説明

ブレーキマスタシリンダおよびブレーキマスタシリンダを作動させるための方法

本発明は、総ブレーキ装置、すなわち、従来部分とは別の部分、例えば回生部分とからなるブレーキ装置の一部としてブレーキ液の容積変位を可能とする方法および装置に関する。本発明による方法および本発明による装置は、特にブレーキ装置の液圧部分における圧力比が制御可能なブレーキブースタによって、ブレーキ装置の別の部分の付加的なブレーキ作用の変化に適合される場合に使用される。したがって、異なるブレーキシステムのブレーキ作用の混合により、総ブレーキ作用における個々のブレーキシステムの割合が変化しても一定の総ブレーキ作用が得られる。ブレーキブースタによるこのような圧力調整には、多くの場合、ブレーキペダルへの反作用、特にブレーキペダルの変位が伴う。少なくとも1つの液圧ブレーキ回路、補償チャンバおよびブレーキペダルの入力チャンバまたは液圧アキュムレータ間におけるブレーキ液の容積交換により、運転手がブレーキペダルでペダルの位置変化に基づいて行うのではなく、不快に感じることなしに圧力調整が行われる。本方法は、例えば、電気機械を発電のための発電機として作動することによりブレーキ遅延が誘起され、付加的に別のブレーキシステムとして従来の液圧ブレーキシステムまたはバックアックブレーキシステムを備える車両で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両の液圧ブレーキシステムでは、多くの場合、運転手によりブレーキペダルが操作され、必要に応じてブレーキブースタの支援により、出口に液圧装置を接続したブレーキマスタシリンダ内でピストンを機械的に変位する。これにより、ブレーキ液が液圧装置(例えばESPまたはABS)に供給され、ホイールブレーキシリンダに案内される。そこで、供給された容積(所定容積のブレーキ液)はブレーキ圧を高め、ブレーキディスクにブレーキパッドを圧着することによりブレーキ作用をもたらす。
【背景技術】
【0002】
車両を駆動するための電動モータが設けられた車両では、電動モータは、駆動装置として使用されない走行状態では、例えばバッテリを充電するために発電機として使用される。発電機としての電動モータの作動はブレーキ作用をもたらし、この場合、車両の運動エネルギーが電気エネルギーに変換される。これを回生ブレーキという。制動時に得られたエネルギーは後の時点で再び他の形式で、例えば車両を駆動するために用いることができる。
【0003】
発電機が制動のために貢献する発電機トルクは、一般に車両の走行速度に依存しており、したがって、制動時または発電機により生成されるブレーキ作用が十分でない場合には変化する。この変化する発電機トルクを補償するために、または発電機トルクを補足するために回生ブレーキシステムと液圧ブレーキシステムとを総ブレーキシステムとして組み合わせることができる。
【0004】
運転手により、例えばブレーキペダル操作によって所望の総ブレーキトルクが規定された場合、例えば、運転手が望んだ総ブレーキトルクと比較して発電機トルクが小さすぎる場合、液圧ブレーキシステムにおける圧力上昇により、液圧ブレーキシステムによって総ブレーキトルクと発電機ブレーキトルクとの間の差を埋め合わせることができる。例えば、液圧ブレーキシステムにおいてブレーキブースタの作用を変更することにより圧力を変更した場合、従来のブレーキシステムでは、大抵はブレーキペダルの操作距離の変化が生じ、これは運転手にとって苛立たしいものである。
【0005】
それ故、運転手のためにペダル感覚を生成するためにブレーキペダルはペダル距離シミュレータに接続され、ブレーキペダルはブレーキシステムから完全に分離され、液圧ブレーキシステムにおける圧力形成は純粋に外力、例えばアキュムレータにより生じる。しかしながら、このことは、外力の故障時にブレーキペダルとホイールブレーキとの間に機械的な連結がもはや得られないか、またはブレーキペダルの余裕距離の克服後にはじめて機械的な連結が得られ、したがって、運転手のみによる緊急操作の可能性はないか、または運転手にとって苛立たしい目立った反作用なしには緊急操作の可能性がないという危険性を孕んでいる。
【0006】
国際公開第2004/101308号では、液圧ブレーキシステムを回生ブレーキシステムと共に作動し、この場合に高いブレーキ快適性を達成するために、どのようにして液圧ブレーキシステムの圧力比を変更することができるかが記載されている。このために、この刊行物においては、ブレーキ媒体の容積が低圧アキュムレータ内に放出される。この低圧アキュムレータから、ポンプの操作により再びブレーキ媒体の容積を液圧ブレーキ回路に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/101308号
【発明の概要】
【0008】
本発明の核は、請求項1の特徴を有する本発明によるブレーキマスタシリンダを液圧ブレーキスステムのために設け、本発明による方法により、総ブレーキ作用における液圧ブレーキシステムの割合の変化に基づくブレーキペダルのペダル距離変化に抗した作用を及ぼし、これにより、ブレーキペダルへの苛立たしい反作用が防止される液圧ブレーキシステムを作動することである。
【0009】
このために、ブレーキマスタシリンダは、第1横断面を有する第1シリンダおよび少なくとも2つのピストンを備える第1ピストン・シリンダ装置と、第2横断面を有する第2シリンダおよび少なくとも2つのピストンを備える第2ピストン・シリンダ装置とからなり、第1横断面は第2横断面とは等しくない。第1シリンダは第1ピストンと共に、従来のブレーキマスタシリンダと比較して付加的なチャンバを形成している。このチャンバは、補償チャンバとして使用される。
【0010】
有利には、ブレーキマスタシリンダは、補償チャンバから出発して第1液圧接続部により容積収容ユニットに接続されており、第2シリンダから出発して他の液圧接続部に接続されており、これらの液圧接続部は、それぞれ接続されたブレーキ回路に通じている。さらに、第1液圧接続部を他の液圧接続部の少なくとも1つ、ひいては少なくとも1つのブレーキ回路に接続する少なくとも1つの第2液圧接続部が設けられている。
【0011】
有利な構成では、ブレーキマスタシリンダは第1ピストン・シリンダ装置、すなわち、補償チャンバを介して容積収容ユニットおよび液圧ブレーキ装置に、それぞれ遮断可能に液圧接続している。液圧接続部を遮断する目的で、それぞれの制御可能な遮断手段が設けられており、これら遮断手段の制御により液圧接続部を遮断することができる。
【0012】
ブレーキマスタシリンダを作動するための本発明による方法は総ブレーキ装置で使用され、総ブレーキ装置は液圧ブレーキシステムならびに液圧ブレーキシステムの他に別のブレーキシステムを備える。
【0013】
ブレーキマスタシリンダは、第1ピストン・シリンダ装置内にブレーキ液容積を収容するか、または第1ピストン・シリンダ装置からブレーキ液容積を放出する。特にブレーキマスタシリンダはブレーキ液容積を第2ピストン・シリンダ装置から放出する。容積収容または容積放出は、別のブレーキシステムの作動状態に依存して行われる。
【0014】
本発明による方法では、液圧ブレーキシステムは、運転手により加えられた操作力を、所定の支援力だけ増幅する制御可能なブレーキブースタを備え、総ブレーキ装置は操作要素を備え、操作要素は、ばね力を吸収するための入力ロッドを備える。さらに、ブレーキブースタは、別のブレーキシステムに基づいてブレーキトルクが増大した場合に作用が低減され、および/または別のブレーキシステムに基づいてブレーキトルクが減少した場合に作用が高められ、これにより、総ブレーキ装置により加えられる総ブレーキトルクが実質的に一定となるように作動される。さらに、ブレーキマスタシリンダは、少なくとも1つの他の液圧接続部からの、および/または少なくとも1つの他の液圧接続部への、または容積収容ユニットからの、および/または容積収容ユニットへの容積収容および/または容積放出により、操作要素および/または入力ロッドの位置変化に反作用し、操作要素および/または入力ロッドの位置変化は、ブレーキブースタによって加えられた支援力の変化およびこれにより生じるブレーキシステムの容積収容率の変化によって引き起こされる。特に操作要素および/または入力ロッドの位置変化は、完全に、または少なくとも部分的に補償される。これにより、運転手は、操作要素の変位に気付かないか、またはわずかな変位のみに気付き、支援力の変化にもわずかにのみ気付くか、または全く気付かない。
【0015】
液圧ブレーキシステムは、液圧ブレーキシステムの他に別のブレーキシステムを備える総ブレーキ装置の部分である。本方法の第1実施形態では、別のブレーキシステムの作動状態に依存して第1および第2液圧接続部の少なくともいずれか一方を接続することによりブレーキ液の容積が第1ピストン・シリンダ装置から容積収容ユニット内に、特に自動的に供給されるか、または少なくとも1つの他の液圧接続部から第1ピストン・シリンダ装置内に、特に自動的に収容される。このように、容積収容ユニット、第1ピストン・シリンダ装置の補償チャンバおよび液圧ブレーキ回路の間でブレーキ液容積を交換することができる。
【0016】
本発明による方法では、別のブレーキシステムの作動状態は、別のブレーキシステムによる総ブレーキ作用に対する貢献度の変化によって表される。
【0017】
本方法の第1実施形態では、第1横断面が第2横断面よりも大きい場合に、別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に少なくとも1つの他の液圧接続部のからブレーキマスタシリンダの補償チャンバ内への容積の収容が行われ、別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に補償チャンバから容積収容ユニット内への容積の放出が行われる。
【0018】
これに対して、第1横断面が第2横断面よりも小さい場合に、付加的なブレーキシステムの貢献度が増大した場合、補償チャンバから、接続されたブレーキ回路内または第2ピストン・シリンダ装置内への容積の放出が行われる。
【0019】
これに対して、別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合、第2ピストン・シリンダ装置または接続されたブレーキ回路から容積収容ユニット内への容積の放出が行われる。
【0020】
代替的な実施形態では、容積収容ユニットまたは液圧ブレーキシステムとの液圧接続部のいずれか1つを接続することにより、ブレーキ液容積が別のブレーキシステムの作動状態に依存して、容積収容ユニットまたは液圧ブレーキシステムから第1ピストン・シリンダ装置に、特に自動的に供給される。
【0021】
本方法の代替的な実施形態では、第1横断面が第2横断面よりも大きい場合に、別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に容積収容ユニットから補償チャンバ内への容積の収容が行われ、別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に液圧ブレーキシステムから補償チャンバ内への容積の収容が行われる。
【0022】
これに対して、第1横断面が第2横断面よりも小さい場合には、別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に補償チャンバから接続されたブレーキ回路または第2ピストン・シリンダ装置内への容積の放出が行われ、別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に容積収容ユニット(401)から補償チャンバ内への容積の収容が行われる。
【0023】
上記実施形態では、補償チャンバを介したブレーキ液容積の収容および/または放出は、第1遮断手段および/または第2遮断手段の制御により制御される。したがって、遮断弁の制御により、補償チャンバが液圧ブレーキ回路および第2ピストン・シリンダ装置に液圧接続されているか、または容積収容ユニットに液圧接続されているか、および容積をそこから取り込むか、または必要に応じてそこに放出するかを選択することができる。
【0024】
本方法の有利な構成では、容積収容ユニットは総ブレーキ装置のための操作要素内に組み込まれた、以下では入力チャンバと呼ぶピストン・シリンダ装置である。
【0025】
本発明の代替的な実施形態では、容積収容ユニットは、少なくとも1つのピストン(403)と、少なくとも1つのシリンダ(402)と、少なくとも1つの弾性要素(404)、特に上昇した圧力下に容積を蓄積できるばねを備える液圧アキュムレータユニットである。
【0026】
本発明による方法では、液圧アキュムレータユニットは、制御可能なブレーキブースタの操作によりあらかじめ充填することができる。このようにして、液圧アキュムレータユニット内の圧力レベル、ひいては補償チャンバがブレーキ液容積を自動的に収容できる圧力レベルが引き上げられる。
【0027】
本発明による方法は、容積搬送が制御可能な遮断装置の制御により、特に自動的に行われるので、第1および第2ピストン・シリンダ装置および入力チャンバの横断面ならびに液圧アキュムレータユニット内に提供される圧力は、接続された回路内または補償チャンバ内に提供された圧力に関して決定され、補償チャンバ内への、および/または補償チャンバからのブレーキ液容積の収容および/または放出、特に自動的な収容および/または放出、または特に第2ピストン・シリンダ装置からの容積の放出が、構造に基づいた限界内で可能となる。
【0028】
本発明によるブレーキマスタシリンダの作動により引き起こされる操作要素および/または入力ロッドの位置変化の大きさは、第1ピストン・シリンダ装置、第2ピストン・シリンダ装置および容積収容ユニットの横断面に依存している。さらに操作要素および/または入力ロッドの位置変化補償の大きさは、それぞれの遮断手段の制御によって、構造に基づいた限界内で、例えば遮断手段の開放時間に基づいて制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ペダルに組み込まれた入力チャンバと接続した第2ピストン・シリンダ装置の横断面よりも大きい横断面を備える補償チャンバを有するブレーキマスタシリンダを示す図である。
【図2】発電機トルクが加えられた場合に補償チャンバを有するブレーキマスタシリンダを作動するための方法を示す図である。
【図3】発電機トルクが加えられていない場合に補償チャンバを有するブレーキマスタシリンダを作動するための方法を示す図である。
【図4】液圧アキュムレータと接続された第2ピストン・シリンダ装置の横断面よりも大きい横断面を備える補償チャンバを有するブレーキマスタシリンダを示す図である。
【図5】第2ピストン・シリンダ装置の横断面よりも小さい横断面を備える補償チャンバを有するマスタシリンダの代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい一実施形態では、従来の液圧部分(例えば、ESP、ABS構成要素を含む)と、付加的部分とからなる総ブレーキ装置から出発する。例示的に、総ブレーキ装置のブレーキ作用に対する付加的部分の貢献が回生ブレーキシステムによりもたらされ、発電機トルクにより生成されると仮定する。ブレーキシステムの従来部分は操作装置114からなり、操作装置114を介して運転手力102をブレーキシステムに加えることができる。運転手力は、連結要素115において、例えば、制御可能なブレーキブースタから出発した支援装置101と組み合わせることができる。制御可能なブレーキブースタは、電気式に切換可能な弁を有する電気機械式の制御可能な真空ブレーキブースタであってもよいが、他の実施形態ももちろん可能である。従来の液圧ブレーキシステムでは、連結要素115は、運転手力102および支援力101の総和を、必要に応じてピストンロッドを介してブレーキマスタシリンダの入力ピストンに伝達する。これにより生じる入力ピストン、ならびに必要に応じて第2ピストンの変位により、ブレーキ液容積は接続されたブレーキ回路内で移動され、ブレーキ回路に接続されたホイールブレーキシリンダにおいて、圧力形成、および最終的にはホイールブレーキによるブレーキ作用をもたらす。場合によっては、ESP/ABS還流システムによる弁装置をホイールブレーキとブレーキマスタシリンダとの間にブレーキ圧調整のために配置してもよい。
【0031】
本発明の核は、発電機トルクによって生成された回生ブレーキシステムのブレーキ作用と運転手力102および支援力101によって生成された液圧ブレーキシステムのブレーキ作用とを総ブレーキ作用として組み合わせることである。総ブレーキ作用に対する回生ブレーキシステムの貢献度が変化した場合、制御可能なブレーキブースタの操作により圧力調整を行うことができ、これにより、液圧ブレーキシステムのブレーキ作用を調整することができる。回生ブレーキシステムのブレーキ作用が減少した場合、制御可能なブレーキブースタの支援力101は増大され、回生ブレーキシステムのブレーキ作用が増大した場合、ブレーキブースタの支援力101は低減される。ブレーキブースタにより液圧ブレーキシステム内の圧力比が変更されることにより、ブレーキ液容積はブレーキマスタシリンダ内に還流することができるか、またはブレーキマスタシリンダから押し出されるので、これにより、操作装置114の位置、すなわち、液圧ブレーキシステムの反作用が変化する。これに対して、回生ブレーキシステムと液圧ブレーキシステムからなる総ブレーキ作用は一定に保持される。運転手にとって慣れたペダル位置を再現するために、またはペダル位置の変化に少なくとも部分的に反作用させるために、本発明による装置として、2つのピストン・シリンダ装置からなるブレーキマスタシリンダが使用される。
【0032】
第1のピストン・シリンダ装置は、1つのシリンダ105ならびに2つのピストン106aおよび106bを備え、ピストン106bは連結要素115と機械的に結合しており、連結要素115を介してピストン106bに運転手力102および支援力101を負荷することができる。シリンダ105は第1の横断面A1を備え、第2のピストン・シリンダユニットと構造的に結合している。第2のピストン・シリンダユニットは2つのピストン108aおよび108bを備え、ピストン108bはピストン106aと堅固に機械的に結合している。ピストン108a,bは、シリンダ107に含まれている。シリンダ107はシリンダ105よりも小さい横断面A2を有する。
【0033】
2つのピストン108a,108bおよびシリンダ107は主にタンデム式ブレーキマスタシリンダとして既知であり、従来の液圧ブレーキシステムの場合のように2つの液圧ブレーキ回路を作動するために設けられている。本発明による装置においても、シリンダ107ならびにそれぞれピストン108aおよび108bによって形成された2つのチャンバには液圧ライン111aおよび111bが接続されている。液圧ラインは、液圧ブレーキ回路に通じており、必要に応じて間に配置されたESP/ABS還流システムの液圧ユニットを介して、ブレーキ回路に接続された少なくとも1つのホイールブレーキに通じている。
【0034】
シリンダ105は、ピストン106aおよび106bと共に同様に1つのチャンバを形成している。以下ではこのチャンバを補償チャンバ120と呼ぶ。補償チャンバ120には液圧ラインが接続されており、この液圧ラインは別の2つの液圧ライン109および110に分岐している。ライン110を介して、補償チャンバ120は液圧ライン111b、ひいては少なくとも1つの接続されたブレーキ回路ならびに第2ピストン・シリンダ装置におけるシリンダ105に向いたチャンバに液圧接続している。液圧ライン110は制御可能な弁113によって遮断可能である。
【0035】
同様に弁112によって分岐部後方で遮断することができる別の液圧ライン109が、第3ピストン・シリンダ装置104に液圧接続している。第3ピストン・シリンダ装置104はシリンダ116およびピストン117を備える。ピストン117には入力ロッド118を介してばね力102を加えることができ、ピストン117は入力ロッド118に力を伝達することができる。シリンダ116およびピストン117によって形成されたチャンバを以下では入力チャンバ119と呼ぶ。入力チャンバ119は横断面A3を有する。第3ピストン・シリンダ装置は、構造的に操作装置114の内部に組み込まれている。制御可能な弁112,113および以下にさらに定義する制御可能な弁405は、制御装置によって制御されるが、この制御装置は図示しない。有利には、これは付加的に弁の制御を引き受けるブレーキブースタの制御装置である。
【0036】
総ブレーキ装置の典型的な2つの作動状態に基づき本発明による方法を説明する。
【0037】
第1作動状態では、運転手は液圧ブレーキシステムのみによって制動し、次いで回生ブレーキシステムの発電機トルクがさらに加えられるか、または増大する。この作動状態は図2に示されている。図1に全ての参照符号を既に付したので、図2および図3にはこれらを新たに付さない。
【0038】
図2aでは、ブレーキマスタシリンダ103が非作動状態に位置し、ばね力102および支援力101は連結要素115に加えられていない。
【0039】
図2bには、運転手が液圧ブレーキシステムのみによって制動する状態が示されている。連結要素には、運転手力102および支援力101が負荷される。連結要素115と第1ピストン・シリンダ装置のピストン106bとの機械的結合により力がピストン106bに伝達される。これにより、シリンダ105の内部のピストン106b、およびこれと共に、ブレーキ液容積およびピストン106aが第2ピストン・シリンダ装置の方向に変位される。
【0040】
この場合、調整可能な弁112および113は両方とも閉じられている。ピストン106aとピストン108bとの機械的結合により、ピストン108bおよびシリンダ107の内部のブレーキ液容積が変位される。これにより、ピストン108aの変位およびブレーキ液のさらなる変位が生じる。このようなブレーキ液の変位は、液圧ライン111aおよび111bを介して、ブレーキマスタシリンダ103に接続されたブレーキ回路に到達し、そこでホイールブレーキシリンダ内における圧力形成、ひいてはブレーキ作用をもたらす。
【0041】
図2cでは、発電機の駆動により生成されるブレーキ作用が加えられる。操作要素114の位置に応じて一定の遅延を確保するために、支援力101の大きさが制御可能なブレーキブースタにより低減される。
【0042】
このような支援力101の低減により、ブレーキマスタシリンダ内のブレーキ液が還流し、ピストン106a,bおよび108a,b、さらに操作要素114も操作方向に抗して変位される。
【0043】
操作要素の変位による運転手にとって苛立たしいこのような反作用には、本発明によれば弁113の調整により対抗することができる。
【0044】
このために、図2では弁113が開かれ、ブレーキ液容積がブレーキ回路から液圧ライン111bおよび110を介して補償チャンバ120に還流する。このブレーキ液の流れは、ブレーキ回路、第2ピストン・シリンダ装置および補償チャンバ120における異なる圧力レベルにより生じる。この場合、弁112は閉じられた状態に保持される。
【0045】
典型的なブレーキマスタシリンダでは、横断面A2の直径は22.56mmであり、これは、入力を200Nと仮定した場合、約5barの圧力をもたらす。例えば、100Nの運転手力102がブレーキブースタによる500Nの支援力101だけ補足された場合、生じた600Nの力は、第2ピストン・シリンダ装置が22.54mmの直径を有する横断面A2を備えている場合、第2ピストン・シリンダ装置では15barの圧力が得られる。補償チャンバ120の横断面A1が第2ピストン・シリンダ装置の横断面A1の半分の大きさであると仮定した場合、補償チャンバには7.5barの圧力が形成される。したがって、弁113が開かれた場合、ブレーキ液容積は差圧に基づき第1ブレーキ回路から補償チャンバに流入する。
【0046】
容積がブレーキ回路から補償チャンバに流入した場合、図2cのピストン108bは距離dsだけ左方に移動し、ピストン108bと堅固に結合されたピストン106aも同様に移動し、ピストン106bもこれに追従する。しかしながら、補償チャンバ内に収容された容積は、距離ds/2だけピストン106aおよび106bの間隔変化をもたらす。したがって、ピストン106bは-ds+ds/2=-ds/2だけ左方に移動する。
【0047】
この相対移動は、支援力の低下によるブレーキ回路からのブレーキ液の還流により生じるピストン108b,106aおよび106bの変位を補償する。距離ds/2がピストン108b,106aおよび106bであらかじめ行われた変位にちょうど相当するようにブレーキ液容積を調節した場合、操作装置114は全体としてもはや移動しない。
【0048】
このようにして補償された操作装置の距離の値は、横断面の比率に基づいて、および弁113の制御または調整によって調節することができる。
【0049】
第2作動状態では、運転手は液圧ブレーキシステムと回生ブレーキシステムとの組み合わせで制動し、この場合、回生ブレーキシステムの発電機トルクはいま停止されるか、または低下する。第2作動状態が図3に示されている。図3aは図2dの状態に対応しており、運転手は2つの関連ブレーキシステムを組み合わせて制動する。いま停止された、または低下した発電機トルクによるブレーキ作用対する貢献度を補償するためには、図3bに示すように、ブレーキブースタの支援力101が高められ、ピストン106a,bおよび108a,bの変位によりブレーキ液容積は接続されたブレーキ回路内に変位され、接続されたホイールブレーキシリンダ内で得られた圧力上昇は液圧ブレーキシステムのブレーキ作用の増大をもたらす。これにより、操作要素114は同様に操作方向に変位される。
【0050】
このペダル変位を補償するためにいま弁112が開かれ、ブレーキ液容積は補償チャンバ120から液圧ライン109を介して入力チャンバ119に到達する。補償チャンバ120における操作要素114に向いたピストン106bは左方に移動したのにもかかわらず、入力チャンバによる容積収容に基づいて、入力ロッド118、ひいてはペダルはブレーキ力増幅のための操作方向とは反対に移動する。
【0051】
ここでも異なる圧力レベルは異なる役割を果たす。第2ピストン・シリンダ装置およびブレーキシステムの圧力は、pであり、運転手力102FFAHRERおよび第2ピストン・シリンダ装置107,108a,bの横断面Aから生じ、
【0052】
【数1】

【0053】
となり、gはブレーキブースタの増幅率である。
【0054】
第1作動モードで既に説明したように、補償チャンバ120の圧力pは、2倍の大きさの横断面Aに基づいて、第2ピストン・シリンダ装置107,108a,bの圧力pの半分である。
【0055】
【数2】

【0056】
入力チャンバの圧力Pは、
【0057】
【数3】

【0058】
となり、FFAHRERは運転手力102に相当し、Aは入力チャンバの横断面である。2番目の等号は、入力チャンバの横断面Aが第2ピストン・シリンダ装置の横断面Aに等しいと仮定した場合に有効である。等式1,2および3を組み合わせた場合、入力チャンバの圧力pと第2ピストン・シリンダ装置の圧力pとの間の相関関係について:
【0059】
【数4】

【0060】
が成り立つ。補償チャンバ120から入力チャンバ119へブレーキ液容積を自動的に搬送するためには、圧力pは圧力pよりも大きい必要がある。これは、増幅率g>1の場合に得られる。この条件は、関連する横断面に著しく依存しており、横断面によって調節することができる。
【0061】
入力ロッド118を介した距離補償のこのような形式では、補償チャンバ120と入力チャンバ119との間で交換される容積は、それぞれに関係した横断面および弁112の制御または調整によりあらかじめ規定するか、または調節することもできる。
【0062】
本発明の代替的な実施形態では、補償チャンバ120が入力チャンバ119にではなく、液圧アキュムレータ401に接続されている。図4で使用される要素が図1で使用される要素と同一である場合には、新たに符号を付さない。
【0063】
液圧アキュムレータは、ピストン403、シリンダ402および弾性要素、特にばね404からなる。同様に、ダイアフラム型アキュムレータおよび/または金属ベローズ型アキュムレータならびにアキュムレータ機能を有する他のあらゆる容量収容ユニットの形態の液圧アキュムレータ装置も可能である。
【0064】
液圧アキュムレータ401と補償チャンバ120との間の液圧接続は、図1のライン109および弁112に類似して、弁405によって遮断することができる液圧ラインを介して行われる。付加的に、液圧アキュムレータ401は、図1のライン110および弁113に類似して、ここでも弁によって遮断することのできる液圧ラインを介して少なくとも1つの接続されたブレーキ回路に液圧接続されている。
【0065】
アキュムレータは、ブレーキブースタの操作によってあらかじめ充填することができる。このために、ブレーキマスタシリンダから、ブレーキ回路に接続されたホイールブレーキへの液圧接続が弁(図示しない)によって遮断される。この弁は、例えば、ESPまたはABS液圧ユニットの流入弁であってもよい。液圧接続が遮断された場合、ブレーキブースタを操作し、ブレーキ作用が生じることなしに、ブレーキマスタシリンダを介してブレーキ液容積を液圧アキュムレータ401に供給することができる。一般に、運転手が制動しない状態であらかじめ充填が行われる。
【0066】
同様に、液圧アキュムレータは、場合によっては液圧ブレーキシステムに組み込まれている他の容積圧送ユニット、例えば、ESP装置の液圧ポンプによってあらかじめ充填してもよい。
【0067】
さらにアキュムレータおよびブレーキシステム内に提供された圧力比が許せば、液圧アキュムレータはブレーキ回路からのブレーキ液容積の放出によりあらかじめ充填される。このプロセスは、発電機トルクの上昇時に総ブレーキ作用に対するブレーキブースタの割合が減少することにより引き起こされるペダル変位を補償するために行うか、またはブレーキシステム内の圧力をいずれにせよ減衰することが望ましい場合に制動終了時に行うことができる。2つの代替的な可能性では液圧ブレーキシステムにおける弁の位置および弁の位置決めは、アキュムレータがどのようにしてあらかじめ充填されるのかに応じて調整し、考慮すべきである。
【0068】
液圧アキュムレータへの容積の供給により弾性要素404が圧縮され、これによりエネルギーを蓄積する。ブレーキ液容積は、弁405の閉鎖により液圧アキュムレータ401に蓄積される。あらかじめ充填した後、ブレーキブースタをもとに戻すことができる。これにより、蓄積された容積は液圧ブレーキシステムの他部分よりも高い圧力レベルにある。本発明による装置のこの実施形態では、例えば、発電機トルクが低下し、一定のブレーキ作用を生成するためにブレーキブースタにより支援力101が高められた場合、ブレーキ液容積はアキュムレータ401から補償チャンバ120に、またはライン111bを介して、接続されたブレーキ回路もしくは第2ピストン・シリンダ装置に放出することができる。このために、弁405および406は対応して設定される。あらかじめの充填により、液圧アキュムレータ内のブレーキ液容積は、既に述べたように高められた圧力レベルにあり、したがって、有利にはポンプを使用することなしに簡単な弁の調節により放出することができる。
【0069】
さらに、図1の実施形態に類似して、発電機トルクの上昇時に総ブレーキ作用に対するブレーキブースタの割合の減少により引き起こされるペダル変位に反作用させることができ、この場合、少なくとも1つの接続されたブレーキ回路、または第2ピストン・シリンダ装置から、横断面に基づきより小さい圧力が形成された補償チャンバ120に容積が放出される。
【0070】
本発明によるブレーキマスタシリンダの代替的な実施形態501を図5に示す。符号は省略する。ブレーキマスタシリンダのこの実施形態は、第1ピストン・シリンダ装置の横断面が第2ピストン・シリンダ装置の横断面よりも小さい点で図1の実施形態103とは異なる。
【0071】
この実施形態でも本発明による方法を用いることができる。入力チャンバ119を有する容積収容ユニット104および液圧アキュムレータ401と共に、ブレーキブースタによるブレーキ作用の調整後に距離を補償するためにブレーキマスタシリンダ501を使用することができる。既に述べた方法の実施形態と比較して、ブレーキマスタシリンダからの容積収容もしくは容積放出は、ブレーキブースタの作用の増大もしくは減少後に、別の作動システムの変化するブレーキ作用を補償するために調整する必要がある。
【0072】
ブレーキマスタシリンダが入力チャンバ119に接続されると、別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に少なくとも1つの他の液圧接続部111a,b、すなわち、接続されたブレーキ回路または第2ピストン・シリンダ装置107,108a,bに第1ピストン・シリンダ装置105からの容積の放出が行われ、および/またはブレーキシステムの貢献度が減少した場合に第2ピストン・シリンダ装置107.108a,bまたは接続されたブレーキ回路から入力チャンバ119への容積の放出が行われる。
【0073】
ブレーキ作用に対する別のブレーキシステムの貢献度が減少する後者の場合、入力チャンバの横断面A3は第2ピストン・シリンダ装置107,108,a,bの横断面A2よりも小さくなければならない。
【0074】
ブレーキマスタシリンダが液圧アキュムレータ401に接続されると、別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に他の液圧接続部111a,bのいずれかで第1ピストン・シリンダ装置105からの容積の放出が行われ、および/または別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に第1ピストン・ブレーキ装置105,106a,bへの容積の収容が行われる。
【0075】
全ての実施形態について重要な点は、液圧ブレーキシステムを従来の形式で容積補償なしに作動する可能性である。このために、補償チャンバ120ならびに入力チャンバ119、液圧アキュムレータ装置401または液圧ブレーキシステムの間で容積補償が不可能となるように、液圧接続部109および110を遮断することができる。ブレーキペダルがペダルシミュレータのみに連結されており、もはや液圧ブレーキシステムに連結されていないブレーキ装置とは反対に、本発明は、依然としてブレーキペダルと液圧ブレーキシステムとが連結されているという利点を有し、これにより、例えば欠陥により支援力がもはや使用できない故障状態のためのフォールバックプランを提供する。したがって、緊急時には運転手力のみによって制動を行うことができる。付加的に、ブレーキペダルと液圧ブレーキシステムとの連結が保持されていることにより、必要に応じて人工的なペダル感覚が回避される。
【0076】
要約すると、本発明は総ブレーキ装置、すなわち、従来部分と他の、例えば回生部分とからなるブレーキ装置の一部によりブレーキ液の容積変位を可能とする方法および装置を記載しているといえる。本発明による方法および本発明による装置は、特にブレーキ装置の液圧部分における圧力比が制御可能なブレーキブースタによりブレーキ装置の他の部分の付加的なブレーキ作用の変更に合わせて調整される場合に使用される。したがって、異なるブレーキシステムのブレーキ装置の混合により、総ブレーキ作用における個々のブレーキシステムの割合が変化しても一定の総ブレーキ作用が得られる。ブレーキブースタによるこのような圧力調整は、多くの場合、ブレーキペダルへの反作用、特にブレーキペダルの変位に伴う。少なくとも1つの液圧ブレーキ回路、補償チャンバおよびブレーキペダルの入力チャンバまたは液圧アキュムレータの間におけるブレーキ液の容積交換により、圧力調整は、運転手がブレーキペダルでペダルの位置変化に基づいて実施することなし、不快に感じることなしに、行われる。本方法は、例えば、電気機械を発電のための発電機として作動することによりブレーキ遅延が誘起され、付加的に別のブレーキシステムとしての従来の液圧ブレーキシステムまたはバックアックブレーキシステムを備える車両で使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ブレーキシステムで使用するためのブレーキマスタシリンダ(103)において、
該ブレーキマスタシリンダ(103)が、第1横断面を有する第1シリンダ(105)および少なくとも2つのピストン(106a,b)を含む第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)と、第2横断面を有する第2シリンダ(107)および少なくとも2つのピストン(108a,b)を含む第2ピストン・シリンダ装置(107,108a,b)とを備え、第1横断面が第2横断面とが異なっていることを特徴とする、液圧ブレーキシステムで使用するためのブレーキマスタシリンダ。
【請求項2】
前記ブレーキマスタシリンダが、前記第1シリンダ(105)から出発して、容積収容ユニット(104,401)との第1液圧接続部(109)を備え、前記ブレーキマスタシリンダが、前記第2シリンダ(107)から出発して、それぞれに接続されたブレーキ回路に通じる他の液圧接続部(111a,b)を備え、第2液圧接続部(110)が、前記第1液圧接続部(109)を、少なくとも1つの前記他の液圧接続部(111a,b)に接続している、請求項1に記載のブレーキマスタシリンダ(103)。
【請求項3】
前記ブレーキマスタシリンダ(103)の第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)と、前記容積収容ユニット(104,401)との液圧接続部ならびに前記いずれか1つの他の液圧接続部(111a,b)との液圧接続部が、それぞれ遮断可能であり、第1の制御可能な遮断手段(112,405)が、前記第1液圧接続部(109)を遮断するために設けられており、第2の制御可能な遮断手段(113,406)が、前記第2液圧接続部(110)を遮断するために設けられている、請求項2に記載のブレーキマスタシリンダ。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキマスタシリンダ(103)を作動するための方法において、
液圧ブレーキシステムを、該液圧ブレーキスステムの他に別のブレーキシステムを備える総ブレーキ装置の一部とし、
前記ブレーキマスタシリンダ(103)が、前記別のブレーキシステムの作動状態に依存して、第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)の内部にブレーキ液の容積を収容するか、または第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)からブレーキ液の容積を放出するか、または第2ピストン・シリンダユニット(107,108a,b)からブレーキ液の容積を放出するようにすることを特徴とする、請求項3に記載のブレーキマスタシリンダ(103)を作動するための方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
液圧ブレーキシステムに、運転手によって加えられる操作力(102)を所定の支援力(101)だけ増幅する制御可能なブレーキブースタを設け、前記総ブレーキ装置に、運転手力(102)を吸収するための入力ロッド(118)を備える操作要素(114)を設け、
前記ブレーキブースタを、
前記別のブレーキシステムに基づきブレーキトルクが増大した場合にブレーキブースタの作用を低減し、および/または
前記別のブレーキシステムに基づきブレーキトルクが減少した場合にブレーキブースタの作用を増大するように作動し、
これにより、総ブレーキ装置により加えられる総ブレーキトルクを実質的に一定にし、
前記ブレーキマスタシリンダ(103)による他のいずれか1つの液圧接続部(111a,b)からの、および/または他のいずれか1つの液圧接続部(111a,b)への、または容積収容ユニット(104,401)からの、および/または容積収容ユニット(104,401)への容積収容および/または容積放出により、ブレーキブースタによって加えられた支援力(101)の変化により引き起こされた操作要素(114)および/または入力ロッド(118)の位置変化に反作用を及ぼし、特にこの変化を完全に、または少なくとも部分的に補償するように前記ブレーキマスタシリンダ(103)を作動する、方法。
【請求項6】
少なくとも1つの液圧接続部(109,110)を容積収容ユニット(104)または少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)に接続することにより、前記別のブレーキシステムの作動状態に依存して、ブレーキ液の容積を第1第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)から容積収容ユニット(104)に、特に自動的に供給するか、または少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)から前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)または前記容積収容ユニット(104)に、特に自動的に収容する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1横断面を前記第2横断面よりも大きくし(103)、総ブレーキ作用に対する前記別のブレーキシステムの貢献度の変化により前記別のブレーキシステムの作動状態を表し、特に、
前記別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に、少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)から前記第1ピストン・シリンダ装置(105)への容積の収容を行い、および/または
前記別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に、前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)から前記容積収容ユニット(104)への容積の放出を行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1横断面を前記第2横断面よりも小さくし(501)、総ブレーキ作用に対する前記別のブレーキシステムの貢献度の変化により前記別のブレーキシステムの作動状態を表し、特に、
前記別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に、第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)から少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)への容積の放出を行い、および/または
前記別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に、前記第2ピストン・シリンダ装置(107,108a,b)から前記容積収容ユニット(104)への容積の放出を行う、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記容積収容ユニット(401)または少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)とのいずれかの1つの液圧接続部を接続することによって、前記別のブレーキシステムの作動状態に依存して、前記容積収容ユニット(401)または前記少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)から第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)に、特に自動的にブレーキ液の容積を供給する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第1横断面を前記第2横断面よりも大きくし(103)、総ブレーキ作用に対する前記別のブレーキシステムの貢献度の変化により前記別のブレーキシステムの作動状態を表し、特に、
前記別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に、前記容積収容ユニット(401)から前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)への容積の収容を行い、
前記別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に、前記少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)から前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)への容積の収容を行う、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1横断面を前記第2横断面よりも小さくし(501)、総ブレーキ作用に対する前記別のブレーキシステムの貢献度の変化により前記別のブレーキシステムの作動状態を表し、特に、
前記別のブレーキシステムの貢献度が増大した場合に、前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)から前記少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)への容積の放出を行い、および/または
前記別のブレーキシステムの貢献度が減少した場合に、前記容積収容ユニット(401)から前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)への容積の収容を行う、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第1および/または第2遮断手段(112,405,113,406)の制御により、第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)によるブレーキ液容積の収容および/または放出を制御し、特に、それぞれの遮断手段(112,405,113,406)の制御によって第2液圧接続部(110)および/または第1液圧接続部(109)を介して前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)からの、および/または第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)への、ブレーキ液の収容および/または放出を行う、請求項7から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
液圧ブレーキシリンダに液圧接続された容積収容ユニット(104,401)を、操作要素(114)に組み込まれたピストン・シリンダユニット(104)とするか、または、少なくとも1つのピストン(403)、少なくとも1つのシリンダ(402)および少なくとも1つの弾性要素(404)、特にばねを備える液圧アキュムレータユニット(401)とする、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
ブレーキブースタの制御した操作により前記液圧アキュムレータユニット(401)をあらかじめ充填することができ、これにより、液圧アキュムレータ(401)の内部の圧力を引き上げ、これにより、第1液圧接続部(109)および/または第2液圧接続部(110)が接続された場合に、前記液圧アキュムレータ(401)からブレーキマスタシリンダ(103)の第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)または少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)にブレーキ液容積を自動的に放出する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1および第2ピストン・シリンダ装置(105;106a,b;107;108a,b)の第1および第2横断面ならびに操作要素(114)の内部のピストン・シリンダユニット(104)の横断面および/または
少なくとも1つの弾性要素(404)の予荷重および設計および/または
前記少なくとも1つの他の液圧接続部(111a,b)または第1ピストン・シリンダ装置(105;106a,b)の内部に提供された圧力に関係した液圧アキュムレータ装置(401)の充填状態を、次のように、すなわち、
前記第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)の内部への、および/または第1ピストン・シリンダ装置(105,106a,b)からのブレーキ液容積の収容および/または放出、特に自動的な収容および/または放出、または、特に第2ピストン・シリンダ装置(107,108a,b)からの容積の放出が、構造的な限界内で可能となるように決定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
操作要素(114)のおよび/または入力ピストン(118)の位置変化の値を、前記第1ピストン・シリンダ装置(105;106a,b)、前記第2ピストン・シリンダ装置(107;108a,b)および容積収容ユニット(104,401)の横断面に依存させ、構造に基づいた限界内でそれぞれの遮断手段(112,405,113,406)の制御により制御する、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b−2d】
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【図3a−3c】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−502340(P2013−502340A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525119(P2012−525119)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061178
【国際公開番号】WO2011/020691
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】