説明

ブロー成形型開閉機構および二軸延伸ブロー成形機

【課題】型開閉動作を円滑に行うことのできる小型でコンパクトな構成のブロー成形型開閉機構を提案すること。
【解決手段】型開閉機構23では、左右一対の第1、第2ブロー成形型21、22の下方に配置した揺動板41の左右の第1、第2揺動端部41a、41bの上下方向の揺動運動を、垂直に配置した第1、第2連結軸45、46を介して、左右の第1、第2昇降スライダ51、52の昇降運動に変換し、これらの昇降運動を左右の平行リンク機構61、62を介して左右の第1、第2ブロー成形型21、22の開閉運動に変換している。トグルリンク機構の屈伸運動によって型開閉動作を行う場合のような複雑なリンク機構を用いる必要がないので、型開閉動作を円滑かつ高速で行うことができる。型開閉機構の構成部品点数を削減できるので機構の小型・コンパクト化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の射出成型品であるプリフォームをブロー成形あるいは延伸ブロー成形するために用いる左右一対のブロー成形型を開閉するブロー成形型開閉機構、および、当該ブロー成形型開閉機構を備えた二軸延伸ブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の樹脂成形品を二軸延伸ブロー成形により製造する二軸延伸ブロー成形機は、プリフォームと呼ばれる一次成形品を、加熱部を介して搬送する間に成形に適した温度まで加熱した後に延伸ブロー成形型内においてプリフォームを二軸延伸ブロー成形する構成となっている。
【0003】
プリフォームを二軸延伸ブロー成形するために用いる一対のブロー成形型を開閉する開閉機構(型締め機構)としては、左右に開閉できるように水平方向にスライド可能に支持されている左右のブロー成形型を、それぞれ、トグルリンク機構を介してエアーシリンダによって開閉するものが知られている。本願出願人による特許文献1には、かかる構造の型締め機構が提案されている。
【0004】
特許文献1に開示の型締め機構では、揺動板における揺動中心から左右対称の位置での上下方向の揺動運動を利用して、一対のブロー成形型を開閉するための一対のトグルリンク機構を完全に同期をとって逆方向に移動させるようにしている。従って、型開閉時に型締め機構の各部分に偏負荷が発生することがなく、各部分の摩耗の発生、各部分への衝撃力の印加等といった弊害を回避できる。よって、円滑で迅速な型開閉動作を実現でき、結果として、二軸延伸ブロー成形機の動作速度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−260302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年においては、二軸延伸ブロー成形機の小型化、処理速度の向上に対する要望が高い。小型化の要望に応えるためには設置スペースを多く必要とする二軸延伸ブロー成形部の小型・コンパクト化、特に型開閉機構の小型・コンパクト化を図ることが有効である。また、処理速度を高めるためには、型開閉機構によるブロー成形型の開閉動作の更なる円滑化を図ることが有効である。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、型開閉動作を円滑に行うことのできる小型でコンパクトな構成のブロー成形型開閉機構、および、当該ブロー成形型開閉機構を備えた二軸延伸ブロー成形機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のブロー成形型開閉機構は、
左右一対の第1、第2ブロー成形型の下方に配置した揺動部材と、
前記揺動部材を予め定めた揺動中心回りに上下に揺動させるための駆動源と、
前記揺動中心に対して前記第1、第2ブロー成形型の開閉方向における左右対称の位置にある前記揺動部材の第1揺動部位および第2揺動部位と、
前記第1、第2ブロー成形型を挟み、前記開閉方向における左右対称の位置に配置した左右一対の第1、第2昇降スライダと、
前記第1揺動部位の上方および下方への揺動運動を、それぞれ、前記第1昇降スライダの上昇運動および降下運動に変換する第1連結部材と、
前記第2揺動部位の下方および上方への揺動運動を、それぞれ、前記第2昇降スライダの降下運動および上昇運動に変換する第2連結部材と、
前記第1昇降スライダの上昇運動および降下運動を、それぞれ、前記第1ブロー成形型の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第3連結部材と、
前記第2昇降スライダの降下運動および上昇運動を、それぞれ、前記第2ブロー成形型の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第4連結部材とを有していることを特徴としている。
【0009】
本発明のブロー成形型開閉機構において、左右の第1、第2ブロー成形型が型開き状態においては、揺動部材はその第1揺動部位が上方に揺動し、その第2揺動部位が下方に揺動した状態にある。この状態において、駆動源によって揺動部材を揺動して第1揺動部位を下方に揺動し、第2揺動部位を上方に揺動すると、これらの揺動運動が、第1、第2連結部材を介して第1昇降スライダの上昇運動、第2昇降スライダの降下運動に変換される。第1昇降スライダの上昇運動は第3連結部材を介して第1ブロー成形型の型締め運動に変化され、第2昇降スライダの降下運動は第4連結部材を介して第2ブロー成形型の型締め運動に変換され、第1、第2ブロー成形型の型締めを行うことができる。型開きの場合には、駆動源によって揺動部材を逆方向に揺動すればよい。
【0010】
揺動部材における揺動中心に対して左右対称の位置にある第1揺動部位および第2揺動部位に、第3、第4連結部材を介して、上側から第1、第2昇降部材の自重が作用しており、これらは揺動中心回りに釣り合っている。したがって、小さな駆動力で揺動部材を揺動して型締め、型開き動作を行うことができる。また、揺動部材によって第1、第2昇降スライダを昇降させるようにしているので、揺動部材によってトグルリンク機構を屈伸運動させる場合に比べて各部材の動きを円滑に行うことができる。よって、型締め、型開き動作を、トグルリンク機構を用いる場合に比べて円滑に行うことができる。
【0011】
本発明において、揺動部材を駆動源によって揺動する代わりに、第1、第2昇降スライダの一方を、例えばボールネジとサーボモータからなる直動アクチュエータによって直接駆動することもできる。この場合には、一方の昇降スライダの昇降運動によって揺動部材が揺動し、この揺動によって、他方の昇降スライダが逆方向に同期を取って昇降する。
【0012】
ここで、本発明において、第1連結部材は垂直方向に配置され、その下端部が第1揺動部位に対してピン節点を介して連結されており、第2連結部材も同様に垂直方向に配置され、その下端部が第2揺動部位に対してピン節点を介して連結されている。第1、第2連結部材は、垂直姿勢を維持したまま、それらの軸線方向に移動する。したがって、これらの部材には軸方向の圧縮力、引張力のみが作用し、揺動部材および第1、第2昇降スライダにも上下方向の力が作用するのみである。したがって、各部分に斜め方向に力が作用して、曲げ荷重、せん断荷重などの不所望な偏荷重が発生して、各部分の円滑な動きが阻害されてしまうことがない。
【0013】
また、本発明において、第3連結部材は、第1昇降スライダと、第1ブロー成形型を支持している第1型支持部材との間に架け渡され、その両端部がこれら第1昇降スライダおよび第1型支持部材に対してそれぞれピン節点を介して連結されている。第4連結部材も同様に、第2昇降スライダと、第2ブロー成形型を支持している第2型支持部材との間に架け渡され、その両端部がこれら第2昇降スライダおよび第2型支持部材に対してそれぞれピン節点を介して連結されている。また、第3連結部材は、第1ブロー成形型が閉じ位置に移動すると水平姿勢になり、第1ブロー成形型が開き位置に移動すると第1昇降スライダの側が高い傾斜姿勢になり、第4連結部材は、第2ブロー成形型が閉じ位置に移動すると第2昇降スライダの側が低い傾斜姿勢になり、第2ブロー成形型が開き位置に移動すると水平姿勢になるように設定されている。
【0014】
このようにすれば、トグルリンク機構などのような複数の連結部材から構成されているリンク機構を用いる場合に比べて型開閉用のリンク機構の部品点数を削減することができ、その分、小型・コンパクト化に有利である。また、トグルリンク機構のように屈伸運動を行う場合に比べて、揺動部材の揺動運動を型開閉運動に変換する動作をより円滑に行うことができる。
【0015】
ここで、がた付きなく、より円滑に第1、第2昇降スライダの昇降運動を型開閉運動に変換するために、本発明では、第3、第4連結部材を用いて、それぞれ4節の平行リンク機構を構成するようにしている。すなわち、第3連結部材として、第1ブロー成形型と第1昇降スライダの間において4節の平行リンク機構を構成している上下2本の連結部材を備えており、第4連結部材として、第2ブロー成形型と第2昇降スライダの間において4節の平行リンク機構を構成している上下2本の連結部材を備えている。
【0016】
次に、本発明は、加熱部および二軸延伸ブロー成形部を通る搬送経路に沿って、プリフォームを担持したプリフォームキャリアを搬送することにより、当該プリフォームを二軸延伸ブロー成形して所定形状の成形品にする二軸延伸ブロー成形機において、二軸延伸ブロー成形部は、一対のブロー成形型と、これらのブロー成形型を開閉する型開閉機構とを有しており、この型開閉機構として上記構成のブロー成形型開閉機構を用いることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(A)および(B)は、本発明を適用した二軸延伸ブロー成形機の概略平面図および概略側面図である。
【図2】(A)〜(C)は、プリフォームの形状を示す説明図、プリフォームキャリアの構造を示す説明図、および成形品の形状を示す説明図である。
【図3】(A)は型開閉機構をプリフォーム搬送方向に直交する方向から見た概略側面図であり、(B)はその概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したブロー成形型開閉機構を備えたPETボトル製造用の二軸延伸ブロー成形機を説明する。
【0019】
(全体構成および動作)
図1(A)および(B)は、本例の二軸延伸ブロー成形機の全体構成を示す平面図および側面図である。これらの図を参照して説明すると、二軸延伸ブロー成形機1は、横長の架台フレーム2を有し、この架台フレーム2の上面には、プリフォーム搬送経路に沿って、プリフォーム供給部3と、プリフォーム加熱部4(1)〜4(5)と、プリフォームPの二軸延伸ブロー成形部5と、成形品取り出し部6がこの順序で配置されている。
【0020】
本例のプリフォーム供給部3は、成形品Fがアンロードされて空となった倒立状態で搬送されてくるプリフォームキャリア7を受け取り、これに、プリフォームPを装着した後に、反転させて正立状態とし、しかる後に、一段上の位置にある搬送経路を規定している一対のガイドレール8(1)に引き渡す。
【0021】
一対のガイドレール8(1)に引き渡されたプリフォームキャリア7は、当該ガイドレール8(1)に沿って前方に順次に押し出されて、加熱部4(1)〜4(5)を通過する搬送経路8(2)に引き渡される。この搬送経路8(2)は、駆動プーリ9と従動プーリ10の間に架け渡した搬送ベルト11と、この搬送ベルト11に所定の間隔で取り付けられ、当該搬送ベルト11と一緒に循環する複数個のプリフォームキャリアの移送具12を備えている。搬送ベルト11によって規定されている一方の直線搬送経路部分は、加熱部4(1)、4(2)による加熱部分を通過しており、この部分には、移送具12によって搬送されるプリフォームキャリア7に担持されているプリフォームPを自転させるための駆動機構13が備わっている。同様に、搬送ベルト11によって規定されている他方の直線搬送経路部分は、加熱部4(3)〜4(5)による加熱部分を通過しており、この部分には、移送具12によって搬送されるプリフォームキャリア7に担持されているプリフォームPを自転させるための駆動機構14が備わっている。
【0022】
一対のガイドレール8(1)から搬送経路8(2)の各移送具12に引き渡されたプリフォームキャリア7は各移送具12によって加熱部4(1)〜4(5)による加熱部分を順次に通過する。また、これらの加熱部分を通過する間は、プリフォームキャリア7に担持されているプリフォームPは駆動機構13、14によって自転するので、各プリフォームPの外周面は均一に加熱される。
【0023】
加熱部4(1)〜4(5)を経由して成形に適した温度に加熱されたプリフォームPを担持したプリフォームキャリア7は一対のガイドレール8(3)により規定される上側搬送経路に引き渡される。このガイドレール8(3)は、二軸延伸ブロー成形部5を通過して延びている。二軸延伸ブロー成形部5は、ガイドレール8(3)によって規定されるプリフォーム搬送経路を中心として左右一対のブロー成形型21、22を備え、これらのブロー成形型21、22は、型開閉機構23によって開閉される。
【0024】
二軸延伸ブロー成形部5のプリフォーム搬送方向の手前側には、送りピッチ拡大機構24が配置されている。ガイドレール8(3)に沿って二軸延伸ブロー成形部5に向けて連続して搬送されてきたプリフォームキャリア7は、この送りピッチ拡大機構24によって、その送りピッチが成形品Fに適した送りピッチに広げられる。
【0025】
この後は、広い送りピッチのまま、移送機構25により、プリフォームキャリア7に担持されているプリフォームPは、二軸延伸ブロー成形部5の二軸延伸ブロー成形位置に送り込まれる。二軸延伸ブロー成形部5でプリフォームPは二軸延伸ブロー成形されて所定形状のPETボトル(成形品)Fとなる。成形品であるPETボトルFを担持しているプリフォームキャリア7は、広い送りピッチのまま、移送機構25によって、ガイドレール8(3)に沿って二軸延伸ブロー成形部5から送りだされる。さらに、当該移送機構25によって、広い送りピッチのまま、成形品取り出し部6に引き渡される。
【0026】
成形品取り出し部6では、ガイドレール8(3)からPETボトルFが担持されたプリフォームキャリア7を受け取り、これを反転させる。さらに、反転して倒立状態となったプリフォームキャリア7から成形品であるPETボトルFを抜き取り、しかる後に、ガイドレール8(3)よりも一段低い位置に水平に配置された一対のガイドレール8(4)により規定される下側搬送経路に、成形品が抜き取られた空のプリフォームキャリア7を倒立状態のままで引き渡す。
【0027】
プリフォームキャリア7から引き抜かれた成形品Fはガイドレール8(4)とは反対方向に延びる成形品回収経路8(6)に引き渡され、不図示の回収部に回収されることになる。
【0028】
ガイドレール8(4)は、二軸延伸ブロー成形部5の一対のブロー成形型21、22の下方のデッドスペースを通ってプリフォーム供給部3まで延びており、空のプリフォームキャリア7を倒立状態のままプリフォーム供給部3に引き渡す。プリフォーム供給部3では、前述したように、倒立状態で受け取ったプリフォームキャリア7に対してプリフォームを担持させた後に、反転させて正立状態にする。しかる後に、ガイドレール8(4)よりも一段高い位置にある搬送経路を規定している一対のガイドレール8(1)に引き渡す。
【0029】
以後は、上記の各手順を繰り返して、各プリフォームキャリア7によってプリフォームが搬送されて、その二軸延伸ブロー成形が繰り返される。
【0030】
(プリフォーム、プリフォームキャリア、成形品)
図2はプリフォームP、プリフォームキャリア7および成形品Fを示す図である。図2(A)に示すように、プリフォームPは一端が口部P1となった試験管形状をしたPET一次成形品であり、口部P1と円筒状胴部P2の間の外周面には環状突起P3が形成されている。
【0031】
図2(B)に示すように、プリフォームキャリア7は円筒状本体31を有し、この円筒状本体31の上端部には大径のフランジ32が形成されている。このフランジ32の上端からは上方に同心状に小径の円筒状の差し込みコア部33が突出しており、この差し込みコア部33は、プリフォームPの口部に差し込み可能である。円筒状本体31の外周には、フランジ32の下側に環状フランジ34、環状の外歯歯車35および環状板36がこの順序で装着され、止め輪37によって抜けないように固定されている。
【0032】
ここで、環状フランジ34は最も大径であり、この部分が後述するガイドレールに沿って水平にスライドするスライド部として機能する。環状フランジ34の内側の円筒状本体31は当該環状フランジ34に対して回転自在とされており、円筒状本体31には環状の外歯歯車35が一体回転するように固定されている。駆動機構13、14は外歯歯車35に噛み合うタイミングベルトを備えており、外歯歯車35がタイミングベルトに噛み合いながらプリフォームキャリア7が移動すると、外歯歯車35が回転し、円筒状本体31も一体回転する。したがって、その先端に形成されている差し込みコア部33に差し込まれた状態で搬送されるプリフォームPも自転する。
【0033】
図2(C)には、二軸延伸ブロー成形部5において二軸延伸ブロー成形が施されて得られた成形品Fを示してある。本例の成形品FはPETボトルであり、その口部F1、環状突起F3はプリフォームPの口部P1、環状突起P3がそのままの残った部分であり、円筒状胴部F2はプリフォームPの円筒状胴部P2を二軸延伸ブロー成形した部分である。
【0034】
(二軸延伸ブロー成形部の型開閉機構)
図3(A)は型開閉機構23をプリフォーム搬送方向に直交する方向から見た概略側面図であり、図3(B)はその概略平面図である。これらの図を参照して説明すると、型開閉機構23は揺動板41(揺動部材)を備えている。この揺動板41は、4個取の左右一対の第1、第2ブロー成形型21、22の真下に位置しており、プリフォーム搬送方向に直交する方向に長い長方形の矩形板である。揺動板41は、プリフォーム搬送方向に直交する方向の中心に位置する揺動中心軸42を中心として上下方向に揺動可能な状態で、架台フレーム2の垂直支柱43によって支持されている。
【0035】
揺動板41には、その揺動中心軸42に対して左右対称の位置に、左側の第1揺動端部41a(第1揺動部位)および右側の第2揺動端部41b(第2揺動部位)が設けられている。本例では、右側の第2揺動端部41bが揺動用エアーシリンダ44(駆動源)の作動ロッド44aに連結されている。揺動用エアーシリンダ44は架台フレーム2に上向き姿勢で垂直に取り付けられており、上下方向に伸縮する作動ロッド44aの上端部が揺動板41の右側の第2揺動端部41bの下側の部位にピン接合されている。
【0036】
揺動板41の第1揺動端部41aおよび第2揺動端部41bには、それぞれ、左側の第1連結軸45(第1連結部材)の下端部45aおよび右側の第2連結軸46(第2連結部材)の下端部46aが、ピン節点47、48を介して連結されている。これら第1、第2連結軸45、46は垂直に延びており、それらの上端部45b、46bは、それぞれ、ピン節点49、50を介して、左側の第1昇降スライダ51および右側の第2昇降スライダ52に連結されている。
【0037】
第1、第2昇降スライダ51、52は同一寸法および同一重量のものであり、左右の第1、第2ブロー成形型21、22を挟み、これらの型の開閉方向53(プリフォーム搬送方向に直交する方向)における左右対称の位置に、左右対称な状態で配置されている。第1、第2昇降スライダ51、52は、それぞれ、架台フレーム2の左右の垂直ガイド枠54、55に固定した昇降用スライドレール56、57に沿って昇降可能となっている。したがって、揺動板41が揺動して、その左右の第1、第2揺動端部41a、41bに連結されている左右の第1、第2連結軸45、46が昇降すると、これらに連結されている左右の第1、第2昇降スライダ51、52は一方が上昇し、他方が降下する。
【0038】
また、第1、第2昇降スライダ51、52は、それぞれ、4節の平行リンク機構61、62(第3、第4連結部材)を介して、左右の第1、第2ブロー成形型21、22が取り付けられている左右の第1、第2型支持部材63、64に連結されている。左側の平行リンク機構61は、上下の位置において平行に配置した上リンク65および下リンク66を備えている。上リンク65および下リンク66は、それぞれ、プリフォーム搬送方向に一定の間隔で配置した前後一対のリンクから構成されている。また、上リンク65および下リンク66の一方の端部はピン節点67、68を介して左側の第1昇降スライダ51に連結されており、これらのリンクの他方の端部もピン節点69、70を介して左側の型支持部材63に連結されている。右側の平行リンク機構62は左側の平行リンク機構61と左右対称の構造であるので、図においては左側の平行リンク機構61と対応する部位には同一の符号を付してある。
【0039】
ここで、左右の第1、第2型支持部材63、64は型開閉方向にスライド可能である。すなわち、架台フレーム2の水平枠71には型開閉方向に沿って水平にスライドレール72が固定されており、このスライドレール72に沿ってスライド可能な左右のスライダ73、74に、左右の第1、第2型支持部材63、64が取り付けられている。また、図から分かるように、本例では、左右の第1、第2ブロー成形型21、22が閉じ位置にある状態では、左右の平行リンク機構61、62における上リンク65、下リンク66は型開閉方向に水平に延びている水平姿勢になるように設定されている。この型締め状態においては、揺動板41は、その左側の第1揺動端部41aの方が低い傾斜姿勢となるように設定されている。すなわち、左側の第1連結軸45の方が右側の第2連結軸46よりも軸長を長くしてある。
【0040】
この状態から揺動板41を図において時計回りに略水平姿勢となるまで揺動すると、左側の第1昇降スライダ51が上昇し、右側の第2昇降スライダ52が降下する。これらの昇降運動は、左右の平行リンク機構61、62を介して、左右の第1、第2ブロー成形型21、22の型開き運動に変換される。すなわち、図において想像線で示すように、左側の平行リンク機構61の上下のリンク65、66は、第1昇降スライダ51の側が高い傾斜姿勢になり、左側の第1ブロー成形型21を型開き方向に水平に引き込み、右側の平行リンク機構62の上下のリンク65、66は逆に第2昇降スライダ52の側が低い傾斜姿勢になり、右側の第2ブロー成形型22を型開き方向に水平に引き込む。このように、左右の昇降スライダ51、52は、相互に逆方向に同期が取られた状態で昇降し、第1、第2ブロー成形型21、22も同期が取られた状態で相互に型開き動作および型締め動作を行う。
【0041】
本例の型開閉機構23においては、揺動板41の揺動中心軸42から左右対称の位置にある第1揺動端部41a、第2揺動端部41bの上下方向の逆向きの揺動運動を利用して、左右一対のブロー成形型21、22を開閉するための昇降スライダ51および平行リンク機構61と、昇降スライダ52および平行リンク機構62とを、完全に同期をとって逆方向に移動させるようにしている。従って、型開閉時に型開閉機構23を構成している各部分に偏負荷が発生することがなく、各部分の摩耗の発生、各部分への衝撃力の印加等といった弊害を回避できる。また、昇降スライダ51、52と平行リンク機構61、62を用いているので、トグルリンク機構のような屈伸運動を行う場合に比べて円滑で迅速な型開閉動作を実現できる。さらには、型開閉機構23の構成部品を削減することができ、その分、機構の小型・コンパクト化に有利である。
【0042】
(その他の実施の形態)
上記の例では、駆動源を用いて揺動板41を揺動させるようにしている。この代わりに、昇降スライダ51あるいは52を、直接に駆動してもよい。例えば、ボールネジとサーボモータを駆動源として用いて、一方の昇降スライダ51を直接に昇降させ、この昇降運動を揺動板41の揺動運動を介して他方の昇降スライダ52に伝達して、当該昇降スライダ52を同期させて逆方向に昇降させるようにしてもよい。この場合においても、双方の昇降スライダ51、52が同期して逆方向に昇降するので、左右一対のブロー成形型21、22を同期させて開閉することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 二軸延伸ブロー成形機
2 架台フレーム
3 プリフォーム供給部
4(1)〜4(5) 加熱部
5 二軸延伸ブロー成形部
7 プリフォームキャリア
8(1)、8(3) 上側ガイドレール(上側搬送経路)
8(4) 下側ガイドレール(下側搬送経路)
21 第1ブロー成形型
22 第2ブロー成形型
23 型開閉機構
41 揺動板
41a 第1揺動端部
41b 第2揺動端部
42 揺動中心軸
44 エアーシリンダ
45 第1連結軸
46 第2連結軸
47、48 ピン節点
51 第1昇降スライダ
52 第2昇降スライダ
53 型開閉方向
61 第1平行リンク機構
62 第2平行リンク機構
63 第1型支持部材
64 第2型支持部材
65 上リンク
66 下リンク
67〜70 ピン節点
P プリフォーム
F 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の第1、第2ブロー成形型(21、22)の下方に配置した揺動部材(41)と、
前記揺動部材(41)を予め定めた揺動中心軸(42)回りに上下に揺動させるための駆動源(44)と、
前記揺動中心軸(42)に対して前記第1、第2ブロー成形型(21、22)の開閉方向(53)における左右対称の位置にある前記揺動部材(41)の第1揺動部位(41a)および第2揺動部位(41b)と、
前記第1、第2ブロー成形型(21、22)を挟み、前記開閉方向(53)における左右対称の位置に配置した左右一対の第1、第2昇降スライダ(51、52)と、
前記第1揺動部位(41a)の上方および下方への揺動運動を、それぞれ、前記第1昇降スライダ(51)の上昇運動および降下運動に変換する第1連結部材(45)と、
前記第2揺動部位(41b)の下方および上方への揺動運動を、それぞれ、前記第2昇降スライダ(52)の降下運動および上昇運動に変換する第2連結部材(46)と、
前記第1昇降スライダ(51)の上昇運動および降下運動を、それぞれ、前記第1ブロー成形型(21)の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第3連結部材(65、66)と、
前記第2昇降スライダ(52)の降下運動および上昇運動を、それぞれ、前記第2ブロー成形型(22)の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第4連結部材(65、66)とを有していることを特徴とするブロー成形型開閉機構(23)。
【請求項2】
左右一対の第1、第2ブロー成形型(21、22)の下方に配置され、予め定めた揺動中心軸(42)回りに揺動可能な揺動部材(41)と、
前記揺動中心軸(42)に対して前記第1、第2ブロー成形型(21、22)の開閉方向(53)における左右対称の位置にある前記揺動部材(41)の第1揺動部位(41a)および第2揺動部位(41b)と、
前記第1、第2ブロー成形型(21、22)を挟み、前記開閉方向(53)における左右対称の位置に配置した左右一対の第1、第2昇降スライダ(51、52)と、
前記第1昇降スライダ(51)を昇降させるための駆動源と、
前記第1昇降スライダ(51)の上昇運動および降下運動を、それぞれ、前記第1揺動部位(41a)の上方および下方への揺動運動に変換する第1連結部材(45)と、
前記第2揺動部位(41b)の下方および上方への揺動運動を、それぞれ、前記第2昇降スライダ(52)の降下運動および上昇運動に変換する第2連結部材(46)と、
前記第1昇降スライダ(51)の上昇運動および降下運動を、それぞれ、前記第1ブロー成形型(21)の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第3連結部材(65、66)と、
前記第2昇降スライダ(52)の降下運動および上昇運動を、それぞれ、前記第2ブロー成形型(22)の閉じ位置から開き位置への型開き運動および前記開き位置から前記閉じ位置への型締め運動に変換する第4連結部材(65、66)とを有していることを特徴とするブロー成形型開閉機構(23)。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1連結部材(45)は垂直方向に延びており、その下端部が前記第1揺動部位(41a)に対してピン節点(47)を介して連結されており、
前記第2連結部材(46)は垂直方向に延びており、その下端部が前記第2揺動部位(41b)に対してピン節点(48)を介して連結されていることを特徴とするブロー成形型開閉機構(23)。
【請求項4】
請求項3において、
前記第3連結部材(65、66)は、前記第1昇降スライダ(51)と、前記第1ブロー成形型(21)を支持している第1型支持部材(63)との間に架け渡され、その両端部がこれら第1昇降スライダ(51)および第1型支持部材(63)に対してそれぞれピン節点(67、68;69、70)を介して連結されており、
前記第4連結部材(65、66)は、前記第2昇降スライダ(52)、前記第2ブロー成形型(22)を支持している第2型支持部材(64)との間に架け渡され、その両端部がこれら第2昇降スライダ(52)および第2型支持部材(64)に対してそれぞれピン節点(67、68;69、70)を介して連結されており、
前記第3連結部材(65、66)は、前記第1ブロー成形型(21)が閉じ位置に移動すると水平姿勢になり、前記第1ブロー成形型(21)が開き位置に移動すると前記第1昇降スライダ(51)の側が高い傾斜姿勢になり、
前記第4連結部材(65、66)は、前記第2ブロー成形型(22)が閉じ位置に移動すると前記第2昇降スライダ(52)の側が低い傾斜姿勢になり、前記第2ブロー成形型(22)が開き位置に移動すると水平姿勢になることを特徴とするブロー成形型開閉機構(23)。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3連結部材として、前記第1ブロー成形型(21)と前記第1昇降スライダ(51)の間において4節の平行リンク機構(61)を構成している上下2本の連結部材(65、66)を備えており、
前記第4連結部材として、前記第2ブロー成形型(22)と前記第2昇降スライダ(52)の間において4節の平行リンク機構(62)を構成している上下2本の連結部材(65、66)を備えていることを特徴とするブロー成形型開閉機構(23)。
【請求項6】
加熱部および二軸延伸ブロー成形部(5)を通る搬送経路に沿って、プリフォーム(P)を担持したプリフォームキャリア(7)を搬送することにより、当該プリフォーム(P)を二軸延伸ブロー成形して所定形状の成形品(F)にする二軸延伸ブロー成形機(1)において、
前記二軸延伸ブロー成形部(5)は、一対のブロー成形型(21、22)と、これらのブロー成形型(21、22)を開閉する型開閉機構とを有しており、
前記型開閉機構は、請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載のブロー成形型開閉機構(23)であることを特徴とする二軸延伸ブロー成形機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−224039(P2012−224039A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95521(P2011−95521)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(594082648)株式会社フロンティア (34)
【Fターム(参考)】