説明

フラットパネルディスプレイ検査装置

【課題】 撮像画像に生じるボケを補正し正確な欠陥認識を行う。
【解決手段】 フラットパネルディスプレイの既知画像31をカメラで撮像し各画素位置に対応したカメラ座標35での濃度値を取得する。フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応するFPD座標41に、対応するカメラ座標の座標位置を関連付けて座標対応表42を形成する。このとき、座標を濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、小数点以下の値が同じ値のものを集めて各値毎にサブピクセル座標51,52を形成して各サブピクセル座標別に近傍画像濃度分布を形成する。検査時に取得した検査用カメラ座標での濃度値を対応表41に基づいてフラットパネルディスプレイの各画素位置に対応した検査用対応座標に変換し、近傍濃度分布によりフラットパネルディスプレイの発光輝度に対応する推定画像を形成して欠陥検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに発生する点欠陥を検査するフラットパネルディスプレイ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを検査する際には、フラットパネルディスプレイ検査装置が用いられていた。
【0003】
このフラットパネルディスプレイ検査装置で点欠陥を検査する際には、フラットパネルディスプレイの解像度の2倍(面積比4倍)以上の解像度を有するカメラを使用するとともに、そのレンズとしては、シャープなものが要求されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、解像度の低いカメラを使用した場合、フラットパネルディスプレイの一画素は、カメラ画像において数画素に映り、ボケた画像として撮像されるとともに、一つの欠陥が複数の欠陥と認識されてしまう。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、比較的低解像度のカメラであっても、撮像画像に生じるボケを補正し、正確な欠陥認識を行うことができるフラットパネルディスプレイ検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明のフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、カメラで撮像したフラットパネルディスプレイの映像から点欠陥を検出するフラットパネルディスプレイ検査装置において、前記フラットパネルディスプレイに表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する撮像手段と、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を、各座標位置での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求めて対応表を作成する対応表作成手段と、前記FPD座標が示す前記カメラ座標の座標位置において、小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成するとともに、各サブピクセル座標別に近傍画像濃度分布を形成する画像処理手段と、前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像を前記カメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応した検査用カメラ座標での濃度値を取得する検査画像撮像手段と、前記検査用カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応した検査用対応座標に変換する座標変換手段と、前記検査用対応座標での濃度値と前記近傍濃度分布とから前記フラットパネルディスプレイの発光輝度に対応する推定画像を形成する推定画像形成手段と、前記推定画像を用いて点欠陥を検出する点欠陥検出手段と、を備えている。
【0007】
すなわち、フラットパネルディスプレイを検査する際には、その前段階として、前記フラットパネルディスプレイに、表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得した後、前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を、前記カメラ座標での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求めて対応表を作成する。このとき、前記既知画像においては、表示される輝点の表示位置の座標が既知なため、各輝点間の値を補間することができる。
【0008】
そして、このFPD座標で示された前記カメラ座標の座標位置において、小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成するとともに、各サブピクセル座標別に近傍画像濃度分布を形成する。
【0009】
検査時において、前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応した検査用カメラ座標での濃度値を取得した後、前記検査用カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応した検査用対応座標に変換する。そして、前記検査用対応座標での濃度値と前記近傍濃度分布とから前記フラットパネルディスプレイの発光輝度に対応する推定画像を形成し、この推定画像から点欠陥を検出する。
【0010】
このため、フラットパネルディスプレイ上の一画素がカメラ画像において複数画素に映り、ボケた画像として取得された場合であっても、推定画像において、そのボケが修正される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明のフラットパネルディスプレイ検査装置にあっては、カメラによってボケた画像が取得された場合であっても、そのボケを修正した推定画像を用いて欠陥検査を行うことができる。
【0012】
したがって、比較的低解像度のカメラを用いた場合であっても、撮像画像に生じるボケを補正し、正確な欠陥認識を行うことができる。これにより、レンズ特性やCCDカメラの特性も比較的低解像度のカメラを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるフラットパネルディスプレイ検査装置1を示すブロック図であり、該フラットパネルディスプレイ検査装置1は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ2に発生する点欠陥を検査する装置である。
【0014】
このフラットパネルディスプレイ検査装置1は、画像処理を行うコンピュータ11を中心に構成されており、該コンピュータ11には、カメラインターフェイス12を介してカメラ13が接続されている。前記コンピュータ11には、検査対象となるフラットパネルディスプレイ2が接続されており、前記コンピュータ11からの信号に応じた映像を出力できるように構成されている。
【0015】
また、前記コンピュータ11には、フィルタ装置21が接続されており、該フィルタ装置21は、前記カメラ13のレンズ22と前記フラットパネルディスプレイ2との間に配置されている。これにより、前記コンピュータ11からの制御信号によって前記フィルタ装置21を制御することによって、前記カメラ13において減光フィルタやカラーフィルタを通した映像と、各フィルタを通さない映像とが取得できるように構成されている。
【0016】
前記コンピュータ11は、記憶されたプログラムに従って動作するように構成されており、前記カメラ13で取得した画像を処理して前記フラットパネルディスプレイ2に発生した点欠陥を検出し、その位置を、他の装置やモニタに出力できるように構成されている。
【0017】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0018】
すなわち、フラットパネルディスプレイ2を検査する際には、その前段階として、コンピュータ11からの出力によって前記フラットパネルディスプレイ2に、図3に示すような既知画像31を表示するとともに、その画像を検査用のカメラ13で撮像する(S1)。前記既知画像31(A(i,j))としては、3×3画素の領域内の中央画素を輝点32とした格子点画像33が、図中横方向であるi方向及び図中縦方向であるj方向に4画素(又は8画素)おきに設けられた画像からなり(一つの格子点画像33のみ図示)、各格子点画像33が表示される位置座標(i,j)は、前記コンピュータ11において既知である。これにより、前記カメラ13における各画素位置に対応したカメラ座標35(B(i,j))での濃度値を取得する。
【0019】
そして、前記フラットパネルディスプレイ2の各画素位置に対応するFPD座標41(C(x,y))に、各FPD座標位置(x,y)に対応する前記カメラ座標35(B(i,j))の座標位置(i,j)を関連付けて座標対応表42を形成する(S2)。その一例としては、前記カメラ座標35における前記各格子点画像33上での座標を、前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求め、その値を前記FPD座標41の各座標位置に記憶する方法が挙げられる。このとき、前記既知画像31において、表示される輝点32の表示位置の座標は既知なため、各輝点32間の値を補間して求めることができる。これにより求められたFPD座標41の各座標位置に記憶された前記カメラ座標35における各座標位置において、小数点以下の値が同じ値のものを集めて各値毎にサブピクセル座標51,52,・・・を形成するとともに、各サブピクセル座標51,52,・・・別に、近傍の濃度値が記憶された近傍画像濃度分布の濃度分布H(k,p,q)を求めて形成する(S3)。
【0020】
次に、前記フラットパネルディスプレイ2に検査用画像を表示して該検査用画像の映像をカメラ13で撮像し、当該カメラ13における各画素位置に対応した検査用カメラ座標での濃度値を取得した後(前述したカメラ座標に相当)、前記検査用カメラ座標での前記濃度値を前記対応表42に基づいて前記フラットパネルディスプレイ2の各画素位置に対応した検査用対応座標に変換し(S4)、フラットパネルディスプレイ2と同じ画素数の推定画像61(D(x,y))の初期値とする(S5)。
【0021】
この推定画像61に前記サブピクセル座標51,52,・・・での前記近傍濃度分布(重みW)を合成して合成画像71(E(x,y))を形成し(S6)、この合成画像71とカメラ入力された検査用画像とにおいて、各所の濃度が一致するように推定画像61上の濃度を変更して(S7)、前記各ステップS6〜S7を数回繰り返す。この動作を、図4の式75に示す。
【0022】
これにより、フラットパネルディスプレイ2上の一画素がカメラ画像において複数画素に映り、ボケた画像として取得された場合であっても、前記推定画像において、そのボケを修正することができる。
【0023】
そして、この推定画像から点欠陥を検出する(S8)。このように、前記カメラ13によってボケた画像が取得された場合であっても、そのボケを修正した前記推定画像を用いて欠陥検査を行うことができる。
【0024】
したがって、比較的低解像度のカメラ13を用いた場合であっても、撮像画像に生じるボケを補正し、正確な欠陥認識を行うことができる。これにより、レンズ特性やCCDカメラの特性も比較的低解像度のカメラ13を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態を動作を示す式である。
【符号の説明】
【0026】
1 フラットパネルディスプレイ検査装置
2 フラットパネルディスプレイ
11 コンピュータ
13 カメラ
31 既知画像
32 輝点
33 格子点画像
35 カメラ座標
41 FPD座標
42 座標対応表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像したフラットパネルディスプレイの映像から点欠陥を検出するフラットパネルディスプレイ検査装置において、
前記フラットパネルディスプレイに表示位置の座標が既知な点状の輝点を所定の間隔をおいて表示するとともに、この表示された既知画像の映像をカメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応したカメラ座標での濃度値を取得する撮像手段と、
前記フラットパネルディスプレイの各画素位置を示すFPD座標に対応する前記カメラ座標の座標位置を、各座標位置での前記濃度値に基づいて小数点以下の値まで求めて対応表を作成する対応表作成手段と、
前記FPD座標が示す前記カメラ座標の座標位置において、小数点以下の値が同じ値のもので構成されたサブピクセル座標を形成するとともに、各サブピクセル座標別に近傍画像濃度分布を形成する画像処理手段と、
前記フラットパネルディスプレイに検査用画像を表示して該検査用画像の映像を前記カメラで撮像し、当該カメラにおける各画素位置に対応した検査用カメラ座標での濃度値を取得する検査画像撮像手段と、
前記検査用カメラ座標での前記濃度値を前記対応表に基づいて前記フラットパネルディスプレイの各画素位置に対応した検査用対応座標に変換する座標変換手段と、
前記検査用対応座標での濃度値と前記近傍濃度分布とから前記フラットパネルディスプレイの発光輝度に対応する推定画像を形成する推定画像形成手段と、
前記推定画像を用いて点欠陥を検出する点欠陥検出手段と、
を備えたことを特徴とするフラットパネルディスプレイ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−125895(P2006−125895A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311672(P2004−311672)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】