説明

プラットホームドア装置の制御システム

【課題】列車乗務員が簡単な操作でプラットホームドア装置を開閉動作させることができるプラットホームドア装置の制御システムを提供する。
【解決手段】制御システム20は、列車の後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置10に設けられ、当該プラットホームドア装置10のドアパネル14を開閉するための開閉操作盤24を備える。開閉操作盤24は、同じ戸袋パネル12の軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器35a及び受光器35bを有し、投光器35aから出された赤外線を受光器35bにおいて検知しなくなるとドア開信号を出力する開操作部35と、同じ戸袋パネル12の軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器36a及び受光器36bを有し、投光器36aから出された赤外線を受光器36bにおいて検知しなくなるとドア閉信号を出力する閉操作部36と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームドア装置の制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1及び2に開示されているように、列車乗務員又は駅員がプラットホームドア装置を開閉動作させるためのスイッチ類を有する制御システムが知られている。特許文献1に開示されたプラットホームドア装置の制御システムでは、列車に車上スイッチが配設されており、この車上スイッチを列車乗務員が操作すると、開指令信号がプラットホームドア装置に送られて、プラットホームドア装置が開き動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−300462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された制御システムでは、各列車に車上スイッチを配設しなければならないため、コスト高となってしまう。また、プラットホームと列車との間で通信を行うための通信設備が必要となるため、この点でもコスト高となってしまう。また指により操作するようなスイッチで構成されているため、列車乗務員がこのスイッチを操作する場合、その操作は煩わしいものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、列車乗務員が簡単な操作でプラットホームドア装置を開閉動作させることができるプラットホームドア装置の制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、プラットホーム上に配置されるプラットホームドア装置の制御システムであって、列車の先頭位置又は後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置に設けられ、当該プラットホームドア装置のドアを開閉するための開閉操作手段を備え、前記開閉操作手段は、同じガイドボックスの軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器から出された信号線を前記受光器において検知しなくなるとドア開信号を出力する開操作部と、同じガイドボックスの軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器から出された信号線を前記受光器において検知しなくなるとドア閉信号を出力する閉操作部と、を備えているプラットホームドア装置の制御システムである。
【0007】
本発明によるプラットホームドア装置の制御システムでは、プラットホームドア装置のドアを開閉するための開閉操作手段が、列車の先頭位置又は後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置に設けられ、しかも投光器及び受光器の何れもがガイドボックスの軌道側に配置されているため、列車乗務員が開閉操作手段を操作することができる。しかも、開操作部及び閉操作部のそれぞれにおいて、投光器と受光器とが軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置されているため、投光器と受光器との間のどの位置で信号線を遮っても、ドアを開閉することができる。したがって、列車乗務員が簡単な操作で迅速にドアを開閉することができる。これは、列車の停止位置が若干ずれた場合でも同様である。また、投光器と受光器とが同じガイドボックスの軌道側に配置されているため、乗降通路を通行する通行人によって信号線が遮られることもない。
【0008】
ここで、前記制御システムは、列車が所定の位置に停止したことが検知されると定位置停止検知信号を出力する列車停止検知手段を備えていてよく、この場合には、前記開閉操作手段は、前記定位置停止検知信号を受信したことを条件として、前記ドア開信号の出力を可能な状態となるのが好ましい。
【0009】
この態様では、列車が所定の位置に停車したことが検知されて定位置停止検知信号を受信したことを条件として、ドア開信号の出力が許可される。したがって、列車が停車していない状態で開操作部の信号線が遮断されたような場合に、誤ってプラットホームドア装置のドアが開動作することを防止することができる。
【0010】
前記好ましい態様において、前記開閉操作手段は、前記定位置停止検知信号を受信したことが前記ドア開信号の出力の前提条件となる通常モードと、前記定位置停止検知信号の受信に拘わらず前記ドア開信号を出力可能な非常モードとの間で切り換えを行うモード切り換え手段を備えているのが好ましい。
【0011】
この態様では、列車停止検知手段の故障等によって定位置停止検知信号が受信されない場合であっても、開閉操作手段を非常モードに切り換えることにより、プラットホームドア装置のドアの開放操作が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の制御システムによれば、列車乗務員が簡単な操作でプラットホームドア装置を開閉動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプラットホームドア装置の制御システムの構成を説明するための図である。
【図2】前記制御システムに設けられた開閉操作盤を説明するための図である。
【図3】前記開閉操作盤の正面図である。
【図4】前記制御システムによる動作を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明のその他の実施形態に係るプラットホームドア装置の制御システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るプラットホームドア装置10の制御システム20は、プラットホームPに設けられたプラットホームドア装置10の動作制御を行うための装置である。
【0016】
プラットホームドア装置10は、プラットホームPの軌道側縁部に沿って配置されるガイドボックスである戸袋パネル12と、戸袋パネル12に支持される引戸式のドアパネル(ドア)14とを備えている。そして、各プラットホームドア装置10の戸袋パネル12がプラットホームPの軌道側縁部に沿うように配置されることにより、プラットホームP上が軌道側と、その内側であるホーム内側とに仕切られる。なお、隣り合う戸袋パネル12同士の間に仕切りパネル(図示省略)が配置されていてもよい。
【0017】
ドアパネル14は、開き位置と閉じ位置との間を軌道に沿う方向に往復移動する。プラットホームドア装置10は、ドアパネル14を開閉することで、列車の乗降客が通る乗降通路16を開閉する。なお、図例の戸袋パネル12は、開き位置にあるドアパネル14を収納する構成であるが、これに限られるものではなく、例えば、戸袋パネル12の幅がドアパネル14の幅よりも短い構成であってもよい。
【0018】
本実施形態に係る制御システム20は、列車停止検知手段である列車停止検知装置22と、開閉操作手段である開閉操作盤24と、複数のプラットホームドア装置10を総合的に制御するための総合制御盤26と、プラットホームドア装置10を個別に制御するための個別制御盤28と、駅係員が操作する駅係員操作盤30と、各プラットホームドア装置10の動作状況を確認するための監視装置32とを備えている。
【0019】
列車停止検知装置22は、検出部22aと、この検出部22aからの信号を受信する検知装置本体22bとを有している。検知装置本体22bは、検出部22aから受信した信号を処理することにより、列車の停止を判断する。検知装置本体22bは、所定の条件(停車条件)が満たされると列車が所定位置に停止したと判断し、定位置停止検知信号を出力する。つまり、列車停止検知装置22は、所定位置での列車の停止が検知されると定位置停止検知信号を出力する。
【0020】
検出部22aには、軌道上の所定位置に設置された距離センサ22cと、この距離センサ22cに電気的に接続された受発信部22dとが含まれている。距離センサ22cは、プラットホームPに停車した列車の先頭よりもさらに前方に設置されている。この距離センサ22cの設置位置は予め設定されたものであり、距離センサ22cは、例えばレーザービームや超音波等を列車の先頭に向かって出射して、その反射波を検出し、先頭との間の距離を導出する。一方、列車停止位置との相対的な位置関係が予め把握されているために、距離センサ22cと列車の先頭との間の距離が導出されることによって列車の停止位置が導出される。そして、導出された列車の停止位置が予め設定された所定範囲であった場合に、列車停止検知装置22は、列車が所定位置に停車したことを示す情報を定位置停止検知信号として出力する。定位置停止検知信号は、総合制御盤26に入力される。
【0021】
なお、検知装置本体22bは、距離センサ22cによって検出された距離の値の変動がなくなった時点で列車が停止したと判断する。
【0022】
開閉操作盤24は、プラットホームドア装置10のドアパネル14を開閉すべく列車乗務員が操作するための操作盤であり、列車乗務員出入り口扉18に隣接する戸袋パネル12の軌道側の側面に取り付けられている。すなわち、開閉操作盤24は、列車の後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置10に設けられている。開閉操作盤24は、戸袋パネル12の上端部に近い位置に設けられていて、人の腰の高さ位置に相当するところに配置されている。
【0023】
開閉操作盤24は、図2及び図3に示すように、閉じ位置にあるドアパネル14を開動作させる操作を行うための開操作部35と、開き位置にあるドアパネル14を閉動作させる操作を行うための閉操作部36とを有する。
【0024】
開操作部35は、投光器35a及び受光器35bを有する。投光器35a及び受光器35bは、同じ戸袋パネル12の軌道側に位置していて、軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置されている。投光器35aと受光器35bとの間隔は、例えば、30cm〜150cmとすることが可能であり、例えば100cm程度としてもよい、この間隔は、戸袋パネル12の幅に合わせて適宜設定することができる。
【0025】
投光器35aは、信号線としての赤外線を出射する。受光器35bは、投光器35aから出射された赤外線を受信可能な位置に配置されている。開閉操作盤24は、通常モードにあるときに、開操作部35において投光器35aから出された赤外線を受光器35bにおいて検知しなくなるとドア開信号を出力する。すなわち、通常モードにあるときに、列車乗務員の手が投光器35aと受光器35bとの間の空間に入ったことによって受光器35bが赤外線を受信しなくなると、開閉操作盤24はドア開信号を出力する。なお、「通常モード」についての説明は後述する。本実施形態では、投光器35aが信号線として赤外線を出射する構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、投光した光線を反射有無によりスイッチングを行う反射方式等他の形態としてもよい。
【0026】
閉操作部36は、投光器36a及び受光器36bを有する。投光器36a及び受光器36bは、同じ戸袋パネル12の軌道側に位置していて、軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置されている。この間隔は、開操作部35の投光器35a及び受光器35bの間隔と同じである。
【0027】
投光器36aは、信号線としての赤外線を出射する。受光器36bは、投光器36aから出射された赤外線を受信可能な位置に配置されている。開閉操作盤24は、通常モードにあるときに、閉操作部36において投光器36aから出された赤外線を受光器36bにおいて検知しなくなるとドア閉信号を出力する。すなわち、通常モードにあるときに、列車乗務員の手が投光器36aと受光器36bとの間の空間に入ったことによって受光器36bが赤外線を受信しなくなると、開閉操作盤24はドア閉信号を出力する。なお、本実施形態では、投光器36aが信号線として赤外線を出射する構成としたが、これに限られるものではなく、例えば光線等、他の形態の信号線を出射する構成としてもよい。
【0028】
閉操作部36の投光器36a及び受光器36bは、本実施形態では、開操作部35の投光器35a及び受光器35bよりも下側に配置されているが、この逆の構成としてもよい。
【0029】
開閉操作盤24には、開操作部35と閉操作部36とを区分けするための仕切部材38が配設されている。この仕切部材38の存在により、開操作と閉操作が誤って同時になされてしまうことを防止することができる。また、仕切部材38の上側には、開操作用であることを示す表示板39が配設され、仕切部材38の下側には、閉操作用であることを示す表示板40が配設されている。
【0030】
開閉操作盤24は、通常モードと非常モードとの間で切り換えを行うモード切り換え手段を有する。モード切り換え手段は、強制操作スイッチ43を含む。強制操作スイッチ43は、開閉操作盤24の開操作部35及び閉操作部36の近くに配設されており、強制操作スイッチ43をOFF位置からON位置に回動すると、通常モードから非常モードに切り換えられ、ON位置からOFF位置に回動すると、非常モードから通常モードに切り換えられる。
【0031】
通常モードでは、総合制御盤26を経由して定位置停止検知信号を受信したことがドア開信号の出力の前提条件となる。すなわち、開閉操作盤24が通常モードに切り換えられている場合には、列車が入線して、所定位置に停止しない限り、開操作部35を操作(投光器35a及び受光器35b間の遮断操作)したとしても、ドア開信号が出力されない。言い換えると、無効条件が成立している場合には、開操作部35を操作してもドア開信号が出力されない。このため、列車が入線していない場合等に開操作部35が操作されたとしても、ドアパネル14が開き動作してしまうことを未然に防止することができる。
【0032】
一方、非常モードでは、定位置停止検知信号の受信に拘わらずドア開信号を出力可能な状態となっている。すなわち、列車停止検知装置22の故障等によって、通常モードではドアパネル14が開閉動作しない事態となった場合でも、非常モードに切り換えることによって、ドアパネル14を開閉操作できるようになる。
【0033】
開閉操作盤24には、操作有効表示ランプ45、開表示ランプ46及び故障表示ランプ47が設けられている。操作有効表示ランプ45は、総合制御盤26から定位置停止検知信号を受信した場合及び非常モードに切り換えられている場合に点灯する。つまり、操作有効表示ランプ45の点灯は、開操作部35及び閉操作部36での操作が有効になっていることを示している。開表示ランプ46は、ドアパネル14の少なくとも1つが全閉状態にない場合に点灯し、全てのドアパネル14が全閉状態にある場合に消灯する。また、別の形態では、開表示ランプ46は、ドア開時に全てのドアパネル14が開き始め、全閉にない状態では点灯し続け、あるいは一つのドアでも全閉しなければ点灯状態を保つ。すなわち、この開表示ランプ46は、列車乗務員が全ドアパネル14が閉状態にあることを確認するためのものである。故障表示ランプ47は、何れかのドアパネル14が異常状態にあると判断された場合に点灯する。
【0034】
総合制御盤26は、CPU、ROM、RAM等を備え、ROMに格納されたプログラムを実行させることにより、所定の機能を発揮するものである。この機能には、例えば開閉制御手段等が含まれている。
【0035】
開閉制御手段は、プラットホームドア装置10のドアパネル14を開閉制御するための機能であり、開閉操作盤24からドア開信号を受信すると、個別制御盤28に対してドアパネル14を開き動作させるための指令(ドア開指令)を出力し、開閉操作盤24からドア閉信号を受信すると、個別制御盤28に対してドアパネル14を閉じ動作させるための指令(ドア閉指令)を出力する。個別制御盤28は、各プラットホームドア装置10に設けられるとともに、これら個別制御盤28は互いに信号授受可能に接続されている。このため、総合制御盤26からドア開指令及びドア閉指令が出力されると、全てのドアパネル14が開閉動作する。
【0036】
総合制御盤26には、図1に示すように、ホーム側開閉表示灯49、駅係員操作盤30及び監視装置32が接続されている。ホーム側開閉表示灯49は、ドアパネル14の少なくとも1つが全閉状態にない場合に点灯し、全てのドアパネル14が全閉状態にある場合に消灯する。また、別の形態では、ホーム側開表示ランプ49は、ドア開時に全てのドアパネル14が開き始め全閉にない状態では点灯する、あるいは一つのドアでも全閉しなければ点灯状態を保つ。ホーム側開閉表示灯49は、戸袋パネル12のホーム側に配設されているので、駅係員が開閉表示灯49の点灯・消灯を確認することができる。
【0037】
さらに、開閉表示灯49は図示しない軌道側においても配置され、開表示ランプ46と同じ条件で点灯し、運転手が容易に点灯を確認できるよう設置されている。
【0038】
駅係員操作盤30は、駅係員が操作する操作盤であり、例えば、プラットホームドア装置10を個別に操作する場合等に利用される。監視装置32は、駅務室においてプラットホームドア装置10の動作状況を確認できるようにするためのものである。
【0039】
次に、図4を参照しつつ、プラットホームドア装置10の動作について説明する。
【0040】
まず、列車が入線していない通常時においては、各ドアパネル14は閉じ位置にあり乗降通路16を閉じている。これにより、プラットホームPの乗客は軌道側に出ることはできず、乗客の安全が確保されている。開閉操作盤24では、通常、強制操作スイッチ43がOFF位置となっているため、開閉操作モードは通常モードとなっている。
【0041】
列車が入線して列車の停止が確認されると、操作有効表示ランプ45が点灯しているか否かを確認する(ステップST1,ST2)。すなわち、列車が所定位置に停車して列車停止検知装置22が定位置停止検知信号を出力すると、この検知信号は総合制御盤26を経由して開閉操作盤24に送られる。開閉操作盤24は、定位置停止検知信号を受信すると操作有効表示ランプ45を点灯させる。そして、操作有効表示ランプ45が点灯している場合には、列車乗務員が列車からプラットホームP上に降りる、あるいは、乗務員扉の窓から手を出して開閉操作盤24の開操作部35を操作してプラットホームドア装置10の乗降通路16を開放する(ステップST3)。すなわち、列車乗務員が開操作部35の投光器35a及び受光器35b間に手を入れて信号線を遮ると、開閉操作盤24からドア開信号が出力される。ドア開信号は、総合制御盤26に受信され、総合制御盤26は、ドア開信号を受信すると各プラットホームドア装置10のドアパネル14を開き動作させるべく、各個別制御盤28に対してドア開指令を送信し、ドア開指令によって各プラットホームドア装置10が開き動作を行う。なお、ここでの制御信号は、直接信号線によって制御するハードワイヤ方式であってもよいし、シリアル通信方式であっても良い。
【0042】
全てのプラットホームドア装置10のドアパネル14が開放されると、開閉操作盤24の開表示ランプ46とホーム側開閉表示灯49が点灯する(ステップST4)。列車乗務員はドアパネル14が開放されたことを確認すると列車扉を開く(ステップST5,ST6)。その後、乗降客の乗車が確認されると、列車乗務員は列車扉を閉じる(ステップST7,ST8)。そして、列車乗務員は、開閉操作盤24の閉操作部36を操作してプラットホームドア装置10の乗降通路16を閉じる(ステップST9)。つまり、列車乗務員が閉操作部36の投光器36a及び受光器36b間に手を入れて信号線を遮ると、開閉操作盤24はドア閉信号を出力し、総合制御盤26がドア閉信号を受信すると、個別制御盤28に対してドア閉指令が送信されて各プラットホームドア装置10が閉じ動作を行う。そして、ホーム側開閉表示灯49が消灯していることが確認されて、列車は出発する(ステップST10,11)。
【0043】
一方、列車が停車した場合でも、操作有効表示ランプ45が点灯していないときには、前記ステップST2の判定がNOとなるため、ステップST12に移る。ステップST12において、列車の停車位置を目視確認して、それに応じて列車を移動する(ステップST13)。停車位置が所定位置となれば、列車停止検知装置22から定位置停止検知信号が出力されるため、これにより操作有効表示ランプ45が点灯する。その後は、前述したステップST3〜ST11が実行される。
【0044】
また、停車位置が所定位置となっても操作有効表示ランプ45が点灯しない場合には、列車停止検知装置22等の故障の可能性がある。この場合には、開閉操作盤24の強制操作スイッチ43をOFF位置からON位置に操作する(ステップST14)。これにより、開閉操作盤24の開操作部35及び閉操作部36の操作が可能となる。その後は、前述したステップST3〜ST11が実行される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の制御システム20では、プラットホームドア装置10のドアパネル14を開閉するための開閉操作盤24が、列車の後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置10に設けられ、しかも投光器35a,36a及び受光器35b,36bの何れもが戸袋パネル12の軌道側に配置されているため、列車乗務員が開閉操作盤24を操作することができる。しかも、開操作部35及び閉操作部36のそれぞれにおいて、投光器35a,36aと受光器35b,36bとが軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置されているため、投光器35a,36aと受光器35b,36bとの間のどの位置で信号線を遮っても、ドアパネル14を開閉することができる。したがって、列車乗務員が簡単な操作で迅速にドアパネル14を開閉することができる。これは、列車の停止位置が若干ずれた場合でも同様である。また、投光器35a,36aと受光器35b,36bとが同じ戸袋パネル12の軌道側に配置されているため、乗降通路16を通行する通行人によって信号線が遮られることもない。
【0046】
また本実施形態では、開閉操作盤24が通常モードに切り換えられている場合、列車が所定の位置に停車したことが検知されて定位置停止検知信号を受信したことを条件として、ドア開信号の出力が許可される。したがって、列車が停車していない状態で開操作部35の信号線が遮断されたような場合に、誤ってプラットホームドア装置10のドアパネル14が開動作することを防止することができる。
【0047】
また本実施形態では、開閉操作盤24に強制操作スイッチ43が設けられていて、通常モードと非常モードとに切り換え可能となっているので、列車停止検知装置22の故障等によって定位置停止検知信号が受信されない場合であっても、開閉操作盤24を非常モードに切り換えることにより、プラットホームドア装置10のドアパネルの開放操作が可能となる。したがって、非常時の場合でも迅速な操作が可能である。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では開閉操作盤24が列車の後端位置に対応するプラットホームドア装置10に設けられた構成としたが、これに限られるものではなく、開閉操作盤24は、列車の先頭位置に対応する位置に設置されたプラットホームドア装置10に設けられていてもよい。
【0049】
また前記実施形態では、開閉操作盤24は戸袋パネル12における軌道側の側面に固定された構成としたが、これに限られるものではない。例えば、図5に示すように、戸袋パネル12の軌道側に固定された支持体(例えばポール)51,52に投光器35a,36a及び受光器35b,36bが固定される構成としてもよい。この構成では、戸袋パネル12よりも軌道寄りの位置において、軌道に沿う方向に間隔をおいて立設された一対の支持体51,52に開操作部35及び閉操作部36の投光器35a,36a及び受光器35b,36bが配設されている。
【0050】
図5の構成については、一方の支持体51に安全センサ54が設けられる構成としてもよい。すなわち、一対の支持体51,52のうち、乗降通路16側の支持体51には、安全センサ54の投光部54a(又は受光部)が配設されている。乗降通路16を挟んで支持体51と反対側の位置には、他のポール(設置部)56が立設されていて、このポール56には、安全センサ54の受光部54b(又は投光部)が配設されている。また、図3の開閉操作盤24の側面に安全センサの投光部又は受光部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 プラットホームドア装置
12 戸袋パネル
14 ドアパネル
16 乗降通路
18 出入り口扉
20 制御システム
22 列車停止検知装置
22a 検出部
22b 検知装置本体
24 開閉操作盤
26 総合制御盤
28 個別制御盤
30 駅係員操作盤
32 監視装置
35 開操作部
35a 投光器
35b 受光器
36 閉操作部
36a 投光器
36b 受光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上に配置されるプラットホームドア装置の制御システムであって、
列車の先頭位置又は後端位置に対応する位置に配置されるプラットホームドア装置に設けられ、当該プラットホームドア装置のドアを開閉するための開閉操作手段を備え、
前記開閉操作手段は、
同じガイドボックスの軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器から出された信号線を前記受光器において検知しなくなるとドア開信号を出力する開操作部と、
同じガイドボックスの軌道側において軌道に沿う方向に互いに間隔をおいて配置される投光器及び受光器を有し、前記投光器から出された信号線を前記受光器において検知しなくなるとドア閉信号を出力する閉操作部と、を備えているプラットホームドア装置の制御システム。
【請求項2】
列車が所定の位置に停止したことが検知されると定位置停止検知信号を出力する列車停止検知手段を備え、
前記開閉操作手段は、前記定位置停止検知信号を受信したことを条件として、前記ドア開信号の出力を可能な状態となる請求項1に記載のプラットホームドア装置の制御システム。
【請求項3】
前記開閉操作手段は、前記定位置停止検知信号を受信したことが前記ドア開信号の出力の前提条件となる通常モードと、前記定位置停止検知信号の受信に拘わらず前記ドア開信号を出力可能な非常モードとの間で切り換えを行うモード切り換え手段を備えている請求項2に記載のプラットホームドア装置の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166607(P2012−166607A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27341(P2011−27341)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【特許番号】特許第4934227号(P4934227)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(509335144)株式会社JR西日本テクシア (5)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】