説明

フレキシブルプリント配線板の接続構造及びそれを備えた電子機器

【課題】電極端子同士を異方性導電材を介して電気接続するフレキシブルプリント配線板の接続構造において、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子間でズレが生じた場合でも安定した熱圧着が行え、よって電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造及び該フレキシブルプリント配線板の接続構造を備えた電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】電極端子12a、22a同士を、異方性導電材30を介して熱圧着することで、1対のフレキシブルプリント配線板10、20を電気接続してなるフレキシブルプリント配線板の接続構造1であって、圧力を受ける受圧側の電極端子12aを、圧力を加える加圧側の電極端子22aよりも大きいものとしてあるフレキシブルプリント配線板の接続構造1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の接続構造及び該フレキシブルプリント配線板の接続構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(FPC)などに備える複数の電極端子を露出させた実装用の接続部に、半導体パッケージを、いわゆるフリップチップボンディングなどによって実装したり、或いは複数のフレキシブルプリント配線板を、それぞれの配線板に備える多数の電極端子を露出させた接続部同士で電気接続したりするエレクトロニクス実装の分野においては、ますます機器の小型化、薄型化が加速しており、更なる高密度実装化、高接続信頼性を実現できる技術が要求されている。
エレクトロニクス実装における実装法の1つに、熱接着性を有する異方性導電材を用いる方法がある。
異方性導電材は、例えば粉末状の導電成分を、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の結着剤(バインダー)中に分散させた構造を有する。
このような異方性導電材は、熱圧着時の加熱、加圧によって厚み方向に圧縮されることで、導電成分同士が互いに近接若しくは接触して導電ネットワークを形成する結果、厚み方向の導電抵抗(接続抵抗と言う)が低くなる。
しかしこの際、異方性導電材の面方向は、絶縁抵抗が高く導電率が低い初期の状態を維持する。従って異方性導電材によれば、面方向の絶縁抵抗によって隣り合う電極端子間の絶縁を維持して短絡を防止しながら、厚み方向の接続抵抗によって接続領域に配列された多数の電極端子−電極端子間を一度に、そしてそれぞれ独立して電気接続することができる。
またそれと共に、FPC間を熱圧着によって機械的に強固に固定でき、しかもこれらの部材の接続領域を結着剤によって封止できるため、実装作業が容易である。
このような異方性導電材を用いた接続構造を示すものとして、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−170824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、フレキシブルプリント配線板の接続構造及び接続方法に関する発明で、フレキシブルプリント配線板から液晶表示装置への入力信号が正常であることを、ワーク(製品)を破壊することなく、傷、破損による信頼性を損なうことなく容易に確認することができるメリットがある。
しかし複数の導体配線を備えるフレキシブルプリント配線板6と、複数の電極を備える透明基板1bとにおいて、導体配線と電極との端子幅を同一幅とする構成であることから、熱圧着時の位置合わせで、対向する導体配線と電極との間でズレが生じた場合、導体配線と電極との導通に寄与する導電成分が少なくなることで、接続抵抗が高くなり、接続信頼性に欠けると共に、厚み方向への接続面積が小さくなることで、安定した熱圧着ができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、電極端子同士を異方性導電材を介して電気接続するフレキシブルプリント配線板の接続構造において、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子間でズレが生じた場合でも安定した熱圧着が行え、よって電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造及び該フレキシブルプリント配線板の接続構造を備えた電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接続構造は、電極端子同士を、異方性導電材を介して熱圧着することで、1対のフレキシブルプリント配線板を電気接続してなるフレキシブルプリント配線板の接続構造であって、圧力を受ける受圧側の電極端子を、圧力を加える加圧側の電極端子よりも大きいものとしてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、電極端子同士を、異方性導電材を介して熱圧着することで、1対のフレキシブルプリント配線板を電気接続してなるフレキシブルプリント配線板の接続構造であって、圧力を受ける受圧側の電極端子を、圧力を加える加圧側の電極端子よりも大きいものとしてあることから、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子間でズレが生じた場合でも、安定した熱圧着を行うことができる。よって電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造とすることができる。
【0008】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の接続構造は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記受圧側及び前記加圧側の電極端子は、複数の並列される電極端子から構成されると共に、受圧側の電極端子間のピッチと加圧側の電極端子間のピッチとを同一ピッチとしてあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記受圧側及び前記加圧側の電極端子は、複数の並列される電極端子から構成されると共に、受圧側の電極端子間のピッチと加圧側の電極端子間のピッチとを同一ピッチとしてあることから、複数の並列される電極端子同士の位置合わせを容易に行うことができると共に、熱圧着時の位置合わせでズレが生じた場合でも、対向する全ての電極端子間で安定した熱圧着を行うことができる。よって電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造とすることができる。
【0010】
また本発明の電子機器は、請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造を備えることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、電子機器は、請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造を備えることから、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造を備える電子機器とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の接続構造によれば、電極端子同士を異方性導電材を介して熱圧着する際の位置合わせで、対向する電極端子間でズレが生じた場合でも、安定した熱圧着を行うことができ、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造とすることができる。
また本発明の電子機器によれば、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できるフレキシブルプリント配線板の接続構造を備える電子機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す図で、(a)はフレキシブルプリント配線板の接続構造の全体斜視図、(b)はフレキシブルプリント配線板の接続構造の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A線方向における要部の縦断面図で、(a)は加熱バーによる熱圧着前の状態を示し、(b)は加熱バーによる熱圧着後の状態を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の接続構造における電極端子の接続状態を簡略化して示す平面図である。
【図4】フレキシブルプリント配線板に備える複数の電極端子同士を異方性導電材を介して熱圧着する際に、対向する電極端子間でズレが生じた場合を示す要部の縦断面図で、(a)は従来のフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す図、(b)は本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の図面を参照して、本発明に係るフレキシブルプリント配線板の接続構造及び該フレキシブルプリント配線板の接続構造を備えた電子機器についての実施形態を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0015】
まず図1を参照して、本発明に係る接続構造1を説明する。
本発明に係る接続構造1は、2枚のフレキシブルプリント配線板が、異方性導電材により相互に電気接続されてなるフレキシブルプリント配線板の接続構造であり、図示しない電子機器内部に配設されるものである。
この接続構造1は、フレキシブルプリント配線板10、20と、異方性導電材30とから構成される。
なお本実施形態においては、図2に示す加熱バー40からの熱及び圧力を異方性導電材30を介して受ける、いわゆる受圧側のフレキシブルプリント配線板をフレキシブルプリント配線板10とし、加熱バー40からの熱及び圧力を異方性導電材30に加える、いわゆる加圧側のフレキシブルプリント配線板をフレキシブルプリント配線板20とする構成としてある。
【0016】
前記フレキシブルプリント配線板10は、基板の両面に回路を備える、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板である。
このフレキシブルプリント配線板10は、図1に示すように、主として基板11と、電極端子群12と、導体配線13と、カバーレイ14とから構成される。
なお本実施形態において、加圧側のフレキシブルプリント配線板20は、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板であると共に、電極端子の大きさがフレキシブルプリント配線板10と異なる他はフレキシブルプリント配線板10と同一構成であることから、フレキシブルプリント配線板10と同一部材、同一機能を果たすものには、下一桁の番号及びアルファベットを同一とし、以下の詳細な説明を省略するものとする。
【0017】
前記基板11は、フレキシブルプリント配線板10の基台となるものであり、樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等の、フレキシブルプリント配線板を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、フレキシブルプリント配線板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
なお樹脂フィルムの表面に銅箔を耐熱性接着樹脂でラミネートした、いわゆる銅張積層板を用いる構成であってもよい。
【0018】
前記電極端子群12は、異方性導電材30を介してフレキシブルプリント配線板20の電極端子群22と電気接続される複数の並列される電極端子12aからなる集合体であり、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板20との接続部となる後述するカバーレイ14の開口部14aに露出状態で配設されている。
前記電極端子12aは、図2に示すように、基板11の表面に形成される導電性金属からなる電極端子である。
【0019】
また本発明に係る接続構造1においては、図2に示すように、受圧側のフレキシブルプリント配線板10に備える電極端子12aを、加圧側のフレキシブルプリント配線板20に備える電極端子22aよりも大きいものとしてある。
より具体的には、図2(b)に示すように、電極端子12aの幅Aを、電極端子22aの幅Bよりも大きいものとしてある。
このような構成とすることで、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子12a、22a間でズレが生じた場合でも、加圧側の電極端子22aを受圧側の電極端子12aにフラットに積層することができ、加熱バー40による加熱、加圧時に、加圧側の電極端子22aが傾くことを防止することができる。よって安定した熱圧着を行うことができ、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できる接続構造1とすることができる。
【0020】
つまり従来は、電極端子同士を異方性導電材を介して電気接続するフレキシブルプリント配線板の接続構造においては、電気接続を行う電極端子同士の大きさを略同一とするものが一般的であった。また電気接続するフレキシブルプリント配線板同士の熱圧着時における位置決めは、位置決め治具等を用いて受圧側のフレキシブルプリント配線板を固定された台の上に載置し、異方性導電材を介した状態で相互の配線板に形成されるガイド孔、アライメントマークを合わせることで行うものが一般的であった。
しかしガイド孔のサイズ違い等が原因となり、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子間で電極端子の幅方向及び/又は長さ方向にズレが生じる可能性があった。
【0021】
例えば図4(a)に示すように、電極端子の幅方向(白抜き矢印方向)にズレが生じた場合、従来の接続構造2においては、ズレ幅Eの部分において、電極端子12aと電極端子22aとが対向しなくなる。よって対向する電極端子12a、22a間における導電粒子が少なくなることで、接続抵抗が高くなり、電気的な接続信頼性に欠けることになる。
また対向する電極端子12a、22aと異方性導電材30との厚み方向(垂直方向)への接続面積が小さくなることで、安定した熱圧着を行うことができず、機械的な接続信頼性に欠けることになる。
更にズレ幅Eにおける、幅E1部分において、加圧側の電極端子22aの熱圧着面Fの下方に受圧側の電極端端子12aの熱圧着面Gが存在せず、熱圧着面Fが熱圧着面Gよりも出っ張った状態となる。よって加圧側の電極端子22aを受圧側の電極端子12aにフラットに積層できないことで、加熱バー40による加熱、加圧時に、加圧側の電極端子22aが幅E1部分を起点として傾き、その状態で滑っていく状態を招く。よって加圧が進むにつれ、ズレが更に大きくなり、安定した熱圧着を行うことができず、一段と電気的及び機械的な接続信頼性に欠けることになる。
なお従来の接続構造2は、本発明の実施形態に係る接続構造1に対して受圧側の電極端子の大きさのみが異なることから、接続構造1と同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付すものとする。また図4においては、電極端子22aにズレが生じていない場合の熱圧着位置を破線で示すものとする。
【0022】
これに対して本発明の構成とすることで、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子12a、22a間で、従来の接続構造2における場合と同様な電極端子の幅方向(白抜き矢印方向)へのズレが生じた場合でも、図4(b)に示すように、ズレ幅Eの部分において、電極端子12aと電極端子22aとが対向しなくなることを防止できる。
よって熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子12a、22a間でズレが生じた場合でも、図4(b)に示す加圧側の電極端子22aにおける熱圧着面Fの全てを受圧側の電極端子12aの熱圧着面Gと対向させることができる。
よって対向する電極端子12a、22a間における導電粒子が少なくなることを防止でき、電気的な接続信頼性の欠如が生じることを防止できる。
また対向する電極端子12a、22aと異方性導電材30との厚み方向(垂直方向)への接続面積が小さくなることを防止でき、機械的な接続信頼性の欠如が生じることを防止できる。
更に加圧側の電極端子22aを受圧側の電極端子12aにフラットに積層することができ、加熱バー40による加熱、加圧時に、加圧側の電極端子22aが傾くことを防止することができる。よって安定した熱圧着を行うことができ、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できる接続構造1とすることができる。
【0023】
また受圧側の電極端子12aを、加圧側の電極端子22aよりも大きい構成とすることで、加熱バー40による加熱、加圧時に、加圧側の電極端子22aが横方向へ滑ることを防止することができ、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できる接続構造1とすることができる。
つまり受圧側の電極端子12aを、加圧側の電極端子22aよりも小さい構成(図4(b)に示す受圧側及び加圧側の電極端子の大きさを上下反転させた構成)とした場合、幅Eのズレが生じても、受圧側の熱圧着面Gの全面を加圧側の熱圧着面Fに対向させることはできる。しかし加圧側の電極端子22aが受圧側の電極端子12aよりも出っ張った状態となるため、加熱バー40による加圧が加わるにつれ、電極端子22aは出っ張りを起点として傾き、横方向へと滑り、やがて熱圧着面Gと熱圧着面Fとが対向しないズレが生じ、電気的及び機械的な接続信頼性の欠如を招くこととなる。
また加圧側の電極端子22aの大きさを、受圧側の電極端子12aの大きさよりも小さい構成とすることで、加熱バー40から伝わる熱及び圧力をロスなく異方性導電材30及び電極端子12aへと伝えることができる。
【0024】
更に図2(b)に示すように、複数の並列される電極端子間において、電極端子中心の直線間隔であるピッチHを、受圧側の電極端子12a−12a間と、加圧側の電極端子22a−22a間とで同一ピッチとする構成としてある。
このような構成とすることで、複数の並列される電極端子12a、22a同士の位置合わせを容易に行うことができる。また電極端子12aを電極端子22aよりも大きいものとしてあることから、熱圧着時の位置合わせでズレが生じた場合でも、対向する全ての電極端子12a、22a間で安定した熱圧着を行うことができる。よって電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できる接続構造1とすることができる。
【0025】
なお電極端子12aを形成する導電性金属としては、銅、銀、金等、フレキシブルプリント配線板の電極端子を形成するものとして通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また電極端子12aは、基板11の表面に導電性金属からなるめっき層を積層し、エッチングする等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
【0026】
また受圧側の電極端子12aの幅Aは0.1〜0.25mm程度、隣接する電極端子12aの間隔Iは0.05〜0.15mm程度とすることが望ましい。
また加圧側の電極端子22aの幅Bは0.1〜0.2mm程度、隣接する電極端子22aの間隔Jは0.1〜0.2mm程度とすることが望ましい。
また電極端子中心の直線間隔であるピッチHは、0.2〜0.4mm程度とすることが望ましい。
更に好適には、電極端子中心の直線間隔であるピッチHが0.4mm程度の時は、電極端子12aの幅Aは0.25mm程度、隣接する電極端子12aの間隔Iは0.15mm程度、加圧側の電極端子22aの幅Bは0.2mm程度、隣接する電極端子22aの間隔Jは0.2mm程度とすることが望ましい。
また電極端子中心の直線間隔であるピッチHが0.3mm程度の時は、電極端子12aの幅Aは0.2mm程度、隣接する電極端子12aの間隔Iは0.1mm程度、加圧側の電極端子22aの幅Bは0.15mm程度、隣接する電極端子22aの間隔Jは0.15mm程度とすることが望ましい。
また電極端子中心の直線間隔であるピッチHが0.2mm程度の時は、電極端子12aの幅Aは0.12mm程度、隣接する電極端子12aの間隔Iは0.08mm程度、加圧側の電極端子22aの幅Bは0.1mm程度、隣接する電極端子22aの間隔Jは0.1mm程度とすることが望ましい。
また加熱バー40による熱圧着時の圧力は、0.1〜10MPa程度とすることが望ましい。
また電極端子12a、22aの厚み、数、フレキシブルプリント配線板上の配置位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0027】
前記導体配線13は、フレキシブルプリント配線板10の回路を形成するものである。
この導体配線13は、図1(b)に示すように、電極端子12aと電気接続される複数本が基板11の表側面に配設される共に、図示しない基板11の裏側面にも複数本が配設されている。
フレキシブルプリント配線板20における導体配線23は、基板21の表側面にのみ配設されている。
なお、ここで「表側面」とは、異方性導電材30により電気接続される電極端子を備える側の面のことを指すものとし、「裏側面」とは、異方性導電材30により電気接続される電極端子を備えない側の面のことを指すものとする。
この導体配線13は、基板11の表面に導電性金属からなるめっき層を積層し、エッチングする等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
なお導体配線13の数、配置位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0028】
前記カバーレイ14は、フレキシブルプリント配線板10の絶縁層を構成するものである。
図1、図2に示すように、カバーレイ14における電極端子群12に対応する位置には、開口部14aを形成することで、電極端子群12を露出させた接続部を形成してある。
なおカバーレイ14としては、接着剤付きポリイミドフィルム、感光性レジスト、液状レジスト等を用いることができる。
【0029】
前記異方性導電材30は、結着剤(バインダー)の中に導電成分を含有させたものであり、熱圧着時の加熱、加圧によって厚み方向に導通性を有すると共に、面方向に絶縁性を有し、更に部材同士を接着させる接着性を有する。
なお結着剤としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等、異方性導電材30を形成する結着剤として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また導電成分としては、ニッケル等、異方性導電材30を形成する導電成分として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また異方性導電材30の大きさは、図3に仮想線で示すように、電極端子群12の全てを囲む領域よりやや大きいものとすることが望ましい。
なお本実施形態においては、異方性導電材30として膜状に形成された異方性導電フィルムを用いる構成としてある。
勿論、このような構成に限るものではなく、異方性導電材30として異方性導電ペーストを用いる構成としてもよい。
【0030】
また図1に示すように、フレキシブルプリント配線板10、20にはガイド孔15、25が形成されている。このガイド孔15、25は、接続構造1の熱圧着時にフレキシブルプリント配線板10、20の位置決めを行うためのものである。
具体的には、図示しない固定された台の上に位置決め治具を用いてフレキシブルプリント配線板10を載置し、異方性導電材30を仮接着させた状態で、開口部24aが開口部14aと対面するようにフレキシブルプリント配線板20を配置する。そしてガイド孔15とガイド孔25及び図示しない相互の配線板に形成されるアライメントマークとで位置決めを行った後、フレキシブルプリント配線板20の上部から加熱バー40により所定の温度、圧力、時間で加熱、加圧することで接続構造1が形成される。勿論、接続構造1の形成方法は、本実施形態のものに限るものではなく、フレキシブルプリント配線板10、20を異方性導電材30を介して電気接続できるものであれば如何なる形成方法であってもよい。
【0031】
そしてこのように形成される接続構造1は、図示しない携帯電話機等の電子機器内部に配設される。このような構成とすることで、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できる電子機器とすることができる。
【0032】
なお本実施形態においては、受圧側のフレキシブルプリント配線板10を、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板とし、加圧側のフレキシブルプリント配線板20を、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。
例えば受圧側のフレキシブルプリント配線板10を、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板とし、加圧側のフレキシブルプリント配線板20を、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板とする構成としてもよいし、受圧側及び加圧側のフレキシブルプリント配線板10、20を共に、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板若しくはいわゆる両面フレキシブルプリント配線板とする構成としてもよい。
また受圧側及び加圧側のフレキシブルプリント配線板の大きさ、形状等も本実施形態のものに限る必要はなく、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、電極端子同士を、異方性導電材を介して電気接続するフレキシブルプリント配線板の接続構造において、熱圧着時の位置合わせで、対向する電極端子間でズレが生じた場合でも、安定した熱圧着を行うことができ、電気的及び機械的な高接続信頼性を実現できることから、異方性導電材を介して電極端子同士を電気接続するフレキシブルプリント配線板の接続構造を備える電子機器の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0034】
1 接続構造
2 接続構造
10 フレキシブルプリント配線板
11 基板
12 電極端子群
12a 電極端子
13 導体配線
14 カバーレイ
14a 開口部
15 ガイド孔
20 フレキシブルプリント配線板
21 基板
22 電極端子群
22a 電極端子
23 導体配線
24 カバーレイ
24a 開口部
25 ガイド孔
30 異方性導電材
40 加熱バー
A 幅
B 幅
E ズレ幅
E1 幅
F 熱圧着面
G 熱圧着面
H ピッチ
I 間隔
J 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子同士を、異方性導電材を介して熱圧着することで、1対のフレキシブルプリント配線板を電気接続してなるフレキシブルプリント配線板の接続構造であって、圧力を受ける受圧側の電極端子を、圧力を加える加圧側の電極端子よりも大きいものとしてあることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項2】
前記受圧側及び前記加圧側の電極端子は、複数の並列される電極端子から構成されると共に、受圧側の電極端子間のピッチと加圧側の電極端子間のピッチとを同一ピッチとしてあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載フレキシブルプリント配線板の接続構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233609(P2011−233609A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100525(P2010−100525)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】