説明

ブルーレイディスク基板用成形材料及びエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料

【課題】外観不良が低減され、安定した歩留りを実現し得るブルーレイディスク基板用又はHD DVD基板用成形材料、並びにこれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)界面法で製造された芳香族PC樹脂、(B)C14-30の脂肪酸モノグリセリドを150〜350ppm(成形材料の全量基準、質量ppm、以下同様)、(C)PETSを10〜150ppm及び(D)酸化防止剤を30〜120ppm含有してなるブルーレイディスク基板用又はHD DVD基板用成形材料、並びに上記(A)成分、(A)成分に対して、(B)C14-30の脂肪酸モノグリセリド150〜350ppm、(C) PETS 10〜150ppm、(D)酸化防止剤30〜120ppm及び(E) 押出機中でのPC樹脂の含水量が500〜1300ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000ppmを(A)成分と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、該ストランドを冷却した後、切断してペレット化する上記成形材料の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーレイディスク基板用成形材料、エイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク(以下、HD DVDと略記することもある。)基板用成形材料、これらの成形材料の製造方法、ブルーレイディスク基板及びHD DVD基板に関する。詳しくは、コメット(comet)と呼ばれる外観不良が低減された基板を与える、ブルーレイディスク基板用成形材料及びHD DVD基板用成形材料、これらの成形材料の製造方法、これらの成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板及びHD DVD基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の光ディスクとしてブルーレイディスクやHD DVDが開発されており、ブルーレイディスク基板やHD DVD基板の製造に用いる成形材料として、例えば特許文献1には、エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂に、炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル及び炭素数が10〜30の飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールとのフルエステルを配合した光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
この特許文献1におけるポリカーボネート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂として、エステル交換法で製造されたものが用いられている。しかしながら、エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂を用いてCD(コンパクトディスク)やDVD等の光学情報媒体用の基板を製造する場合、得られるポリカーボネート樹脂の末端記の違いにより、界面法で得られるポリカーボネート樹脂よりもガラス転移点が低く、成形サイクルが短くなる、或いは金型温度が高くなるにつれて、離型時に基板の変形がより発生し易くなるなどの不都合が生ずる。また、添加する部分エステルとの反応性もあり、ペレット化後の部分エステルの残存量も少なくなる傾向にある。
一方、ブルーレイディスク基板やHD DVD基板を射出成形により製造する工程において、基板の帯電により発生したバリ等が基板に付着した場合、ブルーレイディスクやHD DVDに、コメットと呼ばれる外観不良が発生する。このコメットが発生すると、ブルーレイディスクやHD DVDにおいて、読み取りエラー等の不良現象が発生するという問題がある。
ここで、コメットとは、射出成形機から取り出された基板が帯電していることなどによって、成形後の基板表面に成形機由来の細かな樹脂バリや、浮遊塵が付着し、これらの付着物により形成される凸部に起因して、基板内周から外周にかけて半径方向に発生する筋状の欠陥のことを言う。ブルーレイディスクの場合、上記コメットは、ブルーレイディスク基板表面に反射膜をスパッタリングや蒸着等により形成した後、例えば、UV(紫外線)硬化樹脂を用いて厚さ0.1mmの透明保護層をスピンコーティング等の方法で形成する際に、上記凸部によってUV硬化樹脂の流れが阻害されるために発生する。また、HD DVDの場合、上記コメットは、従来のDVD−R等の追記型光ディスクと同様に有機色素を用いてHD DVD基板に記録膜をスピンコーティング等の方法で形成する際に、上記凸部によって有機色素の流れが阻害されるために発生する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−331808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ブルーレイディスク基板やHD DVD基板を射出成形により製造する工程において、コメットと呼ばれる外観不良が低減され、安定した歩留りを実現し得るブルーレイディスク基板用成形材料及びHD DVD基板用成形材料、これらの成形材料の製造方法、これらの成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板及びHD DVD基板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネート樹脂に、特定の部分エステルと特定のフルエステルをそれぞれ特定量添加した成形材料により、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、光ディスクの基板として使用されるPC樹脂においては、離型剤の選定及びその添加量が非常に重要である。PC樹脂粉末を押出機により押し出し、裁断するPC樹脂粒化工程(ペレット化工程)や光ディスク基板の成形工程において、PC樹脂にステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸モノグリセリドを添加したPC樹脂組成物よりも、PC樹脂にペンタエリスリトールステアリン酸フルエステル(以下、PETSと略記することがある。)等のペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを添加したPC樹脂組成物の方が、PC樹脂の分解による分子量低下が小さく、熱安定性に優れる。
また、粘度平均分子量が10000〜17000と低く、低粘度で高流動性を有するPC樹脂に、微量(350質量ppm以下)のステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸モノグリセリドを添加したPC樹脂組成物においては、このPC樹脂の分解による分子量低下の有意差が認められる程度に粘度平均分子量を正確に測定することは難しい。しかし、粘度平均分子量が19000を超えるPC樹脂に、2000質量ppmを超える離型剤を添加したPC樹脂組成物を用いて射出成形した場合、離型剤の種類とその添加量の違いによる分子量低下の有意差を認めることができる。
【0006】
DVD−R基板の場合、その成形直後の帯電電位が−2000Vを超えると、有機色素をスピンコーティング等により塗布する場合、均一な塗布性が損なわれる。これは、成形機と色素スピンコーターの間に、静電気除去装置を設けることによってある程度改善することができる。
しかし、DVD−RAM基板やDVD−R基板の成形条件、すなわち、成形機のシリンダー温度が370℃、金型温度も110℃を超えるような条件においては、PC樹脂の溶融粘度が極めて低いために、金型のキャビティを構成する鏡面と外周リングとの合わせ面等から、バリが出易くなる。この種の微小なバリは、前ショットで成形された基板に発生したバリが、次ショットで成形される基板表面に付着したり内部に混入したりする。これらのバリは、ホワイトスポットと呼ばれる外観不良や、コメットと呼ばれる外観不良となり、光ディスクの生産歩留まりを下げる原因となる。
したがって、脂肪酸モノグリセリドの含有量150質量ppmが、離型性と帯電防止効果を両立させる下限となる。
【0007】
一方、脂肪酸モノグリセリドの過度な添加は、上記PC樹脂の分子量低下やPC樹脂の加水分解を招くこととなる。成形工程におけるPC樹脂の分子量低下により、PC由来の分解物が金型付着物となり、このため頻繁な金型清掃が必要となる。DVD−RAM基板用成形材料やDVD−R基板用成形材料においては、肪酸モノグリセリドの含有量の上限を350質量ppmとすることにより、過剰な脂肪酸モノグリセリドによって耐湿熱性が損なわれることがない。
上述した帯電防止性、バリによる歩留まり低下及び分子量低下、並びに加水分解は、PC樹脂の末端構造がフェノキシ基であるかp−クミルフェノキシ基及び/又はp−tert−ブチルフェノキシ基であるかの相違に起因するものではなく、離型剤の選定並びにその添加量に影響される。
しかし、DVD−R用等の成形用材料では、ステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸モノグリセリドを350質量ppm上限として添加するだけで十分な離型性が得られたが、ブルーレイディスク基板成形用材料やHD DVD基板成形用材料はより厳しいものとなる。十分な離型性を得るために、これらの成形材料における脂肪酸モノグリセリドの含有量を増加すると、過剰の脂肪酸モノグリセリドによって成形工程中にPC樹脂の分子量低下や加水分解が発生してしまう。
そこで、本発明者は、不足する離型性を補うべく、帯電防止効果は無いものの、離型性に優れ、かつ成形工程中にPC樹脂の分子量低下やPC樹脂の加水分解を抑制し得る離型剤であるPETSの特定量と、脂肪酸モノグリセリドの特定量を併用することにより、基板を射出成形により製造する工程において、コメットと呼ばれる外観不良が低減され、安定した歩留りを実現し得るブルーレイディスク基板用成形材料又はHD DVD基板用成形材料が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下のブルーレイディスク基板用成形材料及びHD DVD基板用成形材料、これらの成形材料の製造方法、これらの成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板及びHD DVD基板を提供するものである。
【0008】
1. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドを成形材料の全量基準で150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを成形材料の全量基準で10〜150質量ppm及び(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm含有してなるブルーレイディスク基板用成形材料。
2. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)が14000〜17000である上記1に記載のブルーレイディスク基板用成形材料。
3. (C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルが、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及び/又はペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルである上記1又は2に記載のブルーレイディスク基板用成形材料。
4. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(A)成分に対して、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリド170〜380質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル30〜180質量ppm、(D)酸化防止剤30〜120質量ppm及び(E)押出機中でのポリカーボネート樹脂の含水量が500〜1300質量ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000質量ppmを、(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、該ストランドを冷却した後、切断してペレット化することを特徴とするブルーレイディスク基板用成形材料の製造方法。
5. 上記1〜3のいずれかに記載の成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板。
【0009】
6. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドを成形材料の全量基準で150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを成形材料の全量基準で10〜150質量ppm及び(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm含有してなるエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
7. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)が14000〜17000である上記7に記載のエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
8. (C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルが、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及び/又はペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルである上記7又は8に記載のエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
9. (A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、該(A)成分に対して、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリド170〜380質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル30〜180質量ppm、(D)酸化防止剤30〜120質量ppm及び(E)押出機中でのポリカーボネート樹脂の含水量が500〜1300質量ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000質量ppmを、(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、該ストランドを冷却した後、切断してペレット化することを特徴とするエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料の製造方法。
10. 上記6〜8のいずれかに記載の成形材料を射出成形してなるエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブルーレイディスク基板やHD DVD基板を射出成形により製造する工程において、コメットと呼ばれる外観不良が低減され、安定した歩留りを実現し得るブルーレイディスク基板用成形材料及びHD DVD基板用成形材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料は、(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート(以下、PCと略記することもある。)樹脂、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドを成形材料の全量基準で150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを成形材料の全量基準で10〜150質量ppm及び(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm含有してなる。
本発明で用いる(A)成分のPC樹脂は、界面法により製造されたものであり、界面法は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液にホスゲンガスを注入し、クロロホーメート化合物とし、第三級アミン等の触媒の存在下、塩化メチレン等の溶媒との界面で縮合反応を進める方法である。本発明においては、芳香族ジヒドロキシ化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)を用いて製造したPC樹脂が好適に用いられる。ビスフェノールA以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0012】
本発明において、(A)成分として界面法で製造されたPC樹脂を用いる理由は、以下のとおりである。すなわち、エステル交換法で製造されたPC樹脂は、その末端基に起因して、界面法が製造されたPC樹脂よりもガラス転移温度が低い。このため、エステル交換法で製造されたPC樹脂を用いてCD(コンパクトディスク)やDVD等の光学情報媒体用の基板を製造する場合、成形サイクルが短くなる、或いは金型温度が高くなるにつれて、離型時に基板の変形がより発生し易くなるなどの不都合が生ずる。
また、エステル交換法で製造されたPC樹脂は、部分エステルとの反応性を有するため、このPC樹脂と部分エステルを含む樹脂組成物をペレット化した場合、ペレットにおける部分エステルの残存量が少なくなる傾向にある。エステル交換法で製造されたPC樹脂の末端基は、フェノキシ基が一般的であり、またフェノキシ基以外に約10〜20mol%程度が水酸基のままで残ってしまっているため、部分エステルとの反応性を有することとなる。従って、本発明においては、成形性(主として離型性)の観点から、界面法で製造されたPC樹脂を用いることを要する。
【0013】
本発明で用いる(A)成分のPC樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常14000〜17000程度(粘度数37.2〜44.1に相当)であり、好ましくは14500〜16000(粘度数38.3〜41.8に相当)、より好ましくは14900〜15600(粘度数39.2〜40.6に相当)である。なお、粘度平均分子量(Mv)は、ISO 1628−4(1999)に準拠して粘度数(VN)を測定し、Mv=430.4VN−2001.8により算出した値である。
【0014】
本発明で用いる(B)成分の炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドは、ブルーレイディスク基板用成形材料を射出成形する際の離型性、及び射出成形により得られたブルーレイディスク基板における帯電防止性を向上させるために用いる。炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドとしては、ステアリン酸モノグリセリド及びパルミチン酸モノグリセリドなどが挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ステアリン酸モノグリセリドが好ましい。
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料において、(B)成分の脂肪酸モノグリセリドの含有量は、この成形材料の全量基準で150〜350質量ppmであり、好ましくは
220〜320質量ppmである。(B)成分の含有量が150質量ppm以上であると、上記離型性や帯電防止性が十分なものとなり、また、350質量ppm以下であると、成形材料における十分な耐湿熱性が得られる。
【0015】
本発明で用いる(C)成分のペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルは、ブルーレイディスク基板用成形材料を射出成形する際の離型性を向上させるために用いる。ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルとしては、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステル及びペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステルなどが挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルが好ましい。
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料において、(C)成分のペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルの含有量は、この成形材料の全量基準で10〜150質量ppmであり、好ましくは80〜120質量ppmである。(C)成分の含有量が10質量ppm以上であると、上記離型性が十分なものとなり、また、150質量ppm以下であると、上記離型性と経済性のバランスが良好となる。
【0016】
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料においては、(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm、好ましくは40〜80質量ppm添加することにより、プロセス安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明で用いるフェノール系酸化防止剤としては、特に制限はないが、ヒンダードフェノール系が好適に用いられる。代表的な例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)−ヒドロシンナマミド]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト及びビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムなどが挙げられる。この中では、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好適に用いられる。
【0017】
本発明で用いるリン系酸化防止剤としては、特に制限はない。代表的な例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの他、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト、トリス(2−クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト、トリメチルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリオクチルホスフェイト、トリデシルホスフェイト、トリオクタデシルホスフェイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェイト、トリス(2−クロロエチル)ホスフェイト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホフェイト等のトリアルキルホスフェイト、トリシクロヘキシ−1−ホスフェイト等のトリシクロアルキルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、トリス(ノニルフェニル)ホスフェイト、2−エチルフェニルジフェニルホスフェイト等のトリアリールホスフェイトなどが挙げられる。この中では、トリアリールホスファイト及びトリアリールホスフェイトが好適に用いられる。
【0018】
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料の製造方法は、(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、この(A)成分に対して、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリド150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル10〜150質量ppm及び(E)押出機中でのポリカーボネート樹脂の含水量が500〜1300質量ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000質量ppmを(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、このストランドを冷却した後、切断してペレット化するという製造方法である。
これらの(A)、(B)、(C)及び(D)成分については、上述したとおりである。押出機としては、ベント付スクリュー押出機などを用いることができる。これらの成分をベント付スクリュー押出機に投入し、溶融押し出してペレットを製造する工程において、押出機に投入する直前の(A)成分のPC樹脂の含水量を測定し、押出機中でのPC樹脂の含水量が、通常500〜1300質量ppm(0.05〜0.13質量%)程度、好ましくは800〜1000質量ppmとなるように添加する水の量を調節する。この調節は、(A)成分に対して500〜1000質量ppm程度の水を、(A)成分と共に押出機に投入することにより行う。この水としては、最終製品である光ディスクの長期信頼性、すなわち、原料樹脂であるポリカーボネートの加水分解を引き起こす恐れの有る金属イオン、特にNaの様なアルカリ金属イオンや、高温でポリカーボネートの分解触媒となりえる金属イオン、特にFe系金属イオンを混入させないための品質管理の観点から、25℃における電伝導率が1μS/cm以下の純水を用いる。
(A)成分のPC樹脂の押出機中での水含水率を500〜1300質量ppm程度とすることにより、溶融押し出しに際して、脂肪酸モノグリセリドが変性してジグリセリドやトリグリセリドとなることがないので、離型性や帯電防止性の低下が抑制される。
【0019】
本発明は、上記ブルーレイディスク基板用成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板をも提供する。
以上、本発明のブルーレイディスク基板用成形材料、その製造方法及びブルーレイディスク基板について説明したが、本発明のHD DVD基板用成形材料、その製造方法及びHD DVD基板についても同様である。
【実施例】
【0020】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
界面法で製造されたPC樹脂(出光興産株式会社製、商品名 FN1500:粘度平均分子量15000)に対して、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ―tert―ブチルフェニル)ホスファイト(チバガイギー社製、商品名 イルガフォス168)それぞれを第1表に示す割合で配合し、溶融押出成形によりペレット化した。溶融押出成形の際に、25℃で測定した電気伝導率が0.6μS/cmの水を表に示す割合で添加した。成形前のペレット中の、ステアリン酸モノグリセリド等の含有率は、ガスクロマトグラフィー法にて定量した。
なお、(C)、(D)成分においても、添加量は(A)成分に対する量であり、ペレット中の残存量はペレット全量を基準とした量なので、ペレットにおけるペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル及びリン系酸化防止剤の残存量の割合は、実際には添加量とは異なるが、有効数字3桁程度では添加量と同じ数値となる。
得られたPC樹脂ペレットを、DVD−R基板用の金型を取り付けた光ディスク用成形機(住友重機械工業株式会社製、SD40ER)にて、シリンダー温度390℃、固定側金型温度116℃、可動側金型温度117℃の条件で成形し、直径12cmのDVD−R基板を作製した。DVD−R基板よりも成形条件の厳しいブルーレイディスク基板やHD DVD基板の成形条件に近づけるために、通常成形サイクルである4.5秒を短縮して4.0秒とした。得られた基板について、下記の方法で評価試験を行った。結果を第1表に示す。
【0021】
(1)PC樹脂の粘度数
ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した。
(2)成形直後の成形体の帯電電位測定
非接触型表面電位計(トレック・ジャパン製、モデル542−1)にて測定した。
(3)ラジアルチルト(Radial Tilt)及びタンジェンシャルチルト(Tangential Tilt)の測定
光ディスク評価装置(東菱アット株式会社製、T−7DE)にて測定した。ラジアルチルトはディスク基板の径方向反りを表すパラメータであり、タンジェンシャルチルトは、ディスク基板の周方向のディスク基板の反りを表すパラメータである。
(4)連続成形による金型付着試験
連続成形による金型付着は、基板を成形する前に、金型を分解清掃して組み立てた後、1万枚を連続成形し、特にスタンパの吸着ラインや、キャビティリング周り及びスタンパ裏面に、付着によると見られる曇りが認められるか否かを目視にて観察した。この観察は、外観検査装置(バスラー社製、BASLER S3)及び偏光板を通して行った。なお、偏光板を通して観察すると、クラウド(ディスクが面均一に離型しないことにより発生する基板表面の曇り、ミクロ的に見ればピットや案内溝のエッジがダレた状態)等も識別し易くなる。
(5)連続成形によるディスク外観評価試験
外観検査装置(バスラー社製、BASLER S3)及び偏光板を通して、目視にて観察した。
(6)傷欠陥検査による歩留まり
外観検査装置(バスラー社製、BASLER S3)欠陥を検査し、歩留まりを算出した。
(7)恒温恒湿試験
成形した基板に、スパッタリングによりAl膜を形成し、次いでUVコーティングを施した後、貼り合わせを行ったものと、スパッタリングや貼り合わせ等を一切しなかった基板を共に温度90℃、湿度90%RHの条件で100時間、恒温恒湿層に投入した後、偏光光学顕微鏡を用いて、加水分解による直径10μm以上の偏光欠陥の有無を目視にて観察した。この観察は、それぞれの基板5枚ずつ計10枚について行い、観察された偏光欠陥の個数の平均が、基板1枚あたり0〜0.1個の場合を合格、0.2個以上を不合格とした。
【0022】
実施例2〜8
各成分を第1表に示す割合で用い、実施例1と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
【0023】
比較例1
第1表に示すように、ペレット化の際に水を添加しないこと以外は実施例1と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、ステアリン酸モノグリセリドのペレット中の残存量が少なく、帯電電位の絶対値が大きく、バリ付着等静電気による外観不良が多い。また離型時の変形がやや大きくなり、その結果、チルトが若干大きくなることがわかる。
【0024】
比較例2
第1表に示すように、ペレット化の際に水を添加せず、PETSの添加量を70質量ppmとした以外は実施例2と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、ステアリン酸モノグリセリドの残存量が少なく、帯電電位の絶対値が大きく、バリ付着等静電気による外観不良が多いことがわかる。また、比較例1と比較してPETSの量も少ないため、さらにチルトが大きくなることがわかる。
【0025】
比較例3
第1表に示すように、ステアリン酸モノグリセリドの量を450質量ppmに増やしたこと以外は実施例1と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、ステアリン酸モノグリセリドが多いことに起因して連続成形時の金型への付着が僅かに見られることがわかる。また、離型剤が多いことによる恒温恒湿試験後の欠陥個数が多くなることがわかる。
【0026】
比較例4
第1表に示すように、ステアリン酸モノグリセリドの量を450質量ppmに増やしたこと以外は実施例2と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、ステアリン酸モノグリセリドが多いことによる連続成形時の金型への付着が僅かに見られることがわかる。また、比較例3よりもPETSの添加量が少ない分、恒温恒湿試験後の欠陥個数は少ないが、実施例よりも欠陥が多い。ことがわかる。
【0027】
比較例5
第1表に示すように、ペレット化の際に水を添加せず、PETSの添加量を140質量ppmとした以外は実施例3と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、ステアリン酸モノグリセリドの残存量が比較例1より更に少なく、帯電電位の絶対値が大きく、バリ付着等静電気による外観不良が多いことがわかる。また、離型変形によるチルトも大きくなることがわかる。
【0028】
比較例6
第1表に示すように、ペレット化の際に水を添加せず、PETSの添加量を70質量ppmとした以外は実施例4と同様にして基板を作製しようとしたが、比較例5よりもPETS量が少ないため、離型せず、基板を作製することはできなかった。
【0029】
比較例7
第1表に示すように、PETSを添加せず、ステアリン酸モノグリセリドの増量により離型性維持を試みたが、ステアリン酸モノグリセリドが多いことにより、連続成形時の金型への付着が僅かに見られた。また恒温恒湿試験後の欠陥個数が多くなった。
【0030】
比較例8
第1表に示すように、ステアリン酸モノグリセリドを添加せず、PETSを多量に添加することにより試みたが、帯電防止効果が得られず、バリ付着による白点が多かった。
【0031】
比較例9
第1表に示すように、PETSを300質量ppmに増量したこと以外実施例3と同様にして基板を作製し、同様の評価を行ったところ、恒温恒湿試験後の欠陥個数が僅かに多くなったことがわかる。
【0032】
比較例10
第1表に示すように、酸化防止剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして基板を作製したところ、成形時にディスクの黄変が見られた。
【0033】
比較例11
エステル交換法で得られたPC樹脂を含むコンパクトディスク基板用材料(旭美化成株式会社製、商品名PC−175)を用い、実施例と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、帯電電位の絶対値が大きく、バリ付着による白点が多い。なお、第1表における(C)、(D)成分の量は、添加量ではなくペレット中の含有量である。
【0034】
製造例1(エステル交換法PC樹脂の製造)
内容積1.4LのNi鋼製オートクレーブ(攪拌機付き)に、ビスフェノールA(BPA)228g(1.0mol)、ジフェニルカーボネート226.8g(1.06mol)、さらに触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)20質量%水溶液、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPH)40質量%水溶液を、それぞれTMAHが2.5×10-4モル/モルBPA、TBPHが1×10-5モル/モルBPAになるように仕込んだのち、窒素置換を5回行った。
混合物を180℃に加熱し、窒素雰囲気下で30分反応させた。次いで温度を除々に235℃に上昇させると同時に真空度を8.0kPa(60mmHg)まで上げて60分間反応させ、さらに温度を除々に270℃にすると同時に、真空度を1.3kPa(10mmHg)まで上げて120分反応させた。次いで、温度を270℃、真空度を0.13kPa(1mmHg)にし30分間反応させた後、真空度を0.07kPa(0.5mmHg)まで上げて更に30分間反応させた。反応終了後、窒素で反応器内を大気圧にもどし、内容物を取り出し粉砕し、ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの粘度数は50.4、全末端基中にしめるフェノール性水酸基末端の比率は21モル%であった。
【0035】
比較例12
第1表に示すように、製造例1で得られたエステル交換法PC樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして基板を作製し、同様の評価を行った。結果を第1表に示す。第1表から、本例では、帯電電位の絶対値が大きく、バリ付着による白点が多いことがわかる。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のブルーレイディスク基板用成形材料又はHD DVD基板用成形材料を用いると、コメットと呼ばれる外観不良が低減されたブルーレイディスク基板又はHD DVD基板を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドを成形材料の全量基準で150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを成形材料の全量基準で10〜150質量ppm及び(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm含有してなるブルーレイディスク基板用成形材料。
【請求項2】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)が14000〜17000である請求項1に記載のブルーレイディスク基板用成形材料。
【請求項3】
(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルが、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及び/又はペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルである請求項1又は2に記載のブルーレイディスク基板用成形材料。
【請求項4】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(A)成分に対して、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリド170〜380質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル30〜180質量ppm、(D)酸化防止剤30〜120質量ppm及び(E)押出機中でのポリカーボネート樹脂の含水量が500〜1300質量ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000質量ppmを、(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、該ストランドを冷却した後、切断してペレット化することを特徴とするブルーレイディスク基板用成形材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の成形材料を射出成形してなるブルーレイディスク基板。
【請求項6】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリドを成形材料の全量基準で150〜350質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルを成形材料の全量基準で10〜150質量ppm及び(D)酸化防止剤を成形材料の全量基準で30〜120質量ppm含有してなるエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
【請求項7】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)が14000〜17000である請求項7に記載のエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
【請求項8】
(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステルが、ペンタエリスリトールパルミチン酸フルエステル及び/又はペンタエリスリトールステアリン酸フルエステルである請求項7又は8に記載のエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料。
【請求項9】
(A)界面法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、該(A)成分に対して、(B)炭素数14〜30の脂肪酸モノグリセリド170〜380質量ppm、(C)ペンタエリスリトール脂肪酸フルエステル30〜180質量ppm、(D)酸化防止剤30〜120質量ppm及び(E)押出機中でのポリカーボネート樹脂の含水量が500〜1300質量ppmに調節されるように、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水500〜1000質量ppmを、(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と共に押出機に投入し、溶融押し出し成形してストランドを製造し、該ストランドを冷却した後、切断してペレット化することを特徴とするエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板用成形材料の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれかに記載の成形材料を射出成形してなるエイチ・ディー・デジタルバーサタイルディスク基板。

【公開番号】特開2007−242126(P2007−242126A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61665(P2006−61665)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】