説明

プライマー層を有する石版印刷部材及び該部材をイメージングする方法

高分子バインダー中に分散した表面張力変性剤を含んで成るプライマー層(104)を、石版印刷部材(100)のイメージング層(106)と基材(102)との間に配置することで、露出した画像領域の親油性を阻害する熱分解生成物の生成を阻害し、それによって、印刷物製造性能及び効率を高めることができる。また、プライマー層をもちいることで、製造時及び印刷物製造工程時の、静電気の蓄積が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

関連出願の相互参照
本願は、2004年5月5日付けの米国仮出願第60/568,344号に優先権を主張するものであり、参照することで、その開示内容を本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
オフセット石版印刷では、印刷可能な画像は、インク受容性(親油性)及びインク拒絶性(疎油性)の表面領域から成るパターンとして印刷部材上に存在する。これらの領域に適用されたなら、インクは、相当の再現性を有する画像パターンとして記録媒体へと効果的に転写される。湿式石版印刷システムでは、非画像領域は親水性であり、必要なインク反発性は、インク付与前にプレートに湿潤流体をまず適用することによってもたらされる。当該湿潤流体は、インクが非画像領域に付着するのを防止するが、画像領域の親油性特性には影響しない。湿潤した印刷部材に均一に適用されたインクは、画像パターンとしてのみ記録媒体へと転写される。典型的に、印刷部材は、ブランケット胴と呼ばれる弾性の中間体表面にまず接触させられ、次いで、それが、紙あるいは他の記録媒体へと画像を適用する。典型的な枚葉印刷システムでは、記録媒体は、圧胴に固定され、そしてブランケット胴と接触するようになる。
【0003】
従来の印刷技術の特徴であるところの厄介な写真現像、プレート取り付け、及びプレート記録を回避するために、専門家達は、デジタル様式にて画像パターンを格納し且つ当該パターンを直にプレート上に押しつける代替の電子機器を開発した。コンピュータ制御できるプレートイメージング機器は、種々の形態のレーザを備える。
【0004】
具体的な印刷部材及びイメージング条件に応じて、ある性能の限界が確認され得る。例えば、シリコン表面処理された乾式プレートは、露出インク受容層によるインクの保持が不十分であり得る。しかしながら、この挙動の原因は複雑であり、それは、強固に付着したシリコン断片に単に由来するものではない。例えば、シリコン層を単に機械的に擦ることで、画像が形成されないシリコン領域が損傷する前に、拡大下で視認されるような全ての残骸をインク受容層から除去することができる。それでもやはり、当該プレートは依然として、インクに対する不十分な親和性に関連して低い品質の印刷物を与える。溶剤によるクリーニングによってインクの受容性を改善することができるが、この方法では、プレートの非画像領域へのその固定化が不十分となる程度にまでシリコンが軟化する場合がある。溶剤はまた、環境的、健康的、及び安全性上の問題を引き起こし得る。同様の制限は、親油性基材層上に配置された親水性表面層を有する湿式石版印刷部材においても観察され得る。
【0005】
イメージング工程、並びに特定の種類のプレート構成(詳細には、シリコントップコーティングの下に薄い金属から成るイメージング層を有するもの)に対するその効果に関する研究において、観察される印刷欠陥は、イメージング工程により引き起こされる化学的、形態的変化に由来することが示唆された。金属から成るイメージング層は化学的に複雑なシリコン層と接触しているため、イメージング時の高温によって、シリコン誘導体生成物をもたらす望ましくない熱反応が生じる。さらに、その表面はまた、高温に曝される結果、シリコン分解生成物との相互作用に対し比較的傷つきやすく、溶融して基材表面が熱劣化するため、容易に分解生成物を受容してしまう。乾式及び湿式両方のプレート構成において、表面層から生じた分解生成物が、その下の親油性層に付着し、注入され、機械的に混合され、化学反応することで、インクを保持する印刷部材の性能が妨害される。
【0006】
加えて、既存の石版印刷部材は、コーティング時、取り扱い時、クリーニング時、及び印刷工程時に静電気を蓄積する傾向がある。これは、健康上及び安全上の危険性を課す静電放電につながり得る。最終的に、プレス時に、「乾式引っ張り」(即ち、表面を乾燥ゴムローラにこすりつけてイメージング残骸の塊りを除去すること)の作用によって、又は乾式印刷部材の場合には、単に水を用いずに印刷した結果、静電気が蓄積し得る。スパーク放電は、或る導電性の非画像領域から他へと飛び、それによって、非導電性の画像領域がイメージング後に消散するために、望ましくない付加的なインク受容領域が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】

本発明は、石版印刷部材のイメージング層と基材との間に配置されたプライマー層を利用する。当該プライマー層は、露出した画像領域の親油性に悪影響を及ぼす熱分解生成物の生成を阻止し、それによって印刷物製造性能及び効率を改善する。加えて、プライマー層を用いることによって、製造時並びに印刷物製造工程時の静電気の蓄積が防止される。
【0009】
第1の態様では、本発明は、高分子基材、その上に配置されたプライマー層、該プライマー層の上に配置されたイメージング層、及び該イメージング層の上に配置された表面層を有する石版印刷部材を提供する。プライマー層は、高分子バインダー中に分散された表面張力変性剤を含む。表面層と、プライマー層及び基材のうちの少なくとも一方は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に関して、逆の親和性を有する。
【0010】
高分子バインダーとしては、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、及びそれらの組み合わせ)、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、ビニルブチラール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。表面張力変性剤としては、金属酸化物粒子(例えば、TiO2、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO粒子、及びそれらの組み合わせ)、金属窒化物粒子(例えば、BN、AlN、TiN、ZrN、VN粒子、及びそれらの組み合わせ)、無機塩粒子(例えば、BaSO4、CaCO3、BaTiO3、CaSiO3、及びそれらの組み合わせ)、ガラス粒子、プラスチック粒子、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。表面張力変性剤としては、中空又は多孔性の粒子を挙げることができる。プライマー層はまた、染料を含むことができる。幾つかの実施形態では、プライマー層は、50重量%以上、又は75重量%以上の表面張力変性剤を含む。ある実施形態では、プライマー層は、少なくとも約45dyne/cm、55dyne/cm、65dyne/cm、又は75dyne/cmの表面張力を有する。プライマー層は、約7.5μm〜約8.5μmのRz値、及び/又は約550nm〜約560nmのRa値を有することができる。幾つかの実施形態では、プライマー層は、親油性である。
【0011】
高分子基材としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの実施形態では、基材は、親油性である。イメージング層は、金属(例えば、チタン、アルミニウム、亜鉛、クロム、バナジウム、ジルコニウム、及びそれらの合金)、又は高分子を含むことができ、それは任意に、その中に分散したIR吸収剤を含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、表面層は、疎油性である。表面層を製造するのに適する材料としては、シリコンポリマー、フッ素系ポリマー、フルオロシリコンポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の実施形態では、表面層は、ポリビニルアルコールのような親水性材料から製造される。イメージング層の少なくとも一部は、イメージング放射線に露出される際に除去される。ある実施形態では、イメージング放射線を受けた石版印刷部材部分にある表面沿う及びイメージング層が除去される。
【0013】
他の態様では、本発明は、上述の石版印刷部材をイメージングする方法を提供する。画像パターンにてイメージング放射線を印刷部材に当てると、放射線に露出されたイメージング層部分は加熱され、表面層から分離したり、表面層の少なくとも部分的な劣化が生じる。画像領域内にある表面層の少なくとも一部が除去されることによって、印刷部材上に画像様式にて石版印刷パターンが生成される。
【0014】
ここで用いるとき、用語「プレート」又は「部材」は、インクに対し異なる親和性を示す領域によって画定される画像を記録し得る、任意の種類の印刷部材若しくは表面を指すことに留意されたい。適切な構成としては、印刷機のプレートシリンダ上に載置された従来の平坦若しくは湾曲した石版印刷プレートを挙げることができるが、シームレスのシリンダ(例えば、プレートシリンダの回転表面)、循環ベルト、又は他の構成も含まれ得る。
【0015】
さらに、印刷に関して用いるとき、用語「親水性」とは、インクが付着するのを防止する流体に対する表面親和性をいう。当該流体としては、従来のインクシステムのための水、水性及び非水性湿潤液、及び単一流体インクシステムの非インク相が挙げられる。こうして、本明細書による親水性表面は、油性物質と比較して、これらの物質に対し選択的な親和性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以上の説明は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を考慮することで、より容易に理解されよう。図面においては、類似の符号は、概して、種々の図面にわたって、同じ部品を表す。また、図面は必ずしも正確な縮尺関係になく、その代わり、本発明の原理を例示するにあたっては、概して強調されている。
1. イメージング装置
本発明の印刷部材と共に用いるのに適するイメージング装置は、最大プレート応答の領域にて放射する少なくとも1つのレーザ機器、即ち、プレートが最も強く吸収する波長領域に近いλmaxを有するもの、を備える。赤外(IR)若しくは近IR領域にて放射するレーザの仕様については、米国特許第35,512号(「’512号特許」)及び第5,385,092号(「’092号特許」)に十分な記載があり、参照することでその開示内容の全てを本明細書に取り入れることとする。電磁スペクトルの他の領域におけるレーザ放射は、当業者に周知である。
【0017】
適切なイメージング構成についても、’512号特許及び’092号特許に詳細に記載されている。簡潔にいえば、レーザ出力は、レンズや他のビーム誘導要素を介してプレート表面に直に与えるか、又は光ファイバケーブルを用いて離れて置かれたレーザから未記録の印刷プレート表面へと送ることができる。コントローラ及び関連する位置定めハードウェアは、プレート表面に関してビーム出力を正確な向きに保持し、表面にわたって出力を走査し、そしてプレートの特定のポイントに隣接した位置又は領域にてレーザを作動させる。当該コントローラは、プレート上にコピーされるオリジナルの文書や図面に対応した画像入力信号に応答し、そのオリジナルの正確なネガ画像若しくはポジ画像を生成することができる。画像信号は、コンピュータにビットマップデータファイルとして格納されている。そのようなファイルは、レーザイメージプロセッサ(「RIP」)又は他の適切な手段により生成することができる。例えば、RIPは、印刷プレート上に転写すべき全ての記事を画定するページ記述言語にて、又はページ記述言語と1つ又は複数の画像データファイルとの組み合わせとして、入力データを受容することができる。ビットマップは、スクリーン線数及び角度、並びに色の色相を画定するように構成される。
【0018】
光弁(light valving)及び類似の構成を含むもののような他のイメージングシステムもまた用いることができる:例えば、米国特許第4,577,932号;第5,517,359号;第5,802,034号;及び第5,861,992号を参照。参照することで、その開示内容の全てを本明細書に取り入れることとする。さらに、画像スポットは、隣接して、又は重ね合って適用し得ることに留意されたい。
【0019】
当該イメージング装置は、プレート製造機としてのみ機能させてそれ単独で運転したり、又は石版印刷機にそのまま組み込むことができる。後者の場合には、印刷は、未記録プレートに画像を適用した直後に開始することができ、それによって、印刷準備時間をかなり削減することができる。当該イメージング装置は、フラットベッドレコーダ又はドラムレコーダとして構成することができ、石版印刷プレートは、ドラムのシリンダ表面の内壁若しくは外壁に載せられる。明らかに、ドラム外壁を用いる設計が、石版印刷機においてin situで使用するのにより適しており、その場合、印刷シリンダ自体が、レコーダ又はプロッタのドラム要素を構成する。
【0020】
ドラム構成では、レーザビームとプレートとの間の必須の相対運動は、ドラム(及びその上に載置されたプレート)をその軸に関して回転させ、その回転軸に対し平行方向にビームを動かすことにより達成され、それによって軸方向に画像が「成長」するようにプレート周囲を走査することができる。あるいはまた、ビームをドラム軸に平行に動かし、そして、各パスがプレートを横切る毎に少しずつ回転させ、それによってプレート上の画像を円周方向に「成長」させることができる。両方の場合において、ビームによる走査が完了した後に、オリジナルの文書若しくは図面に対応する画像(ポジ又はネガ)がプレート表面に適用される。
【0021】
フラットベッド構成では、ビームは、プレートの何れかの軸に沿って移動し、各パス毎に他の軸に沿って移動する。当然、ビームとプレートとの間の必要な相対運動は、ビームの移動の代わりに(又はそれに加えて)、プレートの移動によって生成することができる。
【0022】
ビームが走査される態様に関係なく、オンプレス用途のためのアレイ型システムでは、複数のレーザを用い、それらの出力を単一の書き込みアレイに誘導することが一般に好ましい。次いで、プレートを横切る又はプレートに沿った各パスの完了後に、アレイから発せられるビームの数並びに所望の解像度(即ち、長さ当たりの画像ポイントの数)によって定まる距離だけ、書き込みアレイをシフトさせる。非常に迅速な走査に適応するよう設計されており(例えば、高速モータ、ミラー等を用いることによって)、それによって高いレーザパルス速度を利用することができるオフプレス用途では、多くの場合、イメージング源として単一のレーザが利用される。
2. 石版印刷部材
図1は、本発明による印刷部材100の一実施形態を示しており、それは、高分子基材102、プライマー層104、イメージング層106、及び表面層108を備えている。これらの各層及びそれらの機能について、これから詳細に記載することとする。
高分子基材102
高分子基材102は、印刷部材100に、寸法的に安定な機械的支持をもたらす。高分子基材102は、強く、安定で、柔軟であるべきである。加えて、高分子基材102は、プライマー層104との強固な結合を形成する高分子から作製すべきである。高分子基材102に使用するのに適する材料としては、限定はしないが、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレンナフタラート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリイミドポリマー、フェノール系ポリマー、ポリスルホン、ポリスチレン、及びセルロースアセテートが挙げられる。好ましい高分子基材は、例えば、MYLAR及びMELINEXポリエステルフィルム(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社)などのポリエチレンテレフタラートフィルムである。高分子基材102は、具体的用途に応じて、約50μm〜約500μm以上の厚さを有することができる。
【0023】
高分子基材102は、親油性又は疎油性とし得る。しかしながら、親油性の高分子基材102を設けて、プライマー層104に付着させ且つ性能を低下させることなく損傷に順応させることが好ましい。詳細には、プライマー層104がイメージング工程時に除去されない好適な実施形態であっても、それは、印刷物製造工程において擦り取られたり、損傷したりし得る。プライマー層104が損傷した領域では、類似の親和性を有する高分子基材102は、プライマー層104と同様にインクを受容するため、印刷品質が維持され、且つ印刷部材100の有効寿命が延長される。
【0024】
高分子基材102にさらなる強度を付与するために、米国特許第5,188,032号(参照することで、その内容の全てをここに取り入れることとする)に記載された手法を利用することができる。当該出願に記載されるように、金属シート(例えば、アルミニウム又は鋼鉄)を基材102にラミネートすることができる。適切な金属、ラメネート法、及び好ましい寸法や操作条件は、全て、’032号特許に記載されており、過度の実験を要することなく、本書にそのまま適用することができる。
プライマー層104
プライマー層104は、基材102と、イメージング後にイメージング層106から生じる残骸との相互作用を阻止する。好ましい実施形態では、プライマー層104は、親油性であり、且つ石版印刷部材100のインク受容部分として機能する。プライマー層104は、高分子基材102及びイメージング層106と強固な結合を形成する必要があるが、イメージング層106との結合は、レーザによるイメージングの際に容易に弱まるべきである。
【0025】
単に親油性のプライマー層を追加するだけでは、イメージング後の熱分解生成物による印刷品質の低下問題が軽減されず、場合によっては、生じたプレートのインク受容性が悪化することが見出された。しかしながら、プライマー層に表面張力変性剤を添加すると、イメージング後のインク受容性が劇的に向上することが確認された。プライマー層のインク受容性は、その表面張力に関連しており、表面張力が高まると、安定なターゲットインク密度を達成するのに必要となる紙シートの数(即ち、「ロールアップ」回数)が低下する。例えば、高分子バインダー中に表面張力変性剤が分散されて成るプライマー層は、イメージング前に、約50〜70dyne/cmの表面張力を示す。イメージング及びクリーニング後、表面張力は、約45〜65dyne/cmのままであり、ロールアップ回数は10〜50刷りである。対照的に、親油性高分子のみを含有するプライマー層の表面張力は、イメージング及びクリーニング後に30〜40dyne/cmへと低下し、ロールアップ回数は約200〜500刷りであった。好ましくは、プライマー層は、少なくとも約45dyne/cm、より好ましくは少なくとも約55dyne/cm、理想的には少なくとも約65dyne/cm又は75dyne/cmもの表面張力を有する。
【0026】
プライマー層のインク受容性に影響する他の因子は、その表面粗さである。粗さは、典型的に、平均粗さ値(Ra)及び/又は平均粗さ深さ値(Rz)として表現される。Ra値は、表面の中心線からの偏差の算術平均であり、それは、表面のピークと谷部の総表面積を長さで割ることにより算出され、概して、ナノメートル(nm)にて表現される。Rz値は、表面の最も高いピークと最も低い谷部との間の差の算術平均であり、概してマイクロメートル(μm)で表される。一般に、粗さ値Ra及びRzが高くなると、プライマー層の表面張力は高くなり、高いインク受容性につながる。しかしながら、プライマー層の表面が粗すぎると、その上野イメージング層が平坦ではなくなり、不十分なイメージング性能に帰着し得る。こうして、プライマー層の粗さは、インク受容性と、イメージング層の表面形状とをバランスさせるように最適化しなければならない。好ましい実施形態では、プライマー層は、約7.5μm〜約8.5μmのRz値及び/又は約550nm〜約560nmのRa値を有する。
【0027】
高分子バインダーは、周囲の層と強固な結合を形成せねばならず、また、表面張力変性剤に適合し得る必要がある。適切な材料としては、例えば、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びセルロースニトレート)、アクリルポリマー、ポリウレタン、ビニル系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及びビニルブチラール)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
表面張力変性剤は、印刷部材100のイメージング感度を悪化させることなく、プライマー層104に必要な表面張力と粗さを付与するように選択する必要がある。例えば、あまりにも伝熱性の表面張力変性剤は、イメージング層からの熱を吸収して、印刷部材の感度を低下させる恐れがある。加えて、適切な材料は、例えば、粒子径;密度;高分子バインダー、コーティング溶剤等との適合性;光吸収性、光散乱性等;及びコストや安全性といった考慮事項をはじめとする、他の因子に基づいて選択し得る。表面張力変性剤に適する材料としては、例えば、金属酸化物粒子、金属窒化物粒子、無機塩粒子、ガラス粒子、及びプラスチック粒子が挙げられる。適切な金属酸化物としては、限定はしないが、TiO2、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、及びその組み合わせが挙げられる。適切な金属窒化物粒子としては、限定はしないが、BN、AlN、ZrN、VN、及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切な無機塩としては、限定はしないが、BaSO4、CaCO3、BaTiO3、CaSiO3、及びそれらの組み合わせが挙げられる。表面張力変性剤を構成する粒子は、実質的に稠密であるか、又はそれらは中空若しくは多孔性であり得る。例としては、中空ガラス微小球(例えば、ミネソタ州メープルウッドの3M社から入手可能)、中空プラスチック微小球(例えば、ニュージャージー州マウントオリーブのバスフ社から入手可能)、及び中空若しくは多孔性のZrO2小塊が挙げられる。表面張力変性剤を構成する粒子は、例えば、球状、結晶状、繊維状、又はアモルファス状などの任意の多数の形状を有することができる。表面張力変性剤粒子は、プライマー層104の厚さと適合する任意のサイズを有し得る。加えて、プライマー層104は、1つ又は複数の種類及び寸法の表面張力変性剤の組み合わせを含有することができる。
【0029】
プライマー層104の表面張力はまた、高分子バインダー中に存在する表面張力変性剤の量を調節することによっても変性し得る。一般的に、表面張力変性剤の重量%が高くなると、表面張力は高くなる。しかしながら、表面張力変性剤の量があまりにも高すぎると、プライマー層104の表面が平坦ではなくなり、それは、平坦でないイメージング層106につながり、結果、不十分なイメージング性能に帰着する。好ましくは、プライマー層104は、少なくとも50重量%の、ある実施形態では少なくとも75重量%の、表面張力変性剤を含有する。粒子径、高分子バインダー内の分散物の割合、及び粒子径分布をはじめとする他の因子もまた、プライマー層104の表面張力に影響を及ぼす。
【0030】
プライマー層104はまた、例えば、コーティング時の品質検査を容易にする顔料若しくは染料をはじめとする他の材料を含有することができる。顔料及び染料は、高分子バインダー及び表面張力変性剤と適合しなければならず、また、親油性であるのが好ましい。適切な染料の一例は、トリフェニルメタン染料Victoria Blueである。
イメージング層106
イメージング層106は、イメージング放射線を吸収し、表面層108から分離され(例えば、融除、部分的融除、又は熱誘導型の、融除以外の分離機構によって)、それによって、印刷部材100上に画像がもたらされるように表面層108の除去を促進する。イメージング層106は、親油性でも疎油性でもよく、イメージングの結果としてそれが除去される場合には、イメージング層106の石版印刷親和性は重要ではない。イメージング層106は、プライマー層104及び表面層108と強固な結合を形成せねばならないが、その結合は、レーザーによるイメージング時に容易に弱まる必要がある。イメージング層106に適する材料としては、限定はしないが、金属、セラミック及び高分子が挙げられる。
【0031】
イメージング層106に適する材料としては、限定はしないが、チタン、アルミニウム、亜鉛、クロム、バナジウム、ジルコニウム、及びそれらの合金が挙げられる。レーザパルスに金属イメージング層106を短時間露出すると、金属が融除されるか、又は融除されることなく金属が加熱されて、その上の表面層108から分離する。好ましい実施形態では、イメージング層106はまた、その下にあるプライマー層104からも分離する。設計に応じて、クリーニングによって、イメージング層106はその上にある表面層108の分離部分に沿って全体が除去されるか、又はイメージング層106の全体若しくは一部が分離する。金属は、典型的に、適用されたインクを保持するため、多くの場合、それは完全に除去されることは必要とされない。それでもやはり、金属から成るイメージング層106は、好ましくは、層106内における(即ち、イメージングパルスの向きにわたって)熱輸送が最小限となるように薄い(例えば、約50Å〜約500Å)ことが好ましく、それによって、最小限のイメージング出力にて画像転写を実現するようにイメージングパルス領域内に熱を集中させ得る。特定の実施形態では、イメージング層106は、約300Å以下の厚さで適用された(例えば、スパッタリング又は真空蒸着によって)チタンである。
【0032】
チタン層は、取り扱い時の損傷に対してかなりの耐性を示す。この特性は、表面層108の付加前にイメージング層106への損傷が起こり得る製造時、並びに弱い中間層がプレート寿命を短縮させ得る印刷工程自体の両方にとって重要である。チタンはさらに、インクにより運ばれる溶剤(時間の経過と共に、表面層108や、有機層のような、当該溶剤に対し透過性を示す他の材料中へと移動し、プレートを劣化させる)との相互作用に対し耐性があるため、プレート寿命を延長させる。さらに、チタン層に適用されたシリコン表面層108は、より速い速度且つより低い温度にて硬化する傾向があるため、高分子基材102への熱的損傷が回避される。チタンはまた、環境的及び安全上の有利な特性をもたらす。即ち、その融除によっては、測定し得るほどの気体副生物が生成せず、また、環境曝露によっては、健康上の問題は最小限にしか示さない。また、チタンや類似の他の多くの金属は、蒸着工程(真空蒸着、電子線蒸着若しくはスパッタリング)時に酸素と幾分相互作用する傾向があるが、こうして最も形成されるであろう低次の酸化物(特に、TiO)は近IRイメージング放射線を強く吸収する。対照的に、アルミニウム、亜鉛及びビスマスの同様の酸化物は、そのような放射線を比較的吸収しない。
【0033】
あるいはまた、イメージング層106は、金属無機層とし得る。適切な金属無機材料を構成する金属成分は、d軌道(遷移)金属、f軌道(ランタノイド)金属、アルミニウム、インジウム若しくはスズ、又は前出の任意の混合物(合金、あるいはより明確な組成が存在する場合には金属間化合物)とし得る。適切な金属としては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。非金属成分は、p軌道元素であるホウ素、炭素、窒素、酸素及びケイ素のうちの1つ又は複数とし得る。本書による金属/非金属成分は、明確な化学量論比を有しても有していなくてもよく、多くの場合(例えば、Al-Si化合物)には、合金であり得る。金属/非金属の組み合わせとしては、例えば、TiN、TiON、TiOx(0.9≦x≦2.0)、TiAlN、TiAlCN、TiC、及びTiCNが挙げられる。
【0034】
また、イメージング層106は、セラミック層とし得る。セラミックとしては、金属や非金属の耐熱性酸化物、炭化物、及び窒化物が挙げられる。適切なセラミック材料としては、限定はしないが、侵入型炭化物(例えば、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC及びTaC)、共有性炭化物(例えば、B4C及びSiC)、及び侵入型窒化物(例えば、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、BN、及びSi3N4)が挙げられる。他の適切なセラミック材料は、例えば、"Handbook of Refractory Carbides and Nitrides"(1996, William Andrew Publishing, NY)(参照することで本書に取り入れることとする)を参照することによって、当業者であれば容易に分かろう。セラミックイメージング層はまた、例えば銅のようなドーパントを含むことができる。セラミックイメージング層106は、無機化合物の蒸着に適する、当分野で既知の任意の真空蒸着技術を用いて蒸着させ得る。マグネトロンスパッタリング蒸着は、面積の大きい基材をコーティングし得る周知の利点を有するため、好ましい技術である。マグネトロンスパッタリング工程は、典型的に、約10−5Torrオーダーの圧力下で実施される。この低圧によって、セラミックイメージング層の特性に悪影響を及ぼす水や他の不純物の量が低減される。例えば、蒸着システム内の酸素を低減若しくは排除することは重要である。何故なら、酸素は、マグネトロン蒸着工程中に金属種と反応して、不十分な光学的、熱的、機械的特性を有する非量論的なセラミックの蒸着へとつながるからである。所定の原子組成を有するフィルムを得るための最適な蒸着条件の選択は、十分に、当業者が実施できる範囲内である。セラミックイメージング層106は、一般に、約20nm〜約45nmの厚さにて適用される。
【0035】
さらに、本発明によるイメージング層106に使用するのに適する高分子は、それ自体がIR吸収性であるか(例えば、ポリピロール)、又はその中に分散した1つ又は複数のIR吸収性添加物を含有することができる。適切な高分子としては、限定はしないが、ビニル系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)、ポリウレタン、ポリピロール、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(アミド−イミド)、セルロース系ポリマー(例えば、ニトロセルロース)、ポリシアノアクリレート、及びエポキシポリマーが挙げられる。イメージング層はまた、ニトロセルロースなどの1つ又は複数のポリマーと、ビニル系ポリマーとの組み合わせから形成することができる。
【0036】
適切なIR吸収性材料には、カーボンブラック(例えば、マサチューセッツ州ベッドロードのキャボット社から販売されているCAB-O-JET 200、及びニュージャージー州スプリングフィールドのオリエント社から販売されているBONJET BLACK CW-1)、ニグロシン系染料、シアニン染料(例えば、インドレニン染料)、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、アズレン系染料、有機金属染料(例えば、ジチオール−ニッケル錯体)、フタロシアニン(例えば、アルミニウムフタロシアニンクロリド、酸化チタンフタロシアニン、酸化バナジウム(IV)フタロシアニン、及びウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル社から供給されている可溶性フタロシアニン)、ナフタロシアニン、鉄キレート、ニッケルキレート、オキソインドリジン、イミニウム塩、及びインドフェノールなどの、広範な有機及び無機の染料及び顔料が挙げられる。好ましくは、顔料及び/又は染料は、約700〜約900nmの範囲の放射線を吸収する。これらの材料は、架橋して最終的なフィルムとする前に、プレポリマー中に分散させることができる。あるいはまた、吸収剤は、高分子主鎖に化学的に一体化している発色団とし得る。例えば、米国特許第5,210,869号(参照することで、その開示の全てを本書に取り入れることとする)を参照されたい。高分子イメージング層106は、例えば架橋剤をはじめとする、当分野で既知の他の添加剤を含有し得る。
【0037】
高分子イメージング層106は、例えばワイヤ巻きロッドコーティング法、リバースローラコーティング法、グラビアコーティング法、又はスロットダイコーティングのような当分野で既知の任意のコーティング技術を用いて適用することができる。米国特許第5,339,737号(参照することでその開示の全てを本書に取り入れることとする)及び第’512号特許には、本発明による高分子イメージング層106に適する多数の調合並びにコーティング技術が記載されている。
表面層108
乾式プレートの実施形態では、表面層108は、疎油性でありインクをはじく。表面層108のうちイメージング後に残る部分は、印刷部材100の非画像部分を構成する。湿式プレートの実施形態では、表面層108はまた、親水性である。表面層108は、イメージング放射線に対し実質的に透明でなければならず、その下のイメージング層106と強固な結合を形成しなければならない。
【0038】
乾式プレートの表面層108に適する材料としては、シリコンポリマー、フッ素系ポリマー、及びフルオロシリコンポリマーが挙げられる。シリコンポリマーは、ジオルガノシロキサン繰り返しユニット(R2SiO)nをベースとし、ここで、Rは、有機基若しくは水素であり、nは、高分子鎖におけるユニット数を表す。フルオロシリコンポリマーは、シリコンポリマーの一種であり、少なくとも一部のR基が1つ又は複数のフッ素原子を含有するものである。シリコンポリマーの物性は、その高分子鎖の長さ、そのR基の特性、並びにその高分子鎖の末端にある末端基に依存する。当分野で既知の任意の適切なシリコンポリマーを表面層108に取り入れることができる。
【0039】
シリコンポリマーは、典型的に、ジオルガノシロキサンユニットを架橋(又は「硬化」)させて高分子鎖を形成することによって調製される。得られたシリコンポリマーは、直鎖又は分岐とし得る。縮合硬化、付加硬化、及び湿分硬化をはじめとする多数の硬化技術が当分野で周知である。また、シリコンポリマーは、例えば、付着性変性剤、レオロジー変性剤、着色剤、及び放射線吸収性顔料などの1つ又は複数の添加剤を含有することができる。
【0040】
適切なフッ素系ポリマーの例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフロオロアルコキシ(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレンパーフルオロメチルビニルエーテル(MFA)、又はテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデン(THV)が挙げられる。当分野で既知の任意の適切なフッ素系ポリマーを表面層108に取り入れることができる。
【0041】
湿式プレートの表面層108に適する材料としては、ポリビニルアルコールのような、低分子量の水溶性ポリマーが挙げられる。例えば、表面層108は、完全に加水分解されたポリビニルアルコール(例えば、テキサス州ダラスのセラニーズケミカル(Celanese Chemical)社から販売されているCELVOL 305、325及び425)を含むことができ、それは、通常、ポリビニルアセテートの加水分解により製造される。完全に加水分解されたアルコールを用いることは、残留した加水分解されていないアセテートが表面の親水性特性に影響を及ぼさないことを確実にするために好ましい。保護層内に残留ポリビニルアセテート成分が存在すると、印刷部材の非画像領域と印刷インクとの相互作用が促進されて印刷品質が損なわれる恐れがある。当分野で既知の任意の適切な親水性ポリマーを表面層108に取り入れることができる。
【0042】
表面層108は、広範な周知のコーティング技術を用いて印刷部材100に適用することができる。典型的なコーティング技術には、ローラコーティング法、リバースローラ小ティング法、グラビアコーティング法、オフセットグラビアコーティング法、及びワイヤ巻きロッドコーティング法が含まれる。コーティング手順は、非常に均一で、平滑で、水平なコーティングを印刷部材100上に製造しつつ、満足のいく製造速度を達成するのに十分迅速であるべきである。米国特許第5,188,032号、5,212,048号、5,310,869号、及び5,339,737号(参照することでその開示の全てを本書に取り入れることとする)には、本発明による表面層108に適する多数の調合並びにコーティング技術が記載されている。
3. イメージング技術
図2A〜2Cは、本発明による印刷部材200の一実施形態をイメージングする各段階を示しており、当該印刷部材は、基材202、プライマー層204、イメージング層206、及び表面層208を含んで成る。図2Aに示すように、イメージング層206の露出領域210は、イメージングパルスを吸収してそれを熱へと転換する。熱は、イメージング層206を表面層208から分離させ、表面層208を少なくとも部分的に劣化させる。幾つかの実施形態では、図2Bに示すように、イメージング層206は、イメージング放射線に応答して融除される。他の実施形態では、熱は、実質的な融除なしに、イメージング層206と表面層208との間(任意に、イメージング層206とプライマー層204との間)の結合を破壊する。
【0043】
イメージング後、表面層208の少なくとも画像部分を除去することで、その下の親油性表面が露出する。好ましい実施形態では、図2Cに示すように、イメージング放射線を受けた領域内の、表面層208とイメージング層206の両方が除去される。他の実施形態では、イメージング放射線を受けた領域内の、プライマー層204の少なくとも一部が劣化する。イメージング時の残骸は、イメージング後のクリーニング工程(例えば、クリーニング液を用いて、又は乾式引っ張りによって)にて、又は十分な品質の印刷物が製造されるまで印刷部材200を印刷物製造工程に繰り返し付すことによって、除去することができる。露出した親油性領域(例えば、図2Cの領域212)は、インク受容性であり、印刷部材200の画像領域として機能する。乾式印刷部材の実施形態では、表面層208の非画像部は、疎油性であり、インクをはじく。湿式印刷の実施形態では、表面層208の非画像部は親水性であり、湿潤液を受容するため、インクをはじく。
【実施例】
【0044】
以下の実施例において、本発明の幾つかの実施形態を記載するが、それらは例示であって、本発明の範囲や特徴を限定するものではない。
実施例1
以下の実験では、高分子バインダ中の表面張力変性剤量を高めることによって、本発明のプライマー層の表面張力及び粗さに及ぼされる影響を検証する。6つの乾式石版印刷プレートを本発明に従って構成した。各プレートは、ポリエステル基材、セルロースアセテートプロピオナート(CAP)バインダー及びその中に種々の重量%にて分散しているTiO2粒子から成るプライマー層、チタン金属イメージング層、及びシリコン表面層を備える。各プレートにおけるTiO2対CAP比は、以下の表1に示す。
【0045】
各プレートはDimension 400 imager(ニューハンプシャー州ハドソンのプレステク社)を用いてイメージングし、イメージング残留物は機械クリーニング(ニューヨーク州ウェストバビロンのジャビンマシーン(Javin Machine)社)によって取り除いた。次いで、各プレートの画像領域の表面張力を、ホルムアミドと、2-エトキシエタノール若しくは試薬級の水(ニューハンプシャー州クレアモントのダイバーシファイドエンタープライゼス(Diversified Enterprises)社)の何れかとを含有する溶液を用いて、標準的な技術を用いて測定した。各プレートに関する結果を、図3及び以下の表1にまとめている。
【0046】
【表1】

【0047】
図3及び表1に示すように、TiO2対CAPバインダー比を高めると、プライマー層の表面張力は高くなる。
【0048】
また、プライマー層の露出部の平均粗さ深さ値(Rz)を、プレート1、3、5及び6について測定した。Rz値は、当分野で周知の手順に従って、レーザ粗面計を用いて測定した。実験の結果を図4及び上記表1にまとめており、TiO2対CAPバインダー比を高めると、表面張力が高まると共に、プライマー層の粗さが高まることが分かる。
実施例2
以下の実験では、本発明によるプライマー層が、目標とする平均インク密度を達成するのに費やす時間(即ち、ロールアップ回数)に及ぼす影響を検証する。4つの乾式石版印刷プレートを以下のように構成した。
【0049】
【表1A】

【0050】
各プレートはDimension 400 imager(ニューハンプシャー州ハドソンのプレステク社)を用いてイメージングした。イメージング直後に、Toyo ink(イリノイ州アディソンのトーヨーインク社)を用いて、各プレートから1000部の印刷物を製造し、印刷物のインク密度をセットの合間に測定した。インク密度は、Macbeth Status T densitometer(スイス国レゲンスドルフのAmazys Holding AG社)を用いて、各シートの同じ部分のべた領域に関して測定した。各シートのインク密度は、3回(全ての密度読み取り値は±0.05の範囲内に落ち着いた)測定し、その数値を平均した。プライマー層を備えないプレート7は、1000部印刷後に溶剤(PEARLdry cleaner fluid、ニューハンプシャー州ハドソンのプレステク社)で洗浄し、さらに1000部の印刷物を製造した。実験結果を図5及び以下の表2にまとめている。
【0051】
【表2】

【0052】
図5及び表2に示すように、4つ全てのプレートが最初の50シートのうちに高い平均インク密度を達成したが、プライマー層を備えるプレート(即ち、プレート8〜10)は、プライマー層を備えない比較対照プレート(即ち、プレート7)よりも高い密度を達成した。しかしながら、プレート7によって達成される高いインク密度は長続きせず、また、再び高まるのに時間を要した。クリーニング後でさえも、プレート7に関するインク密度は、プレート8〜10のそれほど安定していなかった。プライマー層を備えたサンプルである、3:1 TiO2/セルロースアセテートブチラートプライマー層を備えるプレート10は、最良の平均インク密度を示した。プレート10は、イメージング及びクリーニング後に58dyne/cmの表面張力を有し、一方、プレート7については35dyne/cmであった(溶剤クリーニングステップ後でさえ、プレート7は38dyne/cmの表面張力しか示さなかった)。これらの実験から、高分子バインダー及びその中に分散した表面張力変性剤を含んで成るプライマー層を有する印刷部材は、印刷品質を維持しつつ、印刷物の製造速度を高め得ることが実証された。
実施例3
以下の実験では、種々のインクを用いた場合のロールアップ回数に及ぼす、本発明によるプライマー層の効果を検討している。4つの乾式石版印刷プレートを、上述の実施例2に従って構成し、各プレートをDimension 400 imager(ニューハンプシャー州ハドソンのプレステク社)を用いてイメージングした。イメージング直後に、K-Eインク(ニュージャージー州マウントオリーブのバスフ社)を用いて、各プレートから500部の印刷物を製造し、印刷物の平均インク密度を、上記のようにMacbeth Status T densitometer(スイス国レゲンスドルフのAmazys Holding AG社)を用いて測定した。実験結果を図6及び以下の表3にまとめている。
【0053】
【表3】

【0054】
図6及び表3に示すように、3プライマー層のコーティングされた3つのプレート(即ち、プレート8〜10)は、最初の50シートのうちに高い平均インク密度を達成したが、プライマー層を備えない比較対照プレート(即ち、プレート7)は、許容し得るインク密度に到達するのにより時間を費やした(即ち、約250シート)。これらの実験結果は、実施例3のそれらと一致しており、高分子バインダー内に表面張力変性剤を分散させて成るプライマー層を有する印刷部材が、印刷物製造速度及び品質を高め得ることが実証された。
実施例4
実施例2及び3のプレート7及びプレート10に対応する2つの石版印刷プレートを製造した。各プレートは、Ryobi 3403DIプレス(広島のリョービ社)上に載せ、ProFire laser diode head(ニューハンプシャー州ハドソンのプレステク社)を用いて、915nmのIRダイオード(アリゾナ州タクソンのレーザーテル(Lasertel)社)にてイメージングした。イメージング後、標準的な2ステップから成るクリーニング工程を実施した(乾式引っ張り後、水/グリコール混合物を含んだ布を用いて擦った)。次いで、前記プレスを、Toyo Aqualessブラックインク(イリノイ州アディソンのトーヨーインク社)を用いた印刷モードとした。500刷りし、各シートのインク密度を、上述のようにMacbeth Status T densitometer(スイス国レゲンスドルフのAmazys Holding AG社)を用いて測定した。実験結果を図7にグラフにしてまとめている。
【0055】
最低限1.65の平均インク密度が、許容し得る印刷品質と考えられる。図7に示すように、プライマー層のコーティングされたプレート(即ち、プレート10)は、約15シートのうちに当該レベルに達したが、プライマー層を備えていないプレート(即ち、プレート7)は、許容レベルに到達するのに300シートより多くかかった。この実験により、本発明によるプライマー層を有する石版印刷部材は、許容し得る印刷品質を達成するのに要するシート数を低減させることができるため印刷ジョブの時間及びコストを削減し得ることが実証された。
実施例5
種々の高分子バインダーの利用性を検討するために、表面張力変性剤(即ち、TiO2)は同じであるが高分子バインダーが異なるプライマー層を備えた乾式石版印刷プレートを設けた。また、TiO2表面張力変性剤を含有しないプライマー層を有する比較対照プレートも設けた。プレートは以下のように構成した。
【0056】
【表3A】

【0057】
6つのプレートの各々について、実施例4で記載したようにイメージングし、クリーニングした。各プレートの表面張力値は、上述の実施例1の場合と同様に決定し、また、平均粗さ値(Ra)及び平均粗さ深さ値(Rz)は、レーザ粗面計を用いて、当分野で周知の手順に従って決定した。結果を以下の表4にまとめている。
【0058】
【表4】

【0059】
表4に示すように、本発明によるプライマー層を製造するために広範な高分子バインダーを用いることができる。また、表4からさらに、TiO2表面張力変性剤の導入に起因して、プライマー層の表面粗さ及び表面張力が高まることが分かる。
実施例6
高分子バインダーに対する表面張力変性剤の比が表面張力及び粗さに及ぼす影響を検証するために、異なる量にてTiO2を含むプライマー層を備えた3つの乾式石版印刷プレートを設けた。また、表面張力変性剤を含有しないプライマー層を有する比較対照プレートも設けた。最後に、異なる表面張力変性剤、即ち、チタン酸バリウム(BaTiO3)を含む4番目のプレートを設けた。プレートは、以下のように構成した。
【0060】
【表4A】

【0061】
6つのプレートの各々について、実施例4に記載したようにイメージングし、クリーニングした。各プレートの表面張力値は、上述の実施例1と同様に決定し、表面粗さ値Ra及びRzは、上述のように決定した。結果を以下の表5にまとめる。
【0062】
【表5】

【0063】
表5に示すように、プライマー層内の表面張力変性剤の量を減らすと、画像プレートの粗さ及び表面張力は低下し、インク付け性能が低下する。また、表5から、異なる2つの表面張力変性剤を同じ比で有するプライマー層は、同等の粗さ及び表面張力値を有することが分かり、何れの表面張力変性剤も、本発明による印刷部材に用い得ることが示唆される。
実施例8
上述のように、石版印刷部材は、印刷の際に、静電放電につながり得る静電気を蓄積する特性を有する。静電放電は、印刷オペレータに顕著な健康上、安全上の危険性を課す恐れがあり、また、非画像領域の融除を引き起こし、望ましくない付加的なインク反発性領域を生成する恐れがある。以下の実験では、本発明によるプライマー層が印刷物製造工程時の静電気の蓄積に及ぼす影響を検証すべく意図されている。
【0064】
比較対照として、プライマー層を含まない、実施例3のプレート7に対応する乾式石版印刷プレートを構成した。当該プレートをHeidelberg GTO印刷プレス(ドイツ国ハイデルベルグ)上に配置し、印刷プレスを複数回当てた。プレスを500〜1500回当てると静電気が観察され、当該プレートは、印刷オペレータが当該プレートをプレスから取り外す際に衝撃を感じるほど十分な静電気を保持していた。
【0065】
本発明によるプライマー層の効果を試験するために、3:1 TiO2/セルロースアセテートブチラートプライマー層を備える、実施例3のプレート10に対応した乾式石版印刷プレートを構成した。当該プレートを比較対照プレートと同様の条件に付した。比較対照とは対象的に、3000〜5000回プレスを当てた後にも静電気は観察されなかった。また、オペレータは、プレス取り外しの際に何ら衝撃を受けなかった。
【0066】
これらの実験によって、TiO2/セルロースアセテートブチラートプライマー層を備える印刷部材は、印刷物製造工程時の静電気蓄積を軽減させ得ることが検証された。これらの印刷部材は、安全に取り扱うことができ、製造される印刷物の品質を高めるものである。
【0067】
上述の技術が、改善された石版印刷並びに優れたプレート構成の基礎をもたらすことが分かろう。本明細書で用いた用語や表現は、説明のために用いたものであり、限定の意はなく、また、当該用語や表現には、示した特徴の等価物やそれらの部分を除外する意はない。その代わり、特許請求する本発明の範囲内にて、種々の改良を成し得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】基材、プライマー層、イメージング層及び表面層を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図
【図2A】本発明によるイメージング機構を示す、印刷部材の拡大断面図
【図2B】本発明によるイメージング機構を示す、印刷部材の拡大断面図
【図2C】本発明によるイメージング機構を示す、印刷部材の拡大断面図
【図3】本発明による種々のプライマー層の表面張力を示すグラフ
【図4】本発明による種々のプライマー層の粗さ値を示すグラフ
【図5】比較対照プレート及び本発明による種々の印刷部材により達成される平均インク密度を示すグラフ
【図6】比較対照プレート及び本発明による種々の印刷部材により達成される平均インク密度を示すグラフ
【図7】比較対照プレート及び本発明による種々の印刷部材により達成される平均インク密度を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石版印刷部材をイメージングする方法であって:
(a)高分子基材、その上に配置されたプライマー層、該プライマー層の上に配置されたイメージング層、及び該イメージング層の上に配置された表面層を含んで成る石版印刷部材であって、(i)前記プライマー層が高分子バインダー中に分散された表面張力変性剤を含み、且つ(ii)前記表面層と、前記プライマー層及び前記基材のうちの少なくとも一方とが、インク及びインクが付着しようとしない液体に対して、異なる親和性を有する、石版印刷部材を設けるステップ;
(b)前記石版印刷部材を画像パターン状のイメージング放射線に露出させるステップであって、前記イメージング層が、前記表面層から分離して前記表面層の少なくとも部分的な劣化を引き起こすのに十分加熱される、露出させるステップ;及び
(c)前記石版印刷部材のうちイメージング放射線を受けた部分にある前記表面層を少なくとも除去し、それによって前記石版印刷部材上に画像パターンを生成するステップ、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記高分子バインダーが、セルロースエステル、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記高分子バインダーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、ポリビニルブチラール、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記表面張力変性剤が、金属酸化物粒子、金属窒化物粒子、無機塩粒子、ガラス粒子、及びプラスチック粒子から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記表面張力変性剤が、金属酸化物粒子を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記表面張力変性剤が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、BN、AlN、TiN、ZrN、VN、BaSO4、CaCO3、BaTiO3、CaSiO3、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される粒子を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記表面張力変性剤が、多孔性粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記プライマー層が、50重量%以上の表面張力変性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記プライマー層が、75重量%以上の表面張力変性剤を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記プライマー層が、少なくとも約45dyne/cmの表面張力を有する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記プライマー層が、少なくとも約55dyne/cmの表面張力を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記プライマー層が、少なくとも約65dyne/cmの表面張力を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記プライマー層が、少なくとも約75dyne/cmの表面張力を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記プライマー層が、約7.5μm〜約8.5μmのRz値を有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記プライマー層が、約550nm〜約560nmのRa値を有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記プライマー層が、さらに染料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記高分子基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記高分子基材が、ポリエステルを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記イメージング層が、金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記金属が、チタン、アルミニウム、亜鉛、クロム、バナジウム、ジルコニウム、及びそれらの合金から成る群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記イメージング層が、高分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記イメージング層が、前記高分子中に分散しているIR吸収剤をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記表面層が、疎油性である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記表面層が、シリコンポリマー、フッ素系ポリマー、フルオロシリコンポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記表面層が、シリコンポリマーを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記表面層が、親水性である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記表面層が、ポリビニルアルコールを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記基材が、親油性である、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記プライマー層が、親油性である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
イメージング放射線を受けた前記石版印刷部材部分にある前記表面層及び前記イメージング層が除去される、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記イメージング層の少なくとも一部が、前記イメージング放射線により融除される、請求項1記載の方法。
【請求項32】
石版印刷部材であって:
高分子基材;
その上に配置されたプライマー層であって、高分子バインダー中に分散した表面張力変性剤を含む、プライマー層;
前記プライマー層の上に配置されたイメージング層;及び
前記イメージング層の上に配置された表面層、
を含んで成り、前記表面層と、前記プライマー層及び前記基材のうちの少なくとも一方とが、インク及びインクが付着しようとしない液体に対して、反対の親和性を有する、石版印刷部材。
【請求項33】
前記高分子バインダーが、セルロースエステル、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項34】
前記高分子バインダーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、ポリビニルブチラール、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項35】
前記表面張力変性剤が、金属酸化物粒子、金属窒化物粒子、無機塩粒子、ガラス粒子、及びプラスチック粒子から成る群から選択される、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項36】
前記表面張力変性剤が、金属酸化物粒子を含む、請求項35記載の石版印刷部材。
【請求項37】
前記表面張力変性剤が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、BN、AlN、TiN、ZrN、VN、BaSO4、CaCO3、BaTiO3、CaSiO3、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される粒子を含む、請求項35記載の石版印刷部材。
【請求項38】
前記表面張力変性剤が、多孔性粒子を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項39】
前記プライマー層が、50重量%以上の表面張力変性剤を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項40】
前記プライマー層が、75重量%以上の表面張力変性剤を含む、請求項39記載の石版印刷部材。
【請求項41】
前記プライマー層が、少なくとも約45dyne/cmの表面張力を有する、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項42】
前記プライマー層が、少なくとも約55dyne/cmの表面張力を有する、請求項41記載の石版印刷部材。
【請求項43】
前記プライマー層が、少なくとも約65dyne/cmの表面張力を有する、請求項42記載の石版印刷部材。
【請求項44】
前記プライマー層が、少なくとも約75dyne/cmの表面張力を有する、請求項43記載の石版印刷部材。
【請求項45】
前記プライマー層が、約7.5μm〜約8.5μmのRz値を有する、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項46】
前記プライマー層が、約550nm〜約560nmのRa値を有する、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項47】
前記プライマー層が、さらに染料を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項48】
前記高分子基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項49】
前記高分子基材が、ポリエステルを含む、請求項48記載の石版印刷部材。
【請求項50】
前記イメージング層が、金属を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項51】
前記金属が、チタン、アルミニウム、亜鉛、クロム、バナジウム、ジルコニウム、及びそれらの合金から成る群から選択される、請求項50記載の石版印刷部材。
【請求項52】
前記イメージング層が、高分子を含む、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項53】
前記イメージング層が、前記高分子中に分散しているIR吸収剤をさらに含む、請求項52記載の石版印刷部材。
【請求項54】
前記表面層が、疎油性である、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項55】
前記表面層が、シリコンポリマー、フッ素系ポリマー、フルオロシリコンポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項54記載の石版印刷部材。
【請求項56】
前記表面層が、シリコンポリマーを含む、請求項55記載の石版印刷部材。
【請求項57】
前記表面層が、親水性である、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項58】
前記表面層が、ポリビニルアルコールを含む、請求項57記載の石版印刷部材。
【請求項59】
前記基材が、親油性である、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項60】
前記プライマー層が、親油性である、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項61】
イメージング放射線を受けた前記石版印刷部材部分にある前記表面層及び前記イメージング層が除去される、請求項32記載の石版印刷部材。
【請求項62】
前記イメージング層の少なくとも一部が、前記イメージング放射線により融除される、請求項32記載の石版印刷部材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−536113(P2007−536113A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511481(P2007−511481)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/015223
【国際公開番号】WO2005/108075
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(502395907)プレステク,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】