説明

フェニル酢酸誘導体、その製造方法および用途

一般式(I)(I)(式中、RおよびRは水素原子、C1〜8アルキル基等;Rは1乃至3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、フェニル基;Rは水素原子等;RおよびRは水素原子、C1〜8アルキル基等;Xは硫黄原子または酸素原子等;環Aは置換基を有していてもよい環状基を表わす。)で示される化合物、またはその塩に関する。一般式(I)で示される本発明化合物は、毒性が極めて低いため、安全な医薬品として有用であり、かつPPARδアゴニスト作用を有することより、糖・脂質代謝異常疾患、高血圧、循環器系疾患等の予防および/または治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、高脂血症等の治療に有用なフェニル酢酸誘導体、その製造方法および用途に関する。
【背景技術】
最近、脂肪細胞分化マーカー遺伝子の発現誘導にかかわる転写因子の研究において、核内受容体であるペルオキシソーム増殖薬活性化受容体(eroxisome roliferator ctivated eceptor;以下、PPARと略記する。)が注目されている。PPARは、さまざまな動物種からcDNAがクローニングされ、複数のアイソフォーム遺伝子が見出され、哺乳類ではα、δ、γの3種類が知られている(J.Steroid Biochem.Mol.Biol.,51,157(1994);Gene Expr.,,281(1995);Biochem Biophys.Res.Commun.,224,431(1996);Mol.Endocrinol.,,1634(1992)参照)。さらに、γ型は主に脂肪組織、免疫細胞、副腎、脾臓、小腸で、α型は主に脂肪組織、肝臓、網膜で発現し、δ型は主に組織特異性が見られず普遍的に発現していることが知られている(Endocrinology.,137,354(1996)参照)。
ところで、ピオグリタゾン、シグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン等のチアゾリジン誘導体は、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に対する治療薬として知られており、糖尿病患者の高血糖を是正するために用いられる血糖降下薬である。また、高インスリン血症の是正または改善、耐糖能の改善、また血清脂質の低下に効果を示し、インスリン抵抗性改善薬として極めて有望であると考えられている化合物である。
また、これらのチアゾリジン誘導体の細胞内標的蛋白質の1つがPPARγであり、PPARγの転写活性を増大させることが判明している(Endocrinology.,137,4189(1996);Cell.,83,803(1995);Cell.,83,813(1995);J.Biol.Chem.,270,12953(1995)参照)。従って、PPARγの転写活性を増大させるPPARγ活性化薬(アゴニスト)は、血糖降下薬および/または脂質低下薬として有望であると考えられる。また、PPARγアゴニストはPPARγ蛋白自身の発現を亢進することが知られていることから(Genes & Dev.,10,974(1996)参照)、PPARγを活性化するのみならずPPARγ蛋白自身の発現を増加させる薬剤も臨床的に有用と考えられる。
核内受容体PPARγは脂肪細胞分化に関わっており(J.Biol.Chem.,272,5637(1997);Cell.,83,803(1995)参照)、これを活性化できるチアゾリジン誘導体は脂肪細胞分化を促進することが知られている。最近、ヒトにおいて、チアゾリジン誘導体が体脂肪を増生させ、体重増加、肥満を惹起するとの報告がなされた(Lancet.,349,952(1997)参照)。これらのことからPPARγの作動薬(アゴニスト)、また蛋白自身の発現を増加できるPPARγ蛋白発現促進薬は、血糖低下作用、脂質低下作用を有していることから、例えば、糖・脂質代謝異常疾患(例えば、糖尿病、高脂血症(高コレステロール血症、低HDL(高密度リポ蛋白)血症、高LDL(低密度リポ蛋白)血症、高TG(トリグリセライド)血症等)、動脈硬化症、心血管疾患、肥満症、メタボリックシンドローム等)、高血圧、循環器系疾患等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
また、フィブラート系化合物、例えばクロフィブラートは脂質低下薬として知られているが、フィブラート系化合物の細胞内標的蛋白質の1つがPPARαであることも判明している(Nature.,347,645(1990);J.Steroid Biochem.Mol.Biol.,51,157(1994);Biochemistry.,32,5598(1993)参照)。これらのことから、PPARα作動薬は、脂質低下作用を有していると考えられ、高脂血症等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
これ以外にも、PPARαが関与する生物活性として、抗肥満作用を有していることが報告された(WO97/36579号パンフレット参照)。また、PPARαの作動薬によって脂質(コレステロール、HDL、LDLおよびトリグリセライド等)の代謝促進作用が報告された(J.Lipid Res.,39,17(1998)参照)。すなわち、高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール上昇作用、低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールや超低密度リポ蛋白(VLDL)コレステロール、さらにはトリグリセドの低下作用を有していることが報告されている。フィブラート系化合物の1つ、ベザフィブラートによって血中脂肪酸組成や高血圧の改善、インスリン抵抗性の改善が認められたと報告されている(Diabetes.,46,348(1997)参照)。従って、PPARαを活性化するアゴニストやPPARα蛋白自身の発現を亢進するPPARα蛋白発現促進薬は、脂質低下作用を有していることから、例えば、脂質代謝異常疾患(例えば、高脂血症(高コレステロール血症、低HDL血症、高LDL血症、高トリグリセライド血症等)、動脈硬化症、心血管疾患、肥満症、メタボリックシンドローム等)、高血圧、循環器系疾患等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。
一方、PPARδは、ときにPPARβ、あるいはヒトの場合にはNUC1とも称されている。これまでにPPARδの生物活性として、hNUC1B(ヒトNUC1と1アミノ酸異なるPPARサブタイプ)がヒトPPARαや甲状腺ホルモンレセプターの転写活性を抑制できることが示されている(WO96/01430号パンフレット参照)。また、最近では、PPARδ蛋白質に高い親和性を有し、PPARδを有意に活性化する化合物(アゴニスト)が見出され、さらにそれらの化合物がHDL(高密度リポ蛋白)コレステロール上昇作用、並びに非HDLコレステロール低下作用を有していることが報告された(WO97/28149号パンフレット;WO01/00603号パンフレット、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.98,5306(2001)参照)。マクロファージは酸化LDLを取り込み、泡沫化が起こり、これが血管内皮に沈着して脂質代謝疾患を引き起こすことが判明している。従って、PPARδを活性化できるアゴニストは、例えば、HDLコレステロール上昇作用、LDL低下作用によって泡沫細胞が減少し、例えば、脂質代謝異常疾患(例えば、高脂血症(高コレステロール血症、低HDL血症、高LDL血症、高TG血症等)、動脈硬化症、心血管疾患、肥満症、メタボリックシンドローム等)、高血圧、循環器系疾患等の予防および/または治療剤として有用であることが期待される。最近、PPARδの活性化は、特に骨格筋において脂肪酸酸化を亢進することが報告されている(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100,15924(2003)参照)。これも脂質代謝異常の改善や肥満症の治療に対してPPARδアゴニストが有用であることを示している。
脂質代謝異常に対する作用だけでなく、PPARδの活性化はケラチノサイトの細胞分化を促し、生体のバリヤー機能としての皮膚構造の保持に関わっている。PPARδ欠損マウスではTPA(12−O−tetradecanoylphorbol−13−acetate)処理による皮膚の過増殖性変化が見られる(Mol.Cell Biol.,20,5119(2000)参照)。また、TPAによる皮膚炎症に対して抗炎症作用を示した(J.Invest.Dermatol.,122,971(2004)参照)。従って、PPARδアゴニストは皮膚炎症性疾患(例えば、皮膚炎(アトピー性皮膚炎等)、皮膚紅痛症、掻痒症等)の予防および/または治療剤として有用であり、創傷(例えば、火傷、外傷等)の治療促進薬としての効果も期待される。また、PPARδ欠損マウスでは脳梁のミエリン被覆異常が観察されており(Mol.Cell Biol.,20,5119(2000)参照)、PPARδアゴニストはある種の神経疾患の予防および/または治療剤として有用である可能性がある。
しかし、PPARγアゴニストのうち、一部の薬物では肝障害が報告されており、医薬品としての使用には注意を要する。また、副作用である肝毒性はチアゾリジン構造に由来するとの推測もされているが、具体的にどのような構造の化合物が肝毒性を回避できるかは報告がなく、PPARアゴニストを開発する上で毒性の回避を可能とする構造を探索することは非常に有用である。
一方、一般式(A)

(式中、A1AはC1〜4アルキレン基等;A2Aは−O−基;A3AはCH基等;nAは1〜5;R1Aはハロゲン原子、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基等;R2AはC1〜4アルキル基、トリハロメチル基等;Cyc1は1,3−チアゾリレン基、1,3−オキサゾリレン基等;Cyc2は炭素環基、ヘテロ環基;R3Aは水素原子、C1〜8アルキル基等;R4Aは−A4A−CR8A9A−COOR7A基等(基中、A4Aは単結合;R7A、R8A、R9Aは水素原子、C1〜4アルキル基)を表わす。)で示される化合物がPPAR受容体制御薬として有用であることが知られている(WO99/46232号パンフレット参照)。
【発明の開示】
本発明の課題は、高脂血症等の予防および/または治療剤等として有用であり、かつ副作用が軽減された安全なPPARアゴニストを開発することにある。
前記課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、前記一般式(A)で示される化合物のうち、以下に示す一般式(I)で示される化合物が極めて低毒性であり、特に肝毒性を回避可能であることを見出し、発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.一般式(I)

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、C1〜8アルキル基、ハロゲン原子、C1〜4アルコキシ基、ニトロ基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、トリハロメチルチオ基、シアノ基、C1〜4アルキルチオ基、またはNR基(基中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、またはC1〜4アルキル基を表わす。)を表わし、Rは1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、またはフェニル基を表わし、Rは水素原子、またはC1〜8アルキル基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、またはC1〜4アルキル基を表わすか、またはRとRは隣接する炭素原子と一緒になって炭素環を形成してもよく、Xは硫黄原子、酸素原子または置換基を有していてもよい窒素原子を表わし、環Aは置換基を有していてもよい環状基を表わす。)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグ、
2.環Aで示される置換基を有していてもよい環状基が、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル基、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、4−フェニルピペリジン−1−イル基、4−フェニルピペラジン−1−イル基、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル基、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル基、または3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル基である前項1記載の化合物、
3.環Aで示される置換基を有していてもよい環状基が、4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル基、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、または3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル基である前項2記載の化合物、
4.(1)[3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸、(2)[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(3)[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(4)[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(5)(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−イソプロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸、(6)[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(7)(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸、(8)[2−フルオロ−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸、(9)(2−フルオロ−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸、(10)(3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸、(11)(3−{2−[2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−2−フルオロフェニル)酢酸、(12)[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−2−フルオロフェニル]酢酸、または(13)(3−{2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸である前項1記載の化合物、
5.前項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグを含有してなる医薬組成物、
6.PPAR介在性疾患の予防および/または治療剤である前項5記載の医薬組成物、
7.PPARがPPARδである前項6記載の医薬組成物、
8.PPARδ介在性疾患が高脂血症または肥満症である前項7記載の医薬組成物、
9.前項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと、MTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレンシンセターゼ阻害薬、フィブラート系薬剤、ACAT阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害薬、LDL受容体活性化薬、LDL受容体発現増強薬、膵リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、およびコレステロールエステル転送蛋白阻害薬から選択される1種以上とを組み合わせてなる医薬、
10.前項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするPPAR介在性疾患の予防および/または治療方法、および
11.PPAR介在性疾患の予防および/または治療剤を製造するための前項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの使用に関する。
、RおよびRで示されるC1〜8アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基が挙げられる。
およびRで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
およびRで示されるC1〜4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ基等の直鎖状および分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
およびRで示されるトリハロメチル基としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチル基が挙げられる。
およびRで示されるトリハロメトキシ基としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメトキシ基が挙げられる。
およびRで示されるトリハロメチルチオ基としては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチルチオ基が挙げられる。
およびRで示されるC1〜4アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ基等の直鎖状および分岐状のアルキルチオ基が挙げられる。
、R、RおよびRで示されるC1〜4アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基が挙げられる。
で示される「1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜8アルキル基」における「C1〜8アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基が挙げられる。
で示される「1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜8アルキル基」におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
およびRが隣接する炭素原子と一緒になって形成する炭素環としては、例えば、C3〜10飽和炭素環等が挙げられる。C3〜10飽和炭素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン環等が挙げられる。
環Aで示される「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」としては、例えば炭素環または複素環等が挙げられる。炭素環としては、例えば、C3〜15の単環、二環、三環式炭素環および架橋式炭素環等が挙げられる。C3〜15の単環、二環、三環式炭素環および架橋式炭素環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、フェナントレイン、アントラセン、アセナフチレン、ビフェニレン、ペルヒドロペンタレン、インダン(ジヒドロインデン)、ペルヒドロインデン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ペルヒドロナフタレン、ペルヒドロアズレン、ペルヒドロフルオレン、ペルヒドロフェナントレイン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロアセナフチレン、ペルヒドロフェニレン、ビシクロペンタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘプタン([2.2.1]ビシクロヘプタン)、ビシクロオクタン、ビシクロノナン、ビシクロデカン、アダマンタン環等が挙げられる。複素環としては、例えば、1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1個の硫黄原子を含む4〜18員の単環、二環または三環式芳香族性複素環、またはその一部または全部が飽和したもの等が挙げられる。1〜4個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1個の硫黄原子を含む4〜18員の単環、二環または三環式芳香族性複素環、またはその一部または全部が飽和したものとしては、例えばピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ピロロピリジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、ピリドナフチリジン、ピラゾロイソキノリン、ピラゾロナフチリジン、ピリミドインドール、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン(ジヒドロインドール)、イソインドリン(ジヒドロイソインドール(例えば、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール等))、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン(例えば、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン等)、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、テトラヒドロピロロピリジン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、テトラピリドナフチリジン、テトラヒドロ−β−カルボリン、ジヒドロアゼピノインドール、ヘキサヒドロアゼピノインドール、テトラヒドロピラゾロイソキノリン、テトラヒドロピラゾロナフチリジン、ジヒドロアゼピノインダゾール、ヘキサヒドロアゼピノインダゾール、ジヒドロピラゾロピリドアゼピン、ヘキサヒドロピラゾロピリドアゼピン、テトラヒドロピリミドインドール、ジヒドロチアジノインドール、テトラヒドロチアジノインドール、ジヒドロオキサジノインドール、テトラヒドロオキサジノインドール、ジオキソラン、ジオキサン、ベンゾジオキソール(例えば、1,3−ベンゾジオキソール等)、ベンゾジオキサン、クロメン、クロマン環等が挙げられる。
環Aで示される「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」としては、例えば、C1〜8アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基等)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1〜4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ基等の直鎖状および分岐状のアルコキシ基等)、ニトロ基、トリハロメチル基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチル基等)、トリハロメトキシ基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメトキシ基等)、トリハロメチルチオ基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチルチオ基等)、シアノ基、C1〜4アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ基等)、NR10基(基中、RおよびR10はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基等)を表わす。)、置換基を有していてもよい炭素環、置換基を有していてもよい複素環等が挙げられ、これらの置換基は置換可能な位置に1〜5個任意に置換していてもよい。置換基である「置換基を有していてもよい炭素環」および「置換基を有していてもよい複素環」における炭素環および複素環は、環Aで示される環状基中の炭素環および複素環と同じ意味を表わす。置換基である「置換基を有していてもよい炭素環」および「置換基を有していてもよい複素環」における置換基としては、例えば、C1〜8アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基等)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1〜4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ基等の直鎖状および分岐状のアルコキシ基等)、ニトロ基、トリハロメチル基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチル基等)、トリハロメトキシ基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメトキシ基等)、トリハロメチルチオ基(例えば、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子または塩素原子によってトリ置換されたメチルチオ基等)、シアノ基、C1〜4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ基等)、NR1112基(基中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜4アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基等)を表わす。)等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜5個置換していてもよい。
Xで示される「置換基を有していてもよい窒素原子」における置換基としては、例えば、C1〜8アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状および分岐状のアルキル基等)、アリールアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル基)、フェニル基、アルコキシカルボニル基(tert−ブトキシカルボニル基)等が挙げられる。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフィー分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
一般式(I)で示される化合物の塩には薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩として、例えばアルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物のN−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が酸化されたものを表わす。また、本発明化合物のN−オキシド体は、さらに上記のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩となっていてもよい。
一般式(I)で示される化合物の適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。また、本発明化合物の溶媒和物には、上記本発明化合物のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩、N−オキシド体等の溶媒和物も含まれる。
本発明化合物は、公知の方法で上記の塩、上記のN−オキシド体、上記の溶媒和物に変換することができる。
一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換される化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、例えば、一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、その水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物はそれ自体公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えば、H、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。
本発明のPPARアゴニストやアンタゴニストには、すべての作用様式、すなわちPPARα、γ、δ、α+γ、α+δ、γ+δおよびα+γ+δアゴニストやアンタゴニストが包含される。また、本発明の好ましい作用様式は、PPARδアゴニストである。
本発明の化合物を表わす一般式(I)において、環A、X、R、RおよびRが表わすそれぞれの定義はいずれも好ましい。以下に好ましい基、および好ましい環を列記するが、ここで用いられる記号はすべて前記と同じ意味を表わす。
またはRとして好ましくは、水素原子、C1〜8アルキル基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、またはフッ素原子である。
として好ましくは、C1〜5アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜2アルキル基、またはフェニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、フェニル基または,2,2,2−トリフルオロエチル基である。
として好ましくは、水素原子、またはC1〜4アルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基である。
およびRとして好ましくは、水素原子、またはC1〜4アルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
およびRが隣接する炭素原子と一緒になって形成する炭素環として好ましくは、C3〜7飽和炭素環であり、より好ましくはシクロプロパン、シクロブタンまたはシクロペンタン環である。
Xとして好ましくは、硫黄原子、または酸素原子であり、より好ましくは硫黄原子である。
環Aで示される炭素環として好ましくは、C3〜10の単環または二環式炭素環であり、より好ましくはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンまたはベンゼン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。
環Aで示される複素環として好ましくは、1〜2個の窒素原子、1〜2個の酸素原子および/または1個の硫黄原子を含む5〜10員の単環または二環式芳香族性複素環またはその一部または全部が飽和したものであり、より好ましくはピペリジン、ピペラジン、1,3−ベンゾジオキソール、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン、3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン環であり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン環である。
環Aで示される「置換基を有していてもよい環状基」における置換基として好ましくは、ハロゲン原子、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、トリハロメチルチオ基、置換基を有していてもよいフェニル基(基中、置換基としてハロゲン原子、C1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基)、置換基を有していてもよいピリジル基、チエニル基、フリル基であり、より好ましくはフッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、フェニル基、ピリジン−2−イル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、フラン−2−イル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル基である。
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えば、以下に示す方法、実施例に記載した方法あるいは、Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,2nd Edition(Richard C.Larock,John Wiley & Sons Inc,1999)に記載された方法等を組み合わせて用いることで製造することができる。なお、以下の各製造方法において、原料化合物は塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した一般式(I)の塩として記載したものが用いられる。
一般式(I)で示される本発明化合物は、一般式(II)

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物と一般式(III)

(式中、R13はC1〜8アルキル基、またはカルボキシル基の保護基を表わし、他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物を光延反応に付し、一般式(I−1)

(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物を得、さらに所望により、カルボキシル基の保護基の脱保護反応に付すことにより製造することができる。
この光延反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等)中、アゾ化合物(アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)等)およびホスフィン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ポリマーサポートトリフェニルホスフィン等)の存在下、相当するアルコール化合物と0〜60℃の温度で反応させることにより行なわれる。
カルボキシル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、アリル基、t−ブチル基、トリクロロエチル基、ベンジル(Bn)基、フェナシル基、p−メトキシベンジル基、トリチル基、2−クロロトリチル基またはそれらの基が結合した固相担体等が挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene,John Wiley & Sons Inc,1999)に記載されたものが用いられる。
カルボキシル基の脱保護反応は公知であり、例えば、(1)アルカリ加水分解、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いる脱保護反応、(6)金属錯体を用いる脱保護反応等が挙げられる。
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば、有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(例えば、エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(例えば、パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば、水と混和しうる有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
(5)金属を用いる脱保護反応は、例えば、酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃の温度で行なわれる。
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(例えば、水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(例えば、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(例えば、トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
また、上記以外にも、例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley,New York,1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物を容易に製造することができる。
出発原料または試薬として用いる一般式(II)または(III)で示される化合物は、それ自体公知であるか、あるいは後記実施例記載の方法または公知の方法、例えば「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、2nd Edition(Richard C.Larock,John Wiley & Sons Inc,1999)」に記載された方法を用いることにより容易に製造することができる。
本明細書中の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂または洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
[薬理活性]
実施例記載以外の薬理試験、特に動物を用いたインビボ測定実験として、例えば、以下に示す方法がある。以下に示す方法により本発明化合物の血糖および血中脂質の低下作用を測定することができる。
血糖および血中脂質の低下作用(1):
KKAy/Ta Jclマウスの体重および血糖値を測定し、血糖値を指標に群分けを行ない、割り付ける。翌日以降6日間、本発明化合物を含む飼料、もしくは粉末飼料を与えて飼育する。反復投与後、体重と摂餌量を測定し、平均摂餌量から投与用量を換算する。また、血糖値、血漿中TG値に加えて、血中インスリン・遊離脂肪酸(NEFA)、およびGOT・GPTを測定する。
KKAy/Taマウスにおける飽食時の血糖、血中インスリン、NEFA値あるいは血漿中TG値の低下作用は糖尿病、高脂血症、動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。
血糖および血中脂質の低下作用(2):
Zucker fa/faラット(系統名Crj−[ZUC]−fa/fa)、および正常対照動物leanラット(系統名Crj−[ZUC]−lean)の体重および血糖・NEFA・TG、並びにHbA1c濃度を測定する。この中でHbA1c値および体重を指標にして群分けし、翌日以降、本発明化合物を反復経口投与する。なお、対照群については媒体を投与する。
反復投与開始後、平均摂餌量を算出し、血糖・NEFA・TG、並びにHbA1c濃度を測定する。また、経口糖負荷試験(OGTT)を実施し、耐糖能改善作用を評価する。OGTTは、その前日より絶食とし、翌日、グルコース液2g/5mL/kgを負荷後、60分および120分後の血糖値および、血中インスリン・NEFA・TG、GOT、GPT並びに肝湿重量を測定する。
Zucker fa/faラットにおける飽食時の血糖、血中インスリン、NEFA、HbA1c値あるいは血漿中TG値の低下作用は糖尿病や高脂血症や動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。また、OGTTにおける空腹時血糖値の低下や耐糖能改善作用は糖尿病の予防および/または治療剤としての可能性を示唆する。
血中コレステロールおよび血中脂質低下作用(3):
SDラットに高コレステロール飼料(5.5%ピーナツ油、1.5%コレステロール、0.5%コール酸を混合したCRF−1固形飼料、オリエンタルバイオサービス)を負荷後、絶食下ラットの体重を測定し、次の各種パラメーター濃度を測定する。測定項目は、LDL、HDL、TG値、NEFA、TC値である。HDL濃度に基づく群分けを行ない、翌日から6日間連続で毎日一回化合物を媒体(0.5%メチルセルロース水溶液)に懸濁させて強制経口投与するとともに高コレステロール飼料の負荷を継続する。最終投与終了後血中脂質(TG、HDL、LDL、NEFA、TC値)を測定する。
SDラットにおける空腹時血漿TG値、TC値ならびにLDL値の低下作用は高脂血症や動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆する。
血糖および血中脂質の低下作用(4):
カニクイザルを試験実施施設にてさらに施設検疫および馴化する。動物の体重を測定し、群分けを行ない媒体或いは本発明化合物を3〜100mg/kg/day含む薬液を栄養カテーテルおよび注射筒を用いて1日1回、反復経鼻胃内投与する。投与後、採血し、上述の血液学的検査(赤血球数・ヘマトクリット・血色素量・血小板数・白血球数の測定)および血液化学的検査(GOT・GPT・アルカリフォスファターゼ・総蛋白質・尿中窒素・クレアチニン・クレアチニンキナーゼ・総ビリルビン・血糖・TC・HDL・LDL・TGの測定)をする。また、本発明化合物の投与開始前、投与開始後14日目の投与後、1、2、4時間および給餌(1時間の摂取時間)後、1、2、3時間に採血し、血糖・TC・HDL・LDL・TGを測定する。
正常カニクイザルにおける空腹時血漿TG値、TC値ならびにLDL値の低下作用は高脂血症や動脈硬化症等の予防および/または治療剤としての可能性を示唆するものである。同様に、食餌負荷後のTG上昇を抑制する点においてもこれは確認される。また、食餌負荷後の血糖上昇を抑制する点は糖尿病の予防および/または治療剤としての可能性を示唆する。加えて、他の血液生化学的なパラメーターから毒性変化の有無が併せて評価できる。
[毒性]
一般式(I)で示される本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグは、PPARδアゴニスト作用を有しており、例えば、HDLコレステロール上昇作用、LDLクリアランス増加作用や脂質、特にコレステロールの搬出促進作用および逆転送促進作用、マクロファージの泡沫化抑制作用、コレステロール生合成阻害作用を有していることから、例えば、糖・脂質代謝異常疾患(例えば、糖尿病、高脂血症(高コレステロール血症、低HDL血症、高LDL血症、高TG血症等)、動脈硬化症、心血管疾患、肥満症、メタボリックシンドローム等)、高血圧、循環器系疾患、皮膚炎症性疾患等の予防および/または治療剤としての応用が期待される。
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグは、1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグを先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグを後に投与してもよく、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
他の薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチン等であってもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と他の薬剤の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、本発明化合物1質量部に対し、他の薬剤を0.01〜100質量部用いればよい。他の薬剤は任意の2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
例えば、一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの脂質低下作用の補完および/または増強のための他の薬剤、すなわち脂質改善薬としては、例えば、MTP(Microsomal Triglyceride Transfer Protein)阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレンシンセターゼ阻害薬、フィブラート系薬剤(フィブリン酸誘導体)、ACAT(アシルCoA:コレステロール O−アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体(ileal Na/bile acid transporter;IBAT)阻害薬、LDL受容体活性化薬・発現増強薬、膵リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬、その他の抗高コレステロール血症治療薬等が挙げられる。
MTP阻害薬としては、例えば、BMS−201038、BMS−212122、BMS−200150、GW−328713、R−103757等が挙げられる。HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、F−12511、F−1394、CI−1011、メリナミド等が挙げられる。スクアレンシンセターゼ阻害薬としては、TAK−475等が挙げられる。フィブラート系薬剤としては、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、クリノフィブラート、シンフィブラート等が挙げられる。ACAT阻害薬としては、例えば、Cl−1011、FCE27677、RP73163等が挙げられる。コレステロール吸収阻害薬としては、例えば、エゼチマイブ、ソイステロール等が挙げられる。胆汁酸吸収阻害薬として、例えば、コレスチラミン、コレセベラム、コレスチミド等が挙げられる。LDL受容体活性化薬・発現増強薬としては、例えば、MD−700、LY295427等が挙げられる。膵リパーゼ阻害薬としては、例えば、オーリスタット等が挙げられる。フィブラート系薬剤とHMG−CoA還元酵素阻害薬を併用した場合に、時折、横紋筋融解症が伴うことが知られており、腎不全患者や腎機能の低下した患者には禁忌となっている。本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと上述の脂質改善薬との併用においては、横紋筋融解症が発生することなく脂質代謝異常を是正できる可能性がある。本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと併用する併用薬として好ましくは、HMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系薬剤(フィブリン酸誘導体)、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、膵リパーゼ阻害薬、ニコチン酸製剤である。
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの血糖低下作用の補完および/または増強、そして糖尿病合併症治療の効果増強のための他の薬剤、すなわち糖尿病治療薬としては、例えば、スルフォニル尿素系血糖低下薬、ビグアナイド系製剤、α−グルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)4阻害薬、GLP−1作動薬、β3アドレナリン受容体作動薬、糖尿病合併症治療薬等と併用することが考えられる。
スルフォニル尿素系血糖低下薬としては、例えば、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリメピリド等が挙げられる。ビグアナイド系製薬としては、例えば、塩酸ブフォルミン、塩酸メトフォルミン等が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害薬としては、例えば、アカルボース、ボグリボース等が挙げられる。速効型インスリン分泌促進薬としては、例えば、ナテグリニド、レパグリニド等が挙げられる。DPP4阻害薬としては、例えば、NVP−DPP728A等が挙げられる。GLP−1作動薬としては、例えば、エキセンディン(exendin)4が挙げられる。β3アドレナリン受容体作動薬としては、例えば、AJ−9677、BMS−210285、CP−331679、KUL−1248、LY−362884、L−750335、CP−331648等が挙げられる。糖尿病合併症治療薬としては、例えば、エパルレスタット、ゼナレスタット、フィダレスタット、ゾポルレスタット、AS−3201、SG−210等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの抗肥満作用の補完および/または増強の効果増強のための他の薬剤、すなわち抗肥満薬としては、例えば、食欲抑制薬、膵リパーゼ阻害薬、β3アドレナリン受容体作動薬、セロトニン・ノルエピネフリン・ドパミン再取込阻害薬等と併用することが考えられる。食欲抑制薬としては、例えば、レプチン、マジンドール、アンフェタミン、メタンフェタミン等が挙げられる。膵リパーゼ阻害薬としては、オーリスタット等が挙げられる。β3アドレナリン受容体作動薬としては、例えば、AJ−9677、BMS−210285、CP−331679、KUL−1248、LY−362884、L−750335、CP−331648等が挙げられる。セロトニン・ノルエピネフリン・ドパミン再取込阻害薬としては、例えば、シブトラミン等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと他の薬剤の質量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
また、一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグ、または一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと他の薬剤の併用剤を含有してなる医薬組成物を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1mgから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、1mgから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグ、または一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと他の薬剤の併用剤を含有してなる医薬組成物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質がそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与の中で、外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば、米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調製される。また無菌の固形剤、例えば、凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【発明の効果】
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグは、PPARδアゴニスト作用を有しており、例えば、HDLコレステロール上昇作用、LDLクリアランス増加作用、脂質、特にコレステロールの搬出促進作用、脂質の逆転送促進作用やコレステロール生合成阻害作用を有していることから、例えば、糖・脂質代謝異常疾患(例えば、糖尿病、高脂血症(高コレステロール血症、低HDL血症、高LDL血症、高TG血症等)、動脈硬化症、心血管疾患、肥満症、メタボリックシンドローム等)、高血圧、循環器系疾患、皮膚炎症性疾患等の予防および/または治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。クロマトグラフィーによる分離の箇所、TLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRはH NMRの測定値であり、NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Name(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)またはACD/Nameバッチ(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
実施例1:メチル [3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]アセタート

アルゴン雰囲気下、メチル(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)アセタート(1.00g)の塩化メチレン(22mL)溶液に2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エタノール(2.00g)、トリフェニルホスフィン(2.18g)および1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(2.10g)を加え、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物を得た(2.38g)。
TLC:Rf 0.62(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
H NMR(CDCl):δ 8.05−7.99(m,2H),7.30−7.24(m,2H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),6.77−6.72(m,2H),4.24(t,J=6.5Hz,2H),3.67(s,3H),3.56(s,2H),3.00(t,J=6.5Hz,2H),2.75(q,J=7.5Hz,2H),2.15(s,3H),1.29(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例2:[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸

実施例1で製造した化合物(1.90g)のテトラヒドロフラン(10mL)とメタノール(10mL)の混合溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加えて室温で0.5時間撹拌した。反応混合物に1N塩酸(25mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ液を濃縮して下記の物性値を有する標題化合物(3.66g)を得た。
TLC:Rf 0.40(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.00(m,2H),7.25(d,J=8.1Hz,1H),7.05(d,J=8.1Hz,1H),6.76−6.71(m,3H),4.22(t,J=6.6Hz,2H),3.58(s,2H),2.99(t,J=6.6Hz,2H),2.76(q,J=7.5Hz,2H),2.14(s,3H),1.29(t,J=7.5Hz,3H)。
【実施例3〜実施例27】
メチル(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)アセタートまたはその代わりに相当するアルコール誘導体、および2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エタノールの代わりに相当するアルコール誘導体を用いて、実施例1→実施例2と同様の操作に付し、以下の本発明化合物を得た。
実施例3:[3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.49(クロロホルム:メタノール=10:1);
H NMR(CDCl):δ 7.24−7.17(m,1H),6.87−6.77(m,3H),4.16(t,J=7.0Hz,2H),4.00(brd,J=13.0Hz,2H),3.59(s,2H),2.93(t,J=7.0Hz,2H),2.90(dt,J=2.5,13.0Hz,2H),2.29−2.12(m,1H),2.24(s,3H),1.93(brd,J=13.0Hz,2H),1.67(dq,J=4.5,13.0Hz,2H)。
実施例4:[3−(2−{5−プロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.52(クロロホルム:メタノール=10:1);
H NMR(CDCl):δ 8.08(d,J=8.0Hz,2H),7.67(d,J=8.0Hz,2H),7.22(td,J=7.5,1.0Hz,1H),6.82(m,3H),4.23(t,J=6.5Hz,2H),3.60(s,2H),2.99(t,J=6.5Hz,2H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),1.74(sext,J=7.5Hz,2H),1.00(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例5:[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.49(クロロホルム:メタノール=10:1);
H NMR(CDCl):δ 8.08(d,J=8.0Hz,2H),7.67(d,J=8.0Hz,2H),7.21(dt,J=7.5,1.0Hz,1H),6.82(m,3H),4.22(t,J=6.6Hz,2H),3.60(s,2H),3.17(sept,J=7.0Hz,1H),3.00(t,J=6.5Hz,2H),1.34(d,J=7.0Hz,6H)。
実施例6:[4−メチル−3−(2−{5−プロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.50(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.22(brs,1H),8.09(d,J=8.4Hz,2H),7.83(d,J=8.4Hz,2H),7.00(d,J=7.5Hz,1H),6.84(s,1H),6.69(d,J=7.5Hz,1H),4.19(t,J=6.3Hz,2H),3.47(s,2H),2.96(t,J=6.3Hz,2H),2.70(t,J=7.2Hz,2H),2.02(s,3H),1.66−1.59(m,2H),0.91(t,J=7.2Hz,3H)。
実施例7:[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.47(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.22(brs,1H),8.10(d,J=8.4Hz,2H),7.84(d,J=8.4Hz,2H),7.00(d,J=7.2Hz,1H),6.84(d,J=1.2Hz,1H),6.68(dd,J=7.2Hz,1.2Hz,1H),4.20(t,J=6.3Hz,2H),3.46(s,2H),3.27−3.13(m,1H),2.97(t,J=6.3Hz,2H),2.03(s,3H),1.26(d,J=7.5Hz,6H)。
実施例8:[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.54(クロロホルム:メタノール=8:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.22(brs,1H),7.01(d,J=7.2Hz,1H),6.81(s,1H),6.69(d,J=7.2Hz,1H),4.12(t,J=6.3Hz,2H),3.98−3.78(m,2H),3.47(s,2H),3.06−2.76(m,4H),2.63(q,J=7.2Hz,2H),2.54(m,1H),2.04(s,3H),1.94−1.76(m,2H),1.60−1.44(m,2H),1.12(t,J=7.2Hz,3H)。
実施例9:[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.39(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.23(brs,1H),8.04−7.99(m,2H),7.48−7.45(m,2H),7.00(d,J=7.5Hz,1H),6.84(s,1H),6.70−6.67(m,1H),4.19(t,J=6.3Hz,2H),3.46(s,2H),3.22−3.13(m,1H),2.95(t,J=6.3Hz,2H),2.03(s,3H),1.25(d,J=6.9Hz,6H)。
実施例10:[4−メチル−3−(2−{5−ペンチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.25(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.07(d,J=8.1Hz,2H),7.65(d,J=8.1Hz,2H),7.03(d,J=7.5Hz,1H),6.75(s,1H),6.74(d,J=7.5Hz,1H),5.89(bs,1H),4.22(t,J=6.6Hz,2H),3.55(s,2H),2.99(t,J=6.6Hz,2H),2.71(t,J=7.5Hz,2H),2.13(s,3H),1.66(quintet,J=7.5Hz,2H),1.35(m,4H),0.90(t,J=6.6Hz,3H)。
実施例11:[4−メチル−3−(2−{5−フェニル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.51(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 8.25(d,J=8.4Hz,2H),7.89(d,J=8.4Hz,2H),7.85(d,J=7.5Hz,2H),7.53(d,J=7.5Hz,2H),7.43(m,1H),6.97(d,J=7.5Hz,1H),6.89(s,1H),6.69(d,J=7.5Hz,1H),4.35(t,J=6.0Hz,2H),3.48(s,2H),3.30(bs,1H),3.29(t,J=6.0Hz,2H),1.91(s,3H)。
実施例12:[3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.45(クロロホルム:メタノール=8:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.27(brs,1H),8.05(d,J=8.4Hz,2H),7.81(d,J=8.4Hz,2H),7.19(dd,J=8.4,7.5Hz,1H),6.88−6.74(m,3H),4.28(t,J=6.6Hz,2H),3.50(s,2H),3.14(t,J=6.6Hz,2H),2.46(s,3H)。
実施例13:[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.47(クロロホルム:メタノール=8:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.23(brs,1H),8.05(d,J=7.8Hz,2H),7.81(d,J=7.8Hz,2H),7.01(d,J=7.2Hz,1H),6.86(s,1H),6.70(d,J=7.2Hz,1H),4.27(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),3.16(t,J=6.3Hz,2H),2.46(s,3H),2.02(s,3H)。
実施例14:[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.20(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 7.98(d,J=9.0Hz,2H),7.24(d,J=9.0Hz,2H),7.04(d,J=8.1Hz,1H),6.74(m,2H),4.21(d,J=6.3Hz,2H),3.56(s,2H),2.98(d,J=6.3Hz,2H),2.36(s,3H),2.14(s,3H)。
実施例15:[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.21(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.00(m,2H),7.25(d,J=8.1Hz,2H),7.19(t,J=8.1Hz,1H),6.80(m,3H),4.18(t,J=6.6Hz,2H),3.56(s,2H),3.14(septet,J=6.9Hz,1H),2.97(t,J=6.6Hz,2H),1.32(d,J=6.9Hz,6H)。
実施例16:[3−(2−{5−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.30(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.29(brs,1H),8.13(d,J=8.4Hz,2H),7.90(d,J=8.4Hz,2H),7.19(t,J=7.2Hz,1H),6.82−6.79(m,3H),4.23−4.04(m,4H),3.50(s,2H),3.06(t,J=6.3Hz,2H)。
実施例17:[3−(2−{5−プロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.27(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.00(m,2H),7.27−7.18(m,3H),6.86−6.78(m,3H),4.21(t,J=6.6Hz,2H),3.59(s,2H),2.97(t,J=6.6Hz,2H),2.68(t,J=7.5Hz,2H),1.74(sixtet,J=7.5Hz,2H),0.99(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例18:[4−メチル−3−(2−{5−プロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.21(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.00(m,2H),7.24(m,2H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),6.77(s,1H),6.75(d,J=7.5Hz,1H),4.23(t,J=6.3Hz,2H),3.58(s,2H),2.99(t,J=6.3Hz,2H),2.69(t,J=7.2Hz,2H),2.14(s,3H),1.71(sixtet,J=7.2Hz,2H),0.99(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例19:[3−(2−{5−ブチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.31(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 8.00(m,2H),7.27−7.19(m,3H),6.86−6.78(m,3H),4.21(t,J=6.6Hz,2H),3.59(s,2H),2.97(t,J=6.6Hz,2H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),1.66(quintet,J=7.5Hz,2H),1.40(sixtet,J=7.5Hz,2H),0.95(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例20:[3−(2−{5−ブチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 7.93(d,J=8.7Hz,2H),7.17(d,J=8.7Hz,2H),6.89(d,J=7.5Hz,1H),6.68(s,1H),6.61(d,J=7.5Hz,1H),4.54(bs,1H),4.11(t,J=6.3Hz,2H),3.43(s,2H),2.88(t,J=6.3Hz,2H),2.66(t,J=7.2Hz,2H),2.06(s,3H),1.60(quintet,J=7.2Hz,2H),1.36(sixtet,J=7.2Hz,2H),0.92(t,J=7.2Hz,3H)。
実施例21:[4−エチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=8:1);
H NMR(DMSO−d):δ 12.24(brs,1H),8.09(d,J=8.1Hz,2H),7.84(d,J=8.1Hz,2H),7.00(d,J=7.5Hz,1H),6.85(s,1H),6.72(d,J=7.5Hz,1H),4.19(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),2.96(t,J=6.3Hz,2H),2.44(q,J=7.5Hz,2H),2.38(s,3H),0.98(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例22:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.31(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.84(s,1H),7.76(d,J=8.4Hz,1H),7.51(d,J=8.4Hz,1H),7.00(d,J=7.5Hz,1H),6.83(s,1H),6.69(d,J=7.5Hz,1H),4.16(t,J=6.3Hz,2H),3.46(s,2H),2.92(t,J=6.3Hz,2H),2.34(s,3H),2.04(s,3H)。
実施例23:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−プロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.30(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.85(s,1H),7.77(dd,J=8.1,0.9Hz,1H),7.51(dd,J=8.1,0.9Hz,1H),7.18(dd,J=7.5,7.5Hz,1H),6.79(m,3H),4.18(t,J=6.6Hz,2H),3.49(s,2H),2.92(t,J=6.6Hz,2H),2.69(t,J=7.2Hz,2H),1.65(sixtet,J=7.2Hz,2H),0.93(t,J=7.2Hz,3H)。
実施例24:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−プロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.33(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.84(d,J=1.5Hz,1H),7.77(dd,J=8.4,1.5Hz,1H),7.51(d,J=8.4Hz,1H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.85(s,1H),6.70(d,J=7.5Hz,1H),4.19(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),2.94(t,J=6.3Hz,2H),2.68(t,J=7.2Hz,2H),2.30(s,3H),1.64(sixtet,J=7.2Hz,2H),0.92(t,J=7.2Hz,3H)。
実施例25:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−イソプロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.25(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.87(d,J=0.9Hz,1H),7.78(dd,J=8.4,0.9Hz,1H),7.52(d,J=8.4Hz,1H),7.18(dd,J=7.8,7.8Hz,1H),6.79(m,3H),4.17(t,J=6.6Hz,2H),3.50(s,2H),3.18(septet,J=6.9Hz,2H),2.93(t,J=6.6Hz,2H),1.27(d,J=6.9Hz,2H)。
実施例26:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−イソプロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.87(d,J=1.8Hz,1H),7.78(dd,J=8.4,1.8Hz,1H),7.52(d,J=8.4Hz,1H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.84(s,1H),6.69(d,J=7.5Hz,1H),4.19(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),3.18(septet,J=6.9Hz,1H),2.95(t,J=6.3Hz,2H),2.04(s,3H),1.26(d,J=6.9Hz,6H)。
実施例27:(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−エチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.26(クロロホルム;メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 7.86(d,J=1.8Hz,1H),7.78(dd,J=8.4,1.8Hz,1H),7.52(d,J=8.4Hz,1H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.84(s,1H),6.69(d,J=7.5Hz,1H),4.18(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),2.94(t,J=6.3Hz,2H),2.73(q,J=7.5Hz,2H),2.04(s,3H),1.21(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例28:4−(トリフルオロメチル)ピペリジン 塩酸塩
4−(トリフルオロメチル)ピリジン(9.33g)のメタノール(80mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、濃塩酸(16mL)および酸化第二白金(510mg)を加え、水素加圧下、室温で3日間撹拌した。反応混合物をセライト(商品名)でろ過し、ろ液を濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液に4N塩化水素/酢酸エチル溶液(50mL)を加えた後、濃縮することにより、下記の物性値を有する標題化合物(13.0g)を得た。
TLC:Rf 0.13(クロロホルム:メタノール=10:1);
H NMR(CDCl):δ 1.72(dd,J=13.0,4.0Hz,1H),1.81(dd,J=13.0,4.0Hz,1H),2.05−2.20(m,2H),2.41−2.80(m,1H),3.06(dt,J=13.0,3.0Hz,2H),3.40−3.60(m,2H)。
実施例29:4−(トリフルオロメチル)−1−ピペリジンカルボチオアミド
実施例28で製造した化合物(3.80g)のテトラヒドロフラン(25mL)懸濁液に、トリエチルアミン(2.9mL)およびチオカルボジイミダゾール(3.80g)を加え、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、褐色油状物を得た。この油状物のエタノール(30mL)およびテトラヒドロフラン(15mL)の混合溶液を氷水で冷却し、アンモニアガスをバブリングして飽和させた後、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた黄色固体をジエチルエーテルで洗浄後、乾燥し、下記の物性値を有する標題化合物(2.19g)を得た。
TLC:Rf 0.47(クロロホルム:メタノール=10:1);
H NMR(CDCl):δ 1.76−1.61(m,2H),2.03−1.93(m,2H),2.44−2.24(m,1H),3.15−3.03(m,2H),4.65(brd,J=13.0Hz,2H),5.83(brs,2H)。
実施例30:メチル{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}アセタート
実施例29で製造した化合物(2.18g)のエタノール(10mL)溶液に、メチル 4−ブロモ−3−オキソペンタノアート(2.37g)を加えて、室温で一晩撹拌した。反応混合物に水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:1)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物(2.86g)を得た。
TLC:Rf 0.51(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
H NMR(CDCl):δ 1.67(dq,J=5.0,13.0Hz,2H),1.93(brd,J=13.0Hz,2H),2.23(s,3H),2.31−2.11(m,1H),2.89(dt,J=2.5,13.0Hz,2H),3.53(s,2H),3.70(s,3H),4.00(brd,J=13.0Hz,2H)。
実施例31:2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エタノール
水素化リチウムアルミニウム(336mg)の無水テトラヒドロフラン(35mL)溶液を氷水で冷却し、実施例30で製造した化合物(2.85g)の無水テトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下し、室温で15分間撹拌した。反応混合物を氷水で冷却しながら、飽和硫酸ナトリウム水溶液(1.8mL)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテル(20mL)を加え、撹拌した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、下記物性値を有する標題化合物(2.46g)を得た。
TLC:Rf 0.24(ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
H NMR(CDCl):δ 1.68(dq,J=4.5,13.0Hz,2H),2.00−1.90(m,2H),2.21(s,3H),2.33−2.13(m,1H),2.67(t,J=5.5Hz,2H),2.92(dt,J=3.0,13.0Hz,2H),3.85(t,J=5.5Hz,2H),3.98(brd,J=13.2Hz,2H),4.29(br,1H)。
実施例32:メチル[2−フルオロ−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]アセタート

実施例31で製造した化合物(227mg)、メチル(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)アセタート(184mg)およびトリフェニルホスフィン(262mg)の無水ジクロロメタン(5mL)溶液に、アルゴン気流下、室温でアゾジカルボン酸ジエチル(435mg)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→7:3)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物(306mg)を得た。
TLC:Rf 0.64(ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
H NMR(CDCl):δ 1.68(qd,J=12.7,4.4Hz,2H),1.94(d,J=12.7Hz,2H),2.13−2.28(m,1H),2.26(s,3H),2.89(td,J=12.7,2.7Hz,2H),2.98(t,J=6.9Hz,2H),3.65−3.68(m,2H),3.70(s,3H),4.01(d,J=12.7Hz,2H),4.25(t,J=6.9Hz,2H),6.74−6.83(m,1H),6.85−7.02(m,2H)。
実施例33:[2−フルオロ−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸

実施例32で製造した化合物(306mg)のメタノール(5mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合溶液に5N水酸化ナトリウム水溶液(2.00mL)を室温で加えて、2時間撹拌した。反応混合物を2N塩酸でpH4に調製し、水で希釈後、得られた結晶をろ別した。結晶を水で洗浄後、乾燥し、下記の物性値を有する標題化合物(226mg)を得た。
TLC:Rf 0.60(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 1.47(qd,J=12.7,4.4Hz,2H),1.86(d,J=11.5Hz,2H),2.19(s,3H),2.47−2.63(m,1H),2.86(t,J=6.7Hz,2H),2.94(dt,J=12.7,2.7Hz,2H),3.57(d,J=1.5Hz,2H),3.86(d,J=12.7Hz,2H),4.20(t,J=6.7Hz,2H),6.80−6.87(m,1H),6.97−7.09(m,2H),12.20−12.70(brs,1H)。
実施例34〜実施例34(15)
実施例31で製造した化合物またはその代わりに相当するアルコール誘導体、およびメチル(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)アセタートまたはその代わりに相当するアルコール誘導体を用いて、実施例32→実施例33と同様の操作に付し、以下の本発明化合物を得た。
実施例34:(3−{2−[2−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.57(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.06(s,3H),2.35(s,3H),2.94(t,J=6.23Hz,2H),3.49(s,2H),4.19(t,J=6.23Hz,2H),6.71(d,J=7.57Hz,1H),6.86(s,1H),7.02(d,J=7.57Hz,1H),7.38(t,J=7.57Hz,1H),7.47(t,J=7.57Hz,2H),7.70(d,J=7.57Hz,2H),7.78(d,J=8.30Hz,2H),7.98(d,J=8.30Hz,2H),12.25(s,1H)。
実施例34(1):(4−メチル−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.65(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.23(brs,1H),7.34−7.13(m,5H),7.02(d,J=7.5Hz,1H),6.82(d,J=1.2Hz,1H),6.79(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),4.12(t,J=6.3Hz,2H),3.96−3.83(m,2H),3.48(s,2H),2.99(dt,J=12.3,2.7Hz,2H),2.86(t,J=6.3Hz,2H),2.78−2.62(m,1H),2.20(s,3H),2.05(s,3H),1.87−1.76(m,2H),1.67(dq,J=12.3,3.9Hz,2H)。
実施例34(2):(3−{2−[2−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.31(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.04(s,3H),2.34(s,3H),2.93(t,J=6.3Hz,2H),3.48(s,2H),4.17(t,J=6.3Hz,2H),6.70(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),6.84(d,J=1.5Hz,1H),7.01(dd,J=7.5,0.7Hz,1H),7.54(d,J=9.0Hz,2H),7.90(d,J=9.0Hz,2H),12.22(s,1H)。
実施例34(3):(2−フルオロ−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.54(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 1.67(qd,J=12.3,4.2Hz,2H),1.81(t,J=12.3Hz,2H),2.20(s,3H),2.71(tt,J=8.4,3.6Hz,1H),2.87(t,J=6.6Hz,2H),3.00(td,J=12.3,2.1Hz,2H),3.58(s,2H),3.90(d,J=12.3Hz,2H),4.21(t,J=6.6Hz,2H),6.73−6.89(m,1H),6.93−7.13(m,2H),7.13−7.35(m,5H),12.37(s,1H)。
実施例34(4):(3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.54(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.25(brs,1H),7.28−7.13(m,3H),6.96(d,J=9.0Hz,2H),6.86−6.75(m,4H),4.14(t,J=6.9Hz,2H),3.51(s,2H),3.48−3.39(m,4H),3.26−3.15(m,4H),2.86(t,J=6.9Hz,2H),2.21(s,3H)。
実施例34(5):[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.51(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.25(brs,1H),7.24(d,J=9.0Hz,2H),7.19(t,J=8.1Hz,1H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.84−6.75(m,3H),4.14(t,J=6.9Hz,2H),3.51(s,2H),3.48−3.39(m,4H),3.27−3.15(m,4H),2.86(t,J=6.9Hz,2H),2.21(s,3H)。
実施例34(6):[3−(2−{5−メチル−2−[4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.48(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.26(brs,1H),7.18(t,J=8.1Hz,1H),7.04(d,J=8.4Hz,2H),6.86(d,J=8.4Hz,2H),6.84−6.75(m,3H),4.14(t,J=6.9Hz,2H),3.51(s,2H),3.48−3.38(m,4H),3.21−3.08(m,4H),2.86(t,J=6.9Hz,2H),2.21(s,3H),2.20(s,3H)。
実施例34(7):(3−{2−[2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−2−フルオロフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.52(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.23(s,3H),2.91(t,J=6.6Hz,2H),3.58(d,J=0.9Hz,2H),4.24(t,J=6.6Hz,2H),4.66(s,4H),6.80−6.87(m,1H),6.98−7.10(m,2H),7.27−7.34(m,2H),7.35−7.41(m,2H),12.41(brs,1H)。
実施例34(8):[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−2−フルオロフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.56(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.41(brs,1H),7.24(d,J=9.0Hz,2H),7.09−6.92(m,4H),6.88−6.78(m,1H),4.21(t,J=6.6Hz,2H),3.57(d,J=1.5Hz,2H),3.48−3.37(m,4H),3.28−3.16(m,4H),2.88(t,J=6.6Hz,2H),2.21(s,3H)。
実施例34(9):[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.48(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.21(brs,1H),7.24(d,J=9.0Hz,2H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.81−6.78(d,J=1.2Hz,1H),6.69(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),4.13(t,J=6.6Hz,2H),3.48(s,2H),3.46−3.37(m,4H),3.26−3.15(m,4H),2.87(t,J=6.6Hz,2H),2.21(s,3H),2.05(s,3H)。
実施例34(10):[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペリジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.40(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 1.55−1.64(m,J=12.5,4.0Hz,1H),1.68(dd,J=12.5,4.0Hz,1H),1.74−1.87(m,2H),2.05(s,3H),2.20(s,3H),2.73(tt,J=12.5,3.5Hz,1H),2.85(t,J=6.5Hz,2H),2.99(dt,J=12.5,2.5Hz,2H),3.48(s,2H),3.89(brd,J=12.5Hz,2H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),6.69(dd,J=7.0,1.1Hz,1H),6.82(d,J=1.1Hz,1H),7.02(d,J=7.5Hz,1H),7.27(d,J=8.5Hz,2H),7.34(d,J=8.5Hz,2H),12.20(brs,1H)。
実施例34(11):(3−{2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.55(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.20(brs,1H),7.26−7.12(m,4H),7.02(d,J=7.5Hz,1H),6.82(d,J=1.5Hz,1H),6.69(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),4.51(s,2H),4.14(t,J=6.6Hz,2H),3.61(t,J=6.0Hz,2H),3.48(s,2H),2.95−2.82(m,4H),2.22(s,3H),2.05(s,3H)。
実施例34(12):(4−メチル−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.52(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 2.15(s,3H),2.27(s,3H),2.61−2.68(m,2H),2.98(t,J=6.6Hz,2H),3.58(s,2H),3.68(t,J=5.8Hz,2H),4.02−4.07(m,2H),4.20(t,J=6.6Hz,2H),6.06−6.11(m,1H),6.72−6.79(m,2H),7.05(d,J=7.5Hz,1H),7.21−7.43(m,5H)。
実施例34(13):[3−(2−{2−[4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.38(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.21(brs,1H),7.27(dd,J=8.7,5.7Hz,2H),7.10(t,J=8.7Hz,2H),7.02(d,J=7.5Hz,1H),6.82(d,J=1.2Hz,1H),6.70(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),4.12(t,J=6.6Hz,2H),3.96−3.82(m,2H),3.48(s,2H),2.98(t,J=dt,12.3,2.4Hz,2H),2.86(t,J=6.6Hz,2H),2.72(tt,J= 12.3,3.3Hz,1H),2.20(s,3H),2.05(s,3H),1.87−1.73(m,2H),1.64(dq,J=12.3,4.2Hz,2H)。
実施例34(14):(4−メチル−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸
TLC:Rf 0.54(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 2.14(s,3H),2.26(s,3H),2.96(t,J=6.6Hz,2H),3.21−3.27(m,4H),3.49−3.58(m,6H),4.17(t,J=6.6Hz,2H),6.72−6.76(m,2H),6.86−6.97(m,3H),7.04(dd,J=8.1,0.7Hz,1H),7.24−7.31(m,2H)。
実施例34(15):{4−メチル−3−[2−(5−メチル−2−{4−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]ピペラジン−1−イル}−1,3−チアゾール−4−イル)エトキシ]フェニル}酢酸
TLC:Rf 0.47(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(CDCl):δ 8.44−8.38(m,1H),7.65(dd,J=9.0,2.4Hz,1H),7.04(d,J=7.2Hz,1H),6.80−6.71(m,2H),6.65(d,J=9.0Hz,1H),4.19(t,J=6.6Hz,2H),3.79−3.69(m,4H),3.57(s,2H),3.54−3.46(m,4H),2.96(t,J=6.6Hz,2H),2.27(s,3H),2.14(s,3H)。
実施例35:メチル(3−{2−[2−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)アセタート
実施例30で製造した化合物の代わりにメチル[2−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]アセタート、およびメチル(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)アセタートの代わりにメチル(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)アセタートを用いて、実施例31→実施例32と同様の操作に付し、下記物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.48(酢酸エチル:ヘキサン=1:2);
H NMR(CDCl):δ 2.15(s,3H),2.37(s,3H),2.98(t,J=6.3Hz,2H),3.56(s,2H),3.67(s,3H),4.23(t,J=6.3Hz,2H),6.78−6.71(m,2H),7.05(d,J=7.8Hz,1H),7.56(d,J=8.7Hz,2H),7.84(d,J=8.7Hz,2H)。
実施例36:メチル[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]アセタート

実施例35で製造した化合物(300mg)、トリn−ブチル(2−ピリジル)スズ(273mg)、塩化リチウム(85mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(39mg)のジオキサン(3mL)溶液をアルゴン気流下、115℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物(240mg)を得た。
TLC:Rf 0.09(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
実施例37:メチル[3−(2−{2−[4−(フラン−3−イル)フェニル]−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]アセタート

実施例35で製造した化合物(300mg)、3−フリルボラン酸(97mg)、炭酸ナトリウム(92mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(39mg)のジメトキシエタン(6mL)および水(2mL)の混合溶液を90℃で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物(260mg)を得た。
TLC:Rf 0.24(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
実施例38〜実施例38(1)
実施例32で製造した化合物の代わりに実施例36および実施例37で製造した化合物を用いて、実施例33と同様の操作に付し、以下の本発明化合物を得た。
実施例38:[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.38(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.05(s,3H),2.37(s,3H),2.95(t,J=6.32Hz,2H),3.45(s,2H),4.18(t,J=6.32Hz,2H),6.69(d,J=7.51Hz,1H),6.86(s,1H),7.01(d,J=7.51Hz,1H),7.38(ddd,J=7.50,4.76,1.10Hz,1H),7.90(ddd,J=8.06,7.50,1.74Hz,1H),8.01(d,J=8.24Hz,2H),8.01−8.05(m,1H),8.22(d,J=8.24Hz,2H),8.68(ddd,J=4.76,1.74,0.91Hz,1H)。
実施例38(1):[3−(2−{2−[4−(フラン−3−イル)フェニル]−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.33(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.06(s,3H),2.35(s,3H),2.93(t,J=6.32Hz,2H),3.49(s,2H),4.17(t,J=6.32Hz,2H),6.70(d,J=7.51Hz,1H),6.85(s,1H),7.02(d,J=7.51Hz,1H),7.01−7.02(m,1H),7.73(d,J=8.24Hz,2H),7.75−7.78(m,1H),7.90(d,J=8.24Hz,2H),8.28(s,1H),12.25(brs,1H)。
実施例39〜実施例39(8)
実施例35で製造した化合物またはその代わりに相当する誘導体、および3−フリルボラン酸の代わりに相当するボラン酸を用いて、実施例37→実施例33と同様の操作に付すことにより、以下の本発明化合物を得た。
実施例39:(3−{2−[2−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.54(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.24(brs,1H),7.97(d,J=8.4Hz,2H),7.77(d,J=8.4Hz,2H),7.76(dd,J=8.7,5.7Hz,2H),7.30(t,J=8.7Hz,2H),7.02(d,J=7.5Hz,1H),6.85(d,J=1.2Hz,1H),6.70(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),4.18(t,J=6.3Hz,2H),3.49(s,2H),2.94(t,J=6.3Hz,2H),2.35(s,3H),2.05(s,3H)。
実施例39(1):(3−{2−[2−(3’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.54(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.25(brs,1H),7.98(d,J=8.7Hz,2H),7.83(d,J=8.7Hz,2H),7.62−7.44(m,3H),7.26−7.17(m,1H),7.02(d,J=7.8Hz,1H),6.85(d,J=1.2Hz,1H),6.70(dd,J=7.8,1.2Hz,1H),4.18(t,J=6.3Hz,2H),3.49(s,2H),2.94(t,J=6.3Hz,2H),2.36(s,3H),2.06(s,3H)。
実施例39(2):[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(チオフェン−2−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.05(s,3H),2.35(s,3H),2.93(t,J=6.32Hz,2H),3.47(s,2H),4.17(t,J=6.32Hz,2H),6.70(dd,J=7.51,1.28Hz,1H),6.85(dd,J=1.28,0.73Hz,1H),7.01(dd,J=7.51,0.73Hz,1H),7.16(dd,J=4.94,3.66Hz,1H),7.60(dd,J=4.94,1.10Hz,1H),7.61(dd,J=3.66,1.10Hz,1H),7.77(d,J=8.60Hz,2H),7.92(d,J=8.60Hz,2H)。
実施例39(3):[4−メチル−3−(2−{5−メチル−2−[4−(チオフェン−3−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.06(s,3H),2.36(s,3H),2.94(t,J=6.32Hz,2H),3.48(s,2H),4.18(t,J=6.32Hz,2H),6.70(dd,J=7.51,0.92Hz,1H),6.85(d,J=0.92Hz,1H),7.02(d,J=7.51Hz,1H),7.61(dd,J=5.13,1.46Hz,1H),7.66(dd,J=5.13,2.93Hz,1H),7.84(d,J=8.61Hz,2H),7.93(d,J=8.61Hz,2H),7.99(dd,J=2.93,1.46Hz,1H)。
実施例39(4):[3−(2−{2−[4−(フラン−2−イル)フェニル]−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.33(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(DMSO−d):δ 2.05(s,3H),2.35(s,3H),2.93(t,J=6.32Hz,2H),3.48(s,2H),4.18(t,J=6.32Hz,2H),6.62(dd,J=3.48,1.83Hz,1H),6.70(dd,J=7.69,1.10Hz,1H),6.85(d,J=1.10Hz,1H),7.02(d,J=7.69Hz,1H),7.06(d,J=3.48Hz,1H),7.80(d,J=8.60Hz,2H),7.79(d,J=1.83Hz,1H),7.94(d,J=8.60Hz,2H),12.24(brs,1H)。
実施例39(5):[3−(2−{2−[4−(フラン−2−イル)フェニル]−5−イソプロピル−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 1.33(d,J=6.96Hz,6H),2.13−2.18(m,3H),3.02(t,J=6.50Hz,2H),3.15(septet,J=6.96Hz,1H),3.58(s,2H),4.24(t,J=6.50Hz,2H),6.49(dd,J=3.30,1.83Hz,1H),6.72(d,J=3.30Hz,1H),6.76(d,J=7.51Hz,1H),6.78(s,1H),7.05(d,J=7.51Hz,1H),7.49(d,J=1.83Hz,1H),7.71(d,J=8.42Hz,2H),7.98(d,J=8.42Hz,2H)。
実施例39(6):[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(チオフェン−2−イル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸
TLC:Rf 0.35(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 1.33(d,J=7.0Hz,6H)2.16(s,3H)3.02(t,J=6.6Hz,2H)3.15(septet,J=7.0Hz,1H)3.58(s,2H)4.24(t,J=6.6Hz,2H)6.74−6.78(m,2H)7.05(d,J=7.5Hz,1H)7.09(dd,J=4.8,3.3Hz,1H)7.31(dd,J=4.8,1.2Hz,1H)7.37(dd,J=3.3,1.2Hz,1H)7.65(d,J=8.7Hz,2H)7.97(d,J=8.7Hz,2H)。
実施例39(7):(3−{2−[5−イソプロピル−2−(4’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.41(クロロホルム:メタノール=9:1);
H NMR(CDCl):δ 1.32(d,J=6.9Hz,6H)2.16(s,3H)3.02(t,J=6.5Hz,2H)3.15(septet,J=6.9Hz,1H)3.58(s,2H)3.85(s,3H)4.24(t,J=6.5Hz,2H)6.74−6.78(m,2H)6.98(d,J=6.9Hz,2H)7.04(d,J=7.5Hz,1H)7.56(d,J=6.9Hz,2H)7.60(d,J=8.7Hz,2H)8.01(d,J=8.7Hz,2H)。
実施例39(8):(3−{2−[5−イソプロピル−2−(4’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸
TLC:Rf 0.61(メタノール:ジクロロメタン=1:9);
H NMR(DMSO−d):δ 12.23(brs,1H),7.97(d,J=8.4Hz,2H),7.76(d,J=8.4Hz,2H),7.61(d,J=7.8Hz,2H),7.28(d,J=7.8Hz,2H),7.01(d,J=7.5Hz,1H),6.87(d,J=1.2Hz,1H),6.70(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),4.21(t,J=6.3Hz,2H),3.49(s,2H),3.19(septet,J=7.2Hz,1H),2.97(t,J=6.3Hz,2H),2.34(s,3H),2.06(s,3H),1.27(d,J=7.2Hz,6H)。
[生物学的実施例]
一般式(I)で示される本発明化合物が、PPARアゴニスト活性を有することは以下の実験で証明された。
PPARアゴニスト活性の測定:
(1)ヒトPPARを用いたルシフェラーゼアッセイの材料の調製
本発明の測定法は以下の如く本発明化合物を評価するために測定精度の向上および測定感度の改良を加えたものである。
すなわち、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター支配下にルシフェラーゼ遺伝子が発現するベクターを作成する目的で、Pica Gene Basic Vector 2(商品名、東洋インキ社、カタログNo.309−04821)からルシフェラーゼ構造遺伝子を切り出し、TKプロモーターをもつpTKβ(クロンテック社、カタログNo.6179−1)から、必要最小のプロモーター活性として、TKプロモーター(−105/+51)支配下のルシフェラーゼ遺伝子発現ベクターpTK−Luc.を作成した。TKプロモーター上流に、酵母の基本転写因子であるGal4蛋白の応答配列、UASを4回繰り返したエンハンサー配列を挿入し、4×UAS−TK−Luc.を構築し、レポーター遺伝子とした。以下に用いたエンハンサー配列(配列番号1)を示す。

酵母Gal4蛋白のDNA結合領域のカルボキシル末端に、核内受容体ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域を融合させた、キメラ受容体蛋白を発現するベクターを以下のように作成した。すなわち、Pica Gene Basic Vector 2(商品名、東洋インキ社、カタログNo.309−04821)を基本発現ベクターとして、プロモーター・エンハンサー領域はそのままに、構造遺伝子をキメラ受容体蛋白のそれに交換した。
Gal4蛋白のDNA結合領域、1番目から147番目までのアミノ酸配列をコードするDNA下流に、ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域をコードするDNAが、フレームが合うように融合して、PicaGene Basic Vector 2のプロモーター・エンハンサー領域下流に挿入した。この際、発現したキメラ蛋白が核内に局在すべく、ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域のアミノ末端には、SV40 T−antigen由来の核移行シグナル、Ala Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val Gly(配列番号2)を配し、一方、カルボキシ末端には発現蛋白質の検出用にエピトープタグシークエンスとして、インフルエンザのヘマグルチニンエピトープ、Tyr Pro Tyr Asp Val Pro Asp Tyr Ala(配列番号3)と翻訳停止コドンを順に配するようなDNA配列とした。
ヒトPPARα、γまたはδのリガンド結合領域として用いた構造遺伝子部分は、R.Mukherjeeら(J.Steroid Biochem.Mol.Biol.,51,157(1994)参照)、M.E.Greenら(Gene Expr.,,281(1995)参照)、A.Elbrechtら(Biochem.Biophys.Res.Commun.,224,431(1996)参照またはA.Schmidtら(Mol.Endocrinol.,,1634(1992)参照)に記載された、ヒトPPARの構造比較から、
ヒトPPARαリガンド結合領域:Ser167−Tyr468
ヒトPPARγリガンド結合領域:Ser176−Tyr478
ヒトPPARδリガンド結合領域:Ser139−Tyr441
(ヒトPPARγ1、ヒトPPARγ2ではSer204−Tyr506に相当し、全く同じ塩基配列である。)をコードするDNAを使用した。また、基本転写に対する影響をモニターすべく、PPARリガンド結合領域を欠失したGal4蛋白のDNA結合領域、1番目から147番目までのアミノ酸配列のみをコードするDNAを有する発現ベクターも併せて調整した。
(2)ヒトPPARα、γまたはδを用いたルシフェラーゼアッセイ
宿主細胞として用いたCV−1細胞は常法に従って培養した。すなわち、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に牛胎児血清(GIBCO BRL社、カタログNo.26140−061)を終濃度10%になるように添加し、さらに終濃度50U/mLのペニシリンGと50μg/mLの硫酸ストレプトマイシンを加えた培地にて、5%炭酸ガス中、37℃で培養した。
レポーター遺伝子、Gal4−PPAR発現ベクターの両DNAを、宿主細胞内へ導入するトランスフェクションに際し、細胞を予め10cm dishに2×10cells播種しておき、血清を含まない培地で一回洗浄操作を施した後、同培地10mlを加えた。レポーター遺伝子10μg、Gal4−PPAR発現ベクター0.5μgとLipofectAMINE(商品名、GIBCO BRL社、カタログNo.18324−012)50μLをよく混和し、上記培養dishに添加した。37℃で培養を5〜6時間続け、10mLの透析牛胎児血清(GIBCO BRL社、カタログNo.26300−061)20%を含む培地を加えた。37℃で一晩培養した後、細胞をトリプシン処理によって分散させ、8000cells/100μl DMEM−10%透析血清/wellの細胞密度で96穴プレートに再播種し、数時間培養し細胞が付着したとき、検定濃度の2倍濃度を含む本発明化合物のDMEM−10%透析血清溶液100μLを添加した。37℃で42時間培養し、細胞を溶解させ、常法に従ってルシフェラーゼ活性を測定した。
カルバサイクリン(Carbacyclin)はPPARδを活性化するが、30μM終濃度における転写活性化度(Fold Increase)を1としてこの値に対する相対値として表記すると、実施例33で製造した化合物のPPARδ転写活性化度は表1の通りである。

その結果、本発明化合物は、PPARδに対して優れたアゴニスト活性を示した。
血中コレステロールおよび血中脂質低下作用:
7週齢の雄性マウス(C57BL/6NCrj)に高コレステロール飼料(5.5%ピーナツ油、1.5%コレステロール、0.5%コール酸を混合したCRF−1固形飼料、オリエンタルバイオサービス)を6日間負荷後、絶食下ラットの体重を測定し、次の各種パラメーター濃度を測定した。測定項目は、LDL、HDL、TG値、NEFA、TC値である。TC濃度に基づいて1群5匹ずつ割り付け、他のパラメーターの平均値に偏りが生じないように群分けを行なった。翌日から6日間連続で毎日一回化合物を媒体(0.5%メチルセルロース水溶液)に懸濁させて強制経口投与するとともに高コレステロール飼料の負荷を継続した。最終投与終了日の翌日(投与)開始後7日目)、血中脂質(TG、HDL、LDL、NEFA、TC値)を測定した。
媒体投与群の値を100%として相対値として表記すると、実施例33で製造した化合物のHDL上昇作用、LDL低下作用は表2の通りである。

その結果、本発明化合物は用量に応じてHDLを上昇させ、またLDLを低下させたので、高脂血症治療剤として有用である。
[製剤例]
本発明の実施に用いられる製剤例を以下に示す。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸(100g);
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤)(20g);
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)(10g);
・微結晶セルロース(870g)。
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸(200g);
・マンニトール(2kg);
・蒸留水(50L)。
【産業上の利用可能性】
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグは毒性が極めて低いため、安全な医薬品として有用であり、またPPARアゴニストであるため、高脂血症等の予防および/または治療剤として有用である。
【配列表】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、C1〜8アルキル基、ハロゲン原子、C1〜4アルコキシ基、ニトロ基、トリハロメチル基、トリハロメトキシ基、トリハロメチルチオ基、シアノ基、C1〜4アルキルチオ基、またはNR基(基中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、またはC1〜4アルキル基を表わす。)を表わし、Rは1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、またはフェニル基を表わし、Rは水素原子、またはC1〜8アルキル基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、またはC1〜4アルキル基を表わすか、またはRとRは隣接する炭素原子と一緒になって炭素環を形成してもよく、Xは硫黄原子、酸素原子または置換基を有していてもよい窒素原子を表わし、環Aは置換基を有していてもよい環状基を表わす。)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグ。
【請求項2】
環Aで示される置換基を有していてもよい環状基が、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル基、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、4−フェニルピペリジン−1−イル基、4−フェニルピペラジン−1−イル基、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル基、4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル基、または3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル基である請求の範囲1記載の化合物。
【請求項3】
環Aで示される置換基を有していてもよい環状基が、4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル基、2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル基、または3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル基である請求の範囲2記載の化合物。
【請求項4】
(1)[3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸、(2)[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(3)[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(4)[3−(2−{5−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(5)(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−イソプロピル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸、(6)[3−(2−{5−エチル−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}エトキシ)−4−メチルフェニル]酢酸、(7)(3−{2−[2−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸、(8)[2−フルオロ−3−(2−{5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)フェニル]酢酸、(9)(2−フルオロ−3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸、(10)(3−{2−[5−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}フェニル)酢酸、(11)(3−{2−[2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−2−フルオロフェニル)酢酸、(12)[3−(2−{2−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}エトキシ)−2−フルオロフェニル]酢酸、または(13)(3−{2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]エトキシ}−4−メチルフェニル)酢酸である請求の範囲1記載の化合物。
【請求項5】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグを含有してなる医薬組成物。
【請求項6】
PPAR介在性疾患の予防および/または治療剤である請求の範囲5記載の医薬組成物。
【請求項7】
PPARがPPARδである請求の範囲6記載の医薬組成物。
【請求項8】
PPARδ介在性疾患が高脂血症または肥満症である請求の範囲7記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグと、MTP阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、スクアレンシンセターゼ阻害薬、フィブラート系薬剤、ACAT阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸吸収阻害薬、回腸Na/胆汁酸共輸送体阻害薬、LDL受容体活性化薬、LDL受容体発現増強薬、膵リパーゼ阻害薬、プロブコール製剤、ニコチン酸製剤、およびコレステロールエステル転送蛋白阻害薬から選択される1種以上とを組み合わせてなる医薬。
【請求項10】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするPPAR介在性疾患の予防および/または治療方法。
【請求項11】
PPAR介在性疾患の予防および/または治療剤を製造するための請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはその溶媒和物、またはそのプロドラッグの使用。

【国際公開番号】WO2005/028453
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514140(P2005−514140)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014137
【国際出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】