説明

フッ素化遷移金属触媒とその製法

本発明は、一般に担持触媒系及びその製造法を記述する。本方法は、一般にSi−O−Al−F、F−Si−O−Al、F−SilO−Al−F及びこれらの組合せから選択される結合シーケンスを含む無機担体組成物を与え、そして
この無機担体組成物を、式
[L]1M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で表される遷移金属化合物と接触させて担持触媒系を生成させる、
ことを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連特許願に対する引照】
【0001】
本特許願は2006年4月28日付の米国非暫定特許願第11/413,791号の特典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に担持触媒組成物とその製法に関する。
【背景技術】
【0003】
オレフィンポリマーの多くの製造法は、オレフィンモノマーを遷移金属触媒系、例えばメタロセン触媒系と接触させてポリオレフィンを生成させることを含む。遷移金属触媒系が所望の性質を有するポリマーを製造しうることは広く認識されているけれども、一般的にこの遷移金属触媒は商業的に目に見えるような活性を体験してはいない。
【0004】
それ故に活性の高められた遷移金属触媒系を製造する必要性がある。
【発明の概略】
【0005】
本発明の具体例は担持触媒系の製法を含む。本方法は、Si−O−Al−F、F−Si−O−Al、F−Si−O−AL−F及びこれらの組合せから選択される結合シーケンスを含んでなる無機担体組成物を与え、そしてこの無機担体組成物を、式
[L]M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で表される遷移金属化合物と接触させることにより担持触媒組成物を形成することを含む。
【0006】
本発明の具体例は更に触媒系を含む。そのような触媒系は、一般にSi−O−Al−F、F−Si−O−Al、F−Si−O−AL−F及びこれらの組合せから選択される結合シーケンスを含む無機担体組成物、及び遷移金属化合物が式
[L]M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で表される有機金属触媒化合物、
を含む。
【発明の詳細な記述】
【0007】
序論及び定義
今や詳細に記述しよう。特許請求の範囲のそれぞれは、特許侵害の目的のために特許請求の範囲で特定される種々の要素または制限に対する同等物を含むものとして認識される別個の本発明を定義する。この関係に依存して、「本発明」に対する以下のすべての参考文献は、いくつかの場合にはある特定な具体例だけを参照することもある。他の場合には、「本発明」に対する参考文献は、特許請求の範囲の1つまたはそれ以上で列挙された主題と関連するが、必ずしもすべてではない。今や本発明のそれぞれを、特別な具体例、態様及び実施例を含めて以下に更に詳細に記述するが、本発明は本発明の情報を現存する情報及び技術と組み合わせて同業者が本発明を活用することを可能にするために包含されるこれらの具体例、態様及び実施例に限定されるものではない。
【0008】
本明細書で使用する種々の術語を以下に示そう。特許請求の範囲で使用される術語を以下に定義しない場合、それは、関連する技術者が印刷された刊行物及び発効した特許に反
映されるようなその術語に与えられた最も広い定義が反映されるべきである。更に断らない限り、本明細書に記述するすべての化合物は置換されていても、未置換であってもよく、化合物の表示はこれらの誘導体を包含するものとする。
【0009】
本明細書に使用するような「フッ素化担体」とは、フッ素またはフッ化物分子(例えば、担体中にまたは担体表面上に導入されたもの)を含む担体を意味する。
【0010】
術語「活性」とは、標準的な条件の組合せにおいて反応過程に使用される触媒の重量に対して生成する生成物の反応時間当たりの生成重量(例えば生成物グラム/触媒グラム/時)を意味する。
【0011】
術語「オレフィン」とは、炭素‐炭素二重結合を有する炭化水素を意味する。
【0012】
術語「置換された」とは、化学化合物中の水素に置換わった原子または基に関するものである。
【0013】
「タクティシティー」とは、ポリマー中のペンダント基の配置に関するものである。たとえばペンダント基がポリマー鎖の両側に無規則的に配置されているとき、そのポリマーは「アタクチック」である。これに対し、ペンダント基のすべてが鎖の同一側に配置されているときそのポリマーは「アイソタクチック」であり、ペンダント基が鎖の反対側に交互に配置されているときそのポリマーは「シンジオタクチック」である。
【0014】
術語「結合シーケンス」とは、各元素が、シグマ結合、供与結合、イオン結合またはこれらの組合せによって他に連結している元素のシーケンスを意味する。
【0015】
本発明の具体例は、一般に担持触媒組成物を含む。触媒組成物は、一般に以下に詳細に記述される担体組成物及び遷移金属化合物を含む。1つまたはそれ以上の具体例において、担体組成物は例えばSi−O−Al−F、F−Si−O−AlまたはF−Si−O−AL−Fから選択される結合シーケンスを有する。
【0016】
そのような触媒組成物は、一般に担体組成物をフッ素化剤と接触させてフッ素化担体を生成させ、このフッ素化担体を遷移金属化合物と接触させて担持触媒系を生成させることによって製造される。以下に更に詳細に議論されるように、この触媒系は多くの方法及びシーケンスで製造しうる。
【0017】
触媒系
本明細書で使用するような担体組成物は、アルミニウムを含む担体材料である。例えば担体材料は、無機担体組成物を含んでいてもよい。例えば担体材料は、タルク、無機酸化物、粘土及び粘土鉱物、イオン交換した層状化合物、珪藻土化合物、ゼオライト、または樹脂担体材料、例えばポリオレフィンを含むことができる。特別な無機酸化物は、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、及びジルコニアを含む。
【0018】
1つまたはそれ以上の具体例において、担体組成物はアルミニウムを含むシリカ担体材料である。1つまたはそれ以上の具体例において、担体組成物は球状粒子からなる。
【0019】
アルミニウム含有シリカ担体材料は、例えば約5−100ミクロン、または約15−約30ミクロン、或いは約10−100ミクロンまたは約10−約30ミクロンの平均粒子/細孔寸法、50−1000m/g、または約80−約800m/g、または100−400m/g、または約200−約300m/g、または約150−約300m/gの表面積、及び約0.1−約5cc/g、または約0.5−約3.5cc/g、また
は約0.5−約2.0cc/g、または約1.0−約1.5cc/gの細孔容量を有することができる。
【0020】
アルミニウム含有シリカ担体材料は、更に有効数のまたは反応性の、例えばフッ素化剤を担体材料に結合させるのに十分な数のヒドロキシル基を更に有することができる。例えば反応性ヒドロキシル基の数は、フッ素化剤を担体材料に結合させる最小数以上であってよい。例えば担体材料は約0.1−約5ミリモルOH/g Siを含むことができる。
【0021】
アルミニウム含有シリカ担体材料は、一般に商業的に入手できる材料、例えば富士サイリシアケミカルズ社(Fuji Sylisia Chemicals LTD)から市販されているP10シリカアルミナ(例えば表面積281m/g及び細孔容量1.4ml/gのシリカアルミナ)である。
【0022】
アルミナ含有シリカ担体材料は、更に例えば約0.5−約95重量%、約0.1−約20重量%、または約0.1−約50重量%、または約1−約25重量%または約2−約8重量%のアルミナ含量であってよい。アルミナ含有シリカ担体材料は,更にシリカ対アルミナのモル比が例えば約0.01:1−約1000:1であってよい。
【0023】
他にアルミナ含有シリカ担体材料は、シリカ担体材料を第1のアルミニウム含有化合物と接触させることによって生成させてもよい。そのような接触は凡そ室温から約150℃までの反応温度で行うことができる。この生成工程は更に例えば約150−約600℃、または約200−約600℃または約35−約500℃の焼成温度で焼成することを含んでいてよい。ある具体例において、この焼成は例えば酸素含有化合物の存在下に行われる。
【0024】
1つまたはそれ以上の具体例において、担体組成物はコゲル(cogel)法(例えばシリカ及びアルミナの両方を含むゲル)で製造される。ここに使用するような術語「コゲル法」とは、第1のアルミニウム含有化合物を含む溶液をシリカのゲルに混入すること(例えばAl(SO)+HSO+NaO−SiO)を含む製造法に関するものである。
【0025】
第1のアルミニウム含有化合物は、有機アルミニウム含有化合物を含んでいてよい。この有機アルミニウム含有化合物は式AlRで表すことができる。但し、各Rは独立にアルキル、アリール、及びこれらの組合せから選択される。有機アルミニウム化合物は、例えばメチルアルミノキサン(MAO)または改変メチルアルミノキサン(MMAO)、或いは特別な具体例ではトリエチルアルミニウム(TEAl)またはトリイソブチルアルミニウム(TIBAl)を含んでいてよい。
【0026】
担体組成物は同業者には公知の方法でフッ素化される。例えば担体組成物をフッ素化剤と接触させてフッ素化担体が製造できる。このフッ素化法は、例えば担体材料をフッ素含有化合物と約1−約10時間または約1−約5時間の第1の期間、約100−約200℃の第1の温度で接触させ、次いで約1−約10時間の第2の期間、温度を約250−約550℃または約400−約500℃の第2の温度まで上昇させることを含んでいてよい。
【0027】
本明細書に記述するように「担体組成物」は、フッ素化剤と接触させる前に、フッ素化剤と接触させた後に、またはフッ素化剤と接触させると同時にアルミニウムを含浸させることができる。ある具体例においてフッ素化担体組成物は、SiO及びAlを同時に生成させ、次いでそれらをフッ素化剤と接触させることによって製造される。他の具体例において、フッ素化担体組成物はアルミニウム含有シリカ担体材料をフッ素化剤と接
触させることによって製造される。更に他の具体例において、フッ素化担体組成物はシリカ担体材料をフッ素化剤と接触させ、次いでこのフッ素化担体を第1のアルミニウム含有化合物と接触させることによって製造される。
【0028】
フッ素化剤は一般にフッ素化担体を生成できるフッ素化剤を含む。適当なフッ素化剤は、これに限定されるものではないが例えばフッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)、二フッ化アンモニウム(NHHF)、フルオロホウ酸アンモニウム(NHBF)、シリコフッ化アンモニウム((NHSiF)、フルオロリン酸アンモニウム(NHPF)、(NHTaF、NHNbF、(NHGeF、(NHSmF、(NHTiF、(NHZrF、MoF、ReF、SOClF、F、SiF、SF、ClF、ClF、BrF、IF、NF、HF、BF、NHF及びこれらの組合せを含む。1つまたはそれ以上の具体例において、フッ素化剤はメタロイド(metalloid)または非金属を含むフッ化アンモニウム(例えば(NHPF、(NHBF、(NHSiF)である。
【0029】
1つまたはそれ以上の具体例において、フッ素と第1のアルミニウム含有化合物のモル比(F:Al)は、一般に例えば約0.5:1−6:1または約0.5:1−約4:1である。
【0030】
1つまたはそれ以上の具体例において、フッ素と第1のアルミニウム含有化合物のモル比(F:Al)は、一般に例えば約0.5:1−6:1、または約0.5:1−約4:1または約2.5:1−約3.5:1である
【0031】
本発明の具体例は、一般にフッ素化担体を遷移金属化合物と接触させて担持触媒組成物を生成させることを含む。そのような方法は一般に同業者には公知であり、遷移金属化合物を不活性な溶媒中に仕込むことを含んでいてよい。この方法は遷移金属化合物を不活性な溶媒に仕込むことに関して以下に議論されるが、フッ素化担体(遷移金属化合物と組合せにおいて、またはその他で)を不活性な溶媒と混合して、遷移金属化合物との接触前に担体スラリーを生成させてよい。遷移金属触媒の担持法は一般に技術的に公知である(本明細書に参考文献として引用される米国特許第5,643,847号、米国特許第09184358号、米国特許第09184389号を参照)。
【0032】
不活性な溶媒としては種々の非極性炭化水素を使用できるが、選択する非極性炭化水素はすべての関連する反応温度において液体系で存在すべきであり、担持触媒組成物を生成させるために使用される成分はこの非極性炭化水素に少なくとも部分的に可溶であるべきである。従って非極性炭化水素は、ある具体例においてある成分が部分的に炭化水素に溶解しているだけであるとしてもここでは溶媒であると考える。
【0033】
適当な炭化水素は、置換及び未置換脂肪族炭化水素及び置換及び未置換芳香族炭化水素を含む。例えば不活性な溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1−クロロブタン、またはこれらの組合せ物である。
【0034】
遷移金属化合物及びフッ素化担体は、約−60℃−約120℃または約−45℃−約112℃の反応温度において或いは約90℃以下、例えば約0−約50℃、または約20−約30℃または室温の反応温度において、約10分−約5時間または約30分−約120分の時間接触させることができる。
【0035】
更に、且つ所望の置換度に依存して、フッ素と遷移金属の重量比(F:M)は、例えば
約1−約20当量または約1−約5当量である。ある具体例において、担持触媒組成物は遷移金属化合物を約0.1−約5重量%含む。
【0036】
反応の完結時に、常法により溶媒を反応副生物と共に、例えば蒸発またはろ過によって混合物から除去して、乾燥担持触媒組成物を得ることができる。例えば担持触媒組成物は、硫酸マグネシウムの存在下に乾燥してよい。担持触媒組成物を高い純度及び収率で含むろ液は、更に処理せずに、その溶媒が炭化水素ならば直接オレフィンの重合に使用することができる。そのような方法においては、フッ素化担体及び遷移金属化合物を(例えば反応容器へ入れる前に)接触させ、次いで重合に供する。他にこの方法はフッ素化担体を、オレフィンモノマーと接触させる近傍で遷移金属と接触(例えば反応容器内で接触)させることを含む。
【0037】
1つまたはそれ以上の具体例において、遷移金属化合物はメタロセン触媒、レイト(late)遷移金属触媒、ポスト(post)メタロセン触媒またはこれらの組合せを含む。レイト遷移金属触媒は、一般にレイト遷移金属、例えばニッケル、鉄またはパラジウムを含む遷移金属触媒として特徴付けることができる。ポストメタロセン触媒は、一般に例えばIV、V、VI族金属を含む遷移金属触媒として特徴付けられる。
【0038】
メタロセン触媒は、一般に(置換または未置換であってよく、各置換が同一でも異なってもよい)1つまたはそれ以上のシクロペンタジエニル(Cp)基がπ結合で遷移金属に配位している配位化合物として特徴付けられる。
【0039】
Cpの置換基は例えば直鎖、分岐鎖、または環式ヒドロカルビル基であってよい。環式ヒドロカルビル基は、例えばインデニル、アズレニル、及びフルオレニル基を含む他の隣接環構造を更に形成していてもよい。これらの隣接環構造は、例えばヒドロカルビル基、例えばC−C20ヒドロカルビル基で置換されていても、未置換でもよい。
【0040】
メタロセン触媒の特別な、しかし非限定の例は、式
[L]M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で一般に表される嵩高な配位子のメタロセン化合物である。ここに例えばmは1−3、nは1−3であってよい。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲を通して記述するように、メタロセン触媒化合物の金属原子Mは、3−12族の原子及びランタニド族原子から、或いは3−10族原子からまたはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、及びNiから選択できる。金属原子Mの酸化状態は、0−+7の範囲であってよく、または+1、+2、+3、+4、または+5である。
【0042】
嵩高な配位子は、一般にシクロペンタジエニル基(Cp)またはその誘導体を含む。Cp配位子は金属原子Mと少なくとも1つの化学結合を作って「メタロセン触媒」を形成する。Cp配位子はそれが置換/引抜き反応に非常に敏感でないという点で、触媒化合物に結合する離脱基と区別される。
【0043】
Cp配位子は、13−16族の原子、例えば炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの組合せから選択される原子を含む環または環系を含み、但し炭素は環員の少なくとも50%を構成する。環または環系の非限定的例は、例えばシクロペンタジエニル、シクロペンタフェナンスレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、オクタヒドロフルオレニル
、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナンスリンデニル、3,4−ベンズフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペント[a]アセナフチレニル、7−H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2,9]アンスレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、これらの水素化誘導体(例えば4,5,6,7−テトラヒドロインデニルまたはHInd)、これらの置換誘導体及びこれらのヘテロ環式誘導体を含む。
【0044】
Cp置換基は、例えば水素基、アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモへキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、tert−ブチルフェニル、クロロベンジル、ジメチルホスフィン、及びメチルフェニルホスフィン)、アルケニル(例えば3−ブテニル、2−プロペニル、及び5−ヘキセニル)、アルキニル、シクロアルキル(例えばシクロペンチル及びシクロヘキシル)、アリール(例えばトリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル、アシル、アロイル、トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル及びブロモメチルジメチルゲルミル)、アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ及びフェノキシ)、アリーロキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン(例えばジメチルアミン及びジフェニルアミン)、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリーロキシカルボニル、カルバモイル、アルキル及びジアルキル−カルバモイル、アシロキシ、アシルアミノ、アロイルアミノ、有機メタロイド基(例えばジメチルホウ素)、15族及び16族基(たとえばメチルスルフィド及びエチルスルフィド)、及びこれらの組合せを含むことができる。ある具体例において、少なくとも2つの置換基、1つの具体例では2つの隣る置換基は結合して環構造を形成する。
【0045】
各離脱基Aは、独立に選択され、例えばいずれかのイオン性基、例えばハロゲン(たとえば塩素及びフッ素)、ヒドリド、C−C12アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、フェニル、シクロブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、トリル、トリフルオロメチル、メチルフェニル、ジメチルフェニル,及びトリメチルフェニル)、C−C12アルケニル(例えばC−Cフルオロアルケニル)、C−C12アリール(例えばC−C20アルキルアリール)、C−C12アルコキシ(例えばフェノキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びベンゾキシ)、C−C16アリーロキシ、C−C18アルキルアリーロキシ及びC−C12へテロ原子含有炭化水素、及びこれらの置換誘導体を含むことができる。
【0046】
離脱基の他の非限定的例は、例えばアミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート(例えばC−Cアルキルカルボキシレート、C−C12アリールカルボキシレート、及びC−C18アルキルアリールカルボキシレート)、ジエン、アルケン(例えばテトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン)、炭素数1−20の炭化水素基(例えばペンタフルオロフェニル)、及びこれらの組合せを含む。ある具体例において、2つまたはそれ以上の離脱基は融合環または環系の一部を形成する。
【0047】
特別な具体例において、L及びAは互いに橋架けして架橋メタロセン触媒を形成してもよい。例えば架橋メタロセン触媒は一般式
XCpCpMA
[式中、Xは構造的架橋であり、Cp及びCpはそれぞれシクロペンタジエニル基を示し、それらは同一でも異なってもよく且つ置換されていても未置換でもよく、Mは遷移金属であり、Aはアルキル、ヒドロカルビル、またはハロゲン基であり、そしてnは0−4の整数であり、特別な具体例では1または2である]
で記述することができる。
【0048】
橋架け基Xの非限定的例は、少なくとも1つの13−16族の原子、例えば限定するも
のではないが炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、スズ、及びこれらの組合せを含む2価の炭化水素基を含む。但し、このヘテロ原子は中性価数を満足するために置換されたC−C12アルキルまたはアリール基であってよい。架橋基はハロゲン基及び鉄を含む上述したような置換基も含みうる。架橋基の更に特別な非限定的例は、例えばC−Cアルキレン、置換C−Cアルキレン、酸素、硫黄、RC=、RSi=、−Si(R)Si(R)−、RGe=、またはRP=(但し「=」は2つの化学結合を表す)で表せられる。ここにRは独立に例えばヒドリド、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、ハロカルビル置換有機メタロイド、ジ置換ホウ素原子、ジ置換15族原子、置換16族原子、及びハロゲン基から選択される。ある具体例において、架橋メタロセン触媒成分は2つまたはそれ以上の架橋基を有する。
【0049】
架橋基の他の非限定的例は、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレン、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチルエチルシリル、トリフルオロメチルブチルシリル、ビス(トリフルオロメチル)シリル、ジ(n−ブチル)シリル、ジ(n−プロピル)シリル、ジ(i−プロピル)シリル、ジ(n−ヘキシル)シリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t−ブチルシクロヘキシルシリル、ジ(t−ブチルフェニル)シリル、ジ(p−トリル)シリル及びこのSiがGeまたはC原子で置換されている対応する残基、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジメチルゲルミル、及び/またはジエチルゲルミルを含む。
【0050】
他の具体例において、架橋基は環式であってもよく、例えば環員数4−10または5−7を含んでよい。この環員は上述した元素から及び/または例えばホウ素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、窒素及び酸素の1つまたはそれ以上から選択できる。架橋残基としてまたはその一部として存在しうる環構造の非限定的例は、例えばシクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロへプチリデン、シクロオクチリデンである。この環式架橋基は、飽和でも不飽和でもよく、及び/または1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよく、及び/または1つまたはそれ以上の他の環構造に融合していてもよい。上の環式架橋残基が随時融合しうる1つまたはそれ以上のCp基は飽和でも不飽和でもよい。更にこれらの環構造は、それ自体例えばナフチル基の場合のように融合していてもよい。
【0051】
ある具体例において、メタロセン触媒は、式
X(CpR)(FlR
[式中、Cpはシクロペンタジエニル基であり、Flはフルオレニル基であり、XはCp及びFl間の構造的架橋であり、RはCp上の置換基であり、nは1または2であり、RはCp上の架橋に対してオルト位の位置の置換基であり、mは1または2であり、各Rは同一でも異なってもよく且つ炭素数1−20のヒドロカルビル基であり、但し少なくとも1つのRはフルオレニル基上パラ位に置換されそして少なくとも他のRはフルオレニル基上の反対のパラ位に置換され、そしてpは2または4である]
で表されるCpFlu型触媒(例えば配位子がCpフルオレニル配位子構造を含むメタロセン触媒)を含む。
【0052】
更に他の観点において、メタロセン触媒は橋架けのモノ配位子メタロセン化合物(例えばモノシクロペンタジエニル触媒成分)を含む。この具体例において、メタロセン触媒は橋架けの「半サンドイッチ」メタロセン触媒である。本発明の他の観点において、少なくとも1つのメタロセン触媒成分は、橋架けされてない「半サンドイッチ」メタロセンである。(本明細書に参考文献として引用される米国特許第6,069,213号、米国特許第5,026,798号、米国特許第5,703,187号、米国特許第5,747,406号、米国特許第5,026,798号、及び米国特許第6,069,213号を参照)。
【0053】
本明細書での記述と関連するメタロセン触媒成分の非限定的例は例えば以下のものを含む:
シクロペンタジエニルジルコニウムA
インデニルジルコニウムA
(1−メチルインデニル)ジルコニウムA
(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
(1−プロピルインデニル)ジルコニウムA
(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA
(1−ブチルインデニル)ジルコニウムA
(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA
メチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
テトラヒドロインデニルジルコニウムA
ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
シクロペンタジエニルジルコニウムA
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムA
テトラメチルシクロペンチルチタニウムA
(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルシクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA
ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルゲルミル(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA
ジフェニルメチリデンシクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA
イソプロピリデンビスシクロペンタジエニルジルコニウムA
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA
イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA
エチレンビス(9−フルオレニル)ジルコニウムA
エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−プロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−ブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(2−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA、ジフェニル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(9−フルオレニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(1−インデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムA
ジメチルゲルミルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
ジメチルシリルビステトラヒドロインデニルジルコニウムA
ジメチルシリルビステトラメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムA
ジフェニルシリルビスインデニルジルコニウムA
シクロトリメチレンシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンタジエニルジルコニウムA
シクロテトラメチレンシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンタジエニルジルコニウムA
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
シクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(N−tertブチルアミド)チタニウムA
ビスシクロペンタジエニルクロムA
ビスシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(n−ドデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビスエチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビスイソブチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビスイソプロピルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビスメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビスノニルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビストリメチルシリルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビスペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムA
ビス(1−プロピル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1−イソブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1−プロピル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(1,3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムA
ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムA
ビスインデニルジルコニウムA
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムA
シクロペンタジエニルインデニルジルコニウムA
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムA
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ビス(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムA
ビス(2−n−ブチルインデニル)ハフニウムA
ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ビス(9−n−プロピルフルオレニル)ハフニウムA
ビス(9−n−ブチルフルオレニル)ハフニウムA
(9−n−プロピルフルオレニル) (2−n−プロピルインデニル)ハフニウムA、ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
(n−プロピルシクロペンタジエニル) (1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロへプチルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA
ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル(sec−ブチルアミド)チタンA
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンA
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロへプチルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA
メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル(sec−ブチルアミド)チタンA
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンA
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンA
ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロプロピルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロブチルアミドチタンA
ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロペンチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロへプチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロオクチルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロノニルアミドチタンA
ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロデシルアミドチタンA
ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロウンデシルアミドチタンA
ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタンA、ジフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル(sec−ブチルアミド)チタンA
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンA
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンA
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンA
【0054】
1つまたはそれ以上の具体例において、遷移金属化合物はシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、CpFlu、アルキル、アリール、アミド、またはこれらの組合せを含む。1つのまたはそれ以上の具体例において、遷移金属化合物は遷移金属ジクロリド、ジメチル、またはヒドリドを含む。1つまたはそれ以上の
具体例において、遷移金属化合物は例えばC、CまたはC対称性を有することができる。ある特別な具体例において、遷移金属化合物はrac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを含む。
【0055】
ある特別な具体例は、更にフッ素化担体を複数の触媒化合物(例えば二金属触媒)と接触させることを含むことができる。ここに二金属触媒(bimetallic catalyst)とは、少なくとも2つの異なる触媒化合物を含む、但しそれぞれが異なる金属基を有するいずれかの組成物、混合物または系を意味する。各触媒化合物は、二金属触媒が担持二金属触媒であるように単一の担体粒子上に存在していてよい。しかしながら、二金属触媒という術語は、おおざっぱに言って、触媒の1つが1つの担体粒子集合体上に存在し、他の触媒が他の担体粒子集合体上に存在するような系または混合物も含む。複数の触媒成分は、これらの触媒の少なくとも1つが本明細書に記述するような遷移金属化合物を含む限りにおいて、技術的に公知のいずれかの触媒成分を含んでいてもよい。
【0056】
後の実施例で示すように、本明細書に記述される方法によってフッ素化担体を遷移金属配位子と接触させると、予想外にもアルキル化工程(例えば触媒成分の有機金属化合物、例えばMAOとの接触)なしに活性である担持触媒組成物がもたらされる。
【0057】
MAOのような物質の不在は、一般にアルミノキサンが高価な化合物であるので、ポリマーの製造費を低下させる。更にアルミノキサンは一般に冷貯蔵で貯蔵される不安定な化合物である。しかしながら、本発明の具体例は予期を超えて室温である期間(例えば2ヶ月まで)貯蔵でき、次いで重合反応に直接使用できる触媒組成物をもたらす。そのような貯蔵能力は、更に大バッチの担体材料が製造でき且つ種々の遷移金属化合物と接触させることができるので、(生成すべきポリマーに基づいて最適化された少量で生成しうる)改良された触媒の多様性を与える。
【0058】
更にアルミノキサン活性化剤不在の重合は、アルミノキサンに基づく系と比べて僅かなリーチング(leaching)/ファウリング(fouling)であると予想される。しかしながら本発明の具体例は、一般にアルミノキサンが害なしに含ませうる工程を提供する。
【0059】
随時フッ素化担体及び/または遷移金属化合物は、互いの接触前に第2のアルミニウム含有化合物と接触せしめてよい。ある具体例において、フッ素化担体は遷移金属化合物との接触前に第2のアルミニウム含有化合物と接触せしめられる。他にフッ素化担体は、第2のアルミニウム含有化合物の存在下に遷移金属化合物と接触させてもよい。
【0060】
例えば、接触は、フッ素化担体を第2のアルミニウム含有化合物と、例えば約0−約150℃または約20−約100℃の温度で約10分‐約5時間または約30分‐約120分間接触させることによって行いうる。
【0061】
第2のアルミニウム含有化合物は、有機アルミニウム化合物を含んでいてよい。この有機アルミニウム化合物は例えばTEAl、TIBAl、MAO、またはMMAOを含むことができる。ある具体例において、有機アルミニウム化合物は、式AlR(但し、各Rは独立にアルキル、アリール、またはこれらの組合せから選択される)で表すことができる。
【0062】
ある具体例において、シリカと第2のアルミニウム含有化合物の重量比(Si:Al)は、一般に約0.01:1−約10:1である。
【0063】
フッ素化担体と第2のアルミニウム含有化合物の接触が向上した活性の触媒をもたらす
ことが観察されてきたけれど、この第2のアルミニウム含有化合物が遷移金属化合物と接触しうることも意図される。第2のアルミニウム含有化合物が遷移金属化合物と接触するとき、第2のアルミニウム含有化合物と遷移金属の重量比(Al:M)は例えば約0.1:−約5000:1であってよい。
【0064】
随時フッ素化担体は、重合前または重合中に1つまたはそれ以上の捕捉化合物(scavenging compounds)と接触させてもよい。ここに「捕捉化合物」とは、続く重合反応環境から不純物(例えば極性不純物)を除去するのに有効な化合物を含むことを意味する。不純物は重合反応成分のいずれかと共に、特に溶媒、モノマー、及び触媒供給物と共に思いもかけずに混入され、触媒の活性や安定性に悪影響するものである。そのような不純物は例えば触媒活性の低下または無効化さえももたらしうる。この極性の不純物または触媒毒は例えば水、酸素、及び金属不純物である。
【0065】
捕捉化合物は、上述した第1または第2のアルミニウム化合物の過剰量も含むが、更なる公知の有機金属化合物、例えば13族の有機金属化合物であってよい。例えば捕捉化合物はトリエチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、メチルアルミノキサン(MAO)、イソブチルアルミノキサン及びトリ−n−オクチルアルミニウムを含みうる。ある特別な具体例において、捕捉化合物はTIBAlである。
【0066】
ある具体例において、捕捉化合物の量は、重合中活性を高めるのに有効な量までの最小量であり、供給物及び重合媒体が不純物を十分に含んでいないならば完全に排除される。
【0067】
重合法
本明細書のどこかで示すように、ポリオレフィン組成物を製造するために本触媒系を使用する。上述したように及び/または同業者には公知のように、触媒系を調製して、この組成物を用いて種々の重合法を行うことができる。重合法で使用される装置、工程条件、反応物、添加物及び他の材料は、生成させるポリマーの所望の組成物及び性質に依存して、用いる方法によって変化するであろう。そのような工程は例えば溶液相、気相、スラリー相、バルク相、高圧法、またはこれらの組合せを含む。(本明細書に参考文献として引用される米国特許第5,525,678号、米国特許第6,420,580号、米国特許第6,380,328号、米国特許第6,359,072号、米国特許第6,346,586号、米国特許第6,340,730号、米国特許第6,339,134号、米国特許第6,300,436号、米国特許第6,274,684号、米国特許第6,271,323号、米国特許第6,248,845号、米国特許第6,245,868号、米国特許第6,245,705号、米国特許第6,242,545号、米国特許第6,211,105号、米国特許第6,207,606号、米国特許第6,180,735号及び米国特許第6,147,173号を参照)。
【0068】
ある具体例において、上述した方法は、一般にオレフィンモノマーを重合させてポリマーにすることを含む。オレフィンモノマーは例えばC−C30オレフィンモノマー、またはC−C12オレフィンモノマー(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン、及びデセン)を含んでよい。他のモノマーは、例えばエチレン性不飽和モノマー、C−C18ジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環式オレフィンを含む。他のモノマーの非限定的例は、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及びシクロペンテンを含むことができる。製造されるポリマーは、例えばホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーを含んでなってよい。
【0069】
溶液法の例は、本明細書に参考文献として引用される米国特許第4,271,060号、米国特許第5,001,205号、米国特許第5,236,998号及び米国特許第5,589,555号に記述されている。
【0070】
気相重合法の1つの例は、循環気体流(他に循環流または流動媒体として公知)を重合熱によって反応器中で加熱する連続循環系を含む。この熱は循環系の他の部分において反応器外部の冷却流により循環気体流から除去される。1つまたはそれ以上のモノマーを含む循環気体流は、反応条件の下、触媒の存在下に流動床を通して連続的に循環させることができる。一般に循環気体流を流動床から取出し、反応器へ返送する。同時に、ポリマー生成物を反応器から取出し、この重合したモノマーの代わりに新しいモノマーを添加することができる。気相法の反応器圧は例えば約100−約500psig、または約200−約400psigまたは約250−約350psigで変化させうる。気相反応法の反応温度は、例えば約30−約120℃、または約60−約115℃、または約70−約110℃または約70−約95℃で変えることができる。(本明細書に参考文献として引用される米国特許第4543399号、米国特許第4588790号、米国特許第5028670号、米国特許第5317036号、米国特許第5352749号、米国特許第5405922号、米国特許第5436304号、米国特許第5456471号、米国特許第5462999号、米国特許第5616661号、米国特許第5627242号、米国特許第5665818号、米国特許第5677375号及び米国特許第5668228号を参照)。ある具体例において、重合法は気相法であり、担持触媒組成物を生成させるために用いる遷移金属化合物はCpFluである。
【0071】
スラリー法は、一般に固体の粒状ポリマーの液体重合媒体中懸濁液を生成させることを含み、媒体にモノマー及び随時水素を触媒と一緒に添加する。(希釈剤を含んでいてよい)懸濁液を間断的にまたは連続的に反応器から除去し、揮発成分をポリマーから分離し、これを随時蒸留した後反応器へ返送する。重合媒体に使用される液化希釈剤は例えばC−Cアルカン(例えばヘキサンまたはイソブタン)を含んでいてよい。用いる媒体は一般に重合の条件下に液体であり、比較的不活性である。バルク相法はスラリー法のそれと同様である。しかしながら、重合法は一般にバルク法、スラリー法、またはバルクスラリー法であってよい。
【0072】
特別な具体例において、スラリー法またはバルク法は1つまたはそれ以上のループ反応器で連続的に行うことができる。触媒は、スラリーとしてまたは無水の、自由流動性粉末として、例えばポリマー粒子を希釈剤中で成長させる循環スラリーで満たされていてよい反応器ループに規則的に注入しうる。随時、例えば得られるポリマーの分子量を調節するために工程に水素を添加してもよい。ループ反応器は、例えば約27−約45バールの圧力及び約38−約121℃の温度に維持することができる。反応熱は、当業界において周知の方法、例えば2重ジャケット管を経て、ループウオールから除去することができる。
【0073】
他に、他の種類の重合法、例えば直列、並列、またはその組合せの攪拌反応器を使用してもよい。反応器から除去した後、ポリマーをポリマー回収系へ送り、例えば添加物の添加及び/または押出しのような更なる処理を行うことができる。
【0074】
ポリマー生成物
本明細書に記述する方法で生成されるポリマー(及びそのブレンド)は、これに限定されはしないが、線状低密度ポリエチレン、弾性体、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン(例えばシンジオタクチック、アタクチック及びアイソタクチック)及びポリプロピレンコポリマーを含むことができる。
【0075】
ある具体例において、ポリマーはシンジオタクチックポリプロピレンを含む。シンジオタクチックポリプロピレンは、CpFluを遷移金属化合物として含む担持触媒組成物によって生成できる。
【0076】
ある具体例において、ポリマーはアイソタクチックポリプロピレンを含む。アイソタクチックポリプロピレンは[m]を遷移金属化合物として含む担持触媒組成物によって生成できる。
【0077】
ある具体例において、ポリマーはバイモーダルな分子量分布を含む。バイモーダルな分子量分布のポリマーは複数の遷移金属化合物を含む担持触媒組成物によって生成できる。
【0078】
1つまたはそれ以上の具体例において、ポリマーは狭い分子量分布(例えば約2−約4の分子量分布)を有する。他の具体例において、ポリマーは広い分子量分布(例えば約4−約25の分子量分布)を有する。
【0079】
生成物の用途
これらのポリマー及びそのブレンドは、同業者には公知の用途、例えば成形操作(例えばフィルム、シート、パイプ、及び繊維の押出し及び共押出し、並びにブロー成形、射出成形、及びロータリー成形)に有用である。フィルムは、共押出しでまたは積層で製造される収縮フィルム、ラップフィルム、延伸フィルム、シールフィルム、配向フィルム、スナックパッケージ、耐久性バッグ、食品袋、焼いた及び冷凍した食品のパッケージ、薬袋、工業的裏打ち材、及び膜、例えば食品と接する及び非食品と接する用途の膜としてのブローまたはキャストフィルムを含む。繊維は、例えばフィルター、おしめ布、医療服、及びジオテキスタイルを製造するために織りまたは不織形で使用するための溶融紡糸、溶液紡糸、及び溶融ブロー繊維操作を含む。押出し製品は、例えば医療用チューブ、ワイヤ及びケーブル被覆材、ジオメンブラン、及び池の裏打ち材を含む。成形製品は、例えばビン、タンク、大きい中空製品、硬質の食品容器、及び玩具の形の単層及び多層構造体を含む。
【0080】
以上は本発明の具体例に関するものであったが、本発明の基本的な範囲を離れずしてその他の及び更なる具体例を工夫できよう。この基本的な範囲は特許請求の範囲で決まるものである。
【0081】
実施例
以下の実施例において、フッ素化メタロセン触媒化合物試料を製造した。
【0082】
以下に使用するごとき「シリカP−10」は、富士シリシアケミカルズ社から得られるシリカ(グレード:キャリアクト(Cariact)P−10、20μm)である。このシリカは281m/gの表面積、1.41mL/gの細孔容量、20.5μmの平均粒径、及び6.3のpHを有する。
【0083】
以下に使用するごとき「SiAl(5%)」は、富士シリシアケミカルズ社から得られるシリカアルミナ(シリカ−アルミナ205、20μm)である。そのようなシリカは260m/gの表面積、1.30mL/gの細孔容量、4.8重量%のアルミニウム含量、20.5μmの平均粒径、6.5のpH、及び乾燥時損失0.2%を示す。
【0084】
以下に使用するごとき「(NHSiF」は、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co)から得られるヘキサフルオロケイ酸アンモニウムである。
【0085】
以下に使用するごとき「DEAF」は、アクゾノーベルポリマーケミカルズ社(Akzo Nobel Polymer Chemicals)から得られるフッ化ジエチルアルミニウム(ヘプタン中26.9重量%)である。
【0086】
以下に使用するごとき「MAO」は、アルベマール社(Albemarle Corp.)から得られるメチルアルミノキサン(トルエン中30重量%)である。
【0087】
フッ素化担体A:フッ素化担体Aの製造は、シリカP10の25.0gを(NHSiF0.76gと乾式混合し、次いでこの混合物をガラスフリットディスクを有する石英管中へ移すことによって行った。ついでこの石英管を管炉へ挿入し、管の上部開口にガラスフリットロートを逆さまに取り付けた。次いで混合物を窒素(SLPM 0.4)で流動させた。流動化時に管を室温から116℃の平均反応温度まで5時間にわたり加熱した。平均反応温度に達したとき、管をこの平均反応温度に更に4時間維持した。次いで管を2時間にわたって470℃の平均焼成温度まで加熱し、次いでこの焼成温度に4時間保った。次いで管を加熱から取り出し、窒素下に冷却した。このフッ素化シリカP−10(1.0g)を磁気攪拌機を備えたガラス挿入具に添加した。次いでフッ素化シリカをトルエン10mL中にスラリーとし、室温で攪拌した。このシリカに、MAO(トルエン中30重量%)2.5mLを室温でゆっくりと添加した。次いでガラス挿入具を反応器容器へ装填した。次いで反応器を閉じ、磁気攪拌板上に置き、上部マニホールド部品に窒素下で連結した。次いで反応を115℃に4時間加熱した。4時間後、固体をガラスフィルターロートでろ過し、トルエン5mLで1回洗浄し、次いで3Xをヘキサン5mLで洗浄した。次いで固体を室温で真空下に乾燥した。
【0088】
フッ素化担体B:フッ素化担体B(中程度のF:Al/高度のAl:Si)は、SiAl(5%)の25.22gを(NHSiF1.51gと乾式混合し、次いでこの混合物を、ガラスフリットディスクを有する石英管中へ移すことによって行った。ついでこの石英管を管炉へ挿入し、管の上部開口にガラスフリットロートを逆さまに取り付けた。次いで混合物を窒素(SLPM 0.4)で流動させた。流動化時に管を室温から116℃の平均反応温度まで5時間にわたり加熱した。平均反応温度に達したとき、管をこの平均反応温度に更に4時間維持した。次いで管を2時間にわたって470℃の平均焼成温度まで加熱し、次いでこの焼成温度に4時間保った。次いで管を加熱から取り出し、窒素下に冷却した。
【0089】
フッ素化担体C:フッ素化担体Cの製造は、シリカP−10の50gを、フリットガラスディスク付きの石英ガラス管(1.5”x4”)に移すことによって行った。この管の底部にSLPM 0.6の窒素流を取り付けた。管を管炉に入れ、シリカを150℃で16時間加熱した。次いでシリカを、ゴム管を備えた三角フラスコに集めた。ゴム管を窒素下に管クリップで締め付けた。次いでフラスコをグローブボックスへ移した。シリカをガラス瓶に移し、放置した。この製造法は、更に熱処理したシリカP−10(OH 0.72ミリモル/シリカg)20gを、磁気攪拌子を備えた250mLの、1つ口、側枝丸底フラスコに秤量して移すことを含んだ。シリカをトルエン約150mLにスラリーとし、室温で攪拌した。このスラリーにDEAFの2.36g(0.0240モル)を室温でゆっくりと添加し、5分間攪拌した。丸底フラスコに還流管を取り付け、50℃に1.0時間加熱した。次いで得られた混合物を中程度のガラスフリットロートを通してろ過し、それぞれヘキサン50mLで3回洗浄した。得られた個体を真空下に乾燥した。本製造法は、更にこの固体16.97gを石英ガラス管に移し、0.6標準L/分(SLPM)の窒素流下に加熱することを含んだ。流動化中、管を1.0時間にわたって室温から平均反応温度130℃まで加熱した。温度が130℃に達したとき、温度を1.0時間で450℃まで上昇させた。温度が450℃に達したとき、この温度に2時間保った。次いで管を加熱から取り出し、窒素下に冷却した。固体を集め、窒素下に貯蔵した。一部からの固体を、空気を固体の流動化に使用する以外上述したものと同一の条件下に更に熱処理した。
【0090】
対照担体D:担体Dの製造は、シリカP10の25.0gを、ガラスフリットディスクを有する石英管中へ移すことによって行った。次いでこの石英管を管炉へ挿入し、管の上
部開口に逆さまのガラスフリットロートを取り付けた。次いでシリカを窒素(SLPM 0.4)で流動させた。流動化時に管を200℃の平均焼成温度まで12時間にわたり加熱した。この管を加熱から取り出し、窒素下に冷却した。このシリカP−10の1.0gを磁気攪拌機を備えたガラス挿入具に添加した。このシリカをトルエン10mL中にスラリーとし、室温で攪拌した。このシリカに、MAO(トルエン中30重量%)2.5mLを室温でゆっくりと添加した。次いでガラス挿入具を反応器容器へ装填した。次いで反応器を閉じ、磁気攪拌板上に置き、上部マニホールド部品に窒素下で連結した。次いで反応を115℃まで4時間加熱した。4時間後、固体をガラスフィルターロートでろ過し、トルエン5mLで1回洗浄し、次いでヘキサン5mLで3回洗浄した。次いで最終の固体を真空下に乾燥した。
【0091】
触媒A:触媒Aの製造は、担体Aの0.5gを室温でトルエン5mLにスラリーとし、磁気攪拌子で攪拌することによって行った。次いでこの製造法は、rac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド5mgを室温でフッ素化担体に添加することを含んだ。次いで得られた混合物を1.0時間攪拌した。得られた混合物をガラスフィルターロートでろ過し、トルエン2mLで1回、続いてヘキサン3mLで3回洗浄した。次いで最終固体を真空下に乾燥し、鉱油中でスラリーにした。
【0092】
触媒B:触媒Bの製造は、フッ素化担体Bの1.01gをトルエン6mLにスラリーとし、磁気攪拌子で攪拌することによって行った。次いでこの製造法は、混合物にTIBAl(ヘプタン中25.2重量%)4.0gを添加し、この混合物を室温で約5分間攪拌することを含んだ。次いで製造法は、rac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド22.7mgを室温でフッ素化担体に添加することを含んだ。得られた混合物を室温で2時間攪拌した。得られた混合物をガラスフィルターロートでろ過し、ヘキサン5mLで2回洗浄した。次いで最終固体を真空下に乾燥し、鉱油12.3g中でスラリーにした。
【0093】
触媒C:触媒Cの製造は、フッ素化担体Cの1.03gをトルエン6mLにスラリーとし、磁気攪拌子で攪拌することによって行った。次いでこの製造法は、混合物にTIBAl(ヘプタン中25.2重量%)4.01gを添加し、この混合物を室温で約5分間攪拌することを含んだ。次いで製造法は、rac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド20.0mgを室温でフッ素化担体に添加することを含んだ。得られた混合物を室温で1.5時間攪拌した。得られた混合物をガラスフィルターロートでろ過し、トルエン5mLで1回、続いてヘキサン5mLで1回洗浄した。室温で約1時間乾燥した後、固体を乾燥鉱油中にスラリーとした。次いで最終固体を真空下に乾燥し、鉱油中でスラリーにした。
【0094】
触媒D:触媒Dの製造は、担体Dの0.5gを室温でトルエン5mLにスラリーとし、磁気攪拌子で攪拌することによって行った。次いでこの製造法は、rac−ジメチルシラニルビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド5mgを室温でフッ素化担体に添加することを含んだ。得られた混合物を1.0時間攪拌した。得られた混合物をガラスフィルターロートでろ過し、トルエン2mLで1回、続いてヘキサン3mLで3回洗浄した。最終の固体を真空下に乾燥し、鉱油中でスラリーにした。
【0095】
次いで得られた触媒をオレフィンモノマーと共に重合に供してポリマーを生成させた。重合結果をそれぞれ表1及び2に示す。
【表1】

【表2】

【0096】
予期を越えて、ポリオレフィン重合の生産性は、本明細書に記述した触媒製造法で制御できることが判明した。
【0097】
実施例で示したように、より高い(5重量%)Al:Si比はより低い(1重量%)Al:Siモル比よりも高い触媒活性をもたらした。(触媒E及びCを参照)。
【0098】
更に約3:1のF:Alモル比は6:1または2:1の比よりも高い触媒活性をもたらすことが示された。(触媒B、C及びDを参照)。2重量%の遷移金属負荷量は、1重量%の負荷量よりも高い触媒活性をもたらすことも観察された。(触媒B及びCを参照)。
【0099】
更に、遷移金属化合物を捕捉化合物と接触させるときよりも遷移金属化合物との接触前に捕捉化合物をフッ素化担体に添加したときに、より高い触媒活性が観察されることが予期を越えて観察された。(触媒A及びBを参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si−O−Al−F、F−Si−O−Al、F−Si−O−Al−F及びこれらの組合せから選択される結合シーケンスを含んでなる無機担体組成物を与え、そして
この無機担体組成物を、式
[L]M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で表される遷移金属化合物と接触させて担持触媒系を生成させる、
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
SiO及びAlを同時に生成させ、そしてこのSiO及びAlをフッ素化剤と接触させることによって無機担体組成物を生成させる、請求項1の方法。
【請求項3】
シリカ含有化合物をフッ素化剤と、次いで有機アルミニウム含有化合物と接触させることによって無機担体組成物を生成させる、但し該有機アルミニウム含有化合物が式AlRで表され、なお各Rは独立にアルキル、アリール及びこれらの組合せから選択される、請求項1の方法。
【請求項4】
シリカ含有化合物をアルミニウム含有化合物と、次いでフッ素化剤と接触させることによって無機担体組成物を生成させる、但し該有機アルミニウム含有化合物が式AlRで表され、なお各Rは独立にアルキル、アリール及びこれらの組合せから選択される、請求項1の方法。
【請求項5】
アルミナ‐シリカ担体を与え、そしてこのアルミナ‐シリカ担体をフッ素化剤と接触させる、請求項1の方法。
【請求項6】
シリカ担体を与え、このシリカ担体を式RAlF3−nで表されるフッ素化剤と接触させることによって無機担体組成物を生成させる、但し各Rは独立にアルキル、アリール及びこれらの組合せから選択され且つnが1または2である、請求項1の方法。
【請求項7】
無機担体組成物を、式AlRで表される第2のアルミニウム含有化合物の存在下に遷移金属化合物と接触させる、但し各Rが独立にアルキル、アルコキシ、アリール、アリーロキシ、ハロゲンまたはこれらの組合せから選択される、請求項1の方法。
【請求項8】
第2のアルミニウム含有化合物がトリイソブチルアルミニウムを含んでなる、請求項7の方法。
【請求項9】
担持触媒組成物がシリカとアルミニウム(Al)を約0.01:1−約1000:1の重量比で、そしてフッ素とシリカを約0.001:1−約0.3:1の重量比で含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
担持触媒組成物がフッ素とシリカを約1:1のモル比で含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
担持触媒組成物が遷移金属化合物を約0.1−約5重量%で含んでなる、請求項1の方法。
【請求項12】
担持触媒組成物が重合不在のアルキル化に対して活性がある、請求項1の方法。
【請求項13】
担持触媒系を、オレフィンモノマーとの接触に先立ってある期間貯蔵することを更に含
んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
無機担体組成物と遷移金属化合物の接触がオレフィンモノマーとの接触の近傍で起こる、請求項1の方法。
【請求項15】
無機担体組成物が複数の遷移金属化合物と接触せしめられる、請求項1の方法。
【請求項16】
担持触媒系をオレフィンモノマーと接触させて、バイモーダルな分子量分布を有するポリオレフィンを生成させることを更に含んでなる、請求項15の方法。
【請求項17】
請求項1の方法で生成される担持メタロセン触媒組成物。
【請求項18】
担持触媒系をオレフィンモノマーと接触させて、気相法、液相法、スラリー相法、及びこれらの組合せ法から選択される方法においてポリオレフィンを生成させることを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項19】
担持触媒系をオレフィンモノマーと接触させてポリオレフィンを生成させる、但しポリオレフィンがエチレン、Cまたはそれ以上のアルファオレフィンCまたはそれ以上の共役ジエン、エチレン‐アルファオレフィンコポリマー、及びこれらの組合せから選択されるポリマーを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項20】
担持触媒系をオレフィンモノマーと接触させてポリオレフィンを生成させることを更に含んでなる、但しポリオレフィンがポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの組合せから選択される、請求項1の方法。
【請求項21】
担持触媒系をプロピレンモノマーと接触させてアイソタクチックポリプロピレンを生成させることを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項22】
担持触媒系をオレフィンモノマーと接触させてユニモーダル、バイモーダルまたはマルチモーダルから選択される分子量分布を含んでなるポリオレフィンを生成させる、請求項1の方法。
【請求項23】
担持触媒系をプロピレンモノマーと接触させてシンジオタクチックポリプロピレンを生成させることを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項24】
遷移金属化合物がC、CまたはCから選択される対称性を含んでなるメタロセン触媒から選択される、請求項1の方法。
【請求項25】
遷移金属化合物がメタロセン触媒、レイト遷移金属触媒、ポスト遷移金属触媒及びこれらの組合せから選択される、請求項1の方法。
【請求項26】
無機担体組成物を酸素の存在下に約200℃‐約600℃の温度で焼成することを更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項27】
Si−O−Al−F、F−Si−O−Al、F−Si−O−Al−F及びこれらの組合せから選択される結合シーケンスを含んでなる無機担体組成物、及び
遷移金属化合物が式
[L]M[A]
[式中、Lは嵩だかな配位子であり、Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり、そしてm及びnは全配位子の価数が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で表される有機金属触媒化合物、
を含んでなる、触媒系。
【請求項28】
式AlRで表される第2のアルミニウム含有化合物を更に含んでなる、但し各Rが独立にアルキル、アリール、ハロゲンまたはこれらの組合せから選択される、請求項27の触媒。
【請求項29】
第2のアルミニウム含有化合物がトリイソブチルアルミニウムを含んでなる、請求項28の触媒。
【請求項30】
シリカとアルミニウム(Al)を約0.01:1−約1000:1の重量比で、そしてフッ素とシリカを約0.001:1−約0.3:1の重量比で更に含んでなる、請求項27の触媒。
【請求項31】
遷移金属化合物を約0.1−約5重量%で更に含んでなる、請求項27の触媒。
【請求項32】
遷移金属化合物がメタロセン触媒、レイト遷移金属触媒、ポスト遷移金属触媒及びこれらの組合せから選択される、請求項27の触媒。

【公表番号】特表2009−535460(P2009−535460A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507849(P2009−507849)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/010435
【国際公開番号】WO2007/127465
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】