する装置。
【請求項5】
上記画像処理手段は、さらに、
作成された上記新しい位置を用いてフレーム全体を作成し、
最終的な圧縮に必要な所定数の作成されたフレームを記憶して書き込み、
符号化情報を得るために上記視覚情報を暗号化することを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項6】
上記視覚情報(20)は、映像ファイルもしくは映像ストリームであることを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項7】
上記視覚情報(20)は、静止画であることを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項8】
上記視覚情報(20)は、上記フィルタリング手段(25)と同様のAPIによって少なくとも解読可能であるマルチメディアファイルであることを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項9】
上記パターン形式は、AVIコンテナ形式およびMPEG形式もしくはその他のあらゆる映像形式とともに使用される既存の圧縮コデックによって調整されたマクロブロックのサイズに適合することを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項10】
上記暗号化モジュール(60)は、上記パターン読取部(40)にて抽出された各パターンに新たな位置を与える対称性を有する暗号化キー(65)を作成することを特徴とする請求項6に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項11】
上記暗号化キー(65)を上記デコーダ装置に送信する前に暗号化することを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項12】
上記暗号化キー(65)を電子装置としての上記デコーダ装置に埋め込むことを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項13】
上記暗号化キー(65)をROMデータに記憶することを特徴とする請求項4に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項14】
上記符号化情報(100)は、上記視覚情報(20)と全く同数のパターンを有することを特徴とする請求項6に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項15】
上記フィルタリング手段(25)は、上記入力情報から音声情報を取り除くことを特徴とする請求項6に記載の視覚情報を符号化する装置。
【請求項16】
符号化された視覚情報を復号する方法であって、
符号化されたデータを取得する取得工程と、
一連のフィルタを介して上記データを処理する処理工程と、
音声情報および映像情報を分割する分割工程と、
上記音声情報を、復号することなく出力として直接送信する音声情報送信工程と、
暗号化キーをインポートするインポート工程と、
パターン情報をオリジナルソースデータとして再構成する再構成工程と、
復号化データを作成する作成工程と、
ファイルの上記映像のコンポーネントおよび上記音声のコンポーネントを互いに接続して同期させる接続同期工程と、
上記データの音声部分を音声配信部に送信する音声送信工程と、を含み、
所定の形の面積は、元となる上記視覚情報の面積と同じであることを特徴とする符号化された視覚情報を復号する方法。
【請求項17】
符号化された視覚情報を復号する装置であって、
一連の段階で符号化されたデータ(100)を処理するフィルタ(110)と、
上記データ(100)のパターン情報を分析し、事前に設定されたパターン形式に上記パターン情報をフォーマットするパターン読取部(120)と、
暗号化キーを用いて、上記パターン情報を元となるソースデータのパターン構成に再構成するマクロブロックデマルチプレクサ(130)と、
上記パターン情報を再構成するための上記暗号化キーを付与する反転暗号化モジュール(140)と、
復号化されたデータ(160)を作成するためのフィルタ(150)と、
を備えることを特徴とする符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項18】
上記復号されたデータ(160)は、マルチメディアファイルとして記憶されることがないために、暗号化されていないデータへの不正アクセスを防止することを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項19】
上記フィルタ(110)は、音声情報および映像情報を分割することを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項20】
上記復号化されたデータ(160)は、入力されたマルチメディアファイルの映像部分に対応することを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項21】
映像データは、映像配信部(170)に送信されることを特徴とする請求項20に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項22】
上記映像配信部(170)は、表示装置のための視覚情報を管理することを特徴とする請求項20に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項23】
サウンドソースデータ(115)は、上記フィルタ(150)からサウンド配信部(180)に直接送信されることを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項24】
上記サウンド配信部(180)は、上記音声装置を管理することを特徴とする請求項23に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項25】
音声情報は処理されず、最初のフィルタ(110)から最後のフィルタ(160)に直接送信されることを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項26】
上記フィルタ(150)は、マルチメディアファイルの音声のコンポーネント及び映像のコンポーネントを接続して同期させることを特徴とする請求項17に記載の符号化された視覚情報を復号する装置。
【請求項27】
視覚情報を符号化および復号化するコデックであって、
入力情報を処理するフィルタリング手段(25)と、
フィルタリング手段と連結した、フレームごとに上記視覚情報から情報を抽出し処理する画像処理手段と、
抽出された上記フレームをそれぞれ、所定のパターン形式に記憶して変換するパターン読取部(40)と、
上記画像処理手段と連結した、対称性を有する暗号化キーを作成し、かつ、上記パターンを新しい位置に再配列する暗号化手段(60)と、
符号化された情報を復号化するためのデコーダと、
を備えることを特徴とする視覚情報を符号化および復号化するコデック。
【請求項28】
1以上のコンピュータ読取可能な記録媒体を備える、視覚情報を符号化および復号化するためのコンピュータプログラム製品であって、
上記視覚情報を、マトリクス上で所定の数のパターンに分割し、
上記マトリクス上における上記パターンのそれぞれの位置を決定し、
ファジーアルゴリズムを用いて、上記マトリクス上の上記パターンを所定の形に再配列し、
新しい上記形における上記位置を決定するためにパターン情報を配列するために、元となる上記視覚情報を用いて暗号化キーを作成し、
上記所定の形の面積は、元となる上記視覚情報の面積と同じであることを特徴とする視覚情報を符号化および復号化するためのコンピュータプログラム製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−518792(P2010−518792A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549864(P2009−549864)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000334
【国際公開番号】WO2008/099271
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509228880)フォティント ベンチャー グループ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PHOTINT VENTURE GROUP INC.
【住所又は居所原語表記】325 Waterfront Drive,Omar Hodge Building 2nd Floor,Wickham’s Cay,Road Town,Tortola,British Virgin Islands
【Fターム(参考)】