説明

プラズマディスプレイパネル用熱処理装置

【課題】長尺なローラーコンベアを必要とせずに大型のガラス基板の熱処理が可能なプラズマディスプレイパネル(PDP)用熱処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】PDPを構成するガラス基板36を、単独で、もしくはガラス基板支持材35上に載置した状態で搬送しつつ熱処理を行うPDP用熱処理装置であって、ローラーコンベア32を、前記PDP用熱処理装置の両側壁31bそれぞれから前記熱処理装置31の内部に延出させて、搬送方向に複数本、互いに対向させて、且つ回転自在に配設し、前記ローラーコンベア32は中空構造で、ローラコンベア32内を通った気体を、ローラコンベア32の先端32aから噴出させ、前記ローラーコンベア32で搬送されるガラス基板36の底面、もしくは、ガラス基板36を載置したガラス基板支持材35の底面に吹き付けるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルを製造する際に用いるプラズマディスプレイパネル用熱処理装置に関し、特に、例えば42インチサイズ16面取り、のような大版のガラス基板を熱処理する熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は、対向配置した前面パネルと背面パネルの周縁部を封着部材によって封着した構造であって、前面パネルと背面パネルとの間に形成された放電空間には、ネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。
【0003】
前面パネルは、ガラス基板の片面にストライプ状に形成された走査電極と維持電極とからなる複数の表示電極対と、これらの表示電極対を覆う誘電体層および保護層とを備えている。表示電極対は、それぞれ透明電極とその透明電極上に形成した金属材料からなる補助電極とによって構成されている。
【0004】
背面パネルは、もう一方のガラス基板の片面に、表示電極対と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画するストライプ状の隔壁と、隔壁間の溝に順次塗布された赤色、緑色、青色の蛍光体層とを備えている。
【0005】
表示電極対とアドレス電極は立体的に交差していて、その交差部が放電セルになる。これらの放電セルはマトリクス状に配列され、表示電極対の方向に並ぶ赤色、緑色、青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素になる。
【0006】
PDPは順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧を印加してガス放電を発生させ、そのガス放電で生じる紫外線で蛍光体層を励起し発光させることによりカラー画像を表示している。
【0007】
ここで、前面パネルおよび背面パネルの製造方法としては、前面ガラス基板上には、表示電極対、誘電体層などの構成物を、また、背面ガラス基板上には、アドレス電極、下地誘電体層、隔壁、蛍光体層などの構成物を、所定の形状、パターンで配置している。
【0008】
これら構成物は、それぞれの材料(前駆体材料)をガラス基板上に塗布し、必要に応じてフォトリソグラフィ法やサンドブラスト法などにより所定のパターニングした後、焼成により固化することで形成される。
【0009】
ここで、ガラス基板上に所定の材料(前駆体材料)を塗布することで材料層を形成し、そして、焼成・固化することによりそれぞれの構成物をガラス基板上に形成するという工程において、焼成・固化する際には、ガラス基板をガラス基板支持板上(いわゆる、セッター)に載せ、ガラス基板支持板とともに熱処理装置に投入し、投入されたガラス基板は、セッター上に載置されたまま、熱処理装置内に設けられたローラーコンベア等の搬送手段によって搬送されながら、所定の温度曲線に従ったプロセスにより焼成などの熱処理が行われる、いわゆるローラーハース方式の熱処理装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−322472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最近では、製造されるPDPが大画面化しつつあることから、ガラス基板を熱処理するための上述のような熱処理装置においても装置幅が大きくなり、その結果、使用されるローラーコンベアの長さも長くなりつつある。
【0011】
しかしながら、ローラーコンベアはセラミックス製であることから、長尺のローラーコンベアを製作することは、中央部分での曲げモーメントが増大することからローラーコンベアが撓んだり破損する可能性があるという理由から、困難であるという問題があった。また、装置をメンテナンスする場合に、ローラーコンベアを装置側面からから抜きとる必要があり、そのためのスペースを確保することが必要となるのであるが、ローラーコンベアが長尺である場合には、そのスペースも大きくなり、工場スペースの有効利用という観点からは問題となる場合があった。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、長尺なローラーコンベアを必要とせずに大版のガラス基板の熱処理が可能なPDP用熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現するために本発明は、PDPを構成するガラス基板を、単独で、もしくはガラス基板支持材上に載置した状態で搬送しつつ熱処理を行うPDP用熱処理装置であって、ローラーコンベアを、前記PDP用熱処理装置の両側壁それぞれから前記熱処理装置の内部に延出させて、搬送方向に複数本、互いに対向させて、且つ回転自在に配設し、前記ローラーコンベアは中空構造で、ローラコンベア内を通った気体を、ローラコンベアの先端から噴出させ、前記ローラーコンベアで搬送されるガラス基板の底面、もしくは、ガラス基板を載置したガラス基板支持材の底面に吹き付けるように構成したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長尺なローラーコンベアを必要とせずに大版のガラス基板の熱処理が可能なPDP用熱処理装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置について図面を用いて説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置を用いて製造されるPDPの概略構成を示す断面斜視図である。
【0017】
PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面パネル2と、背面ガラス基板11などよりなる背面パネル10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着部材によって気密封着している。封着されたPDP1内部の放電空間16には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
【0018】
前面パネル2の前面ガラス基板3の一主面上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対のストライプ状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。さらにこれらの表示電極6と遮光層7とを覆うようにPb−B系ガラスなどからなりコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
【0019】
また、背面パネル10の背面ガラス基板11の一主面上には、走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数のストライプ状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、緑色、および青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、および青色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
【0020】
次に、PDPの製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3の一主面上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。走査電極4と維持電極5は、インジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO)などからなる透明電極と、その上に形成した銀ペーストなどからなる金属バス電極とによって構成されている。これらの電極は、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。これらの電極材料層は所望の温度で焼成固化される。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成固化することにより形成される。
【0021】
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することにより塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法により形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面パネル2が完成する。
【0022】
一方、背面パネル10は以下のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11の一主面上に、銀ペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成し、それを所望の温度で焼成固化することによりアドレス電極12を形成する。
【0023】
次に、アドレス電極12が形成された面の背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
【0024】
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成固化することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。
【0025】
次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成固化することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面パネル10が完成する。
【0026】
上述した工程より所定の構成部材を備えた前面パネル2と背面パネル10とを、走査電極4及び維持電極5とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にネオン、キセノンなどを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
【0027】
以上、説明したように、PDPの製造工程において、前面ガラス基板3上の金属バス電極(図示せず)、遮光層7、誘電体層8、および背面ガラス基板11上のアドレス電極12、下地誘電体層13、隔壁14、蛍光体層15は、それぞれの構成部材用の前駆体材料を前面ガラス基板3または背面ガラス基板11の上に塗布し、必要に応じて所定のパターンに形成した後、焼成固化することにより作製される。焼成工程は構成部材毎に500℃〜600℃で行われ、少なくとも前面パネル2の場合には2回、背面パネル10の場合には4回の焼成工程が必要となる。
【0028】
次に、上述した熱処理工程である、焼成・固化する工程で使用するPDP用熱処理装置について説明する。
【0029】
図2は、一般的なローラーハース方式の熱処理装置の概略構成を示す断面図である。図2に示すように、熱処理装置22は、その側壁22aを貫通させて、複数本のセラミックス製のローラーコンベア20を一定ピッチで配置した、トンネル炉方式の熱処理装置である。
【0030】
各ローラーコンベア20は、熱処理装置22外に設けた駆動装置21によって同一向きに回転するようになっている。そして、ガラス基板24をガラス基板支持材23上に載置した状態で、ガラス基板支持材23を前記ローラーコンベア20上に載せて、ガラス基板支持材23ごとガラス基板24を搬送するようにしている。
【0031】
熱処理装置22内は、ガラス基板24の搬送方向に沿って、予熱帯、乾燥帯、焼成帯、冷却帯など、その温度プロファイルに従って区分されており、この温度プロファイルは、熱処理装置22内に設けられた、バーナやヒータ等の加熱手段によって形成されている。
【0032】
すなわち、ガラス基板24は、多数のローラーコンベア20によって炉長方向に搬送されることで、熱処理装置22内において、予熱帯、乾燥帯、焼成帯、冷却帯などを通過し、その間に、所定の温度履歴が与えられ、熱処理される。
【0033】
図3は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置の一部分を切り出して概略構成を示す図である。図3(a)は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置31の一部分を上方から見た平面図であり、図3(b)は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置31の一部分を、ガラス基板36の搬送方向に対して正面から見た断面図である。
【0034】
熱処理装置31は、耐火材や断熱材による、床面31a、側壁31b、天井壁31cから構成され、トンネル状をしている。そして、熱処理装置31内部には、加熱手段が設けられている。この加熱手段の一例として、天井ヒータ、床面ヒータが挙げられる。
【0035】
また、ローラーコンベア32は、円柱形状であり、耐熱材料である、例えばセラミックス材料で構成されており、アルミナ(Al)や炭化珪素(SiC)などを挙げることができる。
【0036】
ローラーコンベア32は、熱処理装置31の両側壁31bを貫通して複数本、ガラス基板36の搬送方向に沿って一定ピッチで配置され、熱処理装置31内に延出したローラーコンベア32の先端32aは互いに対向している。
【0037】
なお、上記の「先端32aは互いに対向している」とは、両側壁31bそれぞれから熱処理装置31内に延出したローラコンベア32の軸心が一致する場合だけでなく、例えば互い違いにずれているといった構造も含む。
【0038】
ローラコンベア32は、前述したように、熱処理装置31外から側壁31bを貫通して配設されている。ローラーコンベア32の基端32bは、装置31外に配設されたローラコンベア支持部材33により回転自在に支持されている。そして、ローラコンベア32は、サーボモータやインバータモータなどの駆動手段34により、同一速度で一定の向きに回転するようになっている。
【0039】
ここで、ローラーコンベア32は中空構造となっており、その基端32bには気体供給管37が取り付けられており、供給された気体はローラコンベア32内を通り、ローラーコンベア32の先端32aの孔(開口)から気体が噴出するようになっている。
【0040】
そして、ローラコンベア32により支持されて搬送される、ガラス基板36を載置したガラス基板支持材35は、底面31aとの間に、2〜3mm程度の隙間31dを形成するようにローラーコンベア32によって支持されており、且つ、床面31aには、ローラ32が配設される部分に、断面形状がローラ32の形状に沿った円弧状である溝部38を設けており、先端32aより噴出した気体は溝部38の断面形状に沿って上方に吹き出、その後、隙間31dに吹き込むことから、すなわち、先端32aから噴出した気体はガラス基板支持材35の底面に向かって吹き付けられることとなる。
【0041】
以上のような構成により、先端32aから噴出した気体により、ガラス基板36を載せたガラス基板支持材35の底面を、浮かび上がらない程度に押し上げることが可能となる。
【0042】
このことにより、ローラーコンベア32がガラス基板36を載置したガラス基板支持材35を搬送する際に作用する、ガラス基板36とガラス基板支持材35との荷重によるローラーコンベア32に対する曲げモーメントは、ガラス基板36の大版化に伴いその程度が大きくなってしまうのであるが、その曲げモーメントを低減することが可能となり、もって、最悪の場合、ローラーコンベア32が破損してしまうという課題の発生を防止することができる。
【0043】
そして上述したような状態で、ローラコンベア32を一定の向きに回転させ、この回転により、ローラコンベア32の上に載せられた、ガラス基板36を載置したガラス基板支持材35を、熱処理装置31内で搬送する。ガラス基板支持材35上に載置されたガラス基板36は、熱処理装置31内を搬送される間に熱処理され、例えば、前駆体材料により形成した材料層の焼成・固化が行われるようになっている。なお、前記熱処理には、焼成・固化以外にも、例えば乾燥などの処理も含まれる。
【0044】
以上述べた構成においては、先端32aからの気体の噴出量は、ガラス基板36を載せたガラス基板支持材35の底面を、浮かび上がらない程度に押し上げる程度で、且つ、熱処理装置31内での温度状態制御の観点から、できるだけ少なくすることが好ましい。
【0045】
また、供給された気体が、ローラーコンベア32の、両側壁31bに対する貫通部分から漏れないように、漏れ防止のためのカラー39を取り付けてもよい。
【0046】
また、以上の説明においては、ガラス基板36の搬送に際しては、ガラス基板支持材35上に載置した状態とした例を示しているが、ガラス基板支持材35を用いずにガラス基板36を単独で、直接、ローラーコンベア32により搬送する形態であっても構わない。すなわち、上述した本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置によれば、先端32aからの気体の噴出により、ローラーコンベア32に作用するガラス基板36の自重に起因する荷重は低減されることとなるので、ガラス基板36とローラーコンベア32との間で作用する摩擦力は小さくなり、したがって、ガラス基板36のローラーコンベア32とが搬送時に接触することによりガラス基板に発生する場合がある「擦りキズ」を大幅に低減することができる。
【0047】
特に、本発明のPDP用熱処理装置が対象とする、大版のガラス基板36であると、その自重が大きく、通常の熱処理装置であるとローラーコンベアに対しその自重がそのまま作用することとなるため、ガラス基板36の、ローラーコンベアとの接触面においては「擦れキズ」の発生が顕著となってしまうところ、上述した本発明の一実施の形態のPDP用熱処理装置によれば、そのようなキズの発生を大幅に低減することが可能となる。
【0048】
なお、気体供給管37は、図示しない、例えばブロワなどの気体供給手段に接続されており、気体供給手段により、気体供給管37には、空気や窒素等の気体が加圧された状態で供給されるようになっている。
【0049】
気体供給管37からローラコンベア32内を通った気体は、熱処理装置31内の熱で予熱され、先端部32aから噴出することとなる。
【0050】
図4は、本発明の他の実施の形態によるPDP用熱処理装置の一部分を切り出して概略構成を示す図である。図4(a)は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置41の一部分を上方から見た平面図であり、図4(b)は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置41の一部分を、ガラス基板36の搬送方向に対して正面から見た断面図である。なお、図3と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0051】
図4に示す実施の形態の特徴的な点は、床面41aの形状が、ローラコンベア32が配設されている部分で、ローラコンベア32の形状に沿って設けられている、断面が円弧状である溝部48の先端48aを、ローラーコンベア32の先端32aよりさらに延長した形状としており、このことにより図3に示した構造の場合に比べ、さらに効果的に、先端32aから噴出した気体を、被搬送物である、ガラス基板36を載置したガラス基板支持材35の底面、もしくはガラス基板36単体の場合にはガラス基板36の底面に、吹き付けることが可能となり、もってローラーコンベア32に対して作用する曲げモーメントの低減を効果的に行うことが可能となる。
【0052】
図5は、本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置におけるローラーコンベア32の先端32aの概略構造の一例を示す図である。図5(a)に示すような孔32cを形成したコーン形状や、図5(b)に示すような孔32cの加工を施したオリフィス形状などを挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明は、大画面、高精細のPDPを提供する上で有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置を用いて製造されるPDPの概略構成を示す断面斜視図
【図2】一般的なローラーハース方式の熱処理装置の概略構成を示す断面図
【図3】本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置の一部分を切り出して概略構成を示す図
【図4】本発明の他の実施の形態によるPDP用熱処理装置の一部分を切り出して概略構成を示す図
【図5】本発明の一実施の形態によるPDP用熱処理装置におけるローラーコンベアの先端の概略構造の一例を示す図
【符号の説明】
【0055】
1 プラズマディスプレイパネル(PDP)
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
20 ローラコンベア
21 駆動装置
22 熱処理装置
23 ガラス基板支持材
24 ガラス基板
31 熱処理装置
31a 床面
31b 側壁
31c 天井壁
31d 隙間
32 ローラコンベア
32a ローラ先端
32b ローラ基端
32c 孔
33 ローラコンベア支持部材
34 駆動手段
35 ガラス基板支持材
36 ガラス基板
37 気体供給管
38 溝部
39 カラー
41 熱処理装置
48 溝部
48a 溝部の先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルを構成するガラス基板を、単独で、もしくはガラス基板支持材上に載置した状態で搬送しつつ熱処理を行うプラズマディスプレイパネル用熱処理装置であって、ローラーコンベアを、前記プラズマディスプレイパネル用熱処理装置の両側壁それぞれから前記熱処理装置の内部に延出させて、搬送方向に複数本、互いに対向させて、且つ回転自在に配設し、前記ローラーコンベアは中空構造で、ローラコンベア内を通った気体を、ローラコンベアの先端から噴出させ、前記ローラーコンベアで搬送されるガラス基板の底面、もしくは、ガラス基板を載置したガラス基板支持材の底面に吹き付けるように構成したプラズマディスプレイパネル用熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−190481(P2010−190481A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34954(P2009−34954)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】