説明

プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

【課題】 プロセスカートリッジが画像形成装置の装置本体から取り外され、現像剤担持体が電子写真感光体から離間した際も、現像剤がプロセスカートリッジの外部に漏れることを抑制する。
【解決手段】 プロセスカートリッジの現像ユニット4は、第一シート部材25を備える現像剤飛散抑制手段を有する。現像剤飛散抑制手段は、現像剤担持体17が電子写真感光体1から離間したときに第一シート部材25を電子写真感光体1と当接させ、現像剤担持体17が電子写真感光体1と当接したときに電子写真感光体1から第一シート部材25を離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ及び、プロセスカートリッジが着脱可能な電子写真画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう)とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。画像形成装置の例としては、複写機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及び、これらの複合機(マルチファンクションプリンタ)などが含まれる。
【背景技術】
【0003】
従来、現像剤を収容する現像ユニットを備えた、画像形成装置やプロセスカートリッジにおいて、現像ユニットから現像剤が飛散することを抑制する手段として、シート部材を現像ユニットに設けたものが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載されたプロセスカートリッジでは、電子写真感光体の回転方向上流側に現像剤が飛散することを抑制する上流側のシート部材が設けられている。このシート部材は電子写真感光体の長手方向に延び、短手方向の一端部は現像ユニットに固定されている。また短手方向の他端部が、電子写真感光体の回転方向において、現像剤担持体が電子写真感光体に当接する位置よりも上流側であって、クリーニング部材が電子写真感光体と当接する位置より下流側にて電子写真感光体と当接する。
【0005】
また特許文献2に記載の画像形成装置では、電子写真感光体の回転方向下流側に現像剤が飛散することを抑制する下流側のシート部材が設けられている。この下流側のシート部材は、電子写真感光体の長手方向に延び、短手方向の一端部が現像ユニットの筐体に固定され、短手方向の他端部が電子写真感光体に向けて取り付けられている。
【0006】
下流側のシート部材は、現像剤担持体から零れ落ちた現像剤が、電子写真感光体の回転方向において、電子写真感光体と現像剤担持体が対向する位置より下流側へ飛散することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2010−8993号公報(図5参照)
【特許文献2】特開平6−29385号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子写真感光体を備える感光体ユニットと、現像剤担持体を備える現像ユニットとを有し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、現像ユニットが感光体ユニットと移動可能に結合したものが知られている。このようなプロセスカートリッジでは、画像形成中、現像ユニットの現像像剤収納部に収納された現像剤が、現像剤担持体と当接する現像ブレードなどの現像剤規制部材によって帯電され、現像剤担持体に担持される。しかし、現像剤が十分に帯電されず、現像剤担持体に担持されない場合がある。このような現像剤は現像剤担持体から零れ落ち、現像剤規制部材の近くに堆積している。
【0009】
従来、電子写真感光体の回転方向において、現像剤担担持体が電子写真感光体と当接する位置よりも下流側に設けられた下流側のシート部材は、電子写真感光体と当接しない。これは下流側のシート部材を電子写真感光体に当接させると、電子写真感光体に担持された現像剤が、記録媒体や中間転写ベルトに転写される前にシート部材によって掻き落とされ、画像形成に影響を及ぼしてしまうからである。つまり、電子写真感光体と下流側のシート部材の間には、隙間が生じている。
【0010】
ここで、ユーザーがプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体から取り出した際に、現像ユニットと感光体ユニットとを把持することで、現像剤担持体と電子写真感光体を離間させてしまう場合がある。この状態で電子写真感光体を下側に向けると、現像剤規制部材の近くに堆積していた現像剤が、現像剤担持体と電子写真感光体の間を通って落下してしまう。プロセスカートリッジにシート部材を設けても、電子写真感光体と下流側のシート部材の間には隙間が生じているため、落下した現像剤がこの隙間からプロセスカートリッジの外部へ漏れ出る可能性がある。
【0011】
本発明は、プロセスカートリッジが装置本体から取り外された際に、現像剤担持体と電子写真感光体が離間された場合であっても、現像剤がプロセスカートリッジの外部に漏れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための、本出願に係る発明の代表的な構成は、感光体ユニットと現像ユニットを備え、電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記感光体ユニットは、被係合部と、回転可能に設けられた電子写真感光体と、前記電子写真感光体と当接し、前記電子写真感光体に付着した現像剤を除去するクリーニング部材と、を有し、前記現像ユニットは、現像剤を担持し、前記電子写真感光体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される前記現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、前記電子写真感光体の長手方向と直交する短手方向において、一端部を固定された第一シート部材を備える、現像剤飛散抑制手段と、を有し、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体に当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体から離間させる離間位置とを取り得るように、前記感光体ユニットと移動可能に結合しており、前記現像剤飛散抑制手段は、前記現像ユニットが前記離間位置にあるときには、前記電子写真感光体の回転方向において、前記現像剤担持体が前記電子写真感光体と当接する位置よりも下流側であって、前記クリーニング部材が前記電子写真感光体と当接する位置よりも上流側の位置にて、前記第一シート部材の前記短手方向の他端部を前記電子写真感光体と当接させ、前記現像ユニットが前記当接位置にあるときには、前記現像剤飛散抑制手段に設けられた係合部が前記被係合部と係合することによって、前記第一シート部材の前記他端部を前記電子写真感光体から離間させることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0013】
また本発明に係る別の構成は、感光体ユニットと現像ユニットを備えたプロセスカートリッジを取り外し可能に装着し、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、前記感光体ユニットは、被係合部と、回転可能に設けられた電子写真感光体と、
前記電子写真感光体と当接し、前記電子写真感光体に付着した現像剤を除去するクリーニング部材と、を有し、前記現像ユニットは、現像剤を担持し、前記電子写真感光体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持される前記現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、前記電子写真感光体の長手方向と直交する短手方向において、一端部を固定された第一シート部材を備える、現像剤飛散抑制手段と、を有し、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体に当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体から離間させる離間位置とを取り得るように、前記感光体ユニットと移動可能に結合しており、前記現像剤飛散抑制手段は、前記現像ユニットが前記離間位置にあるときには、前記電子写真感光体の回転方向において、前記現像剤担持体が前記電子写真感光体と当接する位置よりも下流側であって、前記クリーニング部材が前記電子写真感光体と当接する位置よりも上流側の位置にて、前記第一シート部材の前記短手方向の他端部を前記電子写真感光体と当接させ、前記現像ユニットが前記当接位置にあるときには、前記現像剤飛散抑制手段に設けられた係合部が前記被係合部と係合することによって、前記第一シート部材の前記他端部を前記電子写真感光体から離間させることを特徴とする電子写真画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
ユーザーがプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置の装置本体から取り出し、現像剤担持体を電子写真感光体から離間させた際に、現像剤がプロセスカートリッジの外部へ漏れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】現像ローラと感光体ドラムが当接した時のプロセスカートリッジの概略断面図である。
【図2】本発明を実施した画像形成装置の概略断面図である。
【図3】現像ローラが感光体ドラムから離間した時のプロセスカートリッジの概略断面図である。
【図4】実施例1におけるプロセスカートリッジの外観斜視図である。
【図5】段差部が斜面に乗り上げたときのプロセスカートリッジの説明図である。
【図6】段差部が斜面から離れた時のプロセスカートリッジの説明図である。
【図7】実施例2におけるプロセスカートリッジの外観斜視図である。
【図8】実施例2において現像ローラと感光体ドラムが当接した時のプロセスカートリッジの説明図である。
【図9】実施例2において現像ローラが感光体ドラムから離間した時のプロセスカートリッジの説明図である。
【図10】実施例1におけるプロセスカートリッジの外観部分図である。
【図11】感光体ドラムを下方に向けた時のプロセスカートリッジの説明図である。
【図12】実施例3における画像形成装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施例1>
[電子写真画像形成装置]
先ず、本発明に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について説明する。図2は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。
【0017】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0018】
尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0019】
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個の電子写真感光体(以下、感光体ドラム)1を有する。感光体ドラム1は、図示矢印A方向(時計回り方向)に回転する。感光体ドラム1の周囲には帯電ローラ2及びスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。ここで、帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段である。そして、スキャナユニット(露光装置)3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段である。又、感光体ドラム1の周囲には、現像装置(以下、現像ユニット)4及びクリーニング部材6が配置されている。ここで、現像ユニット4は、静電像をトナー像として現像する現像手段である。また、クリーニング部材6は、感光体ドラム1と当接するブレード状の部材である。感光体ドラム1に形成された画像(トナー像)が転写された後も、感光体ドラム1に表面に付着したまま残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段となる。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。本実施例において中間転写ベルト5はプロセスカートリッジ7の装着位置よりも上方に配置されている。
【0020】
尚、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤、即ち、トナーを用いる。又、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ17を感光体ドラム1に対して接触させて接触現像を行うものである。
【0021】
本実施例では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置100の装置本体101に設けられた不図示の装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、装置本体101に着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
【0022】
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計回り方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡されている。
【0023】
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。又、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。
【0024】
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
【0025】
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して紙などの記録媒体12が二次転写部へと搬送される。そして、記録媒体12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は、一括して記録媒体12上に二次転写される。
【0026】
トナー像が転写された記録媒体12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録媒体12に熱及び圧力を加えられることで、記録媒体12にトナー像が定着される。又、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去され、除去トナー室14aに回収される。又、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
【0027】
尚、画像形成装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0028】
[プロセスカートリッジ]
次に、本実施例の装置本体101内に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。図1は、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態におけるプロセスカートリッジ7の概略断面図である。
【0029】
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4とを有する。
【0030】
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としての第一枠体(以下、クリーニング枠体)14を有する。クリーニング枠体14は、感光体ドラム1の軸受(非図示)を備え、この軸受を介して感光体ドラム1を図示矢印A方向に、回転可能に支持している。
【0031】
又、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、除去トナー室14a内に落下するように構成されている。
【0032】
又、クリーニング枠体14には、帯電ローラ軸受15が、帯電ローラ2の回転中心と感光体ドラム1の回転中心とを通る線に沿って、取り付けられている。ここで、帯電ローラ軸受15は、図示矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2の回転軸2aは、帯電ローラ軸受15に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢手段としての帯電ローラ加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢される。
【0033】
一方、現像ユニット4は、現像ユニット4内の各種要素を支持する第二枠体(以下、現像枠体)18を有する。現像ユニット4には、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向(反時計回り方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ17が設けられている。即ち、本実施例では、現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施例では下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。現像ローラ17は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、現像軸受19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像軸受19(19R、19L)は、現像枠体18の両側部にそれぞれ取り付けられている。
【0034】
又、現像ユニット4には、現像ローラ17に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20が配置される。さらに現像ユニット4には、現像ローラ17に担持されるトナー量を規制する現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置される。現像ブレード21は現像ローラ17と当接し、現像ローラ17上に形成されるトナー層の層厚を規制する。さらに現像枠体18の現像剤収納部(以下、トナー収容部)18aには、収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラ20へトナーを搬送するためのトナー搬送部材22が設けられている。トナー搬送部材22からトナー供給ローラ20に搬送されたトナーは、トナー供給ローラ20および現像ブレード21との摩擦により帯電されて現像ローラ17に担持される。
【0035】
そして現像ユニット4は、現像軸受19R、19Lに設けられた、穴19Ra、19Laに嵌合する軸23(23R、23L)を中心にして感光体ユニット13に回動可能に結合されている。よって現像ユニット4は現像ローラ17を感光体ドラム1と当接させる当接位置と、現像ローラ17を感光体ドラム1から離間する離間位置を取り得る。また、現像ユニット4は、加圧バネ24により付勢されている。そのため、プロセスカートリッジ7の画像形成時においては、現像ユニット4は軸23を中心に矢印F方向に回転し、感光体ドラム1と現像ローラ17は当接する。
【0036】
[感光体ドラムと現像ローラの離間機構]
本実施例のプロセスカートリッジ7は、現像ローラ17を感光体ドラム1に対して接触させて、感光体ドラム1上に形成された静電像(静電潜像)を現像する接触現像方式を用いている。この場合、画像形成中は現像ローラ17の弾性層17aが、感光体ドラム1に対して所定の圧で当接した状態となっている。そのため、装置本体101内において、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態で長時間放置されると、現像ローラ17の弾性層17aが変形して画像上にムラが発生するおそれがある。そこで、画像形成動作が行われていない場合には、感光体ドラム1と現像ローラ17とを離間させる必要がある。
【0037】
次に本発明を実施したプロセスカートリッジ7における感光体ドラム1と現像ローラ17の離間機構について図1及び図3を用いて説明する。
【0038】
図3は、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態におけるプロセスカートリッジ7の断面図である。
【0039】
図3に示すように、装置本体101には、長手方向においてプロセスカートリッジ7の略中央部と当接する離間部材60が配置されている。現像枠体18の力受け部18bは離間部材60が、矢印G方向に移動することにより力を受ける。このときプロセスカートリッジ7の現像ユニット4は、現像軸受19R、19Lに設けられた穴19Ra、19Laに嵌合する軸23(23R、23L)を中心にして回動する。そして、現像ローラ17は、感光体ドラム1から離間した位置に移動する。次に、図1に示すように、離間部材60が矢印Jの方向に移動し力受け部18bから離れると、加圧バネ24と不図示の引張りバネの付勢力により、軸23(23R,23L)を中心にして現像ユニット4が回動する。そして、現像ローラ17は、感光体ドラム1と接触する位置に移動する。
【0040】
すなわち現像ユニット4は現像ローラ17を感光体ドラム1と当接させる当接位置と、現像ローラ17を感光体ドラム1から離間させる離間位置とを取り得る。
【0041】
[シート部材]
次に、本発明の第1の実施形態による、トナーの飛散を抑制する第一シート部材25及び第二シート部材26について説明する。本実施例において第一シート部材25は、現像剤がプロセスカートリッジの外部に飛散することを抑制する現像剤飛散抑制手段である。図1に示すように、第一シート部材25は現像枠体18に短手方向(感光体ドラムの長手方向と直交する方向)の一端部が固定されている。また短手方向の他端部が感光体ドラム1の回転方向において、現像ローラ17と当接する位置よりも下流側、且つクリーニング部材6と当接する位置よりも上流側にて感光体ドラム1と近接するように設けられている。また、画像形成時に、感光体ドラム1に形成されたトナー像が中間転写ベルト5に転写されることの妨げにならないよう、第一シート部材25の他端部は、感光体ドラムのトナー像が転写する位置よりも上流側にて感光体ドラム1と近接するようにされている。
【0042】
第一シート部材とは別に、第二シート部材26が、現像ブレード21を取り付ける固定板27に、短手方向一端部を両面テープ28で固定されている。第二シール部材は短手方向の他端部が感光体ドラム1の回転方向において、現像ローラ17が感光体ドラム1と当接する位置よりも上流側で感光体ドラム1と当接する。また、第二シール部材が当接する位置はクリーニング部材6が感光体ドラム1と当接する位置よりも感光体ドラム1の回転方向下流側となる。第一シート部材25及び第二シート部材26は、感光体ドラム1の長手方向に延びて、設けられている。
【0043】
第二シート部材26は、感光体ドラム1の表面に当接することで、矢印H方向に撓む。図1に示すように、第二シート部材26は、矢印H方向に撓んだ状態においても、現像ローラ17に対しては、当接しないように設けられている。また、第二シート部材26は、弾性を有するので、現像枠体18がクリーニング枠体14に対して回動しても、感光体ドラム1に当接した状態を保つ。すなわち現像ローラ17を感光体ドラム1に当接する当接時、および現像ローラ17を感光体ドラム1から離間する離間時の双方において、第二シート部材は感光体ドラム1の表層に当接している。この第二シート部材26は、現像ローラ17の露出部から落下したトナーを受けて、そのトナーがプロセスカートリッジ7の外(矢印I方向)へ漏れることを抑制している。
【0044】
図4は、プロセスカートリッジ7の外観斜視図である。図4に示すように、第一シート部材25の短手方向の一端部は、現像枠体18に設けられた取付け面18cに、不図示の両面テープで固定されている。このとき第一シート部材25は短手方向の他端部が、感光体ドラム1に近づく方向に向くように取り付けられている。第一シート部材25の長手方向の両端側には、第一シート部材25の長手方向中央部25cよりも短手方向の長さが短くなるよう、短手方向他端側に段差を設けた段差部25a、25bが形成されている。後述するように、段差部25a、25bは、クリーニング枠体14に設けられた斜面14b、14cと係合する係合部である。また第一シート部材25の中央部25cは、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した時に、感光体ドラム1と当接する領域である。
【0045】
図5(a)は、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態におけるプロセスカートリッジ7の外観図で、図5(b)は、プロセスカートリッジ7を図5(a)の断面A−Aから見た断面図である。また図10(a)は感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した時の、第一シート部材25の状態を示したプロセスカートリッジ7の部分図である。
【0046】
図5(a)及び(b)に示すように、クリーニング枠体14の長手方向の両端側には、第一シート部材25に設けられた段差部25a、25bに対応する位置に、斜面形状の被係合部(以下、斜面)14b、14cが設けられている。斜面14b、14cは、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した際に、係合部(以下、段差部)25a、25bと係合する。具体的には、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態において、第一シート部材25の段差部25a、25bが、それぞれクリーニング枠体14に設けられた斜面14b、14cに乗り上げる。これにより、第一シート部材25は、クリーニング枠体14の斜面14b、14cに沿う様にして、感光体ドラム1から遠ざかる方向へ湾曲する。この時、図10(a)に示すように第一シート部材25の短手方向の他端部は、感光体ドラム1と当接しない位置まで持ち上がる。
【0047】
図6(a)は、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態におけるプロセスカートリッジ7の外観図であり、図6(b)は、プロセスカートリッジ7を、図6(a)の断面B−Bから見た時の断面図である。図10(b)は現像ローラ17が感光体ドラム1から離間した時の、第一シート部材25の状態を示したプロセスカートリッジ7の部分図である。
【0048】
現像ローラ17が感光体ドラム1から離間した状態では、感光体ドラム1と現像ローラが当接した状態よりも第一シート部材25と斜面14b、14cとの距離が広がる。そのため図6(a)及び図6(b)に示すように、第一シート部材25の段差部25a、25bは、それぞれクリーニング枠体14に設けられた斜面14b、14cから滑り落ちる。この時、第一シート部材25は、第一シート部材25の弾性力によって、湾曲する前の形状に復帰する。そして、図10(b)に示すように、第一シート部材25の短手方向他端部は、感光体ドラム1と当接する。第一シート部材25の他端部が感光体ドラム1と当接する位置は、感光体ドラム1の回転方向において、現像ローラ17と当接する位置よりも下流側、且つクリーニング部材6と当接する位置よりも上流側である。また感光体ドラムのトナー像が転写する位置よりも上流側となる。
【0049】
なお、本実施例では、段差部が乗り上げる被係合部として斜面14b、14cを設けたが被係合部の形状は斜面に限らない。第一シート部材25の係合部(段差部)25a、25bと係合して、第一シート部材25を感光体ドラム1から離間させる方向に移動させる構造であればよく、突起等、別の構造をとってもよい。また、被係合部14b、14cは、シート部材の段差部と係合してシート部材を移動させる位置にあればよく、感光体ドラム1を支持する軸受等、別の場所に設けても良い。
【0050】
また、本実施例では第一シート部材25及び第二シート部材26に、ポリエチレンテレフタレートを用い、シートの厚みは50μmとした。しかし、ポリカーボネート、ポリウレタン等の材質や、異なる厚さのシートを用いても良い。
【0051】
以上説明したように、第一シート部材25は、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態では、感光体ドラム1から離間している。よって、画像形成時に、第一シート部材25が、感光体ドラム1に担持されたトナーを転写前に掻き落とすことはなく、第一シート部材25が画像形成に影響を及ぼすことがない。
【0052】
一方、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態では、第一シート部材25は感光体ドラム1に当接する。以下、感光体ドラム1と当接した際の第一シート部材25の作用について詳しく説明する。
【0053】
画像形成装置100にて画像を形成する際、現像ユニットに収納されたトナーは、前述したように現像ローラ17と当接する現像ブレード21によって帯電され、現像ローラ17に担持される。しかし、現像ブレード21によって十分に帯電さなかったトナーが、現像ローラ17に担持されず、現像ローラ17と現像ブレード21の当接部から、現像ローラ17の回転方向下流側へ零れ落ちることがある。このようなトナーは、プロセスカートリッジ7内において、現像ブレード21の近くに堆積している。
【0054】
ここでユーザーが装置本体101からプロセスカートリッジを取り出した際に、感光体ドラム1が下方に向けられる場合がある。図11に、感光体ドラム1が下方に向けられた状態のプロセスカートリッジ7の概略断面図を示した。
【0055】
ユーザーが感光体ドラム1を重力方向下方に向けた状態で、現像ユニット4と感光体ユニット13を把持し、図中の矢印G方向に力を加えてしまう場合がある。このとき図11に示すように現像ユニット4が感光体ユニット13に対して回動し、現像ローラ17は感光体ドラム1から離間してしまう。この状態では現像ブレード21の近くに堆積していたトナーが感光体ドラム1と現像ローラ17の間を通って、矢印L方向に落下してしまう。
【0056】
しかし、本実施例においては、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態において第一シート部材25が感光体ドラム1と当接している。そのため落下したトナーをこの第一シート部材25によって保持することができる。これによりプロセスカートリッジ7内に堆積していたトナーがプロセスカートリッジ7の外へ漏れ出ることを抑制することが可能になる。
【0057】
さらに、本実施例では第一シート部材25に加えて、感光体ドラム1と当接する第二シート部材26を設けている。第二シート部材26が感光体ドラム1と当接する位置は、感光体ドラム1の回転方向において現像ローラ17が感光体ドラム1と当接する位置よりも上流側でありクリーニング部材6が感光体ドラム1と当接する位置よりも下流側である。第二シート部材26は、現像ローラ17と感光体ドラム1を当接する時、および、現像ローラ17が感光体ドラム1から離間する時の双方で感光体ドラム1に当接し続ける。そのため、現像ローラ17と現像ブレード21との当接部から零れ落ちたトナーが、図1に示す矢印I方向からプロセスカートリッジ7外へ漏れることを抑制している。
【0058】
すなわち、現像ローラ17と感光体ドラム1が当接する状態では、現像ブレード21によって十分に帯電されず、現像ローラ17と現像ブレード21の当接部から零れ落ちたトナーは、図1に示す空間mに留まる。なお空間mは感光体ドラム1と、現像ローラ17と、現像ブレード21と、第二シート部材26で囲まれた空間である。これにより、現像ローラ17と感光体ドラム1が当接する状態においてプロセスカートリッジ7外へ漏れ出るトナー量は少ない。
【0059】
一方、感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態では、第一シート部材25が感光体ドラム1と当接する。この時、現像ローラ17と現像ブレード21の当接部から零れ落ちたトナーは、図3に示す空間nに留まる。空間nは感光体ドラム1と、現像ローラ17と、現像ブレード21と、第一シート部材25と第二シート部材26で囲まれた空間である。これによりプロセスカートリッジ7を取り出した際に、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した場合であっても、プロセスカートリッジ7の外へトナーが漏れ出ることを抑制することができる。
【0060】
また前述したように、本実施例の装置本体101において、中間転写ベルト5はプロセスカートリッジ7の装着位置よりも上方に配置される。そのためプロセスカートリッジ7が装置本体101に装着された際には、図2に示すように、感光体ドラム1が上を向いた状態となる。これにより、現像ローラ17から零れ落ちたトナーがプロセスカートリッジ7から装置本体101内に落下しないようになっている。
【0061】
<実施例2>
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例のプロセスカートリッジ、画像形成装置の基本的な構成は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0062】
本実施例では、現像剤飛散抑制手段として、第一シート部材30と、回動部材31を有する。以下に詳しく説明する。
【0063】
図7(a)は、本実施例のプロセスカートリッジ7の外観斜視図で、図7(b)は、プロセスカートリッジ7の長手端部の詳細図である。プロセスカートリッジ7には短手方向の一端部が現像枠体18に固定された第一シート部材30を有する。第一シート部材30は、短手方向の他端部が感光体ドラム1の回転方向において、現像ローラ17が感光体ドラム1と当接する位置よりも下流側で感光体ドラム1と当接する。また第一シート部材30が感光体ドラム1と当接する位置は、トナー像の転写位置よりも上流側であり、またクリーニング部材6が感光体ドラム1と当接する位置よりも上流側となる。
【0064】
図7(a)及び(b)に示すように、本実施例における現像ユニット4には、現像枠体18に回転可能に支持された、金属等からなる棒形状の回動部材31が設けられている。
【0065】
回動部材31は、現像枠体18の長手方向に亘って設けられている。一方、現像枠体18の長手方向の両端側には、回動部材31を支持する丸穴18d(18dR、18dL)が設けられている。回動部材31はその両端部がU字形状をとり、内側を向いている。回動部材31を弾性変形させることで、その両端部を、丸穴18dR,18dLに外側から挿入させて、現像枠体18に取り付けている。
【0066】
これにより回動部材31は、丸穴18dR,18dLを結ぶ直線を回動中心として回動可能である。また回動部材31は図7(b)に示されるように現像枠体18の長手方向に延びる棒状の押圧部31cと、押圧部31cよりも回転半径が小さくなる方向に押圧部31cの両端側を屈曲させた屈曲部31a、31bを有する。
【0067】
押圧部31cは、第一シート部材30の現像ローラ17と対向する面に当接可能な位置に設けられる。また、屈曲部31a、31bは感光体ドラム1の長手方向において第一シート部材の外側に位置するように配置される。屈曲部31a、31bは後述するように、クリーニング枠体に設けられた斜面14b、14cと係合する係合部となる。
【0068】
図8(a)は、本実施例における感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態におけるプロセスカートリッジ7の外観図で、図8(b)は、プロセスカートリッジ7を図8(a)のC−C断面から見た断面図である。図8(a)及び(b)に示すように、クリーニング枠体14の長手方向両端側には、係合部(以下、屈曲部)31b、31cに対応する位置に、斜面形状の被係合部(以下、斜面)14b、14cが設けられている。斜面14b、14cは、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した際に、係合部31a、31bと係合する。具体的には、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態においては、回動部材31の長手方向一端側おいて、屈曲部31aが、クリーニング枠体14に設けられた斜面14bに乗り上げる。同様に、回動部材31の長手方向他端側においても、屈曲部31bが、クリーニング枠体14に設けられた斜面14cに乗り上げる。屈曲部31a、31bが斜面14b、14cに乗り上げることによって、回動部材31は矢印J方向(押圧部31cが第一シート部材30に向かう方向)に回動し、回動部材31の押圧部31cが、第一シート部材30の短手方向他端側を押し上げる。これにより、第一シート部材30の短手方向他端部は感光体ドラム1から離間する。
【0069】
図9(a)は、本実施例における感光体ドラム1と現像ローラ17が離間した状態におけるプロセスカートリッジ7の外観図で、図9(b)は、プロセスカートリッジ7を図9(a)のD−D断面から見た断面図である。図9(a)及び(b)に示すように、屈曲部31a、31bは斜面14b、14cから離れる向きに屈曲している。そのため現像ローラ17が感光体ドラム1から離間した状態においては、回動部材31の屈曲部31a、31bは、クリーニング枠体14に設けられた斜面14b、14cからそれぞれ滑り落ちる。この時、回動部材31は、第一シート部材30の弾性力により、矢印K方向(押圧部31cが第一シート部材30から離れる方向)に回動し、第一シート部材30の短手方向他端部が感光体ドラム1と当接する。なお、現像枠体18には、回動部材31が矢印K方向において、必要以上に回動しない様、ストッパー部18e(18eR、18eL)が設けられている。これにより、回動部材31は現像ローラ17と当接しない。
【0070】
以上、本実施例では、第一シート部材30と回動部材31を有する現像剤飛散抑制手段について説明した。現像ローラと感光体ドラムが当接する時には、回動部材31の屈曲部(係合部)31a、31bが、クリーニング枠体の斜面(被係合部)14b、14cに乗り上げることによって回転し、第一シート部材30を押し上げる。回動部材31に押し上げられた第一シート部材30は感光体ドラム1から離間する。
【0071】
一方、現像ローラが感光体ドラムから離間する時には、回動部材31の屈曲部(係合部)31a,31bは斜面(被係合部)14b、14cに乗り上げない。このとき、回動部材31は第一シート部材30を押し上げないので、第一シート部材30は感光体ドラムと当接した状態となり、トナーがプロセスカートリッジ7の外部に落下、飛散することを防止する。
【0072】
なお、回動部材31は金属棒等、剛性のある部材で形成することができるので、第一シート部材30を、撓ませることなく、長手方向において均一に感光体ドラム1から離間することができる。
【0073】
実施例1と同様、被係合部14b、14cの形状は斜面に限らない。回動部材31の係合部31a、31bと係合した際に、回動部材31を回転させる構造であればよく、突起等、別の構造をとってもよい。
【0074】
また、回動部材31は棒状である必要はない。感光体ドラム1と現像ローラ17が当接する際に、回動し、第一シート部材を押圧し、感光体ドラム1から離れる方向に移動させる構成であればよい。例えば、長手方向の端部を切り欠いて係合部とした、板状部材を用いることもできる。この場合は、感光体ドラム1と現像ローラ17が当接する時に、板状部材の係合部をクリーニング枠体14に設けた被係合部に乗り上げさせて、板状部材を回動させ、第一シート部材30を持ち上げ、感光体ドラム1から離間させる。
【0075】
<実施例3>
本発明に係る別の実施例について説明する。本実施例では、プロセスカートリッジ7が画像形成装置本体内において感光体ドラム1を重力方向下方に向けて装着されることを特徴とする。
【0076】
図12は本実施例にかかる画像形成装置200の概略断面図である。なお画像形成装置の装置本体201に装着されるプロセスカートリッジ7の構成は実施例1または実施例2と同様である。その他、実施例1、実施例2に記載したものと同一の機能、構成を有する要素については詳細な説明は省略する。
【0077】
図12に示すように画像形成装置には、各プロセスカートリッジの感光体ドラム1と接触する中間転写ベルト85が設けられている。ここで中間転写ベルト85は、プロセスカートリッジの装着位置よりも下方に配置される。そのためプロセスカートリッジ7が画像形成装置本体内において感光体ドラム1を重力方向下方に向けて装着されることになる。
【0078】
画像形成装置において各色のプロセスカートリッジ7により、感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト上に転写される。この転写は、中間転写ベルト85を挟んで、各色の感光体ドラム1の対向位置に設けられた一次転写ローラ88Y、88M、88C、88Kにより行われる。そして、中間転写ベルト85上に転写されたトナー像は、中間転写ベルトの移動方向下流側に設けられた二次転写ローラ89により、一括して記録媒体12上に転写される。
【0079】
記録媒体12は画像形成装置200の下部のカセット80内に積載されており、画像形成動作の要求とともに給送ローラ86により搬送され、二次転写ローラ89による転写位置において、中間転写ベルト85上に形成されたトナー像が転写される。
【0080】
その後、定着装置90により記録媒体上のトナー像は記録媒体に加熱定着され、記録媒体12は画像形成装置200の外部に排出される。
【0081】
一方、画像形成動作が行われていない場合には、画像形成装置200に設けられた離間部材によってプロセスカートリッジ7の感光体ドラム1と現像ローラ17は離間される。感光体ドラム1と現像ローラ17が当接した状態で長時間放置されると、現像ローラ17の弾性層が変形するおそれがあるためである。
【0082】
感光体ドラム1と現像ローラ17は離間されると図11に示すように、プロセスカートリッジ7内で堆積していたトナーが現像ローラ17と感光体ドラム1の間を通って矢印L方向に落下する。しかし、このとき第一シート部材25が感光体ドラム1と当接しているため、落下したトナーを第一シート部材で受け止めることができる。これによりプロセスカートリッジ7の外部にトナーが漏れ出ることを抑制できる。
【0083】
なお、プロセスカートリッジ7が装置本体201に装着された際、第一シート部材21は、現像枠体18に固定される短手方向一端部が、感光体ドラム1と当接する短手方向他端部よりも低い位置になる。つまり図11において第一シート部材25は右側を下向きに傾けた姿勢をとる。このため、現像ローラ17の露出面から零れ落ち、第一シート部材25上に落下したトナーは、第一シート部材25上を右下方向に移動し空間aに堆積する。空間aは、現像枠体18に固定される第一シート部材25一端部の近傍に設けられた空間である。
【0084】
空間aは感光体ドラム1と当接する第一シート部材25の他端部からは離れている。そのため画像形成装置200が画像を形成する際に、第一シート部材25の他端部が感光体ドラム1から離間しても、空間aに堆積したトナーがプロセスカートリッジ7の外に漏れ出ることは抑えられる。
【0085】
つまり、中間転写ベルト85がプロセスカートリッジ7の下方に設けられた画像形成装置200において、プロセスカートリッジ7が装置本体に装着された際にトナーが装置本体201内部に漏れ出ることを抑制することできる。
【符号の説明】
【0086】
1 感光体ドラム(電子写真感光体)
4 現像ユニット
5 中間転写ベルト
6 クリーニング部材
7 プロセスカートリッジ
13 感光体ユニット
14b 斜面
14c 斜面
17 現像ローラ
21 現像ブレード
25 第一シート部材(現像剤飛散抑制手段)
25a 段差部
25b 段差部
25c 中央部
26 第二シート部材
30 第一シート部材
31 回動部材
31a 屈曲部
31b 屈曲部
31c 押圧部
100 画像形成装置
101 装置本体
200 画像形成装置
201 装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ユニットと現像ユニットを備え、電子写真画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記感光体ユニットは、
被係合部と、
回転可能に設けられた電子写真感光体と、
前記電子写真感光体と当接し、前記電子写真感光体に付着した現像剤を除去するクリーニング部材と、を有し、
前記現像ユニットは、
現像剤を担持し、前記電子写真感光体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される前記現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記電子写真感光体の長手方向と直交する短手方向において、一端部を固定された第一シート部材を備える、現像剤飛散抑制手段と、を有し、
前記現像剤担持体を前記電子写真感光体に当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体から離間させる離間位置とを取り得るように、前記感光体ユニットと移動可能に結合しており、
前記現像剤飛散抑制手段は、前記現像ユニットが前記離間位置にあるときには、前記電子写真感光体の回転方向において、前記現像剤担持体が前記電子写真感光体と当接する位置よりも下流側であって、前記クリーニング部材が前記電子写真感光体と当接する位置よりも上流側の位置にて、前記第一シート部材の前記短手方向の他端部を前記電子写真感光体と当接させ、前記現像ユニットが前記当接位置にあるときには、前記現像剤飛散抑制手段に設けられた係合部が前記被係合部と係合することによって、前記第一シート部材の前記他端部を前記電子写真感光体から離間させることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記現像ユニットは、前記電子写真感光体の回転方向において、前記現像剤担持体が前記電子写真感光体と当接する位置よりも上流側であって、前記クリーニング部材が前記電子写真感光体と当接する位置よりも下流側にて、前記電子写真感光体と当接する第二シート部材を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記係合部は前記第一シート部材に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記係合部は、前記電子写真感光体と当接する前記第一シート部材の領域よりも、前記短手方向における長さが短くなるように、前記第一シート部材の前記他端部に段差を設けて形成された段差部であることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記現像剤飛散抑制手段は、前記係合部を備えた、前記現像ユニットに対して回動可能な回動部材を有し、前記現像ユニットが前記当接位置にあるとき、前記係合部が前記被係合部と係合することによって、前記回動部材は、前記第一シート部材を押圧する位置まで回動し、前記第一シート部材を前記電子写真感光体から離間する位置に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記回動部材は、前記長手方向に延びる棒形状の押圧部であって、前記現像ユニットが前記当接位置にあるときに、前記第一シート部材と当接して、前記第一シート部材を前記電子写真感光体から離間する位置に移動させる押圧部を有し、前記係合部は前記押圧部が屈曲して形成された屈曲部であることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記係合部は、前記長手方向において、前記現像剤飛散抑制手段の両端側に設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
感光体ユニットと現像ユニットを備えたプロセスカートリッジを取り外し可能に装着し、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、
前記感光体ユニットは、
被係合部と、
回転可能に設けられた電子写真感光体と、
前記電子写真感光体と当接し、前記電子写真感光体に付着した現像剤を除去するクリーニング部材と、を有し、
前記現像ユニットは、
現像剤を担持し、前記電子写真感光体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される前記現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記電子写真感光体の長手方向と直交する短手方向において、一端部を固定された第一シート部材を備える、現像剤飛散抑制手段と、を有し、
前記現像剤担持体を前記電子写真感光体に当接させる当接位置と、前記現像剤担持体を前記電子写真感光体から離間させる離間位置とを取り得るように、前記感光体ユニットと移動可能に結合しており、
前記現像剤飛散抑制手段は、前記現像ユニットが前記離間位置にあるときには、前記電子写真感光体の回転方向において、前記現像剤担持体が前記電子写真感光体と当接する位置よりも下流側であって、前記クリーニング部材が前記電子写真感光体と当接する位置よりも上流側の位置にて、前記第一シート部材の前記短手方向の他端部を前記電子写真感光体と当接させ、前記現像ユニットが前記当接位置にあるときには、前記現像剤飛散抑制手段に設けられた係合部が前記被係合部と係合することによって、前記第一シート部材の前記他端部を前記電子写真感光体から離間させることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセスカートリッジとして、それぞれ異なる色の現像剤を備える複数のプロセスカートリッジを取り外し可能に装着していることを特徴とする請求項8に記載された電子写真画像形成装置。
【請求項10】
前記電子写真感光体に形成された画像を転写され、この転写された画像を前記記録媒体に転写する中間転写ベルトを、前記プロセスカートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に装着される位置よりも上方に備えることを特徴とする請求項8または9に記載された電子写真画像形成装置。
【請求項11】
前記電子写真感光体に形成された画像を転写され、この転写された画像を前記記録媒体に転写する中間転写ベルトを、前記プロセスカートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に装着される位置よりも下方に備えることを特徴とする請求項8または9に記載された電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−163845(P2012−163845A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25256(P2011−25256)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】