説明

プラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置

【課題】無機膜と有機膜とを含む積層マスク膜をエッチングしてライン部を形成する場合、又は、マスク膜をエッチングして隣接するライン部の間隔が異なる複数種類のライン部を形成する場合に、ウェハの面内におけるライン部の線幅及び高さの分布を独立して制御できるプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置を提供する。
【解決手段】基板Wに荷電粒子と中性粒子とを含むプラズマを照射することによって、基板Wにプラズマエッチングを行うプラズマエッチング方法において、支持部105に支持されている基板Wの面内における温度分布を調整することによって、基板Wの面内における、基板Wが中性粒子と反応する反応量の分布を制御し、支持部105に支持されている基板Wと、支持部105と対向するように設けられている電極120との間隔を調整することによって、基板Wの面内における荷電粒子の照射量の分布を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にプラズマエッチングを行うプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウェハ等の基板(以下「ウェハ」という。)を加工する装置として、プラズマをウェハに照射することによって、ウェハにエッチングを行うプラズマエッチング装置がある。
【0003】
上記したプラズマエッチング装置で加工される前のウェハは、例えば、シリコン基板よりなるウェハであって、そのウェハ上に表面から上方に向かって順に、二酸化ケイ素(SiO)膜、ポリシリコン膜よりなる被エッチング膜、1層又は複数層よりなるマスク膜、反射防止膜(Bottom Anti-Reflective Coating;BARC)及びフォトレジスト膜(以下「レジスト膜」という。)が形成されているものである。レジスト膜は、予め露光、現像が行われ、ライン部よりなるパターンが形成されている。そして、反射防止膜、マスク膜、被エッチング膜を順次エッチングすることによって、被エッチング膜のライン部よりなるパターンが形成される。被エッチング膜がポリシリコン膜よりなる上記の例は、例えば被エッチング膜をゲート電極とするゲートエッチングの工程に相当する。
【0004】
しかし、昨今では、半導体デバイスの製造工程において、ウェハが大口径化している。ウェハの大口径化に伴って、ウェハの面内における、形成されるライン部の線幅(Critical Dimension;CD)及び高さの面内均一性を確保することが難しくなってきている。
【0005】
上記したようなエッチングでは、フッ素、塩素、酸素等を含むガスが処理ガスとして用いられている。ウェハがエッチングされる際には、これらの処理ガスに含まれるフッ素、塩素、酸素等がプラズマとなる。プラズマには、荷電粒子(以下「イオン」という。)と中性粒子(以下「ラジカル」という。)が含まれている。そして、ウェハの表面がイオンとラジカルとを含むプラズマと反応して反応生成物が生じ、生じた反応生成物が揮発することによってエッチングが進行する。
【0006】
ウェハの表面がプラズマと反応して生じた反応生成物の種類によっては、形成されるライン部に再付着することもある。従って、エッチングを行うことによって形成されるライン部の線幅は、反応生成物が再付着する確率(以下「付着係数」という。)によって異なる。付着係数は、ウェハの温度に依存するため、形成されるライン部の線幅も、ウェハの温度に依存する。ウェハの面内における温度分布を制御可能とすることによって、形成されるライン部の線幅を面内均一性良くエッチングできるプラズマエッチング装置がある(例えば特許文献1参照。)。
【0007】
更に、エッチングを行うことによって形成されるライン部の線幅は、上記した付着係数に加え、隣接するライン部の間隔(パターン間隔)によっても異なることがある。すなわち、ウェハに形成されるライン部の線幅は、ウェハの温度及びパターン間隔にも依存することがある。
【0008】
このようなとき、ウェハの温度を調整することによっては、パターン間隔が大きい部分(以下「疎部」という。)とパターン間隔が小さい部分(以下「密部」という。)におけるライン部の線幅を独立に制御することは難しい。しかし、処理ガスの供給量又は組成比を調整することによって、疎部と密部とにおけるライン部の線幅を独立に制御できる場合がある。そして、ウェハの面内における、温度分布及び処理ガスの供給量又は組成比の分布を制御可能とすることによって、ライン部の線幅を疎部及び密部で独立して制御できるプラズマエッチング装置がある(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2008−532324号公報
【特許文献2】特開2007−81216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記のようなプラズマエッチング装置を用いてプラズマエッチングを行う場合、次のような問題がある。
【0011】
特許文献1に開示された例では、例えば密部のみからなる一様なパターンを形成する際に、形成されるライン部の線幅を面内均一性良くエッチングできる。しかし、前述したように、疎部及び密部を含むパターンを形成するときは、形成されるライン部の線幅を面内均一性良くエッチングできない。
【0012】
一方、特許文献2に開示された例では、疎部及び密部を含むパターンを形成するときも、形成されるライン部の線幅を面内均一性良くエッチングすることはできる。しかし、組成比を含めた処理ガスの供給量を調整すると、ラジカルの供給量のみならずイオンの供給量も連動して変化する。イオンは、直進性が大きく、エッチングレート(以下「エッチング速度」という。)を支配する条件である。従って、処理ガスの供給量又は組成比を制御することによっては、エッチング速度を所望の値に制御することができない。その結果、ウェハの面内で、線幅及び高さを均一に揃えることができず、断面形状がばらつく。
【0013】
更に、マスク膜が有機膜を含むときは、有機膜をエッチングするための処理ガスとして、例えば酸素(O)ガスのように、ラジカルがマスク膜と反応する反応速度又は付着係数が小さい処理ガスを用いるときがある。ラジカルの反応速度等が小さい処理ガスを用いるときは、通常の可変範囲でウェハの温度及び処理ガスの供給量又は組成比を調整しても、ラジカルの反応量をほとんど変化させることができず、ライン部の線幅を制御することができない。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、無機膜と有機膜とを含む積層マスク膜をエッチングしてライン部を形成する場合、又は、マスク膜をエッチングして隣接するライン部の間隔が異なる複数種類のライン部を形成する場合に、ウェハの面内におけるライン部の線幅及び高さの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできるプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の一実施例によれば、基板に荷電粒子と中性粒子とを含むプラズマを照射することによって、前記基板にプラズマエッチングを行うプラズマエッチング方法において、支持部に支持されている前記基板の面内における温度分布を調整することによって、前記基板の面内における、前記基板が前記中性粒子と反応する反応量の分布を制御し、前記支持部に支持されている前記基板と、前記支持部と対向するように設けられている電極との間隔を調整することによって、前記基板の面内における前記荷電粒子の照射量の分布を制御する、プラズマエッチング方法が提供される。
【0017】
本発明の一実施例によれば、基板に荷電粒子と中性粒子とを含むプラズマを照射することによって、前記基板にプラズマエッチングを行うプラズマエッチング装置において、前記基板を支持する支持部と、前記支持部と対向するように設けられている電極と、前記支持部に支持されている前記基板の面内における温度分布を調整する温度分布調整部と、前記支持部に支持されている前記基板と、前記電極との間隔を調整する間隔調整部と、前記温度分布調整部により前記温度分布を調整することによって、前記基板の面内における、前記基板が前記中性粒子と反応する反応量の分布を制御し、前記間隔調整部により前記間隔を調整することによって、前記基板の面内における前記荷電粒子の照射量の分布を制御する制御部とを有する、プラズマエッチング装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無機膜と有機膜とを含む積層マスク膜をエッチングしてライン部を形成する場合、又は、マスク膜をエッチングして隣接するライン部の間隔が異なる複数種類のライン部を形成する場合に、ウェハの面内におけるライン部の線幅及び高さの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図であり、上部電極が退避時位置にある状態を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図であり、上部電極が処理時位置にある状態を示す図である。
【図3】上部電極駆動部を簡略化して示す作用説明図である。
【図4】上部電極の横断面図である。
【図5】ガス供給装置の概略の構成を説明する模式図である。
【図6】第1の実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【図8】ギャップGを調整したときの、ウェハの面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を示すグラフである。
【図9】第2のマスク膜エッチング工程におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。
【図10】第1のマスク膜エッチング工程におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。
【図11】第2の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図であり、上部電極が退避時位置にある状態を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図であり、上部電極が処理時位置にある状態を示す図である。
【図13】上部電極駆動部を簡略化して示す作用説明図である。
【図14】上部電極の横断面図である。
【図15】ガス供給装置の概略の構成を説明する模式図である。
【図16】第2の実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【図18】第2の実施の形態におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1から図10を参照し、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置について説明する。
【0021】
始めに図1及び図2を参照し、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置について説明する。図1及び図2は、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図である。図1は上部電極が退避時位置にある状態を示し、図2は上部電極が処理時位置にある状態を示す。
【0022】
本実施の形態に係るプラズマエッチング装置100は、プラズマエッチング装置の一例として、平行平板型のプラズマエッチング装置として構成されている。
【0023】
プラズマエッチング装置100は、例えば表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから成る円筒形状に成形されたチャンバ(処理容器)102を有している。チャンバ102は接地されている。
【0024】
チャンバ102内の底部には、セラミックなどの絶縁板103を介して略円柱状のサセプタ支持台104が設けられている。また、サセプタ支持台104の上には、下部電極を構成するサセプタ105が設けられている。サセプタ105には、ハイパスフィルタ(HPF)105aが接続されている。
【0025】
サセプタ105は、その上側中央部が凸状の円板状に成形され、その上にウェハWと略同形の静電チャック111が設けられている。静電チャック111は、絶縁材の間に静電電極112が介在された構成となっている。静電チャック111は円板状のセラミックス部材で構成され、静電電極112には直流電源113が接続されている。静電電極112に正の直流電圧が印加されると、ウェハWにおける静電チャック111側の面(以下、「裏面」という。)に負の電位が生じることによって、静電電極112及びウェハWの裏面の間に電位差が生じる。そして、この電位差に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、ウェハWは静電チャック111に吸着保持される。例えば、静電チャック111は、静電電極112に接続された直流電源113から1.5kVの直流電圧が印加される。これによって、ウェハWが静電チャック111に静電吸着される。
【0026】
なお、サセプタ支持台104及びサセプタ105は、本発明における支持部に相当する。
【0027】
サセプタ105には、第1の高周波電源114が第1の整合器115を介して接続され、且つ第2の高周波電源116が第2の整合器117を介して接続されている。第1の高周波電源114は、比較的低い周波数、例えば、13.6MHzの高周波電力であるバイアス電力をサセプタ105に印加する。第2の高周波電源116は、比較的高い周波数、例えば、40MHzの高周波電力であるプラズマ生成電力をサセプタ105に印加する。そして、サセプタ105は、チャンバ102の内部にプラズマ生成電力を印加する。
【0028】
そして、絶縁板103、サセプタ支持台104、サセプタ105、及び静電チャック111には、被処理体であるウェハWの裏面に伝熱媒体(例えばHeガスなどのバックサイドガス)を供給するためのガス通路118が形成されている。この伝熱媒体を介してサセプタ105とウェハWとの間の熱伝達がなされ、ウェハWが所定の温度に維持される。
【0029】
サセプタ105の上端周縁部には、静電チャック111上に支持されたウェハWを囲むように、環状のフォーカスリング119が配置されている。フォーカスリング119は、セラミックスもしくは石英などの誘電材料、または導電体、例えば、ウェハWを構成する材料と同じ単結晶シリコンなどの導電性材料によって構成されている。したがって、プラズマの分布域をウェハW上だけでなくフォーカスリング119上まで拡大し、ウェハWの外周側の部分上におけるプラズマの密度をウェハWの中心側の部分上におけるプラズマの密度と同程度に維持することができる。これにより、ウェハWの面内におけるプラズマエッチングの均一性を向上することができる。
【0030】
次に、サセプタ105に支持されたウェハWの面内における温度分布を調節する温度分布調整部106について説明する。温度分布調整部106は、ヒータ106a、106b、ヒータ用電源106c、106d、温度計106e、106f、冷媒流路107a、107bを有する。
【0031】
サセプタ支持台104の内部には、中心側に中心側ヒータ106aが、外周側に外周側ヒータ106bが設けられている。中心側ヒータ106aには、中心側ヒータ用電源106cが接続され、外周側ヒータ106bには、外周側ヒータ用電源106dが接続されている。中心側ヒータ用電源106c、外周側ヒータ用電源106dは、それぞれ中心側ヒータ106a、外周側ヒータ106bに投入する電力を独立に調節することによって、サセプタ支持台104及びサセプタ105に、半径方向に沿った温度分布を発生させることができる。これにより、ウェハWに半径方向に沿った温度分布を発生させることができる。
【0032】
また、サセプタ支持台104の内部には、中心側温度計106e及び外周側温度計106fが設けられている。中心側温度計106e及び外周側温度計106fは、サセプタ支持台104の中心側及び外周側の温度を計測し、これによりウェハWの中心側及び外周側の温度を導出できる。中心側温度計106e及び外周側温度計106fで計測された温度は、後述する装置制御部190に送られる。装置制御部190は、計測された温度から導出されたウェハWの温度が目標温度となるように、中心側ヒータ用電源106c及び外周側ヒータ用電源106dの出力を調整する。
【0033】
更に、サセプタ支持台104の内部には、中心側に中心側冷媒流路107a、外周側に外周側冷媒流路107bを設けていてもよい。そして、それぞれに異なる温度の、例えば冷却水、フルオロカーボン系等の冷媒を循環させてもよい。この場合中心側冷媒流路107aには、中心側導入管108aを介して中心側冷媒流路107aに冷媒が導入され、循環された後、中心側排出管109aから排出される。外周側冷媒流路107bには、外周側導入管108bを介して外周側冷媒流路107bに冷媒が導入され、循環された後、外周側排出管109bから排出される。
【0034】
サセプタ105は、ヒータ106a、106bによる加熱、及び冷媒からの冷却により、温度が調整される。従って、ウェハWは、プラズマからの輻射やプラズマに含まれるイオンの照射などによる加熱分も含め、サセプタ105との熱量の授受により、所定の温度になるように調整される。また、本実施の形態では、サセプタ支持台104は、中心側に中心側ヒータ106a及び中心側冷媒流路107aを有し、外周側に外周側ヒータ106b及び外周側冷媒流路107bを有する。従って、ウェハWは、中心側と外周側とで独立して温度を調整することができ、ウェハWの面内における温度分布を調整することができる。
【0035】
また、中心側ヒータ106aと外周側ヒータ106bとの間、又は中心側冷媒流路107aと外周側冷媒流路107bとの間、に図示しない空間を設け、断熱層としてもよい。断熱層により、中心側ヒータ106aと外周側ヒータ106bとの間、又は中心側冷媒流路107aと外周側冷媒流路107bとの間が熱的に遮断され、ウェハWの中心側と外周側との間により大きな温度分布を生じさせることが容易となる。
【0036】
サセプタ105の上方には、サセプタ105と平行に対向して上部電極120が設けられている。上部電極120は、上部電極駆動部200によって一方向例えば上下方向に駆動可能に構成されている。上部電極120を上下方向に駆動可能に構成することにより、上部電極120とサセプタ105との間の空間の厚さ、すなわち上部電極120とサセプタ105との間の距離(以下、「ギャップ」という。)Gを調整可能とすることができる。ギャップGを調整可能とすることにより、後述するように、チャンバ102の内部の上部電極120とサセプタ105との間の空間におけるプラズマを適切に分布させることができる。そして、サセプタ105に支持されているウェハWの面内におけるプラズマの照射量の分布を調整することができる。
【0037】
上部電極駆動部200により駆動される上部電極120の上下方向に沿った移動量の最大値は、例えば、70mmとすることができる。このとき、ギャップGを20mm以上90mm以下に調整することができる。
【0038】
なお、プラズマエッチング装置は、図1及び図2に示す構成を90°回転して横に倒した構成にしてもよく、上下反転した構成にしてもよい。また、上部電極120は、本発明における電極に相当する。また、上部電極駆動部200は、本発明における間隔調整部に相当する。
【0039】
上部電極120は、チャンバ102の上部内壁にベローズ122を介して支持されている。ベローズ122はチャンバ102の上部内壁に環状の上部フランジ122aを介してボルトなどの固定手段により取付けられるとともに、上部電極120の上面に環状の上部フランジ122bを介してボルトなどの固定手段により取付けられる。
【0040】
上部電極120には、直流電源123が接続されている。また、上部電極120には、ローパスフィルタ(LPF)124が接続されている。
【0041】
チャンバ102の底部には排気管131が接続されており、排気管131には排気装置135が接続されている。排気装置135は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、チャンバ102内を所定の減圧雰囲気(例えば0.67Pa以下)に調整する。また、チャンバ102の側壁にはゲートバルブ132が設けられている。ゲートバルブ132が開くことによって、チャンバ102内へのウェハWの搬入、及び、チャンバ102内からのウェハWの搬出が可能となる。なお、ウェハWの搬送には例えば搬送アームが用いられる。
【0042】
次に、図3を参照し、上部電極駆動部200の詳細な構成について説明する。図3は、上部電極駆動部を簡略化して示す作用説明図である。図3(a)は上部電極が退避時位置にある状態を示し、図3(b)は上部電極が処理時位置にある状態を示す。
【0043】
上部電極駆動部200は、上部電極120を支持する略円筒状の支持部材204を有する。支持部材204は上部電極120の上部略中央にボルトなどで取付けられている。
【0044】
支持部材204は、チャンバ102の上壁の略中央に形成された孔102aを出入自在に配設される。具体的には支持部材204の外周面はスライド機構210を介してチャンバ102の孔102aの内部に支持されている。
【0045】
スライド機構210は例えばチャンバ102の上部に断面L字状の固定部材214を介して固定部材214の鉛直部に固定された案内部材216と、この案内部材216に摺動自在に支持され、支持部材204の外周面に一方向(本実施形態では上下方向)に形成されたレール部212とを有する。
【0046】
スライド機構210の案内部材216を固定する固定部材214は、その水平部が環状の水平調整板218を介してチャンバ102の上部に固定される。この水平調整板218は、上部電極120の水平位置を調整するためのものである。水平調整板218は、例えば水平調整板218を周方向に等間隔で配置した複数のボルトなどによりチャンバ102に固定し、これらのボルトの突出量により水平調整板218の水平方向に対する傾き量を変えられるように構成するようにしてもよい。この水平調整板218が水平方向に対する傾きを調整することにより、上記スライド機構210の案内部材216が鉛直方向に対する傾きが調整されるので、案内部材216を介して支持される上部電極120の水平方向の傾きを調整することができる。これにより、上部電極120を簡単な操作で常に水平位置に保つことができる。
【0047】
チャンバ102の上側には、上部電極120を駆動するための空気圧シリンダ220が筒体201を介して取付けられている。すなわち、筒体201の下端はチャンバ102の孔102aを覆うようにボルトなどで気密に取付けられており、筒体201の上端は空気圧シリンダ220の下端に気密に取付けられている。
【0048】
上記空気圧シリンダ220は一方向に駆動可能なロッド202を有している。ロッド202の下端は、支持部材204の上部略中央にボルトなどで連設されている。空気圧シリンダ220のロッド202が駆動されることにより、上部電極120は支持部材204によりスライド機構210に沿って一方向に駆動する。ロッド202は円筒状に構成され、ロッド202の内部空間が支持部材204の略中央に形成された中央孔と連通して大気開放されるようになっている。これにより、上部電極120をローパスフィルタ(LPF)124を介して接地する配線、及び上部電極120に直流電源123から直流電圧を印加するための給電線は、ロッド202の内部空間から支持部材204の中央孔を介して上部電極120に接続するように配線することができる。
【0049】
また、空気圧シリンダ220の側部には上部電極120の位置を検出する位置検出手段として例えばリニアエンコーダ205が設けられている。一方、空気圧シリンダ220のロッド202の上端にはロッド202から側方に延出する延出部207aを有する上端部材207が設けられており、この上端部材207の延出部207aにリニアエンコーダ205の検出部205aが当接している。上端部材207は上部電極120の動きに連動するため、リニアエンコーダ205により上部電極120の位置を検出することができる。
【0050】
空気圧シリンダ220は、筒状のシリンダ本体222を上部支持板224と下部支持板226とで挟んで構成されている。ロッド202の外周面には空気圧シリンダ220内を上部空間232と下部空間234に区画する環状の区画部材208が設けられている。
【0051】
図3に示すように、空気圧シリンダ220の上部空間232には上部支持板224の上部ポート236から圧縮空気が導入されるようになっている。また空気圧シリンダ220の下部空間234には下部支持板226の下部ポート238から圧縮空気が導入されるようになっている。これら上部ポート236、下部ポート238から上部空間232、下部空間234へそれぞれ導入する空気量を制御することにより、ロッド202を一方向(ここでは上下方向)へ駆動制御することができる。この空気圧シリンダ220へ導入する空気量は空気圧シリンダ220の近傍に設けられた空気圧回路300により制御される。
【0052】
また、上部電極駆動部200は、制御部290を有しており、制御部290は、装置制御部190と接続されている。装置制御部190からの制御信号は制御部290に伝えられ、制御部290により、上部電極駆動部200の各部が駆動制御される。
【0053】
次に、サセプタ105に支持されたウェハWに供給されるプラズマガスの供給量の分布を調整する供給量分布調整部130について説明する。供給量分布調整部130は、上部電極120と一体で構成されているシャワーヘッド140と、ガス供給装置150とを有する。
【0054】
始めに、図1、図2及び図4を参照し、シャワーヘッド140の構造について説明する。図4は、上部電極の横断面図である。
【0055】
シャワーヘッド140は、サセプタ105に支持されたウェハW上に所定の混合ガスを噴出するものである。シャワーヘッド140は、多数のガス噴出孔141aを有する円形状の電極板141(上部電極120)と、電極板141の上面側を着脱自在に支持する電極支持体142を備えている。電極支持体142は、電極板141と同じ径の円盤形状に形成され、内部に円形状のバッファ室143が形成されている。バッファ室143内には、例えば図4に示すようにOリングからなる環状隔壁部材145が設けられ、バッファ室143を中心側の第1のバッファ室143aと外周側の第2のバッファ室143bに分割している。第1のバッファ室143aは、サセプタ105上のウェハWの中心側の部分に対向し、第2のバッファ室143bは、サセプタ105上のウェハWの外周側の部分に対向している。各バッファ室143a、143bの下面には、ガス噴出孔141aが連通しており、第1のバッファ室143aからは、ウェハWの中心側の部分、第2のバッファ室143bからは、ウェハWの外周側の部分に向けて所定の混合ガスを噴出できる。また、バッファ室143a、143bは、ガス供給装置150により、所定の混合ガスが供給される。
【0056】
次に、図1、図2及び図5を参照し、ガス供給装置150について説明する。図5は、ガス供給装置の概略の構成を説明する模式図である。
【0057】
ガス供給装置150は、図5に示すように複数、例えば3つのガス供給源160a、160b、160cが収容された第1のガスボックス161と、複数、例えば2つの付加ガス供給源162a、162bが収容された第2のガスボックス163を備えている。本実施の形態においては、例えばガス供給源160aには、処理ガスとしての例えばフロロカーボン系のフッ素化合物、例えばCF、C、C、CなどのCガスが封入されている。ガス供給源160bには、例えばCF系の反応生成物の付着を制御するガスとしての例えば酸素(O)ガスが封入されている。ガス供給源160cには、キャリアガスとしての希ガス、例えばArガスが封入されている。付加ガス供給源162aには、例えばエッチングを促進可能なCガスが封入されている。付加ガス供給源162bには、例えばCF系の反応生成物の付着を制御可能な酸素(O)ガスが封入されている。
【0058】
第1のガスボックス161の各ガス供給源160a〜160cには、各ガス供給源160a〜160cからの各種ガスが合流され混合される混合配管170が接続されている。混合配管170には、各ガス供給源160a〜160cからのガスの流量を調整するマスフローコントローラ171がガス供給源毎に設けられている。混合配管170には、混合配管170で混合された混合ガスを分流する第1の分岐配管172と第2の分岐配管173が接続されている。第1の分岐配管172は、シャワーヘッド140の第1のバッファ室143aに接続されている。第2の分岐配管173は、シャワーヘッド140の第2のバッファ室143bに接続されている。
【0059】
第1の分岐配管172には、圧力調整部174が設けられている。同様に第2の分岐配管173には、圧力調整部175が設けられている。圧力調整部174は、圧力計174aとバルブ174bを備えている。同様に圧力調整部175は、圧力計175aとバルブ175bを備えている。圧力調整部174の圧力計174aによる計測結果と、圧力調整部175の圧力計175aによる計測結果は、圧力制御装置176に出力できる。圧力制御装置176は、圧力計174a、175aの計測結果に基づいて、各バルブ174b、175bの開閉度を調整し、第1の分岐配管172と第2の分岐配管173に分流される混合ガスの圧力比、つまり流量比を制御できる。また、圧力制御装置176は、供給ガスの設定時において、後述する第2のガスボックス163から第2の分岐配管173に付加ガスが供給されていない状態で、第1の分岐配管172と第2の分岐配管173を流れる混合ガスの圧力比を所定の目標圧力比に調整し、その状態でバルブ174b、175bの開閉度を固定することができる。
【0060】
第2のガスボックス163の各付加ガス供給源162a、162bには、例えば第2の分岐配管173に連通する付加ガス供給配管180が接続されている。例えば付加ガス供給配管180は、各付加ガス供給源162a、162bに接続され、途中で集合して第2の分岐配管173に接続されている。付加ガス供給配管180は、圧力調整部175の下流側に接続されている。付加ガス供給配管180には、各付加ガス供給源162a、162bからの付加ガスの流量を調整するマスフローコントローラ181が付加ガス供給源毎に設けられている。かかる構成により、第2のガスボックス163の付加ガスを選択して或いは混合させて第2の分岐配管173に供給することができる。
【0061】
第1のガスボックス161におけるマスフローコントローラ171と、第2のガスボックス163におけるマスフローコントローラ181の動作は、例えばプラズマエッチング装置100の後述する装置制御部190により制御されている。したがって、装置制御部190により、第1のガスボックス161及び第2のガスボックス163からの各種ガスの供給の開始と停止、各種ガスの供給量を制御できる。
【0062】
なお、ガス供給装置150は、第2のガスボックス163、付加ガス供給配管180を省略したものであってもよい。
【0063】
また、プラズマエッチング装置100は、装置制御部190を有する。装置制御部190は、例えばCPUよりなる図示しない演算処理装置と、例えばハードディスクよりなる図示しない記録媒体を備えている。装置制御部190は、前述した、第1の高周波電源114、第2の高周波電源116、温度分布調整部106、上部電極駆動部200、供給量分布調整部130の各部の動作を制御する。そして、装置制御部190は、上記各部を動作させる際は、例えば装置制御部190のCPUが、例えば装置制御部190のハードディスクに記録されている、それぞれのエッチング処理に対応するプログラムに応じて、各部を制御する。
【0064】
なお、装置制御部190は、本発明における制御部に相当する。
【0065】
次に、図6及び図7を参照し、プラズマエッチング装置100を用いたプラズマエッチング方法について説明する。図6は、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図7は、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【0066】
本実施の形態に係るプラズマエッチング方法は、図6に示すように、レジストパターン形成工程(ステップS11)、反射防止膜エッチング工程(ステップS12)、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)、被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)を有する。
【0067】
なお、本発明における第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)と第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)は、本発明におけるエッチング工程に含まれる。
【0068】
最初に、レジストパターン形成工程(ステップS11)を行う。レジストパターン形成工程(ステップS11)では、表面に第1のマスク膜13を介して第2のマスク膜14が形成されたウェハ10上に、レジスト膜16よりなるライン部16a、16bを含むレジストパターンを形成する。図7(a)は、レジストパターン形成工程(ステップS11)におけるウェハの状態を示す。
【0069】
なお、ライン部とは、平面視において、ある方向に沿って延びるように設けられ、その延びている方向と直交する方向に沿って、隣接するライン部と互いに離隔して設けられているような構造を有するものをいう。
【0070】
予め、例えば、シリコン基板よりなるウェハ10の表面から上方に向かって順に、絶縁膜11、被エッチング膜12、第1のマスク膜13、第2のマスク膜14、反射防止膜15が形成された基板を準備する。
【0071】
被エッチング膜12は、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法において、最終的にエッチング加工したい膜である。絶縁膜11を例えばゲート絶縁膜として機能する例えばTEOS(テトラエトキシシラン:Tetraethoxysilane)よりなる酸化シリコン(SiO)膜とし、被エッチング膜12を例えばエッチング加工後にゲート電極として機能するポリシリコン膜とすることができる。
【0072】
第1のマスク膜13は、上層の膜である第2のマスク膜14から形状を転写され、下層の膜である被エッチング膜12をエッチングする際のハードマスクとして機能する膜である。第1のマスク膜13は、被エッチング膜12をエッチング加工する際に、被エッチング膜12に対して高い選択比を有することが好ましい。すなわち、第1のマスク膜13のエッチング速度に対する被エッチング膜12のエッチング速度の比が大きいことが好ましい。第1のマスク膜13として、例えばSiN膜、SiON膜等の無機膜を用いることができる。また、第1のマスク膜13の厚さを、例えば200nmとすることができる。
【0073】
第2のマスク膜14は、上層の膜であるレジスト膜16よりなるレジストパターンから形状を転写され、下層の膜である第1のマスク膜13をエッチングする際のマスクとして機能する膜である。第2のマスク膜14は、第1のマスク膜13をエッチング加工する際に、第1のマスク膜13に対して高い選択比を有することが好ましい。すなわち、第2のマスク膜14のエッチング速度に対する第1のマスク膜13のエッチング速度の比が大きいことが好ましい。第2のマスク膜14として、例えば化学気相法(CVD:Chemical Vapor Deposition)により成膜されたアモルファスカーボン、スピンオンにより成膜されたポリフェノールやi線レジスト等のフォトレジストを含む広範な有機系の材料よりなる有機膜を用いることができる。また、第2のマスク膜14の厚さを、例えば280nmとすることができる。
【0074】
反射防止膜15は、その上に形成されるレジスト膜16のフォトリソグラフィを行う際の反射防止膜として機能する膜である。反射防止膜15として、例えば有機BARCと呼ばれるCからなる膜等を用いることができる。また、反射防止膜15の厚さを、例えば80nmとすることができる。
【0075】
次に、上記した絶縁膜11から反射防止膜15が積層されたウェハ10上に、レジスト膜16を形成し、形成されたレジスト膜16をパターン露光し、現像することによって、レジスト膜16よりなるライン部16a、16bを有するレジストパターンを形成する。図7(a)に示すように、レジスト膜16よりなり、線幅CD及び高さHを有するライン部が、配列してなるレジストパターンを形成する。図7(a)の左側には、比較的小さい間隔D1でライン部16aが配列している領域(以下「密部」という。)A1が設けられており、図7(a)の右側には、比較的大きい(間隔D1より大きい)間隔D2でライン部16bが配列している領域(以下「疎部」という。)A2が設けられている。ライン部16a、16bは、反射防止膜15及び第2のマスク膜14をエッチングする際に、マスクとして機能する。レジスト膜16として、例えばArFレジストを用いることができる。また、レジスト膜16の厚さを、例えば170nmとすることができる。
【0076】
なお、線幅CDとは、ライン部の延びている方向と直交する方向に沿った幅寸法を意味する。
【0077】
なお、密部A1におけるライン部は、本発明における第1のライン部に相当する。また、疎部A2におけるライン部は、本発明における第2のライン部に相当する。
【0078】
また、レジストパターン形成工程(ステップS11)の後、反射防止膜エッチング工程(ステップS12)の前に、スリミング処理又はトリミング処理等を行って、レジスト膜16のライン部16a、16bの線幅CDを例えば減少させる等の線幅調整工程を行ってもよい。また、線幅調整工程が行われる場合には、線幅CDとは、線幅調整工程が終わった後の幅寸法を意味する。
【0079】
次に、反射防止膜エッチング工程(ステップS12)を行う。反射防止膜エッチング工程(ステップS12)では、ウェハ10にプラズマを照射し、照射したプラズマにより、反射防止膜15を、レジスト膜16よりなるライン部16a、16bをマスクとしてエッチングする。図7(b)は、反射防止膜エッチング工程(ステップS12)におけるウェハの状態を示す。
【0080】
装置制御部190からの制御信号により、上部電極駆動部200を上下方向に駆動させ、サセプタ105と上部電極120との間の距離を所定のギャップGに設定する。次に、装置制御部190からの制御信号により、ガス供給装置150から第1の分岐配管172、シャワーヘッド140の第1のバッファ室143aを介し、チャンバ102内であってサセプタ105に支持されているウェハWの中心側に所定の供給量FLIで処理ガスを供給する。また、装置制御部190からの制御信号により、ガス供給装置150から第2の分岐配管173、シャワーヘッド140の第2のバッファ室143bを介し、チャンバ102内であってサセプタ105に支持されているウェハWの外周側に所定の供給量FLOで処理ガスを供給する。次に、装置制御部190からの制御信号により、第1の高周波電源114により第1の高周波電力を印加し、第2の高周波電源116により第2の高周波電力を印加する。そして、チャンバ102内に流入した処理ガスは、サセプタ105に接続された第1の高周波電源114及び第2の高周波電源116によりチャンバ102内に印加された高周波電力によって励起されてプラズマとなる。
【0081】
励起されたプラズマには、イオン、電子、ラジカルが含まれている。イオンは、上部電極120とサセプタ105との間に発生するバイアス電圧によってサセプタ105に支持されたウェハ10に向けて引き込まれ、ウェハ10の表面と反応することによって、ウェハ10にエッチング処理を施す。また、ラジカルは、バイアス電位によっては引き込まれないが、ウェハ10の表面まで拡散し、ウェハ10の表面と反応することによって、ウェハ10にエッチング処理を施す。これにより、レジスト膜16よりなるライン部16a、16bをマスクとして、反射防止膜15がエッチングされる。
【0082】
なお、イオンは、本発明における荷電粒子に相当し、ラジカルは、本発明における中性粒子に相当する。
【0083】
反射防止膜エッチング工程(ステップS12)では、処理ガスとして、例えば、CF、C、CHF、CHF、CH等のCF系ガスと、Arガス等の混合ガス、またはこの混合ガスに必要に応じて酸素を添加したガス等を用いることができる。
【0084】
次に、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)を行う。第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、ウェハ10に照射したプラズマにより、第2のマスク膜14を、レジスト膜16及び反射防止膜15よりなるライン部15a、15bをマスクとしてエッチングすることによって、第2のマスク膜14を含むライン部14a、14bを形成する。図7(c)は、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)におけるウェハの状態を示す。
【0085】
第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、サセプタ105に支持されているウェハ10の面内における温度分布を調整するとともに、ウェハ10の面内におけるウェハ10に供給される処理ガスの供給量の分布を調整する。これらの調整によって、ウェハ10の面内におけるプラズマに含まれるラジカルとウェハ10の表面とが反応する反応量の分布を制御する。そして、反応量の分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部14a、14bの線幅CDの分布を制御する。
【0086】
装置制御部190から温度分布調整部106への制御信号により、中心側温度計106e、106fの温度がそれぞれ所定の温度TI、TOとなるように温度調整する。そして、装置制御部190から温度分布調整部106への制御信号により、中心側ヒータ106a及び外周側ヒータ106bを独立して制御する。これにより、ウェハ10の中心側の温度TIと外周側の温度TOを異なる温度に調整することができ、ウェハ10の面内における温度分布を調整することができる。
【0087】
また、装置制御部190から供給量分布調整部130への制御信号により、第1のガスボックス161からのガスが第1の分岐配管172と第2の分岐配管173に分流してシャワーヘッド140の第1のバッファ室143aと第2のバッファ室143bに供給される。第1の分岐配管172と第2の分岐配管173の流量を圧力調整部174、175により調整することにより、ウェハ10の中心側に供給される処理ガスの流量FLIと、ウェハ10の外周側に供給される処理ガスの流量FLOを互いに異なる流量に設定することができる。これにより、ウェハ10の面内における処理ガスの供給量の分布を調整することができる。
【0088】
このようにして、ウェハ10の面内における温度の分布及び処理ガスの供給量の分布を調整することにより、ウェハ10の面内における、第2のマスク膜14よりなるライン部14a、14bの線幅CDの分布を制御する。
【0089】
また、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、装置制御部190から上部電極駆動部200への制御信号により、サセプタ105に支持されているウェハ10と、ウェハ10と対向するように設けられている上部電極120との間隔であるギャップGを調整する。ギャップGを調整することによって、ウェハ10の面内におけるイオンの照射量の分布を制御し、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御する。そして、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部14a、14bの高さHの分布を制御する。
【0090】
第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、処理ガスとして、酸素(O)ガスを用いることができる。
【0091】
次に、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)を行う。第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)では、ウェハ10に照射したプラズマにより、第1のマスク膜13を、第2のマスク膜14よりなるライン部14a、14bをマスクとしてエッチングすることによって、第1のマスク膜13を含むライン部13a、13bを形成する。図7(d)は、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)におけるウェハの状態を示す。
【0092】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)でも、サセプタ105に支持されているウェハ10の面内における温度分布を調整するとともに、ウェハ10の面内におけるウェハ10に供給される処理ガスの供給量の分布を調整する。これらの調整によって、ウェハ10の面内におけるプラズマに含まれるラジカルとウェハ10の表面とが反応する反応量の分布を制御する。そして、反応量の分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部13a、13bの線幅CDの分布を制御する。
【0093】
また、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)でも、装置制御部190から上部電極駆動部200への制御信号により、サセプタ105に支持されているウェハ10と、ウェハ10と対向するように設けられている上部電極120との間隔であるギャップGを調整する。ギャップGを調整することによって、ウェハ10の面内におけるイオンの照射量の分布を制御し、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御する。そして、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部13a、13bの高さHの分布を制御する。
【0094】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)では、処理ガスとして、例えば、CF、C、CHF、CHF、CH等のCF系ガスと、Arガス等の混合ガス、またはこの混合ガスに必要に応じて酸素(O)を添加したガス等を用いることができる。
【0095】
なお、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)及び第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)の間では、次のような関係があってもよい。すなわち、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)においてラジカルと第1のマスク膜13の表面とが反応する反応量の温度依存性は、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)においてラジカルと第2のマスク膜14の表面とが反応する反応量の温度依存性よりも大きくてもよい。後述するように、このような関係を満たすときに、従来の方法では、ウェハ10の面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御することができないからである。
【0096】
次に、被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)を行う。被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)では、ウェハ10に照射したプラズマにより、被エッチング膜12を、第1のマスク膜13よりなるライン部13a、13bをマスクとしてエッチングすることによって、被エッチング膜12を含むライン部12a、12bを形成する。図7(e)は、被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)におけるウェハの状態を示す。
【0097】
被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)でも、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)と同様な制御を行うことができる。すなわち、ウェハ10の面内における温度分布及び処理ガスの供給量の分布を調整することによって、ウェハ10の面内におけるライン部12a、12bの線幅CDの分布を制御し、上部電極120とウェハ10との間隔であるギャップGを調整することによって、ウェハ10の面内におけるライン部12a、12bの高さHの分布を制御する。
【0098】
被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)でも、処理ガスとして、例えば、CF、C、CHF、CHF、CH等のCF系ガスと、Arガス等の混合ガス、またはこの混合ガスに必要に応じて酸素(O)を添加したガス等を用いることができる。
【0099】
次に、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法を用いてウェハにエッチング処理を行うときに、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできることについて説明する。
【0100】
前述したように、処理ガスがプラズマ化されたプラズマには、イオンとラジカルとが含まれている。イオンは、上部電極120とサセプタ105との間に発生するバイアス電圧により加速されてウェハに照射されるため、ウェハに対して主として異方性エッチングを行う。すなわち、形成されるライン部の主として縦方向(深さ方向)にエッチングを行う。一方、ラジカルは、バイアス電圧によっては加速されないため、ウェハに対して主として等方性エッチングを行う。すなわち、形成されるライン部の主として幅方向にエッチングを行う。また、ウェハの表面がプラズマと反応して生じた反応生成物が形成されるライン部に再付着することもある。すなわち、形成されるライン部の線幅CDは、反応生成物が再付着する確率である付着係数によって異なる。付着係数は、ウェハの温度に依存するため、形成されるライン部の線幅CDも、ウェハの温度に依存する。
【0101】
このように、プラズマエッチングでは、ウェハの表面に垂直な方向(縦方向)に沿ったエッチング速度ERを支配するエッチング条件(パラメータ)と、形成されるライン部の線幅CDを支配するエッチング条件(パラメータ)は異なる。
【0102】
縦方向に沿ったエッチング速度ERを支配するパラメータは、ウェハにプラズマが照射されるときは、ウェハの表面に略垂直に入射されるイオンの単位時間当たりの入射量(イオンフラックス)、イオンのエネルギー、及びウェハの表面にラジカルが吸着する吸着量を含む。そして、ラジカルが十分に供給されているときは、縦方向に沿ったエッチング速度ERを最も強く支配するパラメータは、イオンフラックスである。一方、エッチング加工により形成されるライン部の線幅CDのウェハの面内における分布を自在に制御するには、イオンフラックスの分布とラジカルの反応量の分布を独立に制御できることが好ましい。
【0103】
ここで、ウェハの面内におけるイオンフラックスの分布を制御する方法には、永久磁石や電磁石を用いて磁界の分布を調整する方法、電極の分割、インピーダンスの調整によって、電界の分布を調整する方法、上部電極の形状に凹凸を設けたり、上部電極と下部電極との距離(ギャップ)を調整する方法、の3つの方法が考えられる。
【0104】
イオンフラックスの分布を制御するための上記した3つの方法のうち、磁界の分布を調整する方法によると、イオンフラックスの分布を安定して制御することができず、特にウェハ付近に磁界が存在することによりアーキングを起こしやすい。また、電極の分割、インピーダンスの調整を行う方法では、イオンフラックスの分布を略均一にすることができない。
【0105】
一方、ギャップGを調整する方法によれば、イオンフラックスを調整できる調整範囲が大きい。そして、イオンフラックスを調整することによって、面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を制御することができる。
【0106】
ここで、図8を参照し、縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性について説明する。図8は、ギャップGを調整したときの、ウェハの面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を示すグラフである。図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、ギャップGが30mm、50mm、90mmのそれぞれに対応する。また、図8(a)から図8(c)のそれぞれにおいて、横軸は半径方向に沿った中心からの距離Xを示し、縦軸は縦方向のエッチング速度ERを示す。なお、ウェハとして300mmφのものを用いた。
【0107】
図8(a)に示すように、ギャップG=30mmのとき、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの中心付近で最大となり、外周側に向かって一様に減少し、極小を迎えた後、外周付近で若干増大するような分布を示しており、ウェハの面内において均一ではない。このとき、縦方向のエッチング速度ERの平均値は178.4nm/minであり、ばらつきは14.9%であった。
【0108】
一方、図8(b)に示すように、ギャップG=50mmのとき、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの外周付近で中心側より増大するものの、ウェハの面内においてより均一になる。このとき、縦方向のエッチング速度ERの平均値は208.3nm/minであり、ばらつきは12.6%であった。
【0109】
更に、図8(c)に示すように、ギャップG=90mmのとき、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの面内において更に均一になる。このとき、縦方向のエッチング速度ERの平均値は164.5nm/minであり、ばらつきは7.3%であった。
【0110】
このように、ギャップGを調整することによって、イオンフラックスの分布を制御することができる。
【0111】
一方、ウェハにプラズマが照射されるときは、プラズマに含まれるイオンは、ウェハの表面に略垂直な方向に入射し、ライン部の側壁にほとんど照射しない。従って、形成されるライン部の線幅CDを支配するパラメータは、ライン部の側壁にラジカルが付着することによって側壁の表面にポリマー膜が成膜される反応の反応量、及びライン部の側壁とラジカルが反応することによって側壁の表面がエッチングされる反応の反応量を含む。
【0112】
そして、ウェハの面内におけるラジカルの反応量を制御する方法には、ラジカルを発生するために供給する処理ガスの供給量の分布を調整する方法、混合ガスとして供給される処理ガスの組成比の分布を調整する方法、反応速度を調整するためにウェハの面内における温度分布を調整する方法、の3つの方法が考えられる。
【0113】
また、ラジカルの反応量の分布を制御するための上記した3つの方法のうち、処理ガスの供給量の分布を調整する方法、処理ガスの組成比の分布を調整する方法によると、ウェハの面内における処理ガスの供給量、組成比を局所的に調整することができない。そのため、ラジカルの反応量の分布を局所的に調整することができない。
【0114】
一方、ウェハの温度分布を調整する方法によれば、各種の処理ガス、各種のラジカルを用いるときも、ラジカルの反応量の分布を局所的に調整することができる。従って、面内におけるライン部の線幅CDの分布を局所的に制御することができる。
【0115】
具体的に表1を参照し、ギャップGを調整する方法と、ウェハの温度分布を調整する方法を組み合わせ、イオンフラックスの分布とラジカルの反応量の分布を独立に制御できることを説明する。ここでは、下記(A)及び(B)の条件で、ギャップGとウェハの温度分布を調整し、ウェハの面内における線幅CDのばらつきを求めた。
(A)第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)
第2のマスク膜の材質:ナフタレン(又はポリスチレン)
第2のマスク膜の膜厚:280nm
成膜装置内圧力 :20mTorr
高周波電源パワー(40MHz/13MHz):500/0W
上部電極の電位 :0V
処理ガスの流量 :O=750sccm
処理時間 :60秒
(B)第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)
第1のマスク膜の材質:窒化珪素(SiN)
第1のマスク膜の膜厚:280nm
成膜装置内圧力 :75mTorr
高周波電源パワー(40MHz/13MHz):500/0W
上部電極の電位 :300V
処理ガスの流量 :CHF/CF/Ar/O=125/225/600/60sccm(ただし、外周側には、CH=20sccmを添加してもよい)
処理時間 :60秒
なお、(A)及び(B)では、処理ガスの供給量として処理ガスの流量を調整する例を示すが、流量を変えず、バルブを開閉して供給時間を変えることによって、供給量を調整してもよい。
【0116】
表1は、ギャップG及びウェハの中心側の温度TI、外周側の温度TOを調整したときの、密部A1における線幅のばらつきCD1σを示す。また、表1では、処理ガスの中心側の流量FLIと外周側の流量FLOとの比を、予め50対50で最適化している例を示す。
【0117】
【表1】

表1に示すように、ギャップG=30mm、中心側温度TI=40℃、外周側温度T0=40℃の条件では、CD1σ=7.5nmとなり、ばらつきが大きい。そして、中心側温度TI=40℃、外周側温度T0=40℃の条件を変えずに、ギャップGを50mm、90mmと調整したところ、それぞれCD1σ=3.8nm、CD1σ=1.9nmとなり、ばらつきを低減させることができた。
【0118】
また、ギャップGのみならず、中心側温度TI、外周側温度TOの調整を行ったところ、ギャップG=50mm、中心側温度TI=50℃、外周側温度TO=40℃の条件で、CD1σ=1.5nmまでばらつきを低減させることができた。
【0119】
すなわち、発明者らは、イオンフラックスの分布とラジカルの反応量の分布を、低コストでかつ効果的に独立して制御する方法として、ギャップGを調整する方法と、ウェハの温度分布を調整する方法との組み合わせが最も好ましいことを、見出したものである。
【0120】
更に、エッチングを行うことによって形成されるライン部の線幅CDは、上記した付着係数に加え、隣接するライン部の間隔(パターン間隔)によっても異なる。従って、ウェハに形成されるライン部の線幅CDは、ウェハの温度及びパターン間隔に依存する。
【0121】
ここで、前述したように、ウェハの面内においてパターン間隔が異なる領域があるときは、ウェハの温度を調整することによっては、密部A1におけるライン部の線幅CDと、疎部A2におけるライン部の線幅CDとを独立に制御することは難しい。これについては、組成比を含めた処理ガスの供給量を調整することによって、密部A1と疎部A2とにおけるライン部の線幅CDを独立に制御できる。
【0122】
また、表1は疎部A2における線幅のばらつきCD2σも示す。前述したように、予め、処理ガスの中心側の流量FLIと外周側の流量FLOを50対50で最適化してある。そのため、ギャップG、中心側温度TI、外周側温度TOの調整を行ったところ、ギャップG=50mm、中心側温度TI=50℃、外周側温度TO=40℃の条件で、疎部A2においても、CD2σ=2.9nmまでばらつきを低減させることができた。
【0123】
次に、図9及び図10を参照し、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御できる具体例について説明する。
【0124】
図9は、第2のマスク膜エッチング工程におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。図9(a)から図9(d)のそれぞれは、左側から右側に向かって、密部A1及び疎部A2における線幅CDの温度依存性並びに縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を示す。
【0125】
一方、図10は、第1のマスク膜エッチング工程におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。図10(a)から図10(d)のそれぞれは、左側から右側に向かって、密部A1及び疎部A2における線幅CDの温度依存性並びに縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を示す。
【0126】
始めに、図10に示す第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)において、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできることについて説明する。
【0127】
図10(a)は、温度分布、供給量分布、ギャップGを調整する前の各依存性を示す。図10(a)では、中心側流量FLIをFLI0とし、外周側流量FLOをFLO0としている。図10(a)では、密部A1における線幅CDは、ウェハの中心側及び外周側において、それぞれ異なる温度依存性を有し、疎部A2における線幅CDも、ウェハの中心側及び外周側において、それぞれ異なる温度依存性を有する例を示す。また、図10(a)に示す例では、線幅CDの温度依存性は、密部A1及び疎部A2において、温度依存性の符号が逆になっている。また、図10(a)に示す例では、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの中心側及び外周側において、異なるギャップ依存性を示している。また、ギャップGは、現時点で中心側と外周側とで縦方向のエッチング速度ERの差が小さいG0になっている。
【0128】
図10(a)に示す例では、ウェハの中心側の温度TI及び外周側の温度TOを等しい温度T0とした場合、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1とを等しくすることはできない。また、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2とを等しくすることはできない。
【0129】
図10(b)は、次に、温度分布を調整した後の各依存性を示す。図10(b)に示すように、中心側の温度TIをT0よりも小さいT1とし、外周側の温度TOをT0よりも大きいT2とする。このように面内における温度分布を調整することによって、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1との差をより小さくすることができる。しかし、密部A1及び疎部A2において、線幅CDの温度依存性の符号が逆であるために、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2との差を小さくすることができない。
【0130】
図10(c)は、次に、供給量分布を調整した後の各依存性を示す。図10(c)に示すように、中心側の流量をFLI0よりも小さいFLI1とし、外周側の流量をFLO0よりも大きいFLO1とする。このように、面内におけるガス供給量の分布を調整することによって、密部A1及び疎部A2において、中心側ではラジカルの反応量が少なくなるため、線幅CDの温度依存性を示す直線が下方側に移動する。また、外周側ではラジカルの反応量が多くなるため、線幅CDの温度依存性を示す直線が上方側に移動する。
【0131】
また、疎部A2におけるライン部13bは、密部A1におけるライン部13aよりもラジカルと接触して反応しやすい。そのため、ガスの供給量を変化させたときに、疎部A2におけるライン部13bの線幅CDの方が密部A1におけるライン部13aの線幅CDよりも大きく変化するときがある。すなわち、密部A1のライン部13aがラジカルと反応する反応量のガス供給量依存性は、疎部A2のライン部13bがラジカルと反応する反応量のガス供給量依存性よりも小さいときがある。
【0132】
従って、供給量分布を調整することによって、密部A1よりも疎部A2において、線幅CDを大きく変化させることができる。そして、図10(c)に示すように、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1とを略等しくするとともに、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2とを略等しくすることができる。
【0133】
ところが、ガス供給量を変化させると、イオンフラックスも変化するため、図10(c)に示すように、縦方向のエッチング速度ERも変化する。中心側ではイオンフラックスが減少し、外周側ではイオンフラックスが増加するため、ギャップがG0のときは、面内における温度分布及びガス供給量を調整する前に比べ、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差が大きくなる。
【0134】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)では、更に、ギャップGを調整することにより、上記した中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。
【0135】
図10(d)は、次に、ギャップGを調整した後の各依存性を示す。図10(d)に示す例では、ギャップをG0よりも小さいG1とする。これにより、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。従って、面内におけるラジカルの反応量の分布を調整した上で、面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を調整することができる。
【0136】
このように、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)では、温度分布及び処理ガスの供給量又は組成比の制御に加え、ギャップGを調整することによって、ライン部の線幅CDの分布と縦方向のエッチング速度ERの分布とを独立して制御することができる。これにより、ウェハの面内で、線幅CD及び高さHを均一に揃え、断面形状を均一に揃えることができる。
【0137】
次に、図9に示す第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)において、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできることについて説明する。
【0138】
図9(a)は、温度分布、供給量分布、ギャップGを調整する前の各依存性を示す。図9(a)では、中心側流量FLIをFLI0とし、外周側流量FLOをFLO0としている。図9(a)では、密部A1における線幅CDは、ウェハの中心側及び外周側のそれぞれにおいて、ほとんど温度依存性を有しておらず、疎部A2における線幅CDも、ウェハの中心側及び外周側のそれぞれにおいて、ほとんど温度依存性を有していない例を示す。また、図9(a)に示す例では、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの中心側及び外周側において、異なるギャップ依存性を示している。また、ギャップGは、現時点で中心側と外周側とで縦方向のエッチング速度ERの差が小さいG0になっている。
【0139】
すなわち、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)においてラジカルと第2のマスク膜14の表面とが反応する反応量の温度依存性は、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)においてラジカルと第1のマスク膜13の表面とが反応する反応量の温度依存性よりも小さいときがある。なお、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)におけるラジカルは、本発明における第1の中性粒子に相当する。また、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)におけるラジカルは、本発明における第2の中性粒子に相当する。
【0140】
そして、図9(a)に示す例では、ウェハの中心側の温度TI及び外周側の温度TOを等しい温度T0とした場合、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1とを等しくすることはできない。また、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2とを等しくすることはできない。
【0141】
このように、線幅CDがほとんど温度依存性を示さないのは、処理ガスが、ラジカルがライン部の側壁と反応する反応速度が小さい処理ガスであるか、ラジカルがライン部の側壁に付着する付着係数がもともと低い処理ガスであるときである。前述したように、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、処理ガスとして酸素(O)を用いるが、プラズマに含まれる酸素ラジカル(O)については、反応係数及び付着係数が小さいものと考えられる。
【0142】
図9(b)は、次に、温度分布を変更した後の各依存性を示す。図9(b)に示すように、密部A1及び疎部A2においては、もともと線幅CDに温度依存性がほとんどない。従って、中心側の温度TIをT0よりも小さいT1とし、外周側の温度TOをT0よりも大きいT2としても、密部A1においては、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1との差を小さくすることができない。また、疎部A2においても、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2との差を小さくすることができない。
【0143】
図9(c)は、次に、供給量分布を調整した後の各依存性を示す。図9(c)に示すように、中心側の流量をFLI0よりも小さいFLI1とし、外周側の流量をFLO0よりも大きいFLO1とする。このように、面内におけるガス供給量の分布を調整することによって、密部A1及び疎部A2において、中心側ではラジカルの反応量が少なくなるため、線幅CDの温度依存性を示す直線が下方側に移動する。また、外周側ではラジカルの反応量が多くなるため、線幅CDの温度依存性を示す直線が上方側に移動する。
【0144】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)と同様に、例えば、疎部A2におけるライン部14bは、密部A1におけるライン部14aよりもラジカルと接触して反応しやすい。そのため、ガスの供給量を変化させたときに、疎部A2におけるライン部14bの線幅CDの方が密部A1におけるライン部14aの線幅CDよりも大きく変化するときがある。すなわち、密部A1のライン部14aがラジカルと反応する反応量のガス供給量依存性は、疎部A2のライン部14bがラジカルと反応する反応量のガス供給量依存性よりも小さいときがある。
【0145】
従って、供給量分布を調整することによって、密部A1よりも疎部A2において、線幅CDを大きく変化させることができる。そして、図9(c)に示すように、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1とを互いに略等しくし、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2とを互いに略等しくすることができる。
【0146】
ところが、図10に示した例と同様に、ガス供給量を変化させると、ラジカルの供給量のみならずイオンフラックスも変化するため、図9(c)に示すように、縦方向のエッチング速度ERも変化する。中心側ではイオンフラックスが減少し、外周側ではイオンフラックスが増加するため、ギャップがG0のときは、面内における温度分布及びガス供給量を調整する前に比べ、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差が大きくなる。
【0147】
第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、更に、ギャップGを調整することにより、上記した中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。
【0148】
図9(d)は、次に、ギャップGを調整した後の各依存性を示す。図9(d)に示す例では、ギャップをG0よりも小さいG1とする。これにより、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。従って、面内におけるラジカルの反応量の分布を調整した上で、面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を調整することができる。
【0149】
このように、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)では、ラジカルの反応速度又は付着係数が小さい処理ガスを用いるため、通常の可変範囲でウェハの温度及び処理ガスの供給量又は組成比を調整しても、ライン部の線幅CDを制御することができない。しかし、温度分布及び処理ガスの供給量又は組成比を調整するのに加え、ギャップGを調整することによって、ライン部の線幅CDの分布と縦方向のエッチング速度ERの分布とを独立して制御することができる。これにより、ウェハの面内で、線幅CD及び高さHを均一に揃え、断面形状を均一に揃えることができる。
【0150】
以上、図9及び図10を用いて説明した例では、説明を分かり易くするために、面内における温度分布を調整し、次に、面内におけるガス供給量の分布を調整し、次に、ギャップGを調整する手順を説明した。しかし、温度分布の調整、ガス供給量の分布の調整、ギャップGの調整を行う順番は、限定されるものではなく、任意の順番に調整を行うことができる。
【0151】
また、中心側及び外周側における温度TI、TO及び流量FLI、FLO並びにギャップGの各条件の組み合わせに対応して得られる密部A1及び疎部A2における線幅CD並びに縦方向のエッチング速度ERのデータを予め準備しておいてもよい。その場合、予め準備したデータに基づいて、面内における線幅及びエッチング速度ERの分布が均一になるように、各条件を最適化することができる。そのような各条件の最適化は、装置制御部190によって行うことができる。
【0152】
また、マスク膜の選択及びそのマスク膜をエッチングするための処理ガスの選択に際しては、その膜をエッチングする際の上層の膜及び下層の膜とのエッチング速度の選択比を確保しながら、面内におけるライン部の形状の分布を制御できることが好ましい。したがって、本実施の形態によれば、適切な処理ガスが異なり、それぞれの処理ガスに対してエッチング速度の選択比を大きくすることができる無機膜及び有機膜を積層したマスク膜を用いることができる。これにより、レジストパターンの形状を精度良く被エッチング膜に転写することができ、かつ、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
【0153】
なお、本実施の形態では、有機膜を含む上層のマスク膜と無機膜を含む下層のマスク膜とよりなるマスク膜の例について説明した。しかし、いずれか一方のマスク膜よりなる例にも適用でき、その場合にも、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置について説明する。
【0154】
本変形例は、第2のマスク膜エッチング工程において、有機膜をエッチングする際に、ラジカルの反応速度が大きく、付着係数が大きい処理ガスを用いる点で、第1の実施の形態と相違する。
【0155】
本変形例でも、第1の実施の形態と同様に、図1から図5を用いて説明したプラズマエッチング装置を用いることができる。また、本変形例に係るプラズマエッチング方法も、第1の実施の形態と同様に、図6を用いて説明したレジストパターン形成工程(ステップS11)、反射防止膜エッチング工程(ステップS12)、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)、被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)を有する。また、各工程におけるウェハの状態も図7に示す通りである。
【0156】
一方、本変形例では、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)において、処理ガスとして、酸素(O)ガスに代え、窒素(N)ガス/水素(H)ガスよりなる混合ガスを用いることができる。第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)において、温度分布、供給量分布、ギャップGの調整を行う際の、他の条件の一例を示す。
(C)第2のマスク膜エッチング工程(ステップS13)
第2のマスク膜の材質:ナフタレン(又はポリスチレン)
第2のマスク膜の膜厚:280nm
成膜装置内圧力 :100mTorr
高周波電源パワー(40MHz/13MHz):700/0W
上部電極の電位 :0V
処理ガスの流量 :N/H=160/480sccm
処理時間 :60秒
窒素(N)ガス/水素(H)ガスよりなる混合ガスを用いて第2のマスク膜14をエッチングするときは、第1の実施の形態で説明した図10と同様の、線幅CDの温度依存性及びガス供給量依存性並びに縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を示すことがある。従って、第1の実施の形態における第1のマスク膜エッチング工程(ステップS14)と同様にして、温度分布、供給量分布、ギャップGを調整することができる。
【0157】
すなわち、図10(a)に示したように、ウェハの中心側及び外周側において、線幅CDはそれぞれ異なる温度依存性を有する。そのため、図10(b)に示したように、面内における温度分布を調整するだけでは、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1との差を小さくすることはできるものの、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2との差を小さくすることができない。そして、図10(c)に示したように、中心側及び外周側における処理ガスの流量FLI、FLOを調整することによって、中心側の密部A1における線幅CDI1と外周側の密部A1における線幅CDO1とを略等しくし、中心側の疎部A2における線幅CDI2と外周側の疎部A2における線幅CDO2とを略等しくすることができる。ただし、同時にイオンフラックスが変動してしまうため、図10(d)に示したように、更に、ギャップGを調整することによって、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。
【0158】
本変形例でも、適切な処理ガスが異なり、それぞれの処理ガスに対してエッチング速度の選択比を大きくすることができる無機膜及び有機膜を積層したマスク膜を用いることができる。これにより、レジストパターンの形状を精度良く被エッチング膜に転写することができ、かつ、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
【0159】
また、本変形例でも、有機膜を含むマスク膜及び無機膜を含むマスク膜のいずれか一方のマスク膜よりなる例にも適用でき、その場合にも、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図11から図15を参照し、本発明の第2の実施の形態に係るプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置を説明する。
【0160】
本実施の形態は、面内におけるガス供給量の分布を調整しない点において、第1の実施の形態と相違する。また、形成されるパターンが疎部を有しておらず、密部のみを有している点において、第1の実施の形態と相違する。
【0161】
図11から図15を参照し、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置について説明する。図11及び図12は、本実施の形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図である。図11は上部電極が退避時位置にある状態を示し、図12は上部電極が処理時位置にある状態を示す。図13は、上部電極駆動部を簡略化して示す作用説明図である。図13(a)は上部電極が退避時位置にある状態を示し、図13(b)は上部電極が処理時位置にある状態を示す。
【0162】
図11から図13に示すように、プラズマエッチング装置100aは、シャワーヘッド140a(上部電極120a)及びガス供給装置150a以外の各部分については、図1から図3を用いて説明したプラズマエッチング装置100と同様であり、プラズマエッチング装置100の各部分と同じ符号を付して説明を省略する。
【0163】
シャワーヘッド140aは、サセプタ105に支持されたウェハW上に所定の混合ガスを噴出するものである。シャワーヘッド140aは、多数のガス噴出孔141aを有する円形状の電極板141(上部電極120a)と、電極板141の上面側を着脱自在に支持する電極支持体142を備えていることは、第1の実施の形態と同様である。また、電極支持体142、バッファ室143cが形成されていることは、第1の実施の形態と同様である。
【0164】
一方、本実施の形態では、バッファ室143c内には、Oリングからなる環状隔壁部材が設けられておらず、複数のバッファ室には分割されていない。バッファ室143cの下面には、ガス噴出孔141aが連通しており、ウェハWに向けて所定の混合ガスを噴出できる。また、バッファ室143cは、ガス供給装置150aにより、所定の混合ガスが供給される。
【0165】
図13に示すように、上部電極駆動部200の詳細な構成も、第1の実施の形態と同様である。ただし、本実施の形態では、後述するように、上部電極120aのバッファ室143cにガスを供給する混合配管170が分岐せず、1系統である。そのため、ベローズ122の径が第1の実施の形態に比べ小さくなっていてもよい。
【0166】
次に、図11、図12、図14及び図15を参照し、ガス供給装置150aについて説明する。図14は、上部電極の横断面図である。図15は、ガス供給装置の概略の構成を説明する模式図である。
【0167】
ガス供給装置150aは、複数、例えば3つのガス供給源160a、160b、160cが収容されたガスボックス161を備えている。また、ガス供給源160aには、例えばCF、C、C、CなどのCガスが封入され、ガス供給源160bには、例えば酸素(O)ガスが封入され、ガス供給源160cには、例えばArガスが封入されている。
【0168】
各ガス供給源160a〜160cには、混合配管170がマスフローコントローラ171を介して接続されている。また、混合配管170は分岐せずに、シャワーヘッド140aのバッファ室143cに接続されている。
【0169】
混合配管170には、圧力調整部174が設けられており、圧力調整部174は、圧力計174aとバルブ174bを備えている。圧力調整部174の圧力計174aによる計測結果が、圧力制御装置176に出力でき、圧力制御装置176は、圧力計174aの計測結果に基づいて、バルブ174bの開閉度を調整し、混合配管170に通流される処理ガスの流量を制御できる。
【0170】
ガスボックス161におけるマスフローコントローラ171の動作は、例えばプラズマエッチング装置100aの装置制御部190により制御されている。したがって、装置制御部190により、ガスボックス161からの各種ガスの供給の開始と停止、各種ガスのガス供給量を制御できる。
【0171】
次に、図16及び図17を参照し、プラズマエッチング装置100aを用いたプラズマエッチング方法について説明する。図16は、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図17は、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法の各工程におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【0172】
本実施の形態に係るプラズマエッチング方法は、図16に示すように、レジストパターン形成工程(ステップS21)、反射防止膜エッチング工程(ステップS22)、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)、被エッチング膜エッチング工程(ステップS25)を有する。
【0173】
最初に、レジストパターン形成工程(ステップS21)を行う。レジストパターン形成工程(ステップS21)は、第1の実施の形態におけるレジストパターン形成工程(ステップS11)と同様にすることができる。図17(a)は、レジストパターン形成工程(ステップS21)におけるウェハの状態を示す。ただし、図17(a)に示すように、本実施の形態では、間隔D1でライン部16aが配列している領域(密部)A1のみが形成されており、疎部は形成されていない。
【0174】
次に、反射防止膜エッチング工程(ステップS22)を行う。反射防止膜エッチング工程(ステップS22)は、第1の実施の形態における反射防止膜エッチング工程(ステップS12)と同様にすることができる。図17(b)は、反射防止膜エッチング工程(ステップS22)におけるウェハの状態を示す。
【0175】
次に、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)を行う。第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)では、ウェハ10に照射したプラズマにより、第2のマスク膜14を、レジスト膜16及び反射防止膜15よりなるライン部15aをマスクとしてエッチングすることによって、第2のマスク膜14を含むライン部14aを形成する。図17(c)は、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)におけるウェハの状態を示す。
【0176】
第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)では、サセプタ105に支持されているウェハ10の面内における温度分布を調整する。この調整によって、ウェハ10の面内におけるプラズマに含まれるラジカルとウェハ10の表面とが反応する反応量の分布を制御する。そして、反応量の分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部14aの線幅CDの分布を制御する。
【0177】
装置制御部190から温度分布調整部106への制御信号により、中心側温度計106e、106fの温度がそれぞれ所定の温度TI、TOとなるように温度調整する。そして、装置制御部190から温度分布調整部106への制御信号により、中心側ヒータ106a及び外周側ヒータ106bを独立して制御する。これにより、ウェハ10の中心側の温度TIと外周側の温度TOを異なる温度に調整することができ、ウェハ10の面内における温度分布を調整することができる。
【0178】
このようにして、ウェハ10の面内における温度の分布を調整することにより、ウェハ10の面内における、第2のマスク膜14よりなるライン部14aの線幅CDの分布を制御する。
【0179】
また、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)では、装置制御部190から上部電極駆動部200への制御信号により、サセプタ105に支持されているウェハ10と、ウェハ10と対向するように設けられている上部電極120aとの間隔であるギャップGを調整する。ギャップGを調整することによって、ウェハ10の面内におけるイオンの照射量の分布を制御し、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御する。そして、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部14aの高さHの分布を制御する。
【0180】
第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)では、処理ガスとして、酸素(O)ガスを用いることができる。
【0181】
次に、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)を行う。第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)では、ウェハ10に照射したプラズマにより、第1のマスク膜13を、第2のマスク膜14よりなるライン部14aをマスクとしてエッチングすることによって、第1のマスク膜13を含むライン部13aを形成する。図17(d)は、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)におけるウェハの状態を示す。
【0182】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)でも、サセプタ105に支持されているウェハ10の面内における温度分布を調整する。この調整によって、ウェハ10の面内におけるプラズマに含まれるラジカルとウェハ10の表面とが反応する反応量の分布を制御する。そして、反応量の分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部13aの線幅CDの分布を制御する。
【0183】
また、第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)でも、装置制御部190から上部電極駆動部200への制御信号により、サセプタ105に支持されているウェハ10と、ウェハ10と対向するように設けられている上部電極120aとの間隔であるギャップGを調整する。ギャップGを調整することによって、ウェハ10の面内におけるイオンの照射量の分布を制御し、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御する。そして、縦方向(深さ方向)のエッチング速度ERの分布を制御することによって、ウェハ10の面内におけるライン部13aの高さHの分布を制御する。
【0184】
第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)では、処理ガスとして、例えば、CF、C、CHF、CHF、CH等のCF系ガスと、Arガス等の混合ガス、またはこの混合ガスに必要に応じて酸素(O)を添加したガス等を用いることができる。
【0185】
その後、被エッチング膜エッチング工程(ステップS25)は、第1の実施の形態における被エッチング膜エッチング工程(ステップS15)と同様にすることができる。図17(e)は、被エッチング膜エッチング工程(ステップS25)におけるウェハの状態を示す。
【0186】
次に、本実施の形態に係るプラズマエッチング方法を用いてウェハにエッチング処理を行うときに、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御でき、断面形状を面内均一性良くエッチングできることについて説明する。
【0187】
本実施の形態でも、ギャップGの調整によりイオンフラックスの分布を制御する方法と、ウェハの温度分布の調整によりラジカルの反応量の分布を制御する方法とを組み合わせることによって、イオンフラックスの分布とラジカルの反応量の分布を独立に制御することができる。
【0188】
ここで、図18を参照し、ウェハの面内におけるライン部の線幅CD及び高さHの分布を独立して制御できる具体例について説明する。
【0189】
図18は、本実施の形態におけるライン部の線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を模式的に示すグラフである。図18(a)から図18(c)のそれぞれは、左側から右側に向かって、線幅CDの温度依存性及び縦方向のエッチング速度ERのギャップ依存性を示す。
【0190】
また、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)及び第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)において、温度分布、供給量分布、ギャップGの調整を行う際の、他の条件の一例を示す。
(D)第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)
第2のマスク膜の材質:ナフタレン(又はポリスチレン)
第2のマスク膜の膜厚:280nm
成膜装置内圧力 :100mTorr
高周波電源パワー(40MHz/13MHz):700/0W
上部電極の電位 :0V
処理ガスの流量 :N/H=160/480sccm
処理時間 :60秒
(E)第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)
第1のマスク膜の材質:TEOS−SiO
第1のマスク膜の膜厚:280nm
成膜装置内圧力 :75mTorr
高周波電源パワー(40MHz/13MHz):500/0W
上部電極の電位 :300V
処理ガスの流量 :CHF/CF/Ar/O=125/225/600/60sccm(ただし、外周側には、CH=20sccmを添加してもよい)
処理時間 :60秒
本実施の形態では、第1の実施の形態の変形例と同様に、有機膜をエッチングする際にラジカルの反応速度が大きく、付着係数が大きい処理ガスを用いるため、第2のマスク膜エッチング工程(ステップS23)及び第1のマスク膜エッチング工程(ステップS24)は、ともに図18を用いて説明できる。
【0191】
図18(a)は、温度分布、ギャップGを調整する前の各依存性を示す。図18(a)では、線幅CDがウェハの中心側及び外周側において、それぞれ異なる温度依存性を有する例を示す。また、図18(a)に示す例では、縦方向のエッチング速度ERは、ウェハの中心側及び外周側において、異なるギャップ依存性を示している。
【0192】
図18(b)は、次に、温度分布を調整した後の各依存性を示す。図18(b)に示すように、中心側の温度TIをT0よりも小さいT1とし、外周側の温度TOをT0よりも大きいT2とする。このように面内における温度分布を調整することによって、中心側の線幅CDIと外周側の線幅CDOとの差をより小さくすることができる。
【0193】
図18(c)は、次に、ギャップGを調整した後の各依存性を示す。図18(c)に示す例では、ギャップをG0よりも大きいG1とする。これにより、中心側における縦方向のエッチング速度ERIと外周側における縦方向のエッチング速度EROとの差を小さくすることができる。従って、面内におけるラジカルの反応量の分布を調整した上で、面内における縦方向のエッチング速度ERの分布を調整することができる。
【0194】
本実施の形態でも、適切な処理ガスが異なり、それぞれの処理ガスに対してエッチング速度の選択比を大きくすることができる無機膜及び有機膜を積層したマスク膜を用いることができる。これにより、レジストパターンの形状を精度良く被エッチング膜に転写することができ、かつ、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
【0195】
また、本実施の形態でも、有機膜を含むマスク膜及び無機膜を含むマスク膜のいずれか一方のマスク膜よりなる例にも適用でき、その場合にも、面内における被エッチング膜よりなるライン部の形状の分布を均一にするように制御することができる。
【0196】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0197】
10、W ウェハ
13 第1のマスク膜
14 第2のマスク膜
105 サセプタ(支持部)
106 温度分布調整部
120 上部電極(電極)
130 供給量分布調整部
140 シャワーヘッド
190 装置制御部
200 上部電極駆動部(間隔調整部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に荷電粒子と中性粒子とを含むプラズマを照射することによって、前記基板にプラズマエッチングを行うプラズマエッチング方法において、
支持部に支持されている前記基板の面内における温度分布を調整することによって、前記基板の面内における、前記基板が前記中性粒子と反応する反応量の分布を制御し、
前記支持部に支持されている前記基板と、前記支持部と対向するように設けられている電極との間隔を調整することによって、前記基板の面内における前記荷電粒子の照射量の分布を制御する、プラズマエッチング方法。
【請求項2】
照射した前記プラズマにより、前記基板上に形成されたマスク膜をエッチングすることによって、前記マスク膜を含むライン部を形成するエッチング工程を有し、
前記エッチング工程は、前記反応量の分布を制御することによって、前記基板の面内における前記ライン部の線幅の分布を制御し、前記照射量の分布を制御することによって、前記基板の面内における前記ライン部の高さの分布を制御するものである、請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項3】
前記エッチング工程は、
前記基板に第1の荷電粒子と第1の中性粒子とを含む第1のプラズマを照射し、照射した前記第1のプラズマにより、前記基板上に第1のマスク膜を介して形成された第2のマスク膜をエッチングすることによって、前記第2のマスク膜を含む前記ライン部を形成する第2のマスク膜エッチング工程と、
前記第2のマスク膜を含む前記ライン部が形成された前記基板に第2の荷電粒子と第2の中性粒子とを含む第2のプラズマを照射し、照射した前記第2のプラズマにより、前記第1のマスク膜をエッチングすることによって、前記第1のマスク膜を含む前記ライン部を形成する第1のマスク膜エッチング工程と
を有し、
前記第2のマスク膜が前記第1の中性粒子と反応する反応量の温度依存性は、前記第1のマスク膜が前記第2の中性粒子と反応する反応量の温度依存性よりも小さい、請求項2に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項4】
前記温度分布を調整するとともに、前記基板の面内における、前記基板に供給される処理ガスの供給量又は組成の分布を調整することによって、前記反応量の分布を制御する、請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項5】
照射した前記プラズマにより、前記基板上に形成されたマスク膜をエッチングすることによって、前記マスク膜を含み第1の間隔で配列する第1のライン部と、前記マスク膜を含み前記第1の間隔よりも大きい第2の間隔で配列する第2のライン部とを形成するエッチング工程を有し、
前記エッチング工程は、前記反応量の分布を制御することによって、前記基板の面内における、前記第1のライン部及び前記第2のライン部のそれぞれの線幅の分布を制御し、前記照射量の分布を制御することによって、前記基板の面内における、前記第1のライン部及び前記第2のライン部のそれぞれの高さの分布を制御するものであり、
前記第1のライン部が前記中性粒子と反応する第1の反応量の温度依存性は、前記第2のライン部が前記中性粒子と反応する第2の反応量の温度依存性よりも小さい、請求項4に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項6】
前記エッチング工程は、
前記基板に第1の荷電粒子と第1の中性粒子とを含む第1のプラズマを照射し、照射した前記第1のプラズマにより、前記基板上に第1のマスク膜を介して形成された第2のマスク膜をエッチングすることによって、それぞれ前記第2のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とを形成する第2のマスク膜エッチング工程と、
それぞれ前記第2のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とが形成された前記基板に第2の荷電粒子と第2の中性粒子とを含む第2のプラズマを照射し、照射した前記第2のプラズマにより、前記第1のマスク膜をエッチングすることによって、それぞれ前記第1のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とを形成する第1のマスク膜エッチング工程と
を有し、
前記第2のマスク膜が前記第1の中性粒子と反応する反応量の温度依存性は、前記第1のマスク膜が前記第2の中性粒子と反応する反応量の温度依存性よりも小さい、請求項5に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項7】
前記第1のマスク膜は、無機膜を含み、
前記第2のマスク膜は、有機膜を含み、
前記第1の中性粒子は、酸素ラジカルを含み、
前記第2の中性粒子は、フッ素ラジカルを含む、請求項3又は請求項6に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項8】
基板に荷電粒子と中性粒子とを含むプラズマを照射することによって、前記基板にプラズマエッチングを行うプラズマエッチング装置において、
前記基板を支持する支持部と、
前記支持部と対向するように設けられている電極と、
前記支持部に支持されている前記基板の面内における温度分布を調整する温度分布調整部と、
前記支持部に支持されている前記基板と、前記電極との間隔を調整する間隔調整部と、
前記温度分布調整部により前記温度分布を調整することによって、前記基板の面内における、前記基板が前記中性粒子と反応する反応量の分布を制御し、前記間隔調整部により前記間隔を調整することによって、前記基板の面内における前記荷電粒子の照射量の分布を制御する制御部と
を有する、プラズマエッチング装置。
【請求項9】
前記プラズマエッチング装置は、照射した前記プラズマにより、前記基板上に形成されたマスク膜をエッチングすることによって、前記マスク膜を含むライン部を形成するものであり、
前記制御部は、前記ライン部を形成する際に、前記反応量の分布を制御することによって、前記基板の面内における前記ライン部の線幅の分布を制御し、前記照射量の分布を制御することによって、前記基板の面内における前記ライン部の高さの分布を制御するものである、請求項8に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項10】
前記プラズマエッチング装置は、前記基板に第1の荷電粒子と第1の中性粒子とを含む第1のプラズマを照射し、照射した前記第1のプラズマにより、前記基板上に第1のマスク膜を介して形成された第2のマスク膜をエッチングすることによって、前記第2のマスク膜を含む前記ライン部を形成し、前記第2のマスク膜を含む前記ライン部が形成された前記基板に第2の荷電粒子と第2の中性粒子とを含む第2のプラズマを照射し、照射した前記第2のプラズマにより、前記第1のマスク膜をエッチングすることによって、前記第1のマスク膜を含む前記ライン部を形成するものであり、
前記第2のマスク膜が前記第1の中性粒子と反応する反応量の温度依存性は、前記第1のマスク膜が前記第2の中性粒子と反応する反応量の温度依存性よりも小さい、請求項9に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項11】
前記基板の面内における、前記基板に供給される処理ガスの供給量又は組成の分布を調整する供給量分布調整部を有し、
前記制御部は、前記温度分布調整部により前記温度分布を調整するとともに、前記供給量分布調整部により、前記基板の面内における、前記供給量又は前記組成の分布を調整することによって、前記反応量の分布を制御するものである、請求項8に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項12】
前記プラズマエッチング装置は、照射した前記プラズマにより、前記基板上に形成されたマスク膜をエッチングすることによって、前記マスク膜を含み第1の間隔で配列する第1のライン部と、前記マスク膜を含み前記第1の間隔よりも大きい第2の間隔で配列する第2のライン部とを形成するものであり、
前記制御部は、前記第1のライン部と前記第2のライン部とを形成する際に、前記反応量の分布を制御することによって、前記基板の面内における、前記第1のライン部及び前記第2のライン部のそれぞれの線幅の分布を制御し、前記照射量の分布を制御することによって、前記基板の面内における、前記第1のライン部及び前記第2のライン部のそれぞれの高さの分布を制御するものであり、
前記第1のライン部が前記中性粒子と反応する第1の反応量の温度依存性は、前記第2のライン部が前記中性粒子と反応する第2の反応量の温度依存性よりも小さい、請求項11に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項13】
前記プラズマエッチング装置は、前記基板に第1の荷電粒子と第1の中性粒子とを含む第1のプラズマを照射し、照射した前記第1のプラズマにより、前記基板上に第1のマスク膜を介して形成された第2のマスク膜をエッチングすることによって、それぞれ前記第2のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とを形成し、それぞれ前記第2のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とが形成された前記基板に第2の荷電粒子と第2の中性粒子とを含む第2のプラズマを照射し、照射した前記第2のプラズマにより、前記第1のマスク膜をエッチングすることによって、それぞれ前記第1のマスク膜を含む前記第1のライン部と前記第2のライン部とを形成するものであり、
前記第2のマスク膜が前記第1の中性粒子と反応する反応量の温度依存性は、前記第1のマスク膜が前記第2の中性粒子と反応する反応量の温度依存性よりも小さい、請求項12に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項14】
前記第1のマスク膜は、無機膜を含み、
前記第2のマスク膜は、有機膜を含み、
前記第1の中性粒子は、酸素ラジカルを含み、
前記第2の中性粒子は、フッ素ラジカルを含む、請求項10又は請求項13に記載のプラズマエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−192664(P2011−192664A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54828(P2010−54828)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】