説明

フィルム貼付装置およびフィルム貼付方法

【課題】フィルムの貼付時にフィルムがウェーハのノッチ等に残存するのを防止する。
【解決手段】フィルム貼付装置は、フィルム(3)を繰出す繰出手段(21)と、繰出手段により繰出されたフィルムに、ウェーハ(20)のノッチ(29)またはオリエンテーションフラットの少なくとも一部分に応じた形状の開口部(46)を形成する開口部形成手段(40)と、開口部形成手段によりフィルムに形成された開口部にウェーハのノッチまたはオリエンテーションフラットの少なくとも一部分を位置決めする位置決め手段(36)と、位置決め手段により位置決めされたウェーハにフィルムを貼付ける貼付手段(24)と、を具備する。なお、開口部はフィルムおよび該フィルムに貼付けられたライナの両方に形成されるのが好ましい。さらに、開口部形成手段により生じたフィルムの一部分を吸引して回収するのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護フィルムなどのフィルムをウェーハに貼付けるフィルム貼付方法およびこの方法を実施するフィルム貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、ウェーハが年々大型化すると共に、実装密度向上の観点からウェーハが薄葉化する傾向がある。ウェーハを薄葉化するために、ウェーハの表面を吸着テーブルに吸着させた状態でウェーハの裏面を研削するバックグラインド(裏面研削)が行われている。このバックグラインドによりウェーハの厚さは例えば25〜50マイクロメートルにまで低下する。
【0003】
ウェーハ表面に形成された素子を保護するために、バックグラインドを行う前においては、ウェーハの表面に表面保護フィルムを貼付けている。特許文献1においては、フィルムを貼付けた後で、切断工具をウェーハの周囲に沿って傾斜して移動させることにより、表面保護フィルムをウェーハから切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3303294号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、公知であるように、ウェーハの周囲には、位置合わせのためのノッチが形成されている。そして、通常は、切断工具はノッチよりもかなり大きい。従って、特許文献1に記載されるように切断工具をウェーハの周囲に沿って単に移動させると、ノッチの箇所にはフィルムが残存することになる。
【0006】
そのようなウェーハを裏面研削し、その後の洗浄が不十分である場合には、ウェーハの研削屑がスラッジとして、ノッチ内に残存したフィルムに固着することがある。ノッチはウェーハを位置合わせする指標として使用されるので、ウェーハの位置合わせ作業を行えないことになりうる。
【0007】
また、裏面研削後にウェーハを十分に洗浄した場合であっても、フィルムの透過率が比較的小さい場合には、位置合わせ用のセンサがノッチの縁部を良好に検出できないこともある。そのような場合には、ウェーハを安定して位置合わせするのは困難になる。
【0008】
さらに、特許文献1に開示されるような切断工具を使用した場合には、フィルムの切断時にフィルムが微小な切り屑として生ずることがある。ウェーハは裏面研削により脆弱になるので、後工程において微小な切り屑が異物となってウェーハを破損させたり、ウェーハ内部にクラックを生じさせたりすることにもなりかねない。
【0009】
また、熱線またはレーザを用いてノッチの周囲を切込むことも可能である。しかしながら、これら熱線等を使用した場合には、フィルムが溶融して、ノッチの縁部に球状に残存することになる。そのようなフィルムの球状溶融物は、同様に異物となってウェーハの破損またはクラックの発生を引き起こしうる。さらに、ウェーハにオリエンテーションフラットが形成されている場合であっても、これら前述した問題は同様に生じる可能性がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ウェーハのノッチまたはオリエンテーションフラット(以下、「ノッチ等」と呼ぶ)にフィルムが残存するのを防止すると共に、微小な切り屑および球状溶融物を生じさせることのない、フィルム貼付方法およびこの方法を実施するフィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、フィルムを繰出す繰出手段と、該繰出手段により繰出された前記フィルムに、ウェーハのノッチまたはオリエンテーションフラットの少なくとも一部分に応じた形状の開口部を形成する開口部形成手段と、該開口部形成手段により前記フィルムに形成された前記開口部に前記ウェーハの前記ノッチまたはオリエンテーションフラットの前記少なくとも一部分を位置決めする位置決め手段と、該位置決め手段により位置決めされた前記ウェーハに前記フィルムを貼付ける貼付手段と、を具備するフィルム貼付装置が提供される。
【0012】
すなわち1番目の発明においては、開口部形成手段によってノッチ等に応じた形状の開口部をフィルムに形成している。つまり、フィルムはノッチ等の箇所においては予め除去されているので、フィルムがノッチに残存することはない。従って、後工程においてウェーハの位置合わせが困難になるのを防止できる。また、熱を使用していないので、フィルムが球状溶融物になることも避けられる。
【0013】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記開口部形成手段が前記フィルムを打抜くパンチおよびダイを含む。
すなわち2番目の発明においては、パンチを使用しているので、微小な切り屑が発生するのを防止できる。
【0014】
3番目の発明によれば、2番目の発明において、さらに、前記パンチを加熱する加熱手段を含む。
すなわち3番目の発明においては、比較的厚いまたは比較的硬質なフィルムであっても、フィルムを容易に切断することができる。
【0015】
4番目の発明によれば、2番目または3番目の発明において、さらに、前記パンチにより打抜かれた前記フィルムの一部分を前記パンチを通じて吸引する吸引手段を含む。
すなわち4番目の発明においては、切断されたフィルムを吸引手段によって回収している。従って、後工程においてフィルムの一部分が微小な切り屑になって、ウェーハを破損させたり、ウェーハ内部にクラックを生じさせたりすることを回避できる。
【0016】
5番目の発明によれば、2番目から4番目のいずれかの発明において、前記パンチが固定されている。
すなわち5番目の発明においては、打抜き精度を高めることができる。
【0017】
6番目の発明によれば、2番目から4番目のいずれかの発明において、前記パンチが前記フィルムの長さ部分に沿って移動可能であるようにした。
すなわち6番目の発明においては、フィルム上における打抜き箇所の精度を高めることができる。
【0018】
7番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記繰出手段によって前記フィルムは該フィルムのライナと一緒に繰出されており、前記開口部形成手段によって前記開口部は前記フィルムおよび前記ライナの両方に形成されるようになっており、さらに、前記フィルムを前記ウェーハに貼付ける前に、前記ライナを前記フィルムから剥離する剥離手段を具備する。
すなわち7番目の発明においては、開口部を形成するときには、フィルムとライナ(セパレータ)とが一体化しているので、フィルムの剛性が比較的高くなっている。従って、位置ズレすることなしに、開口部をフィルムに確実に形成することができる。また、この場合には、フィルムの粘着層が被覆されているので、切断されたフィルムを容易に回収することができる。
【0019】
8番目の発明によれば、フィルムを繰出し、繰出された前記フィルムに、ウェーハのノッチまたはオリエンテーションフラットの少なくとも一部分に応じた形状の開口部を形成し、前記フィルムに形成された前記開口部に前記ウェーハの前記ノッチまたはオリエンテーションフラットの前記少なくとも一部分を位置決めし、位置決めされた前記ウェーハに前記フィルムを貼付けるフィルム貼付方法が提供される。
【0020】
すなわち8番目の発明においては、ノッチ等に応じた形状の開口部をフィルムに形成している。つまり、フィルムはノッチ等の箇所から予め除去されているので、フィルムがノッチに残存することはない。従って、後工程において、ウェーハの位置合わせが困難になるのを避けられる。また、熱を使用していないので、フィルムが球状溶融物になることも避けられる。
【0021】
9番目の発明によれば、8番目の発明において、前記フィルムは該フィルムのライナと一緒に繰出されており、前記開口部は前記フィルムおよび前記ライナの両方に形成されるようになっており、前記フィルムを前記ウェーハに貼付ける前に、前記ライナを前記フィルムから剥離することをさらに含む。
すなわち9番目の発明においては、開口部を形成するときには、フィルムとライナとが一体化しているので、フィルムの剛性は比較的高くなっている。従って、フィルムが位置ズレすることなしに、開口部をフィルムに確実に形成することができる。また、この場合には、フィルムの粘着層が被覆されているので、切断されたフィルムを容易に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)本発明に基づくフィルム貼付装置の第一の側面図である。(b)本発明に基づくフィルム貼付装置の頂面図である。
【図2】(a)本発明に基づくフィルム貼付装置の第一の斜視図である。(b)本発明に基づくフィルム貼付装置の第二の斜視図である。
【図3】上方パンチ部の拡大断面図である。
【図4】(a)ウェーハに形成されたノッチの拡大図である。(b)ウェーハの拡大図である。
【図5】(a)本発明に基づくフィルム貼付装置の第三の斜視図である。(b)本発明に基づくフィルム貼付装置の第四の斜視図である。
【図6】(a)本発明に基づくフィルム貼付装置の第五の斜視図である。(b)本発明に基づくフィルム貼付装置の第六の斜視図である。
【図7】本発明に基づくフィルム貼付装置の第二の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)および図1(b)は本発明に基づくフィルム貼付装置のそれぞれ側面図および頂面図である。図1(a)に示されるように、本発明に基づくフィルム貼付装置10はフィルム、例えば表面保護フィルム3を繰出す繰出ロール21と、表面保護フィルム3を巻取る巻取ロール28とを含んでいる。
【0024】
さらに、複数のガイドロール22、23、25〜27がこれら繰出ロール21と巻取ロール28との間に配置されている。図示されるように、ガイドロール23とガイドロール25との間においては、表面保護フィルム3は概ね水平に繰出されている。さらに、表面保護フィルム3をウェーハ20に貼付ける貼付ロール24がガイドロール23とガイドロール25との間に配置されている。
【0025】
通常は表面保護フィルム3はライナ4に貼付けられており、表面保護フィルム3は繰出ロール21からライナ4と一緒に繰出される。ライナ4はガイドロール23とガイドロール25との間で表面保護フィルム3から剥離され、巻取ロール31に巻取られる。図1(a)においては、ライナ4を巻取ロール31に案内する複数のガイドロール32〜35が配置されている。これらのうちガイドロール34、35は表面保護フィルム3の長さ部分に沿って一体的に移動可能である。これらガイドロール34、35は表面保護フィルム3からライナ4を剥離する剥離ロールとしての役目を果たす。
【0026】
さらに、図1(a)および図1(b)においては、表面保護フィルム3およびライナ4に開口部を一体的に形成する開口部形成ユニット40が配置されている。開口部形成ユニット40については後述する。
【0027】
図1(b)においては、複数のウェーハ20を収容する第一カセット11および第二カセット12が示されている。フィルム貼付装置10のロボット15は、一つのウェーハ20を第一カセット11から取出して、テーブル36上に載置する。次いで、表面保護フィルム3がウェーハ20に貼付けられると、ウェーハ20はロボット15によって第二カセット12に収容される。そのようなロボット15の構成および動作は公知であるので、詳細な説明を省略する。さらに、図1(b)においてはウェーハ20をx方向、y方向およびθ方向にアライメントするプリアライナ16が示されている。
【0028】
図2(a)および図2(b)はそれぞれフィルム貼付装置の第一および第二の斜視図である。図2(a)等に示されるように、開口部形成ユニット40は表面保護フィルム3よりも上方に位置する上方パンチ部41と、表面保護フィルム3よりも下方において上方パンチ部41に対応して位置する下方ダイ取付部材44とを含んでいる。
【0029】
上方パンチ部41および下方ダイ取付部材44は表面保護フィルム3の長さ部分に対して垂直に、且つ、表面保護フィルム3の幅を越えて延びている。さらに、図示されるように、上方パンチ部41は表面保護フィルム3に向かって延びるパンチ42をその中央部に備えている。パンチ42は表面保護フィルム3および/またはそのライナ4を打抜く役目を果たす。また、下方ダイ取付部材44は、パンチ42に対応する下方ダイ45を備えている。
【0030】
本発明においてはパンチ42が表面保護フィルム3等を打抜くようにしており、従って、切断工具を用いる場合に発生しうる微小な切り屑が生じることはない。また、特定の表面保護フィルム3を用いる場合を除いて、フィルム3に熱を加えることなしにフィルム等を打抜いているので、表面保護フィルム3が球状溶融物になることもなく、従って、ウェーハ20が破損することも避けられる。
【0031】
後述するように、これら上方パンチ部41および下方ダイ取付部材44は表面保護フィルム3の長さ部分に沿って一体的に移動可能である。つまり、開口部形成ユニット40の位置を微調整できるので、本発明においては、上方パンチ部41のパンチ42による表面保護フィルム3等の打抜き精度を高めることができる。
【0032】
また、図示しない実施形態においては、これら上方パンチ部41および下方ダイ取付部材44が固定されていてもよい。この場合には、表面保護フィルム3等における打抜き箇所の精度を高めることが可能となる。
【0033】
図3は上方パンチ部の拡大断面図である。図3に示されるように、上方パンチ部41およびパンチ42は中空構造であり、互いに連通している。図3においては、下方ダイ取付部材44の一端44aは開放しており、他端44bは閉鎖されている。図示されるように、一端44aは吸引手段51、例えば真空源に接続されている。
【0034】
従って、パンチ42により穿孔された表面保護フィルム3および/またはライナ4の一部分は下方ダイ45および下方ダイ取付部材44の内部空間を通って一端44aから流出する。言い換えれば、本発明においては、穿孔された表面保護フィルム3等は吸引手段51によって回収される。
【0035】
このため、本発明においては、表面保護フィルム3の一部分等が微小な切り屑になって、ウェーハ20と表面保護フィルム3との間に介在することはない。従って、後工程である裏面研削時に、そのような切り屑がウェーハ20を破損させたり、ウェーハ20内部にクラックを生じさせたりすることも回避される。なお、図示しない実施形態においては、そのような吸引手段51を下方ダイ取付部材44の一端44aおよび他端44bの両方に接続するようにしてもよい。
【0036】
また、図3に示される実施形態においては、加熱手段52がパンチ42に接続されている。この加熱手段52によってパンチ42は所望の温度に加熱される。これにより、切断し難い表面保護フィルム3、例えば比較的厚いフィルムまたは比較的硬質なフィルムであっても、容易に切断することが可能である。なお、加熱手段52は必ずしも使用する必要はなく、表面保護フィルム3等の種類に応じて使用される。
【0037】
さらに、図3に示されるように、冷却手段53がパンチ42に接続されている。パンチ42を連続して使用すると、パンチ42が高温になってフィルムがいくぶん溶融し、それにより、表面保護フィルム3およびその粘着剤がパンチ42、下方ダイ45などに付着する可能性がある。そのような場合には、冷却手段53によってパンチ42を冷却することによって、表面保護フィルム3を良好に打抜き続けることが可能になり、また打抜かれたフィルムがパンチ42、下方ダイ45、下方ダイ44に付着するのを防止できる。
【0038】
図4(a)はウェーハに形成されたノッチの拡大図である。図4(a)において破線A1で示されるように、パンチ42の断面は、ウェーハ20のノッチ29の形状に対応している。あるいは、破線A2により示されるように、パンチ42の断面がノッチ29の形状に部分的にのみ対応していてもよい。さらに、パンチ42の断面はウェーハ20のノッチ29よりもわずかながら大きくてもよい(破線A3)。なお、パンチ42の断面は丸形に限られず、楕円形であってもよい。
【0039】
さらに、図4(b)はウェーハの拡大図である。図4(b)および図1(b)に示されるように、表面保護フィルム3の貼付時には、ウェーハ20に対応した形状の開口部を備えた天板37がウェーハ20の周りに配置される。天板37は、テーブル36と一体的に動作可能である。また、天板37が配置されると、天板37の頂面はウェーハ20の表面と同一平面になるものとする。なお、簡潔にする目的で、天板37は図2等には示していない。
【0040】
以下、図1(a)および図2等を参照して、本発明のフィルム貼付装置10の動作について説明する。一つのウェーハ20がロボット15により第一カセット11から取出され、プリアライナ16によりx方向、y方向およびθ方向(図1(b)を参照されたい。)のアライメントが行われる。次いで、ウェーハ20はロボット15によってテーブル36上に載置される。これにより、ウェーハ20のノッチ29は、x方向においてウェーハ20の中心に位置するようになる。次いで、図2(a)に示されるように、繰出ロール21から繰出された表面保護フィルム3がガイドロール23とガイドロール25との間に延ばされる。
【0041】
さらに、表面保護フィルム3のライナ4がガイドロール35から剥離されて巻取ロール31に巻取られる。従って、図2等においては、ガイドロール35よりも右方においては表面保護フィルム3はライナ4と一体的になっている。そして、ガイドロール35よりも左方においては表面保護フィルム3はそのライナ4が剥離されて粘着面が露出した状態になっている。
【0042】
次いで、図2(a)に示されるように、開口部形成ユニット40の上方パンチ部41を矢印Z1方向に移動させて、パンチ42により表面保護フィルム3等を打抜く。これにより、表面保護フィルム3およびライナ4に開口部46(図2(b)を参照されたい。)が形成される。再び図4(a)を参照して分かるように、パンチ42により形成された開口部46はノッチ29の形状に対応している。
【0043】
図2(b)に示される実施形態においては、開口部46は表面保護フィルム3およびライナ4の両方に形成される。表面保護フィルム3がライナ4と一体的である場合には、それらの剛性は比較的高くなっている。従って、この場合には、表面保護フィルム3のみに開口部を形成する場合と比較して、位置ズレを起こすことなしに、開口部46を表面保護フィルム3等に確実に形成することが可能となる。また、前述したように、打抜かれた表面保護フィルム3およびライナ4の一部分は吸引手段51(図3を参照されたい)によって一端44aを通じて回収される。この場合には、表面保護フィルム3の粘着層がライナ4により被覆されているので、打抜かれた表面保護フィルム3等が下方ダイ取付部材44の内部等に付着することはなく、打抜かれたフィルム3を安定して回収することができる。
【0044】
次いで、図2(b)に示されるように、開口部形成ユニット40をガイドロール23に向かって矢印Y1方向に移動させる。その後、図5(a)に示されるように、ライナ4用のガイドロール35、34をガイドロール33に向かって矢印Y2方向に一体的に移動させる。これにより、表面保護フィルム3のライナ4が剥離され、ガイドロール25とガイドロール23との間においては、表面保護フィルム3の粘着面(下面)が露出するようになる。
【0045】
次いで、テーブル36をx方向およびy方向に再度調節して(図5(b))、テーブル36を表面保護フィルム3に向かって矢印Z2方向に移動させる(図6(a))。これにより、ウェーハ20のノッチ29が表面保護フィルム3の開口部46に対応するように、ウェーハ20が位置決めされる。
【0046】
その後、図6(b)に示されるように、貼付ロール24をガイドロール23に向かって矢印Y3方向に移動させる。これにより、表面保護フィルム3はノッチ29から連続的にウェーハ20に貼付けられる。
【0047】
図7は本発明に基づくフィルム貼付装置の第二の側面図である。フィルム貼付装置10は切断ユニット60を備えている。切断ユニット60は通常はプリアライナ16の上方などに位置しており、必要とされる場合にテーブル36上まで移動されるものとする。
【0048】
図7から分かるように、表面保護フィルム3の貼付が完了すると、切断ユニット60の鉛直軸部62周りにカッタ61を周回させ、それにより、表面保護フィルム3をウェーハ20の外形に沿って切断する。その結果、表面保護フィルム3にはウェーハ20の外形に応じた孔が形成されるようになる。その後、切断ユニット60を元位置まで後退させる。
【0049】
次いで、巻取ロール28を使用して、孔が形成された表面保護フィルム3を巻取り、テーブル36を下方に移動させる。最終的に、ロボット15によって、ウェーハ20はテーブル36から取出されて第二カセット12に収容される。
【0050】
このように本発明においては、開口部46が予め形成された表面保護フィルム3をウェーハ20に貼付けるようにしている。従って、表面保護フィルム3を貼付したときからウェーハ20のノッチ29には表面保護フィルム3は存在していない。このため、後工程である裏面研削時にスラッジがノッチ29に残存することはなく、また、後工程において位置合わせ用センサによりノッチ29の検出が困難になることもない。
【0051】
このような構成であるために、表面保護フィルム3の貼付後に切断工具などでノッチ29内の表面保護フィルム3を除去する必要はない。従って、パンチ42によって表面保護フィルム3等を打抜く場合には、切断工具を用いる従来技術と比較して、表面保護フィルム3の貼付時間全体が短くなるのが分かるであろう。さらに、表面保護フィルム3の貼付後に切断工具を使用してウェーハ20に力を加える必要もなく、それにより、ウェーハ20を破損させたり、ウェーハ20内部にクラックを生じさせたりすることも回避される。このことは、後工程である裏面研削時においてウェーハ20に掛かる負担を軽減させることにもつながる。
【符号の説明】
【0052】
3 表面保護フィルム
4 ライナ
10 フィルム貼付装置
11 第一カセット
12 第二カセット
15 ロボット
16 プリアライナ
20 ウェーハ
21 繰出ロール
22、23、25〜27 ガイドロール
24 貼付ロール
28 巻取ロール
29 ノッチ
31 巻取ロール
34、35 ガイドロール(剥離手段)
36 テーブル(位置決め手段)
37 天板
40 開口部形成ユニット
41 上方パンチ部
42 パンチ
44 下方ダイ取付部材
44a 一端
44b 他端
45 下方ダイ
46 開口部
51 吸引手段
52 加熱手段
60 切断ユニット
61 カッタ
62 鉛直軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを繰出す繰出手段と、
該繰出手段により繰出された前記フィルムに、ウェーハのノッチの少なくとも一部分に応じた形状の貫通孔を形成する貫通孔形成手段と、
該貫通孔形成手段により前記フィルムに形成された前記貫通孔に前記ウェーハの前記ノッチの前記少なくとも一部分を位置決めする位置決め手段と、
該位置決め手段により位置決めされた前記ウェーハに前記フィルムを貼付ける貼付手段と、を具備するフィルム貼付装置。
【請求項2】
前記貫通孔形成手段が前記フィルムを打抜くパンチおよびダイを含む請求項1に記載のフィルム貼付装置。
【請求項3】
さらに、前記パンチを加熱する加熱手段を含む請求項2に記載のフィルム貼付装置。
【請求項4】
さらに、前記パンチにより打抜かれた前記フィルムの一部分を前記パンチを通じて吸引する吸引手段を含む請求項2または3に記載のフィルム貼付装置。
【請求項5】
前記パンチが前記フィルムの長さ方向に対して固定されている請求項2から4のいずれか一項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項6】
前記パンチが前記フィルムの長さ部分に沿って移動可能であるようにした請求項2から4のいずれか一項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項7】
前記繰出手段によって前記フィルムは該フィルムのライナと一緒に繰出されており、前記貫通孔形成手段によって前記貫通孔は前記フィルムおよび前記ライナの両方に形成されるようになっており、
さらに、前記フィルムを前記ウェーハに貼付ける前に、前記ライナを前記フィルムから剥離する剥離手段を具備する請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項8】
フィルムを繰出し、
繰出された前記フィルムに、ウェーハのノッチの少なくとも一部分に応じた形状の貫通孔を形成し、
前記フィルムに形成された前記貫通孔に前記ウェーハの前記ノッチの前記少なくとも一部分を位置決めし、
位置決めされた前記ウェーハに前記フィルムを貼付けるフィルム貼付方法。
【請求項9】
前記フィルムは該フィルムのライナと一緒に繰出されており、前記貫通孔は前記フィルムおよび前記ライナの両方に形成されるようになっており、
前記フィルムを前記ウェーハに貼付ける前に、前記ライナを前記フィルムから剥離することをさらに含む請求項8に記載のフィルム貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−33970(P2012−33970A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239347(P2011−239347)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2007−181105(P2007−181105)の分割
【原出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】