説明

フォトレジストストリッパー廃液の再生方法及び再生装置

本発明は、フォトレジストストリッパー廃液から主溶剤を再生する方法及び装置に関する。LCDまたは半導体装置の製造工程により回収されたフォトレジストストリッパー廃液から低沸点不純物を除去する1次蒸留装置、高沸点不純物を除去して、ストリッパー溶剤を再生する2次蒸留装置、及び各ストリッパー溶剤を再生する3次蒸留装置を含む装置を利用することにより、フォトレジストストリッパー廃液に残留するストリッパー溶剤各々を電子産業グレード高純度に再生することができ、従って、費用削減はもちろん、環境保護が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストストリッパー廃液から溶剤を再生する方法及び装置に関する。更に詳しくは、本発明は、液晶表示装置または半導体装置の製造工程で発生するフォトレジストストリッパー廃液を電子産業グレード水準に再生する方法及び装置に関する。
更に、本発明は、フォトレジストストリッパーの再生工程での再生回収率を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハーまたはLCDガラス基板の製造工程で発生するストリッパー廃液には、ストリッパー溶剤以外に、フォトレジスト樹脂、水分及び重金属のような不純物を含んでいる。ストリッパー廃液の大部分は、焼却されるか、または低純度の溶剤に再生される。それ故に、2次環境汚染源となり、非効率的なエネルギーを消耗し、IT産業の競争力の弱化をもたらしている。IT技術の急速な発達により、40〜47インチのLCDパネルの商用化が可能となり、82インチLCDの製造が可能な第7世代の生産ラインが稼動している。さらに、第8世代及び第9世代の生産ラインの開発までも検討中である。LCDパネルのサイズが急激に大きくなり、その種類も多様化しているため、ストリッパー溶剤の消耗もまた大幅に増加している。従って、単純な再生を超えて、ストリッパー廃液を電子産業グレード高純度のストリッパー溶剤に再生することができる再生技術を開発することが切実である。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、水などの低沸点物質及びフォトレジスト樹脂のような高沸点物質を除去することにより、ストリッパー廃液からストリッパー溶剤を再生する方法が開示されている。しかしながら、これらの技術では電子産業で使用できるような高純度のストリッパー溶剤を得ることができなかった。更に、これらは、特定組成を有するストリッパー廃液に限られて、ストリッパー組成物が混合物形態で回収され、不足する成分を補充するトータルストリッパー再生方法を採択しており、濃度調節用ミキサーなどの装置、及び追加工程が必要となって、再生費用の増加を伴い、また再生のための操作が複雑となる。また、ストリッパー廃液の量が一定水準に達してから再生工程を行うために非連続的な操業となり、エネルギー効率の面からも好ましくない。LCD基板面積の大型化に伴ってストリッパーの消費が大幅に増加する現況において、電子機器の製造工程の下流工程であるストリッパー廃液から溶剤を再生する工程は、物量的にも費用的にも制限される。これにより実質的な費用節減ができず、商業化が困難となる。従って、特定組成に制限されず、大量に電子産業で使用できる純度に溶剤を回収できる工程の開発が必要である。
【0004】
更に、高純度で、かつ分離効率を達成するために、従来の充填式または多段式システムは大規模になっており、小規模で、効率性を上げることができる再生装置及び方法を開発する必要があった。
【0005】
ストリッパー廃液の再生として、蒸留前にナノサイズのろ過膜分離装置を用いてろ過する工程が紹介されている。ろ過法を用いた再生方法の代表的な例が、特許文献3及び特許文献4に開示されている。しかしながら、これらの方法は、再生容量、ロス、運転費用などの多くの問題がある。特許文献3の方法では、33%の再生回収率しか示されておらず、特許文献4では、再生回収率について全く示されていない。蒸留法による再生方法は、特許文献1及び特許文献2に開示された方法がある。しかし、これらも再生回収率について開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国特許第0306649号明細書
【特許文献2】特開2005−288329号公報
【特許文献3】特開2005−215627号公報
【特許文献4】特開2003−167358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した先行技術に係る問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、供給装置から移送されたフォトレジストストリッパー廃液を蒸留することにより低沸点不純物を除去する1次蒸留塔と、前記1次蒸留塔の下部に連結されたパイプを通して移送された低沸点不純物が除去されたストリッパー溶剤を蒸発する2次蒸留塔、及び前記2次蒸留塔の上部に連結された凝縮器を備える2次蒸留装置と、前記ストリッパー溶剤の成分を各沸点によって順次に蒸発する3次蒸留塔、及び前記3次蒸留塔の上部に連結され、前記ストリッパー溶剤の成分を凝縮する凝縮器を備える3次蒸留装置と、を含むフォトレジストストリッパーの再生装置を提供する。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、再生回収率を改善させるために、2次蒸留塔の下部に連結されたリボイラー、ストリッパー溶剤に溶解されたフォトレジスト樹脂の濃度及びN−メチルピロリドン(NMP)の含量を測定する分析装置、前記分析結果によりストリッパー溶剤と工業用グレードNMPを供給するタンク、及び前記蒸留塔の上部に連結された凝縮器に備えるフォトレジストストリッパーの再生装置を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、低沸点不純物を除去するためにフォトレジストストリッパー廃液を1次蒸留する段階と、高沸点不純物を除去して、ストリッパー溶剤に再生するために低沸点不純物を除去したフォトレジストストリッパー廃液を2次蒸留する段階、微量水分を除去し、各ストリッパー溶剤を順次に再生するためにストリッパー溶剤を3次蒸留する段階と、を含むフォトレジストストリッパーの再生方法を提供する。
【0011】
好ましい別の実施形態において、本発明は、フォトレジストストリッパー廃液供給装置、供給装置に連結された蒸留塔、蒸留塔の下部に連結されたリボイラー、及び蒸留塔の上部に連結された凝縮器を含むフォトレジストストリッパーを再生する装置を用いてフォトレジストストリッパー廃液を蒸留してフォトレジストストリッパーを再生する工程において、リボイラーに供給されたフォトレジストストリッパー廃液内の蒸留残留物に溶解されたフォトレジスト樹脂の濃度が、フォトレジスト樹脂が凝縮される最大飽和濃度以下に調節されるフォトレジストストリッパーの再生方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態により高純度で電子産業グレードストリッパー溶剤に再生する工程を概念的に示すチャートである。
【図2】本発明の実施形態によりフォトレジストストリッパー溶剤を再生する方法及び装置を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態によりフォトレジストストリッパー溶剤の再生回収率を改善する方法及び装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明による再生方法及び再生装置は、半導体または液晶表示装置の製造工程の下流工程としてフォトエッチングのストリッピング工程に利用することができるが、半導体または液晶表示装置の製造工程から回収された多様なフォトレジストストリッパー廃液にも適用することができる。
【0014】
一般に、フォトレジストストリッパー原液には、有機アミン化合物、プロトン性のグリコールエーテル化合物、及び非プロトン性の多極性化合物のような溶剤混合物を含んでいる。ストリッピング工程後に回収されたストリッパー廃液は、ストリッパー溶剤と共に、フォトレジスト樹脂、水、及びその他の微量の有機溶剤を含んでいる。通常、有機アミン化合物がストリッパー原液に含まれるか、ストリッパー廃液がモノエタノールアミン(以下、MEA)及びモノイソプロパノールアミン(以下、MIPA)を含んでいる。プロトン性であるグリコールエーテル化合物は、一般的に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、BDG)、及び基板洗浄用シンナーであるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEA)である。そして、非プロトン性多極性化合物は一般的に、N−メチルピロリドン(以下、NMP)及びジメチルスルホキシド(以下、DMSO)であり、通常、ストリッパー原液又はストリッパー廃液100重量部に対して、有機アミン化合物は1〜30重量部、非プロトン性多極性化合物は10〜50重量部含まれる。
【0015】
本発明は、ストリッパー原液またはストリッパー廃液成分または組成に関わらず、半導体ウエハー又は液晶表示装置の多様な製造工程から回収されたストリッパー廃液に適用することができる。回収されたストリッパー廃液に残留する成分、特にNMPのような非プロトン性多極性化合物は、吸収性が高いため、水分含量0.1%以下に精製することが難しい。一方、ストリッパー溶剤内の各溶剤の沸点の差が小さいため、電子産業グレードの水準に分離及び精製することが困難である。従来の充填式または多段式再生システムは、大規模の設備が必要であるため、維持費及び運転費において適合していない。反面、本発明は、螺旋形システムを備える蒸留カラムを用いて、回収したストリッパー廃液を電子産業グレードに効果的に再生することができる。従って、本発明は、有機アミン化合物としてMEAまたはMIPAまたはその両方を含み、プロトン性のグリコールエーテル化合物としてBDGまたはPGMEAまたはその両方を含み、そして/または非プロトン性の多極性化合物としてNMPまたはDMSOまたはその両方を含む様々なストリッパー廃液に適用が可能である。
【0016】
ストリッパー廃液に含まれる非プロトン性多極性化合物として、溶解度パラメーターが10以上であり、フォトレジストに対する溶解度が優れていることから、NMPが最も頻繁に使用される。しかし、高価であるため、その使用が非常に限られている。0〜50重量%、好ましくは、0.001〜40重量%、更に好ましくは、5〜35重量%のNMPを含有するストリッパー廃液については、更に再生回収率の高い再生方法を使用することが好ましい。
【0017】
本発明における「低沸点不純物」とは、ストリッパー溶剤に再生される主溶剤の沸点よりも低い沸点を持つ不純物を言う。好ましくは、30〜130℃、更に好ましくは、50〜120℃、更に好ましくは、70〜110℃の沸点を有する不純物である。通常、洗浄水またはIPAのような微量の有機溶剤である。
【0018】
本発明における「高沸点不純物」とは、ストリッパー溶剤に再生される主溶剤よりも高い沸点を持つ不純物を言う。好ましくは、235℃以上の沸点を有する不純物である。一般的に、ゲート工程でのレジストパターニングで使用される剥離されたフォトレジスト樹脂、及び微量の非イオン性界面活性剤のような不純物である。
【0019】
本発明における「電子産業グレードストリッパー溶剤」とは、個別のストリッパー溶剤の含量が99.5%以上、水分の含量が0.1%以下、及び重金属または金属の総含量がppb水準である、純度が新液より同等以上であるストリッパー溶剤を言う。水分含量の下限は特別に設定する必要はないが、一般的に、約0.001%である。金属の総含量は500ppb以下が好ましい。その下限は特別に設定する必要はないが、一般的に、約1ppbである。
【0020】
本発明における「工業用グレード溶剤」とは、電子産業グレード溶剤より純度が低い溶剤を言う。通常、工業用グレード溶剤は、98.0%以上の純度を持ち、水分含量が0.5%以下であり、重金属または金属の総含量が1000ppb以上である。用途に応じて、純度が更に低いこともあり、また不純物含量が更に高くなることもある。
【0021】
本発明における「統合回収」または「統合再生」とは、半導体ウエハーまたはTFT−LCDの様々な製造工程から排出されるフォトレジストストリッパー廃液を廃液貯蔵タンクに回収し、製造工程で再利用することができるように、混合して、個別のストリッパー溶剤またはフォトレジストストリッパーを再使用することを言う。
【0022】
本発明によるフォトレジストストリッパーの再生装置は、低沸点不純物を除去する1次蒸留装置と、高沸点不純物を除去して、混合物形態にストリッパー溶剤を再生する2次蒸留装置と、及び微量水分を除去し、沸点が近いため高純度に分離することが難しい溶剤混合物から個別の電子産業グレードストリッパー溶剤に再生する3次蒸留装置と、を有している。再生回収率改善のための装置は、高沸点不純物を除去する2次蒸留装置に付加され、再生回収率を高めるための1次蒸留装置または3次蒸留装置のうち1つ以上が備えられていない装置にも適用することができる。
【0023】
1次蒸留装置は、多段式蒸留塔または充填式蒸留塔であり、中和、析出、ろ過などにより前処理したフォトレジストストリッパー廃液から低沸点不純物を除去するものである。
【0024】
2次蒸留装置も、多段式蒸留塔または充填式蒸留塔であり、低沸点不純物が除去されたストリッパー廃液から高沸点不純物を除去して、ストリッパー溶剤を混合物の形態に再生する(統合ストリッパー再生)ものである。
【0025】
3次蒸留装置は、螺旋型スピンバンド(spinning band)式蒸留塔である。高沸点不純物が除去されたストリッパー溶剤から微量水分を除去し、沸点に基づいて電子産業グレード純度の溶剤に順次分離して再生する(分離ストリッパー再生)。塔内で蒸発する蒸気成分と凝縮される液体成分との接触表面積を最大化するために、スピンバンド式蒸留塔の内部に、高速で回転する金属またはテフロン(登録商標)で作られた螺旋型攪拌カラムを備えることで、速くて効果的な気液平衡を通して高分離及び効率的な精製を行うことができる。スピンバンド式蒸留塔内の螺旋型攪拌カラムの回転速度を変えることで、分離効率を適切に調節することができる。螺旋型攪拌カラムの回転速度は1,500〜2,500rpmが好ましい。高分離及び効率的な精製により、NMP、BDGなどの吸湿性の高いストリッパー溶剤に残留する微量水分を0.1%以下にまで除去し、容易に分離して、近い沸点を持つ各成分を電子産業グレード純度に精製することが可能となる。
【0026】
以下、添付された図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明による実施形態により高純度で電子産業グレードストリッパー溶剤に再生する工程を概念的に示すフローチャートである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
図1によると、再生工程は、前処理段階、不純物の除去段階、及びストリッパー溶剤の回収段階でなっている。前処理は、ストリッパー廃液のpH、不溶物または不純物の種類または含量に応じて行われるが、行われないこともある。前処理は様々なストリッパー混合液の再生を可能にする。不純物の除去段階及びストリッパー溶剤の回収段階は、時間的または空間的に分離されるのではなく、不純物が除去されながらストリッパー溶剤が回収される一連の単位工程である。
【0029】
不純物の除去は次のように行われる。まず、低沸点不純物が1次蒸留装置により除去された後、高沸点不純物が2次蒸留装置により除去され、最後に、残留する微量水分が3次蒸留装置により除去される。ストリッパー溶剤の回収は、2次蒸留装置によりストリッパー溶剤全体を再生することにより実施される。これは、(a)ストリッパー溶剤全体を一度に回収する1次再生と、(b)スピンバンド式3次蒸留装置により沸点以上まで加熱されながらストリッパー溶剤を構成する電子産業グレードストリッパー溶剤の各成分を順次再生する2次再生とからなる。
【0030】
本発明による統合再生工程は、半導体ウエハー又はTFT−LCDの様々な製造工程から集められたストリッパー廃液に適用することができ、好ましくは、有機アミン化合物としてMEAまたはMIPAまたはこれらの混合物、プロトン性のグリコールエーテル化合物としてBDGまたはPGMEAまたはこれらの混合物、そして/または非プロトン性の多極性化合物としてNMPまたはDMSOまたはこれらの混合物を含むストリッパー廃液に適用する。
【0031】
このようなフォトレジストストリッパー廃液は、集められて貯蔵タンクで混合される。その後、中和、析出及びろ過による前処理を行い、固形分、不溶性変形フォトレジスト化合物、有機酸化合物などが除去される。前処理段階において、中和は、半導体ウエハーまたはTFT−LCDの製造中のエッチングまたは現像工程でストリッパー廃液に含まれた有機酸化合物を除去するために実施される。有機酸化合物によりストリッパー廃液のpHが4〜6の範囲であるとき、移送ラインまたは蒸留設備の腐食が起こり、それ故に、分離効率の低下及び再生不安定性の増大をもたらす。好ましくは、pHは6.5〜8.5の範囲に維持する。このために、中和は、廃液のpHに応じて、廃液に対して20重量%水酸化ナトリウム水溶剤を1.5〜3.2重量%利用して実施される。
【0032】
次の析出及びろ過は、中和成分を含む浮遊成分及び不溶成分(主にフォトレジスト高分子の分解残留物と伝導性金属膜のエッチング工程で生じる重金属成分とで構成)を除去するために実施される。析出は、十分な時間、例えば、1〜12時間、好ましくは2〜5時間かけて行われる。次いで、ろ過により析出物をストリッパー廃液から分離するが、例えば、325メッシュ(〜44μm)のふるいで1次ろ過をした後、空隙サイズが1μmのろ過部材でろ過する。
【0033】
前処理されたストリッパー廃液、または前処理が不必要で集められたストリッパー廃液は、蒸留を連続的に行う統合再生工程に移送される。その後、水分及び溶解されたフォトレジストのような不純物を順次除去し、電子産業グレード純度のストリッパー溶剤が回収される。回収された電子産業グレードのストリッパー溶剤を、半導体ウエハーまたはTFT−LCDの様々な製造工程でストリッパー溶剤として使用することができる。
【0034】
更に具体的には、図1に示すように、本発明の統合再生工程によると、水などの低沸点不純物を1次蒸留装置により除去し、溶解されたフォトレジスト成分のような高沸点不純物を2次蒸留装置により除去し、ストリッパー溶剤の混合物全体を一度に回収する(「統合ストリッパー再生」)。1次再生ストリッパー溶剤は、スピンバンド式3次蒸留装置に移送される。ストリッパー溶剤に残留する微量水分を、吸湿性の最も高い非プロトン性多極性化合物により1次除去する。その後、ストリッパー溶剤を、沸点が近いストリッパー溶剤成分の各沸点以上まで加熱する。螺旋型攪拌カラムを高速で回転するにより得られる効率的で迅速に繰り返される気液均衡により高純度に分離することができる。従って、ストリッパー溶剤の各成分は、それらの沸点によって順次分離される。3段階の蒸留工程を通して、ストリッパー溶剤に含まれる主溶剤が、高純度で電子産業グレードストリッパー溶剤に再生されて回収される。
【0035】
図2は、本発明の実施形態によりフォトレジストストリッパー溶剤を再生する方法及び装置を示す概略図である。
【0036】
図2に示すように、前処理されたストリッパー溶剤、または前処理が不必要で処理されていないストリッパー廃液は、再生工程の供給タンクT−1に移送された後、第1移送ポンプF−1により1次蒸留装置の蒸留塔D−1に移送される。次に、廃液に含まれた成分が熱に晒されて物理化学的特性を変えることがないように水などの低沸点不純物を蒸発するために、1次蒸留塔に移送された廃液は水の沸点以上まで加熱される。即ち、120℃以下、好ましくは、70〜110℃で加熱しながら、水(沸点=100℃)及びIPA(沸点=82度)のような低沸点不純物を蒸留して凝縮器1により凝縮した後、貯蔵タンク2に回収し、第2移送ポンプ1−1により分離回収タンクT−2に移送して、廃棄する。ストリッパー廃液が、低沸点不純物を含まず、水分含量が1〜3重量%に達するとき(該水分含量の範囲が1次蒸留装置として使用される充填式または多段式蒸留塔においての一般的な範囲であり、1次蒸留装置の種類または工程条件に応じて0.5〜4重量%の範囲となり得る)、リボイラー3を経由して第2移送ポンプ1−2によりストリッパー溶剤の回収及びフォトレジスト樹脂の除去のための2次蒸留装置の蒸留塔D−2に移送される。
【0037】
2次蒸留装置では、分解または変形などストリッパー廃液内の溶剤の物理化学的特性の変化を防止する必要がある。そのために、蒸留塔に連結された真空ポンプ8を稼動して塔内を減圧する。ストリッパー溶剤が低温で回収され得るように、減圧蒸留のための真空圧力は80トール、好ましくは90トール以上に設定する。ストリッパー溶剤が2次蒸留装置の蒸留塔内で急激に加熱されるため、ストリッパー溶剤の熱損失を防ぐために真空圧力の上限を110トール以下に設定することが好ましい。しかし、真空圧力が80トール以下であると、金属成分が伴うため、重金属の含量をppb水準内で調節することが難しくなる。ストリッパー溶剤を含む成分全体を蒸留して、凝縮器4により凝縮して分離することができるように、2次蒸留装置に移送されたストリッパー廃液は、最も高い沸点を持つストリッパー溶剤成分の沸点以上まで急激に加熱される。同時に、ストリッパー廃液内に溶解されたフォトレジスト樹脂のような高沸点不純物が固形化して析出されない程度に、塔の下部6及びリボイラー7で凝縮して残留させる。それらを第4移送ポンプ2−1により分離回収タンクT−3に移送して廃棄した後、ストリッパー溶剤を一度に蒸留する。ストリッパー溶剤内の微量水分を除去するために、ストリッパー溶剤を凝縮器4にて凝縮して、貯蔵タンク5に移送する。その後、還流ポンプである第5移送ポンプ2−2及び第6移送ポンプ2−3により3次蒸留装置の蒸留塔D−3に移送する。
【0038】
3次蒸留装置はスピンバンド式蒸留塔である。この蒸留塔は金属またはテフロン(登録商標)で作られた螺旋型攪拌カラム9を備えており、2,500rpmの速度で回転するため、理論段数を増加させ、高い分離効率が得られる。結果として、微粒不純物の除去、及び沸点が近い混合物の高純度分離が行われる。ストリッパー溶剤に1〜3重量%の範囲で残留している微量水分を除去するために、螺旋型攪拌カラム9を1,500rpm以上の速度で回転させながら90〜300トールの減圧下で蒸留を行う。ストリッパー溶剤内に含まれる微量水分を除去することにより、水分含量が0.1%以下、一般的に、0.001〜0.1%となる。微量水分を含有する揮発性成分を凝縮器10で凝縮し、1次蒸留装置に再循環させて蒸留する。その後、水を分離回収タンクT−2に移送して廃棄し、揮発性成分に含まれるストリッパー溶剤を2次蒸留装置に戻して、ロスなく回収する。
【0039】
以下、2次蒸留装置及び3次蒸留装置によりストリッパー廃液からストリッパー溶剤を再生する方法、及び装置を詳細に説明する。
【0040】
図2に示すように、低沸点不純物が除去されたストリッパー廃液を2次蒸留装置D−2に移送して、蒸留を90〜110トールの真空圧力で行う。ストリッパー廃液に溶解しているフォトレジスト樹脂などの高沸点不純物を、固形化して析出しない程度に、塔の下部6及びリボイラー7で凝縮した後、除去する。同時に、ストリッパー溶剤に含まれる成分全体が蒸留塔の上部で蒸留されるように、沸点が最も高いストリッパー溶剤成分の沸点以上まで加熱する。ここで、還流比は1〜3で設定することが好ましい。還流比が1より小さいと、第6移送ポンプ2−3により3次蒸留装置の蒸留塔D−3に移送されたストリッパー溶剤の量が、第5移送ポンプ2−2により蒸留塔の上部に還流された量より非常に多くなり、塔の気液均衡が不安定となって再生工程が複雑となる。還流比が3より大きいと、ストリッパー溶剤全体が急激に加熱されるため、塔内部の高い背圧によりフラッディング現象が発生する。
【0041】
次に、回収されたストリッパー溶剤を凝縮器4により凝縮し、貯蔵タンク5に移送した後、還流ポンプである第5移送ポンプ2−2及び第6移送ポンピ2−3を予め定めた還流比で作動させて3次蒸留装置の蒸留塔D−3に移送する。好ましくは、ストリッパー溶剤全体が回収される1次再生工程の蒸留温度範囲を、表3に示すように、81〜158℃の間で設定する。
【0042】
スピンバンド式3次蒸留装置に移送されたストリッパー溶剤は、ストリッパー溶剤成分の沸点以上まで加熱しながら順次に蒸留させる(2次再生)。沸点に従って順次に蒸発して塔の上部で分離されたストリッパー内の各成分が凝縮器11により凝縮され、貯蔵タンク12に回収される。凝縮器11は、回収されたストリッパー溶剤の純度を考慮して、微量水分凝縮器10と別途に設置される。
【0043】
貯蔵タンク12に回収されたストリッパー溶剤は、電子産業グレードの高純度(純度99.5%、水分含量0.1%、総金属含量500ppb)が得られるまで、第7移送ポンプ3−1により塔の上部で還流される。適切なストリッパー溶剤を個別に回収して、1マイクロフィルター13に通過させる。各回収されたストリッパー溶剤を各貯蔵タンクT−4、T−5、T−6、T−7、T−8に移送してそれらを貯蔵する。好ましい例を参照しながら、電子産業グレード高純度の再生ストリッパー溶剤を回収し、PGMEAを貯蔵タンクT−4に、MIPAをT−5に、MEAをT−6に、DMSOをT−7に、そしてNMPをT−8に移送して貯蔵する。最も高い沸点(沸点;230℃)を持つBDGは、沸点が低いストリッパー溶剤を蒸留して分離した後、塔の下部またはリボイラー14に残留し、最終分離される。別のストリッパー溶剤成分も同様に、高純度の電子産業グレード規格に適合すると、第8移送ポンプ3−2により1マイクロフィルター13を通過した後、該当する貯蔵タンクT−9に移送されて貯蔵される。
【0044】
1次再生工程と同様に、ストリッパー溶剤成分が、熱に晒されて分解または変形などの物理的または化学的特性の変化するのを防止する必要がある。このために、蒸留塔に連結された真空ポンプ15が、塔の内部の圧力を減少させるために作動される。ストリッパー溶剤が低温で回収され得るように、減圧蒸留の真空圧力を90トール以上に設定する。真空圧力の上限はストリッパー廃液に含まれるストリッパー溶剤の組成と関係する。再生されたストリッパー溶剤成分の沸点が近い場合、電子産業グレードの高純度分離を行うために、上限を150〜300トール、好ましくは200〜300トール、更に好ましくは250〜300トールで設定する。
【0045】
分離ストリッパー再生工程での3次蒸留装置の還流比は、3〜17に設定するのが好ましい。還流比が3より小さいと、蒸留塔D−3の上部で蒸留されるストリッパー溶剤の純度が電子産業グレード(99.5%)に達することができない。そして、2次再生の還流比が17より大きいと、蒸留速度が非常に遅くなり、塔の内部の高い背圧によりフラッディング現象が起きる。減圧蒸留での真空圧力が150トール以下に設定されたときには、7〜17の還流比が最も好ましい。そして、減圧蒸留での真空圧力を150〜300トールに設定する場合、3〜12の還流比が最も好ましい。
【0046】
3次蒸留装置は、スピンバンド式蒸留塔D−3が使用される。塔の内部に、螺旋型攪拌カラム9が2,500rpmの速度で回転して、沸点が近い混合物成分の分離効率を上げる。2次再生工程で攪拌器の稼動速度をストリッパー廃液内に含まれる成分の数によって調節することができる。高純度で電子産業グレードに再生するために、稼動速度が1,500〜2,400rpmの範囲であることが好ましい。2,400rpmを超過する稼動速度は、攪拌器の軸に加えられる負荷が過大となるため好ましくない。
【0047】
3次蒸留装置で回収した各ストリッパー溶剤の蒸留温度は、条件によって異なり、これを表4に示した。実施例に示したストリッパー廃液の場合、真空圧力を90〜300トール、還流比を3〜17、スピンバンド式攪拌器の速度を1,500〜2,400rpmとし、蒸留温度を、PFMEAでは75〜115℃、MEAでは97〜141℃、DMSOでは112〜157℃、そしてNMPでは121〜168℃とした。BDGは残留物として回収されるため、BDGの蒸留温度は特定する必要はない。
【0048】
ストリッパー廃液の再生工程で、再生効率を高く最大にするために、塔内部で蒸発した蒸気成分と凝縮した液体成分との間に、非常に速く効果的な気液均衡を最適に維持する再生工程の効果的で連続的な運転が要求される。しかしながら、従来の再生装置は、蒸留の途中または最終段階で、再生蒸留塔D−2に連結されたリボイラー6の水位を、加熱媒体ライン7aの高さより30〜50cm(例えば、リボイラーの高さの約50%)ほど高く維持しなければならない。この工程で、非揮発性の溶解されたフォトレジスト樹脂は、固形化して析出するため、再生工程及び装置に悪影響を及ぼす。リボイラーの水位が増加すると、フォトレジストの固形化問題が一時的に防止されるが、過度の背圧により塔内部でフラッディング現象が発生する。更に、蒸留される量が増加することにより、分離効率が減少し、還流タンク5を通して還流量が増加し、エネルギー消費が増加することにより再生効率の減少をもたらす。加えて、フォトレジスト樹脂が廃液に十分に飽和されずに廃棄される。このようなロスにより再生効率を減少させることになる。
【0049】
従って、本発明の2次蒸留装置を利用してフォトレジストストリッパー廃液を蒸留してストリッパー溶剤に再生する工程において、リボイラーに供給されるフォトレジストストリッパー廃液の蒸留残留液に溶解したフォトレジスト樹脂の濃度が、フォトレジストが析出する最適の飽和濃度以下に調節されるように、ストリッパー廃液の最低水位を予め定めておく。そして、その水位以上でリボイラーの水位を調節することにより、従来の一般的な再生工程と比較して、優れた再生回収率を得ることができる。
【0050】
フォトレジストストリッパー廃液の蒸留工程において、リボイラー内の濃縮されたフォトレジスト樹脂の濃度、またはNMPの含量とともにフォトレジスト樹脂の濃度を分析した。その結果によると、溶解したフォトレジスト樹脂が固形化して析出し始めたフォトレジスト飽和濃度で、リボイラー内のストリッパー廃液(蒸留残留物)の水位を第1最低水位と決めて、第1最低水位が維持され得るように、ストリッパー廃液を供給する。
【0051】
これとは別に、廃液内のNMP濃度が低い場合、再生回収率を更に改善するために、NMPをリボイラーに供給する。このNMPの追加量は次のように決められる。まず、目的とする再生回収率を得るために特定濃度のNMPを含有する標準フォトレジストストリッパー廃液(例えば、実施例1のようにNMPが20重量%含有するストリッパー廃液)と、前記特定濃度より低い濃度のNMPを含有するフォトレジストストリッパー廃液に対して、第1最低水位での蒸留残留物に含まれたNMPの含量を分析し、NMP含量に対するフォトレジストの重量比を比較する。従って、標準フォトレジストストリッパー廃液の再生回収率と近似する再生回収率を得ることができる。
【0052】
本発明による再生回収率を改善する方法を通して、エネルギー消費及びフォトレジスト樹脂の固形化により発生するストリッパーのロスを最小にすることができる。また、ストリッパー溶剤の再生回収率を高めることで、経済的効果が得られる。
【0053】
本発明による再生回収率を改善する方法において、第1最低水位を、紫外吸収分光光度計によりフォトレジスト樹脂の濃度を測定して決定する。このために、ストリッパー廃液内に溶解しているフォトレジスト樹脂の濃度及び吸光度との相関関係表をあらかじめ用意しておく必要がある。次いで、リボイラーの内部、蒸留塔の下部、または蒸留塔とリボイラーとの連結配管の内部に存在する蒸留残留物の溶解フォトレジスト樹脂が固形化し始めるとき、即ち、紫外吸収分光光度計により測定した最大濃度であるとき、リボイラー内のストリッパー廃液の水位を第1最低水位と定める。そして、第1最低水位より高くリボイラーの水位を維持しながら、再生回収率を高くするために、ストリッパー廃液貯蔵タンクから供給されるストリッパー廃液の量を適切に調節する。この方法は、NMPが0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%含有するストリッパー廃液の処理において特に好適である。
【0054】
本発明による再生回収率を改善する別の実施形態において、NMPの含量を、第2最低水位を定めるために気体クロマトグラフィにより分析する。まず、リボイラーの水位が、紫外吸収分光光度計により決定された第1最低水位での前記蒸留残留物内に含まれる含量よりもNMPの含量が少ない(例えば、NMP含量が30重量%であるストリッパー廃液に対するリボイラーの第1最低水位でNMP含量未満)場合、廃液の最低水位を上昇させるために、リボイラーに連結されたNMP供給タンクから工業用グレードNMPを供給する。それから、溶解フォトレジスト樹脂が更に濃縮された後、樹脂が固形化して析出し始めるときのリボイラー内の蒸留残留物の水位を第2最低水位と定める。ストリッパー廃液内のNMP含量を、リボイラーの水位が第2最低水位以上に維持されるように調節することで、再生回収率を容易に高めることができる。この再生回収率改善方法は、NMP含量が不十分であるストリッパー廃液、好ましくは、30重量%未満、更に好ましくは、0〜25重量%、更に好ましくは、0.001〜20重量%、最も好ましくは、0.001〜10重量%である場合のストリッパー溶剤の処理において特に適合している。
【0055】
図3は、本発明の実施形態によりフォトレジストストリッパー溶剤の再生回収率を改善する方法及び装置を示す概略図である。
【0056】
図3によると、ストリッパー廃液を2次蒸留塔で蒸留し、凝縮器4により凝縮して、貯蔵タンク5に回収される間、蒸留塔D−2に連結されたリボイラーに供給されるストリッパー廃液に溶解されたフォトレジストは濃縮されていく。濃縮された溶解フォトレジストに含まれるストリッパー廃液の一部を気体クロマトグラフィ17に流入させて、NMP含量を測定する。同時に、ストリッパー廃液の別の一部を紫外吸収分光光度計18に流入させて、吸光度を測定する。廃液に溶解されたフォトレジストの濃度を前記の方法により測定する。紫外吸収分光光度計18で溶解フォトレジストの濃度を決定するために、ストリッパー廃液に溶解されたフォトレジストの濃度と吸光度の相関関係表をあらかじめ作成しておかなければならない。
【0057】
ストリッパー廃液に溶解されたフォトレジスト樹脂がリボイラーで濃縮されて、固体成分として析出され始めたときの紫外吸収分光光度計18により測定したフォトレジスト樹脂の濃度が、最大飽和濃度といえる。この時点で、リボイラー内のストリッパー廃液の水位を第1最低水位と定める。紫外吸収分光光度計18により測定したフォトレジスト樹脂の濃度が最大飽和濃度を超えないとき、第1制御装置18aがシグナルを出力し、第1流量制御バルブ16−1を開けて、移動ポンプ2−4を作動させる。これにより、リボイラーの内部に連続的に流量されて、フォトレジストの析出が防止される。
【0058】
一方、紫外吸収分光光度計18により測定したフォトレジスト樹脂の濃度が最大飽和濃度に達し、リボイラー7へのストリッパー廃液流量を増加させることにより、溶解フォトレジスト樹脂の濃度を減少しなければならないとき、第1制御装置18aがシグナルを出力し、第2流量制御バルブ16−2を開けて、移送ポンプ2−1を作動させる。これにより、飽和した溶解フォトレジストを含む廃液の一部が回収タンクT−2に移送される。同時に、第1制御装置18aが別のシグナルを出力し、移送ポンプ1−2を作動させる。従って、リボイラーへのストリッパー廃液の流量が増加しながら、リボイラーの内部のストリッパー廃液の水位を第1最低水位以上に維持することができる。
【0059】
次いで、廃液内に含まれるNMP含量を分析するために、リボイラー7内のストリッパー廃液(蒸留残留物)の一部を、気体クロマトグラフィ17に流入させる。気体クロマトグラフィ17により分析したNMP含量を基に、NMP含量が30重量%であるストリッパー廃液に対してリボイラーの第1最低水位よりNMP含量が少ないとき、第2制御装置17aによって、第3流量制御バルブ16−3及び移送ポンプ2−5を通して、所望するリボイラー工業用グレードNMP含量をタンク19からリボイラーに供給する。工業用グレードのNMPの供給が負荷セル20から検出されると、第2制御装置17aがシグナルを出力して、流量制御バルブ16−3を閉じて、移送ポンプ2−5の作動を停止させる。
【0060】
その後、NMP含量が所望する水位に達した後、溶媒フォトレジストの濃度を紫外吸収分光光度計18により継続して観察する。ストリッパー廃液に溶解されたフォトレジスト樹脂を更に濃縮し、固体成分として析出し始めたときが、フォトレジストの最高飽和濃度である。その濃度でのリボイラー内のストリッパー廃液の水位を第2最低水位と定める。
【0061】
次いで、前述した通り、リボイラー内のストリッパー溶剤の水位を第2最低水位以上に維持することにより、フォトレジスト樹脂の固形化が防止され、再生回収率も高めることができる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が以下の実施例により限定されるものではない。
本発明による再生方法および再生回収率を改善する方法は、半導体装置の製造により回収される多様なフォトレジストストリッパー廃液に適用され、実施例に用いたストリッパー廃液の成分を表1に示した。
【0063】
【表1】

【0064】
第1蒸留装置を用いて低沸点不純物を除去する工程での蒸留条件と、除去工程後の実施例1〜5のストリッパー廃液の水分含量を表2に示した。
【0065】
【表2】

【0066】
第2蒸留装置を用いてストリッパー溶剤全体を回収する工程での蒸留条件を、表3に示した。
【0067】
【表3】

【0068】
ストリッパー溶剤の各溶媒を回収する第2再生工程での蒸留条件を、表4に示した。
【0069】
【表4】

【0070】
回収された溶剤の最終分析結果を、表5に示した。
【0071】
【表5】

【0072】
本発明による1次再生回収率の改善結果を表6に示した。
【0073】
【表6】

【0074】
表6に示されるように、NMP含量が10〜30重量%であるストリッパー廃液について、リボイラーの水位を、例えば、リボイラーの高さの50%を基準に12.9〜25.3%の範囲に維持したり、溶解フォトレジスト樹脂の最高濃度を9.0〜25.0重量%に維持したとき、ストリッパー廃液の再生回収率は72〜85%であった。NMP含量が30重量%であるとき、リボイラーの第1最低水位が最も低く、回収率は最も高かった。
【0075】
実施例2、4及び5において、NMPを補充して再生回収率が更に改善された結果を、表7に示した。
【0076】
【表7】

【0077】
表7に示されるように、NMP含量が10重量%であるとき、工業用グレードNMPを補充することにより、再生回収率が2.3の濃度比で72〜81%更に改善された。NMP含量が20重量%であるとき、再生回収率が79〜83%更に改善された。そして、NMPが含まれなかったときには、再生回収率は65〜79%に高くなった。
【0078】
最後に、再生された電子産業グレード高純度の各溶剤について分析し、その結果を表8に示した。
【0079】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0080】
前述した通り、本発明によるフォトレジストストリッパーの再生方法および装置は、ストリッピング工程の下流工程として利用される従来の非連続的運転でのエネルギー効率と比較して向上し、ストリッパー溶剤を補充するような複雑な工程を行う必要がない。更に、高回収率で再生された電子産業グレードストリッパー溶剤は、電子部品を製造する様々な設備でのストリッピング工程に適用することができる。従って、本発明は費用削減及び環境保護において有効である。
【0081】
そして、本発明による前処理工程を通して、様々なストリッパー廃液の混合物を容易に再生することができるようになる。また、pHの調節で有機酸化合物をなくしたために再生装置の腐食を防ぎ、安定した再生を行うことができる。
【0082】
本発明による統合再生工程は、大規模な装置がなく、ストリッパー溶剤から微量水分を効率的に除去することができることはもちろん、容易に分離することができ、沸点が近いストリッパー溶剤を精製することができる。従って、電子産業グレード純度の主溶媒が経済的に回収することができる。
【符号の説明】
【0083】
T−1;供給タンク
T−2、T−3;分離回収タンク
T−4、T−5、T−6、T−7、T−8、T−9;ストリッパー溶剤貯蔵タンク
F−1、1−1、1−2、2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、3−1、3−2;移送ポンプ
D−1、D−2、D−3;蒸留塔
1、4、10、11;凝縮器
2、5、12;貯蔵タンク
3、7、14;リボイラー
7a;加熱媒体ライン
6;塔の下部
8、15;減圧ポンプ
9;螺旋型攪拌カラム
13;マイクロフィルター
16−1、16−2、16−3;流量制御バルブ
17;気体クロマトグラフィ
18;紫外吸収分光光度計
17a、18a;制御装置
19;NMP供給タンク
20;負荷セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストストリッパー廃液の供給装置、及び前記供給装置からパイプを通して移送されたフォトレジストストリッパー廃液を蒸留することで低沸点不純物を除去する1次蒸留塔とを備える1次蒸留装置と、
前記1次蒸留塔の下部に連結されたパイプを通して移送された低沸点不純物が除去されたストリッパー溶剤を蒸発する2次蒸留塔、及び前記2次蒸留塔の上部に連結され、蒸発されたストリッパー溶剤を凝縮する凝縮器を備える2次蒸留装置と、
前記ストリッパー溶剤の成分を各沸点によって順次に蒸発する3次蒸留塔、及び前記3次蒸留塔の上部に連結され、前記ストリッパー溶剤の成分を凝縮する凝縮器とを備える3次蒸留装置と、
を含むことを特徴とするフォトレジストストリッパーの再生装置。
【請求項2】
前記3次蒸留塔の上部に連結された微量水分凝縮器を更に備え、前記3次蒸留塔で蒸発されたストリッパー溶剤に残留する微量水分を凝縮することを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストストリッパーの再生装置。
【請求項3】
前記2次蒸留塔の下部に連結されたリボイラーを更に備え、高沸点物質が凝固しない程度に前記リボイラーで濃縮された後、排出されることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストストリッパーの再生装置。
【請求項4】
前記リボイラーに連結されたN−メチルピロリドン(NMP)供給装置を更に備え、リボイラー内の高沸点不純物が析出されないように高沸点不純物の濃度を維持することを特徴とする請求項3に記載のフォトレジストストリッパーの再生装置。
【請求項5】
前記3次蒸留塔は螺旋型スピンバンド式蒸留塔であることを特徴とする請求項3に記載のフォトレジストストリッパーの再生装置。
【請求項6】
低沸点不純物を除去するためにフォトレジストストリッパー廃液を1次蒸留する段階と、
高沸点不純物を除去するために、低沸点不純物が除去されたフォトレジストストリッパー廃液を2次蒸留し、ストリッパー溶剤に1次再生する段階と、
各ストリッパー溶剤に2次再生するために、ストリッパー溶剤成分を順次蒸留する段階と、
を含むことを特徴とするフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項7】
前記2次再生段階は、螺旋型攪拌カラムを有するスピンバンド式蒸留塔で、1500〜2400rpmの攪拌速度、90〜300トールの減圧条件下で行われることを特徴とする請求項6に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項8】
前記2次再生段階は、3〜17の還流比で行われることを特徴とする請求項6または7に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項9】
前記フォトレジストストリッパー廃液は、半導体または液晶表示装置(LCD)の製造工程で回収された後、混合されることを特徴とする請求項6に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項10】
前記1次再生段階の前に、中和、析出及びろ過のうち少なくとも1つの方法によりフォトレジストストリッパー廃液を前処理する段階を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項11】
前記1次蒸留は、常圧下で2〜5の還流比で行われることを特徴とする請求項6に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項12】
前記2次蒸留は、90〜110トールの減圧下で1〜3の還流比で行われることを特徴とする請求項6に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項13】
前記2次蒸留工程は、81〜158℃で行われることを特徴とする請求項12に記載のフォトレジストストリッパーの再生方法。
【請求項14】
フォトレジストストリッパー廃液を蒸留し、フォトレジストストリッパー廃液供給装置、前記供給装置に連結された蒸留塔、前記蒸留塔の下部に連結されたリボイラー、及び前記蒸留塔の上部に連結された凝縮器を含むフォトレジストストリッパーの再生装置を利用してフォトレジストストリッパーに再生する工程で、前記リボイラーに供給されたフォトレジストストリッパー廃液の蒸留残留物に溶解されたフォトレジスト樹脂の濃度を、前記フォトレジスト樹脂が析出される最大飽和濃度以下に調節することを特徴とするフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。
【請求項15】
前記フォトレジスト樹脂の濃度を調節するために、
前記リボイラー、前記蒸留塔の下部または前記リボイラーに連結されたパイプに存在する蒸留残留物に溶解されたフォトレジスト樹脂が、固形成分で析出される飽和濃度を測定し、前記飽和濃度でリボイラーの水位を第1最低水位と定める段階と、
前記蒸留塔に前記フォトレジスト廃液を供給し、蒸留残留物の水位を前記第1最低水位以上に維持する段階と、
を含むことを特徴とする請求項14に記載のフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。
【請求項16】
前記フォトレジスト樹脂の濃度は、紫外吸収法により測定されることを特徴とする請求項15に記載のフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。
【請求項17】
前記フォトレジストストリッパー廃液を前記蒸留塔に供給して、蒸留残留物の水位を第1最低水位に維持する段階を行った後に、
目的とする再生回収率を得られる特定のNMP濃度を含む標準フォトレジストストリッパー廃液と、前記特定濃度より低い濃度のNMPを含むフォトレジストストリッパー廃液に対して、第1最低水位で蒸留残留物に含まれるNMP含量を分析し、NMP含量に対するフォトレジストの重量比を比較する段階と、
再生された前記フォトレジストストリッパー廃液の重量比が標準フォトレジストストリッパー廃液の重量比と等しくなるように、リボイラーにNMPを更に供給し、NMPが添加されるときのリボイラーの水位を第2最低水位と定める段階と、
前記リボイラー内の蒸留残留物の水位を、前記リボイラーにNMPを供給することで第2最低水位以上に維持する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。
【請求項18】
前記フォトレジスト樹脂の濃度を調節するために、
前記リボイラー、前記蒸留塔の下部または前記再沸騰に連結されたパイプに存在する蒸留残留物に溶解されたフォトレジスト樹脂が固形成分として析出される飽和濃度を測定し、前記飽和濃度でのリボイラーの水位を第1最低水位と定める段階と、
前記フォトレジストストリッパー廃液を前記蒸留塔に供給して、蒸留残留物の水位を第1最低水位に維持する段階を行った後に、目的とする再生回収率を得られる特定のNMP濃度を含む標準フォトレジストストリッパー廃液と、前記特定濃度より低い濃度のNMPを含むフォトレジストストリッパー廃液に対して、第1最低水位で蒸留残留物に含まれるNMP含量を分析し、NMP含量に対するフォトレジストの重量比を比較する段階と、
再生された前記フォトレジストストリッパー廃液の重量比が標準フォトレジストストリッパー廃液の重量比と等しくなるように、リボイラーにNMPを更に供給し、NMPが添加されるときのリボイラーの水位を第2最低水位と定める段階と、
前記リボイラー内の蒸留残留物の水位を、前記リボイラーにNMPを供給することで第2最低水位以上に維持する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項14に記載のフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。
【請求項19】
前記NMP含量は、気体クロマトグラフィにより測定されることを特徴とする請求項17または18に記載のフォトレジストストリッパー再生回収率の改善方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−501124(P2010−501124A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531325(P2009−531325)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006374
【国際公開番号】WO2009/031731
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(509026105)コレックス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】