説明

ベルトユニット

【課題】この発明は、装置本体に対する脱着が容易にできるベルトユニットを提供することを課題とする。
【解決手段】画像形成装置1は、本体のフロントカバー3を開けた状態でフロント側に引出可能なテーブルユニット91を備えている。テーブルユニット91上には、転写ベルト、駆動ローラ、従動ローラ、転写ローラ等を一体にした転写ベルトユニットが脱着自在にセットされる。転写ベルトユニットを装置本体1にセットする場合、テーブルユニット91上に転写ベルトユニットをセットし、テーブルユニット91を装置本体1に挿入し、ハンドル205を回転させて転写ベルトユニットを上昇させ、プロセスユニットに当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フルカラー複写機やカラープリンタなどの画像形成装置に搭載されたベルトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー複写機やカラープリンタなどの画像形成装置は、各色の画像を形成する4つの画像形成部(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を並設したプロセスユニット、およびこれら4つの画像形成部を通して用紙を搬送する転写ベルトを有している。転写ベルトは、プロセスユニットの下方で互いに離間された一対のローラに巻回されて張設され、各色の感光体ドラムに転接して走行されるようになっている。
【0003】
また、転写ベルトの内側には、各感光体ドラムに対向する位置関係で4つの転写ローラが配設されている。各転写ローラは、転写ベルトの内側から高圧のバイアスを印加し、転写ベルト上に静電的に吸着保持されて搬送される用紙に高圧を給電して、感光体ドラムの表面に形成される各色のトナー像を用紙上に重ねて転写するように機能する。
【0004】
一般に、転写ベルトを巻回した駆動ローラおよび従動ローラは、画像形成装置のフレームに回動自在に取付けられている。つまり、転写ベルトは、画像形成装置に対して固定的に組込まれている。また、転写ベルトの内側に設けられた各転写ローラには、装置本体側から高圧を給電するための給電部が接続される。
【0005】
このため、転写ベルトや転写ローラの使用寿命による交換の際には、サービスマンによって、まず、4つの画像形成部を含むプロセスユニットが画像形成装置から取り外され、その後、転写ベルトが装置から取り外されるとともに転写ローラと給電部との接続が解除され、新たな転写ベルトや転写ローラと交換される。
【0006】
また、この種の画像形成装置における用紙のジャム処理時には、プロセスユニットを装置から取り外し、或いは、プロセスユニットを僅かに傾けて転写ベルトから離間させて、転写ベルトとプロセスユニットとの間に僅かな空間を形成し、転写ベルト付近に詰まった用紙が取り除かれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来の画像形成装置では、転写ベルトや転写ローラを交換する場合、プロセスユニットを一旦装置から取り外した後、転写ベルトを取り外すとともに転写ローラの各給電部の接続を外す必要があり、転写ベルトや転写ローラの交換作業が煩雑となり、ユーザでは交換不可能であるとともにサービスマンにとっても作業負担が大きかった。また、転写ベルトや転写ローラの交換作業に多くの時間が必要となり、交換作業のため装置を停止させている時間が長くなり、装置の稼働率が低下されるといった問題があった。
【0008】
また、ジャム処理においても、プロセスユニットをその一端を中心に上方に回動させて傾斜させるため、転写ベルトの上流側あるいは下流側の処理スペースが十分に確保できず、用紙を取り除く作業に手間がかかっていた。
【0009】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、装置本体に対する脱着が容易にできるベルトユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、この発明のベルトユニットは、画像形成装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、この転写ベルト上に付着した異物を掻き落とすクリーニングブレード、掻き落とされた異物を回収する回収装置、上記転写ベルトの内面および上記第1ローラの表面をクリーニングするためのクリーニング機構、および上記転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化した構造を有し、装置本体に対して脱着自在に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明のベルトユニットは、上記のような構成および作用を有しているので、ベルトユニットを画像形成装置本体に対し、容易に脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】転写ベルトユニットを搭載したこの発明の画像形成装置を示す断面図。
【図2】装置本体から転写ベルトユニットを引き出した状態を示す斜視図。
【図3】転写ベルトユニットの斜視図。
【図4】テーブルユニットにセットされた転写ベルトユニットを示す断面図。
【図5】転写ベルトユニットの駆動ローラ付近の断面図。
【図6】従動ローラ付近の断面図。
【図7】転写ベルトユニットに組込まれた転写ローラを分解して示す斜視図。
【図8】転写ローラの断面を含む転写ベルトユニットのフロント側の断面図。
【図9】転写ローラの断面を含む転写ベルトユニットのリア側の断面図。
【図10】転写ローラのリア側の端部付近を示す断面図。
【図11】転写ベルトユニットから転写ベルトを取り除いた状態を示す斜視図。
【図12】図11のベルトフレームを示す正面図。
【図13】図12のベルトフレームを折り曲げた状態を示す図。
【図14】視覚感度特性を示すグラフ。
【図15】新旧検知機構を拡大して示す断面図。
【図16】テーブルユニットを示す斜視図。
【図17】ユニット側の給電部を示す断面図。
【図18】転写ベルトユニットに取付けられる取っ手を示す斜視図。
【図19】図16のテーブルユニットを示す平面図。
【図20】転写ベルトユニットを昇降させる機構を示す斜視図。
【図21】図20の機構にて転写ベルトユニットを上昇させた状態を示す斜視図。
【図22】図20の昇降のための機構の要部を示す概略図。
【図23】図20の機構の要部の動作を説明するための図。
【図24】駆動ローラに対する剥離爪の位置関係を示す概略図。
【図25】図24の剥離爪、および剥離爪の退避機構を示す図。
【図26】図1の画像形成装置にて転写ベルトユニットを傾けたブラックモードを示す図。
【図27】装置本体と転写ベルトユニットとの位置関係を示す概略斜視図。
【図28】装置本体側に設けられた転写ベルトを走行させるための駆動装置を示す斜視図。
【図29】装置本体側に設けられた転写ベルトを走行させるための駆動装置を示す斜視図。
【図30】図28の駆動装置の要部を示す断面図。
【図31】図28の駆動装置による動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1には、転写ベルトユニットを搭載したこの発明の画像形成装置として、デジタルカラー複写機1(以下、単に複写機1または本体1と称する)の断面図を概略的に示してある。図2には、複写機1のフロントカバー3を開放した状態の斜視図を概略的に示してある。
【0015】
図1に示すように、複写機1の本体内部の下方には、それぞれサイズの異なる用紙を複数枚重ねて収容した複数の用紙カセット21a、21b、21c、および第1面のコピーがなされた用紙を反転させるための自動両面装置22が上下に重ねられた状態で搭載されている。これらの用紙カセット21a、21b、21c、および自動両面装置22の図中右側には、各用紙カセットまたは自動両面装置から取出された用紙を搬送するための給紙装置23が配設されている。給紙装置23は、複数の搬送ローラ23aおよびアライニングローラ23bを有している。
【0016】
装置本体1の上部には原稿Dを載置する原稿載置台1aが設けられており、この原稿載置台1aのさらに上方には、原稿載置台1a上に原稿Dを自動的に給送するとともに載置された原稿Dを押えるための原稿自動給送装置2(ADF2)が、原稿載置台1aに対して開閉自在に取付けられている。
【0017】
原稿載置台1aの下方には、原稿載置台1a上に載置された原稿Dの画像を読取るためのスキャナ装置31が配設されている。スキャナ装置31よりさらに下方には、原稿Dから読取った画像データに基づいて、各色の感光体ドラム11a、11b、11c、11dを露光走査し、各ドラム表面に各色毎の静電潜像を形成するためのレーザ露光装置41が配設されている。
【0018】
レーザ露光装置41の下方には、それぞれ感光体ドラム11a、11b、11c、11dを含む電子写真式の4つの画像形成部を等間隔で並設したプロセスユニット51が配設されている。プロセスユニット51は、各感光体ドラムの周りに、それぞれ図示しない帯電器、現像器、クリーナ、除電器等を配設して構成されている。
【0019】
プロセスユニット51の下方には、本発明の転写ベルトユニット61が配設されている。転写ベルトユニット61は、駆動ローラ62、従動ローラ64、およびこれらの各ローラに巻回されて張設された転写ベルト66を有するとともに、上述した各感光体ドラム11a、11b、11c、11dの略鉛直下方にそれぞれ対向して設けられた4つの転写ローラ68a、68b、68c、68dを有している。この転写ベルトユニット61は、転写ベルト66が上述した4つの感光体ドラム11a、11b、11c、11dに転接されるように位置決めされて配設される。
【0020】
転写ベルトユニット61の図中左側には、プロセスユニット51と転写ベルトユニット61との間を通過することにより用紙上に重ねて転写された各色のトナーを用紙上に定着させるための定着器71が設けられている。さらに、定着器71の図中左側には、カラー画像の形成された用紙を装置本体1の外へ排出するための排紙装置81が設けられている。
【0021】
また、転写ベルトユニット61の下端には、転写ベルトユニット61と定着器71とを脱着自在に搭載したテーブルユニット91が設けられている。テーブルユニット91は、図2に示すように、複写機1のフロントカバー3を開放した状態で、箪笥の引出しのように、装置本体1から矢印方向に引出すことができる構成になっている。
【0022】
図3には、転写ベルトユニット61の外観図を示してある。図3(a)は転写ベルトユニット61を装置のフロント側から見た斜視図であり、図3(b)は転写ベルトユニット61を装置のリア側から見た斜視図である。
【0023】
転写ベルトユニット61は、互いに離間して略平行に延びた駆動ローラ62および従動ローラ64、およびこれら一対のローラ62、64に巻回されて張設された転写ベルト66を有している。転写ベルト66は、用紙を静電的に吸着させて搬送するための搬送ベルトとして機能し、その材質は、ポリイミド系の材料で形成されている。具体的には、厚さ0.1mm程度、電機的抵抗値1011Ω程度の特性を持っている。他に、転写ベルト66の材質として、テフロン(登録商標)系、PET系、ゴム系などが選択肢としてあげられる。
【0024】
転写ベルト66の走行方向(図中矢印a方向)に沿ったベルトの両端、すなわち転写ベルト66のフロント側およびリア側の端部には、駆動ローラ62および従動ローラ64を回動自在に支持するとともに、転写ベルト66の内側を覆うための一対のベルトフレーム101、105が配設されている。これらのベルトフレーム101、105は、転写ベルトユニット61の外装カバーとして機能するとともに、ユーザが持ち運ぶための取っ手としての役割も担っている。また、ベルトフレーム101、105には、転写ベルトユニット61の位置決めのための構成(後述する)も装備されている。
【0025】
ベルトフレーム101、105には、規制板103、104がそれぞれ取付けられている。規制板103、104は、駆動ローラ62の回転軸が取付けられたフレームの部位に近接して取付けられ、転写ベルト66のフロント側およびリア側の端部にそれぞれ当接して転写ベルト66の蛇行を規制するように機能する。また、これらの規制板103、104は、トナー、現像剤、紙粉等の異物が転写ベルト66の内側に入り込むことを防止する防塵カバーの役割をも果たしている。
【0026】
また、ベルトフレーム101、105には、規制板103、104と同様に、異物の進入を阻止するための複数のプラスチック製のカバー106が取付けられている。これらのカバー106は、リークの発生を防止する目的で、プラスチック製となっている。つまり、転写ベルト66の内側に配置された各転写ローラ68a、68b、68c、68dには最高で4kV程度のバイアスが印可されるとともに、感光体ドラム11a、11b、11c、11dにも500Vから1kVの電圧が印可されるため、リークを防止するためカバーを絶縁材料により形成する必要がある。リークが発生してしまうと、画像不良を発生させるだけではなく装置に重大な悪影響を及ぼすため、カバー106を板金等で形成することはでない。尚、従動ローラ64の回転軸近傍には、規制板としても機能するカバー107が取付けられているが、このカバー107は、転写ローラ68や感光体ドラム11と離れているため、金属を用いても差し支えない。
【0027】
駆動ローラ62の回転軸108のリア側の端部は、リア側のベルトフレーム105を貫通して突出している。この回転軸108のリア側の先端には、スプライン65が形成されており、装置本体1側に取付けられている転写ベルト駆動部(後述する)と連結される。しかして、転写ベルト駆動部からの駆動力がスプライン65を介して回転軸108に伝達され、駆動ローラ62が回転されて転写ベルト66が所望の速度で走行される。
【0028】
また、駆動ローラ62の下方には、駆動ローラ62の回転軸108と略平行に延びたベルトクリーニング装置111が配設されている。ベルトクリーニング装置111は、転写ベルト66上に残留した未転写トナーを掻き落とす後述するクリーニングブレード、および掻き落としたトナーを回収する後述する回収装置を有している。回収装置のリア側の下端には、回収したトナーを排出するための後述するシャッタが設けられており、転写ベルトユニット61を搭載したテーブルユニット91が装置本体1から引き出された時に、シャッタが閉じるようになっている。
【0029】
クリーニング装置111は、ネジ109、110によってベルトフレーム105、101に固定されている。ネジ109、110は、クリーニング装置111をベルトフレームに固定するとともに、転写ベルトユニット61を装置本体1に対して着脱する際に、後述する剥離爪を待避させるための部材として利用される。
【0030】
図4には、転写ベルトユニット61をテーブルユニット91上にセットした状態の断面図を示してある。図5には、駆動ローラ62およびクリーニング装置111の軸方向に沿った断面図を示してある。図6には、従動ローラ64の軸方向に沿った断面図を示してある。
【0031】
以下、転写ベルトユニット61についてさらに詳細に説明する。
【0032】
転写ベルトユニット61は、テーブルユニット91上にセットされ、テーブルユニット91を装置本体1へ挿入することにより装置本体1に装着される。この状態で、装置本体1側に設けられた後述する転写ベルト駆動部からの駆動力がスプライン65を介して駆動ローラ62の回転軸108に伝達されると、駆動ローラ62が回転されて転写ベルト66が矢印a方向に走行される。
【0033】
駆動ローラ62は、アルミ押出し材で作製され、その回転軸108のリア側に突出した先端には、図5に示すように、スプライン65が形成されている。また、回転軸108のフロント側の端部には、ステンレスまたは快削鋼にメッキを施したシャフト108aが強圧入されており、振れ等の精度を確保するため2次加工がなされている。
【0034】
駆動ローラ62から離間された従動ローラ64も、駆動ローラ62と同様にアルミ押出し材で形成され、図6に示すように、その回転軸113の両端には、ステンレスまたは快削鋼にメッキを施したシャフト113a、113bが強圧入されており、振れ等の精度を出すために2次加工がなされている。
【0035】
また、色ずれの要因となるベルト66の蛇行を防止するため、従動ローラ64はテーパローラとなっている場合がある。従動ローラ64のテーパ方向は、ベルト66の材質がゴム的性質を持つ場合はベルト66を寄らせたい方向に径の太い方とし、プラスチック的性質を持つ場合はベルト66を寄らせたい方向に径の細い方とすればよい。さらに、ベルト66の回転変動を抑えるため、従動ローラ64のフロント側およびリア側端部にスプリング123を配置し、従動ローラ64を駆動ローラ62から離間する方向へ付勢し、ベルト66に所定の張力を与えて駆動ローラ64上におけるベルト66の滑りを抑えている。尚、ベルト66の張力は、片側3kg/cm以上必要であることが実験的にわかっている。
【0036】
図6に示すように、従動ローラ64の回転軸113の両端に設けられたシャフト113a、113bには、ベアリング171を例えばポリアセタール製の摺動部材170に軽圧入したものが取付けられている。そして、これらの部位がベルトフレーム101、105と規制板107との間に挟まれてスプリング123によって付勢され、従動ローラ64が転写ベルト66の走行方向に自由度を持たされている。これにより、転写ベルト66の滑りが制御されている。
【0037】
また、従動ローラ64は、転写ベルト66の蛇行を防止するため、装置のフロント側に押付けられる。つまり、従動ローラ64がフロント側或いはリア側に振れてしまうと、転写ベルト66が蛇行する問題があるため、従動ローラ64を常にベルト66を規制したい側、すなわちフロント側に押し付ける必要がある。このため、リア側のシャフト113bに取付けられたスプリング172とフロント側のシャフト113aに取付けられたガタどり用のスペーサ173とによって、従動ローラ64の回転軸113がフロント側に押し付けられている。
【0038】
同様に、駆動ローラ62も、図5に示すように、その回転軸108のリア側にスプリング158を取付けることによって、フロント側に付勢されている。この場合、回転軸108のフロント側のシャフト108aには、ガタどりのスペーサのかわりにギヤ154が取付けられている。
【0039】
また、このように駆動ローラ62と従動ローラ64との位置関係をとると、感光体ドラム11a、11b、11c、11dに対峙する転写ベルト66の部位が張り側となり、転写ベルト66の走行が安定し蛇行制御、寄り力も安定する。
【0040】
ところで、図3を参照して説明したように、転写ベルト66の走行方向に沿った両端にはベルトフレーム101、105が設けられ、このベルトフレームに防塵のためのカバー106が取付けられているが、なんらかの理由でベルト66の内側に異物が入り込んでしまうと、ベルト66の内面や駆動ローラ62の表面が汚れてしまう。このようにベルト66の内面や駆動ローラ62の表面に汚れが付着してしまうと、見かけのローラ径が変化して速度差を生じ、寄り力が弱くてベルト66がフロント側に寄らなかったり、寄り力が強すぎてベルト66端部にダメージを与えて蛇行制御に悪影響を与える可能性がある。また、駆動ローラ62表面や転写ベルト66内面に汚れが付着すると、ベルト66に滑りを生じ、速度むらとなって画像に悪影響を与える可能性がある。このような不具合を防止するため、駆動ローラ62の表面、および転写ベルト66の内側をクリーニングする部材が必要となってくる。
【0041】
図4には、転写ベルト66の内面および駆動ローラ62の表面をクリーニングするためのクリーニング機構を図示してある。クリーニング機構は、駆動ローラ62の表面に摺接されるクリーニング部材114b、転写ベルト66の内面に摺接されるクリーニング部材114c、およびこれらクリーニング部材114b、114cをそれぞれ転写ベルト66の内面および駆動ローラ62の表面に対して所定圧力で押付けるように保持したホルダー114aを有している。ホルダー114aは、主に板金等で作られ、クリーニング部材114b、114cは、クリーニングフェルトで形成されてホルダー114aに両面テープ等で貼り付けられている。
【0042】
駆動ローラ62に摺接されるクリーニング部材114bは、駆動ローラ62に食込みすぎると駆動ローラ62に対する負荷が大きくなり駆動ローラ62を回転させるモータに負荷がかかるとともに蛇行規制にも悪影響を及ぼすため、その食込み量を適正な値に調整する必要がある。このとき、適正な食込み量δは、クリーニング部材114bの長さをs[mm]、駆動ローラ62の半径をr[mm]とすると、
15°≦cos―1(r−δ)/r≦30° …(1)
s=2√(r2―(r―δ)2)
=2√(2rδ―δ2) …(2)
となり、食込み量δ、およびクリーニング部材の長さsが適正となる。
【0043】
ここで15°、30°は実験で求めた値であり、15°未満になると食込み量が少なく、場合によってはクリーニング不良を起こす。また30°を超えると駆動ローラ62への当たりが強く、ローラの負荷が大きくなり前述した不具合を生じる可能性がある。このため、クリーニング部材114bの食込み量δは(1)式の範囲が適正である。
【0044】
また、クリーニング部材114bの適正長さsは(2)式となるので、フェルト長はsよりも大きくとればよいことになる。
【0045】
一方、転写ベルト66の内側をクリーニングするクリーニング部材114cは、転写ベルト66のゆるみ側に配置されているため、駆動ローラ62からの距離に応じてその食込み量ηを変化させる必要がある。
【0046】
食込み量をη、駆動ローラ62と従動ローラ64との間の距離(中心間距離)をL[mm]とし、ゆるみ側の振幅は1次モードの振幅でx[mm]とする。1次モードで振幅しているため(L/2)の位置で最大幅2xとなる。したがって、駆動ローラ62の中心よりu[mm]だけ離間した位置にクリーニング部材114cの中心がくるように配置すると、その位置での振幅はp[mm]となる。安全率を1.5とするとクリーニング部材114cの食込み量ηは、
u:p=(L/2):x
p=2xu/L …(3)
安全率を考慮した食込み量ηは、
η=1.5p …(4)
となる。
【0047】
本実施の形態では、x=3、u=22、L=362であるから、p=0.36[mm]の振幅となり、食い込み量η=0.55すなわち0.55あれば良いことがわかる。
【0048】
次に、転写ベルトユニット61の内側に配設された転写ローラ68a、68b、68c、68d(総称して転写ローラ68とする場合もある)について説明する。
【0049】
図4に示すように、転写ベルト61の内側には、プロセスユニット51の各感光体ドラム11a、11b、11c、11dに対向する位置関係で、イエロー転写ローラ68a(第1転写ステーション)、マゼンタ転写ローラ68b(第2転写ステーション)、シアン転写ローラ68c(第3転写ステーション)、ブラック転写ローラ68d(第4転写ステーション)が配設されている。各転写ステーションには適正なバイアス(DC)が印可され、各感光体ドラムの表面上に形成された各色のトナー像が用紙上に順次転写される。このとき、各転写ステーションに印可されるバイアスは、一般に、
第1転写<第2転写<第3転写<第4転写
の順に高くなっている。
【0050】
このように、バイアスの大きさを段階的に変えることにより、用紙の搬送方向下流側の転写でトナーが取られることがなく、また用紙上にトナーが転写されていても、さらにトナーを転写することが可能となった。
【0051】
図7には転写ローラ68の分解図を示し、図8および図9には転写ローラ68のフロント−リア方向断面図を分割して示し、図10には図9のAの部分、すなわち転写ローラ68のリア側の端部付近を拡大した詳細図を示しある。
【0052】
図7に示すように、転写ローラ68は、金属シャフト681を有している。金属シャフト681には、導電性発砲ゴムが一体成形され、あるいは、円筒状のゴム部が圧入、あるいは導電性接着剤を用いて固定されている。
【0053】
この導電性発砲ゴムの電気的抵抗値は、106Ω以下となっている。また、導電性発泡ゴムの硬度は、30°(アスカC)程度、すなわち非常に低硬度となっている。従って、転写ローラ68が転写ベルト66を介して常に感光体ドラム11と当接していると、クリープをおこし、ローラが変形してしまう可能性がある。このため、金属シャフト681の両端には、変形防止用部材134が取付けられている。
【0054】
図10に拡大して示すように、変形防止用部材134は、転写ローラ68と給電ターミナル130R(130F)との間にほぼ隙間なく組み立てられている。このため、トナー、現像剤、紙粉等の汚れが、給電ターミナル130R内に入ることはない。すなわち変形防止用部材134は、転写ローラ68、および給電ターミナル130Rの保護カバーとしての役割を果たしている。
【0055】
変形防止用部材134を貫通して突出した転写ローラ68の金属シャフト681の先端部分には、転写ローラ68の軸受け131が取付けてある。この部材131は、転写ローラ68への給電のための部材、および転写ローラ68の軸受けとしての役割を果たしている。このため、軸受け131には、導電性を有するとともに摺動性を有するプラスチック材料を使用しなければならない。本実施の形態では、軸受け131の材料として、導電性ポリアセタール、あるいは導電性ナイロン等が使用されている。
【0056】
軸受け131の下方には、転写ローラ68を常に感光体ドラム11方向へ付勢するためのスプリング132が取付けられている。このスプリング132によって軸受け131が上方に付勢され、転写ローラ68が感光体ドラム11と常に当接される。
【0057】
感光体ドラム11の表面上に形成されたトナー像を、転写ベルト66を介して搬送される用紙上に転写させる場合、転写ローラ68を押し上げるスプリング132の押圧力、つまり転写ローラ68の感光体ドラムに対する線圧が重要になってくる。押圧力が高ければ画像ソリッドエッジ部分、特に色の重ね合せのエッジに抜け等が発生する画像不具合を生ずる。逆に、押圧力が弱ければ、転写不足となり画像が薄くなり画像不良となる。
【0058】
感光体ドラム11に対する転写ローラ68の線圧は、感光体ドラム11および転写ローラ68のシャフトがたわまないことを前提として、以下のように簡略的に計算される。
【0059】
転写ローラ68の感光体ドラム11への接触部の長さをh[mm]、押圧力をqとすると、転写ローラ68の線圧w[g/mm]は、
w=q/h …(5)
となる。
【0060】
この線圧wの適正値は、転写ローラ68の硬度とも関係あるが、転写ローラ68の硬度が40°以下の場合は実験によって、
1.5[g/mm]≦w≦3.5[g/mm] …(6)
であることがわかっている。
【0061】
本実施の形態で使用している転写ローラ68の押し上げスプリング132は、感光体ドラム11と当接したとき、300[g]あるいは400[g]の押圧力を生じ、接触部の長さhが、h=312[mm]なので、
転写ローラ68の線圧w[g/mm]は、
300[g]の場合 w=300×2/312=1.92[g/mm]
400[g]の場合 w=400×2/312=2.56[g/mm]
となる。
【0062】
図7に示すように、転写ローラ68のフロント側の端部は、スプリング132を圧縮させた状態でターミナル130Fに組み込まれる。このようにすることで、軸受け131がターミナル130Fの中を上下方向に摺動することが可能となる。転写ローラ68の両端に配置されたターミナル130F、130Rは転写のバイアスがリークしないように絶縁性のよい材料、例えば、PPOやPPEなどの材料が使用される。
【0063】
リア側のターミナル130Rは、給電部として機能し、高圧トランスからのターミナルと導通させなければならない。つまり、転写ベルトユニット61に対する給電は、給電ターミナル130Rを介して行われる。リア側のターミナル130Rには、フロント側のターミナル130Fと同一部品が使用される。
【0064】
図10に示すように、装置本体1側の給電部との導通は、ターミナル130Rの下端に取付けられたネジ135を介して行われる。ターミナル130Rの下方から締め付けられたネジ135の先端、すなわちターミナル130Rの内側に露出したネジ135の先端には、給電部材133の穴が嵌め合せられるとともに、転写ローラ68を押し上げるためのスプリング132が嵌め込まれる。さらに、軸受け131の凸部に給電部材133の穴が勘合され、スプリング132の他端が勘合される。このようにすることで、フロント側同様、軸受け131がターミナル130Rの内側で上下方向に摺動可能となる。尚、給電部材133は、アルミ蒸着したPETによって形成され、片側に100[μm]程度の厚さで蒸着されている。本方式の給電方法では、ネジ135と導電性プラスチックが直接導通することになり、転写ローラ68を押し上げるためのスプリング132は給電に寄与しない。
【0065】
ここで、装置本体1から転写ベルトユニット61への給電方法について説明する。
【0066】
転写ベルトユニット61は、フロント側のガイド200(図8参照)、およびリア側のガイド201(図9参照)に沿って、テーブルユニット91に装着される。このとき、各転写ローラ68a、68b、68c、68dのリア側の端部に設けられたネジ135が、リア側のガイド201に取付けてある本体側の給電ターミナル140と接触する。図10には、接触状態を表してある。
【0067】
転写ベルトユニット61がガイド200、201に沿って挿入されると、転写ローラ68の端部に設けられた給電ネジ135とガイド201に取付けられた給電ターミナル140の中の給電圧縮スプリング142とが接触し、転写ベルトユニット61が本体に対して導通状態となる。給電圧縮スプリング142は、給電ホルダー141にねじ込まれており、確実な接触状態が確保されている。さらに、この給電ホルダー141は、給電ターミナル140に取付けられ、一方が丸端子、他方がファストン端子となっている高圧ケーブル143の丸端子側とネジにより共じめされている。高圧ケーブル143の他端、すなわちファストン端子側は、装置本体1側に設けられた高圧トランス220(図19参照)の端子と接続される。
【0068】
給電ターミナル140は、転写ベルトの給電ターミナル130同様、絶縁性のよいプラスチック例えばPPOやPPEからなる。この給電ターミナル140は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン、(C)ブラック(K)の4色分存在する。製造性を考慮すれば4色のターミナルは一体化しても良い。このようにすることでネジ締め工数を削減出来る。
【0069】
次に、駆動ローラ62近傍のベルトフレーム101、105に取付けられた規制板103、104について説明する。
【0070】
転写ベルト66を安定して走行させて良質な画像を得るために、前述した方法で、転写ベルト66に対してフロント側に向う寄り力を与え、転写ベルト66の蛇行規制を行っている。このとき、駆動ローラ62のフロント側の回転軸108を支持したベルトフレーム101の近傍に規制板103を取付け、転写ベルト66が蛇行することのないようにベルトの端部を規制している。
【0071】
転写ベルト66をプラスチック製、特にポリイミド系プラスチックによって製造すると、ベルトの端部が固くなり、機械的強度が強くなる。このため、規制板103の材質によってはベルト端部による削れを生じ、規制板103の削れた部分にベルト端部が入り込み、蛇行制御に悪影響を及ぼす場合がある。
【0072】
規制板103の製造に、PS、ABS、POM系のプラスチックを用いた場合、削れ量が大きく、削れによる不具合が生ずる。そのため、アルミダイカストなどの金属系材料を用いると削れに強くライフに関しても問題無いが、アルミダイカストを用いると2次加工の必要性が生じコスト高となる。
【0073】
また、PPS、PIあるいはエポキシ系熱硬化性樹脂等のエンジニアリングプラスチック系材料を用いると、十分な機能を満たすが、耐摩耗性が必要なのは図5で103bで示すごく一部分である。カバーとしての機能を果す規制板103の上部は、高価な材料を使用する必要はない。つまり、規制板103の全ての部分をエンジニアリングプラスチック系材料で作製すると非常に高価なものとなる。
【0074】
従って、部分103aはPS,ABS系のプラスチック製とし、これに板金103bをインサート成形した。規制板103に必要な寸法精度は板金103b側に持たせ、成形時、板金形状が崩れないように成形することにより、安価な規制板103を製造することが可能となった。
【0075】
プラスチック部分103aは摺動性を持たないのでPS,ABS系材料で良いが、容易に一体成形を行うためにもPOMのような材料よりも流動性が良いこれらの材料を選択するのが望ましい。一体成形は板金部分103bとプラスチック部分103aとを分解出来ないのが一般的であるが、昨今の環境問題から分解出来るのが望ましい。そのため板金とプラスチックの境界部分にドライバー等が挿入出来るミゾ部分を形成し、ドライバー等の工具を差し込むことにより分解可能とする必要がある。この規制板103は、フロント側のベルトフレーム101に対してネジ止め固定される。
【0076】
駆動ローラ62を支持したリア側のベルトフレーム105に設けられた規制板104は、寄り力がフロント側にかかっているため常に転写ベルト66の端部が接しているわけではないが、フロント側の規制板103と同様の理由で板金をインサート成形したものが用いられる。
【0077】
一方、従動ローラ64を支持したベルトフレーム101の部位近傍に設けられた規制板107は、上述した規制板103の板金部分103bと同位相あるいは0.5mm程度従動ローラ64側に逃がす位置関係とする。
【0078】
図11には、転写ベルトユニット61から転写ベルト66を取り外した状態を示してある。図12には、この転写ベルトユニット61をフロント側から見た正面図を示し、図13には、この転写ベルトユニット61を折り曲げた状態を示してある。
【0079】
図11に示すように、転写ベルトユニット61のフロント側のベルトフレーム101、およびリア側のベルトフレーム105は、その略中央で折り曲げ可能に分割されている。以下、駆動ローラ62に近いフロント側のベルトフレームを160LF、リア側のベルトフレームを160LR、従動ローラ64に近いフロント側のベルトフレームを160RF、リア側のベルトフレームを160RRとして説明する。
【0080】
ベルトフレーム101、105間には、ステイ162、163が取付けられている。ステイ162は、ベルトフレーム160LF、160LRに対してスポット溶接あるいはリベット止めにより固定されている。ステイ163は、ベルトフレーム160RF、160RRに対してスポット溶接あるいはリベット止めにより固定されている。
【0081】
給電ターミナル140は、ステイ162、163にネジを用いないはめ込み固定により固定されている。また、左右のフレームはピン124F、124R、およびEリングにより固定される。このようにすることで、転写ベルトユニット61を図12に示す状態から図13に示す状態へ回動可能となる。そして、図13に示す状態のとき、無端状の転写ベルト66を掛け回し、所定の位置にセットした後、転写ベルトユニット61を図12の状態に戻す。これにより、転写ベルト66を傷つけることなく、駆動ローラ62、従動ローラ64間にかけることが可能となる。
【0082】
以下、転写ベルト66の内周とベルトをかけるときのユニットの大きさについて考察する。
【0083】
転写ベルト66の内周をLb[mm]、駆動ローラ62側のフレーム160LF、160LRの長さをFL[mm]、従動ローラ64側のフレーム160RF、160RRの長さをFR[mm]、フレームの高さをFH[mm]、フレームの回動角をα[deg]とし、計算を簡略化するために回動中心をFL、FHの近傍とすると、
弧a<k*Lb/π …(7)
FL+弧a+FR+直線b≦k*Lb …(8)
を満たすことが必要である。尚、上式のkは定数で1以下の定数で転写ベルト66のセットし易さをあらわす。
【0084】
また、
弧a=2π√(FL+FH)×(θ+α+θ)/360
θ=tan−1(FH/FL)
θ=tan−1(FH/FR)
であるため、弧aの長さを求める場合、FLおよびFRの大きい方を使用し、
b=2*FHsin((180−α)/2)
とする。
【0085】
この式からフレームの長さ、高さが決まっている場合回動角αとベルトの内周の関係が導き出される。
【0086】
本実施の形態では、FL=216[mm]、FR=190[mm]、FH=45[mm]、α=40°、Lb=798[mm]であるため、
弧a=250<lb/π=254[mm]
FL+弧a+FR+b=741[mm]
となる。
【0087】
k=1とすると、式(7)、式(8)を満たすので、転写ベルト66は、ベルトフレームを40°の角度まで回動させれば取り外しが可能となる。転写ベルト66を傷つけないために治具等を使用して容易にベルトの着脱を行いたいときはk=0.95、或いはk=0.9程度とし、回動角αを小さくすることが必要となる。
【0088】
このようにして転写ベルト66を取付けた後、駆動ローラ62に巻回された転写ベルト66の表面上に、クリーニングブレード119a(図4参照)が押付けられて取付けられる。クリーニングブレード119aは、転写ベルト66上の未転写トナーあるいは転写ベルト66上に直接書き込んだ位置合わせのためのレジストレーションパタン等の廃トナーを転写ベルト66の表面から掻き落とす。このクリーニングブレード119aが無いと、未転写トナーが転写ベルト66の表面上に残り、用紙の裏側にトナーが付着して裏汚れを生じてしまう。
【0089】
クリーニングブレード119aは、駆動ローラ62の鉛直下方に対し駆動ローラ62の中心から5°〜20°の範囲内で転写ベルト66に当接されるのが適正と考えられている。クリーニング性能だけから見ると、クリーニングブレード119aの当接角度をもっと大きくすることが望ましいが、本実施の形態の場合、駆動ローラ62の近傍に、剥離爪115を退避させるための後述する退避機構が設けられているため、ブレード119aの当接角度をあまり大きくとるができない。クリーニングブレード119aの位置がこの角度の範囲内にあると、転写ベルト66が駆動ローラ62に巻き付いている場所であることから、転写ベルト66のあばれがなく安定したクリーニング性能が得られる。
【0090】
クリーニングブレード119aが駆動ローラ62の中心の鉛直方向より上流側(従動ローラ64側)に位置する場合は、前述したように転写ベルト66がゆるみ側になるため、安定したクリーニング性能を得るためにはクリーニングブレード119aに対向した転写ベルトの内側に、板金等の転写ベルト66の走行を安定させる部材が必要となるので、コストアップ要因となる。
【0091】
転写ベルト66の表面性が感光体ドラム11より悪く、転写ベルト66の摩擦係数が感光体ドラム11より大きく、駆動ローラ62の径が比較的小さいため、クリーニングブレード119aの硬度と機械的強度を表わすヤング率とが高い方が良い。また、クリーニングブレード119aの反発弾性を比較的大きく設定することで、クリーニング性をアップさせることができる。しかし、あまり反発弾性を大きくすると転写ベルト66との間で振動を起こしクリーニングブレード119aによる泣きあるいはスティックスリップを起こし転写ベルト66の速度むらの要因となりうる。本実施の形態では、クリーニングブレード119aの硬度を68°〜75°に設定し、ヤング率を60〜80[Kg/cm]に設定し、反発弾性を35%〜55%(常温)に設定した。このクリーニングブレード119aを使用することにより、優れたクリーニング性能を得られた。
【0092】
図5に示すように、クリーニングブレード119aの下方には、転写ベルト66の表面から掻き落とされたトナーを回収する回収装置が設けられている。回収装置は、トナーを収容するクリーナケース119bを有している。クリーナケース119b内には、廃トナーを装置のフロント側からリア側へ搬送するためのオーガ151が配置されている。
【0093】
クリーナケース119b内の廃トナーは、オーガ151の回転によってリア側に設けられた排出口156bまで搬送され、装置本体1側の廃トナー輸送管(図示せず)へ落とし込まれる。オーガ151の両端には、ブッシュ152が設けられている。これらのブッシュ152に、GCBなどの材料を用いると、含浸した油とトナーがブッシュ内で固着され、オーガ151の回転がロックされる可能性がある。従って、一般には、トナー成分と相性の良い樹脂性のものが用いられる。
【0094】
オーガ151は、駆動ローラ62の回転軸108のフロント側の端部108aに設けられたギヤ154、およびオーガ151のフロント側の端部に設けられ、ギヤ154に歯合したギヤ153を介して駆動力が伝達されることにより回転される。つまり、オーガ151は、駆動ローラ62を駆動源としている。駆動ローラ62を駆動源とした場合、駆動ローラ62の回転変動で画像に悪影響を与える可能性があるが、本実施の形態の場合、転写の廃トナー量が感光体の未転写トナーの廃トナー量に比べ数分の1以下と考えられるため、廃トナーの量に対する負荷変動はほとんどないと考えられる。
【0095】
ここで、画像に悪影響を与えることのないオーガ151の回転数およびギヤ153の歯数の決定方法について説明する。これら回転数や歯数は、図14のグラフに基づいて決定される。
【0096】
図14において、曲線は視覚感度特性を示し、横軸は解像度DPI(ト゛ット/インチ)縦軸は階調数を表わしている。図中の斜線部は人間が判別可能な領域である。この図からわかるように50DPI付近が200階調判別可能となっている。このことは50DPI=0.5mmピッチなので画像上にこのピッチのピッチムラが存在すると人間には判別しやすい領域であることを意味している。また逆に、図中の斜線部の外側の領域は識別しづらいのでこの領域であれば画像不具合は目立ち難いことがいえる。
【0097】
従って、ボーダラインをいかに設定するかが問題となるが、画像評価等の経験からすると低周波数側は10DPI(2.54mmピッチ)以下、高周波数側は200DPI(0.127mmピッチ)以上にすれば人間の目で判別しづらいことがわかる。
【0098】
つまり、駆動ローラ62を駆動源とした場合のオーガ151の回転数およびギヤ153の歯数を規定する場合、上記周波数帯に1歯当たりの振動周波数を設定すれば画像ピッチムラ(画像ジッタ)は目立たず問題を生じないことになる。
【0099】
一般に、駆動源の回転数をD1(rpm)、駆動源のギヤG1はモジュールm、歯数をN1、オーガ151の回転数をD2(rpm)、搬送オーガギアG2はモジュールm、歯数をN2とした場合、
D2=D1×(N2/N1) (rpm) …(9)
オーガ1歯当たりの周波数f2とすると、
f2=1/(D2×N2×(1/m)×(1/60))
=60m/(D2×N2) …(10)
となる。
【0100】
画像上のピッチPは、転写ベルト66の搬送スピードをr(mm/sec)とすると、
P=r×f2 (mm)f2=P/r …(11)
実際の検討方法はD2、N2が求める値となるので、
(10)、(11)より
D2×N2=(60m×r)/P …(12)
(12)、(9)より
N2=√{(60m×r×N1)/(P×D1)} …(13)
となる。尚、ここで求めたN2は整数にはならないので近い整数とする。
【0101】
つまり最初に画像ピッチPを決定するとオーガ151のギヤ153の歯数が決定されることになる。
【0102】
本実施の形態では、最初にP=4.7、D1=102(rpm)、N1=23を決定すると、(13)より、
N2=19.1
となるので、ギア153の歯数は19枚と設定出来る。
【0103】
転写ベルトユニット61がテーブルユニット91から取り外される場合、装置本体1側の廃トナー輸送管との排出口156bは閉じられる。つまり、排出口156bが開いたままであると、転写ベルトユニット61を移動する途中でトナーがこぼれ、機体内、ユーザの手、衣服等を汚す恐れがある。このようにトナーがこぼれることを防止するため、クリーナケース119bの排出口156bにはシャッタ157が配設されている。
【0104】
シャッタ157は、スプリング159によって閉側に付勢されている。転写ベルトユニット61が装置本体1から引き出されると、スプリング159の付勢力によってシャッタ157が自動的に閉じられるようになっている。また、転写ベルトユニット61が装置本体1に挿入されるとき、装置本体1側の廃トナー輸送管にシャッタ157の部位が勘合してシャッタ157が開くようになっている。勘合部のシャッタ157側は、シール材、例えばエーテル系ウレタンフォーム等でシールされ、廃トナー漏れが防止される。
【0105】
クリーナケース119bには、トナーの飛散を防止するためのサイドシール119cが2箇所貼り付けてある(図5参照)。これらのサイドシール119cは、エーテル系ウレタンフォームで形成され、その密度を25kg/m以下、硬さを13kg以下に設定することが好ましい。シール材の硬度や密度が大きいと、転写ベルト66に負担がかかり、蛇行制御に影響するので、材質としては上述したものの他に、比較的軟らかく、トナーがすり抜けない程度の発泡密度が必要となる。
【0106】
また、同様に、トナー飛散防止用のリカバリーブレード119dがクリーナケース119bに貼り付けられている(図4参照)。このリカバリーブレード119dを駆動ローラ62に軽く当てることで、クリーニングブレード119aでトナーを掻き落とすとき、またはオーガ151でトナーを搬送するとき、のトナー飛散を防止している。このリカバリーブレード119dの材質は、ウレタンゴム系が用いられる。ライフおよび機能を果たせばポリエステルフィルムを用いても構わない。
【0107】
複写機1の場合、転写ベルト66上の廃トナー量の計算は難しく、例えばベタ画像印字時に紙づまりを起こした場合、ベタ部分のかなりの量が未転写トナーとして生じる。そして、その紙づまりが転写ベルトユニット61のライフで何回生ずるかわからないので、本実施の形態のように安全を考え廃トナーをオーガ151で搬送し、装置本体1の廃トナー輸送管に送る必要がある。
【0108】
しかし、プリンタの場合、紙づまりを起こしたとき、データ転送が切れるため、ベタが未転写トナーとなる可能性はない。つまり、プリンタの場合はクリーナケース119bにオーガ151及びそれを駆動する手段等が必要なく、このクリーナケース119bの大きさは転写ベルトユニット61のライフ中に発生する廃トナー総量に相当する容積とすることが可能である。この方式をとることで、機械のダウンタイムが短縮するとともにユニットの廃トナー収容部の機構が簡素化され、コストダウン可能となる。さらに本体側との勘合部がなくなるため、転写ベルトユニット61をテーブルユニット91に対する着脱するとき、或いは転写ベルトユニット61を装置本体1から引き出すとき、のトナー飛散がなくなるという利点がある。
【0109】
次に、転写ベルトユニット61の新旧検知機構について説明する。
【0110】
上述してきたように、本発明の転写ベルトユニット61は、ユーザによって簡単に交換出来るように設計されている。このため、ユーザによる転写ベルトユニット61のライフ管理が必要となってくる。つまり、新しい転写ベルトユニット61が装置本体1に装着されるときに、当該転写ベルトユニット61が新しいか否かを判断する新旧検知が必要となる。
【0111】
このように、新たに装着される転写ベルトユニット61の新旧検知をすることにより、一度使用した古い転写ベルトユニット61を再び使用してしまうことを防止でき、且つ転写ベルトユニット61を必要以上長く使用することを防止できる。
【0112】
図6に示すように、転写ベルトユニット61の新旧を検知するための新旧検知ユニット180は、装置のフロント側のベルトフレーム101に取付けられている。つまり、装置のリア側のベルトフレーム105には、上述したように、転写ローラ68の給電部が配置されているため、新旧検知ユニット180を装置のリア側に配置すると、転写ローラ68に給電のための高圧ケーブルと新旧検知の信号ラインが接してしまい、高圧によるノイズ等による誤動作を起こす可能性がある。このため、新旧検知ユニット180は、転写ローラ68に対する給電部とは相対する側に配置される。
【0113】
この新旧検知ユニット180では、ヒューズを切断することにより新しい転写ベルトユニット61が装着されたことを検知するタイプ(導通するとフューズが切れる)が採用される。
【0114】
図15に示すように、基板181とケース180はネジあるいはプラスチックリベットで締結固定されている。ケース180は、図13に示すように回動可能に形成されたベルトフレームの両方に掛け渡されて固定される。ケース180は、ベルトフレーム101、105に支持された駆動ローラ62および従動ローラ64に転写ベルト66が張られた後、図12に示すように真っ直ぐに伸ばされたベルトフレームの折り曲げ部分に固定される。つまり、ケース180は、上述したステイ162、163を取付ける前のベルトフレーム101、105の仮止めとして機能する。
【0115】
また、新旧検知ユニット180をリンクとの位置決め間のほぼ中央に配置することで、リンクにかかる力を1/2にすることができ、リンクのプロセス手段への悪影響(転写ベルトユニットを押し下げる力)を極力防止することができる。
【0116】
図15(b)に示すように、基板181の導通部分は、斜線部のように2個所ある。図15(a)には、転写ベルトユニット61がテーブルユニット91のガイド200、201に沿って挿入された状態における、新旧検知ユニット180の導通時の状態を示している。このとき、導通スプリング183が基板181の一方の導通部分に接触されて導通される。そして、転写ベルトユニット61をテーブルユニット91に装着して装置本体1に挿入した後、電源をONにすると、導通スプリング183によって導通状態にあるヒューズが切れ、当該転写ベルトユニット61が新規ユニットであることが判定される。
【0117】
転写ベルトユニット61のライフ管理はここからはじまり、所定のライフまでのライフカウントが開始される。そして、転写ベルトユニット61のライフが近づくと‘NearLife’が表示され、ライフに達した時点で‘ベルトユニット交換’が表示される。これらの警告を発した時点で、複写機1を止めてしまうと、ユーザに対し不利益なことが多い為、装置本体1は止めずに交換を促す表示のみとする。こうすることにより、ユーザは適当な時期にライフとなった転写ベルトユニット61を交換することができる。
【0118】
このように、転写ベルトユニット61、即ちこのユニットに組込まれた転写ベルト66や転写ローラ68のライフを設定して消耗品扱いとすることで、従来の転写機構のように、転写ベルトや転写ローラを必要以上に長く使用することがなくなり、高画質、高精細な画像を維持することが可能となった。
【0119】
ところで、上述した新旧検知の他の方法として、メカ式による方法も考えられる。この方式は、回転部分から駆動をもらいギヤを回転させ、その回転力によりネジ部をもったアクチュエータがスイッチ等を動作させるものである。本実施の形態でこの機構を用いると、駆動ローラ62は廃トナーを搬送するための駆動に用いられ、さらに従動ローラ64はスプリングにより付勢されているため、駆動ローラ62と従動ローラ64とを結ぶ直線状近傍には配置出来ない。配置の可能性がある位置は、駆動ローラ62と従動ローラ64を結ぶ直線に対し、従動ローラ64の設計上の中心を通り直交する線状近傍に配置することは可能である(図示しない)。
【0120】
図16に示すように、テーブルユニット91のフロント側に設けられたガイド200の略中央位置には、新旧検知ユニット180の導通部がある。この導通部では、導通スプリング183が保護カバー182より飛び出し、転写ベルトユニット61側の基板181と接触可能となっている。
【0121】
図17に示すように、導通部の保護カバー182は、スプリング184によって上方に付勢されており、転写ベルトユニット61が取り外されているときには、ユーザの手が触れることのないように、導通スプリング183を覆っている。この導通スプリング183は、ホルダー185にねじ込まれており確実に動通状態にある。ホルダー185の一方は装置本体1に接続するためのコネクタ250(図19参照)と接続されており、他方が丸端子付きのハーネスとなっていて、丸端子とホルダー185がガイド200と共締めされている。
【0122】
このようにして、転写ベルト66を装着後、クリーニング装置111、新旧検知ユニット180を取付けた後、カバー兼取っ手101、105が取付けられる。この取っ手の詳細は図18に示す通りである。図18には、フロント側の取っ手101をその内側から見た図を示してある。
【0123】
転写ベルトユニット61は、この取っ手101、105を取付ける前は回動可能のままである。従って、これらの取っ手101、105は、転写ベルトユニット61を回動しないように固定する役割も果たしている。つまり、図11に示す各フレーム160LF、160RFの孔aに対し、図18に示す取っ手101の突起aを勘合することにより、フレーム160LF、160RFが回動不可となる。そして、取っ手101のネジ穴bを介して取っ手101がフレーム160LF、160RFにネジ止めされて固定される。
【0124】
また、感光体ドラム11を含むプロセスユニット51に対する転写ベルトユニット61の位置決めは、図3(a)および図18に示すフレーム101(105)の突起dによってなされる。また、フレーム101の下端側には、テーブルユニット91に設けられた後述するリンクによる転写ベルトユニット61の押し上げ基準となる部分cが設けられている。この部分cは、図6に示してあり、球状の凹部となっている。
【0125】
そして、転写ベルトユニット61をガイド200、201に沿ってテーブルユニット91に装着し、テーブルユニット91を装置本体1に挿入した後、図16に示すハンドル205を、その押しボタン206aを押しながら反時計回りに回転させる。図16では、ハンドル205を回転させた後の状態を示してある。ハンドル205を反時計回りに回転させると、ハンドル205の回転中心に設けられたシャフト208が回動し、ある位置からガイド207に沿いながら206b部分が回転する。ハンドル205が水平になったときに図16に示すようにロック状態になる。このとき、図19に示すように、シャフト208の先端に設けられたストッパ部209が板金部材255に勘合される。この状態、つまり転写ベルトユニット61がプロセスユニット51に向けて押上げられた状態では、ハンドル205をフロント側に引張って転写ベルトユニット61を引き出そうとしてもロックされている。また、テーブルユニット91の引出フレーム121(図4参照)を装置本体1から引き出した状態では、ハンドル205を回動させても図16に示す斜線部206bがぶつかって、転写ベルトユニット61を押上げることはできないので、ユーザがガイド200と引き出しフレーム121の間に手を挟まれることはない。
【0126】
次に、転写ベルトユニット61の押し上げ構造について、図16、および図20乃至図23を参照して説明する。
【0127】
図20、21に示すようなリンク機構がテーブルユニット91の引出フレーム121上に配置されている。リンク機構とガイド200,201とは、図16に示す部材203により勘合固定され、リンクの上下にガイド200、201が追従するようになっている。
【0128】
図20は、リンクが下がった状態を示してある。ハンドル205には、シャフト208およびカム125がつながっており、ハンドル205の回転によってシャフト208およびカム125が連動して回動する。このカム125には、ロック部材124が回動自在に結合されている。リンク部120は、リンク同士を結合するロッド部材126、127を有している。ロッド部材126と127は、スプリング128によって結合されている。また、ロッド部材126とロック部材124とが回動自在に結合されることにより4つのリンクがハンドル205の回動に連動して上下するようになる。
【0129】
図21に示すように、ハンドル205を矢印a方向に180°回転させると、リンクが上昇する。本実施の形態では、リンクは25mm上昇する。このとき、ロック部材124の挙動が特徴的であり、ハンドル205を回動させていくと、カム125の作用によりロック部材124が持ち上げられ、シャフト208を乗り越える。ハンドル205が180°回転されると、図22(b)の状態から図22(a)の状態までリンクが上昇される。図23に示すように、シャフト208を超えたロック部材124の先端部分の最下点がシャフト208の水平線付近またはそれよりも下方に位置している。このようにすることで、上からの力がかかってもリンクが押し下がろうとする方向に力がかからない。また、ハンドル205が戻ろうとする力が働いてもリンクが下がらない。
【0130】
このリンクが動作するためにはハンドル205の回転力が直接カム125に伝わり回転力によりロック部材124が持ちあがりつつ水平方向に移動するため力のロスが少なくてすむのが特徴である。
【0131】
しかし、図23に示すように、シャフト208を乗り越えた部分の先端が135°程度であるとロック機構が十分でないとリンクが押し下がる可能性があり、プロセスユニット51と転写ベルトユニット61との当接状態が不安定となるとともに、何らかの衝撃でリンクが下がってしまう不具合を生じる。つまり、前記のようにすればリンクのロック機構が不必要となる。
【0132】
また、カム125とロック部材124によるリンク持ち上げ機構として、複数のリンクを用いることも可能であるが、複数のリンクを用いた場合、リンクを動作させたい方向に対してハンドルで作用する力の方向が異なるため、力のロスが発生する。このためリンクの接合部に力がかかり破損する可能性があるので強固な部材としなければならない。また力のロスのため、より多くの力がハンドルにもかかるため人の力で動作させづらい場合があるのでギヤを用いて減速させてハンドルの回動を助けるようにしなければならないとともに、このギヤにも力がかかるためモールドの場合は歯幅を広くする必要がある。またモールドで破損する場合は金属を用いなければならずコストアップとなる。さらに複数のリンクを用いてロック部材124がシャフト208を乗り越えることは難しく、乗り越えたとしても120°程度が限界でリンクがシャフトと干渉してしまう。このためロックする機構も強固にするためやはりコストアップとなることがわかる。
【0133】
次に本実施の形態における転写ベルトユニット61をリンク上の所定位置ヘ位置決めする方法について説明する。
【0134】
転写ベルトユニット61は、テーブルユニット91が引き出されてリンクが下がった状態(図20に示す状態)のとき、ガイド200、201に沿って挿入される。この状態では、リンクは、図22(b)の状態になっていてリンクの位置決め部材cはカバー兼取っ手である101,105の凹所c(図6参照)とは触れていない。この状態からリンクが持ち上がると、リンクは図22(a)で示すような状態となる。このとき、リンクが上昇するとともに、リンクの位置決め部材cが前記101,105の凹所cに触れ、図6の凹所cと図22(a)の部材123の先端部cとが位置決めされる。このようにすることで、リンクに対し転写ベルトユニット61が位置決めされると同時に、プロセスユニット51側の位置決め部と取っ手側の位置決め部dが勘合し、転写ベルトユニット61とプロセスユニット51側の位置が決まる。
【0135】
つまり、転写ベルトユニット61と装置本体1への位置決め手段は、装置本体1より引出可能なテーブルユニット91および、そのテーブルユニット91に配置した引出フレーム121上の転写ベルトユニット押し上げ機構部材120から形成され、引出方向に対し垂直方向から勘合し位置決めされる。また、プロセスユニット51との位置決め部dは、転写ベルトユニット61を押し上げる押し上げ機構部材cに対し、平行な位置関係に基準部が形成され、プロセスユニット51と直接勘合位置決めされる。
【0136】
このとき、プロセスユニット51の高さ方向の位置ずれ等を吸収するためにリンク120内の部材123にスプリング129を配置することにより、部材123の先端cは4箇所独立でダンパー機能が転写ベルトユニット61に負荷をかけずにプロセスユニット51と当接可能となった。
【0137】
このような上下機構を持つことによりジャム処理時、転写ベルトユニット61がほぼ鉛直線上を軌跡とするため、転写ベルト66の上流側、下流側いずれの場所においても広いジャム処理スペースを確保出来るとともに、ジャム紙が取り難い場合は転写ベルトユニット61を下げてテーブルユニット91を装置本体1から引き出すことにより容易にジャム処理可能となった。
【0138】
また前述したようにこの転写ベルトユニット61は、ユーザが直接着脱することを前提として考慮されている為、装着時の装着感や取り外すときの動作を考える必要がある。このため、取っ手部101、105に図18に示すような機構を設ける。この取っ手には、191、192で示すような爪部を設け、この爪部191、192が図16のガイド200、201のe部に勘合する。装着時は爪191、192の傾斜部を利用するので、そのまま装着すればロックが働く。転写ベルトユニット61を取り外すときは解除機構190を押すことにより爪部191、192が図中矢印方向に逃げ、ガイド200、201から取り外し可能となる。
【0139】
この取っ手101、105をネジで締結することで転写ベルトユニット61が1つのユニットとして成り立つ。
【0140】
ネジ固定されると、この取っ手101、105により駆動ローラ62のベアリング150を外側より押さえ、この部分の強度を保っている。
【0141】
次に、この取っ手101、105の締結ネジ109、110の機能について説明する。
【0142】
図4に示すように、転写ベルトユニット61の駆動ローラ62に当接する形で剥離爪115が配置している。この剥離爪115は、スプリング115aによって一定荷重に保たれている。この剥離爪115は、PPS等の樹脂で成形されており、ベルトユニットライフではなく機械の寿命と同じとするために転写ベルトユニット61とは別ユニットを形成する。
【0143】
剥離爪115と駆動ローラ62の位置関係は図24に示す通りである。
【0144】
駆動ローラ62の半径をr[mm]、剥離爪115先端と駆動ローラ62中心までの距離をβ[mm](y方向)とし、このとき剥離爪115の先端が駆動ローラ62の半径rよりΔrだけx方向に入り込んでいるとすると、
Δr=r−√(r−β) …(14)
となる。
【0145】
つまり、転写ベルトユニット61を着脱しようとすると、転写ベルトユニット61に剥離爪115の先端がΔrだけ干渉するため、このままの状態では剥離爪115あるいは転写ベルト66になんらかの不具合が生じる。例えば、剥離爪115の欠けや転写ベルト66のキズおよび破れ等が生じる。
【0146】
そのため、転写ベルトユニット61を着脱するときに、剥離爪115を待避させる必要がある。その時の剥離爪115の待避量をΔとすると
Δ=j*Δr …(15)
ただしjは安全係数
となる。
【0147】
本実施の形態では、駆動ローラ62の半径r=12[mm]、β=4[mm]であるから、
Δr=0.7
安全係数j=2とすると、
Δ=1.4[mm]
となり、剥離爪115を1.4[mm]程度待避させれば、転写ベルト66や剥離爪115にダメージを与えることはない。
【0148】
図25には、剥離爪115の待避機構を装置のリア側から見た図を示してある。
【0149】
転写ベルトユニット61をガイド200、201に沿って上方に持ち上げると、取っ手101のネジ109が板金116の絞り部分に乗り上げる。剥離爪ホルダー118aは、ペーパガイド板金118c(図4参照)にネジにより締結されているステイ118bにスプリング付きネジ117で固定されている。このため、取っ手101のネジ109が板金116の絞りにのりあげると、剥離爪ホルダー118aがスプリング117を圧縮して矢印a方向に板金116の絞り高さ分だけ移動する。
【0150】
したがって、剥離爪115も板金116の絞り高さ部だけ矢印a方向に移動するので、転写ベルトユニット61の着脱時において、転写ベルト66や剥離爪115を傷つけることはない。
【0151】
次に、本実施の形態の転写ベルトユニット61を乗せるテーブルユニット91について、図4、図16、および図19を参照して説明する。テーブルユニット91の引出フレーム121上には、位置決めピン122を介して定着器71が位置決めされる。この引出フレーム121は、装置本体1に対し水平方向に引き出し可能で、引出機構はレール、コロなどを使用する(図示しない)。引出フレーム121上には、前述の転写ベルト押し上げ機構(リンク機構)120、挿入ガイド200、201、挿入ガイド上の剥離爪退避機構、ペーパガイド板金118cが配置されている。このペーパガイド板金118cは、転写ベルト66上に吸着された用紙を剥離するための剥離板としての役割も果たしている。したがって、この板金118cは、接地されなければならないので、一方が丸端子のFG線でガイド201と共締めされなければならない。
【0152】
転写バイアス用トランス220も引出フレーム121上に配置されている。
【0153】
さらに、通常の黒コピーの場合、黒以外の感光体ドラムを停止させる為、リンクの給紙側2個を1°程度傾ける必要がある。これを達成する為に、ベルト離間用モータとして210を用いる。
【0154】
このベルト離間用モータ210はウオーム付きのモータであり、モータを回転させることによりアーム211、212が軸213、214を回転中心として給紙側に移動する。こうすることにより、図21の状態からリンクが下がる方向(図20の方向)に転写ベルトユニット61が1°程度傾くまで移動する。プロセスユニット51との位置決め部材が球状をなしているのも、転写ベルトユニット61を傾けるためである。引出フレーム121には、以上のような機構部品を搭載している。この引出フレーム121は、用紙の進行方向に対し直角方向に配置されたスライドレールで本体に装着され、自在に引出可能となっている。
【0155】
転写ベルトユニット61は、この引出フレーム121の挿入ガイド200、201に沿って挿入され、ガイドにロックした後、本体に装着される。このとき、本体との通電また本体との接地は図19のドロアコネクタ250によってなされる。
【0156】
次に、本発明の転写ベルトユニット61の駆動装置300について詳細に説明する。
【0157】
図26に示すように、転写ベルトユニット61は、ブラック感光体ドラム11dの鉛直下方に設けた支点(図示しない)を中心として、図示しない駆動機構で右回りに回転される。このように、転写ベルトユニット61を斜めの状態にすることにより、感光体ドラム11a、11b、11cから転写ベルト66を離し、ブラックコピーのみができるようにしたモードである。
【0158】
つまり、転写ベルトユニット61は、以下の3つの位置を持つことになる。
【0159】
(1)一番下がった状態である第1の位置
(2)カラーモードと呼ぶ第2の位置
(3)黒モードと呼ぶ第3の位置
このような複数の位置に転写ベルトユニット61が設定されても確実な駆動が伝達できるような駆動として、本発明の駆動装置300を提案した。
【0160】
図27は、転写ベルトユニット61と駆動装置300とが装置本体1内でどのように連結しているかを示す斜視図である。ここでは、駆動装置300が装置本体1の背面フレーム3に取付けられている状態を示している。図28および図29には、駆動装置300を示してある。
【0161】
図28に示すように、駆動装置300は、シャーシ311とシャーシ312とが合わさった箱形状を有している。シャーシ312には、駆動モータ313が取付けられている。シャーシ311とシャーシ312との間には、歯車やタイミングベルトから構成される駆動伝達機構301が形成されている。
【0162】
図29は、一方のシャーシ311を取り除いた状態を示し、駆動モータ313の出力軸314には第1の歯車315が取付けられている。シャーシ311とシャーシ312の間に設けた固定軸331には、第2の歯車316が第1の歯車315と噛み合うように配置されている。
【0163】
さらに、第2の歯車316と一体に形成された第3の歯車317が設けられている。
【0164】
また、シャーシ311とシャーシ312の間には、可動軸320が設けられている。この可動軸320には、第4の歯車318が、第3の歯車317と噛み合うように配置されている。
【0165】
可動軸320の両端は、シャーシ311とシャーシ312に設けられた長穴321、322(図示せず)に嵌合され、この長穴321、322は、前記固定軸331を中心とする円弧上に形成されている。長穴321の幅は、可動軸320の端部の大きさより、わずかに大きくなっており、可動軸320が前記円弧に沿って動けるようになっている。
【0166】
可動軸320には、第4の歯車318と一体に形成されたタイミングプーリ323が設けられ、さらに、可動軸320にはアーム326が可動軸320に対して回転可能に取付けられている。アーム326の揺動の先端には、タイミングプーリ324が配置され、プーリー323、324間には駆動を伝達するためのタイミングベルト325が巻回されている。
【0167】
図30(a)には、タイミングプーリ324を備えたアーム326の先端付近の軸方向断面図を示してある。タイミングプーリ324は、軸受け327、328で回転可能に支えられている。
【0168】
また、図30(b)に示したように、タイミングプーリ324の内側には穴332が設けられており、その円筒面には、前記転写ベルトユニット61のスプライン65とは逆の形状であるスプラインが設けられ、駆動連結部329を構成している。
【0169】
以下、動作について説明する。
【0170】
図31は、上述した駆動装置300のギヤやタイミングベルトの配置や動きを明確にするためのレイアウト図である。この図を参考にしながら、動作について説明する。
【0171】
転写ベルトユニット61をテーブルユニット91に装着し、テーブルユニット91を装置本体1に押し込むと、転写ベルトユニット61の駆動軸108のスプライン65が駆動装置300の駆動連結部329に挿入される。この時、駆動軸108と駆動連結部329の互いのスプラインが嵌合し、滑ることなく駆動が伝達できるようになる。
【0172】
次に、テーブルユニット91に設けられたハンドル205(図2参照)を動かすと、テーブルユニット91の昇降装置82が働き、転写ベルトユニット61が駆動装置300の駆動連結部329と嵌合した状態のまま上昇する。
【0173】
この時、アーム326の先端も上昇するが、もし、アーム326の支点である可動軸320が固定してあるとすると、駆動連結部329はアーム326の長さで決まる円弧上を動くことになる。転写ベルトユニット61は、垂直方向に上昇するので、両者の移動する軌跡が異なるため、転写ベルトユニット61の動きが規制されることになる。最悪の場合、転写ベルトユニット61は設計値どおりの位置にこなくなる可能性もある。
【0174】
そこで、本発明のように、アーム326の支点を移動可能とすると、駆動連結部329はアーム326の先端の回転軌跡による拘束が外れ、垂直に上昇することができるようになる。アーム326の支点は、固定軸331を中心に回転できるようになっているので、歯車317と歯車318の軸間距離は不変であり、駆動伝達に不具合が生じない。
【0175】
これにより、モータ313からの駆動力は、軸314、歯車315、歯車316、軸331、歯車317、歯車318、タイミングプーリ323、タイミングベルト325、を介してタイミングプーリ324へと伝達され、駆動連結部329に連結された転写ベルトユニット61の駆動軸108を回転させることができ、転写ベルトユニット61の転写ベルト66を動かすことができる。
【0176】
さらに、転写ベルトユニット61を傾けてブラックモードに入った場合、転写ベルトユニット61はカラーモードの位置からブラックモードの位置に傾斜されるが、この時、駆動ローラ62の駆動軸108は転写ベルトユニット61に設けた回転支点を中心に円弧軌跡を描くが、駆動装置300のアーム326の支点320が可動なので、アーム支点320がさらに移動することで、カラーモードの場合と同じように駆動伝達に不具合が生じることがない。
【0177】
以上のように、本発明によると、転写ベルト66を用いた転写機構をユニット化し、装置本体1に対し着脱、交換可能とすることで、転写ベルト66、転写ローラ68、クリーニング装置111のライフ管理が可能となり、高精細、高画質の画像を画像形成装置本体のライフまで保つことが可能となった
また、転写ベルト66、転写ローラ68等の部品交換もユニット化されたため、交換時間が激減する、ユニット化されていないと、何分、何十分単位で時間がかかっていたものが、ユニット化することにより、押上げ機構を下げ、テーブルユニット91を引き出すだけで交換可能となった。
【0178】
また、転写ベルト部をユニット化するため、転写ベルト66の駆動手段は画像形成装置本体1側に持たせることにより、ユニットが簡素化されるとともにスプラインによる駆動伝達により駆動連結部分が滑ることなくつながり、駆動ジッタによる画像不良を防止できるようになるとともに、直線状を移動する押上げ機構に追従する駆動連結部329により駆動ローラ62に負担をかけない機構が成立した。
【0179】
また、転写ベルト66上に転写されたトナーをクリーニングするクリーニング装置111を駆動ローラ62を受けているフレームと同一フレームに取付けることによりさらに、クリーニング装置111の駆動ローラ62に対する位置精度が正確に出るとともに転写ベルトユニット61のライフと同一に設定可能となった。
【0180】
新旧検知機構は、ユニット化する時に必要となりユニットのライフ管理を行なうことにより、高画質、高精細の画像を保つとともに、配置する場所を押上げ機構と転写ベルトユニット61の接点部のほぼ中央にすることで新旧検知機構部に使用している押上げスプリングの影響を2つの押上げ部接点に分散させることにより極力少なくすることが可能となった。
【0181】
剥離爪115、剥離板金118cは、交換不要な部品のため画像形成装置本体1側に残しておいた方がコスト的にメリットがある。このため剥離爪115を転写ベルトユニット61を着脱する軌跡から待避させることにより剥離爪115の先端を傷つけないとともに転写ベルト66にもキズをつけずにすむ。待避機構は転写ベルトユニット61の一部を使用することでユーザ、サービスマンが無意識にユニットを着脱しても剥離爪115が待避するように考慮されている。
【0182】
転写ベルトユニット61を押上げる押上げ機構部において、押上げ用のハンドル205に連動してシャフト208、カム125が回動することによりリンクとカム125をつなぐロック部材124がシャフト208を乗り超え、シャフト208の水平線近傍に前記部材124の先端が位置することで従来のようなロック機構は必要とせず、力がかかる方向で自然にロックがかかっている状態を作り出している。またカム125を利用することで、従来のリンクに比べて力のロスが少なくハンドル205の回転力が直接カム125に伝わるとともに、カム125の形状により自在に回転時の力の分布を変更することが可能となった。
【0183】
尚、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。
【0184】
以下に、本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0185】
[1] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化した転写ベルトユニット。
【0186】
[2] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、この転写ベルト上に付着した異物を掻き落とすクリーニングブレード、掻き落とされた異物を回収する回収装置、および上記転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化した転写ベルトユニット。
【0187】
[3] 上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレームをさらに有し、
上記クリーニングブレードおよび回収装置は、上記支持フレームに取付けられていることを特徴とする[2]記載の転写ベルトユニット。
【0188】
[4] 上記一対のフレームは、上記転写ベルトユニットを水平に保持できる取っ手を有することを特徴とする[3]記載の転写ベルトユニット。
【0189】
[5] 上記回収装置は、回収した異物を搬送するオーガを有し、このオーガの回転軸と上記第1ローラの回転軸とがギヤを介して連結され、上記オーガは上記第1ローラの回転に従動されることを特徴とする[2]記載の画像形成装置。
【0190】
[6] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化し、
装置本体に装着された状態で通電された際に切断されるヒューズを有し、このヒューズが切られたことを条件に新たに装着されたことを判断する新旧検知機構を備えたことを特徴とする転写ベルトユニット。
【0191】
[7] 上記新旧検知機構は、上記転写ベルトの走行方向に沿った略中央位置に配設されていることを特徴とする[6]記載の転写ベルトユニット。
【0192】
[8] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレーム、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化し、
上記一対の支持フレームは、上記装置本体との間の位置決め手段を備えていることを特徴とする転写ベルトユニット。
【0193】
[9] 上記位置決め手段は、上記転写ベルトユニットおよび装置本体のうち一方に設けられた球状の凹部、および上記転写ベルトユニットおよび装置本体のうち他方に設けられ、上記凹部に嵌合する球状の凸部を有することを特徴とする[8]記載の転写ベルトユニット。
【0194】
[10] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化してあり、
上記第1ローラの回転軸には、装置本体に装着された際に、装置本体側に設けられた駆動手段に連結されるスプラインが形成されていることを特徴とする転写ベルトユニット。
【0195】
[11] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレーム、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化してあり、
装置本体側に設けられ上記一対の支持フレームを押し上げる押上手段によって押し上げられることによって装置本体にセットされ、
この押上手段は、該押上手段を動作させるハンドル、このハンドルの回転中心に設けられた回転軸、この回転軸を乗り越えて固定されるロック機構を有し、このロック機構は、上記押上手段による上記一対の支持フレームの押上状態を固定することを特徴とする転写ベルトユニット。
【0196】
[12] 画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられた転写ベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、およびこの転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化してあり、
上記装置本体側には、上記転写ベルトから用紙を剥離する剥離手段、および上記転写ベルトユニットの脱着に際し、該転写ベルトユニットの軌跡上から上記剥離手段を退避させる退避手段が設けられていることを特徴とする転写ベルトユニット。
【符号の説明】
【0197】
1…装置本体、2…ADF、3…フロントカバー、91…テーブルユニット、205…ハンドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して脱着自在に設けられたベルトユニットであって、
装置本体に装着された状態で該本体側から駆動力が伝達される第1ローラ、この第1ローラから離間された第2ローラ、これら第1および第2ローラに巻回されて無端走行可能に張設された転写ベルト、この転写ベルト上に付着した異物を掻き落とすクリーニングブレード、掻き落とされた異物を回収する回収装置、上記転写ベルトの内面および上記第1ローラの表面をクリーニングするためのクリーニング機構、および上記転写ベルトの内側に配置された複数の転写ローラを一体化したベルトユニット。
【請求項2】
上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレームをさらに有し、
上記クリーニングブレードおよび回収装置は、上記支持フレームに取付けられていることを特徴とする請求項1記載のベルトユニット。
【請求項3】
上記一対の支持フレームは、上記転写ベルトユニットを略水平に保持できる取っ手を有することを特徴とする請求項2記載のベルトユニット。
【請求項4】
上記回収装置は、回収した異物を搬送するオーガを有し、このオーガの回転軸と上記第1ローラの回転軸とがギヤを介して連結され、上記オーガは上記第1ローラの回転に従動されることを特徴とする請求項1記載のベルトユニット。
【請求項5】
上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレームをさらに有し、
上記一対の支持フレームは、上記装置本体との間の位置決め手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。
【請求項6】
上記位置決め手段は、上記ベルトユニットおよび装置本体のうち一方に設けられた球状の凹部、および上記ベルトユニットおよび装置本体のうち他方に設けられ、上記凹部に嵌合する球状の凸部を有することを特徴とする請求項5記載のベルトユニット。
【請求項7】
上記第1ローラの回転軸には、上記装置本体に装着された際に、上記装置本体側に設けられた駆動手段に連結されるスプラインが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。
【請求項8】
上記第1および第2ローラの回転軸の両端を支持した一対の支持フレームをさらに有し、
上記装置本体側に設けられた上記一対の支持フレームを押し上げる押上手段によって押し上げられることによって装置本体にセットされ、
この押上手段は、該押上手段を動作させるハンドル、このハンドルの回転中心に設けられた回転軸、この回転軸を乗り越えて固定されるロック機構を有し、このロック機構は、上記押上手段による上記一対の支持フレームの押上状態を固定することを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。
【請求項9】
上記装置本体側には、上記転写ベルトから用紙を剥離する剥離手段、および上記ベルトユニットの脱着に際し、該ベルトユニットの軌跡上から上記剥離手段を退避させる退避手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−55128(P2010−55128A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281993(P2009−281993)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2009−144385(P2009−144385)の分割
【原出願日】平成10年12月8日(1998.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】