説明

プラント監視制御システム、およびリモート監視制御装置

【課題】リモート監視制御装置に故障が発生しても容易に代替品と交換が可能かつ、信頼性を維持できるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置を提供する。
【解決手段】リモート監視制御装置2は、リモート監視制御装置2と、その監視制御の種類およびシーケンスとに対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーKが錠前22Kに装着されると、スイッチ222の接続先を、COMI/F21から錠前22Kのプログラム選択部221へ切替え、錠前22Kは操作キーKの形状から前記指定された指定されるシーケンスを実施するプログラムの選定情報をプログラム選択部221からPLC24に出力し、PLC24は指定された前記監視制御の種類とシーケンスとを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントに用いられるプラント監視制御システムおよび、ネットワークを介してセンター装置との間で通信して負荷装置を監視制御するリモート監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道監視システムの様な被制御装置が広域に設置されているプラントシステムでは、制御操作が中央のセンター装置、および現場に設置され、ネットワークを介してセンター装置との間で通信を行い負荷装置を監視制御するリモート監視制御装置との2箇所から可能とするものが多い。
【0003】
この様なシステムでは、中央からの監視はプラント内のすべての情報を監視するためプラント内の数箇所に設置したPLC(Programmable Logic Controller)にプラントの被制御装置の状態信号を入力し、伝送路、ネットワークを経由して中央の監視表示装置であるパソコンに表示する。
【0004】
現場は限られた機械(被制御装置)の監視のみ行うため、制御手段をリレー回路で構成し、現在では監視範囲の広さから中央からの装置制御を主とし、現場のリモート監視制御装置はハード的な信頼性からバックアップの制御情報入力手段として運用されることが多い。
【0005】
最近、現場におけるケーブルの省配線化とコスト低減を図った方法として複数のリモート監視制御装置がメモリを共有する方法もある(例えば、特許文献1。)。
【0006】
図7は、従来のリレー回路を用いるリモート監視制御装置を備えたプラント監視制御システムの構成を説明する系統図である。
図7において、従来のプラント監視制御システムは、センターの主監視制御装置10、事業所内の各地域に設置される設備、機器50a〜50mの動作を監視制御するリモート監視制御装置20a〜20n(a〜nは、自然数。)、中央監視制御装置10とリモート監視制御装置20a〜20nとの間を接続して情報を伝送するネットワーク30とを備える。
【0007】
リモート監視制御装置20は、機器50毎に儲けられるか、また1つの機器に複数設置される場合があるが、予め、機器50とリモート監視制御装置20との間の関係が対応付けられ、リモート監視制御装置20eは、中央監視制御装置10との間で通信して機器50に対する監視制御動作を行っている。
【0008】
リモート監視制御装置20は、設備、機器との間ではリレー回路24aが、所定のシーケンスに従って動作を行う。リレー回路の代わりにリレー回路と同様の動作を行うCPU24a、メモリ24bと、ドライバ回路24cとを組み合わせたPLCが用いられる場合もある。通常は、中央制御装置10との間で、ネットワーク30および通信インタフェース(COMI/F)210を介して監視・制御信号が入出力される。
【0009】
一方トラブル時には、スイッチ230を操作してリレー回路24の接続先をCOMI/F210からリモート監視制御装置20に取り付けられた入出力手段(I/O)220の図示されないレバー、ダイヤル等に切り替えるか、操作員が携行する保守端末等に切替て監視制御の操作をする。
【0010】
この切替に際しては、各リモート監視制御装置20a〜20nのI/O220の操作手順やリレー回路(又はPLC)24aは、それぞれ別のシーケンス制御を行う為に独自の設定(設計仕様)でなければならず、故障トラブル発生時にはリモート監視制御装置20a〜20nは、それぞれ所定の仕様のリレー回路24と交換しなければならない問題が有った。
【0011】
また、PLCを用いる場合でも、各PLCは、予め制御シーケンスが予め設定されたプログラムに従っていなければならないため、リレー回路でもPLCでも個別仕様が設定されて居なければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006―74724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来は、リレーの回路構成や配線を省力化するためにPLCを用いていても、故障等のトラブルがリモート監視制御装置20に発生した場合、PLCのソフト回路構成もプログラムの再インストールが必要であり、容易に代替品交換ができない問題があった。リレーのハード回路構成が混在した場合は、さらにトラブル対応が混乱する。
【0014】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、リモート監視制御装置に故障が発生しても容易に代替品と交換が可能かつ、信頼性を維持できるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明のプラント監視制御システムは、中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムにおいて、前記リモート監視制御装置に対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLC(Programmable Logic Controller)と、前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、前記指定する前記固有の形状の操作キーが装着可能な錠前手段と、前記操作キーが装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、前記PLCへ前記監視制御のシーケンスを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段とを備えるリモート監視制御装置とを具備することを特徴とする。
【0016】
また本発明のプラント監視制御システムのリモート監視制御装置は、中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムのリモート監視制御装置において、前記リモート監視制御装置は、前記接続先の機器および前記接続先の機器に実施する前記監視制御の種類とシーケンスとは予め特定され、前記リモート監視制御装置および前記監視制御の種類とシーケンスとに対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLCと、前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、前記操作キーが装着された場合、装着された操作キーの形状から前記指定された識別情報を抽出することによりプログラム選定情報として出力する錠前手段と、前記装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、前記プログラム選定情報を入力して前記PLCへ前記指定された前記監視制御の種類とシーケンスとを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、監視制御系統に故障が発生しても容易に代替品と交換が可能かつ、信頼性を維持できるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に関わるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置の動作を説明する系統図。
【図2】操作キーと錠前の形状およびそれらの組合せの例を示す図。
【図3】実施例1における副形状と連携して動作する錠前の機能系統図。
【図4】実施例2における副形状と連携して動作する操作キーと錠前の機能系統図。
【図5】実施例3における保守端末とリモート監視制御装置との接続図。
【図6】操作キーと錠前の形状の別の一例を示す図。
【図7】従来のプラント監視制御システムの構成を説明する系統図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明のプラント監視制御システムの実施例1に関わるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置の動作を説明する系統図である。
図1おいて、本実施例のプラント監視制御システムは、センターの主監視制御装置1、事業所内の各地域に設置される設備、機器5a〜5m(例えば、それぞれは、水門#1・・・に設置される。)の動作を監視制御するリモート監視制御装置2a〜2n(a〜nは、自然数。以下、a〜nは、各リモート監視制御装置に共通な事項の説明には、必要の無い限り記述を省略する。)、中央監視制御装置1とリモート監視制御装置2a〜2nとの間を接続して情報を伝送するネットワーク3、およびリモート監視制御装置2に接続して使用する保守端末Tとを備える。
【0021】
ネットワーク3は、インターネット、又はイントラネットの様な広域ネットワーク、又は、専用線、もしくは公衆回線(ダイヤルアップ網)など、プラントの形態、監視制御の目的に合致するものから何れかが選択される。
【0022】
リモート監視制御装置2は、従来のプラント監視制御システムと同様に機器5毎に設けられるか、また1つの設備、機器に複数台設置される場合など組み合せは様々あるが、予め、機器5と1台毎のリモート監視制御装置2との間の対応関係は特定されている。
【0023】
各リモート監視制御装置2a〜2nは、ネットワーク3を介して中央監視制御装置1との間でデータを送受信する通信インタフェース(COMI/F)21、操作員との間で監視制御作業以下変わるヒューマンインタフェースをおこなうI/O22、リレー回路に代わり、機器5を監視制御するための所定のプログラムによって動作するPLC24および、各リモート監視制御装置2a〜2nに固有の操作キーKa〜Knを備えている。
【0024】
操作キーKは、操作員が携行しても良いが、各リモート監視制御装置2の操作卓近傍に準備され、必要に応じ操作員が操作キーKを後述の錠前22Kに装着する。
【0025】
実施例のリモート監視制御装置2は、正常動作時は、中央監視制御装置1との間で、ネットワーク3と通信インタフェース(COMI/F)21とを介して中央監視制御装置1との間で通信し、自分の接続先である設備、機器5の監視制御に関わる情報、例えば、水門の開閉のコマンドや水門の状況のモニタデータを送受信する監視制御行う。
【0026】
実施例では従来のリレー回路の代わりにCPU24a、メモリ24b、およびドライバ回路24cを備えるPLC24が受信したコマンドに従って所定のシーケンスを実行するプログラムを実行し、それぞれ対応する機器5の監視制御動作を行う。
【0027】
本実施例の各リモート監視制御装置2a〜2nのI/O22は、それぞれが固有の操作キーKa〜Knと勘合する錠前22Ka〜22Kn(以下、各リモート監視制御装置2a〜2nに共通な事項は、必要の無い限りa〜nの記述を省略する。)と、錠前22Kに連動して動作する選択部スイッチ222と、プログラム選択部221とを有し、更に図示されないキーボタン、ランプ、ディスプレイ等の入出力手段を有している。
【0028】
本発明の実施例は、この操作キーKの形状自体がリモート監視制御装置2で実行されるシーケンスを制御するプログラムと一対一に対応している、即ち形状がリモート監視制御装置2と、プログラムを特定する識別情報になっている。
【0029】
即ち、操作キーKと組み合わされる錠前22Kが、装着された操作キーKの形状を判読し、当該操作キーKが指定するプログラムを識別することを特徴としている。
【0030】
つまりトラブル発生時や、定期点検等の際現場で操作員が直接リモート監視制御装置2を操作する場合、操作キーKを錠前22Kに勘合させる。リモート監視制御装置2は、センターの中央制御装置1からの制御に代わり、操作キーKの指定するプログラムにより所定のシーケンスを実施する。
【0031】
例えば、操作キーKeと錠前22Keは、外観形状が他のリモート監視制御装置2の錠前22Kとの組合せと異なった同じであることが判別可能になっており、物理的に他のリモート監視制御装置2との組合せを不可能することにより誤使用を防ぐことが出来る。
【0032】
図1において、例えば、水門#1の機器5aに設置されるリモート監視制御装置2aの操作キーKaは、形状が5角形であり、リモート監視制御装置2eの操作キーKeは、中央にV字に似た切り欠き部が有る長方形である。そして、操作キーKeを錠前22Keに装着すると、例えば、操作キーKeの凸部が錠前22Keに取り付けられたマイクロスイッチ(図示せず。)の222の接点を動作させ、制御監視信号の入出力先がネットワーク3からI/O22のプログラム選択部221へ切り替えられ、現場から直接リモート監視制御装置2が操作出来る様になる。
【0033】
プログラム選択部221は、各リモート監視制御装置2に組み込まれたPLC24の固有の動作シーケンス(リレー回路動作)を選択する機能(手段)であり、予めメモリ24bに記憶された所定のリレー回路プログラムを選択起動する。また、プログラム選択部221が、リモート監視制御装置2eの緊急処理手順を予め記憶保存しておき、操作キーKeが装着された時にPLC24のリレー回路動作を実施する様にするものであっても良い。
【0034】
また、操作キーKの形状を主形状と副形状の組合せにすることにより、複数の種類のリレー回路に対応する複数のシーケンスに対応することも出来る。
【0035】
図2は、操作キーKの形状と錠前22Kの組合せの例を説明する図である。
図2において、操作キーKeは、主形状が、V字状の切り込みのある長方形であり、錠前22Keへ装着される面の中央の「あ」部分に突起が設けられている。錠前22Keでは、この「あ」の突起が当たる部分に窪み「ア」がありその底にマイクロスイッチ(図示せず。)の様なスイッチ222が取り付けられている。操作キーKeが装着されると、CPU24aとの間で入出力される監視制御信号は、ネットワーク3経由するものから、リモート監視制御装置2側に切り替えられる。
【0036】
スイッチ222のリモート監視制御装置2側の接続先には、後述のプログラムを選択するスイッチと、ボタンスイッチ(図示せず。)、保守端末Tがある。言い換えれば、リモート監視制御装置2に操作キーKを装着した時点で直ちに監視制御動作がセンター側からリモート側に移る(リモート優先切替)ことになる。
【0037】
そして、I/O22のボタン、スイッチ、または、保守端末Tから所定の操作コマンドを入力すれば、現場から所要の監視制御操作が実行可能になる。付言すれば、操作キーKの主形状は、装着された場合、機器の操作権限をセンター側からリモート監視制御装置2に切り替える機能を果たす構造であり、上記の外形と「あ」の組合せはその一例である。
【0038】
本実施例では、リモート監視制御装置2eの操作キーKeの形状に副形状を設けることにより、ボタンスイッチや、保守端末Tを用いることなくリモート監視制御装置2eが実施する監視制御シーケンスを実行するプログラムを更に指定して誤操作を防ぐことも出来る。
【0039】
即ち、操作キーKeには現場の操作種類(シーケンス、モード)の1つに対応する副形状として、例えば、リモート監視制御部2を初期設定を実行する「リセット」に対応して「い」の凸部が設けられる。また、別の場合として「い」の代わりに水門を緊急閉鎖する「閉門モード」に対応する凸部「う」が別の位置に設けられる。この操作シーケンスの種類が判る様に、操作キーKには、文字、色等で「リセット」、「閉門モード」を示す表示が行われる。なお、原則として、相反する動作を同時に行うことがない様に複数の副形状が操作キーKに設けられることは無い。
【0040】
操作キーが装着される錠前22Kには、「い」に対応する位置に窪み「イ」が設けられ、その底部にはマイクロスイッチ(図示なし。)が取り付けられる。また、同様に「う」に対応する窪み「ウ」が設けられ、マイクロスイッチが取り付けられる。
【0041】
図3は、副形状と連携して動作する錠前22Kの機能系統図である。
図3において、錠前22Kには、主形状に対応する窪み「ア」にスイッチ222が備えられ、PLC24が入出力する監視制御情報の接続先を切り替える。更に副形状に対応するプログラム選択部として、窪み「イ」、「ウ」にもそれぞれ操作キーKが装着された場合にオンになるスイッチが取り付けられている。
【0042】
これらのスイッチには、「リセット」、「閉門モード」の動作プログラム、またはそのモードを指定するデータを記憶したメモリが内蔵されるプログラム選択部221とコネクタPを介して接続される保守端末Tとが接続される。
【0043】
副形状は、現場でリモート監視制御装置毎が緊急処理で必要とするシーケンスの種類の数だけ準備される。
【0044】
ここで、各リモート監視制御装置2a〜2nが備えるPLC24について説明する。従来は、各リモート監視制御装置2a〜2nが対応する設備、装置に対応するプログラムをそれぞれ別個にメモリ24bに記憶していた。その為、故障に際してのPLC24の交換は、記憶プログラムの書替えを伴う為、速やかに実施できない欠点があった。
【0045】
本実施例では、プラント内のPLC24のメモリ24bに、使用されるリレー回路のプログラムを候補として共通に記憶蓄積させておくことにより同一仕様となり、共用性を有したPLC24を用いる。現場処理または、交換の際には、装着された操作キーKと錠前22Kとの組合せにより、プログラム選択部221からCPU24aへメモリ24bに記憶されているどのリレー回路のプログラムを用いるかの選択情報(信号、データ)が通知される。
【0046】
例えば、操作キーKa〜Knと各リモート監視制御装置22a〜22nのリレー回路のプログラムとを組にした候補プログラムとしてメモリ24bに記憶させる。そして、プログラム選択部221から、例えば、リモート監視制御装置2eで用いるプログラムを選択、指定するデータ(例えば、01の様なコード信号)が通知されることにより、リモート監視制御装置2eのPLC24eで、メモリ24bから適格なプログラムが読み出されて実行される。
【0047】
前述の様に、リモート監視制御装置2においては、錠前22Kが予め操作キーの副形状で指定した種類のシーケンス・モードのみを実行されるので、誤操作を防ぐことが可能である。この方法は、メモリ24bの容量が大きくなるが、管理メンテナンスの共通部分を大きくすることができ、現場での準備が少なくて済む利点がある。
【0048】
また、この改良形式として、全PLC24のメモリ24bは、全てのリレー回路の候補プログラムを記憶するのではなく、ドライバ24cを制御する共通処理プログラムのみ記憶している。そして、錠前22Kのプログラム選択部221を記憶手段(メモリ)として、それに、それぞれのリモート監視制御装置2で実行するリレー回路のプログラムが副形状に対応して記憶され、メモリからその記憶内容を転送しても同様の効果が得られる。
【0049】
この方法では、PLC24のメモリ24bの容量や準備が少なくて済む利点がある。また、操作キーと錠前とを対にして独立管理すればよいのでシステム全体としてのメンテナンスの負荷が軽減される。
【0050】
なお、上記説明では、錠前22Kは、異なる操作キーK、言い換えれば複数の副形状にも対応できる様に1つの錠前が、副形状を選択判別することにより複数のシーケンスから所要にシーケンスを選択している。しかし、操作キーKを装着するリモート監視制御装置2の誤装着は防げるが、仮に「リセット」を行いたい場合に、誤って同じ外形(主形状)の「閉門モード」の操作キーを指定する操作キーKを装着してしまう操作ミス(誤指定)をする危険がある。
【0051】
そこで副形状の窪みを1つにした錠前22Kをシーケンス毎に設けることにより、操作キーKと錠前22Kとが単一組合せでしか装着できない様にして誤指定を防ぎ、フェイルセイフ機能を向上させても良い。
【0052】
なお、副形状を備えない場合は、管理権限がセンターの中央監視制御装置1からリモート監視制御装置2へ移り、I/O部22のボタンスイッチ、または、コネクタPを介して接続される保守端末Tから所要の手順により所要の監視制御操作が行われることは前述の通りである。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、基本的には、実施例1と同様であるが、錠前22Kに備えられるプログラム選択部221のプログラム、またはPLC24が実施するプログラムを選択する制御データを記憶するメモリ、もしくは、メモリ24bが記臆するプログラムを選択指定するデータ出力手段がそれぞれの操作キーKa〜Knに備えられる。
【0054】
図4は、実施例2における副形状と連携して動作する操作キーKと錠前22Kの機能系統図である。
そして、錠前22Kの副形状の窪みに取り付けられるマイクロスイッチ(図示せず。)の代わりに操作キーKのプログラムメモリとの間を接続するコネクタ、または、接続端子が設けられる。操作キーKが装着された場合、プログラムデータの選択等に関わる動作は実施例1と同様である。
【0055】
また、この変形として操作キーKと錠前22Kとの間での信号の接続コネクタではなく操作キーKに近接無線通信手段であるRFIDのICチップを埋め込み、その送受信機を錠前22Kに取り付ける方式を用いても良い。
【0056】
この方法では、PLC24に設備、機器毎に対応するリレー回路のプログラムデータをインストールしておく必要が無いのでメモリ24bの容量が少なくて良いのみならずPLC24の保守が容易になる。
【実施例3】
【0057】
図5は、実施例3における保守端末Tとリモート監視制御装置2との間の接続図である。
実施例3は、実施例2の更なる変形であって、錠前22Kの副形状の窪みの1つに、保守端末Tとの間を接続する中継コネクタpが設けられ保守端末Tが操作キーKと連携、又は一体となっている。中継コネクタpは、図2の「あ」と「ア」に取り付けられている。この操作キーKと一体化される保守端末Tは、各リモート監視制御装置2で必要とするプログラムデータのみが記憶蓄積され、専用化されている。
【実施例4】
【0058】
実施例4は、操作キーKの主形状は、図示しないが、例えば、「リセット」の様な全リモート監視制御装置2で共通なシーケンス名称で共通な菱形とし、前例とは反対に副形状を変えることによりリモート監視制御装置を識別する。
【0059】
全リモート監視制御装置2a〜2nで操作キーKと錠前22Kとの勘合が菱形のような共通形状で、各リモート監視制御装置2の細部シーケンス、即ちプログラムが異なっても、各プログラム自体は、各リモート監視制御装置2のメモリ24b、または錠前22Kに予め記憶されている。共通なシーケンス名称を区別しておけば、装着により、主形状、または副形状による何れかの操作キーKの装着検出をすれば、リモート監視制御装置2のPLC24のCPU24aに対する動作開始のトリガを与えることができる。
【0060】
この方法では、緊急操作の場合に用いる操作キーKの形状が共通なので、リモート監視制御装置2に配備された操作員が他の処理を指定する誤指定を防ぐ効果がある。
【0061】
以上述べた様に、本発明の実施例のプラント監視制御システムは、リモート監視制御装置に故障が発生しても容易に代替品と交換が可能、かつ、誤操作を防ぎ信頼性を維持できるプラント監視制御システムおよびリモート監視制御装置2を提供することができる。
【0062】
本発明は、上記の主旨を逸脱しない範囲で上記構成の組合せ、処理手順等を変更しても適用される。
【0063】
図6は、操作キーKと錠前22Kの形状の別の一例である。
図6において、操作キーKは、ジグソーパズルのピースの組合せと似た構成と形状をしている。図6(a)は、バブル形のピースr1〜r6の組合せ、図6(b)は、多角形のピースv1〜v6の組合せであり、主形状は、外周部分で示される。
【0064】
副形状は、図6では、黒く塗りつぶされた(埋められた)ピース部分を「1」、ピース枠のみの部分(白い部分)を、「0」相当とし、この予め設定されたピース部分の位置、配列r1〜r6(又はv1〜v6)の1と0の組合せの数列がプログラムの識別番号となる。
【0065】
錠前22Kは、この主形状である外周枠から、リモート監視制御装置2a〜2nの何れかを識別し、1又はゼロについては、図2と同様に機械的なスイッチ、又は光学的な形状認識技術を用いることにより、各ピースに相当する部分を判読し、「r1〜r6」を「101110」、「v1〜v6」を「100001」の様にプログラム識別番号を読み出す。
【0066】
また、主形状は、装着されるリモート監視制御装置2の何れかを指定するもので有っても良いし、各リモート監視制御装置2で共通な例えば「閉門」を指示するもので、副形状の組合せにより各リモート監視制御装置2a〜2nそれぞれの閉門シーケンスでの操作手順を制御するプログラムを指定する。
【符号の説明】
【0067】
1 主監視制御装置
2(2a〜2n) リモート監視制御装置
21 COM I/F(通信インタフェース)
22 I/O(入出力部)
221 プログラム選択部
222 スイッチ
22K(22Ka〜22Kn) 錠前
24 PLC(Programmable Logic Controller)
24a CPU
24b メモリ
24c ドライバ
3 ネットワーク
5(5a〜5m) 機器
K(Ka〜Kn) 操作キー
p、P コネクタ
T 保守端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムにおいて、
前記リモート監視制御装置に対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、
前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLC(Programmable Logic Controller)と、
前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、
前記指定する前記固有の形状の操作キーが装着可能な錠前手段と、
前記操作キーが装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、
前記PLCへ前記監視制御のシーケンスを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段とを備える
リモート監視制御装置とを具備する
ことを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項2】
中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムにおいて、
前記リモート監視制御装置および前記監視制御の種類とシーケンスとに対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、
前記接続先の機器および前記接続先の機器に実施する前記監視制御の種類とシーケンスとは予め特定され、
前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLCと、
前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、
前記操作キーが装着された場合、装着された操作キーの形状から前記指定された識別情報を抽出することによりプログラム選定情報として出力する錠前手段と、
前記装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、前記プログラム選定情報を入力して前記PLCへ前記指定された前記監視制御の種類とシーケンスとを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段とを備える
リモート監視制御装置とを具備する
ことを特徴とするプラント監視制御システム。
【請求項3】
前記錠前手段は、
前記指定された識別情報に対応するシーケンスを前記PLCが実行するプログラムデータを記憶蓄積し、前記操作キーが装着された場合、前記記憶されたプログラムデータが前記スイッチ手段を介して前記PLCへ向けて出力される
ことを特徴とする請求項2記載のプラント監視制御システム。
【請求項4】
前記操作キーは、
前記前記指定された識別情報に対応するシーケンスを前記PLCが実行するプログラムデータを記憶蓄積し、前記錠前手段に装着された場合、
前記記憶されたプログラムデータが前記錠前手段と前記スイッチ手段とを介して前記PLCへ向けて出力される
ことを特徴とする請求項2記載のプラント監視制御システム。
【請求項5】
中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムのリモート監視制御装置において、
前記リモート監視制御装置は、
前記リモート監視制御装置に対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、
前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLCと、
前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、
前記指定する前記固有の形状の操作キーが装着可能な錠前手段と、
前記操作キーが装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、
前記PLCへ前記監視制御のシーケンスを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段とを備える
リモート監視制御装置とを具備する
ことを特徴とするプラント監視制御システムのリモート監視制御装置。
【請求項6】
中央監視制御装置がネットワークを介して少なくとも1台のリモート監視制御装置との間で監視制御情報を送受信することにより前記リモート監視制御装置が接続されたプラントに設置される設備・機器を監視制御するプラント監視制御システムのリモート監視制御装置において、
前記リモート監視制御装置は、
前記接続先の機器および前記接続先の機器に実施する前記監視制御の種類とシーケンスとは予め特定され、
前記リモート監視制御装置および前記監視制御の種類とシーケンスとに対する識別情報を固有の物理的形状で指定する操作キーと、
前記接続先の設備・機器に対する監視制御の種類とシーケンスとを予め記憶したプログラムにより実行するPLCと、
前記中央監視制御装置との間で前記送受信を行う通信手段と、
前記操作キーが装着された場合、装着された操作キーの形状から前記指定された識別情報を抽出することによりプログラム選定情報として出力する錠前手段と、
前記装着された場合、前記PLCが入出力する前記監視制御情報の入出力先を前記通信手段から前記リモート監視制御装置側に切替えるスイッチ手段と、
前記プログラム選定情報を入力して前記PLCへ前記指定された前記監視制御の種類とシーケンスとを実施させる監視制御情報を出力する入出力手段
とを備える
ことを特徴とするプラント監視制御システムのリモート監視制御装置。
【請求項7】
前記錠前手段は、
前記指定された識別情報に対応するシーケンスを前記PLCが実行するプログラムデータを記憶蓄積し、前記操作キーが装着された場合、前記記憶されたプログラムデータが前記スイッチ手段を介して前記PLCへ向けて出力される
ことを特徴とする請求項6記載のリモート監視制御装置。
【請求項8】
前記操作キーと前記錠前手段との間に信号伝達手段を有し、
前記操作キーは、
前記前記指定された識別情報に対応するシーケンスを前記PLCが実行するプログラムデータを記憶蓄積し、前記錠前手段に装着された場合、
前記記憶されたプログラムデータが前記錠前手段と前記スイッチ手段とを介して前記PLCへ向けて出力される
ことを特徴とする請求項6記載のリモート監視制御装置。
【請求項9】
前記操作キーは、
前記リモート監視制御装置を指定する前記錠前に装着可能な形状と、前記錠前に装着された場合に前記スイッチ手段を起動させる形状とを備えていることを特徴とする請求項5又は6に記載のリモート監視制御装置。
【請求項10】
前記操作キーは、
前記錠前に装着された場合に前記監視制御の種類とシーケンスに対する識別情報を指定する副形状を備えることを特徴とする請求項9記載のリモート監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120074(P2011−120074A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276582(P2009−276582)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】