説明

フラットケーブル

【課題】プリント基板等に接続されたフラットケーブルに加わる外力への耐性を固定部材等の他の部材を用いることなく高めることができるフラットケーブルを提供する。
【解決手段】並列に配置された複数の導体11と、導体11の周囲に導体11を被覆する絶縁体12とを備えたフラットケーブル本体13からなり、フラットケーブル本体13の長手方向の端部に、導体11と絶縁体12とが一体に折り曲げられてフラットケーブル本体13の厚さ方向に導体11と絶縁体12とが突出する折り曲げ部14を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボン電線、FFC(Flexible Flat Cable)、FPC(Flexible Printed Circuit)、その他のフラット配線材等のフラットケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品は、小型化に伴って、回路が組み込まれたプリント基板が多用されている。更に、複数のプリント基板が組み込まれた電子ユニットの開発も進められており、かかる電子ユニットではプリント基板同士の電気的接続も必要となっている。このプリント基板同士の電気的接続には、リボン電線、FFC、FPC、その他のフラット配線材等のフラットケーブルが用いられる。
【0003】
図7に従来のプリント基板とフラットケーブルの接続例を示す。
【0004】
図7に示すように、フラットケーブル70は、扁平で長尺な複数の導体71が並列に配置され、それらがポリイミド等の絶縁フィルム(絶縁体)72で表裏両面から覆われることにより一体化されたものである。
【0005】
このフラットケーブル70をプリント基板73に接続する際には、フラットケーブル70の端末において、絶縁体72が剥離処理され、露出した導体71はコネクタ74を経由して、プリント基板73に設けられた電極配線75へと電気的に接続される。
【0006】
しかし、フラットケーブルは、比較的剛性が高く、外力を吸収しにくいため、特にフラットケーブルとプリント基板との接続部に大きなひずみが発生しやすくなる。例えば、車載部品等に用いられるプリント基板にフラットケーブルが接続されている場合、プリント基板に振動が加わった際にフラットケーブルもプリント基板と共に振動する。このとき、フラットケーブルとプリント基板との接続部に大きなひずみが発生し、フラットケーブルとプリント基板との接続部でフラットケーブルの断線等が発生する虞がある。
【0007】
そのため、フラットケーブルを保護ケース等に固定したり、フラットケーブルとプリント基板との接続部に追加部材を用いたりすることで、接続部の振動やひずみを抑制する等の対策がなされてきた。
【0008】
特許文献1では、プリント基板の端部を表裏両面から挟持する状態で、そのプリント基板に接続されたフラットケーブルを押さえ込む拘束具を一体に形成したクリップを設けることで、フラットケーブルとプリント基板との接続部に加わる外力への耐性を高めている。
【0009】
特許文献2では、フラットケーブルに、少なくとも1箇所の180度に折り曲げた屈曲部を設け、その屈曲部がプリント基板と他の部材によって挟持されている構造を用いて、フラットケーブルに加わる外力への耐性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−143784号公報
【特許文献2】特開2003−288961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した方法では、いずれもフラットケーブル以外の部材を追加することで、フラットケーブルの外力への耐性を高めているため、部品点数が多くなり、また、部品点数の増加によって接続作業が煩雑になる。これらはコスト低減や電子ユニット全体の小型化に対しての大きな妨げとなる。また、接続部に長期間に亘って振動等の外力が加わることで、追加した部材の拘束力が低下するなどして、部材が脱落してしまうような場合もある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、プリント基板等に接続されたフラットケーブルに加わる外力への耐性を固定部材等の他の部材を用いることなく高めることができるフラットケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために創案された本発明は、並列に配置された複数の導体と、前記導体の周囲に前記導体を被覆する絶縁体とを備えたフラットケーブル本体からなり、前記フラットケーブル本体の長手方向の端部に、前記導体と前記絶縁体とが一体に折り曲げられて前記フラットケーブル本体の厚さ方向に前記導体と前記絶縁体とが突出する折り曲げ部を有するフラットケーブルである。
【0014】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って、前記導体と前記絶縁体とが突出する部分の頂点が山折りされてなる山折り部と、前記頂点が谷折りされてなる谷折り部とを有すると良い。
【0015】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って複数形成されていると良い。
【0016】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って交互に形成されていると良い。
【0017】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向における中心に関して対称に形成されていると良い。
【0018】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向の一端が山折り部で、他端が谷折り部であると良い。
【0019】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向において、両端に形成された頂点の幅が中央に形成された頂点の幅よりも大きいと良い。
【0020】
前記折り曲げ部は、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺と前記フラットケーブル本体の長手方向に平行な辺とのなす角が45度であると良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プリント基板等に接続されたフラットケーブルに加わる外力への耐性を固定部材等の他の部材を用いることなく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成する前の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図である。
【図2】図1のフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成した後の状態を示す図である。
【図3】図1のフラットケーブルの接続方法の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成した後の状態を示す図である。
【図5】(a),(b)は本発明の第1の実施の形態に係るフラットケーブルと第2の実施の形態に係るフラットケーブルの違いを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成した後の状態を示す図である。
【図7】従来のフラットケーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
図1は本発明の好適な第1の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成する前の状態を示す図であり、図2は折り曲げ部を形成した後の状態を示す図である。
【0025】
図1、図2に示すように、第1の実施の形態に係るフラットケーブル100は、並列に配置された複数の導体11と、導体11の周囲に導体11を被覆する絶縁体12とを備えたフラットケーブル本体13からなり、フラットケーブル本体13の長手方向の端部に、導体11と絶縁体12とが一体に折り曲げられてフラットケーブル本体13の厚さ方向に導体11と絶縁体12とが突出する折り曲げ部14を有する。例えば、折り曲げ部14は、図2に示すように、フラットケーブル本体13の幅方向(導体11の配線方向)に沿って凹凸が形成されるように導体11と絶縁体12とが折り曲げられている。また、折り曲げ部14は、凹凸の頂点15が山折りされてなる山折り部16と、凹凸の頂点15が谷折りされてなる谷折り部17とを有する。なお、図1(a)、図2及び後述する図3、図4、図6において、導体11を便宜上、破線で示した。
【0026】
フラットケーブル本体13は、扁平で長尺な複数の導体11がフラット状に並べられ、それらがポリイミド等の絶縁フィルムからなる絶縁体12で表裏両面から覆われることにより全体が一体化されたものである。つまり、フラットケーブル本体13は、絶縁フィルムからなる絶縁体12の表面に、複数の導体11、絶縁フィルムからなる絶縁体12が順次積層された構造となっている。本明細書では、絶縁体12、複数の導体11、絶縁体12が積層された方向を、フラットケーブル本体13の厚さ方向と言う。
【0027】
このフラットケーブル本体13の端部には、フラットケーブル本体13の幅方向に沿って平行にスリット18が形成される。このスリット18は、図1(b)に示すように、隣り合う導体11間にそれぞれ形成されており、スリット18間に配置された導体11と絶縁体12とを一体に折り曲げることで折り曲げ部14が形成される。
【0028】
前述したように、折り曲げ部14は、凹凸の頂点15が山折りされてなる山折り部16と、凹凸の頂点15が谷折りされてなる谷折り部17とを有するパンタグラフ型ばね構造となっており、これら山折り部16と谷折り部17は、フラットケーブル本体13の幅方向に沿って複数形成されている。
【0029】
また、折り曲げ部14は、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺21とフラットケーブル本体13の長手方向に平行な辺22とのなす角が直角になるように形成される(図5(a)参照)。
【0030】
各山折り部16と谷折り部17には、少なくとも1本以上の導体11が存在しており、これら導体11を構成する金属材料が塑性変形されてパンタグラフ型ばね構造のアーム19が形成される。
【0031】
また、山折り部16と谷折り部17は、フラットケーブル本体13の幅方向に沿って交互に形成されており、折り曲げ部14は、フラットケーブル本体13の幅方向の一端が山折り部16で、他端が谷折り部17となっている。
【0032】
このようなパンタグラフ型ばね構造にすることで、フラットケーブル本体13の長手方向における引張り、圧縮方向の外力に対して、パンタグラフ型ばね構造が変形することで外力が吸収される。
【0033】
このフラットケーブル100をプリント基板73に接続する際には、従来と同様に、フラットケーブル100の端末において、絶縁体12が剥離処理され、露出した導体11はコネクタ74を経由して、プリント基板73に設けられた電極配線75へと電気的に接続される。
【0034】
コネクタ74におけるフラットケーブル100の複数の導体11とコネクタ74との接続、及びコネクタ74とプリント基板73上の電極配線75との接続には、はんだを用いた接続の他、具体的な手段は問わず、超音波、抵抗加熱等を利用した圧接、溶接、拡散接合等の適用が可能である。
【0035】
なお、ここではフラットケーブル100の接続の一例として、コネクタ74を用いたプリント基板73との接続を説明したが、コネクタ74の有無を問わず、例えば、フラットケーブル100の端末において、絶縁体12が剥離処理され、図示しない露出した導体11とプリント基板73上に設けられた電極配線75とを、はんだ等の金属を用いた電気的接続、圧接、溶接等による接合、又は、導電材料等を用いた電気的接続により接続する場合にも適用が可能である。
【0036】
プリント基板73に振動が加わった際にプリント基板73と共にフラットケーブル100も振動するが、このとき、フラットケーブル本体13の端部に剛性の低い折り曲げ部14を有することにより、この剛性の低い折り曲げ部14において、振動等の外力を吸収することができる。特に、折り曲げ部14が山折り部16と谷折り部17とで構成されていると、振動等の外力をより効果的に吸収することができる。
【0037】
このため、フラットケーブル100とプリント基板73との接続部に過剰な負荷がかからなくなり、フラットケーブル100とプリント基板73との接続部に大きなひずみが発生することを防止でき、フラットケーブル100とプリント基板73との接続部におけるフラットケーブル100の断線等が発生しにくくなる。
【0038】
また、山折り部16と谷折り部17とが複数形成されていることにより、フラットケーブル本体13の端部の剛性を小さくすることができるため、フラットケーブル本体13とプリント基板73とが振動する際、プリント基板73の振動とフラットケーブル100の振動とが共振してしまうのを防止することができる。
【0039】
また、山折り部16と谷折り部17とがフラットケーブル本体13の幅方向に沿って交互に形成されていることにより、フラットケーブル本体13の端部の剛性を小さくしつつも端部におけるばね性を保持することができるため、フラットケーブル100とプリント基板73とが振動する際、プリント基板73の振動とフラットケーブル100の振動との共振をより効果的に防止することができる。
【0040】
更に、フラットケーブル本体13の幅方向の一端が山折り部16で、他端が谷折り部17であることにより、プリント基板73の振動の大きさ(振幅)や周期が変化した場合であっても、その変化に追従することができるため、プリント基板73とフラットケーブル100との共振や振動を効果的に吸収することができる。
【0041】
よって、フラットケーブル100によれば、プリント基板73等に接続されたフラットケーブル100に加わる外力への耐性を固定部材等の他の部材を用いることなく高めることができる。
【0042】
なお、スリット18の本数、間隔、長さ、又は、パンタグラフ型ばね構造のアーム19の幅、間隔、長さ、アーム19内を通る導体11の本数、アーム19の曲げ角度を適宜調整することで、パンタグラフ型ばね構造のばね定数、共振周波数を調整することができ、フラットケーブル100とプリント基板73との間のダンパーとして適切な値に、即ち、電子部品の使用環境に適合するように設計することが可能となる。
【0043】
第1の実施の形態においては、フラットケーブル100とプリント基板73とを、フラットケーブル本体13の長手方向における引張り、圧縮方向の外力が吸収されるように接続したが、フラットケーブル100とプリント基板73との接続方法は、これに限定されるものではない。
【0044】
例えば、図3に示すように、パンタグラフ型ばね構造の谷折り部17のアーム19がプリント基板73に固定されるように接続しても良い。アーム19をプリント基板73に固定するための具体的な手段は問わず、一般的な接着剤等で固定すると良く、例えば、エポキシ系材料を用いてアーム19の絶縁体12とプリント基板73の表面とを接着すると良い。
【0045】
このように、パンタグラフ型ばね構造の谷折り部17のアーム19がプリント基板73に固定されることにより、フラットケーブル100のねじれ方向の変形によるフラットケーブル100とプリント基板73との接続部のねじれ方向のひずみの発生を抑制することが可能となる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0047】
図4は本発明の好適な第2の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成した後の状態を示す図であり、図5(a),(b)は第1の実施の形態に係るフラットケーブルと第2の実施の形態に係るフラットケーブルの違いを示す図である。
【0048】
図4、図5(a),(b)に示すように、第2の実施の形態に係るフラットケーブル200は、第1の実施の形態に係るフラットケーブル100と比べて、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺21とフラットケーブル本体13の長手方向に平行な辺22とのなす角が直角でない点が異なる。
【0049】
このとき、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺21とフラットケーブル本体13の長手方向に平行な辺22とのなす角が45度であることが望ましい。
【0050】
このようにすることで、フラットケーブル本体13の長手方向からの応力を緩和するだけでなく、幅方向からの応力もフラットケーブル本体13の端部でより効果的に緩和することができる。即ち、より多方向の外力に対してもばね特性を発揮することが可能となる。
【0051】
特に、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺21とフラットケーブル本体13の長手方向に平行な辺22とのなす角を45度とすることにより、フラットケーブル本体13の長手方向及び幅方向からの応力に対してバランス良く対応することができる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0053】
本発明者らは、フラットケーブルが振動する際の接続部の位置の違いによる応力の違いに着目し、フラットケーブル本体の幅方向の両端に振動による応力が集中して、この応力によってフラットケーブルの接続部がフラットケーブル本体の幅方向の両端から中央にかけて徐々にプリント基板から離間してしまうことを見出した。
【0054】
この問題を解決するために発明されたのが、第3の実施の形態にかかるフラットケーブルである。
【0055】
図6は、本発明の好適な第3の実施の形態に係るフラットケーブルにおいて折り曲げ部を形成した後の状態を示す図である。
【0056】
図6に示すように、第3の実施の形態に係るフラットケーブル300は、第1の実施の形態に係るフラットケーブル100と比べて、フラットケーブル本体13の幅方向において、両端に形成された凹凸の頂点31の幅W1が中央に形成された頂点32の幅W2よりも大きい点が異なる。
【0057】
また、フラットケーブル300では、山折り部16と谷折り部17は、フラットケーブル本体13の幅方向における中心に関して対称に形成されている。
【0058】
このように、フラットケーブル本体13の幅方向の両端に形成された凹凸の頂点31の幅W1を中央に形成された頂点32の幅W2よりも大きくすることで、フラットケーブル本体13の幅方向の両端に集中する応力を緩和することができるため、フラットケーブル300とプリント基板73との接続を維持することができる。
【0059】
また、フラットケーブル本体13の端部に山折り部16と谷折り部17とがフラットケーブル本体13の幅方向における中心に関して対称に形成されていることにより、フラットケーブル本体13の端部の剛性が不均一になることを防止することができるため、フラットケーブル本体13の端部において振動を効果的に吸収することができる。
【0060】
前述の各実施の形態においては、フラットケーブル本体13の端部、即ち、プリント基板73との接続部近傍に折り曲げ部14を形成したが、例えば、長尺フラットケーブルの中央部や、曲げ配線を行っている屈曲部において、同様の折り曲げ部14を設けるようにしても良い。
【0061】
また、折り曲げ部14の頂点を曲げ半径の小さい曲げで構成したが、曲げ半径を大きくし、例えば、S字構造のような連続的な曲げを施して折り曲げ部14としても良い。
【0062】
また、フラットケーブルの接続例としてプリント基板との接続を説明したが、フラットケーブルの接続対象はプリント基板に限定されるものではない。
【0063】
以上のように、本発明は、フラットケーブルに従来通りの接続構造を適用しながら、フラットケーブル自体にスリットを設け、更にスリット間に配置された導体と絶縁体とを一体に折り曲げてフラットケーブルの厚さ方向に導体と絶縁体とが突出する折り曲げ部を形成することで、フラットケーブルとプリント基板に加わる外力を緩和する機構を構成したものであり、追加部品を必要としない簡便な構造で、フラットケーブル自体に高いばね性能を与えることができ、フラットケーブルとプリント基板に高い信頼性を確保できる。
【0064】
なお、昨今、電子部品の更なる小型化に加えて、高集積化、高機能化を目的として、プリント基板同士の電気的接続に用いられるフラットケーブルは、従来の電気信号を伝送することのみならず、電力供給を電気信号の伝送と同時に行う試みも検討されている。
【0065】
電気信号のみの伝送用途の場合、配線材中に流れる電流量は僅かであるため、このような電気信号のみの伝送用途のフラットケーブルにはその絶縁体の厚さを薄くした(簿肉にした)簿肉フラットケーブルが用いられている。簿肉フラットケーブルは電力供給用の配線材に比べ一般に抵抗が高いが、電流量が僅かであるため、電流量に起因して発生するジュール熱は無視できる程度であった。
【0066】
しかしながら、電力供給のための配線材としてフラットケーブルを用いた場合、配線材中に流れる電流量が信号伝送用よりも一般に大きく、発熱が問題となるため、フラットケーブルの全体、若しくは、一部に関して、絶縁体の厚さを厚肉化する必要がある。
【0067】
絶縁体の厚さを厚くすると、フラットケーブルの剛性が更に高まるが、本発明の構成を採用すれば、厚さが厚くなってもフラットケーブルの端部にて振動等を吸収することができるので、外力に対する耐性を低下しにくくすることができる。
【符号の説明】
【0068】
100 フラットケーブル
11 導体
12 絶縁体
13 フラットケーブル本体
14 折り曲げ部
15 頂点
16 山折り部
17 谷折り部
18 スリット
19 アーム
21、22 辺
31、32 頂点
73 プリント基板
74 コネクタ
75 電極配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数の導体と、前記導体の周囲に前記導体を被覆する絶縁体とを備えたフラットケーブル本体からなり、前記フラットケーブル本体の長手方向の端部に、前記導体と前記絶縁体とが一体に折り曲げられて前記フラットケーブル本体の厚さ方向に前記導体と前記絶縁体とが突出する折り曲げ部を有することを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って、前記導体と前記絶縁体とが突出する部分の頂点が山折りされてなる山折り部と、前記頂点が谷折りされてなる谷折り部とを有する請求項1に記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って複数形成されている請求項2に記載のフラットケーブル。
【請求項4】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向に沿って交互に形成されている請求項2又は3のいずれかに記載のフラットケーブル。
【請求項5】
前記山折り部と前記谷折り部は、前記フラットケーブル本体の幅方向における中心に関して対称に形成されている請求項2〜4のいずれかに記載のフラットケーブル。
【請求項6】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向の一端が山折り部で、他端が谷折り部である請求項2〜4のいずれかに記載のフラットケーブル。
【請求項7】
前記折り曲げ部は、前記フラットケーブル本体の幅方向において、両端に形成された頂点の幅が中央に形成された頂点の幅よりも大きい請求項1〜6のいずれかに記載のフラットケーブル。
【請求項8】
前記折り曲げ部は、山折り或いは谷折りに曲げられた部分の辺と前記フラットケーブル本体の長手方向に平行な辺とのなす角が45度である請求項1〜7のいずれかに記載のフラットケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−160403(P2012−160403A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21014(P2011−21014)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】