説明

ベジタリアンプロテインA調製物およびその方法

【課題】プロテインAへの動物性生成物の混入がない、プロテインAの生成方法を提供すること。
【解決手段】動物性ペプチドではなくベジタリアンアミノ酸またはペプチドを含有する培地中で黄色ブドウ球菌分泌株を発酵させること、プロテインA含有培地を回収すること、ならびに動物性ペプチドを含まない合成樹脂にアプライし、樹脂からの溶出液を濾過してプロテインAを精製することによる、動物由来の生成物の混入のないプロテインAの生成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテインAの生成方法に関する。さらに、詳しくは、動物由来の生成物の混入のないプロテインAの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインAは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって産生される細胞壁タンパク質である。プロテインAの有用性は、抗原に対する免疫グロブリンの親和性に影響することなく殆どの哺乳動物の免疫グロブリンG(IgG)のFc領域へ結合できる能力、およびそれより弱いが、VH3領域を有する免疫グロブリンM(IgM)へ結合できる能力に由来する。プロテインAを商業的に使用して、炎症性疾患および癌等のヒトの疾患の治療剤としてしばしば用いられるモノクローナル抗体が精製される。また、プロテインA自体を治療剤として使用し得る。慢性関節リウマチ等の自己免疫疾患において循環する免疫複合体に結合させるために、または感染を有する者において特定のサイトカイン産生を促進するために、プロテインAを患者に投与し得る。また、クロマトグラフィー用樹脂にカップリングさせた場合、プロテインAは、自己免疫疾患や臓器移植における拒絶反応等の疾患において、IgG複合体を除去することによって血漿または全血を処置する治療用吸収剤として作用し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロテインAは元々黄色ブドウ球菌の細胞壁から得られたが、該タンパク質を分泌する細菌株が単離され、それもまたプロテインAを得るために用いられている。しかしながら、従来の方法によるプロテインAの調製は、ヒトの治療において使用するには問題がある。黄色ブドウ球菌は、細菌のためのアミノ酸供給源として動物性生成物を含有する培地中で増殖する。具体的には、細菌増殖培地の添加物として、ウシ加水分解産物および抽出物が一般的に用いられる。そのため、動物由来の生成物を含有する増殖培地からプロテインAを得ることによって、狂牛病、スクレーピーおよび消耗病の原因となるプリオン等の動物性生成物が培地中に存在してヒトの患者に伝染するかもしれない可能性が生じる。プロテインA調製物はまた、後の精製過程の間に、動物性生成物に曝露され得、動物性生成物が混入し得る。例えば、最近用いられる方法において、プロテインAはクロマトグラフィー用IgGセファロースカラムを用いて精製され、クロマトグラフィー用セファロースカラムに結合したIgGは、典型的には動物に由来する。しかしながら、単離および精製過程の間には、プロテインA調製物と結合する動物性生成物は、現在公知の方法では、調製物から容易に精製されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、動物性ペプチドではなくベジタリアンアミノ酸またはペプチドを含有する培地中で黄色ブドウ球菌分泌株を発酵させること、プロテインA含有培地を回収すること、ならびに動物性ペプチドを含まない合成樹脂にアプライし、樹脂からの溶出液を濾過してプロテインAを精製することによる、動物由来の生成物の混入のないプロテインAの生成方法に関する。
【0005】
本方法のある態様において、黄色ブドウ球菌分泌株は黄色ブドウ球菌のImre変種[Staph aureus, var Imre (S. Imre)]である。本発明の別の態様において、プロテインAは、陰イオン交換クロマトグラフィー用樹脂を用いて、培地から精製される。本発明のさらに別の態様において、クロマトグラフィー用樹脂から溶出したプロテインAは、ヒドロキシアパタイトまたは陽イオン交換クロマトグラフィーで更に精製されて、非タンパク質性不純物が除かれる。精製後、プロテインAは濃縮され得、生理学的pHにされ得る。
【0006】
本発明はまた、イーストエクストラクト、ベジタリアンアミノ酸またはペプチド、グルコースおよび必須の塩からなる、ベジタリアン黄色ブドウ球菌発酵培地に関する。ある態様において、ベジタリアンアミノ酸またはペプチドは、ダイズペプチドである。また、本発明は、ベジタリアン培地中で細菌を増殖させることによる、ベジタリアンプロテインA、つまり動物性生成物の混入のないプロテインA調製物の生成方法に関する。
【0007】
本発明はさらに、本発明の方法で生成されたベジタリアンプロテインA調製物に関する。本発明はさらに、ベジタリアンプロテインAおよび適切な担体を含有する医薬組成物に関する。ある態様において、該医薬組成物は、治療を必要とする患者を治療する治療方法に用いられる。具体的には、該医薬組成物は、患者にベジタリアンプロテインA医薬組成物を投与することによってサイトカインまたはクリオグロブリン産生を促進する必要がある患者を治療する方法に用いられる。
【0008】
本発明はまた、クロマトグラフィー用樹脂に固定されてベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂を形成する、ベジタリアンプロテインAに関する。ある態様において、該ベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂は、抗体または抗体断片に結合する方法に用いられる。特に好ましい態様において、該ベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂は、抗体の精製に用いられる。本発明はまた、精製された抗体および適切な担体を含有する医薬組成物に関する。ある態様において、精製された抗体の医薬組成物は、治療を必要とする患者の治療に用いられ、好ましい態様においては、抗体は癌患者の治療に用いられる。
【0009】
本発明はさらに、ベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂および適切な担体を含有する医薬組成物、ならびに該医薬組成物を用いて、治療を必要とする患者を治療する方法に関する。本方法のある態様において、該医薬組成物は、後天性血友病の治療に用いられる。別の態様において、該医薬組成物は、自己免疫疾患または免疫関連の問題の治療に用いられる。本方法のさらなる態様において、該医薬組成物は、慢性関節リウマチまたは拡張型心筋症等の自己免疫疾患の治療に用いられる。本方法のさらに別の態様において、該医薬組成物は、対宿主性移植片病の免疫関連の問題の治療に用いられる。
【0010】
即ち、本発明は、
〔1〕 ベジタリアンアミノ酸またはペプチドを含有するが動物性生成物を含まない培地中で黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus (S. aureus)]の分泌株を発酵させて、プロテインAを生成する工程;
プロテインA含有培地を回収する工程;ならびに
プロテインA含有培地を、動物性生成物を含まないクロマトグラフィー用合成樹脂にアプライし、該樹脂からプロテインAを溶出させることによって、プロテインAを精製する工程
を含む、ベジタリアンプロテインAの生成方法、
〔2〕 黄色ブドウ球菌が、Staph Imre分泌株である、前記〔1〕記載の方法、
〔3〕 発酵槽の接種に用いられる黄色ブドウ球菌の種がベジタリアン培地中に維持される、前記〔1〕記載の方法、
〔4〕 黄色ブドウ球菌を10〜24時間発酵させる、前記〔1〕記載の方法、
〔5〕 黄色ブドウ球菌を13〜14時間発酵させる、前記〔1〕記載の方法、
〔6〕 10mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタンおよびNaClを用いたダイアフィルトレーションによってプロテインA含有培地のpHを7.5〜8.5に調整し、導電率を2mS/cm以下に調節する、前記〔1〕記載の方法、
〔7〕 プロテインA含有培地を精製のため陰イオン交換クロマトグラフィー用樹脂にアプライする、前記〔1〕記載の方法、
〔8〕 高さ24cmのカラムで、5.7〜7.9cm/分の直線流速でクロマグラフィーを行う、前記〔1〕記載の方法、
〔9〕 少なくとも20mMのTrisHClおよびNaClを用いて、8mS/cmの導電率でプロテインAをクロマトグラフィー用カラムから溶出させる、前記〔1〕記載の方法、
〔10〕 pH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムを用いたダイアフィルトレーションによって、プロテインA溶出液のpHを6.5〜7.1に調整し、導電率を1〜2mS/cmに調節する、前記〔1〕記載の方法、
〔11〕 10,000分子量分画点を有する膜を用いてプロテインAをダイアフィルトレーションする、前記〔1〕記載の方法、
〔12〕 10,000分子量フィルターを用いてプロテインA溶出液又は濾過液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、前記〔1〕記載の方法、
〔13〕 リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調節する、前記〔12〕記載の方法、
〔14〕 プロテインA溶出液又は濾過液をクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムにアプライして非タンパク質性不純物を除去する工程および該カラムからプロテインAを溶出させる工程をさらに含む、前記〔1〕記載の方法、
〔15〕 カラムにアプライしたプロテインAをpH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムで洗浄し、pH 6.8の370 mMのリン酸ナトリウムで溶出させる、前記〔14〕記載の方法、
〔16〕 カラム中の樹脂ベッドの高さが20cmである、前記〔14〕記載の方法、
〔17〕 10,000分子量フィルターを用いてクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムからのプロテインA溶出液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、前記〔1〕記載の方法、
〔18〕 リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、前記〔17〕記載の方法、
〔19〕 本質的にイーストエクストラクト、ベジタリアンアミノ酸およびペプチド、グルコースならびに必須の塩からなる、黄色ブドウ球菌を発酵させるためのベジタリアン培地、
〔20〕 ベジタリアンアミノ酸またはペプチドがダイズ由来である、前記〔19〕記載のベジタリアン培地、
〔21〕 イーストエクストラクトが50g/Lの濃度であり、ダイズペプチドが15g/Lの濃度であり、グルコースが5〜10g/Lの濃度である、前記〔19〕記載のベジタリアン培地、
〔22〕 本質的にイーストエクストラクト、ダイズペプチド、グルコースおよび必須の塩からなる培地中でStaph Imreを発酵させてプロテインAを生成する工程;
プロテインA含有培地を回収する工程;
動物性生成物を含まない強陰イオン交換樹脂にプロテインA含有培地をアプライし、プロテインAを該樹脂から溶出させることによって、プロテインAを精製する工程
を含む、ベジタリアンプロテインAの生成方法、
〔23〕 発酵槽の接種に用いられるStaph Imreの種をベジタリアン培地中で維持する、前記〔22〕記載の方法、
〔24〕 Staph Imreを10〜24時間発酵させる、前記〔22〕記載の方法、
〔25〕 Staph Imreを13〜14時間発酵させる、前記〔22〕記載の方法、
〔26〕 10mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタンおよびNaClを用いて、プロテインA含有培地のpHを7.5〜8.5に調整し、導電率を2mS/cm以下に調節する、前記〔22〕記載の方法、
〔27〕 高さ24cmのカラムで、5.7〜7.9cm/分の直線流速でクロマトグラフィーを行う、前記〔22〕記載の方法、
〔28〕 少なくとも20mMのTrisHClおよびNaClを用いて、8mS/cmの導電率でクロマトグラフィー用カラムからプロテインAを溶出させる、前記〔22〕記載の方法、
〔29〕 pH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムを用いたダイアフィルトレーションによってプロテインA溶出液のpHを6.5〜7.1に調整し、導電率を1〜2mS/cmに調節する、前記〔22〕記載の方法、
〔30〕 10,000分子量分画点を有する膜を用いてプロテインA溶出液をダイアフィルトレーションする、前記〔22〕記載の方法、
〔31〕 10,000分子量フィルターを用いてプロテインA濾過液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、前記〔30〕記載の方法、
〔32〕 リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、前記〔31〕記載の方法、
〔33〕 プロテインA濾過液をクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムにアプライして非タンパク質性不純物を除去する工程および該カラムからプロテインAを溶出させる工程をさらに含む、前記〔22〕記載の方法、
〔34〕 カラムにアプライしたプロテインA濾過液をpH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムで洗浄し、pH 6.8の370 mMのリン酸ナトリウムで溶出させる、前記〔33〕記載の方法、
〔35〕 カラム中の樹脂ベッドの高さが20cmである、前記〔33〕記載の方法、
〔36〕 10,000分子量分画フィルターを用いてクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムからのプロテインA溶出液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、前記〔22〕記載の方法、
〔37〕 リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、前記〔36〕記載の方法、
〔38〕 前記〔1〕又は前記〔22〕記載の方法によって生成されたベジタリアンプロテインA、
〔39〕 ベジタリアンプロテインA、
〔40〕 前記〔38〕又は前記〔39〕記載のベジタリアンプロテインAおよび適切な担体を含有する医薬組成物、
〔41〕 治療を必要とする患者のための、前記〔40〕記載の医薬組成物、
〔42〕 サイトカインまたはクリオグロブリンの産生を促進して患者を治療するための、前記〔41〕記載の医薬組成物、
〔43〕 感染または易感染性免疫系に関して患者を治療するための、前記〔41〕記載の医薬組成物、
〔44〕 患者の血流への注射によって投与される、前記〔41〕記載の医薬組成物、
〔45〕 クロマトグラフィー用樹脂に固定された前記〔38〕又は前記〔39〕記載のベジタリアンプロテインによって形成されてなる、ベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔46〕 クロマトグラフィー用樹脂が合成ポリマー、半合成ポリマーまたは非晶質の物質である、前記〔45〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔47〕 合成ポリマーがポリメタクリレートである、前記〔46〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔48〕 半合成ポリマーがポリガラクトースである、前記〔46〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔49〕 非晶質の物質がシリカまたは珪藻土である、前記〔46〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔50〕 ベジタリアンプロテインAのカルボキシル基またはアミノ基をクロマトグラフィー用樹脂の化学官能基と反応させることによって生成される、前記〔45〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂、
〔51〕 抗体または抗体断片を前記〔45〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂にアプライする工程を含む、抗体または抗体断片をクロマトグラフィー用樹脂に結合させる方法、
〔52〕 抗体または抗体断片を精製するためにそれらをベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂にアプライする、前記〔51〕記載の方法、
〔53〕 前記〔51〕記載の方法で生成された、精製された抗体または抗体断片および適切な担体を含有する、医薬組成物、
〔54〕 治療を必要とする患者のための、前記〔53〕記載の医薬組成物、
〔55〕 患者を癌に関して治療するための、前記〔54〕記載の医薬組成物、
〔56〕 前記〔45〕記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂および適切な担体を含有する、医薬組成物、
〔57〕 治療を必要とする患者のための、前記〔56〕記載の医薬組成物、
〔58〕 後天性血友病に関して患者を治療するための、前記〔57〕記載の医薬組成物、
〔59〕 自己免疫疾患または免疫関連の問題に関して患者を治療するための、前記〔57〕記載の医薬組成物、
〔60〕 自己免疫疾患が慢性関節リウマチまたは拡張型心筋症である、前記〔59〕記載の医薬組成物、ならびに
〔61〕 免疫関連の問題が対宿主性移植片病である、前記〔59〕記載の医薬組成物
に関する。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明は、動物性タンパク質の混入を防いで、プロテインAを生成する方法を提供する。さらに、動物性生成物に接触することがなく、プロテインAに動物性生成物が混入していないことが確実である、プロテインA調製物およびプロテインA医薬組成物を有利に提供する。これは、ヒトの治療におけるプロテインAの使用に特に重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい態様を説明する。プロテインAは、天然の株、分離株または遺伝子組み換え株を含む黄色ブドウ球菌の任意のプロテインA産生株から得ることができる。黄色ブドウ球菌のプロテインA産生株としては、また、プロテインAが細胞壁に埋め込まれたままである株および増殖培地にプロテインAを分泌する株、好ましくは、例えば黄色ブドウ球菌Imre変種(S. aureus, var Imre)が挙げられる。黄色ブドウ球菌細胞壁からプロテインAを回収し得る方法(例えば酵素消化)は、当業者に周知である。この方法で回収したプロテインAは、精製して消化された細胞成分を除去し得る。しかしながら、培地からプロテインAを回収するだけでよいので、プロテインAを培地に分泌する黄色ブドウ球菌株からプロテインAを得るのが好ましい。
【0013】
発酵および回収
動物由来のペプチドを含まない調節された培地中で黄色ブドウ球菌株を発酵させて、プロテインAへの動物性生成物の混入を防ぐ。本明細書中で用いられる場合、「動物性生成物」は、非ヒト動物から感染または由来する任意の物質として定義され、該物質としては、ペプチド、タンパク質、アミノ酸、タンパク質様物質、核酸、ウイルス等が挙げられる。本明細書中で用いられる場合、用語「ベジタリアンプロテインA」は、発酵培地または精製培地由来の動物性生成物または任意の動物由来のペプチドが混入していないプロテインA組成物として定義される。同様に、用語「ベジタリアン培地」は、動物性生成物または任意の動物由来のペプチドが混入していない発酵培地をいう。本明細書中で用いられる場合、用語「ベジタリアンアミノ酸またはペプチド」は、非ヒト動物由来でない任意のペプチド、タンパク質、アミノ酸またはタンパク質様物質をいう。
【0014】
分泌細菌を、細菌を増殖させて所望の量のプロテインAを生成させるのに十分な任意の量のベジタリアン培地で発酵させ得る。最も好ましくは、黄色ブドウ球菌を、発酵槽タンクの大規模製造バッチで増殖させる。発酵条件(すなわち、空気流、温度、攪拌、pHおよび圧力)は、例えばマイクロプロセッサーを用いて、または他の任意の電子工学的手段によって、電子工学的に制御および/またはモニタリングされ得る。ある特に好ましい条件としては、約37℃で培地1リットルあたり約1リットル/分の滅菌空気の空気流での黄色ブドウ球菌の発酵が挙げられる。該培地は、当該分野で公知の黄色ブドウ球菌の増殖のための調節された培地の成分、典型的にはイーストエクストラクト、グルコースおよび必須の塩からなり得、本発明の場合は、アミノ酸供給源としてベジタリアンアミノ酸およびペプチド(例えば、ダイズ、エンドウ加水分解物または綿実加水分解物ペプチド)を含む。ベジタリアンアミノ酸またはペプチドは、例えば、任意の非動物(例えば植物または植物様)または合成(例えば化学的合成)供給源由来であり得、本発明のある態様においては、ベジタリアンのアミノ酸またはペプチドはダイズ由来である。成分は、精製された脱イオン水中に溶解した約50グラム/リットル(g/L)イーストエクストラクト、15 g/Lダイズペプチドおよび5〜10 g/Lグルコースの濃度であり得、必要に応じて発酵の間に希リン酸および希水酸化ナトリウムを添加して、pHを約7〜8に調節し得る。培地はさらに、発酵混合物の発泡を防ぐために、少なくとも0.67ミリリットル/リットル(mL/L)のポリエチレングリコールを含み得る。
【0015】
好ましい態様において、大規模なバッチでの製造のために、発酵培養液に、およそ5×109のStaph Imre株の黄色ブドウ球菌を接種する。プロテインA調製物に動物性生成物が全く混入しないことを確実にするために、発酵培養液の接種に用いられる黄色ブドウ球菌の種もまたベジタリアン培地中で維持する。黄色ブドウ球菌は、好ましくは13〜14時間、37℃で発酵させて、560ナノメートル(nm)の波長で50より高い(または5.2×108黄色ブドウ球菌/mLより多い)濃度の、高密度の細菌を得るが、所望の細菌濃度を得るために、10〜24時間のどの長さでも発酵し得、適切な増殖時間は、当業者によって決定され得る。培養物の純度については、ミュラー・ヒントン寒天培地(グラム陰性細菌増殖に適している)上で発酵培養液の無菌的に回収された試料を増殖させることによって確認し、グルタミン、ガラクトース、メリビオース等の単純な代謝産物に関しては、代謝産物に応じた増殖または非増殖の一貫したパターンを同定するさらなる試験を行い得る。かかる同定および純度解析を行うキットは、例えばBioMerieuxから市販されている。
【0016】
発酵培養液を顕微鏡で視覚的に評価して、培養液に他の微生物が混入していないことを確実にし得る。同様に、グラム陽性球菌の形態、多形態性(すなわち、シングルコロニー、鎖またはロゼット)およびおよそ0.6ミクロンの大きさを有していることを含む適切な形態について、顕微鏡を用いて培養物中の黄色ブドウ球菌を検査し得る。培養された黄色ブドウ球菌はまた、それらが血液寒天プレート上で丸く、隆起し、灰色がかった形態を示すかどうか、48時間後にヒツジ血液のβ溶血を引き起こす能力を有するかどうか、および酵素コアグラーゼおよびカタラーゼに陽性であるかどうかを判定することによって、品質および状態について評価され得る。
【0017】
所望の条件下での培養液の発酵によって、好ましくは、0.68ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)の培地濃度までの、ベジタリアンプロテインAの生成がもたらされる。次いで培養液を、0.1ミクロンフィルターを用いた濾過システム(例えばMillipore Prostak濾過システム)に通すことによって、発酵培地中のベジタリアンプロテインAを回収し得る。他の適当な濾過方法、例えば、珪藻土等の培地補助剤を用いた任意のデプス濾過の方法を用いて細菌細胞を除去することもできる。ブドウ球菌属の細胞はまた、黄色ブドウ球菌発酵培地の連続的な高速遠心分離によって除去され得、該遠心分離によって細菌細胞がペレット化し、分泌されたプロテインAを有した培地が濃縮される。次いで、さらなる精製の前に、細胞を含まない培養液を滅菌0.22ミクロンフィルター等に通し得る。
【0018】
精製
ベジタリアンプロテインAは、いくつかの後処理工程を経て、精製されたベジタリアンプロテインA調製物を生成する。したがって、本発明の方法はまた、ベジタリアンプロテインAの精製にも関する。ある態様において、ベジタリアンプロテインA含有培地は、ダイアフィルトレーションを経て溶液の導電率を低下させて、ベジタリアンプロテインAと共存する非タンパク質性物質を除去し得る。ベジタリアンプロテインA溶液の導電率を、好ましくは、2ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)以下になるよう低下させる。溶液のダイアフィルトレーションは、フィルターおよび所望のバッファーを用いて行い得、本発明のある態様においては、10ミリモル(mM)TrisHClバッファー中、pH 7.8で、10,000の分子量分画(MWCO)膜を用いて行う。ダイアフィルトレーションの方法は当該分野で公知であり、双方のMWCO膜(例えば、Millipore PROCON)、ホローファイバー透析フィルター(例えば、Fresenius OptiFlux)または最大および/または所望の収率のベジタリアンプロテインAを得るために適切な分子量分画を有する他の任意の濾過システムが挙げられる。
【0019】
ベジタリアンプロテインA含有培地を、次いで、クロマトグラフィー用物質が動物由来の生成物を含まないクロマトグラフィー法を用いて精製し得る。本発明のある態様において、プロテインAは、ベジタリアンプロテインA含有溶液を陰イオン交換クロマトグラフィー用樹脂にアプライすることによって精製する。種々の陰イオン交換樹脂を用い得、適切なマトリックスとしてはセルロース、アクリルアミドおよびシリカゲルが挙げられる。多くの陰イオン交換クロマトグラフィーシステムが市販されており、本発明の最も好ましい態様においては、ベジタリアンプロテインA含有溶液をMacroPrep High Q陰イオン交換樹脂を用いて精製し得る。当該分野で周知の方法でプロテインAを陰イオン交換クロマトグラフィーマトリックスに適用し得る。一般的に、クロマトグラフィー用カラムをベジタリアンプロテインA含有溶液のpHおよび導電率(すなわち、pH 7.5〜8.5)に平衡化し、該ベジタリアンプロテインA含有培地をカラムに通して、分子間相互作用によってベジタリアンプロテインAを結合させる。ある態様において、カラムに結合したベジタリアンプロテインAを平衡バッファーで洗浄し、適切なpHおよび導電率の任意のバッファーで洗浄し得る。クロマトグラフィーは、約24センチメートルの高さを有するカラム上で、好ましくは約5.7〜7.9 cm/分の流速で行う。次いで、ベジタリアンプロテインAを、適当に電荷を有するバッファーを用いてカラムから溶出させ得、本発明の特定の態様においては、約8 mS/cmの導電率を有する20 mM TrisHClおよび塩化ナトリウム(NaCl)を用いて溶出させ得る。本発明のある態様において、ベジタリアンプロテインA培地の陰イオン交換クロマトグラフィーによって、少なくとも95%の純度のプロテインAを含むベジタリアンプロテインA溶出液が生成される。好ましい態様において、プロテインA溶出液は、95%より大きい純度で、最も好ましくは97〜99%の純度で、プロテインAを含む。
【0020】
本発明の別の態様において、陰イオン交換クロマトグラフィー用カラムからのベジタリアンプロテインA溶出液をダイアフィルトレーションして、溶出液のpHおよび導電率を調節する。ダイアフィルトレーションは、最も好ましくは10,000 MWCO膜を用いて行われ、約6.5〜7.1のpHおよび約1〜2 mS/cmの導電率を有するベジタリアンプロテインA濾過液を生成する。ダイアフィルトレーションは、好ましくはpH6.8の14mMリン酸ナトリウムを用いて行う。
【0021】
本発明のさらに別の態様において、次いでベジタリアンプロテインA溶出液または濾過液を、任意に、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーによってさらに精製して非タンパク質性不純物を除去し得る。ヒドロキシアパタイトは、タンパク質(例えばプロテインA)を早く溶出させて炭水化物含有化合物をタンパク質に続いて溶出させる、混合様式のイオン交換クロマトグラフィー用樹脂である。ヒドロキシアパタイト樹脂は、クロマトグラフィーカラム中に高さ約20 cmの樹脂ベッドを有することが好ましい。ベジタリアンプロテインA濾過液を一旦ヒドロキシアパタイト樹脂にアプライすると、これをバッファーで洗浄し、本発明のある態様においては、該バッファーは、pH 6.8の14 mMリン酸ナトリウムである。好ましい態様において、次いでベジタリアンプロテインAを、pH 6.8の370 mMリン酸ナトリウムを用いてヒドロキシアパタイトカラムから溶出させる。
【0022】
精製後、ベジタリアンプロテインAを、保存または使用に適切な所望の体積および/または濃度まで濃縮し得る。タンパク質を濃縮する機構は当該分野で周知であり、典型的にはフィルターまたは遠心分離を含む。本発明のある態様において、ベジタリアンプロテインA溶液を陰イオン交換クロマトグラフィーの後に濃縮するが、別の態様においては、ベジタリアンプロテインA溶液を、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの後に濃縮する。なお、陰イオン交換クロマトグラフィーの後に濃縮する場合は、ダイアフィルトレーションによる濾過液を濃縮してもよい。本発明の好ましい態様において、ベジタリアンプロテインA溶出液又は濾過液を、10,000 MWCOフィルターを用いて濃縮し、5〜20 mg/mLのベジタリアンプロテインA調製物を得ることができる。ベジタリアンプロテインAを生理学的pHが要求される適用において使用するために、濃縮されたベジタリアンプロテインAのpHを、中性pHに、好ましくはリン酸バッファーを用いて調整し得る。
【0023】
組成物および処置の方法
本発明はさらに、本発明の方法により生成されるベジタリアンプロテインAに関する。ベジタリアンプロテインAは、患者に直接投与されるか、またはより好ましくは適切な担体と結合させて投与され得る。よって、本発明はまた、ベベジタリアンプロテインAおよび適切な担体を含む医薬組成物にも関する。適切な医薬担体(例えば、EupergitまたはGlyoxalアガロースビーズ)は、当該分野で公知であり、投与経路によって異なる。
【0024】
本発明はさらに、ベジタリアンプロテインA医薬組成物による患者の処置方法にも関する。ある態様において、ベジタリアンプロテインA医薬組成物の投与が必要な患者には投与がなされる。別の態様において、サイトカインまたはクリオグロブリンの産生を促進するために、ベジタリアンプロテインA医薬組成物が患者に投与される。最も好ましくは、患者は感染に対抗するためまたは易感染性免疫系を向上するために、この様式で処置される。当業者に決定されるよう適切にベジタリアンプロテインA医薬組成物を投与するが、患者の血流中への注射による投与がより好ましい。
【0025】
本発明はまた、クロマトグラフィー用樹脂に固定されたベジタリアンプロテインAにも関する。ベジタリアンプロテインAが固定される該樹脂は、40ミクロンほどの小ささのものか、または300ミクロンほどの大きさのものであり得る。本発明のある態様において、該樹脂は合成ポリマー(例えば、ポリメタクリレート)、半合成ポリマー(例えば、ポリガラクトース)または非晶質の物質(例えば、珪藻土またはシリカ)である。本発明のさらなる態様において、ベジタリアンプロテインA-樹脂は、ベジタリアンプロテインAのカルボキシル基またはアミノ基とクロマトグラフィー用樹脂の化学的官能基との反応により生産され得る。本発明の好ましい態様において、ベジタリアンプロテインAのカルボキシル基は該樹脂のアミノ基と反応してベジタリアンプロテインA-樹脂を生産する。別の態様において、該樹脂は、トリアジン、および樹脂に結合したトリアジンに反応したベジタリアンプロテインAにより活性化され得る。さらに別の態様において、まず過ヨウ素酸塩ナトリウムを用いて樹脂を酸化し、続いてアスコルビン酸塩または水酸化ホウ素ナトリウムを用いたメディウムにおいてプロテインAを還元することによりアルデヒド活性化メディウムまたはカルボハイドレートメディウムでベジタリアンプロテインA結合の滴定量が非常に高い値に達し得る。最も好ましい態様において、樹脂からのプロテインAの浸出を最小限にするように、ベジタリアンプロテインAはタンパク質の複数の場所で樹脂に接する。
【0026】
本発明はまた、ベジタリアンプロテインA-樹脂に対する抗体または抗体断片の結合方法にも関する。用語「抗体」および「抗体断片」は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方を包含することを意図する。また、用語「抗体」は、本明細書中で用いられる場合、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、ベニヤ化(veneered)抗体または単鎖抗体を含む種々の抗体も包含する。また、当該分野において周知である方法を用いて、抗体または抗体断片をベジタリアンプロテインA-樹脂に付することにより、抗体または抗体断片をベジタリアンプロテインA-樹脂と結合し得る。例えば、抗体溶液を抗体が樹脂に結合するような条件下で樹脂に付すること、または非結合物質を除去するための適切なバッファーを用いて抗体結合樹脂を洗浄することにより、典型的には抗体を樹脂に結合する。ある態様において、抗体を精製するために、抗体または抗体断片はベジタリアンプロテインA-樹脂に結合する。
【0027】
本発明はさらに、ベジタリアンプロテインA−樹脂および適切な担体(例えばDohkai MicroSphereシリカビーズ)を用いて精製された抗体または抗体断片を含む医薬組成物に関する。抗体は当業者に周知の方法により精製され得る。実際に、プロテインA-クロマトグラフィー用樹脂を用いた精製は、そのことを行うのに最も広く用いられる方法の一つであり、該方法は当該分野で周知である(例えば、Harlow, E. およびLane, D.P., Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York (1988)参照)。本発明はさらに、適切な担体中の精製された抗体または抗体断片の医薬組成物を用いた処置を必要とする患者の処置に関する。炎症性疾患(例えば、クローン病、ベーチェット病および大腸炎)、リウマチ性疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、狼蒼、癌、皮膚障害およびアレルギーを含む、処置として精製された抗体を用い得るような疾患が多数ある。本発明の特定の態様において、患者には癌についての処置がなされる。
【0028】
本発明はまた、ベジタリアンプロテインA-樹脂および適切な担体を含む医薬組成物ならびにベジタリアンプロテインA-樹脂医薬組成物の投与による処置を必要とする患者を処置する方法に関する。該方法のある態様において、患者には後天性血友病についての処置がなされる。本発明の別の態様において、患者には自己免疫疾患または免疫に関する問題についての処置がなされる。本発明のさらなる態様において、自己免疫性疾患とは、慢性関節リウマチまたは拡張型心筋症である。本発明のさらに別の態様において、免疫に関する問題とは、移植片対宿主の疾患または移植された器官の拒絶である。
【0029】
適切な担体および投与の様式
該方法に従って、ベジタリアンプロテインA医薬組成物、または精製された抗体もしくは抗体断片は、単独もしくは他の薬物との組み合わせのいずれかで適切な経路により患者に投与され得る。有効量の医薬組成物(例えば、ベジタリアンプロテインA、クロマトグラフィー用樹脂に固定されたベジタリアンプロテインAまたはベジタリアンプロテインA-樹脂により精製された抗体)を患者に投与する。有効量とは、投与の条件下で、免疫細胞を促進するかまたは疾患関連タンパク質に結合するのに十分な量等、所望の治療または予防効果に達するために十分な量である。患者が治療の間にベジタリアンプロテインA医薬組成物またはベジタリアンプロテインAにより精製された抗体の高血漿レベルを維持することを確実にするために、単一量または複数量で医薬組成物を投与し得る。用量は当該分野に公知の方法により決定され得、例えば選択される具体的な因子、被験体の年齢、体重、薬物に対する感受性および耐性ならびに包括的な幸福に依存する。ベジタリアンプロテインAを含む医薬組成物の適切な用量は、処置当たり約0.001ミリグラム/キログラム(mg/kg)〜約10 mg/kg体重であり得、ベジタリアンプロテインAを用いて精製される抗体については処置当たり約0.01 mg/kg〜約100 mg/kg体重であり得る。
【0030】
種々の投与の経路が可能であり、因子および処置される疾患または病状に依存して、例えば経口、食事療法、局所、経皮的、直腸、非経口(例えば、静脈内、動脈内(intraaterial)、筋肉内、皮下注射、皮内注射)、および吸引(例えば、気管支内(intrabonchial)、鼻腔内または経口吸引、鼻腔内点滴)投与の経路が含まる。示されるように、投与は局所または全身性であり得る。投与の好ましい様式は、選択される具体的な因子、および処置される具体的な疾患に依存して変更し得る;しかしながら、経口または非経口投与が一般的に好ましい。
【0031】
ベジタリアンプロテインA医薬組成物および精製された抗体の製剤化は、選択される投与の経路(例えば、溶液、乳状液またはカプセル)によって変化するであろう。適切な医薬担体は、ベジタリアンプロテインA医薬組成物またはベジタリアンプロテインA-精製抗体と相互作用しない不活性成分を含有し得る。標準的な医薬製剤化の技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに記載のもの等に従い得る。非経口投与についての適切な医薬担体としては、例えば滅菌水、生理的食塩水、静菌食塩水(約0.9%mg/mlベンジルアルコールを含有する食塩水)、リン酸緩衝食塩水、ハンク溶液、リンガー乳酸塩等が挙げられる。組成物の封入方法(固いゼラチンまたはシクロデキストランのコーティング中等)は当該分野で公知である。吸入について、因子を可溶化して投与のための適切なディスペンサー(例えば、アトマイザもしくはネブライザまたは圧縮式エアロゾルディスペンサー)に流し込み得る。
【0032】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、本発明を限定することを決して意味しない。
【実施例】
【0033】
実施例1
ベジタリアンプロテインAを産生させるためにS. aureusを培養した発酵培地の成分は、50 g/Lイースト抽出物、15 g/Lダイズペプチドおよび5〜10 g/Lグルコースのおよその濃度であった。具体的には、大量生産バッチ発酵のために、ベジタリアン培地には表1に示した濃度で材料を含ませた。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例2
大量生産バッチ発酵におけるベジタリアンプロテインA産生 S. aureusの発酵条件を表2に記載する。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例3
ベジタリアンプロテインA活性試験
単純なアッセイにより各段階におけるプロテインAの活性および産生量を決定した。標準的な方法により産生したプロテインAを用いて、小IgGセファロースカラムを結合活性および結合能について検証した。亜飽和量のプロテインAを含有する試料をアプライし、カラムを洗浄し、pH 2.2のグリシンバッファーを用いてプロテインAを溶出し、OD275によりプロテインAの濃度を測定した。本アッセイは、ベジタリアンプロテインAの活性および産生量の測定を通して使用した。あるいは、天然の抽出物以外全てをHPLCおよび逆相、イオン交換またはサイズ排除カラムクロマトグラフィーにより、より便利に定量し得る。
【0038】
MacroPrep High Q陰イオン交換クロマトグラフィー
種々の市販のクロマトグラフィー用樹脂(Mallinckrodt、EMD、BioRad、Millipore)を検討した後、BioRad MacroPrep High Q(uarternary)陰イオン交換クロマトグラフィー用樹脂を選択した。制御システムの構築(1.5 cm x 38 cmカラム;12 mL/min)およびデータの採取のためのUnicorn Softwareを用いたPharmacia Biotech BioPilot自動化クロマトグラフィーシステムによりダイアフィルトレーションした培地を小67 mLカラムに流し込んだ。ダイアフィルトレーションした培地を注ぎ込んだ後、カラムを6カラム容量の10 mM TrisHCl pH 7.8で洗浄した。活性なベジタリアンプロテインAを6カラム容量の20 mM TrisHCl pH 7.8+NaCl、8 mS/cm(段階勾配)で溶出した。続いてカラムを20 mM TrisHCl pH 7.8+0.5 M NaClで洗浄し、カラムの上半分に接着していた褐色の物質を除去した。周期的に、数カラム容量の0.1 M NaOHを用いてカラムを完全に空にし得、続いて数カラム容量の0.2 M TrisHCl pH 7.8により洗浄してpHを調整し、10 mM TrisHClにより伝導性を調節する。
【0039】
ダイアフィルトレーションされ/濃縮された培地150 mL中の約0.5グラム(gm)のタンパク質を106 mgのベジタリアンプロテインAを含有する67 mLカラムに注いだ。選択された画分において(カット(cut))、58 mgベジタリアンプロテインAを回収した(55%)。約28 mgのベジタリアンプロテインAが他の利用可能な画分に含まれていた(26%)。第一のカットを広く調査したが、後の分画も適切であり得ることがSDS-PAGEにより示唆された。全溶出カットが可能である場合、陰イオン交換クロマトグラフィーの工程での回収は81%であろう。
【0040】
図1は、無細胞培地、ダイアフィルトレーションした培地、MacroPrep Qフロースルー(flow through)、およびMacroPrep High Qクロマトグラフィーの泳動(run)により得られた種々の画分で行ったSDS-PAGEを示す。流す量を調節しようとはしなかったために、いくつかのレーンは一本以上のバンドのオーバーロードであった。何本かのバンドの飽和にもかかわらず、さらにいくつかの興味深いことを観察し得る。プロフィール解析により、ベジタリアンプロテインAが培地中に存在するタンパク質の20%ほども多くを占め得たことが示唆された(培地の間接的で化学的な証拠が存在したが、存在する脂質または炭水化物の量は測定されなかった)。第二に、培地中の明らかなタンパク質のいくらかはMacroPrep Qには結合せずに、カラムを流れ落ちた(カラムフロースルー参照)。
【0041】
画分5〜11を希釈して、4〜12%勾配ゲルSDS-PAGE Novexにアプライした。以前の研究により、この系を用いた試料の0.05マイクログラム(μg)〜2.0μgの線形応答が証明されてきた。何本かのマイナーなバンドが主要なバンドの下に現れた。これはプロテインAによくあることであり、他の研究により発酵産物中に存在すると証明されている異性体を表す。異性体の存在は下流の精製過程で起こる分解のためではなく、代わりに、S. aureusがプロテアーゼを分泌することが周知であるので発酵過程中の分解のためであろう。画分6の線スキャンに対して(より正確な)バンドスキャンを図2に示す。さらなる8.4%を占める異性体と共に、主要なピークはタンパク質の90.2%を占める。画分7(プロフィールは示さない)は、96.5%の主要なピークおよび1.9%の異性体を有した。画分8(プロフィールは示さない)は、97.4%の主要なピークおよび1.0%の異性体を有した。
【0042】
異性体として示されたバンドがプロテインA活性を有する証拠は、プロテインA活性のための図3に表されるウェスタンブロットを行うことにより測定された。MacroPrep Qで調製したベジタリアンプロテインAの蓄積された試料の100ナノグラム(ng)および10 ngを4〜12%ゲルNovex SDS-PAGEで二連で泳動した(run)。予め染色された分子量標準はゲル中に含まれていた。ゲル電気泳動が完了した際に、タンパク質試料を電気泳動的(60V/300mAmp/1hr)に0.2ミクロンのニトロセルロース膜(BioRad)にTowbin転写バッファー中で転写した。転写された膜をTrisHCl緩衝食塩水で洗浄し、次いでSuperBlockを用いて一時間ブロッキングした。0.05%Tween-20を含むTrisHCl緩衝食塩水(Tween-20 in TrisHCl buffer saline(TTBS))で洗浄した後、膜をアルカリフォスファターゼ結合抗マウスウサギIgGと共に30分間インキュベートした。TTBSで5分間、2回洗浄した後、膜をVector LabのVector Black stain(BCIP/NBT Substrate Kit, 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム)に浸した。化学反応が進行するにつれて、膜に黒い沈殿として基質とアルカリフォスファターゼとの反応の副産物が形成され、アルカリフォスファターゼの位置を同定できる。アルカリフォスファターゼがウサギIgGに結合していたので、その位置により膜上のプロテインA活性の位置を同定した。
【0043】
ベジタリアンプロテインAの主要なバンドおよび標準的方法により調製されたプロテインA(Fresenius SpA、図3参照)がこの技術を用いて容易に染色されただけでなく、何本かのマイナーなバンドが主要なバンドの直下に容易に現れた。さらに、ベジタリアンプロテインAの主要なバンドは50,000キロダルトン(KD)と38,000KDの分子量マーカーの間に泳動された。MALDI TOFマススペクトロメトリーにより測定された際に、標準的方法により調製されたプロテインAは47,000KDの分子量を有した。従って、ウェスタンブロットにより、ベジタリアンプロテインAは予想された大きさであることが確認された。
【0044】
実施例4
セラミックハイドロキシアパタイト1型
MacroPrep Qの蓄積された画分を、2mS/cm未満まで14mMリン酸ナトリウム(リン酸Na)を用いてpH6.8でダイアフィルトレーションした。14mMリン酸Naで平衡化された8mLBioRadセラミックハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーカラムに試料をアプライした。フロースルーの間に浅いピークが現れた。(BioPilotでは約260〜290ナノメートルのUVバンド幅のフィルターを用いる。)実際の物質を現し得たにもかかわらず、ピークが浅かったため、バッファーの繰り越し汚染または何らかの他のバッファー条件の人工物を表したようである。次いで、5カラム容量の14mMリン酸Na pH6.8(1.7mS/cm)でカラムを洗浄した。次いで、5カラム容量の370mMリン酸Na pH6.8(25mS/cm)ベジタリアンプロテインAを溶出した。
【0045】
まず、カラムに26mgのベジタリアンプロテインAを流し、活性アッセイにより測定し、27mgの活性ベジタリアンプロテインAを回収し、すなわちアッセイの誤差範囲内での完全な回収を行った。適切な負荷に応じて主要なピークの試料を希釈するかまたは希釈せずに、NOVEX 4〜12% SDS-PAGEで泳動した(図4)。再びベジタリアンプロテインAの一本の主要なバンドとその直下にいくつかのマイナーなバンドがあった。色素の前線付近のゲル底部付近にも一本のマイナーなバンドが現れた。
【0046】
ウェスタンブロットにより、プロテインAの活性について画分2の試料を試験した。図3に見られるように、主要なバンドおよび異性体のバンドが容易に明らかとなった。ウェスタンブロットにおいて他のプロテインAの活性は見られなかった。図5で、SDS-PAGE上の画分3のバンド各々についてプロフィール解析が行われた。各々プロフィールの主要なバンドは、存在するタンパク質の94.9%および94.6%を表した。異性体はそれぞれ、2.8%および2.6%を表した。従ってベジタリアンプロテインAは存在するタンパク質の約97〜98%を示した。
【0047】
本発明はその好ましい態様を参照して示され、記載されてきたが、付随の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において種々の変更がなされ得るということが当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、MacroPrep High Q陰イオン交換カラムから溶出したベジタリアンプロテインAから得られた画分を示すSDS-PAGEゲルである。
【図2】図2は、MacroPrep High Q陰イオン交換カラムから溶出したベジタリアンプロテインA由来の画分6を示す線状のクロマトグラフィープロフィールである。
【図3】図3は、標準プロテインA調製物と比較した、MacroPrep High Q陰イオン交換クロマトグラフィーで精製されたベジタリアンプロテインAの活性を示すウエスタンブロットである。
【図4】図4は、セラミックヒドロキシアパタイトカラムから溶出したベジタリアンプロテインA由来の画分を示すSDS-PAGEゲルである。
【図5】図5は、セラミックヒドロキシアパタイトカラムから溶出したベジタリアンプロテインA由来の画分3の各バンドの内容を示す、線状のクロマトグラフィープロフィールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベジタリアンアミノ酸またはペプチドを含有するが動物性生成物を含まない培地中で黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus (S. aureus)]の分泌株を発酵させて、プロテインAを生成する工程;
プロテインA含有培地を回収する工程;ならびに
プロテインA含有培地を、動物性生成物を含まないクロマトグラフィー用合成樹脂にアプライし、該樹脂からプロテインAを溶出させることによって、プロテインAを精製する工程
を含む、ベジタリアンプロテインAの生成方法。
【請求項2】
黄色ブドウ球菌が、Staph Imre分泌株である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
発酵槽の接種に用いられる黄色ブドウ球菌の種がベジタリアン培地中に維持される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
黄色ブドウ球菌を10〜24時間発酵させる、請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項5】
黄色ブドウ球菌を13〜14時間発酵させる、請求項1〜4いずれか記載の方法。
【請求項6】
10mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタンおよびNaClを用いたダイアフィルトレーションによってプロテインA含有培地のpHを7.5〜8.5に調整し、導電率を2mS/cm以下に調節する、請求項1〜5いずれか記載の方法。
【請求項7】
プロテインA含有培地を精製のため陰イオン交換クロマトグラフィー用樹脂にアプライする、請求項1〜6いずれか記載の方法。
【請求項8】
高さ24cmのカラムで、5.7〜7.9cm/分の直線流速でクロマグラフィーを行う、請求項1〜7いずれか記載の方法。
【請求項9】
少なくとも20mMのTrisHClおよびNaClを用いて、8mS/cmの導電率でプロテインAをクロマトグラフィー用カラムから溶出させる、請求項1〜8いずれか記載の方法。
【請求項10】
pH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムを用いたダイアフィルトレーションによって、プロテインA溶出液のpHを6.5〜7.1に調整し、導電率を1〜2mS/cmに調節する、請求項1〜9いずれか記載の方法。
【請求項11】
10,000分子量分画点を有する膜を用いてプロテインAをダイアフィルトレーションする、請求項1〜10いずれか記載の方法。
【請求項12】
10,000分子量フィルターを用いてプロテインA溶出液又は濾過液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、請求項1〜11記載の方法。
【請求項13】
リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調節する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
プロテインA溶出液又は濾過液をクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムにアプライして非タンパク質性不純物を除去する工程および該カラムからプロテインAを溶出させる工程をさらに含む、請求項1〜13いずれか記載の方法。
【請求項15】
カラムにアプライしたプロテインAをpH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムで洗浄し、pH 6.8の370 mMのリン酸ナトリウムで溶出させる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
カラム中の樹脂ベッドの高さが20cmである、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
10,000分子量フィルターを用いてクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムからのプロテインA溶出液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、請求項1〜14いずれか記載の方法。
【請求項18】
リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
本質的にイーストエクストラクト、ベジタリアンアミノ酸およびペプチド、グルコースならびに必須の塩からなる、黄色ブドウ球菌を発酵させるためのベジタリアン培地。
【請求項20】
ベジタリアンアミノ酸またはペプチドがダイズ由来である、請求項19記載のベジタリアン培地。
【請求項21】
イーストエクストラクトが50g/Lの濃度であり、ダイズペプチドが15g/Lの濃度であり、グルコースが5〜10g/Lの濃度である、請求項19又は20記載のベジタリアン培地。
【請求項22】
本質的にイーストエクストラクト、ダイズペプチド、グルコースおよび必須の塩からなる培地中でStaph Imreを発酵させてプロテインAを生成する工程;
プロテインA含有培地を回収する工程;
動物性生成物を含まない強陰イオン交換樹脂にプロテインA含有培地をアプライし、プロテインAを該樹脂から溶出させることによって、プロテインAを精製する工程
を含む、ベジタリアンプロテインAの生成方法。
【請求項23】
発酵槽の接種に用いられるStaph Imreの種をベジタリアン培地中で維持する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
Staph Imreを10〜24時間発酵させる、請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
Staph Imreを13〜14時間発酵させる、請求項22〜24いずれか記載の方法。
【請求項26】
10mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタンおよびNaClを用いて、プロテインA含有培地のpHを7.5〜8.5に調整し、導電率を2mS/cm以下に調節する、請求項22〜25いずれか記載の方法。
【請求項27】
高さ24cmのカラムで、5.7〜7.9cm/分の直線流速でクロマトグラフィーを行う、請求項22〜26いずれか記載の方法。
【請求項28】
少なくとも20mMのTrisHClおよびNaClを用いて、8mS/cmの導電率でクロマトグラフィー用カラムからプロテインAを溶出させる、請求項22〜27いずれか記載の方法。
【請求項29】
pH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムを用いたダイアフィルトレーションによってプロテインA溶出液のpHを6.5〜7.1に調整し、導電率を1〜2mS/cmに調節する、請求項22〜28いずれか記載の方法。
【請求項30】
10,000分子量分画点を有する膜を用いてプロテインA溶出液をダイアフィルトレーションする、請求項22〜29いずれか記載の方法。
【請求項31】
10,000分子量フィルターを用いてプロテインA濾過液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
プロテインA濾過液をクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムにアプライして非タンパク質性不純物を除去する工程および該カラムからプロテインAを溶出させる工程をさらに含む、請求項22〜32いずれか記載の方法。
【請求項34】
カラムにアプライしたプロテインA濾過液をpH 6.8の14mMのリン酸ナトリウムで洗浄し、pH 6.8の370 mMのリン酸ナトリウムで溶出させる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
カラム中の樹脂ベッドの高さが20cmである、請求項33又は34記載の方法。
【請求項36】
10,000分子量分画フィルターを用いてクロマトグラフィー用ヒドロキシアパタイトカラムからのプロテインA溶出液を5〜20mg/mLに濃縮する工程およびプロテインA溶液を中性pHに調整する工程をさらに含む、請求項22〜33いずれか記載の方法。
【請求項37】
リン酸バッファーを用いてプロテインA溶液のpHを中性pHに調整する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
請求項1又は22記載の方法によって生成されたベジタリアンプロテインA。
【請求項39】
ベジタリアンプロテインA。
【請求項40】
請求項38又は39記載のベジタリアンプロテインAおよび適切な担体を含有する医薬組成物。
【請求項41】
治療を必要とする患者のための、請求項40記載の医薬組成物。
【請求項42】
サイトカインまたはクリオグロブリンの産生を促進して患者を治療するための、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項43】
感染または易感染性免疫系に関して患者を治療するための、請求項41又は42記載の医薬組成物。
【請求項44】
患者の血流への注射によって投与される、請求項41〜43いずれか記載の医薬組成物。
【請求項45】
クロマトグラフィー用樹脂に固定された請求項38又は39記載のベジタリアンプロテインによって形成されてなる、ベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項46】
クロマトグラフィー用樹脂が合成ポリマー、半合成ポリマーまたは非晶質の物質である、請求項45記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項47】
合成ポリマーがポリメタクリレートである、請求項46記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項48】
半合成ポリマーがポリガラクトースである、請求項46記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項49】
非晶質の物質がシリカまたは珪藻土である、請求項46記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項50】
ベジタリアンプロテインAのカルボキシル基またはアミノ基をクロマトグラフィー用樹脂の化学官能基と反応させることによって生成される、請求項45記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂。
【請求項51】
抗体または抗体断片を請求項45記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂にアプライする工程を含む、抗体または抗体断片をクロマトグラフィー用樹脂に結合させる方法。
【請求項52】
抗体または抗体断片を精製するためにそれらをベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂にアプライする、請求項51記載の方法。
【請求項53】
請求項51又は52記載の方法で生成された、精製された抗体または抗体断片および適切な担体を含有する、医薬組成物。
【請求項54】
治療を必要とする患者のための、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項55】
患者を癌に関して治療するための、請求項54記載の医薬組成物。
【請求項56】
請求項45記載のベジタリアンプロテインA−クロマトグラフィー用樹脂および適切な担体を含有する、医薬組成物。
【請求項57】
治療を必要とする患者のための、請求項56記載の医薬組成物。
【請求項58】
後天性血友病に関して患者を治療するための、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項59】
自己免疫疾患または免疫関連の問題に関して患者を治療するための、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項60】
自己免疫疾患が慢性関節リウマチまたは拡張型心筋症である、請求項59記載の医薬組成物。
【請求項61】
免疫関連の問題が対宿主性移植片病である、請求項59記載の医薬組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−39454(P2007−39454A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205679(P2006−205679)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(505324858)フレゼニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Holdings,Inc.
【住所又は居所原語表記】95 Hayden Avenue Lexington, MA 02420−9192 United States of America
【Fターム(参考)】