プラズマ微小反応装置および殺菌ユニットならびに分析器
製品ガス(例えば水素およびオゾン)の製造用装置は、反応ガス(例えば酸素および蒸気)(14)の供給源と、1mmよりも狭い隙間(28)を持つ一対の電極(24)と、反応ガスを供給源から電極の間の隙間を介して導くための導管と、電極間に電圧を印加し、反応ガスを解離し、そして製品ガスの形成を最終的に可能にするための電源(26)と、製品ガスを出口に供給するための導管(40)とを具える。水処理用殺菌ユニットは、こし、反応ガスを解離させ、そして製品ガスの形成を最終的に可能にする電源(26)と、製品ガスを出口に供給する導管(40)とを具える。水処理用殺菌ユニットは、このような装置を用い、酸素および/またはオゾンの流れを振動させる流体発振器を含み、前記出口は前記水中に沈められてオゾンの微小気泡を形成する目的のための複数のオリフィス(42)を具える。例えば空気中の大きな有機分子を検出するための分析器は、オゾン発生器を用いて大きな分子をより単純かつ検出および特定することがより易しい分子へと破壊することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラズマを用いた微小規模での化学反応の遂行に関する。特に、これは、水の洗浄および滅菌のための大規模なもの、例えば排水処理用途と、微小規模なもの、とりわけ化学分析のための用途とを含む多くの用途のためのオゾンの生成に関する。他の形態における本発明はまた、特に水から水素の生成およびその副産物の酸素からのこれに続く分離に関する。
【0002】
より概略的観点において、本発明は微小規模プラズマ反応装置の最適化に関し、これによって微小規模な環境での確実な利点を利用することができ、微小規模であるにもかかわらず、製品によっては大規模な生産を達成することができるようになっている。
【背景技術】
【0003】
ここで用いた微小規模は、明確に規定されていないが、これは1と1000ミクロンとの間の寸法を用いることを意味する。微小規模は、多くの環境において、特に少量の反応物のみを利用できる可能性がある分析分野での関心事である。
【0004】
プラズマは電界が加えられたガスであり、ガスの分子を帯電イオンへと電離させている。多くの目的のためにイオンを用いることができるけれども、イオンが表面、例えばプラズマが形成される容器または電極板の表面に対して衝突すると、これらが消滅することは、プラズマのよく認識された特性である。結果として、イオンを作り出すために加えられるエネルギーがイオンの消滅によって失われないように、容器が大きくなる傾向にあり、可能な限り大きな距離だけ電極板が隔てられる。
【0005】
このような大きな距離は、充分に高密度化した電界を作り出して望ましいプラズマを形成するように、電極板に印加される電圧を充分にしなければならないという付随的影響を有する。実際、要求される高電圧は、しばしばプラズマがなぜ多くの状況で用いられないかという原因である。例えば、プラズマ中にオゾンが作り出されるけれども、この技術を用いた製造コストは、多くの目的、特に比較的低価値の作業である下水処理および水の殺菌に対してこれを不経済にする。
【0006】
オゾンは少なくとも2つの用途において有用であることが知られている。第1の用途が飲用目的のための水の殺菌にある。実際、オゾンは多くの国において水の殺菌のための好ましい材料であるが、経済的配慮が優先される英国においてはそうではない。従って、それほど高価ではない塩素処理が英国では飲料水を得るために用いられている。しかしながら、低コストのオゾン製造方法が利用可能な場合、オゾンで滅菌することによって水の味覚の改善を達成することができよう。オゾンを水中に分散させるための有効な機構を同様に利用可能な場合、これは、とりわけ現実的となろう。
【0007】
第2の用途は反応装置にある。オゾンは炭化水素の不飽和炭素−炭素結合を切断するために用いられる。これは大きな分子をより小さなものへと切り分ける。より小さな分子は(質量分析法およびクロマトグラフィーの如き)他の技術によって特定かつ定量化可能であり、これは最初のより大きな分子を潜在的に特定する。
【0008】
また、多くの経済的オゾンの利用もある。例えば、オゾンは医療用減菌器および気相大気の「清浄剤」(後者は細菌類,煤塵およびチリダニを除去する)の分野で用いられる。これらの用途は、エネルギーを集中させる大きなプラズマ反応チャンバーを使用する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Anil Agiral, K. Seshan, Leon Lefferts, J.G.E. (Han) Gardeniers "Microplasma Reactors with Integrated Carbon Nanofibers and Tungsten Oxide Nanowires Electrodes" - The American Institute of Chemical Engineers, Topical 5:IMRET-10: 10th International Conference on Microreaction Technology, 2008年4月9日
【非特許文献2】Peter J. Lindner, Ronald S. Besser "Reforming of J.P. - 8 in Microplasmas for Compact SOFC Power" - The American Institute of Chemical Engineers, Topical 5:IMRET-10: 10th International Conference on Microreaction Technology, 2008年4月7日
【非特許文献3】de MeIIo1AJ., On-chip chromatography: the last twenty years*, Lab on A Chip, 2002, VoI: 2, Pages: 48N - 54N, ISSN: 1473-0197
【非特許文献4】Leandro Lorenzellia, Antonella Benvenuto, Andrea Adamia, Vittorio Guarnieria, Benno Margesina, Viviana Mullonia, Donato Vincenzi, "Development of a gas chromatography silicon-based microsystem in clinical diagnostics" Biosensors and Bioelectronics 20 (2005) 1968-1976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より少ない出力要求を伴うオゾンの生成方法が望まれよう。水処理の分野において、経済的なオゾンの製造方法が開発できたならば、処理される水へのオゾンのための有効な送出方法を有することもまた望まれよう。
【0011】
水素もまた有用なガスである。これは蒸気の原形質分離によって作り出されることができる。しかしながら、その製造で用いられるエネルギーが例えば水素燃料電池において、そのかなりの部分を後で回収できないほど高くてはならない。実際、ソーラーパワーまたは他の「無償の」供給源から得られる電気を用いた水素の製造は、例えばこれが望まれる場合であっても、ソーラーパワーまたは風力が一時的に低下した場合、後で使用するための電気の「備蓄」を意味することがうまく理解されている。水素のための効率的な製造方法を有することは、これを蒸気の原形質分離のその副産物である酸素から分離するための簡単な分離機構を有することと同様に望まれよう。
【0012】
微小プラズマ反応装置が知られている[特許文献1,特許文献2]。Agiral ら[特許文献1]は、CO2を分解する反応装置に関し、電極としてナノチューブおよびナノワイヤーの組み込みに関する。Lindner ら[特許文献2]は、固体酸化物燃料電池のための水素を作り出すため、極小プラズマを炭化水素、特にJP-8ジェット燃料を改質するための手段として用いている。しかしながら、これらの文書の何れも提案内容の経済的側面を実際に論じていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の形態によると、オゾンを生成するためのオゾン装置が提供され、これは、
酸素を具えた第1のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記酸素を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
電圧を前記電極間に印加し、前記酸素を解離させてオゾンを具えた第2のガスを形成するための電源と、
前記オゾンを出口に供給するための導管と
を具えている。
【0014】
好ましくは、前記オゾン装置は、水処理のための殺菌ユニットの一部を形成すると共に前記第1および/または第2のガスの流れを振動させるための流体発振器をさらに具え、前記出口は、前記水中にあってオゾンの微小気泡を形成する目的のための複数のオリフィスを具えている。
【0015】
本発明の第2の形態によると、水素の製造のための水素装置が提供され、これは、
蒸気を具えた第3のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記蒸気を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記蒸気を分離させ、酸素と水素との混合気を具えた第4のガスを形成するための電源と、
前記水素および酸素を出口に供給する導管と
を具えている。
【0016】
好ましくは、前記水素装置は、前記第3および/または第4のガスの流れを振動させる流体発振器の形態にある分離ユニットをさらに具え、前記出口は、水中にあって前記酸素および水素の微小気泡の形成の目的のための複数のオリフィスを具え、これによって前記水が溶解した水素で選択的に富化されたようになる。
【0017】
例えば、その内容を参照することによってここに組み入れられるWO-A-2008/053174に開示された構成は、ここに記述されたオゾンおよび水素装置と関連して用いられることができる。
【0018】
従って、好ましくは、分流器が場合によって前記電極間の流路の後方の前記第2または第4のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされる。
【0019】
代わりに、分流器が場合によって前記電極間の流路の前方の前記第1または第3のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされる。
【0020】
好ましくは、いずれかの状況において、それぞれの制御ポートは、前記制御ポートが開口する前記流路からフィードバックループを与えられ、これによってそれぞれの流路に対する流れを振動させる。
【0021】
好ましくは、前記酸素の供給源が空気の供給源である。好ましくは、前記オゾンがオゾンおよびまだ変化していない酸素の混合気および酸素供給源に含まれる他の任意の包含物である。
【0022】
分流器が電極の前にある場合、それぞれ分岐通路は、これらと関連した前記一対の電極を有し、それぞれの通路中の脈動流をプラズマへとそれぞれ変化させることが好ましい。
【0023】
好ましくは、それぞれの分岐通路の末端は前記分岐通路が開口する中央開口を有した第1の円形の導体と、溝付きのリムと、前記第1の導体から空間をあけて前記開口を取り囲み、前記リムにより結合されてこれらと共にチャンバーを画成する第2の円形の導体電極とを具えるローズになっており、前記リムの前記溝は、前記チャンバーを通過するガスが前記チャンバーを出る通路を画成する。
【0024】
好ましくは、前記リムは、前記第1の導体を配した第1の円形の絶縁カバーの端縁に画成され、第2の円形の絶縁カバーが前記第2の導体を配して設けられ、前記第2の円形の絶縁カバーの端縁は前記リムに対して当接し、前記溝の周囲を塞いで前記通路を画成する。
【0025】
水殺菌ユニットは、前記チャンバー内のガス圧が前記チャンバーへの水の浸入を常に充分に阻止するようになっており、オゾンの微小気泡が前記通路からの脈動流から発せられるように、水中のある深さに配された1つか、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3以上の前記ローズを具えることができる。
【0026】
水素は、水に対して酸素よりもさらに25倍溶解可能である。従って、気泡中のガスの溶解割合が気泡の径の二乗に依存する水中の酸素および水素の混合気の微小気泡を用いることは、これがほぼ25:1の見掛けに達した時に気泡中の酸素と水素との相対濃度として与えることができる。これは、水に溶解状態にあって次の抽出および使用のための水素が相対的に濃縮されていることを意味する。
【0027】
しかしながら、第3形態において、本発明は反応ガスの中間イオンへの原形質分離と、前記製品ガスを与えるための前記イオンの後続反応とによって製品ガスを製造するための一般化された装置を提供し、この装置は、
前記反応ガスの供給源と、
それらの間に10と1000ミクロンとの間の隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための第1の導管と、
電圧Vを前記電極間に印加して中間イオンを具えたプラズマへと前記反応ガスを解離させるための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率である。
【0028】
両極性拡散率は、よく知られたプラズマの特性であり、その値は下式
Da=Di(1+Te/Ti)
によって与えられるプラズマのいくつかのパラメータに依存し、ここでDiはイオンの拡散率であり、比率Te/Tiはイオンに対する電子の温度比である。基本的に、これは中性磁場におけるイオンの拡散速度であるが、プラズマ電子の移動により発生する電界の影響による要因によって増大する。
【0029】
好ましくは、前記電圧Vは、発振周波数fが10/Tと1/10Tとの間にある交流電圧である。
【0030】
好ましくは、前記周波数fが2/Tと1/2Tとの間にある。1/Tの周波数は、印加する電圧パルスを持ったシステムの反応周期とほぼ同等と思われる。交流電圧の周波数は典型的なシステムに関して10と1000Hzとの間にあり、都合良くは、およそ100Hzである。
【0031】
オゾンおよび水素の両方の製造に関する本発明の利点は、オゾンを形成するための酸素イオン(および水素を形成するための陽子)間の反応速度が、導管および/または電極の壁との衝突による酸素イオンおよび陽子の消滅割合よりもずっと速いという認識に基づいている。結果として、電極(または導管の壁が電極間にある場合の導管の壁)の近接にもかかわらず、オゾンまたは水素の製造は、場合に応じてほとんど影響されない。さらに、微小規模にて電極の近接を与え、酸素または水を解離するために適切な電界強度を充分に与えるのに必要な電圧は、著しく低下しており、高出力電圧の発生および閉じ込めの出費を回避できることを意味する。
【0032】
実際、この装置は大気圧またはその近傍にて好ましくは作動し、電極の近接をもまた可能にする。ガスが解離する最小電圧が(Pd)の関数であることはプラズマの周知の性質であり、ここでPは圧力であり、dは電極の離隔距離である。原形質分離の学問において、このような関係はパッシェン曲線として知られている。しかしながら、一般的に電極板は、電圧を取り扱いしやすいほぼ数千ボルト程度の高さに制限するため、10センチメートルほどに離されており、原形質分離で用いられる圧力は真空に近い。何はともあれ、これは存在する多数の活性種を容赦なく制限し、このようなシステムの歩留まりを制限するけれども、これはイオン化する分子に関して必要な電子密度をもたらす。しかしながら、本発明者らは、ここで規定した状況において、真空に近い圧力状態にも相当な電圧のための必要もないことを見い出した。結果として、原形質分離の2つの重要な原価要素、すなわち一方において真空発生装置の必要性と、他方において高電圧発生設備のための必要性とを回避することができる。
【0033】
前者の費用の形とは別に、その回避もまた電極間に存在する反応ガスのずっと大きな集中を結果としてもたらす。また、後者に関し、高電圧の回避は電力消費量を減らす効果を有し、これによって処理エネルギーを低コストにする。比較的低電圧であっても電極の小さな引き離しによって電界密度が相対的に増大するため、必要な電子密度が簡単に維持される。
【0034】
本発明は、オゾンの生成のための用力を十分の一ほどに削ることができることを示唆する。実際、170Vでの静電誘導放電は、送り込まれた酸素中にて60Hzにて作動するプラズマの安定した成長を充分に維持する。従って、(オゾンが強力な酸化剤の場合に)これが今まで経済的に実行可能ではなかった物品の化学的処理のためのオゾンの多くの使用は、今後、経済的になる可能性がある。好ましくは、電圧が100と1000Vとの間にある。より好ましくは、これが150と450Vとの間にある。
【0035】
従って、大きな原形質分離チャンバーからかけ離れ、本発明は、電極または容器の壁との衝突によるイオン消滅に関連した問題を回避するため、少なくとも充分迅速に反応が生ずる微小規模の原形質分離チャンバーを提案する。
【0036】
さらに、微小規模での運用にもかかわらず、本発明は作り出される製品ガスの量を甚大にできるように、装置を多面的にすることを提案する。従って、水処理において、本発明による装置を用いたオゾンの製造は、一般市民の要求する水を殺菌するのに充分価値がある可能性がある。水素製造の観点において、例えば風力タービン,太陽発電機,波力発電機などをによって作り出すことができる電気をこれらが発電時での現行需要よりも多く電気を作り出す場合に「備蓄する」ため、本発明による多面的原形質分離装置を用いて充分な水素を作り出すことができる。
【0037】
より一般的に適用した他の形態において、本発明は製品ガスの製造および分離のためのガス装置を提供し、
原形質溶解性反応ガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための第1の導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記反応ガスを中間イオンへと解離するための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であり、このガス装置は、
前記第1および第2の導管の一方にあって、前記出口からの少なくとも製品ガスの流れを振動させる流体発振器と、
前記出口が開き、これによって前記製品ガスの微小気泡が前記液体に形成される液体の供給源と
をさらに具え、前記製品ガスは前記液体に可溶性であって、大部分の前記製品ガスは、前記気泡が前記液体の表面に達する前に前記液体に溶解するようになっている。
【0038】
前記製品ガスがそれぞれオゾンおよび水素である場合、前記反応ガスが酸素または蒸気である。何れかの場合において、前記液体が好ましくは水である。
【0039】
好ましくは、駆動回路がプラズマを生成する電極間に電界を作り出し、この駆動回路は、
1と50ボルトとの間の選択可能な直流電圧vを与えるための第1段と、
周波数fにて報時信号を与えるための第2段と、
前記選択可能な電圧vを前記周波数fにて切り替わるスイッチを介して供給し、前記電極間に電圧Vおよび周波数fの交流電圧をもたらす変圧器を具えた第3段と
を具えている。
【0040】
好ましくは、前記回路は、前記第1,第2および第3段と前記電極との間のインピーダンス整合ネットワークを具えた第4段をさらに具えている。
【0041】
前記インピーダンス整合回路は、電極に対して選択した電圧にて印加する最大出力を可能にする。
【0042】
好ましくは、前記インピーダンス整合回路が前記電極間の容量性/誘導性/抵抗性ブリッジである。
【0043】
好ましくは、前記第1段はAC主駆動であって、電圧降下変圧器と、出力が前記選択可能な電圧vである電圧調整器を与える整流ブリッジとを具えている。
【0044】
他の用途において、寸法もまた重要な要因であり、前記装置が分析器の一部を具え、これにより分析されるガスの供給源が前記装置によって生成されるオゾンと混合され、炭素−炭素不飽和結合を含む複合有機分子を分解し、前記元の複合有機分子を特定するため、より単純な炭素分子および/または生成して用いられるオゾンの量を検出して定量化すると共に特定する。
【0045】
有毒ガスを検出するためにこのような分析器を用いることができる。ガス分析器は、化学プラントの安全性のために現在用いられている。本発明は、複合有機分子を一体型センサーシステムからの検出可能な分子の目録に加えることである。分子をほとんど無差別に切断するプラズマセンサーはすでに存在しているが、(光ファイバー分光測定法による)分光写真は、複合有機分子の特性/識別特徴のために処理される情報であることができる。しかしながら、様々に再構成された同じ官能基を有する有機分子の範囲が膨大であるので、多くの偽陽性の可能性が用途を制限する。他方において、オゾン分解は、最初の分子を特定の場所でのみ分断することによって、その分子のより明確な「識別特徴」を与える。次に、その識別特徴の断片を数えることは、異なる情報のセットを与える。もちろん、得られる情報のさらに異なるセットは、現在のガス検知管/警報器が抱える重大問題であるより少ない擬陽性につながる。
【0046】
この分析器は、装置により作り出されるオゾンおよび未反応の残留物の量を検出する手段を含むことができる。
【0047】
好ましくは、このシステムは、特定な性質の複雑な分子が検出された場合の警報器を含む。このような分子は、爆発性の成分および/または麻薬の如き非合法物質の成分を具えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による水殺菌ユニットの概念図である。
【図2】本発明による分析器の概念図である。
【図3】図1に示したものと同様な殺菌ユニットで用いられるローズの説明図である。
【図4a】図3のローズの部品の平面図である。
【図4b】図3のローズの部品の側面図である。
【図5a】図3のローズの部品の平面図である。
【図5b】図3のローズの部品の側面図である。
【図6a】図3のローズの部品の平面図である。
【図6b】図3のローズの部品の側面図である。
【図7a】図3のローズの部品の平面図である。
【図7b】図3のローズの部品の側面図である。
【図8a】図1および図2に示したシステムの電極に電力を供給する場合に用いるためのインピーダンス整合ネットワークの回路図である。
【図8b】図8a中のBの詳細図である。
【図9】アルケン類に対する典型的なオゾン分解反応の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の実施形態が、例示により添付図面を参照しつつ以下にさらに記述される。
【0050】
図1において、水殺菌ユニット10は、水面16の上方に配された供給源14からガスが供給される水中オゾン気泡発生器12を具えている。ポンプ18はガスを加圧し、このガスは純酸素か、または好ましくは酸素を含む空気の何れかである。導管20は、酸素/酸素含有空気をオゾン発生器12へと導き、これらは2つの電極24の間のチャンバー28を通過する前に3つのポート22の何れか1つに流入する。電極24はユニット12内に収容され、これは水の浸入を阻止するためにシールされている。電極24は、以下にさらに記述されるインピーダンス整合ネットワーク26によってその表面に与えられる。ガスは、ほぼ大気圧にて電極24間のチャンバー28に入り、そこでプラズマを生じさせるためにイオン化させられる。独特の成長が生じさせられ、オゾンの吸収スペクトルを有し、プラズマがガス供給源14中の酸素をオゾンへと実際に変えることを示す。
【0051】
何れにせよ、チャンバー24からの出力はガスの供給であって、これは流体分流器32の供給ポートであるジェット30を出る。ジェット30を出るガスは、コアンダ効果によって2つの壁34の一方に付着する。しかしながら、何れかの壁に付着する一瞬の流れの後、分岐部36は一対の制御ポート38の関連する一方へとこの流れの一部を戻す。ポート38が出る壁34からの流れを剥離する何れかのポート38からの流れは、これが次に付着することに対して他方の壁34への流れをそらす。
【0052】
よって、分流器32のそれぞれの出力40から気泡発生器41に向けられるガスの脈動流がある。この出力40は、大きな容積のプレナムチャンバー44によって保護され、配列するすべての開口42を気泡46が出るように、気泡発生器41の別個の一連の開口42にそれぞれ供給する。脈動流により、気泡はこれがない場合よりもさらにずっと小さな体積に分断される。本発明の気泡発生形態のさらなる詳細は、上述したようなWO-A-2008/053174にて見いだすことができる。
【0053】
図2を参照し、分析器100は、ポンプ18'によってほぼ大気圧にて電極24'間のチャンバー28'へと送り込まれる酸素またはガスを含む酸素の供給源14'を具えている。電極24'は、インピーダンス整合ネットワーク26'により与えられる。出力を含むオゾンは、供給源60から得られて分析され、かつポンプ68により供給されるガスと混合される。この混合気は、導管70により反応チャンバー72およびここから出口孔74へと供給される。反応チャンバー72内で種々の分析が反応混合気に対しプローブ76を介して行われる。処理装置80に送られる分析結果は、実時間にて炭素分子のみを検出し、特定して定量化し、ガス試料60中に含まれる複合分子を潜在的に特定するように、特定の複合分子から得られる周知の相対的な量に対して検出されたこれらの相対的な量を比較する。図9は、アルケンとオゾンとの一連の典型的な反応と、最初の分子中のRおよびR'基の性質に依存した可能性のある結果とを示す。
【0054】
プローブ76の一方は、一体化されたLEDから放出した(およそ600ナノメートルの)橙色光と、従って検出器とを具えることができる。このような光はオゾンにより吸収され、従って反応チャンバー72内の未反応残留オゾンを示す。これはまた、試料60中の反応化合物の濃度をも示している。実際、第2のオゾン検出プローブ76は、オゾンの入力量が分かるようにプラズマチャンバー28'の出力部分に設けることができる。
【0055】
光ファイバー分光測定法は、質量分析法を行うのと同じように、オゾン分解によって分断された目標分子の断片を定量化する確実な手段を与える。場合によって、これらの断片はまた、イオン移動度クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーにより気相で特徴付けられることも可能である。可搬一体型のセンサーに光検出器を容易に埋め込むことができ、マイクロチップ上でのガスクロマトグラフィーは、ロンドン インペリアル カレッジでの研究により報告されている[非特許文献3,非特許文献4]。
【0056】
しかしながら、特に単純な構成(図示せず)は、分析されるガスをサンプリングするために用いられるものと同じオゾン生成のためのガスの供給源14'を用いることである。例えば、分析器100を空港のセキュリティーゾーンや監視される他の領域に配することができる。爆発物または他の違法な(麻薬などの如き)物質の分子や、これに関連する分子は、これを所有する乗客から大気中に発せられ、そこから検出される可能性がある。
【0057】
この状況において、処理装置80は、プラズマチャンバー28'により作り出されるオゾンの平均基準量を記録し、プローブ76により検出されるそのあらゆる変動が空気試料中の複合分子との反応によってもたらされると想定する。結果として、分析器はやがて自己較正するようになる。
【0058】
前述の実施形態において、電極はおよそ800ミクロン離れており、およそ1センチメートルの長さであってよい。実際に、これらは注文製のマイクロチップの一部であってよく、1センチの長さに亙る微小通路の中央部にて側壁に対する銅の電着により微細加工される。マスキングは、微小通路の表面の他の場所、特に微小通路の床に対する電着を阻止する。この製品は、オランダ国 MICRONIT MICROFLUIDICS BV により製造される標準ベース Micronit チップの改造品である。
【0059】
図3を参照し、オゾン発生器12のための他の好ましい一構成は、電極24'がローズの形態にある気泡発生器41'に組み込まれていることである。ここで、円形のカバー90は絶縁材料から構成され、溝付きリム92が与えられており、リム92の外周縁部に配された多数の溝94がある。リム92内には電極24'の一方を形成する円板状導体96が配されている。第2の円形のカバー100は、平らなリム102を有するが、第2の円板状導体106を収容する。カバー100は、脈動する酸素または酸素含有空気の供給源を流体分流器(図示せず)の2つの分岐部40'の一方から受け入れるため、中央開口110が与えられている。
【0060】
使用中に、カバー90,100は、平らなリム102に当接する溝付きリム92と共に相互に接触し、それによって複数の外側に放射状に拡がる通路94を封じ込める。歯93の高さは溝/通路94の幅を画成し、導体96,106の離隔が1ミリメートルよりも狭くされている。電気的接続(図示せず)が整合インピーダンスネットワーク(図示せず)を導体96,106に接続し、プラズマがこれらの間の隙間に発生するようになっている。電極96,106間のプラズマチャンバー28により画成される大きなプレナムのため、溝94により画成された各通路の背後の圧力は等しい。これは、気泡の発生がローズ41'の外周縁部で一様であることを確実にする。
【0061】
図4a,図4b,図5a,図5b,図6a,図6b,図7a,図7bに示すように、カバー90,100は、30ミリメートルの内径を有するリムを持ったおよそ36ミリメートルの外径を有する。従って溝92によって作り出される通路の長さは、長手方向におよそ3ミリメートルである。歯93の高さはおよそ0.8ミリメートルであり、それでこれは電極96,106間の分離を意味する。実際に、カバー100はおよそ0.2ミリメートルの深さの浅いピット101を有し、これは電極96,106の厚みと同じである。
【0062】
これらの寸法は単なる例示であり、本発明を限定することを意図していない。
【0063】
適当なプラズマ供給源200およびそのための回路を図8に示し、これらは3つの主要段に分けることができる。
【0064】
第1段201は直流変換段であり、商用電源が直流に変換される。商用電源203は、変圧器TX1によって交流220Vからおよそ交流18Vまで低減させられ、次いで多数の高耐久性汎用1N4148パワーダイオード(D1,D2,D3およびD4)によって形成された全波ブリッジ整流器205により整流される。ブリッジ整流器からの一連の直流状パルスは、大きな電解コンデンサーC1によってフィルター処理され、(例えばLM338T型の)電圧調整器U1にその「In」ピンを介して供給される。大きな蓄電器の選択は、良好に調整された低リップル電圧を助長する。電圧調整器(の「Out」ピン)からの出力は、電圧調整器U1の「Adj」ピンに接続する4.7kΩの可変分圧器R1を介して直流1.2から28Vまで調整される。R1が電気抵抗を増大するに連れて出力電圧が上昇し、従ってプラズマ放電電極間電圧は、以下にさらに説明するように制御可能である。
【0065】
コンデンサーC2は、単なる予防措置として電圧調整器の近傍に配される。これは、漂遊磁界により引き起こされる可能性がある過渡的なノイズを除去する。コンデンサーC4は、高周波での過渡的応答を改善する。
【0066】
第2段207は発振段であり、直流段201からの出力電圧が抵抗器R3を介して直流12Vの(LM7812型)電圧調整器U2に供給される。コンデンサーC5およびC6は、製造元のデータシートにて推奨されるように、このチップU2の近傍に配される。電圧調整器U2は、555タイマーTをその入力(ピン8)に対して(ステージ200の出力にかかわらず)定圧直流12Vと共に与える。555タイマーの周囲の構成は、製造元のデータシートにより推奨される位相に従って実現され、抵抗器R4およびR5ならびにコンデンサーC7の値は、30kHz程度の作動周波数および50%のデューティーサイクルに適合するように設定されている。
【0067】
第3段209は、昇圧器TX2に対する電流を切り換える(IRFZ34型の)パワーMOSFET M1にゲート信号を与えるため、タイマーTのピン3からの信号出力が抵抗R6およびR7により形成される分圧器211によって分配される。MOSFET M1が断続的に切り替わる場合、TX2の一次巻線を通る電流は、二次側に対する電圧を昇圧器の巻数比とステージ201からの電圧出力とによって規定される度合いで誘導し、これは電極板24の全域に印加される。
【0068】
最終的に、供給源200からの出力信号は、図8bにより詳細に示す回路213によりプラズマ反応装置に対してインピーダンスを釣り合わされる。それは、抵抗器R1と、インダクタンスL1と、コンデンサーC1とを具え、この構成は、電極24のインピーダンスを回路200のそれと釣り合わせ、これによって最大の効率および出力伝達が達成される。出力電圧は、直流28Vから1と1000ヘルツの間の発振周波数を持つ交流1.5kVまで昇圧することができ、電流出力は10mA程度である。
【0069】
電極24は、これらの間の電界強度、それ故プラズマの発現と明らかに関連する間隔dだけ離される。しかしながら、図1および図2に示すように、導管が反応ガスを流し、プラズマが板の間に配される場合、その場合には、Dt=d2/Daの関係で用いられる寸法dは、電極間の間隔ではなく、むしろ導管の内径寸法である。この理由は、製品ガスに対する中間イオンの平衡転換に達するまでの反応時間Tが、電極ではなく、導管の寸法を用いた上の関係によって与えられる両極性拡散時間Dtよりも短い必要があるように、イオンが導管の壁で消滅するということである。Dtは、イオンの大部分が電極の一方から他方までの間隔を移動するための両極性拡散時間である。Daは、プラズマの両極性拡散率である。ところで、100%の平衡状態がおそらく決して達せられないので、実用的な目的のため、95%または好ましくは99%の平衡転化率が目標限界として用いられる。
【0070】
この明細書の発明の詳細な説明および特許請求の範囲に亙り、用語「具える」および「含む」およびこれらの単語の変形、例えば「具えている」および「具えた」は、「含むけれども限定されない」ことを意味し、他の部分や、付加物,部品,数またはステップを除外することを意図しない(除外しない)。
【0071】
この明細書の発明の詳細な説明および特許請求の範囲に亙り、単数形は、文脈が別のことを要求していない限り、複数形を包含する。特に不定冠詞を用いた場合、文脈が別のことを要求していない限り、この明細書は単数形と同様に複数形をも意図していることを理解すべきである。
【0072】
本発明の特定の形態や、実施形態または実施例と共に記述された特徴,数字,性質,化合物,化学的部分または化学基は、それらと矛盾しない限り、ここで記述された他のいかなる形態や、実施形態または実施例に対しても適用可能であることを理解すべきである。
【0073】
この読者の注意は、この出願に関してこの明細書と同時またはその前に提出され、かつこの明細書の縦覧のために公開されるすべての書類および文献に対して向けられ、このようなすべての書類および文献の内容は、参照することによって、ここに組み入れられる。
【0074】
この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示されたすべての特徴および/または同様に開示されたあらゆる方法または処理のすべてのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に唯一の組み合わせである場合を除き、あらゆる組み合わせにて組み合わせることができる。
【0075】
この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示されたそれぞれの特徴は、特に他のことを述べない限り、同一か、均等か、または類似の目的を満たす他の特徴で置き換えることができる。従って、特に他のことを述べない限り、開示されたそれぞれの特徴は、概ね一連の均等または類似の特徴の単なる一例である。
【0076】
本発明は、前述のどのような実施形態の細部にも制限されない。本発明は、この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示された特徴のあらゆる新奇なものや、任意の新奇な組み合わせか、あるいは同様に開示されたあらゆる方法または処理のステップのあらゆる新奇なものや、任意の新奇な組み合わせにまで適用範囲が及ぶ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラズマを用いた微小規模での化学反応の遂行に関する。特に、これは、水の洗浄および滅菌のための大規模なもの、例えば排水処理用途と、微小規模なもの、とりわけ化学分析のための用途とを含む多くの用途のためのオゾンの生成に関する。他の形態における本発明はまた、特に水から水素の生成およびその副産物の酸素からのこれに続く分離に関する。
【0002】
より概略的観点において、本発明は微小規模プラズマ反応装置の最適化に関し、これによって微小規模な環境での確実な利点を利用することができ、微小規模であるにもかかわらず、製品によっては大規模な生産を達成することができるようになっている。
【背景技術】
【0003】
ここで用いた微小規模は、明確に規定されていないが、これは1と1000ミクロンとの間の寸法を用いることを意味する。微小規模は、多くの環境において、特に少量の反応物のみを利用できる可能性がある分析分野での関心事である。
【0004】
プラズマは電界が加えられたガスであり、ガスの分子を帯電イオンへと電離させている。多くの目的のためにイオンを用いることができるけれども、イオンが表面、例えばプラズマが形成される容器または電極板の表面に対して衝突すると、これらが消滅することは、プラズマのよく認識された特性である。結果として、イオンを作り出すために加えられるエネルギーがイオンの消滅によって失われないように、容器が大きくなる傾向にあり、可能な限り大きな距離だけ電極板が隔てられる。
【0005】
このような大きな距離は、充分に高密度化した電界を作り出して望ましいプラズマを形成するように、電極板に印加される電圧を充分にしなければならないという付随的影響を有する。実際、要求される高電圧は、しばしばプラズマがなぜ多くの状況で用いられないかという原因である。例えば、プラズマ中にオゾンが作り出されるけれども、この技術を用いた製造コストは、多くの目的、特に比較的低価値の作業である下水処理および水の殺菌に対してこれを不経済にする。
【0006】
オゾンは少なくとも2つの用途において有用であることが知られている。第1の用途が飲用目的のための水の殺菌にある。実際、オゾンは多くの国において水の殺菌のための好ましい材料であるが、経済的配慮が優先される英国においてはそうではない。従って、それほど高価ではない塩素処理が英国では飲料水を得るために用いられている。しかしながら、低コストのオゾン製造方法が利用可能な場合、オゾンで滅菌することによって水の味覚の改善を達成することができよう。オゾンを水中に分散させるための有効な機構を同様に利用可能な場合、これは、とりわけ現実的となろう。
【0007】
第2の用途は反応装置にある。オゾンは炭化水素の不飽和炭素−炭素結合を切断するために用いられる。これは大きな分子をより小さなものへと切り分ける。より小さな分子は(質量分析法およびクロマトグラフィーの如き)他の技術によって特定かつ定量化可能であり、これは最初のより大きな分子を潜在的に特定する。
【0008】
また、多くの経済的オゾンの利用もある。例えば、オゾンは医療用減菌器および気相大気の「清浄剤」(後者は細菌類,煤塵およびチリダニを除去する)の分野で用いられる。これらの用途は、エネルギーを集中させる大きなプラズマ反応チャンバーを使用する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Anil Agiral, K. Seshan, Leon Lefferts, J.G.E. (Han) Gardeniers "Microplasma Reactors with Integrated Carbon Nanofibers and Tungsten Oxide Nanowires Electrodes" - The American Institute of Chemical Engineers, Topical 5:IMRET-10: 10th International Conference on Microreaction Technology, 2008年4月9日
【非特許文献2】Peter J. Lindner, Ronald S. Besser "Reforming of J.P. - 8 in Microplasmas for Compact SOFC Power" - The American Institute of Chemical Engineers, Topical 5:IMRET-10: 10th International Conference on Microreaction Technology, 2008年4月7日
【非特許文献3】de MeIIo1AJ., On-chip chromatography: the last twenty years*, Lab on A Chip, 2002, VoI: 2, Pages: 48N - 54N, ISSN: 1473-0197
【非特許文献4】Leandro Lorenzellia, Antonella Benvenuto, Andrea Adamia, Vittorio Guarnieria, Benno Margesina, Viviana Mullonia, Donato Vincenzi, "Development of a gas chromatography silicon-based microsystem in clinical diagnostics" Biosensors and Bioelectronics 20 (2005) 1968-1976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より少ない出力要求を伴うオゾンの生成方法が望まれよう。水処理の分野において、経済的なオゾンの製造方法が開発できたならば、処理される水へのオゾンのための有効な送出方法を有することもまた望まれよう。
【0011】
水素もまた有用なガスである。これは蒸気の原形質分離によって作り出されることができる。しかしながら、その製造で用いられるエネルギーが例えば水素燃料電池において、そのかなりの部分を後で回収できないほど高くてはならない。実際、ソーラーパワーまたは他の「無償の」供給源から得られる電気を用いた水素の製造は、例えばこれが望まれる場合であっても、ソーラーパワーまたは風力が一時的に低下した場合、後で使用するための電気の「備蓄」を意味することがうまく理解されている。水素のための効率的な製造方法を有することは、これを蒸気の原形質分離のその副産物である酸素から分離するための簡単な分離機構を有することと同様に望まれよう。
【0012】
微小プラズマ反応装置が知られている[特許文献1,特許文献2]。Agiral ら[特許文献1]は、CO2を分解する反応装置に関し、電極としてナノチューブおよびナノワイヤーの組み込みに関する。Lindner ら[特許文献2]は、固体酸化物燃料電池のための水素を作り出すため、極小プラズマを炭化水素、特にJP-8ジェット燃料を改質するための手段として用いている。しかしながら、これらの文書の何れも提案内容の経済的側面を実際に論じていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の形態によると、オゾンを生成するためのオゾン装置が提供され、これは、
酸素を具えた第1のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記酸素を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
電圧を前記電極間に印加し、前記酸素を解離させてオゾンを具えた第2のガスを形成するための電源と、
前記オゾンを出口に供給するための導管と
を具えている。
【0014】
好ましくは、前記オゾン装置は、水処理のための殺菌ユニットの一部を形成すると共に前記第1および/または第2のガスの流れを振動させるための流体発振器をさらに具え、前記出口は、前記水中にあってオゾンの微小気泡を形成する目的のための複数のオリフィスを具えている。
【0015】
本発明の第2の形態によると、水素の製造のための水素装置が提供され、これは、
蒸気を具えた第3のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記蒸気を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記蒸気を分離させ、酸素と水素との混合気を具えた第4のガスを形成するための電源と、
前記水素および酸素を出口に供給する導管と
を具えている。
【0016】
好ましくは、前記水素装置は、前記第3および/または第4のガスの流れを振動させる流体発振器の形態にある分離ユニットをさらに具え、前記出口は、水中にあって前記酸素および水素の微小気泡の形成の目的のための複数のオリフィスを具え、これによって前記水が溶解した水素で選択的に富化されたようになる。
【0017】
例えば、その内容を参照することによってここに組み入れられるWO-A-2008/053174に開示された構成は、ここに記述されたオゾンおよび水素装置と関連して用いられることができる。
【0018】
従って、好ましくは、分流器が場合によって前記電極間の流路の後方の前記第2または第4のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされる。
【0019】
代わりに、分流器が場合によって前記電極間の流路の前方の前記第1または第3のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされる。
【0020】
好ましくは、いずれかの状況において、それぞれの制御ポートは、前記制御ポートが開口する前記流路からフィードバックループを与えられ、これによってそれぞれの流路に対する流れを振動させる。
【0021】
好ましくは、前記酸素の供給源が空気の供給源である。好ましくは、前記オゾンがオゾンおよびまだ変化していない酸素の混合気および酸素供給源に含まれる他の任意の包含物である。
【0022】
分流器が電極の前にある場合、それぞれ分岐通路は、これらと関連した前記一対の電極を有し、それぞれの通路中の脈動流をプラズマへとそれぞれ変化させることが好ましい。
【0023】
好ましくは、それぞれの分岐通路の末端は前記分岐通路が開口する中央開口を有した第1の円形の導体と、溝付きのリムと、前記第1の導体から空間をあけて前記開口を取り囲み、前記リムにより結合されてこれらと共にチャンバーを画成する第2の円形の導体電極とを具えるローズになっており、前記リムの前記溝は、前記チャンバーを通過するガスが前記チャンバーを出る通路を画成する。
【0024】
好ましくは、前記リムは、前記第1の導体を配した第1の円形の絶縁カバーの端縁に画成され、第2の円形の絶縁カバーが前記第2の導体を配して設けられ、前記第2の円形の絶縁カバーの端縁は前記リムに対して当接し、前記溝の周囲を塞いで前記通路を画成する。
【0025】
水殺菌ユニットは、前記チャンバー内のガス圧が前記チャンバーへの水の浸入を常に充分に阻止するようになっており、オゾンの微小気泡が前記通路からの脈動流から発せられるように、水中のある深さに配された1つか、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3以上の前記ローズを具えることができる。
【0026】
水素は、水に対して酸素よりもさらに25倍溶解可能である。従って、気泡中のガスの溶解割合が気泡の径の二乗に依存する水中の酸素および水素の混合気の微小気泡を用いることは、これがほぼ25:1の見掛けに達した時に気泡中の酸素と水素との相対濃度として与えることができる。これは、水に溶解状態にあって次の抽出および使用のための水素が相対的に濃縮されていることを意味する。
【0027】
しかしながら、第3形態において、本発明は反応ガスの中間イオンへの原形質分離と、前記製品ガスを与えるための前記イオンの後続反応とによって製品ガスを製造するための一般化された装置を提供し、この装置は、
前記反応ガスの供給源と、
それらの間に10と1000ミクロンとの間の隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための第1の導管と、
電圧Vを前記電極間に印加して中間イオンを具えたプラズマへと前記反応ガスを解離させるための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率である。
【0028】
両極性拡散率は、よく知られたプラズマの特性であり、その値は下式
Da=Di(1+Te/Ti)
によって与えられるプラズマのいくつかのパラメータに依存し、ここでDiはイオンの拡散率であり、比率Te/Tiはイオンに対する電子の温度比である。基本的に、これは中性磁場におけるイオンの拡散速度であるが、プラズマ電子の移動により発生する電界の影響による要因によって増大する。
【0029】
好ましくは、前記電圧Vは、発振周波数fが10/Tと1/10Tとの間にある交流電圧である。
【0030】
好ましくは、前記周波数fが2/Tと1/2Tとの間にある。1/Tの周波数は、印加する電圧パルスを持ったシステムの反応周期とほぼ同等と思われる。交流電圧の周波数は典型的なシステムに関して10と1000Hzとの間にあり、都合良くは、およそ100Hzである。
【0031】
オゾンおよび水素の両方の製造に関する本発明の利点は、オゾンを形成するための酸素イオン(および水素を形成するための陽子)間の反応速度が、導管および/または電極の壁との衝突による酸素イオンおよび陽子の消滅割合よりもずっと速いという認識に基づいている。結果として、電極(または導管の壁が電極間にある場合の導管の壁)の近接にもかかわらず、オゾンまたは水素の製造は、場合に応じてほとんど影響されない。さらに、微小規模にて電極の近接を与え、酸素または水を解離するために適切な電界強度を充分に与えるのに必要な電圧は、著しく低下しており、高出力電圧の発生および閉じ込めの出費を回避できることを意味する。
【0032】
実際、この装置は大気圧またはその近傍にて好ましくは作動し、電極の近接をもまた可能にする。ガスが解離する最小電圧が(Pd)の関数であることはプラズマの周知の性質であり、ここでPは圧力であり、dは電極の離隔距離である。原形質分離の学問において、このような関係はパッシェン曲線として知られている。しかしながら、一般的に電極板は、電圧を取り扱いしやすいほぼ数千ボルト程度の高さに制限するため、10センチメートルほどに離されており、原形質分離で用いられる圧力は真空に近い。何はともあれ、これは存在する多数の活性種を容赦なく制限し、このようなシステムの歩留まりを制限するけれども、これはイオン化する分子に関して必要な電子密度をもたらす。しかしながら、本発明者らは、ここで規定した状況において、真空に近い圧力状態にも相当な電圧のための必要もないことを見い出した。結果として、原形質分離の2つの重要な原価要素、すなわち一方において真空発生装置の必要性と、他方において高電圧発生設備のための必要性とを回避することができる。
【0033】
前者の費用の形とは別に、その回避もまた電極間に存在する反応ガスのずっと大きな集中を結果としてもたらす。また、後者に関し、高電圧の回避は電力消費量を減らす効果を有し、これによって処理エネルギーを低コストにする。比較的低電圧であっても電極の小さな引き離しによって電界密度が相対的に増大するため、必要な電子密度が簡単に維持される。
【0034】
本発明は、オゾンの生成のための用力を十分の一ほどに削ることができることを示唆する。実際、170Vでの静電誘導放電は、送り込まれた酸素中にて60Hzにて作動するプラズマの安定した成長を充分に維持する。従って、(オゾンが強力な酸化剤の場合に)これが今まで経済的に実行可能ではなかった物品の化学的処理のためのオゾンの多くの使用は、今後、経済的になる可能性がある。好ましくは、電圧が100と1000Vとの間にある。より好ましくは、これが150と450Vとの間にある。
【0035】
従って、大きな原形質分離チャンバーからかけ離れ、本発明は、電極または容器の壁との衝突によるイオン消滅に関連した問題を回避するため、少なくとも充分迅速に反応が生ずる微小規模の原形質分離チャンバーを提案する。
【0036】
さらに、微小規模での運用にもかかわらず、本発明は作り出される製品ガスの量を甚大にできるように、装置を多面的にすることを提案する。従って、水処理において、本発明による装置を用いたオゾンの製造は、一般市民の要求する水を殺菌するのに充分価値がある可能性がある。水素製造の観点において、例えば風力タービン,太陽発電機,波力発電機などをによって作り出すことができる電気をこれらが発電時での現行需要よりも多く電気を作り出す場合に「備蓄する」ため、本発明による多面的原形質分離装置を用いて充分な水素を作り出すことができる。
【0037】
より一般的に適用した他の形態において、本発明は製品ガスの製造および分離のためのガス装置を提供し、
原形質溶解性反応ガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための第1の導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記反応ガスを中間イオンへと解離するための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であり、このガス装置は、
前記第1および第2の導管の一方にあって、前記出口からの少なくとも製品ガスの流れを振動させる流体発振器と、
前記出口が開き、これによって前記製品ガスの微小気泡が前記液体に形成される液体の供給源と
をさらに具え、前記製品ガスは前記液体に可溶性であって、大部分の前記製品ガスは、前記気泡が前記液体の表面に達する前に前記液体に溶解するようになっている。
【0038】
前記製品ガスがそれぞれオゾンおよび水素である場合、前記反応ガスが酸素または蒸気である。何れかの場合において、前記液体が好ましくは水である。
【0039】
好ましくは、駆動回路がプラズマを生成する電極間に電界を作り出し、この駆動回路は、
1と50ボルトとの間の選択可能な直流電圧vを与えるための第1段と、
周波数fにて報時信号を与えるための第2段と、
前記選択可能な電圧vを前記周波数fにて切り替わるスイッチを介して供給し、前記電極間に電圧Vおよび周波数fの交流電圧をもたらす変圧器を具えた第3段と
を具えている。
【0040】
好ましくは、前記回路は、前記第1,第2および第3段と前記電極との間のインピーダンス整合ネットワークを具えた第4段をさらに具えている。
【0041】
前記インピーダンス整合回路は、電極に対して選択した電圧にて印加する最大出力を可能にする。
【0042】
好ましくは、前記インピーダンス整合回路が前記電極間の容量性/誘導性/抵抗性ブリッジである。
【0043】
好ましくは、前記第1段はAC主駆動であって、電圧降下変圧器と、出力が前記選択可能な電圧vである電圧調整器を与える整流ブリッジとを具えている。
【0044】
他の用途において、寸法もまた重要な要因であり、前記装置が分析器の一部を具え、これにより分析されるガスの供給源が前記装置によって生成されるオゾンと混合され、炭素−炭素不飽和結合を含む複合有機分子を分解し、前記元の複合有機分子を特定するため、より単純な炭素分子および/または生成して用いられるオゾンの量を検出して定量化すると共に特定する。
【0045】
有毒ガスを検出するためにこのような分析器を用いることができる。ガス分析器は、化学プラントの安全性のために現在用いられている。本発明は、複合有機分子を一体型センサーシステムからの検出可能な分子の目録に加えることである。分子をほとんど無差別に切断するプラズマセンサーはすでに存在しているが、(光ファイバー分光測定法による)分光写真は、複合有機分子の特性/識別特徴のために処理される情報であることができる。しかしながら、様々に再構成された同じ官能基を有する有機分子の範囲が膨大であるので、多くの偽陽性の可能性が用途を制限する。他方において、オゾン分解は、最初の分子を特定の場所でのみ分断することによって、その分子のより明確な「識別特徴」を与える。次に、その識別特徴の断片を数えることは、異なる情報のセットを与える。もちろん、得られる情報のさらに異なるセットは、現在のガス検知管/警報器が抱える重大問題であるより少ない擬陽性につながる。
【0046】
この分析器は、装置により作り出されるオゾンおよび未反応の残留物の量を検出する手段を含むことができる。
【0047】
好ましくは、このシステムは、特定な性質の複雑な分子が検出された場合の警報器を含む。このような分子は、爆発性の成分および/または麻薬の如き非合法物質の成分を具えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による水殺菌ユニットの概念図である。
【図2】本発明による分析器の概念図である。
【図3】図1に示したものと同様な殺菌ユニットで用いられるローズの説明図である。
【図4a】図3のローズの部品の平面図である。
【図4b】図3のローズの部品の側面図である。
【図5a】図3のローズの部品の平面図である。
【図5b】図3のローズの部品の側面図である。
【図6a】図3のローズの部品の平面図である。
【図6b】図3のローズの部品の側面図である。
【図7a】図3のローズの部品の平面図である。
【図7b】図3のローズの部品の側面図である。
【図8a】図1および図2に示したシステムの電極に電力を供給する場合に用いるためのインピーダンス整合ネットワークの回路図である。
【図8b】図8a中のBの詳細図である。
【図9】アルケン類に対する典型的なオゾン分解反応の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の実施形態が、例示により添付図面を参照しつつ以下にさらに記述される。
【0050】
図1において、水殺菌ユニット10は、水面16の上方に配された供給源14からガスが供給される水中オゾン気泡発生器12を具えている。ポンプ18はガスを加圧し、このガスは純酸素か、または好ましくは酸素を含む空気の何れかである。導管20は、酸素/酸素含有空気をオゾン発生器12へと導き、これらは2つの電極24の間のチャンバー28を通過する前に3つのポート22の何れか1つに流入する。電極24はユニット12内に収容され、これは水の浸入を阻止するためにシールされている。電極24は、以下にさらに記述されるインピーダンス整合ネットワーク26によってその表面に与えられる。ガスは、ほぼ大気圧にて電極24間のチャンバー28に入り、そこでプラズマを生じさせるためにイオン化させられる。独特の成長が生じさせられ、オゾンの吸収スペクトルを有し、プラズマがガス供給源14中の酸素をオゾンへと実際に変えることを示す。
【0051】
何れにせよ、チャンバー24からの出力はガスの供給であって、これは流体分流器32の供給ポートであるジェット30を出る。ジェット30を出るガスは、コアンダ効果によって2つの壁34の一方に付着する。しかしながら、何れかの壁に付着する一瞬の流れの後、分岐部36は一対の制御ポート38の関連する一方へとこの流れの一部を戻す。ポート38が出る壁34からの流れを剥離する何れかのポート38からの流れは、これが次に付着することに対して他方の壁34への流れをそらす。
【0052】
よって、分流器32のそれぞれの出力40から気泡発生器41に向けられるガスの脈動流がある。この出力40は、大きな容積のプレナムチャンバー44によって保護され、配列するすべての開口42を気泡46が出るように、気泡発生器41の別個の一連の開口42にそれぞれ供給する。脈動流により、気泡はこれがない場合よりもさらにずっと小さな体積に分断される。本発明の気泡発生形態のさらなる詳細は、上述したようなWO-A-2008/053174にて見いだすことができる。
【0053】
図2を参照し、分析器100は、ポンプ18'によってほぼ大気圧にて電極24'間のチャンバー28'へと送り込まれる酸素またはガスを含む酸素の供給源14'を具えている。電極24'は、インピーダンス整合ネットワーク26'により与えられる。出力を含むオゾンは、供給源60から得られて分析され、かつポンプ68により供給されるガスと混合される。この混合気は、導管70により反応チャンバー72およびここから出口孔74へと供給される。反応チャンバー72内で種々の分析が反応混合気に対しプローブ76を介して行われる。処理装置80に送られる分析結果は、実時間にて炭素分子のみを検出し、特定して定量化し、ガス試料60中に含まれる複合分子を潜在的に特定するように、特定の複合分子から得られる周知の相対的な量に対して検出されたこれらの相対的な量を比較する。図9は、アルケンとオゾンとの一連の典型的な反応と、最初の分子中のRおよびR'基の性質に依存した可能性のある結果とを示す。
【0054】
プローブ76の一方は、一体化されたLEDから放出した(およそ600ナノメートルの)橙色光と、従って検出器とを具えることができる。このような光はオゾンにより吸収され、従って反応チャンバー72内の未反応残留オゾンを示す。これはまた、試料60中の反応化合物の濃度をも示している。実際、第2のオゾン検出プローブ76は、オゾンの入力量が分かるようにプラズマチャンバー28'の出力部分に設けることができる。
【0055】
光ファイバー分光測定法は、質量分析法を行うのと同じように、オゾン分解によって分断された目標分子の断片を定量化する確実な手段を与える。場合によって、これらの断片はまた、イオン移動度クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーにより気相で特徴付けられることも可能である。可搬一体型のセンサーに光検出器を容易に埋め込むことができ、マイクロチップ上でのガスクロマトグラフィーは、ロンドン インペリアル カレッジでの研究により報告されている[非特許文献3,非特許文献4]。
【0056】
しかしながら、特に単純な構成(図示せず)は、分析されるガスをサンプリングするために用いられるものと同じオゾン生成のためのガスの供給源14'を用いることである。例えば、分析器100を空港のセキュリティーゾーンや監視される他の領域に配することができる。爆発物または他の違法な(麻薬などの如き)物質の分子や、これに関連する分子は、これを所有する乗客から大気中に発せられ、そこから検出される可能性がある。
【0057】
この状況において、処理装置80は、プラズマチャンバー28'により作り出されるオゾンの平均基準量を記録し、プローブ76により検出されるそのあらゆる変動が空気試料中の複合分子との反応によってもたらされると想定する。結果として、分析器はやがて自己較正するようになる。
【0058】
前述の実施形態において、電極はおよそ800ミクロン離れており、およそ1センチメートルの長さであってよい。実際に、これらは注文製のマイクロチップの一部であってよく、1センチの長さに亙る微小通路の中央部にて側壁に対する銅の電着により微細加工される。マスキングは、微小通路の表面の他の場所、特に微小通路の床に対する電着を阻止する。この製品は、オランダ国 MICRONIT MICROFLUIDICS BV により製造される標準ベース Micronit チップの改造品である。
【0059】
図3を参照し、オゾン発生器12のための他の好ましい一構成は、電極24'がローズの形態にある気泡発生器41'に組み込まれていることである。ここで、円形のカバー90は絶縁材料から構成され、溝付きリム92が与えられており、リム92の外周縁部に配された多数の溝94がある。リム92内には電極24'の一方を形成する円板状導体96が配されている。第2の円形のカバー100は、平らなリム102を有するが、第2の円板状導体106を収容する。カバー100は、脈動する酸素または酸素含有空気の供給源を流体分流器(図示せず)の2つの分岐部40'の一方から受け入れるため、中央開口110が与えられている。
【0060】
使用中に、カバー90,100は、平らなリム102に当接する溝付きリム92と共に相互に接触し、それによって複数の外側に放射状に拡がる通路94を封じ込める。歯93の高さは溝/通路94の幅を画成し、導体96,106の離隔が1ミリメートルよりも狭くされている。電気的接続(図示せず)が整合インピーダンスネットワーク(図示せず)を導体96,106に接続し、プラズマがこれらの間の隙間に発生するようになっている。電極96,106間のプラズマチャンバー28により画成される大きなプレナムのため、溝94により画成された各通路の背後の圧力は等しい。これは、気泡の発生がローズ41'の外周縁部で一様であることを確実にする。
【0061】
図4a,図4b,図5a,図5b,図6a,図6b,図7a,図7bに示すように、カバー90,100は、30ミリメートルの内径を有するリムを持ったおよそ36ミリメートルの外径を有する。従って溝92によって作り出される通路の長さは、長手方向におよそ3ミリメートルである。歯93の高さはおよそ0.8ミリメートルであり、それでこれは電極96,106間の分離を意味する。実際に、カバー100はおよそ0.2ミリメートルの深さの浅いピット101を有し、これは電極96,106の厚みと同じである。
【0062】
これらの寸法は単なる例示であり、本発明を限定することを意図していない。
【0063】
適当なプラズマ供給源200およびそのための回路を図8に示し、これらは3つの主要段に分けることができる。
【0064】
第1段201は直流変換段であり、商用電源が直流に変換される。商用電源203は、変圧器TX1によって交流220Vからおよそ交流18Vまで低減させられ、次いで多数の高耐久性汎用1N4148パワーダイオード(D1,D2,D3およびD4)によって形成された全波ブリッジ整流器205により整流される。ブリッジ整流器からの一連の直流状パルスは、大きな電解コンデンサーC1によってフィルター処理され、(例えばLM338T型の)電圧調整器U1にその「In」ピンを介して供給される。大きな蓄電器の選択は、良好に調整された低リップル電圧を助長する。電圧調整器(の「Out」ピン)からの出力は、電圧調整器U1の「Adj」ピンに接続する4.7kΩの可変分圧器R1を介して直流1.2から28Vまで調整される。R1が電気抵抗を増大するに連れて出力電圧が上昇し、従ってプラズマ放電電極間電圧は、以下にさらに説明するように制御可能である。
【0065】
コンデンサーC2は、単なる予防措置として電圧調整器の近傍に配される。これは、漂遊磁界により引き起こされる可能性がある過渡的なノイズを除去する。コンデンサーC4は、高周波での過渡的応答を改善する。
【0066】
第2段207は発振段であり、直流段201からの出力電圧が抵抗器R3を介して直流12Vの(LM7812型)電圧調整器U2に供給される。コンデンサーC5およびC6は、製造元のデータシートにて推奨されるように、このチップU2の近傍に配される。電圧調整器U2は、555タイマーTをその入力(ピン8)に対して(ステージ200の出力にかかわらず)定圧直流12Vと共に与える。555タイマーの周囲の構成は、製造元のデータシートにより推奨される位相に従って実現され、抵抗器R4およびR5ならびにコンデンサーC7の値は、30kHz程度の作動周波数および50%のデューティーサイクルに適合するように設定されている。
【0067】
第3段209は、昇圧器TX2に対する電流を切り換える(IRFZ34型の)パワーMOSFET M1にゲート信号を与えるため、タイマーTのピン3からの信号出力が抵抗R6およびR7により形成される分圧器211によって分配される。MOSFET M1が断続的に切り替わる場合、TX2の一次巻線を通る電流は、二次側に対する電圧を昇圧器の巻数比とステージ201からの電圧出力とによって規定される度合いで誘導し、これは電極板24の全域に印加される。
【0068】
最終的に、供給源200からの出力信号は、図8bにより詳細に示す回路213によりプラズマ反応装置に対してインピーダンスを釣り合わされる。それは、抵抗器R1と、インダクタンスL1と、コンデンサーC1とを具え、この構成は、電極24のインピーダンスを回路200のそれと釣り合わせ、これによって最大の効率および出力伝達が達成される。出力電圧は、直流28Vから1と1000ヘルツの間の発振周波数を持つ交流1.5kVまで昇圧することができ、電流出力は10mA程度である。
【0069】
電極24は、これらの間の電界強度、それ故プラズマの発現と明らかに関連する間隔dだけ離される。しかしながら、図1および図2に示すように、導管が反応ガスを流し、プラズマが板の間に配される場合、その場合には、Dt=d2/Daの関係で用いられる寸法dは、電極間の間隔ではなく、むしろ導管の内径寸法である。この理由は、製品ガスに対する中間イオンの平衡転換に達するまでの反応時間Tが、電極ではなく、導管の寸法を用いた上の関係によって与えられる両極性拡散時間Dtよりも短い必要があるように、イオンが導管の壁で消滅するということである。Dtは、イオンの大部分が電極の一方から他方までの間隔を移動するための両極性拡散時間である。Daは、プラズマの両極性拡散率である。ところで、100%の平衡状態がおそらく決して達せられないので、実用的な目的のため、95%または好ましくは99%の平衡転化率が目標限界として用いられる。
【0070】
この明細書の発明の詳細な説明および特許請求の範囲に亙り、用語「具える」および「含む」およびこれらの単語の変形、例えば「具えている」および「具えた」は、「含むけれども限定されない」ことを意味し、他の部分や、付加物,部品,数またはステップを除外することを意図しない(除外しない)。
【0071】
この明細書の発明の詳細な説明および特許請求の範囲に亙り、単数形は、文脈が別のことを要求していない限り、複数形を包含する。特に不定冠詞を用いた場合、文脈が別のことを要求していない限り、この明細書は単数形と同様に複数形をも意図していることを理解すべきである。
【0072】
本発明の特定の形態や、実施形態または実施例と共に記述された特徴,数字,性質,化合物,化学的部分または化学基は、それらと矛盾しない限り、ここで記述された他のいかなる形態や、実施形態または実施例に対しても適用可能であることを理解すべきである。
【0073】
この読者の注意は、この出願に関してこの明細書と同時またはその前に提出され、かつこの明細書の縦覧のために公開されるすべての書類および文献に対して向けられ、このようなすべての書類および文献の内容は、参照することによって、ここに組み入れられる。
【0074】
この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示されたすべての特徴および/または同様に開示されたあらゆる方法または処理のすべてのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に唯一の組み合わせである場合を除き、あらゆる組み合わせにて組み合わせることができる。
【0075】
この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示されたそれぞれの特徴は、特に他のことを述べない限り、同一か、均等か、または類似の目的を満たす他の特徴で置き換えることができる。従って、特に他のことを述べない限り、開示されたそれぞれの特徴は、概ね一連の均等または類似の特徴の単なる一例である。
【0076】
本発明は、前述のどのような実施形態の細部にも制限されない。本発明は、この明細書(添付したあらゆる請求項,要約書および図面を含む)に開示された特徴のあらゆる新奇なものや、任意の新奇な組み合わせか、あるいは同様に開示されたあらゆる方法または処理のステップのあらゆる新奇なものや、任意の新奇な組み合わせにまで適用範囲が及ぶ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ガスの中間イオンへの原形質分離と、前記製品ガスを与えるための前記イオンの後続反応とによって製品ガスを製造するための装置であって、この装置は、
前記反応ガスの供給源と、
それらの間に10と1000ミクロンとの間の隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための第1の導管と、
電圧Vを前記電極間に印加して中間イオンを具えたプラズマへと前記反応ガスを解離させるための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電圧Vは、発振周波数fが10/Tと1/10Tとの間にある交流電圧であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記周波数fが2/Tと1/2Tとの間にあり、好ましくはおよそ1/Tであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記周波数fが10と1000Hzとの間にあり、都合よくはおよそ100Hzであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
大気圧またはおよそ大気圧にて作動することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
100と1000Vとの間の電圧を用いることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
好ましくは静電誘導放電による150と450Vとの間、好ましくはおよそ170Vの電圧を用いることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
製品ガスの製造および分離のためのガス装置であって、
原形質溶解性反応ガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための第1の導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記反応ガスを中間イオンへと解離するための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であり、このガス装置は、
前記第1および第2の導管の一方にあって、前記出口からの少なくとも製品ガスの流れを振動させる流体発振器と、
前記出口が開き、これによって前記製品ガスの微小気泡が前記液体に形成される液体の供給源と
をさらに具え、前記製品ガスは前記液体に可溶性であって、大部分の前記製品ガスは、前記気泡が前記液体の表面に達する前に前記液体に溶解するようになっていることを特徴とするガス装置。
【請求項9】
前記反応ガスが酸素または蒸気であって前記製品ガスがそれぞれオゾンまたは水素であることを特徴とする請求項8に記載のガス装置。
【請求項10】
前記液体が好ましくは水であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のガス装置。
【請求項11】
オゾン生成用のオゾン装置は、
酸素を具えた第1のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記酸素を前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記酸素を分離させ、オゾンを具えた第2のガスを形成するための電源と、
前記オゾンを出口に供給するための導管と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記オゾン装置は、水処理のための殺菌ユニットの部分を形成すると共に前記第1および/または第2のガスをの流れを振動させるための流体発振器をさらに具え、前記出口は、前記水中にあってオゾンの微小気泡を形成する目的のための複数のオリフィスを具えたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
水素生成用水素装置であって、
蒸気を具えた第3のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記蒸気を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記蒸気を分離させ、酸素と水素との混合気を具えた第4のガスを形成するための電源と、
前記水素および酸素を出口に供給するための導管と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項14】
前記水素装置は、前記第3および/または第4のガスの流れを振動させる流体発振器の形態にある分離ユニットをさらに具え、前記出口は、水中にあって前記酸素および水素の微小気泡の形成の目的のための複数のオリフィスを具え、これによって前記水が溶解した水素で選択的に富化されたようになることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
分流器が前記電極間の流路の後方の前記第2または第4のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされることを特徴とする請求項12または請求項14に記載の装置。
【請求項16】
それぞれ分岐通路は、これらと関連した前記一対の電極を有し、それぞれの通路中の脈動流をプラズマへとそれぞれ変化させることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
1つ以上の前記分岐通路の末端は前記分岐通路が開口する中央開口を有した第1の円形の導体電極と、溝付きのリムと、前記第1の導体から空間をあけて前記開口を取り囲み、前記リムにより結合されてこれらと共にチャンバーを画成する第2の円形の導体電極とを具えるローズになっており、前記リムの前記溝は、前記チャンバーを通過するガスが前記チャンバーを出る通路を画成し、プラズマが前記通路に形成されることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記リムは、前記第1の導体を配した第1の円形の絶縁カバーの端縁に画成され、第2の円形の絶縁カバーが前記第2の導体を配して設けられ、前記第2の円形の絶縁カバーの端縁は前記リムに対して当接し、前記溝の周囲を塞いで前記通路を画成することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
分流器が前記電極間の流路の前の前記第1または第3のガス流に配され、前記分流器は、一定流量の前記ガスが供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、それによって前記ジェットは、流路またはそれぞれの流路に開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、1つの流れが前記ポートを出る場合、この流れを他方の流路へとそらすことを特徴とする請求項12または請求項14に記載の装置。
【請求項20】
それぞれの制御ポートは、前記制御ポートが開口する前記流路からフィードバックループを与えられ、これによってそれぞれの流路に対する流れを振動させることを特徴とする請求項15から請求項19の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記酸素の供給源が空気の供給源であることを特徴とする請求項11か、または請求項11に従属する請求項12から請求項20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
前記オゾンがオゾンおよびまだ変化していない酸素の混合気および酸素供給源に含まれる他の任意の包含物であることを特徴とする請求項11または請求項11に従属する請求項12から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項23】
この装置の前記出口は、滅菌される水を通る気泡に配置されることを特徴とする請求項11に従属する請求項15から請求項17の何れかに記載の装置を具えた水殺菌ユニット。
【請求項24】
前記ユニットは、前記チャンバー内のガス圧が前記チャンバーへの水の浸入を常に充分に阻止するようになっており、オゾンの微小気泡が前記通路からの脈動流から発せられるように、水中のある深さに配された複数の前記ローズを具えたことを特徴とする請求項17に従属する請求項23に記載の水殺菌ユニット。
【請求項25】
請求項1から請求項10の何れかの特徴をもまた具えたことを特徴とする請求項11から請求項24の何れかに記載の装置。
【請求項26】
駆動回路がプラズマを生成する電極間に電界を作り出し、この駆動回路は、
1と50ボルトとの間の選択可能な直流電圧vを与えるための第1段と、
周波数f1にて報時信号を与えるための第2段と、
前記選択可能な電圧vを前記周波数f1にて切り替わるスイッチを介して供給し、前記電極間に電圧V1および周波数f1の交流電圧をもたらす変圧器を具えた第3段と
を具えていることを特徴とする請求項1から請求項25の何れかに記載の装置。
【請求項27】
前記電圧V1が電圧Vであることを特徴とする請求項1または請求項2に従属した場合における請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記周波数f1が周波数fであることを特徴とする請求項2および請求項26か、または請求項2および請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記回路は、前記第1段と、前記第2段と、前記第3段と、前記電極との間にインピーダンス整合ネットワークを具えた第4段をさらに具えていることを特徴とする請求項26から請求項28の何れかに記載の装置。
【請求項30】
前記インピーダンス整合回路が前記電極間の容量性/誘導性/抵抗性ブリッジであることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第1段はAC主駆動であって、電圧降下変圧器と、出力が前記選択可能な電圧vである電圧調整器を与える整流ブリッジとを具えたことを特徴とする請求項26から請求項30の何れかに記載の装置。
【請求項32】
オゾンの製造のための請求項1から請求項12および請求項15から請求項22および請求項25から請求項30の何れかに記載の装置を具え、前記装置により生成されるオゾンと混合されるように構成され、炭素−炭素不飽和結合を含むガス中の複合有機分子をより単純な炭素分子へと分解するようになっている分析されるガスの供給源と、前記より単純な炭素分子および/または生成して前記元の複合有機分子を特定するまで用いられるオゾンの量を検出して定量化すると共に特定するための検出器とが設けられたことを特徴とする分析器。
【請求項33】
分析される前記ガスが空気であって、酸素の前記供給源をもまた構成していることを特徴とする請求項32に記載の分析器。
【請求項34】
オゾン量を経時的にモニターし、前記複雑な有機分子がない場合、前記装置により作り出されるオゾンの量を推定する手段をさらに具えたことを特徴とする請求項32または請求項33に記載の分析器。
【請求項35】
特定な性質の複雑な分子が検出された場合の警報器をさらに具えたことを特徴とする請求項32から請求項34の何れかに記載の分析器。
【請求項36】
警報器を始動させる前記分子は、爆発性の成分および/または麻薬の如き非合法物質の成分を具えることを特徴とする請求項35に記載の分析器。
【請求項37】
図面を参照して実質的に上述したような装置か、殺菌ユニットか、あるいは分析器。
【請求項1】
反応ガスの中間イオンへの原形質分離と、前記製品ガスを与えるための前記イオンの後続反応とによって製品ガスを製造するための装置であって、この装置は、
前記反応ガスの供給源と、
それらの間に10と1000ミクロンとの間の隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための第1の導管と、
電圧Vを前記電極間に印加して中間イオンを具えたプラズマへと前記反応ガスを解離させるための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電圧Vは、発振周波数fが10/Tと1/10Tとの間にある交流電圧であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記周波数fが2/Tと1/2Tとの間にあり、好ましくはおよそ1/Tであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記周波数fが10と1000Hzとの間にあり、都合よくはおよそ100Hzであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
大気圧またはおよそ大気圧にて作動することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
100と1000Vとの間の電圧を用いることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
好ましくは静電誘導放電による150と450Vとの間、好ましくはおよそ170Vの電圧を用いることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
製品ガスの製造および分離のためのガス装置であって、
原形質溶解性反応ガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記反応ガスを前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための第1の導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記反応ガスを中間イオンへと解離するための電源と、
中間イオンの再結合から生ずる製品ガスを出口に供給するための第2の導管と
を具え、前記中間イオンの前記製品ガスへの平衡転化率が95%、好ましくは99%に達するまでの反応時間Tは、前記イオンの大部分を一方の電極から他方まで移動させるための両極性拡散時間Dtよりも短く、これは
Dt=d2/Da
の関係により推定され、ここでdは前記電極間または前記電極の領域にある導管間の隙間間隔の何れかより小さい方であり、Daは前記プラズマの両極性拡散率であり、このガス装置は、
前記第1および第2の導管の一方にあって、前記出口からの少なくとも製品ガスの流れを振動させる流体発振器と、
前記出口が開き、これによって前記製品ガスの微小気泡が前記液体に形成される液体の供給源と
をさらに具え、前記製品ガスは前記液体に可溶性であって、大部分の前記製品ガスは、前記気泡が前記液体の表面に達する前に前記液体に溶解するようになっていることを特徴とするガス装置。
【請求項9】
前記反応ガスが酸素または蒸気であって前記製品ガスがそれぞれオゾンまたは水素であることを特徴とする請求項8に記載のガス装置。
【請求項10】
前記液体が好ましくは水であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のガス装置。
【請求項11】
オゾン生成用のオゾン装置は、
酸素を具えた第1のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記酸素を前記供給源から前記電極の間の前記隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記酸素を分離させ、オゾンを具えた第2のガスを形成するための電源と、
前記オゾンを出口に供給するための導管と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記オゾン装置は、水処理のための殺菌ユニットの部分を形成すると共に前記第1および/または第2のガスをの流れを振動させるための流体発振器をさらに具え、前記出口は、前記水中にあってオゾンの微小気泡を形成する目的のための複数のオリフィスを具えたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
水素生成用水素装置であって、
蒸気を具えた第3のガスの供給源と、
それらの間に1mmよりも狭い隙間を持つ電極と、
前記蒸気を前記供給源から前記電極の間の隙間を介して導くための導管と、
前記電極間に電圧を印加して前記蒸気を分離させ、酸素と水素との混合気を具えた第4のガスを形成するための電源と、
前記水素および酸素を出口に供給するための導管と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項14】
前記水素装置は、前記第3および/または第4のガスの流れを振動させる流体発振器の形態にある分離ユニットをさらに具え、前記出口は、水中にあって前記酸素および水素の微小気泡の形成の目的のための複数のオリフィスを具え、これによって前記水が溶解した水素で選択的に富化されたようになることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
分流器が前記電極間の流路の後方の前記第2または第4のガス流に配され、この分流器は、前記ガスが一定流量で供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、これにより前記ジェットは前記流路か、またはそれぞれの流路へと開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、ある流れが前記ポートを出た場合、この流れは他方の流路へとそらされることを特徴とする請求項12または請求項14に記載の装置。
【請求項16】
それぞれ分岐通路は、これらと関連した前記一対の電極を有し、それぞれの通路中の脈動流をプラズマへとそれぞれ変化させることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
1つ以上の前記分岐通路の末端は前記分岐通路が開口する中央開口を有した第1の円形の導体電極と、溝付きのリムと、前記第1の導体から空間をあけて前記開口を取り囲み、前記リムにより結合されてこれらと共にチャンバーを画成する第2の円形の導体電極とを具えるローズになっており、前記リムの前記溝は、前記チャンバーを通過するガスが前記チャンバーを出る通路を画成し、プラズマが前記通路に形成されることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記リムは、前記第1の導体を配した第1の円形の絶縁カバーの端縁に画成され、第2の円形の絶縁カバーが前記第2の導体を配して設けられ、前記第2の円形の絶縁カバーの端縁は前記リムに対して当接し、前記溝の周囲を塞いで前記通路を画成することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
分流器が前記電極間の流路の前の前記第1または第3のガス流に配され、前記分流器は、一定流量の前記ガスが供給されると共にジェットから前記供給を受ける2つの分岐通路を有し、それによって前記ジェットは、流路またはそれぞれの流路に開口する制御ポートの何れかを通って出ることができ、1つの流れが前記ポートを出る場合、この流れを他方の流路へとそらすことを特徴とする請求項12または請求項14に記載の装置。
【請求項20】
それぞれの制御ポートは、前記制御ポートが開口する前記流路からフィードバックループを与えられ、これによってそれぞれの流路に対する流れを振動させることを特徴とする請求項15から請求項19の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記酸素の供給源が空気の供給源であることを特徴とする請求項11か、または請求項11に従属する請求項12から請求項20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
前記オゾンがオゾンおよびまだ変化していない酸素の混合気および酸素供給源に含まれる他の任意の包含物であることを特徴とする請求項11または請求項11に従属する請求項12から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項23】
この装置の前記出口は、滅菌される水を通る気泡に配置されることを特徴とする請求項11に従属する請求項15から請求項17の何れかに記載の装置を具えた水殺菌ユニット。
【請求項24】
前記ユニットは、前記チャンバー内のガス圧が前記チャンバーへの水の浸入を常に充分に阻止するようになっており、オゾンの微小気泡が前記通路からの脈動流から発せられるように、水中のある深さに配された複数の前記ローズを具えたことを特徴とする請求項17に従属する請求項23に記載の水殺菌ユニット。
【請求項25】
請求項1から請求項10の何れかの特徴をもまた具えたことを特徴とする請求項11から請求項24の何れかに記載の装置。
【請求項26】
駆動回路がプラズマを生成する電極間に電界を作り出し、この駆動回路は、
1と50ボルトとの間の選択可能な直流電圧vを与えるための第1段と、
周波数f1にて報時信号を与えるための第2段と、
前記選択可能な電圧vを前記周波数f1にて切り替わるスイッチを介して供給し、前記電極間に電圧V1および周波数f1の交流電圧をもたらす変圧器を具えた第3段と
を具えていることを特徴とする請求項1から請求項25の何れかに記載の装置。
【請求項27】
前記電圧V1が電圧Vであることを特徴とする請求項1または請求項2に従属した場合における請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記周波数f1が周波数fであることを特徴とする請求項2および請求項26か、または請求項2および請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記回路は、前記第1段と、前記第2段と、前記第3段と、前記電極との間にインピーダンス整合ネットワークを具えた第4段をさらに具えていることを特徴とする請求項26から請求項28の何れかに記載の装置。
【請求項30】
前記インピーダンス整合回路が前記電極間の容量性/誘導性/抵抗性ブリッジであることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第1段はAC主駆動であって、電圧降下変圧器と、出力が前記選択可能な電圧vである電圧調整器を与える整流ブリッジとを具えたことを特徴とする請求項26から請求項30の何れかに記載の装置。
【請求項32】
オゾンの製造のための請求項1から請求項12および請求項15から請求項22および請求項25から請求項30の何れかに記載の装置を具え、前記装置により生成されるオゾンと混合されるように構成され、炭素−炭素不飽和結合を含むガス中の複合有機分子をより単純な炭素分子へと分解するようになっている分析されるガスの供給源と、前記より単純な炭素分子および/または生成して前記元の複合有機分子を特定するまで用いられるオゾンの量を検出して定量化すると共に特定するための検出器とが設けられたことを特徴とする分析器。
【請求項33】
分析される前記ガスが空気であって、酸素の前記供給源をもまた構成していることを特徴とする請求項32に記載の分析器。
【請求項34】
オゾン量を経時的にモニターし、前記複雑な有機分子がない場合、前記装置により作り出されるオゾンの量を推定する手段をさらに具えたことを特徴とする請求項32または請求項33に記載の分析器。
【請求項35】
特定な性質の複雑な分子が検出された場合の警報器をさらに具えたことを特徴とする請求項32から請求項34の何れかに記載の分析器。
【請求項36】
警報器を始動させる前記分子は、爆発性の成分および/または麻薬の如き非合法物質の成分を具えることを特徴とする請求項35に記載の分析器。
【請求項37】
図面を参照して実質的に上述したような装置か、殺菌ユニットか、あるいは分析器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公表番号】特表2012−514841(P2012−514841A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544925(P2011−544925)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050012
【国際公開番号】WO2010/079351
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(500413582)ユニバーシティー オブ シェフィールド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050012
【国際公開番号】WO2010/079351
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(500413582)ユニバーシティー オブ シェフィールド (9)
【Fターム(参考)】
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