説明

ピペリジン化合物およびその製法

【課題】 優れたタキキニン受容体拮抗活性を有するピペリジン化合物を提供する。
【解決手段】 一般式〔I〕


(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Xは−CO−、−SO−または−SO−で示される基を表す。
mは1又は0の整数を表す。
は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基等を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗活性を有するピペリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
タキキニンとは、一群の神経ペプチドの総称であり、哺乳類ではサブスタンスP(以下、SP)、ニューロキニンA、ニューロキニンBが知られており、これらのペプチドは生体内に存在するそれぞれの受容体(ニューロキニン1、ニューロキニン2、ニューロキニン3)に結合することによって、様々な生物活性を発揮することが知られている。その中で、SPは神経ペプチドの中でももっとも歴史が長く詳細に研究されているものの1つであり、1931年にウマ腸管抽出物中に存在が確認され、1971年に構造決定されたアミノ酸11個からなるペプチドである。
【0003】
SPは中枢および末梢の神経系に広く分布しており、一次知覚ニューロンの伝達物質としての機能の他、血管拡張作用、血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、神経細胞興奮作用、唾液分泌作用、利尿亢進作用、免疫作用などの生理活性を有する。特に、痛みインパルスにより脊髄後角の終末から遊離されたSPが2次ニューロンに痛み情報を伝えること、末梢終末より遊離されたSPがその受容体に炎症反応を惹起することが知られている。このようなことから、SPは種々の病態(例えば、痛み、炎症、アレルギー、頻尿、尿失禁、気道疾患、精神病、うつ病、不安、嘔吐など)に関与していると考えられており、またSPはアルツハイマー型痴呆にも関与していると考えられている〔総説:フィジオロジカル・レビューズ(Physiological Reviews)、73巻、229−308頁(1993年)(非特許文献1)、ジャーナル・オブ・オートノミック・ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology)、13巻、23−93頁(1993年)(非特許文献2)〕。
【0004】
【非特許文献1】フィジオロジカル・レビューズ(Physiological Reviews)、73巻、229−308頁(1993年)。
【0005】
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・オートノミック・ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology)、13巻、23−93頁(1993年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、前記種々病態(特に嘔吐、うつ病または排尿異常など)の治療薬として、優れたタキキニン受容体拮抗作用(特にSP受容体拮抗作用)を有し、かつ安全性、持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から十分に満足できる化合物は未だ見出されていない。そこで、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、該病態の治療薬として臨床上の効果が十分に満足できる化合物の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式〔I〕
【0008】
【化1】

【0009】

(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Xは−CO−、−SO−、−SO−で示される基を表す。
mは1または0の整数を表す。
は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、または置換基を有していてもよい複素環式基を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、かつ安全性、特に持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から臨床上十分に満足できる化合物を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、ベンゼン環の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環Aはこれら置換基を同一または異なって1〜3個有していてもよい。
【0012】
本発明において、環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、ベンゼン環の置換基としては、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環Bはこれら置換基を同一または異なって1〜3個有していてもよい。また、これらの置換基上にはさらにアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、エステル基、アミド基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基が置換されていてもよい。
【0013】
本発明の化合物における環Aおよび環Bの好ましい例としては、例えば、環Aが、式:
【0014】
【化2】

【0015】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0016】
【化3】

【0017】
で示されるベンゼン環であり、A、AおよびAは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基であり、B、BおよびBは、同一または異なって、水素原子、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基である化合物が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。ハロアルキル基としては、ハロゲン原子が同一または異なって、1〜3個置換されたアルキル基が挙げられ、例えば、トリハロゲノアルキル基が挙げられる。トリハロゲノアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基またはトリクロロメチル等が挙げられる。ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基としては、例えば、トリフルオロメチルなどの置換基を有していてもよいテトラゾリル基が挙げられる。
【0018】
本発明において、保護されていてもよい水酸基の保護基としては、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシリル基、アシル基等の慣用の保護基が挙げられる。このうち好ましいものとしては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等の置換基を有しているシリル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、マロニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基等のアシル基が挙げられる。
【0019】
本発明において、Rとしては、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基、アルカノイル基、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルアミノ基が挙げられる。
【0020】
本発明において、Rとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい水酸基または置換基を有していてもよい複素環式基が挙げられ、これらのうち、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよい複素環式基が好ましい。
【0021】
本発明において、Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、アルコキシカルボニル基、モルホリノカルボニル基、アルキル基部分が水酸基で置換されていてもよいジアルキルアミノカルボニル基、アルキル基部分が水酸基で置換されていてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい複素環式基、水酸基、オキソ基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニルオキシ基、アルキルピペラジノカルボニル基、アルカノイル基、アルキルスルホニル基、ピロリジニルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、ピロリジニルスルフィニル基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキルチオ基またはアルカノイルアミノ基が挙げられる。当該アルキル基の置換基は、アルキル基に1〜3個置換していてもよい。当該アルキル基の置換基である複素環式基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基、アルキル基またはオキソ基が挙げられる。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、オキサジアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基等が挙げられる。
【0022】
本発明において、Rの置換基を有していてもよいシクロアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキレンジオキシ基またはオキソ基等が挙げられる。
【0023】
本発明において、Rの置換基を有していてもよいアリール基の置換基としては、水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはフェナトレニル基等が挙げられる。
【0024】
本発明において、Rの置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、置換基を有していてもよい水酸基、ジアルキルアミノ基またはヘテロ原子として硫黄原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する単環複素環式基(当該単環複素環式基は置換基を有していてもよい。)が挙げられる。当該置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、アルキル基、アルキルスルホニル基またはテトラヒドロピラニル基が挙げられる。当該単環複素環式基としては、ピリジル基、ピペリジニル基、モルホリノ基、イソキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基またはイミダゾリジニル基が挙げられる。当該単環複素環式基の置換基としては、アルキル基およびフェニル基が挙げられる。
【0025】
本発明において、Rの置換基を有していてもよい複素環式基の置換基としては、置換基を有していてもよいアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有しているシクロアルキル基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、ジアルキルアミノカルボニル基、水酸基、オキソ基または置換基を有しているピリジル基などが挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルカノイル基の置換基としては、水酸基が挙げられる。当該置換基を有しているシクロアルキル基の置換基としては、水酸基が挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。当該置換基を有しているピリジル基の置換基としては、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキル基部分が水酸基で置換されていてもよいアルキルアミノカルボニル基、アミノカルボニル基、ピロリジニルカルボニル基またはモルホリノカルボニル基が挙げられる。当該Rの複素環式基の置換基は、複素環式基に1〜3個置換していてもよい。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、ジヒドロチエニル基、テトラヒドロチエニル基、フリル基、ジヒドロフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、オキサゾリジニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ジヒドロチオピラニル基、ジオキサニル基、アゼチジニル基、チエタニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。これら複素環式基の中でも、ピペリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基、オキサゾリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ジオキサニル基、アゼチジニル基またはチエタニル基などが好適に用いられる。
【0026】
本発明において、Xとしては、−CO−、−SO−または−SO−で示される基を表し、このうち、−CO−で示される基が好ましい。
【0027】
本発明において、mとしては、1または0の整数を表し、このうち、1が好ましい。
【0028】
本発明において、Rとしては、水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
【0029】
本発明において、Rの置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。
【0030】
本発明において、Rの置換基を有していてもよいアミノ基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。
【0031】
本発明において、Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルコキシ基または水酸基が挙げられる。
【0032】
本発明において、Rの置換基を有しているカルボニル基の置換基としては、水酸基、水酸基で置換されていてもよいアルコキシ基または水酸基で置換されていてもよいアルキルアミノ基が挙げられる。
【0033】
本発明において、Zとしては、酸素原子または−N(R)−で示される基が挙げられ、このうち、−N(R)−で示される基が好ましい。
【0034】
本発明において、Rとしては、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基、アルカノイル基、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルアミノ基が挙げられる。
【0035】
本発明において、R4a及びR4bとしては、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基などが挙げられる。
【0036】
本発明の化合物〔I〕としては、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であるものが好ましい。当該アルキル基の置換基としては、アルキル基部分が水酸基で置換していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アルカノイル基、アルキルスルホニル基、アルキルイミダゾリル基、アルキルピラゾリニル基、シアノ基、カルボキシル基、ピロリジニルスルホニル基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、オキサジアゾリル基、ジアルキルイソオキサゾリル基、アルキル基で置換されていてもよいオキソピリジル基またはアルカノイルアミノ基が好ましく、これらのうち、水酸基が好ましい。
【0037】
本発明の化合物〔I〕としては、Rが置換基を有していてもよい複素環式基が好ましい。当該複素環式基としては、ピペリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリジニル基、オキサゾリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ジオキサニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピリジル基、アゼチジニル基またはチエタニル基が好ましく、これらのうち、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基またはピリジル基が好ましい。また、当該複素環式基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、水酸基でアルキル基部分が置換されていてもよいアルキルアミノカルボニル基、アミノカルボニル基、ピロリジニルカルボニル基、モルホリノカルボニル基、水酸基で置換されているシクロアルキル基、アルキル基、トリハロゲノアルキル基、水酸基またはオキソ基などが好ましく、このうち、アルカノイル基またはオキソ基がこのましい。当該複素環式基の置換基は、複素環式基に1〜3個置換していてもよい。
【0038】
本発明の化合物〔I〕としては、Xが、−CO−で示される基であり、mが1である化合物が好ましい。
【0039】
本発明の化合物〔I〕としては、環Aが、式:
【0040】
【化4】

【0041】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0042】
【化5】

【0043】
で示されるベンゼン環であり、Aがアルキル基であり、Aがハロゲン原子であり、Bがトリハロゲノアルキル基であり、Bがトリハロゲノアルキル基であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子であり、Rがテトラヒドロフリル基、N−オキシドピリジル基、アルカノイル基または水酸基で置換されていてもよいアルキル基であり、Xが−CO−であり、mが1であり、Rが水素原子であり、Zが−N(R)−で示される基であり、Rがアルキル基であり、R4aが水素原子またはアルキル基であり、R4bが水素原子またはアルキル基である化合物が好ましい。
【0044】
さらに本発明の化合物において、好ましい化合物としては、以下の(A)〜(S)の中から選ばれる化合物またはその薬理的に許容し得る塩である。
【0045】
(A)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−メチルカルボキサミドピペリジン、
(B)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(4−テトロヒドロピラニルカルボキサミド)ピペリジン、
(C)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−2−イル)カルボキサミドピペリジン、
(D)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−3−イル)カルボキサミドピペリジン、
(E)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−4−イル)カルボキサミドピペリジン、
(F)(3S,4S)−1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボキサミド−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、
(G)(3S,4S)−1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボキサミド−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、
(H)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−ヒドロキシメチルカルボキサミドピペリジン、
(I)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−ヒドロキシメチルカルボキサミドピペリジン、
(J)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)カルボキサミドピペリジン、
(K)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)カルボキサミドピペリジン、
(L)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−(S)−ヒドロキシエチル)カルボキサミドピペリジン、
(M)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−(S)−ヒドロキシエチル)カルボキサミドピペリジン、
(N)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(O)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(P)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(S)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(Q)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(S)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(R)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)カルボキサミドピペリジンおよび
(S)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)カルボキサミドピペリジン。
【0046】
本発明の化合物〔I〕は、遊離の形でも、また薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。
【0047】
本発明の化合物〔I〕の薬理的に許容し得る塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。
【0048】
また、本発明の化合物〔I〕またはその薬理的に許容しうる塩とは、その分子内塩やそれらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含む。
【0049】
本発明の化合物〔I〕は、不斉原子に基づく光学異性体として存在しうるが、本発明はこれらの光学異性体およびその混合物のいずれも含むものである。本発明においては、これら光学異性体の中でも、ピペリジン環の3位(環Aの接続位)がS配置の化合物が好ましく、特に、ピペリジン環の3位(環Aの接続位)がS配置、ピペリジン環の4位がS配置の化合物が好ましい。
【0050】
本発明の化合物〔I〕またはその薬理的に許容し得る塩は、優れたタキキニン受容体拮抗作用、特にSP受容体拮抗作用を有し、哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、スナネズミ、フェレット、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対する、炎症もしくはアレルギー性疾患(例えば、アトピー、皮膚炎、ヘルペス、乾癬、喘息、気管支炎、喀痰、鼻炎、リューマチ関節炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、多発性硬化症、結膜炎、眼炎、膀胱炎など)、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、さらに中枢神経系の疾患〔例えば、精神分裂症、パーキンソン病、うつ病、不安、心身症、モルヒネ依存症、痴呆(例えば、アルツハイマー病など)など〕、消化器疾患[例えば、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ウレアーゼ陽性のラセン状グラム陰性菌(例えば、ヘリコバクター・ピロリなど)に起因する異常(例えば、胃炎、胃潰瘍など)など]、悪心、嘔吐、排尿異常(例えば、頻尿、尿失禁など)、循環器疾患(例えば、狭心症、高血圧、心不全、血栓症など)および免疫異常などの安全な予防、治療薬として有用である。とりわけ、本発明の有効成分である化合物〔I〕またはその薬理的に許容し得る塩は、脳内移行性が高く、且つ毒性発現に繋がる可能性が低く(安全性が高く)、副作用を殆ど示さないため、嘔吐、うつ病などの中枢神経系疾患、頻尿などの排尿異常の予防、治療薬として有用である。
【0051】
本発明の化合物またはその薬理的に許容し得る塩は、例えば、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)254巻、221−227頁(1994年)記載の方法に準じて、ニューロキニン−1受容体結合作用を測定することができ、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)265巻、179−183頁(1994年)記載の方法に準じて、ニューロキニン−1受容体作動誘発に対する作用を測定することができ、また、ジャーナル・オブ・ウロロジー(Journal of Urology)、155巻、1号、355−360頁(1996年)記載の方法に準じて、頻尿抑制作用を測定することができる。
【0052】
本発明の化合物〔I〕およびその薬理的に許容しうる塩は、経口的にも非経口的にも投与することができ、経口もしくは非経口投与に通常用いられる医薬担体を用いて、適当な製剤とすることができる。かかる医薬担体としては、例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)および湿潤剤(ラウリル無水硫酸ナトリウム等)等をあげることができる。また、これら医薬製剤は、経口投与する場合には、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤の如き固形製剤であってもよく、溶液、懸濁液、乳液の如き液体製剤であってもよい。一方、非経口投与する場合には、例えば、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液等を用いて注射剤や点滴剤として、あるいは坐剤等とすることができる。
【0053】
本発明の化合物〔I〕またはその薬理的に許容しうる塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態あるいは疾患の程度によって異なるものの、通常、1日あたりの投与量は、経口投与の場合には、0.01〜20mg/kg、とりわけ0.01〜10mg/kg、非経口投与の場合には、0.01〜10mg/kg、とりわけ0.01〜1mg/kgであるのが好ましい。
〔A法〕
本発明の化合物の一般式〔I〕
【0054】
【化6】

【0055】
(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい水酸基または置換基を有していてもよい複素環式基を表す。
Xは−CO−、−SO−または−SO−で示される基を表す。
mは1または0の整数を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基を表す。)
で示される化合物は、例えば、一般式〔II〕
【0056】
【化7】

【0057】
(式中、環A、環B、R、Z、R、R、R4aおよびR4bは前記と同一意味を有する。)
で示される化合物と一般式〔III〕
−(X)m−OH 〔III〕
(式中、Rは前記と同一意味を有する。)
で示される化合物とを反応させることにより製することができる。
【0058】
この〔A法〕は、以下のようにして実施することができる。
〔A法〕
化合物〔II〕と化合物〔III〕との反応は、縮合剤の存在下、溶媒中で反応させるか、化合物〔II〕と化合物〔III〕の反応性誘導体(酸ハライド、酸無水物、活性アミド、活性エステル、混合酸無水物等)とを、塩基の存在下または非存在下、溶媒中で反応させるか、または、化合物〔II〕と化合物〔III〕の活性エステルとを、縮合剤の存在下、溶媒中で反応させることにより製することもできる。塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセ−7−エン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等を用いることができる。縮合剤としては、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ベンゾトリアゾ−ル−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)、プロパンホスホン酸無水物等を用いることができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えるものでなければいずれのものでも使用することができ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いることができる。本反応は、例えば、−20℃〜60℃、とりわけ5℃〜60℃で好適に進行する。化合物〔III〕の活性エステルとしては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはp−ニトロフェノールとのエステル等を用いることができる。化合物〔III〕の酸ハライドとしては、酸塩化物、酸臭化物等を好適に用いることができる。また化合物〔III〕の活性アミドとしては、イミダゾール等とのアミドを用いることができる。
【0059】
本発明の目的化合物〔I〕は、上記の如くして得られる化合物の基Rを目的とする他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0060】
なお、本発明の原料化合物〔II〕は、例えば、下式化学反応式のようにして製造することができる。
【0061】
【化8】

【0062】
(式中、R51はアルキル基を表し、R71は水素原子またはアミノ基の保護基を表し、Xは脱離基を表し、Xは脱離基を表し、環A、環B、Z、R、R、R、R4aおよびR4bは前記と同一意味を有する。)
つまり、ピリジン化合物〔IV〕をアニリンと縮合して、化合物〔V〕を得、次いでハロゲン化を行うことにより、化合物〔VI〕を得た後、アニリンを脱離して化合物〔VII〕を得る。さらに化合物〔VII〕のカルボキシル基をエステル化するか、または、化合物〔VIII〕を増炭反応に付すか、または、化合物〔IV〕のアシル基をエステル化した後にハロゲン化を行うことにより、化合物〔IX〕を得る。得られる化合物〔IX〕と化合物〔X〕をカップリングするか、化合物〔VI〕と化合物〔X〕をカップリングした後、化合物〔XI〕からアニリンを脱離、次いでエステル化することにより、化合物〔XII〕を得、得られる化合物〔XII〕を還元反応に付し、ついでアミノ基の置換基を導入することにより、化合物〔XIII〕を得る。得られる化合物〔XIII〕のエステル基をカルボキシル基に変換することにより、化合物〔XIV〕を得る。得られた化合物〔XIV〕と化合物〔XV〕とを縮合して、化合物〔XVI〕を得る。得られた化合物〔XVI〕のアミノ基の保護基を脱保護して、化合物〔XVII〕をアミノ化することにより、化合物〔II〕を得る。
【0063】
化合物〔XIV〕は、不斉炭素を有しており、当該不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、例えば、シス体及びトランス体が混合物として得られた場合は、シリカゲルクロマトグラフィー等の常法によりシス体及びトランス体をそれぞれ得ることができる。また、化合物〔XIV〕の光学異性体は、例えば、化合物〔XIII〕のR71が水素原子である化合物または化合物〔XIV〕のラセミ混合物を常法により、光学分割することにより得ることができる。
【0064】
化合物〔XIII〕のR71が水素原子である化合物の場合、光学分割は、例えば、化合物〔XIII〕とN−アシル−光学活性アミノ酸、N−スルホニル−光学活性アミノ酸または光学活性カルボン酸を作用させ、生成する2種のジアステレオマー塩の溶解度差を利用して、一方のジアステレオマー塩を分離・採取することことにより実施することができる。N−アシル−光学活性アミノ酸のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基もしくはベンジルオキシカルボニル基またはN−スルホニル光学活性アミン酸のスルホニル基としては、例えば、トシル基もしくはメシル基が挙げられ、光学活性アミノ酸としては、例えば、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−メチオニン、L−バリン、L−トレオニン、D−フェニルアラニンまたはD−フェニルグリシンが挙げられる。また、光学活性カルボン酸としてはマンデル酸、リンゴ酸または酒石酸誘導体等が挙げられる。当該酒石酸誘導体としては、L−酒石酸ジベンゾイル、L−酒石酸ジ−p−トルオイル、D−酒石酸ジベンゾイル、D−酒石酸ジ−p−トルオイル等が挙げられる。
【0065】
また、化合物〔XIV〕の場合、光学分割は、例えば、化合物〔XIV〕とO−アルキル−光学活性アミノ酸または光学活性アミン誘導体を作用させ、生成する2種のジアステレオマー塩の溶解度差を利用して、一方のジアステレオマー塩を分離・採取することことにより実施することができる。光学活性アミノ酸としては、例えば、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−メチオニン、L−バリン、L−トレオニン、D−フェニルアラニンまたはD−フェニルグリシンが挙げられる。O−アルキル−光学活性アミノ酸のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。光学活性アミン誘導体としては、ブルシン、キニジン、(S)−1−フェネチルアミン、(R)−1−フェネチルアミン、(R)−(−)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−(+)−1−シクロヘキシルエチルアミン等が挙げられる。
【0066】
さらに、本発明の目的化合物および原料化合物の製造に際し、原料化合物ないし各中間体化合物が官能基を有する場合、上記で示した以外にも合成化学の常法により各官能基に適切な保護基を導入し、また、必要がなければ、それら保護基を、適宜、除去してもよい。
【0067】
例えば、本明細書において、アミノ基の保護基としては、通常、反応に付すときにアミノ基を保護するのに用いられる保護基が挙げられるが、具体的には、例えば、tert−ブトキシカルボニル基の如きアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の如きアリールアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0068】
本明細書において、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等、炭素数2〜7の直鎖または分岐鎖のアルケニル基を意味し、好ましくは炭素数2〜5のものを意味する。アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルカノイル基とは、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、tert−ブチルカルボニル基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルカノイル基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等、炭素数2〜7の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を意味し、好ましくは炭素数2〜5のものを意味する。シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等、炭素数3〜8のシクロアルキル基を意味し、好ましくは炭素数3〜6のものを意味する。さらに、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素が挙げられる。
【実施例】
【0069】
実施例1
下記参考例4で得られた(3S,4S)−1−アミノ−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン30mgとトリエチルアミン12μlのジクロロメタン1ml溶液に塩化アセチル5μlを加え、室温で一終夜攪拌した。反応液を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1で展開、ジクロロメタン:エタノール:28%アンモニア水=100:10:1で溶出)で精製することにより、下記第1表記載の(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−メチルカルボキサミドピペリジン12mgを得た。
【0070】
実施例2
下記参考例4で得られた(3S,4S)−1−アミノ−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン45mg、4−テトラヒドロピランカルボン酸17mgおよび1−ヒドロキシベンズトリアゾール24mgのテトラヒドロフラン1ml溶液に1−(3−ヂメチルアミノプロピル)−エチルカルボジイミド塩酸塩34mgを加え、室温で一終夜攪拌した。反応液を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1で展開、ジクロロエタン:エタノール:28%アンモニア水=100:10:1で溶出)で精製することにより、下記第1表記載の(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(4−テトラヒドロピラニルカルボキサミド)ピペリジン19mgを得た。
【0071】
実施例3−19
対応原料化合物を用いて、実施例2と同様に処理することにより、下記第1表および第2表記載の化合物を得た。
【0072】
参考例1
(1)ジイソプロピルアミン22.4mlのテトラヒドロフラン320ml溶液をドライアイス−アセトンバスで−70℃以下に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)100mlを滴下し、同温にて30分間攪拌した。この溶液に3−ブロモピリジン25gのテトラヒドロフラン250ml溶液を4時間かけて滴下した。全て滴下後、さらに−70℃以下で1時間攪拌した。この溶液に表面をよく拭いた後細かく砕いたドライアイス8.8gを加えて1時間攪拌した後、ゆっくり室温へ昇温した。溶媒と過剰の二酸化炭素を全て減圧留去した後、残渣をN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解し、炭酸カリウム27.6gとヨウ化メチル12.6mlを加えて室温で16時間攪拌した。酢酸エチルと重炭酸ナトリウム水溶液を加えて分液、有機層を水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、下記第3表記載の3−ブロモイソニコチン酸メチル13.5gを得た。
【0073】
(2)上記(1)で得られた化合物12gのN,N−ジメチルホルムアミド120ml溶液に4−フルオロ−2−メチルフェニルボロン酸9.3g、炭酸セシウム19.6g、酢酸パラジウム1.12g、トリフェニルホスフィン2.63gを加え70℃で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルと食塩水を加え、不溶物をろ過除去した。ろ液を食塩水と水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、下記第3表記載の3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)イソニコチン酸メチル7.9gを得た。
【0074】
(3)上記(2)で得られた化合物2.5gのメタノール100ml溶液に酸化白金600mgと濃塩酸8mlを加えた。次いで、101kPaの水素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。この溶液に水100mlを加えてセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残った水溶液を炭酸ナトリウムで中和、さらにアンモニア水を加えた後、クロロホルムで2回抽出した。併せた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣のジクロロメタン25ml溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート5gを加え室温で1時間攪拌した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製することにより、下記第3表記載のシス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−メトキシカルボニルピペリジン1.3gを得た。
【0075】
(4)上記(3)で得られた化合物1.3gをメタノール5mlとテトラヒドロフラン5mlに溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液5mlを加えて室温で16時間攪拌した。2M塩酸水溶液で中和した後、クロロホルムで2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を減圧下で乾燥することにより、下記第3表記載のシス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、およびトランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン(シス体:トランス体=56:44)の混合物560mgを得た。
【0076】
(5)トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン84.3gを酢酸エチル2500mlに溶解し、室温で(R)−フェネチルアミン15.1gの酢酸エチル1500ml溶液を1.5時間かけて滴下した。析出した白色塩をろ過、酢酸エチルで2回、ジイソプロピルエーテル200mlとメタノール400mlの混合溶媒で洗浄後、白色塩に飽和クエン酸水溶液を加え、クロロホルムから抽出、飽和食塩水にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥、減圧濃縮することにより、(3R,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン26.3gを得た。上記操作にて得た炉液を併せ、飽和クエン酸水溶液を加え、クロロホルムから抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル2500mlに溶解し、室温で(S)−フェネチルアミン15.1gの酢酸エチル1500ml溶液を1.5時間かけて滴下した。析出した白色塩をろ過、酢酸エチルで2回洗浄後、白色塩に飽和クエン酸水溶液を加え、クロロホルムから抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンから結晶化することにより、下記第4表記載の(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン28.1gを得た。
【0077】
参考例2
(1)(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.7gと(R)−1−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ピペリジン2.72gのN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶液に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩1.92gと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.53gを加え、室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと食塩水を加えて分液し、得られた有機層を重炭酸水素ナトリウム水溶液と水とで洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。この濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−[N−{1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル}−N−メチル]アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.3gを得た。
【0078】
(2)(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−[N−{1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル}−N−メチル]アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン1.2gに4M塩酸の酢酸エチル溶液10mlを加えて1時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣に炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、下記第4表記載の(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N―メチル}アミノカルボニル−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン0.6gを得た。
【0079】
参考例3
対応原料化合物を用いて、参考例2と同様に処理することにより、下記第4表記載の化合物を得た。
【0080】
参考例4
(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン100mgをジクロロメタン2mlに溶解させ、亜硝酸tert−ブチル49μlを加えた混合物を、加熱還流下に一終夜攪拌した。亜硝酸tert−ブチル49μlを追加し、さらに一終夜加熱還流した後、亜硝酸tert−ブチル49μlを追加し、室温にて4時間放置した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を酢酸1ml、およびメタノール1mlに溶解し、氷冷下に亜鉛末107mgを加えた混合物を室温で3時間攪拌した。不溶物を濾別し、メタノールにて洗浄、濾液および洗浄液を併せて減圧濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびジクロロメタンを加えて分液、減圧濃縮することにより、下記第4表記載の未精製の(3S,4S)−1−アミノ−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン67mgを得た。
【0081】
参考例5
対応原料化合物を用いて、参考例4と同様に処理することにより、下記第4表記載の化合物を得た。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の化合物は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する。また、本発明の化合物は、安全性が高く、また吸収性、脳内移行性、代謝安定性、血中濃度、持続性等の点で優れ、このため優れた薬効を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基または置換基を有していてもよい複素環式基を表す。
Xは−CO−、−SO−または−SO−で示される基を表す。
mは1または0の整数を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩。
【請求項2】
Xが−CO−で示される基であり、mが1である請求項1記載の化合物またはその薬理的に許容しうる塩。
【請求項3】
環Aが、式:
【化2】

で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【化3】

で示されるベンゼン環であり、
がアルキル基であり、
がハロゲン原子であり、
がトリハロゲノアルキル基であり、
がトリハロゲノアルキル基であり、
Rが水素原子であり、
がテトラヒドロフリル基、N−オキシドピリジル基、アルカノイル基または水酸基で置換されていてもよいアルキル基であり、
が水素原子、
Zが−N(R)−で示される基であり、
がアルキル基であり、
4aが水素原子またはアルキル基であり、
4bが水素原子またはアルキル基である請求項2記載の化合物またはその薬理的に許容しうる塩。
【請求項4】
以下の(A)〜(S)の中から選ばれる化合物またはその薬理的に許容しうる塩。
(A)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−メチルカルボキサミドピペリジン、
(B)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(4−テトロヒドロピラニルカルボキサミド)ピペリジン、
(C)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−2−イル)カルボキサミドピペリジン、
(D)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−3−イル)カルボキサミドピペリジン、
(E)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(N−オキシドピリジン−4−イル)カルボキサミドピペリジン、
(F)(3S,4S)−1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボキサミド−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、
(G)(3S,4S)−1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルボキサミド−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、
(H)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−ヒドロキシメチルカルボキサミドピペリジン、
(I)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−ヒドロキシメチルカルボキサミドピペリジン、
(J)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)カルボキサミドピペリジン、
(K)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)カルボキサミドピペリジン、
(L)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−(S)−ヒドロキシエチル)カルボキサミドピペリジン、
(M)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−(S)−ヒドロキシエチル)カルボキサミドピペリジン、
(N)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(O)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(R)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(P)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(S)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(Q)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−(S)−ヒドロキシプロピル)カルボキサミドピペリジン、
(R)(3S,4S)−4−{N−1−(R)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)カルボキサミドピペリジンおよび
(S)(3S,4S)−4−{N−1−(S)−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)エチル−N−メチル}アミノカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)カルボキサミドピペリジン。
【請求項5】
一般式〔II〕
【化4】

(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
Rは水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で互いに結合してアルキレン基を形成している基を表す。)
で示される化合物と一般式〔III〕
−(X)m−OH 〔III〕
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい水酸基または置換基を有していてもよい複素環式基を表す。
Xは−CO−、−SO−または−SO−で示される基を表す。
mは1または0の整数を表す。)
で示される化合物とを縮合剤の存在下反応させ、次いで所望により薬理的に許容し得る塩とすることを特徴とする一般式〔I〕
【化5】

(式中、環A、環B、R、R、X、m、R、Z、R4aおよびR4bは前記と同一意味を有する。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容し得る塩の製法。

【公開番号】特開2007−161674(P2007−161674A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362537(P2005−362537)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】