プラズマ発生体、プラズマ発生装置、オゾン発生装置、排ガス処理装置
【課題】 プラズマ場のばらつきを抑制し、流体を良好に分解することができるプラズマ発生体および及びプラズマ発生体を用いた各種装置を提供することにある
【解決手段】 本発明のプラズマ発生体は、内部空間Sを挟んで対向する一対の第1電極4を備える管状の外囲体1と、一対の第1電極4間に、間に空隙を介して配置される第2電極5とを備え、2電極5は、一方の端部3aが外囲体1に固定され、且つ他方の端部3bが自由端であり、一対の第1電極3のそれぞれと第2電極4との間にプラズマを発生させるものである。
【解決手段】 本発明のプラズマ発生体は、内部空間Sを挟んで対向する一対の第1電極4を備える管状の外囲体1と、一対の第1電極4間に、間に空隙を介して配置される第2電極5とを備え、2電極5は、一方の端部3aが外囲体1に固定され、且つ他方の端部3bが自由端であり、一対の第1電極3のそれぞれと第2電極4との間にプラズマを発生させるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を挟む一対の電極間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生体およびこれを用いた各種装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭で使用されている湯沸かし器の不完全燃焼時に排出されるCOガスやディーゼルエンジン、ガソリンエンジンからの排ガス、或いは焼却炉から出される排ガス等の流体中には、CO、カーボン、SOF(Soluble Organic Fraction)、高分子有機化合物、硫酸ミスト等のPM、NOxやSOxの酸化性成分、HC等が含まれている。このようなPMや酸化性成分、HC等の排出を抑制する方法として、プラズマ反応を利用してCOやPM等を浄化するという技術が提案されている。
【0003】
このようなプラズマ反応により流体を浄化するためのプラズマ発生体は、一対の電極を一定の距離だけ離間して対向させた構造を有している。そして、プラズマ反応による浄化は、対向する一対の電極間に高電圧を印加させてプラズマ場を発生させ、このプラズマ場内に上述した流体を通過させることにより、流体を分解させるものである。なお、一対の電極は、それぞれが絶縁体により覆われており、この絶縁体の両端部のそれぞれが、一対の壁部のそれぞれによって支持されている。これらの絶縁体の一部や壁部により、内部に流体を通過させる空間を備えた外囲体が形成されている。
【0004】
このようなプラズマ発生体は、プラズマ発生体の電極間を流れる流体やプラズマ発生体が稼動した際の熱により、高温になることがある。プラズマ発生体に熱が蓄積されていくと、プラズマ発生体が破損してプラズマ場を発生させることができなくなる懸念を有していた。そこで、プラズマ発生体の破損を抑制するために、例えば、一方の端部を壁部に固定し、他方の端部を自由端とした複数の電極が形成された部材を複数準備するとともに、各部材の電極同士が対向するようにこれら部材を組み合わせた構造のプラズマ発生体が知られている。そして、これら各部材は、ボルトや金属製の締め具により互いに固定されている。
【特許文献1】特開2004−092589号公報
【特許文献2】特開2005−093107号公報
【特許文献3】特開2003−286829号公報
【特許文献4】WO2004/072445号公報
【特許文献5】WO2005/000450号公報
【特許文献6】WO2005/001250号公報
【特許文献7】特開2005−129247号公報
【特許文献8】特開2005−123034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように部材を複数組み合わせて形成した構造においては、プラズマ発生体に振動や衝撃が印加されると、ボルトや金属製の締め具が緩んでしまい、各部材の位置がずれてしまうということが懸念される。このため、長期間にわたって使用している間に、対向する電極間距離や対向する電極間の重畳面積が大きく変化し、電極間に発生するプラズマ強度にばらつきが発生してしまうということが懸念される。
【0006】
また、各部材を複数組み合わせて形成していることから、空間内の流体が各部材を組み合わせた際に生じる隙間等から外部に漏れ出してしまい、流体を良好に分解させることができなくなるということが懸念される。
【0007】
本発明は、上記想定に鑑み案出されたもので、その目的は、プラズマ場のばらつきを抑制し、流体を良好に分解することができるプラズマ発生体および及びプラズマ発生体を用いた各種装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、前記一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、前記第2電極は、一方の端部が前記外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、前記一対の第1電極のそれぞれと前記第2電極との間に、プラズマを発生させるものである。
【0009】
また、好ましくは、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、好ましくは、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、好ましくは、前記ガラスは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とするものである。
【0012】
また、好ましくは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明のプラズマ発生体は、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスを含む接着剤により接合されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、前記一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、前記第4電極部材は、一方の端部が前記スペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、前記一対の第3電極部材及び前記スペーサ部材並びに前記第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間にプラズマを発生させるものである。
【0015】
また、好ましくは、前記スペーサ部材はセラミックスを含んでなり、前記第4電極部材は、第4電極と、セラミックスを含む絶縁部とからなり、前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、好ましくは、前記第4電極部材は、第4電極と、該第4電極を支持する絶縁部とからなり、前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、好ましくは、前記ガラスは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とするものである。
【0018】
また、好ましくは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のプラズマ発生体は、本発明のプラズマ発生体と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第1電極と前記第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えるものである。
【0020】
本発明のオゾン装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0021】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0022】
本発明のプラズマ発生装置は、本発明のいずれかに記載のプラズマ発生体と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第3電極と前記第4電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えるものである。
【0023】
本発明のオゾン装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0024】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、第2電極は、一方の端部が外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、一対の第1電極のそれぞれと第2電極との間に、プラズマを発生させるものである。本発明のプラズマ発生体によれば、第2電極が、第1電極を備えた管状の外囲体に固定されているので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0026】
また、外囲体は管状をなしていることから、各部材を複数組み合わせた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。
【0027】
また。好ましくは、外囲体はセラミックスを含んでなり、第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、外囲体と絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されている。これにより、外囲体と第2電極を支持する絶縁部とが一体化されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0028】
また、好ましくは、外囲体はセラミックスを含んでなり、第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、外囲体と絶縁部とは、ガラスにより接合されている。これにより、外囲体と第2電極を支持する絶縁部とはガラスにより強固に接合されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0029】
また、好ましくは、ガラスは、外囲体或いは絶縁部の双方に含まれている。これにより、外囲体或いは絶縁部と、ガラスとの接合強度が高くなり、外囲体或いは絶縁部とをより強固に接合させることができる。
【0030】
また、好ましくは、外囲体或いは絶縁部の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスである。これにより、ガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、の特性変化等が生じる可能性が低くなり、外囲体或いは絶縁部との接合強度の低下等が生じる可能性を抑制することができる。
【0031】
本発明のプラズマ発生装置は、本発明のプラズマ発生体と、プラズマ発生体の第1電極と第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、第1電極と第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えている。これにより、プラズマ発生装置は、第1電極と第2電極との間に良好にプラズマ場を発生させることができる。
【0032】
本発明のオゾン発生装置は、本発明のプラズマ発生体の第1電極と第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、プラズマ発生体記第1電極と、第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の空間から排出されるオゾンを、空間内から流出させる第2の流路とを備えている。そして第1電極には、その両側から電圧が印加される。これにより、オゾン発生装置は、第1の流路より流入させた酸素をプラズマ反応によりオゾンへと変化させ、このオゾンを第2の流路より排出させることができる。
【0033】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の第1電極と第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、プラズマ発生体の第1電極と、第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の空間から排出される被処理ガスを、空間内から流出させる第2の流路とを備えている。そして第1電極には、その両側から電圧が印加される。これにより、排ガス処理装置は、第1の流路より流入させた排ガスをプラズマ反応により浄化させ、この浄化した被処理ガスを第2の流路より排出させることができる。
【0034】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、一対の第3電極部材のそれぞれと第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、第4電極部材は、一方の端部がスペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、一対の第3電極部材及びスペーサ部材並びに第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、一対の第3電極部材のそれぞれと第4電極部材との間にプラズマを発生させるものである。この場合においても、上述したプラズマ発生体と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明のプラズマ発生体の一例について説明する。図1(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)のA方向から見た側面図である。図2(a)は、図1(a)のB−B’線における断面図である。図2(b)は、図1(b)のC−C’線における断面図である。図2(c)は、図1(b)のD−D’線における断面図である。図2(d)は、図1(b)のE−E’線における断面図である。これらの図において、1は外囲体、2は第1電極部、3は第2電極部、4は第1電極、5は第2電極、6は側部、7は外部端子、Sは内部空間である。
【0036】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間Sを挟んで対向する一対の第1電極4を備える管状の外囲体1と、一対の第1電極4間に、間に空隙を介して配置される第2電極5とを備え、第2電極5は、一方の端部が外囲体1に固定され、且つ他方の端部が自由端である。そして、本発明のプラズマ発生体は、一対の第1電極3のそれぞれと第2電極4との間にプラズマを発生させる。
【0037】
プラズマ発生体の外囲体1は、一対の第1電極4をそれぞれ支持する第1絶縁部2と、一対の第1絶縁部2を両端部にて支持する一対の側部6とを備えている。そして、これらの各部材により内部空間Sが形成されている。
【0038】
さらに、プラズマ発生体は、一対の第1電極4間に配置される第2電極5及びこれを支持する第2絶縁部3を備えている。この第2絶縁部3の一方の端部3aは、第2電極5とともに外囲体1の側部6に固定されており、他方の端部3bは、自由端である。
【0039】
第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6は、例えば、セラミックスから成る場合、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、コーディエライト等の電気絶縁材料から成る。第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6が、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、まず、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状物を作製する。次に、この泥漿状物が、従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、粉体加圧成形法、射出成形法等により、例えばシート状やブロック状に成形されて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体が得られる。次に、これらのセラミック生成形体に適当な打ち抜き加工が施される。その際、これらのセラミック生成形体を複数枚積層する。なお、打ち抜き加工は、積層後に行ってもよいし、打ち抜きを行った後に、打ち抜いたもの同士を積層してもよい。最後に、高温(約1500〜1800℃)で焼成することによって、第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6とが製作される。なお、第1絶縁部2となるセラミック生成形体と側部6となるセラミック生成形体とはともに積層された後、一体焼成されて管状の外囲体1として形成される。
【0040】
一対の第1電極4および第2電極5は、これらの電極4,5同士の対向領域に位置する内部空間S内にプラズマ場を発生させるための電極である。一対の第1電極4および第2電極5は、プラズマ発生体の表面または内部、具体的には、第1絶縁部2や第2絶縁部3の表面または内部に配置されている。そして、一対の第1電極4のそれぞれおよび第2電極5は、互いに一定の距離だけ離間して対向して配設されている。なお、第1電極4および第2電極5は、プラズマ発生体の外表面、例えば、外囲体1の側部6の外表面に形成された後述する一対の外部端子7に電気的に接続される。第1電極4および第2電極5は、メタライズ金属層からなる場合、以下のように作製される。まず、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末を含む従来周知のメタライズペーストを準備する。そして、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体の第1絶縁部2或いは第2絶縁部3となる所定の位置に、第1電極4および第2電極5用のメタライズペーストを塗布する。ここで所定の位置とは、例えば、第1絶縁部2或いは第2絶縁部3となるセラミック生成形体の内部や表面である。その後、これらのセラミック生成形体と同時に焼成することによって、第1電極4および第2電極5をプラズマ発生体の所定の位置、所定のパターンに形成することができる。
【0041】
なお、図2に示すように、第1電極4および第2電極5は、第1絶縁部2および第2絶縁部3の内部に形成しているとよい。これにより、第1電極4および第2電極5が内部空間S内を通過する流体、例えば、酸化性の流体に直接接触しにくくなる。従って、第1電極4および第2電極5がこの流体により腐食されにくくなる。従って、プラズマ場の強度の低下を抑制することができるため好ましい。そして、第1絶縁部2、第2絶縁部3が、例えばコージェライトからなる場合は、それぞれの絶縁部2,3の表面から第1電極4或いは第2電極5までの最短距離が100μm以上となる位置に形成しておくことが好ましい。
【0042】
また、第1電極4や第2電極5が第1絶縁部2および第2絶縁部3の表面に露出して形成される場合には、これらの電極4,5の露出する表面には、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。特に第1電極4および第2電極5が、酸化性の流体等に直接曝される場合は特に好ましい。
【0043】
また、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。例えば、ニッケル層を形成せずに金層だけを被着している場合には、熱によりニッケルが金層内部の粒界に沿って、金層の表面まで拡散してしまうことがない。従って、領域ごとのニッケルの拡散量にバラツキが生じることが抑制できるため、各領域における導電特性にばらつきが生じにくくできる。このため、プラズマ発生体を高温下の環境にて使用する場合は、第1電極4および第2電極5の露出する表面に金層のみを0.1〜10μm程度、例えばめっき法等により被着させておくとよい。
【0044】
また、本発明のプラズマ発生体をオゾン発生装置に用いる場合は、第1電極4と第2電極5との間隔は、0.7mm〜3.0mm程度とされる。また、本発明のプラズマ発生体を、ディーゼルエンジン等の排ガス処理装置に用いて、排ガス中のPMや酸化成分等の流体を反応させて分解する場合には、0.5mm〜2.0mm程度とされる。但し、必要とするプラズマ場の強度や第1電極4および第2電極5に印加する電圧等によって適宜変更してもよい。
【0045】
一対の外部端子7は、プラズマ発生体の外表面、例えば、外囲体1の側部6の外表面のそれぞれに配置されている。一対の外部端子7は、第1電極4および第2電極5にそれぞれ電気的に接続され、外部電源から第1電極4および第2電極5に電圧を印加するための導電路として機能する。外部端子7は、第1電極4および第2電極5と同様の手法により作製できる。すなわち、外部端子7が、メタライズ金属層からなる場合、上述と同様に、メタライズペーストを、例えば、側部6なるセラミック生成形体の所定の位置に塗布し、その後、側部6とともに焼成することにより得られる。
【0046】
また、これらの外部端子7の露出する表面には、第1電極4および第2電極5の場合と同様に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。
【0047】
そして、外部電源の電源配線を外部端子7に接触させたり或いは接合させたりすることにより外部端子7に電気的に接続される。そして、電圧が、外部端子7を通して第1電極4と第2電極5との間に印加される。これにより第1電極4と第2電極5との対向領域(平面視で第1電極4と第2電極5とが重畳する領域)にプラズマ場を発生させることができる。
【0048】
そして、プラズマ発生体の内部空間S内を通過する流体は、第1電極4と第2電極5との間の対向領域内のプラズマ場を通過することにより分解される。例えば、流体が排ガスである場合、NOX(窒素酸化物)は、下記の反応(1)および(2)により分解して、N2およびO2が生成されて浄化される。
【0049】
2NO2 → 2NO+O2 ・・・・・・・・・・(1)
2NO+O2 → N2+2O2・・・・・・・・・(2)
なお、第1電極4と第2電極5との間にプラズマ場を発生させるための電圧としては、例えば、周波数の高い交流電圧が採用される。印加される交流電圧は、必要とされるプラズマ場の強度等によって適宜選択される。例えば、ディーゼルエンジンの排ガス中の酸化成分を含有する流体を分解するプラズマ発生体において、印加される交流電圧およびその周波数は、例えば、1kV〜100kV、10MHz〜100MHz程度とされる。
【0050】
そして、本発明においては、第2電極5を支持する第2絶縁部3の一方の端部3aが第1電極4を備えた管状の外囲体1の側部6に第2電極5とともに固定されている。このため、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第2電極5の第1電極4に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0051】
また、外囲体1は管状をなしていることから、各部材を複数組み合わせた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。従って、内部空間S内に流入した流体をプラズマ反応させて良好に変化させることができる。
【0052】
なお、第2絶縁部3は、同時焼成による接合、ガラスやろう材等の接合材料による接合等により外囲体1の側部6に固定することができる。
【0053】
具体的には、外囲体1と第2絶縁部3は、ともに焼成、すなわち外囲体1と第2絶縁部6とが同時に焼成されたことにより、一体化されて接合されている。これにより、第2電極4を支持する第2絶縁部3は、外囲体1に一体化して固定されているので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極5の第1電極1に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0054】
このようなプラズマ発生体は、以下のようにして作成される。まず、外囲体1となるセラミック生成形体、すなわち第1絶縁部2となるセラミック生成形体および側部6となるセラミック生成形体と、第2絶縁部3となるセラミック生成形体を準備する。次にこれらの生成形体を積層して生積層体を形成する。最後に、この生積層体を高温で同時に焼成することによって製作することができる。なお、このような場合、外囲体1、すなわち第1絶縁部2および側部6に含まれる主成分のセラミックス材料と、第2絶縁部3に含まれる主成分のセラミックス材料とは、同一のセラミックス材料が使用されることが好ましい。さらに、第1絶縁部2および側部6に含まれる他の材料、例えば焼結助剤と第2絶縁部3に含まれる他の材料、例えば焼結助剤とが、同一の材料である場合も、外囲体1と第2絶縁部3の特性や強度等が等しくなるので好ましい。
【0055】
また他の具体例としては、外囲体1と第2絶縁部3とがガラスにより接合されてもよい。これにより、外囲体1と第2電極5を支持する第2絶縁部3とはガラスにより強固に接合されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極5の第1電極3に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0056】
このようなプラズマ発生体は、例えば、次のように製作される。まず、接合用ガラスの粉末に有機溶剤および溶媒を添加混合して得た混合ペーストを、外囲体1の所定の位置に塗布し、この混合ペーストを加熱により溶融させることにより、接合用ガラスが外囲体1に被着される。そして、第2絶縁部3を、接続用ガラスが塗布された外囲体1に載置し、この接合用ガラスを溶融させることにより外囲体1と第2絶縁部3とが接合用ガラスを介して接合される。
【0057】
なお、接合用ガラスとしては、例えばホウ酸塩ガラス(B2O3系,Li2O−B2O3系,Na2O−B2O3系等),リン酸塩ガラス(Na2O−P2O5系,B2O3−P2O5系等),リン酸スズ亜鉛ガラス(P2O5−SnO−ZnO系)等を用いることができる。
【0058】
また、外囲体1と第2絶縁部3とを接合用ガラスにより接合する場合、第2電極5と外部端子7とを電気的に接続するために、必要に応じて、接合用ガラスに金属粉末等の導電性材料を添加される。
【0059】
なお、外囲体1と第2絶縁部3とをガラスにより接合する場合は、この接合用のガラスとして、外囲体1及び第2絶縁部3の双方に含まれているガラスと同一のガラスを使用することが好ましい。これにより、外囲体1或いは第2絶縁部3に含まれるガラスと接合用のガラスとが、これらの接合界面において良好に結合して、外囲体1或いは第2絶縁部3と接合ガラスとの接合強度を高くすることができる。
【0060】
また、外囲体1及び第2絶縁部3の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスであることが好ましい。これにより、外囲体1の側部と第2絶縁部3とを接合用のガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、ガラスの特性変化等が生じる可能性が低くなり、外囲体1或いは第2絶縁部3の特性や強度の変化等が生じる可能性を抑制することができる。
【0061】
また、管状の外囲体1は、図3、図4に示すような場合であっても構わない。なお、図3(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の他の例を示す平面図である。また図3(b)はその側面図である。図4(a)は、図3のプラズマ発生体の断面図である。図4(b)は、内部空間S内に配置された第1電極4における断面図である。図4(c)は、内部空間S内に配置された第2電極5における断面図である。図4(d)は、内部空間Sにおける断面図である。
【0062】
これらの図に示す例においても、管状の外囲体1が第1絶縁部2と側部6とにより構成される。また、上側の第1電極4xと、下側の第1電極4yとの間に複数の第2電極5が配置される。例えば、一対の第1電極4x,4y間に、上側の第1電極4xに対向する上側の第2電極5xと、下側の第1電極4yに対向する下側の第2電極5yとが配置され、さらに上側の第2電極5xと下側の第2電極5yとは、互いに対向している。
【0063】
そして、このようなプラズマ発生体を使用する場合、好ましくは、上側の第1電極4xと下側の第2電極5yとが同電位に設定され、また上側の第2電極5xと下側の第1電極4yとが同電位に設定される。
【0064】
これにより、上側の第1電極4xと上側の第2電極5xとの間の空間、上側の第2電極5xと下側の第2電極5yとの間の空間、及び下側の第2電極5yと下側の第1電極4yとの間の空間でそれぞれプラズマを発生させることが可能となる。尚、隣接する電極同士が互いに異なる電位になればプラズマは発生することから、必ずしも、上側の第1電極4xと下側の第2電極5yとが同電位に設定されなければならないものではない。同様に上側の第2電極5xと下側の第1電極4yとが同電位に設定されなければならないものではない。
【0065】
そして、このようなプラズマ発生体においては、内部空間S内に配置される第1絶縁部2および第2絶縁部3の一方の端部3a,3cが外囲体1の側部6に固定され、他方の端部3b,3dが自由端とされる。なお、それぞれの絶縁部2,3は、上述と同様な方法により固定することができる。
【0066】
そして、このようなプラズマ発生体においても、流体からの熱やプラズマ発生体の稼動に伴う熱により、第2絶縁部3と側部6との間に応力が発生したとしても、第2絶縁部3は片方が自由端であることから、応力が開放された状態で使用することができる。
【0067】
また、図5に示すように、一対の第1電極4間にさらに多くの第2電極が配置され、その結果、内部空間Sが多数積層されるようにしたものであっても構わない。このように多数の内部空間Sを積層することにより、各内部空間Sに流体を通過させるとともに、流体をプラズマ反応させることができる。なお、このようなプラズマ発生体においても上述と同様に、複数の第2電極5同士は、交互に対向するように配置される。
【0068】
また、図6に示すように、外囲体1となる絶縁部の厚みを内部空間S内に配置される第2絶縁部3のそれぞれの厚みよりも厚くしても構わない。図6においては、外囲体1に配置された第1絶縁部2の厚みを第2絶縁部3の厚みよりも厚く形成している。これにより、外囲体1の機械的強度を高くして外囲体1が破損する可能性を低減することができる。
【0069】
次に、本発明のプラズマ発生体の他の実施の形態について説明する。図7(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図である。図7(b)は、図7(a)のK方向から見た側面図である。図8(a)は、図7(a)のL−L’線における断面図である。図8(b)は、図7(b)のM−M’線における断面図である。図8(c)は、図7(b)のN−N’線における断面図である。図8(d)は、図7(b)のO−O’線における断面図である。これらの図において、101は第3電極部材、102は第4電極部材、103は第3電極、104は第4電極、105は第3絶縁部、106は第4絶縁部、107はスペーサ部材である。なお、上述の例のプラズマ発生体と同一の構成のものについては同じ参照符号を付すこととする。
【0070】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間Sを挟んで対向する一対の第3電極103を備える第3電極部材101と、一対の第3電極103のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極104を備える第4電極部材102と、一対の第3電極部材102のそれぞれと第4電極部材102との間に介在されるスペーサ部材107とを備えている。また、第4電極部材102は、一方の端部102aがスペーサ部材107に固定され、且つ他方の端部102bが自由端である。さらに、一対の第3電極部材101及びスペーサ部材107並びに第4電極部材102の一方の端部によって管状の外壁が形成される。このような構成を備えることにより、一対の第3電極部材101のそれぞれと第4電極部材102との間にプラズマを発生させることが可能となる。
【0071】
そして、上述したプラズマ発生体の第3電極部材101は、一対の第3電極103を支持する第3絶縁部105を備え、また、第4電極部材102は、一対の第3電極103間に配置される第4電極104を支持する第4絶縁部106を備えている。この第3絶縁部105と第4絶縁部106とスペーサ部材107とにより、第3電極103と第4電極104との間に流体が流れる内部空間Sが形成される。
【0072】
第3絶縁部105、第4絶縁部106、スペーサ部材107は、例えば、セラミックスから成る場合、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、コーディエライト等の電気絶縁材料から成る。第1絶縁部2、第2絶縁部3、スペーサ部材107が、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、まず、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状物を作製する。次に、この泥漿状物が、従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、粉体加圧成形法、射出成形法等により、例えばシート状のプラズマ発生体用のセラミックグリーンシートが得られる。次に、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工が施される。その際、これらのセラミックグリーンシートを複数枚積層する。なお、打ち抜き加工は、積層後に行ってもよいし、打ち抜きを行った後に、打ち抜いたもの同士を積層してもよい。最後に、高温(約1500〜1800℃)で焼成することによって、第3絶縁部105、第4絶縁部106、スペーサ部材107とがそれぞれ製作される。
【0073】
第3電極103および第4電極104は、これら電極103,104同士の対向領域に位置する内部空間S内にプラズマ場を発生させるために互いに異なる電位が付与される電極である。第3電極103および第2電極104は、プラズマ発生体の表面または内部、具体的には、第3絶縁部105や第4絶縁部106の表面または内部に配置されている。そして、第3電極103および第4電極104は、互いに一定の距離だけ離間するとともに、互いの主面が対向して配設されている。なお、第3電極103および第4電極104は、プラズマ発生体の外表面、例えば、スペーサ部107の外表面に形成された一対の外部端子7にそれぞれ電気的に接続される。
【0074】
第3電極103および第4電極104は、メタライズ金属層からなる場合、以下のように作製される。まず、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末を含む従来周知のメタライズペーストを準備する。そして、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体の第3絶縁部103或いは第4絶縁部104となる所定の位置に、第3電極103および第4電極104用のメタライズペーストを塗布する。ここで所定の位置とは、例えば、第3絶縁部105或いは第4絶縁部106となるセラミック生成形体の内部や表面である。その後、これらのセラミック生成形体と同時に焼成することによって、第3電極103および第4電極104をプラズマ発生体の所定の位置、所定のパターンに形成することができる。ここで、第3絶縁部105或いは第4絶縁部106となるセラミック生成形体の内部にメタライズペーストを塗布する場合には、第3絶縁部105を例えば2枚のセラミックグリーンシートを貼り合わせて構成するとよい。すなわち、2枚のセラミックグリーンシートの貼り合わせ前に、一方のシートの貼り合わせ面にメタライズペーストを所定パターンに塗布すればよい。
【0075】
これにより、第3電極103および第4電極104が内部空間S内を通過する流体、例えば、酸化性の流体に直接接触しにくくなる。従って、第3電極103および第4電極104がこの流体により腐食されにくくなる。従って、プラズマ場の強度の低下を抑制することができるため好ましい。そして、第3絶縁部105、第4絶縁部106が、例えばコージェライトからなる場合は、それぞれの絶縁部105,106の表面から第3電極103或いは第4電極104までの最短距離が100μm以上となる位置に形成しておくことが好ましい。
【0076】
また、第3電極103や第4電極104が第3絶縁部105および第4絶縁部106の表面に露出して形成される場合には、これらの電極103,104の露出する表面に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。特に第3電極103および第4電極104が、酸化性の流体等に直接曝される場合は特に好ましい。
【0077】
また、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。例えば、ニッケル層を形成せずに金層だけを被着している場合には、熱によりニッケルが金層内部の粒界に沿って、金層の表面まで拡散してしまうことがない。従って、領域ごとのニッケルの拡散のバラツキが生じにくいため、各領域における導電特性にばらつきが生じてにくくできる。このため、プラズマ発生体を高温下の環境にて使用する場合は、第1電極4および第2電極5の露出する表面に金層のみを0.1〜10μm程度、例えばめっき法等により被着させておくとよい。
【0078】
また、本発明のプラズマ発生体をオゾン発生装置に用いる場合は、第3電極103と第4電極104との間隔は、0.7mm〜3.0mm程度とされる。また、本発明のプラズマ発生体を、ディーゼルエンジン等の排ガス処理装置に用いて、排ガス中のPMや酸化成分等の流体を反応させて分解する場合には、0.5mm〜2.0mm程度とされる。但し、必要とするプラズマ場の強度や第3電極103および第4電極104に印加する電圧等によって適宜変更してもよい。
【0079】
一対の外部端子7は、上述と同様に、プラズマ発生体の外表面にそれぞれ配置されている。一対の外部端子7は、第3電極103および第4電極104にそれぞれ電気的に接続されている。そして、一対の外部端子7は、外部電源から第3電極103および第4電極104に電圧を印加するための導電路として機能する。外部端子7は、第1電極4および第2電極5と同様の手法により作製できる。すなわち、外部端子7が、メタライズ金属層からなる場合、上述と同様に、メタライズペーストを、例えば、スペーサ部107となるセラミック生成形体の所定の位置に塗布し、その後、スペーサ部107とともに焼成することにより得られる。また、これらの外部端子7の露出する表面には、第1電極4および第2電極5の場合と同様に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。
【0080】
そして、外部電源の電源配線を外部端子7に接触させたり或いは接合させたりすることにより外部端子7に電気的に接続される。そして、電圧が、外部端子7を通して第3電極103と第4電極104との間に印加される。これにより第1電極3と第2電極104との対向領域(平面視で第3電極103と第4電極104とが重畳する領域)にプラズマ場を発生させることができる。
【0081】
そして、プラズマ発生体の内部空間S内を通過する流体は、第3電極103と第4電極104との間の対向領域内のプラズマ場を通過することにより分解される。例えば、流体が排ガスである場合、NOX(窒素酸化物)は、下記の反応(1)および(2)により分解して、N2およびO2が生成されて浄化される。
【0082】
2NO2 → 2NO+O2 ・・・・・・・・・・(1)
2NO+O2 → N2+2O2・・・・・・・・・(2)
なお、第3電極103と第4電極104との間にプラズマ場を発生させるための電圧としては、例えば、周波数の高い交流電圧が採用される。印加される交流電圧は、必要とされるプラズマ場の強度等によって適宜選択される。例えば、ディーゼルエンジンの排ガス中のPM等の酸化成分等の流体を反応させて分解するプラズマ発生体において、印加される交流電圧およびその周波数は、例えば、1kV〜100kV、10MHz〜100MHzが好ましい。
【0083】
そして、本発明においては、第4電極部材102は、一方の端部102aがスペーサ部材107に固定され、他方の端部102bが自由端である。これにより、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0084】
また、一対の第3電極部材101及びスペーサ部材107並びに第4電極部材102の一方の端部102aによって管状の外壁が形成されることから、各部材を複数組み合わせてこれら部材同士をボルト等の金属製の締め具により締め付けた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。従って、内部空間S内に流入した流体をプラズマ反応させて良好に変化させることができる。
【0085】
なお、第4電極部材102とスペーサ部材107とを固定する方法としては、同時焼成による接合、ガラスやろう材等の接合材料による接合等により行うことができる。
【0086】
具体的には、第4絶縁部106とスペーサ部材107とを、ともに焼成するとよい。この同時焼成により、これら第4絶縁部106とスペーサ部材107とが一体化されて接合されることとなる。これにより、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0087】
このようなプラズマ発生体は、第4絶縁部106となるセラミックグリーンシートとスペーサ部材107となるセラミックグリーンシートとを準備し、これらのセラミックグリーンシートを積層して生積層体を形成しておき、この生積層体を高温で同時に焼成することによって製作することができる。なお、第3電極部材101においても同様にしてもよい。すなわち、第3絶縁部105用のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシートとともに積層しておき、同時に焼成することにより一体化しても構わない。なお、このような焼成により一体化する場合、第3絶縁部105に含まれる主成分のセラミック材料と、第4絶縁部106に含まれる主成分のセラミック材料と、スペーサ部材107に含まれる主成分のセラミック材料とは、同一のセラミック材料が使用されることが好ましい。さらに、第3絶縁部105と、第4絶縁部106と、スペーサ部材107とに含まれる他の材料、例えば焼結助剤として同一の材料を用いると、各部材の特性や強度等が等しくなる点で好ましい。
【0088】
或いは、他の具体例として、第4絶縁部106とスペーサ部材107とは、ガラスにより接合される。これにより、第4絶縁部106とスペーサ部材107とは強固に接合できる。従って、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際であっても、対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0089】
このようなプラズマ発生体は、例えば、次のように製作される。まず、接合用ガラスの粉末に有機溶剤および溶媒を添加混合して得た混合ペーストを、スペーサ部材107に塗布し、この混合ペースト中の接合用ガラスを溶融させることにより、接合用ガラスがスペーサ部材107に被着される。そして、第4絶縁部106を接続用ガラスが被着されたスペーサ部材107上に載置し、この接合用ガラスを加熱により溶融させることによって第4絶縁部106とスペーサ部材107とが接合用ガラスを介して接合される。
【0090】
なお、接合用ガラスとしては、例えばホウ酸塩ガラス(B2O3系,Li2O−B2O3系,Na2O−B2O3系等),リン酸塩ガラス(Na2O−P2O5系,B2O3−P2O5系等),リン酸スズ亜鉛ガラス(P2O5−SnO−ZnO系)等を用いることができる。
【0091】
また、第4絶縁部106とスペーサ部材107とを接合用ガラスにより接合し、かつ外部端子7を第4絶縁部106およびスペーサ部材107の双方にわたって形成する場合、これらの外部端子7を電気的に接続するために、接合用ガラスに金属粉末等の導電性材料が添加される。
【0092】
なお、第4絶縁部106とスペーサ部材107とをガラスにより接合する場合は、この接合用のガラスとして、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107の双方に含まれているガラスと同一のものを使用することが好ましい。これにより、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107に含まれたガラスと接合用のガラスとが、これらの接合界面において良好に結合して、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107と接合ガラスとの接合強度を高くすることができる。
【0093】
また、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスであることが好ましい。これにより、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107とを接合ガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、ガラスの特性変化等が生じる可能性が低くなり、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107との接合強度の低下等が生じる可能性を抑制することができる。
【0094】
そして、上述したように、一方の端部が自由端である第4電極部材102を容易に作製する方法の一例としては、例えば図9(a)に示すような方法が挙げられる。まず、図9(a)および図9(b)に示すような母基板110を準備する。図9(a)は、母基板110の平面図であり、図9(b)は、図9(a)の母基板110の第4電極104における断面図である。なお、図9(b)に示すように、第4電極104が形成された領域には、自由端を形成するための貫通溝111が形成されている。
【0095】
そして、図9(c)に示すように、スライシング法等の切断加工により母基板110をP−P’線およびQ−Q’線に沿って切断することで貫通溝111の両端が切り落とされ、他方の端部102bが自由端となる。なお、プラズマ発生体を焼結したセラミックスから形成する場合、各部材となるセラミックグリーンシートを積層してなる生積層体を形成した後、上述と同様に貫通溝111を切断して他方の端部102bを自由端とし、この後に焼成しても構わないし、上述のように焼成後に母基板110を切断しても構わない。なお、母基板110の加工は上述の切断加工に限るものではなく、例えば、研磨加工等の加工手段により母基板110を加工してプラズマ発生体を形成しても構わない。
【0096】
また、第3電極103および第4電極104の場合においても、上述の第1電極3および第2電極4が形成されたプラズマ発生体と同様に、複数の内部空間Sが形成されるように、複数の第4電極104同士が対向するように配置しても構わない。
【0097】
次に本発明のプラズマ発生装置について図10を基に説明する。本発明のプラズマ発生装置は、上述した実施形態のプラズマ発生体を用いている。さらに、プラズマ発生体の第1電極4と第2電極5とに接続され、第1電極4と第2電極5との間に交流電圧あるいは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための電圧印加手段を備えている。これにより、第1電極4と第2電54との間の対向領域にプラズマ場を発生させることができる。
【0098】
電圧印加手段は、少なくとも外部電源11と外部端子7に接続される電源配線とを備えている。外部電源11は、交流電源、直流電源、直流パルス電源等が採用可能である。
【0099】
このようなプラズマ発生装置は、具体的には、例えば、流体が酸素であり、プラズマ反応により、この酸素をオゾンに良好に変化させることができるオゾン発生装置に使用することができる。このようなオゾン発生装置は、例えば、図11に示すように、上述のプラズマ発生体の対向領域である内部空間S内に、酸素を流入させる第1の流路12と、プラズマ発生体の第1電極4と、第2電極5とに接続され、これら電極4,5間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子7に接続される電源配線と、電源配線に接続される外部電源11とを備えた電圧印加手段と、プラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間Sから排出されるオゾンを、対向領域に位置する内部空間S内から流出させる第2の流路113とを備えているものが挙げられる。
【0100】
或いは、このようなプラズマ発生装置は、例えば、流体が自動車、船舶、発電機等に使用されるエンジン等の内燃機関から排出される排ガスや焼却炉等から排出される排ガスであり、プラズマ反応によりこの排ガスを良好に浄化することができる排ガス処理装置に使用することができる。このような排ガス処理装置は、例えば、上述のプラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間S内に、例えば内燃機関もしくは焼却炉からの排ガスを流入させる第1の流路12、プラズマ発生体の第1電極4と、第2電極5とに接続され、これら電極4,5間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間Sから排出される被処理ガスを、対向領域に位置する内部空間S内から流出させる第2の流路13とを備えているものが挙げられる。
【0101】
また、上述のような排ガス処理装置としては、例えば、図12に示すように、排ガスの発生源であるディーゼルエンジン等の内燃機関15から延びる排気管(第1の流路12、第2の流路13)中に上述のようなプラズマ発生体14が取り付けられるものが挙げられる。そして、内燃機関15からの排ガスが第1の流路11を介してプラズマ発生体14に流入される。またプラズマ発生体14から排出された浄化ガスが第2の流路13を介して、マフラー16に流入される。これにより、ディーゼルエンジン等の内燃機関15から排出される排ガスは、マフラー16から排出されるまでに、プラズマ発生体14を通過して浄化される。
【0102】
なお、上述の排ガス処理装置には、プラズマ発生体以外の排ガスの浄化機構を併設しておいて良い。例えば、プラズマ発生体14の前後にフィルター17や触媒を配置しても良く、これにより排ガス中のPMや酸化成分等の流体の排出をさらに低減させることができる。このようなフィルター17として、セラミック製のDPF(Diesel Particulate Filter)等があり、触媒として白金等を用いることができる。
【0103】
また、本発明のプラズマ発生装置は、流体がタバコの煙やカビ、埃等を含んだ空気であり、プラズマ反応により良好に空気を浄化することができる空気洗浄機として使用することもできる。このような空気洗浄機は、例えば、上述と同様に、少なくとも電圧印加手段、任意的に第1の流路16、第2の流路17等を備えたものが挙げられる。
【0104】
なお、上述のプラズマ発生装置、オゾン発生装置、排ガス処理装置においては、第1電極4および第2電極5を備えたプラズマ発生体を用いた例について示しているが、第3電極103と第4電極104とを備えたプラズマ発生体の場合においても同様の効果を得ることができるものである。すなわち、上述の第1電極4と第2電極5とを、第3電極103と第4電極104とに置き換えればよい。
【0105】
なお、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述においては、自動車、船舶、発電機等に使用されるディーゼルエンジン等の排ガスの浄化について説明を行っているが、その他の用途に使用されるプラズマ発生体およびその反応装置に適用しても良い。例えば、消臭、ダイオキシンの分解、花粉の分解等に使用される空気洗浄機器やプラズマエッチング、薄膜装置等に搭載されるプラズマ発生体および反応装置等に適用することができる。また、プラズマ反応により内部空間S内を通過する流体を反応または分解させるためのプラズマ発生体およびその反応装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のA方向から見た側面図である。
【図2】(a)は、図1(a)のプラズマ発生体のB−B’線における断面図、(b)は、図1(b)のC−C’線における断面図、(c)は、図1(b)のD−D’線における断面図、(d)は図1(b)のE−E’線における断面図である。
【図3】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のF方向から見た側面図である。
【図4】(a)は、図3(a)のプラズマ発生体のG−G’線における断面図、(b)は、図3(b)のH−H’線における断面図、(c)は、図3(b)のI−I’線における断面図、(d)は図3(b)のJ−J’線における断面図である。
【図5】本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図6】本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図7】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のK方向から見た側面図である。
【図8】(a)は、図7(a)のプラズマ発生体のL−L’線における断面図、(b)は、図7(b)のM−M’線における断面図、(c)は、図7(b)のN−N’線における断面図、(d)は図7(b)のO−O’線における断面図である。
【図9】本発明のプラズマ発生体の製造方法を示す一例である。
【図10】本発明のプラズマ発生装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【図11】本発明のオゾン発生装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の排ガス処理装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・外囲体
2・・・第1電極部
3・・・第2電極部
4・・・第1電極
5・・・第2電極
6・・・側部
7・・・外部端子
11・・・外部電源
12・・・第1の流路
13・・・第2の流路
13・・・電源配線
14・・・内燃機関
15・・・マフラー
16・・・フィルター
S・・・内部空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を挟む一対の電極間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生体およびこれを用いた各種装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭で使用されている湯沸かし器の不完全燃焼時に排出されるCOガスやディーゼルエンジン、ガソリンエンジンからの排ガス、或いは焼却炉から出される排ガス等の流体中には、CO、カーボン、SOF(Soluble Organic Fraction)、高分子有機化合物、硫酸ミスト等のPM、NOxやSOxの酸化性成分、HC等が含まれている。このようなPMや酸化性成分、HC等の排出を抑制する方法として、プラズマ反応を利用してCOやPM等を浄化するという技術が提案されている。
【0003】
このようなプラズマ反応により流体を浄化するためのプラズマ発生体は、一対の電極を一定の距離だけ離間して対向させた構造を有している。そして、プラズマ反応による浄化は、対向する一対の電極間に高電圧を印加させてプラズマ場を発生させ、このプラズマ場内に上述した流体を通過させることにより、流体を分解させるものである。なお、一対の電極は、それぞれが絶縁体により覆われており、この絶縁体の両端部のそれぞれが、一対の壁部のそれぞれによって支持されている。これらの絶縁体の一部や壁部により、内部に流体を通過させる空間を備えた外囲体が形成されている。
【0004】
このようなプラズマ発生体は、プラズマ発生体の電極間を流れる流体やプラズマ発生体が稼動した際の熱により、高温になることがある。プラズマ発生体に熱が蓄積されていくと、プラズマ発生体が破損してプラズマ場を発生させることができなくなる懸念を有していた。そこで、プラズマ発生体の破損を抑制するために、例えば、一方の端部を壁部に固定し、他方の端部を自由端とした複数の電極が形成された部材を複数準備するとともに、各部材の電極同士が対向するようにこれら部材を組み合わせた構造のプラズマ発生体が知られている。そして、これら各部材は、ボルトや金属製の締め具により互いに固定されている。
【特許文献1】特開2004−092589号公報
【特許文献2】特開2005−093107号公報
【特許文献3】特開2003−286829号公報
【特許文献4】WO2004/072445号公報
【特許文献5】WO2005/000450号公報
【特許文献6】WO2005/001250号公報
【特許文献7】特開2005−129247号公報
【特許文献8】特開2005−123034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように部材を複数組み合わせて形成した構造においては、プラズマ発生体に振動や衝撃が印加されると、ボルトや金属製の締め具が緩んでしまい、各部材の位置がずれてしまうということが懸念される。このため、長期間にわたって使用している間に、対向する電極間距離や対向する電極間の重畳面積が大きく変化し、電極間に発生するプラズマ強度にばらつきが発生してしまうということが懸念される。
【0006】
また、各部材を複数組み合わせて形成していることから、空間内の流体が各部材を組み合わせた際に生じる隙間等から外部に漏れ出してしまい、流体を良好に分解させることができなくなるということが懸念される。
【0007】
本発明は、上記想定に鑑み案出されたもので、その目的は、プラズマ場のばらつきを抑制し、流体を良好に分解することができるプラズマ発生体および及びプラズマ発生体を用いた各種装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、前記一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、前記第2電極は、一方の端部が前記外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、前記一対の第1電極のそれぞれと前記第2電極との間に、プラズマを発生させるものである。
【0009】
また、好ましくは、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、好ましくは、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、好ましくは、前記ガラスは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とするものである。
【0012】
また、好ましくは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明のプラズマ発生体は、前記外囲体はセラミックスを含んでなり、前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスを含む接着剤により接合されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、前記一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、前記第4電極部材は、一方の端部が前記スペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、前記一対の第3電極部材及び前記スペーサ部材並びに前記第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間にプラズマを発生させるものである。
【0015】
また、好ましくは、前記スペーサ部材はセラミックスを含んでなり、前記第4電極部材は、第4電極と、セラミックスを含む絶縁部とからなり、前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、好ましくは、前記第4電極部材は、第4電極と、該第4電極を支持する絶縁部とからなり、前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、好ましくは、前記ガラスは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とするものである。
【0018】
また、好ましくは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のプラズマ発生体は、本発明のプラズマ発生体と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第1電極と前記第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えるものである。
【0020】
本発明のオゾン装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0021】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0022】
本発明のプラズマ発生装置は、本発明のいずれかに記載のプラズマ発生体と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第3電極と前記第4電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えるものである。
【0023】
本発明のオゾン装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【0024】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、第2電極は、一方の端部が外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、一対の第1電極のそれぞれと第2電極との間に、プラズマを発生させるものである。本発明のプラズマ発生体によれば、第2電極が、第1電極を備えた管状の外囲体に固定されているので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0026】
また、外囲体は管状をなしていることから、各部材を複数組み合わせた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。
【0027】
また。好ましくは、外囲体はセラミックスを含んでなり、第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、外囲体と絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されている。これにより、外囲体と第2電極を支持する絶縁部とが一体化されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0028】
また、好ましくは、外囲体はセラミックスを含んでなり、第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、外囲体と絶縁部とは、ガラスにより接合されている。これにより、外囲体と第2電極を支持する絶縁部とはガラスにより強固に接合されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極の第1電極に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極と第2電極との距離や第1電極と第2電極との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0029】
また、好ましくは、ガラスは、外囲体或いは絶縁部の双方に含まれている。これにより、外囲体或いは絶縁部と、ガラスとの接合強度が高くなり、外囲体或いは絶縁部とをより強固に接合させることができる。
【0030】
また、好ましくは、外囲体或いは絶縁部の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスである。これにより、ガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、の特性変化等が生じる可能性が低くなり、外囲体或いは絶縁部との接合強度の低下等が生じる可能性を抑制することができる。
【0031】
本発明のプラズマ発生装置は、本発明のプラズマ発生体と、プラズマ発生体の第1電極と第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、第1電極と第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段とを備えている。これにより、プラズマ発生装置は、第1電極と第2電極との間に良好にプラズマ場を発生させることができる。
【0032】
本発明のオゾン発生装置は、本発明のプラズマ発生体の第1電極と第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、プラズマ発生体記第1電極と、第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の空間から排出されるオゾンを、空間内から流出させる第2の流路とを備えている。そして第1電極には、その両側から電圧が印加される。これにより、オゾン発生装置は、第1の流路より流入させた酸素をプラズマ反応によりオゾンへと変化させ、このオゾンを第2の流路より排出させることができる。
【0033】
本発明の排ガス処理装置は、本発明のプラズマ発生体の第1電極と第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、プラズマ発生体の第1電極と、第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の空間から排出される被処理ガスを、空間内から流出させる第2の流路とを備えている。そして第1電極には、その両側から電圧が印加される。これにより、排ガス処理装置は、第1の流路より流入させた排ガスをプラズマ反応により浄化させ、この浄化した被処理ガスを第2の流路より排出させることができる。
【0034】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、一対の第3電極部材のそれぞれと第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、第4電極部材は、一方の端部がスペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、一対の第3電極部材及びスペーサ部材並びに第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、一対の第3電極部材のそれぞれと第4電極部材との間にプラズマを発生させるものである。この場合においても、上述したプラズマ発生体と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明のプラズマ発生体の一例について説明する。図1(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)のA方向から見た側面図である。図2(a)は、図1(a)のB−B’線における断面図である。図2(b)は、図1(b)のC−C’線における断面図である。図2(c)は、図1(b)のD−D’線における断面図である。図2(d)は、図1(b)のE−E’線における断面図である。これらの図において、1は外囲体、2は第1電極部、3は第2電極部、4は第1電極、5は第2電極、6は側部、7は外部端子、Sは内部空間である。
【0036】
本発明のプラズマ発生体は、内部空間Sを挟んで対向する一対の第1電極4を備える管状の外囲体1と、一対の第1電極4間に、間に空隙を介して配置される第2電極5とを備え、第2電極5は、一方の端部が外囲体1に固定され、且つ他方の端部が自由端である。そして、本発明のプラズマ発生体は、一対の第1電極3のそれぞれと第2電極4との間にプラズマを発生させる。
【0037】
プラズマ発生体の外囲体1は、一対の第1電極4をそれぞれ支持する第1絶縁部2と、一対の第1絶縁部2を両端部にて支持する一対の側部6とを備えている。そして、これらの各部材により内部空間Sが形成されている。
【0038】
さらに、プラズマ発生体は、一対の第1電極4間に配置される第2電極5及びこれを支持する第2絶縁部3を備えている。この第2絶縁部3の一方の端部3aは、第2電極5とともに外囲体1の側部6に固定されており、他方の端部3bは、自由端である。
【0039】
第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6は、例えば、セラミックスから成る場合、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、コーディエライト等の電気絶縁材料から成る。第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6が、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、まず、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状物を作製する。次に、この泥漿状物が、従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、粉体加圧成形法、射出成形法等により、例えばシート状やブロック状に成形されて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体が得られる。次に、これらのセラミック生成形体に適当な打ち抜き加工が施される。その際、これらのセラミック生成形体を複数枚積層する。なお、打ち抜き加工は、積層後に行ってもよいし、打ち抜きを行った後に、打ち抜いたもの同士を積層してもよい。最後に、高温(約1500〜1800℃)で焼成することによって、第1絶縁部2、第2絶縁部3、側部6とが製作される。なお、第1絶縁部2となるセラミック生成形体と側部6となるセラミック生成形体とはともに積層された後、一体焼成されて管状の外囲体1として形成される。
【0040】
一対の第1電極4および第2電極5は、これらの電極4,5同士の対向領域に位置する内部空間S内にプラズマ場を発生させるための電極である。一対の第1電極4および第2電極5は、プラズマ発生体の表面または内部、具体的には、第1絶縁部2や第2絶縁部3の表面または内部に配置されている。そして、一対の第1電極4のそれぞれおよび第2電極5は、互いに一定の距離だけ離間して対向して配設されている。なお、第1電極4および第2電極5は、プラズマ発生体の外表面、例えば、外囲体1の側部6の外表面に形成された後述する一対の外部端子7に電気的に接続される。第1電極4および第2電極5は、メタライズ金属層からなる場合、以下のように作製される。まず、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末を含む従来周知のメタライズペーストを準備する。そして、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体の第1絶縁部2或いは第2絶縁部3となる所定の位置に、第1電極4および第2電極5用のメタライズペーストを塗布する。ここで所定の位置とは、例えば、第1絶縁部2或いは第2絶縁部3となるセラミック生成形体の内部や表面である。その後、これらのセラミック生成形体と同時に焼成することによって、第1電極4および第2電極5をプラズマ発生体の所定の位置、所定のパターンに形成することができる。
【0041】
なお、図2に示すように、第1電極4および第2電極5は、第1絶縁部2および第2絶縁部3の内部に形成しているとよい。これにより、第1電極4および第2電極5が内部空間S内を通過する流体、例えば、酸化性の流体に直接接触しにくくなる。従って、第1電極4および第2電極5がこの流体により腐食されにくくなる。従って、プラズマ場の強度の低下を抑制することができるため好ましい。そして、第1絶縁部2、第2絶縁部3が、例えばコージェライトからなる場合は、それぞれの絶縁部2,3の表面から第1電極4或いは第2電極5までの最短距離が100μm以上となる位置に形成しておくことが好ましい。
【0042】
また、第1電極4や第2電極5が第1絶縁部2および第2絶縁部3の表面に露出して形成される場合には、これらの電極4,5の露出する表面には、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。特に第1電極4および第2電極5が、酸化性の流体等に直接曝される場合は特に好ましい。
【0043】
また、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。例えば、ニッケル層を形成せずに金層だけを被着している場合には、熱によりニッケルが金層内部の粒界に沿って、金層の表面まで拡散してしまうことがない。従って、領域ごとのニッケルの拡散量にバラツキが生じることが抑制できるため、各領域における導電特性にばらつきが生じにくくできる。このため、プラズマ発生体を高温下の環境にて使用する場合は、第1電極4および第2電極5の露出する表面に金層のみを0.1〜10μm程度、例えばめっき法等により被着させておくとよい。
【0044】
また、本発明のプラズマ発生体をオゾン発生装置に用いる場合は、第1電極4と第2電極5との間隔は、0.7mm〜3.0mm程度とされる。また、本発明のプラズマ発生体を、ディーゼルエンジン等の排ガス処理装置に用いて、排ガス中のPMや酸化成分等の流体を反応させて分解する場合には、0.5mm〜2.0mm程度とされる。但し、必要とするプラズマ場の強度や第1電極4および第2電極5に印加する電圧等によって適宜変更してもよい。
【0045】
一対の外部端子7は、プラズマ発生体の外表面、例えば、外囲体1の側部6の外表面のそれぞれに配置されている。一対の外部端子7は、第1電極4および第2電極5にそれぞれ電気的に接続され、外部電源から第1電極4および第2電極5に電圧を印加するための導電路として機能する。外部端子7は、第1電極4および第2電極5と同様の手法により作製できる。すなわち、外部端子7が、メタライズ金属層からなる場合、上述と同様に、メタライズペーストを、例えば、側部6なるセラミック生成形体の所定の位置に塗布し、その後、側部6とともに焼成することにより得られる。
【0046】
また、これらの外部端子7の露出する表面には、第1電極4および第2電極5の場合と同様に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。
【0047】
そして、外部電源の電源配線を外部端子7に接触させたり或いは接合させたりすることにより外部端子7に電気的に接続される。そして、電圧が、外部端子7を通して第1電極4と第2電極5との間に印加される。これにより第1電極4と第2電極5との対向領域(平面視で第1電極4と第2電極5とが重畳する領域)にプラズマ場を発生させることができる。
【0048】
そして、プラズマ発生体の内部空間S内を通過する流体は、第1電極4と第2電極5との間の対向領域内のプラズマ場を通過することにより分解される。例えば、流体が排ガスである場合、NOX(窒素酸化物)は、下記の反応(1)および(2)により分解して、N2およびO2が生成されて浄化される。
【0049】
2NO2 → 2NO+O2 ・・・・・・・・・・(1)
2NO+O2 → N2+2O2・・・・・・・・・(2)
なお、第1電極4と第2電極5との間にプラズマ場を発生させるための電圧としては、例えば、周波数の高い交流電圧が採用される。印加される交流電圧は、必要とされるプラズマ場の強度等によって適宜選択される。例えば、ディーゼルエンジンの排ガス中の酸化成分を含有する流体を分解するプラズマ発生体において、印加される交流電圧およびその周波数は、例えば、1kV〜100kV、10MHz〜100MHz程度とされる。
【0050】
そして、本発明においては、第2電極5を支持する第2絶縁部3の一方の端部3aが第1電極4を備えた管状の外囲体1の側部6に第2電極5とともに固定されている。このため、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第2電極5の第1電極4に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0051】
また、外囲体1は管状をなしていることから、各部材を複数組み合わせた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。従って、内部空間S内に流入した流体をプラズマ反応させて良好に変化させることができる。
【0052】
なお、第2絶縁部3は、同時焼成による接合、ガラスやろう材等の接合材料による接合等により外囲体1の側部6に固定することができる。
【0053】
具体的には、外囲体1と第2絶縁部3は、ともに焼成、すなわち外囲体1と第2絶縁部6とが同時に焼成されたことにより、一体化されて接合されている。これにより、第2電極4を支持する第2絶縁部3は、外囲体1に一体化して固定されているので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極5の第1電極1に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0054】
このようなプラズマ発生体は、以下のようにして作成される。まず、外囲体1となるセラミック生成形体、すなわち第1絶縁部2となるセラミック生成形体および側部6となるセラミック生成形体と、第2絶縁部3となるセラミック生成形体を準備する。次にこれらの生成形体を積層して生積層体を形成する。最後に、この生積層体を高温で同時に焼成することによって製作することができる。なお、このような場合、外囲体1、すなわち第1絶縁部2および側部6に含まれる主成分のセラミックス材料と、第2絶縁部3に含まれる主成分のセラミックス材料とは、同一のセラミックス材料が使用されることが好ましい。さらに、第1絶縁部2および側部6に含まれる他の材料、例えば焼結助剤と第2絶縁部3に含まれる他の材料、例えば焼結助剤とが、同一の材料である場合も、外囲体1と第2絶縁部3の特性や強度等が等しくなるので好ましい。
【0055】
また他の具体例としては、外囲体1と第2絶縁部3とがガラスにより接合されてもよい。これにより、外囲体1と第2電極5を支持する第2絶縁部3とはガラスにより強固に接合されるので、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第2電極5の第1電極3に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第1電極4と第2電極5との距離や第1電極4と第2電極5との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0056】
このようなプラズマ発生体は、例えば、次のように製作される。まず、接合用ガラスの粉末に有機溶剤および溶媒を添加混合して得た混合ペーストを、外囲体1の所定の位置に塗布し、この混合ペーストを加熱により溶融させることにより、接合用ガラスが外囲体1に被着される。そして、第2絶縁部3を、接続用ガラスが塗布された外囲体1に載置し、この接合用ガラスを溶融させることにより外囲体1と第2絶縁部3とが接合用ガラスを介して接合される。
【0057】
なお、接合用ガラスとしては、例えばホウ酸塩ガラス(B2O3系,Li2O−B2O3系,Na2O−B2O3系等),リン酸塩ガラス(Na2O−P2O5系,B2O3−P2O5系等),リン酸スズ亜鉛ガラス(P2O5−SnO−ZnO系)等を用いることができる。
【0058】
また、外囲体1と第2絶縁部3とを接合用ガラスにより接合する場合、第2電極5と外部端子7とを電気的に接続するために、必要に応じて、接合用ガラスに金属粉末等の導電性材料を添加される。
【0059】
なお、外囲体1と第2絶縁部3とをガラスにより接合する場合は、この接合用のガラスとして、外囲体1及び第2絶縁部3の双方に含まれているガラスと同一のガラスを使用することが好ましい。これにより、外囲体1或いは第2絶縁部3に含まれるガラスと接合用のガラスとが、これらの接合界面において良好に結合して、外囲体1或いは第2絶縁部3と接合ガラスとの接合強度を高くすることができる。
【0060】
また、外囲体1及び第2絶縁部3の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスであることが好ましい。これにより、外囲体1の側部と第2絶縁部3とを接合用のガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、ガラスの特性変化等が生じる可能性が低くなり、外囲体1或いは第2絶縁部3の特性や強度の変化等が生じる可能性を抑制することができる。
【0061】
また、管状の外囲体1は、図3、図4に示すような場合であっても構わない。なお、図3(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の他の例を示す平面図である。また図3(b)はその側面図である。図4(a)は、図3のプラズマ発生体の断面図である。図4(b)は、内部空間S内に配置された第1電極4における断面図である。図4(c)は、内部空間S内に配置された第2電極5における断面図である。図4(d)は、内部空間Sにおける断面図である。
【0062】
これらの図に示す例においても、管状の外囲体1が第1絶縁部2と側部6とにより構成される。また、上側の第1電極4xと、下側の第1電極4yとの間に複数の第2電極5が配置される。例えば、一対の第1電極4x,4y間に、上側の第1電極4xに対向する上側の第2電極5xと、下側の第1電極4yに対向する下側の第2電極5yとが配置され、さらに上側の第2電極5xと下側の第2電極5yとは、互いに対向している。
【0063】
そして、このようなプラズマ発生体を使用する場合、好ましくは、上側の第1電極4xと下側の第2電極5yとが同電位に設定され、また上側の第2電極5xと下側の第1電極4yとが同電位に設定される。
【0064】
これにより、上側の第1電極4xと上側の第2電極5xとの間の空間、上側の第2電極5xと下側の第2電極5yとの間の空間、及び下側の第2電極5yと下側の第1電極4yとの間の空間でそれぞれプラズマを発生させることが可能となる。尚、隣接する電極同士が互いに異なる電位になればプラズマは発生することから、必ずしも、上側の第1電極4xと下側の第2電極5yとが同電位に設定されなければならないものではない。同様に上側の第2電極5xと下側の第1電極4yとが同電位に設定されなければならないものではない。
【0065】
そして、このようなプラズマ発生体においては、内部空間S内に配置される第1絶縁部2および第2絶縁部3の一方の端部3a,3cが外囲体1の側部6に固定され、他方の端部3b,3dが自由端とされる。なお、それぞれの絶縁部2,3は、上述と同様な方法により固定することができる。
【0066】
そして、このようなプラズマ発生体においても、流体からの熱やプラズマ発生体の稼動に伴う熱により、第2絶縁部3と側部6との間に応力が発生したとしても、第2絶縁部3は片方が自由端であることから、応力が開放された状態で使用することができる。
【0067】
また、図5に示すように、一対の第1電極4間にさらに多くの第2電極が配置され、その結果、内部空間Sが多数積層されるようにしたものであっても構わない。このように多数の内部空間Sを積層することにより、各内部空間Sに流体を通過させるとともに、流体をプラズマ反応させることができる。なお、このようなプラズマ発生体においても上述と同様に、複数の第2電極5同士は、交互に対向するように配置される。
【0068】
また、図6に示すように、外囲体1となる絶縁部の厚みを内部空間S内に配置される第2絶縁部3のそれぞれの厚みよりも厚くしても構わない。図6においては、外囲体1に配置された第1絶縁部2の厚みを第2絶縁部3の厚みよりも厚く形成している。これにより、外囲体1の機械的強度を高くして外囲体1が破損する可能性を低減することができる。
【0069】
次に、本発明のプラズマ発生体の他の実施の形態について説明する。図7(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図である。図7(b)は、図7(a)のK方向から見た側面図である。図8(a)は、図7(a)のL−L’線における断面図である。図8(b)は、図7(b)のM−M’線における断面図である。図8(c)は、図7(b)のN−N’線における断面図である。図8(d)は、図7(b)のO−O’線における断面図である。これらの図において、101は第3電極部材、102は第4電極部材、103は第3電極、104は第4電極、105は第3絶縁部、106は第4絶縁部、107はスペーサ部材である。なお、上述の例のプラズマ発生体と同一の構成のものについては同じ参照符号を付すこととする。
【0070】
本発明のプラズマ発生体は、間に内部空間Sを挟んで対向する一対の第3電極103を備える第3電極部材101と、一対の第3電極103のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極104を備える第4電極部材102と、一対の第3電極部材102のそれぞれと第4電極部材102との間に介在されるスペーサ部材107とを備えている。また、第4電極部材102は、一方の端部102aがスペーサ部材107に固定され、且つ他方の端部102bが自由端である。さらに、一対の第3電極部材101及びスペーサ部材107並びに第4電極部材102の一方の端部によって管状の外壁が形成される。このような構成を備えることにより、一対の第3電極部材101のそれぞれと第4電極部材102との間にプラズマを発生させることが可能となる。
【0071】
そして、上述したプラズマ発生体の第3電極部材101は、一対の第3電極103を支持する第3絶縁部105を備え、また、第4電極部材102は、一対の第3電極103間に配置される第4電極104を支持する第4絶縁部106を備えている。この第3絶縁部105と第4絶縁部106とスペーサ部材107とにより、第3電極103と第4電極104との間に流体が流れる内部空間Sが形成される。
【0072】
第3絶縁部105、第4絶縁部106、スペーサ部材107は、例えば、セラミックスから成る場合、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、コーディエライト等の電気絶縁材料から成る。第1絶縁部2、第2絶縁部3、スペーサ部材107が、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、まず、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状物を作製する。次に、この泥漿状物が、従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、粉体加圧成形法、射出成形法等により、例えばシート状のプラズマ発生体用のセラミックグリーンシートが得られる。次に、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工が施される。その際、これらのセラミックグリーンシートを複数枚積層する。なお、打ち抜き加工は、積層後に行ってもよいし、打ち抜きを行った後に、打ち抜いたもの同士を積層してもよい。最後に、高温(約1500〜1800℃)で焼成することによって、第3絶縁部105、第4絶縁部106、スペーサ部材107とがそれぞれ製作される。
【0073】
第3電極103および第4電極104は、これら電極103,104同士の対向領域に位置する内部空間S内にプラズマ場を発生させるために互いに異なる電位が付与される電極である。第3電極103および第2電極104は、プラズマ発生体の表面または内部、具体的には、第3絶縁部105や第4絶縁部106の表面または内部に配置されている。そして、第3電極103および第4電極104は、互いに一定の距離だけ離間するとともに、互いの主面が対向して配設されている。なお、第3電極103および第4電極104は、プラズマ発生体の外表面、例えば、スペーサ部107の外表面に形成された一対の外部端子7にそれぞれ電気的に接続される。
【0074】
第3電極103および第4電極104は、メタライズ金属層からなる場合、以下のように作製される。まず、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末を含む従来周知のメタライズペーストを準備する。そして、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、プラズマ発生体用のセラミック生成形体の第3絶縁部103或いは第4絶縁部104となる所定の位置に、第3電極103および第4電極104用のメタライズペーストを塗布する。ここで所定の位置とは、例えば、第3絶縁部105或いは第4絶縁部106となるセラミック生成形体の内部や表面である。その後、これらのセラミック生成形体と同時に焼成することによって、第3電極103および第4電極104をプラズマ発生体の所定の位置、所定のパターンに形成することができる。ここで、第3絶縁部105或いは第4絶縁部106となるセラミック生成形体の内部にメタライズペーストを塗布する場合には、第3絶縁部105を例えば2枚のセラミックグリーンシートを貼り合わせて構成するとよい。すなわち、2枚のセラミックグリーンシートの貼り合わせ前に、一方のシートの貼り合わせ面にメタライズペーストを所定パターンに塗布すればよい。
【0075】
これにより、第3電極103および第4電極104が内部空間S内を通過する流体、例えば、酸化性の流体に直接接触しにくくなる。従って、第3電極103および第4電極104がこの流体により腐食されにくくなる。従って、プラズマ場の強度の低下を抑制することができるため好ましい。そして、第3絶縁部105、第4絶縁部106が、例えばコージェライトからなる場合は、それぞれの絶縁部105,106の表面から第3電極103或いは第4電極104までの最短距離が100μm以上となる位置に形成しておくことが好ましい。
【0076】
また、第3電極103や第4電極104が第3絶縁部105および第4絶縁部106の表面に露出して形成される場合には、これらの電極103,104の露出する表面に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。特に第3電極103および第4電極104が、酸化性の流体等に直接曝される場合は特に好ましい。
【0077】
また、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。例えば、ニッケル層を形成せずに金層だけを被着している場合には、熱によりニッケルが金層内部の粒界に沿って、金層の表面まで拡散してしまうことがない。従って、領域ごとのニッケルの拡散のバラツキが生じにくいため、各領域における導電特性にばらつきが生じてにくくできる。このため、プラズマ発生体を高温下の環境にて使用する場合は、第1電極4および第2電極5の露出する表面に金層のみを0.1〜10μm程度、例えばめっき法等により被着させておくとよい。
【0078】
また、本発明のプラズマ発生体をオゾン発生装置に用いる場合は、第3電極103と第4電極104との間隔は、0.7mm〜3.0mm程度とされる。また、本発明のプラズマ発生体を、ディーゼルエンジン等の排ガス処理装置に用いて、排ガス中のPMや酸化成分等の流体を反応させて分解する場合には、0.5mm〜2.0mm程度とされる。但し、必要とするプラズマ場の強度や第3電極103および第4電極104に印加する電圧等によって適宜変更してもよい。
【0079】
一対の外部端子7は、上述と同様に、プラズマ発生体の外表面にそれぞれ配置されている。一対の外部端子7は、第3電極103および第4電極104にそれぞれ電気的に接続されている。そして、一対の外部端子7は、外部電源から第3電極103および第4電極104に電圧を印加するための導電路として機能する。外部端子7は、第1電極4および第2電極5と同様の手法により作製できる。すなわち、外部端子7が、メタライズ金属層からなる場合、上述と同様に、メタライズペーストを、例えば、スペーサ部107となるセラミック生成形体の所定の位置に塗布し、その後、スペーサ部107とともに焼成することにより得られる。また、これらの外部端子7の露出する表面には、第1電極4および第2電極5の場合と同様に、ニッケルや金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。
【0080】
そして、外部電源の電源配線を外部端子7に接触させたり或いは接合させたりすることにより外部端子7に電気的に接続される。そして、電圧が、外部端子7を通して第3電極103と第4電極104との間に印加される。これにより第1電極3と第2電極104との対向領域(平面視で第3電極103と第4電極104とが重畳する領域)にプラズマ場を発生させることができる。
【0081】
そして、プラズマ発生体の内部空間S内を通過する流体は、第3電極103と第4電極104との間の対向領域内のプラズマ場を通過することにより分解される。例えば、流体が排ガスである場合、NOX(窒素酸化物)は、下記の反応(1)および(2)により分解して、N2およびO2が生成されて浄化される。
【0082】
2NO2 → 2NO+O2 ・・・・・・・・・・(1)
2NO+O2 → N2+2O2・・・・・・・・・(2)
なお、第3電極103と第4電極104との間にプラズマ場を発生させるための電圧としては、例えば、周波数の高い交流電圧が採用される。印加される交流電圧は、必要とされるプラズマ場の強度等によって適宜選択される。例えば、ディーゼルエンジンの排ガス中のPM等の酸化成分等の流体を反応させて分解するプラズマ発生体において、印加される交流電圧およびその周波数は、例えば、1kV〜100kV、10MHz〜100MHzが好ましい。
【0083】
そして、本発明においては、第4電極部材102は、一方の端部102aがスペーサ部材107に固定され、他方の端部102bが自由端である。これにより、プラズマ発生体に振動や衝撃等が加わったとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。これにより、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、互いに対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0084】
また、一対の第3電極部材101及びスペーサ部材107並びに第4電極部材102の一方の端部102aによって管状の外壁が形成されることから、各部材を複数組み合わせてこれら部材同士をボルト等の金属製の締め具により締め付けた場合と比較して、流体が外部へと漏れ出してしまうような隙間が生じにくい。従って、内部空間S内に流入した流体をプラズマ反応させて良好に変化させることができる。
【0085】
なお、第4電極部材102とスペーサ部材107とを固定する方法としては、同時焼成による接合、ガラスやろう材等の接合材料による接合等により行うことができる。
【0086】
具体的には、第4絶縁部106とスペーサ部材107とを、ともに焼成するとよい。この同時焼成により、これら第4絶縁部106とスペーサ部材107とが一体化されて接合されることとなる。これにより、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際に、対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0087】
このようなプラズマ発生体は、第4絶縁部106となるセラミックグリーンシートとスペーサ部材107となるセラミックグリーンシートとを準備し、これらのセラミックグリーンシートを積層して生積層体を形成しておき、この生積層体を高温で同時に焼成することによって製作することができる。なお、第3電極部材101においても同様にしてもよい。すなわち、第3絶縁部105用のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシートとともに積層しておき、同時に焼成することにより一体化しても構わない。なお、このような焼成により一体化する場合、第3絶縁部105に含まれる主成分のセラミック材料と、第4絶縁部106に含まれる主成分のセラミック材料と、スペーサ部材107に含まれる主成分のセラミック材料とは、同一のセラミック材料が使用されることが好ましい。さらに、第3絶縁部105と、第4絶縁部106と、スペーサ部材107とに含まれる他の材料、例えば焼結助剤として同一の材料を用いると、各部材の特性や強度等が等しくなる点で好ましい。
【0088】
或いは、他の具体例として、第4絶縁部106とスペーサ部材107とは、ガラスにより接合される。これにより、第4絶縁部106とスペーサ部材107とは強固に接合できる。従って、プラズマ発生体に振動や衝撃等が印加されたとしても、第4電極104の第3電極103に対する位置が大きくずれることが抑制される。従って、プラズマ発生体を長期間にわたって使用した際であっても、対向する第3電極103と第4電極104との距離や第3電極103と第4電極104との重畳面積が大きく変化することが抑制される。
【0089】
このようなプラズマ発生体は、例えば、次のように製作される。まず、接合用ガラスの粉末に有機溶剤および溶媒を添加混合して得た混合ペーストを、スペーサ部材107に塗布し、この混合ペースト中の接合用ガラスを溶融させることにより、接合用ガラスがスペーサ部材107に被着される。そして、第4絶縁部106を接続用ガラスが被着されたスペーサ部材107上に載置し、この接合用ガラスを加熱により溶融させることによって第4絶縁部106とスペーサ部材107とが接合用ガラスを介して接合される。
【0090】
なお、接合用ガラスとしては、例えばホウ酸塩ガラス(B2O3系,Li2O−B2O3系,Na2O−B2O3系等),リン酸塩ガラス(Na2O−P2O5系,B2O3−P2O5系等),リン酸スズ亜鉛ガラス(P2O5−SnO−ZnO系)等を用いることができる。
【0091】
また、第4絶縁部106とスペーサ部材107とを接合用ガラスにより接合し、かつ外部端子7を第4絶縁部106およびスペーサ部材107の双方にわたって形成する場合、これらの外部端子7を電気的に接続するために、接合用ガラスに金属粉末等の導電性材料が添加される。
【0092】
なお、第4絶縁部106とスペーサ部材107とをガラスにより接合する場合は、この接合用のガラスとして、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107の双方に含まれているガラスと同一のものを使用することが好ましい。これにより、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107に含まれたガラスと接合用のガラスとが、これらの接合界面において良好に結合して、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107と接合ガラスとの接合強度を高くすることができる。
【0093】
また、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107の双方に含まれているガラスは、結晶化ガラスであることが好ましい。これにより、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107とを接合ガラスにより接合する際やプラズマ発生体の温度が高まった際等において、ガラスの特性変化等が生じる可能性が低くなり、第4絶縁部106或いはスペーサ部材107との接合強度の低下等が生じる可能性を抑制することができる。
【0094】
そして、上述したように、一方の端部が自由端である第4電極部材102を容易に作製する方法の一例としては、例えば図9(a)に示すような方法が挙げられる。まず、図9(a)および図9(b)に示すような母基板110を準備する。図9(a)は、母基板110の平面図であり、図9(b)は、図9(a)の母基板110の第4電極104における断面図である。なお、図9(b)に示すように、第4電極104が形成された領域には、自由端を形成するための貫通溝111が形成されている。
【0095】
そして、図9(c)に示すように、スライシング法等の切断加工により母基板110をP−P’線およびQ−Q’線に沿って切断することで貫通溝111の両端が切り落とされ、他方の端部102bが自由端となる。なお、プラズマ発生体を焼結したセラミックスから形成する場合、各部材となるセラミックグリーンシートを積層してなる生積層体を形成した後、上述と同様に貫通溝111を切断して他方の端部102bを自由端とし、この後に焼成しても構わないし、上述のように焼成後に母基板110を切断しても構わない。なお、母基板110の加工は上述の切断加工に限るものではなく、例えば、研磨加工等の加工手段により母基板110を加工してプラズマ発生体を形成しても構わない。
【0096】
また、第3電極103および第4電極104の場合においても、上述の第1電極3および第2電極4が形成されたプラズマ発生体と同様に、複数の内部空間Sが形成されるように、複数の第4電極104同士が対向するように配置しても構わない。
【0097】
次に本発明のプラズマ発生装置について図10を基に説明する。本発明のプラズマ発生装置は、上述した実施形態のプラズマ発生体を用いている。さらに、プラズマ発生体の第1電極4と第2電極5とに接続され、第1電極4と第2電極5との間に交流電圧あるいは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための電圧印加手段を備えている。これにより、第1電極4と第2電54との間の対向領域にプラズマ場を発生させることができる。
【0098】
電圧印加手段は、少なくとも外部電源11と外部端子7に接続される電源配線とを備えている。外部電源11は、交流電源、直流電源、直流パルス電源等が採用可能である。
【0099】
このようなプラズマ発生装置は、具体的には、例えば、流体が酸素であり、プラズマ反応により、この酸素をオゾンに良好に変化させることができるオゾン発生装置に使用することができる。このようなオゾン発生装置は、例えば、図11に示すように、上述のプラズマ発生体の対向領域である内部空間S内に、酸素を流入させる第1の流路12と、プラズマ発生体の第1電極4と、第2電極5とに接続され、これら電極4,5間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子7に接続される電源配線と、電源配線に接続される外部電源11とを備えた電圧印加手段と、プラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間Sから排出されるオゾンを、対向領域に位置する内部空間S内から流出させる第2の流路113とを備えているものが挙げられる。
【0100】
或いは、このようなプラズマ発生装置は、例えば、流体が自動車、船舶、発電機等に使用されるエンジン等の内燃機関から排出される排ガスや焼却炉等から排出される排ガスであり、プラズマ反応によりこの排ガスを良好に浄化することができる排ガス処理装置に使用することができる。このような排ガス処理装置は、例えば、上述のプラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間S内に、例えば内燃機関もしくは焼却炉からの排ガスを流入させる第1の流路12、プラズマ発生体の第1電極4と、第2電極5とに接続され、これら電極4,5間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、プラズマ発生体の対向領域に位置する内部空間Sから排出される被処理ガスを、対向領域に位置する内部空間S内から流出させる第2の流路13とを備えているものが挙げられる。
【0101】
また、上述のような排ガス処理装置としては、例えば、図12に示すように、排ガスの発生源であるディーゼルエンジン等の内燃機関15から延びる排気管(第1の流路12、第2の流路13)中に上述のようなプラズマ発生体14が取り付けられるものが挙げられる。そして、内燃機関15からの排ガスが第1の流路11を介してプラズマ発生体14に流入される。またプラズマ発生体14から排出された浄化ガスが第2の流路13を介して、マフラー16に流入される。これにより、ディーゼルエンジン等の内燃機関15から排出される排ガスは、マフラー16から排出されるまでに、プラズマ発生体14を通過して浄化される。
【0102】
なお、上述の排ガス処理装置には、プラズマ発生体以外の排ガスの浄化機構を併設しておいて良い。例えば、プラズマ発生体14の前後にフィルター17や触媒を配置しても良く、これにより排ガス中のPMや酸化成分等の流体の排出をさらに低減させることができる。このようなフィルター17として、セラミック製のDPF(Diesel Particulate Filter)等があり、触媒として白金等を用いることができる。
【0103】
また、本発明のプラズマ発生装置は、流体がタバコの煙やカビ、埃等を含んだ空気であり、プラズマ反応により良好に空気を浄化することができる空気洗浄機として使用することもできる。このような空気洗浄機は、例えば、上述と同様に、少なくとも電圧印加手段、任意的に第1の流路16、第2の流路17等を備えたものが挙げられる。
【0104】
なお、上述のプラズマ発生装置、オゾン発生装置、排ガス処理装置においては、第1電極4および第2電極5を備えたプラズマ発生体を用いた例について示しているが、第3電極103と第4電極104とを備えたプラズマ発生体の場合においても同様の効果を得ることができるものである。すなわち、上述の第1電極4と第2電極5とを、第3電極103と第4電極104とに置き換えればよい。
【0105】
なお、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述においては、自動車、船舶、発電機等に使用されるディーゼルエンジン等の排ガスの浄化について説明を行っているが、その他の用途に使用されるプラズマ発生体およびその反応装置に適用しても良い。例えば、消臭、ダイオキシンの分解、花粉の分解等に使用される空気洗浄機器やプラズマエッチング、薄膜装置等に搭載されるプラズマ発生体および反応装置等に適用することができる。また、プラズマ反応により内部空間S内を通過する流体を反応または分解させるためのプラズマ発生体およびその反応装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のA方向から見た側面図である。
【図2】(a)は、図1(a)のプラズマ発生体のB−B’線における断面図、(b)は、図1(b)のC−C’線における断面図、(c)は、図1(b)のD−D’線における断面図、(d)は図1(b)のE−E’線における断面図である。
【図3】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のF方向から見た側面図である。
【図4】(a)は、図3(a)のプラズマ発生体のG−G’線における断面図、(b)は、図3(b)のH−H’線における断面図、(c)は、図3(b)のI−I’線における断面図、(d)は図3(b)のJ−J’線における断面図である。
【図5】本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図6】本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図7】(a)は、本発明のプラズマ発生体の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)のK方向から見た側面図である。
【図8】(a)は、図7(a)のプラズマ発生体のL−L’線における断面図、(b)は、図7(b)のM−M’線における断面図、(c)は、図7(b)のN−N’線における断面図、(d)は図7(b)のO−O’線における断面図である。
【図9】本発明のプラズマ発生体の製造方法を示す一例である。
【図10】本発明のプラズマ発生装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【図11】本発明のオゾン発生装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の排ガス処理装置の実施の形態の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・外囲体
2・・・第1電極部
3・・・第2電極部
4・・・第1電極
5・・・第2電極
6・・・側部
7・・・外部端子
11・・・外部電源
12・・・第1の流路
13・・・第2の流路
13・・・電源配線
14・・・内燃機関
15・・・マフラー
16・・・フィルター
S・・・内部空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、
前記一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、
前記第2電極は、一方の端部が前記外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、
前記一対の第1電極のそれぞれと前記第2電極との間に、プラズマを発生させるプラズマ発生体。
【請求項2】
前記外囲体はセラミックスを含んでなり、
前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、
前記外囲体と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項3】
前記外囲体はセラミックスを含んでなり、
前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、
前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項4】
前記ガラスは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ発生体。
【請求項5】
前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生体。
【請求項6】
間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、
前記一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、
前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、
前記第4電極部材は、一方の端部が前記スペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、
前記一対の第3電極部材及び前記スペーサ部材並びに前記第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、
前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間にプラズマを発生させるプラズマ発生体。
【請求項7】
前記スペーサ部材はセラミックスを含んでなり、
前記第4電極部材は、第4電極と、セラミックスを含む絶縁部とからなり、
前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生体。
【請求項8】
前記第4電極部材は、第4電極と、該第4電極を支持する絶縁部とからなり、
前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生体。
【請求項9】
前記ガラスは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ発生体。
【請求項10】
前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ発生体。
【請求項11】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第1電極と前記第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段と、を備えるプラズマ発生装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるオゾン発生装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備える排ガス処理装置。
【請求項14】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第3電極と前記第4電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段と、を備えるプラズマ発生装置。
【請求項15】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるオゾン発生装置。
【請求項16】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備える排ガス処理装置。
【請求項1】
内部空間を挟んで対向する一対の第1電極を備える管状の外囲体と、
前記一対の第1電極間に、間に空隙を介して配置される第2電極とを備え、
前記第2電極は、一方の端部が前記外囲体に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、
前記一対の第1電極のそれぞれと前記第2電極との間に、プラズマを発生させるプラズマ発生体。
【請求項2】
前記外囲体はセラミックスを含んでなり、
前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、
前記外囲体と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項3】
前記外囲体はセラミックスを含んでなり、
前記第2電極は、セラミックスを含む絶縁部により支持されており、
前記外囲体と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項4】
前記ガラスは、前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ発生体。
【請求項5】
前記外囲体及び前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生体。
【請求項6】
間に内部空間を挟んで対向する一対の第3電極を備える第3電極部材と、
前記一対の第3電極のそれぞれとの間に所定の間隙を設けて配置される第4電極を備える第4電極部材と、
前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間に介在されるスペーサ部材とを備え、
前記第4電極部材は、一方の端部が前記スペーサ部材に固定され、且つ他方の端部が自由端であり、
前記一対の第3電極部材及び前記スペーサ部材並びに前記第4電極部材の一方の端部によって管状の外壁が形成されるとともに、
前記一対の第3電極部材のそれぞれと前記第4電極部材との間にプラズマを発生させるプラズマ発生体。
【請求項7】
前記スペーサ部材はセラミックスを含んでなり、
前記第4電極部材は、第4電極と、セラミックスを含む絶縁部とからなり、
前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ともに焼成されることにより接合されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生体。
【請求項8】
前記第4電極部材は、第4電極と、該第4電極を支持する絶縁部とからなり、
前記スペーサ部材と前記絶縁部とは、ガラスにより接合されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ発生体。
【請求項9】
前記ガラスは、前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれていることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ発生体。
【請求項10】
前記スペーサ部材或いは前記絶縁部の双方に含まれている前記ガラスは、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ発生体。
【請求項11】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第1電極と前記第2電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段と、を備えるプラズマ発生装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるオゾン発生装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第1電極と前記第2電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第1電極と、前記第2電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備える排ガス処理装置。
【請求項14】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極とに交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加することにより、前記第3電極と前記第4電極との間の空間にプラズマを発生させる電圧印加手段と、を備えるプラズマ発生装置。
【請求項15】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、酸素を流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出されるオゾンを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備えるオゾン発生装置。
【請求項16】
請求項6乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマ発生体の前記第3電極と前記第4電極との間の空間内に、排ガスを流入させる第1の流路と、
前記プラズマ発生体の前記第3電極と、前記第4電極とに接続され、これら電極間に交流電圧或いは直流電圧もしくは直流パルス電圧を印加するための外部端子に接続される電圧印加手段と、
前記プラズマ発生体の前記空間から排出される被処理ガスを、前記空間内から流出させる第2の流路とを備える排ガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−110752(P2009−110752A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280181(P2007−280181)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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