説明

フッ素化されたリレンテトラカルボン酸誘導体及びそれらの使用

本発明は、フッ素化されたリレンテトラカルボン酸誘導体、その製造方法並びに前記誘導体を、特にn型の半導体として用いる使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化されたリレンテトラカルボン酸誘導体、その製造方法並びに前記誘導体を、特にn型の有機半導体として用いる使用に関する。
【0002】
将来、電子工学産業の多くの範囲において、古典的な無機半導体の他に、低分子もしくは高分子の材料を基礎とする有機半導体もその使用が増すことが期待される。前記の有機半導体は、古典的な無機半導体に対して、例えばより良好な基板適合性及びそれを基礎とする半導体素子のより良好な加工性という多くの利点を有する。該材料は、フレキシブルな基板上への加工を可能にし、かつその限界軌道エネルギーを、分子モデリングの方法によってそれぞれの使用分野に厳密に適合させることを可能にする。係る素子の明らかに削減された費用は、有機エレクトロニクスの研究分野に復活をもたらした。"有機エレクトロニクス"は、有機半導体層を基礎とする電子素子を製造するための新規材料と作製方法の開発に重点的に取り組んでいる。これには、とりわけ有機電界効果トランジスタ(Organic Field−Effect Transistors、OFET)並びに有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diods、OLED;例えばディスプレイでの使用のため)及び光電池が該当する。有機電界効果トランジスタは、例えば記憶素子及び集積型光電子装置において、大きな開発の将来性があると見なされる。従って、有機半導体、特にn型の半導体として適した、特に有機電界効果トランジスタで使用するのに適した有機化合物に高い要求がある。
【0003】
DE−A−3235526号は、ペリレン骨格がアルコキシ基もしくはアルキルチオ基並びに塩素もしくは臭素で置換されているペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド、その製造方法並びにそれらの集光プラスチックにおける使用に関する。前記文献の非発明実施例11ではフッ素化されたN,N−ビスイソオクチルペリルイミドは確かに実験式C403724ClF4で指示されて説明されているが、係る化合物を有機半導体として使用することは開示されていない。
【0004】
DE−A−19547209号は、1,7−ジアリールオキシ置換もしくは1,7−ジアリールチオ置換されたペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸並びにそれらの二無水物及びジイミドに関する。その製造のために、1,7−ジブロモペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドが中間生成物として使用される。フッ素で置換されたペリレンテトラカルボン酸誘導体は、前記文献には記載されていない。
【0005】
US5,986,099号(WO96/22332号)は、置換されたクアテリレンテトラカルボン酸ジイミドを記載しており、そこでは、芳香族基本骨格は12個までの置換基を有してよく、その際、とりわけハロゲン置換基であってよい。フッ素化されたクアテリレンテトラカルボン酸ジイミドは、記載されていない。
【0006】
US2005/0222416号A1(WO03/104232号)は、1,6,9,14−四置換されたテリレンテトラカルボン酸ジイミドを記載している。芳香族基本骨格でフッ素化された化合物は、また前記文献には記載されていない。
【0007】
DE−A−10148172号は、芳香族核上に電子供与性置換基を有する蛍光性のナフタリン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ビスイミドを記載している。
【0008】
US2003/0181721号A1は、1位、6位、7位及び/又は12位で置換されていてよい、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドを記載している。フッ素化された化合物は、前記文献には記載されていない。
【0009】
M.J.Ahrens、M.J.Fueller及びM.R.Wasielewskiは、Chem.Mater.2003,15,第2684〜2686において、シアノ置換されたペリレン−3,4−ジカルボキシイミド及びペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)を記載している。
【0010】
B.A.Jones他は、Angew.Chem.2004,116,6523〜6526頁において、ジシアノペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)をn型半導体として用いる使用を記載している。
【0011】
US2005/0176970号A1は、シアノ置換されたペリレン−3,4−ジカルボキシイミド及びペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)を基礎とするn型半導体を記載している。
【0012】
未公表のドイツ国特許出願102005061997.5号は、Br、F及び/又はCNで置換されたナフタレンテトラカルボン酸誘導体及び前記誘導体を、例えば有機電界効果トランジスタにおいて用いる使用を記載している。
【0013】
本発明の課題は、半導体として適した、例えば有機電界効果トランジスタで使用するために適した新規化合物を提供することである。好ましくは、空気安定性の化合物であることが望ましい。
【0014】
前記課題は、一般式I
【化1】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
場合により、他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、無関係にCl及びBrから選択される置換基を表し、かつ他の基は、水素を表し、
1は、OもしくはNRaを表し、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基を表し、
2は、OもしくはNRbを表し、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基を表し、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oを表し、
その際、Y1がNRaを表す場合については、基Z1及びZ2の1つはNRcを表してもよく、その際、基Ra及びRcは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表し、かつ
その際、Y2がNRbを表す場合については、基Z3及びZ4の1つはNRdを表してもよく、その際、基Rb及びRdは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]で示される化合物を、半導体として、特にn型半導体として、有機エレクトロニクスにおいて、特に有機電界効果トランジスタ、太陽電池及び有機発光ダイオードのために用いる使用によって解決される。
【0015】
本発明の更なる対象は、一般式Iの化合物を、光学ラベルのために、製品の不可視標識のために、蛍光色素として、生体分子用の蛍光ラベルとして、及び顔料として用いる使用である。
【0016】
本発明の更なる対象は、式Iで示される化合物であって、その式中、nが2を表し、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つがフッ素を表し、かつ他の少なくとも1つが塩素を表すものを除く化合物である。本発明による化合物は、特に、クロロ−テトラフルオロ−N,N′−ビスイソオクチルペリルイミドではない。
【0017】
式Iの化合物において、nは、本発明によるリレン化合物の基本骨格を成すペリ位で結合されたナフタレン単位の数を指す。個々の基Rn1〜Rn4において、nは、それらの基が結合されているリレン骨格のそれぞれのナフタレン基を指している。異なるナフタレン基に結合されている基Rn1〜Rn4は、それぞれ同一もしくは異なる意味を有してよい。従って、一般式Iの化合物は、以下の式で示されるペリレン、テリレンもしくはクアテリレンであってよい:
【化2】

【0018】
より高級の同族体(n=5,6)も同様に形成される。
【0019】
本発明の範囲内で、表現"アルキル"は、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルを含む。好ましくは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C30−アルキル、特にC1〜C20−アルキル、殊に好ましくはC1〜C12−アルキルである。アルキル基のための例は、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシルである。
【0020】
アルキルという表現は、アルキル基であって、その炭素鎖が−O−、−S−、−NRe−、−CO−、−SO−及び/又は−SO2−から選択される1つ以上の隣接していない基によって中断されていてよい基も含む。Reは、好ましくは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す。アルキルという表現は、また置換されたアルキル基も含む。置換されたアルキル基は、アルキル鎖の長さに応じて、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多くの)置換基を有してよい。前記置換基は、好ましくは互いに無関係に、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E1及びE2は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを表す。ハロゲン置換基は、好ましくは、フッ素、塩素もしくは臭素である。
【0021】
カルボキシレート及びスルホネートは、カルボン酸官能もしくはスルホン酸官能の誘導体、特に金属カルボキシレートもしくは金属スルホネート、カルボン酸エステル官能もしくはスルホン酸エステル官能又はカルボン酸アミド官能もしくはスルホン酸アミド官能を表す。アルキル基のシクロアルキル置換基、ヘテロシクロアルキル置換基、アリール置換基及びヘタリール置換基は、それ自体が非置換もしくは置換されていてよい;好適な置換基は、これらの基について以下に挙げるものである。
【0022】
上述のアルキルについての態様は、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル中のアルキル部についても当てはまる。
【0023】
アリールによって置換されたアルキル基("アリールアルキル")は、少なくとも1つの、以下に定義されるような、非置換もしくは置換されたアリール基を有する。その際、"アリールアルキル"中のアルキル基は、少なくとも1つの他の置換基を有してよく、かつ/又は−O−、−S−、−NRe−、−CO−及び/又は−SO2−から選択される1つ以上の隣接していない基によって中断されていてよい。アリールアルキルは、好ましくは、フェニル−C1〜C10−アルキル、特に好ましくはフェニル−C1〜C4−アルキル、例えばベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェンプロピ−1−イル、2−フェンプロピ−1−イル、3−フェンプロピ−1−イル、1−フェンブチ−1−イル、2−フェンブチ−1−イル、3−フェンブチ−1−イル、4−フェンブチ−1−イル、1−フェンブチ−2−イル、2−フェンブチ−2−イル、3−フェンブチ−2−イル、4−フェンブチ−2−イル、1−(フェンメタ)−エチ−1−イル、1−(フェンメチル)−1−(メチル)−エチ−1−イル又は−(フェンメチル)−1−(メチル)−プロピ−1−イルを表す;好ましくはベンジル及び2−フェネチルを表す。
【0024】
表現"アルケニル"は、本発明の範囲においては、直鎖状及び分枝鎖状のアルケニル基であって、鎖長に応じて、1つ以上の二重結合(例えば1、2、3、4もしくは4より多く)を有してよい基を含む。好ましくは、C2〜C18−アルケニル基であり、特に好ましくはC2〜C12−アルケニル基である。表現"アルケニル"は、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多くの)置換基を有してよい、置換されたアルケニル基をも含む。好適な置換基は、例えばシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE34、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E3及びE4は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを表す。
【0025】
アルケニルは、その際、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、ペンタ−1,3−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−3−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−6−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−3−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−6−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−7−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−7−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−5−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−2−イル、オクタ−1,4−ジエン−1−イル、オクタ−1,4−ジエン−2−イル、オクタ−1,4−ジエン−3−イル、オクタ−1,4−ジエン−6−イル、オクタ−1,4−ジエン−7−イル、オクタ−1,5−ジエン−1−イル、オクタ−1,5−ジエン−3−イル、オクタ−1,5−ジエン−4−イル、オクタ−1,5−ジエン−7−イル、オクタ−1,6−ジエン−1−イル、オクタ−1,6−ジエン−3−イル、オクタ−1,6−ジエン−4−イル、オクタ−1,6−ジエン−5−イル、オクタ−1,6−ジエン−2−イル、デカ−1,4−ジエニル、デカ−1,5−ジエニル、デカ−1,6−ジエニル、デカ−1,7−ジエニル、デカ−1,8−ジエニル、デカ−2,5−ジエニル、デカ−2,6−ジエニル、デカ−2,7−ジエニル、デカ−2,8−ジエニルなどを表す。前記のアルケニルについての態様は、アルケニルオキシ、アルケニルチオなど中のアルケニル基についても当てはまる。
【0026】
表現"アルキニル"は、非置換もしくは置換されたアルキニル基であって、1つ以上の隣接していない三重結合を有する基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどを含む。前記のアルキニルについての態様は、アルキニルオキシ、アルキニルチオなど中のアルキニル基についても当てはまる。置換されたアルキニルは、好ましくは、アルキルについて上述した置換基1つ以上(例えば、1、2、3、4、5もしくは5より多く)を有する。
【0027】
表現"シクロアルキル"は、本発明の範囲においては、非置換のシクロアルキル基も、置換されたシクロアルキル基も含み、好ましくは、C3〜C8−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチル、特にC5〜C8−シクロアルキルを含む。置換されたシクロアルキル基は、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多くの)置換基を有してよい。これらは、好ましくは互いに無関係に、アルキル並びにアルキル基について上述した置換基から選択される。前記シクロアルキル基は、置換されている場合には、好ましくは、1つ以上の、例えば、1、2、3、4もしくは5つのC1〜C6−アルキル基を有する。
【0028】
好ましいシクロアルキル基のための例は、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−s−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−s−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−t−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル、3−、4−及び5−プロピルシクロオクチルである。
【0029】
シクロアルケニルという表現は、非置換もしくは置換された一不飽和の、3〜8個の炭素環員、有利には5〜6個の炭素環員を有する炭化水素基、例えばシクロペンテン−1−イル、シクロペンテン−3−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘキセン−3−イル、シクロヘキセン−4−イルなどを含む。好適な置換基は、シクロアルキルについて上述したものである。
【0030】
ビシクロアルキルという表現は、好ましくは、5〜10個の炭素原子を有する二環式の炭化水素基、例えばビシクロ[2.2.1]へプチ−1−イル、ビシクロ[2.2.1]へプチ−2−イル、ビシクロ[2.2.1]へプチ−7−イル、ビシクロ[2.2.2]オクチ−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクチ−2−イル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.4.0]デシルなどを含む。
【0031】
表現"アリール"は、本発明の範囲においては、単核もしくは多核の芳香族炭化水素基であって、非置換もしくは置換されていてよい基を含む。アリールは、好ましくは、非置換もしくは置換されたフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニルなど、特に好ましくはフェニルもしくはナフチルを表す。置換されたアリールは、その環系の数と寸法に応じて、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多くの)置換基を有してよい。前記置換基は、好ましくは互いに無関係に、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE56、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E5及びE6は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールを表す。ハロゲン置換基は、好ましくは、フッ素、塩素もしくは臭素である。特に好ましくは、アリールは、フェニルを表し、フェニルは置換されている場合には、一般に1、2、3、4もしくは5個の、好ましくは1、2もしくは3個の置換基を有してよい。
【0032】
1つ以上の基を有するアリールは、例えば、2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル、2−、3−及び4−t−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−t−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニルを表す。
【0033】
表現"ヘテロシクロアルキル"は、本発明の範囲においては、一般に5〜8個の環原子、有利には5もしくは6個の環原子を有する、非芳香族の、不飽和もしくは完全に飽和の、脂環式の基であって、その環炭素原子の1、2もしくは3つが、酸素、窒素、硫黄及び基−NReから選択されるヘテロ原子によって交換されており、かつ非置換であるか、もしくは1つ以上の、例えば1、2、3、4、5もしくは6個のC1〜C6−アルキル基で置換されていてよい基を含む。係る複素脂環式の基のための例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラニル、1,2−オキサゾリン−5−イル、1,3−オキサゾリン−2−イル及びジオキサニルが挙げられる。
【0034】
表現"ヘテロアリール"は、本発明の範囲においては、非置換又は置換の、複素芳香族の、単核もしくは多核の基、有利にはピリジル、キノリニル、アクリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びカルバゾリルを含み、その際、前記の複素環式芳香族基は、置換されている場合には、一般に1、2もしくは3個の置換基を有してよい。前記の置換基は、好ましくはC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン及びシアノから選択される。
【0035】
窒素含有の5員ないし7員のヘテロシクロアルキル基もしくはヘテロアリール基であって、場合により酸素及び窒素から選択される他のヘテロ原子を有する基は、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル又はキナルジニルを含む。
【0036】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表す。
【0037】
以下の式において挙げられる基Ra及びRbのための具体的な例は、詳細には以下のとおりである:
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−ブトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、4−プロポキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、2−及び4−ブトキシブチル、4,8−ジオキサデシル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9−トリオキサドデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル、2−プロピルチオエチル、2−ブチルチオエチル、3−メチルチオプロピル、3−エチルチオプロピル、3−プロピルチオプロピル、3−ブチルチオプロピル、4−メチルチオブチル、4−エチルチオブチル、4−プロピルチオブチル、3,6−ジチアヘプチル、3,6−ジチアオクチル、4,8−ジチアノニル、3,7−ジチアオクチル、3,7−ジチアノニル、2−及び4−ブチルチオブチル、4,8−ジチアデシル、3,6,9−トリチアデシル、3,6,9−トリチアウンデシル、3,6,9−トリチアドデシル、3,6,9,12−テトラチアトリデシル及び3,6,9,12−テトラチアテトラデシル;
2−モノメチル−及び2−モノエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−及び3−ジメチルアミノプロピル、3−モノイソプロピルアミノプロピル、2−及び4−モノプロピルアミノブチル、2−及び4−ジメチルアミノブチル、6−メチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジアザオクチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル、9−メチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリアザウンデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザウンデシル、12−メチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル及び3,6,9,12−テトラメチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル;
(1−エチルエチリデン)アミノエチレン、(1−エチルエチリデン)アミノプロピレン、(1−エチルエチリデン)アミノブチレン、(1−エチルエチリデン)アミノデシレン及び(1−エチルエチリデン)アミノドデシレン;
プロパン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、ブタン−3−オン−2−イル及び2−エチルペンタン−3−オン−1−イル;
2−メチルスルフィニルエチル、2−エチルスルフィニルエチル、2−プロピルスルフィニルエチル、2−イソプロピルスルフィニルエチル、2−ブチルスルフィニルエチル、2−及び3−メチルスルフィニルプロピル、2−及び3−エチルスルフィニルプロピル、2−及び3−プロピルスルフィニルプロピル、2−及び3−ブチルスルフィニルプロピル、2−及び4−メチルスルフィニルブチル、2−及び4−エチルスルフィニルブチル、2−及び4−プロピルスルフィニルブチル及び4−ブチルスルフィニルブチル;
2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル、2−プロピルスルホニルエチル、2−イソプロピルスルホニルエチル、2−ブチルスルホニルエチル、2−及び3−メチルスルホニルプロピル、2−及び3−エチルスルホニルプロピル、2−及び3−プロピルスルホニルプロピル、2−及び3−ブチルスルホニルプロピル、2−及び4−メチルスルホニルブチル、2−及び4−エチルスルホニルブチル、2−及び4−プロピルスルホニルブチル及び4−ブチルスルホニルブチル;
カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、8−カルボキシオクチル、10−カルボキシデシル、12−カルボキシドデシル及び14−カルボキシテトラデシル;
スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル、12−スルホドデシル及び14−スルホテトラデシル;
2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、3−及び4−ヒドロキシブチル及び8−ヒドロキシ−4−オキサオクチル;
2−シアノエチル、3−シアノプロピル、3−及び4−シアノブチル;
2−クロロエチル、2−及び3−クロロプロピル、2−、3−及び4−クロロブチル、2−ブロモエチル、2−及び3−ブロモプロピル及び2−、3−及び4−ブロモブチル;
2−ニトロエチル、2−及び3−ニトロプロピル及び2−、3−及び4−ニトロブチル;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシ;
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ及びヘキシルチオ;
エチニル、1−及び2−プロピニル、1−、2−及び3−ブチニル、1−、2−、3−及び4−ペンチニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデシニル及び1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタデシニル;
エテニル、1−及び2−プロペニル、1−、2−及び3−ブテニル、1−、2−、3−及び4−ペンテニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデセニル及び1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタデセニル;
メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジフェニルアミノ及びジベンジルアミノ;
ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ及びベンゾイルアミノ;
カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ヘプチルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、ノニルアミノカルボニル、デシルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル;
アミノスルホニル、N−ドデシルアミノスルホニル、N,N−ジフェニルアミノスルホニル及びN,N−ビス(4−クロロフェニル)アミノスルホニル;
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、(4−t−ブチルフェノキシ)カルボニル及び(4−クロロフェノキシ)カルボニル;
メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル、ブトキシスルホニル、ヘキソキシスルホニル、ドデシルオキシスルホニル、オクタデシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、1−及び2−ナフチルオキシスルホニル、(4−t−ブチルフェノキシ)スルホニル及び(4−クロロフェノキシ)スルホニル;
ジフェニルホスフィノ、ジ(o−トリル)ホスフィノ及びジフェニルホスフィンオキシド;
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素;
フェニルアゾ、2−ナフチルアゾ、2−ピリジルアゾ及び2−ピリミジルアゾ;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−s−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−s−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−t−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル及び3−、4−及び5−プロピルシクロオクチル;3−及び4−ヒドロキシシクロヘキシル、3−及び4−ニトロシクロヘキシル及び3−及び4−クロロシクロヘキシル;
1−、2−及び3−シクロペンテニル、1−、2−、3−及び4−シクロヘキセニル、1−、2−及び3−シクロヘプテニル及び1−、2−、3−及び4−シクロオクテニル;
2−ジオキサニル、1−モルホリニル、1−チオモルホリニル、2−及び3−テトラヒドロフリル、1−、2−及び3−ピロリジニル、1−ピペラジル、1−ジケトピペラジル及び1−、2−、3−及び4−ピペリジル;
フェニル、2−ナフチル、2−及び3−ピリル、2−、3−及び4−ピリジル、2−、4−及び5−ピリミジル、3−、4−及び5−ピラゾリル、2−、4−及び5−イミダゾリル、2−、4−及び5−チアゾリル、3−(1,2,4−トリアジル)、2−(1,3,5−トリアジル)、6−キナルジル、3−、5−、6−及び8−キノリニル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアジアゾリル、2−及び5−ベンゾイミダゾリル及び1−及び5−イソキノリル;
1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−インドリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−イソインドリル、5−(4−メチルイソインドリル)、5−(4−フェニルイソインドリル)、1−、2−、4−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、3−(5−フェニル)−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、5−(3−ドデシル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)及び2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−クロマニル、2−、4−及び7−キノリニル、2−(4−フェニルキノリニル)及び2−(5−エチルキノリニル);
2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−クロロフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジクロロフェニル;2−、3−及び4−ヒドロキシフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジヒドロフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニル;3−及び4−カルボキシフェニル;3−及び4−カルボキサミドフェニル、3−及び4−N−メチルカルボキサミドフェニル及び3−及び4−N−エチルカルボキサミドフェニル;3−及び4−アセチルアミノフェニル、3−及び4−プロピオニルアミノフェニル及び3−及び4−ブチリルアミノフェニル;3−及び4−N−フェニルアミノフェニル、3−及び4−N−(o−トリル)アミノフェニル、3−及び4−(m−トリル)アミノフェニル及び3−及び4−(p−トリル)アミノフェニル;3−及び4−(2−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(3−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(4−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(2−ピリミジル)アミノフェニル及び4−(4−ピリミジル)アミノフェニル;
4−フェニルアゾフェニル、4−(1−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ナフチルアゾ)フェニル、4−(4−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ピリイルアゾ)フェニル、4−(3−ピリジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリジルアゾ)フェニル、4−(2−ピリミジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリミジルアゾ)フェニル及び4−(5−ピリミジルアゾ)フェニル;
フェノキシ、フェニルチオ、2−ナフトキシ、2−ナフチルチオ、2−、3−及び4−ピリジルオキシ、2−、3−及び4−ピリジルチオ、2−、4−及び5−ピリミジルオキシ及び2−、4−及び5−ピリミジルチオ。
【0038】
好ましいフッ素含有基Ra及びRbは、以下のとおりである:
2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル、3−(ペルフルオロオクチル)プロピル、4,4−ジフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,6,6,6−ペンタフルオロヘキシル、2,2−ジフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチルアミノ、1−ベンジル−2,2,2−トリフルオロエチル、2−ブロモ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−ピリジン−2−イルエチル、2,2−ジフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミノ、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル、2,2−ジフルオロ−1−フェニルエチル、1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルアミン、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル、3−(ペルフルオロオクチル)プロピル、ペンタフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、4−シアノ−(2,3,5,6)−テトラフルオロフェニル、4−カルボキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−5−メチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、4−カルボキサミド−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヨードフェニル、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−4,5,6−トリフルオロフェニル、4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、2−フルオロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−2,6−ジフルオロフェニル、2,4−ジブロモ−6−フルオロフェニル、3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル、4−シアノ−1−フルオロフェニル、1−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメチル−6−フルオロフェニル、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル、3−クロロ−2−フルオロフェニル、5−クロロ−2−フルオロフェニル、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロフェニル、2,3−ジシアノ−4,5,6−トリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロ−3−カルボキシフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−カルボキシフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、1−フルオロ−5−カルボキシフェニル、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル、6−ブロモ−3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−ニトロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3−ジフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−ニトロテトラフルオロフェニル、2,2′,3,3′,4′,5,5′,6,6′−ノナフルオロビフェニル、2−ニトロ−3,5,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−6−フルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロ−6−ヨードフェニル、2−フルオロ−6−カルボキシフェニル、2,4−ジフルオロ−3−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−カルボキシフェニル、4−ブロモ−2,5−ジフルオロフェニル、2,5−ジブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−5−メチルスルホニルフェニル、5−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヒドロキシメチルフェニル、3−フルオロ−4−ブロモメチルフェニル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロフェニル、2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル、5−クロロ−2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−ヨード−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−メチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,3,6−トリクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)ベンジル、2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、4−フルオロフェネチル、3−(トリフルオロメチル)フェネチル、2−クロロ−6−フルオロフェネチル、2,6−ジクロロフェネチル、3−フルオロフェネチル、2−フルオロフェネチル、(2−トリフルオロメチル)フェネチル、4−フルオロフェネチル、3−フルオロフェネチル、4−トリフルオロメチルフェネチル、2,3−ジフルオロフェネチル、3,4−ジフルオロフェネチル、2,4−ジフルオロフェネチル、2,5−ジフルオロフェネチル、3,5−ジフルオロフェネチル、2,6−ジフルオロフェネチル、4−(4−フルオロフェニル)フェネチル、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、ペンタフルオロフェネチル、2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−6−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,3,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,4−トリフルオロ)フェネチル、(3,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,5−トリフルオロ)フェネチル、(2−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(4−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−クロロ)フェネチル、(2,3−ジフルオロ−4−メチル)フェネチル、2,6−ジフルオロ−3−クロロフェネチル、(2,6−ジフルオロ−3−メチル)フェネチル、(2−トリフルオロメチル−5−クロロ)フェネチル、(6−クロロ−2−フルオロ−5−メチル)フェネチル、(2,4−ジクロロ−5−フルオロ)フェネチル、5−クロロ−2−フルオロフェネチル、(2,5−ジフルオロ−6−クロロ)フェネチル、(2,3,4,5−テトラフルオロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2,3−(ジフルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,5−ジ(トリフルオロメチル))フェネチル、2−フルオロ−3,5−ジブロモフェネチル、(3−フルオロ−4−ニトロ)フェネチル、(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2−(ブロモ−5−フルオロ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−ブロモ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−クロロ)フェネチル、(3−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(2−ブロモ−5−トリフルオロメチル)フェネチルなど。
【0039】
式Iで示され、その式中、nが2を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3、4、5もしくは6つがフッ素を表す化合物が好ましい。
【0040】
更に、式Iで示され、その式中、nが3を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3もしくは4つがフッ素を表す化合物が好ましい。
【0041】
式Iで示され、その式中、nが4を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3、4、5もしくは6つがフッ素を表す化合物が好ましい。
【0042】
リレンテトラカルボン酸二無水物を、以下に化合物I.Aとして呼称する。リレンテトラカルボン酸ジイミドを、以下に化合物I.Bと呼称し、その際、化合物I.Baは、付加的な架橋基Xを有さず、化合物I.Bbは、係る付加的な架橋基Xを有する。
【0043】
好ましいのは、式I.A及びI.Ba
【化3】

[式中、
基R11、R12、R13、R14、R21、R22、R23及びR24の1、2、3、4、5もしくは6つがフッ素を表し、場合により基R11、R12、R13、R14、R21、R22、R23及びR24の少なくとも1つがフッ素を表さずに、無関係にCl及びBrから選択される置換基を表し、その他の基が水素を表し、Ra及びRbが互いに無関係に、上述の意味の1つを有する]の化合物である。
【0044】
好ましくは、上述の式において、基R11、R12、R13、R14、R21、R22、R23及びR24は、フッ素を表さずに、水素を表す。
【0045】
特に好ましいのは、式I.A及びI.Ba
【化4】

[式中、
a及びRbは、互いに無関係に、水素を表し、又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]の化合物である。
【0046】
上述の化合物中の置換基Ra及びRbの意味に関しては、冒頭で行った説明を参照されたい。
【0047】
特に好ましくは、基Ra及びRbの少なくとも1つは、求電子的に置換された基を表す。
【0048】
特定の一実施態様においては、基Ra及びRbの少なくとも1つは、フッ素で一置換もしくは多置換された基を表す。特に好ましくは、RaもRbも、フッ素で一置換もしくは多置換された基を表す。好適なフッ素化された基に関しては、同様に冒頭で行った説明を参照されたい。
【0049】
更なる特定の一実施態様においては、基Ra及びRbは同一である。
【0050】
更なる好ましい一実施態様は、一般式I.Bb
【化5】

[式中、
n及びRn1、Rn2、Rn3及びRn4は上述の意味を有し、かつ
Xは、二価の架橋基であって、その両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]の化合物である。
【0051】
好ましくは、前記の架橋基Xは、該基が結合されているN−C=N基と一緒になって、5員ないし8員の複素環であって、場合によりシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及び/又はヘテロアリールと一縮合、二縮合もしくは三縮合されている複素環を表し、その際、それらの縮合された基が互いに無関係にアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ及びシアノから選択される1、2、3もしくは4つずつの置換基を有してよく、その際、E1及びE2は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表し、かつ/又はXは、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいシクロアルキル及び置換されていてよいアリールから選択される1、2もしくは3個の置換基を有してよく、かつ/又はXは、1、2もしくは3個の置換されていてよいヘテロ原子によって中断されていてよい。
【0052】
好ましくは、架橋基Xは、式(III.a)〜(III.d)
【化6】

[式中、RIV、RV、RVI、RVII、RVIII及びRIXは、互いに無関係に、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ、アルコキシカルボニル、アシルもしくはシアノを表し、その際、E1及びE2は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]の群から選択される。
【0053】
特定の一実施態様においては、群(III.a)〜(III.d)において、基RIV、RV、RVI、RVII、RVIII及びRIXは水素を表す。
【0054】
以下に、幾つかの特に好ましい本発明による化合物を示す:
【化7】

【0055】
【化8】

【0056】
【化9】

【0057】
【化10】

【0058】
【化11】

【0059】
【化12】

【0060】
【化13】

【0061】
【化14】

【0062】
一般式Iの本発明による化合物の製造は、同じリレン基本骨格を有するが、フッ素原子の代わりに他のハロゲン原子、例えばBr及びCl、特にBrを有する公知の化合物から出発して実施可能である。その際、特に、反応条件の選択に応じて、少なくとも1つの臭素原子を芳香族骨格上の置換基として有するリレン化合物が、ハロゲン原子のフッ素原子による完全な置換に、又はハロゲン原子のフッ素原子による部分的な置換と同時の部分的な水素の置換に供することができると判明した。
【0063】
従って、本発明の更なる対象は、式I
【化15】

[式中、n、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4、Y1、Y2、Z1、Z2、Z3及びZ4は、上記定義の通りである]で示される化合物を、実質的に無水の条件下でアルカリフッ化物との反応に供することによって製造する方法である。
【0064】
"実質的に無水の条件"とは、本発明の範囲では、反応に関与する全ての成分(出発物質、溶剤、錯形成剤など)に対して、多くとも2質量%、好ましくは多くとも1質量%、特に多くとも0.1質量%の全含水率を表す。無水の反応条件を達成するために、反応に関与する成分は、慣用の当業者に公知の方法に従って乾燥に供することができる。
【0065】
規定の混合型でハロゲン化された化合物を達成するために、フッ素化の後に得られる化合物を、元素のCl2及び/又はBr2でのハロゲン化に供することが好ましいことがある。
【0066】
臭素原子もしくは塩素原子のフッ素原子による芳香族求核置換(ハロゲン−脱ハロゲン化)のために適した方法条件は、原則的に公知である。ハロゲン−脱ハロゲン化のために適した条件は、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第4版、John Wiley&Sons出版(1992),659頁並びにDE−A−3235526号に記載されている。
【0067】
第一の実施態様においては、該反応は、臭素原子とフッ素原子との交換であり、場合により部分的な脱ハロゲン化を伴う。フッ素基の挿入のために、好ましくは、アルカリフッ化物、特にKF、NaFもしくはCsFが使用される。好ましくは、1当量のリレン化合物あたりに、1〜30当量のフッ化カリウムを使用する。
【0068】
ハロゲン交換のために好ましい溶剤は、非プトロン性極性溶剤、例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、(CH32SO、ジメチルスルホン、N,N′−ジメチルイミダゾリジノン又はスルホランである。特に好ましくは、スルホランが溶剤として使用される。好ましくは、溶剤は、その使用前に、当業者に公知の慣用の方法に従って水の除去のために乾燥に供される。
【0069】
ハロゲン交換のためには、更に錯形成剤、例えばクラウンエーテルを使用することができる。それには、例えば[12]クラウン−4、[15]クラウン−5、[18]クラウン−6、[21]クラウン−7、[24]クラウン−8などが該当する。錯形成剤の選択は、ハロゲン交換のために使用されるアルカリハロゲン化物のアルカリ金属の錯化能力に応じて行われる。フッ素基の挿入のためにKFを使用する場合に、錯形成剤は、好ましくは[18]クラウン−6が使用される。好ましくは、1当量のリレン化合物あたりに、0.1〜10当量のクラウンエーテルを使用する。
【0070】
更なる好適な相転移触媒は、例えば2−アザアレニウム化合物、カルボホスファゼニウム化合物、アミノホスホニウム化合物及びジホスファゼニウム化合物から選択される。A.Pleschke、A.Marhold、M.Schneider、A.Kolomeitsev及びG.V.Roeschenthalerは、Journal of Fluorine Chemisty 125,2004,1031−1038において、更なる好適な相転移触媒についての概要を示している。前記文献の開示を参照されたい。好ましい一実施態様においては、2−アザアレニウム化合物、例えば(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジウムクロリドが使用される。上述の相転移触媒の使用量は、好ましくは、使用されるリレン化合物の質量に対して、0.1〜20質量%、有利には1〜10質量%である。
【0071】
同様に、少なくとも1つのクラウンエーテルを、少なくとも1つのそれとは異なる相転移触媒と組み合わせて使用することが可能である。
【0072】
反応温度は、有利には100〜200℃、特に好ましくは120〜160℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜48時間である。
【0073】
無水の非プロトン性極性溶剤中でのアルカリフッ化物との反応に際して、ハロゲン交換の他に、一般にある程度まで脱ハロゲン化が生ずることがある。その際に得られる混合物は、引き続き分離に供することができ、無水物及び有機溶剤中に難溶性のイミドの場合には、H2SO4からの分別結晶化による分離に供することができる。有機溶剤中により良好に可溶性の化合物は、再結晶化もしくはカラムクロマトグラフィーによって分離することができる。
【0074】
アルカリフッ化物との実質的に無水の条件下での反応に際して、デヒドロフッ素化を行うことができる、すなわちその塩素原子もしくは臭素原子に加えて、芳香族水素原子もフッ素原子によって置換されることが判明した。
【0075】
本発明による方法の例示される一実施態様においては、ジブロモペリレンビスイミドもしくはジブロモペリレンビスイミドからなる混合物は、以下のスキームによるハロゲン交換に供され、その際、相応のジフルオロペリレンビスイミド(I.Ba)が得られる。
【0076】
【化16】

【0077】
その際、Ra及びRbは、上述の意味を有する。好ましくは、Ra及びRbは、同じ意味を有し、例えば両者ともC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルもしくはn−ドデシル、シクロアルキル、例えばシクロペンチルもしくはシクロヘキシル、又はアリール、例えばフェニル、2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニルなどを表す。
【0078】
前記の実施態様に従ってフッ素基を導入するために、好ましくはアルカリフッ化物、特にKFが使用される。
【0079】
好ましくは、前記の実施態様によるハロゲン交換のために、クラウンエーテルが使用され、KFを使用する場合に、特に[18]クラウン−6もしくは別の相転移触媒が使用され、好ましくは2−アザアレニウム化合物、特に(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジウムクロリド(CNC+)が使用される。特に好ましくは、スルホランが溶剤として使用される。
【0080】
本発明による方法の更なる例示される一実施態様においては、テトラクロロペリレンビスイミドは、以下のスキームによるハロゲン交換に供され、その際、相応のテトラフルオロペリレンビスイミド(I.Ba)が得られる。
【0081】
【化17】

【0082】
その際、Ra及びRbは、上述の意味を有する。好ましくは、Ra及びRbは、同じ意味を有し、例えば両者ともC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルもしくはn−ドデシル、又はアリール、例えばフェニル、2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニルなどを表す。
【0083】
前記の実施態様に従ってフッ素基を導入するために、好ましくはアルカリフッ化物、特にKFが使用される。
【0084】
前記の実施態様によるハロゲン交換のために、クラウンエーテルを使用でき、KFが使用される場合には、特に[18]クラウン−6を使用できる。好ましくは、2−アザアレニウム化合物、特に(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジウムクロリド(CNC+)が使用される。特に好ましくは、スルホランが溶剤として使用される。
【0085】
該生成物を半導体として使用するためには、該生成物を更なる精製に供することが好ましいことがある。それには、例えばカラムクロマトグラフィー法が該当し、その際、生成物は、例えばハロゲン化された炭化水素、例えば塩化メチレン又はトルエン/もしくは石油エーテル/酢酸エステル混合物中に溶解され、そしてシリカゲル上での分離もしくは濾過に供される。更に、昇華もしくは結晶化による精製も可能である。
【0086】
本発明の更なる対象は、式(I.Ba)
【化18】

[式中、n、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、前記の定義の通りであり、かつ
a及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示される化合物の製造方法において、
a1)式II
【化19】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4、R1の少なくとも1つは、ClもしくはBrを表し、nは、2、3もしくは4を表す]で示されるリレン二無水物を、実質的に無水の条件下で、前記のようにアルカリフッ化物との反応に供し、
b1)工程a1)で得られた化合物を、式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合によりそれとは異なる式Rb−NH2のアミンとの反応に供する
方法である。
【0087】
本発明の更なる対象は、式I.Bb
【化20】

[式中、n、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、前記の定義の通りである]で示される化合物の製造方法において、
a2)式II
【化21】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、ClもしくはBrを表し、nは、2、3もしくは4を表す]で示されるリレン二無水物を、実質的に無水の条件下で、前記のようにアルカリフッ化物との反応に供し、
b2)工程a)で得られた化合物を、式H2N−X−NH2のアミンとの反応に供する
方法である。
【0088】
工程a1)及びa2)
臭素原子もしくは塩素原子のフッ素原子による(並びに同様に水素原子による部分的な)芳香族求核置換のための好適な方法条件は、前記のとおりであり、ここではそれを参照されたい。
【0089】
工程b1)及びb2)
工程b1)におけるイミド化のために、工程a1)で得られる化合物を式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合により式Rb−NH2のアミンとの反応に供する場合に、一般式(I.Ba)
【化22】

[式中、Rbは、Raと同じ意味を有してもよい(イミド化のために式Ra−NH2のアミンのみを使用する場合に)]で示される少なくとも1つの化合物が得られる。
【0090】
工程b2)におけるイミド化のために、工程a2)で得られる化合物を、式H2N−X−NH2[式中、Xは、二価の架橋基であって、その両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]のアミンとの反応に供する場合に、一般式(I.Bb)の少なくとも1つの化合物が得られる。
【0091】
【化23】

【0092】
反応工程b1)及びb2)におけるカルボン酸無水物基のイミド化は、原則的に公知であり、例えばDE102004007382号A1に記載されている。好ましくは、二無水物と第1級アミンとの反応は、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、フェノールもしくは極性非プロトン性溶剤の存在下で行われる。好適な極性非プロトン性溶剤は、窒素複素環、例えばピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピペリドン及びN−メチルピロリドンである。式H2N−X−NH2の芳香族ジアミンとの反応のためには、好ましくは溶剤として窒素複素環もしくはフェノールが使用される。好適な触媒は、以下に挙げられる。溶剤としてフェノールを使用する場合に、触媒として好ましくはピペラジンが使用される。
【0093】
該反応は、イミド化触媒の存在下で行うことができる。イミド化触媒としては、有機酸及び無機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸及びリン酸が適している。好適なイミド化触媒は、更に、遷移金属、例えば亜鉛、鉄、銅及びマグネシウムの有機塩及び無機塩である。それには、例えば酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酸化亜鉛、酢酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、酢酸銅(II)、酸化銅(II)及び酢酸マグネシウムが該当する。イミド化触媒の使用は、好ましくは芳香族アミンの反応において行われ、一般に脂環式アミンの反応のためにも好ましい。脂肪族アミン、特に短鎖脂肪族アミンの反応に際して、一般に、イミド化触媒の使用は省くことができる。イミド化触媒の使用量は、アミド化されるべき化合物の全質量に対して、好ましくは5〜80質量%、特に有利には10〜75質量%である。
【0094】
好ましくは、アミンと二無水物とのモル量比は、約2:1〜10:1、特に有利には2:1〜4:1、例えば2.2:1〜3:1である。
【0095】
イミド化触媒として上述した有機酸は、溶剤としても適している。
【0096】
反応温度は、工程b1)もしくはb2)においては、一般に周囲温度から200℃までであり、有利には40〜160℃である。脂肪族アミン及び脂環式アミンの反応は、有利には約60〜100℃の温度範囲で行われる。芳香族アミンの反応は、有利には約120〜160℃の温度範囲で行われる。
【0097】
好ましくは、反応工程b1)もしくはb2)における反応は、保護ガス雰囲気下で、例えば窒素雰囲気下で行われる。
【0098】
反応工程b1)もしくはb2)は、常圧で、又は所望であれば高められた圧力下で行うことができる。好適な圧力範囲は、約0.8〜10バールの範囲にある。好ましくは、揮発性アミン(沸点約≦180℃)を使用する場合には、高められた圧力下での使用が適している。
【0099】
工程b1)もしくはb2)における反応で生ずる水は、蒸留によって当業者に公知の方法により分離することができる。
【0100】
一般に、反応工程b1)もしくはb2)において得られるジイミドは、更なる精製なくして使用することができる。しかしながら、該生成物を半導体として使用するためには、該生成物を更なる精製に供することが好ましいことがある。それには、例えばカラムクロマトグラフィー法が該当し、その際、生成物は、有利にはハロゲン化された炭化水素、例えば塩化メチル中に溶解され、そしてシリカゲル上での分離もしくは濾過に供される。
【0101】
驚くべきことに、式(I.Ba)
【化24】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1つ以上(例えば2、3もしくは4)は、フッ素を表し、その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、水素を表す]で示されるフッ素化されたジイミドを、イミド基の反応(加水分解)に供して、相応の二無水物(I.A)を形成させられることが判明した。驚くべきことに、フッ素基は、その際、塩基性加水分解条件に対しても安定である。従って、フッ素化された二無水物を製造できるが、それらは、さもなくば困難にのみ得られるに過ぎない。これらのフッ素化された二無水物は、その一方で、さもなくば得られないもしくは困難にのみ得られるに過ぎないジイミドの製造のための出発物質として用いることができる。
【0102】
従って、本発明の更なる対象は、式(I.A)
【化25】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、水素を表す]で示される二無水物の製造方法において、
式(I.Ba)
【化26】

[式中、Ra及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示されるジイミドを、二段階加水分解に供し、その際、第一段階を塩基の存在下で行い、第二段階を酸の存在下で行う
方法である。
【0103】
式(I.Ba)の化合物においては、Ra及びRbは、好ましくは、同じ意味を有し、例えば両者ともC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルもしくはn−ドデシル、又はアリール、例えばフェニル、2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニルなどを表す。
【0104】
特定の制限のない一実施態様においては、化合物(I.Ba)は、
【化27】

から選択される。
【0105】
加水分解の第一段階のために適した塩基は、例えばアルカリ金属−及びアルカリ土類金属の水酸化物、例えばNaOH、KOH、Ca(OH)2である。塩基の使用量は、好ましくは、加水分解されるべき化合物に対して、10〜500モル当量、特に好ましくは30〜350モル当量である。
【0106】
加水分解は、水及び/又は少なくとも1つのアルコールの存在下で実施することができる。好適なアルコールは、C1〜C18−アルカノール、好ましくはC3〜C10−アルカノール、特にC4〜C6−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノールもしくはn−ヘキサノールである。アルコールの使用量は、加水分解されるべき化合物1グラムあたりに、好ましくは10〜500ml、特に30〜250mlである。
【0107】
所望であれば、加水分解は、付加的に、出発ジイミドを可溶化する溶剤の存在下で実施することができる。適しているのは、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、フェノールもしくは極性非プロトン性溶剤、例えばピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン及びN−メチルピペリジンである。
【0108】
加水分解の第一段階のためには、反応温度は、一般に、周囲温度ないし200℃、好ましくは40〜180℃、特に好ましくは60〜150℃の範囲である。
【0109】
一般に、第一の加水分解段階の生成物は、単離することなく、第二の加水分解段階のために使用することができる。そのためには、一般に、十分な量の酸が反応混合物に対して添加される。好適な酸は、鉱酸、例えばHCl、H2SO4、H3PO4及び有機酸、例えばC1〜C6−カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸などである。
【0110】
加水分解の第二段階のためには、反応温度は、一般に、周囲温度ないし200℃、好ましくは50〜180℃、特に好ましくは80〜150℃の範囲である。
【0111】
得られた二無水物(I.A)の単離と、場合により精製は、通常の当業者に公知の方法に従って行われる。そのためには、例えば沈殿剤、例えば十分な量の水での沈殿、濾過及び乾燥が該当する。
【0112】
式(I.A)
【化28】

[式中、nは、2、3もしくは4を表し、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、フッ素を表し、その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示されるフッ素化された二無水物は、好ましくは、さもなくば得られないもしくは困難にのみ得られるにすぎないジイミドの製造のための出発物質として適している。
【0113】
従って、本発明の対象は、式(I.Ba)
【化29】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、かつ
a及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示される化合物の製造方法において、
式(I.A)
【化30】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示される二無水物を、式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合によりそれとは異なる式Rb−NH2のアミンとの反応に供する方法である。
【0114】
式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合により式Rb−NH2のアミンとの反応のために適しておりかつ好ましい方法条件に関しては、イミド化工程b1)についての上記の実施態様を、あるいはイミド化工程b1)及びb2)についての実施態様を、全範囲で参照されたい。
【0115】
本発明の更なる対象は、式I.Bb
【化31】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、かつ
Xは、二価の架橋基であって、その両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]で示される化合物の製造方法において、
式(I.A)
【化32】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示される二無水物を、式H2N−X−NH2のアミンとの反応に供する方法である。
【0116】
式H2N−X−NH2のアミンとの反応のために適しておりかつ好ましい方法条件に関しては、イミド化工程b2)についての上記の実施態様を、あるいはイミド化工程b1)及びb2)についての実施態様を、全範囲において参照されたい。
【0117】
驚くべきことに、式(I.Ba2)
【化33】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1つ以上(例えば2、3もしくは4)がフッ素を表し、その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、Rc1及びRc2は互いに無関係に、アリールを表し、かつRd1及びRd2は、互いに無関係にアルキルを表す]で示されるフッ素化されたジイミドは、容易に反応に供されて、ジイミドであってイミド窒素が水素原子を有するもの(I.BaH)が得られることが判明した。
【0118】
従って、本発明の更なる対象は、式(I.BaH)
【化34】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、かつ
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示される化合物の製造方法において、
式(I.Ba2)
【化35】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、
c1及びRc2は互いに無関係に、アリールを表し、かつ
d1及びRd2は、互いに無関係にアルキルを表す]で示されるジイミドを、強ルイス酸及びプロトン供与体との反応に供する方法である。
【0119】
上述の式(I.Ba2)の化合物において、Rc1及びRc2は、好ましくは同じ意味を有し、かつ例えば両者ともフェニルを表す。
【0120】
上述の式(I.Ba2)の化合物において、Rd1及びRd2は、好ましくは同じ意味を有し、例えば両者とも、C1〜C12−アルキル、特に好ましくはC1〜C12−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルを表す。特に、Rd1及びRd2は、両者ともメチルを表す。
【0121】
ルイス酸として、共有結合の金属ハロゲン化物及び電子対ギャップを有する半金属ハロゲン化物がこれに該当する。係る化合物は、当業者に公知であり、例えばJ.P.Kennedy、B.Ivan著の"Designed Polymers by Carbocationic Macromolecular Engineering",Oxford University Press,New York,1991から公知である。これらは一般的にはチタン、スズ、アルミニウム、バナジウム又は鉄のハロゲン化合物並びに特にホウ素のハロゲン化物の中から選択される。好ましいルイス酸は、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化チタン、四塩化スズ、三塩化アルミニウム、五塩化バナジウム、三塩化鉄、二塩化アルキルアルミニウム及び塩化ジアルキルアルミニウムである。特に好ましいルイス酸は、四塩化チタンである。
【0122】
ルイス酸は、式I.Ba2の化合物の両方のイミド基が反応するのに十分な量で使用される。ルイス酸と式I.Ba2の化合物とのモル比は、好ましくは2:1〜10:1、特に好ましくは2.1:1〜5:1である。
【0123】
前記反応は、通常、溶剤中で実施される。溶剤としては、ルイス酸に対して安定なものが該当する。好ましい溶剤は、ハロゲン化炭化水素、例えばハロゲン化脂肪族炭化水素、とりわけハロゲンアルカン、例えばクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン及び2−クロロブタン、及びハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン及びフルオロベンゼンである。また、好適なものは、上述の溶剤の混合物である。特に好ましい溶剤は、上述のハロゲンアルカン、とりわけジクロロメタンである。
【0124】
該反応は、まず十分に非プロトン性の、特に無水の反応条件下で行われることは自明のことである。溶剤の予備洗浄もしくは予備乾燥は、通常は、固形乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ又は予備乾燥された酸化物、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化カルシウムもしくは酸化バリウムでの処理によって行われる。
【0125】
一般に、本発明による方法は、60〜−140℃の範囲、好ましくは40〜−80℃の範囲、特に好ましくは10〜−40℃の範囲の温度で行われる。
【0126】
化合物(I.BaH)の遊離のために、プロトン性化合物(プロトン供与体)が反応混合物に添加される。プロトン供与体は、好ましくは、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノールもしくはt−ブタノール又はそれらと水との混合物から選択される。
【0127】
得られたジイミド(I.BaH)の単離と、場合により精製は、通常の当業者に公知の方法に従って行われる。それには、例えば反応に使用された溶剤の、例えば蒸発による除去が該当する。蒸発は、高められた温度及び/又は低減された圧力下で行うことができる。好適な一実施態様においては、ルイス酸との反応に使用された溶剤は、プロトン供与体の添加前に既に部分的にもしくは完全に除去される。ジイミド(I.BaH)の単離は、好適な沈殿剤での沈殿を含むことができる。好ましくは、ジイミド(I.BaH)の遊離のために、化合物(I.BaH)が不溶性もしくは僅かにのみ可溶性であるプロトン供与体が使用される。係るプロトン供与体は、水及び十分な含水率を有する水/アルコール混合物である。ジイミド(I.BaH)の単離は、更に濾過工程及び/又は乾燥工程を含むことができる。
【0128】
上述の化合物は、更なる精製に供することができる。それには、例えばカラムクロマトグラフィー法、昇華、結晶化もしくは前記の複数の方法の組み合わせが該当する。該生成物を半導体として使用するためには、該生成物を更なる精製に供することが好ましいことがある。カラムクロマトグラフィー並びに結晶化は、それぞれ好適な溶剤を使用しつつ行われる。それには、ハロゲン化された炭化水素、例えば塩化メチレンもしくはクロロホルム又は芳香族溶剤が該当する。結晶化のためには、また、非プロトン性のカルボン酸アミドが使用され、溶解度を下げるために場合により水及び/又はアルコールと組み合わせて使用することもできる。有機溶剤中に難溶性の化合物、例えばRa及びRbがC1〜C4−アルキルを表すジイミド並びに二無水物は、硫酸からの分別によっても精製することができる。昇華による精製は、温度勾配を用いて行うことができ、例えば以下に詳細に記載されるような3領域昇華装置において行うことができる。
【0129】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、特に好ましくは、有機半導体として適している。これらの化合物は、その際一般にn型半導体として機能する。本発明により使用される式(I)の化合物を別の半導体と組み合わせて、そのエネルギー準位の状況から、該別の半導体がn型半導体として機能する結果となる場合に、化合物(I)は、例外的にp型半導体として機能しうる。それは、例えばシアノ置換されたペリレンテトラカルボキシイミドと組み合わせた場合である。式(I)の化合物は、その空気安定性の点で優れている。更に、前記化合物は、高い電荷輸送移動度を有し、かつ高いオン/オフ挙動を有する。前記化合物は、特に好ましくは、有機電界効果トランジスタに適している。本発明による化合物は、好ましくは、集積回路(IC類)の製造のために、今まで慣用であったnチャネルMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))のために適している。その際、それは、CMOS類似の半導体素子、例えばマイクロプロセッサ用の、マイクロコントローラ用の、スタティックRAM用の、及び別のディジタル論理回路用の半導体素子である。半導体材料の製造のためには、本発明による方法を、以下の方法:印刷(オフセット、フレキソ、グラビア、スクリーン、インクジェット、電子写真)、蒸着、レーザー転写、フォトリソグラフィー、ドロップキャスティングの1つに従って再加工することができる。それらは、特にディスプレイ(特に大画面ディスプレイ及び/又はフレキシブルディスプレイ)及びRFIDタグでの使用のために適している。
【0130】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に、特に好ましくは、ダイオードにおいて、特にOLEDにおいて、光電池において、UV吸収剤として、蛍光増白剤として、不可視ラベルとして、そして生体分子用、例えばタンパク質、DNA、糖及びそれらの組み合わせ用の蛍光ラベルとして適している。
【0131】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に好ましくは、蛍光変換を基礎とするディスプレイにおける蛍光色素として、場合により太陽電池と組み合わされている集光性プラスチック部品において、起電表示における顔料色素として、化学発光を基礎とする用途における蛍光色素として(例えばグロースティックにおいて)適している。
【0132】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に好ましくは、蛍光変換を基礎とするディスプレイにおける蛍光色素として適している。係るディスプレイは、一般に、透明基板と、該基板上に存在する蛍光色素と、照射源とを含む。通常の照射源は、青色光(カラー・バイ・ブルー)もしくは紫外光(カラー・バイ・UV)を発する。該色素は、青色光か紫外光のいずれかを吸収し、緑色発光体として使用される。前記のディスプレイにおいては、例えば赤色光は、赤色発光体を青色光吸収性もしくは紫外光吸収性の緑色発光体によって励起することでもたらされる。好適なカラー・バイ・ブルー型ディスプレイは、例えばWO98/28946号に記載されている。好適なカラー・バイ・UV型のディスプレイは、例えばW.A.Crossland,I.D.Springle及びA.B.Daveyによって、Photoluminescent LCDs(PL−LCD) using phosphors Cambridge University and Screen Technology Ltd.,Cambridge,UKにおいて記載されている。
【0133】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に、OLEDにおける蛍光発光体として適しており、そこでは、該化合物は、電子発光によって又は相応の燐光発光体によってフォルスターのエネルギー移動(FRET)を介して励起される。
【0134】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に、荷電顔料色素を介した電気泳動効果に基づき色をオンオフするディスプレイにおいて適している。係る電気泳動的ディスプレイは、例えばUS2004/0130776号に記載されている。
【0135】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に、大面積で光を吸収し、かつその縁部で複数回の屈折の後に発光する集光性のプラスチック部品(いわゆるLISA)における使用のために適している。係るLISAは、縁部に太陽電池、例えば集光を電気エネルギーに変換するシリコン太陽電池もしくは有機太陽電池を有してよい。集光性プラスチックと太陽電池との組み合わせは、例えばUS4,110,123号に記載されている。
【0136】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に、化学発光用途において適している。そのためには、いわゆる"グロースティック"が該当する。その製造のためには、少なくとも1つの式(I)の化合物を、例えばフタル酸アルキル中に溶解させてよい。化学発光の励起は、シュウ酸エステルと過酸化水素との混合によって、例えば両者が当初は別個であったそれらの成分をガラスの破壊によって混合することで行うことができる。生ずる反応エネルギーは、色素の励起と発光をもたらす。係るグロースティックは、緊急用ライトとして、例えば魚釣りに際して、海難救助用ベストにおいて、又は他の安全用途において使用することができる。
【0137】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られる化合物は、更に特に、レーザ溶接のために又は熱管理のために適している。
【0138】
更に、本発明の対象は、少なくとも1つのゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する基板及びn型半導体としての前記の式Iの少なくとも1つの化合物を含む、有機電界効果トランジスタである。更に、本発明の対象は、多くの有機電界効果トランジスタを有する基板であって、その電界効果トランジスタの少なくとも一部が、n型半導体としての前記定義の式Iで示される少なくとも1つの化合物を含有する基板である。本発明の対象は、少なくとも1つの係る基板を含む半導体素子でもある。
【0139】
特定の一実施態様は、有機電界効果トランジスタのパターン(トポグラフィー)を有する基板であって、各トランジスタが、基板上に存在する有機半導体;導電チャネルの導電性の制御のためのゲート構造;及び前記チャネルの両端にある導電性のソース電極とドレイン電極とを有し、前記有機半導体が、式(I)の少なくとも1つの化合物からなるか又は式(I)の化合物を含む基板である。更に、有機電界効果トランジスタは、一般に誘電体を含む。
【0140】
更なる特定の一実施態様は、有機電界効果トランジスタのパターンを有する基板であって、各トランジスタが集積回路を形成するか又は集積回路の一部であり、かつトランジスタの少なくとも一部が少なくとも1つの式(I)の化合物を含む基板である。
【0141】
基板としては、原則的にそのために知られた材料が適している。好適な基板は、例えば金属(好ましくは周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばAu、Ag、Cu)、酸化物材料(例えばガラス、石英、セラミック、SiO2)、半導体(例えばドープトSi、ドープトGe)、金属合金(例えばAu、Ag、Cuなどを基礎とする)、半導体合金、ポリマー(例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン並びにそれらの混合物及び複合物)、無機固体(例えば塩化アンモニウム)、紙並びにそれらの組み合わせを含む。基板は、所望の用途に応じて、フレキシブルであっても又はフレキシブルでなく固いものであってもよく、湾曲もしくは平坦な形状であってよい。
【0142】
半導体素子用の典型的な基板は、マトリックス(例えば石英マトリックスもしくはポリマーマトリックス)と、場合により誘電性被覆層とを含む。
【0143】
好適な誘電体は、SiO2、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブテン)、ポリビニルカルバゾール、フッ素化ポリマー(例えばCytop、CYMM)、シアノプラン、ポリビニルフェノール、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニルもしくは熱架橋性もしくは空気湿分により架橋可能なポリマーである。特定の誘電体は、"自己組織化ナノ誘電体"、すなわちSiCl官能性を含むモノマー、例えばCl3SiOSiCl3、Cl3Si−(CH26−SiCl3、Cl3Si−(CH212−SiCl3から得られる及び/又は空気湿分によりもしくは溶剤での希釈における水の添加によって架橋されるポリマーである(例えばFaccietti Adv.Mat.2005,17,1705−1725を参照のこと)。水の代わりに、ヒドロキシル基含有ポリマー、例えばポリビニルフェノールもしくはポリビニルアルコール又はビニルフェノールとスチレンとからのコポリマーも、架橋性分として用いることができる。また、少なくとも1つの他のポリマー、例えばポリスチレンを、架橋過程の間で添加して、次いで一緒に架橋させることもできる(Facietti,米国特許出願第2006/0202195号)。
【0144】
基板は、付加的に電極、例えばOFETのゲート電極、ドレイン電極及びソース電極を有してよく、それらは通常は基板上に位置している(例えば誘電体上の非導電層上に堆積もしくは該層中に埋設)。基板は、付加的にOFETの導電性ゲート電極を有してよく、それらは通常は、誘電性の被覆層(すなわちゲート誘電体)の下方に配置されている。
【0145】
特定の一実施態様によれば、絶縁層(ゲート絶縁層)が、基板表面の少なくとも一部上に存在する。絶縁層は、好ましくは無機絶縁体、例えばSiO2、SiNなど、強誘電性絶縁体、例えばAl23、Ta25、La25、TiO2、Y23など、有機絶縁体、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリビニルアルコール、ポリアクリレートなど並びにそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの絶縁体を含む。
【0146】
ソース電極及びドレイン電極のために適した材料は、原則的に導電性の材料である。そのためには、金属、好ましくは、周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばPd、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Crなどが該当する。適しているのは、更に、導電性ポリマー、例えばPEDOT(=ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン));PSS(=ポリ(スチレンスルホネート))、ポリアニリン、表面変性された金などである。好ましい導電性材料は、10-3Ω×メートル未満の、有利には10-4Ω×メートル未満の、特に10-6Ω×メートル未満もしくは10-7Ω×メートル未満の比抵抗を有する。
【0147】
特定の一実施態様によれば、ドレイン電極とソース電極は、少なくとも部分的に有機半導体材料上に存在する。もちろん、基板は、更に半導体材料もしくはIC類で通常使用される部品、例えばアイソレータ、抵抗、コンデンサ、導体路などを含んでよい。
【0148】
電極は、通常の方法に従って、例えば蒸着、リソグラフィー法又は別のパターン形成法に従って施与することができる。
【0149】
半導体材料は、好適な助剤(ポリマー、界面活性剤)を用いて分散相において印刷によって加工することができる。
【0150】
第一の好ましい一実施態様においては、一般式Iの少なくとも1つの化合物(と、場合により他の半導体材料)の堆積は、気相堆積法(物理蒸着PVD)によって行われる。PVD法は、高真空条件下で行われ、以下の工程:蒸発、輸送、堆積を含む。驚くべきことに、一般式Iの化合物は、実質的に分解されず、かつ/又は不所望な副生成物を形成しないため、特に好ましくはPVD法で使用するために適していることが判明した。堆積された材料は、高純度で得られる。特定の一実施態様においては、堆積された材料は、結晶の形で得られ、高い結晶分を含有する。一般に、PVDのために、一般式Iの少なくとも1つの化合物は、その蒸発温度より高い温度にまで加熱され、そして結晶温度より低い温度に冷却することによって基板上に堆積させる。堆積される場合の基板の温度は、有利には約20〜250℃、特に有利には50〜200℃の範囲である。驚くべきことに、式Iの化合物の堆積に際しての高められた基板温度は、達成される半導体エレメントの特性に好ましい影響を及ぼしうることが判明した。
【0151】
得られた半導体層は、一般に、ソース電極とドレイン電極との間のオーム接触に十分な厚さを有する。堆積は、不活性雰囲気下で、例えば窒素、アルゴン又はヘリウム下で行うことができる。
【0152】
堆積は、通常は、周囲圧力で、又は減圧下で行われる。好適な圧力範囲は、約10-7〜1.5バールである。
【0153】
好ましくは、式Iの化合物は、基板上に、10〜1000nmの厚さで、特に好ましくは15〜250nmの厚さで堆積される。特定の一実施態様においては、式Iの化合物は、まず部分的に結晶形で堆積される。このためには、特に、前記のPVD法が適している。更に、事前に製造した有機半導体結晶を使用することも可能である。係る結晶を得るための好適な方法は、R.A.Laudise他によって、"Physical Vapor Growth of Organic Semi−Conductors",Journal of Crystal Growth 187(1998)、第449〜454頁及び"Physical Vapor Growth of Centimeter−sized Crystals of α−Hexathiophene",Journal of Crystal Growth 1982(1997)、第416〜427頁に記載されており、その内容は参照をもって開示されたものとする。
【0154】
第二の好ましい一実施態様においては、一般式Iの少なくとも1つの化合物(と、場合により他の半導体材料)の堆積は、回転被覆(スピンコーティング)によって行われる。驚くべきことに、本発明により使用される一般式Iの化合物は、従って、湿式法(ウェットプロセス)においても半導体基板の製造のために使用できる。従って、式(I)の化合物は、印刷法による、半導体エレメント、特にOFETもしくはOFETベースの半導体エレメントの製造のために適していることが望ましい。そのために慣用の印刷法(インクジェット、フレキソ、オフセット、グラビア、凹版印刷、ナノプリント)を使用することができる。印刷法における式(I)の化合物の使用のために好ましい溶剤は、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレンなどである。この"半導体インク"に、増粘作用を有する物質、例えばポリマー、例えばポリスチレンなどを添加してもよい。その際、誘電体として、上述の化合物が使用される。
【0155】
好ましい一実施態様においては、本発明による電界効果トランジスタは、薄膜トランジスタ(thin film transistor,TFT)である。通常の構造によれば、薄膜トランジスタは、基板上に存在するゲート電極と、該電極と基板上に存在するゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に存在する半導体層と、該半導体層上のオーム接触層とを有し、該オーム接触層上にソース電極とドレイン電極を有する。
【0156】
好ましい一実施態様においては、基板表面は、一般式Iの少なくとも1つの化合物(と、場合により少なくとも1つの他の半導体材料)の堆積前に変性されている。前記の変性は、半導体材料を結合する領域及び/又は半導体材料を堆積できない領域の形成に役立つ。好ましくは、基板表面は、少なくとも1つの化合物(C1)によって変性され、該化合物は、基板表面並びに式(I)の化合物に結合するために適している。好適な一実施態様においては、少なくとも1つの一般式Iの化合物(と、場合により他の半導体化合物)の改善された堆積を可能にするために、基板表面の一部又は全表面は、少なくとも1つの化合物(C1)で被覆される。他の一実施態様は、一般式(C1)の化合物のパターンを相応の製造方法に従って基板上に堆積させることを含む。それには、公知のマスキング法並びにいわゆる"パターニング"法、例えばUS11/353934号に記載される方法が該当し、その全内容は、参照をもって本願に開示されたものとする。
【0157】
式(C1)の好適な化合物は、基板との結合性相互作用も、一般式Iの少なくとも1つの半導体化合物との結合性相互作用も可能にする。用語"結合性相互作用"は、化学結合(共有結合)、イオン結合、配位的相互作用、ファンデルワールス相互作用、例えば双極子−双極子相互作用などの結合及びそれらの組み合わせを含む。好適な一般式(C1)の化合物は、
− シラン、ホスホン酸、カルボン酸、ヒドロキサム酸、例えばアルキルトリクロロシラン、例えばn−(オクタデシル)トリクロロシラン;トリアルコキシシラン基を有する化合物、例えばアルキルトリアルコキシシラン、例えばn−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリ(n−プロピル)オキシシラン、n−オクタデシルトリ(イソプロピル)オキシシラン;トリアルコキシアミノアルキルシラン、例えばトリエトキシアミノプロピルシラン及びN[(3−トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン;トリアルコキシアルキル−3−グリシジルエーテルシラン、例えばトリエトキシプロピル−3−グリシジルエーテルシラン;トリアルコキシアリルシラン、例えばアリルトリメトキシシラン;トリアルコキシ(イソシアナトアルキル)シラン;トリアルコキシシリル(メタ)アクリルオキシアルカン及びトリアルコキシシリル(メタ)アクリルアミドアルカン、例えば1−トリエトキシシリル−3−アクリルオキシプロパン
− アミン、ホスフィン及び硫黄含有化合物、特にチオール
である。
【0158】
好ましくは、化合物(C1)は、アルキルトリアルコキシシラン、特にn−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン;ヘキサアルキルジシラザン及び特にヘキサメチルジシラザン(HMDS);C8〜C30−アルキルチオール、特にヘキサデカンチオール;メルカプトカルボン酸及びメルカプトスルホン酸、特にメルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸及びそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩から選択される。
【0159】
本発明による半導体を有する種々の半導体アーキテクチャ、例えばトップコンタクト、トップゲート、ボトムコンタクト、ボトムゲート、又は垂直構造、例えばVOFET(垂直有機電界効果トランジスタ)も考慮でき、それらは例えばUS2004/0046182号に記載されている。
【0160】
層厚は、半導体では、例えば10nm〜5μm、誘電体では、50nm〜10μmであり、電極は、例えば20nm〜1μm厚であってよい。OFETは、他の素子、例えばリング発信器もしくはインバータと組み合わせてもよい。
【0161】
本発明の更なる一態様は、複数のn型及び/又はp型の半導体であってよい半導体部品を含む電子素子を提供することである。係る素子の例は、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ平面トランジスタ(バイポーラ接合型トランジスタ、BJT)、トンネルダイオード、インバータ、発光素子、生物学的及び化学的なデテクタもしくはセンサ、温度依存性デテクタ、ホトデテクタ、例えば偏光感知型ホトデテクタ、ゲート、ANDゲート、NANDゲート、NOTゲート、ORゲート、TORゲート及びNORゲート、レジスタ、スイッチ、タイマーモジュール、スタティックメモリもしくはダイナミックメモリ及び別の動的もしくは順序論理素子又はプログラム可能な回路を含む別のディジタル素子である。
【0162】
特定の半導体エレメントはインバータである。ディジタル論理において、インバータは、入力信号を反転させるゲートである。インバータは、またNOTゲートとも呼称される。実インバータ回路は、入力電流とは反対の出力電流を示す。通常の値は、例えばTTL回路に関しては(0,+5V)である。ディジタルインバータの性能は、電圧遷移特性曲線(Voltage Transfer Curve VTC)、すなわち入力電流の出力電流に対するプロットが示す。より理想的には、ステップ関数が問題となり、実測曲線が係るステップと接近すればするほど、より良好なインバータである。本発明の特定の一実施態様においては、式(I)の化合物は、有機n型半導体としてインバータ中で使用される。
【0163】
本発明による化合物並びに本発明による方法に従って得られた式(I)の化合物は、更に特に好ましくは、有機光電池(OPV)での使用に適している。原則的に、前記化合物は、色素増感型太陽電池における使用にも適している。その際、特に無水物官能を有する式(I)の化合物が使用される。しかしながら、励起状態の拡散により特徴付けられる太陽電池でのその使用が好ましい。その際、使用される1つの半導体材料もしくは両方の半導体材料は、励起状態の拡散の点で優れている。また、励起状態の拡散により特徴付けられる少なくとも1つの半導体材料と、ポリマー鎖に沿った励起状態の伝達を可能にするポリマーとの組み合わせも適している。係る太陽電池は、本発明の範囲においては、励起子太陽電池と呼称される。太陽電池中で太陽エネルギーを電気エネルギーに直接的に変換することは、半導体材料の内部光効果に基づく。すなわち、光子の吸収による電子−正孔対の生成と、pn接合もしくはショットキ接合での負電荷担体と正電荷担体の分離とに基づく。励起子は、例えば光子が半導体中に侵入し、電子が価電子帯から導電体へと遷移して励起した場合に生じうる。電流が生ずるためには、吸収された光子によってもたらされた励起状態は、正孔と電子を生じ、次いでそれがアノードとカソードに流れるために、pn接合に至らねばならない。こうして生じた光電位は、外部回路において光電流をもたらし、それによって太陽電池はその出力を出す。その際、半導体から、そのバンドギャップより大きいエネルギーを有する光子のみが吸収できる。半導体バンドギャップの大きさは、従って、電気エネルギーに変換できる太陽光の割合を決める。太陽電池は、通常は、太陽エネルギーをできる限り効率的に利用するために、異なる禁制帯を有する2種の吸収性材料からなる。殆どの有機半導体は、10nmまでの励起子拡散長を有する。ここでは、更に、励起状態をできる限り大きな距離にわたって伝達できる有機半導体に要求がある。ここで驚くべきことに、前記の一般式Iの化合物は、特に好ましくは、励起子太陽電池での使用のために適していることが判明した。
【0164】
好適な有機太陽電池は、一般に、層状に構成されており、一般には少なくとも以下の層:アノード、光活性層及びカソードを含む。これらの層は、一般にそのために慣用の基板上に存在する。有機太陽電池の構造は、例えばUS2005/0098726号A1及びUS2005/0224905号A1に記載され、その全内容は、本願で参照をもって開示されたものとする。
【0165】
好適な基板は、例えば酸化物材料(例えばガラス、石英、セラミック、SiO2など)、ポリマー(例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン並びにそれらの混合物及び複合物)並びにそれらの組み合わせである。
【0166】
電極(カソード、アノード)としては、原則的には、金属(好ましくは、周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばPt、Au、Ag、Cu、Al、In、Mg、Ca)、半導体(例えばドープトシリコン、ドープトゲルマニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO)など)、金属合金(例えばPt、Au、Ag、Cuなどを基礎とする合金、特にMg/Ag合金)、半導体合金などが適している。好ましくは、アノードとしては、入射光に対して実質的に透過性の材料が使用される。それには、例えばITO、ドープされたITO、ZnO、TiO2、Ag、Au、Ptが該当する。好ましくは、カソードとしては、入射光に対して実質的に反射性の材料が使用される。それには、例えば金属フィルム、例えばAl、Ag、Au、In、Mg、Mg/Al、Caなどからなる金属フィルムが該当する。
【0167】
光活性層それ自体は、有機半導体材料として、前記定義の式I及びIIの化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含有する少なくとも1つの層を含むか又は該少なくとも1つの層からなる。一実施態様においては、光活性層は、少なくとも1つの有機アクセプター材料を含む。光活性層に加えて、1つ以上の他の層、例えば電子伝導特性を有する層(ETL、電子輸送層)及び正孔伝導性材料を含有する層(正孔輸送層、HTL)(これらの層は吸収を示す必要はない)、励起子と正孔を遮断する層(例えば励起子遮断層、EBL)(これらの層は吸収を示すべきでない)、倍増層(multiplication layer)を設けてもよい。好適な励起子と正孔を遮断する層は、例えばUS6,451,415号に記載されている。
【0168】
好適な励起子遮断層は、例えばバソクプロイン(BCP)、4,4′,4′′−トリス(N,−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)もしくはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)であり、それらは例えばUS7,026,041号に記載されている。
【0169】
本発明による励起子太陽電池は、光活性なドナーアクセプターヘテロ接合を基礎としている。少なくとも1つの式(I)の化合物をHTMとして使用する場合には、相応のETMは、該化合物の励起後にETMへと迅速な電子遷移が行われるように選択せねばならない。好適なETMは、例えばC60及び別のフラーレン、ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシイミド)PTCDIなどである。少なくとも1つの式(I)の化合物をETMとして使用する場合には、相補のHTMは、該化合物の励起後にHTMへと迅速な正孔遷移が行われるように選択せねばならない。ヘテロ接合は、平坦で実施することができる(二層有機光電池、C.W.Tang著のAppl.Phys.Lett,48(2),183−185(1986)もしくはN.Karl、A.Bauer、J.Holzaepfel、J.Marktanner、M.Moebus、F.Stoelzle著のMol.Cryst.Liq.Cryst.,252,243−258(1994)を参照)か、又はバルクヘテロ接合(バルクヘテロ接合もしくは相互侵入ドナーアクセプター網目、例えばC.J.Brabec、N.S.Sariciftci、J.C.Hummelen著のAdv.Funct.Mater.,11(1),15(2001)を参照)として実現できる。少なくとも1つの式(I)の化合物とHTLもしくはETLとの間のヘテロ接合を基礎とする光活性層は、MiM構造、pin構造、pn構造、Mip構造もしくはMin構造を有する太陽電池で使用することができる(M=金属、p=p型ドープされた有機もしくは無機の半導体、n=n型ドープされた有機もしくは無機の半導体、i=有機層の固有伝導系、例えばJ.Drechsel他著のOrg.Eletron.,5(4),175(2004)又はMaennig他著のAppl.Phys.A79,1−14(2004)を参照)。それらは、P.Peumnas、A.Yakimov、S.R.ForrestによってJ.Appl.Phys,93(7),3693−3723(2003)(特許US04461922号、US06198091号及びUS06198092号を参照)に記載されるように、タンデムセルにおいて使用することもできる。それらは、また、2つ以上の上下に積層されたMiMダイオード、pinダイオード、MipダイオードもしくはMinダイオード(特許出願DE10313232.5号を参照)からなるタンデムセルにおいても使用することができる(J.Drechsel他著のThin Solid Films,451452,515−517(2004))。
【0170】
前記化合物の薄膜及びあらゆる別の層は、真空もしくは不活性ガス雰囲気中での蒸着によって、レーザアブレーションによって又は溶液もしくは分散液で処理可能な方法、例えばスピンコート、ブレード塗布、キャスト法、吹き付け、浸漬被覆もしくは印刷(例えばインクジェット、フレキソ、オフセット、グラビア、凹版印刷、ナノインプリント)によって製造することができる。M層、n層、i層及びp層の層厚は、一般には、10〜1000nm、好ましくは10〜400nmである。
【0171】
基板としては、例えばガラス、金属シートもしくはポリマーシートが使用され、それらは一般に透明な導電層(例えばSnO2:F、SnO2:In、ZnO:Al、カーボンナノチューブ、金属薄膜)によって被覆されている。
【0172】
一般式(I)の化合物の他に、有機光電池での使用のためには、以下の半導体材料が適している:
アセン、例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン及び置換アセン。置換アセンは、電子押出性置換基(例えばアルキル、アルコキシ、エステル、カルボキシレートもしくはチオアルコキシ)、電子吸引性置換基(例えばハロゲン、ニトロもしくはシアノ)及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの置換基を含む。それには、2,9−ジアルキルペンタセン及び2,10−ジアルキルペンタセン、2,10−ジアルコキシペンタセン、1,4,8,11−テトラアルコキシペンタセン及びルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)が該当する。好適な置換ペンタセンは、US2003/0100779号及びUS6,864,396号に記載されている。好ましいアセンは、ルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)である。
【0173】
フタロシアニン、例えばヘキサデカクロロフタロシアニン及びヘキサデカフルオロフタロシアニン、金属不含の及び二価の金属含有のフタロシアニン、特にチタニルオキシ、バナジルオキシ、鉄、銅、亜鉛のフタロシアニン、特に銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン及び金属不含のフタロシアニン、ヘキサデカクロロ銅フタロシアニン、ヘキサデカクロロ亜鉛フタロシアニン、金属不含のヘキサクロロフタロシアニン、ヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン、ヘキサデカフルオロフタロシアニン又は金属不含のヘキサデカフルオロフタロシアニン。
【0174】
ポルフィリン、例えば5,10,15,20−テトラ(3−ピリジル)ポルフィリン(TpyP)。
【0175】
液晶(LC)材料、例えばヘキサベンゾコロネン(HBC−PhC12)又は別のコロン、コロネンジイミドもしくはトリフェニレン、例えば2,3,6,7,10,11−ヘキサヘキシルチオトリフェニレン(HTT6)又は2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(4−n−ノニルフェニル)トリフェニレン(PTP9)、2,3,6,7,10,11−ヘキサキス(ウンデシルオキシ)トリフェニレン(HAT11)。特に、ディスコチックな液晶が好ましい。
【0176】
チオフェン、オリゴチオフェン及びそれらの置換誘導体。好適なオリゴチオフェンは、クアテルチオフェン、キンケチオフェン、セキシチオフェン、α,ω−ジ(C1〜C8)−アルキルオリゴチオフェン、例えばα,ω−ジヘキシルクアテルチオフェン、α,ω−ジヘキシルキンケチオフェン及びα,ω−ジヘキシルセキシチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ビス(ジチエノチオフェン)、アントラジチオフェン及びジアルキルアントラジチオフェン、例えばジヘキシルアントラジチオフェン、フェニレン−チオフェン−(P−T−)オリゴマー及びそれらの誘導体、特にα,ω−アルキル置換されたフェニレン−チオフェン−オリゴマーである。
【0177】
好ましいチオフェン、オリゴチオフェン及びそれらの置換誘導体は、ポリ−3−ヘキシルチオフェンもしくはα,α′−ビス(2,2−ジシアノビニル)キンケチオフェン(DCV5T)、P3HT、(3−(4−オクチルフェニル)−2,2′−ビチオフェン)(PTOPT)、(PEOPT)、(ポリ(3−(2′−メトキシ−5′−オクチルフェニル)チオフェン))(POMeOPT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)(P3OT)、EHH−PpyPz、コポリマーPTPTB、BBL、F8BT、PFMO(Brabec C著のAdv.Mater.,2996,18,2884を参照)の種類の化合物である。(PCPDTBT)ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b′]−ジチオフェン)−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)。
【0178】
パラフェニレンビニレン及びパラフェニレンビニレン含有のオリゴマーもしくはポリマー、例えばポリパラフェニレンビニレン、MEH−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(2′−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン、MDMO−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(3′,7′−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレン−ビニレン))、PPV、CN−PPV(種々のアルコキシ誘導体を有する)。
【0179】
PPE−PPV−ハイブリッドポリマー。
【0180】
ポリフルオレン及び交互ポリフルオレンコポリマー、例えば(4,7−ジチエン−2′−イル−2,1,3−ベンゾチアジアゾール)、またF8BT、PFB。
【0181】
ポリカルバゾール、すなわちカルバゾール含有のオリゴマー及びポリマー、例えば(2,7)及び(3,6)。
【0182】
ポリアニリン、すなわちアニリン含有のオリゴマー及びポリマー、例えば(2,7)及び(3,6)。
【0183】
トリアリールアミン、ポリトリアリールアミン、ポリシクロペンタジエン、ポリピロール、ポリフラン、ポリシロール、ポリホスホール、TPD、CBP、スピロ−MeOTAD。
【0184】
フラーレン、特にC60及びその誘導体、例えばPCBM(=[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)。係るセルにおいては、フラーレン誘導体は正孔伝導体である。
【0185】
ヨウ化銅(I)、チオシアン酸銅(I)。
【0186】
p−n混合型材料、すなわち材料、ポリマー、ブロックポリマー中のドナー及びアクセプター、C60を有するポリマー、C60アゾ色素、KellyによってS.Adv.Mater.2006,18,1754に記載される三元のカロテノイド−ポルフィリン−キノーデ(quinode)LCドナー/アクセプターシステム。
【0187】
全ての上述の半導体材料は、ドープされていてもよい。ドーピング剤の例:Br2、F4−TCNQなど。
【0188】
本発明を、以下の制限されない実施例により詳細に説明する。
【0189】
実施例
トランジスタ特性データの調査のための一般的方法
I. 物理蒸着(PVD)による半導体基板の製造
基板として、誘電体として熱的堆積された酸化物層(静電容量Ci=10nF/cm2)を有するn型ドープされたシリコンウェハ(2.5×2.5cm、導電性<0.004Ω-1cm)を使用した。基板の表面をアセトンで洗浄し、引き続きイソプロパノールで洗浄することによって浄化した。引き続き、基板表面をn−オクタデシルトリメトキシシラン(OTS,C1837Si(OCH33)での処理によって変性させた。そのために、真空乾燥器中で数滴のOTS(Aldrich Chem.Co.社より購入)を、場合により加熱された基板表面(約100℃)上に与えた。前記乾燥器を、その直後に減圧(25mmHg)させ、そして基板を真空下で5時間そのままにした。引き続き、基板を110℃で15分間ベークし、イソプロパノールですすぎ、気流内で乾燥させた。式Iの化合物を、約40nmの層厚を有する薄膜として真空堆積によって基板表面に施与した。その施与速度は、10-5トルで1.0Å/sであった。トップコンタクト型の素子の製造のために、シャドウマスクを用いて有機半導体膜上にソース電極とドレイン電極を金から堆積させた。チャネル長は2000μmであり、チャネル幅は200μmであった。OFETの電気的特性を、Keithley 4200−SCS型の半導体パラメータアナライザによって測定した。
【0190】
II. 回転被覆(スピンコート)による半導体基板の製造
基板として、誘電体として熱的堆積(300nm)された酸化物層(静電容量Ci=10nF/cm2)を有するn型ドープされたシリコンウェハ(2.5×2.5cm、導電性<0.004Ω-1cm)を使用した。基板の表面をアセトンで洗浄し、引き続きイソプロパノールで洗浄することによって浄化した。引き続き、基板表面を、PVD法についてで記載したように、n−オクタデシルトリメトキシシラン(OTS,C1837Si(OCH33)での処理によって変性した。式Iの化合物を、薄膜として、回転被覆(800rpm,30秒)によってウェハ上に施与した。溶剤として、ジクロロメタンもしくはテトラヒドロフランを使用した。
【0191】
実施例1
1,7−ジフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
【化36】

【0192】
75mlの無水スルホラン、4.34g(5ミリモル)の1,7−ジブロモ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4−9,10−テトラカルボン酸ジイミド(製造法によっては、なおも約25%の1,6−ジブロモ異性体を含有する)と、0.26g(1ミリモル)の18−クラウン−6とからなる混合物を、160℃に加熱する。前記温度で、そこに1.74g(30ミリモル)の無水フッ化カリウムを添加し、該反応混合物をこの温度で90分間保持する。引き続き、室温にまで冷却し、500mlの水に注ぎ、そして濾過する。沈殿物を繰り返し水で洗浄し、そして真空中で乾燥させる。残留物を、クロマトグラフィー(トルエン/酢酸エステル 50:1)によって精製する。2.34(63%)の橙色の固体が得られる。
【0193】
f(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.56
【0194】
図1は、メチルイソブチレート中での吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示している。
【0195】
λmax(CH2Cl2)=511nm/130l・g-1cm-1、477nm/75l・g-1cm-1、448nm/26l・g-1cm-1
【0196】
1,7−ジフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのトルエン溶媒和物のX線回折法データを、Bruker AXS CCDデテクタによって単色化したCuKα線を使用して測定した。非対称単位は、2つの結晶学的に独立した半分のイミドと2分子のトルエンを含む。結晶データ:2C4038424・4C78、赤色プリズム晶、0.30×0.10×0.07mm、単斜結晶、空間群P21/c、a=17.040(2)、b=11.320(1)、c=25.137(2)Å、β=97.135(6)、V=4811.3(X)Å3、Z=4、ρcalc=1.388g/cm3、μ=0.105mm-1、F−(000)=1968、T=100(2)K、R1=0.052、4828の独立した反射及び653のパラメータ。
【0197】
実施例2
1,7−ジフルオロ−N,N′−ビスシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ビスシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
【化37】

【0198】
40mlの無水スルホラン中に、37mg(0.14ミリモル)の18−クラウン−6と、1.0g(17.2ミリモル)のKFと、0.5g(0.7ミリモル)の1,7−ジブロモ−N,N′−ビスシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド(製造条件によりなおも約25%の1,6−異性体を含有する)とを添加する。該混合物を、160℃に加熱し、そしてこの温度で1時間撹拌する。引き続き、室温に冷却し、該反応混合物を塩化ナトリウム溶液に注ぐ。沈殿した沈殿物を濾過し、水で複数回洗浄し、そして真空中で乾燥させる。生成物を、ジクロロメタンによる分取薄層クロマトグラフィーによって精製する。
【0199】
f(トルエン/酢酸エステル 10:1)=0.64
【0200】
実施例3
1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化38】

【0201】
80mlのスルホランと、4.24g(5ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと、0.52g(2ミリモル)の18−クラウン−6と、3.48g(60ミリモル)のKFとの混合物を、150℃に16時間加熱する。該反応混合物を冷却し、100mlのエタノールの添加によって沈殿させ、濾過し、そして残留物を水で洗浄し、そして乾燥させる。生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エステル 8:1)によって精製する。
【0202】
図2は、生成物のジクロロメタン中でのUVスペクトルを示している。
【0203】
λmax(吸収)(CH2Cl2)=440nm、467nm、502nm
λmax(発光)(CH2Cl2)=514nm、554nm、601nm
【0204】
1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのシクロボルタモグラムを、図4に示す。偏光顕微鏡写真を、図5に示し、そしてDSC曲線を、図6に示す。
【0205】
実施例4
1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と1,6−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物との混合物
【化39】

【0206】
50mlのスルホランと、1.9g(7.2ミリモル)の18−クラウン−6と、2.09g(36ミリモル)のフッ化カリウムとの混合物を、160℃に加熱し、そして1.0g(1.8ミリモル)の1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物(製造条件によりなおも約25%の1,6−異性体を含有する)を75mlのスルホラン中に入れた懸濁液を30分以内で滴加する。青色の反応混合物を160℃で1時間保持する。該反応混合物の冷却後に、それを塩化ナトリウム溶液に注ぎ、濾過し、そして水で複数回洗浄する。質量分析的な調査(MALDI)によれば、該生成物は、十分にジフルオロペリレンテトラカルボン酸二無水物からなっている。該化合物は、3領域昇華装置中で3回の昇華によって精製した。
【0207】
OFETは、PVD法についての一般的方法に従って製造する。その結果を、以下に示す。
【0208】
【表1】

【0209】
実施例5
1,7−ジフルオロ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
【化40】

【0210】
100mg(0.14ミリモル)の1,7−ジブロモ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド(約25%の1,6異性体を含有する)と、84mg(1.4ミリモル)のKFと、1mgの(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジニウムクロリドとの混合物を、3mlの無水スルホラン中で180℃に6.5時間にわたり加熱する。該反応混合物を、室温に冷却し、そして10mlの水の添加によって生成物を沈殿させる。その沈殿物を濾過し、水で複数回洗浄し、そして真空中で乾燥させる。ジクロロメタン/n−ペンタン(4:1)及び(3:2)でのクロマトグラフィーの後に、38mg(46%)の橙色の固体が得られる。
【0211】
1,7−ジフルオロ−N,N′−ビスシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのシクロボルタモグラムを、図3に示す。
【0212】
実施例6
1,7−ジフルオロ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物混合物のイミド化による
【化41】

【0213】
40mg(93マイクロモル)の1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物(実施例4による、約25%の1,6−ジフルオロ異性体を含有する)を、86.7mg(874マイクロモル)のシクロヘキシルアミン及び20.0mgの酢酸亜鉛及び5mlのキノリンと一緒に180℃に2時間加熱する。該反応混合物を室温に冷却し、希塩酸中に注ぎ、沈殿物を濾別し、水で洗浄し、そして真空中で乾燥させる。残留物を、実施例5に記載されるようにクロマトグラフィーによって精製した。
【0214】
実施例7
1,7−ジフルオロ−N,N′−ジ−(n−オクチル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ジ−(n−オクチル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
【化42】

【0215】
97mg(0.13ミリモル)の1,7−ジブロモ−N,N′−ジ−(n−オクチル)−ペリレン(約25%の1,6異性体を含有する)と、85mg(1.46ミリモル)のKFと、6mgの(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジニウムクロリド(CNC+)との混合物を、2.9gのスルホラン中で170℃に16時間にわたり加熱する。該反応混合物を、実施例5と同様に後処理する。クロロホルム/ペンタン(7:3)及び(3:2)でのクロマトグラフィーと、引き続いてのトルエンからの結晶化の後に、22.8mg(28%)の赤色固体が得られる。
【0216】
実施例8
1,7−ジフルオロ−N,N′−ジ−(n−オクチル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ジ−(n−オクチル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物混合物のイミド化による
【化43】

【0217】
44.0mgの1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物(実施例4による、約25%の1,6−ジフルオロ異性体を含有する)を、78.1mg(0.6ミリモル)のn−オクチルアミンと、20mgの酢酸亜鉛(II)及び5mlのキノリンと一緒に180℃に2時間加熱する。該反応混合物を、実施例6と同様に後処理する。クロロホルム/n−ヘキサン(4:1)及び(7:3)でのカラムクロマトグラフィーの後に、生成物が得られる。
【0218】
実施例9
1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(n−オクチル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化44】

【0219】
実施例5に従って、1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(n−オクチル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドの反応を実施する。目的化合物は、カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:n−ペンタン)(3:2)及び(7:3)後に橙色の固体として得られる。
【0220】
1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(n−オクチル)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのX線回折法データを、Bruker AXS CCDデテクタによって単色化したMoKα線を使用して測定した。結晶データ:C4038424、橙色針状晶、0.30×0.10×0.07mm、単斜結晶、空間群P−1、a=7.8097(4)、b=12.1717(7)、c=18.2517(11)Å、α=75.6050(10)、β=80.7910(10)、γ=80.2050(10)゜、V=1643.34(16)Å3、Z=2、ρcalc=1.388g/cm3、μ=0.105mm-1、F−(000)=720、T=193(2)K、R1=0.1295、wR2=0.2112、6490の独立した反射[2θ≦52.16゜]及び470のパラメータ。
【0221】
実施例10
N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化45】

【0222】
10.1 N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
460mg(0.836ミリモル)の1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物(F.Wuerther,V.Stepanenko,Z.Chen,C.R.Saha−Moeller.N.Kocher,D.Stalke著のJ.Org.Chhhem.2004,69,7933−7939)に記載されるように製造した)を、10mlの無水N−メチルピロリドン(NMP)中で30分間超音波浴において処理する。次いで、0.532g(2.68ミリモル)の2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアミンを7mlのN−メチルピロリドン及び0.34gの酢酸中に添加する。該反応混合物を90℃に5時間加熱する。室温に冷却した後に、2NのHClに注ぎ、沈殿した固体を濾別する。真空中で乾燥させた後に、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製し、その際、690mg(94%)の表題化合物が得られる。
【0223】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):δ=5.04(t,4H,3J(H,F)=15.3Hz),8.78(d、2H,3J=8.1Hz),9.00(s,2H),9.54(d,2H,3J=8.2Hz)
【0224】
10.2 N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
40.0mg(0.043ミリモル)のN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、30mgのKF及び10mgの18−クラウン−6を1.5mlのスルホラン中に入れて、160℃に45分間加熱する。冷却した混合物を水に注ぎ、そして沈殿した固体を濾別する。乾燥された固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、その際、11mg(32%)の表題化合物が得られる。
【0225】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):δ=5.04(t,4H,3J=15.8Hz),8.62(d、2H,3J=13.5Hz),8.81(s,2H,3J=7.6Hz),9.23(d,2H,3J=5.3Hz)
HR−MS(ESI(ネガティブモード,クロロホルム,アセトニトリル)):790.03903(M)、計算値790.03906(C32101624
シクロボルタモグラム(CH2Cl2,0.1Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAHFP)、フェロセンに対して):
red1/2(PBI/PBI-)=−0.92V
red1/2(PBI-/PBI2-)=−1.14V
PBI=ビスペリレンイミド
【0226】
OFETは、スピンコート法についての一般的方法に従って製造する。溶剤:ジクロロメタン;移動度:3.8×10-4cm2/Vs。
【0227】
OFETは、PVD法についての一般的方法に従って製造する。基板温度:125℃、移動度:0.223cm2/Vs。
【0228】
出発物質として、なおも約15%の1,6−異性体を含有する1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物を使用した場合に、N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとの異性体混合物が得られる。前記混合物を用いて太陽電池を製造した。
【0229】
実施例11
N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化46】

【0230】
11.1 N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
420mg(0.76ミリモル)の1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、1.20g(6.56ミリモル)のペンタフルオロアニリン及び200mgの酢酸亜鉛(II)を、140℃に5時間加熱する。室温に冷却した後に、固体混合物をジクロロメタン中に溶解させ、そして2NのHClに注ぐ。ジクロロメタンで複数回抽出し、有機相を合し、乾燥させ、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、その際、90mg(13%)の表題化合物が得られる。
【0231】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=8.12(d,2H,3J=8.1Hz),9.03(s,2H),9.58(d,2H,3J=8.1Hz);
HR−MS(ESI(ネガティブモード,クロロホルム,アセトニトリル)):877.85419(M)、計算値877.85401(C366Br21024
【0232】
11.2 N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
128mg(0.145ミリモル)のN,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、100mgのKF及び50mgの18−クラウン−6を2.5mlのスルホラン中で160℃に45分間加熱する。冷却した混合物を水に注ぎ、そして沈殿した固体を濾別する。乾燥された固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、その際、50mg(45%)の表題化合物が得られる。
【0233】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=8.66(d,2H,3J=13.3Hz),8.85(s,2H,3J=7.5Hz),9.29(m,2H);
HR−MS(ESI(ネガティブモード,クロロホルム)):792.98290(M+Cl-)、計算値792.98300(C3661224Cl)
シクロボルタモグラム(CH2Cl2,0.1MのTBAHFP、フェロセンに対して):
red1/2(PBI/PBI-)=−0.86V
red1/2(PBI-/PBI2-)=−1.08V
【0234】
実施例12
N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化47】

【0235】
12.1 N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
2.00g(3.63ミリモル)の1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物を、8mlの蒸留したキノリン中で0.5mlのメチルベンジルアミン及び10mgの酢酸亜鉛(II)と一緒に130℃に加熱する。3時間後に、室温に冷却し、そして200mlの2NのHClに添加する。沈殿した固体を濾別し、乾燥させ、そしてカラムクロマトグラフィーによって精製(ジクロロメタン)し、その際、1.31g(1.74ミリモル、48%)の表題化合物が得られる。
【0236】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):δ=2.02(d,6H,3J=7.2Hz),6.54(q,2H,3J=7.2Hz),7.2−7.3(m,2H),7.34(m,4H),7.51(m,4H),8.67(d,2H,3J=8.1Hz),8.90(s,2H),9.46(d,2H,3J=8.2Hz);
HR−MS(apci(ポジティブモード)):755.0178(M+H)+、計算値755.0176(C4024Br224
【0237】
12.2 N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
651mg(1.36ミリモル)のN,N′−1−フェニルエチル−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、650mgのKF及び200mgの18−クラウン−6を13mlのスルホラン中に入れて、160℃に1時間加熱する。冷却した混合物を200mlの水に入れ、そして沈殿した固体を濾別し、そして引き続き水で洗浄する。乾燥させた固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製する。330mg(0.52ミリモル、60%)の表題化合物が得られる。
【0238】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):δ=2.04(d,6H,3J=7.2Hz),6.54(q,2H,3J=7.2Hz),7.2−7.3(m,2H),7.34(m,4H),7.51(m,4H),8.46(d,2H,3J=13.7Hz),8.63(d,2H,3J=7.8Hz),9.04(m,2H);
HR−MS(apci(ポジティブモード)):635.1776(M+H)+、計算値635.1777(C4025224
【0239】
実施例13
N,N′−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化48】

【0240】
13.1 N,N′−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
2.00g(3.63ミリモル)の1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、4mlの2−エチルヘキシルアミン及び25mlのプロピオン酸を、142℃に3.5時間加熱し、次いでそれを150mlの水に入れる。沈殿した固体を濾別し、乾燥させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、その際、1.38g(50%)の表題化合物が得られる。
【0241】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):
δ=0.88−1.00(m,12H),1.25−1.43(m,16H),1.95(m,2H),4.16(m,4H),8.70(d,2H,3J=8.2Hz),8.94(s,2H),9.50(d,2H,3J=8.1Hz)
【0242】
13.2 N,N′−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
表題化合物は、実施例12.2に記載した方法と同様にして、N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの代わりに、N,N′−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドを使用するが、160℃に2時間加熱して製造する。表題化合物が50%の収率で得られる。
【0243】
実施例14
1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物
【化49】

【0244】
実施例19に記載される方法に従って、実施例13からのN,N′−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの反応を実施する。収率:90%。
【0245】
実施例15
N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化50】

【0246】
15.1 N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
1.00g(1.89ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物を、20mlの無水N−メチルピロリドン中で30分間にわたり超音波浴中に置く。次いで、1.06g(5.35ミリモル)の2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアミンを15mlのN−メチルピロリドン及び0.68gの酢酸中に添加する。該反応混合物を90℃に5時間加熱する。室温に冷却した後に、2NのHClに注ぎ、そして沈殿した固体を濾別する。真空中で乾燥させた後に、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製し、その際、1.30g(77%)の表題化合物が得られる。
【0247】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=5.04(t,4H,3J(H,F)=15.7Hz),8.75(s,4H);
HR−MS(ESI(ネガティブモード,クロロホルム,アセトニトリル)):924.86968(M+Cl-)、計算値924.87086(C328Cl51424);
シクロボルタモグラム(CH2Cl2,0.1MのTBAHFP,フェロセンに対する):
red1/2(PBI/PBI-)=−0.74V
red1/2(PBI-/PBI2-)=−0.95V
【0248】
15.2 N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
700mg(0.956ミリモル)のN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、1.09gのKF及び120mgの(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)−テトラメチルグアニジウムクロリドを50mlのスルホラン中に入れて、160℃に2時間加熱する。冷却した混合物を700mlの水に入れ、そして沈殿した固体を濾別し、そして引き続き水で洗浄する。乾燥させた固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ペンタン/ジクロロメタン:1/4)によって精製する。収量:63mg(8.6%)。
【0249】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=5.04(t,4H,3J(H,F)=15.3Hz),8.56(t,4H,3J=5.2Hz);
HR−MS(ESI(ネガティブモード,クロロホルム,アセトニトリル)):860.9886(M+Cl-)、計算値860.9891(C3281824Cl);
シクロボルタモグラム(CH2Cl2,0.1MのTBAHFP、フェロセンに対して):
red1/2(PBI/PBI-)=−0.87V
red1/2(PBI-/PBI2-)=−1.12V
【0250】
OFETは、スピンコート法についての一般的方法に従って製造する。溶剤:ジクロロメタン;移動度:4.0×10-4cm2/Vs。
【0251】
OFETは、PVD法についての一般的方法に従って製造する。基板温度:125℃、移動度:0.032cm2/Vs。
【0252】
実施例16
N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化51】

【0253】
16.1 N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
3.00g(5.66ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、65mlの蒸留されたキノリン、7.5ml(65.2ミリモル)のメチルベンジルアミン及び1.00gの酢酸亜鉛を180℃に加熱する。4時間後に、室温に冷却し、そして300mlの2NのHClに添加する。沈殿した固体を濾別し、乾燥させる。カラムクロマトグラフィーによる精製(ジクロロメタン)の後に、3.70g(88%)の表題化合物が得られる。
【0254】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=2.01(d,6H,3J=7.2Hz),6.54(q,2H,3J=7.2Hz),7.2−7.3(m,2H),7.34(m,4H),7.51(m,4H),8.64(s,4H);
HR−MS(apci(ポジティブモード)):735.0414(M-),計算値735.0406(C4023Cl424
【0255】
16.2 N,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
1.00g(1.36ミリモル)のN,N′−ジ−1−フェニルエチル−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、1.25gのKF及び100mgの(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)−テトラメチルグアニジウムクロリドを8mlのスルホラン中に入れて、160℃に5時間加熱する。冷却した混合物を200mlの水に入れ、そして沈殿した固体を濾別し、そして引き続き水で洗浄する。乾燥させた固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ペンタン/ジクロロメタン:1/2)によって精製する。収量:80mg(8.8%)。
【0256】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=2.01(d,6H,3J=7.0Hz),6.54(q,2H,3J=7.3Hz),7.26(m,2H),7.34(m,4H),7.51(m,4H),8.44(t,4H,3J=5.3Hz);
HR−MS(apci(ネガティブモード)):670.1532(M-),計算値670.1521(C4022424
【0257】
実施例17
1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化52】

【0258】
実施例16からの70.0mg(104マイクロモル)のN,N′−ジ−1−フェニルエチルアミン−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドを15mlのジクロロメタン中に溶かした溶液を、0℃に冷却する。次いで、200μlのBBr3をゆっくりと滴加し、その溶液を室温で3時間撹拌する。ジクロロメタンを真空中で除去し、そして残留物をメタノール/水の混合物を用いて超音波浴中で懸濁する。沈殿した固体を濾別し、そして水で、次にジクロロメタンで洗浄する。収量:45mg(93%)。
【0259】
HR−MS(EI(ポジティブモード)):462.0255(M+),計算値462.0260(C246424
【0260】
OFETは、PVD法についての一般的方法に従って製造する。基板温度:125℃、移動度:1.4×10-4cm2/Vs。
【0261】
OFETは、スピンコート法についての一般的方法に従って製造する。溶剤:テトラヒドロフラン;移動度:1.11×10-6cm2/Vs。
【0262】
実施例18
N,N′−2−エチルヘキシル−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
【化53】

【0263】
17.1 N,N′−2−エチルヘキシル−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
3.00g(5.66ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、16mlの2−エチルヘキシルアミン及び35mlのプロピオン酸を、142℃に1.5時間加熱し、次いでそれを150mlの水に入れる。沈殿した固体を濾別し、乾燥させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、その際、3.30g(77%)の表題化合物が得られる。
【0264】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=0.88−0.95(m,12H),1.25−1.43(m,16H),1.95(m,2H),4.16(m,4H)、8.68(s,4H)
【0265】
18.2 N,N′−2−エチルヘキシル−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド
300mg(0.400ミリモル)のN,N′−2−エチルヘキシル−1,6,7,12−テトラクロロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、250mgのKF及び100mgの(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)−テトラメチルグアニジウムクロリドを2mlのスルホラン中に入れて、160℃に2時間加熱する。冷却した混合物を100mlの水に入れ、そして沈殿した固体を濾別し、そして水で洗浄する。乾燥させた固体を、ジクロロメタン中に溶解させ、そしてカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン:3/7)によって精製する。収量:30mg(8.8%)。
【0266】
1H−NMR(400MHz、CDCl3,TMS):δ=0.88−0.97(m,12H),1.25−1.43(m,16H),1.95(m,2H),4.16(m,4H),8.49(t,4H,3J=5.2Hz);
HR−MS(apci(ネガティブモード)):686.2783(M-),計算値686.2773(C4038424
【0267】
実施例19
1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物
【化54】

【0268】
実施例18からの55mg(0.08ミリモル)のN,N′−エチルヘキシル−1,6,7,12−テトラフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミド、300mgのKOH、200μlの水及び10mlのブタノールを、75℃に2時間加熱する。次いで、該混合物を200mlの酢酸に入れ、そして約100℃で5時間撹拌する。次いで、水で希釈し、そして沈殿した生成物を濾別し、乾燥させる。質量スペクトルは、表題化合物の他に、ヒドロキシで一置換され、かつフッ素で三置換された無水物を有する少量の不純物を示している。収量:35mg(94%)。
【0269】
HR−MS(EI(ポジティブモード)):464.1(M+),計算値464.0(C24446
【0270】
実施例20
【化55】

【0271】
15gのフェノール、1.01g(9.3ミリモル)の1,2−フェニレンジアミン、0.37g(4.7ミリモル)のピラジンの混合物を、120℃に加熱する。次いで、前記の温度で、実施例4からの1.0g(2.3ミリモル)の1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物を添加し、そして該混合物を170℃に加熱する。2時間撹拌した後に、該反応混合物を室温に冷却し、そして50mlの完全脱塩水及び10mlのメタノールで希釈する。該固体を濾別し、エタノールで洗浄し、そして真空中で乾燥させる。1.21g(91%)の黒色の固体が得られる。
【0272】
f(トリクロロ酢酸/トルエン 5:1)=0.12、0.36、0.48。
【0273】
該化合物は、3領域昇華装置中で3回の昇華によって精製した。
【0274】
OFETは、PVD法についての一般的方法に従って製造する。それらの結果を、以下に示す。
【0275】
【表2】

【0276】
実施例21
【化56】

【0277】
実施例20に従って、実施例4からの1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物の反応を実施するが、1,2−フェニレンジアミンの代わりに1,8−ジアミノナフタレンを使用する。黒色の粉末が92%の収率で得られる。
【0278】
f(トリクロロ酢酸:トルエン 5:1)=0.29、0.47。
【0279】
実施例22
1,7−ジフルオロ−N,N′−ジメチル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドと1,6−ジフルオロ−N,N′−ジメチル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドとの混合物
【化57】

【0280】
水50ml、実施例4からの1,7−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と1,6−ジフルオロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物との混合物5.0g(0.012モル)及び41%のメチルアミン溶液(0.048モルのメチルアミン)2.8mlの混合物を、室温で22時間撹拌する。
【0281】
沈殿物を濾別し、水で洗浄し、そして真空中で乾燥させる。4.82g(89%)の黒褐色の固体が得られる。
【0282】
UV−VIS(H2SO4)λmax=576nm(89.5l/cm・g),544nm(71.3l/cm・g)
【0283】
実施例23
フッ素化されたテリレンジイミドの混合物
【化58】

【0284】
250mlのスルホラン、5.8g(5ミリモル)の1,6,9,14−テトラブロモテリレン−3,4−11,12−テトラカルボン酸ジイミド、0.26g(1ミリモル)の18−クラウン−6及び2.32g(40ミリモル)のフッ化カリウムの混合物を、120℃に加熱し、そして更に200mlのスルホランで希釈する。120℃で3時間撹拌した後に、160℃に加熱し、そして次いで室温に冷却する。更に1.16g(20ミリモル)のフッ化カリウムを添加し、そして該混合物を更に22時間にわたり160℃に加熱する。室温に冷却した後に、300mlの水を添加し、そして反応混合物を更に16時間撹拌する。沈殿物を濾別し、水で複数回洗浄し、そして真空中で乾燥させる。黒青色の生成物が定量的な収率で得られる。質量分析的な調査(MALDI)によれば、該生成物は表題化合物の混合物を含有している。
【0285】
実施例24
24.1
【化59】

【0286】
Sadrai著のActa.Cryst.1990,46,637−640に従って、20.9g(0.05モル)のN,N′−ジメチルペリルイミドを115mlのクロロスルホン酸中に入れたものを、60℃で1.0gのヨウ素を添加しつつ3時間以内で53.0gの塩素で処理する。該反応混合物を氷水に慎重に沈殿させ、濾別し、そして水で洗浄する。29.2gの橙色の固体が得られ、それは、質量分析的な調査(MALDI)によれば、十分にヘキサクロロ化合物からなっている。クロロ含有率:34.7%。
【0287】
24.2 以下のものの混合物
【化60】

【0288】
25mlのN−メチルピロリドン、2.3gのフッ化カリウム(40ミリモル)、0.3g(11ミリモル)の18−クラウン−6及び1.2g(2ミリモル)の24.1の混合物からなる混合物を、120℃に2時間加熱する。該反応混合物を冷却し、水に沈殿させ、濾過し、洗浄する。1.06gの橙色の固体が得られ、それをカラムクロマトグラフィーによって分離する。部分塩素化され部分フッ素化された最大6つのハロゲン原子を有する化合物と6フッ素化された化合物との混合物が得られる。
【0289】
適用例:
適用例1: 励起子太陽電池
仕事電極として、インジウムドープされたスズ酸化物(ITO)で被覆された寸法25mm×15mm×1mmを有するガラス板を使用した(インジウムスズ酸化物被覆されたスライドガラス、30〜60Ωの抵抗、Sigma−Aldrich)。これらを、順次にガラス清浄剤のアセトンとイソプロパノールによって超音波浴中で清浄化し、窒素流中で乾燥させた。引き続き、前記のITOガラスを、スピンコートによって約100nm厚のPEDOT:PSS層で覆った。その際、PEDOT:PSSは、水溶液で使用し(Baytron(登録商標)P VP Al 4083)、スピンコート周期数は4000rpmとし、遠心運動時間は30秒とした。次いで、サンプルを乾燥棚において100℃で15分間乾燥させた。
【0290】
金属背面電極と仕事電極との電気的絶縁(Abisolation)のために、PEDOT:PSS層上のその長辺縁部にそれぞれ1つのポリイミドストリップ(Pyrolin Polyimide Coating,Supeico)を施与し、乾燥棚内で200℃で15分間硬化させた。
【0291】
活性有機層を、以下の順序で蒸着させた。まず、ドナーとして銅フタロシアニン(CuPc,勾配昇華による)を、次いでアクセプターとして実施例10からのN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとの混合物を、そして最後に緩衝層としてバソクプロイン(BCP,Sensient)を、真空中での熱的蒸着でPEDOT:PSS/ポリイミド層上に施与した。それを8*10-7ミリバールの圧力で作業した。CuPcの蒸着は、380℃の温度及び蒸着速度0.2〜1.0nm/sで行い、N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとの混合物を、290℃で速度0.2〜0.8nm/sで蒸着させ、そしてBCPを180℃で1.0nm/sで蒸着させた。生じた層厚は、CuPcについては50nmであり、N,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,7−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとN,N′−ビス(ヘプタフルオロブチル)−1,6−ジフルオロ−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドとの混合物については50nmであり、かつBCP層については20nmであった。
【0292】
金属背面電極は、真空中での熱的金属蒸着によって施与した。そのために、サンプルにマスクを取り付けて、活性領域上に直径1mmを有する8つの互いに分離された丸型の背面電極を蒸着した。前記電極は、それぞれ約3mm×2mm大の接触面でポリイミド層を介して接続されている。金属としては、Agが使用され、該金属は、層厚100nmが生ずるように速度0.2〜1.0nm/sで約5*10-5ミリバールの圧力で蒸着した。
【0293】
効率ηの測定のために、それぞれの電流/電圧−特性直線をSource Meter Model 2400(Keithley Instruments Inc.)を用いて、擬似太陽としてハロゲンランプ場(Xenophot(登録商標);Osram)での照射をしつつ測定した。
【0294】
照明強度100mW/cm2での電流/電圧−特性直線を、図7に示す。短絡電流は1.37mA/cm2であり、開放端子電圧は114mVであり、曲線因子は29%であった。それにより0.04%の効率がもたらされ、該物質の光起電性の活性が裏付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1】図1は、メチルイソブチレート中での吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示している。
【図2】図2は、生成物のジクロロメタン中でのUVスペクトルを示している。
【図3】図3は、1,7−ジフルオロ−N,N′−ビスシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのシクロボルタモグラムを示している。
【図4】図4は、1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのシクロボルタモグラムを示している。
【図5】図5は、1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドの偏光顕微鏡写真を示す。
【図6】図6は、1,6,7,12−テトラフルオロ−N,N′−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドのDSC曲線を示している。
【図7】図7は、照明強度100mW/cm2での電流/電圧−特性直線を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
場合により、他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、Cl及びBrから選択される置換基を表し、かつ他の基は、水素を表し、
1は、OもしくはNRaを表し、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基を表し、
2は、OもしくはNRbを表し、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基を表し、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oを表し、
その際、Y1がNRaを表す場合については、基Z1及びZ2の1つはNRcを表してもよく、その際、基Ra及びRcは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表し、かつ
その際、Y2がNRbを表す場合については、基Z3及びZ4の1つはNRdを表してもよく、その際、基Rb及びRdは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]で示される化合物を、半導体として、特にn型半導体として用いる使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、nが、2を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3、4、5もしくは6つがフッ素を表すことを特徴とする使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用であって、nが、3を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3もしくは4つがフッ素を表すことを特徴とする使用。
【請求項4】
請求項1に記載の使用であって、nが、4を表し、かつ基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の1、2、3、4、5もしくは6つがフッ素を表すことを特徴とする使用。
【請求項5】
式I.A
【化2】

の化合物又は式I.Ba
【化3】

[式中、
a及びRbは、互いに無関係に、水素を表し、又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]の化合物の、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式I.Bb
【化4】

[式中、
n及びRn1、Rn2、Rn3及びRn4は上述の意味を有し、かつ
Xは、二価の架橋基であって、その両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]の化合物の、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
有機エレクトロニクス、特に有機電界効果トランジスタ、有機発光ダイオードもしくは太陽電池における、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
有機光電池、特に励起子太陽電池における、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項に定義される一般式Iの化合物を、光学ラベルのために、製品の不可視標識のために、蛍光色素として、生体分子用の蛍光ラベルとして、及び顔料として用いる使用。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項に定義される一般式Iの化合物を、蛍光変換を基礎とするディスプレイにおける蛍光色素として、場合により太陽電池と組み合わされている集光性プラスチック部品において、起電表示における顔料色素として、化学発光を基礎とする用途における蛍光色素として用いる使用。
【請求項11】
式I
【化5】

[式中、n、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4、Y1、Y2、Z1、Z2、Z3及びZ4は、請求項1から6までのいずれか1項に定義される通りである]で示される化合物の製造方法において、式Iで示され、その式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがClもしくはBrを表す化合物を、実質的に無水の条件下でアルカリフッ化物との反応に供することを特徴とする製造方法。
【請求項12】
アルカリフッ化物としてKFを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の方法において、溶剤として、有利にはジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、(CH32SO、ジメチルスルホン、スルホラン及びそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの非プロトン性極性溶剤を使用することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法において、アルカリフッ化物との反応のために、付加的に、錯形成剤、有利にはクラウンエーテルを使用することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法において、アルカリフッ化物との反応のために、付加的に、2−アザアレニウム化合物、カルボホスファゼニウム化合物、アミノホスホニウム化合物及びジホスファゼニウム化合物から選択される相転移触媒を使用することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、相転移触媒として(N,N−ジメチルイミダゾリジノ)テトラメチルグアニジニウムクロリドを使用することを特徴とする方法。
【請求項17】
式(I.Ba)
【化6】

[式中、n、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、請求項1から6までのいずれか1項に定義される通りであり、かつ
a及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示される化合物の製造方法において、
a1)式II
【化7】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、ClもしくはBrを表し、nは、2、3もしくは4を表す]で示されるリレン二無水物を、実質的に無水の条件下で、アルカリフッ化物との反応に供し、
b1)工程a1)で得られた化合物を、式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合によりそれとは異なる式Rb−NH2のアミンとの反応に供することを特徴とする製造方法。
【請求項18】
式I.Bb
【化8】

[式中、n、X、Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、請求項1から6までのいずれか1項に定義される通りである]で示される化合物の製造方法において、
a2)式II
【化9】

[式中、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、ClもしくはBrを表し、nは、2、3もしくは4を表す]で示されるリレン二無水物を、実質的に無水の条件下で、アルカリフッ化物との反応に供し、
b2)工程a2)で得られた化合物を、式H2N−X−NH2のアミンとの反応に供することを特徴とする製造方法。
【請求項19】
式(I.A)
【化10】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、水素を表す]で示される二無水物の製造方法において、
式(I.Ba)
【化11】

[式中、Ra及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示されるジイミドを、二段階加水分解に供し、その際、第一段階を塩基の存在下で行い、第二段階を酸の存在下で行うことを特徴とする製造方法。
【請求項20】
式(I.Ba)
【化12】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、かつ
a及びRbは、互いに無関係に、水素又は非置換もしくは置換されたアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表す]で示される化合物の製造方法において、
式(I.A)
【化13】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示される二無水物を、式Ra−NH2のアミンとの反応と、場合によりそれとは異なる式Rb−NH2のアミンとの反応に供することを特徴とする製造方法。
【請求項21】
式I.Bb
【化14】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
残りの基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、水素を表し、かつ
Xは、二価の架橋基であって、その両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]で示される少なくとも1つの化合物の製造方法において、式(I.A)
【化15】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
残りの基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は、水素を表す]で示される二無水物を、式H2N−X−NH2のアミンとの反応に供することを特徴とする方法。
【請求項22】
式(I.BaH)
【化16】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、かつ
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表す]で示される化合物の製造方法において、
式(I.Ba2)
【化17】

[式中、
nは、2、3もしくは4を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
その他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4は水素を表し、
c1及びRc2は互いに無関係に、アリールを表し、かつ
d1及びRd2は、互いに無関係にアルキルを表す]で示されるジイミドを、強ルイス酸及びプロトン供与体との反応に供することを特徴とする製造方法。
【請求項23】
一般式I
【化18】

[式中、
nは、2、3、4、5もしくは6を表し、
基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、フッ素を表し、
場合により、他の基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つは、Cl及びBrから選択される置換基を表し、かつ他の基は、水素を表し、
1は、OもしくはNRaを表し、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基を表し、
2は、OもしくはNRbを表し、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基を表し、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oを表し、
その際、Y1がNRaを表す場合については、基Z1及びZ2の1つはNRcを表してもよく、その際、基Ra及びRcは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表し、かつ
その際、Y2がNRbを表す場合については、基Z3及びZ4の1つはNRdを表してもよく、その際、基Rb及びRdは、一緒になって、架橋基であってその両端の結合の間に2〜5個の原子を有する基を表す]で示される化合物(式Iで示され、その式中、nが2を表し、基Rn1、Rn2、Rn3及びRn4の少なくとも1つがフッ素を表し、かつ他の少なくとも1つが塩素を表す化合物を除く)。
【請求項24】
少なくとも1つのゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する基板及びn型半導体としての請求項1から6までのいずれか1項に定義される式Iの少なくとも1つの化合物を含む、有機電界効果トランジスタ。
【請求項25】
多くの有機電界効果トランジスタを有する基板であって、その電界効果トランジスタの少なくとも一部が、n型半導体としての請求項1から6までのいずれか1項に定義される式Iで示される少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする基板。
【請求項26】
請求項24に記載の少なくとも1つの基板を含む半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−528277(P2009−528277A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554787(P2008−554787)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051532
【国際公開番号】WO2007/093643
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】