説明

プリント配線基板

【課題】電子デバイスをプリント配線基板に実装するときに、給電ラインに使用される材料と電子デバイスに使用されている材料との熱線膨張係数の差によって発生する、給電ラインが交差する近傍のプリント配線基板の部分(交差部)の盛り上がりを防止することが可能なプリント配線基板を提供する。
【解決手段】プリント配線基板10は、外部接続電極11と、電子デバイス接続端子(バンプ)12と、回路パターン13と、給電ライン14を備えている。給電ライン14は、X方向とY方向のダイシングライン20が交差する各交差点Oの近傍のX方向及びY方向に設けられたX方向隙間XsとY方向隙間Ysとによって分離した、交差点Oを交差中心とした給電ラインクロス部14aと、X方向のダイシングライン20上に線形状のX方向給電ライン部14bと、Y方向のダイシングライン20上に線形状のY方向給電ライン部14cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板に関する。特に、複数の電子デバイスを実装して一括モールド後、個別の電子デバイスに切断することが可能な可撓性のあるプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、液晶ディスプレイに代表される電子機器においては、小型化、薄肉化、高機能化の要請から、これら電子機器に搭載される半導体チップ等の電子デバイスを実装する基板として可撓性を有するフレキシブルプリント配線基板が用いられている。
【0003】
従来、プリント配線基板において、基材として樹脂が使用されている場合、めっきで配線パターンを形成する際に、めっきをするための給電ラインが形成される(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この給電ラインは、めっき形成終了後は不要となるものであるが、製造工程の簡略化を図るために、プリント配線基板に複数の電子デバイスを実装して一括モールド後、個別の電子デバイスに切断(ダイシング)する際に、一緒に除去されるものである。
【0005】
図9は、従来のプリント配線基板90を示す概略平面図である。また、図10は、プリント配線基板90に半導体チップ(電子デバイス)91を実装した状態を示す概略平面図である。図9及び図10に示すように、プリント配線基板90は、各半導体チップ91に対応する区画92内に回路パターン93が形成されている。また、各半導体チップ91に対応する区画92に切断するための直交する2方向(X方向とY方向)に複数のダイシングライン94が設定されており、給電ライン95は、このダイシングライン94に沿って設けられる、X方向とY方向の複数の線形状の配線によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−336075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、給電ライン95に使用される材料(銅等)の熱線膨張係数と、半導体チップ91に使用されている材料(シリコン等)の熱線膨張係数との間に差があり、この熱線膨張係数の差によって、例えば、半導体チップ91の電極とプリント配線基板90の電子デバイス接続端子とを半田接合して半導体チップ91をプリント配線基板90に実装するときに、給電ライン95が形成されているプリント配線基板90の部分が大きく伸びてしまい、この伸びが集中するX方向とY方向の給電ライン95が交差する近傍のプリント配線基板90の部分(交差点近傍部)90aを盛り上げてしまっていた。特に、プリント配線基板90のテープ基材の弾性率が10(GPa)以下の場合に、上述した交差部90aの盛り上がりが発生していた。また、交差点近傍部90aの盛り上がりにより、近傍の半導体チップ91のコーナー部91aと回路パターン93の一部とが接触して、誤作動を起こすおそれもあった。
【0008】
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、電子デバイスをプリント配線基板に実装するときに、給電ラインに使用される材料と電子デバイスに使用されている材料との熱線膨張係数の差によって発生する、給電ラインが交差する近傍のプリント配線基板の部分(交差点近傍部)の盛り上がりを防止することが可能なプリント配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板は、複数の電子デバイスを実装した後に前記電子デバイスに対応する区画に切断されて用いられる、前記区画内に回路パターンが形成されたプリント配線基板であって、外部電極と電気的に接続するための外部接続電極と、前記電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続端子と、前記外部接続電極と前記電子デバイス接続端子とを導通する前記回路パターンと、前記区画に切断するための直交する2方向であるX方向及びY方向に設定された複数のダイシングライン上に設けられる、前記回路パターンと電気的に接続する給電ラインと、を備え、
前記給電ラインは、前記交差点から+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向の前記ダイシングライン上に設けられたX方向隙間Xsと、前記交差点から+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向の前記ダイシングライン上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、前記交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と、線形状のX方向のX方向給電ライン部と、線形状のY方向のY方向給電ライン部と、を有し、
前記給電ラインの幅をWとし、前記電子デバイスの材料の熱線膨張係数をα1(1/℃)とし、前記給電ラインの材料の熱線膨張係数をα2(1/℃)とし、前記電子デバイスのX方向の長さをX1(μm)とし、Y方向の長さをY1(μm)とし、前記区画のX方向の長さをX2(μm)とし、Y方向の長さをY2(μm)とし、前記電子デバイス接続端子を介して前記区画に前記電子デバイスを実装するときの前記電子デバイス及び前記給電ラインのそれぞれの温度変化をともにΔT(℃)とし、

前記距離d1及び前記距離d2は、

の関係式を満たし、
前記距離d3及び前記距離d4は、

の関係式を満たし、
前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysは、

の関係式を満たしていることを特徴とする。
【0010】
ここで、給電ラインクロス部において、その形状は、プリント配線基板のX方向の端部に最も近接している場合及びY方向の端部に最も近接している場合は、即ち、交差点の周りに2個の電子デバイスに対応する区画がある場合は、交差点を交差中心としたT字形状である。また、プリント配線基板の角に最も近接している場合は、即ち、交差点の周りに1個の電子デバイスに対応する区画がある場合は、交差点を交差中心とした直角なV字形状である。また、交差点の周りに4個の電子デバイスに対応する区画がある場合は、交差点を交差中心とした十字形状である。また、距離d1、距離d2、距離d3及び距離d4離れた位置は、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの中心位置が設けられる位置を示す。また、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysは、上述の距離d1、距離d2、距離d3及び距離d4を満たす位置に設けられていればよいが、十字形状の給電ラインクロス部は、ダイシングラインの交差点を通るX方向及びY方向の軸に対して軸対称な形状であることがより望ましい。また、T字形状の給電ラインクロス部は、ダイシングラインの交差点を通るT字の縦線に相当するX方向又はY方向の軸に対して軸対称な形状であることがより望ましい。
【0011】
本発明の第2の態様にかかるプリント配線基板は、複数の電子デバイスを実装した後に前記電子デバイスに対応する区画に切断されて用いられる、前記区画内に回路パターンが形成されたプリント配線基板であって、外部電極と電気的に接続するための外部接続電極と、前記電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続端子と、前記外部接続電極と前記電子デバイス接続端子とを導通する前記回路パターンと、前記区画に切断するための直交する2方向であるX方向及びY方向に設定された複数のダイシングライン上に設けられる、前記回路パターンと電気的に接続する給電ラインと、を備え、
前記給電ラインは、前記交差点から+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向の前記ダイシングライン上に設けられたX方向隙間Xsと、前記交差点から+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向の前記ダイシングライン上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、前記交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と、線形状のX方向のX方向給電ライン部と、線形状のY方向のY方向給電ライン部と、を有し、
前記給電ラインの幅をWとし、前記電子デバイスの材料の熱線膨張係数をα1(1/℃)とし、前記給電ラインの材料の熱線膨張係数をα2(1/℃)とし、前記電子デバイスのX方向の長さをX1(μm)とし、Y方向の長さをY1(μm)とし、前記区画のX方向の長さをX2(μm)とし、Y方向の長さをY2(μm)とし、前記電子デバイス接続端子を介して前記区画に前記電子デバイスを実装するときの前記電子デバイス及び前記給電ラインのそれぞれの温度変化をともにΔT(℃)とし、隣接の前記電子デバイス同士のX方向の間隔をDxとし、隣接の前記電子デバイス同士のY方向の間隔をDyとし、

前記距離d1及び前記距離d2は、

の関係式を満たし、
前記距離d3及び前記距離d4は、

の関係式を満たし、
前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysは、

の関係式を満たしていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様にかかるプリント配線基板は、上述の本発明の第1または2の態様にかかるプリント配線基板において、前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysが、

の関係式を満たしていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様にかかるプリント配線基板は、上述の本発明の第1乃至3のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記回路パターン及び前記給電ラインが、同一の金属層で形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の態様にかかるプリント配線基板は、上述の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記電子デバイス接続端子が、めっきによって形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板は、上述の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記外部接続電極が、めっきによって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子デバイスをプリント配線基板に実装するときに発生する給電ラインに使用される材料と電子デバイスに使用されている材料との熱線膨張係数の差による、給電ラインが設けられているプリント配線基板の部分の伸びを、給電ラインの隙間(X方向隙間Xs及びY方向隙間Ys)が設けられているプリント配線基板の部分(隙間部)で吸収させることによって、X方向とY方向の給電ラインが交差する近傍のプリント配線基板の部分(交差点近傍部)の盛り上がりの発生を防止するとともに、プリント配線基板のテープ基材における亀裂やしわの発生を防止することができる。
【0017】
従って、交差部の盛り上がりにより発生する交差部近傍の電子デバイスのコーナー部とプリント配線基板に形成された回路パターンの一部との接触を防止できるとともに、この接触によって発生する誤作動を防止することができる。
【0018】
また、隙間部に集中する応力を残留応力として残さないようにして、実装される電子デバイスやプリント配線基板の回路パターンに対する、この残留応力による悪影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るプリント配線基板10の一例を示す概略部分平面図であり、(b)は、図1(a)のA部分の拡大平面図である。
【図2】図1に示す本発明の実施形態に係るプリント配線基板10に電子デバイスが実装された状態の一例を示す概略部分平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリント配線基板10の給電ライン14において設けられるX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの位置を説明するための図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板60の一例を示す概略部分平面図であり、(b)は、図4(a)のA部分の拡大平面図である。
【図5】プリント配線基板60の給電ライン14において設けられるX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの位置を説明するための図である。
【図6】図1のプリント配線基板10の製造方法を説明するための図である。
【図7】図1のプリント配線基板10の製造方法を説明するための図6に続く図である。
【図8】図1のプリント配線基板10の製造方法を説明するための図7に続く図である。
【図9】従来のプリント配線基板90を示す概略平面図である。
【図10】従来のプリント配線基板90に半導体チップ91を実装した状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係るプリント配線基板について説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係るプリント配線基板10の一例を示す概略部分平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA部分の拡大平面図である。また、図2は、図1(a)及び(b)に示す本発明の実施形態に係るプリント配線基板10に電子デバイスが実装された状態の一例を示す概略部分平面図である。また、図3は、本発明の実施形態に係るプリント配線基板10の給電ライン14において設けられるX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの位置を説明するための図である。以下、電子デバイスとして半導体チップを例に挙げて説明する。
【0021】
図1(a)、(b)、図2、及び図3に示すように、本発明の実施形態に係るプリント配線基板10は、外部電極(例えば、マザーボードの電極)と電気的に接続するための外部接続電極11と、半導体チップ30と電気的に接続する電子デバイス接続端子(バンプ)12と、外部接続電極11とバンプ12とを導通する回路パターン13と、給電ライン14(14a、14b、14c)を備えている。
【0022】
外部接続電極11および回路パターン13は、プリント配線基板10に設定された直交する2方向(X方向とY方向)に複数のダイシングライン20によって分割される複数の区画21内にめっきによって形成されている。
【0023】
また、バンプ12は、半導体チップ30の電極と接合(例えば、半田接合)することにより、半導体チップ30をプリント配線基板10に実装する。また、バンプ12は、回路パターン13及び給電ライン14を介して、めっきによって形成される。
【0024】
給電ライン14は、ダイシングライン20に沿って、即ち、ダイシングライン20上に、めっきによって形成されている。また、給電ライン14は、回路パターン13と同一の金属層で形成されることが望ましい。また、給電ライン14(14a、14b、14c)は、プリント配線基板10に半導体チップ30が実装された(図2を参照)後で、ダイシングライン20に沿ってプリント配線基板10を各区画21に切断する際に、一緒に除去されるものであって、プリント配線基板10を切断するダイシングブレード(図示せず)の厚みよりも給電ライン14の幅Wは小さく形成されている。なお、給電ライン14の両側をダイシングして給電ライン14を切り落とすようにしてもよい。
【0025】
給電ライン14は、X方向とY方向のダイシングライン20が交差する各交差点Oから+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向のダイシングライン20上に設けられたX方向隙間Xsと、交差点Oから+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向のダイシングライン20上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、交差点Oを交差中心とした給電ラインクロス部14aと、X方向のダイシングライン20上の線形状のX方向給電ライン部14bと、Y方向のダイシングライン20上の線形状のY方向給電ライン部14cと、を備えている。
【0026】
尚、給電ラインクロス部14aの形状は、プリント配線基板10のX方向の端部に最も近接している場合(14a1)及びY方向の端部に最も近接している場合(14a2)は、即ち、交差点Oの周りに2個の区画21がある場合は、交差点Oを交差中心としたT字形状である。また、プリント配線基板10の角に最も近接している場合は、即ち、交差点Oの周りに1個の区画21がある場合(14a3)は、交差点Oを交差中心とした直角なV字形状である。また、図1(a)に示すような交差点Oの周りに4個の区画21がある場合(14a4)は、交差点Oを交差中心とした十字形状である。
【0027】
また、上述の距離d1、距離d2、距離d3及び距離d4は、下記の関係式(1)、(2)、(3)及び(4)を満たしており、また、上述のX方向隙間Xs(μm)及びY方向隙間Ys(μm)は、下記の関係式(5)及び(6)を満たしている。更に好ましくは下記の関係式(7)及び(8)を満たしている。尚、給電ライン14の幅をWとし、半導体チップ30の材料の熱線膨張係数をα1(1/℃)とし、給電ライン14の材料の熱線膨張係数をα2(1/℃)とし、半導体チップ30のX方向の長さをX1(μm)とし、Y方向の長さをY1(μm)とし、区画21のX方向の長さをX2(μm)とし、Y方向の長さをY2(μm)とし、バンプ12を介して区画21に半導体チップ30を実装するときの半導体チップ30及び給電ライン14のそれぞれの温度変化をともにΔT(℃)とする。また、ΔX及びΔYは、下記の関係式(9)及び(10)を満たしている。
【0028】
【数1】

【0029】
【数2】

【0030】
【数3】

【0031】
【数4】

【0032】
ここで、距離d1、距離d2、距離d3及び距離d4離れた位置は、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの中心位置が設けられる位置を示す。
また、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysは、上述の距離d1、距離d2、距離d3及び距離d4を満たす位置に設けられていればよいが、d1≒d2≒d3≒d4となるように、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けることがより望ましい。即ち、図1(a)及び(b)に示す給電ラインクロス部14a4の場合は、十字形状が、交差点Oを通るX方向及びY方向の軸に対して略軸対称な形状となるように、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けられることがより望ましい。また、T字形状の給電ラインクロス部14a1及び14a2の場合は、T字形状が、交差点Oを通るT字の縦線に相当するX方向又はY方向の軸に対して軸対称な形状となるように、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けられることがより望ましい。
【0033】
尚、交差点Oを隙間中心に含むように隙間(X方向隙間Xs及びY方向隙間Ys)を設けると、即ち、十字形状の給電ラインクロス部14aを形成しないように隙間を設けると、図3の給電ラインクロス部14aの中心の縦横Wの幅の矩形部分15を隙間とするだけでなく、更に、矩形部分15の±X方向及び±Y方向に、それぞれΔX及びΔYの隙間を設けなければならなくなる。即ち、X方向給電ライン部14b同士のX方向隙間Xsが(W+2×ΔX)以上で、Y方向給電ライン部14c同士のY方向隙間Ysが(W+2×ΔY)以上の大きい隙間が形成されてしまう。このように給電ライン14の無いプリント配線基板10の部分(隙間部)が大きいと、プリント配線基板10のテープ基材が大きく変形してしまい、プリント配線基板10のテープ基材に亀裂やしわが発生してしまう。
【0034】
そのため、給電ライン14において、上述した関係式(1)乃至(4)を満たすような範囲に、上述した関係式(5)及び(6)を、更に好ましくは上述した関係式(7)及び(8)を満たすX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けて、交差点Oを交差中心とした給電ラインクロス部14aと線形状のX方向給電ライン部14bと線形状のY方向給電ライン部14cとを形成することによって、半導体チップ30の電極とプリント配線基板10のバンプ12とを半田接合して半導体チップ30をプリント配線基板10に実装する際に発生する、給電ライン14に使用される材料(例えば、銅等)と半導体チップ30に使用されている材料(例えば、シリコン等)との熱線膨張係数の差による給電ライン14が設けられているプリント配線基板10の部分の伸びを、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが設けられているプリント配線基板10の部分(隙間部)で吸収し、更に、プリント配線基板10のテープ基材における亀裂やしわの発生を防止する。
【0035】
即ち、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを給電ライン14に設けることによって、熱線膨張係数の差による給電ライン14が設けられているプリント配線基板10の部分の伸びを交差点Oの近傍に集中させないようにして、プリント配線基板10の交差点Oの近傍部分の盛り上がりを防止するとともに、プリント配線基板10のテープ基材における亀裂やしわの発生を防止する。従って、プリント配線基板10の交差点Oの近傍部分の盛り上がりによって発生する、半導体チップ30のコーナー部30aと回路パターン13の一部との接触を防止するとともに、この接触によって発生する誤作動を防止することができる。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板60について説明する。図4(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板60の一例を示す概略部分平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA部分の拡大平面図である。また、図5は、プリント配線基板60の給電ライン14において設けられるX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの位置を説明するための図である。
【0037】
図4(a)及び(b)に示すように、プリント配線基板60は、外部電極(例えば、マザーボードの電極)と電気的に接続するための外部接続電極11と、半導体チップ30と電気的に接続するバンプ12と、外部接続電極11とバンプ12とを導通する回路パターン13と、給電ライン14(14a、14b、14c)を備えている。
【0038】
また、給電ライン14は、X方向とY方向のダイシングライン20が交差する各交差点Oから+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向のダイシングライン20上に設けられたX方向隙間Xsと、交差点Oから+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向のダイシングライン20上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、交差点Oを交差中心とした給電ラインクロス部14aと、X方向のダイシングライン20上の線形状のX方向給電ライン部14bと、Y方向のダイシングライン20上の線形状のY方向給電ライン部14cと、を備えている。
【0039】
プリント配線基板60と、上述したプリント配線基板10(図1(a)及び(b)を参照)との相違点は、図5に示すように、プリント配線基板60の給電ライン14において設けられるX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysの位置の範囲が、下記の関係式(11)乃至(14)を満たしていることである。尚、符号Dxは、隣接する半導体チップ30同士のX方向の間隔を示し、Dx=X2−X1である。また、符号Dyは、隣接する半導体チップ30同士のY方向の間隔を示し、Dy=Y2−Y1である。
【0040】
【数5】

【0041】
図5に示すように、半導体チップ30同士が、X方向またはY方向に隣接しない領域である、X方向長がDxでY方向長がDyである矩形領域25内にX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが設けられている。尚、X方向またはY方向に半導体チップ30が隣接している給電ライン14に、即ち、矩形領域25外に、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けると、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが設けられているプリント配線基板60の部分(隙間部)に応力が集中して、残留応力として残ってしまい、隣接する半導体チップ30や回路パターンに悪影響を及ぼしてしまう危険性がある。
【0042】
そのため、給電ライン14において、上述した関係式(11)乃至(14)を満たすような範囲に、上述した関係式(5)及び(6)を、更に好ましくは上述した関係式(7)及び(8)を満たすX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けて、交差点Oを交差中心とした給電ラインクロス部14aと線形状のX方向給電ライン部14bと線形状のY方向給電ライン部14cとを形成することによって、半導体チップ30の電極とプリント配線基板60のバンプ12とを半田接合して半導体チップ30をプリント配線基板60に実装する際に発生する、給電ライン14に使用される材料と半導体チップ30に使用されている材料との熱線膨張係数の差による給電ライン14が設けられているプリント配線基板60の部分の伸びを、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが設けられているプリント配線基板60の部分(隙間部)で吸収することができ、残留応力が残っていても、チップが隣接していないので、影響がない。
【0043】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について詳細に説明する。尚、本発明の実施形態に係るプリント配線基板は、以下に記載の製造方法に限定されるものではない。
【0044】
本発明の実施形態に係るプリント配線基板は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、回路パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により、製造される。以下、図1(b)に示したプリント配線基板10のB−B´断面部と、プリント配線基板10の端部とを記載したプリント配線基板10を例に挙げて説明する。
【0045】
図6に示すように、まず、金属箔である厚さ35μmの銅箔45aに剥離層45bを介して金属極薄箔である厚さ5μmの極薄銅箔45cが接着されたプリント配線基板(キャリア付きプリント配線基板)10のキャリア層であるピーラブル銅箔45を用意し、ピーラブル銅箔45の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔45を送り出し搬送するローラに係止するための穴51をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ1:S1)。
【0046】
次に、ピーラブル銅箔45の表面(L1面)に厚さ50μmの感光性カバーレイ52をラミネートする(ステップ2:S2)。そして、外部接続電極11に対応するパターンのマスクをして、感光性カバーレイ52を露光、現像することにより、外部接続電極11が形成される位置53の感光性カバーレイ52を除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことにより感光性カバーレイ52を完全に硬化させる(ステップ3:S3)。これにより、ピーラブル銅箔45の表面(L1面)には、絶縁層47が形成される。
【0047】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔45の絶縁層47が形成された面(L1面)と逆側の面(M面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム54をラミネートする(ステップ4:S4)。そして、外部接続電極11が形成される位置53に、電気めっきにより銅の金属層を形成する(ステップ5:S5)ことにより、外部接続電極11の表面電極層46が形成される。
【0048】
次に、図7に示すように、外部接続電極11の表面電極層46及び絶縁層47の上に、ニッケル−クロム合金をスパッタリングして第2金属下地層を形成し、第2金属下地層の上に、銅をスパッタリングして第1金属下地層を形成することにより、第1金属下地層と第2金属下地層とからなる金属下地層49を形成する(ステップ6:S6)。なお、金属下地層49はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0049】
その後、金属下地層49の表面に、ドライフィルム55をラミネートし(ステップ7:S7)、所望の配線パターン48に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム55を露光、現像し、区画21内の回路パターン13の配線の無い部分に相当するドライフィルム55aと、給電ライン14のX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysとなる部分に相当するドライフィルム55bを残す(ステップ8:S8)。ここで、回路パターン13と給電ライン14(14a、14b、14c)とからなる配線を、配線パターン48と呼ぶ。従って、所望の配線パターン48に対応するパターンのマスクとは、回路パターン13に対応するパターン、及び、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けた給電ライン14(14a、14b、14c)に対応するパターンのマスクのことである。図7の(S8)は、図1(b)に示したプリント配線基板10のB−B´断面部に設けられている給電ライン14のY方向隙間Ysを示しており、ドライフィルム55aは、区画21内の回路パターン13の配線の無い部分に相当し、ドライフィルム55bは、給電ライン14のY方向隙間Ysとなる部分に相当する。
【0050】
次に、電気めっきにより、銅56をめっきする(ステップ9:S9)。そして、金属下地層49の表面に形成されたドライフィルム55a及び55bを除去し(ステップ10:S10)、さらに、ドライフィルム55a及び55bが除去された位置において絶縁層47の表面に形成されている金属下地層49を除去する(ステップ11:S11)。これにより、所望の配線パターン48が形成される。
【0051】
次に、図8に示すように、配線パターン48および絶縁層47の表面にドライフィルム57をラミネートする(ステップ12:S12)。そして、バンプ12を形成する位置に対応するパターンのマスクをしてこのドライフィルム57を露光、現像するとともに、ステップ4でピーラブル銅箔45の裏面(M面)にラミネートした保護用ドライフィルム54を露光、現像し、更に、ドライフィルム57が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ13:S13)ことにより、バンプ12が形成される。
【0052】
その後、ドライフィルム57および保護用ドライフィルム54を剥離し除去することにより、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けた給電ライン14(14a、14b、14c)及び回路パターン13を有したプリント配線基板(キャリア付きプリント配線基板)10を形成する(ステップ14:S14)。これにより、本発明の実施形態に係るプリント配線基板10が製造される。図8の(S14)は、図1(b)に示したプリント配線基板10のB−B´断面部に設けられている給電ライン14のY方向隙間Ysを示しており、2つのY方向隙間Ysと、給電ラインクロス部14aと、2つのY方向給電ライン部14cの一部が示されている。
【0053】
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の実施例により、上述の本発明の実施形態に係るプリント配線基板の効果を明確に説明する。
【0054】
(プリント配線基板の作製)
まず、図6乃至図8に示した方法により、下記の表1に示すX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けた給電ラインを備えた、実施例1乃至3及び比較例1乃至5に使用されるプリント配線基板を作製した。次に、作製したプリント配線基板の各区画(図1(a)の区画21に相当)に設けられているバンプと半導体チップの電極とを半田接合して、半導体チップをプリント配線基板に実装した。
【0055】
実施例1、実施例2、及び、比較例1乃至3に使用されるプリント配線基板の給電ラインは、具体的には、図1(a)及び(b)に示したプリント配線基板10の給電ライン14と同様に、下記の表1に示すX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysによって分離した、給電ラインクロス部(図1(b)の符号14aに相当)と、X方向給電ライン部(図1(b)の符号14bに相当)と、Y方向給電ライン部(図1(b)の符号14cに相当)とを備えている。
【0056】
また、実施例3及び比較例4に使用されるプリント配線基板の給電ラインは、図4(a)及び(b)に示したプリント配線基板60の給電ライン14と同様に、下記の表1に示すX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysによって分離した、給電ラインクロス部(図4(b)の符号14aに相当)と、X方向給電ライン部(図4(b)の符号14bに相当)と、Y方向給電ライン部(図4(b)の符号14cに相当)とを備えている。
【0057】
また、比較例5に使用されるプリント配線基板の給電ラインは、図1(a)及び(b)における給電ラインクロス部(図1(b)の符号14aに相当)の無い、X方向給電ライン部(図1(b)の符号14bに相当)とY方向給電ライン部(図1(b)の符号14cに相当)とを備えており、X方向給電ライン部同士の間隔が下記の表1に示すX方向隙間Xsで、Y方向給電ライン部同士の間隔が下記の表1に示すY方向隙間Ysである。
【0058】
(交差点近傍部のプリント配線基板の状態判定)
実施例1乃至3及び比較例1乃至5に係る半導体チップを実装したプリント配線基板において、X方向とY方向のダイシングラインが交差する交差点近傍のプリント配線基板(以下、交差点近傍部と呼ぶ)の状態を判定した。交差点近傍部の盛り上がりによって半導体チップのコーナー部と回路パターンの一部が接触してしまっている場合、または、テープ基材に亀裂やしわが発生している場合を不良(×)とし、半導体チップのコーナー部と回路パターンとの接触がなく、かつ、テープ基材に亀裂やしわの発生がない場合を良好(○)として、判定結果を下記の表1に示す。
【0059】
尚、実施例1乃至3及び比較例1乃至5に使用されるプリント配線基板の給電ラインの材料は銅であり、実施例1乃至3及び比較例1乃至5に使用される半導体チップの材料はシリコンである。また、実施例1乃至3及び比較例1乃至5に使用される半導体チップ、給電ライン及びテープ基材(図6乃至図8の絶縁層47に相当)の厚み、熱線膨張係数、及び弾性率は、下記の表2に示す。また、実施例1乃至3及び比較例1乃至5に使用される半導体チップのX方向長X1を4800(μm)とし、Y方向長Y1を3910(μm)とした。また、プリント配線基板の区画のX方向長X2を5100(μm)とし、Y方向長Y2を4210(μm)とした。また、半田接合の際の半田付け温度を260℃とし、室温(20℃)からの温度変化ΔTは、240℃であった。また、給電ラインの幅Wを75(μm)とした。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
表1に示すように、実施例1乃至3に係る半導体チップを実装したプリント配線基板において、交差点近傍部のプリント配線基板の状態は良好(○)であった。
【0063】
具体的には、実施例1及び実施例2に係る半導体チップを実装したプリント配線基板においては、上述した関係式(1)乃至(4)を満たすような範囲に、上述した関係式(5)及び(6)を満たすX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けて、交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と線形状のX方向給電ライン部と線形状のY方向給電ライン部とを形成することにより、交差点近傍部の盛り上がりが発生せず、そのため、半導体チップのコーナー部と回路パターンとの接触が発生しなかった。また、テープ基材に亀裂やしわも発生しなかった。
【0064】
また、実施例3に係る半導体チップを実装したプリント配線基板においては、上述した関係式(11)乃至(14)を満たすような範囲に、上述した関係式(7)及び(8)を満たすX方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを設けて、交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と線形状のX方向給電ライン部と線形状のY方向給電ライン部とを形成することにより、交差点近傍部の盛り上がりが発生せず、そのため、半導体チップのコーナー部と回路パターンとの接触が発生しなかった。また、テープ基材に亀裂やしわも発生しなかった。
【0065】
比較例1乃至5に係る半導体チップを実装したプリント配線基板において、交差点近傍部のプリント配線基板の状態は不良(×)であった。
【0066】
具体的には、比較例1乃至3に係る半導体チップを実装したプリント配線基板においては、上述した関係式(5)及び(6)を満たさなかったために、即ち、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが狭いために、熱線膨張係数の差によって生じる給電ラインが設けられているプリント配線基板の部分の伸びを、プリント配線基板の隙間部で吸収できず、プリント配線基板の交差点近傍部が盛り上がってしまった。そのため、半導体チップのコーナー部と回路パターンとが接触してしまう結果となった。
【0067】
また、比較例4及び比較例5に係る半導体チップを実装したプリント配線基板においては、上述した関係式(5)及び(6)を満たさなかったために、即ち、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysが広いために、プリント配線基板のテープ基材が大きく変形してしまい、プリント配線基板のテープ基材に亀裂やしわが発生してしまった。
【0068】
以上のことから、半導体チップをプリント配線基板に実装するときに発生する給電ラインに使用される材料と電子デバイスに使用されている材料との熱線膨張係数の差による、給電ラインが設けられているプリント配線基板の部分の伸びを、X方向隙間Xs及びY方向隙間Ysを給電ライン14に設けることによって、プリント配線基板の隙間部で吸収させることによって、交差点近傍部の盛り上がりの発生を防止することができる。従って、交差点近傍部の盛り上がりにより発生する半導体チップのコーナー部と回路パターンの一部との接触を防止できるとともに、この接触によって発生する誤作動を防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
10、60: プリント配線基板
11: 外部接続電極
12: 電子デバイス接続端子(バンプ)
13: 回路パターン
14: 給電ライン
14a: 給電ラインクロス部
14b: X方向給電ライン部
14c: Y方向給電ライン部
20: ダイシングライン
21: 区画
30: 半導体チップ
45: ピーラブル銅箔
46: 表面電極層
47: 絶縁層
48: 配線パターン
49: 金属下地層
Xs: X方向隙間
Ys: Y方向隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子デバイスを実装した後に前記電子デバイスに対応する区画に切断されて用いられる、前記区画内に回路パターンが形成されたプリント配線基板であって、
外部電極と電気的に接続するための外部接続電極と、
前記電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続端子と、
前記外部接続電極と前記電子デバイス接続端子とを導通する前記回路パターンと、
前記区画に切断するための直交する2方向であるX方向及びY方向に設定された複数のダイシングライン上に設けられる、前記回路パターンと電気的に接続する給電ラインと、
を備え、
前記給電ラインは、前記交差点から+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向の前記ダイシングライン上に設けられたX方向隙間Xsと、前記交差点から+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向の前記ダイシングライン上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、前記交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と、線形状のX方向のX方向給電ライン部と、線形状のY方向のY方向給電ライン部と、を有し、
前記給電ラインの幅をWとし、
前記電子デバイスの材料の熱線膨張係数をα1(1/℃)とし、前記給電ラインの材料の熱線膨張係数をα2(1/℃)とし、
前記電子デバイスのX方向の長さをX1(μm)とし、Y方向の長さをY1(μm)とし、
前記区画のX方向の長さをX2(μm)とし、Y方向の長さをY2(μm)とし、
前記電子デバイス接続端子を介して前記区画に前記電子デバイスを実装するときの前記電子デバイス及び前記給電ラインのそれぞれの温度変化をともにΔT(℃)とし、

前記距離d1及び前記距離d2は、

の関係式を満たし、
前記距離d3及び前記距離d4は、

の関係式を満たし、
前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysは、

の関係式を満たしていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
複数の電子デバイスを実装した後に前記電子デバイスに対応する区画に切断されて用いられる、前記区画内に回路パターンが形成されたプリント配線基板であって、
外部電極と電気的に接続するための外部接続電極と、
前記電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続端子と、
前記外部接続電極と前記電子デバイス接続端子とを導通する前記回路パターンと、
前記区画に切断するための直交する2方向であるX方向及びY方向に設定された複数のダイシングライン上に設けられる、前記回路パターンと電気的に接続する給電ラインと、
を備え、
前記給電ラインは、前記交差点から+X方向及び−X方向に各々距離d1及び距離d2離れたX方向の前記ダイシングライン上に設けられたX方向隙間Xsと、前記交差点から+Y方向及び−Y方向に各々距離d3及び距離d4離れたY方向の前記ダイシングライン上に設けられたY方向隙間Ysとによって分離した、前記交差点を交差中心とした給電ラインクロス部と、線形状のX方向のX方向給電ライン部と、線形状のY方向のY方向給電ライン部と、を有し、
前記給電ラインの幅をWとし、
前記電子デバイスの材料の熱線膨張係数をα1(1/℃)とし、前記給電ラインの材料の熱線膨張係数をα2(1/℃)とし、
前記電子デバイスのX方向の長さをX1(μm)とし、Y方向の長さをY1(μm)とし、
前記区画のX方向の長さをX2(μm)とし、Y方向の長さをY2(μm)とし、
前記電子デバイス接続端子を介して前記区画に前記電子デバイスを実装するときの前記電子デバイス及び前記給電ラインのそれぞれの温度変化をともにΔT(℃)とし、隣接の前記電子デバイス同士のX方向の間隔をDxとし、隣接の前記電子デバイス同士のY方向の間隔をDyとし、

前記距離d1及び前記距離d2は、

の関係式を満たし、
前記距離d3及び前記距離d4は、

の関係式を満たし、
前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysは、

の関係式を満たしていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項3】
前記X方向隙間Xs及び前記Y方向隙間Ysが、

の関係式を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記回路パターン及び前記給電ラインが、同一の金属層で形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記電子デバイス接続端子が、めっきによって形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項6】
前記外部接続電極が、めっきによって形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−243876(P2011−243876A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116652(P2010−116652)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】