説明

フレキシブルな保持機構を有する流体搬送システム

薄膜材料堆積のための流体搬送システムは流体分配マニホールド及び基板輸送機構を有する。流体分配マニホールドは複数の長いスロットを有する出力面を有する。流体分配マニホールドの出力面は、長いスロットが基板の第1の表面と対向し、基板の第1の表面に近接して位置付けられるように、基板の第1の表面に対向して位置付けられる。基板輸送機構は、ある方向に基板が移動するようにし、流体分配マニホールドの出力面に近接した領域において基板の第2の表面と接するフレキシブルな機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、特に薄膜材料の堆積中の、気体又は液体材料の拡散流に関し、特に、基板に対して同時に複数の気体流を方向付ける分配ヘッド又はデリバリヘッドを用いる、基板への原子層堆積のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に望ましい膜を堆積するように反応チャンバ内で反応する化学的反応性材料を用いる化学気相成長法(CVD)は、薄膜堆積のために広く用いられている技術の中の技術である。CVDアプリケーションで有用な分子前駆体は、堆積される膜の元素(原子)成分を有し、典型的には、付加的な元素も有する。CVD前駆体は、薄膜を形成する、基板で反応するようにチャンバに気相で供給される揮発性分子である。化学反応は、望ましい膜厚で薄膜を堆積する。
【0003】
CVD反応物への1つ又はそれ以上の分子前駆体の適切に制御された流束の適用の必要性は、殆どのCVD技術に対して共通である。基板は、副生成物の効率的な除去と同時に、それらの分子前駆体間の化学反応を行う制御された圧力条件下で、適切に制御された温度に保たれる。最適なCVD性能を得ることは、処理を通して、気体流、温度及び圧力の定常状態を得て、それを維持する能力と、遷移性を最小化又は除去する能力とを必要とする。
【0004】
特に、半導体、集積回路及び他の電子装置の分野においては、従来のCVD技術の達成可能な制限を超える、優れたコンフォーマルコーティング特性を有する、薄膜であって、特に、高品質の緻密な膜であり、特に、低温で形成することが可能である薄膜に対する要求が存在している。
【0005】
原子層堆積(ALD)は、従来のCVDに比べて、改善された厚さ分解能能力及びコンフォーマル能力を提供することが可能である交互の膜堆積技術である。ALDプロセスは、従来のCDVにおける従来の薄膜堆積プロセスを複数の単原子層ステップにセグメント化する。有利に、複数のALDステップは自己終端し、自己終端暴露回数まで又はその回数を超えて行われるとき、単原子層を堆積することができる。原子層は代表的には、約0.1乃至0.5単分子層の範囲内にあり、わずか数Åのオーダーの典型的な寸法を有する。ALDにおいては、原子層の堆積は、反応性分子前駆体と基板との間の化学反応の結果である。各々の別個のALD反応堆積ステップにおいては、正味の反応は所望の原子層を堆積し、分子前駆体に元々含まれる“余計な”原子を実質的に除去する。最も混じりけのない形で、ALDは、他の反応の前駆体がない状態での、前駆体の各々の吸着及び反応を含んでいる。実際には、何れのシステムにおいても、小さい量の化学気相堆積反応に繋がる異なる前駆体の一部の直接反応を回避することは困難である。ALDを実行するために要求する何れのシステムの目的も、小さい量のCVD反応は許容することが可能であることを認めつつ、ALDシステムに整合した装置性能及び寄与を得ることである。
【0006】
ALDアプリケーションにおいては、典型的には、2つの分子前駆体が、別個の段階にALDリアクタに導入される。例えば、金属前駆体分子MLは、原子性配位子又は分子性配位子Lに結合された金属元素Mを有する。例えば、Mは、Al、W、Ta、Si、Zn等であることが可能であるが、それらに限定されるものではない。金属前駆体は、基板表面が分子前駆体と直接反応するように調整されるときに、基板と反応する。例えば、基板表面は典型的には、金属前駆体と反応する、水素を含有する配位子(AH等)を含むように調整される。イオウ(S)、酸素(O)及び窒素(N)が典型的なA化学種である。気体状金属前駆体分子は、次の化学式のように、基板表面上の配位子のすべてと効率的に反応し、その結果、金属の単原子層が得られ、
基板−AH+ML→基板−AMLX−1+HL (1)
ここで、HLは反応の副生成物である。反応中、最初の表面配位子AHが消費され、表面はL配位子で覆われるようになり、更には金属前駆体MLと反応することはできない。従って、表面上の最初のAH配位子のすべてがAMLx−1化学種と置き換えられるときに、反応は自己終端になる。反応段階は典型的には、第2反応物の気体状前駆体材料の別個の導入の前に、チャンバから余計な金属前駆体を除去する不活性気体パージ段階が続く。
【0007】
第2の分子前駆体はその場合、金属前駆体の方に基板の表面反応性を戻すように用いられる。これは、例えば、L配位子を除去して、AH配位子を再堆積することにより行われる。この場合、第2の前駆体は典型的には、所望の(通常は、非金属の)元素A(即ち、O、N、S)及び水素(即ち、HO、NH、HS)を有する。次の反応は、次の化学式のようである。
基板−A−ML+AH→基板−A−M−AH+HL (2)
これは、表面をAHが覆う状態に戻すように変換する(ここでは、簡単化のために、化学反応は平衡させていない)。好ましい付加的な元素Aは、膜に組み込まれ、不所望の配位子Lは揮発性の副生成物として除去される。もう一度、その反応は反応サイト(このときは、L終端サイト)を消費し、基板上の反応サイトが全体的に使い果たされるときに、自己終端になる。第2の分子前駆体はその場合、第2のパージ段階において不活性パージ気体を流すことにより、堆積チャンバから除去される。
【0008】
要約すると、その場合、基本的なALDプロセスは、基板に対して化学種の流束を連続的に交互に入れ替える。上記の代表的なALDプロセスは、4つの異なる動作段階、即ち、1.ML反応、2.MLパージ、3.AH反応及び4.AHパージを有するサイクルであり、その後、段階1に戻る。
【0009】
介在するパージ操作により、最初の反応段階に基板表面を戻す、交互に入れ替える表面反応及び前駆体除去のこのような反復シーケンスは、代表的なALD堆積サイクルである。ALD操作の重要な特徴は、最初の表面化学状態への表面を戻すことである。この繰り返されるステップのセットを用いて、化学反応速度論、サイクル毎の堆積、組成及び厚さにおいてすべて同じである等しい複数の定量層の状態で基板に層状化されることが可能である。
【0010】
ALDは、半導体装置を有し、抵抗及びコンデンサ、絶縁体、バスライン及び他の導電性構造等の電子構成要素を支持する複数のタイプの薄膜電子装置を形成する製造ステップとして用いられる。ALDは、電子装置の構成要素における金属酸化物の薄い層を形成するために特に適している。ALDにより堆積される機能性材料の一般的クラスには、導体、誘電体又は絶縁体、及び半導体がある。
【0011】
導体は任意の有用な導電性材料であることが可能である。例えば、導体は、インジウム−すず酸化物(ITO)、ドープされた亜鉛酸化物(ZnO)、SnO又はIn等の透明な材料を有することが可能である。導体の厚さは、特定の実施例に従って、変わり得、約50nm乃至1000nmの範囲内にあることが可能である。
【0012】
有用な半導体材料の例としては、ガリウムヒ化物、ガリウム窒化物、カドミウム硫化物、インジウム亜鉛酸化物及び亜鉛硫化物等の化合物半導体がある。誘電体材料は、パターニングされた回路の種々の部分を電気的に絶縁する。誘電体層はまた、絶縁体又は絶縁層と呼ばれることもある。誘電体として有用な材料の特定の例としては、ストロンチウム酸塩(Stfontiate)、タンタル酸塩、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、チタン酸化物、セレン化亜鉛及び硫化亜鉛がある。更に、それらの例の合金、組み合わせ及びマルチレイヤが、誘電体として用いられることが可能である。それらの材料のうちアルミニウム酸化物は好ましいものである。
【0013】
誘電体構造層は、異なる誘電率を有する2つ又はそれ以上の層を有することが可能である。そのような絶縁体については、米国特許第5,981,970号明細書及び同時係属の米国特許出願公開第2006/0214154号明細書に記載されている。誘電体材料は典型的には、約5eV以上のバンドギャップを示す。有用な絶縁層の厚さは特定の実施例に従って、約10nm乃至300nmの範囲内で変わり得る。
【0014】
複数の装置構造が、上記の機能層によりつくられることが可能である。抵抗は、中程度から低い導電性を有する導電性材料を選択することにより形成される。コンデンサは、2つの導体間に誘電体を位置付けることによりつくられる。ダイオードは、2つの導電性電極間に相補的キャリア型の2つの半導体を位置付けることによりつくられる.相補的キャリア型の2つの半導体の間に、その領域が少ない数の自由電荷キャリアを有することを示す、真性の半導体領域も備えることが可能である。ダイオードはまた、2つの導体間に1つの半導体を位置付けることにより構成されることも可能であり、その場合、導体/半導体の界面のうちの1つは、一方向において電流を強く妨げるショットキーバリアを生成する。トランジスタは、半導体層が続く絶縁層を導体(ゲート)の上に位置付けることにより形成される。2つ又はそれ以上の付加的な導体電極(ソース及びドレイン)が、最上部半導体層と接して、距離を置いて位置付けられる場合、トランジスタが形成されることが可能である。上記装置の何れも、必要な界面が生成される限り、種々の構成において形成されることが可能である。
【0015】
薄膜トランジスタの典型的なアプリケーションにおいて、必要なことは、装置を流れる電流を制御することである。従って、スイッチがオンに切り替えられるとき、高電流が装置を流れることが可能であることが望ましい。電流の範囲は、半導体電荷キャリア移動度に関連している。装置がオフに切り替えられるとき、電流はかなり低いことが望ましい。これは、電荷キャリア濃度に関連する。更に、可視光が薄膜トランジスタに影響を与えない又は影響を殆ど与えないことは、かなり好ましいことである。これが真であるように、半導体のバンドギャップは、可視光への暴露がバンド間遷移をもたらさないように、十分大きい(>3eV)必要がある。高い移動度、低いキャリア濃度及び高いバンドギャップをもたらすことができる材料はZnOである。更に、移動するウェブにおける大量生産のためには、プロセスで用いる化学物質が安価であり、毒性が低いことがかなり望ましく、ZnO及び大部分のその前駆体を用いることがそれを満足する。
【0016】
バリア層は、ALD堆積ブロセスがよく適合している他のアプリケーションを表す。バリア層は典型的には、他の材料への汚染の経路を低減する、遅延させる、又は回避さえする材料の薄い層である。典型的な汚染は、空気、酸素及び水を含む。バリア層は、汚染の経路を低減する、遅延させる又は回避する何れの材料を含むことが可能である一方、このアプリケーションのために特によく適合する材料には、アルミニウム酸化物及び種々の酸化物を有する層状構造等の絶縁体がある。
【0017】
自己飽和表面反応は、エンジニアリング許容範囲及び表面トポロジー(即ち、三次元の高アスペクト比の構造に対する堆積)に関連する又は流れシステムの制限のために、ALDを比較的非感応性にして、不均一的に輸送し、そのことはまた、表面均一性を損なう。一般に、反応プロセスにおける化学種の不均一な流束は一般に、表面領域の異なる部分において異なる完了時間をもたらす。しかしながら、ALDの場合、反応の各々は、基板表面全体において完了することを可能にする.従って、完了動力学における違いが、不均一性に不利な条件を課すことはない。これは、反応を先ず完了するようになっている領域がその反応を自己終端し、他の領域は、全部の処理される表面が意図された反応を受けるまで、継続することが可能であるためである。
【0018】
典型的には、ALDプロセスは、単独のALDサイクルにおいて(上記のように、ステップ1乃至4と番号付された1サイクルにより)約0.1乃至0.2nmの膜を堆積する。有用であり経済的に有利に実現可能なサイクル時間は、多くの又は殆どの半導体応用について約3nm乃至30nmの範囲内の均一な膜厚を、そして他の応用については更に厚い膜を提供するように、得る必要がある。産業における生産能力の規格に従って、基板は好適には、2分乃至3分の範囲内で処理され、そのことは、AIDサイクル時間が約0.6秒乃至6秒の範囲内にある必要があることを意味している。
【0019】
ALDは、かなり均一な薄膜の堆積の制御されたレベルを与えるための考慮された見込みを提供する。しかしながら、その本来の技術能力及び有利点にも拘わらず、多くの技術的ハードルがいまだに残されている。1つの重要な考慮は、必要なサイクル数に関するものである。繰り返される反応サイクル及びパージサイクルのために、高効率なALDの使用は、高速で実行するパージサイクルと共に、MLからAHへの化学種の流束を突然変えることが可能である装置を必要としてきた。従来のALDシステムは、必要なシーケンスで基板に対して異なる気体物質を迅速にサイクル化するようにデザインされている。しかしながら、必要な速度で且つある不所望の混合を伴わずに、チャンバに必要な一連の気体材料を導入するための高信頼性のスキームを得ることは困難である。更に、ALD装置は、複数の基板のコストパフォーマンスの高いコーティングを可能にするように、複数のサイクルについて高効率で且つ高信頼性でこの迅速なシーケンシングを実行することを可能にしなければならない。
【0020】
ALD反応が自己終端に達する必要がある時間を最短にする努力において、任意の所与の反応温度で、一方法は、所謂“パルシング”システムを用いて、ALDリアクタに流れ込む化学種の流束を最大化するようにされてきた。ALDリアクタに流れ込む化学種の流束を最大化するためには、不活性気体の最小の希釈で且つ高圧でALDリアクタに分子前駆体を導入することが有利である。しかしながら、それらの手段は、ALDリアクタからのそれらの分子前駆体の迅速な除去及び短いサイクル時間を達成する必要性に対してマイナスに作用する。迅速な除去はまた、ALDリアクタ内の気体滞留時間を最短化されることを決定する。気体滞留時間τは、ALDリアクタにおけるリアクタの容積V、圧力Pに比例し、流れQに反比例し、即ち、次式で表される。
τ=VP/Q (3)
典型的なALDチャンバにおいて、容積(V)及び圧力(P)は、機械的制約及びポンピングの制約により独立して決定され、滞留時間を小さい値に正確に制御する困難性に繋がる。従って、ALDリアク夕内の圧力を低くすることは、短い気体滞留時間を容易にし、ALDリアクタからの化学種前駆体の除去(パージ)速度を高める.更に、気体滞留時間及び化学種使用効率の両方は流れに対して反比例する。故に、低い流れは効率を高めることを可能にし、また、気体滞留時間を長くする。
【0021】
従来のALD方法は、改善された化学種利用効率を伴う反応時間を短くする必要性と、他方のパージ気体滞留及び化学種除去時間を短縮する必要性との間のトレードオフで妥協してきた。気体材料の“パルス化”デリバリの本質的な制約を克服する一方法は、各々の反応気体を連続的に供給し、各々の気体の中を基板を連続して移動させることである。例えば、Yudovskyによる名称が“GAS DISTRIBUTION SYSTEM FOR CYCLICAL LAYER DEPOSITION”である米国特許第6,821,563号明細書に、真空中で、各々の気体ボート間で真空ボンプボートを交代させて、前駆体気体及びパージ気体のだめの別個の気体ボートを有する処理チャンバについて記載している。各々の気体ポートは、基板の方に鉛直方向下向きに気体のストリームを方向付ける。複数の別個の気体流が、各々の気体のストリームの両側で気体を真空にする真空ポンプにより、壁又は仕切りにより分離される。各々の仕切りの低い部分は、例えば、基板表面から約0、5mm又はそれ以上に基板に近接して広がっている。このように、仕切りの低い部分は、気体流が基板表面と反応した後に、真空ボートの方にその低い部分の周囲を気体ストリームが流れるようにするのに十分な距離だけ、基板表面から離されている。
【0022】
回転式ターンテーブル又は他の輸送装置が、1つ又はそれ以上の基板ウェーハを保持するために備えられている。この構成により、基板は、異なる気体流の下で往復され、それにより、ALD堆積を有効にする。一実施形態においては、基板はチャンバを通って直線的に移動され、基板は、複数回、行ったり来たりされる。
【0023】
連続的な気体流を用いる他の方法については、SuntoIa等による、名称が“METHOD FOR PERFORMING GROWTH OF COMPOUND THIN FILMS”である米国特許第4,413,022号明細書に記載されている。気体流アレイが、複数の交互のソース気体開口と、複数のキャリア気体開口と、複数の真空排出開口とを備えている。そのアレイ上での基板の往復運動は、パルス化操作の必要なしに、ALD堆積をまた、有効にする。図13及び14の実施形態においては、特に、基板表面と反応性蒸気との間で、固定された複数のソース開口のアレイ上の基板の往復運動により、連続的な相互作用が起こる。拡散バリアが、排出開口間にキャリア気体開口を有することにより生成される。SuntoIa等は、そのような実施形態による操作が大気圧下においてさえ、可能であるとしているが、その処理又は実施例については殆ど又はまったく記載していない。
【0024】
Yudovskyによる米国特許第6,821,563号明細書の発明及びSuntola等による米国特許第4,413,022号明細書の発明に記載されているシステム等のシステムは、パルス化気体方法に固有の困難性の幾つかを回避することが可能である一方、それらのシステムは他の短所を有している。Yudovskyによる米国特許第6,821,563号明細書の気体流デリバリユニット及びSuntola等による米国特許第4,413,022号明細書の気体流アレイの何れにおいても、約0.5mmより小さく基板に対して近接して用いられることについて開示されていない。Yudovskyによる米国特許第6,821,563号明細書の発明及びSuntola等による米国特許第4,413,022号明細書の発明の何れにも、例えば、電気回路、光センサ又はディスプレイを構成するためのフレキシブルな基板として用いられるような移動するウェブ表面による有効な使用のための気体流デリバリ装置について開示されていない。Yudovskyによる米国特許第6,821,563号明細書の発明の気体流デリバリシステム及びSuntoIa等による米国特許第4,413,022号明細書の発明の気体流アレイの両方の複雑な構成は、各々気体流及び真空の両方を提供し、それらの解決方法は、制限された寸法の動いている基板への堆積の適用に対する可能性のある有用性を、実行するのを困難にし、スケーリングするのにコストパフオーマンスを低くして、制限する。更に、アレイの異なる点で一様な真空を維持し、補助圧力で同時に気体流及び真空を維持し、故に、基板表面に与えられる気体流の一様性を妥協して解決することを、かなり困難にする。
【0025】
Selister等による米国特許出願公開第2005/0084610号明細書においては、大気圧原子層化学気相堆積プロセスについて開示されている。Selisterは、反応速度における著しい増加が、動作圧力を大気圧に変えることにより得られ、その増加は、表面反応物速度の結果としての改善により、反応物の濃度における大きさのオーダーの増加をもたらすことを記載している。Selisterの実施形態は、プロセスの各々の段階のために別個のチャンバを有するが、米国特許出願公開第2005/0084610号明細書の図10においては、チャンバ壁が取り除かれた実施形態が示されている。一連の複数の別個のインジェクタは、回転式円形基板ホルダ軌道の間隔を置いている。各々のインジェクタは、独立して動作する反応物、ポンピング及び排出気体マニホールドと協働し、1つの完全な単層堆積を制御し、その堆積としての機能を果たし、各々の基板についての反応物パージサイクルは、プロセス中にそこを通過させられる。気体インジェクタ又はマニホールドの詳細については、Selisterは殆ど又はまったく記載していないが、隣接するインジェクタからの相互汚染が各々のインジェクタに組み込まれた排出マニホールド及びパージ気体流により回避されるように、インジェクタの間隔は選択されている。
【0026】
相互に反応可能なALD気体の分離を提供する特に有用な方法は、2008年7月10日に開示されたLevyによる米国特許出願公開第2008/0166880号明細書において記載されている気体ベアリングALD装置である。この装置の効率は、堆積を経験する基板に近接してソース領域から排出領域へのよく規定された経路に気体を強制する、堆積ヘッドと基板との間のギャップにおいて相対的に高い圧力が生成されるということによりもたらされる。
【0027】
ALD堆積プロセスは、多様な装置のために種々の産業において使用されるのが適切であるために、空間依存性ALDと一般に呼ばれるALDの分野において特に、ALD堆積プロセス、システム及び装置を改善する継続的努力がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許第5,981,970号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0214154号明細書
【特許文献3】米国特許第6,821,563号明細書
【特許文献4】米国特許第4,413,022号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0084610号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の特徴に従って、薄膜材料堆積のための流体搬送システムは流体分配マニホールド及び基板輸送機構を有する。流体分配マニホールドは、複数の長いスロットを有する出力面を有する。流体分配マニホールドの出力面は、それらの長いスロットが基板の第1の表面に対向し、基板の第1の面に近接して位置付けられるように、基板の第1の面に対向して位置付けられる。基板輸送機構は、基板がある方向に進むようにし、流体分配マニホールドの出力面に近接している領域において基板の第2の面を接触させるフレキシブルな機構を有する。
【0030】
本発明の他の特徴に従って、基板上に薄膜材料を堆積する方法は:基板を備えるステップと;出力面を有する流体分配マニホールドであって、出力面は複数の長いスロットを有し、流体分配マニホールドの出力面は、長いスロットが基板の第1の面に対向し、基板の第1の面に近接して位置付けられるように、基板の第1の面に対向して位置付けられる、流体分配マニホールドと;基板がある方向に移動するようにする基板輸送機構であって、基板輸送機構は、流体分配マニホールドの出力面に近接した領域において基板の第2の表面と接するフレキシブルな機構を有し、気体材料が、基板の方に流体分配マニホールドの出力面の複数の長いスロットから流れるようにする、基板輸送機構と;を有する。
【0031】
本発明の他の特徴に従って、薄膜材料堆積のための流体搬送システムは、流体分布マニホールド及び基板輸送機構を有する。流体分配マニホールドは、複数の長いスロットを柚須売る出力面を有する。流体分配マニホールドの出力面は、長いスロットが基板の第1の面に対向し、基板の第1の面に近接して位置付けられるように、基板の第1の面に対向して位置付けられる。基板輸送機構は、基板がある方向に移動するようにし、流体分配マニホールドの出力面に近接する領域において基板の第2の表面に接するフレキシブルな機構を有する。
【0032】
下で説明する本発明の例示としての実施形態の詳細な説明においては、添付図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】マイクロチャネル拡散要素を構成するレリーフパターンを有するプレートのアセンブリの模式図を示している。
【図1B】マイクロチャネル拡散要素を構成するレリーフパターンを有するプレートのアセンブリの模式図を示している。
【図1C】マイクロチャネル拡散要素を構成するレリーフパターンを有するプレートのアセンブリの模式図を示している。
【図1D】マイクロチャネル拡散要素を構成するレリーフパターンを有するプレートのアセンブリの模式図を示している。
【図2】複数の例示としての拡散レリーフパターン及び可変レリーフパターンについての可能性を示す図である。
【図3】本発明に従った原子層堆積のためのデリバリ装置の一実施形態の断面側面図である。
【図4】薄膜堆積を施す基板に供給される気体材料の例示としての一構成を示すデリバリ装置の一実施形態の断面側面図である。
【図5A】付随する堆積動作を模式的に占める、堆積装置の一実施形態の断面側面図である。
【図5B】付随する堆積動作を模式的に占める、堆積装置の一実施形態の断面側面図である。
【図6】任意の拡散ユニットを有する、一実施形態に従った堆積システムにおけるデリバリ装置の分解斜視図である。
【図7A】図6のデリバリ装置のための接続プレートの透視図である。
【図7B】図6のデリバリ装置のための気体方向プレートの平面図である。
【図7C】図6のデリバリ装置のための気体方向プレートの平面図である。
【図7D】図6のデリバリ装置のためのベースプレートの平面図である。
【図8】本発明の拡散要素が直接取り付けられる、単独の材料から機械加工されたデリバリ装置の一実施形態の供給部分の斜視透視図である。
【図9】一実施形態におけるデリバリ装置のための2つのプレートディフューザアセンブリを示す斜視図である。
【図10A】水平方向プレートディフューザアセンブリの一実施形態における2つのプレートの一の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜材料堆積のための流体搬送システムであって:
出力面を有する流体分配マニホールドであって、前記出力面は複数の長いスロットを有し、前記流体分配マニホールドの前記出力面は、前記長いスロットが前記基板の第1の表面と対向し、前記基板の前記第1の表面に近接して位置付けられる、流体分配マニホールド;及び
基板がある方向に移動するようにする基板輸送機構であって、前記基板輸送機構は、前記流体分配マニホールドの前記出力面に近接した領域において前記基板の第2の表面と接するフレキシブルな機構を有し、前記フレキシブルな機構は、前記基板の前記第2の表面に機械的圧力も与える、基板輸送機構;
を有する流体搬送システム。
【請求項2】
前記流体分配マニホールドの前記出力面に対して前記基板を位置付けるのに十分である前記流体の前記圧力を前記基板の前記第2の表面に作用させる前記フレキシブルな機構の前記領域に圧力下で流体を供給するように位置付けられた流体圧力ソース;
を更に有する、請求項1に記載の流体搬送システム。
【請求項3】
前記流体圧力ソースにより与えられる前記圧力は、前記流体分配マニホールドの前記出力面の方に前記基板を押す有効な圧力である、請求項2に記載の流体搬送システム。
【請求項4】
前記複数の長いスロットの各々は対応する流体ソースに流体的に連通して接続され、第1の対応する流体ソースは、前記出力面と前記基板の前記第1の表面との間の領域に前記長いスロットを介して気体を移動させるようにするのに十分な圧力で前記気体を供給し、第2の対応する流体ソースは、前記長いスロットの方に、前記出力面と前記基板の前記第1の表面との間の前記領域から離れるように気体が流れるのに十分な正の背圧で流体を供給し、前記流体圧力ソースにより与えられる正の圧力は、前記第2の対応する流体ソースにより与えられる前記正の背圧より高い、請求項3に記載の流体搬送システム。
【請求項5】
前記流体圧力ソースにより与えられる前記圧力は、前記フレキシブルな機構の方に前記流体分配マニホールドの前記出力面から離れるように前記基板を引き付ける負の圧力である、請求項2に記載の流体搬送システム。
【請求項6】
前記フレキシブルな機構は、前記流体圧力ソースによる前記圧力が前記基板の前記第2の表面に適用される複数の穿孔を有する、請求項2に記載の流体搬送システム。
【請求項7】
前記フレキシブルな機構はエンドレスベルトを有する、請求項6に記載の流体搬送システム。
【請求項8】
前記フレキシブルな機構はエンドレスベルトを有する、請求項1に記載の流体搬送システム。
【請求項9】
前記フレキシブルな機構は複数の穿孔を有する、請求項1に記載の流体搬送システム。
【請求項10】
前記フレキシブルな機構はスプリングにより負荷が与えられて、前記フレキシブルな機構の前記機械的圧力が与えられる、請求項1に記載の流体搬送システム。
【請求項11】
前記フレキシブルな機構が、スプリングを介する負荷分配機構に取り付けられる、請求項10に記載の流体搬送システム。
【請求項12】
前記フレキシブルな機構が、前記フレキシブルな機構自体がスプリングにより負荷が与えられる力を与える、請求項10に記載の流体搬送システム。
【請求項13】
前記フレキシブルな機構の方に且つ前記流体分配マニホールドの前記出力面から離れるように前記基板を引き付ける静電力を誘導する前記フレキシブルな機構と前記基板との間の静電荷差を生成する機構;
を更に有する、請求項1に記載の流体搬送システム。
【請求項14】
薄膜材料堆積のための流体搬送システムであって:
出力面を有する流体分配マニホールドであって、前記出力面は複数の長いスロットを有し、前記流体分配マニホールドの前記出力面は、前記長いスロットが前記基板の第1の表面と対向し、前記基板の前記第1の表面に近接して位置付けられる、流体分配マニホールド;及び
基板がある方向に移動するようにする基板輸送機構であって、前記基板輸送機構は、前記流体分配マニホールドの前記出力面に近接した領域において前記基板の第2の表面と接するフレキシブルな機構を有する、基板輸送機構;
を有する流体搬送システム。
【請求項15】
基板に薄膜材料を堆積させる方法であって:
基板を備えるステップ;
流体分配マニホールドが出力面を有するステップ、前記出力面は複数の長いスロットを有し、前記流体分配マニホールドの前記出力面は、前記長いスロットが前記基板の第1の表面と対向し、前記基板の前記第1の表面に近接して位置付けられる、ステップ;
基板輸送機構が、基板をある方向に移動するようにするステップであって、前記基板輸送機構は、前記流体分配マニホールドの前記出力面に近接した領域において前記基板の第2の表面と接するフレキシブルな機構を有する、ステップ;及び
前記基板の方に前記流体分配マニホールドの前記出力面の前記複数の長いスロットから気体材料が流れるようにするステップ;
を有する方法。
【請求項16】
前記フレキシブルな機構は、前記基板の前記第2の表面に機械的圧力も与える、請求項15に記載の方法。

【図10A】水平方向プレートディフューザアセンブリの一実施形態における2つのプレートの一の斜視図である。
【図11A】水平方向プレートディフューザアセンブリにおける図9に関する他のプレートの平面図である。
【図11B】水平方向プレートディフューザアセンブリにおける図9に関する他のプレートの斜視図である。
【図12A】組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの平面図である。
【図12B】組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの拡大断面図である。
【図13】得られる出力面に対して垂直なプレートを用いる一実施形態に従った堆積システムにおける堆積装置の斜視図である。
【図14】特定のプレート方向のデザインで用いるレリーフパターンのないスペーサプレートの平面図である。
【図15A】特定のプレート方向のデザインで用いるレリーフパターンを有するソースプレートの平面図である。
【図15B】特定のプレート方向のデザインで用いるレリーフパターンを有するソースプレートの斜視図である。
【図15C】特定のプレート方向のデザインで用いるレリーフパターンを有するソースプレートの斜視断面図である。
【図16A】特定のプレート方向のデザインで用いる粗いレリーフパターンを有するソースプレートの平面図である。
【図16B】特定のプレート方向のデザインで用いる粗いレリーフパターンを有するソースプレートの斜視図である。
【図16C】特定のプレート方向のデザインで用いる粗いレリーフパターンを有するソースプレートの斜視断面図である。
【図17A】ディフューザのために排出する気体が基板に直接衝突しないように、偏向を有するシーリングプレートを有するプレートを有するレリーフを示す図である。
【図17B】ディフューザのために排出する気体が基板に直接衝突しないように、偏向を有するシーリングプレートを有するプレートを有するレリーフを示す図である。
【図18】本発明のデリバリ装置を組み立てる方法のためのフロー図である。
【図19】関連する距離寸法及び力の方向を示すデリバリヘッドの側面図である。
【図20】基板輸送システムと共に用いられる配分ヘッドを示す斜視図である。
【図21】本発明のデリバリヘッドを用いる堆積システムを示す斜視図である。
【図22】動いているウェブに適用さえる堆積システムの一実施形態を示す斜視図である。
【図23】動いているウェブに適用さえる堆積システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【図24】曲率を有する出力面を有するデリバリヘッドの一実施形態の断面図である。
【図25】基板からデリバリヘッドを分離するように気体クッションを用いる実施形態の斜視図である。
【図26】動いている基板と共に用いるための気体流体ベアリングを有する堆積システムのための実施形態を示す側面図である。
【図27】一実施形態に従った気体拡散ユニットの分解斜視図である。
【図28A】図27の気体拡散ユニットのノズルプレートの平面図である。
【図28B】図27の気体拡散ユニットの気体拡散プレートの平面図である。
【図28C】図27の気体拡散ユニットの面プレートの平面図である。
【図28D】図27の気体拡散ユニット内の気体混合の斜視図である。
【図28E】図27の気体拡散ユニットを用いる気体排気経路の斜視図である。
【図29A】組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの斜視断面図である。
【図29B】組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの斜視断面図である。
【図29C】組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの斜視断面図である。
【図30】鏡面仕上げ表面が存在する1つ又はそれ以上の位置を示す組み立てられた2つのプレートディフューザアセンブリの分解斜視断面図である。
【図31A】二次流体ソースに流体連通して接続された一次チャンバを有する流体分配マニホールドの断面図である。
【図31B】二次流体ソースに流体連通して接続された一次チャンバを有する流体分配マニホールドの断面図である。
【図31C】二次流体ソースに流体連通して接続された一次チャンバを有する流体分配マニホールドの断面図である。
【図31D】二次流体ソースに流体連通して接続された一次チャンバを有する流体分配マニホールドの断面図である。
【図32A】ソーススロット及び排出スロット構成を示す流体分配マニホールドの出力面の例示としての実施形態の模式的な最上部平面図である。
【図32B】ソーススロット及び排出スロット構成を示す流体分配マニホールドの出力面の例示としての実施形態の模式的な最上部平面図である。
【図32C】ソーススロット及び排出スロット構成を示す流体分配マニホールドの出力面の例示としての実施形態の模式的な最上部平面図である。
【図33A】平坦でない出力面を有する流体分配マニホールドの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図33B】平坦でない出力面を有する流体分配マニホールドの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図33C】平坦でない出力面を有する流体分配マニホールドの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図34】コーティングされる基板の2つの側に力を与える流体搬送システムの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図35】本発明に従ってつくられた気体パラメータ検知能力を有する流体搬送システムの例示としての実施形態の斜視図である。
【図36】固定された基板輸送サブシステムを有する流体搬送システムの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図37】移動可能な基板輸送サブシステムを有する流体搬送システムの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【図38】平坦でない輪郭を有する基板輸送サブシステムを有する流体搬送システムの例示としての実施形態の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書は、特に、本発明に従った装置の一部を構成する要素又はその装置とより直接的に協働する要素について提供する。具体的に図示されていない又は記載されていない要素が、当業者に知られている種々の形態をとり得ることを理解することができる。以下の詳述及び図示においては、可能であれば、同じ要素を示すように、同じ参照番号を用いている。
【0035】
本発明の例示としての実施形態においては、図示は模式的なものであり、明確化のためにスケーリングされていない。示されている図は、本発明の例示としての実施形態の全体的な機能及び構造的な構成を示すように意図されている。当業者は、本発明の例示としての実施形態における要素の特定の大きさ及び相互接続を容易に判定することが可能である。
【0036】
以下の詳述においては、用語“気体”又は“気体材料”は、気化された又は気体状の元素、化合物又は材料の領域の何れかを含む広い意味で用いられている。反応物、前駆体、真空及び希ガス等の本明細書で用いている他の用語は、材料堆積技術において当業者が十分に理解することができるような従来の意味をすべてが有する。重ね合わせはその従来の意味を有し、複数の要素が、1つの要素の一部が他の要素の対応する一部と位置合わせされるように、及びそれらの要素の周囲が一般に、一致するように、互いの上に又は互いに対して位置付けられる。用語“上流”及び“下流”は、気体流の方向に関連するように、それらの従来の意味を有する。
【0037】
本発明は特に、より大きくウェブベースの基板への堆積に適応し、改善された処理速度でかなり高い均一な薄膜堆積を達成することができる、基板表面への気体状材料の供給のための改善された分配装置を用いる、空間依存型ALDと一般に呼ばれるALDの構成に対して特に適用可能である。本発明の装置及び方法は、連続的な(パルス化とは対照的な)気体材料分配を用いる。本発明の装置は、大気圧下での又は略大気圧下での、及び真空中での動作を可能にし、密封されていない又は開放された環境下での動作が可能である。
【0038】
図3を参照するに、本発明に従って、基板20への原子層堆積のためのデリバリヘッド10の一実施形態の横断側面図を示している。これは、デリバリヘッド及び基板の相対離間が、デリバリヘッドから基板への1つ又はそれ以上の気体の流れにより得られる気体圧力を用いて、得られる又は維持されるために、“浮揚ヘッド”設計と一般に呼ばれるものである。このタイプのデリバリヘッドについては、Levyによるものであり、2009年5月21日に公開された米国出願公開第2009/0130858号明細書に、詳細に記載されている。
【0039】
デリバリヘッド10は、第1気体材料を受け入れる導管14に接続された気体導入口と、第2気体材料を受け入れる導管16に接続された気体導入口と、第3気体材料を受け入れる導管18に接続された気体導入口と、を有する。それらの気体は、下で説明する構造的構成を有する出力チャネル12を介して出力面36において放出される。図3及び図4乃至5Bの破線矢印は、デリバリヘッド10から基板20への気体の供給を表している。図3においては、破線矢印Xはまた、反応気体口24に接続された排出ポートと連通している気体排出(この図において上向きで示されている)及び排出チャネル22のための経路を示している。説明を容易にするために、ガス排出については、図4乃至5Bには示していない。排出ガスは未反応の前駆体のある量を含み得るため、1つの反応性化学種を主に含む排出流が1つの主な他の化学種と混合することを可能にすることは好ましくない。従って、デリバリヘッド10は複数の別個の排出ポートを有することが可能である。
【0040】
一実施形態においては、気体入り口導管14及び16は、ALD堆積を有効にするように基板表面で連続的に反応する第1気体及び第2気体を受け入れるように適合され、気体入り口導管18は、第1気体及び第2気体に対して不活性なパージ気体を受け入れる。デリバリヘッド10は、基板20から距離Dだけ空間が空けられ、基板支持部に備えられることが可能であり、これについては下で詳細に説明する。基板20の動きにより、デリバリヘッド10の動きにより、又は基板20及びデリバリヘッド10両方の動きにより、基板20とデリバリヘッド10との間の往復運動が与えられる。図3に示す特定の実施形態においては、基板20は、図3において基板20の右及び左に破線及び矢印で示されているように、往復移動可能に出力面36を横断して基板支持部96により移動される。往復運動は、デリバリヘッド10を用いる薄膜堆積のためには必ずしも必要とは限らないことに留意する必要がある。例えば、1つの又はそれ以上の方向への基板20又はデリバリヘッド10の運動等の基板20とデリバリヘッド10との間の他のタイプの相対的動きが与えられることが可能であり、それについては下で詳しく説明する。
【0041】
図4の断面図は、(上記のように、省略された排出経路と共に)デリバリヘッド10の出力面36の一部において放出される気体流を示している。この特別な構成においては、各々の出力チャネル12は、図3に示すように、気体入り口導管14、16及び18の一と気体流が連通している。各々の出力チャネル12は典型的には、第1反応気体材料O、第2反応気体材料M又は第3不活性気体材料Iを供給する。
【0042】
図4は、比較的基本的な又は簡単な気体の配置を示している。非金属堆積前駆体(材料Oのような)又は金属を有する前駆体材料(材料Mのような)の複数の流れが、単一の薄膜堆積において種々のポートにおいて連続的に供給される。代替として、反応気体の混合、例えば、金属前駆体材料の混合、又は金属前駆体及び非金属前駆体の混合が、例えば、金属酸化物材料に混ぜられたより少ない量のドーパントを有する又は金属の交互層を有する複合薄膜材料を形成するときに、1つの出力チャネルに適用される。重要であることに、パージ気体とも称される不活性気体についてIとラベル付けされている内部のストリームは、複数の気体が互いに反応し易い何れの反応チャネルも分離する。第1反応気体O及び第2反応気体Mは、ALD堆積に影響するように互いに反応するが、どちらの反応気体O、Mも不活性気体材料Iと反応しない。図4及び以下で用いられる学術用語は、ある典型的な種類の反応気体を提案している。例えば、第1反応気体材料Oは酸化性気体材料であることが可能であり、第2反応気体材料Mは、亜鉛含有材料等の金属含有化合物であることが可能である。不活性気体材料Iは、ALDシステムでパージ気体として一般に用いられる窒素、アルゴン、ヘリウム又は他の気体であることが可能である。不活性気体材料Iは、第1反応気体材料O又は第2反応気体材料Mに対して不活性である。第1反応気体と第2反応気体との間の反応は、一実施形態においては半導体で用いられる酸化亜鉛ZnO又はZnS等の金属酸化物又は他の二元化合物を形成する。3つ以上の反応気体材料間の反応は、三元化合物、例えば、ZnAlOを形成することが可能である。
【0043】
図5A及び5Bの断面図は、単純な模式図として、基板20は、反応気体材料O及びMを供給するときに、デリバリヘッド10の出力面36に沿って移動するために、ALDコーティング操作が実行されることを示している。図5Aにおいては、基板20の表面は先ず、第1反応気体材料Oを排出するときに指定される出力チャネル21から連続的に放出される酸化材料を受け入れる。基板の表面は、ここでは、材料Mとの反応を起こし易い材料Oの一部が反応した形態を含む。その場合、基板20が第2反応気体材料Mの金属化合物の経路内に移動するときに、材料Mとの反応が起こり、2つの反応気体材料から形成されることが可能である金属酸化物又はある他の薄膜材料が形成される。従来の解決方法とは異なり、図5A及び5Bに示す堆積シーケンスは、パルス化とは異なって、所与の基板又は指定された領域に対して、堆積中には連続的である。即ち、材料O及びMは、基板20がデリバリヘッド10の表面を横断して移動するときには連続的に、又はデリバリヘッド10が基板20の表面に沿って移動するときには逆に、放出される。
【0044】
図5A及び5Bに示すように、不活性気体材料1は、第1反応気体材料Oの流れと第2反応気体材料Mの流れとの間の交互の出力チャネル12内に供給される。特に、図3に示すように、複数の排出チャネル22が存在する。小さい引き出し量を供給する排出チャネル22のみが、デリバリヘッド10から放出されて、処理中に用いられた使用済み気体をベントする必要がある。
【0045】
同一出願人による同時係属の米国出願公開第2009/0130858号明細書に詳細に記載されている一実施形態においては、気体圧力が基板20に対して与えられ、故に、分離距離Dが、与えられる圧力の力により、少なくとも一部において維持される。出力面36と基板20の表面との間にある量の気体圧力を保つことにより、本発明の装置は、デリバリヘッド10自体のために又は代替として基板20についての、エアベアリングの少なくともある一部又はより適切には気体流体ベアリングを備えることが可能である。この配置は、デリバリヘッド10のための輸送機構を簡略化する助けとなる。デリバリ装置が気体圧力により支持されるように、デリバリ装置が基板に近づくことを可能にする効果は、複数の気体ストリーム間での分離を与える助けになる。デリバリヘッドがそれらストリームに関して浮遊することを可能にすることにより、圧力場が、他の気体ストリームの混合が殆どなく又は全くなく、気体が入り口から排出口に方向付けられる反応領域及びパージ流領域において設定される。そのような実施形態においては、分離距離Dは比較的小さいため、距離Dにおける更に小さい変化(例えば、実に100μm)が、気体流量におけるかなりの変化及びその結果として分離距離Dを与える気体圧力におけるかなりの変化を必要とし得る。例えば、一実施形態においては、1mmより小さい変化を含む分離距離を二倍にすることは、分離距離を与える気体の流量を二倍以上に、好適には四倍以上にする必要がある。代替として、エアベアリング効果が、基板20の表面から少なくとも一部が離れたデリバリヘッド10に対して用いられるとき、本発明の装置は、デリバリヘッド10の出力表面36から持ち上げる又は空中浮揚させるように用いられる。
【0046】
本発明においては、浮揚ヘッドストリームを必要としないが、デリバリ装置及び基板は、従来のシステムにおけるような固定された距離にあることが可能である。例えば、デリバリ装置及び基板は、互いから分離距離に機械的に固定されることが可能であり、ヘッドは流量における変化に応答して基板に関して鉛直方向に移動可能でなく、基板は鉛直方向には固定された基板支持部上にある。代替として、例えば、プラテンを含む他の種類の基板ホルダが用いられることが可能である。
【0047】
本発明に一実施形態においては、デリバリ装置は、基板への薄膜材料の堆積のために気体材料を供給するための出力面を有する。デリバリ装置は、例えば、第1、第2及び第3気体材料のための共通供給を受け入れることが可能である複数の入り口ポート、少なくとも第1、第2及び第3入り口ポートのそれぞれを有する。デリバリヘッドはまた、第1の複数の長い放出チャネル、第2の複数の長い放出チャネル及び第3の長い放出チャネルを有し、第1、第2及び第3の長い放出チャネルの各々は対応する第1、第2及び第3入り口ポートの一との気体流体的連通を可能にする。デリバリ装置は、複数の開口を有するプレートとして形成されて、出力面に対して実質的に平行に備えられて、複数の供給チャンバを相互接続し、対応する入り口ポートから対応する複数の長い放出チャネルに第1、第2及び第3気体材料の各々を経路付けするためのチャネルを方向付けし、対応する供給チャンバのネットワークを画定するように重ねられる。
【0048】
第1、第2及び第3の複数の長い放射チャネルの各々は長手方向に延び、実質的に平行である。各々の第1の長い放射チャネルは、第3の長い放射チャネルにより最近接の第2の長い放射チャネルから、その第1の長い放射チャネルの各々の長い側面において、分離されている。各々の第1の長い放射チャネル及び各々の第2の長い放射チャネルは、複数の第3の長い放射チャネル間に位置付けられている。
【0049】
第1、第2及び第3の複数の長い放射チャネルの少なくとも一における複数の長い放射チャネルの各々は、デリバリ装置の出力面に対して実質的に直角に第1、第2及び第3の気体材料の流れをそれぞれ方向付けることが可能である。気体材料の流れが、基板の表面に対して実質的に直角に、少なくとも一の複数の長い放射チャネルにおける長い放射チャネルの各々から直接的に又は間接的に与えられることが可能である。
【0050】
図6の分解図は、そのような一実施形態における全体的なアセンブリの小部分について、デリバリヘッド10が開口のセットが形成されたプレートからどのように構築されるかを示し、複数の気体の一の気体の一部分のみについての例示としての気体流路を示している。デリバリヘッド10のための接続プレート100は、デリバリヘッド10の上流にあり、図6には示していない複数の気体供給への接続のための一連の入り口ポート104を有する。各々の入力ポート104は、気体チャンバプレート110に対して下流に受け入れる気体を方向付ける方向付けチャンバ102と連通している。気体チャンバプレート110は、気体方向プレート120において個別の方向付けチャネル122と気体流が連通している供給チャンバ112を有する。気体流は、方向付けチャネル122から、ベースプレート130における特定の長い排出チャネル134の方に進む。気体拡散ユニット140は、出力面36における入力気体の拡散及び最終的なデリバリを与える。拡散システムは特に、ヘッドの浮揚を容易にするデリバリ装置内の背圧を与えるために、上記の浮揚ヘッドシステムのために有利である。例示としての気体流F1は、デリバリヘッド10の複数の構成要素アセンブリの各々を通って進む。
【0051】
図6の実施例に示しているように、デリバリヘッド10のデリバリアセンブリ150は、重ね合わされた開口が形成された複数のプレート、即ち、接続プレート100、気体チャンバプレート110、気体方向プレート120及びベースプレート130の配列として構成される。それらのプレートは、この“水平方向の”実施形態における出力面36に対して実質的に平行に備えられる。
【0052】
気体拡散ユニット140は、上記のように、重ね合わされた開口が形成された複数のプレートにより構成される。図6に示す複数のプレートの何れかは重ね合わされた複数のプレートの積み重ねから製造されることが可能である。例えば、共に適切に結合された4つ又は5つの積み重ねられた開口が形成されたプレートから接続プレート100を形成することは有利である。このタイプの配置は、方向付けチャンバ102及び入力ポート104を形成する機械加工方法又は成形方法に比べて複雑度が小さい。
【0053】
図7A乃至7Dは、図6の実施形態においてデリバリヘッド10を形成するように共に組み合わせることが可能である主な構成要素の各々を示している。図7Aは、複数の方向付けチャンバ102及び入力ポート104を示す接続プレート100の透視図である。図7Bは気体チャンバプレート110の平面図である。供給チャンバ113は、一実施形態においてデリバリヘッド10についてのパージ気体又は不活性気体のために用いられる(定常状態の動作中に同じ分子種間において分子ベースで混合することを含む)。供給チャンバ115は、一実施形態においては前駆体気体(O)のために混合し、排出チャンバ116は、この反応性気体のための排出経路を与える。同様に、供給チャンバ112は、他の必要な反応性気体、即ち、第2反応気体材料(M)を与え、排出チャンバ114はこの気体のための排出経路を与える。
【0054】
図7Cは、この実施形態におけるデリバリヘッド10のための気体方向プレート120の平面図である。第2反応気体材料(M)を供給する複数の方向付けチャネル122が、ベースプレート130と適切な供給チャンバ112(この図においては示していない)を接続するためのパターンにおいて配列される。対応する排出方向付けチャネル123が方向付けチャネル122の近傍に位置付けられる。方向付けチャネル90は第1反応気体材料を供給する。方向付けチャネル92はパージ気体(I)を供給する。
【0055】
図7Dは、水平な複数のプレートから形成された、平面図で示しているベースプレート130である。任意に、ベースプレート130は複数の入力ポート104(図7Dには示していない)を有することが可能である。図7Dの平面図は、出力側からみるとベースプレート130の外側表面であって、複数の長い放出チャネル132及び複数の長い排出チャネル134を有する、ベースプレート130の外側表面を示している。図6を参照するに、図7Dは、気体拡散ユニット140に対向する側からみる図である。また、図6及び図7A乃至7Dが例示としての一実施形態を示し、多数の他の実施形態も可能であることを強調しておく必要がある。
【0056】
図27の分解図は、図6の実施形態及び下で説明する他の実施形態において用いられる、任意の気体拡散ユニット140の一実施形態を構成するように用いられる構成要素の基本的な配置を示している。それらの構成要素は、図28Aの平面図に示すノズルプレート142を有する。図6、27及び28Aに示すように、ノズルプレート142は、ベースプレート130に対して取り付けられ、長い放出チャネル132から気体流を得る。図示している実施形態においては、気体導管143は必要な気体材料を供給する。一連の第1排出スロット180が、上記のように、排出経路に備えられる。
【0057】
図28Bを参照するに、プレート142及び148と協働して拡散させる気体拡散プレート146がノズルプレート142に対して取り付けられる。ノズルプレート142、気体拡散プレート146及び出力面プレート148における種々の経路の配置は、基板20の表面領域から遠ざかるように排出気体を効率的に方向付けるように、その気体流のために同時に必要な拡散量を供給するように最適化される。複数のスロット182は複数の排出ポートを備えている。図示している実施形態においては、出力経路を構成する複数の気体供給スロット及び複数の排出スロット182が気体拡散プレート146において交互に備えられている。
【0058】
図28Cに示す出力面プレート148は基板20に対向している。気体を供給する複数の出力経路149及び複数の排出スロット184はまた、この実施形態により交互に備えられている。出力経路149は、拡散ユニット140が含まれるときにデリバリヘッド10のための出力チャネル12としての役割を果たすために、長い放出スロットと一般に呼ばれる。
【0059】
図28Dは、気体拡散ユニット140を介する気体デリバリ経路に焦点を当てている一方、図28Eは、それに対応する気体排出経路を示している。図28Dを参照するに、代表的な気体ポートのセットについて、一実施形態において出力流F2のための反応気体の完全な拡散のために用いられる全体的な配置を示している。ベースプレート130(図6)からの気体は、ノズルプレート142における気体導管143を介して供給される。その気体は、気体拡散プレート146における出力経路147に対して下流の方に移動する。図28Dに示すように、一実施形態において導管143と経路147との間の鉛直方向の(即ち、図27に示す水平方向のプレート配置、それらの水平方向のプレートの面に対して垂直である)オフセットが存在することが可能であり、それは、背圧を生成する助けとなり、故に、より均一な流れを容易にする。その気体は、その場合、出力チャネル12を備える出力面プレート148における出力経路149に対して更なる下流に移動する。導管143並びに出力経路147及び149は、空間的にオフセットされることが可能であるばかりか、混合を最適化する複数の形状も有することが可能である。
【0060】
任意の拡散ユニットが存在しない場合、ベースプレートにおける長い放出チャネル132は、出力消えろ149に代えて、デリバリヘッド10の出力チャネル12としての役割を果たすことが可能である。出力経路149は、拡散ユニット140が含まれるときに、デリバリヘッド10のための出力チャネル12としての役割を果たすために、長い放出スロットと一般に呼ばれる。
【0061】
図28Eにおいては象徴的に、類似する実施形態において気体をベントするために備えられる排出経路を辿り、下流方向は、供給される気体のための方向とは反対である。流れF3は、一連の第3、第2及び第1排出スロット184、182及び180のそれぞれを通るベントされる気体の経路を示している。気体供給のための流れF2のより遠回りの混合経路と異なり、図28Eに示すベント配置は、その表面から使用済み気体の急速な移動が意図されている。従って、流れF3は、略まっすぐであり、基板表面から遠ざかるように気体をベントする。
【0062】
図6を再び参照するに、接続プレート100、気体チャンバプレート110、気体方向プレート120及びベースプレート130として示されている構成要素の組み合わせは、デリバリアセンブリ150を提供するようにグループ化される。図6の組み合わされた配置を用いて、鉛直方向であって水平方向でない開口が形成されたプレートにより構成される、下で説明するプレートを有するデリバリアセンブリ150についての代替の実施形態が可能である。
【0063】
図6の実施形態のデリバリヘッドの複数の要素は、ディフューザの正確な位置に気体を搬送する必要な気体流経路を得るように、複数の重なり合うプレートから構成される。この方法は、開口が形成された複数のプレートの単純な重ね合わせによりかなり複雑な内部経路がつくられるために、有用である。代替として、ディフューザと結合する適切な内部経路を有するように単一の材料ブロックを機械加工することが、今日の機械加工方法又はラピッドプロトタイピング方法により可能である。例えば、図8は、単一の機械加工されたブロックの実施形態を示している。本明細書においては、複数の供給ライン305が、そのブロックを通って複数のチャネルを進むことによりもたらされる。それらのラインは、図示しているように両方の端部に抜ける若しくは一の端部を覆う又はシールすることが可能である。動作中、それらのチャネルは、両方の端部により与えられることが可能である、又はシステム全体に取り付けられる後のブロックへのフィードスルーとしての役割を果たすことが可能である。それらの供給ラインから、複数の小さいチャネル310が、長い出力面の複数の開口を導く種々のチャネルを与えるように、拡散プレートアセンブリ140の方に延びている。
【0064】
デリバリヘッドの他の領域において制御された背圧を得ることは好ましいことである。図1Aを参照するに、2つの完全に平坦なプレート200が組み立てられる場合、それらのプレートは、組み立てられたプレートユニット215を構成するように互いにシールする。図に対して垂直な方向に気体を流すように試みられる場合、組み立てられたプレートユニット215は気体の流れを可能にしない。
【0065】
代替として、それらのプレートの一方又は両方が、小さい又は顕微鏡的な微小な高さの変化を有する領域を有し、最大の高さは、そのプレートの主な又は元々の高さを有するレベルである。高さ変化の領域はレリーフパターンと呼ばれる。プレート組み立てが、レリーフパターンを有するプレートを用いて行われるとき、デリバリヘッドの他の領域において制御された背圧を得る助けとなる流れ制限をもたらすマイクロチャネルが形成される。
【0066】
例えば、図1Bにおいては、1つの平坦なプレート200は、その表面の一部にレリーフパターンを含むプレート220に合わされることが可能である。それらの2つのプレートが組み立てられたプレートユニット225を構成するように組み合わされるとき、制限的開口が、それらのプレートの接触により形成される。図1C及び1Dはそれぞれ、2つのプレートが、レリーフパターン200又は2つのプレート又は両側にレリーフパターンを有し、組み立てられたプレートユニット235及び245のような種々の拡散パターンを形成するように組み立てられることを示している。
【0067】
大まかにいって、レリーフパターンは、組み立てられるときに好ましい流れ制限を与える任意の構造を有するものである。一例としては、プレートの選択された領域を単純に荒らすことが挙げられる。それらのレリーフパターンは、荒れた仕上げを得るようにデザインされた紙やすりによる研磨、サンドブラスト又はエッチング処理等の方向付けされていない荒らす方法により、形成される。
【0068】
代替として、マイクロチャネルの領域は、適切に規定された特徴又は予め規定された特徴を形成する処理により形成されることが可能である。そのような処理は、エンボス加工又はスタンピングによるパターニングを含む。好ましいパターニング方法は、フォトレジストパターンが適用された部分をフォトエッチングし、次いでのフォトレジストが存在しない領域の金属のエッチングを含む。この処理は、異なる深さのパターンの生成及びより大きい金属シートから分離する(singulate)ように、単独部分に複数回行うことが可能である。
【0069】
それらの部分は、基板への材料の堆積により行われることも可能である。そのような組み立てにおいては、開始の平坦な基板プレートは任意の適切な材料から成ることが可能である。パターンが、その場合、材料のパターニング堆積によりこのプレート上に形成されることが可能である。その材料堆積は、光学的なパターニングであって、例えば、フォトレジストのような光感応性材料の均一なコーティングを適用し、次いで、現像を伴う光ベースの方法を用いてその材料をパターニングすることにより、行うことが可能である。レリーフのための材料はまた、インクジェット、グラビア印刷又はスクリーン印刷等の付加的な印刷方法により付けることが可能である。
【0070】
複数の部分の直接的な成形をまた、得ることが可能である。この技術は、高分子材料について特に適するものであり、その技術においては、好ましいプレートの金型をつくられ、次いで、複数の部分が、高分子成形のための任意の既存方法を用いて形成される。
【0071】
典型的には、それらのプレートは、プレートの一方側又は両側に存在するレリーフパターンにより約0.001インチ乃至0.5インチの範囲内の厚さで変化する、実質的に平坦な構造を有する。レリーフパターン(1つ又は複数)がチャネル(1つ又は複数)を構成するとき、そのチャネルは、気体の流れを適切に拡散するようにまっすぐな領域において均一な流れの背圧を生成する流れ制限をもたらすように、かなり小さい、流れのために有効な開断面を有する必要がある。適切な背圧を得るように、流れのための開断面は典型的には、100,000μm以下であって、好ましくは、10,000μm以下の複数の開口を有する。
【0072】
軸方向に沿った、斜視図の典型的なプレート構造が、図2に示されている。金属プレートの表面は、z方向に最も高い領域250を有する。ディフューザから出る気体の場合、その気体は、y軸方向の拡散領域260を通り抜ける前に、x方向の横方向にその気体が流れるようにする比較的深い凹部255に何らかの方法で到達する。例示目的で、円柱状ポスト265、矩形ポスト270及び任意形状275を有する複数の異なるパターンが拡散領域260に示されている。z方向における特徴265、270又は275の高さは典型的には、それら特徴の上部表面がプレート表面250の比較的平坦な領域の表面と同じであるように、平坦なプレートが図2のプレート上に重ね合わされるときに、複数のポスト構造間の残りの領域のみを気体が移動するようにするポスト構造の上部で接触されるようである必要がある。パターン265、270及び275は例示であり、必要な背圧を与える任意の適切なパターンを選択することが可能である。
【0073】
図2は、単独のプレート構造における複数の異なる拡散パターンを示している。複数の特定の気体出口をつくるように単独の拡散チャネルにおいて複数の異なる構造を有することは好ましいことである。代替として、単に単独のパターンが好ましい均一の流れをもたらす場合、単にその単独のパターンを有することは好ましいことである。更に、複数の特徴の大きさ及び密度がディフューザアセンブリにおける位置に依存して変わる、単独のパターンを用いることが可能である。
【0074】
図9乃至12Bは、水平に備えられる気体拡散プレートアセンブリ140の構造を詳細に示している。拡散プレートアセンブリ140は好適には、図9の分解斜視図に示しているように、2つのプレート315及び320から構成される。このアセンブリ315の上部プレートは図10A(平面図)及び10B(斜視図)に詳細に示されている。その斜視図は、線10B−10Bにおける断面としてとられている。拡散パターン325の領域が示されている。このアセンブリ320の下部プレートについては、図11A(平面図)及び11B(斜視図)に詳細に示されている。斜視図は、線11B−11Bにおける断面としてとられている。
【0075】
それらのプレートの結合された作用については、図12A及び12Bに、組み合わされた構造、及び複数のチャネルの1つの拡大のそれぞれを示している。組み合わされたプレート構造においては、気体供給330がプレートに入り、プレート315のプレート320との組み立てのためにここでは複数の微細なチャネルから成る拡散領域325を通って流れるようにされる。拡散した気体335は、ディフューザを通り抜けた後、出力面に入る。
【0076】
図6を再び参照するに、接続プレート100、気体チャンバプレート110、気体方向プレート120及びベースプレート130として示している構成要素の組み合わせが、デリバリアセンブリ150を提供するように集団化される。代替の実施形態が、図6の座標配置を用いて、水平方向ではなく、鉛直方向に開口が形成された複数のプレートから構成される一を含むデリバリアセンブリ150について可能である。
【0077】
図13を参照するに、底部からみて(即ち、気体放出側からみて)、そのような代替の実施形態を示している。そのような代替の実施形態は、デリバリヘッドの出力面に対して垂直に備えられた、重ね合わされた開口が形成された複数のプレートの積み重ねを用いるデリバリアセンブリのために用いられる。
【0078】
拡散領域を伴わない代表的なプレートの外形365が図14に示されている。複数の供給孔360が、一連のプレートが重ね合わされるときに、複数の供給チャネルを構成する。
【0079】
図13を再び参照するに、2つのオプションの端部プレート350がこの構造の端部に位置している。この例示としての構造の特定の要素は、ディフューザを介して出力面に供給ライン#2を接続するプレート370、ディフューザを介して出力面に供給ライン#5を接続するプレート375、ディフューザを介して出力面に供給ライン#4を接続するプレート380、ディフューザを介して出力面に供給ライン#10を接続するプレート385、ディフューザを介して出力面に供給ライン#7を接続するプレート390、ディフューザを介して出力面に供給ライン#8を接続するプレート395である。プレートのタイプ及び並びの順序を変えることにより、複数の出力面の位置に対する複数の入力チャネルの任意の組み合わせ及び順序が得られることを理解する必要がある。
【0080】
図13の特定の実施形態においては、プレートは単一側にのみエッチングされたパターンを有し、裏側(図示せず)は、供給ライン及び組み立て又は結合の必要性のために必要な孔(ねじ穴、アライメント孔)を除いて、平坦である。並びの任意の2つのプレートを考慮して、z方向の次のプレートの背面は、z方向で前方を向く側において、前のプレートに対する平坦なシールプレート、及び出力面における次の長い開口のためのチャネル及びディフューザの両方としての役割を果たす。
【0081】
代替として、両方の側でエッチングされたパターンを有する複数のプレートを有し、その場合に、シーリング機構を提供するようにそれら複数のプレート間に複数の平坦なスペーサプレートを用いることは有効である。
【0082】
図15A乃至15Cは、鉛直方向のプレート組み立てで用いられる代表的なプレートの詳細図であり、この場合、プレートは、出力面のディフューザ領域に8番目の供給孔を接続する。図15は平面図を、図15Bは斜視図を、図15Cは、図15Bの線15C−15Cにおける断面を伴う斜視図である。
【0083】
図15Cにおいては、プレートを拡大して、指定された供給ライン360から気体を引き出し、例えば、図2に示すようなレリーフパターン(図示せず)を有するディフューザ領域410に気体を供給するデリバリチャネルを示している。
【0084】
ディフューザチャネルを有する代替のタイプのプレートを図16A−16Cに示している。この実施形態においては、プレートは、気体が組み立て構造を通り抜けることが可能である、レリーフパターンが形成された、離間された複数の凹状部430を伴う主な凸状領域から成る離間したディフューザパターンを介して出力領域に5番目の供給チャネルを接続する。この場合、凸状領域420は、そのプレートが他の平坦なプレートに対向して組み立てられるときに、流れを妨げ、気体は離間された凹部内を通って流れなければならず、凹部は、拡散チャネルの個別の入り口領域が相互接続していないようにパターニングされている。他の実施形態においては、流れ経路の実質的に連続的なネットワークが、図2に示すように、拡散チャネル260内に形成され、そのネットワークにおいては、複数の、ポスト、他の凸状構造又はマイクロブロッキング領域は、気体材料の流れを可能にする複数のマイクロチャネルを分離する。
【0085】
このディフューザへのALD堆積装置の適用は、出力面における隣接する長い複数の開口を含み、それらの開口の一部は出力面に気体を供給する一方、他の一部は気体を引き出す。ディフューザは両方の方向に作用し、それらの違いは、気体が出力面に供給されるようにするか出力面から引き出すかの違いである。
【0086】
ディフューザチャネルの出力は、出力面と視線的に接触することが可能である。代替として、レリーフパターンを有するプレートに対するシーリングプレートの接触によりもたらされるディフューザから出る気体を更に拡散させる必要がある。図17A及び17Bは、出力面36に到達する前にディフューザ領域465を出る気体がそらされる追加の特徴460を有するシーリングプレート455と、レリーフパターンを有するプレート450が接しているデザインを示している。
【0087】
図13を参照するに、アセンブリ350は、複数のプレートの任意の順序を示している。簡単にするために、文字の指定は、各々のタイプの開口が形成されたプレートに対して与えられ、パージはP、反応はR、及び排出はEである。代表的なALD堆積のために必要なパージ気体及び排出チャネルに沿って2つの反応気体を供給する最小のデリバリアセンブリ350は、一連の略記全部を用いて、P−E1−R1−E1−P−E2−R2−E2−P−E1−R1−E1−P−E2−R2−E2−P−E1−R1−E1−Pと表され、ここで、R1及びR2は用いられる2つの異なる反応気体について、異なる方向における反応プレートを表し、E1及びE2は、それらに相応して、異なる方向における排出プレートを表す。
【0088】
ここで図3を参照するに、長い排出チャネル154は、従来通りの真空ポートである必要はないが、対応する出力チャネル12から流れを取り出すように単純に与えられることが可能であり、故に、そのチャネル内に均一な流れパターンを容易に得ることが可能である。隣接する長い放出チャネルにおける気体圧力の逆の圧力よりほんの僅かに小さい負の取り出しは、順序だった流れを容易化する助けとなる。その負の取り出しは、例えば、0.2乃至1.0気圧のソース(例えば、真空ポンプ)における取り出し圧力により動作することが可能であり、ここで、代表的な真空は、例えば、0.1気圧である。
【0089】
デリバリヘッド10により与えられる流れパターンを用いることにより、上記[背景技術]のところで記載しているように、堆積チャンバに対して個別に気体をパルス化する従来の装置における複数の有利点を提供することができる。堆積装置の移動性が向上し、本発明の装置は、基板寸法が堆積ヘッドの大きさを上回る大きい容積の堆積装置に適応される。流れの動力学も、従来の装置に対して改善されている。
【0090】
本発明で用いられる流れは、図3に示すように、デリバリヘッド10と基板20との間のかなり小さい距離D、好適には、1mm以下を可能にする。出力面36は、基板表面の約1mil以内に、かなり接近させて位置付けられることが可能である。比較すると、Yudovskyによる米国特許第6,821,563号明細書に記載されている従来の装置は、基板表面まで0.5mm又はそれ以上に制限されている一方、本発明の実施形態は、0.5mm以下であって、例えば、0.450mmにおいて実施されることが可能である。実際には、基板表面に対して近接してデリバリヘッド10を位置付けることは、本発明においては好ましいことである。特定の好適な実施形態においては、基板表面からの距離Dは、0.20mm又はそれ以下であり、好適には、100μm以下である。
【0091】
一実施形態においては、本発明のデリバリヘッド10は、浮揚システムを用いることにより、出力面36と基板20の表面との間の適切な分離距離D(図3)が保たれる。
【0092】
1つ又はそれ以上の出力チャネル12から放出される気体の圧力は力を生成する。
この力がデリバリヘッド10に対する有用な緩衝又は“エア”ベアリング(気体流体ベアリング)効果を与えるように、十分な接触領域が存在する必要があり、即ち、出力面36に沿った固体表面領域は基板と密接に接触するようになることが可能である。接触領域の割合は、出力面の下の気体圧力を高めることを可能にする出力面36の固体領域の相対的な量に対応する。最も簡単には、接触領域は、出力面36の総面積から出力チャネル12及び排出チャネル22の総表面積を減算するように計算される。これは、幅w1を有する出力チャネル12の又は幅w2を有する排出チャネル22の気体流領域を除く総表面積ができるだけ最大化される必要があることを意味している。他の実施形態においては、より小さい接触領域の値であって、例えば、85%又は75%を用いることが可能である。気体流量の調節が、分離力又は緩衝力を変えるように、故に、それに伴って距離Dを変えるように、用いられることも可能である。
【0093】
デリバリヘッド10が基板20の上の距離Dに実質的に保たれるように、気体流体ベアリングを提供する有利点があることを理解する必要がある。これは、任意の適切なタイプの搬送機構を用いて、デリバリヘッド10の本質的に摩擦のない動きを可能にする。デリバリヘッド10はその場合、行ったり来たりしてチャネリングされるように基板20の表面で“ホバリング”され、材料の堆積中に基板20の表面を横断して進む。
【0094】
堆積ヘッドは、処理において組み立てられる一連のプレートを有する。それらのプレートは、水平方向に備えられる、鉛直方向に備えられる、又はそれらの組み合わせを有することが可能である。
【0095】
アセンブリの処理の一実施例が図18に示されている。基本的には、基板への薄膜材料の堆積のためのデリバリヘッドを組み立てる方法は、一連の複数のプレートを製造するステップであって、それらの一連のプレートの少なくとも一部は、拡散要素を構成するためのレリーフパターンを有する、ステップと、1つ又はそれ以上の拡散要素に接続された供給ラインのネットワークを構成するように順番に互いにプレートを取り付けるステップと、を有する。そのような方法は任意に、各々がレリーフパターンを有する少なくとも1つのプレートの対の間に位置付けられるレリーフパターンを有さないスペーサプレートを位置付けるステップを有する。
【0096】
一実施形態においては、組み立ての順序は、出力面における第1気体材料の複数の長い出力開口の各々が、出力面において第3気体材料の複数の長い出力開口の少なくとも1つにより出力面における第2気体材料の複数の長い出力開口の少なくとも1つから、分離される、複数の流れ経路を形成する。他の実施形態においては、組み立ての順序は、出力面における少なくとも1つの長い排出開口により、出力面における第2材料の複数の長い出力開口の少なくとも1つから、出力面における第1気体材料の複数の長い出力開口の各々が分離され、出力面の長い排出開口は、堆積中に出力面の領域から気体材料を引き出すように、排出ポートに接続される、複数の流れ経路を形成する。
【0097】
それらのプレートは先ず、スタンピング、エンボス加工、成形、エッチング、フォトエッチング又は摩耗を含む適切な手段によりつくられることが可能であるが、それらに限定されるものではない。
【0098】
シーリング材料又は接着材料が、複数のプレートを共に取り付けるように、それらのプレートの表面に塗布される(図18のステップ502)。それらのプレートは微細なパターン化領域を有することが可能であるため、組み立て中にヘッドの重要な領域をブロックして、接着剤の塗布において過剰な接着剤を塗布しないことが重要である。代替として、接着剤は、内部構造の重要な領域と干渉しないように、パターニングされた形状に塗布されることが可能であり、更に、機構の安定性を可能にするように十分な接着性を提供することが可能である。接着剤は、複数の処理ステップのうちの一のステップの副生成物であって、例えば、エッチング処理後のプレート表面の残りのフォトレジスト等であることも可能である。
【0099】
接着剤又はシーリング剤は、エポキシベースの接着剤、シリコーンベースの接着剤、アクリレートベースの接着剤又はグリース等の多くの既知の材料から選択されることが可能である。
【0100】
パターニングされた複数のプレートが、出力面の長い開口に対する入力の好ましい関係を得るように、適切な順序に配置されることが可能である。それらのプレートは典型的には、ある種の位置合わせ構造上に組み合わされる(ステップ504)。この位置合わせ構造は、何れかの制御された表面又は複数の表面のセットであることが可能であり、それらの表面は、それら複数のプレートのある表面にそのまま保たれ、故に、組み立てられるそれらのプレートは、既に優れた位置合わせ状態にある。好適な位置合わせ構造は位置合わせピンを有するベース部を有するようになっていて、それらのピンは、プレートのすべての特定の位置に存在する孔と整合するように意図されている。好適には、2つのアライメントピンがある。好適には、それらのアライメント孔の一は円形である一方、他は、組み立て中に、要素を過剰に含まないスロットである。
【0101】
要素のすべて及びそれらの接着剤が位置合わせ構造において一旦、組み立てられると、圧力プレートがその構造に適用され、圧力又は熱がその構造を硬化させるように適用される(ステップ506)。
【0102】
上記のピンによる位置合わせは既に、その構造の優れた位置合わせを与えるが、プレートの製造処理における多様性は、適切な適用のために十分に平坦でない出力面の表面をもたらし得る。そのような場合、好ましい表面仕上げを得るように完全なユニット又は順序として出力面を削る又は磨くことは有用である(ステップ508)。最終的には、汚染に繋がらない堆積ヘッドの操作を可能にするように、洗浄ステップの適用が好ましい(ステップ600)。
【0103】
当業者が理解できるように、ここで説明する流れディフューザのような流れディフューザは、基板に対して気体流体を分散させるために用いられる多様な装置において有用である。典型的には、流れディフューザは第1プレート及び第2プレートを有し、第1プレート及び第2プレートの少なくとも一はレリーフパターン部分を有する。第1プレート及び第2プレートは、レリーフパターン部分により規定される流れ拡散部分を有する長い出力開口を形成するように組み立てられ、流れ拡散部分は、気体(又は、液体)材料の流れを拡散することができる。気体(又は、液体)材料の流れの拡散は、第1プレート及び第2プレートを組み立てることにより形成されるレリーフパターン部分により画定される流れ拡散部分を気体(又は、液体)材料が通り抜けるようにすることにより、得られる。レリーフパターン部分は典型的には、気体(又は、液体)材料の流れのために、対向するプレートの間に位置付けられ、長い入り口と長い出口又は出力開口を接続する。
【0104】
積み重ねられた開口が形成された複数のプレートを用いる方法は、デリバリヘッドを構築する特定の有用な方法であるが、代替の実施形態で有用であるそのような構造を構築するための多くの他の方法が存在する。例えば、金属ブロック、又は共に接着された複数の金属ブロックを直接、機械加工することにより、装置を構築することが可能である。更に、当業者が理解することができるように、複数の成形特徴を含む成形技術を用いることが可能である。その装置はまた、多くの光造形技術のうちの任意の技術を用いて、その装置を構築することも可能である。
【0105】
本発明のデリバリヘッド10により提供される1つの有利点は、出力面36と基板20の表面との間で適切な分離距離D(図3に示している)を保つことに関する。図19は、デリバリヘッド10から放出される気体流の圧力を用いて距離Dを保つ、ある重要な考慮を示している。
【0106】
図19においては、代表的な数の出力チャネル12及び排出チャネル22が示されている。出力チャネル12の1つ又はそれ以上から放出される気体の圧力は、この図においては下向きの矢印で示されている力を生成する。この力がデリバリヘッド10に対する有用な緩衝又は“エア”ベアリング(気体流体ベアリング)効果を与えるように、十分な接触領域が存在する必要があり、即ち、出力面36に沿った固体表面領域は基板と密接に接触するようになる。接触領域の割合は、出力面の下の気体圧力を高めることを可能にする出力面36の固体領域の相対的な量に対応する。最も簡単には、接触領域は、出力面36の総面積から出力チャネル12及び排出チャネル22の総表面積を減算するように計算される。これは、幅w1を有する出力チャネル12の又は幅w2を有する排出チャネル22の気体流領域を除く総表面積ができるだけ最大化される必要があることを意味している。他の実施形態においては、より小さい接触領域の値であって、例えば、85%又は75%を用いることが可能である。気体流量の調節が、分離力又は緩衝力を変えるように、故に、それに伴って距離Dを変えるように、用いられることも可能である。
【0107】
デリバリヘッド10が基板20の上の距離Dに実質的に保たれるように、気体流体ベアリングを提供する有利点があることを理解する必要がある。これは、任意の適切なタイプの搬送機構を用いて、デリバリヘッド10の本質的に摩擦のない動きを可能にする。デリバリヘッド10はその場合、行ったり来たりしてチャネリングされるように基板20の表面で“ホバリング”され、材料の堆積中に基板20の表面を横断して進む。
【0108】
図19に示すように、デリバリヘッド10はかなり重い可能性があり、故に、下方への気体力は、必要な分離を保つには十分でない。そのような場合、スプリング170、磁石又は他の装置等の補助的に持ち上げる構成要素が、持ち上げ力を補うように用いられることが可能である。他の場合、気体流は、逆の問題をもたらすのに十分に大きい可能性があり、故に、デリバリヘッド10は、付加的な力が与えられない場合に、基板20の表面からかなり大きい距離、離されるように強制される。そのような場合、スプリング170は、距離Dを保つ必要な付加的な力を与えるように(図19の配置に対しては下方に)、圧縮スプリングであることが可能である。代替として、スプリング170は、下方の力を補う磁石、エラストマー製スプリング又は他の装置であることが可能である。
【0109】
代替として、デリバリ装置10は、基板20に対して他のある方向に位置付けられることが可能である。例えば、基板20は、重力とは逆のエアベアリング効果により支持されることが可能であり、故に、基板20は、堆積中にデリバリヘッド10に沿って移動することが可能である。デリバリヘッド10の上で緩衝されている基板20により、基板20への堆積のためのエアベアリング効果を用いる一実施形態が、図25に示されている。デリバリヘッド10の出力面36における基板20は、図示している両方向矢印に沿った方向に移動する。
【0110】
図26の代替の実施形態は、基板支持部74であって、デリバリヘッド10と気体流体ベアリング98との間の方向Kの方に移動するウェブ支持部又はローラ上の基板20を示している。この実施形態においては、デリバリヘッド10は、エアベアリング、又はより好適には、気体流体ベアリング効果を有し、出力面36と基板20との間の好ましい距離Dを保つように、気体流体ベアリング98と協働する。気体流体ベアリング98は、不活性気体、空気又は他の気体材料の流れF4を用いて、圧力を方向付けることが可能である。本堆積システムにおいては、基板支持部又はホルダは、堆積中に基板と接することが可能であり、その基板支持部は、基板を搬送する手段であって、例えば、ローラであることが可能である。従って、処理されている基板の断熱は、本システムの必要条件ではない。
【0111】
特に図5A及び5Bを参照して説明しているように、デリバリヘッド10は、堆積機能を実行するように、基板20の表面に関する動きと協働する。この相対的な動きは、例えば、基板支持部を備える装置の動きによる、デリバリヘッド10及び基板20のどちらか又は両方の動きを含む、複数の方法で得られる。
【0112】
動きは、どれくらい多くの堆積サイクルが必要であるかに依存して、振動する又は往復運動することが可能であり、若しくは、連続的な運動であることが可能である。基板の回転がまた、特にバッチプロセスにおいて用いられることが可能であるが、連続的なプロセスが好ましい。アクチュエータは、例えば、機械的に接続されるデリバリヘッドの本体に結合されることが可能である。例えば、変化している磁力場等の交番力が交互に用いられることが可能である。
【0113】
典型的には、ALDは、各々のサイクルにより制御された膜厚を構築する複数の堆積サイクルを有する。従来、単独のサイクルに与えられる気体材料の種類についての術語体系を用いることにより、例えば、単純なデザインのために、第1反応気体材料Oの一付着及び第2反応気体材料Mの一付着を与える。
【0114】
O及びMの反応気体材料のための出力チャネル間の距離は、完全な各々のサイクルに対する移動を往復運動させるために必要な距離を決定する。例示として、図6のデリバリヘッド10は、反応気体チャネル出口と隣接するパージチャネル出口との間の幅において、0.1インチ(2.54mm)の称呼チャネル幅を有することが可能である。従って、同じ表面のすべての領域にフルALDサイクルが与えられる往復運動(ここでは、用いられるy軸に沿った)のために、少なくとも0.4インチ(10.2mm)のストロークが必要である。この実施例については、基板20の領域は、この距離の移動を伴って、第1反応気体材料O及び第2反応気体材料Mの両方に晒されることが可能である。代替として、デリバリヘッドは、そのストロークのためのかなり大きい距離を移動することが可能であり、更にサブストロークの一端部から他端部まで移動することが可能である。この場合、成長している膜は、その成長中に環境の条件に晒されても、用いられる多くの状況に悪影響を与えない。一部の場合には、均一性についての考慮は、例えば、エッジ効果を低減するように又は往復運動の両端に沿って構築するように、各々のサイクルにおける往復運動量に対する基準を必要とする。
【0115】
デリバリヘッド10は、単独のサイクルを与えるのに単に十分な複数の出力チャネル12を有することが可能である。代替として、デリバリヘッド10は、複数のサイクルの構成を有することが可能であり、その構成は、反復運動の距離の一トラバースにおいて2つ又はそれ以上の堆積サイクルを可能にする距離に亘る反復運動を可能にする、又はより大きい堆積領域をカバーすることを可能にする。
【0116】
例えば、特定の一アプリケーションにおいては、O−Mサイクルは、処理される表面の約四分の一において一原子直径の層を形成することが見出された。従って、この場合には、処理される表面において1原子直径の均一な層を形成するためには、四サイクルが必要である。故に、同様に、この場合に、10原子直径の均一な層を形成するためには、40サイクルが必要である。
【0117】
本発明のデリバリヘッド10のために用いられる反復運動の有利点は、その領域が出力面36の領域を上回る基板20に対する堆積を可能にすることである。図20は、矢印Aで示されるy軸に沿った反復運動、及び、その反復運動に対して直交する又は横断する、x軸に関する運動も用いて、この、より広い領域カバレッジがどのように得られるかを模式的に示している。また、図20に示すように、x方向又はy方向のどちらかにおける運動が、デリバリヘッド10の運動により、運動を与える基板支持部74により与えられる基板20の運動により、又はデリバリヘッド10及び基板20の両方の運動により得られることを強調する必要がある。
【0118】
図20においては、デリバリヘッド及び基板の相対的な運動方向は互いに対して垂直である。この相対的な運動が平行であることも可能である。この場合、その相対的な運動は、振動を表す非ゼロ周波数成分と、基板の変位を表すゼロ周波数成分とを有する必要がある。この組み合わせは、固定された基板におけるデリバリヘッドの変位と組み合わされる振動、固定された基板のデリバリヘッドに対する基板の変位と組み合わされた振動、若しくは、振動及び固定された動きがデリバリヘッド及び基板の両方の運動により与えられる任意の組み合わせ、により、得られる。
【0119】
有利に、デリバリヘッド10は、多くのタイプの堆積ヘッドについて有効である、より小さいサイズにつくることが可能である。例えば、一実施形態においては、出力チャネル12は、約0.005インチ(0.127mm)の幅w1を有し、約3インチ(75mm)に長さに拡大される。
【0120】
好適な実施形態においては、ALDは、大気圧又は略大気圧で、環境及び基板の広い温度範囲に亘って、好適には、300℃以下の温度において、実行されることが可能である。好適には、比較的清浄な環境が、汚染の可能性を最小化するために必要であるが、フル“クリーンルーム”条件又は不活性気体が満たされたエンクロージャは、本発明の装置の好適な実施形態を用いるときに許容される性能を得るためには、必要でない。
【0121】
図21は、比較的適切に制御され、汚染のない環境を提供するためのチャンバ50を有する原子層堆積(ALD)システム60を示している。気体供給部28a、28b及び28cは、供給ライン32を介してデリバリヘッド10に第1、第2及び第3気体材料を供給する。フレキシブルな供給ライン32を任意に使用することにより、デリバリヘッド10の動きを容易にする。簡単化のために、任意の真空蒸気回収装置及び他の支持構成要素は図21に示されていないが、それらを用いることも可能である。輸送サブシステム54は、本発明において具現化される座標軸系を用いて、x方向の移動を与える、デリバリヘッド10の出力面36に沿って基板20を搬送する基板支持部を備えている。動き制御、並びに、バルブ及び他の支持構成要素の全体的な制御が、制御論理プロセッサ56であって、例えば、コンピュータ又は専用のマイクロプロセッサアセンブリにより与えられることが可能である。図21の構成においては、制御論理プロセッサ56は、デリバリヘッド10に往復運動を与えるアクチュエータ30を制御し、輸送サブシステム54の輸送モータ52も制御する。アクチュエータ30は、動いている基板20に沿って(又は、代替として、固定基板20に沿って)デリバリヘッド10における行ったり来たりする運動をもたらすのに適切な多様な装置の何れかであることが可能である。
【0122】
図21は、基板支持部として機能するウェブ搬送器62に沿ってデリバリヘッド10を超えて搬送されるウェブ基板66に対する薄膜堆積のための原子層堆積(ALD)システム70の代替の実施形態を示している。そのウェブ自体は基板であることが可能であり、付加的な基板のための支持を提供することが可能である。デリバリヘッド輸送部64は、ウェブ移動方向に対して横断する方向にウェブ基板66の表面においてデリバリヘッド10を搬送する。一実施形態においては、デリバリヘッド10は、気体圧力により与えられる十分な分離力により、ウェブ基板66の表面において行ったり来たりするようにされる。他の実施形態においては、デリバリヘッド輸送部64は、ウェブ基板66の幅を横断するリードスクリュー又は類似する機構を用いる。他の実施形態においては、複数のデリバリヘッド10が、ウェブ62に沿った適切な位置で用いられる。
【0123】
図23は、図22の構成に対して流れパターンが垂直に方向付けられている固定デリバリヘッド10を用いる、ウェブ配置における他の原子層堆積(ALD)システムを示している。この配置においては、ウェブ搬送器62自体の動きは、ALD堆積に必要な運動を与える。反復運動が、この環境において用いられることも可能である。図24を参照するに、一部のウェブコーティングのアプリケーションのために有利である曲率量を有するデリバリヘッド10の一部についての実施形態が示されている。凸曲率又は凹曲率を備えることが可能である。
【0124】
ウェブ製造のために特に有用である他の実施形態においては、ALDシステム70は、複数のデリバリヘッド10、又は基板66の各々の側に一が備えられることによるデュアルデリバリヘッド10を有することが可能である。フレキシブルなデリバリヘッド10が、代替として、備えられることが可能である。これは、堆積表面に対して少なくとも一部の一致を示す堆積装置を提供する。
【0125】
他の実施形態においては、デリバリヘッド10の1つ又はそれ以上の出力チャネル12が、米国出願公開第2007/0228470号明細書に開示されている、横方向気体流配置を用いることが可能である。そのような実施形態においては、デリバリヘッド10と基板20との間の分離をサポートする気体圧力は、ある数の出力チャネル12であって、例えば、パージ気体を放出するチャネル(図4乃至5Bにおいて1とラベル付けされているチャネル)により保たれる。横方向の流れはその場合、複数の反応気体を放出する1つ又はそれ以上の出力チャネル12(図4乃至5BにおいてO又はMとラベル付けされているチャネル)のための用いられることが可能である。
【0126】
本発明は、一部の実施形態において室温又は略室温を含む広い温度範囲に亘る多様な異なるタイプの基板及び堆積環境に対して堆積する性能において有利である。本発明は、真空環境下で機能することが可能であるが、大気圧又は略大気圧における動作に特に良好に適するものである。本発明は、大気圧の条件下での低温処理において用いられることが可能であり、その処理は、大気圧を受け入れるシーリングしていない環境下で実行されることが可能である。本発明は、大きい領域の基板に対する堆積を含む、ウェブ基板又は他の移動する基板における堆積のためにも、適切である。
【0127】
例えば、本発明の方法に従って形成される半導体膜を有する薄膜トランジスタは、0.01cm/Vsecより大きい、好適には0.1cm/Vsecより大きい、更に好適には0.2cm/Vsecより大きい電界効果電子移動度を示すことが可能である。更に、本発明の方法に従って形成される半導体膜を有するnチャネル薄膜トランジスタは、少なくとも10の、有利には少なくとも10のオン/オフ比を与えることができる。オン/オフ比は、ゲート電圧としてドレイン電流の最大/最小がディスプレイのゲートラインで用いることが可能である関連電圧を表す一の電圧から他の電圧に掃引されるときに、測定される。代表的な電圧のセットは、30Vに保たれるドレイン電圧を伴って、−10V乃至40Vである。
【0128】
図29A及び29Bを参照するに、そして図6乃至18を再び参照するに、組み立てられる2つのプレートのディフューザアセンブリの斜視断面図が示されている。図29Cは、図29A及び29Bに示す2つのプレートのディフューザアセンブリと同じ方法でつくられる組み立てられた2つのプレートの気体流体チャネルの斜視断面図である。
【0129】
流体分配マニホールドとも呼ばれるデリバリヘッド10は第1プレート315及び第2プレート320を有する。少なくとも第1プレート315及び第2プレート320の少なくとも一部は、少なくとも図1A及び2を参照して上で説明しているレリーフパターンを規定する。金属結合剤318が、第1プレート315及び第2プレート320が共に結合された後に、第1プレート315及び第2プレート320がレリーフパターンにより規定される流体流方向付けパターンを形成するように、第1プレートと第2プレートとの間に備えられる。
【0130】
金属結合剤318は、加熱又は押圧の条件下で第1プレートと第2プレートとの間の結合としての役割を果たす主に金属から成る任意の材料(代表的には、2つの金属基板)であることが可能である。金属結合を有する典型的な処理ははんだ付け及びろう付けである。両方の処理においては、2つの金属が、結合される金属部分間で金属フィラーを融解する又は融解された金属フィラーを与えることにより、結合される。はんだ付け用金属フィラーが、より低い温度で、しばしば400°F以下で融解する一方、ろう付け用金属は、より高い温度で、しばしば約400°Fで融解する点で、はんだ付けはろう付けと任意に区別される。
【0131】
一般の低温又ははんだ付け結合金属は、鉛、すず、銅、亜鉛、銀、インジウム又はアンチモンを含有する純材料又は合金である。一般のより高い温度又はろう付け結合金属は、アルミニウム、ケイ素、銅、燐、亜鉛、金、銀又はニッケルを含有する純材料又は合金である。一般に、許容温度での融解を可能にし、結合される部分の表面を濡らすことが可能である任意の純金属又は金属の組み合わせが受け入れられる。
【0132】
結合金属が結合される表面に良好に付着することを保証するように、しばしば、付加的な構成要素が、金属結合剤318に与えられる。そのような構成要素の1つは、結合される表面を洗浄して、調整する目的に適う金属結合剤と併せて適用される任意の材料であるフラックスである。種々の代替の金属の薄い層が、金属フィラーの付着を促進するように、それらの金属パーツの表面に適用される必要があることもまた可能である。一実施例は、銀の付着を促進するようにステンレス鋼にニッケルの薄い層を付けることである。
【0133】
結合金属は、結合処理中に、結合金属の好ましい品質をもたらす任意の方法で適用されることが可能である。結合金属は、それらの金属パーツ間に位置付けられる薄い金属の分離シートとして適用されることが可能である。結合金属は、結合されるパーツに付けられる容体又はペーストの形で適用されることが可能である。この容体又はペーストはしばしば、金属結合処理の前又はその処理中に除去されることが可能である結合剤、溶剤又は結合剤及び溶剤の組み合わせを含む。
【0134】
代替として、金属結合剤318は、パーツにフォーマル堆積方法で供給されることが可能である。そのような堆積方法は、スパッタリング法、蒸着法及び電気メッキ法である。それらの堆積方法は、純金属、金属合金、又は種々の金属を有する層状構造を付けることが可能である。
【0135】
結合処理は、少なくとも加熱、押圧、又は加熱及び押圧の組み合わせの適用が後続して、結合されるパーツを組み合わせることを有する。加熱は、抵抗加熱、誘導加熱、対流加熱、放射加熱又は火炎加熱により適用されることが可能である。金属構成要素の酸化を低減するように結合処理の雰囲気を制御することは、しばしば好ましいことである。大気圧より高い圧力から高真空までの範囲における任意の圧力で処理は行われる。結合される材料と接する気体の成分は、酸素が殆ど存在しない必要があり、窒素、水素、アルゴン又は他の不活性気体又は還元気体を有利に有することが可能である。
【0136】
流れ方向付けパターンは、金属結合剤が残っていないレリーフパターンにより規定されることが可能である。金属結合剤318は、結合される金属プレートに均一に付けられることが可能である一方、それは、化学的適合性の問題に繋がり得る、組み立てられる分配マニホールドのすべての内側表面に存在する結合剤をもたらすものである。更に、組み立て操作中の過剰な結合金属の存在は、結合剤が高温組み立て処理中に流れるために、分配マニホールドにおける内部経路の詰まりに繋がり得る。
【0137】
組み立ての前に、金属結合剤318は、結合される表面のみに好適に存在し、レリーフパターンには存在しない。これは、プレートの結合表面を反射するようにパターニングされた結合金属の分離シートを用いることにより達成される。代替として、金属結合が液体前駆体として適用される場合、その適用には、プレートの印刷ローラ又はレリーフのパターンの一方又は両方が、結合剤が目的とされるところにのみ適用されるようにする、ローラ印刷等の技術を用いることが可能である。
【0138】
レリーフパターンがエッチング処理により形成されるとき、特に好ましい方法は、エッチング処理の前に金属プレートに膜として結合剤318を付けることである。結合剤がプレート315及び320に付けられた後、適切なマスクがその金属結合剤上に備えられる。次いで、適切なエッチャントが、例えば、単独のエッチング処理において、金属プレート及び重ね合わされる結合材料の両方をエッチングする。その結果、結合材料のかなり正確なパターンが、金属プレートのレリーフパターンがエッチングされる同じ処理において、得られる。代替として、金属結合剤318、及び金属結合剤が付けられたプレートが、同じマスクを用いる分離処理ステップにおいてエッチングされることが可能である。これにより、また、結合材料のかなり正確なパターンが得られる。
【0139】
第1プレート315及び第2プレート320の相対的な位置及び形状は、検討される特定のアプリケーションに依存して変えられる。例えば、第2プレートは、図29A及び29Cに示している、第1プレートのレリーフ部分に対向して備えられるレリーフ部分を有することが可能である。この場合、流体流方向付けパターンが、プレート315、320の各々におけるレリーフパターンの組み合わせ、及び結合金属318を用いる端部におけるレリーフパターンのシーリングの効果により、形成される。
【0140】
代替として、第2プレートは、図29Bに示す、第1プレートのレリーフ部分からの、レリーフ部分に備えられたオフセットを有することが可能である。図29Bに示すように、第1プレート315におけるレリーフパターンの一部は、第2プレート320における開放されていない部分と対向している。たとえ第2プレート320においてレリーフパターンが存在しないとしても、結合剤がない第1プレート315及び第2プレート320の一方又は両方の領域は、完全なシールが形成されず、流れに対してときどき好ましい、かなり大きい抵抗を与えることが可能である。従って、流体流方向付けパターン322は、レリーフパターンを有しないが、結合金属のパターンを有するプレートにより形成されることが可能である。この場合、結合金属は、上記の方法のうちの何れかによりパターニングされることが可能である。更に、結合金属を攻撃するが、その下のプレート材料を攻撃しないエッチャントを用いるエッチング処理により、結合金属がパターニングされることが可能である。
【0141】
流体分配マニホールドとも呼ばれるデリバリヘッド10の組み立て中に、レリーフを有するプレート間に位置付けられた結合金属はレリーフ特徴間の領域をシールする必要がある。十分な結合金属が、それらの特徴をシールするように適用される必要がある一方、過剰な結合金属は、マニホールドの他の部分に不所望に流れて、詰まり又は表面反応性の欠如をもたらす。更に、流体分配マニホールドの出力面は十分に平坦である必要があり、好適には、流体分配間にホールとの構築の後に、研磨する必要がない又は殆ど研磨する必要がないものである。
【0142】
図30を参照するに、十分なシーリング及び出力面の平坦性を促進するように、流体分配マニホールドは、レリーフパターンを画定する少なくとも第1プレート315及び第2プレート320の少なくとも一部を有する第1プレート315及び第2プレート320を有する。第1プレート315及び第2プレート320の少なくとも一は鏡面仕上げ表面(参照番号327で指定されている)を有する。結合剤が、第1プレート及び第2プレートがレリーフパターンにより画定される流体流方向付けパターンを形成するように、第1プレートと第2プレートとの間に備えられる。
【0143】
本明細書で用いているように、用語“鏡面仕上げ表面”は、装置組み立ての前又は後に最小限の研磨を必要とする表面仕上げを有する表面である。表面仕上げについては、表題が“Arithmatic Average Deviation of the Assessed Profile”であるASME B46.1−2002において定義され、ISO 4287−1997において定義されていて、Raにより表される。表面のRaは、表面の顕微鏡プロファイルを測定することにより得られる。そのプロファイルから、平均表面高さが決定される。Raは平均表面高さからの平均絶対偏差である。
【0144】
流体分配マニホールドは、好適には少なくとも16マイクロインチRa以下の、より好適には少なくとも8マイクロインチRa以下の、最も好適には4マイクロインチRaの又はそれ以下の表面仕上げを有する内側又は外側鏡面仕上げ表面を有する。4マイクロインチの表面仕上げは、検討される特定のアプリケーションに依存して、最も好ましいが、8マイクロインチ又は16マイクロインチの表面仕上げが、合理的なコストでの適切な性能を提供する場合に、しばしば用いられる。
【0145】
流体分配マニホールドは出力面を有するプレート315又は320を有することが可能であり、出力面は鏡面仕上げ表面を有する。出力面の平坦性は、基板の浮揚高さは平坦性が低下するにつれて減少するために、重要であり、不所望の気体混合は、堆積処理で用いられる化学種を保つ又は気体混合のための経路をもたらす荒さ又はスクラッチが存在する場合に、増加する。平坦性は従来、組み立て後に出力面を研磨することにより得られている。残念ながら、これは、コスト高に繋がり、研磨処理は構造的に失敗した点までそれらのプレートを薄くするために薄い上部プレートを有する大きいマニホールドによっては困難である。流体分配マニホールドが、鏡面仕上げを有する出力面を表す表面を既に有するプレート315又は320と組み合わされている場合、組み立て後の研磨の殆ど又はすべてを省略することが可能である。
【0146】
結合されたレリーフプレートを有する流体分配マニホールドの組み立てにおいては、プレート320及び315間の接触領域328は、組み立て中に結合剤により接する又は接続されるプレート間の領域である。最小量の結合金属を有することは好ましいことである。より少ない結合金属を用いるために、制御されていない方法で過剰な結合金属を費やす、結合金属の最小量を一貫して適用することを困難にするプレート上の荒さ特徴及びプレート間の間隙の両方を回避するように、上記の最小閾値を超える表面仕上げ品質を有することは好ましいことである。従って、流体分配マニホールドは、接触領域328において鏡面仕上げ表面327を有する第1プレート315及び第2プレート320の少なくとも一に結合剤が備えられている接触領域328を有する、第1プレート315及び第2プレート320を有することが可能である。
【0147】
代替として、流体分配マニホールドは複数の結合されたプレートを有することが可能である。鏡面仕上げ表面は、接触領域又は出力面の何れかに存在することが可能である。2つのプレート間の接触領域の場合には、鏡面仕上げ表面は、接触表面の一方に又は両方に存在することが可能である。
【0148】
図31A乃至31Dを参照するに、そして図1乃至28Eを再び参照するに、流体分配マニホールドとも呼ばれるデリバリヘッド10は、デリバリヘッド10の出力面に、出力経路149とも呼ばれる長いスロットを横断して、流体であって、例えば、気体を供給する。流体を均一に供給する代表的な方法は、主分離チャンバ610であって、例えば、長い放出チャネル132又は方向付けチャネル凹部255と流体的に連通する長い出力面スロット(出力経路149とも呼ばれる)とを有することである。一次チャンバ610は典型的には、略スロット149の長さを進む。一次チャンバ610は、流れ制限チャネル、例えば、ディフューザ140を介してスロット149に接続され、同時に、長手方向に沿って、低い流れ制限を有する。その結果は、流体の圧力がそのチャンバに沿って略一定となり、その場合に、一定の流れ制限によりスロット149に出るまで、流体は一次チャンバ610内で流れる。一般に、一次チャンバ610内の横方向流れにおける制限は、その断面形状及び面積の関数である。典型的には、一次チャンバ610内の横方向の流れ制限の存在は、それらがスロット149を介して出る不均一な流れに繋がり得るために、好ましくない。
【0149】
しばしば、流体分配マニホールドの制限は一次チャンバの断面寸法を制限し、そのことは、それが出力面スロット149を提供することができる長さをまた、制限する。この効果を最小化するために、薄膜材料堆積のためのALDシステム60とも呼ばれる流体搬送装置は、一次チャンバ610に流体的に連通して接続されている出力面36を有する、デリバリヘッド10とも呼ばれる流体分配マニホールドを有する。二次流体ソース620は、複数の搬送ポート630を介して一次チャンバ610に流体的に連通して接続される。二次流体ソース620、例えば、二次チャンバ622は、一次チャンバ610に均一な流体流を供給しながら、二次チャンバ622に沿って低い横方向の抵抗流を可能にする一次チャンバ610に類似する様式で動作する。これは、上記の一次チャンバ610からの横方向流れの抵抗の効果を取り除くように作用する。故に、搬送ポート630は、二次チャンバ622と一次チャンバ610との間の輸送を可能にする任意の流体導管であることが可能である。搬送ポート630は、任意の断面又は任意の断面の組み合わせを有することが可能である。搬送ポート630は通常、流れるのに低い抵抗を有する必要がある一方、二次流体ソース620から一次チャンバ610に流れを変調するように、流れるのに特定の抵抗を有するように、輸送ポート630をデザインすることは有用である。
【0150】
図31A乃至31Cに示しているように、一次チャンバ610は、二次流体ソース620の複数の搬送ポート630の少なくとも一部に対して共通であるチャンバを有することが可能である。それらの実施形態においては、流体分配マニホールドは、二次チャンバ622からの2つ以上の入り口により供給される相対的に長い一次チャンバ610を有する。従って、一次チャンバ610が、スロット149の全長を提供するように、十分に低い流れ抵抗を与える場合でさえ、それは二次チャンバ622から局所的に提供されることが可能である。更に、一次チャンバ610に沿って残存圧力差が存在する場合、一次チャンバ610の継続性は、ある流体流が一次チャンバ610内の圧力を均一にするようにする。
【0151】
代替として、図31を参照するに、一次チャンバ610は、複数の離間した一次チャンバ612を有することが可能である。複数の離間した一次チャンバ610の各々は、二次流体ソース620の複数の搬送ポート630の少なくとも1つと流体的に連通している。
【0152】
二次流体ソース620は、流体分配マニホールド(デリバリヘッド10)に取り付けられたモノリシック流体チャンバを有することが可能である。流体分配マニホールドが略矩形の断面を有するとき、二次チャンバ620は、断面が類似していて、出力面以外の分布マニホールドの何れかの面に直接備えられる要素であることが可能である。二次チャンバ620が、流体分配マニホールドの複数の開口と適合する複数の開口を有することが可能であり、従来のシーリング技術を用いて、デリバリヘッド10に恒久的に又は一時的に取り付けられることが可能である。例えば、シールは、ゴム、オイル、ワックス、硬化可能合成物又は結合金属からつくられることが可能である。
【0153】
更に、二次チャンバは、図31A及び31Bに示すように、モノリシックであり、流体分配マニホールドと共に一体的に形成されることが可能である。従って、分配マニホールドがレリーフがパターニングされたプレートのアセンブリを有するときに、二次チャンバは、分配マニホールドに付加された1つ又はそれ以上のレリーフプレートから形成される1つ又はそれ以上の流体方向付けチャネルを有する。それらのレリーフプレートは、一次チャンバ及び出力面を形成するレリーフプレートと同じ方法でつくられ、組み立てられることが可能である。代替として、二次チャンバ及び一次チャンバの寸法は、互いに比較されるときに異なるため、異なる組み立て方法が用いられることが可能である。二次チャネル及び一次チャネルを異なるように組み立てるためには、付加的な機械的理由及び付加的なコストの理由も存在し得る。
【0154】
代替として、図31Cを参照するに、二次流体ソース620は、流体分配マニホールド10に複数の離間した搬送チャネル630を介して流体的に連通して接続される流体チャンバ624を有することが可能である。離間した搬送チャネル630は、この環境下で流体を供給するために適した任意の流体導管であることが可能である。例えば、それらの導管は、一時的に(取り外し可能に)又は恒久的に分配マニホールドに、入り口により接続するように組み立てられる任意の有用な断面の大きさ及び形状の管であることが可能である。取り外し可能コネクタは、従来のフィッティング又はフランジを有する。恒久的な接続には、溶接、ろう付け、接着又は圧入がある。二次チャンバの導管の一部はまた、バルク材料の一体成型又は機械加工により構築されることも可能である。
【0155】
図31Dを参照するに、搬送ポート630の少なくとも1つは、関連搬送ポート630を介して流体流を制御する装置640を有することが可能である。流体分配マニホールドが、2つ以上の一次チャンバ612と流体的に連通した二次チャンバ624を有するとき、一次チャンバ612の1つに対する流体の流れを他における流れに対して変調することは有用である。一次チャンバ612の1つに対する異なる流体成分を他に供給される成分に対して供給することも、好ましいことである。従って、次のようなシステムの能力が有効である。
(1)所与の分配マニホールドが基板の複数の異なる幅をコーティングすることを意味する場合に、分配マニホールドの複数の部分は、現在の基板の幅のみがアクティブな流体を受け入れるように、オフにされることが可能である
(2)より大きい基板における複数の部分がコーティングされる必要がない場合、分配マニホールドの複数の部分は、堆積を目的としない領域について、オフにされることが可能である
(3)基板の複数の部分が、他の部分より、交互の堆積の化学的性質を受け入れることを意味する場合、分配マニホールドの複数の部分は、基板に対する他の流体の化学的性質を提供することができる。
【0156】
流れを一次チャンバ612の1つ又はそれ以上に変調するように、二次チャンバ620と一次チャンバ610との間に位置付けられたバルブシステム640を用いることが可能である。バルブ640は、流体流を変調するように用いられる任意の標準的なタイプのバルブであることが可能である。二次チャンバ620が分配マニホールドに欠かせないものであるとき、バルブ640は、マニホールドの欠かせない部分であり得、マニホールドの構築に含まれる移動可能な要素を用いることにより、形成されることが可能である。バルブ640は、手動で、又は、例えば、空気圧、電気又は電空アクチュエータを含む遠隔アクチュエータにより、制御される。
【0157】
図32A乃至32Dを参照するに、そして図1乃至28Eを再び参照するに、上記の例示としての実施形態において、複数の長いソーススロット149及び複数の長い排出スロット184を有する分配マニホールド10の出力面36、148についてのレイアウトは、典型的には、堆積を有効にするように大部分のスロットが基板の運動に対して垂直である構成において存在する。代替として、スロットは、出力面36、148のエッジに、移動している基板の横方向のエッジ近傍で気体を分離するように基板輸送に対して平行に存在することが可能である。
【0158】
図32A乃至32Dを参照するに、薄膜材料堆積のための流体搬送装置(ALD堆積システム60)は、基板20、66がある方向に移動するようにする基板輸送機構54、62を有することが可能である。流体分配マニホールド10は、複数の長いスロット、例えば、スロット149、184又はそれらの組み合わせを有する出力面36、148を有する。長いスロット149、184又はそれらの組み合わせの少なくとも一は、基板が進む方向に対して非直角及び非平行である部分を有する。
【0159】
例えば、図21を参照するに、基板20、66が、方向xに移動しているとき、基板の運動に対して垂直である長いスロットは、xに対して90°の角度を有する一方、基板の運動に対して平行である長いスロットは、xに対して0°の角度を有する。しかしながら、任意の機械的システムにおいては、代表的には、システムにおける角度に対するある可変量が存在する。従って、非垂直は、85°以下である、基板運動xに対する任意の角度として規定されることが可能である一方、非平行は、5°以上である、基板運動xに対する任意の方向として規定されることが可能である。従って、スロット149、184又はそれらの組み合わせが直線的であるときに、スロットは、基板運動の方向から5°より大きく、85°より小さい角度で備えられる。非直線的スロットはまた、十分な曲率が存在するときに、この条件を満たすことができる。
【0160】
本発明の分配マニホールドを有するフレキシブルな基板にコーティングするとき、排出スロットとソーススロットとを比較するときに流体により与えられる力は異なる。これは、流体圧力がソーススロットから排出スロットに流体を駆動するように設定されるということについての当然の結果である。結果として得られる基板への効果は、排出スロットにおけるよりソーススロットにおいて、ヘッドからより大きい角度で基板が遠ざかるようにされることである。これはまた、基板の変形に繋がり得、それは、不均一な浮揚高さに繋がるために、故に、流体混合並びに基板と出力面との間の接触の可能性に繋がるために、好ましくない。
【0161】
フレキシブルな基板は、曲がりがまっすぐな形状においてもたらされるときには、即ち、その曲がりの軸が一次元のみに起こるときには、最も単純に曲げられることが可能である。従って、一連の直線的で平行なスロットについては、それ自体の本来の基板のビーム強度のみが、スロット間の力の差に抵抗し、従って、基板の重要な変形がもたらされる。
【0162】
代替として、非直線的形状、即ち、二次元的に広がっている形状に対して基板を曲げるように試みるとき、基板の有効なビーム強度はかなり増加される。これは、二次元的な曲がりを得るためには、非直線的な曲がり形状に対して直接、基板が曲がる必要があるだけでなく、非直線的曲がりをもたらす試みは基板の隣接する領域の圧縮及び引っ張りに繋がるためである。基板は、圧縮力又は引っ張り力に対してかなりの抵抗を有するために、その結果として、かなり高められた有効なビーム強度が得られる。従って、非直線的なスロットを用いることにより、高いフレキシビリティを有する基板が好ましくない気体混合又は出力面との基板接触を伴わずに扱われることが可能である。従って、それらの長さに亘って非直線的であるスロット149、184又はそれらの組み合わせは、分配マニホールドで用いるために特に好ましいものとなり得る。
【0163】
従って、搬送システム60の流体分配マニホールド10は、図32に示すように、曲率半径を含む1つの長いスロットの少なくとも一部を有することが可能である。非直線性の任意の程度が、有効なビーム強度の増加を得るために有用であり得る。曲率半径は、有利な効果を得るように、最大10mになり得る。中央のライン650が、基板運動の方向xに延びている出力面36の中心を通って描かれる場合、このライン上の正の位置は、基板移動の方向xにおいて出力面36から進む位置として規定されることが可能である一方、負の位置は、基板移動の反対方向xにおいて出力面36から進む位置として規定されることが可能である。その曲率半径は、出力面36の中心に対して負の位置に又は正の位置に位置付けられる中心点を有することが可能である。その中心点はまた、基板移動xの方向以外の方向においてオフセットされることが可能であり、故に、長いスロットは、出力面36において対称に位置付けられないのである。
【0164】
有効なビーム強度におけるより大きい増加を必要とするよりフレキシブルな基板については、より小さい曲率変形が好ましい。曲率半径のある小さい制限において、スロットは、基板に対する角度においてかなり大きく変化することが可能であり、故に、曲率半径はその長さに沿って可変であることを必要とする。従って、搬送システム60の流体分配マニホールド10は、複数の方向(又は、経路)を含む1つの長いスロットの少なくとも一部を有することが可能である。これにより、スロットに沿った方向変化の任意のパターンの、又は曲率半径における周期的変化をスロットの形をとることが可能である。周期的パターンは、正弦波(図32B)、ノコギリ波(図32C)又は矩形波周期性(図32D)を有することが可能である。出力面36は複数のスロット149、184又はそれらの組み合わせを有するため、スロット形状は、上記の特徴の任意の組み合わせを有することが可能であるため、スロット形状は、対称的である又は隣接するスロットと鏡像関係にあるスロットの使用を含む、上記の特徴の任意の組み合わせであることが可能である。スロットはまた、ソーススロット149又は排出スロット184としての機能に依存して、若しくはそれらのスロットが供給する気体成分の種類に基づいて、異なる形状を有することが可能である。
【0165】
長いスロットの非垂直、非平行位置は、35°に等しい又はそれ以上の、基板移動方向に対する最大角度を有することが可能である。スロット149又は184が、基板運動に対して斜めに位置付けられるとき、基板運動に対する非垂直性のある度合いで、有利な効果が得られる。しかしながら、スロットが基板運動に対して平行に近づくとき、堆積マニホールドに対して基板が移動するにつれて、基板により経験されるALDサイクル数は、マニホールドの所与の長さ及び所与のスロット間隔に対して減少する。従って、スロット149、184が斜めに位置付けられるとき、基板運動の方向に対して35°以上である角度で、より好適には、45°の又はそれ以上の角度で、スロットを位置付けることは好ましいことである。
【0166】
図33A乃至33Cを参照し、そして図6乃至18を再び参照するに、一部の例示としての実施形態においては、平坦でない出力面を有することは好ましいことである。図6に示しているように、出力面36は、x方向及びy方向に広がっていて、z方向の変化は有さない。図6においては、x方向は基板運動に対して垂直である一方、y方向は基板運動に対して平行である。図33A乃至33Cに示す例示としての実施形態においては、出力面36はz方向の変化を有する。
【0167】
曲面化した出力面36を用いることにより、好ましくない気体混合又は出力面との基板接触を伴わずに、高いフレキシビリティを有する基板がコーティングされるようにすることが可能である。出力面36の曲率は、x方向、y方向、又は両方の方向において拡大している。
【0168】
本発明の分配マニホールドを有するフレキシブルな基板にコーティングするとき、排出スロットとソーススロットとを比較するときに流体により与えられる力は異なる。これは、流体圧力がソーススロットから排出スロットに流体を駆動するように設定されるということについての当然の結果である。結果として得られる基板への効果は、排出スロットにおけるよりソーススロットにおいてヘッドからより大きい角度で基板が遠ざかるようにされることである。これはまた、基板の変形に繋がり得、それは、不均一な浮揚高さに繋がるために、故に、流体混合並びに基板と出力面との間の接触の可能性に繋がるために、好ましくない。
【0169】
フレキシブルな基板は、曲がりがまっすぐな形状においてもたらされるときは、即ち、その曲がりの軸が一次元のみに起こるときには、最も単純に曲げられることが可能である。従って、一連の直線的で平行なスロットについては、それ自体の本来の基板のビーム強度のみが、スロット間の力の差に抵抗し、従って、基板の重要な変形がもたらされる。
【0170】
x方向に沿った出力面36の曲率は、コーティングされる基板20が二次元(幅及び高さ)で曲げられることを可能にし、故に、基板20の有効なビーム強度を増加させる。基板20に二次元の曲がりをもたらすように、基板は、基板20の隣接領域の圧縮及び引っ張りをもたらす出力面36の非直線的な曲がり形状において、直接曲げられる。基板20は、圧縮力又は引っ張り力に対してかなり抵抗することが可能であるため、この結果として、基板20のかなり増加した有効なビーム強度が得られる。
【0171】
y方向に沿った出力面36の曲率は、分配マニホールド10の出力面36においいて基板20の下方の力の容易な制御を可能にする。曲率が出力面36のy方向において拡大するとき、基板20の張力が、出力面36に対する基板20の下向きの力を制御するように用いられる。それとは対照的に、出力面36がz方向に変化しないとき、基板20の下向きの力は、単に、基板の重量、又は基板20に作用する力を与える付加要素を用いて、制御される。
【0172】
出力面36を曲面化する従来の一方法は、プレートがz方向に変化を有するように、分配マニホールド10のプレートを機械加工することである。しかしながら、これは、分配マニホールドの製造コストの増加に繋がる、マニホールドプレートが高さ変化の何れかの提案されるプロファイルのためにデザインされる及び構築されることを必要とする。
【0173】
分配マニホールド10がパターニングされたレリーフプレートのアセンブリを有するとき、z方向のプレートの厚さが、プレートが組み立て処理中に好ましいプロファイルに変形されることが可能であるようにされる場合に、それらの増加するコストは低減される、更には回避される。この方法においては、類似するレリーフプレートのセットが、単に適切な成形要素においてそれらを組み立てることにより、z方向における複数の分配マニホールドの高さプロファイルを生成するように用いられることが可能である。
【0174】
再び図33A乃至33Cを参照するに、流体分配マニホールド10は、第1プレート315及び第2プレート320を有する。第1プレート315は、y方向に延びる長さ寸法及びx方向に延びる幅寸法を有する。第1プレート315はまた、第1プレート315のx方向に延びる幅寸法及びy方向に延びる長さ寸法の少なくとも一において、第1プレート315が変形可能(適合可能ともいう)であるようにする厚さ660を有する。更に、第2プレート320は、y方向に延びる長さ寸法及びx軸方向に延びる幅寸法を有する。
第2プレート320はまた、第2プレート320のx方向に延びる幅寸法及びy方向に延びる長さ寸法の少なくとも一において、第2プレート320が変形可能(適合可能ともいう)であるようにする厚さ670を有する。少なくとも第1プレート315及び第2プレート320の少なくとも一部は、流体流方向付け経路を規定するレリーフパターン(例えば、図12A及び12Bを参照して図示され、説明されているレリーフパターン)を規定する。第1プレート315及び第2プレート320は、プレート315,320の長さ寸法及び幅寸法の少なくとも一に沿って、z方向に延びる高さ寸法における非直線的な形状を形成するように共に結合されている。
【0175】
プレートが適合するようにする適切な厚さは、特定の実施形態について検討される曲率半径及び構成材料に依存する。典型的には、組み立て処理、例えば、プレート結合方法が、プレートの一方又は両方における好ましくない歪み又は構造的失敗をもたらさない限り、任意の厚さを用いることが可能である。例えば、プレート315、320が、一般に、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真ちゅう、ニッケル又はチタンを含む材料から構成されるとき、プレートの厚さは、0.5インチより小さい、より好適には0.2インチより小さいプレート厚さが好ましい。プラスチック又はゴム等の有機材料については、1インチより小さい、より好適には0.5インチより小さいプレート厚さが好ましい。
【0176】
プレート315、320の非平面的形状は曲率半径680を含むことが可能である。曲率は、曲率が円柱の表面の一部を辿ることを示す線軸を有することが可能である。線軸はx方向又はy方向にあり、若しくは、x方向及びy方向の組み合わせである、ある方向にあることが可能である。線軸はまた、z方向のある方向を有することが可能であり、故に、曲面化している表面の最大高さは、出力面に沿って一定ではない。曲率半径は、最大10mであり、更に有利な効果をもたらすことが可能である。線軸は、凸状又は凹状のそれぞれである曲率をもたらす出力面の上又は下にあることが可能である。
【0177】
代替として、曲率は、球の表面の一部を辿る曲率をもたらす点軸を有することが可能である。点軸は、凸状又は凹状のそれぞれである曲率をもたらす出力面の上又は下の任意の位置にあることが可能である。曲率半径は、最大10mであり、更に有利な効果をもたらすことが可能である。
【0178】
分配マニホールドの出力面36は周期的変化を高さで有することが可能である。これは、z方向の曲率半径の周期的変化又は方向変化の任意のパターンの形をとることが可能である。周期的パターンは、任意の周期的変化を得ることが可能である正弦波又は複数の正弦波の組み合わせであることが可能である。曲率半径の変化はx方向及びy方向の両方において同時に生じることが可能であり、出力面36における凹凸又はモード(mode)に繋がる。
【0179】
分配マニホールド10は、第1プレート315及び第2プレート320の高さ寸法(z方向)における非平面的形状を形成する固定を用いて、第1プレート315及び第2プレート320を共に結合することによりつくられることが可能である。例えば、第1プレート及び第2プレートは、金型690において第1プレート315及び第2プレート320を保つことを含む固定を用いて、共に結合されることが可能である。この固定構成においては、半分の第1金型の実質的に逆である変化を有する半分の第2金型を用いる、プロファイルにおける高さ変化を含む、半分の第1金型690a及び半分の第2金型690bを有する。
【0180】
一連の平坦なレリーフプレート315、320は、半分ずつの金型の間に位置付けられる。半分ずつの金型は、図33Bに示すように、レリーフプレートが半分ずつの金型の形状に倣うように十分な圧力が加えられて、閉じられる。その場合、固定要素が、2つのプレートの結合をもたらすように、適用される。例えば、固定要素は、熱、圧力、音響エネルギーの一又はそれらの組み合わせ、又は、プレート間に予め備えられた接着剤又は結合剤をアクティブにする任意の他の力を有することが可能である。結合作用はまた、レリーフプレートの本来の特性からもたらされることも可能である。例えば、プレートアセンブリを通る現在の通路に従ってプレートが金型内で押圧される場合、外部からの結合剤を必要とせずに、局所的な加熱がプレート間の溶接をもたらすことができる。
【0181】
第1プレート及び第2プレートの結合はまた、第1プレート及び第2プレートが複数のローラを通って移動するようにする固定治具を用いても、得られる。例えば、非直線的な経路に沿って備えられた一連のローラは、プレートアセンブリが複数のローラを通り抜けるとき、レリーフプレートアセンブリに特定の曲率がもたらされるようにすることが可能である。ローラは、プレートが共に結合するようにする、熱、圧力、音響エネルギー又は他の固定力を同時に与えることが可能である。ローラは、曲率半径における好ましい変化をもたらすように、手動、遠隔又はコンピュータ制御装置により、ヘッド組み立て中に、移動可能であることが可能である。ローラは、仕上げられた分配マニホールドにおける高さ変化の周期的パターンをもたらすパターニングされた表面プロファイルを有することも可能である。
【0182】
上記のように、結合処理は、少なくとも熱、圧力、又は熱及び圧力の組み合わせを適用することにより、後続して結合されるプレートの組み立てを有する。熱は、抵抗加熱、誘導加熱、対流加熱、放射加熱又は火炎加熱により加えられることが可能である。金属構成要素の酸化を低減するように結合処理の雰囲気を制御することはしばしば、望ましいことである。大気圧より高い圧力における処理から高真空における処理までの任意の圧力範囲で処理を行うことが可能である。結合される材料と接する気体の成分は、酸素が殆ど存在しない必要があり、窒素、水素、アルゴン、他の不活性気体又は還元気体を有利に有することが可能である。
【0183】
分配マニホールドがどのように製造されるかに拘わらず、本発明のこの例示としての実施形態の有利点は、個々のプレートは、上記の技術を用いて組み立てられるように、十分なフレキシビリティを有することが可能であり、一旦結合されると、分配マニホールドの全体的な力は、プレート間の協働のために、増加する。
【0184】
図36乃至38を参照し、そして図3及び6乃至18を再び参照するに、上記のように、本発明の分配マニホールドによりフレキシブルな基板にコーティングするとき、排出スロットにおける流体と比較して、ソーススロットにおける流体により与えられる異なる力が存在する。これは、流体圧力がソーススロットから排出スロットに流体を駆動するために設定されることの当然の結果である。基板において結果的に得られる効果により、基板は、ヘッドから遠ざかり(排出スロットにおけるよりソーススロットにおいて高い度合いで)、デリバリヘッドの出力面と接する(ソーススロットにおけるより排出スロットにおいて高い度合いで)ようにされる。これはまた、基板の変形に繋がり、このことは、不均一な浮揚の高さに繋がり、故に、流体混合及び基板と出力面との間の接触に繋がるために、好ましくない。
【0185】
基板におけるこの不均一な力の影響を抑制する有用な一方法は、基板の反対側(デリバリヘッドに対向しない基板の側)に支持部を備えることである。基板における本来のビーム強度が可能性を低減することができるように、若しくは、低い気体分離、複数の気体の相互汚染又は混合、若しくは分配マニホールドの出力面に対する基板の可能性のある接触、に繋がり得る、基板がかなりの形状変化を特にz方向(高さ)においてしないようにするように、基板を支持することにより、十分な力が与えられる。
【0186】
本発明の上記の例示としての実施形態においては、流体搬送システム60は、流体分配マニホールド10及び基板輸送機構700を有する。上記のように、流体分配マニホールド10は、複数の長いスロット149、184を有する出力面36を有する。流体分配マニホールド10の出力面36は、長いスロット149、184が基板20の第1の表面42と対向し、基板20の第1の表面42に近接して位置付けられるように、基板20の第1の表面42に対向して位置付けられる。基板輸送機構700は、基板20がある方向(例えば、y方向)に移動するようにする。基板輸送機構700は、フレキシブルな支持部704(図36に示す)又は706(図37及び38に示す)を有する。フレキシブルな支持部704、706は、流体分配マニホールド10の出力面36に近接している領域において基板20の第2の面44と接している。
【0187】
図36に示すように、フレキシブルな支持部704は、従来の支持マウント714のセットに固定されて、加えられる。図37及び38に示すように、フレキシブルな支持部706は移動可能である。フレキシブルな支持部706が移動可能であるとき、フレキシブルな支持部706は、ローラのセットの周囲で駆動されるエンドレスベルトであることが可能であり、それらのベルトの少なくとも1つは輸送モータ52を用いて駆動されることが可能である。
【0188】
フレキシブルな支持部706はまた、適合化デリバリヘッド10を適合させるために、非平面的形状に形成されるように、適合可能である。支持部704はまた、フレキシブルであるために、支持部704はまた、適合されることが可能である。フレキシブルな支持部704は、任意の適切な材料、例えば、フレキシビリティの好ましい度合いを有する金属又はプラスチックから成ることが可能である。フレキシブルな支持部706は典型的には、適切なベルト材料、例えば、ポリイミド材料、金属材料から成ることが可能であり、又は、フレキシブルな支持部704の表面720との接触を基板が保つ助けとなる粘着性のある材料がコーティングされることが可能である。
【0189】
基板20は、ウェブ又はシートであることが可能である。デリバリヘッド10の出力面36と基板10との間に間隔を得て、それを保つことに加えて、基板輸送機構700は、デリバリヘッド10に対して上流方向に、下流方向に、又は両方の方向に拡げられ、ALDシステム60に付加的な基板輸送機能を備えることが可能である。
【0190】
任意に、フレキシブルな支持部704、706は、基板の第2の表面44に機械的な圧力を与えることも可能である。例えば、流体圧力ソース730が、基板20の第2の表面44に作用する、フレキシブルな支持部704、706への導管18を介する圧力下で流体を供給するように位置付けられることが可能である。流体の圧力は、流体分配マニホールド10の出力面36に対して基板を位置付けるのに圧力716、718が十分である限り、正716又は負718のどちらかであることが可能である。圧力716、718がフレキシブルな支持部704、706により与えられるとき、フレキシブルな支持部704、706は、基板20の第2の表面44に正圧716又は負圧718を与える開口(穿孔ともいう)を有することが可能である。他の構成も可能である。例えば、圧力716、718が、フレキシブルな支持部704、706の周囲に加えられることが可能である。
【0191】
流体圧力ソースにより与えられる圧力が正圧716である場合、その圧力は、流体分配マニホールド10の出力面36の方に基板20を押す。流体圧力ソースにより与えられる圧力が負圧718である場合、その圧力は、流体分配マニホールド10の出力面36から遠ざかるように、フレキシブルな支持部704、706の方に基板を引き寄せる(引き付けるともいう)。他の構成においては、基板20と分配マニホールド10との間の比較的一定の間隔が得られて、保たれる。
【0192】
上記のように、複数の長いスロット149、184の各々は、デリバリヘッド10と関連する対応する流体ソースに流体的に連通して接続される。デリバリヘッド10に関連する第1の対応する流体ソースは、長いスロット149を通り、出力面36と基板20の第1の表面42との間の領域に気体が移動するようにするのに十分な圧力で気体を供給する。デリバリヘッド10に関連する第2の対応する流体ソースは、出力面36と基板20の第1の面42との間の領域から遠ざかるように、且つ長いスロット184の方に気体が流れるのに十分な正の背圧で流体を供給することが可能である。流体圧力ソース730により与えられる圧力は正圧716であり、その圧力716の大きさは典型的には、デリバリヘッド10と関連する第2の対応する流体ソースにより与えられる正の背圧の大きさより大きい。
【0193】
基板20の第2の表面44にフレキシブルな支持部704、706により与えられる機械的圧力は、他のタイプの機械的圧力を有することが可能である。例えば、その機械的圧力が、負荷装置機構712を用いて、支持装置708を介してスプリングにより負荷が与えられるフレキシブルな支持部704、706を用いることにより、基板20の第2の表面44に与えられる。負荷装置機構712は、フレキシブルな支持部704、706に均一に機械的力が与えられるように、又は、十分なビーム強度を与えてフレキシブルな支持部704、706のビーム強度を増加させるように、スプリング及び負荷分配機構を有することが可能である。代替として、フレキシブルな支持部704、706自体が、デリバリヘッド10の出力面36に対して一定の間隔を得て、保つのに必要な基板20におけるビーム力を得るように、基板20の第2の表面44に対してスプリングにより負荷される力を与えるような制限された位置に、フレキシブルな支持部704、706が位置付けられることが可能である。
【0194】
基板20の第2の表面44にフレキシブルな支持部704、706により与えられる機械的な圧力は、他の機械的な圧力を有することが可能である。例えば、輸送機構700は、流体分配マニホールド10の出力面36から離れて、フレキシブルな支持部704、706の方に基板を引き付ける静電力を生成する機構を有することが可能である。
【0195】
支持装置708はまた、フレキシブルな支持部704、706に熱を与えるように加熱されることも可能であり、最終的には基板20を加熱する。基板20を加熱することは、基板20の第2の側44において、又はALD堆積中に全体として基板20において、望ましい温度を維持する助けとなる。代替として、支持装置708を加熱することは、ALD堆積中に基板20の周囲の領域において望ましい温度を維持する助けとなり得る。
【0196】
図34を参照するに、そして再び図3及び6乃至18を参照するに、上記のように、本発明の分配マニホールド1によりフレキシブルな基板をコーティングするとき、排出スロットにおける流体に比べてソーススロットにおける流体により異なる力が与えられる。これは、ソーススロットから排出スロットに流体を駆動するように流体圧力が設定されることの当然の結果である。結果として得られる基板における効果は、基板が、排出スロットにおけるよりソーススロットにおいて、より高い度合いでヘッドから遠ざかるようにされ得る。これはまた、基板の変形に繋がり得、このことは、不均一な浮揚の高さに繋がり、故に、流体混合及び基板と出力面との間の接触に繋がるために、好ましくない。
【0197】
基板におけるこの不均一な力の影響を抑制する有用な一方法は、基板の反対側に同様の不均一な力を適用することである。反対の不均一な力は、流体分配マニホールドにより与えられる力に対して、大きさ及び空間的位置が類似している必要があり、故に、基板の特定領域において作用する小さい残りの局所的な正味の力のみが存在する。この残りの力は、基板における本来のビーム強度が可能性を低減することができるように、若しくは、低い気体分離及び分配マニホールドの出力面に対する基板の可能性のある接触、に繋がり得る、基板がかなりの形状変化を特にz方向(高さ)においてしないようにするように、十分に小さい。
【0198】
再び、図34を参照するに、本発明の特徴の例示としての一実施形態は、第1流体分配マニホールド10及び第2流体分配マニホールド11を有する薄膜材料堆積のための流体搬送システム60を有する。分配マニホールド10は、複数の長いスロット149、184を有する出力面36を有する。複数の長いスロット149、184は、ソーススロット149及び排出スロット184を有する。
【0199】
上記の、大きさ及び方向が類似する反対の力を生成するように、第2流体分配マニホールド11は、出力面36と同様な出力面37を有する。出力面37は複数の開口38,40を有する。複数の開口38、40はソース開口38及び排出開口40を有する。第2流体分配マニホールド11は、第2流体分配マニホールド11の出力面37のソース開口38が第1流体分配マニホールド10の出力面36のソーススロット149と鏡像関係にあるように、第1流体分配マニホールド10から離れて、反対に位置付けられている。更に、第2流体分配マニホールド11の出力面37の排出ソース40は、第1分配マニホールド10の出力面36の排出ソース184と鏡像関係にある。
【0200】
動作中、基板20の第1の側42は、第1分配マニホールド10の出力面36に最近接している一方、基板20の第2の側44は、第2分配マニホールド11の出力面37に最近接している。上記のように、出力面36のスロット149、184及び出力面37の開口38、40はソース機能又は排出機能を備えることが可能である。ソース機能を備える何れの出力面のスロット又は開口も、出力面と対応する基板の側との間の領域に流体を入れる。排出機能を備える何れの出力面のスロット又は開口も、出力面と対応する基板の側との間の領域から流体を引き出す。マニホールド10及びマニホールド11の鏡像位置関係は、第2分配マニホールド11の出力面37における所与の開口が、第1分配マニホールド10の第1出力面36に位置しているスロットに対して略垂直な方向に位置付けられることを保証する助けとなる。動作中、出力面37及び出力面36は典型的には、互いに平行であり、その垂直方向はz方向である。更に、同じ所与の開口は、所与の開口と逆の第1出力面36に位置付けられているスロットの機能と同じ機能(ソース又は排出)を備えている。出力面の隣接するスロット間の距離がdである場合、第1分配マニホールドと第2分配マニホールドとの間の位置合わせの許容範囲は、dの50%以下、好適にはdの25%以下である必要がある。
【0201】
流体搬送システム60は、第1流体分配マニホールド10と第2流体分配マニホールド11との間のある方向に基板20が移動するようにする、基板輸送機構、例えば、サブシステム54を有することが可能である。基板輸送機構は、流体分配マニホールド10、11の出力面36、37に対して略平行な方向に基板20を移動させる。その移動は、一定速度又は可変速度を有することが可能であり、又は、往復運動するように方向を変えることを含むことが可能である。移動は、電動式のローラを用いて実行されることが可能である。
【0202】
基板20と第1流体分配マニホールド10との間の距離D1は典型的には、基板20と第2流体分配マニホールド11との間の距離D2と実質的に同じである。この意味で、距離D1及びD2は、それらの距離が、互いの2倍以内、又は好適には、1.5倍以内であるとき、実質的に同じである。
【0203】
第2流体分配マニホールド11の複数の開口38、40は、種々の形状、例えば、スロット又は孔を有することが可能である。第1分配マニホールド10は、これが出力面36への及び出力面36からの流体の最も均一な供給を提供するために、その出力面における複数の開口のために長いスロットを有することが可能である。第2分配ヘッド11における対応する開口はまた、ソース領域及び排出領域に対応するスロット特徴を有することも可能である。代替として、第2分配ヘッド11における開口は、任意の適切な形状の孔特徴であることが可能である。基板の第2の側に適合する力を与える条件は正確な条件でないため、適合する力は、基板の有害な変形を回避するためにのみ十分である必要がある。従って、第1分配ヘッド10におけるスロットの真向かいに位置合わせされる、例えば、第2分配ヘッド11における一連の孔は、基板20において力を妥当に適合させるのに十分である一方、第2分配ヘッド11を単純にして、低コストで製造することを可能にする。
【0204】
上記のように、第1分配ヘッド10の出力面36における長いスロットは直線的又は曲線的であることが可能である。それらのスロットは、正弦波パターン、鋸歯パターン又は矩形波パターン等の周期的変化を有する種々の形状を有することが可能である。第2分配ヘッド11における開口は任意に、第1分配マニホールド10における対応するスロットと同じ形状を有することが可能である。
【0205】
本発明の上記の例示としての実施形態においては、搬送システム60の第1流体分配マニホールド10及び第2流体分配マニホールド11の両方が、ALD流体マニホールドであることが可能である。第2分配マニホールド11が、非反応性気体を供給する又は非反応性気体により実行するように動作される実施形態においては、この構成は、第2流体分配マニホールド11からもたらされる力が、第1流体分配マニホールド10により与えられる力と十分に適合することを保証する。他の例示としての実施形態においては、第2流体分配マニホールド11が、ALD堆積を得ることが可能である反応性気体のセットを与えることが可能である。この構成においては、基板20の両方の側42、44が、同じ又は異なる成分の膜を同時にコーティングされることが可能である。
【0206】
図35を参照するに、及び再び図1乃至28Eを参照するに、本発明の一部の例示としての実施形態においては、基板に供給される又は基板から取り除かれる1つ又はそれ以上の気体をモニタすることは好ましいことである。本発明の上記特徴についての例示としての一実施形態においては、薄膜材料堆積のための流体搬送システム60は、流体分配マニホールド10と、気体ソースであって、例えば、気体供給部28と、気体受け入れチャンバ29a又は29bと、を有する。上記のように、流体分配マニホールド10は、複数の長いスロット149、184を有する出力面36を有する。複数の長いスロットはソーススロット149及び排出スロット184を有する。気体ソース28は、ソーススロット149と流体的に連通していて、分配マニホールド10の出力面36に気体を供給する。気体受け入れチャンバ29a又は29bは、排出スロット184と流体的に連通していて、排出スロット184を介して分配マニホールド10の出力面36に供給される気体を収集する。センサ46は、気体ソース28から気体受け入れチャンバ29に移動する気体のパラメータを検知するように位置付けられる。制御器56は、センサ46と電気的に連通して接続され、センサ46から受け取られるデータに基づいて搬送システム60の動作パラメータを修正する。
【0207】
気体ソース28を出る気体は、外部の導管32を通り、ソーススロット149を通り、出力面36に到達する前に流体分配マニホールド(上記の)における内部の導管を通って移動する。出力面36を出る気体は、排出スロット184を通り、流体分配マニホールド内の内部の導管を通り、気体受け入れチャンバ29に到達する前に外部の導管34を通って移動する。気体ソース28は、出力面36に気体を供給するように、導管の圧力より高い圧力にある任意の気体ソースであることが可能である。気体受け入れチャンバ29は、出力面36から気体を取り除くように、導管の圧力より低い圧力にある任意の気体チャンバであることが可能である。
【0208】
センサ46は、システム60の種々の位置に位置付けられることが可能である。例えば、センサ46は、図35における位置L1により例示されているように、排出スロット184と気体受け入れチャンバ29との間に位置付けられることが可能である。この実施形態においては、センサ46は、分配マニホールド10に、導管システム34に、気体受け入れチャンバ29に、又はそれらの位置の2つ以上に、含まれることが可能である。
【0209】
センサ46は、図35における位置L2により例示されているように、ソーススロット149と気体ソース28との間に位置付けられることが可能である。この実施形態においては、センサ46は、分配マニホールド10に、導管システム32に、気体受け入れチャンバ28に、又はそれらの位置の2つ以上に、含まれることが可能である。
【0210】
センサ46は、図3に示す位置L3により例示されているように、分配マニホールド10の出力面36に位置付けられることも可能である。この実施形態においては、センサ46は好適に、ソーススロット149と排出チャンバ184との間に位置付けられる。
【0211】
センサ46は、気体の圧力、流量、化学的特性及び光学的特性の少なくとも一を測定するタイプを有することが可能である。センサ46が圧力を測定するとき、その圧力は、圧力測定のための任意の技術を用いて、測定されることが可能である。それらのセンサとしては、例えば、容量検知装置、電磁気検知装置、圧電検知装置、光検知装置、電位差検知装置、共鳴検知装置又は熱圧力検知装置がある。流量はまた、任意の従来の技術、例えば、文献、“Flow Measurement”B,by Bela G.Liptak(CRC Press,1993,ISBN 080198386X,9780801983863)に記載されている技術を用いて測定される。
【0212】
化学的特性は、システムにおける反応前駆体、反応生成物又は汚染物質を特定するように測定されることが可能である。化学的一意性及び特性を検知する任意の従来のセンサを用いることが可能である。検知動作の例としては:出力面において複数の反応物の過剰混合を示す、代替のソース気体チャネルの排出に出る所与のソース気体チャネルからの前駆体の同定;出力面における複数の反応物の過剰混合を示す、排出チャネルに出る2つの異なるソース気体の反応生成物の同定;及び、出力面近傍の空気同伴を示し得る排出チャネルにおいて、過剰な汚染物質、例えば、酸素又は二酸化炭素の存在;がある。
【0213】
気体の光学的特性は、光学的測定はかなり高速であり、実行が比較的容易であり、長いセンサ寿命を提供するために、用いられる。光散乱又は減衰等の光学的特定は、出力面における過剰な成分混合を示す微粒子の生成を同定するように用いられることが可能である。代替として、分光特性が、流れにおける化学的要素を同定するように用いられることが可能である。それらの特性は、紫外線、可視光又は赤外線波長において検知されることが可能である。
【0214】
上記のように、センサ46は、制御器56に接続される。制御器56は、少なくとも1つがセンサ出力である複数のプロセス値を測定し、プロセス値の関数として複数の動作パラメータを制御する。動作パラメータは典型的には、システム60の動作において効果を有するように意図された流体搬送システム60に対する任意の制御可能な入力である。例えば、動作パラメータは、制御器56により修正されることが可能である入力気体流を有することが可能である。
【0215】
センサ入力に対する応答は、直接的又は反対的であることが可能である。例えば、故障したシステムの性能を示す圧力の読みは、反応性気体の放出又はベントを回避するように、気体流の減少又は遮断をもたらし得る。代替として、システムを制御するように戻すように試みるために、気体流の増加をもたらすことが可能である。
【0216】
上記のように、システムは、流体分配マニホールド10に対してある方向に基板20が移動するようにする基板輸送機構、例えば、サブシステム54を有することが可能である。制御器56は、センサの読みに応答して基板輸送機構54の動作パラメータを調節することにより基板20の動きを修正することが可能である。典型的には、それらのタイプの動作パラメータには、出力面に対する基板速度、基板張力及び基板角度がある。
【0217】
制御器56は、システムの動作パラメータを調節することにより基板輸送機構54及び分配マニホールド10の相対的な位置を修正することも可能である。本実施形態においては、基板輸送機構54及び流体分配マニホールド10の少なくとも一は、z方向の出力面36に対して略垂直な方向への移動を可能にする機構を有することが可能である。この機構は、電気作動装置、空気圧作動装置及び電気空気圧作動装置により作動されることが可能である。基板20及び流体分配マニホールド10の相対的位置の修正は、必要に怖じて、任意の他のシステムパラメータ変化により達成することが可能である。
【0218】
本発明については上で、特定の例示としての実施形態を特に参照して詳述しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、上記のように及び同時提出の特許請求の範囲に記載しているように、本発明の範囲内で多くの修正及び変形を行うことができることを、当業者は理解することができる。
【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図28E】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図31D】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図32D】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2013−508560(P2013−508560A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536839(P2012−536839)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052219
【国際公開番号】WO2011/053446
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】